この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
実施の形態1.
図1から図12は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は自走式掃除機の平面図、図2は自走式掃除機の底面図、図3は自走式掃除機の縦断面図、図4は自走式掃除機の正面図、図5は自走式掃除機が備えるアジテーターの斜視図、図6は自走式掃除機が備える検出センサーの斜視図、図7は自走式掃除機の制御系統の構成を示すブロック図、図8及び図9は自走式掃除機の第1の工程の動作の流れの一例を示すフロー図、図10から図12は自走式掃除機の第1の工程を説明するそれぞれ第1の例、第2の例及び第3の例の図である。以下の説明では、原則として、自走式掃除機10が水平面に置かれた状態を基準として方向を定義する。
図1の平面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を上方向から見た図である。図1における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。自走式掃除機10の進行方向は、この前方向である。また、図1における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。自走式掃除機10は、例えばこの後方向に向けて後退する。すなわち自走式掃除機10は、前方及び後方に移動する。また、図1における紙面上の上下方向を、自走式掃除機の右左方向とする。
図2の底面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を下方向から見た図である。図2における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。図2における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。図2における紙面上の上下方向を、自走式掃除機10の左右方向とする。
図3の縦断面図は、図1及び図2に示す自走式掃除機10のA−A線での断面を示す。図3の縦断面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10の縦方向に沿った断面を側方から見た図である。図3における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。図3における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。図3における紙面上の上下方向は、自走式掃除機10の上下方向に対応する。
図4の正面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を前方から見た図である。図4における紙面上の上下方向を、上下方向とする。図4における紙面上の左右方向は、自走式掃除機10の右左方向に対応する。
自走式掃除機10は、清掃対象エリア内を自走して、清掃対象エリア内の被清掃面を清掃する装置である。この発明の実施の形態1では、自走式掃除機10は、清掃対象エリアが敷き蒲団、ベッド等の寝具であって、被清掃面が寝具の上面である場合を例に挙げて説明する。ただし、自走式掃除機10の清掃対象エリアは、寝具の上面に限られず、他に例えば部屋等であってもよい。
この発明の実施の形態1に係る自走式掃除機10は、図1から図4に示すように、ボディ20を備える。ボディ20は、自走式掃除機10の外枠を形成する部位である。ボディ20には、自走式掃除機10に備えられた各種の機器が設けられる。
自走式掃除機10は、例えば、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60及び乾燥ユニット70を備える。駆動ユニット30は、ボディ20及びボディ20に設けられた機器を移動させるためのものである。
清掃ユニット40は、被清掃面のごみを取り込む部位である。被清掃面とは、自走式掃除機10によって掃除される面を意味する。清掃ユニット40によって取り込まれるごみには、例えば塵埃が含まれる。被清掃面には、例えば室内の床面及び室内に敷かれた敷き蒲団F1の上面等が含まれる。
吸引ユニット50は、空気とともにごみを吸引するための部位である。清掃ユニット40は、吸引ユニット50が動作することによってごみを取り込む。集塵ユニット60は、清掃ユニット40によって取り込まれたごみを捕集する部位である。また、集塵ユニット60からは、空気が排出される。乾燥ユニット70は、集塵ユニット60から排出された空気を加熱するためのものである。乾燥ユニット70によって加熱された高温の空気は、自走式掃除機10の外部へ供給される。
また、自走式掃除機10は、例えば制御ユニット80及び電源ユニット90を備える。制御ユニット80は、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50及び乾燥ユニット70を制御する。電源ユニット90は、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、乾燥ユニット70及び制御ユニット80に電力を供給する。
ボディ20には、一例として上カバー21と下ケース22とが含まれる。ボディ20は、例えば上カバー21と下ケース22とが結合することによって形成される。上カバー21は、ボディ20の上側部分を形成する。下ケース22は、ボディ20の下側部分を形成する。
上カバー21は、例えばボディ20の内部に備えられた機器を上方から覆うように配置される。また、下ケース22は、自走式掃除機10が使用される際に下ケース22の底面22aが被清掃面に対向するように設けられる。本実施の形態において下ケース22の底面22aは、ボディ20の底面である。また、底面22aは、自走式掃除機10の底面の一部となる。すなわち水平面に置かれた自走式掃除機10の底面は、水平面に対向する。
なお、上カバー21と下ケース22とは、例えば一体的に形成されてもよい。ボディ20は、例えば単一の部材によって形成されてもよい。また、ボディ20の底面は、上カバー21の底面であってもよい。
上カバー21を上方から見た形状は、図1に示すように、例えば矩形状の四隅を円弧状にした形状である。なお、上カバー21を上方から見た形状は、例えば真円形状又は楕円形状等であってもよい。
