以下、添付の図面を参照して、実施の形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。本開示では、重複する説明については適宜に簡略化または省略する。なお、本発明は、以下の実施の形態で開示される構成のあらゆる組み合わせを含み得るものである。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の自走式掃除機10の平面図である。図2は、実施の形態1の自走式掃除機10の底面図である。図3、図4および図5は、実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。また、図6は、実施の形態1の自走式掃除機10の正面図である。本実施の形態では、原則として、自走式掃除機10が水平面に置かれた状態を基準として方向を定義する。
図1の平面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を上方向から見た図である。図1における紙面上の左方向を、自走式掃除機10の前方向とする。自走式掃除機10の進行方向は、この前方向である。また、図1における紙面上の右方向を、自走式掃除機10の後方向とする。一例として、自走式掃除機10は、この後方向に向けて後退する。本実施の形態の自走式掃除機10は、前方および後方に移動可能である。また、図1における紙面上の上下方向を、自走式掃除機10の右左方向とする。
図2の底面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を下方向から見た図である。図2における紙面上の左方向は、自走式掃除機10の前方向である。図2における紙面上の右方向は、自走式掃除機10の後方向である。図2における紙面上の上下方向は、自走式掃除機10の左右方向である。
図3の縦断面図は、図1および図2におけるA-A位置での自走式掃除機10の断面を示す。図3の縦断面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10の縦方向に沿った断面を側方から見た図である。図3における紙面上の左方向は、自走式掃除機10の前方向である。図3における紙面上の右方向は、自走式掃除機10の後方向である。図3における紙面上の上下方向は、自走式掃除機10の上下方向である。
図4および図5の縦断面図は、図1および図2におけるD-D位置での自走式掃除機10の断面を示す。図4および図5の縦断面図は、図3と同様、水平面に置かれた自走式掃除機10の縦方向に沿った断面を側方から見た図である。
図6の正面図は、水平面に置かれた自走式掃除機10を前方から見た図である。図6における紙面上の上下方向は、自走式掃除機10の上下方向である。図6における紙面上の左方向は、自走式掃除機10の右方向である。図6における紙面上の右方向は、自走式掃除機10の左方向である。
自走式掃除機10は、清掃対象領域内を自動走行して、被清掃面を清掃する装置である。被清掃面とは、自走式掃除機10によって掃除される面を意味する。被清掃面には、例えば、室内の床面および室内に敷かれた敷き布団F1の上面等が含まれる。
本実施の形態の自走式掃除機10は、ボディ20を備える。ボディ20は、自走式掃除機10の外枠を形成する部材である。ボディ20には、自走式掃除機10を構成する各種の機器が設けられる。また、自走式掃除機10は、一例として、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60および乾燥ユニット70を備える。
駆動ユニット30は、ボディ20および当該ボディ20に設けられた機器を移動させるためのものである。駆動ユニット30は、自走式掃除機10が移動するための移動手段の一例である。自走式掃除機10は、例えば、1対の駆動ユニット30を備える。1対の駆動ユニット30は、ボディ20の左側部分と右側部分とにそれぞれ取り付けられる。1対の駆動ユニット30は、左右対称な位置になるように配置される。
清掃ユニット40は、被清掃面の上のごみを取り込むためのものである。本実施の形態の清掃ユニット40は、被清掃面を清掃する清掃手段の一例である。清掃ユニット40によって取り込まれるごみには、例えば、塵埃が含まれる。
吸引ユニット50は、空気と共にごみを吸引するためのものである。清掃ユニット40は、吸引ユニット50が動作することによって、ごみを取り込む。集塵ユニット60は、清掃ユニット40によって取り込まれたごみを捕集するものである。また、集塵ユニット60からは、空気が排出される。乾燥ユニット70は、集塵ユニット60から排出された空気を加熱するためのものである。乾燥ユニット70によって加熱された高温の空気は、自走式掃除機10の外部へ供給される。
また、自走式掃除機10は、例えば、制御ユニット80および電源ユニット90を備える。制御ユニット80は、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50および乾燥ユニット70を制御する。制御ユニット80は、自走式掃除機10の動作を制御するための制御手段の一例である。電源ユニット90は、駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、乾燥ユニット70および制御ユニット80に電力を供給する。
ボディ20には、一例として、上カバー21と下ケース22とが含まれる。本実施の形態のボディ20は、上カバー21と下ケース22とが結合することによって形成される。上カバー21は、ボディ20の上側部分を形成する。下ケース22は、ボディ20の下側部分を形成する。
上カバー21は、ボディ20の内部に備えられた機器を上方から覆うように配置される。下ケース22は、自走式掃除機10が使用される際に当該下ケース22の底面22aが被清掃面に対向するように設けられる。本実施の形態において、下ケース22の底面22aは、ボディ20の底面でもある。また、下ケース22の底面22aは、自走式掃除機10の底面の一部となる。すなわち、水平面に置かれた自走式掃除機10の底面は、水平面に対向する。
なお、上カバー21と下ケース22とは、一体的に形成されてもよい。ボディ20は、単一の部材によって形成されてもよい。また、上カバー21は、当該上カバー21の底面が下ケース22の底面22aよりも下方に位置するように設けられてもよい。ボディ20の底面の少なくとも一部は、上カバー21の底面であってもよい。
上カバー21を上方から見た形状は、図1に示すように、例えば、矩形状の四隅を円弧状にした形状である。なお、上カバー21を上方から見た形状は、例えば、真円形状または楕円形状等であってもよい。
ボディ20の上側部分を形成する上カバー21は、自走式掃除機10の上部も形成している。上カバー21の上面21aは、自走式掃除機10の上面となる。上カバー21は、上面21aが山型の三次元曲面になるように形成される。すなわち自走式掃除機10の上面は、山型の三次元曲面である。上カバー21のうち、上面21aの中央21bを含む一定範囲の領域は、底面22aが水平面に対向している状態において、この領域の周囲よりも高くなる。
上カバー21の上面21aには、上面前部21cおよび上面後部21dが含まれる。上面前部21cは、上カバー21の前端部から中央21bに向かう一定の範囲に亘って形成される。上面後部21dは、上カバー21の後端部から中央21bに向かう一定の範囲に亘って形成される。
本実施の形態における上面前部21cは、ボディ20の進行方向の端部から一定の範囲に亘って形成される第1部分の一例である。また、上面後部21dは、ボディ20の進行方向の反対方向の端部から一定の範囲に亘って形成される第2部分の一例である。
図3に示すように、自走式掃除機10を側方から見た時、上面前部21cの稜線は、上面後部21dの稜線よりも緩やかに傾斜する。例えば、自走式掃除機10を側方から見た時、上面前部21cの稜線を近似した直線と水平面とがなす角度は、上面後部21dの稜線を近似した直線と水平面とがなす角度よりも小さくなる。本実施の形態の自走式掃除機10の前側部分は、当該自走式掃除機10の後側部分に比べて、水平面に対して緩やかに傾斜する。
また、上面21aには、図6に示すように、上面左部21eおよび上面右部21fが含まれる。上面左部21eは、上カバー21の左端部から中央21bに向かう一定の範囲に亘って形成される。上面右部21fは、上カバー21の右端部から中央21bに向かう一定の範囲に亘って形成される。本実施の形態において、上面21aは、自走式掃除機10を前方から見た時、左右対称になっている。
上面左部21eおよび上面右部21fは、水平面に対し、上面後部21dと同様に傾斜する。すなわち、上面前部21cは、水平面に対し、上面左部21eおよび上面右部21fに比べて緩やかに傾斜する。本実施の形態の自走式掃除機10の前側部分は、当該自走式掃除機10の右側部分および左側部分に比べて、水平面に対して緩やかに傾斜する。
