以下、添付の図面を参照して、実施の形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。本開示では、重複する説明については適宜に簡略化または省略する。なお、本開示は、以下の実施の形態で開示される構成のあらゆる組み合わせを含み得るものである。
実施の形態1
図1から図20は、実施の形態1に係るもので、図1は自走式掃除機の平面図、図2は自走式掃除機の底面図、図3から図6は自走式掃除機の縦断面図、図7は寝具S上等の軟質の清掃対象エリア上に設置された自走式掃除機の縦断面図、図8はフローリングF等の硬質の清掃対象エリア上に設置された自走式掃除機の縦断面図、図9は自走式掃除機の正面図、図10は自走式掃除機が備える駆動ユニットの斜視図、図11は自走式掃除機が備えるモーターの斜視図、図12は自走式掃除機が備えるアジテーターの斜視図、図13は自走式掃除機が備える被清掃面検出センサーの斜視図、図14は自走式掃除機の制御系統の構成を示すブロック図、図15及び図16は自走式掃除機の第1工程の流れの一例を示すフロー図、図17から図20は自走式掃除機の第1工程を説明するそれぞれ第1の例、第2の例、第3の例及び第4の例の図、図27は第1の異常距離検出に係る自走式掃除機の制御を説明するフロー図、図28は第2の異常距離検出に係る自走式掃除機の制御を説明するフロー図である。以下の説明では、原則として、自走式掃除機10が水平面に置かれた状態を基準として方向を定義する。
図1の平面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を上方向から見た図である。図1における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。自走式掃除機10の進行方向は、この前方向である。また、図1における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。自走式掃除機10は、例えばこの後方向に向けて後退する。すなわち自走式掃除機10は、前方及び後方に移動する。また、図1における紙面上の上下方向を、自走式掃除機の右左方向とする。
図2の底面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を下方向から見た図である。図2における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。図2における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。図2における紙面上の上下方向を、自走式掃除機10の左右方向とする。
図3の縦断面図は、図1及び図2に示す自走式掃除機10のA-A線での断面を示す。図3の縦断面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10の縦方向に沿った断面を側方から見た図である。図3における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。図3における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。図3における紙面上の上下方向は、自走式掃除機10の上下方向に対応する。
図4の縦断面図は、図1及び図2におけるD-D線での自走式掃除機10の断面を示す。また、図5及び図6の縦断面図は、図1及び図2におけるE-E位置での自走式掃除機10の断面を示す。図4、図5及び図6の縦断面図は、図3と同様、水平面に置かれた自走式掃除機10の縦方向に沿った断面を側方から見た図である。
図7の縦断面図は図1及び図2に示す自走式掃除機10のD-D線での断面を示す。図7の縦断面図は、寝具S上の水平面に置かれた自走式掃除機10の縦方向に沿った断面を側方から見た図である。図7における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。図7における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。図7における紙面上の上下方向は、自走式掃除機10の上下方向に対応する。
図8の縦断面図は図1及び図2に示す自走式掃除機10のD-D線での断面を示す。図8の縦断面図は、フローリングF上に置かれた自走式掃除機10の縦方向に沿った断面を側方から見た図である。図8における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。図8における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。図8における紙面上の上下方向は、自走式掃除機10の上下方向に対応する。
図9の正面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を前方から見た図である。図9における紙面上の上下方向を、上下方向とする。図9における紙面上の左右方向は、自走式掃除機10の右左方向に対応する。
自走式掃除機10は、清掃対象エリア内を自走して、清掃対象エリア内を清掃する装置である。実施の形態1では、自走式掃除機10は、清掃対象エリアが寝具Sの上面である場合を例に挙げて説明する。
実施の形態1に係る自走式掃除機10は、ボディ20を備える。ボディ20は、自走式掃除機10の外枠を形成する部位である。ボディ20には、自走式掃除機10に備えられた各種の機器が設けられる。
自走式掃除機10は、例えば、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60及び乾燥ユニット70を備える。駆動ユニット30は、ボディ20及びボディ20に設けられた機器を移動させるためのものである。ボディ20が本体を構成する。
清掃ユニット40は、清掃対象エリアのごみを取り込む部位である。清掃対象エリアとは、自走式掃除機10によって掃除される面を意味する。清掃ユニット40によって取り込まれるごみには、例えば塵埃が含まれる。清掃対象エリアには、例えば室内の床面及び室内に敷かれた寝具Sの上面等が含まれる。
吸引ユニット50は、空気とともにごみを吸引するための部位である。清掃ユニット40は、吸引ユニット50が動作することによってごみを取り込む。集塵ユニット60は、清掃ユニット40によって取り込まれたごみを捕集する部位である。また、集塵ユニット60からは、空気が排出される。乾燥ユニット70は、集塵ユニット60から排出された空気を加熱するためのものである。乾燥ユニット70によって加熱された高温の空気は、自走式掃除機10の外部へ供給される。
また、自走式掃除機10は、例えば制御ユニット80及び電源ユニット90を備える。制御ユニット80は、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50及び乾燥ユニット70を制御する。電源ユニット90は、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、乾燥ユニット70及び制御ユニット80に電力を供給する。
ボディ20には、一例として上カバー21と下ケース22とが含まれる。ボディ20は、例えば上カバー21と下ケース22とが結合することによって形成される。上カバー21は、ボディ20の上側部分を形成する。下ケース22は、ボディ20の下側部分を形成する。
上カバー21は、例えばボディ20の内部に備えられた機器を上方から覆うように配置される。また、下ケース22は、自走式掃除機10が使用される際に下ケース22の底面22aが清掃対象エリアに対向するように設けられる。本実施の形態において下ケース22の底面22aは、ボディ20の底面である。また、底面22aは、自走式掃除機10の底面の一部となる。すなわち水平面に置かれた自走式掃除機10の底面は、水平面に対向する。
なお、上カバー21と下ケース22とは、例えば一体的に形成されてもよい。ボディ20は、例えば単一の部材によって形成されてもよい。また、ボディ20の底面は、上カバー21の底面であってもよい。
上カバー21を上方から見た形状は、図1に示すように、例えば矩形状の四隅を円弧状にした形状である。なお、上カバー21を上方から見た形状は、例えば真円形状又は楕円形状等であってもよい。
ボディ20の上側部分を形成する上カバー21は、自走式掃除機10の上部を形成する。上カバー21の上面21aは、自走式掃除機10の上面となる。上カバー21は、上面21aが山型の三次元曲面になるように形成される。すなわち自走式掃除機10の上面は山型の三次元曲面である。上カバー21のうちの上面21aの中央21bを含む一定範囲のエリアは、底面22aが水平面に対向している状態で、このエリアの周囲よりも高くなる。
