以下、添付の図面を参照して、実施の形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。本開示では、重複する説明については適宜に簡略化または省略する。本開示は、以下の実施の形態で説明する構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含み得るものである。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の自走式掃除機10の平面図である。図2は、実施の形態1の自走式掃除機10の底面図である。図3は、実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。図4は、実施の形態1の自走式掃除機10の正面図である。本実施の形態では、原則として、自走式掃除機10が水平面に置かれた状態を基準として方向を定義する。
図1の平面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を上方向から見た図である。図1における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。自走式掃除機10の進行方向は、この前方向である。また、図1における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。自走式掃除機10は、例えばこの後方向に向けて後退する。すなわち自走式掃除機10は、前方及び後方に移動する。また、図1における紙面上の上下方向を、自走式掃除機の右左方向とする。
図2の底面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を下方向から見た図である。図2における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。図2における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。図2における紙面上の上下方向を、自走式掃除機10の左右方向とする。
図3の縦断面図は、図1及び図2に示す自走式掃除機10のA−A線での断面を示す。図3の縦断面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10の縦方向に沿った断面を側方から見た図である。図3における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。図3における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。図3における紙面上の上下方向は、自走式掃除機10の上下方向に対応する。
図4の正面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を前方から見た図である。図4における紙面上の上下方向を、上下方向とする。図4における紙面上の左右方向は、自走式掃除機10の右左方向に対応する。
自走式掃除機10は、図1から図4に示すように、ボディ20を備える。ボディ20は、自走式掃除機10の外枠を形成する部位である。ボディ20には、自走式掃除機10に備えられた各種の機器が設けられる。
自走式掃除機10は、例えば、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60及び乾燥ユニット70を備える。駆動ユニット30は、ボディ20及びボディ20に設けられた機器を移動させるためのものである。
清掃ユニット40は、被清掃面のごみを取り込む部位である。被清掃面とは、自走式掃除機10によって掃除される面を意味する。清掃ユニット40によって取り込まれるごみには、例えば塵埃が含まれる。被清掃面には、例えば室内の床面及び室内に敷かれた敷き布団F1の上面等が含まれる。
吸引ユニット50は、空気とともにごみを吸引するための部位である。清掃ユニット40は、吸引ユニット50が動作することによってごみを取り込む。集塵ユニット60は、清掃ユニット40によって取り込まれたごみを捕集する部位である。また、集塵ユニット60からは、空気が排出される。乾燥ユニット70は、集塵ユニット60から排出された空気を加熱するためのものである。乾燥ユニット70によって加熱された高温の空気は、自走式掃除機10の外部へ供給される。
また、自走式掃除機10は、例えば制御ユニット80及び電源ユニット90を備える。制御ユニット80は、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50及び乾燥ユニット70を制御する。電源ユニット90は、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、乾燥ユニット70及び制御ユニット80に電力を供給する。
ボディ20には、一例として上カバー21と下ケース22とが含まれる。ボディ20は、例えば上カバー21と下ケース22とが結合することによって形成される。上カバー21は、ボディ20の上側部分を形成する。下ケース22は、ボディ20の下側部分を形成する。
上カバー21は、例えばボディ20の内部に備えられた機器を上方から覆うように配置される。また、下ケース22は、自走式掃除機10が使用される際に下ケース22の底面22aが被清掃面に対向するように設けられる。本実施の形態において下ケース22の底面22aは、ボディ20の底面である。また、底面22aは、自走式掃除機10の底面の一部となる。すなわち水平面に置かれた自走式掃除機10の底面は、水平面に対向する。
なお、上カバー21と下ケース22とは、例えば一体的に形成されてもよい。ボディ20は、例えば単一の部材によって形成されてもよい。また、ボディ20の底面は、上カバー21の底面であってもよい。
上カバー21を上方から見た形状は、図1に示すように、例えば矩形状の四隅を円弧状にした形状である。なお、上カバー21を上方から見た形状は、例えば真円形状または楕円形状等であってもよい。
ボディ20の上側部分を形成する上カバー21は、自走式掃除機10の上部を形成する。上カバー21の上面21aは、自走式掃除機10の上面となる。上カバー21は、上面21aが山型の三次元曲面になるように形成される。すなわち自走式掃除機10の上面は山型の三次元曲面である。上カバー21のうちの上面21aの中央21bを含む一定範囲の領域は、底面22aが水平面に対向している状態で、この領域の周囲よりも高くなる。
また、上面21aには、上面前部21c及び上面後部21dが含まれる。上面前部21cは、上カバー21の前端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面後部21dは、上カバー21の後端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面前部21cは、ボディ20の進行方向の端部から一定の範囲に渡って形成される第1部分の一例である。また、上面後部21dは、ボディ20の進行方向の反対方向の端部から一定の範囲に渡って形成される第2部分の一例である。
