以下、添付の図面を参照して、実施の形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。また、本開示では、重複する説明については適宜に簡略化または省略する。なお、本発明は、以下の実施の形態で開示される構成のあらゆる組み合わせを含み得るものである。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の自走式掃除機10の平面図である。図2は、実施の形態1の自走式掃除機10の底面図である。図3は、実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。図4は、実施の形態1の車輪用モーター32の斜視図である。図5、図6、図7および図8は、実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。本実施の形態では、原則として、自走式掃除機10が水平面に置かれた状態を基準として、各方向が定義される。
図1の平面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を上方向から見た図である。図1における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。自走式掃除機10の進行方向は、この前方向である。また、図1における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。例えば、自走式掃除機10は、この後方向に向けて後退する。すなわち、自走式掃除機10は、前方向および後方向に移動する。また、図1における紙面上の上下方向を、自走式掃除機の右左方向とする。
図2の底面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を下方向から見た図である。図2における紙面上の左方向は、自走式掃除機10の前方向である。図2における紙面上の右方向は、自走式掃除機10の後方向である。また、図2における紙面上の上下方向は、自走式掃除機10の左右方向である。
図3の縦断面図は、図1および図2におけるA-A位置での自走式掃除機10の断面を示すものである。図3の縦断面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10の縦方向に沿った断面を側方から見た図である。図3における紙面上の左方向は、自走式掃除機10の前方向である。図3における紙面上の右方向は、自走式掃除機10の後方向である。図3における紙面上の上下方向は、自走式掃除機10の上下方向である。
自走式掃除機10は、清掃対象領域内を自動走行して、当該清掃対象領域内の被清掃面を清掃する装置である。被清掃面とは、自走式掃除機10によって掃除される面を意味する。自走式掃除機10によって掃除される面である被清掃面は、例えば、室内の床面および室内に敷かれた敷き布団F1の上面等である。以下、本実施の形態においては、清掃対象領域が布団およびベッド等の寝具であって、被清掃面が寝具の上面である場合の例を説明する。ただし、自走式掃除機10の清掃対象領域は、寝具の上面に限られず、例えば、部屋の床面または家具の上面等であってもよい。
図1から図3に示されるように、自走式掃除機10は、ボディ20を備える。ボディ20は、自走式掃除機10の外殻をなす部材である。ボディ20には、自走式掃除機10を構成する各種の機器が設けられる。
また、自走式掃除機10は、例えば、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60および乾燥ユニット70を備える。
駆動ユニット30は、ボディ20を移動させるためのものである。駆動ユニット30は、ボディ20と共に当該ボディ20に設けられた機器も同時に移動させる。
清掃ユニット40は、被清掃面の上の塵埃等のごみを取り込むためのものである。本実施の形態における清掃ユニット40は、被清掃面を清掃する清掃手段の一例である。
吸引ユニット50は、空気と共にごみを吸引するものである。吸引ユニット50が空気と共にごみを吸引することで、清掃ユニット40にごみが取り込まれる。
集塵ユニット60は、清掃ユニット40によって取り込まれたごみを捕集するものである。集塵ユニット60からは、空気が排出される。また、本実施の形態における集塵ユニット60は、ボディ20の上方から着脱自在に設けられている。
乾燥ユニット70は、集塵ユニット60から排出された空気を加熱するものである。集塵ユニット60から排出された空気は、乾燥ユニット70によって加熱されることで高温になる。乾燥ユニット70によって加熱された高温の空気は、自走式掃除機10の外部へ供給される。
また、自走式掃除機10は、例えば、制御ユニット80、操作表示ユニット85および電源ユニット90を備えている。
制御ユニット80は、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50および乾燥ユニット70を制御する。本実施の形態における制御ユニット80は、自走式掃除機10の動作を制御するための制御手段の一例である。
操作表示ユニット85は、自走式掃除機10の使用者の操作情報を制御ユニット80に伝える。また、操作表示ユニット85は、自走式掃除機10の制御状況と動作情報とを表示する。
電源ユニット90は、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、乾燥ユニット70および制御ユニット80に電力を供給する。
本実施の形態において、ボディ20は、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80、操作表示ユニット85および電源ユニット90を収容する。ボディ20を上方から見た形状は、図1に示されるように、正方形の四隅を円弧状にし、四辺を湾曲させて真円に近づけた形状である。なお、ボディ20を上方から見た形状は、本例に限られず、例えば、真円形状、楕円形状、長方形状または三角形状等であってもよい。
ボディ20は、一例として、上カバー21と下ケース22とを有する。上カバー21は、ボディ20の上側部分を形成する部材である。下ケース22は、ボディ20の下側部分を形成する部材である。
上カバー21は、ボディ20に収納される各機器を上方から覆うように配置される。例えば、上カバー21は、集塵ユニット60を上方から覆うように配置される。上カバー21は、自走式掃除機10の外殻の上部を形成する。本実施の形態における上カバー21の上面は、自走式掃除機10の上面である。上カバー21の上面は、山型の三次元曲面状に形成される。すなわち、自走式掃除機10の上面は、平面視における中央部分が最も高い凸状に形成される。
下ケース22は、自走式掃除機10が使用される際に当該下ケース22の底面22aが被清掃面に対向するように設けられる。底面22aは、下ケース22の底面の中央部である。本実施の形態において、下ケース22の底面22aは、ボディ20の底面でもある。一例として、底面22aは、電源ユニット90の下方に位置している。下ケース22の底面22aは、自走式掃除機10の底面の一部でもある。
下ケース22の底面は、部分的に高さが異なるように構成されている。図3に示されるように、底面22bは底面22aよりも上方に位置する。
駆動ユニット30は、自走式掃除機10が移動するための移動手段の一例である。例えば、自走式掃除機10は、一対の駆動ユニット30を備える。一対の駆動ユニット30は、下ケース22の左側部分と右側部分とに、それぞれ取り付けられる。一例として、一対の駆動ユニット30は、電源ユニット90の左側と右側とに、それぞれ設けられる。一対の駆動ユニット30は、それぞれが左右対称な位置に配置される。
一対の駆動ユニット30の各々は、車輪31、車輪用モーター32、ギヤユニット33および調節部34を有する。
車輪31は、自走式掃除機10が被清掃面上を走行するためのものである。車輪31は、被清掃面に接触することで駆動力を発生させる。車輪31は、自走式掃除機10が移動するための駆動力を発生させる駆動体の一例である。
車輪用モーター32は、車輪31が回転するための動力を供給する。図4は、実施の形態1の車輪用モーター32の斜視図である。図4に示されるように、車輪用モーター32は、当該車輪用モーター32の回転軸となるモーター軸32aを有する。また、車輪用モーター32には、エンコーダー32bが設けられる。
エンコーダー32bは、例えば、車輪用モーター32の回転量を検出するための光学式の装置である。エンコーダー32bは、制御ユニット80に電気的に接続される。エンコーダー32bは、モーター軸32aの回転に合わせて、制御ユニット80へ信号を出力する。
例えば、エンコーダー32bは、円盤32cと回路部32dとによって構成される。円盤32cは、モーター軸32aの一側に設置される。回路部32dは、円盤32cの回転を検出し、円盤32cの回転に応じた信号を出力する。
図4に示されるように、円盤32cには、スリット32eが形成される。回路部32dは、発光素子32fと受光素子32gとを有する。発光素子32fと受光素子32gとは、スリット32eが形成された円盤32cを挟んで対向するように設けられている。
回路部32dは、発光素子32fと受光素子32gとによって、光の通過状態を検出する。光の通過状態とは、発光素子32fからの光が円盤32cによって遮断された状態と、当該光がスリット32eを通過して受光素子32gに到達した状態と、を意味している。回路部32dは、発光素子32fと受光素子32gとによる検出結果を、モーター軸32aの回転量の情報を含む信号に変換し、当該信号を出力する。
なお、エンコーダー32bは、光学式の装置に限られるものではない。エンコーダー32bは、例えば、磁気式の装置でもよい。磁気式のエンコーダー32bは、磁性体が備えられた円盤32cと、ホール素子が備えられた回路部32dと、を有する。ホール素子は、円盤32cに備えられた磁性体の通過を検出するためのものである。磁気式のエンコーダー32bは、磁性体とホール素子とを利用することで、モーター軸32aの回転量を検出することができる。
図5および図6の縦断面図は、図1および図2におけるD-D位置での自走式掃除機10の断面を示す。図7および図8は、図1および図2におけるD-D位置での車輪周辺の斜視図である。図9および図10の縦断面図は、図1および図2におけるE-E位置での自走式掃除機10の断面を示す。
車輪31と車輪用モーター32とは、ギヤユニット33を介して接続されている。ギヤユニット33は、車輪用モーター32によって供給される動力を、車輪31へ伝達する。ギヤユニット33は、車輪31の回転数が適切になるように、車輪用モーター32の回転数を変換する。
ハウジング35は、車輪31、車輪用モーター32およびギヤユニット33を収納する。車輪31は、ハウジング35の内部において、回転自在な状態で支持される。また、図3に示されるように、車輪31は、車輪31の下端が下ケース22の底面22aよりも下方に向けて突出するように設けられている。
図5および図6示すように、車輪31、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33は、回動軸36を中心にして、一体となって回動可能である。車輪31、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33は、後述する巻き込み防止部材37に張力を付与するバネ37dによって、ハウジング35内に収納される方向に付勢されている。
調節部34は、ストッパー34a、嵌合部34b、バネ34c、バネ支持部34dによって構成される。ストッパー34aは、本体の底面22bに設けられ、図示しないガイドに沿って前後にスライド可能に構成される。ストッパー34aは、バネ支持部34dに一端を支持されたバネ34cによって前方向に付勢される。嵌合部34bは、車輪用ギヤユニット33に設けられる。嵌合部34bは、ストッパー34aの前端が嵌合する4つの溝を備える。ストッパー34aを嵌合させる嵌合部34bの溝の位置によって、車輪31の底面22bからの突出量を調節することができる。
ストッパー34aは、嵌合部34bに嵌合した状態において、ストッパー34aの前端下側の水平面が嵌合部34bの溝の水平面に当接するように構成される。したがって,駆動ユニット30は、ハウジング35内に収納される方向に力を受けても回動しない。
ストッパー34aの前端上側は傾斜面を有する。駆動ユニット30がハウジング35内から引き出される方向に力を受けると、嵌合部34bは、ストッパー34aの前端部上側の傾斜面を押す。傾斜面を押されたストッパー34aは、バネ34cの付勢力に抗して後方にスライドする。したがって、駆動ユニットはハウジング35内から引き出される方向に力を受けると、ストッパー34aの嵌合部34bへの嵌合が解除されて段階的に引き出される。
使用者は、車輪31を掴んで動かすことによって、車輪31の底面22bからの突出量を調節することができる。具体的には、使用者は、車輪31を指で掴んで引き出すことによって、車輪31を底面22bから突出させることができる。
車輪31を付勢力に抗して突出させる方向に引っ張り出す操作は、車輪31を付勢力に抗して収納する方向に押し込む操作よりも、調節し易い。また、前者の操作を可能とする構成の場合、ストッパー34aをスライドさせて嵌合部34bへの嵌合を解除すると、車輪31は本体に収納されるが、後者の操作を可能とする構成の場合、車輪31が本体から突出する。したがって、前者の操作を可能とする構成の方は安全性が高い。
図7および図8示すように、車輪31の外周には、被清掃面に対する車輪31の滑りを抑制する軟質部材31aが設けられる。軟質部材31aは、車輪31の軸方向に分割されており、分割された隙間には幅が3mm、深さが3mmの溝31bが形成される。溝31bの底面は摺動性の高い材料で構成される。軟質部材31aを含む車輪31の外径は80mmである。
また、車輪31には、軟質部材31aの外側に摺動性の高い材料の側面部材31cが設けられる。側面部材31cは、軟質部材31aと同じ外径に構成される。また、側面部材31cの幅は3mmである。
巻き込み防止部材37は、底面22bと車輪31との間に形成される前方隙間31dおよび後方隙間31eを横切り、溝31bに沿って配置される。巻き込み防止部材37は、複数のナイロン繊維を撚りまとめて形成した直径1mmの紐状部材である。巻き込み防止部材37は、表面の摺動性が高く、柔軟性を有する。
図9および図10示すように、巻き込み防止部材37の一端は、前方引き出し孔37aを通して固定部37cに固定される。巻き込み防止部材37の他端は、後方引き出し孔37bを通して、バネ37dに接続される。バネ37dはバネ支持部37eに支持される。巻き込み防止部材37は、前方引き出し孔37aと後方引き出し孔37bの間で車輪31に接触する。巻き込み防止部材37は、車輪31の外周から前方引き出し孔37aおよび後方引き出し孔37bに向かう接線に近い配置となる。巻き込み防止部材37は、バネ37dによって張力を付与される。巻き込み防止部材37に接触する車輪31は、この張力によって車輪ユニット30がハウジング35内に収納される方向に力を受ける。
図7および図9の状態から、駆動ユニット30がハウジング35から引き出されると、図8および図10に示すように、巻き込み防止部材37は車輪31によって、本体内部から外側に引っ張られる。巻き込み防止部材37が後方引き出し孔37bから引き出されると、バネ37dが伸長する。巻き込み防止部材37は車輪31の溝31bに沿って接触した状態を維持する。このように、巻き込み防止部材37は、車輪ユニット30のハウジング35からの突出量によらず、車輪31の外周から前方引き出し孔37aおよび後方引き出し孔37bに向かう接線に近い配置となる。
また、図8および図10の状態で、ストッパー34aが後方に引かれると、ストッパー34aが嵌合部34bから外れる。バネ37dが収縮すると、車輪31は巻き込み防止部材37によって、ハウジング35内に収納される。
巻き込み防止部材37は、車輪31の溝31bの底面に摺接するため、車輪31の回転を妨げることはない。
上記のように、車輪31をハウジング35に収納される方向に付勢して且つ調節部34によって車輪31の位置を固定する構成によれば、車輪31を大きく突出させた状態に維持することにより、寝具などの柔らかい被清掃面と車輪31との接触を強く保つことができる。また、上記の構成によれば、使用者は、車輪31の突出量の調整を容易に行うことができる。
上記したように、本実施の形態では、ストッパー34cおよび嵌合部34bは、車輪ユニット30の回動軸36に垂直な方向に嵌合するように設けられている。このような構成であれば、車輪31が被清掃面から力を受けて左右方向に振れた場合でも、嵌合が弱まることがなく、車輪31の回転が乱れることがない。
また、本実施の形態において、清掃ユニット40は、ボディ20内に配置される。清掃ユニット40は、吸込口体41および接続管42を有する。一例として、吸込口体41は、ボディ20の前方部分に、一体的に形成されている。上記したように、底面22aは、下ケース22の底面の中央部である。すなわち、本実施の形態において、吸込口体41は、底面22aよりも前方に位置している。
接続管42は、管状の部材である。接続管42の一端側は、集塵ユニット60に連通する。接続管42の他端側は、吸込口体41に接続される。
また、吸込口体41の底面には、吸込口43が形成される。吸込口43は、ごみおよび空気を吸い込むための開口である。上記したように、一例として、吸込口体41は、ボディ20の前方部分に、一体的に形成されている。本実施の形態において、吸込口43は、下ケース22の底面22bに形成されている。この底面22bは、吸込口体41の下部を構成している。
本実施の形態において、下ケース22の底面は、部分的に高さが異なるように構成されている。図3に示されるように、底面22bは底面22aよりも上方に位置する。すなわち、吸込口43は、底面22aよりも上方にある。
吸込口体41の内部には、風路41aが形成されている。風路41aは、吸込口43を介して、自走式掃除機10の外部と通じている。また、接続管42の内部には、風路42aが形成されている。風路41aは、この風路42aと連通する。風路42aは、風路41aおよび吸込口43を介して、自走式掃除機10の外部と通じている。
本実施の形態において、清掃ユニット40は、一例として、アジテーター44を備えている。アジテーター44は、回転することによって被清掃面からごみを掻き上げるものである。アジテーター44は、風路41aに配置される。アジテーター44は、吸込口43の近傍に配置される。アジテーター44は、吸込口体41に対して回転自在な状態で設けられる。
図11は、実施の形態1のアジテーター44の斜視図である。図11に示されるように、アジテーター44は、複数の除塵体45および軸46を有する。
除塵体45は、例えば、軟質の樹脂によって形成される。本実施の形態における除塵体45は、アジテーター44の軸方向に沿う板状の部材である。例えば、アジテーター44は、四枚の除塵体45を有する。これらの板状の除塵体45は、軸46の外周に、つるまき状に設けられる。除塵体45同士の間には、一定の間隔が形成される。
アジテーター44は、軸46を中心として回転自在な状態で、軸支される。除塵体45は、アジテーター44の回転時に吸込口43から吸込口体41の外へ突出するように設けられる。アジテーター44の回転方向は、吸込口43から突出した除塵体45が被清掃面において前方から後方に向かうように設定される。
除塵体45には、例えば、孔45aが形成される。孔45aは、例えば、矩形状である。なお、孔45aの形状、数および配置は、図5に示される例に限られず、任意に設定され得る。
また、除塵体45の形状、数および配置も、図11に示される例に限られない。例えば、除塵体45は、アジテーター44の軸方向に沿った板状の部材として形成されていてもよい。また、除塵体45は、例えば、繊維質のブラシ毛等によって形成されていてもよい。
本実施の形態において、清掃ユニット40は、上記のアジテーター44を回転させるためのモーター47およびギヤ48を有する。モーター47は、吸込口体41の内部に設けられる。ギヤ48は、モーター47とアジテーター44との間に設けられる。ギヤ48は、モーター47の回転をアジテーター44に伝達する。
また、本実施の形態において、自走式掃除機10は、吸込口43を覆う吸込口ガード43aを備える。吸込口ガード43aは吸込口43の下方から着脱可能に設けられる。
図12は、実施の形態1の吸込口ガード43aの分解斜視図である。図12に示されるように、吸込口ガード43aは、枠体43bと可動ガード部材43cとを有する。吸込口43は、この吸込口ガード43aによって、本体の左右方向に複数に分割される。例えば、吸込口43は、本体の左右方向に2分割または4分割される。
吸込口ガード43aには、吸込口43と連通する開口が形成されている。この開口が分割された状態の吸込口ガード43aが取り付けられることで、吸込口43は分割される。図13は、実施の形態1における吸込口43を2分割する吸込口ガード43aの組立状態の斜視図である。図14は、実施の形態1における吸込口43を4分割する吸込口ガード43aの組立状態の斜視図である。また、図15は、実施の形態1における吸込口43を2分割する吸込口ガード43aの組立状態を底面側から見た斜視図である。図16は、実施の形態1における吸込口43を4分割する吸込口ガード43aの組立状態を底面側から見た斜視図である。図17は、実施の形態1における吸込口43が吸込口ガード43aによって4分割された状態の自走式掃除機10の底面図である。
吸込口ガード43aは、枠体43bと可動ガード部材43cとが組み合わさることによって構成される部品である。可動ガード部材43cは、枠体43bに摺動自在に取り付けられる。
吸込口ガード43aは、吸込口43を分割する複数のガード体を有する。ガード体は、例えば、棒状の部位として形成される。