上カバー21は、一例として、開閉可能な蓋23を有する。蓋23は、上カバー21の上部を形成する。上カバー21の中央21bは、この蓋23に含まれる。蓋23の上面は、平坦な面である。すなわち、上面21aのうち中央21bを含む一定範囲の領域は、平坦な面である。なお、上カバー21には、平坦な面が含まれていなくてもよい。蓋23の上面は、平坦な面でなくてもよい。上カバー21は、例えば、中央21bが最も高くなるように形成されてもよい。
駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80および電源ユニット90は、上記のように構成されたボディ20に取り付けられる。駆動ユニット30、清掃ユニット40、吸引ユニット50、集塵ユニット60、乾燥ユニット70、制御ユニット80および電源ユニット90は、一例として、下ケース22に収容される。
ここで、移動手段の一例である駆動ユニット30について、より具体的に説明する。図7は、実施の形態1の駆動ユニット30の斜視図である。本実施の形態において、駆動ユニット30は、車輪31、車輪用モーター32、車輪用ギヤユニット33、ハウジング34を有する。なお、図7においては、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33の図示は省略している。
車輪31は、自走式掃除機10が被清掃面上を走行するためのものである。車輪31は、被清掃面に接触することで駆動力を発生させる。車輪31は、自走式掃除機10が移動するための駆動力を発生させる駆動体の一例である。
車輪用モーター32は、車輪31が回転するための動力を供給する。車輪31と車輪用モーター32とは、車輪用ギヤユニット33を介して接続される。車輪用ギヤユニット33は、車輪用モーター32によって供給される動力を、車輪31へ伝達する。車輪用ギヤユニット33は、車輪31の回転数が適切になるように、車輪用モーター32の回転数を変換する。
車輪31、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33は、ハウジング34に収容される。ハウジング34は、車輪31を収納する車輪収納部の一例である。車輪31は、ハウジング34内で回転可能な状態で支持される。
車輪収納部の一例であるハウジング34には、開口が形成されている。車輪31の一部は、この開口からハウジング34の外部に突出している。車輪31の下端は、図3に示すように、下ケース22の底面22aよりも下方に突出する。例えば、被清掃面が水平面である場合、この被清掃面に対して、車輪31の下端は底面22aよりも近い。
本実施の形態において、車輪31は、上下方向に移動可能に設けられる。図5の断面図は、車輪31の底面22aからの突出量が最小の状態を示している。図6の断面図は、車輪31の底面22aからの突出量が最大の状態を示している。また、車輪31の外周には、被清掃面に対する車輪31の滑りを抑制するための軟質材料が設けられてもよい。
また、本実施の形態の自走式掃除機10は、異物侵入検出センサー35を備える。異物侵入検出センサー35は、車輪31に巻き込まれた異物を検出するものである。異物侵入検出センサー35は、移動手段の一例である駆動ユニット30への異物の侵入を検出する異物侵入検出手段の一例である。異物侵入検出センサー35は、例えば、機械式スイッチ等によって構成される。
本実施の形態において、異物侵入検出センサー35は、左側の駆動ユニット30に、一対設けられる。また、異物侵入検出センサー35は、右側の駆動ユニット30にも、一対設けられる。異物侵入検出センサー35は、ハウジング34と当該ハウジング34から突出する車輪31との境界部に設けられる。異物侵入検出センサー35は、前後方向から車輪31を挟んだ状態で対向するように設けられる。すなわち、異物侵入検出センサー35は、車輪31に対して、自走式掃除機10の進行方向の一側と他側との両側に設けられている。
異物侵入検出センサー35は、スイッチ部35aおよびレバー35bを有する。レバー35bは、一端側をスイッチ部35aによって軸支される。レバー35bに上方向の力が加わると、当該レバー35bの軸支されていない他端側が回動する。これにより、スイッチ部35aのスイッチ回路が短絡される。レバー35bは、当該レバー35bに力が加わらない状態においては水平位置に復元されるように付勢されている。レバー35bは、回動する他端側が車輪31に近接するように設けられる。また、レバー35bの回動する他端側の先端面は、一例として、曲面になっている。
車輪31、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33は、ハウジング34内で一体となって回動できるように設けられている。車輪31、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33は、回動軸36を中心にして、一体となって回動可能である。また、車輪31、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33は、当該車輪用ギヤユニット33に設けられた図示しないバネによって、ハウジング34内に収納される側に付勢されている。
車輪31、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33が回動すると、車輪31の底面22aからの突出量が変わる。本実施の形態において、駆動ユニット30および異物侵入検出センサー35は、車輪31の突出量に依らず、車輪31と異物侵入検出センサー35のレバー35bとが近接するように設置される。一例として、異物侵入検出センサー35は、車輪31と異物侵入検出センサー35のレバー35bとの距離が2ミリメートルから4ミリメートルまでの範囲に収まるように設置される。
また、自走式掃除機10が敷き布団F1上を清掃する場合、車輪31の底面22aからの突出量は、敷き布団F1の柔らかさに応じて調節されるとよい。これにより、自走式掃除機10と敷き布団F1との距離が適切に保たれ、また、車輪31の駆動力が効率よく敷き布団F1に伝えられる。
本実施の形態において、車輪31が収納されるハウジング34の下面には、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bが取り付けられている。内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、車輪31に引っ張られたシーツ等の異物がハウジング34の開口から当該ハウジング34内に巻き込まれることを防止するためのものである。本実施の形態における内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、移動手段への異物の侵入を遮る遮蔽体の一例である。
遮蔽体の一例である内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、車輪31の近傍に配置される。より具体的には、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、車輪31の側面に近接するように設けられる。換言すると、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、車輪31の側面から一定距離以内の位置に設けられる。内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、車輪31を挟むように設けられる。内側遮蔽板34aが移動手段への異物の侵入を遮る効果は、内側遮蔽板34aが車輪31の側面に近いほど高くなる。同様に、外側遮蔽板34bが移動手段への異物の侵入を遮る効果は、外側遮蔽板34bが車輪31の側面に近いほど高くなる。内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、例えば、車輪31の側面からの距離が10ミリメートル以内となる位置に配置されていれば、移動手段への異物の侵入を遮る効果を十分に奏することができる。