また、上面21aには、上面前部21c及び上面後部21dが含まれる。上面前部21cは、上カバー21の前端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面後部21dは、上カバー21の後端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面前部21cは、ボディ20の進行方向の端部から一定の範囲に渡って形成される第1部分の一例である。また、上面後部21dは、ボディ20の進行方向の反対方向の端部から一定の範囲に渡って形成される第2部分の一例である。
図3に示すように自走式掃除機10を側方から見た時、上面前部21cの稜線は、上面後部21dの稜線よりも緩やかに傾斜する。例えば、自走式掃除機10を側方から見た時、上面前部21cの稜線を近似した直線と水平面とがなす角度は、上面後部21dの稜線を近似した直線と水平面とがなす角度よりも小さくなる。本実施の形態において自走式掃除機10の前側部分は、自走式掃除機10の後側部分に比べて、水平面に対して緩やかに傾斜する。また、図49に示すように自走式掃除機10を前方から見た時、上面21aは左右対称に形成される。
上面21aには、上面左部21e及び上面右部21fが含まれる。図9に示すように、上面左部21eは、上カバー21の左端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面右部21fは、上カバー21の右端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面左部21e及び上面右部21fは、水平面に対し、上面後部21dと同様に傾斜する。すなわち上面前部21cは、水平面に対し、上面左部21e及び上面右部21fに比べて緩やかに傾斜する。本実施の形態において自走式掃除機10の前側部分は、自走式掃除機10の右側部分及び左側部分に比べて、水平面に対して緩やかに傾斜する。
上カバー21は、一例として開閉可能な蓋23を有する。蓋23は、上カバー21の上部を形成する。上カバー21の中央21bは、この蓋23に含まれる。蓋23の上面は、例えば平坦な面であってもよい。すなわち上面21aのうち中央21bを含む一定範囲のエリアは、平坦な面であってもよい。なお、上カバー21には、平坦な面が含まれていなくてもよい。例えば上カバー21は、例えば中央21bが最も高くなるように形成されてもよい。
本実施の形態の駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80及び電源ユニット90は、ボディ20に取り付けられる。駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80及び電源ユニット90は、一例として下ケース22に収容される。
駆動ユニット30は、自走式掃除機10が移動するための移動手段の一例である。自走式掃除機10は、例えば1対の駆動ユニット30を備える。1対の駆動ユニット30は、下ケース22の左側面と右側面とにそれぞれ取り付けられる。1対の駆動ユニット30は、それぞれが左右対称な位置になるように配置される。
車輪用モーター32は、車輪31が回転するための動力を供給する。車輪31と車輪用モーター32とは、車輪用ギヤ33を介して接続される。車輪用ギヤ33は、車輪用モーター32によって供給される動力を車輪31へ伝達する。車輪用ギヤ33は、車輪31の回転数が適切になるように、車輪用モーター32の回転数を変換する。
車輪31、車輪用モーター32及び車輪用ギヤ33は、ハウジング34に収容される。車輪31は、ハウジング34内で回動可能に支持される。また、車輪31の下端は、図3に示すように、下ケース22の底面22aよりも下方に向けて突出する。すなわち車輪31のこの下端は、例えば清掃対象エリアが水平面である場合、底面22aよりもこの清掃対象エリアに近づく。
車輪31は、図3に示すように、例えば上下方向に移動可能に設けられてもよい。車輪31は、例えば清掃対象エリアの状態に応じて上下方向に移動する。例えば清掃対象エリアが布団の上面である場合、車輪31は、この布団が柔らかいほど下方へ突出する。また、自走式掃除機10は、図示しない調節部を備えても良い。この調節部は、底面22aを基準とした車輪31の突出量を調節するものである。また、車輪31の外周には、清掃対象エリアに対する車輪31の滑りを抑制する軟質材料が設けられてもよい。
また、本実施の形態の自走式掃除機10は、異物侵入検出センサー35を備える。異物侵入検出センサー35は、車輪31に巻き込まれた異物を検出するものである。異物侵入検出センサー35は、移動手段の一例である駆動ユニット30への異物の侵入を検出する異物侵入検出手段の一例である。異物侵入検出センサー35は、例えば、機械式スイッチ等によって構成される。
異物侵入検出センサー35は、左右の駆動ユニット30に、それぞれ、1対ずつ設けられる。異物侵入検出センサー35は、ハウジング34から突出する車輪31と当該ハウジング34との境界部に設けられる。異物侵入検出センサー35は、車輪31を前後方向から挟んで対向するように設けられる。異物侵入検出センサー35は、車輪31に対して、自走式掃除機10の進行方向の一側と他側との両側に設けられている。
異物侵入検出センサー35は、スイッチ部35a及びレバー35bを備える。レバー35bは、スイッチ部35aに一端側を軸支される。レバー35bに上方向の力が加わると、当該レバー35bの軸支されていない他端側が回動する。これにより、スイッチ部35aのスイッチ回路が短絡される。レバー35bは、当該レバー35bに力が加わらない状態では水平位置に復元されるように付勢されている。レバー35bは、回動する他端側が車輪31に近接するように設けられる。また、レバー35bの回動する他端側の先端面は曲面になっている。
車輪31、車輪用モーター32及び車輪用ギヤ33は、ハウジング34内で一体となって回動可能に構成される。車輪31、車輪用モーター32及び車輪用ギヤ33は、回動軸36を中心に回動する。車輪31、車輪用モーター32及び車輪用ギヤ33が回動すると、車輪31の底面22aからの突出量が変わる。駆動ユニット30及び異物侵入検出センサー35は、車輪31の突出量に依らず、車輪31と異物侵入検出センサー35のレバー35bとが近接するように構成される。一例として、異物侵入検出センサー35は、車輪31と異物侵入検出センサー35のレバー35bとの距離が2ミリメートルから4ミリメートルの範囲に収まるように設置される。
また、車輪用ギヤ33の前部には、複数の調節穴33aが形成されている。ハウジング34は、底面側にガイド部37を有する。このガイド部37には、ストッパー38がスライド可能に設けられる。ストッパー38は、水平方向にスライド可能であるが、ガイド部37に規制されることによって上下方向には動かない。
ストッパー38は、先端部が調節穴33aに嵌合するように構成されている。ストッパー38の先端部が調節穴33aに嵌合すると、車輪用ギヤ33の上下方向の回動が規制される。ストッパー38の調節穴33aに嵌合する先端部の反対側、すなわち前方側には、バネ39が設けられる。ストッパー38は、このバネ39によって、後方側に付勢される。ストッパー38は、バネ39によって付勢されることで、通常時は、調節穴33aに嵌合した状態となる。
自走式掃除機10が寝具S上を清掃する場合、車輪31の底面22aからの突出量は、寝具Sの柔らかさに応じて調節されるとよい。これにより、自走式掃除機10と寝具Sとの距離を適切に保ちつつ、車輪31の駆動力を効率よく敷き布団に伝えることができる。
図5の断面図は、車輪31の底面22aからの突出量が最小の状態を示している。また、図6の断面図は、車輪31の底面22aからの突出量が最大の状態を示している。使用者は、ストッパー38を前方側にスライドさせて車輪用ギヤ33との嵌合を解除した状態で車輪31を上下方向に回動させることで、車輪31の底面22aからの突出量を変えることができる。複数の調節穴33aは、回動軸36を中心とする円弧に沿って配列されている。すべての調節穴33aは、ストッパー38に同じ程度の力で嵌合可能に構成される。本実施の形態における調節穴33a及びストッパー38は、駆動体の一例である車輪31の突出量を調節する突出量調節手段の一例である。
清掃ユニット40は、ボディ20内に配置される。清掃ユニット40は、吸込口体41及び接続管42を有する。吸込口体41は、下ケース22の前方に配置される。接続管42は、管状の部材である。接続管42の一端側は、下ケース22に取り付けられる。接続管42の他端側は、吸込口体41に接続される。
吸込口体41の内部には、吸込口体風路41aが形成される。また、吸込口体41の底面には、吸込口43が形成される。吸込口43は、ごみ及び空気を吸い込むための開口である。吸込口体風路41aは、吸込口43を介して自走式掃除機10の外部と連通する。また、吸込口体風路41aは、接続管42の内部の接続管風路42aと連通する。換言すると、吸込口43は、吸込口体風路41aを介して接続管風路42aに連通する。