例えば、枠体43bは、複数のガード体のうちの1つとして、固定ガード体43dを有する。固定ガード体43dは、アジテーター44の除塵体45に干渉しないように、湾曲形状に形成される。固定ガード体43dは、自走式掃除機10の本体の底面側に突出する。つまり、固定ガード体43dは、吸込口43から下方向に突出する。仮に、可動ガード部材43cがない状態で枠体43bが自走式掃除機10の本体に取り付けられた場合、固定ガード体43dは、吸込口43を2分割する。
枠体43bには、可動ガード部材43cをガイドするガイドリブ43eが形成されている。例えば、ガイドリブ43eは、4つ形成される。可動ガード部材43cは、このガイドリブ43eに沿って摺動可能である。
また、枠体43bには、可動ガード部材43cを保持する保持爪43fが形成されている。例えば、保持爪43fは、4つ形成される。可動ガード部材43cは、可動ガード部材43cに引っかかることで、枠体43bから分離することなく保持される。
また、枠体43bには、可動ガード部材43cに設けられた切替レバー43jの可動範囲を確保するための切り欠き部43gが形成されている。切替レバー43jについては、後述する。さらに、枠体43bには、係止爪43hおよび係止レバー43iが形成されている。例えば、係止爪43hおよび係止レバー43iは、それぞれ、2つずつ形成される。枠体43bは、吸込口43に対してこれらの係止爪43hおよび係止レバー43iによって着脱可能に構成されている。
可動ガード部材43cは、2本のフレーム43kを有する。可動ガード部材43cは、この2本のフレーム43kに亘るように構成された2つの可動ガード体43mを有する。可動ガード体43mは、吸込口43を分割するガード体の一例である。
上記したように、可動ガード部材43cは、枠体43bに摺動可能に取り付けられる。可動ガード体43mは、固定ガード体43dと同様、湾曲形状に形成される。可動ガード体43mは、固定ガード体43dと同様、本体の底面側に突出する。
また、フレーム43kには、切替レバー43jが設けられている。切替レバー43jは、フレーム43kから突出するように設けられる。切替レバー43jは、上記した切り欠き部43g内の範囲で移動可能に構成される。
図2、図13、図15において、可動ガード部材43cは、図2における上方向、つまり自走式掃除機10の左方向に移動した状態である。このとき、2つの可動ガード体43mの一方は、枠体43bの開口の端部に接している。2つの可動ガード体43mの他方は固定ガード体43dに接している。これにより、吸込口ガード43aの開口は、2分割された状態となる。この状態の吸込口ガード43aが取り付けられることで、吸込口43は2分割される。
図14、図16、図17において、可動ガード部材43cは、図17における下方向、つまり自走式掃除機10の右方向に移動した状態である。このとき、2つの可動ガード体43mは、いずれも、枠体43bの開口の端部と固定ガード体43dとの間に位置する。これにより、吸込口ガード43aの開口は、4分割された状態となる。この状態の吸込口ガード43aが取り付けられることで、吸込口43は4分割される。
例えば、使用者は、切替レバー43jを左右のいずれかに移動させることにより、固定ガード体43dと可動ガード体43mとの間隔を変更可能である。使用者は、切替レバー43jによって可動ガード部材43cを動かすことで、吸込口43を2分割または4分割のいずれかの状態に容易に切り替えることができる。
本実施の形態において、吸込口ガード43aは、1つの固定ガード体43dと2つの可動ガード体43mとを備えている。本実施の形態において、吸込口ガード43aは、吸込口43を2分割または4分割することができるように構成されている。吸込口ガード43aは、例えば、吸込口43を、分割されない状態、3分割された状態または5分割以上の状態にできるように構成されてもよい。また、例えば、吸込口43の左右方向両端には、複数の可動ガード体43mが収納されていてもよい。吸込口ガード43aは、収納された複数の可動ガード体43mのうちの任意の本数を任意の位置に移動可能に構成されてもよい。
また、切替レバー43jは、例えば、手動ではなく、自走式掃除機10に設けられた駆動部によって自動的に動かされてもよい。駆動部の制御は、例えば、制御ユニット80によって自動的に行われる。
吸引ユニット50は、上記のように構成された清掃ユニット40の後方に配置される。吸引ユニット50は、例えば、ファンユニット51、ダクト52、パッキン52aおよびダクト53を有する。
ファンユニット51は、下ケース22に取り付けられる。ファンユニット51の内部には、図3に示されるように、気流を発生させるファン51aと、当該ファン51aを回転させるファンモータ51bと、が設けられている。ファンユニット51の内部は、ダクト52を介して集塵ユニット60に連通する。ファンユニット51とダクト52とは、パッキン52aによってシールされる。ファンユニット51は、ダクト52の後部に接続している。
図3等に示されるように、本実施の形態において、集塵ユニット60は、清掃ユニット40と吸引ユニット50との間に配置される。すなわち、吸引ユニット50は、集塵ユニット60の後方に配置されている。ファン51aが気流を発生させると、集塵ユニット60からダクト53に向けて空気が流れる。
集塵ユニット60は、例えば、集塵ボックス61および集塵フィルター62を有する。集塵ボックス61は、ごみを内部に捕集する容器状の部材である。集塵フィルター62は、空気中のごみを捕捉するフィルター機能を有する部材である。集塵フィルター62は、集塵ボックス61に、着脱自在に取り付けられる。
例えば、集塵ボックス61は、下ケース22に設けられた集塵ボックス収容部63に対して着脱自在に取り付けられる。集塵ボックス61の上部には、使用者が当該集塵ボックス61を着脱するための取っ手61aが設けられる。
集塵ボックス収容部63に取り付けられた集塵ボックス61は、接続管42の一端側に接続される。接続管42の他端側には、吸込口体41が接続されている。吸込口体41は、接続管42を介して、集塵ボックス61に接続される。集塵ボックス61の内部の空間は、風路42aに連通する。集塵ボックス61の内部の空間は、風路42aを介して、風路41aに連通する。接続管42の一端側と集塵ボックス61との接続部分は、パッキン61bによってシールされる。
本実施の形態において、上カバー21は、蓋体の一例として、集塵ユニット60を上方から覆うように配置される。蓋体の一例である上カバー21は、開閉自在に設けられている。上カバー21を開閉するために具体的な構造については、後述する。
使用者は、上カバー21を開けることによって、集塵ボックス61を、下ケース22に設けられた集塵ボックス収容部63から取り外すことができる。使用者は、取っ手61aを持って、集塵ボックス61を下ケース22の上方へ取り外すことができる。使用者は、集塵ユニット60に捕集されたごみを捨てる際、集塵ボックス収容部63から取り外された集塵ボックス61から、集塵フィルター62を取り外す。これにより、使用者は、集塵ボックス61内のごみを外部に捨てることができる。
乾燥ユニット70は、吸引ユニット50の後方に配置される。乾燥ユニット70は、ヒーター71およびヒーターケース72を有する。ヒーター71は、ヒーターケース72の内部に保持される。ヒーターケース72は、ダクト52に接続される。
ヒーターケース72の底面には、温風出口カバー74が形成される。ヒーターケース72のこの底面は、自走式掃除機10の底面の一部となる。一例として、温風出口カバー74は、下ケース22の底面22aより下方に突出する。
温風出口カバー74には、温風出口73が形成される。温風出口73は、複数の孔によって構成される。この複数の孔の各々は、温風出口カバー74の下端から後面にわたって形成されている。
ファン51aが気流を発生させることによってダクト53を流れた空気は、ヒーターケース72の内部へ送られる。ヒーターケース72の内部へ送られた空気は、ヒーター71によって加熱される。ヒーター71によって加熱された空気は、温風出口73から、自走式掃除機10の外部へ送られる。本実施の形態の自走式掃除機10は、このようにして、温風を外部へ供給することができる。
ヒーター71は、例えばPTC特性をもつ発熱素子を使用した装置である。PTCとは、Positive Temperature Coefficientの略称である。PTCとは、正温度係数を意味する。ヒーター71の発熱素子の電気抵抗は、ヒーターケース72の内部へ送られる空気の量に応じて変化する。上記の発熱素子を使用したヒーター71は、自己の温度を制御する機能を有する。
ヒーター71の温度は、ヒーターケース72の内部へ送られる空気の量に応じて、一定の範囲に保たれるように制御される。これにより、自走式掃除機10から供給される温風の温度は、一定の範囲に保たれる。このため、自走式掃除機10は、過度に高温な温風を外部に供給することがない。
制御ユニット80および電源ユニット90は、ボディ20の内部に配置される。例えば、制御ユニット80は、吸引ユニット50の下方に配置される。例えば、電源ユニット90は、例えば集塵ユニット60の下方に配置される。例えば、電源ユニット90は、下ケース22の底部に取り付けられる。
また、操作表示ユニット85は、例えば、清掃ユニット40の上方に配置される。制御ユニット80と操作表示ユニット85と電源ユニット90とは、互いに電気的に接続されている。
操作表示ユニット85は、例えば、操作表示基板86、動作ボタン87、動作スイッチ87a、上カバー検出スイッチ88、上カバー検出スイッチ用開口88aおよび表示部89を有する。
動作スイッチ87aは、動作ボタン87の押下によって状態が変化する。操作表示基板86は、動作スイッチ87aの状態が変化すると、この情報を電気信号として制御ユニット80に伝える。また、操作表示基板86は、制御ユニット80からの電気信号を受けて、自走式掃除機10の動作状態に対応した内容を表示部89に表示させる。
表示部89は、例えば、LEDが配列された情報表示装置である。表示部89は、自走式掃除機10の運転モードおよび自走式掃除機10の運転時の異常等を表示する。
上カバー検出スイッチ88は、電気接点を開閉する機械式スイッチである。本実施の形態における上カバー検出スイッチ88は、蓋体検出センサーの一例である。上カバー検出スイッチ88は、上カバー検出スイッチ用開口88aから差し込まれる検出レバー21dの接触有無を検出する。検出レバー21dについては、後述する。
電源ユニット90は、例えば、蓄電池91、回路基板92および電源ケース93を有する。回路基板92は、蓄電池91を制御する。例えば、回路基板92は、蓄電池91から供給される電圧および電流の値を制御する。また、回路基板92は、例えば、蓄電池91の温度を制御する。回路基板92は、蓄電池91を保護する。電源ケース93は、蓄電池91および回路基板92を収容する。
また、電源ユニット90は、蓄電池91を充電するための充電端子94を有する。充電端子94は、下ケース22の底面22aから外部へ露出する。充電端子94は、外部の充電器に接続自在に形成される。蓄電池91には、充電端子94を介して、外部の充電器から電力が供給される。なお、充電端子94は、外部の商用電源等に接続可能に形成されてもよい。
また、自走式掃除機10は、一例として、複数の被清掃面検出センサー81を備える。被清掃面検出センサー81は、被清掃面上の段差を検出する。被清掃面検出センサー81は、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係を検出するためものである。被清掃面検出センサー81は、制御ユニット80に接続される。
自走式掃除機10は、例えば、4つの被清掃面検出センサー81を備える。4つの被清掃面検出センサー81は、例えば、下ケース22の外周部下端に設けられる。4つの被清掃面検出センサー81は、例えば、水平面および鉛直面に対して傾斜した状態で設けられる。
4つの被清掃面検出センサー81は、平面視における自走式掃除機10の本体の中央から等距離となる位置に、それぞれ配置される。例えば、4つの被清掃面検出センサー81のうちの2つは、下ケース22の外周部下端の前側部分の右寄りと左寄りとにそれぞれ配置される。例えば、残りの2つの被清掃面検出センサー81は、下ケース22の外周部下端の後側部分の右寄りと左寄りとにそれぞれ配置される。例えば、平面視における自走式掃除機10の本体の中央と被清掃面検出センサー81とを結ぶ仮想線は、自走式掃除機10の前後方向に対して45°傾斜する。
なお、被清掃面検出センサー81の個数および配置は、上記の例に限定されない。被清掃面検出センサー81は、被清掃面の状態が検出できる位置に設けられればよい。例えば、被清掃面検出センサー81は、下ケース22の外周部下端の前方中央部または下ケース22の外周部下端の後方中央部等に設けられてもよい。
複数の被清掃面検出センサー81は、それぞれ、センサーカバー81aに囲われている。センサーカバー81aは、赤外線を透過する樹脂で形成されている。
図18は、実施の形態1の被清掃面検出センサー81の斜視図である。図18に示されるように、被清掃面検出センサー81は、赤外線発光部82と赤外線受光部83とを有する。赤外線発光部82と赤外線受光部83とは、自走式掃除機10の使用時に被清掃面に対向するように配置される。赤外線発光部82は、被清掃面に向けて赤外光を発する。赤外線受光部83は、被清掃面で反射した赤外光を受ける。
赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、被清掃面検出センサー81と被清掃面との位置関係によって変化する。赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、被清掃面検出センサー81と被清掃面とが近づくほど多くなる。赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、被清掃面検出センサー81と被清掃面とが離れるほど少なくなる。このようにして、被清掃面検出センサー81は、被清掃面上の段差を検出することができる。
また、本実施の形態において、下ケース22の底面22aには、突出部29が形成されている。突出部29は、下方に向けて突出する。突出部29は、清掃ユニット40の後方に配置される。突出部29は、例えば、下ケース22と一体的に形成される。
突出部29の下端と温風出口カバー74の下端とは、底面22aよりも下方にある。突出部29の下端と温風出口カバー74の下端とは、例えば、底面22aよりも4mm下にある。なお、突出部29の下端と温風出口カバー74の下端とは、それぞれ異なる高さにあってもよい。
本実施の形態において、車輪31の下端は、突出部29の下端および温風出口カバー74の下端よりも下方にある。車輪31の下端は、例えば、底面22aよりも10mm下にある。また、車輪31は、上記したように、上下方向に移動可能であってもよい。上下方向に移動可能な車輪31の下端の、底面22aに対する下方への突出量は、例えば、最大で40mmである。
また、下ケース22の外周部下端は、底面22aよりも上方にある。下ケース22の外周部下端は、例えば、底面22aよりも5mm上にある。吸込口体41の底面および当該底面に形成された吸込口43は、例えば、底面22aよりも8mm上にある。本実施の形態において、吸込口体41の底面および当該底面に形成された吸込口43は、下ケース22の外周部下端よりも上方にある。
吸込口体41の底面および当該底面に形成された吸込口43は、突出部29の下端よりも上方にある。吸込口体41の底面および当該底面に形成された吸込口43は、温風出口カバー74の下端よりも上方にある。
また、図3に示されるように、自走式掃除機10を側方から見た時、吸込口43、突出部29、車輪31および温風出口カバー74は、前方から順に並んでいる。
上記したように、本実施の形態において、上カバー21は、開閉自在に設けられている。上カバー21には、ヒンジ21aが設けられている。ヒンジ21aは円弧状の部分を有する。上カバー21は、ヒンジ21aの円弧の中心を支点として、下ケース22に対して回動自在に設けられている。
図19は、実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。図19の縦断面図は、上カバー21が一定量だけ回動して開かれた状態を示している。図3の縦断面図は、上カバー21が完全に閉じられた状態を示している。
ヒンジ21aは、例えば、上カバー21の後端部に設けられている。ヒンジ21aの左右方向の幅は、例えば、50mmである。ヒンジ21aは、下ケース22の後部の上部に設けられたヒンジガイド22cに嵌合する。また、ヒンジ21aの円弧の部分の端部には、一対の突起21bが設けられる。
下ケース22に設けられたヒンジガイド22cは、上カバー21に設けられたヒンジ21aを案内する部材である。ヒンジガイド22cは、上突起22dおよび下突起22eを有する。上突起22dおよび下突起22eは、一対の突起21bに係合可能に形成されている。
使用者は、上カバー21の前端を指で持ち上げることで上カバー21を開ける。下ケース22には、上カバー21の前端付近の位置に、指掛け用切り欠き22fが形成されている。指掛け用切り欠き22fは、使用者の指を上カバー21の前端に掛かりやすくするための切り欠きである。
上カバー21がヒンジ21aの円弧の中心を回動中心として回動すると、突起21bは、下突起22eに接触した後、当該下突起22eを乗り越える。図19は、上カバー21が回動して、突起21bが下突起22eに接触した状態を示している。このとき、上カバー21の前端は、図19に示されるように、初期の閉じた状態から高さhだけ上に上がる。高さhは、例えば、10mmである。
使用者は、上カバー21をさらに回動させて開く場合、上カバー21に対して上方向の力をさらに加える。このとき、ヒンジ21aおよびヒンジガイド22cのいずれかがたわむことによって、突起21bが下突起22eを乗り越える。
図20は実施の形態1における上カバー21が90°開いたときの自走式掃除機10の平面図である。図15は、実施の形態1における上カバー21が90°開いたときの自走式掃除機の10縦断面図である。図16は、実施の形態1における集塵ボックス61が装着されていないときの自走式掃除機10の縦断面図である。
上カバー21が図19の状態から上方にさらに回動すると、突起21bが上突起22dに接触する。使用者は、図20および図21に示されるように上カバー21を90°開くには、上カバー21に力を加えてさらに回動させればよい。このとき、ヒンジ21aおよびヒンジガイド22cのいずれかがたわむことによって、突起21bが上突起22dを乗り越える。突起21bが上突起22dを乗り越えると、上カバー21は、初期の閉じた状態から90°開いた状態に保持される。
図21に示されるように、上カバー21が開いた状態において、使用者は、下ケース22の集塵ボックス収容部63から容易に集塵ボックス61を取り外すことができる。使用者は、取っ手61aを引き上げることにより、集塵ボックス61を取り外すことができる。さらに、使用者は、下ケース22の集塵ボックス収容部63から取り外された集塵ボックス61から、集塵フィルター62を取り外すことができる。
突起21bが上突起22dおよび下突起22eを乗り越える際に必要な力は、上カバー21の重量以上の力に設定される。これにより、自走式掃除機10が傾いたり逆さまになったりした際においても、上カバー21は自由に回動することがない。上カバー21が閉じた状態にあるときに自走式掃除機10が逆さまになっても、上カバー21が勝手に開いてしまうことがない。上カバー21が90°開いた状態にあるときに自走式掃除機10が前方に傾いても、上カバー21が勝手に閉じることがない。
なお、上突起22dは、必ずしも上カバー21が90°開いた状態に保持できるように配置されていなくてもよい。例えば、上カバー21が60°以上開いた状態であれば、使用者は、比較的容易に集塵ボックス61を着脱することができる。上突起22dは、例えば、上カバー21が60°開いた状態に保持できるように配置されていてもよい。
また、図22は、実施の形態1における上カバー21が押し下げられたときの自走式掃除機10の縦断面図である。図22に示されるように、上カバー21の中央付近の下側には、バネ21cが設けられる。
バネ21cは、上カバー21が閉じた状態において集塵ボックス61の上部に当接する。その結果、上カバー21は、下ケース22から3mm浮いた状態に保持される。このとき、上カバー21の外殻と下ケース22の外殻とは、連続した一体的な曲面をなす。本実施の形態において、上カバー21は、自走式掃除機10の外観を形成する意匠部品であると共に、上方向からの力を検出する可動体としての機能を有する。
また、上カバー21の前端付近の下側部分には、検出レバー21dが突出して設けられる。検出レバー21dは、上カバー21が図3に示される初期の閉じた状態から押し下げられた際に、上カバー検出スイッチ用開口88aを通って上カバー検出スイッチ88を押す。上カバー検出スイッチ88は、検出レバー21dに押されることで、作動する。
本実施の形態において、検出レバー21dは、上記したように、上カバー21の前端付近に設けられている。すなわち、ヒンジ21aから検出レバー21dまでの距離が、長くとられている。このような構成によれば、上カバー21の微小な変位を上カバー検出スイッチ88によって検出し易くなる。本実施の形態の上記構成によれば、上カバー21の変位の検出精度を高めることができる。
また、上カバー21には、動作ボタン87の位置に合わせて、ボタン開口21eが形成されている。ボタン開口21eは、上カバー21が図17に示されるように押し下げられた状態のときに、動作ボタン87の外殻が上カバー21の外殻と連続した一体的な曲面となるように形成されている。上カバー21が図3に示される初期状態にあるとき、動作ボタン87の外殻は、例えば、上カバー21の外殻より3mm低い位置にある。