図3に示すように自走式掃除機10を側方から見た時、上面前部21cの稜線は、上面後部21dの稜線よりも緩やかに傾斜する。例えば、自走式掃除機10を側方から見た時、上面前部21cの稜線を近似した直線と水平面とがなす角度は、上面後部21dの稜線を近似した直線と水平面とがなす角度よりも小さくなる。本実施の形態において自走式掃除機10の前側部分は、自走式掃除機10の後側部分に比べて、水平面に対して緩やかに傾斜する。また、図4に示すように自走式掃除機10を前方から見た時、上面21aは左右対称に形成される。
上面21aには、上面左部21e及び上面右部21fが含まれる。図1から図4に示すように、上面左部21eは、上カバー21の左端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面右部21fは、上カバー21の右端部から一定の範囲に渡って中央21bに向かって形成される。上面左部21e及び上面右部21fは、水平面に対し、上面後部21dと同様に傾斜する。すなわち上面前部21cは、水平面に対し、上面左部21e及び上面右部21fに比べて緩やかに傾斜する。本実施の形態において自走式掃除機10の前側部分は、自走式掃除機10の右側部分及び左側部分に比べて、水平面に対して緩やかに傾斜する。
上カバー21は、一例として開閉可能な蓋23を有する。蓋23は、上カバー21の上部を形成する。上カバー21の中央21bは、この蓋23に含まれる。蓋23の上面は、例えば平坦な面であってもよい。すなわち上面21aのうち中央21bを含む一定範囲の領域は、平坦な面であってもよい。なお、上カバー21には、平坦な面が含まれていなくてもよい。例えば上カバー21は、例えば中央21bが最も高くなるように形成されてもよい。
本実施の形態の駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80及び電源ユニット90は、ボディ20に取り付けられる。駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80及び電源ユニット90は、一例として下ケース22に収容される。
駆動ユニット30は、自走式掃除機10が移動するための移動手段の一例である。自走式掃除機10は、例えば1対の駆動ユニット30を備える。1対の駆動ユニット30は、下ケース22の左側面と右側面とにそれぞれ取り付けられる。1対の駆動ユニット30は、それぞれが左右対称な位置になるように配置される。
駆動ユニット30は、車輪31、モーター32、ギヤ33及びハウジング34を有する。車輪31は、自走式掃除機10が被清掃面上を走行するためのものである。車輪31は、被清掃面に接触することで駆動力を発生させる。車輪31は、自走式掃除機10が移動するための駆動力を発生させる駆動体の一例である。
モーター32は、車輪31が回転するための動力を供給する。車輪31とモーター32とは、ギヤ33を介して接続される。ギヤ33は、モーター32によって供給される動力を車輪31へ伝達する。ギヤ33は、車輪31の回転数が適切になるように、モーター32の回転数を変換する。
車輪31、モーター32及びギヤ33は、ハウジング34に収容される。車輪31は、ハウジング34内で回動可能に支持される。また、車輪31の下端は、図3に示すように、下ケース22の底面22aよりも下方に向けて突出する。すなわち車輪31のこの下端は、例えば被清掃面が水平面である場合、底面22aよりもこの被清掃面に近づく。
車輪31は、図3に示すように、例えば上下方向に移動可能に設けられてもよい。車輪31は、例えば被清掃面の状態に応じて上下方向に移動する。例えば被清掃面が布団の上面である場合、車輪31は、この布団が柔らかいほど下方へ突出する。また、自走式掃除機10は、図示しない調節部を備えても良い。この調節部は、底面22aを基準とした車輪31の突出量を調節するものである。また、車輪31の外周には、被清掃面に対する車輪31の滑りを抑制する軟質材料が設けられてもよい。
清掃ユニット40は、ボディ20内に配置される。清掃ユニット40は、吸込口体41及び接続管42を有する。吸込口体41は、下ケース22の前方に配置される。接続管42は、管状の部材である。接続管42の一端側は、下ケース22に取り付けられる。接続管42の他端側は、吸込口体41に接続される。
吸込口体41の内部には、風路41aが形成される。また、吸込口体41の底面には、吸込口43が形成される。吸込口43は、ごみ及び空気を吸い込むための開口である。風路41aは、吸込口43を介して自走式掃除機10の外部と連通する。また、風路41aは、接続管42の内部の風路42aと連通する。換言すると、吸込口43は、風路41aを介して風路42aに連通する。
また、吸込口体41の底面は、下ケース22の底面22aよりも上方に配置される。すなわち吸込口43は、底面22aよりも上方にある。
吸込口体41は、接続管42に対し、左右方向に伸びる軸を中心として上下方向に回動可能に接続される。接続管42は、下ケース22に対し、前後方向に伸びる軸を中心として回動可能に取り付けられる。この前後方向に伸びる軸を基準とした時、一例として吸込口体41の右側部分の重量と左側部分の重量とは、同程度になっている。本実施の形態において吸込口体41は、接続管42の回動中心を基準としたとき左右対称に形成される。
下ケース22に対して接続管42が動くと、吸込口体41は、この接続管42とともに動く。すなわち吸込口体41は、下ケース22に対し、上下方向及び左右方向に回動可能である。
清掃ユニット40は、一例としてアジテーター44を備えてもよい。アジテーター44は、回転することによって被清掃面からごみを掻き上げるものである。アジテーター44は、吸込口体41に対して回転自在に設けられる。アジテーター44は、風路41aに配置される。アジテーター44は、吸込口43の近傍に設けられる。
図5は、実施の形態1のアジテーター44の斜視図である。アジテーター44は、複数の除塵体45及び軸46を有する。除塵体45は、例えば軟質の樹脂によって形成される。本実施の形態の除塵体45は、アジテーター44の軸方向に沿う板状の部材である。一例としてアジテーター44は、4枚の除塵体45を有する。除塵体45は、軸46の外周に、つるまき状に設けられる。除塵体45同士の間には、一定の間隔が形成される。
アジテーター44は、軸46を中心に回転可能に軸支される。除塵体45は、アジテーター44が回転すると吸込口43から吸込口体41の外へ突出するように設けられる。また、本実施の形態の除塵体45には、複数の矩形状の孔45aが形成される。なお、孔45aの形状及び数は、任意の数でよい。また、除塵体45の数及び形状も上記の例に限られない。例えば軸46の外周には、アジテーター44の軸方向に沿って複数の除塵体45が設けられてもよい。また、除塵体45は、本実施の形態以外にも、例えば繊維質のブラシ毛等によって形成されてもよい。
清掃ユニット40は、例えばアジテーター44を回転させるための、モーター47及びギヤ48を有する。モーター47は、吸込口体41内に設けられる。モーター47は、ギヤ48を介してアジテーター44を回転させる。アジテーター44の回転方向は、除塵体45が自走式掃除機10の前方から後方に向かう方向に設定される。