ボディ20の上側部分を形成する上カバー21は、自走式掃除機10の上部を形成する。上カバー21の上面21aは、自走式掃除機10の上面となる。上カバー21は、上面21aが山型の三次元曲面になるように形成される。すなわち自走式掃除機10の上面は山型の三次元曲面である。上カバー21のうちの上面21aの中央21bを含む一定範囲の領域は、底面22aが水平面に対向している状態で、この領域の周囲よりも高くなる。
また、上面21aには、上面前部21c及び上面後部21dが含まれる。上面前部21cは、上カバー21の前端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面後部21dは、上カバー21の後端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面前部21cは、ボディ20の進行方向の端部から一定の範囲に渡って形成される第1部分の一例である。また、上面後部21dは、ボディ20の進行方向の反対方向の端部から一定の範囲に渡って形成される第2部分の一例である。
図3に示すように自走式掃除機10を側方から見た時、上面前部21cの稜線は、上面後部21dの稜線よりも緩やかに傾斜する。例えば、自走式掃除機10を側方から見た時、上面前部21cの稜線を近似した直線と水平面とがなす角度は、上面後部21dの稜線を近似した直線と水平面とがなす角度よりも小さくなる。本実施の形態において自走式掃除機10の前側部分は、自走式掃除機10の後側部分に比べて、水平面に対して緩やかに傾斜する。また、図4に示すように自走式掃除機10を前方から見た時、上面21aは左右対称に形成される。
上面21aには、上面左部21e及び上面右部21fが含まれる。図1から図4に示すように、上面左部21eは、上カバー21の左端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面右部21fは、上カバー21の右端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面左部21e及び上面右部21fは、水平面に対し、上面後部21dと同様に傾斜する。すなわち上面前部21cは、水平面に対し、上面左部21e及び上面右部21fに比べて緩やかに傾斜する。本実施の形態において自走式掃除機10の前側部分は、自走式掃除機10の右側部分及び左側部分に比べて、水平面に対して緩やかに傾斜する。
上カバー21は、一例として開閉可能な蓋23を有する。蓋23は、上カバー21の上部を形成する。上カバー21の中央21bは、この蓋23に含まれる。蓋23の上面は、例えば平坦な面であってもよい。すなわち上面21aのうち中央21bを含む一定範囲の領域は、平坦な面であってもよい。なお、上カバー21には、平坦な面が含まれていなくてもよい。例えば上カバー21は、例えば中央21bが最も高くなるように形成されてもよい。
本実施の形態の駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80及び電源ユニット90は、ボディ20に取り付けられる。駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80及び電源ユニット90は、一例として下ケース22に収容される。
駆動ユニット30は、自走式掃除機10が移動するための移動手段の一例である。自走式掃除機10は、例えば1対の駆動ユニット30を備える。1対の駆動ユニット30は、下ケース22の左側面と右側面とにそれぞれ取り付けられる。1対の駆動ユニット30は、それぞれが左右対称な位置になるように配置される。
駆動ユニット30は、車輪31、車輪用モーター32、車輪用ギヤ33及びハウジング34を有する。車輪31は、自走式掃除機10が被清掃面上を走行するためのものである。車輪31は、被清掃面に接触することで駆動力を発生させる。車輪31は、自走式掃除機10が移動するための駆動力を発生させる駆動体の一例である。
車輪用モーター32は、車輪31が回転するための動力を供給する。車輪31と車輪用モーター32とは、車輪用ギヤ33を介して接続される。車輪用ギヤ33は、車輪用モーター32によって供給される動力を車輪31へ伝達する。車輪用ギヤ33は、車輪31の回転数が適切になるように、車輪用モーター32の回転数を変換する。
車輪31、車輪用モーター32及び車輪用ギヤ33は、ハウジング34に収容される。車輪31は、ハウジング34内で回動可能に支持される。また、車輪31の下端は、図3に示すように、下ケース22の底面22aよりも下方に向けて突出する。すなわち車輪31のこの下端は、例えば被清掃面が水平面である場合、底面22aよりもこの被清掃面に近づく。
車輪31は、図3に示すように、例えば上下方向に移動可能に設けられてもよい。車輪31は、例えば被清掃面の状態に応じて上下方向に移動する。例えば被清掃面が蒲団の上面である場合、車輪31は、この蒲団が柔らかいほど下方へ突出する。また、自走式掃除機10は、図示しない調節部を備えても良い。この調節部は、底面22aを基準とした車輪31の突出量を調節するものである。また、車輪31の外周には、被清掃面に対する車輪31の滑りを抑制する軟質材料が設けられてもよい。
清掃ユニット40は、ボディ20内に配置される。清掃ユニット40は、吸込口体41及び接続管42を有する。吸込口体41は、下ケース22の前方に配置される。接続管42は、管状の部材である。接続管42の一端側は、下ケース22に取り付けられる。接続管42の他端側は、吸込口体41に接続される。
吸込口体41の内部には、吸込口体風路41aが形成される。また、吸込口体41の底面には、吸込口43が形成される。吸込口43は、ごみ及び空気を吸い込むための開口である。吸込口体風路41aは、吸込口43を介して自走式掃除機10の外部と連通する。また、吸込口体風路41aは、接続管42の内部の接続管風路42aと連通する。換言すると、吸込口43は、吸込口体風路41aを介して接続管風路42aに連通する。
また、吸込口体41の底面は、下ケース22の底面22aよりも上方に配置される。すなわち吸込口43は、底面22aよりも上方にある。
吸込口体41は、接続管42に対し、左右方向に伸びる軸を中心として上下方向に回動可能に接続される。接続管42は、下ケース22に対し、前後方向に伸びる軸を中心として回動可能に取り付けられる。この前後方向に伸びる軸を基準とした時、一例として吸込口体41の右側部分の重量と左側部分の重量とは、同程度になっている。本実施の形態において吸込口体41は、接続管42の回動中心を基準としたとき左右対称に形成される。