上カバー21における動作ボタン87の周囲は、上カバー21が下方に最大に変位した際に、動作ボタン87よりも低くならない。このため、上カバー21の上部にボタン開口21eよりも広い範囲に亘って物が載った場合でも、当該物は、動作ボタン87に接触しない。このため、検出レバー21dが上カバー検出スイッチ88を作動させる力を弱められることがない。また、自走式掃除機10の上部の操作しやすい位置に動作ボタン87を配置しても、上カバー21を上方向からの力を検出する可動体として機能させることができる。
また、バネ21cのバネ定数は、例えば、5グラムの物が上カバー21の上に載った時に上カバー検出スイッチ88が作動するように設定される。バネ21cは、ヒンジ21aと検出レバー21dとの間に設けられる。
本実施の形態において、バネ21cは、ヒンジ21aの左右端部よりも、自走式掃除機10の本体の左右方向の中央寄りに配置される。これにより、ヒンジ21aが回転する際のぶれが少なくなり、上カバー21の微小な動きが検出される。
ヒンジ21aは、50mmの幅を有するため、力が上カバー21の左右端部付近に加わった場合でも、上カバー21の剛性によって検出レバー21dが上カバー検出スイッチ88を作動させる。なお、ヒンジ21aの幅は50mmに限られず、上カバー21の剛性に合わせて、検出レバー21dが上カバー検出スイッチ88を作動させるのに十分な寸法とすればよい。上カバー21の重量を考慮した場合、ヒンジ21aの幅は、例えば、40mm以上とすることが望ましい。
また、バネ21cは、上カバー21が閉じた状態のときに集塵ボックス61の上面に当接するように配置される。これにより、上カバー21は、下ケース22から浮くように保持される。ここで、図23に示されるように、集塵ボックス61が装着されない状態で上カバー21が閉じられた場合、バネ21cは、下からの支持がない。このため、上カバー21は、下ケース22に接触する。この際、検出レバー21dは、上カバー検出スイッチ88を作動させる。本実施の形態において、上カバー検出スイッチ88は、上カバー21が上方向から受ける力を検出する機能と、集塵ボックス61の未装着状態を検出する機能と、を備える。
なお、上カバー検出スイッチ88は、機械式スイッチでなくともよい。例えば、上カバー検出スイッチ88は、発光素子と受光素子とを有する光学式スイッチでもよい。上カバー検出スイッチ88が光学式スイッチである場合、上カバー21の下面に反射部材が設けられ、当該反射部材が光学式スイッチに近接したときに電気接点を導通するようにすればよい。
さらに、本実施の形態の自走式掃除機10は、一例として、バンパー23を備える。バンパー23は、自走式掃除機10の側面方向の障害物を検出するための可動体である。バンパー23は、下ケース22の側面を取り囲むように配置される。このバンパー23は、下ケース22の側面に設けられたバンパーガイド23aに保持される。バンパーガイド23aは、バンパー23を、水平方向に摺動可能に保持する。また、バンパー23は、例えば、4つの支持板23bと4つの作動板23cとを有する。
図24は、実施の形態1における自走式掃除機10のバンパー23に関連する部分の平面図である。図25は、実施の形態1におけるバンパー23の作動板23c付近の縦断面図である。図26は、実施の形態1におけるバンパー23が力を受けた時の作動板23c付近の縦断面図である。
図24において、紙面上の左方向は、自走式掃除機10の前方向である。図24において、紙面上の上方向は、自走式掃除機10の右方向である。
4つの支持板23bは、それぞれ、自走式掃除機10の前後と左右と設けられる。4つの作動板23cは、それぞれ、自走式掃除機10の前方の左右と後方の左右とに設けられる。4つの作動板23cは、平面視における自走式掃除機10の本体の中央から等距離となる位置に、それぞれ配置される。例えば、平面視における自走式掃除機10の本体の中央と作動板23cとを結ぶ仮想線は、自走式掃除機10の前後方向に対して45°傾斜する。
支持板23bは、下ケース22の側面に形成された支持板スリット23dから下ケース22の内部に向かって延びる。支持板23bは、切り欠き部23eを有する。下ケース22には、4つの切り欠き部23eのそれぞれを支持する位置に、バンパー支持ボス23fが設けられる。
4つのバンパー支持ボス23fには、それぞれ、ワッシャー23gとネジ23hとが取り付けられる。支持板23bは、バンパー支持ボス23fとワッシャー23gとの間を摺動自在に設けられる。また、切り欠き部23eの切り欠き幅は、ネジ23hの直径よりも大きい。このため、バンパー23は、水平方向の全方向に摺動自在に支持される。
作動板23cは、下ケース22の側面に形成された作動板スリット23iから下ケース22の内部に向かって延びる。作動板23cは、自走式掃除機10の前後方向に対して45°傾斜した傾斜面23jを有する。
また、下ケース22の内部には、障害物検出センサー23k、バネ23m、ストッパー23nおよびセンサー支持板23pが設けられる。
障害物検出センサー23kは、スイッチ部とレバーとを有するマイクロスイッチである。障害物検出センサー23kは、自走式掃除機10の側方にある物または壁などの障害物を検出するセンサーである。障害物検出センサー23kは、傾斜面23jの移動によりレバーが押されると、電気接点を導通するように構成されている。
バネ23mは、作動板23cが外部から力を受けない状態にあるとき、障害物検出センサー23kが作動しないように傾斜面23jを初期位置に戻す。ストッパー23nは、作動板23cの移動を制限する部材である。ストッパー23nは、障害物検出センサー23kに過度の力が加わることを防止する。また、ストッパー23nは、バネ23mを保持する。
センサー支持板23pは、バンパーガイド23aの内側に設けられる。センサー支持板23pは、障害物検出センサー23k、バネ23mおよびストッパー23nを支持する。
センサー支持板23p、障害物検出センサー23k、バネ23mおよびストッパー23nは、下ケース22の内部に4組設けられる。センサー支持板23p、障害物検出センサー23k、バネ23mおよびストッパー23nは、4つの作動板23cのそれぞれに対応する位置に配置される。バンパー23は、上下方向をバンパー支持ボス23fとワッシャー23gとによって支持される。バンパー23は、水平方向を4つのバネ23mによって支持される。バンパー23が外部から水平方向のどの方向への力を受けても、4つの障害物検出センサー23kのうちの1つもしくは2つが作動する。
図27は、実施の形態1における自走式掃除機10のバンパー23が前方から力を受けたときのバンパー23に関連する部分の平面図である。図28は実施の形態1における自走式掃除機10のバンパー23が前方右方向から力を受けた時のバンパー23に関連する部分の平面図である。図27と図28とにおいて、紙面上の左方向は、自走式掃除機10の前方向である。図27と図28とにおいて、紙面上の上方向は、自走式掃除機10の右方向である。また、図27と図28とにおいて、破線は、バンパー23が力を受けていない初期状態における外殻の位置を示す。
図27に示されるように、バンパー23が前方から力を受けると、前方左右の2つの作動板23cの両方が、それぞれに対応する障害物検出センサー23kを作動させる。このとき、後方左右の2つの作動板23cは、それぞれに対応する障害物検出センサー23kから離れる。
図28に示されるように、バンパー23が前方右方向から力を受けると、前方右の作動板23cのみが、障害物検出センサー23kを作動させる。このとき、他の3つの作動板23cは、それぞれに対応する障害物検出センサー23kから離れる。
このように、作動板23cに傾斜面23jを備え、作動する障害物検出センサー23kの組み合わせを監視することにより、水平方向の8方向のどの方向からの力を受けているかを検出することができる。
なお、障害物検出センサー23kは、マイクロスイッチに限らず、例えば、光学式センサーまたは超音波センサーであってもよい。障害物検出センサー23kは、自走式掃除機10の本体の側方の障害物を検出可能であれば、任意の方式の機器として構成され得る。
また、図29は、実施の形態1における自走式掃除機の制御ユニットの機能を示すブロック図である。制御ユニット80は、動作スイッチ87a、被清掃面検出センサー81、障害物検出センサー23k、上カバー検出スイッチ88およびエンコーダー32bに電気的に接続される。また、制御ユニット80は、駆動ユニット30の車輪用モーター32、清掃ユニット40のモーター47、吸引ユニット50のファンモータ51b、乾燥ユニット70のヒーター71および操作表示ユニット85の表示部89に電気的に接続される。制御ユニット80は、車輪用モーター32、モーター47、ファンモータ51b、ヒーター71および表示部89を制御する。
制御ユニット80は、車輪用モーター32、モーター47、ファンモータ51b、ヒーター71および表示部89を制御するための回路を有する。この回路には、電源ユニット90から電力が供給される。また、車輪用モーター32、モーター47、ファンモータ51b、ヒーター71および表示部89には、制御ユニット80の回路を介して、電源ユニット90から電力が供給される。
なお、車輪用モーター32、モーター47、ファンモータ51b、ヒーター71および表示部89は、制御ユニット80を介さずに電源ユニット90に直接的に接続されてもよい。車輪用モーター32、モーター47、ファンモータ51b、ヒーター71および表示部89には、電源ユニット90から直接的に電力が供給されてもよい。
例えば、被清掃面検出センサー81は、赤外線受光部83が受けた赤外光の量に応じた信号を制御ユニット80へ送る。制御ユニット80は、被清掃面検出センサー81から送られた信号に基づいて、被清掃面に対する自走式掃除機10の位置を判定する。制御ユニット80は、判定した結果に応じて、車輪用モーター32、モーター47、ファンモータ51bおよびヒーター71を制御する。自走式掃除機10は、車輪用モーター32、モーター47、ファンモータ51bおよびヒーター71が駆動することによって、敷き布団F1等の対象物の清掃および乾燥を行う。
本実施の形態におけるボディ20および当該ボディに固定された各種の機器は、自走式掃除機10の本体の一例である。より具体的には、本実施の形態におけるボディ20、駆動ユニット30、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80、操作表示ユニット85、電源ユニット90、被清掃面検出センサー81、障害物検出センサー23kおよび上カバー検出スイッチ88は、自走式掃除機10の本体の一例である。本開示においては、ボディ20、駆動ユニット30、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80、操作表示ユニット85、電源ユニット90、被清掃面検出センサー81、障害物検出センサー23kおよび上カバー検出スイッチ88をまとめて、単に「本体」とも称することがある。
自走式掃除機10の本体は、移動手段の一例である駆動ユニット30によって進行方向へ移動する。また、本実施の形態において、自走式掃除機10の本体の上面は、山型の三次元曲面である。吸込口体41の底面に形成された吸込口43は、本体の底面よりも上方にある。温風出口カバー74は、本体の底面に形成されている。
自走式掃除機10の本体は、駆動ユニット30によって前後進および左右旋回することができる。本実施の形態における駆動ユニット30は、自走式掃除機10の本体を前後進および左右旋回させる移動手段の一例である。前述したように、駆動ユニット30は、左右に1つずつ設けられている。車輪31も、本体の左右にそれぞれ設けられている。本体を前後進させる場合には、左右の車輪31の両方を同方向に同じ回転速度で回転させればよい。
本体を左右に旋回させる方法には、例えば、次の3つの方法が考えられる。1つめは、いわゆる信地旋回である。すなわち、左右の車輪31の一方を停止させた状態で他方を回転させることで本体を旋回させる旋回方法である。2つめは、いわゆる超信地旋回である。すなわち、左右の車輪31の両方を反対方向に同じ回転速度で回転させることで本体を旋回させる旋回方法である。3つめは、いわゆる緩旋回である。すなわち、左右の車輪31の両方を同方向に異なる回転速度で回転させることで本体を旋回させる旋回方法である。自走式掃除機10の本体の旋回には、これら3つの旋回方法のうちのどの旋回方法が用いられてもよい。
また、本実施の形態において自走式掃除機10の本体の重心Gの前後方向の位置は、図3に示すように、車輪31と温風出口カバー74との間にある。すなわち、自走式掃除機10を側方から見た時、吸込口43、突出部29、車輪31、本体の重心Gおよび温風出口カバー74が順に並んでいる。
また、自走式掃除機10を側方から見た時、本体の重心Gは、車輪31を基準として、吸込口43の反対側にある。自走式掃除機10を側方から見た時、温風出口カバー74は、本体の重心Gを基準として、吸込口43の反対側にある。
次に、上記のように構成された自走式掃除機10の動作および効果について説明する。上記した通り、自走式掃除機10は、対象物の一例である敷き布団F1の清掃を行う。図30は、敷き布団F1上を前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
敷き布団F1は、繊維およびこの繊維を覆う側生地によって形成される。側生地は、例えば、綿によって形成される。側生地に覆われる繊維は、例えば、綿、羊毛またはポリエステル等の樹脂繊維である。なお、敷き布団F1を形成する繊維は、例えば、綿または羊毛に樹脂繊維を組み合わせた合繊でもよい。
敷き布団F1は、柔軟性を有する。敷き布団F1の上に物が置かれると、この物の重量によって敷き布団F1内部の繊維が圧縮される。敷き布団F1の上に物が置かれると、敷き布団F1の表面は沈み込む。
敷き布団F1は、主として、シーツSによって覆われた状態で就寝時に使用される。シーツSは、例えば、綿等の素材によって形成される。
自走式掃除機10は、シーツSによって覆われた敷き布団F1上を走行しつつ、この敷き布団F1の清掃および乾燥を行う。自走式掃除機10は、例えば、シーツSによって覆われた敷き布団F1上を前進および後退する。
シーツSによって覆われた敷き布団F1の上に自走式掃除機10が置かれると、敷き布団F1の表面およびシーツSは、自走式掃除機10の重量によって沈み込む。敷き布団F1の表面およびシーツSは、突出部29、車輪31および温風出口カバー74によって、下方に押し下げられる。シーツSおよび敷き布団F1の上において、自走式掃除機10の重量は、主として下ケース22の底面22a、突出部29、車輪31および温風出口カバー74によって支持される。特に、突出部29、車輪31および温風出口カバー74は、自走式掃除機10の重量の大半を支持する。突出部29、車輪31および温風出口カバー74は、シーツSおよび敷き布団F1に対する底面22aの接触を抑制する。
上記したように、車輪31の下端は、突出部29の下端および温風出口カバー74の下端よりも下方にある。このため、車輪31は、シーツSおよび敷き布団F1に対してより強く接触する。その結果、車輪31は、自走式掃除機10が走行するための駆動力を、より効率よく発生させる。
車輪31の前後に亘る巻き込み防止部材37は、車輪31がシーツSおよび敷き布団F1に接触する外周部分において、溝31b内に収まっている。巻き込み防止部材37の溝31b外に張り出す部分は、車輪31が敷き布団F1に沈み込んだときに車輪31と底面22bの間に生じる空間に位置する。巻き込み防止部材37が設けられることによって、車輪31の敷き布団F1との接触が大きく損なわれることはない。したがって、本体を推進するのに十分な駆動力が車輪31から敷き布団F1に伝達される。
本実施の形態において、下ケース22の外周部下端は、底面22a、車輪31の下端、突出部29の下端および温風出口カバー74の下端よりも上方にある。このため、下ケース22の外周部下端は、シーツSおよび敷き布団F1に対して強く押し付けられない。例えば、下ケース22の外周部下端は、シーツSに僅かに接触する。例えば、下ケース22の外周部下端は、シーツSから離れていてもよい。例えば、下ケース22の外周部下端には、敷き布団F1およびシーツS表面の凹凸によって、シーツSに接触する部分と接触しない部分とが含まれてもよい。
また、吸込口体41の底面は、下ケース22の外周部下端よりも上方にある。シーツSに覆われた敷き布団F1上に自走式掃除機10が置かれた状態で、吸込口体41の底面は、敷き布団F1およびシーツSから離れる。
自走式掃除機10は、例えば、動作スイッチ87aが操作されることによって動作を開
始する。例えば、動作スイッチ87aが使用者によってオンの状態にされると、制御ユニット80および被清掃面検出センサー81が起動する。被清掃面検出センサー81は、赤外光の発光および受光を行う。被清掃面検出センサー81は、受光した赤外光の量に応じた信号を制御ユニット80へ送る。
制御ユニット80は、被清掃面検出センサー81から送られた信号に基づいて、被清掃面に対する自走式掃除機10の位置の状態を判定する。例えば、制御ユニット80は、被清掃面検出センサー81が受光した赤外光の量が予め設定された閾値以上である場合、自走式掃除機10がシーツSおよび敷き布団F1の上にあると判定する。この閾値の情報は、例えば、制御ユニット80に予め記憶される。
制御ユニット80は、自走式掃除機10がシーツSおよび敷き布団F1の上にあると判定すると、自走式掃除機10が前進するように車輪用モーター32を駆動させる。自走式掃除機10は、図24に示されるように前進する。また、制御ユニット80は、ファンモータ51b、モーター47およびヒーター71を駆動させる。
ファンモータ51bが駆動すると、ファン51aが回転する。ファン51aは、吸込口43から風路41aと風路42aとを介して集塵ボックス61の内部へと向かう気流を、発生させる。ファン51aが回転すると、集塵ボックス61の内部が減圧する。これにより、シーツSおよび敷き布団F1に付着したごみと空気とが、吸込口43から風路41aへ吸引される。
また、ファンモータ51bが駆動してファン51aが回転すると、シーツSが吸込口43に吸い寄せられる。シーツSは、上方に吸い寄せられる。上方に吸い寄せられたシーツSは、敷き布団F1から離れる。図24に示されるように、上方に吸い寄せられたシーツSと布団F1との間には、空間Bが形成される。
この空間Bのうち、平面視において吸込口43とシーツSとが重なっていない部分には、外部から空気が流入する。また、空間B内の空気は、吸込口43から風路41aへ流れる。シーツSと敷き布団F1との間にある微細なごみは、シーツSを形成する繊維同士の隙間を通じて、吸込口43から風路41aへ空気と共に吸引される。
また、制御ユニット80によってモーター47が駆動させられると、アジテーター44が回転する。吸込口43に吸い寄せられたシーツSは、アジテーター44の除塵体45によって揺らされる。例えば、シーツSと敷き布団F1との間にあるまとまった状態の微細なごみは、シーツSと共に揺らされる。まとまった状態の微細なごみは、揺らされることによって、分散した状態、すなわち、シーツSを形成する繊維同士の隙間を通過しやすい状態になる。また、除塵体45によって揺らされたシーツSと吸込口43との間には、隙間が生じる。この隙間が生じることで、シーツSを形成する繊維同士の隙間を通過したごみが、吸込口43から風路41aへ効果的に吸引される。
また、シーツSの上のごみも、吸込口43から風路41aへ吸引される。吸込口43は、自走式掃除機10の移動に伴って移動する。吸込口43がシーツSの上のごみの付近を通過すると、当該ごみは吸込口43から風路41aへ吸引される。
吸込口43がシーツSの上のごみの付近を通過する際にシーツSが当該吸込口43に吸い寄せられた場合、当該シーツSは回転するアジテーター44によって揺らされる。上記したように、アジテーター44によって揺らされたシーツSと吸込口43との間には、隙間が生じる。この隙間が生じることで、シーツSの上のごみは、吸込口43から風路41aへ効果的に吸引される。
このように、アジテーター44を備える自走式掃除機10であれば、より効果的にごみを吸引することができる。
シーツS上のごみには、例えば、毛髪が含まれる。毛髪は、回転するアジテーター44に絡むことがある。本実施の形態において、除塵体45は板状である。板状の除塵体45の端部には、毛髪が引っ掛かりにくい。板状の除塵体45を有するアジテーター44に絡んだ毛髪は、当該アジテーター44が回転し続けることによって徐々に離れる。アジテーター44から離れた毛髪は、風路41aから風路42aへ吸引される。
また、本実施の形態において、除塵体45には孔45aが形成されている。除塵体45に形成された孔45aは、シーツSが吸込口43に吸い寄せられた状態において当該吸込口43から風路41aへ吸引される通気量を確保する機能を有する。除塵体45に孔45aが形成されていることにより、シーツSが吸込口43に吸い寄せられても、風路41aには十分な量の空気が流れる。孔45aは、風路41a内の風量の低下を防止する。
本実施の形態において、シーツSは、吸込口43に吸い寄せられても、固定ガード体43dおよび可動ガード体43mによって、吸込口43の奥に強く入り込まないように制限される。
例えば、吸込口43は、固定ガード体43dおよび可動ガード体43mによって分割される数が多いほど、つまり開口の幅が狭いほど、シーツSを内部に引き込みづらくなる。そこで、シーツSが薄い場合およびシーツSが柔らかい場合等のシーツSが内部に引き込まれ易いときには、吸込口43を4分割にするとよい。
また、シーツSが吸込口43に引き込まれ易いものでない場合には、吸込口43を2分割にするとよい。これにより、シーツSは、吸込口43に適度に引き込まれた状態で除塵体45に揺らされる。このため、シーツSの下のごみの除去性能が高まる。
風路41aへ吸引されたごみと空気とは、集塵ボックス61へ流入する。集塵ボックス61へ流入したごみは、集塵フィルター62に捕捉される。集塵ボックス61へ流入した空気は、集塵フィルター62を通過する。集塵ボックス61へ流入したごみと空気との混合物は、集塵フィルター62によって、清浄な空気となる。