また、吸込口体41の底面は、下ケース22の底面22aよりも上方に配置される。すなわち吸込口43は、底面22aよりも上方にある。
吸込口体41は、接続管42に対し、左右方向に伸びる軸を中心として上下方向に回動可能に接続される。接続管42は、下ケース22に対し、前後方向に伸びる軸を中心として回動可能に取り付けられる。この前後方向に伸びる軸を基準とした時、一例として吸込口体41の右側部分の重量と左側部分の重量とは、同程度になっている。本実施の形態において吸込口体41は、接続管42の回動中心を基準としたとき左右対称に形成される。
下ケース22に対して接続管42が動くと、吸込口体41は、この接続管42とともに動く。すなわち吸込口体41は、下ケース22に対し、上下方向及び左右方向に回動可能である。
清掃ユニット40は、一例としてアジテーター44を備えてもよい。アジテーター44は、回転することによって清掃対象エリアからごみを掻き上げるものである。アジテーター44は、吸込口体41に対して回転自在に設けられる。アジテーター44は、吸込口体風路41aに配置される。アジテーター44は、吸込口43の近傍に設けられる。
図12は、実施の形態1のアジテーター44の斜視図である。アジテーター44は、複数の除塵体45及び軸46を有する。除塵体45は、例えば軟質の樹脂によって形成される。本実施の形態の除塵体45は、アジテーター44の軸方向に沿う板状の部材である。一例としてアジテーター44は、4枚の除塵体45を有する。除塵体45は、軸46の外周に、つるまき状に設けられる。除塵体45同士の間には、一定の間隔が形成される。
アジテーター44は、軸46を中心に回転可能に軸支される。除塵体45は、アジテーター44が回転すると吸込口43から吸込口体41の外へ突出するように設けられる。また、本実施の形態の除塵体45には、複数の矩形状の孔45aが形成される。なお、孔45aの形状及び数は、任意の数でよい。また、除塵体45の数及び形状も上記の例に限られない。例えば軸46の外周には、アジテーター44の軸方向に沿って複数の除塵体45が設けられてもよい。また、除塵体45は、本実施の形態以外にも、例えば繊維質のブラシ毛等によって形成されてもよい。
清掃ユニット40は、例えばアジテーター44を回転させるための、アジテーター用モーター47及びアジテーター用ギヤ48を有する。アジテーター用モーター47は、吸込口体41内に設けられる。アジテーター用モーター47は、アジテーター用ギヤ48を介してアジテーター44を回転させる。アジテーター44の回転方向は、除塵体45が自走式掃除機10の前方から後方に向かう方向に設定される。
吸引ユニット50は、清掃ユニット40の後方に配置される。吸引ユニット50は、ファン51及びダクト52を有する。ファン51は、下ケース22に取り付けられる。ファン51は、気流を発生させる。集塵ユニット60は、清掃ユニット40とこの吸引ユニット50との間に配置される。換言すると、吸引ユニット50は、集塵ユニット60の後方に配置される。ファン51が気流を発生させると、集塵ユニット60からダクト52に向けて空気が流れる。
集塵ユニット60は、集塵ボックス61及び集塵フィルター62を有する。集塵ボックス61は、例えば下ケース22に対して着脱自在に形成される。集塵フィルター62は、ごみを捕捉するためのものである。集塵フィルター62は、集塵ボックス61の内部に、着脱自在に設けられる。
下ケース22に取り付けられた状態の集塵ボックス61は、接続管42の一端側に接続される。すなわち、接続管42の他端側に接続された吸込口体41は、接続管42を介して、集塵ボックス61に接続される。接続管42に接続された集塵ボックス61の内部の空間は、接続管風路42aに連通する。
使用者は、蓋23を開けることによって、集塵ボックス61をボディ20の上方へ取り外すことができる。また、使用者は、ボディ20から取り外された集塵ボックス61から、集塵フィルター62を取り外すことができる。これにより、使用者は、集塵ユニット60に捕集されたごみを捨てることができる。
以上のように構成された、清掃ユニット40、吸引ユニット50及び集塵ユニット60は、実施の形態1において、清掃対象エリア内の清掃対象エリア上を清掃する清掃手段の一例である。
乾燥ユニット70は、吸引ユニット50の後方に配置される。乾燥ユニット70は、ヒーター71及びヒーターケース72を有する。ヒーター71は、ヒーターケース72の内部に保持される。ヒーターケース72は、ダクト52に接続される。
ヒーターケース72の底面には、温風出口73を有する温風出口カバー74が形成される。本実施の形態において、ヒーターケース72のこの底面は、自走式掃除機10の底面の一部となる。一例として温風出口カバー74は、下ケース22の底面22aより下側に突出する。温風出口カバー74には、温風出口カバー74の下端から後面に渡る孔が複数形成される。温風出口73は、この複数の孔で構成される。
本実施の形態においてファン51によってダクト52を流れた空気は、ヒーターケース72の内部へ送られる。ヒーターケース72の内部へ送られた空気は、ヒーター71によって加熱される。ヒーター71によって加熱された空気は、温風出口73及び温風出口カバー74の孔を介して、自走式掃除機10の外部へ送られる。このようにして自走式掃除機10は、温風を外部へ供給する。
ヒーター71は、例えばPTC特性をもつ発熱素子を使用した装置である。PTCとは、Positive Temperature Coefficientの略称である。PTCとは、正温度係数を意味する。ヒーター71は、自己の温度を制御する機能を有する。例えばヒーターケース72の内部へ送られる空気の量に応じて、ヒーター71の発熱素子の電気抵抗が変化する。ヒーターケース72の内部へ送られる空気の量に応じて、ヒーター71の温度が一定の範囲に保たれる。また、自走式掃除機10から供給される温風の温度が、一定の範囲に保たれる。これにより、自走式掃除機10は、過度に高温な温風を外部に供給することがない。
制御ユニット80及び電源ユニット90は、ボディ20の内部に配置される。制御ユニット80は、例えば吸引ユニット50の下方に配置される。電源ユニット90は、例えば集塵ユニット60の下方に配置される。電源ユニット90は、例えば下ケース22の底部に取り付けられる。電源ユニット90と制御ユニット80とは、互いに接続される。
電源ユニット90は、例えば蓄電池91、回路基板92及び電源ケース93を有する。回路基板92は、蓄電池91を制御する。回路基板92は、例えば蓄電池91から供給される電圧及び電流の値を制御する。また、回路基板92は、例えば蓄電池91の温度を制御する。回路基板92は、蓄電池91を保護する。電源ケース93は、蓄電池91及び回路基板92を収容するケースである。
また、電源ユニット90は、蓄電池91を充電するための充電端子94を有する。充電端子94は、下ケース22の底面22aから外部へ露出するように形成される。充電端子94は、外部の充電器に接続可能に形成される。蓄電池91には、充電端子94を介して、外部の充電器から電力が供給される。なお、充電端子94は、例えば外部の商用電源等に接続可能に形成されてもよい。
また、自走式掃除機10は、被清掃面検出センサー81を備える。被清掃面検出センサー81は、清掃対象エリアと自走式掃除機10との位置関係を検出するためのセンサーである。被清掃面検出センサー81は、制御ユニット80に接続される。
図13は実施の形態1の被清掃面検出センサー81の斜視図である。被清掃面検出センサー81は、赤外線発光部82と赤外線受光部83とを有する。赤外線発光部82と赤外線受光部83とは、清掃対象エリアに対向するように配置される。赤外線発光部82は、清掃対象エリアに向けて赤外光を発する。赤外線受光部83は、清掃対象エリアで反射した赤外光を受ける。
赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、被清掃面検出センサー81と清掃対象エリアとの位置関係によって変化する。例えば赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、被清掃面検出センサー81と清掃対象エリアとが近づくほど多くなる。また、赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、被清掃面検出センサー81と清掃対象エリアとが離れるほど少なくなる。
自走式掃除機10は、例えば6つの被清掃面検出センサー81を備える。6つの被清掃面検出センサー81は、例えば上カバー21の下端部に設けられる。6つの被清掃面検出センサー81は、例えば水平面及び鉛直面に対して傾斜した状態で設けられる。6つの被清掃面検出センサー81のうちの3つは、例えば上カバー21の下端部の前側部分に配置される。これら3つの被清掃面検出センサー81は、例えばこの前側部分の中央と右寄りと左寄りとにそれぞれ配置される。同様に、例えば残りの3つの被清掃面検出センサー81は、上カバー21の下端部の後側部分の中央と右寄りと左寄りとにそれぞれ配置される。本実施の形態において被清掃面検出センサー81のうちの1つは、ボディ20の前端部に設けられている。