下ケース22に対して接続管42が動くと、吸込口体41は、この接続管42とともに動く。すなわち吸込口体41は、下ケース22に対し、上下方向及び左右方向に回動可能である。
清掃ユニット40は、一例としてアジテーター44を備えてもよい。アジテーター44は、回転することによって被清掃面からごみを掻き上げるものである。アジテーター44は、吸込口体41に対して回転自在に設けられる。アジテーター44は、吸込口体風路41aに配置される。アジテーター44は、吸込口43の近傍に設けられる。
図5は、実施の形態1のアジテーター44の斜視図である。アジテーター44は、複数の除塵体45及び軸46を有する。除塵体45は、例えば軟質の樹脂によって形成される。本実施の形態の除塵体45は、アジテーター44の軸方向に沿う板状の部材である。一例としてアジテーター44は、4枚の除塵体45を有する。除塵体45は、軸46の外周に、つるまき状に設けられる。除塵体45同士の間には、一定の間隔が形成される。
アジテーター44は、軸46を中心に回転可能に軸支される。除塵体45は、アジテーター44が回転すると吸込口43から吸込口体41の外へ突出するように設けられる。また、本実施の形態の除塵体45には、複数の矩形状の孔45aが形成される。なお、孔45aの形状及び数は、任意の数でよい。また、除塵体45の数及び形状も上記の例に限られない。例えば軸46の外周には、アジテーター44の軸方向に沿って複数の除塵体45が設けられてもよい。また、除塵体45は、本実施の形態以外にも、例えば繊維質のブラシ毛等によって形成されてもよい。
清掃ユニット40は、例えばアジテーター44を回転させるための、アジテーター用モーター47及びアジテーター用ギヤ48を有する。アジテーター用モーター47は、吸込口体41内に設けられる。アジテーター用モーター47は、アジテーター用ギヤ48を介してアジテーター44を回転させる。アジテーター44の回転方向は、除塵体45が自走式掃除機10の前方から後方に向かう方向に設定される。
吸引ユニット50は、清掃ユニット40の後方に配置される。吸引ユニット50は、ファン51及びダクト52を有する。ファン51は、下ケース22に取り付けられる。ファン51は、気流を発生させる。集塵ユニット60は、清掃ユニット40とこの吸引ユニット50との間に配置される。換言すると、吸引ユニット50は、集塵ユニット60の後方に配置される。ファン51が気流を発生させると、集塵ユニット60からダクト52に向けて空気が流れる。
集塵ユニット60は、集塵ボックス61及び集塵フィルター62を有する。集塵ボックス61は、例えば下ケース22に対して着脱自在に形成される。集塵フィルター62は、ごみを捕捉するためのものである。集塵フィルター62は、集塵ボックス61の内部に、着脱自在に設けられる。
下ケース22に取り付けられた状態の集塵ボックス61は、接続管42の一端側に接続される。すなわち、接続管42の他端側に接続された吸込口体41は、接続管42を介して、集塵ボックス61に接続される。接続管42に接続された集塵ボックス61の内部の空間は、接続管風路42aに連通する。
使用者は、蓋23を開けることによって、集塵ボックス61をボディ20の上方へ取り外すことができる。また、使用者は、ボディ20から取り外された集塵ボックス61から、集塵フィルター62を取り外すことができる。これにより、使用者は、集塵ユニット60に捕集されたごみを捨てることができる。
以上のように構成された、清掃ユニット40、吸引ユニット50及び集塵ユニット60は、この発明の実施の形態1において、清掃対象エリア内の被清掃面上を清掃する清掃手段の一例である。
乾燥ユニット70は、吸引ユニット50の後方に配置される。乾燥ユニット70は、ヒーター71及びヒーターケース72を有する。ヒーター71は、ヒーターケース72の内部に保持される。ヒーターケース72は、ダクト52に接続される。
ヒーターケース72の底面には、温風出口73を有する温風出口カバー74が形成される。本実施の形態において、ヒーターケース72のこの底面は、自走式掃除機10の底面の一部となる。一例として温風出口カバー74は、下ケース22の底面22aより下側に突出する。温風出口カバー74には、温風出口カバー74の下端から後面に渡る孔が複数形成される。温風出口73は、この複数の孔で構成される。
本実施の形態においてファン51によってダクト52を流れた空気は、ヒーターケース72の内部へ送られる。ヒーターケース72の内部へ送られた空気は、ヒーター71によって加熱される。ヒーター71によって加熱された空気は、温風出口73及び温風出口カバー74の孔を介して、自走式掃除機10の外部へ送られる。このようにして自走式掃除機10は、温風を外部へ供給する。
ヒーター71は、例えばPTC特性をもつ発熱素子を使用した装置である。PTCとは、Positive Temperature Cofficientの略称である。PTCとは、正温度係数を意味する。ヒーター71は、自己の温度を制御する機能を有する。例えばヒーターケース72の内部へ送られる空気の量に応じて、ヒーター71の発熱素子の電気抵抗が変化する。ヒーターケース72の内部へ送られる空気の量に応じて、ヒーター71の温度が一定の範囲に保たれる。また、自走式掃除機10から供給される温風の温度が、一定の範囲に保たれる。これにより、自走式掃除機10は、過度に高温な温風を外部に供給することがない。
制御ユニット80及び電源ユニット90は、ボディ20の内部に配置される。制御ユニット80は、例えば吸引ユニット50の下方に配置される。電源ユニット90は、例えば集塵ユニット60の下方に配置される。電源ユニット90は、例えば下ケース22の底部に取り付けられる。電源ユニット90と制御ユニット80とは、互いに接続される。
電源ユニット90は、例えば蓄電池91、回路基板92及び電源ケース93を有する。回路基板92は、蓄電池91を制御する。回路基板92は、例えば蓄電池91から供給される電圧及び電流の値を制御する。また、回路基板92は、例えば蓄電池91の温度を制御する。回路基板92は、蓄電池91を保護する。電源ケース93は、蓄電池91及び回路基板92を収容するケースである。
また、電源ユニット90は、蓄電池91を充電するための充電端子94を有する。充電端子94は、下ケース22の底面22aから外部へ露出するように形成される。充電端子94は、外部の充電器に接続可能に形成される。蓄電池91には、充電端子94を介して、外部の充電器から電力が供給される。なお、充電端子94は、例えば外部の商用電源等に接続可能に形成されてもよい。