集塵フィルター62を通過した清浄な空気は、吸引ユニット50を介し、乾燥ユニット70へ送られる。乾燥ユニット70へ送られた空気は、ヒーター71によって加熱される。例えば、ヒーター71は、空気を60℃に加熱する。ヒーター71によって加熱された空気は、温風出口カバー74に形成された温風出口73から、自走式掃除機10の外部へ送られる。
温風出口カバー74の下端は、敷き布団F1に対して沈み込む。温風出口カバー74には、温風出口カバー74の下端から後面側に亘る複数の孔で構成された温風出口73が形成されている。温風出口カバー74が敷き布団F1に対して沈み込むことによって、温風出口73から出た温風が通過する風路が十分に確保される。また、温風出口73が温風出口カバー74の下端から後面に亘って形成されていることで、敷き布団F1の表面の十分な範囲を温風が通過する。本実施の形態の自走式掃除機10であれば、十分な風速の温風を、敷き布団F1の表面に送ることができる。このため、敷き布団F1には効率よく熱が伝達される。本実施の形態の自走式掃除機10であれば、敷き布団F1を、効率よく加熱して乾燥させることができる。
自走式掃除機10は、上記のようにして、前進しながらごみの吸引と温風の供給とを行う自走式掃除機10は、敷き布団F1等の対象物を、清掃しつつ乾燥させることができる。なお、自走式掃除機10は、対象物を乾燥させる機能を必ずしも有さなくてもよい。
本実施の形態において、吸込口43は、底面22aよりも上方にある。このため、敷き布団F1に吸込口43が密着することが防止される。吸込口43は、シーツSに対しても、過度に強く密着することがない。本実施の形態であれば、自走式掃除機10は、柔軟性のある被清掃面の上においても、ごみを吸引する性能と被清掃面上を走行する性能とを保つことができる。
また、吸込口43が底面22aよりも上にあることにより、空間BがシーツSと布団F1との間に形成される。自走式掃除機10が動作すると、空間Bの外側から空間Bの内側へ向かう気流と空間Bの内側から外側へ向かう気流とが生じる。このため、十分な量の空気が空間Bから吸込口43へ向かって流れる。十分な量の空気が空間Bから吸込口43へ向かって流れることにより、自走式掃除機10は、シーツSと敷き布団F1との間にある微細なごみを効率よく吸引することができる。
また、吸込口43は、突出部29の下端よりも上方にある。突出部29は、敷き布団F1を下方に押さえ込む。敷き布団F1が突出部29に押さえ込まれることにより、敷き布団F1が吸込口43に密着することが防止される。突出部29は、柔軟性を有する被清掃面が吸込口43に吸着することを防止する。突出部29は、自走式掃除機10の本体の底面から下方に突出する吸着防止部の一例である。
突出部29は、敷き布団F1と共にシーツSも下方に押さえ込む。突出部29は、吸込口43に吸い寄せられたシーツSのたるみを抑制する。突出部29は、シーツSが吸込口43に対して過度に強く吸着されることを防止する。突出部29は、吸込口43を介して吸込口体41の内部の風路41aの奥へシーツSが入り込むことを防止する。突出部29を備える自走式掃除機10であれば、柔軟性のある被清掃面の上においても、ごみを吸引する性能と被清掃面上を走行する性能とを併せ持つことができる。また、風路41aの奥へ入り込んだシーツSによってアジテーター44の回転が妨げられることも、突出部29によって防止される。
自走式掃除機10を側方からみた場合、突出部29は、吸込口43と車輪31との間に配置される。突出部29は、吸込口43の近傍に配置される。このため、シーツSのうちの吸込口43に吸い寄せられる領域は、一定の領域に制限される。シーツSと敷き布団F1との間の空間Bの広さは、突出部29によって制限される。このため、空間B内には十分な強さの気流が発生する。自走式掃除機10は、シーツSと敷き布団F1との間の空間Bにある微細なごみを、当該空間B内に十分な強さの気流を発生させることで、効果的に吸引する。なお、突出部29は、例えば、下ケース22と別体であってもよい。
また、突出部29は、例えば、被清掃面に対して滑りやすい部材であってもよい。突出部29は、例えば、回転自在な円柱状の部材であってもよい。上記の例のように、突出部29は、自走式掃除機10の走行時に当該突出部29と被清掃面との間で発生する抵抗が低減されるように構成されていてもよい。
本実施の形態の自走式掃除機10の本体の重心Gは、車輪31よりも後方にある。このため、敷き布団F1へ吸い寄せられる力が吸込口体41に加わっても、自走式掃除機10の本体が前方下方に傾斜しにくい。自走式掃除機10の本体の前方下方への傾斜が抑制されることで、シーツSと敷き布団F1との間の空間Bをより確実に生じさせることができる。空間Bをより確実に生じさせることで、自走式掃除機10がごみを吸引する性能がよりよくなる。
前進する自走式掃除機10には、後方下方に向けて傾斜するように慣性力が作用する。本実施の形態においては、重心Gの後方に温風出口カバー74がある。下方に突出した温風出口カバー74は、自走式掃除機10が後方下方に傾斜することを抑制する。これにより、吸込口43が被清掃面から大きく離れることが防止される。自走式掃除機10の前進時において、吸込口43が被清掃面から大きく離れないため、当該自走式掃除機10がごみを吸引する性能が維持される。
本実施の形態における温風出口カバー74は、自走式掃除機10が後方下方に傾斜してしまうことを抑制する傾斜抑制部の一例である。なお、自走式掃除機10は、温風出口カバー74とは別の部材を、傾斜抑制部として備えても良い。また、傾斜抑制部が設けられる位置は、必ずしも自走式掃除機10の本体でなくてもよい。
次に、敷き布団F1の端部を検出する自走式掃除機10について説明する。図31は、敷き布団F1の端部を検出する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
図31に示すように、ボディ20の前端部が敷き布団F1の端部に差し掛かると、ボディ20の前端部が敷き布団F1の端部に差し掛かっていない時に比べて、下ケース22の外周部下端の前側部分に設けられた被清掃面検出センサー81が受ける赤外光の量が少なくなる。例えば、自走式掃除機10がベッド等の上に置かれた敷き布団F1の端部に向けて前進し続けると、被清掃面検出センサー81が受ける赤外光の量はやがてゼロになる。
例えば、制御ユニット80は、下ケース22の外周部下端の前側部分に設けられた被清掃面検出センサー81が受ける赤外光の量が予め設定された閾値を下回ると、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定する。自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した制御ユニット80は、車輪用モーター32を停止させる。制御ユニット80は、車輪用モーター32を停止させた後、車輪用モーター32の回転方向が車輪用モーター32を停止させる前の回転方向に対して反転するように、再び車輪用モーター32を駆動させる。車輪用モーター32が再び駆動することによって、自走式掃除機10は、後退する。
例えば、下ケース22の外周部下端の後側部分に設けられた被清掃面検出センサー81が受ける赤外光の量が予め設定された閾値を下回ると、制御ユニット80は、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定する。自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した制御ユニット80は、車輪用モーター32を停止させる。制御ユニット80は、車輪用モーター32を停止させた後、車輪用モーター32の回転方向が車輪用モーター32を停止させる前の回転方向に対して反転するように、再び車輪用モーター32を駆動させる。車輪用モーター32が再び駆動することによって、自走式掃除機10は、前進する。このように、自走式掃除機10は、敷き布団F1の端部を検出し、敷き布団F1から落下することなく前進と後退とを繰り返す。
なお、制御ユニット80は、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した際、一対の駆動ユニット30のそれぞれの車輪用モーター32の回転速度の変更をする場合もある。制御ユニット80は、一対の駆動ユニット30のそれぞれの車輪用モーター32の回転速度を変更することによって、自走式掃除機10の進行方向を変更させる場合もある。自走式掃除機10は、敷き布団F1の端部を検出し、進行方向の変更を繰り返す場合もある。
上記のようにして、自走式掃除機10は、敷き布団F1の端部を検出することで、敷き布団F1から落下することなく当該敷き布団F1上を自律的に走行し続けることができる。自走式掃除機10は、敷き布団F1から落下することなく、敷き布団F1の清掃および乾燥を継続することができる。
被清掃面検出センサー81の向きが鉛直方向に対して傾斜する角度は、被清掃面検出センサー81が赤外光を受光できる範囲内で設定される。被清掃面検出センサー81の向きが鉛直方向に対して傾斜する角度を、以下では、被清掃面検出センサー81の「傾斜角度」と称する。
被清掃面検出センサー81は、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が大きいほど、ボディ20の外周からより遠い位置の敷き布団F1表面の状態を検出できる。すなわち、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が大きいほど、自走式掃除機10が敷き布団F1から落下するリスクがより低減される。
また、被清掃面検出センサー81は、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、より正確に被清掃面と自走式掃除機10との位置関係を検出することができる。例えば、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、自走式掃除機10が敷き布団F1表面の凸部を乗り越えた際に、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと制御ユニット80によって誤って判定されるリスクが低減される。また、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、自走式掃除機10が敷き布団F1表面の凹部に差し掛かった時に、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと制御ユニット80によって誤って判定されるリスクが低減される。また、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、自走式掃除機10が傾いた際に、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと制御ユニット80によって誤って判定されるリスクが低減される。このように、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係が誤って検出される確率が低くなる。
例えば、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が5°から50°に設定されると、自走式掃除機10が敷き布団F1から落下するリスクが低減され、且つ、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係が誤って検出される確率が低くなる。被清掃面検出センサー81の傾斜角度は、特に、20°から30°の範囲に設定されることが望ましい。これにより、自走式掃除機10が敷き布団F1から落下するリスクが十分に低減され、且つ、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係がより適切に検出される。
自走式掃除機10は、被清掃面検出センサー81の向きを調整する機能を有してもよい。これにより、自走式掃除機10は、敷き布団F1の状態に応じて適切に動作することができる。敷き布団F1の状態とは、例えば、敷き布団F1の表面の起伏および敷き布団F1の端部の形状等を意味する。
赤外線受光部83には、例えば、ポジションセンシングデバイスまたはCMOSイメージセンサが使用されてもよい。また、赤外線受光部83は、被清掃面から受けた赤外光の入射角度を検出するものでもよい。被清掃面検出センサー81は、赤外線受光部83が検出した入射角度に応じた信号を制御ユニット80へ送信するものでもよい。制御ユニット80は、赤外線受光部83が検出した入射角度に基づいて、被清掃面検出センサー81から被清掃面までの距離を算出してもよい。上記のように構成された制御ユニット80および被清掃面検出センサー81であれば、例えば、被清掃面の赤外光の反射率の違いに依らず、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係をより正確に検出することができる。被清掃面の赤外光の反射率は、例えば、当該被清掃面を形成する物体の材質に依る。
次に、敷き布団F3上を前進する自走式掃除機10について説明する。敷き布団F3は、敷き布団F1よりも柔らかい。図32は、柔らかい敷き布団F3上を前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
自走式掃除機10を柔らかい敷き布団F3上で動作させる場合、車輪31の突出量が大きい状態で行うことが望ましい。車輪31の突出量を大きくすることにより、車輪31は、自走式掃除機10が走行するための力をより効率よく被清掃面に伝達する。また、車輪31の突出量が増えることにより、敷き布団F3に対する底面22aの接触が弱くなる。このため、自走式掃除機10は、柔らかい敷き布団F3の上においても走行性能を維持す
ることができる。
自走式掃除機10が敷き布団F1および敷き布団F3の清掃を行っている際、当該自走式掃除機10の本体の上に掛け布団、毛布およびタオル等の物が掛けられていると、被清掃面検出センサー81が正常に動作しない可能性がある。本実施の形態においては、上カバー21上に物が載ると、上カバー検出スイッチ88が作動して、その状態が検出される。上カバー検出スイッチ88が作動すると、制御ユニット80は、車輪用モーター32、モーター47、ファンモータ51bおよびヒーター71を停止させる。そして、制御ユニット80は、表示部89にエラー情報を表示させる。
上カバー21は、例えば、平面視において下ケース22の上面の約8割の面積を占めるように構成される。これにより、上カバー21上に載せられた物が差し掛かかる部分が自走式掃除機10本体の一部であっても、その状態が検出される。
また、上カバー21は、平面視における中央が最も高い凸状に形成される。このため、自走式掃除機10の停止中には上カバー検出スイッチ88を作動させない軽い物、例えば軽い毛布等が上カバー21の上にある場合には、自走式掃除機10が走行することで上カバー21が水平方向の力を受けて、上カバー検出スイッチ88が作動する。
また、自走式掃除機10は、例えば、被清掃面である敷き布団F1上の一部に折り畳まれた掛け布団が置いてある場合には、掛け布団の置かれていない領域の清掃および乾燥を行う。
図33は、実施の形態1におけるバンパー23が掛け布団F2に接触した状態の自走式掃除機10の縦断面図である。
自走式掃除機10は、掛け布団F2に接触すると、バンパー23および上カバー21のいずれかが変位する。図33に示されるように、自走式掃除機10の走行中にバンパー23が掛け布団F2に接触すると、障害物検出センサー23kが作動する。障害物検出センサー23kが作動すると、制御ユニット80は、掛け布団F2とバンパー23との接触位置が清掃対象領域の端部であるとみなす。制御ユニット80は、掛け布団F2とバンパー23との接触位置が清掃対象領域の端部であるという条件で、自走式掃除機10を制御する。具体的には、バンパー23が掛け布団F2に接触すると、制御ユニット80は、予め設定された距離だけ後進した後に進行方向を変えて前進するように自走式掃除機10を制御する。
例えば、バンパー23が室内の壁に接触した場合にも、障害物検出センサー23kが作動する。バンパー23が壁に接触した場合、制御ユニット80は、当該壁が清掃対象領域の端部であるとみなす。バンパー23が壁に接触すると、制御ユニット80は、予め設定された距離だけ後進した後に進行方向を変えて前進するように自走式掃除機10を制御する。
なお、障害物検出センサー23kにより検出される壁面は、厳密には清掃対象領域の境界であるが、実質的には被清掃面検出センサー81により検出される敷き布団F1の上面等の被清掃面の端部と同等に扱われる。本開示においては、障害物検出センサー23kにより検出される境界についても、被清掃面検出センサー81により検出される端部とまとめて、「清掃対象領域の端部」として記述する。
4つの被清掃面検出センサー81のうちのいずれかが敷き布団F1の端部を検出する前に障害物検出センサー23kが作動した場合、制御ユニット80は、被清掃面検出センサー81が敷き布団F1の端部を検出したときと同様の処理を行う。
このように、自走式掃除機10は、清掃対象領域の端部が敷き布団F1の上に置かれた掛け布団F2等の物の側面または室内の壁面等である場合においても、清掃対象領域内を自動走行して、当該清掃対象領域内の被清掃面の清掃および乾燥を行うことができる。
例えば、敷き布団F1が壁に押し当てられるように置かれた場合、当該敷き布団F1の端部には傾斜面が形成されないことがある。敷き布団F1が壁に押し当てられるように置かれた場合、敷き布団F1の壁に接する部分は、水平になったり持ち上がったりすることがある。このような場合においては、被清掃面検出センサー81は、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かっても、敷き布団F1の端部を適切に検出することができない。本実施の形態においては、上記のような場合においても、障害物検出センサー23kによって、自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったことを検出することができる。本実施の形態によれば、清掃対象領域の端部において適切に動作することができる自走式掃除機10が得られる。例えば、自走式掃除機10は、敷き布団F1の端部が接している壁に当たり続けることなく、敷き布団F1上を適切に走行することができる。
また、図34は、実施の形態1における上カバー21が掛け布団F2に接触した状態の自走式掃除機10の縦断面図である。自走式掃除機10の走行中に上カバー21が掛け布団F2に接触すると、上カバー検出スイッチ88が作動する。上カバー検出スイッチ88が作動すると、制御ユニット80は、掛け布団F2を、上方にある障害物とみなす。掛け布団F2を上方にある障害物であるとみなした制御ユニット80は、車輪用モーター32、モーター47、ファンモータ51bおよびヒーター71を停止させる。制御ユニット80は、車輪用モーター32、モーター47、ファンモータ51bおよびヒーター71を停止させた後、自走式掃除機10が予め設定された距離だけ後進するように車輪用モーター32を制御する。
自走式掃除機10が後進した後に上カバー検出スイッチ88の作動状態が解除されると、制御ユニット80は、自走式掃除機10が進行方向を変えて走行するように車輪用モーター32を制御する。自走式掃除機10が予め設定された距離だけ後進しても上カバー検出スイッチ88の作動状態が解除されない場合、制御ユニット80は、車輪用モーター32を停止させ、表示部89にエラー情報を表示させる。このように、自走式掃除機10は、掛け布団F2のような寝具の下にもぐり込んだ場合には、運転を自動的に停止する。これにより、被清掃面検出センサー81が正常に動作しないことによる動作不良を防止することができる。
次に、敷き布団F1上のたるんだシーツSの上を清掃する自走式掃除機10について説明する。図35は、たるんだシーツSに覆われた敷き布団F1上を前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。図35は、図1および図2におけるE-E位置での自走式掃除機10の断面を示す。
自走式掃除機10が敷き布団F1上を前進し、車輪31がシーツSのたるんだ部分に差し掛かると、車輪31はシーツSのたるんだ部分を引き延ばす。このとき、自走式掃除機10の前進速度が低下する。つまり、自走式掃除機10を前進させるための車輪31の駆動力が、シーツSを敷き布団F1上を滑らせながら車輪31の後方に押し出すことに使われる。車輪31の後方に次々に押し出されるシーツSは、車輪31の後方で波状に折り重なる。
車輪31の構成要素のうち、シーツSのたるんだ部分を後方に押し出すのは、軟質部材31aである。軟質部材31aは、溝31bを挟んで一対の部材としてシーツSを押し出す。シーツSは、巻き込み防止部材37が溝31bから離れる位置まで押し出されると、巻き込み防止部材37に沿って移動する。このとき、シーツSは、巻き込み防止部材37と、車輪31の両側面に設けられた側面部材31cとによって、軟質部材31aから引き離される。したがって、シーツSが軟質部材31aに引っ張られた状態で後方隙間31eに引き込まれない。
自走式掃除機10が敷き布団F1上を後進する場合は、シーツSは車輪31の前方で波状に折り重なる。巻き込み防止部材37は車輪31の前後に亘って設けられているため、車輪31の前方に折り重なったシーツSも前方隙間31dに引き込まれない。
次に、柔らかい敷き布団F3上のたるんだシーツSの上を清掃する自走式掃除機10について説明する。図36は、たるんだシーツSに覆われた柔らかい敷き布団F3上を前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。図35は、図1および図2におけるE-E位置での自走式掃除機10の断面を示す。図36は、車輪31の駆動力を敷き布団F3に伝達するために、車輪31の突出量を最大にした状態である。