なお、被清掃面検出センサー81の個数及び配置は、本実施の形態に限られない。被清掃面検出センサー81は、清掃対象エリアの状態が検出できる位置に設けられればよい。例えば被清掃面検出センサー81は、下ケース22の底面に22a等に設けられてもよい。
ここで、清掃対象エリアが敷き布団やベッドなどの寝具S、あるいは絨毯等の床面が軟質である場合、図7のように車輪31は床面に沈み込み自走式掃除機10は水平に保たれる。この場合、前後にある被清掃面検出センサー81の赤外光の量が等しく検出されているため本体が水平に保たれていると判定することができる。
一方で、フローリングFや畳等の清掃対象エリアが硬質の場合、自走式掃除機10は、その重心が後方に位置するため、図8のように車輪31が床面に沈み込むことなく後方に傾く。この場合、自走式掃除機10の前方向の被清掃面検出センサー81の赤外光の受光量が少なく、後方の赤外光の受光量が多くなるように検出されているため本体が傾いていると判定することができる。このように、複数の被清掃面検出センサー81により、自走式掃除機10の本体が清掃対象エリア内に置かれたとき、本体の姿勢が水平か、傾いているかを検知することにより、清掃対象の表面が軟質の材質か硬質の材質かを判定することができる。
被清掃面検出センサー81による赤外光検出結果から清掃対象エリアの表面が軟質か硬質かを検出することができる。結果、例えば、自走式掃除機10が清掃対象エリア内に最初に置かれる位置である初期位置にある場合、清掃を開始する前に自走式掃除機10が寝具Sの清掃の目的で使用されようとしているか否かを判定できる。
また、自走式掃除機10は被清掃面検出センサー81の受光量によって清掃対象エリアの端にあるか否かの位置関係を検出することができる。清掃対象エリアが寝具Sである場合、寝具Sの端部では、寝具Sが置かれる床面等と寝具Sの上面との間で段差が生じる。自走式掃除機10が清掃対象エリアである寝具Sを走行している場合、清掃対象エリアに対し自走式掃除機10は水平状態であり走式掃除機10と清掃対象エリアは面しているため被清掃面検出センサー81の受光量は多い。しかし、本体が清掃対象エリアの端に到達すると、上記段差により被清掃面検出センサー81の受光量が少なくなる。このように、被清掃面検出センサー81の受光量の検出値によって寝具Sの端部を判定できる。
ここで、自走式掃除機10が床面に敷かれた毛足の長い絨毯上に置かれた場合、自走式掃除機10は絨毯の植毛に沈み込む。したがって、被清掃面検出センサー81は自走式掃除機10が寝具S上に置かれたと判断し、通常の動作を開始する。しかし、自走式掃除機10は毛足の長い絨毯上で使用されると絨毯の植毛が吸込み口に吸付き動作不良となる。したがって、自走式掃除機10は毛足の長い絨毯上では動作しないように構成することが望ましい。
敷き布団やベッド等の寝具Sと毛足の長い絨毯の識別は以下のように行うことができる。敷き布団やベッド等の寝具Sは寸法が規定されているが、毛足の長い絨毯の場合は寝具Sの寸法よりも大きな寸法となる。そのため、自走式掃除機10が清掃対象エリアの端を適切に検出するための距離に対し、絨毯の走行距離は布団の寸法より長い。
そこで、自走式掃除機10が寝具S上で走行するための許容走行距離を予め設定し、制御ユニット80に記憶する。また、制御ユニット80には、例えば、自走式掃除機10が初期位置から最初に走行した距離を検出する測距機能を有する。自走式掃除機10は、制御ユニット80が測距する走行距離が、制御ユニット80に記憶される許容走行距離を超えた場合、自走式掃除機10を停止する。このようにすることで、床面に敷かれた毛足の長い絨毯など、寝具S以外の場所で使用された場合に自走式掃除機10の走行が停止する。これにより、毛足の長い絨毯の植毛が吸込み口に吸付き動作不良となることを防止する。
以上のように構成された被清掃面検出センサー81は、実施の形態1において、自走式掃除機10の本体が清掃対象エリア内に置かれたとき、清掃対象の表面が軟質の材質か硬質の材質かを判定する本体姿勢検出手段と、前後進中に自走式掃除機10が清掃対象エリアの端に達したことを検出するエリア端部検出手段の一例である。
なお、停止後は警告の表示や音声報知を行う報知手段を備えても良い。
図14は、実施の形態1の制御ユニット80の機能を示すブロック図である。制御ユニット80は、被清掃面検出センサー81、異物侵入検出センサー35及びエンコーダー32bに接続される。制御ユニット80は、例えば駆動ユニット30の車輪用モーター32、清掃ユニット40のアジテーター用モーター47、吸引ユニット50のファン51及び乾燥ユニット70のヒーター71に接続される。制御ユニット80は、車輪用モーター32、アジテーター用モーター47、ファン51及びヒーター71を制御する。
制御ユニット80は、車輪用モーター32、アジテーター用モーター47、ファン51及びヒーター71を制御するための回路を有する。この回路には、電源ユニット90から電力が供給される。また、車輪用モーター32、アジテーター用モーター47、ファン51及びヒーター71には、制御ユニット80の回路を介し、電源ユニット90から電力が供給される。
被清掃面検出センサー81は、例えば赤外線受光部83が受けた赤外光の量に応じた信号を制御ユニット80へ送る。制御ユニット80は、被清掃面検出センサー81から送られた信号に基づいて、清掃対象エリアに対する自走式掃除機10の位置を判定する。制御ユニット80は、判定した結果に応じて車輪用モーター32、アジテーター用モーター47、ファン51及びヒーター71を制御する。自走式掃除機10は、車輪用モーター32、アジテーター用モーター47、ファン51及びヒーター71が駆動することによって、対象物の清掃及び乾燥を行う。自走式掃除機10によって清掃及び乾燥される対象物には、例えば敷き布団及び掛け布団が含まれる。
上述したように、吸込口体41は、ボディ20の下ケース22に対し、上下方向及び左右方向に回動可能である。本実施の形態において、ボディ20、駆動ユニット30、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80、電源ユニット90及び被清掃面検出センサー81は、自走式掃除機10の本体の一例である。以下、ボディ20、駆動ユニット30、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80、電源ユニット90及び被清掃面検出センサー81をまとめて、単に「本体」とも呼称する。本実施の形態において吸込口体41は、本体に対して回動可能である。
自走式掃除機10の本体の上面は、山型の三次元曲面である。また、吸込口体41の底面に形成された吸込口43は、本体の底面よりも上方にある。温風出口カバー74は、本体の底面に形成されている。
自走式掃除機10の本体は、駆動ユニット30によって前後進及び左右旋回することができる。すなわち、実施の形態1において、駆動ユニット30は、自走式掃除機10の本体を前後進及び左右旋回させる移動手段の一例である。ここで、前述したように、駆動ユニット30は、左右1対あり、すなわち左右に1つずつ設けられている。したがって、車輪31も本体の左右に設けられている。本体を前後進させる場合、左右の車輪31の両方を同方向に同じ回転速度で回転させる。
また、本体を左右に旋回させる場合、例えば、以下の3つの方法が考えられる。まず、1つめは、いわゆる信地旋回である。すなわち、左右の車輪31の一方を停止して、他方を回転させる。次に、2つめは、いわゆる超信地旋回である。すなわち、左右の車輪31の両方を反対方向に同じ回転速度で回転させる。そして、3つめは、いわゆる緩旋回である。すなわち、左右の車輪31の両方を同方向に異なる回転速度で回転させる。これら3つの旋回方法のうち、どれを用いてもよい。ただし、超信地旋回を用いることで、本体の中心の位置を保ったまま、本体の向きだけを変えることができる。
以上のように構成された制御ユニット80は、実施の形態1において、前述の移動手段及び前述の清掃手段を制御する制御手段の一例である。制御手段である制御ユニット80は、自走式掃除機10が、第1工程と第2工程とを実行するように、前述の移動手段及び前述の清掃手段を制御する。第1工程は、自走式掃除機10の本体が初期位置から、清掃対象エリアの清掃を開始する位置である清掃基準位置まで移動する工程である。第2工程は、自走式掃除機10の本体が清掃基準位置から移動しながら清掃対象エリア内の清掃を行う工程である。初期位置は、第1工程を開始する際の自走式掃除機10の位置である。清掃基準位置は、第2工程を開始する際の自走式掃除機10の位置である。第2工程において、自走式掃除機10は、この清掃基準位置を基準にして清掃対象エリア内の清掃を行う。