本実施の形態において、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、一例として、車輪31の側面から2ミリメートル離れた位置に配置されている。本実施の形態において、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、図4および図5に示すように、車輪31の側面方向、つまり車輪31が回転する軸方向から見た場合に、車輪31の外周とハウジング34の開口とを同図に平行な面に投影したときの投影線同士が交差する2つの交点を覆うように設けられている。この2つの交点は、図4および図5におけるP1およびP2である。P1は前側の交点であり、P2は後側の交点である。また、車輪31の側面方向から見た場合に、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bが設けられた自走式掃除機10の本体部分と車輪31の外周とが交差する2つの交点を、P3およびP4とする。P3は前側の交点であり、P4は後側の交点である。車輪31は、上記のP1およびP2から、ハウジング34の外部へ突出する。車輪31は、上記のP1およびP2から、P3およびP4に向かって突出する。また、車輪31は、P3およびP4から、自走式掃除機10の本体の外部に出る。また、本実施の形態において、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、車輪31の底面22aからの突出量に依らずに上記の交点P1およびP2を覆うように設けられている。
内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bの下面は、一例として、曲面になっている。内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、上記の曲面を有する山型の板状に形成されている。内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、中央付近が最も突出するような山型の板状に形成されている。本実施の形態において、内側遮蔽板34a外側遮蔽板34bの下面、被清掃面側へ向く面は、自走式掃除機10の走行時に被清掃面に引っ掛からないように曲面になっている。
なお、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bの中央付近の底面22aからの突出量は、車輪31の底面22aからの突出量よりも小さい。図4等に示すように、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bの下端は、車輪31の下端よりも上方に位置している。
車輪31の突出量が大きくなるように調節されている場合でも、車輪31によって持ち上げられたシーツSは、車輪31の側面方向から見た場合に車輪31の外周とハウジング34の開口との2つの交点P1およびP2を覆うように設けられている内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bに当たる。車輪31によって持ち上げられた柔らかい敷き布団F3上のシーツSは、上記した交点P3またはP4付近で内側遮蔽板34aまたは外側遮蔽板34bに当たると、車輪31の外周から引き剥がされる。これにより、シーツSが車輪31とハウジング34の隙間に巻き込まれることが防止される。
本実施の形態において、内側遮蔽板34aには、ストッパー34cが設けられる。ストッパー34cの一端側は、内側遮蔽板34aに軸支されている。ストッパー34cは、左右に回動可能に構成されている。また、車輪31の側面には、ストッパー34cに引っかかるように形成されたフック31aが設けられている。フック31aは、突起状の部材である。一例として、車輪31の側面には、一定の間隔を開けて3つのフック31aが設けられている。なお、フック31aの数は3つに限定されるものではない。
ストッパー34cは、車輪31の側面に設けられたフック31aに係合する方向にバネで付勢されている。フック31aのうちの任意の1つにストッパー34cが係合することによって、ハウジング34に対する車輪31の位置が決められる。ストッパー34cに係合するフック31aが変わることによって、車輪31の突出量が変更される。本実施の形態におけるフック31aおよびストッパー34cは、車輪31の突出量を調節する突出量調節手段の一例である。
フック31aのストッパー34c側には、傾斜面が形成されている。車輪31がハウジング34から突出する方向に当該車輪31が動かされると、ストッパー34cは、フック31aの傾斜面に押されて、バネによって付勢されている方向と逆方向に回動する。一方、車輪31がハウジング34に収納される方向への力が当該車輪31にかかると、フック31aがストッパー34cに引っかかることによって、ハウジング34に収納される方向への車輪31の移動が規制される。
図8、図9および図10は、図7と同様、実施の形態1の駆動ユニット30の斜視図である。図8は、車輪31をハウジング34から引き出し始めた状態の駆動ユニット30の斜視図である。図9は、車輪31をハウジング34から最大限まで引き出した状態の駆動ユニット30の斜視図である。図10が、車輪31が図5に示す状態のときの駆動ユニット30の斜視図である。
図8および図9に示すように、使用者は、車輪31を掴んで動かすことによって、車輪31のハウジング34からの突出量を調節することができる。具体的には、使用者は、車輪31を指で掴んで引き出すことによって、車輪31をハウジング34から大きく突出させることができる。
車輪31が引き出されると、ストッパー34cが、フック31aの傾斜面に押されて、バネによって付勢されている方向と逆方向に回動する。これにより、フック31aとストッパー34cとの係合が解除される。車輪31がさらに引き出されると、例えば、図9に示すように、3つ目のフック31aがストッパー34cを乗り越える。
3つ目のフック31aがストッパー34cを乗り越えると、ストッパー34cは、車輪31側に回動する。ここで使用者が車輪31から指を離すと、図10に示すように、車輪31がハウジング34側に収納される側に戻る過程で、ストッパー34cが3つ目のフック31aと係合する。ストッパー34cとフック31aとが係合することで、車輪31の位置が固定される。
駆動ユニット30を図10の状態から図7の状態に戻すには、すなわち、車輪31の突出量を小さくするには、使用者は、ストッパー34cに形成された突起34dをストッパー34cが付勢されている方向と逆方向に引けばよい。突起34dは、ストッパー34cと一体的に形成されている。突起34dは、使用者がストッパー34cを動かすための部材である。突起34dが引かれることで、ストッパー34cとフック31aとの係合が解除される。ストッパー34cとフック31aとの係合が解除されると、車輪31は、ハウジング34側に収納される方向へ引き込まれる。
上記のように、車輪31をハウジング34に収納される方向に付勢して且つストッパー34cとフック31aとによって車輪31の位置を固定する構成によれば、寝具などの柔らかい被清掃面と車輪31との接触を強く保つことができる。また、上記の構成によれば、使用者は、車輪31の突出量の調整を容易に行うことができる。
上記したように、本実施の形態では、突出量調節手段の一例であるフック31aおよびストッパー34cは、車輪31の側面および内側遮蔽板34aに設けられている。このような構成であれば、突出量調節手段を配置するために必要なスペースを小さくすることができ、また、自走式掃除機10の小型化を図ることができる。
また、本実施の形態において、清掃ユニット40は、ボディ20内に配置される。清掃ユニット40は、吸込口体41および接続管42を有する。吸込口体41は、下ケース22の前方に配置される。接続管42は、管状の部材である。接続管42の一端側は、下ケース22に取り付けられる。接続管42の他端側は、吸込口体41に接続される。
吸込口体41の内部には、風路41aが形成される。また、吸込口体41の底面には、吸込口43が形成される。吸込口43は、ごみおよび空気を吸い込むための開口である。風路41aは、吸込口43を介して自走式掃除機10の外部と連通する。また、風路41aは、接続管42の内部の風路42aと連通する。吸込口43は、風路41aを介して風路42aに連通する。
本実施の形態において、吸込口体41の底面は、図3に示すように、下ケース22の底面22aよりも上方に配置される。すなわち吸込口43は、下ケース22の底面22aよりも上方にある。
吸込口体41は、接続管42に対し、左右方向に沿った軸を中心として上下方向に回動可能に接続される。そして、接続管42は、下ケース22に対し、前後方向に沿った軸を中心として回動可能に取り付けられる。この前後方向に沿った軸を基準とした場合の吸込口体41の右側部分の重量と左側部分の重量とは、一例として、同程度になっている。一例として、吸込口体41は、接続管42の回動中心を基準として左右対称に形成される。
下ケース22に対して接続管42が回動すると、この接続管42と共に吸込口体41も回動する。本実施の形態において、吸込口体41は、下ケース22に対し、上下方向および左右方向に回動可能に構成されている。