車輪31の前後に亘る巻き込み防止部材37は、車輪31がシーツSおよび敷き布団F3に接触する外周部分において、溝31b内に収まっている。したがって、車輪31の突出量が最大の状態においても、巻き込み防止部材37が車輪31とシーツSおよび敷き布団F3との接触を大きく低減させることはない。つまり、巻き込み防止部材37が、車輪31からシーツSおよび敷き布団F3に伝達される駆動力を大きく低減させることはない。したがって、本体を推進するのに十分な駆動力が車輪31から敷き布団F3に伝達される。
自走式掃除機10が敷き布団F3上を前進し、車輪31がシーツSのたるんだ部分に差し掛かると、車輪31はシーツSのたるんだ部分を引き延ばす。このとき、自走式掃除機10の前進速度が低下する。つまり、自走式掃除機10を前進させるための車輪31の駆動力が、シーツSを敷き布団F3上を滑らせながら車輪31の後方に押し出すことに使われる。車輪31の後方に次々に押し出されるシーツSは、車輪31の後方で波状に折り重なる。
車輪31の突出量が大きい場合、軟質部材31aとシーツSの接触面積が大きくなるため、車輪31の後方にシーツSを押し出される力が大きくなる。したがって、シーツSの車輪31の後方での波状の折り重なりが多くなる。このような状態においても、巻き込み防止部材37は、車輪31と底面22bとの間に張り出しているため、シーツSは、巻き込み防止部材37と、車輪31の両側面に設けられた側面部材31cとによって、軟質部材31aから引き離される。したがって、シーツSが軟質部材31aに引っ張られた状態で後方隙間31eに引き込まれない。
自走式掃除機10が敷き布団F3上を後進する場合は、シーツSは車輪31の前方で波状に折り重なる。巻き込み防止部材37は車輪31の前後に亘って設けられているため、車輪31の前方に折り重なったシーツSも前方隙間31dに引き込まれない。
次に、自走式掃除機10が敷き布団F1上の清掃を行う工程について説明する。敷き布団F1は、矩形の清掃対象領域の一例である。本実施の形態において、制御手段の一例である制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体が第1の工程と第2の工程とを実行するように、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50および乾燥ユニット70を制御する。
第1の工程は、自走式掃除機10の本体が初期位置から清掃基準位置まで移動する工程である。第2の工程は、自走式掃除機10の本体が清掃基準位置から移動しつつ清掃対象領域内の清掃を行う工程である。第2工程では、清掃対象領域である敷き布団F1の乾燥も行われる。
初期位置は、第1の工程を開始する時点での自走式掃除機10の位置である。例えば、使用者が自走式掃除機10を置いた位置が初期位置となる。清掃基準位置は、第2の工程を開始する時点での自走式掃除機10の位置である。第2の工程において、自走式掃除機10は、この清掃基準位置を基準として移動を行いながら、清掃対象領域である敷き布団F1の清掃および乾燥を行う。
また、本実施の形態において、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体が中点検出動作を行うように駆動ユニット30を制御する。中点検出動作とは、清掃対象領域である敷き布団F1の対向する2か所の端部間の中点に移動する動作である。
中点検出動作は、例えば、次の3つの動作からなる。
まず、自走式掃除機10は、現在位置から前方および後方の一方に、本体が清掃対象領域の端部に達したことが被清掃面検出センサー81または障害物検出センサー23kにより検出されるまで進行する。例えば、自走式掃除機10は、敷き布団F1の前方の端部に本体が達したことが被清掃面検出センサー81により検出されるまで前進する。
次に、自走式掃除機10は、前方および後方の他方に進行する。自走式掃除機10は、本体が清掃対象領域の端部に達したことが被清掃面検出センサー81または障害物検出センサー23kにより検出されるまでこの他方に進行する。例えば、自走式掃除機10は、敷き布団F1の後方の端部に本体が達したことが被清掃面検出センサー81により検出されるまで後進する。
その後、自走式掃除機10は、前方および後方の上記一方へ再び進行する。例えば、自走式掃除機10は、再び前進する。自走式掃除機10は、中点検出動作の開始後に清掃対象領域の端部に本体が達したことが被清掃面検出センサー81または障害物検出センサー23kによって最初に検出されてから次に検出されるまでにおける本体の移動距離の半分だけ、上記の一方の方向へ進行する。具体的には、自走式掃除機10は、敷き布団F1の上記の前方の端部と上記の後方の端部との中間位置まで前進する。
上記のような3つの動作が続けて行われることで、自走式掃除機10の本体は、敷き布団F1の対向する2か所の端部間の中点に移動する。敷き布団F1の対向する2か所の端部間の中点は、敷き布団F1の2か所の端部を結ぶ直線上にある。また、敷き布団F1の対向する2か所の端部間の中点は、これら2か所の端部から等距離にある点である。この中点が清掃基準位置として設定される。
上記のように設定された清掃基準位置は、敷き布団F1の端部よりもではなく中央に寄った位置になる。本実施の形態であれば、自走式掃除機10は、敷き布団F1の中央に近い位置から清掃を開始することができる。
中点検出動作の上記の具体例においては、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体の移動距離を検出する必要がある。本体の移動距離の検出方法としては、例えば、次の2つの方法が考えられる。
1つめは、駆動ユニット30の車輪31の回転量に基づいて本体の移動距離を検出する方法である。本体の移動距離は、車輪31の回転量に比例する。よって、本体の移動距離は、モーター軸32aの回転量で表すことができる。制御ユニット80は、モーター軸32aの回転量を、エンコーダー32bによって検出する。本体の移動距離は、移動中のモーター軸32aの回転量と、ギヤユニット33のギヤ比と、車輪31の周長と、を乗じることで求められる。この方法におけるエンコーダー32bは、本体の移動距離を検出するための移動距離検出手段の一例である。
2つめは、本体の前後進の経過時間に基づいて、本体の移動距離を検出する方法である。この方法では、本体の前後進の速度と経過時間とを乗じることで、本体の移動距離を求めることができる。なお、本体の前後進の速度が一定である場合、本体の移動距離は、前後進の継続時間に比例する。この場合、本体の移動距離は、前後進の継続時間で表すことができる。上記した中点検出動作の具体例では、前進する本体が敷き布団F1の端部に達してから後進する本体が敷き布団F1の端部に達するまでの本体の後進時間を検出し、この後進時間の1/2だけ本体を再度前進させればよい。
中点検出動作は、例えば、複数回実行される。例えば、中点検出動作は、第1の工程において2回実行される。例えば、制御ユニット80は、第1の工程において、一回目の中点検出動作の後に本体が90°旋回してから二回目の中点検出動作が行われるように、駆動ユニット30を制御する。自走式掃除機10の本体は、第1の工程開始時の初期位置から、一回目の中点検出動作を行う。本体は、一回目の中点検出動作の後、90°旋回してから二回目の中点検出動作を行う。そして、この二回目の中点検出動作を行った結果として本体のある位置が、清掃基準位置として設定される。清掃基準位置は、複数回の中点検出動作によって設定されることで、敷き布団F1の中央により近い位置になる。
次に、自走式掃除機10が実行する第1の工程の流れについて、フロー図を参照して説明する。図37および図38は、実施の形態1の自走式掃除機10の第1の工程の流れの一例を示すフロー図である。
制御ユニット80は、第1の工程において、まず、自走式掃除機10の本体が前進するように駆動ユニット30を制御する。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる(ステップS101)。ここで、ステップS101において自走式掃除機10が前進する方向を、本開示では「縦方向」と定義する。
自走式掃除機10が縦方向に前進すると、制御ユニット80は、清掃対象領域の端部に本体が達したことが被清掃面検出センサー81または障害物検出センサー23kにより検出されたか否かを判定する(ステップS102)。例えば、制御ユニット80は、本体が敷き布団F1の端部に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されたか否かを判定する。この端部を、本開示では「縦方向前端」と称する。
本体が縦方向前端に達したことが検出されない場合には、ステップS101およびステップS102の処理が継続される。自走式掃除機10は、本体が縦方向前端に達するまで縦方向へ前進する。
ステップS102において本体が縦方向前端に達したことが検出された場合、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を停止させる(ステップS103)。
制御ユニット80は、ステップS103で車輪31を停止させた後、自走式掃除機10の本体が後進するように駆動ユニット30を制御する。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を反転させる(ステップS104)。このステップS104においては、モーター軸32aの回転量の計測が行われる。モーター軸32aの回転量の計測は、本体の後進中において常時行われる。具体的には、制御ユニット80は、本体の後進中にエンコーダー32bから出力される信号を取り込んで記憶する。
ステップS104で自走式掃除機10が後進すると、制御ユニット80は、清掃対象領域の端部に本体が達したことが被清掃面検出センサー81または障害物検出センサー23kにより検出されたか否かを判定する(ステップS105)。例えば、制御ユニット80は、本体が敷き布団F1の端部に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されたか否かを判定する。この端部を、本開示では「縦方向後端」と称する。
本体が縦方向後端に達したことが検出されない場合には、ステップS104およびステップS105の処理が継続される。自走式掃除機10は、本体が縦方向後端に達するまで後進する。
ステップS105において本体が縦方向後端に達したことが検出された場合、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を停止させる(ステップS106)。
このステップS106において、制御ユニット80は、ステップS104で本体が縦方向前端から後進を開始してから縦方向後端に達するまでのモーター軸32aの回転量に基づいて、縦方向前端から縦方向後端までの距離を算出する。制御ユニット80は、算出したこの距離の値を、縦方向距離L1として設定する。また、制御ユニット80は、縦方向距離L1の半分の距離を算出して、算出した値を縦方向中点距離M1として設定する。さらに、制御ユニット80は、縦方向中点距離M1だけの長さを移動するためのモーター軸32aの回転量N1を設定する。
上記のステップS106の処理が行われた後、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体が前進するように駆動ユニット30を制御する。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる(ステップS107)。このステップS107においては、モーター軸32aの回転量の計測が行われる。モーター軸32aの回転量の計測は、本体の前進中において常時行われる。
ステップS107で自走式掃除機10が前進すると、制御ユニット80は、ステップS107で本体が前進を開始してからのモーター軸32aの回転量が回転量N1以上となったか否かを判定する(ステップS108)。モーター軸32aの回転量が回転量N1以上でない場合、ステップS107およびステップS108の処理が継続される。モーター軸32aの回転量が、回転量N1以上になった場合、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を停止させる(ステップS109)。これにより、一回目の中点検出動作が完了する。
ステップS109の処理が実行されて一回目の中点検出動作が完了すると、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体を時計回りに90°だけ超信地旋回させるように、駆動ユニット30を制御する(ステップS110)。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左の車輪31を正転させ、右の車輪31を反転させる。
図37におけるステップS110の処理の後、図38のフロー図の処理が行われる。図38に示すフロー図は、二回目の中点検出動作の処理を示している。
制御ユニット80は、ステップS110で本体が旋回した後、本体が前進するように駆動ユニット30を制御する。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる(ステップS111)。ステップS111において自走式掃除機10が前進する方向を、本開示では「横方向」と定義する。
自走式掃除機10が横方向に前進すると、制御ユニット80は、清掃対象領域の端部に本体が達したことが被清掃面検出センサー81または障害物検出センサー23kにより検出されたか否かを判定する(ステップS112)。例えば、制御ユニット80は、本体が敷き布団F1の端部に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されたか否かを判定する。この端部を、本開示では「横方向前端」と称する。
本体が横方向前端に達したことが検出されない場合には、ステップS111およびステップS112の処理が継続される。自走式掃除機10は、本体が横方向前端に達するまで横方向へ前進する。
ステップS102において本体が横方向前端に達したことが検出された場合、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を停止させる(ステップS113)。
制御ユニット80は、ステップS113で車輪31を停止させた後、自走式掃除機10の本体が後進するように駆動ユニット30を制御する。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を反転させる(ステップS114)。このステップS114においては、モーター軸32aの回転量の計測が行われる。モーター軸32aの回転量の計測は、本体の後進中において常時行われる。制御ユニット80は、本体の後進中にエンコーダー32bから出力される信号を取り込んで記憶する。
ステップS114で自走式掃除機10が後進すると、制御ユニット80は、清掃対象領域の端部に本体が達したことが被清掃面検出センサー81または障害物検出センサー23kにより検出されたか否かを判定する(ステップS115)。例えば、制御ユニット80は、本体が敷き布団F1の端部に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されたか否かを判定する。この端部を、本開示では「横方向後端」と称する。
本体が横方向後端に達したことが検出されない場合には、ステップS114およびステップS115の処理が継続される。自走式掃除機10は、本体が横方向後端に達するまで後進する。
一方、ステップS115において本体が横方向後端に達したことが検出された場合、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を停止させる(ステップS116)。
ステップS116において、制御ユニット80は、ステップS114で本体が横方向前端から後進を開始してから横方向後端に達するまでのモーター軸32aの回転量に基づいて、横方向前端から横方向後端までの距離を算出する。制御ユニット80は、算出したこの距離の値を、横方向距離L2として設定する。また、制御ユニット80は、横方向距離L2の半分の距離を算出して、算出した値を横方向中点距離M2として設定する。さらに、制御ユニット80は、横方向中点距離M2だけの長さを移動するためのモーター軸32aの回転量N2を設定する。
上記のステップS116の処理が行われた後、制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体が前進するように駆動ユニット30を制御する。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる(ステップS117)。ステップS117においては、モーター軸32aの回転量の計測が行われる。モーター軸32aの回転量の計測は、本体の前進中において常時行われる。
ステップS117で自走式掃除機10が前進すると、制御ユニット80は、ステップS117で本体が前進を開始してからのモーター軸32aの回転量が回転量N2以上となったか否かを判定する(ステップS118)。モーター軸32aの回転量が回転量N2以上でない場合、ステップS117およびステップS118の処理が継続される。
モーター軸32aの回転量が回転量N2以上になった場合、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を停止させる(ステップS119)。これにより、二回目の中点検出動作が完了する。
二回目の中点検出動作が完了した時点での本体の位置が、清掃基準位置として設定される。自走式掃除機10は、この清掃基準位置から第2の工程を実行する。
本実施の形態の自走式掃除機10は、さらに、清掃対象領域のサイズを自動で検出し、検出したサイズに基づいて動作する機能を有している。本実施の形態の自走式掃除機10は、異なるサイズの清掃対象領域に対応することができる。制御手段の一例である制御ユニット80は、上記したように、自走式掃除機10の本体の移動距離を算出する。そして、制御ユニット80は、算出した本体の移動距離に基づいて、矩形の清掃対象領域の短辺の長さと長辺の長さとの情報を含む寸法情報を設定する。制御ユニット80は、設定した寸法情報に基づいて動作する。
例えば、清掃対象領域のサイズは、中点検出動作の際の本体の移動距離に基づいて検出される。具体的には、ステップS119において中点検出動作を完了した自走式掃除機10は、以下のようにして、清掃対象領域である敷き布団F1のサイズの設定を行う。
ステップS119で中点検出動作が完了すると、制御ユニット80は、縦方向距離L1が横方向距離L2より大きいか判定する(ステップS120)。制御ユニット80は、縦方向距離L1と横方向距離L2との比較結果に応じて、敷き布団F1の長辺の長さRLと短辺の長さRSとを設定する。
縦方向距離L1が横方向距離L2よりも大きい場合、制御ユニット80は、敷き布団F1の長辺の長さRLを、縦方向距離L1に自走式掃除機10の本体の前後方向の長さFBを加算したものとして設定する。また、制御ユニット80は、敷き布団F1の短辺の長さRSを、横方向距離L2に自走式掃除機10の本体の前後方向の長さFBを加算したものとして設定する。(ステップS121)。
横方向距離L2が縦方向距離L1以上である場合、制御ユニット80は、敷き布団F1の長辺の長さRLを、横方向距離L2に自走式掃除機10の本体の前後方向の長さFBを加算したものとして設定する。また、制御ユニット80は、敷き布団F1の短辺の長さRSを、縦方向距離L1に自走式掃除機10の本体の前後方向の長さFBを加算したものとして設定する。(ステップS122)。
上記のステップS121およびステップS122の処理によって、矩形状の敷き布団の短辺の長さRSと長辺の長さRLとの情報を含む寸法情報が設定される。
寸法情報を設定する際に用いられる長さFBは、清掃対象領域のサイズの検出結果を補正するためのものである。本体の前後方向の長さFBの情報は、制御ユニット80に予め記憶される。ステップS116において算出された横方向距離L2は、横方向前端と横方向後端との実際の端部間の距離よりも長さFBだけ短い。ステップS106において算出された縦方向距離L1は、縦方向前端と縦方向後端との実際の距離よりも長さFBだけ短い。このため、敷き布団F1のサイズ設定の際、縦方向距離L1および横方向距離L2には、補正のために、本体の前後方向の長さFBが加算される。
制御ユニット80は、一回目の中点検出動作において本体が達した2つの端部間の距離を、第1長さとして算出する。また、制御ユニット80は、二回目の中点検出動作において本体が達した2つの端部間の距離を、第2長さとして算出する。制御ユニット80は、第1長さと第2長さとのうちの長い一方を、矩形の清掃対象領域の長辺の長さRLとして設定する。制御ユニット80は、第1長さと第2長さとのうちの短い他方を、矩形の清掃対象領域の短辺の長さRSとして設定する。このようにして、制御ユニット80は、清掃対象領域のサイズを簡易的に検出する。清掃対象領域の長辺の長さRLおよび短辺の長さRSは、第2の工程における自走式掃除機10の移動量を設定するためのパラメータとなる。
上記したように、第1の工程においては、清掃基準位置を設定する動作と清掃対象領域のサイズを設定する動作との両方が実行される。清掃基準位置を設定する動作と清掃対象領域のサイズを設定する動作とは、例えば、一方のみが実行されてもよい。
本実施の形態においては、清掃基準位置の設定と清掃対象領域のサイズの設定とは、共に、中点検出動作の結果に基づいて行われている。清掃基準位置の設定と清掃対象領域のサイズの設定とは、それぞれ、異なる動作の結果によって行われてもよい。また、清掃対象領域のサイズの設定が行われるタイミングは、第1の工程でなくてもよい。
次に、自走式掃除機10の第1の工程での動作例について説明する。図39および図40は、実施の形態1の自走式掃除機10の本体の第1の工程における移動経路の例を示すものである。清掃対象領域である敷き布団F1の実寸サイズは、例えば、長辺が2mで短辺が1mである。図39および図40においては、cm単位で、清掃対象領域である敷き布団F1のサイズを示している。