吸引ユニット50は、清掃ユニット40の後方に配置される。吸引ユニット50は、ファン51及びダクト52を有する。ファン51は、下ケース22に取り付けられる。ファン51は、気流を発生させる。集塵ユニット60は、清掃ユニット40とこの吸引ユニット50との間に配置される。換言すると、吸引ユニット50は、集塵ユニット60の後方に配置される。ファン51が気流を発生させると、集塵ユニット60からダクト52に向けて空気が流れる。
集塵ユニット60は、集塵ボックス61及び集塵フィルター62を有する。集塵ボックス61は、例えば下ケース22に対して着脱自在に形成される。集塵フィルター62は、ごみを捕捉するためのものである。集塵フィルター62は、集塵ボックス61の内部に、着脱自在に設けられる。
下ケース22に取り付けられた状態の集塵ボックス61は、接続管42の一端側に接続される。すなわち、接続管42の他端側に接続された吸込口体41は、接続管42を介して、集塵ボックス61に接続される。接続管42に接続された集塵ボックス61の内部の空間は、風路42aに連通する。
使用者は、蓋23を開けることによって、集塵ボックス61をボディ20の上方へ取り外すことができる。また、使用者は、ボディ20から取り外された集塵ボックス61から、集塵フィルター62を取り外すことができる。これにより、使用者は、集塵ユニット60に捕集されたごみを捨てることができる。
乾燥ユニット70は、吸引ユニット50の後方に配置される。乾燥ユニット70は、ヒーター71及びヒーターケース72を有する。ヒーター71は、ヒーターケース72の内部に保持される。ヒーターケース72は、ダクト52に接続される。
ヒーターケース72の底面には、温風出口73を有する温風出口カバー74が形成される。本実施の形態において、ヒーターケース72のこの底面は、自走式掃除機10の底面の一部となる。一例として温風出口カバー74は、下ケース22の底面22aより下側に突出する。温風出口カバー74には、温風出口カバー74の下端から後面に渡る孔が複数形成される。温風出口73は、この複数の孔で構成される。
本実施の形態においてファン51によってダクト52を流れた空気は、ヒーターケース72の内部へ送られる。ヒーターケース72の内部へ送られた空気は、ヒーター71によって加熱される。ヒーター71によって加熱された空気は、温風出口73及び温風出口カバー74の孔を介して、自走式掃除機10の外部へ送られる。このようにして自走式掃除機10は、温風を外部へ供給する。
ヒーター71は、例えばPTC特性をもつ発熱素子を使用した装置である。PTCとは、Positive Temperature Cofficientの略称である。PTCとは、正温度係数を意味する。ヒーター71は、自己の温度を制御する機能を有する。例えばヒーターケース72の内部へ送られる空気の量に応じて、ヒーター71の発熱素子の電気抵抗が変化する。ヒーターケース72の内部へ送られる空気の量に応じて、ヒーター71の温度が一定の範囲に保たれる。また、自走式掃除機10から供給される温風の温度が、一定の範囲に保たれる。これにより、自走式掃除機10は、過度に高温な温風を外部に供給することがない。
制御ユニット80及び電源ユニット90は、ボディ20の内部に配置される。制御ユニット80は、例えば吸引ユニット50の下方に配置される。電源ユニット90は、例えば集塵ユニット60の下方に配置される。電源ユニット90は、例えば下ケース22の底部に取り付けられる。電源ユニット90と制御ユニット80とは、互いに接続される。
電源ユニット90は、例えば蓄電池91、回路基板92及び電源ケース93を有する。回路基板92は、蓄電池91を制御する。回路基板92は、例えば蓄電池91から供給される電圧及び電流の値を制御する。また、回路基板92は、例えば蓄電池91の温度を制御する。回路基板92は、蓄電池91を保護する。電源ケース93は、蓄電池91及び回路基板92を収容するケースである。
また、電源ユニット90は、蓄電池91を充電するための充電端子94を有する。充電端子94は、下ケース22の底面22aから外部へ露出するように形成される。充電端子94は、外部の充電器に接続可能に形成される。蓄電池91には、充電端子94を介して、外部の充電器から電力が供給される。なお、充電端子94は、例えば外部の商用電源等に接続可能に形成されてもよい。
また、自走式掃除機10は、一例として検出センサー81を備える。検出センサー81は、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係を検出するためのセンサーである。検出センサー81は、制御ユニット80に接続される。
図6は、実施の形態1の検出センサー81の斜視図である。検出センサー81は、赤外線発光部82と赤外線受光部83とを有する。赤外線発光部82と赤外線受光部83とは、被清掃面に対向するように配置される。赤外線発光部82は、被清掃面に向けて赤外光を発する。赤外線受光部83は、被清掃面で反射した赤外光を受ける。
赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、検出センサー81と被清掃面との位置関係によって変化する。例えば赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、検出センサー81と被清掃面とが近づくほど多くなる。また、赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、検出センサー81と被清掃面とが離れるほど少なくなる。
自走式掃除機10は、例えば6つの検出センサー81を備える。6つの検出センサー81は、例えば上カバー21の下端部に設けられる。6つの検出センサー81は、例えば水平面及び鉛直面に対して傾斜した状態で設けられる。6つの検出センサー81のうちの3つは、例えば上カバー21の下端部の前側部分に配置される。これら3つの検出センサー81は、例えばこの前側部分の中央と右寄りと左寄りとにそれぞれ配置される。同様に、例えば残りの3つの検出センサー81は、上カバー21の下端部の後側部分の中央と右寄りと左寄りとにそれぞれ配置される。本実施の形態において検出センサー81のうちの1つは、ボディ20の前端部に設けられている。
なお、検出センサー81の個数及び配置は、本実施の形態に限られない。検出センサー81は、被清掃面の状態が検出できる位置に設けられればよい。例えば検出センサー81は、下ケース22の底面に22a等に設けられてもよい。
図7は、実施の形態1の制御ユニット80の機能を示すブロック図である。制御ユニット80は、検出センサー81に接続される。制御ユニット80は、例えば駆動ユニット30のモーター32、清掃ユニット40のモーター47、吸引ユニット50のファン51及び乾燥ユニット70のヒーター71に接続される。制御ユニット80は、モーター32、モーター47、ファン51及びヒーター71を制御する。