また、制御手段である制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体が中点検出動作を行うように前述の移動手段を制御可能である。中点検出動作とは、清掃対象エリアの2か所の端部間の中点に自走式掃除機10の本体を移動させる動作である。中点検出動作は、具体的に例えば、以下の3つの動作からなる。
まず、現在位置から前述のエリア端部検出手段により本体が清掃対象エリアの端に達したことが検出されるまで本体を前方及び後方の一方の方向に進行させる。具体的に例えば、エリア端部検出手段により本体が清掃対象エリアの端に達したことが検出されるまで本体を前進させる。
次に、前述のエリア端部検出手段により本体が清掃対象エリアの端に達したことが再び検出されるまで本体を前方及び後方の他方の方向に進行させる。具体的に例えば、前述のエリア端部検出手段により本体が清掃対象エリアの端に達したことが再び検出されるまで本体を後進させる。
そして、前述のエリア端部検出手段により前述の本体が前述の清掃対象エリアの端に達したことが中点検出動作の開始後に最初に検出されてから次に検出されるまでの前述の本体の移動距離の半分だけ前述の本体を前方及び後方の前記一方の方向に進行させる。具体的に例えば、本体を前進させて清掃対象エリアの端に達してから、本体を後進させて清掃対象エリアの別の端に達するまでの移動距離の半分だけ、本体を再度前進させる。
このような3つの動作を続けて行うことで、自走式掃除機10の本体は、清掃対象エリアの2か所の端部間の中点、すなわち、清掃対象エリアの2か所の端部を結ぶ直線上にあり、かつ、これら2か所の端部から等距離にある点に移動する。
このような中点検出動作の具体例においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体の移動距離を検出する必要がある。この本体の移動距離の検出方法としては、例えば、次の2つの方法が考えられる。1つめは、駆動ユニット30の車輪31の回転量に基づいて、本体の移動距離を検出する方法である。この方法では、本体の移動中における車輪31の回転回数と車輪31の周長とを乗じることで、本体の移動距離を求めることができ、本体の移動距離を正確に検出できる。
なお、車輪31の周長は不変であるため、本体の移動距離は車輪31の回転回数のみに比例する。よって、本体の移動距離は車輪31の回転回数で表すことができる。つまり、前述の中点検出動作の具体例では、本体を前進させて清掃対象エリアの端に達してから、本体を後進させて清掃対象エリアの別の端に達するまでの車輪31の回転回数を検出し、この際の車輪31の回転回数の1/2だけ本体を再度前進させる。このように、1つめの例では、制御手段は、本体の前後進中における移動手段の車輪31の回転量に基づいて、本体の移動距離を検出する。
2つめは、本体の前後進の経過時間に基づいて、本体の移動距離を検出する方法である。この方法では、本体の前後進の速度と経過時間とを乗じることで、本体の移動距離を求めることができ、簡単な構成で本体の移動距離を検出できる。なお、本体の前後進の速度を一定にすれば、本体の移動距離は前後進の継続時間のみに比例する。この場合には、本体の移動距離は前後進の継続時間で表すことができる。つまり、前述の中点検出動作の具体例では、本体を前進させて清掃対象エリアの端に達してから、本体を後進させて清掃対象エリアの別の端に達するまでの本体の後進時間を検出し、この際の後進時間の1/2だけ本体を再度前進させる。
この実施の形態1においては、制御手段である制御ユニット80は、前述した第1工程において、1回目の中点検出動作の後に本体を90度旋回させてから、2回目の中点検出動作を行わせる。すなわち、第1工程開始時の初期位置から、まず、1回目の中点検出動作を行い、次に、本体を90度旋回させた後に2回目の中点検出動作を行った結果として本体のある位置が、前述した清掃基準位置となる。
この第1工程における本体の旋回角度の制御は、例えば、駆動ユニット30の車輪31の回転量を制御することで行うことができる。または、自走式掃除機10は、ジャイロセンサーをさらに備えてもよい。そして、制御手段である制御ユニット80は、本体を旋回させる際にジャイロセンサーの検出結果を用いて前述の移動手段を制御するようにしてもよい。このようにすることで、より高精度の旋回が可能になる。
次に、図15及び図16のフロー図を参照しながら、実施の形態1に係る自走式掃除機10の第1工程の流れについて説明する。第1工程を開始すると、まず、ステップS101において、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を前進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる。
続くステップS102において、制御ユニット80は、本体が清掃対象エリアの端(以下、清掃対象エリアの「前端」という)に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されたか否かを確認する。本体が前端に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されない場合、処理はステップS101へと戻る。一方、本体が前端に達したことが被清掃面検出センサー81により検出された場合、処理はステップS103へと進む。
ステップS103においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を後進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を逆転させる。ステップS103の後、処理はステップS104へと進む。
ステップS104においては、制御ユニット80は、車輪31の回転量を計測する。なお、車輪31の回転量の計測は、本体の後進中において常時行う。ステップS104の後、処理はステップS105へと進む。
ステップS105においては、制御ユニット80は、本体が清掃対象エリアの端(以下、清掃対象エリアの「後端」という)に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されたか否かを確認する。本体が後端に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されない場合、処理はステップS103へと戻る。一方、本体が後端に達したことが被清掃面検出センサー81により検出された場合、処理はステップS106へと進む。
ステップS106においては、制御ユニット80は、ステップS103で本体が後進を開始してから後端に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されるまでの車輪31の回転量を記憶する。ステップS106の後、処理はステップS107へと進む。
ステップS107においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を前進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる。ステップS107の後、処理はステップS108へと進む。
ステップS108においては、制御ユニット80は、車輪31の回転量を計測する。なお、車輪31の回転量の計測は、本体の前進中において常時行う。ステップS108の後、処理はステップS109へと進む。
ステップS109においては、制御ユニット80は、ステップS107で本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、ステップS106で記憶した後進時の車輪31の回転量の1/2以上となったか否かを確認する。本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上でない場合、処理はステップS107へと戻る。一方、本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上になった場合、処理はステップS110へと進む。
ステップS110においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を90度だけ超信地旋回させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右の車輪31を互いに反転方向に回転させる。ステップS110の後、処理は図16に示すステップS111へと進む。