図39および図40では、第1の工程開始時の初期位置を白丸で示している。この初期位置は、例えば、使用者が自走式掃除機10を置いた位置である。また、図39および図40では、一回目の中点検出動作が完了した時点において自走式掃除機10がある位置を三角で示している。この三角で示される位置は、縦方向前端と縦方向後端との間の中点である。図39および図40では、縦方向前端と縦方向後端との間の中点を、縦方向中点と表記している。また、第1の工程終了時に自走式掃除機10がある位置、すなわち、清掃基準位置を黒丸で示している。一回目の中点検出動作における本体の移動経路は、実線Y1で示される。二回目の中点検出動作における本体の移動経路は、破線Y2で示される。
図39および図40に示される例では、初期位置は、いずれの例においても、敷き布団F1上における下側であって、敷き布団F1の端部に比較的近い位置である。なお、この下側とは、図39および図40の紙面上における位置を意味している。
図39の例では、初期位置における自走式掃除機10の本体の前後方向は、敷き布団F1の長手方向に対して3°だけ反時計回りに傾いている。図39の例において、清掃基準位置は、敷き布団F1のほぼ中央として設定されている。
図40の例では、初期位置における自走式掃除機10の本体の前後方向は、敷き布団F1の長手方向に対して10°だけ反時計回りに傾いている。図40の例においても、清掃基準位置は、敷き布団F1のほぼ中央として設定されている。
なお、図40の例における清掃基準位置は、図39の例における清掃基準位置に比べて、敷き布団F1の中央から遠くなっている。図40の例における清掃基準位置は、敷き布団F1の中央から約40mmだけ離れている。
このように、敷き布団F1のような矩形の清掃対象領域の対向する2ヶ所の端部間の中点に移動する中点検出動作が2回繰り返されることで、自走式掃除機10の本体は清掃対象領域のほぼ中央に移動する。そして、清掃対象領域のほぼ中央が清掃基準位置として設定される。自走式掃除機10は、清掃対象領域のほぼ中央から清掃対象領域の清掃を開始する。本実施の形態の自走式掃除機10は、清掃対象領域の中央側を端部側よりも重点的に清掃することができる。
例えば、自走式掃除機10の本体は、第2工程において、清掃基準位置を基点として、以下に示す第1動作と第2動作と第3動作とを順に繰り返す。制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体が第1動作と第2動作と第3動作とを順に繰り返すように、駆動ユニット30を制御する。
第1動作は、前進する動作である。第1動作は、前進中の本体が清掃対象領域の端部に達したことが被清掃面検出センサー81または障害物検出センサー23kにより検出されるまで行われる。自走式掃除機10は、第1動作によって、上記の基点から清掃対象領域の端部まで移動する。
前進中の本体が清掃対象領域の端部に達すると、第2動作が行われる。第2動作は、予め設定された後進距離だけ後進する動作である。第2動作によって、自走式掃除機10は、清掃対象領域の端部から基点または基点付近の地点まで戻る。
第2動作の次に行われる第3動作は、予め設定された旋回角度だけ旋回する動作である。第3動作によって、自走式掃除機10の前後方向が変更される。そして、第3動作の後に、再び第1動作と第2動作とが実行される。
このように、自走式掃除機10は、清掃基準位置を基点として、前進と後進と進行方向の変更とを繰り返す。自走式掃除機10がこのような方法で移動する場合、清掃基準位置が清掃対象領域の中央に近い位置となることで、自走式掃除機10の移動経路の重複の偏りが少なくなる。
なお、第1の工程によって清掃基準位置の設定と清掃対象領域のサイズの設定とが行われる場合、初期位置における自走式掃除機10の本体の前後方向は、清掃対象領域の長手方向または短手方向に対して平行であることが望ましい。
初期位置での自走式掃除機10の本体の前後方向と清掃対象領域の長手方向とがなす角または当該前後方向と清掃対象領域の短手方向とがなす角が小さいほど、清掃基準位置は清掃対象領域の中央に近くなる。
また、初期位置での自走式掃除機10の本体の前後方向と清掃対象領域の長手方向とがなす角または当該前後方向と清掃対象領域の短手方向とがなす角が小さいほど、長辺の長さRLおよび短辺の長さRSは、より実寸に近い正確な値に設定される。そして、長辺の長さRLおよび短辺の長さRSの設定値と清掃対象領域の実寸との誤差が小さいほど、第2工程における自走式掃除機の動作をより適切にすることができる。具体的には、第2工程において自走式掃除機10が繰り返し通過する領域および未清掃のまま残されてしまう領域が小さくなる。
例えば、敷き布団F1の長手方向に対する初期位置での自走式掃除機10の本体の前後方向の傾斜角度が3°の場合、敷き布団F1の実寸に対する長辺の長さRLおよび短辺の長さRSの設定値の誤差率は、約0.14パーセントとなる。また、敷き布団F1の長手方向に対する初期位置での自走式掃除機10の本体の前後方向の傾斜角度が10°の場合、敷き布団F1の実寸に対する長辺の長さRLおよび短辺の長さRSの設定値の誤差率は、約1.5パーセントとなる。例えば、敷き布団F1の長手方向に対する初期位置での自走式掃除機10の本体の前後方向の傾斜角度が10°以下であれば、長辺の長さRLおよび短辺の長さRSの設定値の誤差率は十分に小さくなる。
次に、本実施の形態の自走式掃除機10が実行する第2の工程の流れについて、フロー図を参照して説明する。図41は、実施の形態1の自走式掃除機10の第2の工程の流れの一例を示すフロー図である。第2の工程では、上記したように、第1動作と第2動作と第3動作とが順に繰り返される。第2の工程において、自走式掃除機10は、敷き布団F1の端部を検出しつつ、前進と後進と進行方向の変更とを繰り返す。
制御ユニット80は、第2の工程において、まず、後進距離DBおよび旋回角度θを設定する(ステップS201)。第2動作は、この後進距離DBだけ後進する動作である。第3動作は、この旋回角度θだけ旋回する動作である。制御ユニット80は、第1の工程で設定された長辺の長さRLおよび短辺の長さRSに基づいて、清掃対象領域のサイズに適した後進距離DBおよび旋回角度θを設定する。
具体的には、制御ユニット80は、長辺の長さRLと短辺の長さRSとを変数とする数式に基づいて、後進距離DBを設定する。これにより、後進距離DBは、清掃対象領域のサイズに応じた適切な値に設定される。
より具体的には、制御ユニット80は、第1の係数をK、第2の係数をC1、第3の係数をC2として、後進距離DBを次式(1)によって設定する。
(1) DB=(RS-K)×C1+((RL-K)-(RS-K))×C2
後進距離DBが式(1)に基づいて設定されることで、第2の工程における自走式掃除機10の走行経路が適切になる。これにより、自走式掃除機10が繰り返し通過する領域および未清掃のまま残されてしまう領域が小さくなる。
第1の係数Kは、自走式掃除機10の本体の中心から吸込口43までの距離に、本体の先端から吸込口43までの距離を加算したものである。第1の係数Kは、吸込口43が通過しない部分の長さを考慮して後進距離DBを補正するための係数である。
第2の係数C1は、敷き布団F1の短辺の長さRSを基準とする係数である。第3の係数C2は、敷き布団F1の長辺の長さRLと短辺の長さRSとの差を基準とする係数である。第3の係数C2は、清掃対象領域の縦横比に基づいて後進距離DBを補正するための係数である。
また、制御ユニット80は、清掃手段が清掃可能な有効幅、具体的には、吸込口43の幅をVL、補正角度をαとして、旋回角度θを次式(2)によって設定する。
(2) θ=sin-1(VL/DB)+α
旋回角度θが式(2)に基づいて設定されることで、清掃対象領域において吸込口43が通過する回数の偏りが少なくなる。
補正角度αが小さいほど、第3動作によって本体が旋回する前に吸込口43が往復して通過した領域と第3動作によって本体が旋回した後に吸込口43が往復して通過した領域との重複が大きくなる。また、補正角度αが小さいほど、第3動作によって本体が旋回する前に吸込口43が往復して通過した領域と第3動作によって本体が旋回した後に吸込口43が往復して通過した領域とが重ならない領域、すなわち未清掃の領域が小さくなる。
一方、補正角度αが大きいほど、第3動作によって本体が旋回する前に吸込口43が往復して通過した領域と第3動作によって本体が旋回した後に吸込口43が往復して通過した領域との重複が小さくなる。また、補正角度αが大きいほど、第3動作によって本体が旋回する前に吸込口43が往復して通過した領域と第3動作によって本体が旋回した後に吸込口43が往復して通過した領域とが重ならない領域、すなわち未清掃の領域が大きくなる。
補正角度αが小さいほど、自走式掃除機10が清掃対象領域の全域を清掃する運転時間が長くなるが、清掃効果および乾燥効果が大きくなる。一方、補正角度αが大きいほど、上記の運転時間が短くなるが、清掃効果および乾燥効果が小さくなる。補正角度αは、上記の特徴を考慮して、例えば、0°から4°の範囲の角度として設定される。
制御ユニット80は、ステップS201において後進距離DBおよび旋回角度θを設定した後、モーター47、ファンモータ51bおよびヒーター71を駆動させる(ステップS202)。モーター47が駆動することにより、アジテーター44が回転する。アジテーター44が回転することで、被清掃面からごみが掻き上げられる。また、ファンモータ51bが駆動することにより、ファン51aが回転する。回転するファン51aは、気流を発生させる。ファン51aが発生させる気流により、ごみが空気と共に吸込口43から吸引される。吸引された空気は、集塵ユニット60を通過し、ヒーター71により加熱される。ヒーター71により加熱された空気は、温風出口73から送出される。これにより、敷き布団F1が加熱される。ステップS202の処理が実行されることで、自走式掃除機10は、敷き布団F1の清掃および乾燥を開始する。
ステップS201およびステップS202の処理が実行される時点において、自走式掃除機10の本体は、清掃基準位置にある。制御ユニット80は、ステップS202の処理の後、自走式掃除機10の本体が前進するように駆動ユニット30を制御する。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を正転させる(ステップS203)。このステップS203の処理により、上記した第1動作が開始される。自走式掃除機10の本体が前進することで、吸込口43も前方へ移動する。これにより、吸込口43が通過した敷き布団F1上の領域が清掃される。
自走式掃除機10の本体が第1動作を開始すると、制御ユニット80は、清掃対象領域の端部に本体が達したことが被清掃面検出センサー81または障害物検出センサー23kにより検出されたか否かを判定する(ステップS204)。制御ユニット80は、例えば、敷き布団F1の端部に達したことが被清掃面検出センサー81により検出されたか否かを判定する。
清掃対象領域の端部に本体が達したことが検出されない場合には、ステップS203およびステップS204の処理が継続される。自走式掃除機10の本体は、清掃対象領域である敷き布団F1の端部に達するまで第1動作を行う。
ステップS204において清掃対象領域である敷き布団F1の端部に本体が達したことが検出された場合、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を停止させる(ステップS205)。
制御ユニット80は、ステップS205で車輪31を停止させた後、自走式掃除機10の本体が後進するように駆動ユニット30を制御する。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を反転させる(ステップS206)。ステップS206の処理により、上記した第2動作が開始される。ステップS206においては、モーター軸32aの回転量の計測が行われる。モーター軸32aの回転量の計測は、本体の後進中において常時行われる。制御ユニット80は、本体の後進中にエンコーダー32bから出力される信号を取り込んで記憶する。
ステップS206で自走式掃除機10の本体が後進すると、制御ユニット80は、本体が後進距離DBだけ移動したか否かを判定する(ステップS207)。具体的には、制御ユニット80は、ステップS206で本体が後進を開始してからのモーター軸32aの回転量に基づいて、自走式掃除機10の本体の移動距離を算出する。上記したように、本体の移動距離は、モーター軸32aの回転量と、ギヤユニット33のギヤ比と、車輪31の周長と、を乗じることで求められる。
自走式掃除機10の本体が後進距離DBだけ後進していない場合には、ステップS206およびステップS207の処理が継続される。一方、本体が後進距離DBだけ移動した場合には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左右両方の車輪31を停止させる(ステップS208)。このようにして、予め設定された後進距離DBだけ後進する第2動作が終了する。
制御ユニット80は、ステップS208で車輪31を停止させた後、自走式掃除機10の本体を時計回りに旋回角度θだけ超信地旋回させるように、駆動ユニット30を制御する(ステップS209)。具体的には、制御ユニット80は、左右の駆動ユニット30の車輪用モーター32を制御して、左の車輪31を正転させ、右の車輪31を反転させる。このステップS209の処理によって、上記した第3動作が実行される。
自走式掃除機10の本体が旋回角度θだけ旋回した後、制御ユニット80は、過去に実行された第3動作によって本体が旋回した旋回角度θの総和が360°以上であるか否かを判定する(ステップS210)。旋回角度θの総和が360°に達していない場合には、ステップS203の処理が再び実行される。すなわち、第1動作が再び実行される。このようにして、自走式掃除機10の本体は、第1動作と第2動作と第3動作とを順に繰り返す。
過去に実行された第3動作によって本体が旋回した旋回角度θの総和が360°以上になった場合、制御ユニット80は、モーター47、ファンモータ51bおよびヒーター71を停止させる。ファンモータ51bが停止することで、ファン51aも停止する(ステップS211)。これにより、第2の工程が終了する。
過去に実行された第3動作によって本体が旋回した旋回角度θの総和が360°以上になった状態とは、清掃対象領域である敷き布団F1の大部分の清掃が完了した状態を意味している。本実施の形態の自走式掃除機10は、清掃対象領域の大部分の清掃が完了した後、自動的に運転を停止する。
次に、自走式掃除機10の第2の工程での動作例について説明する。図42は、実施の形態1の自走式掃除機10の本体の第2の工程における移動経路の例を示すものである。なお、図42においては、m単位で、清掃対象領域である敷き布団F1のサイズを示している。
図42では、第2の工程開始時に自走式掃除機10の本体がある位置、すなわち清掃基準位置を黒丸で示している。また、図42では、第2の工程における第1動作での本体の前進時の移動経路を実線Y3、第2動作での後進時の移動経路を破線Y4で示している。
図42の例では、第1の係数Kは0.08mに、第2の係数C1は0.5に、第3の係数C2は0.22に、それぞれ設定されている。また、図42の例では、清掃基準位置は敷き布団F1の中央である。清掃基準位置から自走式掃除機10が前進をする方向は、図42における紙面上の右水平方向である。図42の例では、敷き布団F1の長辺の長さRLは、第1の工程によって2mに設定されている。また、図39の例では、敷き布団F1の短辺の長さRSは、第1の工程によって1mに設定されている。さらに、図39の例においては、後進距離DBは、式(1)より、0.68mに設定される。また、図39の例においては、旋回角度θは、吸込口43の幅VLを0.12m、補正角度αを0°として、式(2)より、10°に設定されている。
図42の例において、自走式掃除機10の本体は、清掃基準位置から右水平方向に前進を開始し、敷き布団F1の右側端部が被清掃面検出センサー81によって検出されると、停止する。自走式掃除機10の本体は停止したのち、後進距離DB、すなわち0.68m後進する。後進距離DBだけ後進した自走式掃除機10の本体は、敷き布団F1の中央を越えた位置で停止する。そして、自走式掃除機10の本体は、時計回りに旋回角度θ、すなわち10°だけ超信地旋回する。自走式掃除機10の本体は、旋回角度θだけ旋回した後、再び前進する。自走式掃除機10の本体は、進行方向を変更しつつ、前進と後進との往復動作を繰り返す。自走式掃除機10の本体の往復経路は、図42に示されるように、放射状になる。図42に示されるように、自走式掃除機10の本体は、矩形の清掃対象領域の角の付近まで移動することができる。
上記のようにして自走式掃除機10が矩形の清掃対象領域を移動する場合において、後進距離DBは、当該清掃対象領域の短辺の0.4倍から0.8倍までの長さとして設定されることが望ましい。後進距離DBがこのように設定されることで、自走式掃除機10は、清掃対象領域の全体を、角付近を含めて清掃することができる。
図43は、図42に示される第2工程における本体の移動経路の例と吸込口43の移動軌跡の例とを重ねて示した図である。吸込口43の移動軌跡とは、本体の移動に伴って吸込口43が通過した領域を意味している。すなわち、吸込口43の移動軌跡とは、自走式掃除機10によって清掃された領域を意味している。図43において、吸込口43が通過した領域は、吸込口43の通過回数毎に塗り分けられている。
また、図44は、図43に示される吸込口43の移動軌跡の例を示した図である。すなわち、図43は、図42と図44とを重ね合わせたものに相当する。
なお、図示される吸込口43の移動軌跡は、吸込口43の長辺が通過する回数を計算するシミュレーションによって求めた結果のイメージである。このシミュレーションにおいて、清掃対象領域は、1辺が1cmの微小正方形の領域に分割されている。このシミュレーションの計算方法において、微小正方形を吸込口43の長辺が通過する回数の計算結果には、微小正方形に対して吸込口43の長辺が通過する角度に依って誤差が生じうる。図示されるシミュレーションの結果は、必ずしも実際の動作における結果とは一致しない。ただし、シミュレーションによって得られる吸込口43の移動軌跡のイメージによって、通過回数の分布の傾向を捉えることは、十分に可能である。
図43の例において、本体の移動経路は、敷き布団F1の端部側に向かう放射状の経路となる。また、図43および図44の例において、吸込口43が複数回通過する領域は、敷き布団F1の端部側では少なく、敷き布団F1の中央側では多くなる。図43および図44の例において、自走式掃除機10の本体が停止するまでの総走行距離は、約50mである。
一般的に、敷き布団F1の端部は傾いている。車輪31が敷き布団F1の端部に近接した場合、当該車輪31に対し、敷き布団F1の端部に形成された傾斜面を下る力が加えられる。車輪31が敷き布団F1の端部に近接した場合には、自走式掃除機10の本体が敷き布団F1から落下するリスクがある。
上記したように自走式掃除機10の本体を敷き布団F1の中央側から端部側に向けて移動させる移動方法においては、被清掃面検出センサー81が敷き布団F1の端部に到達した時点で、車輪31が敷き布団F1の中央側にある。これにより、本体が敷き布団F1から落下するリスクが低減される。本実施の形態のように、敷き布団F1の中央側から端部側に向けて移動する移動方法は、敷き布団F1の端部付近を端部に沿って走行する移動方法に比べて、本体が敷き布団F1から落下しづらい。
自走式掃除機10の本体の端部と吸込口43とは、一定の距離だけ離れている。このため、敷き布団F1の端部付近には、図43および図44に示されるように、未清掃の領域が少なからず残ってしまう場合がある。そこで、例えば、吸込口43をより前方に設けたり、被清掃面検出センサー81の閾値の設定を変更して本体が敷き布団F1の端部により近接できるようにしたりすることで、敷き布団F1の端部付近の未清掃の領域を少なくすることができる。
上記したように、図43および図44の例において、吸込口43が通過する回数は、敷き布団F1の端部側の領域よりも、中央側の領域の方が多い。本実施の形態では、自走式掃除機10の本体が、敷き布団F1の中央側から放射状に前進と後進とを繰り返す。このため、敷き布団F1の中央側では吸込口43の移動軌跡の重複が多く、端部側では吸込口43の移動軌跡の重複が少なくなる。このように、本実施の形態の自走式掃除機10は、清掃対象領域である敷き布団F1の中央側を端部側よりも重点的に清掃することができる。また、自走式掃除機10は、清掃対象領域である敷き布団F1の中央側を端部側よりも重点的に乾燥することもできる。
一般的に、敷き布団F1等の寝具の使用者は、当該寝具の中央で寝ることが多い。このため、寝具の中央側の方が端部側よりも、皮脂等のごみが多く付着する。また、寝具の中央側ほど、寝汗による湿りも多い。したがって、寝具の清掃および乾燥を行う際には、寝具全体を均一に清掃および乾燥するよりも、寝具の中央側を重点的に清掃および乾燥したほうが、効率がよい。清掃対象領域の中央側を重点的に清掃および乾燥することができる自走式掃除機10は、清掃対象領域の清掃および乾燥を、効率よく行うことができる。
また、図45は、実施の形態1における補正角度αが2°の場合の吸込口43の移動軌跡の例を示した図である。図45における実線Y3は、一回目の第1動作における本体の前進時の移動経路を示している。図45の例において、旋回角度θは12°である。また、図45の例において、自走式掃除機10の本体が停止するまでの総走行距離は、約42mである。
図45の例における吸込口43の移動軌跡は、図44の例における吸込口43の移動軌跡よりも重複が少ない。図45の例において吸込口43から吸引される塵埃の総量は、図44の例において吸込口43から吸引される塵埃の総量よりも少なくなる可能性がある。一方で、図45の例であれば、図44の例よりも短時間で敷き布団F1のほぼ全体の清掃および乾燥が完了する。