また、自走式掃除機10は、検出センサー81を備える。検出センサー81は、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係を検出するためのセンサーである。検出センサー81は、制御ユニット80に接続される。
図6は、実施の形態1の検出センサー81の斜視図である。検出センサー81は、赤外線発光部82と赤外線受光部83とを有する。赤外線発光部82と赤外線受光部83とは、被清掃面に対向するように配置される。赤外線発光部82は、被清掃面に向けて赤外光を発する。赤外線受光部83は、被清掃面で反射した赤外光を受ける。
赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、検出センサー81と被清掃面との位置関係によって変化する。例えば赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、検出センサー81と被清掃面とが近づくほど多くなる。また、赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、検出センサー81と被清掃面とが離れるほど少なくなる。
自走式掃除機10は、例えば6つの検出センサー81を備える。6つの検出センサー81は、例えば上カバー21の下端部に設けられる。6つの検出センサー81は、例えば水平面及び鉛直面に対して傾斜した状態で設けられる。6つの検出センサー81のうちの3つは、例えば上カバー21の下端部の前側部分に配置される。これら3つの検出センサー81は、例えばこの前側部分の中央と右寄りと左寄りとにそれぞれ配置される。同様に、例えば残りの3つの検出センサー81は、上カバー21の下端部の後側部分の中央と右寄りと左寄りとにそれぞれ配置される。本実施の形態において検出センサー81のうちの1つは、ボディ20の前端部に設けられている。
なお、検出センサー81の個数及び配置は、本実施の形態に限られない。検出センサー81は、被清掃面の状態が検出できる位置に設けられればよい。例えば検出センサー81は、下ケース22の底面に22a等に設けられてもよい。
このようにして、検出センサー81は、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係を検出することができる。ここで、清掃対象エリアが敷き蒲団、ベッド等の寝具である場合、寝具の端部では、寝具が置かれる床面等と寝具の上面との間で段差が生じる。このため、本体が清掃対象エリアの端にくると、被清掃面と自走式掃除機10との距離が大きく変化する。したがって、検出センサー81による被清掃面と自走式掃除機10との位置関係の検出結果からは、自走式掃除機10の本体が清掃対象エリアの端に達したことを判定することができる。すなわち、以上のように構成された検出センサー81は、この発明の実施の形態1において、自走式掃除機10の本体が前後進中に、本体が清掃対象エリアの端に達したことを検出するエリア端検出手段の一例である。
図7は、実施の形態1の制御ユニット80の機能を示すブロック図である。制御ユニット80は、検出センサー81に接続される。制御ユニット80は、例えば駆動ユニット30の車輪用モーター32、清掃ユニット40のアジテーター用モーター47、吸引ユニット50のファン51及び乾燥ユニット70のヒーター71に接続される。制御ユニット80は、車輪用モーター32、アジテーター用モーター47、ファン51及びヒーター71を制御する。
制御ユニット80は、車輪用モーター32、アジテーター用モーター47、ファン51及びヒーター71を制御するための回路を有する。この回路には、電源ユニット90から電力が供給される。また、車輪用モーター32、アジテーター用モーター47、ファン51及びヒーター71には、制御ユニット80の回路を介し、電源ユニット90から電力が供給される。
検出センサー81は、例えば赤外線受光部83が受けた赤外光の量に応じた信号を制御ユニット80へ送る。制御ユニット80は、検出センサー81から送られた信号に基づいて、被清掃面に対する自走式掃除機10の位置を判定する。制御ユニット80は、判定した結果に応じて車輪用モーター32、アジテーター用モーター47、ファン51及びヒーター71を制御する。自走式掃除機10は、車輪用モーター32、アジテーター用モーター47、ファン51及びヒーター71が駆動することによって、対象物の清掃及び乾燥を行う。自走式掃除機10によって清掃及び乾燥される対象物には、例えば敷き蒲団及び掛け蒲団が含まれる。
上述したように、吸込口体41は、ボディ20の下ケース22に対し、上下方向及び左右方向に回動可能である。本実施の形態において、ボディ20、駆動ユニット30、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80、電源ユニット90及び検出センサー81は、自走式掃除機10の本体の一例である。以下、ボディ20、駆動ユニット30、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80、電源ユニット90及び検出センサー81をまとめて、単に「本体」とも呼称する。本実施の形態において吸込口体41は、本体に対して回動可能である。
自走式掃除機10の本体の上面は、山型の三次元曲面である。また、吸込口体41の底面に形成された吸込口43は、本体の底面よりも上方にある。温風出口カバー74は、本体の底面に形成されている。
自走式掃除機10の本体は、駆動ユニット30によって前後進及び左右旋回することができる。すなわち、この発明の実施の形態1において、駆動ユニット30は、自走式掃除機10の本体を前後進及び左右旋回させる移動手段の一例である。ここで、前述したように、駆動ユニット30は、左右1対あり、すなわち左右に1つずつ設けられている。したがって、車輪31も本体の左右に設けられている。本体を前後進させる場合、左右の車輪31の両方を同方向に同じ回転速度で回転させる。
また、本体を左右に旋回させる場合、例えば、以下の3つの方法が考えられる。まず、1つめは、いわゆる信地旋回である。すなわち、左右の車輪31の一方を停止して、他方を回転させる。次に、2つめは、いわゆる超信地旋回である。すなわち、左右の車輪31の両方を反対方向に同じ回転速度で回転させる。そして、3つめは、いわゆる緩旋回である。すなわち、左右の車輪31の両方を同方向に異なる回転速度で回転させる。これら3つの旋回方法のうち、どれを用いてもよい。ただし、超信地旋回を用いることで、本体の中心の位置を保ったまま、本体の向きだけを変えることができる。