制御ユニット80は、モーター32、モーター47、ファン51及びヒーター71を制御するための回路を有する。この回路には、電源ユニット90から電力が供給される。また、モーター32、モーター47、ファン51及びヒーター71には、制御ユニット80の回路を介し、電源ユニット90から電力が供給される。なお、モーター32、モーター47、ファン51及びヒーター71は、電源ユニット90に直接的に接続されてもよい。
検出センサー81は、例えば赤外線受光部83が受けた赤外光の量に応じた信号を制御ユニット80へ送る。制御ユニット80は、検出センサー81から送られた信号に基づいて、被清掃面に対する自走式掃除機10の位置を判定する。制御ユニット80は、判定した結果に応じてモーター32、モーター47、ファン51及びヒーター71を制御する。自走式掃除機10は、モーター32、モーター47、ファン51及びヒーター71が駆動することによって、対象物の清掃及び乾燥を行う。自走式掃除機10によって清掃及び乾燥される対象物には、例えば敷き布団F1及び掛け布団F2が含まれる。
上述したように、吸込口体41は、ボディ20の下ケース22に対し、上下方向及び左右方向に回動可能である。本実施の形態において、ボディ20、駆動ユニット30、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80、電源ユニット90及び検出センサー81は、自走式掃除機10の本体の一例である。以下、ボディ20、駆動ユニット30、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80、電源ユニット90及び検出センサー81をまとめて、単に「本体」とも呼称する。本実施の形態において吸込口体41は、本体に対して回動可能である。
自走式掃除機の本体は、移動手段の一例である駆動ユニット30によって進行方向へ移動する。自走式掃除機10の本体の上面は、山型の三次元曲面である。また、吸込口体41の底面に形成された吸込口43は、本体の底面よりも上方にある。温風出口カバー74は、本体の底面に形成されている。
また、本実施の形態の下ケース22の底面22aには、突出部24が形成される。突出部24は、下方に向けて突出する。突出部24は、清掃ユニット40の後方に配置される。突出部24は、一例として下ケース22と一体的に形成される。突出部24、底面22a、上カバー21、吸込口体41、吸込口43、車輪31及び温風出口カバー74の本実施の形態における位置関係を、図3を参照して説明する。
突出部24の下端と温風出口カバー74の下端とは、底面22aよりも下方にある。一例として、突出部24の下端と温風出口カバー74の下端とは、底面22aよりも9mm下にある。なお、突出部24の下端と温風出口カバー74の下端とは、それぞれ異なる高さにあってもよい。
車輪31の下端は、一例として、突出部24の下端及び温風出口カバー74の下端よりも下方にある。車輪31の下端は、例えば底面22aよりも17mm下にある。また、車輪31は、上述したように、上下方向に移動可能に設けられてもよい。例えば底面22aに対する車輪31の下端の下方への突出量は、最大で40mmになる。
また、上カバー21の下端は、底面22aよりも上にある。上カバー21の下端は、例えば底面22aよりも5mm上にある。また、吸込口体41の底面及び吸込口43は、例えば底面22aよりも8mm上にある。本実施の形態において吸込口体41の底面及び吸込口43は、上カバー21の下端よりも上にある。
また、図3に示すように、自走式掃除機10を側方から見た時、吸込口43、突出部24、車輪31及び温風出口カバー74は、前方から順に並ぶ。本実施の形態において自走式掃除機10の本体の重心Gの前後方向の位置は、図3に示すように、車輪31と温風出口カバー74との間にある。すなわち自走式掃除機10を側方から見た時、吸込口43、突出部24、車輪31、本体の重心G及び温風出口カバー74が順に並んでいる。
本実施の形態において吸込口43は、突出部24の下端よりも上方にある。また、吸込口43は、温風出口カバー74の下端よりも上方にある。また、自走式掃除機10を側方から見た時、本体の重心Gは、車輪31を基準として吸込口43の反対側にある。自走式掃除機10を側方から見た時、温風出口カバー74は、本体の重心Gを基準として吸込口43の反対側にある。
次に、上記のように構成された自走式掃除機10の動作および効果について説明する。上述した通り、自走式掃除機10は対象物の一例である敷き布団F1の清掃を行う。敷き布団F1は、繊維及びこの繊維を覆う側生地によって形成される。側生地は例えば綿によって形成される。また、側生地に覆われる繊維は、例えば綿、羊毛またはポリエステル等の樹脂繊維である。なお、敷き布団F1を形成する繊維は、例えば綿または羊毛に樹脂繊維を組み合わせた合繊であってもよい。
敷き布団F1は、柔軟性を有する。敷き布団F1の上に物が置かれると、この物の重量によって敷き布団F1内部の繊維が圧縮される。敷き布団F1の上に物が置かれると、敷き布団F1の表面は沈み込む。
敷き布団F1は、主として、シーツSによって覆われた状態で就寝時に使用される。シーツSは、例えば綿等の素材によって形成される。以下では、シーツSによって覆われた敷き布団F1の上に置かれた自走式掃除機10について説明する。自走式掃除機10は、シーツSによって覆われた敷き布団F1を清掃及び乾燥させる。
自走式掃除機10は、敷き布団F1上を走行しつつ、この敷き布団F1の清掃及び乾燥を行う。自走式掃除機10は、例えば敷き布団F1上を前進及び後退する。図8は、敷き布団F1上を前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。また、図9は、敷き布団F1上を後退する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
シーツSによって覆われた敷き布団F1の上に自走式掃除機10が置かれると、敷き布団F1の表面及びシーツSは、自走式掃除機10の重量によって沈み込む。敷き布団F1の表面及びシーツSは、突出部24、車輪31及び温風出口カバー74によって、下方に押し下げられる。シーツS及び敷き布団F1の上において、自走式掃除機10の重量は、主として下ケース22の底面22a、突出部24、車輪31及び温風出口カバー74によって支持される。特に、突出部24、車輪31及び温風出口カバー74は、自走式掃除機10の重量の大半を支持する。突出部24、車輪31及び温風出口カバー74は、シーツS及び敷き布団F1に対する底面22aの接触を抑制する。
本実施の形態において車輪31の下端は、突出部24の下端及び温風出口カバー74の下端よりも下方にある。これにより、車輪31は、シーツS及び敷き布団F1に対してより強く接触する。本実施の形態であれば車輪31は、自走式掃除機10が走行するための駆動力を、より効率よく発生させることができる。
本実施の形態の上カバー21の下端は、底面22a、車輪31の下端は、突出部24の下端及び温風出口カバー74の下端よりも上方にある。上カバー21の下端は、シーツS及び敷き布団F1に対して、強く押し付けられない。例えば上カバー21の下端は、シーツSに僅かに接触する。また、上カバー21の下端は、例えばシーツSから離れてもよい。上カバー21の下端には、例えば敷き布団F1及びシーツS表面の凹凸によって、シーツSに接触する部分と接触しない部分とが含まれてもよい。