図46は、実施の形態1における補正角度αが4°の場合の吸込口43の移動軌跡の例を示した図である。図46における実線Y3は、一回目の第1動作における本体の前進時の移動経路を示している。図40の例において、旋回角度θは14°である。図46の例において、自走式掃除機10の本体が停止するまでの総走行距離は、約36mである。
図46の例における吸込口43の移動軌跡は、図45の例における吸込口43の移動軌跡よりも、重複が少ない。図46の例において吸込口43から吸引される塵埃の総量は、図43の例において吸込口43から吸引される塵埃の総量よりも少なくなる可能性がある。一方で、図46の例であれば、図45の例よりもさらに短時間で、敷き布団F1のほぼ全体の清掃および乾燥が完了する。
このように、旋回角度θの補正角度αの設定を変更することで、敷き布団F1の全体を清掃するために必要な時間と自走式掃除機10の清掃能力とを調節することができる。
また、図47は、実施の形態1における第1の工程で設定された清掃対象領域のサイズに誤差が含まれる場合の吸込口43の移動軌跡の例を示した図である。図47における実線Y3は、一回目の第1動作における本体の前進時の移動経路を示している。
図47の例では、図40に示される例のように、初期位置における自走式掃除機10の本体の前後方向は、敷き布団F1の長手方向に対して10°だけ反時計回りに傾斜している。このとき、敷き布団F1の長辺の長さRLは2.03mに、短辺の長さRSは1.015mに、それぞれ第1の工程で設定される。
図47の例では、第1の係数Kは0.08mに、第2の係数C1は0.5に、第3の係数C2は0.22に、それぞれ設定されている。図47の例において、後進距離DBは、式(1)より、0.691mに設定される。また、図47の例では、吸込口43の幅VLを0.12m、補正角度αを0°として、式(2)より、旋回角度θは10°に設定されている。
図47の例における吸込口43の移動軌跡は、図44の例における吸込口43の移動軌跡と比較して、通過回数の多い領域に偏りがある。ただし、吸込口43の通過領域は、敷き布団F1のほぼ全体に亘っている。このように、第1の工程において設定された清掃対象領域のサイズに誤差が含まれていても、自走式掃除機10は、第2の工程において、清掃対象領域のほぼ全体の清掃および乾燥を行うことができる。
図48は、図46の例における後進距離DBを変更した場合の吸込口43の移動軌跡の例を示した図である。図48の例では、後進距離DBは0.714mに設定されている。
図48の例における後進距離DBは、図44の例における後進距離DBよりも0.034m長い。図42の例における後進距離DBは、図44の例における後進距離DBに対して、5パーセント長い。
図48の例における吸込口43の移動軌跡は、図47の例における吸込口43の移動軌跡と比較して、通過回数が多い領域に偏りがある。ただし、図48の例においても、吸込口43の通過領域は、敷き布団F1のほぼ全体に亘っている。後進距離DBが式(1)によって算出される値から5パーセント程度ずれていたとしても、自走式掃除機10は、第2の工程において、清掃対象領域のほぼ全体の清掃および乾燥を行うことができる。
また、図49は、長辺の長さが2mで短辺の長さが1.45mの敷き布団F1を清掃する実施の形態1の自走式掃除機10の吸込口43の移動軌跡の例を示した図である。図49における実線Y3は、一回目の第1動作における本体の前進時の移動経路を示している。図49の例では、第1の工程によって、清掃対象領域の長辺の長さRLが2m、短辺の長さRSが1.45mに、それぞれ設定されている。
図49の例において、後進距離DBは、式(1)より、0.806mに設定されている。また、吸込口43の幅VLを0.12m、補正角度αを0°として、式(2)より、旋回角度θは8.6°に設定されている。図49の例において、吸込口43の移動軌跡は、図44から図48に示される各例と同様、敷き布団F1のほぼ全体に亘っている。
図50は、長辺の長さが1.5mで短辺の長さが1mの敷き布団F1を清掃する実施の形態1の自走式掃除機10の吸込口43の移動軌跡の例を示した図である。図50における実線Y3は、一回目の第1動作における本体の前進時の移動経路を示している。図50の例では、第1の工程によって、清掃対象領域の長辺の長さRLが1.5m、短辺の長さRSが1mに、それぞれ設定されている。
図50の例において、後進距離DBは、式(1)より、0.57mに設定されている。また、吸込口43の幅VLを0.12m、補正角度αを0°として、式(2)より、旋回角度θは12.2°に設定されている。図50の例においても、図49の例と同様、吸込口43の移動軌跡は、敷き布団F1のほぼ全体に亘っている。
図51は、長辺の長さが2mで短辺の長さが0.8mの敷き布団F1を清掃する実施の形態1の自走式掃除機10の吸込口43の移動軌跡の例を示した図である。図51における実線Y3は、一回目の第1動作における本体の前進時の移動経路を示している。図51の例では、第1の工程によって、清掃対象領域の長辺の長さRLが2m、短辺の長さRSが0.8mに、それぞれ設定されている。
図51の例において、後進距離DBは、式(1)より、0.624mに設定されている。また、吸込口43の幅VLを0.12m、補正角度αを0°として、式(2)より、旋回角度θは11.1°に設定されている。図51の例においても、吸込口43の移動軌跡は、敷き布団F1のほぼ全体に亘っている。
また、図52は、一辺の長さが1mの正方形の敷き布団F1を清掃する実施の形態1の自走式掃除機10の吸込口43の移動軌跡の例を示した図である。図52における実線Y3は、一回目の第1動作における本体の前進時の移動経路を示している。図52の例では、第1の工程によって、清掃対象領域の長辺の長さRLおよび短辺の長さRSは、共に1mに設定されている。
図52の例において、後進距離DBは、式(1)より、0.46mに設定されている。また、吸込口43の幅VLを0.12m、補正角度αを0°として、式(2)より、旋回角度θは15.1°に設定されている。図52の例においても、吸込口43の移動軌跡は、敷き布団F1のほぼ全体に亘っている。図49から図52に示されるように、本実施の形態の自走式掃除機10は、清掃対象領域の縦横比に依らずに、清掃対象領域のほぼ全体の清掃および乾燥を行うことができる。
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態1と同一または相当する部分については、説明を簡略化および省略する。
図53は、実施の形態2の自走式掃除機10の底面図である。図54および図55は、実施の形態2の自走式掃除機10の縦断面図である。本実施の形態では、原則として、自走式掃除機10が水平面に置かれた状態を基準として、各方向が定義される。
図54および図55の縦断面図は、図53におけるE-E位置での自走式掃除機10の断面を示すものである。図54および図55の縦断面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10の縦方向に沿った断面を側方から見た図である。
図56および図57は、図53におけるD-D位置での自走式掃除機10の断面における車輪周辺の斜視図である。図58および図59は、図53におけるE-E位置での自走式掃除機10の断面における車輪周辺の斜視図である。図60および図61は、外側車輪131dの斜視図である。
図54、図56および図58は、駆動ユニット30がハウジング35に収納された状態を示す図である。図55、図57および図59は、駆動ユニット30がハウジング35から引き出された状態を示す図である。
図54および図55に示すように、車輪131、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33は、回動軸36を中心にして、一体となって回動可能である。車輪131、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33は、バネ38によってハウジング35内に収納される方向に付勢されている。バネ38は、一端がバネ支持部39に支持され、他端が車輪用ギヤユニット33上に設けられたフック33aに接続されている。
車輪131は、外側車輪131dと内側車輪131eとによって構成される。外側車輪131dと内側車輪131eは、連結軸131fによって連結される。連結軸131fの外径は、36mmである。外側車輪131dと内側車輪131eの隙間は3mmである。車輪131には、外側車輪131dと内側車輪131eの隙間と連結軸131fによって、溝131bが形成される。
図56および図57示すように、外側車輪131dおよび内側車輪131eの外周には、被清掃面に対する車輪131の滑りを抑制する軟質部材131aがそれぞれ設けられる。軟質部材131aを含む車輪131の外径は80mmである。また、車輪131には、軟質部材131aの外側に摺動性の高い材料の側面部材131cが設けられる。側面部材131cは、軟質部材131aと同じ外径に構成される。また、側面部材131cの幅は3mmである。
巻き込み防止部材37fは、溝131bに沿って一対配置される。巻き込み防止部材37fは、樹脂で構成した厚さ2mmの板状部材である。一対の巻き込み防止部材37fは、それぞれ傾斜部37mが底面22bと車輪131との間に形成される前方隙間31dおよび後方隙間31eを覆うように配置される。一対の巻き込み防止部材37fは、それぞれ前方回動軸37hおよび後方回動軸37iを中心に回動可能に構成される。前方回動軸37hおよび後方回動軸37iは、それぞれ本体の底面22bに設けられた前方固定部37jおよび後方固定部37kに軸支される。
一対の巻き込み防止部材37fは、前後方向に反転した状態で重ねて配置される。巻き込み防止部材37fは、厚さ1mmの切り欠き部37qを有する。切り欠き部37qは、一対の巻き込み防止部材37fを反転した状態で重ねた場合に、それぞれ前方回動軸37hおよび後方回動軸37iを中心に回動させても互いに切り欠き部37qの範囲内で重なり合うように構成される。つまり、一対の巻き込み防止部材37fは、溝131bの3mmの幅の範囲で回動することができる。一対の巻き込み防止部材37fは同一形状であるが、溝131b内で干渉なく回動可能であれば異形状で構成してもよい。
巻き込み防止部材37fは、溝131b内で、連結軸131fを上下から上方アーム37nと下方アーム37pによって挟むように配置される。上方アーム37nの間隔は、連結軸131fの直径よりも0.5mm長く構成される。つまり、巻き込み防止部材37fは、連結軸131fに対して0.5mmの空隙をもって上方アーム37nと下方アーム37pのいずれかが、連結軸131fに接する。
上方アーム37nは、巻き込み防止部材37fが下方より力を受けない場合に、巻き込み防止部材37fが溝131bから突出することを防止する。下方アーム37pは、自走式掃除機10の清掃時に巻き込み防止部材37fが被清掃面から力を受けた場合に、巻き込み防止部材37fが溝131b内に押し込まれることを防止する。
巻き込み防止部材37fは、自走式掃除機10の清掃動作中、上方アーム37nと下方アーム37pのいずれかが、回転する連結軸131fに接する。巻き込み防止部材37fおよび連結軸131fは摺動性の高い樹脂によって構成されるため、これらの摩擦抵抗は小さい。したがって、巻き込み防止部材37fが、車輪131の駆動力を大きく低減させることはない。
一対の巻き込み防止部材37fは、車輪131の溝131bに配置される。これらの巻き込み防止部材37fの傾斜部37mは、車輪131の前後の前方隙間31dおよび後方隙間31eを覆う。また、傾斜部37mは、それぞれ車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置となるように構成される。
図54、図56および図58の状態から、駆動ユニット30がハウジング35から引き出されると、図55、図57および図59に示すように、一対の巻き込み防止部材137は連結軸131fの移動に伴って、底面22bからの突出が大きくなる。したがって、一対の巻き込み防止部材37fは、それぞれ傾斜部37mが車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置を維持する。このように、巻き込み防止部材37fは、車輪ユニット30のハウジング35からの突出量によらず、傾斜部37mが車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置を維持する。
車輪131の外径は80mmであり、連結軸131fの外径は36mmである。したがって、溝131bの深さは22mmである。巻き込み防止部材37fは、溝131bの深さの範囲内で角度が変化しても、傾斜部37mが車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線の外側に突出しないように、下方アーム37pの幅と傾斜部37mの傾斜角度とを設定されている。ここで、連結軸131fの外径を車輪131の外径の半分以下にとすることにより、下方アーム37pの幅と傾斜部37mの傾斜角度の設定の自由度が大きくなる。
本実施の形態2において、巻き込み防止部材37fの上方アーム37nと下方アーム37pは一体に構成されている。上方アーム37nと下方アーム37pが一体に構成されることにより、別体で構成する場合と比較して、巻き込み防止部材37fの強度を強くすることができる。
また、図55、図57および図59の状態で、ストッパー34aが後方に引かれると、ストッパー34aが嵌合部34bから外れる。バネ38が収縮すると、車輪ユニット30はハウジング35内に収納される。車輪ユニット30がハウジング35内に収納されると、図54、図56および図58に示すように、一対の巻き込み防止部材137は連結軸131fの移動に伴って、底面22bからの突出が小さくなる。
図60は、外側車輪131dを本体内側から見た斜視図である。図61は外側車輪131dを本体外側から見た斜視図である。外側車輪131dは、内側車輪131eに連結する。外側車輪131dの連結支持部131gは、内側車輪131eの連結軸131fの内径側に嵌合する。外側車輪131dと内側車輪131eは、ネジ穴131iとネジ穴131hに挿入されるネジによって締結される。外側車輪131dは、本体外側に凹部131jを備える。使用者は車輪131をハウジング35から引き出す際に、凹部131jに指を掛けることにより、容易に引き出すことができる。
次に、本実施の形態2の自走式掃除機10が敷き布団F1上のたるんだシーツSの上を清掃する自走式掃除機10について説明する。図62は、たるんだシーツSに覆われた敷き布団F1上を前進する実施の形態2の自走式掃除機10の縦断面図である。図62および図63は、図53におけるE-E位置での自走式掃除機10の断面図である。
一対の巻き込み防止部材37fは、車輪131がシーツSおよび敷き布団F1に接触する外周部分において、溝131b内に収まっている。巻き込み防止部材37fの溝131b外に露出する傾斜部37mの一部は、車輪131が敷き布団F1に沈み込んだときに車輪131と底面22bの間に生じる空間に位置する。巻き込み防止部材37fが設けられることによって、車輪131の敷き布団F1との接触が大きく損なわれることはない。したがって、本体を推進するのに十分な駆動力が車輪131から敷き布団F1に伝達される。
自走式掃除機10が敷き布団F1上を前進し、車輪131がシーツSのたるんだ部分に差し掛かると、車輪131はシーツSのたるんだ部分を引き延ばす。このとき、自走式掃除機10の前進速度が低下する。つまり、自走式掃除機10を前進させるための車輪131の駆動力が、シーツSを敷き布団F1上を滑らせながら車輪131の後方に押し出すことに使われる。車輪131の後方に次々に押し出されるシーツSは、車輪131の後方で波状に折り重なる。
車輪131の構成要素のうち、シーツSのたるんだ部分を後方に押し出すのは、軟質部材131aである。軟質部材131aは、溝131bを挟んで一対の部材としてシーツSを押し出す。シーツSは、巻き込み防止部材37fの傾斜部37mが溝131bから露出する位置まで押し出されると、傾斜部37mに沿って移動する。このとき、シーツSは、傾斜部37mと、車輪131の両側面に設けられた側面部材131cとによって、軟質部材131aから引き離される。したがって、シーツSが軟質部材131aに引っ張られた状態で後方隙間31eに引き込まれない。
自走式掃除機10が敷き布団F1上を後進する場合は、シーツSは車輪131の前方で波状に折り重なる。一対の巻き込み防止部材37fは車輪131の前後に亘って設けられているため、車輪131の前方に折り重なったシーツSも前方隙間31dに引き込まれない。
次に、柔らかい敷き布団F3上のたるんだシーツSの上を清掃する自走式掃除機10について説明する。図63は、たるんだシーツSに覆われた柔らかい敷き布団F3上を前進する実施の形態2の自走式掃除機10の縦断面図である。図63は、車輪131の駆動力を敷き布団F3に伝達するために、車輪131の突出量を最大にした状態である。
一対の巻き込み防止部材37fは、車輪131がシーツSおよび敷き布団F3に接触する外周部分において、溝31b内に収まっている。巻き込み防止部材37fの溝131b外に露出する傾斜部37mの一部は、車輪131が敷き布団F3に沈み込んだときに車輪131と底面22bの間に生じる空間に位置する。車輪131の突出量が最大の状態においても、巻き込み防止部材37fが車輪131とシーツSおよび敷き布団F3との接触を大きく低減させることはない。つまり、巻き込み防止部材37fが、車輪131からシーツSおよび敷き布団F3に伝達される駆動力を大きく低減させることはない。したがって、本体を推進するのに十分な駆動力が車輪131から敷き布団F3に伝達される。
自走式掃除機10が敷き布団F3上を前進し、車輪131がシーツSのたるんだ部分に差し掛かると、車輪131はシーツSのたるんだ部分を引き延ばす。このとき、自走式掃除機10の前進速度が低下する。つまり、自走式掃除機10を前進させるための車輪131の駆動力が、シーツSを敷き布団F3上を滑らせながら車輪131の後方に押し出すことに使われる。車輪131の後方に次々に押し出されるシーツSは、車輪131の後方で波状に折り重なる。
車輪131の突出量が大きい場合、軟質部材131aとシーツSの接触面積が大きくなるため、車輪131の後方にシーツSを押し出される力が大きくなる。したがって、シーツSの車輪131の後方での波状の折り重なりが多くなる。このような状態においてもシーツSは、巻き込み防止部材37fの傾斜部37mが溝131bから露出する位置まで押し出されると、傾斜部37mに沿って移動する。このとき、シーツSは、傾斜部37mと、車輪131の両側面に設けられた側面部材131cとによって、軟質部材131aから引き離される。したがって、シーツSが軟質部材131aに引っ張られた状態で後方隙間31eに引き込まれない。
自走式掃除機10が敷き布団F3上を後進する場合は、シーツSは車輪131の前方で波状に折り重なる。一対の巻き込み防止部材37fは車輪131の前後に亘って設けられているため、車輪131の前方に折り重なったシーツSも前方隙間31dに引き込まれない。
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態2と同一または相当する部分については、説明を簡略化および省略する。
図64は、実施の形態3の自走式掃除機10の底面図である。図65は、図64におけるD-D位置での自走式掃除機10の断面における車輪周辺の斜視図である。
図64および図65示すように、車輪131には、軟質部材131aの外側に摺動性の高い材料の側面部材131kが設けられる。側面部材131kは、軟質部材131aよりも外径が6mm小さく構成される。つまり、軟質部材131aと側面部材131kの段差は3mmである。また、側面部材131cの幅は3mmである。
軟質部材131aは側面部材131kよりも外径が大きいため、本実施の形態3の車輪131は、実施の形態2における車輪131よりも、軟質部材131aのシーツSへの接触が大きくなる。したがって、本実施の形態3の車輪131がシーツSに伝達する駆動力は、実施の形態2における車輪131の駆動力よりも大きくなる。
本実施の形態3の自走式掃除機10が敷き布団F1上のたるんだシーツSの上を前進し、車輪131がシーツSのたるんだ部分に差し掛かると、車輪131はシーツSのたるんだ部分を引き延ばす。このとき、自走式掃除機10の前進速度が低下する。つまり、自走式掃除機10を前進させるための車輪131の駆動力が、シーツSを敷き布団F1上を滑らせながら車輪131の後方に押し出すことに使われる。車輪131の後方に次々に押し出されるシーツSは、車輪131の後方で波状に折り重なる。
車輪131の構成要素のうち、シーツSのたるんだ部分を後方に押し出すのは、軟質部材131aである。軟質部材131aは、溝131bを挟んで一対の部材としてシーツSを押し出す。シーツSは、巻き込み防止部材37fの傾斜部37mが溝131bから露出する位置まで押し出されると、傾斜部37mに沿って移動する。このとき、シーツSは、傾斜部37mと、車輪131の両側面に設けられた側面部材131kとによって、軟質部材131aから引き離される。
実施の形態3の側面部材131kは、軟質部材131aよりも外径が小さい。したがって、実施の形態2における軟質部材131aよりも、シーツSへの接触が大きい。しかし、側面部材131kの幅が3mmあるため、シーツSが車輪131の後方に押し出されると、シーツSはやがて車輪131の両側面の側面部材131kと傾斜部37mとによって軟質部材131aから引き離される。したがって、シーツSが軟質部材131aに引っ張られた状態で後方隙間31eに引き込まれない。
自走式掃除機10が敷き布団F1上を後進する場合は、シーツSは車輪131の前方で波状に折り重なる。一対の巻き込み防止部材37fは車輪131の前後に亘って設けられているため、車輪131の前方に折り重なったシーツSも前方隙間31dに引き込まれない。
実施の形態4.