清掃ユニット40は、例えば、アジテーター44を備えていてもよい。アジテーター44は、回転することによって被清掃面からごみを掻き上げて除去する部材である。アジテーター44は、回転ブラシ等と称されることもある部材である。アジテーター44は、吸込口体41に対して回転自在な状態で設置される。アジテーター44は、風路41aに配置される。アジテーター44は、吸込口43の近傍に設けられる。
図11は、実施の形態1のアジテーター44の斜視図である。本実施の形態のアジテーター44は、複数の除塵体45および軸46を有する。除塵体45は、アジテーター44の軸方向に沿う板状の部材である。除塵体45は、例えば、軟質の樹脂材料によって形成される。一例として、アジテーター44は、4枚の除塵体45を有する。除塵体45は、軸46の外周に、つるまき状に設けられる。除塵体45同士の間には、一定の間隔が形成される。
アジテーター44は、軸46を中心にして回転可能に軸支される。除塵体45は、アジテーター44が回転している際に吸込口43から吸込口体41の外へ突出するように設けられる。アジテーター44の回転方向は、除塵体45が自走式掃除機10の前方から後方に向かってごみを掻き上げる方向に設定される。
除塵体45には、矩形状の孔45aが形成されてもよい。孔45aの形状および数は、任意である。また、除塵体45の数および形状も、上記の例に限られず任意である。例えば、軸46の外周には、複数の除塵体45がアジテーター44の軸方向に沿って並べられていてもよい。また、除塵体45は、例えば、繊維質のブラシ毛等によって形成されてもよい。
本実施の形態において、清掃ユニット40は、アジテーター44を回転させるための、アジテーターモーター47およびアジテーターギヤユニット48を有する。アジテーターモーター47は、吸込口体41内に設けられる。アジテーターモーター47は、アジテーターギヤユニット48を介してアジテーター44を回転させる。
吸引ユニット50は、上記のように構成された清掃ユニット40の後方に配置される。吸引ユニット50は、ファン51およびダクト52を有する。ファン51は、下ケース22に取り付けられる。ファン51は、気流を発生させる機器である。また、集塵ユニット60は、清掃ユニット40と吸引ユニット50との間に配置される。換言すると、吸引ユニット50は、集塵ユニット60の後方に配置される。ファン51は、集塵ユニット60からダクト52に向かう気流を発生させる。
集塵ユニット60は、集塵ボックス61および集塵フィルター62を有する。集塵ボックス61は、例えば、下ケース22に対して着脱自在に形成される。集塵フィルター62は、ごみを捕捉するためのものである。集塵フィルター62は、集塵ボックス61の内部に、着脱自在に設けられる。
下ケース22に取り付けられた状態の集塵ボックス61は、接続管42の一端側に接続される。接続管42の他端側に接続された吸込口体41は、当該接続管42を介して、集塵ボックス61に接続される。接続管42に接続された集塵ボックス61の内部の空間は、風路42aに連通する。
使用者は、蓋23を開けることによって、集塵ボックス61をボディ20の上方へ取り外すことができる。また、使用者は、ボディ20から取り外された集塵ボックス61から、集塵フィルター62を取り外すことができる。使用者は、上記のようにして集塵ユニット60に捕集されたごみを捨てることができる。
乾燥ユニット70は、吸引ユニット50の後方に配置される。乾燥ユニット70は、ヒーター71およびヒーターケース72を有する。ヒーター71は、ヒーターケース72の内部に保持される。ヒーターケース72は、ダクト52に接続される。
ヒーターケース72の底面には、温風出口73を有する温風出口カバー74が形成される。温風出口73は、温風出口カバー74の下端から後面に亘って形成された複数の孔によって構成される。ヒーターケース72のこの底面は、本実施の形態において、自走式掃除機10の底面の一部となる。一例として、温風出口カバー74は、下ケース22の底面22aよりも下方に突出する。
ファン51によってダクト52内を流れた空気は、ヒーターケース72の内部へ送られる。ヒーターケース72の内部へ送られた空気は、ヒーター71によって加熱される。ヒーター71によって加熱された空気は、温風出口73を介して、自走式掃除機10の外部へ送られる。本実施の形態の自走式掃除機10は、このようにして、温風を外部へ供給する。
ヒーター71は、例えばPTC特性をもつ発熱素子を使用した装置である。PTCは、Positive Temperature Cofficientの略称である。PTCとは、正温度係数を意味する。上記の発熱素子を私用したヒーター71は、自己の温度を制御する機能を有する。このヒーター71の発熱素子の電気抵抗は、ヒーターケース72の内部へ送られる空気の量に応じて変化する。これにより、ヒーター71の温度は一定の範囲に保たれる。ヒーター71の温度が一定の範囲に保たれることで、自走式掃除機10から供給される温風の温度も一定の範囲に保たれる。このため、自走式掃除機10は、過度に高温な温風を外部に供給することがない。
制御ユニット80および電源ユニット90は、ボディ20の内部に配置される。制御ユニット80は、例えば、吸引ユニット50の下方に配置される。電源ユニット90は、例えば、集塵ユニット60の下方に配置される。電源ユニット90は、例えば、下ケース22の底部に取り付けられる。電源ユニット90と制御ユニット80とは、電気的に接続される。
電源ユニット90は、例えば、蓄電池91、回路基板92および電源ケース93を有する。回路基板92は、蓄電池91を制御する。回路基板92は、例えば、蓄電池91から供給される電圧および電流の値を制御する。また、回路基板92は、例えば、蓄電池91の温度を制御することで、当該蓄電池91を保護する。電源ケース93は、蓄電池91および回路基板92を収容する部材である。
また、電源ユニット90は、蓄電池91を充電するための充電端子94を有する。充電端子94は、下ケース22の底面22aから外部へ露出するように設けられる。充電端子94は、外部の充電器に接続可能に形成される。蓄電池91には、充電端子94を介して、外部の充電器から電力が供給される。なお、充電端子94は、例えば、外部の商用電源等に接続可能に形成されてもよい。
また、本実施の形態の自走式掃除機10は、被清掃面検出センサー81を備える。被清掃面検出センサー81は、自走式掃除機10と被清掃面との位置関係を検出するためのセンサーである。より具体的には、被清掃面検出センサー81は、自走式掃除機10と当該自走式掃除機10の斜め下方の被清掃面との位置関係を検出するように構成される。被清掃面検出センサー81は、制御ユニット80に電気的に接続される。
図12は、実施の形態1の被清掃面検出センサー81の斜視図である。被清掃面検出センサー81は、赤外線発光部82および赤外線受光部83を有する。赤外線発光部82および赤外線受光部83は、被清掃面に対向するように配置される。赤外線発光部82は、被清掃面に向けて赤外光を発する。赤外線受光部83は、赤外線発光部82から発せられた後に被清掃面で反射した赤外光を受ける。
赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、被清掃面検出センサー81と被清掃面との位置関係によって変化する。赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、被清掃面検出センサー81が被清掃面に近づくほど多くなる。また、赤外線受光部83が受ける赤外光の量は、被清掃面検出センサー81が被清掃面から離れるほど少なくなる。
一例として、自走式掃除機10は、6つの被清掃面検出センサー81を備える。6つの被清掃面検出センサー81は、例えば、上カバー21の下端部に設けられる。6つの被清掃面検出センサー81は、例えば、水平面および鉛直面に対して傾斜した状態で設けられる。6つの被清掃面検出センサー81のうちの3つは、例えば、上カバー21の下端部の前側部分に配置される。これら3つの被清掃面検出センサー81は、この前側部分の中央と右寄りと左寄りとに、それぞれ配置される。同様に、残りの3つの被清掃面検出センサー81は、上カバー21の下端部の後側部分の中央と右寄りと左寄りとに、それぞれ配置される。本実施の形態において、被清掃面検出センサー81のうちの1つは、ボディ20の前端部に設けられている。
なお、被清掃面検出センサー81の個数および配置は、上記の例に限られない。被清掃面検出センサー81は、被清掃面の状態が検出できる位置に設けられればよい。例えば、被清掃面検出センサー81は、下ケース22の底面22a等に設けられてもよい。
図13は、実施の形態1の制御ユニット80の機能を示すブロック図である。上記したように、制御ユニット80は、被清掃面検出センサー81および異物侵入検出センサー35に電気的に接続される。また、制御ユニット80は、駆動ユニット30の車輪用モーター32、清掃ユニット40のアジテーターモーター47、吸引ユニット50のファン51および乾燥ユニット70のヒーター71に接続される。制御ユニット80は、車輪用モーター32、アジテーターモーター47、ファン51およびヒーター71の動作を電気的に制御する。