以上のように構成された制御ユニット80は、この発明の実施の形態1において、前述の移動手段及び前述の清掃手段を制御する制御手段の一例である。制御手段である制御ユニット80は、自走式掃除機10が、第1の工程と第2の工程とを実行するように、前述の移動手段及び前述の清掃手段を制御する。第1の工程は、自走式掃除機10の本体が初期位置から清掃基準位置まで移動する工程である。第2の工程は、自走式掃除機10の本体が清掃基準位置から移動しながら清掃対象エリア内の清掃を行う工程である。初期位置は、第1の工程を開始する際の自走式掃除機10の位置である。清掃基準位置は、第2の工程を開始する際の自走式掃除機10の位置である。第2の工程において、自走式掃除機10は、この清掃基準位置を基準にして清掃対象エリア内の清掃を行う。
また、制御手段である制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体が中点検出動作を行うように前述の移動手段を制御可能である。中点検出動作とは、清掃対象エリアの2か所の端部間の中点に自走式掃除機10の本体を移動させる動作である。中点検出動作は、具体的に例えば、以下の3つの動作からなる。
まず、現在位置から前述のエリア端検出手段により本体が清掃対象エリアの端に達したことが検出されるまで本体を前方及び後方の一方の方向に進行させる。具体的に例えば、エリア端検出手段により本体が清掃対象エリアの端に達したことが検出されるまで本体を前進させる。
次に、前述のエリア端検出手段により本体が清掃対象エリアの端に達したことが再び検出されるまで本体を前方及び後方の他方の方向に進行させる。具体的に例えば、前述のエリア端検出手段により本体が清掃対象エリアの端に達したことが再び検出されるまで本体を後進させる。
そして、前述のエリア端検出手段により前述の本体が前述の清掃対象エリアの端に達したことが中点検出動作の開始後に最初に検出されてから次に検出されるまでの前述の本体の移動距離の半分だけ前述の本体を前方及び後方の前記一方の方向に進行させる。具体的に例えば、本体を前進させて清掃対象エリアの端に達してから、本体を後進させて清掃対象エリアの別の端に達するまでの移動距離の半分だけ、本体を再度前進させる。
このような3つの動作を続けて行うことで、自走式掃除機10の本体は、清掃対象エリアの2か所の端部間の中点、すなわち、清掃対象エリアの2か所の端部を結ぶ直線上にあり、かつ、これら2か所の端部から等距離にある点に移動する。
このような中点検出動作の具体例においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体の移動距離を検出する必要がある。この本体の移動距離の検出方法としては、例えば、次の2つの方法が考えられる。1つめは、駆動ユニット30の車輪31の回転量に基づいて、本体の移動距離を検出する方法である。この方法では、本体の移動中における車輪31の回転回数と車輪31の周長とを乗じることで、本体の移動距離を求めることができる。
なお、車輪31の周長は不変であるため、本体の移動距離は車輪31の回転回数のみに比例する。よって、本体の移動距離は車輪31の回転回数で表すことができる。つまり、前述の中点検出動作の具体例では、本体を前進させて清掃対象エリアの端に達してから、本体を後進させて清掃対象エリアの別の端に達するまでの車輪31の回転回数を検出し、この際の車輪31の回転回数の1/2だけ本体を再度前進させる。このように、1つめの例では、制御手段は、本体の前後進中における移動手段の車輪31の回転量に基づいて、本体の移動距離を検出する。
2つめは、本体の前後進の経過時間に基づいて、本体の移動距離を検出する方法である。この方法では、本体の前後進の速度と経過時間とを乗じることで、本体の移動距離を求めることができる。なお、本体の前後進の速度を一定にすれば、本体の移動距離は前後進の継続時間のみに比例する。この場合には、本体の移動距離は前後進の継続時間で表すことができる。つまり、前述の中点検出動作の具体例では、本体を前進させて清掃対象エリアの端に達してから、本体を後進させて清掃対象エリアの別の端に達するまでの本体の後進時間を検出し、この際の後進時間の1/2だけ本体を再度前進させる。
この実施の形態1においては、制御手段である制御ユニット80は、前述した第1の工程において、1回目の中点検出動作の後に本体を90度旋回させてから、2回目の中点検出動作を行わせる。すなわち、第1の工程開始時の初期位置から、まず、1回目の中点検出動作を行い、次に、本体を90度旋回させた後に2回目の中点検出動作を行った結果として本体のある位置が、前述した清掃基準位置となる。
この第1の工程における本体の旋回角度の制御は、例えば、駆動ユニット30の車輪31の回転量を制御することで行うことができる。または、図7に示すように、自走式掃除機10は、ジャイロセンサー84をさらに備えてもよい。そして、制御手段である制御ユニット80は、本体を旋回させる際にジャイロセンサー84の検出結果を用いて前述の移動手段を制御するようにしてもよい。このようにすることで、より高精度の旋回が可能になる。なお、本体の旋回角度の制御は、本体の回転の継続時間すなわち車輪31の回転時間を制御することによっても行うことができる。このようにすることで、ジャイロセンサー84の検出結果及び車輪31の回転量のいずれも用いることなく、本体の旋回角度を制御可能となり、本体の構成を簡潔にすることができる。
次に、図8及び図9のフロー図を参照しながら、この発明の実施の形態1に係る自走式掃除機10の第1の工程の動作の流れについて説明する。第1の工程を開始すると、まず、ステップS101において、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を前進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる。
続くステップS102において、制御ユニット80は、本体が清掃対象エリアの端(以下、清掃対象エリアの「前端」という)に達したことが検出センサー81により検出されたか否かを確認する。本体が前端に達したことが検出センサー81により検出されない場合、処理はステップS101へと戻る。一方、本体が前端に達したことが検出センサー81により検出された場合、処理はステップS103へと進む。
ステップS103においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を後進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を逆転させる。ステップS103の後、処理はステップS104へと進む。