吸込口体41の底面は、上カバー21の下端よりも上にある。シーツSに覆われた敷き布団F1上に自走式掃除機10が置かれた状態で、吸込口体41の底面は、敷き布団F1及びシーツSから離れる。なお、シーツSに覆われた敷き布団F1上に自走式掃除機10が置かれた状態で、吸込口体41の底面の前端は、シーツSに僅かに接触してもよい。
自走式掃除機10は、例えば図示しない電源スイッチが操作されることによって動作を開始する。例えば、電源スイッチが使用者によってオンの状態にされると、制御ユニット80及び検出センサー81が起動する。検出センサー81は、赤外光の発光及び受光を行う。検出センサー81は、受光した赤外光の量に応じた信号を制御ユニット80へ送る。
制御ユニット80は、検出センサー81から送られた信号に基づいて、被清掃面に対する自走式掃除機10の位置の状態を判定する。例えば制御ユニット80は、検出センサー81が受光した赤外光の量が予め設定された閾値以上である場合、自走式掃除機10がシーツS及び敷き布団F1の上にあると判定する。この閾値は、例えば制御ユニット80に予め記憶される。
制御ユニット80は、自走式掃除機10がシーツS及び敷き布団F1の上にあると判定すると、自走式掃除機10が前進するようにモーター32を駆動させる。自走式掃除機10は、図8に示すように前進する。また、制御ユニット80は、ファン51、モーター47及びヒーター71を駆動させる。
ファン51が駆動すると、集塵ボックス61内が減圧する。ファン51は、吸込口43から、風路41a及び風路42aを介し、集塵ボックス61内へ向かう気流を発生させる。これにより、シーツS及び敷き布団F1に付着したごみと空気とが、吸込口43から風路41aへ吸引される。
また、ファン51が駆動すると、吸込口43が形成された吸込口体41には、敷き布団F1に吸い寄せられる力が加わる。前進する自走式掃除機10の吸込口体41の底面は、例えば図8に示すように、前方下方に向けて傾斜する。
また、シーツSが吸込口43に吸い寄せられる。シーツSは、上方に吸い寄せられる。上方に吸い寄せられたシーツSは、敷き布団F1から離れる。上方に吸い寄せられたシーツSと布団F1との間には、例えば図8に示すように、空間Bが形成される。
この空間Bのうち、平面視において吸込口43とシーツSとが重なっていない部分には、外部から空気が流入する。また、空間B内の空気は、吸込口43から風路41aへ流れる。例えばシーツSと敷き布団F1との間にある微細なごみは、シーツSを形成する繊維同士の隙間を通じて吸込口43から風路41aへ吸引される。
制御ユニット80によってモーター47が駆動させられると、アジテーター44が回転する。本実施の形態において吸込口43に吸い寄せられたシーツSは、アジテーター44の除塵体45によって揺らされる。これにより、例えばシーツSと敷き布団F1との間でまとまった状態の微細なごみが揺らされる。まとまった状態の微細なごみは、揺らされることによって、シーツSを形成する繊維同士の隙間を通過しやすい状態になる。また、除塵体45によって揺らされたシーツSと吸込口43との間には、隙間が生じる。シーツSの下のごみは、シーツSの繊維の隙間を通過して、吸込口43から風路41aへ効果的に吸引される。
また、シーツS上のごみも、吸込口43から風路41aへ吸引される。吸込口43は、自走式掃除機10の移動に伴って移動する。吸込口43はシーツSの上のごみの付近を通過すると、そのごみは吸込口43から風路41aへ吸引される。また、吸込口43がごみの付近を通過する際にシーツSが吸込口43に吸い寄せられても、このシーツSは回転するアジテーター44によって揺らされる。これにより、シーツSと吸込口43との間に隙間が生じるため、吸込口43に吸い寄せられたシーツS上のごみは、吸込口43から風路41aへ効果的に吸引される。このように、アジテーター44を備える自走式掃除機10は、より効果的にごみを吸引することができる。
シーツS上のごみには、例えば毛髪が含まれる。毛髪は、回転するアジテーター44に絡むことがある。本実施の形態において除塵体45は板状である。板状の除塵体45の端部には、毛髪が引っ掛かりにくい。本実施の形態であれば、アジテーター44に絡んだ毛髪は、アジテーター44が回転し続けることによって、アジテーター44から徐々に離れる。アジテーター44から離れた毛髪は、風路41aから風路42aへ吸引される。また、本実施の形態の除塵体45には、孔45aが形成されている。除塵体45に形成された孔45aは、吸込口43にシーツSが吸い寄せられた状態において、吸込口43から風路41aに吸引される通気量を確保する。除塵体45に孔45aが形成されていることにより、吸込口43にシーツSが吸い寄せられても、風路41aには十分な量の空気が流れる。孔45aは、風路41aを流れる風量の低下を防止する。
風路41aへ吸引されたごみと空気とは、集塵ボックス61へ流入する。集塵ボックス61内の集塵フィルター62は、ごみを捕捉する。空気は、集塵ボックス61を通過する。集塵ボックス61へ流入したごみと空気とは、集塵フィルター62によって、清浄な空気となる。清浄な空気は、吸引ユニット50を介し、乾燥ユニット70へ送られる。乾燥ユニット70へ送られた空気は、ヒーター71によって加熱される。ヒーター71は、一例として、空気を60℃に加熱する。ヒーター71によって加熱された空気は、温風出口73及び温風出口カバー74の孔を介して、自走式掃除機10の外部へ送られる。
温風出口カバー74の下端は、敷き布団F1に対して沈み込む。温風出口カバー74には、温風出口カバー74の下端から後面側に渡って複数の孔で構成された温風出口73が形成される。温風出口カバー74が敷き布団F1に対して沈み込むことよって、温風が通過する風路が十分に確保される。温風出口73が温風出口カバー74の下端から後面に渡って形成されていることで、温風が敷き布団F1の表面を十分に通過する。本実施の形態の自走式掃除機10であれば、十分な風速の温風を、敷き布団F1の表面に送ることができる。本実施の形態であれば、敷き布団F1には効率よく熱が伝達される。自走式掃除機10は、敷き布団F1を、効率よく加熱して乾燥させることができる。
上記のようにして、本実施の形態の自走式掃除機10は、前進しながらごみの吸引と温風の供給とを行うことができる。自走式掃除機10は、敷き布団F1等の対象物を、清掃しつつ乾燥させることができる。なお、自走式掃除機10は、例えば対象物を乾燥させる機能を有さないものであってもよい。
また、制御ユニット80は、例えば自走式掃除機10が前進するようにモーター32を一定時間だけ駆動させてから、モーター32の回転方向を反転させる。これにより、自走式掃除機10は、図9に示すように後退する。
後退する自走式掃除機10の吸込口体41には、吸込口43に吸い寄せられたシーツSの膨らみを乗り越えるための力が作用する。後退する自走式掃除機10の吸込口体41の底面の前端には、上方に持ち上げられる力が働く。図9に示すように、後退する自走式掃除機10の吸込口体41の底面の前端は、前進する自走式掃除機10の吸込口体41の底面の前端に比べて、上方に回動する。