制御ユニット80は、車輪用モーター32、アジテーターモーター47、ファン51およびヒーター71を制御するための回路を有する。この回路には、電源ユニット90から電力が供給される。また、車輪用モーター32、アジテーターモーター47、ファン51およびヒーター71には、制御ユニット80の回路を介して、電源ユニット90から電力が供給される。
なお、車輪用モーター32、アジテーターモーター47、ファン51およびヒーター71は、制御ユニット80を介さずに、電源ユニット90に直接的に接続されてもよい。車輪用モーター32、アジテーターモーター47、ファン51およびヒーター71には、制御ユニット80を介さずに、電源ユニット90から直接的に電力が供給されてもよい。
被清掃面検出センサー81は、赤外線受光部83が受けた赤外光の量に応じた電気信号を、制御ユニット80へ送る。制御ユニット80は、被清掃面検出センサー81から送られた電気信号に基づいて、被清掃面に対する自走式掃除機10の位置を判定する。制御ユニット80は、被清掃面に対する自走式掃除機10の位置の判定結果に応じて、車輪用モーター32、アジテーターモーター47、ファン51およびヒーター71を制御する。
自走式掃除機10は、車輪用モーター32、アジテーターモーター47、ファン51およびヒーター71が制御ユニット80によって動作させられることによって、対象物の清掃および乾燥を行う。自走式掃除機10は、対象物の清掃および乾燥を、自律的に走行しながら行う。自走式掃除機10によって清掃および乾燥される対象物には、例えば、敷き布団F1および掛け布団F2が含まれる。
上記したように、吸込口体41は、ボディ20の下ケース22に対して、上下方向および左右方向に回動可能である。本実施の形態において、ボディ20および当該ボディ20に固定された各種の機器および部材は、自走式掃除機10の本体の一例である。すなわち、本実施の形態の吸込口体41は、自走式掃除機10の本体に対して回動可能である。本開示においては、この自走式掃除機10の本体を単に「本体」とも称することがある。
自走式掃除機10の本体は、移動手段の一例である駆動ユニット30によって進行方向へ移動する。また、本実施の形態において、自走式掃除機10の本体の上面は、山型の三次元曲面である。また、吸込口体41の底面に形成された吸込口43は、本体の底面よりも上方にある。温風出口カバー74は、本体の底面に形成されている。
自走式掃除機10の本体は、駆動ユニット30によって前後進および左右旋回することができる。前述したように、駆動ユニット30は、本体の左右に1つずつ設けられている。すなわち車輪31も、本体の左右に設けられている。本体を前後進させる場合には、左右の車輪31の両方を同方向に同じ回転速度で回転させればよい。
本体を左右に旋回させる方法には、例えば、次の3つの方法が考えられる。1つめは、いわゆる信地旋回である。すなわち、左右の車輪31の一方を停止させた状態で他方を回転させることで本体を旋回させる旋回方法である。2つめは、いわゆる超信地旋回である。すなわち、左右の車輪31の両方を反対方向に同じ回転速度で回転させることで本体を旋回させる旋回方法である。3つめは、いわゆる緩旋回である。すなわち、左右の車輪31の両方を同方向に異なる回転速度で回転させることで本体を旋回させる旋回方法である。自走式掃除機10の本体の旋回には、これら3つの旋回方法のうちのどれを用いてもよい。
また、本実施の形態において、下ケース22の底面22aには、突出部24が形成されている。突出部24は、下方に向けて突出する部分である。突出部24は、清掃ユニット40の後方に配置される。突出部24は、例えば、下ケース22と一体的に形成される。
図3を参照して、突出部24、底面22a、上カバー21、吸込口体41、吸込口43、車輪31および温風出口カバー74の位置関係を説明する。図3に示すように、突出部24の下端と温風出口カバー74の下端とは、底面22aよりも下方にある。一例として、突出部24の下端と温風出口カバー74の下端とは、底面22aよりも9ミリメートル下方にある。なお、突出部24の下端と温風出口カバー74の下端とは、それぞれ異なる高さにあってもよい。
図3に示すように、車輪31の下端は、突出部24の下端および温風出口カバー74の下端よりも下方にある。例えば、車輪31の下端は、底面22aよりも17ミリメートル下方にある。また、本実施の形態の車輪31は、上記したように、上下方向に移動可能に設けられる。例えば、上下方向に移動可能な車輪31の下端の、底面22aに対する突出量の最大値は40ミリメートルである。
図3に示すように、上カバー21の下端は、底面22aよりも上方にある。上カバー21の下端は、例えば、底面22aよりも5ミリメートル上方にある。また、吸込口体41の底面および吸込口43は、例えば、底面22aよりも8ミリメートル上方にある。本実施の形態において、吸込口体41の底面および吸込口43は、上カバー21の下端よりも上方にある。
また、図3に示すように、自走式掃除機10を側方から見た時、吸込口43、突出部24、車輪31および温風出口カバー74は、前方から順に並んでいる。本実施の形態の自走式掃除機10の本体の重心Gの前後方向の位置は、図3に示すように、車輪31と温風出口カバー74との間にある。すなわち、自走式掃除機10を側方から見た時、吸込口43、突出部24、車輪31、本体の重心Gおよび温風出口カバー74が順に並んでいる。
本実施の形態において、吸込口43は、突出部24の下端よりも上方にある。また、吸込口43は、温風出口カバー74の下端よりも上方にある。自走式掃除機10を側方から見た時、本体の重心Gは、車輪31を基準として吸込口43の反対側にある。自走式掃除機10を側方から見た時、温風出口カバー74は、本体の重心Gを基準として吸込口43の反対側にある。
次に、上記のように構成された自走式掃除機10の動作および効果について説明する。上記した通り、自走式掃除機10は対象物の一例である敷き布団F1の清掃を行う。敷き布団F1は、繊維およびこの繊維を覆う側生地によって形成される。敷き布団F1の側生地は、例えば、綿によって形成される。敷き布団F1の側生地に覆われる繊維は、例えば、綿、羊毛またはポリエステル等の樹脂繊維である。なお、敷き布団F1を形成する繊維は、例えば、綿または羊毛に樹脂繊維を組み合わせた合繊であってもよい。
敷き布団F1は、柔軟性を有する。敷き布団F1の上に物が置かれると、当該物の重量によって、当該敷き布団F1内部の繊維が圧縮される。敷き布団F1の上に物が置かれると、当該敷き布団F1の表面は沈み込む。
敷き布団F1は、主として、シーツSによって覆われた状態で、使用者の就寝時に使用される。シーツSは、例えば綿等の素材によって形成される。以下では、シーツSによって覆われた敷き布団F1の上に置かれた自走式掃除機10について説明する。すなわち、以下の説明における自走式掃除機10は、シーツSによって覆われた敷き布団F1を清掃および乾燥させるために使用される。
自走式掃除機10は、敷き布団F1上を走行しつつ、この敷き布団F1の清掃および乾燥を行う。自走式掃除機10は、例えば、敷き布団F1上を前進および後退する。図14は、敷き布団F1上を前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。また、図15は、敷き布団F1上を後退する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
シーツSによって覆われた敷き布団F1の上に自走式掃除機10が置かれると、敷き布団F1の表面およびシーツSは、自走式掃除機10の重量によって沈み込む。敷き布団F1の表面およびシーツSは、突出部24、車輪31および温風出口カバー74によって、下方に押し下げられる。シーツSおよび敷き布団F1の上において、自走式掃除機10の重量は、主として下ケース22の底面22a、突出部24、車輪31および温風出口カバー74によって支持される。特に、突出部24、車輪31および温風出口カバー74は、自走式掃除機10の重量の大半を支持する。突出部24、車輪31および温風出口カバー74は、シーツSおよび敷き布団F1に対する底面22aの接触を抑制する。
本実施の形態において、車輪31の下端は、突出部24の下端および温風出口カバー74の下端よりも下方にある。このため、車輪31は、シーツSおよび敷き布団F1に対してより強く接触する。本実施の形態であれば、車輪31は、自走式掃除機10が走行するための駆動力を、より効率よく発生させることができる。