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態3と同一または相当する部分については、説明を簡略化および省略する。
図66は、実施の形態4の自走式掃除機10の底面図である。図66示すように、車輪132は、外周に軟質部材132aを備える。また、車輪132は、軟質部材131aの外側に摺動性の高い材料の側面部材132bを備える。側面部材132bは、軟質部材132aよりも外径が6mm小さく構成される。つまり、軟質部材132aと側面部材132bの段差は3mmである。また、側面部材132bの幅は3mmである。
車輪132は、外側に側面ガード132cを備える。側面ガード132cは連結軸132dによって車輪に連結される。外側に側面ガード132cは車輪132にネジで固定される。車輪132と側面ガード132cの隙間は3mmである。車輪132と側面ガード132cの隙間と連結軸131fによって、溝132eが形成される。
巻き込み防止部材37fは、溝132eに沿って一対配置される。巻き込み防止部材37fは、樹脂で構成した厚さ2mmの板状部材である。一対の巻き込み防止部材37fは、それぞれ傾斜部37mが底面22bと車輪132との間に形成される前方隙間31dおよび後方隙間31eを覆うように配置される。一対の巻き込み防止部材37fは、それぞれ前方回動軸37hおよび後方回動軸37iを中心に回動可能に構成される。
一対の巻き込み防止部材37fは、前後方向に反転した状態で重ねて配置される。巻き込み防止部材37fは、厚さ1mmの切り欠き部37qを有する。切り欠き部37qは、一対の巻き込み防止部材37fを反転した状態で重ねた場合に、それぞれ前方回動軸37hおよび後方回動軸37iを中心に回動させても互いに切り欠き部37qの範囲内で重なり合うように構成される。つまり、一対の巻き込み防止部材37fは、溝132eの3mmの幅の範囲で回動することができる。
巻き込み防止部材37fは、溝132e内で、連結軸132dを上下から上方アーム37nと下方アーム37pによって挟むように配置される。上方アーム37nの間隔は、連結軸132dの直径よりも0.5mm長く構成される。つまり、巻き込み防止部材37fは、連結軸131fに対して0.5mmの空隙をもって上方アーム37nと下方アーム37pのいずれかが、連結軸132eに接する。
上方アーム37nは、巻き込み防止部材37fが下方より力を受けない場合に、巻き込み防止部材37fが溝132eから突出することを防止する。下方アーム37pは、自走式掃除機10の清掃時に巻き込み防止部材37fが被清掃面から力を受けた場合に、巻き込み防止部材37fが溝132e内に押し込まれることを防止する。
巻き込み防止部材37fは、自走式掃除機10の清掃動作中、上方アーム37nと下方アーム37pのいずれかが、回転する連結軸132eに接する。巻き込み防止部材37fおよび連結軸132dは摺動性の高い樹脂によって構成されるため、これらの摩擦抵抗は小さい。したがって、巻き込み防止部材37fが、車輪132の駆動力を大きく低減させることはない。
一対の巻き込み防止部材37fは、車輪132の溝132eに配置される。これらの巻き込み防止部材37fの傾斜部37mは、車輪132の前後の前方隙間31dおよび後方隙間31eを覆う。また、傾斜部37mは、それぞれ車輪132の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置となるように構成される。
駆動ユニット30がハウジング35から引き出されると、一対の巻き込み防止部材137は連結軸132dの移動に伴って、底面22bからの突出が大きくなる。したがって、一対の巻き込み防止部材37fは、それぞれ傾斜部37mが車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置を維持する。このように、巻き込み防止部材37fは、車輪ユニット30のハウジング35からの突出量によらず、傾斜部37mが車輪132の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置を維持する。
本実施の形態4の自走式掃除機10が敷き布団F1上のたるんだシーツSの上を前進し、車輪132がシーツSのたるんだ部分に差し掛かると、車輪132はシーツSのたるんだ部分を引き延ばす。このとき、自走式掃除機10の前進速度が低下する。つまり、自走式掃除機10を前進させるための車輪132の駆動力が、シーツSを敷き布団F1上を滑らせながら車輪132の後方に押し出すことに使われる。車輪132の後方に次々に押し出されるシーツSは、車輪132の後方で波状に折り重なる。
車輪132の構成要素のうち、シーツSのたるんだ部分を後方に押し出すのは、軟質部材132aである。シーツSは、巻き込み防止部材37fの傾斜部37mが溝131bから露出する位置まで押し出されると、傾斜部37mに沿って移動する。このとき、シーツSは、傾斜部37mと、車輪132の内側の側面部材132bとによって、軟質部材132aから引き離される。したがって、シーツSが軟質部材131aに引っ張られた状態で後方隙間31eに引き込まれない。
自走式掃除機10が敷き布団F1上を後進する場合は、シーツSは車輪132の前方で波状に折り重なる。一対の巻き込み防止部材37fは車輪132の前後に亘って設けられているため、車輪131の前方に折り重なったシーツSも前方隙間31dに引き込まれない。
本実施の形態4は、巻き込み防止部材37fを車輪132と側面ガード132cの間の溝132eに沿って配置している。これにより、車輪132と一対の巻き込み防止部材37fを含む駆動ユニット30の構成を簡素化できる。また、駆動ユニット30の左右方向の幅を小さくすることができ、本体の小型化が図れる。
実施の形態5.
次に、実施の形態5について説明する。実施の形態2と同一または相当する部分については、説明を簡略化および省略する。
図67および図68は、実施の形態5の自走式掃除機10の縦断面図である。
巻き込み防止部材37rは、溝131bに沿って一対配置される。巻き込み防止部材37rは、樹脂で構成した厚さ2mmの板状部材である。一対の巻き込み防止部材37rは、それぞれ傾斜部37mが底面22bと車輪131との間に形成される前方隙間31dおよび後方隙間31eを覆うように配置される。一対の巻き込み防止部材37rは、それぞれ前方回動軸37hおよび後方回動軸37iを中心に回動可能に構成される。
一対の巻き込み防止部材37rは、前後方向に反転した状態で重ねて配置される。巻き込み防止部材37rは、厚さ1mmの切り欠き部37qを有する。切り欠き部37qは、一対の巻き込み防止部材37rを反転した状態で重ねた場合に、それぞれ前方回動軸37hおよび後方回動軸37iを中心に回動させても互いに切り欠き部37qの範囲内で重なり合うように構成される。つまり、一対の巻き込み防止部材37rは、溝131bの3mmの幅の範囲で回動することができる。一対の巻き込み防止部材37rは同一形状であるが、溝131b内で干渉なく回動可能であれば異形状で構成してもよい。
巻き込み防止部材37rは、溝131b内で、連結軸131fを上下から上方アーム37nと下方アーム37pによって挟むように配置される。上方アーム37nの間隔は、連結軸131fの直径よりも0.5mm長く構成される。つまり、巻き込み防止部材37rは、連結軸131fに対して0.5mmの空隙をもって上方アーム37nと下方アーム37pのいずれかが、連結軸131fに接する。
上方アーム37nは、巻き込み防止部材37rが下方より力を受けない場合に、巻き込み防止部材37rが溝131bから突出することを防止する。下方アーム37pは、自走式掃除機10の清掃時に巻き込み防止部材37fが被清掃面から力を受けた場合に、巻き込み防止部材37rが溝131b内に押し込まれることを防止する。
巻き込み防止部材37rは、自走式掃除機10の清掃動作中、上方アーム37nと下方アーム37pのいずれかが、回転する連結軸131fに接する。巻き込み防止部材37rおよび連結軸131fは摺動性の高い樹脂によって構成されるため、これらの摩擦抵抗は小さい。したがって、巻き込み防止部材37rが、車輪131の駆動力を大きく低減させることはない。
一対の巻き込み防止部材37rは、車輪131の溝131bに配置される。これらの巻き込み防止部材37rの傾斜部37mは、車輪131の前後の前方隙間31dおよび後方隙間31eを覆う。また、傾斜部37mは、それぞれ車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置となるように構成される。
図67の状態から、駆動ユニット30がハウジング35から引き出されると、図68に示すように、一対の巻き込み防止部材137は連結軸131fの移動に伴って、底面22bからの突出が大きくなる。したがって、一対の巻き込み防止部材37rは、それぞれ傾斜部37mが車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置を維持する。このように、巻き込み防止部材37rは、車輪ユニット30のハウジング35からの突出量によらず、傾斜部37mが車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置を維持する。
本実施の形態5において、巻き込み防止部材37rの上方アーム37nと下方アーム37pはU字状に連結されている。上方アーム37nと下方アーム37pの間に空間を設けたことにより、外側車輪131dと内側車輪131eを一体に構成した車輪131でも、巻き込み防止部材37rを連結軸131fに嵌合させることができる。したがって、自走式掃除機10の組み立てを容易にすることができる。
実施の形態6.
次に、実施の形態6について説明する。実施の形態3と同一または相当する部分については、説明を簡略化および省略する。
図69および図70は、実施の形態6の自走式掃除機10の縦断面図である。
巻き込み防止部材37sは、溝131bに沿って一対配置される。巻き込み防止部材37sは、樹脂で構成した厚さ2mmの板状部材である。一対の巻き込み防止部材37sは、それぞれ傾斜部37mが底面22bと車輪131との間に形成される前方隙間31dおよび後方隙間31eを覆うように配置される。一対の巻き込み防止部材37sは、それぞれ前方回動軸37hおよび後方回動軸37iを中心に回動可能に構成される。
一対の巻き込み防止部材37sは、前後方向に反転した状態で重ねて配置される。巻き込み防止部材37sは、厚さ1mmの切り欠き部37qを有する。切り欠き部37qは、一対の巻き込み防止部材37sを反転した状態で重ねた場合に、それぞれ前方回動軸37hおよび後方回動軸37iを中心に回動させても互いに切り欠き部37qの範囲内で重なり合うように構成される。つまり、一対の巻き込み防止部材37sは、溝131bの3mmの幅の範囲で回動することができる。一対の巻き込み防止部材37sは同一形状であるが、溝131b内で干渉なく回動可能であれば異形状で構成してもよい。
巻き込み防止部材37sは、溝131b内で、連結軸131fを上下から上方アーム37nと下方アーム37pによって挟むように配置される。上方アーム37nの間隔は、連結軸131fの直径よりも0.5mm長く構成される。つまり、巻き込み防止部材37sは、連結軸131fに対して0.5mmの空隙をもって上方アーム37nと下方アーム37pのいずれかが、連結軸131fに接する。
上方アーム37nは、巻き込み防止部材37sが下方より力を受けない場合に、巻き込み防止部材37sが溝131bから突出することを防止する。下方アーム37pは、自走式掃除機10の清掃時に巻き込み防止部材37fが被清掃面から力を受けた場合に、巻き込み防止部材37sが溝131b内に押し込まれることを防止する。
巻き込み防止部材37sは、自走式掃除機10の清掃動作中、上方アーム37nと下方アーム37pのいずれかが、回転する連結軸131fに接する。巻き込み防止部材37sおよび連結軸131fは摺動性の高い樹脂によって構成されるため、これらの摩擦抵抗は小さい。したがって、巻き込み防止部材37sが、車輪131の駆動力を大きく低減させることはない。
一対の巻き込み防止部材37sは、車輪131の溝131bに配置される。これらの巻き込み防止部材37sの傾斜部37mは、車輪131の前後の前方隙間31dおよび後方隙間31eを覆う。また、傾斜部37mは、それぞれ車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置となるように構成される。
図69の状態から、駆動ユニット30がハウジング35から引き出されると、図70に示すように、一対の巻き込み防止部材137は連結軸131fの移動に伴って、底面22bからの突出が大きくなる。したがって、一対の巻き込み防止部材37sは、それぞれ傾斜部37mが車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置を維持する。このように、巻き込み防止部材37sは、車輪ユニット30のハウジング35からの突出量によらず、傾斜部37mが車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置を維持する。
本実施の形態5において、巻き込み防止部材37sの上方アーム37nと下方アーム37pはU字状に連結されている。上方アーム37nと下方アーム37pの間に空間を設けたことにより、外側車輪131dと内側車輪131eを一体に構成した車輪131でも、巻き込み防止部材37sを連結軸131fに嵌合させることができる。したがって、自走式掃除機10の組み立てを容易にすることができる。
実施の形態7.
次に、実施の形態7について説明する。実施の形態3と同一または相当する部分については、説明を簡略化および省略する。
図71および図72は、実施の形態7の自走式掃除機10の縦断面図である。
巻き込み防止部材37tは、溝131bに沿って一対配置される。巻き込み防止部材37tは、樹脂で構成した厚さ2mmの板状部材である。一対の巻き込み防止部材37tは、それぞれ傾斜部37mが底面22bと車輪131との間に形成される前方隙間31dおよび後方隙間31eを覆うように配置される。一対の巻き込み防止部材37tは、それぞれ前方回動軸37hおよび後方回動軸37iを中心に回動可能に構成される。
一対の巻き込み防止部材37tは、前後方向に反転した状態で重ねて配置される。巻き込み防止部材37tは、厚さ1mmの切り欠き部37qを有する。切り欠き部37qは、一対の巻き込み防止部材37tを反転した状態で重ねた場合に、それぞれ前方回動軸37hおよび後方回動軸37iを中心に回動させても互いに切り欠き部37qの範囲内で重なり合うように構成される。つまり、一対の巻き込み防止部材37tは、溝131bの3mmの幅の範囲で回動することができる。一対の巻き込み防止部材37tは同一形状であるが、溝131b内で干渉なく回動可能であれば異形状で構成してもよい。
一対の巻き込み防止部材37tは、バネ38aで連結される。巻き込み防止部材37tは、回動軸と反対側の端部にバネ取付孔39aを備える。バネ38aは、一対の巻き込み防止部材37tのそれぞれのバネ取付孔39aに両端を連結される。バネ38aは、一対の巻き込み防止部材37tを近接させる方向に付勢する。一対の巻き込み防止部材37tはそれぞれ前方回動軸37hおよび後方回動軸37iに軸支されているため、バネ38aによって近接する方向に力を受けると、連結軸131fの下方に接する。バネ38は、外径2.5mmであり、溝131b内に収まる。
巻き込み防止部材37tは、自走式掃除機10の清掃動作中、回転する連結軸131fに接する。巻き込み防止部材37tおよび連結軸131fは摺動性の高い樹脂によって構成されるため、これらの摩擦抵抗は小さい。したがって、巻き込み防止部材37tが、車輪131の駆動力を大きく低減させることはない。
一対の巻き込み防止部材37tは、車輪131の溝131bに配置される。これらの巻き込み防止部材37tの傾斜部37mは、車輪131の前後の前方隙間31dおよび後方隙間31eを覆う。また、傾斜部37mは、それぞれ車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置となるように構成される。
図71の状態から、駆動ユニット30がハウジング35から引き出されると、図72に示すように、一対の巻き込み防止部材37tは連結軸131fの移動に伴って、底面22bからの突出が大きくなる。このとき、一対の巻き込み防止部材37tのバネ取付孔39a間の間隔が広がるため、バネ38aが伸長する。そして、一対の巻き込み防止部材37tは、それぞれ傾斜部37mが車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置を維持する。
このように、巻き込み防止部材37tは、車輪ユニット30のハウジング35からの突出量によらず、傾斜部37mが車輪131の外周から前方固定部37jおよび後方固定部37kに向かう接線に近い配置を維持する。
本実施の形態7において、巻き込み防止部材37tは連結軸131fの下方のみに接触する構成であるため、外側車輪131dと内側車輪131eを一体に構成した車輪131でも、巻き込み防止部材37tを連結軸131fに嵌合させることができる。したがって、自走式掃除機10の組み立てを容易にすることができる。