本実施の形態において吸込口43は、底面22aよりも上にある。このため、敷き布団F1に吸込口43が密着することが防止される。また、吸込口43は、シーツSに対しても、過度に強く密着することがない。自走式掃除機10は、柔軟性のある被清掃面の上においても、ごみを吸引する性能と被清掃面上を走行する性能とを保つことができる。なお、自走式掃除機10は、例えばシーツSが吸込口43へ密着することを防止するリブ等を有するものであってもよい。
また、吸込口43が底面22aよりも上にあるため、シーツSと布団F1との間には空間Bが形成される。自走式掃除機10が動作すると、空間Bの外側から空間Bの内側へ向かう気流と空間Bの内側から外側へ向かう気流とが生じる。これにより、十分な量の空気が空間Bから吸込口43へ向かって流れる。本実施の形態の自走式掃除機10は、シーツSと敷き布団F1との間にある微細なごみを効率よく吸引することができる。
また、吸込口43は、突出部24の下端よりも上方にある。突出部24は、敷き布団F1を下方に押さえ込む。本実施の形態であれば、敷き布団F1に吸込口43が密着することがより効果的に防止される。例えば、吸込口体41の底面が前方下方に向けて傾斜した場合においても、吸込口43は敷き布団F1に密着することがない。突出部24は、柔軟性を有する被清掃面が吸込口43に吸着してしまうことを防止する。突出部24は、自走式掃除機10の本体の底面から下方に突出する吸着防止部の一例である。
突出部24は、敷き布団F1とともにシーツSも下方に押さえ込む。突出部24は、吸込口43に吸い寄せられたシーツSのたるみも抑制する。また、突出部24は、シーツSが吸込口43に対して過度に強く吸着されることを防止する。突出部24は、吸込口43を介して吸込口体41の内部の風路41aの奥へシーツSが入り込むことを防止する。突出部24を備える自走式掃除機10は、柔軟性のある被清掃面の上においても、ごみを吸引する性能と被清掃面上を走行する性能とをより効果的に保つことができる。また、本実施の形態であれば、例えばアジテーター44の回転がシーツSによって妨げられることも防止される。
自走式掃除機10を側方からみた場合、突出部24は、吸込口43と車輪31との間に配置される。突出部24は、吸込口43の近傍に配置される。これにより、シーツSのうちの吸込口43に吸い寄せられる領域は、一定の領域に制限される。シーツSと敷き布団F1との間の空間Bの広さは、突出部24によって制限される。これにより、空間B内には十分な強さの気流が発生する。本実施の形態の自走式掃除機10は、例えばシーツSと敷き布団F1との間の空間Bにある微細なごみを、より効果的に吸引することができる。
なお、突出部24は、例えば下ケース22と別体であってもよい。例えば突出部24は、被清掃面に対して滑りやすい部材であってもよい。また、突出部24は、例えば回転自在な円柱状の部材であってもよい。これにより、自走式掃除機10が被清掃面の上を走行する際に突出部24と被清掃面との間で発生する抵抗が低減される。
本実施の形態の自走式掃除機10の本体の重心Gは、車輪よりも後方にある。このため、敷き布団F1に吸い寄せられる力が吸込口体41に加わっても、自走式掃除機10の本体が前方下方に傾斜しにくい。シーツSと敷き布団F1との間の空間Bが、より確実に生じる。これにより、自走式掃除機10がごみを吸引する性能がよりよくなる。
前進する自走式掃除機10には、自走式掃除機10が後方下方に向けて傾斜するように、慣性力が作用する。本実施の形態においては、重心Gの後方に温風出口カバー74がある。下方に突出した温風出口カバー74は、自走式掃除機10が後方下方に傾斜してしまうことを抑制する。これにより、吸込口43が被清掃面から離れてしまうことが防止される。本実施の形態の自走式掃除機10は、ごみを吸引する性能を維持しながら前進することができる。
本実施の形態の温風出口カバー74は、自走式掃除機10の本体に形成される傾斜抑制部の一例である。傾斜抑制部とは、自走式掃除機10が後方下方に傾斜してしまうことを抑制するためのものである。自走式掃除機10は、温風出口カバー74とは別の部材を、傾斜抑制部として備えても良い。
本実施の形態の上カバー21の下端は、吸込口43よりも下にある。上述したように、後退する自走式掃除機10の吸込口体41の底面の前端は、前進する自走式掃除機10の吸込口体41の底面の前端に比べて、上方に回動する。また、上カバー21の下端の前部は、吸込口43の前方でシーツSを押さえる。これらにより、自走式掃除機10が後退する際にシーツSが吸込口43に吸い寄せられてたるむことが防止される。また、自走式掃除機10が後退する際にシーツSが吸込口43から風路41aの奥へ引き込まれることが防止される。
次に、敷き布団F1上の凹部Uを前進する自走式掃除機10と敷き布団F1上の傾斜部Lを走行する自走式掃除機10とについて説明する。凹部Uとは、敷き布団F1上の下方に凹んだ場所である。傾斜部Lとは、敷き布団F1上の左右方向に傾いた場所である。傾斜部Lは、右方から左方に向けて上方へ傾斜する。図10は、敷き布団F1上の凹部Uを前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。図11は、敷き布団F1上の傾斜部Lを走行する実施の形態1の自走式掃除機10の正面図である。
上述したとおり、本実施の形態において吸込口体41は、本体に対して回動可能である。自走式掃除機10が凹部Uの上を通過する際、吸込口体41は、凹部Uの形状に応じて回動する。例えば吸込口体41は、図10に示すように、左右方向に伸びた軸を中心にして回動する。一例として吸込口体41の前端は、下方へ回動する。吸込口体41が回動することによって、吸込口43も同様に回動する。吸込口体41及び吸込口43が、凹部Uの形状に応じて回動することによって、空間B内のごみが効果的に吸引される。
また、図11に示すように、自走式掃除機10が傾斜部Lの上を通過する際、吸込口体41は、傾斜部Lの形状に応じて回動する。吸込口体41の左側は、傾斜部Lの形状に応じて上方へ動く。吸込口体41及び吸込口43が、傾斜部Lの形状に応じて回動することによって、空間B内のごみが効果的に吸引される。
本実施の形態において吸込口体41は、本体に対し、前後方向に伸びる軸及び左右方向に伸びる軸に対して回動可能である。起伏のある被清掃面の上を自走式掃除機10が走行する場合、吸込口体41及び吸込口43は、この起伏に追従して動く。本実施の形態の自走式掃除機10であれば、起伏のある被清掃面の上においても、ごみを吸引する性能を保つことができる。
なお、吸込口体41は、例えば前後方向に伸びる軸または左右方向に伸びる軸を中心に回動可能であってもよい。また、吸込口体41は、例えば右斜め前方から左斜め後方にかけて伸びる軸等を中心に回動可能であってもよい。吸込口体41は、自走式掃除機10の本体の底面が水平面に対向している状態で、水平面に平行な軸を中心にして回動可能であればよい。これにより、吸込口体41は、被清掃面の上の起伏に追従して動く。