ステップS104においては、制御ユニット80は、車輪31の回転量を計測する。なお、車輪31の回転量の計測は、本体の後進中において常時行う。ステップS104の後、処理はステップS105へと進む。
ステップS105においては、制御ユニット80は、本体が清掃対象エリアの端(以下、清掃対象エリアの「後端」という)に達したことが検出センサー81により検出されたか否かを確認する。本体が後端に達したことが検出センサー81により検出されない場合、処理はステップS103へと戻る。一方、本体が後端に達したことが検出センサー81により検出された場合、処理はステップS106へと進む。
ステップS106においては、制御ユニット80は、ステップS103で本体が後進を開始してから後端に達したことが検出センサー81により検出されるまでの車輪31の回転量を記憶する。ステップS106の後、処理はステップS107へと進む。
ステップS107においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を前進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる。ステップS107の後、処理はステップS108へと進む。
ステップS108においては、制御ユニット80は、車輪31の回転量を計測する。なお、車輪31の回転量の計測は、本体の前進中において常時行う。ステップS108の後、処理はステップS109へと進む。
ステップS109においては、制御ユニット80は、ステップS107で本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、ステップS106で記憶した後進時の車輪31の回転量の1/2以上となったか否かを確認する。本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上でない場合、処理はステップS107へと戻る。一方、本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上になった場合、処理はステップS110へと進む。
ステップS110においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を90度だけ超信地旋回させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右の車輪31を互いに反転方向に回転させる。ステップS110の後、処理は図9に示すステップS111へと進む。
図9に示すステップS111からステップS119の処理は、2回目の中点検出動作である。ステップS111からステップS119の各処理は、これまでに説明した図8に示すステップS101からステップS109の各処理と、それぞれ同じである。ステップS111からステップS119の各処理については、その説明を省略する。なお、ステップS119で、本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上になった場合、第1の工程に係る一連の処理は終了となる。
次に、図10から図12を参照しながら、以上のように構成された自走式掃除機10の第1の工程での動作例について説明する。これらの図10から図12は、第1の工程における本体の清掃対象エリア内での移動経路の例を示すものである。図10から図12では、第1の工程開始時の初期位置を白丸で示している。また、第1の工程終了時の清掃基準位置を黒丸で示している。1回目の中点検出動作における本体の移動経路は、実線Y1で示している。そして、2回目の中点検出動作における本体の移動経路を、破線Y2で示している。
これらの図10から図12は、清掃対象エリアとして寝具等の長方形のエリアを想定したものである。図10から図12の例では、いずれも、初期位置が、清掃対象エリア内における紙面上の左下であって、比較的エリア端部に近い位置である。すなわち、これら3つの例では、初期位置は同じ位置である。
一方、これらの3つ例では、初期位置における自走式掃除機10の本体の向きがそれぞれ異なっている。すなわち、図10に示す第1の例では、紙面上の右側の長辺にあたる清掃対象エリアの端部とのなす角が、他の2つの例と比較して直角に近い角度で進行する向きに置かれている。また、図12に示す第3の例では、紙面上の右側の長辺にあたる清掃対象エリアの端部とのなす角が、他の2つの例と比較して鋭角の小さい角度で進行する向きに置かれている。なお、図11に示す第2の例は、これら第1の例と第3の例の中間の角度である。
これらの図10から図12に示す例から分かるように、初期位置における本体の向きによらず、第1の工程終了時に本体がある清掃基準位置は、第1の工程開始時の初期位置よりも清掃対象エリアの中心に近い。また、ここでは具体的な例示は省略するが、清掃対象エリア内であれば、どのような初期位置であっても第1の工程の終了時には、初期位置よりも清掃対象エリアの中心に近い位置に本体がある(ただし、例外として初期位置がちょうど清掃対象エリアの中心の場合には、清掃基準位置は初期位置と同じ清掃対象エリアの中心になる)。
以上のように構成された、この発明の実施の形態1に係る自走式掃除機10は、清掃対象エリアの清掃を行う第2の工程の前に、本体を初期位置から清掃基準位置へと移動させる第1の工程を実施する。そして、第1の工程では、清掃対象エリアの2か所の端部間の中点に本体を移動させる中点検出動作を1回行った後に本体を90度旋回させてから、2回目の中点検出動作を行わせることで、本体を初期位置から清掃基準位置まで移動させる。
このため、初期位置よりも清掃対象エリアの中心に近い清掃基準位置に本体を移動させてから第2の工程を開始することができるので、清掃対象エリアの中心を重点的に清掃することが可能であり、より効率的な清掃を行うことができる。具体的に例えば、清掃対象エリアの中心を基点として、端部まで移動した後に基点へと戻り、基点で旋回して進行方向を変更した上で再び端部と基点との間を往復する。このような往復動作を繰り返すことで、清掃対象エリアの中心を重点的に清掃することができる。
特に、清掃対象エリアが寝具である場合、寝具の使用者は寝具の中央で寝ることが多いため、寝具の中央に近い箇所の方が端部に近い箇所よりも汚れていると考えられる。したがって、とりわけ寝具を清掃する際に寝具の汚れを効率的に清掃することができる。