また、本実施の形態において、上カバー21の下端は、底面22a、車輪31の下端、突出部24の下端および温風出口カバー74の下端よりも上方にある。このため、上カバー21の下端は、シーツSおよび敷き布団F1に、強く押し付けられることがない。例えば、上カバー21の下端は、シーツSに僅かに接触する。なお、上カバー21の下端は、シーツSから離れていてもよい。また、上カバー21の下端には、敷き布団F1およびシーツS表面の凹凸によって、シーツSに接触する部分と接触しない部分との両方が生じていてもよい。
吸込口体41の底面は、上カバー21の下端よりも上方にある。シーツSに覆われた敷き布団F1上に自走式掃除機10が置かれた状態において、吸込口体41の底面は、敷き布団F1およびシーツSから離れている。なお、シーツSに覆われた敷き布団F1上に自走式掃除機10が置かれた状態において、吸込口体41の底面の前端は、シーツSに僅かに接触していてもよい。
自走式掃除機10は、例えば、図示しない電源スイッチが使用者に操作されることによって、動作を開始する。電源スイッチが使用者によってオンの状態にされると、制御ユニット80および被清掃面検出センサー81が起動する。被清掃面検出センサー81は、赤外光の発光および受光を行う。被清掃面検出センサー81は、受光した赤外光の量に応じた電気信号を、制御ユニット80へ送る。
制御ユニット80は、被清掃面検出センサー81から送られた電気信号に基づいて、被清掃面に対する自走式掃除機10の位置の状態を判定する。一例として、制御ユニット80は、被清掃面検出センサー81が受光した赤外光の量が予め設定された閾値以上である場合、自走式掃除機10がシーツSおよび敷き布団F1の上にあると判定する。この閾値は、例えば、制御ユニット80に予め記憶される。
制御ユニット80は、自走式掃除機10がシーツSおよび敷き布団F1の上にあると判定すると、自走式掃除機10が前進するように車輪用モーター32を駆動させる。自走式掃除機10は、図14に示すように前進する。また、制御ユニット80は、ファン51、アジテーターモーター47およびヒーター71を駆動させる。
ファン51が駆動すると、集塵ボックス61内が減圧する。ファン51は、風路41aおよび風路42aを介して吸込口43から集塵ボックス61内へ向かう気流を発生させる。これにより、シーツSおよび敷き布団F1に付着したごみが、空気と共に吸込口43から風路41aへ吸引される。
また、ファン51が駆動すると、吸込口43が形成された吸込口体41には、敷き布団F1に吸い寄せられる力が作用する。このため、前進する自走式掃除機10の吸込口体41の底面は、図14に示すように、前方下方に向けて傾斜する。
また、ファン51が駆動すると、シーツSは、吸込口43に吸い寄せられる。シーツSは、上方に吸い寄せられる。上方に吸い寄せられたシーツSは、敷き布団F1から離れる。上方に吸い寄せられたシーツSと布団F1との間には、図14に示すように、空間Bが形成される。
この空間Bのうち、平面視において吸込口43とシーツSとが重なっていない部分には、外部から空気が流入する。また、空間B内の空気は、吸込口43から風路41aへ流れ込む。シーツSと敷き布団F1との間にある微細なごみは、当該シーツSを形成する繊維同士の隙間を通じて、吸込口43から風路41aへ空気と共に吸引される。
制御ユニット80によってアジテーターモーター47が駆動させられると、アジテーター44が回転する。吸込口43に吸い寄せられたシーツSは、アジテーター44の除塵体45によって揺らされる。これにより、シーツSと敷き布団F1との間でまとまった状態になっている微細なごみが揺らされる。まとまった状態の微細なごみは、揺らされることによって分散する。まとまった状態の微細なごみは、分散することで、シーツSを形成する繊維同士の隙間を通過しやすい状態になる。本実施の形態であれば、シーツSの下のごみは、上記したようにアジテーター44が回転することで、シーツSを形成する繊維の隙間を通過して、吸込口43から風路41aへ効果的に吸引される。
また、シーツSの上のごみも、吸込口43から風路41aへ吸引される。吸込口43は、自走式掃除機10の移動に伴って移動する。吸込口43はシーツSの上のごみの付近を通過すると、そのごみは吸込口43から風路41aへ吸引される。吸込口43がごみの付近を通過する際、吸込口43に吸い寄せられたシーツSは、回転するアジテーター44によって揺らされる。これにより、シーツSと吸込口43との間に隙間が生じる。シーツSが吸込口43に吸い寄せられても、上記のようにシーツSと吸込口43との間に隙間が生じるため、ごみ吸込口43から風路41aへ効果的に吸引される。このように、アジテーター44を備える自走式掃除機10は、より効果的にごみを吸引することができる。
シーツS上のごみには、例えば毛髪が含まれる。毛髪は、回転するアジテーター44に絡むことがある。本実施の形態の除塵体45は板状である。板状の除塵体45の端部には、毛髪が引っ掛かりにくい。本実施の形態であれば、アジテーター44に絡んだ毛髪は、アジテーター44が回転し続けることによって、当該アジテーター44から徐々に離れる。アジテーター44から離れた毛髪は、風路41aから風路42aへ吸引される。
また、本実施の形態の除塵体45には、孔45aが形成されている。この孔45aは、吸込口43にシーツSが吸い寄せられた状態において、当該吸込口43から風路41aに吸引される通気量を確保する機能を有する。除塵体45に孔45aが形成されていることにより、吸込口43にシーツSが吸い寄せられても、風路41aには十分な量の空気が流れる。このように、孔45aは、風路41a内の風量の低下を抑制する。
風路41aへ吸引されたごみと空気とは、集塵ボックス61へ流入する。集塵ボックス61内の集塵フィルター62は、ごみを捕捉する。空気は、集塵フィルター62を通過する。集塵ボックス61へ流入したごみと空気との混合物とは、集塵フィルター62を通過することで、清浄な空気となる。
清浄な空気は、吸引ユニット50を介し、乾燥ユニット70へ送られる。乾燥ユニット70へ送られた清浄な空気は、ヒーター71によって加熱される。ヒーター71は、一例として、空気を60℃に加熱する。ヒーター71によって加熱された空気は、温風出口73を介して、自走式掃除機10の外部へ送られる。
上記したように、温風出口カバー74の下端は、敷き布団F1に対して沈み込む。温風出口カバー74には、当該温風出口カバー74の下端から後面側に亘る複数の孔で構成された温風出口73が形成されている。温風出口カバー74が敷き布団F1に対して沈み込むことよって、温風出口73から自走式掃除機10の外部へ送られる温風が通過する風路が十分に確保される。また、温風出口73が温風出口カバー74の下端から後面に亘って形成されていることで、十分な量の温風が敷き布団F1の表面を通過する。本実施の形態の自走式掃除機10であれば、十分な風量および風速の温風を、敷き布団F1の表面に送ることができる。これにより、敷き布団F1には効率よく熱が伝達される。本実施の形態の自走式掃除機10は、敷き布団F1を、効率よく加熱して乾燥させることができる。
本実施の形態の自走式掃除機10は、上記のようにして、前進しながらごみの吸引と温風の供給とを並行して行うことができる。自走式掃除機10は、敷き布団F1等の対象物を、清掃しつつ乾燥させることができる。なお、本開示に係る自走式掃除機10は、必ずしも対象物を乾燥させる機能を有していなくてもよい。
一例として、制御ユニット80は、自走式掃除機10が前進するように車輪用モーター32を一定時間だけ駆動させた後、車輪用モーター32の回転方向を反転させる。これにより、自走式掃除機10は、図15に示すように後退する。
後退する自走式掃除機10の吸込口体41には、吸込口43に吸い寄せられたシーツSの膨らみを乗り越えるための力が作用する。後退する自走式掃除機10の吸込口体41の底面の前端には、上向きの力が作用する。これにより、吸込口体41の底面の前端が持ち上げられる。図15に示すように、後退する自走式掃除機10の吸込口体41の底面の前端は、前進する自走式掃除機10の吸込口体41の底面の前端よりも上方に動く。
本実施の形態において、吸込口43は、底面22aよりも上方にある。このため、敷き布団F1に吸込口43が密着することが防止される。また、吸込口43は、シーツSに対して過度に強く密着することもない。本実施の形態であれば、自走式掃除機10は、柔軟性のある被清掃面の上においても、ごみを吸引する性能と被清掃面上を走行する性能とを保つことができる。なお、自走式掃除機10は、例えば、シーツSが吸込口43へ密着することを防止するリブ等を有するように構成されてもよい。
また、吸込口43が底面22aよりも上にあるため、シーツSと敷き布団F1との間には、空間Bが形成される。自走式掃除機10が動作すると、空間Bの外側から空間Bの内側へ向かう気流と、空間Bの内側から外側へ向かう気流と、の両方が生じる。本実施の形態においては、十分な量の空気が空間Bから吸込口43へ向かって流れる。このため、自走式掃除機10は、シーツSと敷き布団F1との間にある微細なごみを、効率よく吸引することができる。