本実施の形態の吸込口体41は、一例として左右対称に形成されている。例えば吸込口体41の右側部分の重量と左側部分の重量とは異なっていてもよい。自走式掃除機10は、吸込口体41の右側部分と左側部分とのうち、重い方を持ち上げるためのバネを備えてもよい。吸込口体41は、被清掃面の上の起伏に追従して動くことができればよい。
次に、敷き布団F1の端部を検出する自走式掃除機10について説明する。図12は、敷き布団F1の端部を検出する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
図12に示すように、ボディ20の前端部が敷き布団F1の端部に差し掛かると、ボディ20の前端部が敷き布団F1の端部に差し掛かっていない時に比べて、上カバー21の下端部の前側部分に設けられた検出センサー81が受ける赤外光の量が少なくなる。例えば自走式掃除機10がベッド等の上に置かれた敷き布団F1の端部に向けて前進すると、検出センサー81が受ける赤外光の量はやがてゼロになる。
制御ユニット80は、例えば上カバー21の下端部の前側部分に設けられた検出センサー81が受ける赤外光の量が予め設定された閾値を下回ると、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定する。自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した制御ユニット80は、モーター32を停止させる。制御ユニット80は、モーター32を停止させた後、モーター32の回転方向がモーター32を停止させる前の回転方向に対して反転するように、再びモーター32を駆動させる。再びモーター32が駆動することによって、自走式掃除機10は、後退する。例えば上カバー21の下端部の後側部分に設けられた検出センサー81が受ける赤外光の量が予め設定された閾値を下回ると、制御ユニット80は、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定する。自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した制御ユニット80は、モーター32を停止させる。なお、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した制御ユニット80は、1対の駆動ユニット30のそれぞれのモーター32の回転速度の変更をしてもよい。制御ユニット80は、1対の駆動ユニット30のそれぞれのモーター32の回転速度の変更することによって、自走式掃除機10の進行方向を変更させてもよい。このように、自走式掃除機10は、敷き布団F1の端部を検出し、前進と後退と進行方向の変更を繰り返す。自走式掃除機10は、敷き布団F1から落下することなく、敷き布団F1の清掃及び乾燥を継続することができる。
検出センサー81の向きが鉛直方向に対して傾斜する角度は、検出センサー81が赤外光を受光できる範囲内で設定される。検出センサー81の向きが鉛直方向に対して傾斜する角度を、以下では検出センサー81の傾斜角度と称する。検出センサー81は、検出センサー81の傾斜角度が大きいほど、ボディ20の外周からより遠い位置の敷き布団F1表面の状態を検出できる。すなわち、検出センサー81の傾斜角度が大きいほど、自走式掃除機10が敷き布団F1から落下するリスクがより低減される。また、検出センサー81は、検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、より正確に被清掃面と自走式掃除機10との位置関係を検出することができる。例えば、検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、自走式掃除機10が敷き布団F1表面の凸部を乗り越えた時に、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと制御ユニット80によって判定されるリスクが低減される。また、検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、自走式掃除機10が敷き布団F1表面の凹部に差し掛かった時に、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと制御ユニット80によって判定されるリスクが低減される。また、検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、自走式掃除機10が傾いた時に、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと制御ユニット80によって判定されるリスクが低減される。すなわち、検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係が誤って検出される確率が低くなる。
例えば、検出センサー81の傾斜角度が5°から50°に設定されると、自走式掃除機10が敷き布団F1から落下するリスクが低減され、且つ被清掃面と自走式掃除機10との位置関係が誤って検出される確率が低くなる。また、一例として、検出センサー81の傾斜角度は20°から30°の範囲に設定することがのぞましい。これにより、自走式掃除機10が敷き布団F1から落下するリスクがより低減され、且つ被清掃面と自走式掃除機10との位置関係がより適切に検出される。
また、自走式掃除機10は、検出センサー81の向きを調整する機能を有してもよい。これにより、自走式掃除機10は、例えば敷き布団F1の表面の起伏、敷き布団F1の端部の形状等、敷き布団F1の状態によって適切に動作することができる。
なお、赤外線受光部83には、例えばポジションセンシングデバイスまたはCMOSイメージセンサが使用されてもよい。赤外線受光部83は、被清掃面から受けた赤外光の入射角度を検出するものであってもよい。検出センサー81は、赤外線受光部83が検出した入射角度に応じた信号を制御ユニット80へ送信してもよい。制御ユニット80は、赤外線受光部83が検出した入射角度に基づいて、検出センサー81から被清掃面までの距離を算出してもよい。上記のように構成された制御ユニット80及び検出センサー81であれば、例えば被清掃面の赤外光の反射率の違いに依らず、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係をより正確に検出することができる。被清掃面の赤外光の反射率は、例えばこの被清掃面が形成された物体の材質に依る。
次に、敷き布団F1と掛け布団F2との間を前進する自走式掃除機10について説明する。掛け布団F2は、敷き布団F1と同様に柔軟性を有する物体である。掛け布団F2は、繊維及びこの繊維を覆う側生地によって形成される。側生地は例えば綿によって形成される。また、側生地に覆われる繊維は、例えば羽毛または羽毛とポリエステルなどの樹脂繊維とを組み合わせた合繊である。掛け布団F2の密度は、一般的に、敷き布団F1の密度より小さい。掛け布団F2は、敷き布団F1よりも軽くかつ柔らかく形成される。