また、清掃対象エリアが部屋の場合も、部屋の中央の方が使用者が通過する頻度も高く、使用者の滞在時間が長いと考えられる。したがって、清掃対象エリアが部屋であっても、効率的な清掃という面で一定の効果を期待することができる。
なお、制御ユニット80は、第1の工程を開始してから予め設定された基準時間以上の時間が経過しても第1の工程が終了しない場合に、第1の工程を最初からやり直させるようにしてもよい。このようにすることで、何らかの事情で第1の工程が終了せず、本体が清掃基準位置まで移動できなかった場合であっても、第1の工程を最初からリトライし、第1の工程を終了させる可能性を向上させることができる。
第2の工程は、前述したように、清掃対象エリア内の清掃を行う工程である。このため、第2の工程においては、制御ユニット80は前述の清掃手段を動作させる。これに対し、第1の工程においては、前述の清掃手段を動作させてもよいし、動作させなくてもよい。制御ユニット80が第1の工程において前述の清掃手段を動作させた場合、初期位置から清掃基準位置に移動するまでの間にも、被清掃面の清掃を行うことができる。一方、制御ユニット80が第1の工程において前述の清掃手段を動作させない場合、初期位置から清掃基準位置に移動するまでは、前述の清掃手段を動作させないことで消費電力量を低減し、蓄電池91を長持ちさせることができる。
また、第1の工程と第2の工程とで、本体の移動速度を異なるようにしてもよい。すなわち、制御手段である制御ユニット80は、第1の工程における本体の移動速度が第1の速度になるように前述の移動手段を制御する。そして、制御ユニット80は、第2の工程における本体の移動速度が第2の速度になるように前述の移動手段を制御する。第2の速度は、前述の第1の速度とは、異なる速度である。特に、前述の第1の速度は、前述の第2の速度より速くするとよい。このようにすることで、初期位置から清掃基準位置まで短時間で本体を移動させて、より早く第2の工程での清掃を開始させることができる。
実施の形態2.
図13から図18は、この発明の実施の形態2に係るもので、図13から図15は自走式掃除機の第1の工程の動作の流れの一例を示すフロー図、図16から図18は自走式掃除機の第1の工程を説明するそれぞれ第1の例、第2の例及び第3の例の図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、第1の工程で2回目の中点検出動作の後に、さらに45度旋回して3回目の中点検出動作を行うようにしたものである。以下、この実施の形態2に係る自走式掃除機について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
この発明の実施の形態2に係る自走式掃除機10においては、実施の形態1と同様に、制御手段である制御ユニット80は、自走式掃除機10が、第1の工程と第2の工程とを実行するように、前述の移動手段及び前述の清掃手段を制御する。第1の工程は、自走式掃除機10の本体が初期位置から清掃基準位置まで移動する工程である。第2の工程は、自走式掃除機10の本体が清掃基準位置から移動しながら清掃対象エリア内の清掃を行う工程である。初期位置は、第1の工程を開始する際の自走式掃除機10の位置である。清掃基準位置は、第2の工程を開始する際の自走式掃除機10の位置である。
また、実施の形態1と同じく、制御手段である制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体が中点検出動作を行うように前述の移動手段を制御可能である。中点検出動作とは、清掃対象エリアの2か所の端部間の中点に自走式掃除機10の本体を移動させる動作である。中点検出動作の具体例も実施の形態と同様である。
この実施の形態2においては、制御手段である制御ユニット80は、前述した第1の工程において、1回目の中点検出動作の後に本体を90度旋回させてから、2回目の中点検出動作を行わせた後、さらに、本体を45度旋回させてから、3回目の中点検出動作を行う。すなわち、第1の工程開始時の初期位置から、まず、1回目の中点検出動作を行い、次に、本体を90度旋回させた後に2回目の中点検出動作を行い、さらに、本体を45度旋回させた後に3回目の中点検出動作を行った結果として本体のある位置が、清掃基準位置となる。
次に、図13から図15のフロー図を参照しながら、この発明の実施の形態2に係る自走式掃除機10の第1の工程の動作の流れについて説明する。第1の工程を開始すると、まず、ステップS201において、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を前進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる。
続くステップS202において、制御ユニット80は、本体が清掃対象エリアの端(以下、清掃対象エリアの「前端」という)に達したことが検出センサー81により検出されたか否かを確認する。本体が前端に達したことが検出センサー81により検出されない場合、処理はステップS201へと戻る。一方、本体が前端に達したことが検出センサー81により検出された場合、処理はステップS203へと進む。
ステップS203においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を後進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を逆転させる。ステップS203の後、処理はステップS204へと進む。
ステップS204においては、制御ユニット80は、車輪31の回転量を計測する。なお、車輪31の回転量の計測は、本体の後進中において常時行う。ステップS204の後、処理はステップS205へと進む。
ステップS205においては、制御ユニット80は、本体が清掃対象エリアの端(以下、清掃対象エリアの「後端」という)に達したことが検出センサー81により検出されたか否かを確認する。本体が後端に達したことが検出センサー81により検出されない場合、処理はステップS203へと戻る。一方、本体が後端に達したことが検出センサー81により検出された場合、処理はステップS206へと進む。
ステップS206においては、制御ユニット80は、ステップS203で本体が後進を開始してから後端に達したことが検出センサー81により検出されるまでの車輪31の回転量を記憶する。ステップS206の後、処理はステップS207へと進む。