図16に示すステップS111からステップS119の処理は、2回目の中点検出動作である。ステップS111からステップS119の各処理は、これまでに説明した図15に示すステップS101からステップS109の各処理と、それぞれ同じである。ステップS111からステップS119の各処理については、その説明を省略する。なお、ステップS119で、本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上になった場合、第1工程に係る一連の処理は終了となる。
次に、図17から図20を参照しながら、以上のように構成された自走式掃除機10の第1工程での動作例について説明する。これらの図17から図20は、第1工程における本体の清掃対象エリア内での移動経路の例を示すものである。図17から図20では、第1工程開始時の初期位置を白丸で示している。また、第1工程終了時の清掃基準位置を黒丸で示している。1回目の中点検出動作における本体の移動経路は、実線Y1で示している。そして、2回目の中点検出動作における本体の移動経路を、破線Y2で示している。
まず初めに、図17を参照しながら自走式掃除機10の第1の工程での動作例について説明する。
図17の第1の例では初期位置が寝具Sにおける紙面上の下側であって、比較的寝具Sの端部に近い位置である。図17の例では、自走式掃除機10の本体の前後方向は、寝具Sの長手方向に対して、反時計回りに傾斜している。そして、第1の工程終了時に本体がある清掃基準位置は、寝具Sのほぼ中央となる。
このように、寝具Sのような矩形の被清掃エリアの対向する2ヶ所の端部間の中点検出動作を2回繰り返すことにより、自走式掃除機10の本体を被清掃エリアのほぼ中央に移動させることができる。被清掃エリアのほぼ中央から清掃動作を開始させることは、前進と後進、及び進行方向の変更とを繰り返す移動方法において、移動経路の重複の偏りを小さくする。
また、寝具Sのような矩形の被清掃エリアのサイズ検出を、前記第1の工程によって行う場合、初期位置での自走式掃除機10の本体の前後方向は、寝具Sの長手方向に対して平行にすることが望ましい。第1の工程において設定される長辺の長さ、短辺の長さは、初期位置での自走式掃除機10の本体の前後方向と被清掃エリアの長辺もしくは短辺との傾斜角度が小さいほど正確に設定することができる。そして、設定される長辺の長さ、短辺の長さの誤差が小さいほど、後述する第2工程での本体の動作を適正にすることができる。
自走式掃除機10の本体の前後方向と、寝具Sの長手方向の傾斜角度が3°の場合、対向する2か所の端部間の検出距離の誤差は約0.14パーセントとなる。また、傾斜角度が10°の場合、対向する2か所の端部間の検出距離の誤差は約1.5パーセントとなる。このように、傾斜角度が小さければ、対向する2か所の端部間の検出距離の誤差は小さいため、第2工程における自走式掃除機10の本体の動作を適正にすることができる。具体的には、自走式掃除機10が繰り返し清掃するエリアや、未清掃のまま残してしまうエリアの割合を小さくすることができる。
以上のように構成された実施の形態1に係る自走式掃除機10は、清掃対象エリアの清掃を行う第2工程の前に、本体を初期位置から清掃基準位置へと移動させる第1工程を実施する。そして、第1工程では、清掃対象エリアの2か所の端部間の中点に本体を移動させる中点検出動作を1回行った後に本体を90度旋回させてから、2回目の中点検出動作を行わせることで、本体を初期位置から清掃基準位置まで移動させる。
このため、初期位置よりも清掃対象エリアの中心に近い清掃基準位置に本体を移動させてから第2工程を開始することができるので、清掃対象エリアの中心を重点的に清掃することが可能であり、より効率的な清掃を行うことができる。
重点的に清掃するとは、例えば、清掃対象エリアの中心を基点として、端部まで移動し、基点に戻り、次の進行方向である本体の向きの角度を変更して、同じ動作を繰り返すことにより、中心を重点的に清掃するなどの動作のことである。
特に、清掃対象エリアが寝具Sである場合、寝具Sの使用者は寝具Sの中央で寝ることが多いため、寝具Sの中央に近い箇所の方が端部に近い箇所よりも汚れていると考えられる。したがって、とりわけ寝具Sを清掃する際に寝具Sの汚れを効率的に清掃することができる。
次に、これらの図18から図20を参照しながら自走式掃除機10の第1の工程での動作例について説明する。清掃対象エリアとして寝具S等の長方形のエリアを想定したものである。図18から図20の例では、いずれも、初期位置が清掃対象エリア内における紙面上の左下であって、比較的清掃対象エリアのコーナーに近い位置である。すなわち、これら3つの例では、初期位置は同じ位置である。
一方、これらの3つ例では、初期位置における自走式掃除機10の本体の向きがそれぞれ異なっている。すなわち、図18に示す第2の例では、初期位置における自走式掃除機10の本体は、その進行方向を表す直線と、紙面上の右側の長辺にあたる清掃対象エリアの端部を表す直線とのなす角が、他の2つの例と比較して直角に近い角度で進行する向きに置かれている。また、図20に示す第4の例では、初期位置における自走式掃除機10の本体は、その進行方向を表す直線と、紙面上の右側の長辺にあたる清掃対象エリアの端部を表す直線とのなす角が、他の2つの例と比較して鋭角の小さい角度で進行する向きに置かれている。なお、初期位置における自走式掃除機10の本体の進行方向を表す直線と、紙面上の右側の長辺にあたる清掃対象エリアの端部を表す直線とのなす角度について、図19に示す第3の例は、これら第1の例と第3の例の中間の角度である。
これらの図18から図20に示す例から分かるように、初期位置と初期位置における本体の向きによって誤った寸法で清掃対象エリアを想定し清掃手段を動作させるため十分に清掃できない可能性がある。そこで、予め基準走行距離を設定しておき、前記設定された基準走行距離に満たない場合は自走式掃除機10を停止する。
実施の形態1において、自走式掃除機10の本体が清掃対象エリア内に置かれ、特に、第1工程で決定された清掃基準位置が清掃対象エリアの中心から大きく外れた位置となり、被清掃面検出センサー81が清掃対象エリアの端部を検出したとき、駆動ユニット30が、所定の位置の一例である清掃基準位置から清掃対象エリアの端部まで走行した走行距離が予め設定された第1の許容走行距離に満たない場合がある。このとき、制御ユニット80は自走式掃除機10を停止するように制御する。この場合の第1の許容走行距離に満たない走行距離が第1の異常距離の一例である。第1の許容走行距離としては、例えば、矩形形状である寝具Sの長辺の長さをL1、短辺の長さをL2とすると、L2/2の長さの0.5~0.9倍程度の距離にすればよい。このように、走行距離と予め設定された第1の許容走行距離とを比較して第1の異常距離を検出する機能を有する制御ユニット80が、異常距離検出手段の一例である。
第1の異常検出距離を検出する具体的な処理の流れについて、図27を用いて説明する。第1の異常検出距離検出は、第2工程において、自走式掃除機10の本体が走行距離を検出するすべての動作中に実行される。
ステップS300において、第1の異常距離の検出処理を開始する。ステップS301において、所定の位置の一例として清掃基準位置とする。所定の位置から清掃対象エリアの端部まで本体が走行した走行距離Zを計測する。
次に、ステップS302において、予め制御ユニット80に記憶された第1の許容走行距離と走行距離Zとを比較する。清掃対象エリアの端部まで本体が走行した走行距離Zが第1の許容走行距離を超える場合(ステップS302でYESの場合)、ステップS303へ進み、第2工程を継続する。清掃対象エリアの端部まで本体が走行した走行距離Zが第1の許容走行距離以下の場合(ステップS302でNOの場合)、ステップS304へ進む。
ステップS304では、制御ユニット80は清掃手段及び移動手段を停止するように制御する。その結果、自走式掃除機が停止する。そしてステップS305に進み、第1の異常距離検出処理が終了する。
なお、制御ユニット80は、第1工程を開始してから予め設定された基準時間以上の時間が経過しても第1工程が終了しない場合、自走式掃除機10を停止する。このようにすることで、車輪31が清掃対象エリアを走行中に空転し、第1工程が終了せず本体が清掃基準位置まで移動できない場合であっても自走式掃除機10を停止することができるので、消費電力量を低減し、蓄電池を長持ちさせることができる。
また、予め設定された基準距離以上走行しても第1工程が終了しない場合に、自走式掃除機10を停止する。第1工程の最初の中点検出動作において、本体が清掃対象エリア内に最初に置かれる位置である初期位置から清掃対象エリアの端部を検出する場合の本体の走行距離や、2回目の中点検出動作において2か所の端部間を走行する場合の本体の走行距離が予め設定された第2の許容走行距離を超えた場合に、制御ユニット80は自走式掃除機10を停止する。この場合の第2の許容走行距離を超えた場合の走行距離が第2の異常距離の一例である。第2の許容走行距離としては、例えば、矩形形状である寝具Sの矩形形状である寝具Sの長辺の長さをL1、短辺の長さをL2とすると、長辺の長さがL1、短辺の長さがL2の直角三角形の斜辺の長さ程度の距離とすればよい。このように、本体の走行距離を検出し、第2の許容走行距離を記憶し、走行距離と第2の許容走行距離とを比較して第2の異常距離を検出する機能を有する制御ユニット80が、異常距離検出手段の他の一例である。