図13は、敷き布団F1と掛け布団F2との間を前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。また、図14は、敷き布団F1と掛け布団F2との間で敷き布団F1の端部を検出する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
図13に示すように、敷き布団F1と掛け布団F2との間を自走式掃除機10が前進する際、掛け布団F2は上カバー21の前側部分によって押し上げられる。自走式掃除機10は、ボディ20の後方に空間Cを形成しつつ敷き布団F1と掛け布団F2との間を走行する。掛け布団F2は柔軟性を有するため、自走式掃除機10によって一度押し上げられた掛け布団F2は、下方から支持されなくなった後に緩やかに下降する。すなわち空間Cは自走式掃除機10が過去に通過した場所にも一定の時間保持される。このため、自走式掃除機10は、一度通過した経路上を後退する際、掛け布団F2を容易に押し上げることができる。
本実施の形態において上カバー21の上面21aは、山型の三次元曲面である。このため、上面21aは掛け布団F2に引っ掛かることがない。上カバー21と掛け布団F2とは、滑らかに接触する。自走式掃除機10は、掛け布団F2等の物体の下においても走行する性能を保つことができる。これにより、例えば自走式掃除機10の消費電力が削減される。
また、自走式掃除機10を前方から見た時、上面21aは左右対称に形成される。これにより、上カバー21が掛け布団F2から受ける力が左右方向に偏らない。本実施の形態によれば、直進性及び左右方向への旋回性に優れた自走式掃除機10が得られる。
また、自走式掃除機10を側方から見た時、上面前部21cの稜線は、上面後部21dの稜線よりも緩やかに傾斜する。上カバー21の前側部分は、後側部分に比べて、水平面に対して緩やかに傾斜する。上カバー21の前側部分は、自走式掃除機10が前進する際に効果的に掛け布団F2を持ち上げることができる。
敷き布団F1と掛け布団F2との間を自走式掃除機10が走行する際、上カバー21の前側部分は掛け布団F2から下向きの力をうける。本実施の形態においては重心Gが車輪31の後方にある。これにより、上カバー21の前側部分が掛け布団F2から下向きの力を受けることによって自走式掃除機10の本体の前側部分が下方に傾くことが防止される。
また、上カバー21は、吸込口体41を覆うようにして吸込口体41と掛け布団F2との間に位置する。吸込口体41は、上カバー21によって覆われているため、掛け布団F2から直接的には力を受けない。これにより、敷き布団F1と掛け布団F2との間を自走式掃除機10が走行する場合においても、吸込口体41は回動可能な状態に維持される。また、掛け布団F2が自走式掃除機10の上に掛けられた状態でも、吸込口体41の底面および吸込口43が敷き布団F1に押し付けられることがない。
また、本実施の形態において検出センサー81は、下方に向けて設けられている。言い換えると、検出センサー81は、被清掃面である敷き布団F1の表面に向けて設けられている。このように構成することで、図14に示すように、敷き布団F1と掛け布団F2との間を自走式掃除機10が走行する際にも、検出センサー81は敷き布団F1の端部を検出することができる。これにより、自走式掃除機10は、敷き布団F1と掛け布団F2との間でも、敷き布団F1から落下することなく、敷き布団F1の清掃及び乾燥を行うことができる。
次に敷き布団F3上を前進する自走式掃除機10について説明する。この敷き布団F3は、敷き布団F1よりも柔らかい。図15は、柔らかい敷き布団F3上を前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
自走式掃除機10が柔らかい敷き布団F3上に置かれると、突出部24、車輪31及び温風出口カバー74に加えて下ケース22の底面22aが敷き布団F3の表面を押し下げる。
本実施の形態において車輪31は、被清掃面の状態に応じて動く。車輪31は、自走式掃除機10が柔らかい敷き布団F3上に置かれた場合、自走式掃除機10が敷き布団F1上に置かれた場合よりも下方に突出する。これにより、車輪31は自走式掃除機10の重量のうち、より大部分を支持する。車輪31の突出量が増えることによって、車輪31は自走式掃除機10が走行するための力をより効率よく被清掃面に伝達することができる。言い換えると、車輪31の突出量が増えることによって、車輪31は自走式掃除機10が走行するための駆動力を効率よく発生させることができる。また、車輪31の突出量が増えることによって、敷き布団F3に対する底面22aの接触が弱くなる。本実施の形態の自走式掃除機10は、柔らかい敷き布団F3の上でも走行性能を維持することができる。
なお、自走式掃除機10は、例えば敷き布団F1及び敷き布団F3に対して車輪31が沈み込んだ量を検出する検出機器を有してもよい。自走式掃除機10の制御ユニット80は、例えばこの検出機器の検出結果に基づいて、被清掃面の柔軟性を判定する機能を有してもよい。自走式掃除機10は、底面22aに対する車輪31の突出量を被清掃面の柔軟性に応じて適切に調節機能を有してもよい。これらのように構成することで、自走式掃除機10は、例えばさまざまな柔らかさの敷き布団を効率よく清掃及び乾燥することができる。
柔らかい敷き布団F3の上に自走式掃除機10が置かれた場合、温風出口カバー74の周辺の空間が狭くなる場合がある。自走式掃除機10は、温風出口73及び温風出口カバー74の孔から吹き出された温風の一部が上カバー21内を通るように構成されてもよい。温風出口73及び温風出口カバー74の孔から吹き出された温風の一部が上カバー21内を通ることで、温風出口カバー74の周辺の空間が狭い場合でも、温風が敷き布団F3の表面に十分に供給される。また、上カバー21には、上カバー21内を通った温風を上カバー21の上方へ送るための開口及び風路が形成されてもよい。上カバー21内を通った温風が上カバー21の上方へ送られることで、掛け布団F2の加熱及び乾燥も同時に実行可能になる。
また、自走式掃除機10は、例えばアジテーター44を備えていなくてもよい。例えばアジテーター44を備えていない自走式掃除機10であれば、より少ない電力で動作することができる。また、例えばアジテーター44を備えていない自走式掃除機10は、吸込口43の面積がより狭くなるように構成されてもよい。例えばアジテーター44を備えていない自走式掃除機10は、底面22aから吸込口43までの距離がより長くなるように構成されてもよい。このように自走式掃除機10を構成することで、消費する電力を削減でき、吸込口43にシーツSが密着することを防止しつつ、清掃性能を確保することができる。
上記の実施の形態において、吸込口43は、下ケース22とは独立して設けられた吸込口体41の底面に形成されている。吸込口43は、上記の実施の形態以外にも、例えば底面22aよりも高い位置で下ケース22と一体的に形成されてもよい。吸込口43が下ケース22の底面22aよりも高い位置に形成されることにより、上記の実施の形態と同様に、吸込口43にシーツSが密着することを防止する効果が得られる。