また、吸込口43は、突出部24の下端よりも上方にある。突出部24は、敷き布団F1を下方に押さえ込む。突出部24は、敷き布団F1に吸込口43が密着することを防止する。突出部24が設けられていることによって、例えば、吸込口体41の底面が前方下方に向けて傾斜した場合においても、吸込口43は敷き布団F1に密着することがない。このように、突出部24は、柔軟性を有する被清掃面が吸込口43に吸着してしまうことを防止する。本実施の形態における突出部24は、自走式掃除機10の本体の底面から下方に突出する吸着防止部の一例である。
また、突出部24は、敷き布団F1と共にシーツSも下方に押さえ込む。突出部24は、吸込口43に吸い寄せられたシーツSのたるみも抑制する。さらに、突出部24は、シーツSが吸込口43に対して過度に強く吸着されることを防止する。突出部24は、シーツSが吸込口43を介して吸込口体41の内部の風路41aの奥へ入り込むことを防止する。これにより、例えば、風路41aの奥へ入り込んだシーツSによってアジテーター44の回転が妨げられることが防止される。このように、突出部24を備える自走式掃除機10であれば、柔軟性のある被清掃面の上においても、ごみを吸引する性能と被清掃面上を走行する性能とを効果的に保つことができる。
本実施の形態の自走式掃除機10を側方からみた場合、突出部24は、吸込口43と車輪31との間に配置されている。突出部24は、吸込口43の近傍に配置される。シーツSのうちの吸込口43に吸い寄せられる部分は、突出部24によって一定の範囲に制限される。シーツSと敷き布団F1との間の空間Bの広さは、突出部24によって一定の広さ制限される。これにより、空間B内には、十分な強さの気流が発生する。このように、突出部24を備える自走式掃除機10であれば、シーツSと敷き布団F1との間の空間Bにある微細なごみを、より効果的に吸引することができる。
なお、突出部24は、下ケース22と別体に形成されてもよい。また、突出部24は、例えば、被清掃面に対して滑りやすい部材であってもよい。突出部24は、例えば、回転自在な円柱または円盤状の部材であってもよい。これにより、自走式掃除機10が被清掃面の上を走行する際に突出部24と被清掃面との間で発生する抵抗が低減される。
また、本実施の形態の自走式掃除機10の本体の重心Gは、車輪31よりも後方にある。このため、敷き布団F1に吸い寄せられる力が吸込口体41に加わっても、自走式掃除機10の本体が前方下方に傾斜しにくい。このため、シーツSと敷き布団F1との間の空間Bが、より確実に保たれる。
前進する自走式掃除機10には、当該自走式掃除機10が後方下方に向けて傾斜するように、慣性力が作用する。本実施の形態においては、重心Gの後方に温風出口カバー74がある。下方に突出した温風出口カバー74は、自走式掃除機10が後方下方に傾斜してしまうことを抑制する。これにより、吸込口43が被清掃面から離れてしまうことが防止される。本実施の形態の自走式掃除機10は、ごみを吸引する性能を維持しながら前進することができる。
本実施の形態における温風出口カバー74は、自走式掃除機10の本体に形成される傾斜抑制部の一例である。傾斜抑制部とは、自走式掃除機10が後方下方に傾斜してしまうことを抑制するためのものである。自走式掃除機10は、温風出口カバー74とは別の部材を、傾斜抑制部として備えても良い。
本実施の形態において、上カバー21の下端は、吸込口43よりも下方にある。上記したように、後退する自走式掃除機10の吸込口体41の底面の前端は、前進する自走式掃除機10の吸込口体41の底面の前端よりも上方に動く。このとき、上カバー21の下端の前部は、吸込口43の前方においてシーツSを押さえる。これにより、自走式掃除機10が後退する際において、シーツSが吸込口43に吸い寄せられることによってたるむことが防止される。また、自走式掃除機10が後退する際において、シーツSが吸込口43から風路41aの奥へ引き込まれることも防止される。
次に、敷き布団F1上の凹部Uを前進する自走式掃除機10と敷き布団F1上の傾斜部Lを走行する自走式掃除機10とについて説明する。凹部Uとは、敷き布団F1上の下方に凹んだ場所である。傾斜部Lとは、敷き布団F1上の左右方向に傾いた場所である。一例として、傾斜部Lは、右方から左方に向けて上方へ傾斜する。図16は、敷き布団F1上の凹部Uを前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。図17は、敷き布団F1上の傾斜部Lを走行する実施の形態1の自走式掃除機10の正面図である。
上記したとおり、吸込口体41は、本体に対して回動可能である。自走式掃除機10が凹部Uの上を通過する際、吸込口体41は、凹部Uの形状に応じて回動する。吸込口体41は、左右方向に沿った軸を中心にして回動する。一例として、吸込口体41の前端は、図16に示すように、下方へ回動する。吸込口体41と共に吸込口43も回動する。吸込口体41および吸込口43が凹部Uの形状に応じて回動することによって、空間B内のごみが効果的に吸引される。
また、図17に示すように、自走式掃除機10が傾斜部Lの上を通過する際、吸込口体41は、傾斜部Lの形状に応じて回動する。吸込口体41の左側は、傾斜部Lの形状に応じて上方へ動く。吸込口体41および吸込口43が傾斜部Lの形状に応じて回動することによって、空間B内のごみが効果的に吸引される。
本実施の形態において吸込口体41は、本体に対し、前後方向に沿う軸および左右方向に沿う軸を中心にして回動可能である。起伏のある被清掃面の上を自走式掃除機10が走行する場合、吸込口体41および吸込口43は、この起伏に追従して動く。本実施の形態の自走式掃除機10であれば、起伏のある被清掃面の上においても、ごみを吸引する性能を保つことができる。
なお、吸込口体41は、前後方向に沿う軸および左右方向に沿う軸の一方を中心に回動可能であってもよい。また、吸込口体41は、例えば、右斜め前方から左斜め後方にかけて伸びる軸等を中心に回動可能であってもよい。吸込口体41は、自走式掃除機10の本体の底面が水平面に対向している状態において水平面に平行な任意の軸を中心にして回動可能であってもよい。本例において、吸込口体41は、被清掃面の上の起伏に追従して動くことができる。
また、吸込口体41は、一例として左右対称に形成されているが、吸込口体41の右側部分の重量と左側部分の重量とは異なっていてもよい。自走式掃除機10は、吸込口体41の右側部分と左側部分とのうちの重い方を持ち上げるためのバネを備えてもよい。
次に、敷き布団F1の端部を検出する自走式掃除機10について説明する。図18は、敷き布団F1の端部を検出する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
図18に示すように、ボディ20の前端部が敷き布団F1の端部に差し掛かると、上カバー21の下端部の前側部分に設けられた被清掃面検出センサー81が受ける赤外光の量が、ボディ20の前端部が敷き布団F1の端部に差し掛かっていない時に比べて少なくなる。自走式掃除機10がベッド等の上に置かれた敷き布団F1の端部に向けて前進し続けると、被清掃面検出センサー81が受ける赤外光の量はゼロに近づく。
制御ユニット80は、例えば、上カバー21の下端部の前側部分に設けられた被清掃面検出センサー81が受ける赤外光の量が予め設定された閾値を下回ると、自走式掃除機10の前端部が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定する。自走式掃除機10の前端部が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した制御ユニット80は、車輪用モーター32を停止させる。車輪用モーター32を停止させた制御ユニット80は、車輪用モーター32の回転方向が車輪用モーター32を停止させる前の回転方向に対して反転するように、再び車輪用モーター32を駆動させる。車輪用モーター32が再び駆動することによって、自走式掃除機10は後退する。
また、制御ユニット80は、例えば、上カバー21の下端部の後側部分に設けられた被清掃面検出センサー81が受ける赤外光の量が予め設定された閾値を下回ると、自走式掃除機10の後端部が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定する。自走式掃除機10の後端部が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した制御ユニット80は、車輪用モーター32を停止させる。車輪用モーター32を停止させた制御ユニット80は、車輪用モーター32の回転方向が車輪用モーター32を停止させる前の回転方向に対して反転するように、再び車輪用モーター32を駆動させる。車輪用モーター32が再び駆動することによって、自走式掃除機10は前進する。