また、第2工程の清掃基準位置から被清掃面検出センサー81が清掃対象エリアの端部を検出するまでの本体の走行距離や、端部を検出して後進し、清掃対象エリアの中心付近に戻った次の清掃基準位置から清掃対象エリアの端部を検出するまでの本体の走行距離が許容走行距離を超えた場合に、制御ユニット80は自走式掃除機10を停止する。この場合の第3の許容走行距離を超えた場合の走行距離が第3の異常距離の一例である。第3の許容走行距離としては、例えば、矩形形状である寝具Sの矩形形状である寝具Sの長辺の長さをL1、短辺の長さをL2とすると、長辺の長さがL1/2、短辺の長さがL2/2の直角三角形の斜辺の長さの1.1~1.2倍程度の距離とすればよい。このように、本体の走行距離を検出し、第3の許容走行距離を記憶し、走行距離と第3の許容走行距離とを比較して第3の異常距離を検出する機能を有する制御ユニット80が、異常距離検出手段の他の一例である。
第2の異常検出距離を検出する具体的な処理の流れについて、具体的な処理の流れについて、図28を用いて説明する。
ステップS400において、第2の異常距離の検出処理を開始する。ステップS401において、所定の位置としては、自走式掃除機10が清掃対象エリアに最初に置かれる初期位置、1回目の中点検出動作において、清掃対象エリアの最初の端部を検出したときの位置、または、2回目の中点検出動作において清掃対象エリアの最初の端部を検出したときの位置とする。これらの所定の位置から被清掃面検出センサー81が清掃対象エリアの端部を検出するまでの本体の走行中の走行距離Xを計測する。
次に、ステップS402において、予め制御ユニット80に記憶された第2の許容走行距離と走行距離Xとを比較する。本体が走行中の走行距離Xが第2の許容走行距離に満たない場合(ステップ402でYESの場合)、ステップS401へ戻り、本体の走行を継続する。本体が走行中の走行距離Xが第2の許容走行距離を超える場合(ステップS402でNOの場合)、ステップS404へ進む。
ステップS404では、制御ユニット80は清掃手段及び移動手段を停止するように制御する。その結果、自走式掃除機が停止する。そしてステップS405に進み、第2の異常距離検出処理が終了する。
また、第3の異常距離を検出する処理の流れも図28と同様である。なお、第3の異常検出距離検出は、第2工程において、自走式掃除機10の本体が走行距離を検出するすべての動作中に実行される。S401に対応する所定の位置を、第1工程で決定される清掃基準位置に置き換える。また、S402の第2の許容走行距離を第3の許容清掃距離に置き換えればよい。
敷き布団やベッド等の寝具Sは寸法が規定されているため、このようにすることで、上述した床面と清掃対象エリアで生じる段差を検出し、かつ、前記寝具S規定寸法距離を超える走行を検出した場合、すなわち、第2の異常距離または第3の異常距離を検出した場合において、床面に敷かれている清掃対象エリアの材質が毛足の長い絨毯と判定し、自走式掃除機10を停止することができる。
また、清掃対象エリアが敷き布団、ベッドなどの寝具S、あるいは毛足の長い絨毯など床面と寝具Sの上面で段差が生じる清掃対象エリアであった場合でも、走行距離に応じて寝具Sと毛足の長い絨毯の清掃対象エリアを判定することができる。
第2工程は、前述したように、清掃対象エリア内の清掃を行う工程である。このため、第2工程においては、制御ユニット80は前述の清掃手段を動作させる。これに対し、第1工程においては、前述の清掃手段を動作させてもよいし、動作させなくてもよい。制御ユニット80が第1工程において前述の清掃手段を動作させた場合、初期位置から清掃基準位置に移動するまでの間にも、清掃対象エリアの清掃を行うことができる。一方、制御ユニット80が第1工程において前述の清掃手段を動作させない場合、初期位置から清掃基準位置に移動するまでは、前述の清掃手段を動作させないことで消費電力量を低減し、蓄電池91を長持ちさせることができる。
また、第1工程と第2工程とで、本体の移動速度を異なるようにしてもよい。すなわち、制御手段である制御ユニット80は、第1工程における本体の移動速度が第1の速度になるように前述の移動手段を制御する。そして、制御ユニット80は、第2工程における本体の移動速度が第2の速度になるように前述の移動手段を制御する。第2の速度は、前述の第1の速度とは、異なる速度である。このようにすることで、第1工程と第2工程とに費やす時間を柔軟に設定できる。特に、前述の第1の速度は、前述の第2の速度より速くするとよい。このようにすることで、初期位置から清掃基準位置まで短時間で本体を移動させて、より早く第2工程での清掃を開始させることができる。
このように実施の形態1の自走式掃除機によれば、本体と、本体を前後進及び左右旋回させる移動手段と、本体に設けられ、清掃対象エリア内の清掃対象を清掃する清掃手段と、本体が前後進中に本体が清掃対象エリアの端に達したことを検出するエリア端部検出手段と、移動手段が所定の位置から走行した距離が予め設定された許容走行距離を超える場合、あるいは、エリア端部検出手段が検出した清掃対象エリアの端までの走行距離が許容走行距離に満たない場合の走行距離である異常距離を検出する異常距離検出手段と、移動手段及び清掃手段を制御する制御手段と、を備え、本体が、清掃対象エリア内に最初に置かれる位置である初期位置から清掃対象エリアの清掃を開始する位置である清掃基準位置まで移動する第1工程と、本体が前記清掃基準位置から移動しながら清掃対象エリア内の清掃を行う第2工程と、を行うように移動手段及び清掃手段を制御し、清掃対象エリアの2か所の端部間の中点に本体を移動させる中点検出動作を本体が行うように移動手段を制御可能であり、第1工程において、1回目の前記中点検出動作の後に本体を90度旋回させてから、2回目の前記中点検出動作を行わせ、中点検出動作は、現在位置からエリア端部検出手段により本体が前記清掃対象エリアの端に達したことが検出されるまで本体を前方及び後方の一方の方向に進行させた後、エリア端部検出手段により本体が清掃対象エリアの端に達したことが再び検出されるまで本体を前方及び後方の他方の方向に進行させ、エリア端部検出手段により本体が清掃対象エリアの端に達したことが中点検出動作の開始後に最初に検出されてから次に検出されるまでの本体の移動距離の半分だけ本体を前方及び後方の一方の方向に進行させる動作であり、制御手段は、異常距離検出手段が異常距離を検出したとき、移動手段の動作を停止する。つまり、自走式掃除機が規定の寸法が定められた寝具上以外の場所で使用された場合に、制御手段が予め設定された走行距離の条件を満足しない異常距離を検出して移動手段を停止することにより、清掃対象エリアが、寝具を対象に規定された寸法を超える毛足の長い絨毯の場合も、自走式掃除機が清掃動作を停止、吸込み口に絨毯の植毛が吸付き動作不良となることがなく、使い勝手がよい。
また、制御手段は、第1工程において、清掃手段を動作させても良い。その場合、初期位置から清掃基準位置に移動するまでの間にも、清掃対象エリアの清掃を行うことができる。
また、制御手段は、第1工程において、清掃手段を動作させなくても良い。その場合、消費電力量を低減し、蓄電池を長持ちさせることができる。
また、ジャイロセンサーをさらに備え、制御手段は、本体を旋回させる際にジャイロセンサーの検出結果を用いて移動手段を制御するので、より高精度の旋回が可能になる。
また、制御手段は、本体の前後進中における移動手段の車輪の回転量に基づいて、本体の移動距離を検出する。つまり、車輪の回転量と車輪の周長とを乗じることで本体の移動距離を検出するので、本体の移動距離を正確に検出できる。
また、制御手段は、本体の前後進中における経過時間に基づいて、本体の移動距離を検出する。つまり、本体の前後進の速度と経過時間とを乗じることで本体の移動距離を検出するので、簡単な構成で本体の移動距離を検出できる。
また、制御手段は、第1工程を開始してから予め設定された基準時間以上の時間が経過しても第1工程が終了しない場合に、自走式掃除機10を停止するので、車輪が清掃対象エリアを走行中に空転し、第1工程が終了せず本体が清掃基準位置まで移動できない場合であっても自走式掃除機10を停止することができ、使い勝手がよい。
また、制御手段は、第1工程を開始してから予め設定された基準距離以上の走行距離が満足されない場合に、自走式掃除機を停止するので、第1工程で決定された清掃基準位置が清掃対象エリアの中心から大きく外れた位置となる場合であっても自走式掃除機10を停止することができ、使い勝手がよい。
実施の形態2.