ステップS207においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を前進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる。ステップS207の後、処理はステップS208へと進む。
ステップS208においては、制御ユニット80は、車輪31の回転量を計測する。なお、車輪31の回転量の計測は、本体の前進中において常時行う。ステップS208の後、処理はステップS209へと進む。
ステップS209においては、制御ユニット80は、ステップS207で本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、ステップS206で記憶した後進時の車輪31の回転量の1/2以上となったか否かを確認する。本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上でない場合、処理はステップS207へと戻る。一方、本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上になった場合、処理はステップS210へと進む。
ステップS210においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を90度だけ超信地旋回させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右の車輪31を互いに反転方向に回転させる。ステップS210の後、処理は図9に示すステップS211へと進む。
図14に示すステップS211からステップS219の処理は、2回目の中点検出動作である。ステップS211からステップS219の各処理は、これまでに説明した図8に示すステップS201からステップS209の各処理と、それぞれ同じである。ステップS211からステップS219の各処理については、その説明を省略する。そして、ステップS219で、本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上になった場合、処理はステップS220へと進む。
ステップS220においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を45度だけ超信地旋回させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右の車輪31を互いに反転方向に回転させる。ステップS220の後、処理は図15に示すステップS221へと進む。
図15に示すステップS221からステップS229の処理は、3回目の中点検出動作である。ステップS221からステップS229の各処理は、これまでに説明した図13に示すステップS201からステップS209の各処理と、それぞれ同じである。また、ステップS221からステップS229の各処理は、これまでに説明した図14に示すステップS211からステップS219の各処理とも、それぞれ同じである。ステップS221からステップS229の各処理については、その説明を省略する。なお、ステップS229で、本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上になった場合、第1の工程に係る一連の処理は終了となる。
他の構成及び動作については実施の形態1と同様であり、ここでは、その説明を省略する。
次に、図16から図18を参照しながら、以上のように構成された自走式掃除機10の第1の工程での動作例について説明する。これらの図16から図18は、第1の工程における本体の清掃対象エリア内での移動経路の例を示すものである。図16から図18では、第1の工程開始時の初期位置を白丸で示している。また、第1の工程終了時の清掃基準位置を黒丸で示している。1回目の中点検出動作における本体の移動経路は、実線Y1で示している。2回目の中点検出動作における本体の移動経路は、破線Y2で示している。そして、3回目の中点検出動作における本体の移動経路を、一線鎖線Y3で示している。
これらの図16から図18は、清掃対象エリアとして寝具等の長方形のエリアを想定したものである。図16から図18の例では、いずれも、初期位置が、清掃対象エリア内における紙面上の左下であって、比較的エリア端部に近い位置である。すなわち、これら3つの例では、初期位置は同じ位置である。
一方、これらの3つ例では、初期位置における自走式掃除機10の本体の向きがそれぞれ異なっている。すなわち、図16に示す第1の例では、紙面上の右側の長辺にあたる清掃対象エリアの端部とのなす角が、他の2つの例と比較して直角に近い角度で進行する向きに置かれている。また、図18に示す第3の例では、紙面上の右側の長辺にあたる清掃対象エリアの端部とのなす角が、他の2つの例と比較して鋭角の小さい角度で進行する向きに置かれている。なお、図17に示す第2の例は、これら第1の例と第3の例の中間の角度である。
これらの図16から図18に示す例から分かるように、初期位置における本体の向きによらず、第1の工程終了時に本体がある清掃基準位置は、第1の工程開始時の初期位置よりも清掃対象エリアの中心に近い。また、ここでは具体的な例示は省略するが、清掃対象エリア内であれば、どのような初期位置であっても第1の工程の終了時には、初期位置よりも清掃対象エリアの中心に近い位置に本体がある(ただし、例外として初期位置がちょうど清掃対象エリアの中心の場合には、清掃基準位置は初期位置と同じ清掃対象エリアの中心になる)。
また、実施の形態2に係る図16から図18に示す各例の清掃基準位置は、実施の形態1に係る図10から図12に示す各例の清掃基準位置と比較して、清掃対象エリアの中心からの距離がほぼ同等か近くなっている。特に、図17の例は、図11の例と初期位置が同じであるにもかかわらず、清掃基準位置が清掃対象エリアの中心から大幅に近い位置になっている。
以上のように構成された自走式掃除機は、実施の形態1の構成において、第1の工程で2回目の中点検出動作の後に、さらに45度旋回して3回目の中点検出動作を行って、本体を初期位置から清掃基準位置まで移動させるようにしたものである。このため、実施の形態1と同様の効果を奏することができるのに加えて、さらに、清掃基準位置を清掃対象エリアの中心に近い位置とする可能性を高めることができる。したがって、清掃対象エリアの中心にさらに近い清掃基準位置に本体を移動させてから第2の工程を開始することができるので、清掃対象エリアの中心を重点的に清掃することが可能であり、より効率的な清掃を行うことができる。