図21から図26は、実施の形態2に係るもので、図21から図23は自走式掃除機の第1工程の流れの一例を示すフロー図、図24から図26は自走式掃除機の第1工程を説明するそれぞれ第1の例、第2の例及び第3の例の図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、第1工程で2回目の中点検出動作の後に、さらに45度旋回して3回目の中点検出動作を行うようにしたものである。以下、この実施の形態2に係る自走式掃除機について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
実施の形態2に係る自走式掃除機10においては、実施の形態1と同様に、制御手段である制御ユニット80は、自走式掃除機10が、第1工程と第2工程とを実行するように、前述の移動手段及び前述の清掃手段を制御する。第1工程は、自走式掃除機10の本体が初期位置から清掃基準位置まで移動する工程である。第2工程は、自走式掃除機10の本体が清掃基準位置から移動しながら清掃対象エリア内の清掃を行う工程である。初期位置は、第1工程を開始する際の自走式掃除機10の位置である。清掃基準位置は、第2工程を開始する際の自走式掃除機10の位置である。
また、実施の形態1と同じく、制御手段である制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体が中点検出動作を行うように前述の移動手段を制御可能である。中点検出動作とは、清掃対象エリアの2か所の端部間の中点に自走式掃除機10の本体を移動させる動作である。中点検出動作の具体例も実施の形態と同様である。
この実施の形態2においては、制御手段である制御ユニット80は、前述した第1工程において、1回目の中点検出動作の後に本体を90度旋回させてから、2回目の中点検出動作を行わせた後、さらに、本体を45度旋回させてから、3回目の中点検出動作を行う。すなわち、第1工程開始時の初期位置から、まず、1回目の中点検出動作を行い、次に、本体を90度旋回させた後に2回目の中点検出動作を行い、さらに、本体を45度旋回させた後に3回目の中点検出動作を行った結果として本体のある位置が、清掃基準位置となる。
次に、図21から図23のフロー図を参照しながら、実施の形態2に係る自走式掃除機10の第1工程の流れについて説明する。第1工程を開始すると、まず、ステップS201において、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を前進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる。
続くステップS202において、制御ユニット80は、本体が清掃対象エリアの端(以下、清掃対象エリアの「前端」という)に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されたか否かを確認する。本体が前端に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されない場合、処理はステップS201へと戻る。一方、本体が前端に達したことが被清掃面検出センサー81により検出された場合、処理はステップS203へと進む。
ステップS203においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を後進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を逆転させる。ステップS203の後、処理はステップS204へと進む。
ステップS204においては、制御ユニット80は、車輪31の回転量を計測する。なお、車輪31の回転量の計測は、本体の後進中において常時行う。ステップS204の後、処理はステップS205へと進む。
ステップS205においては、制御ユニット80は、本体が清掃対象エリアの端(以下、清掃対象エリアの「後端」という)に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されたか否かを確認する。本体が後端に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されない場合、処理はステップS203へと戻る。一方、本体が後端に達したことが被清掃面検出センサー81により検出された場合、処理はステップS206へと進む。
ステップS206においては、制御ユニット80は、ステップS203で本体が後進を開始してから後端に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されるまでの車輪31の回転量を記憶する。ステップS206の後、処理はステップS207へと進む。
ステップS207においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を前進させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる。ステップS207の後、処理はステップS208へと進む。
ステップS208においては、制御ユニット80は、車輪31の回転量を計測する。なお、車輪31の回転量の計測は、本体の前進中において常時行う。ステップS208の後、処理はステップS209へと進む。
ステップS209においては、制御ユニット80は、ステップS207で本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、ステップS206で記憶した後進時の車輪31の回転量の1/2以上となったか否かを確認する。本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上でない場合、処理はステップS207へと戻る。一方、本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上になった場合、処理はステップS210へと進む。
ステップS210においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を90度だけ超信地旋回させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右の車輪31を互いに反転方向に回転させる。ステップS210の後、処理は図22に示すステップS211へと進む。
図22に示すステップS211からステップS219の処理は、2回目の中点検出動作である。ステップS211からステップS219の各処理は、これまでに説明した図21に示すステップS201からステップS209の各処理と、それぞれ同じである。ステップS211からステップS219の各処理については、その説明を省略する。そして、ステップS219で、本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上になった場合、処理はステップS220へと進む。
ステップS220においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を45度だけ超信地旋回させる。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右の車輪31を互いに反転方向に回転させる。ステップS220の後、処理は図23に示すステップS221へと進む。
図23に示すステップS221からステップS229の処理は、3回目の中点検出動作である。ステップS221からステップS229の各処理は、これまでに説明した図21に示すステップS201からステップS209の各処理と、それぞれ同じである。また、ステップS221からステップS229の各処理は、これまでに説明した図22に示すステップS211からステップS219の各処理とも、それぞれ同じである。ステップS221からステップS229の各処理については、その説明を省略する。なお、ステップS229で、本体が前進を開始してからの車輪31の回転量が、後進時の車輪31の回転量の1/2以上になった場合、第1工程に係る一連の処理は終了となる。
他の構成及び動作については実施の形態1と同様であり、ここでは、その説明を省略する。
次に、図24から図26を参照しながら、以上のように構成された自走式掃除機10の第1工程での動作例について説明する。これらの図24から図26は、第1工程における本体の清掃対象エリア内での移動経路の例を示すものである。図24から図26では、第1工程開始時の初期位置を白丸で示している。また、第1工程終了時の清掃基準位置を黒丸で示している。1回目の中点検出動作における本体の移動経路は、実線Y1で示している。2回目の中点検出動作における本体の移動経路は、破線Y2で示している。そして、3回目の中点検出動作における本体の移動経路を、一線鎖線Y3で示している。
これらの図24から図26は、清掃対象エリアとして寝具S等の長方形のエリアを想定したものである。図24から図26の例では、いずれも、初期位置が、清掃対象エリア内における紙面上の左下であって、比較的エリア端部に近い位置である。すなわち、これら3つの例では、初期位置は同じ位置である。
一方、これらの3つ例では、初期位置における自走式掃除機10の本体の向きがそれぞれ異なっている。すなわち、図24に示す第1の例では、初期位置における自走式掃除機10の本体は、その進行方向を表す直線と、紙面上の右側の長辺にあたる清掃対象エリアの端部を表す直線とのなす角が、他の2つの例と比較して直角に近い角度で進行する向きに置かれている。また、図26に示す第3の例では、初期位置における自走式掃除機10の本体は、その進行方向を表す直線と、紙面上の右側の長辺にあたる清掃対象エリアの端部を表す直線とのなす角が、他の2つの例と比較して鋭角の小さい角度で進行する向きに置かれている。なお、初期位置における自走式掃除機10の本体の進行方向を表す直線と、紙面上の右側の長辺にあたる清掃対象エリアの端部を表す直線とのなす角度について、図25に示す第2の例は、これら第1の例と第3の例の中間の角度である。
これらの図24から図26に示す例から分かるように、初期位置における本体の向きによらず、第1工程終了時に本体がある清掃基準位置は、第1工程開始時の初期位置よりも清掃対象エリアの中心に近い。また、ここでは具体的な例示は省略するが、清掃対象エリア内であれば、どのような初期位置であっても第1工程の終了時には、初期位置よりも清掃対象エリアの中心に近い位置に本体がある(ただし、例外として初期位置がちょうど清掃対象エリアの中心の場合には、清掃基準位置は初期位置と同じ清掃対象エリアの中心になる)。
また、実施の形態2に係る図24から図26に示す各例の清掃基準位置は、実施の形態1に係る図17から図19に示す各例の清掃基準位置と比較して、清掃対象エリアの中心からの距離がほぼ同等か近くなっている。特に、図25の例は、図19の例と初期位置が同じであるにもかかわらず、清掃基準位置が清掃対象エリアの中心から大幅に近い位置になっている。
以上のように実施の形態2の自走式掃除機は、制御手段が、第1工程で2回目の中点検出動作の後に、さらに45度旋回して3回目の中点検出動作を行って、本体を初期位置から清掃基準位置まで移動させるようにしたものである。このため、実施の形態1と同様の効果を奏することができるのに加えて、さらに、清掃基準位置を清掃対象エリアの中心に近い位置とすることができる。したがって、清掃対象エリアの中心にさらに近い清掃基準位置に本体を移動させてから第2工程を開始することができるので、清掃対象エリアの中心を重点的に清掃することが可能であり、より効率的な清掃を行うことができる。