上記のようにして、自走式掃除機10は、敷き布団F1上から落下することなく、当該敷き布団F1上を前後に往復する。なお、制御ユニット80は、自走式掃除機10の端部が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した際に、1対の駆動ユニット30のそれぞれの車輪用モーター32の回転速度の変更をしてもよい。自走式掃除機10の端部が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した制御ユニット80は、それぞれの車輪用モーター32の回転速度を異なる回転速度にすることによって、自走式掃除機10の進行方向を変更させてもよい。すなわち、自走式掃除機10の端部が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体が緩旋回を行うように車輪用モーター32を制御してもよい。また、自走式掃除機10の端部が敷き布団F1の端部に差し掛かったと判定した制御ユニット80は、自走式掃除機10の本体が信地旋回または超信地旋回を行うように車輪用モーター32を制御してもよい。
上記したように、本実施の形態の自走式掃除機10は、敷き布団F1の端部を検出し、前進と後退と進行方向の変更とを自律的に繰り返すことができる。進行方向の変更とは、すなわち、左右への旋回である。本実施の形態の自走式掃除機10は、敷き布団F1から落下することなく、敷き布団F1の清掃および乾燥を自律的に継続することができる。
被清掃面検出センサー81の向きが鉛直方向に対して傾斜する角度は、当該被清掃面検出センサー81が赤外光を受光できるように設定される。被清掃面検出センサー81の向きが鉛直方向に対して傾斜する角度を、以下、被清掃面検出センサー81の傾斜角度と称する。
被清掃面検出センサー81は、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が大きいほど、ボディ20の外周からより遠い位置の敷き布団F1表面の状態を検出することが可能となる。すなわち、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が大きいほど、自走式掃除機10が敷き布団F1から落下するリスクがより低減される。
一方で、被清掃面検出センサー81は、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、より正確に被清掃面と自走式掃除機10との位置関係を検出することが可能となる。例えば、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、自走式掃除機10が敷き布団F1の表面の凸部を乗り越えた時に当該自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと制御ユニット80によって誤って判定されるリスクが低減される。また、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、自走式掃除機10が敷き布団F1表面の凹部に差し掛かった時に当該自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと制御ユニット80によって誤って判定されるリスクが低減される。また、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、自走式掃除機10が傾いた時に当該自走式掃除機10が敷き布団F1の端部に差し掛かったと制御ユニット80によって誤って判定されるリスクが低減される。このように、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が小さいほど、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係が誤って検出される可能性が低くなる。
一例として、被清掃面検出センサー81の傾斜角度が5°から50°に設定されると、自走式掃除機10が敷き布団F1から落下するリスクが十分に低減され、且つ、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係が誤って検出される可能性が十分に小さくなる。特に、被清掃面検出センサー81の傾斜角度は、20°から30°の範囲に設定することが望ましい。これにより、自走式掃除機10が敷き布団F1から落下するリスクと被清掃面と自走式掃除機10との位置関係が誤って検出されるリスクとがより十分に低減される。
自走式掃除機10は、被清掃面検出センサー81の向きを調整可能に構成されていてもよい。これにより、自走式掃除機10は、敷き布団F1の状態、例えば、敷き布団F1の表面の起伏の状態および敷き布団F1の端部の形状の違い等に応じて、適切に動作することができる。
また、赤外線受光部83には、例えば、ポジションセンシングデバイスまたはCMOSイメージセンサが使用されてもよい。赤外線受光部83は、被清掃面から受けた赤外光の入射角度を検出するように構成されていてもよい。被清掃面検出センサー81は、赤外線受光部83が検出した入射角度に応じた電気信号を制御ユニット80へ送信するように構成されていてもよい。そして、制御ユニット80は、赤外線受光部83が検出した入射角度に基づいて、被清掃面検出センサー81から被清掃面までの距離を算出してもよい。上記のように構成された制御ユニット80および被清掃面検出センサー81であれば、被清掃面の赤外光の反射率の違いに依らず、被清掃面と自走式掃除機10との位置関係をより正確に検出することができる。なお、被清掃面の赤外光の反射率は、例えば、当該被清掃面を形成する物体の材質に依る。
次に、敷き布団F1と掛け布団F2との間を前進する自走式掃除機10について説明する。図19は、敷き布団F1と掛け布団F2との間を前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。また、図20は、敷き布団F1と掛け布団F2との間で敷き布団F1の端部を検出する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
掛け布団F2は、敷き布団F1と同様、柔軟性を有する物体である。掛け布団F2は、繊維およびこの繊維を覆う側生地によって形成される。掛け布団F2の側生地は、例えば、綿によって形成される。掛け布団F2の側生地に覆われる繊維は、例えば、羽毛、または、ポリエステルなどの樹脂繊維と羽毛とを組み合わせた合繊である。掛け布団F2の密度は、一般的に、敷き布団F1の密度より小さい。掛け布団F2は、一般的に、敷き布団F1よりも軽く且つ柔らかい。
図19に示すように、敷き布団F1と掛け布団F2との間を自走式掃除機10が前進する際、当該掛け布団F2は上カバー21の前側部分によって押し上げられる。自走式掃除機10は、ボディ20の後方に空間Cを形成しつつ、敷き布団F1と掛け布団F2との間を走行する。柔軟性を有する掛け布団F2は、自走式掃除機10によって一度押し上げられた後、自走式掃除機10によって下方から支持されなくなると緩やかに下降する。上記の空間Cは、自走式掃除機10が通過した場所に、一定の時間保持される。空間Cが一定の時間保持されることによって、自走式掃除機10は、一度通過した経路上を後退する際に掛け布団F2を容易に押し上げることができる。
上記したように、本実施の形態において、上カバー21の上面21aは、山型の三次元曲面である。山型の三次元曲面である上面21aは、自走式掃除機10の走行中に掛け布団F2に引っ掛かることがない。自走式掃除機10の走行中、上カバー21の上面21aと掛け布団F2とは、滑らかに接触する。本実施の形態の自走式掃除機10は、掛け布団F2等の物体の下においても、滑らかに走行することができる。これにより、例えば、自走式掃除機10の消費電力が削減される。
また、本実施の形態において、上面21aは、自走式掃除機10を前方から見た時に左右対称になるように形成されている。上面21aが左右対称になるように形成されているため、上カバー21が掛け布団F2から受ける力は、左右方向において偏ることがない。上カバー21が掛け布団F2から受ける力の偏りがなくなることによって、自走式掃除機10の直進性および左右方向への旋回性がより優れたものとなる。
また、本実施の形態において、自走式掃除機10を側方から見た時、上面前部21cの稜線は、上面後部21dの稜線よりも緩やかに傾斜している。上カバー21の前側部分は、水平面に対し、後側部分に比べて緩やかに傾斜している。このため、上カバー21の前側部分は、自走式掃除機10が前進する際に、効果的に掛け布団F2を持ち上げることができる。
敷き布団F1と掛け布団F2との間を自走式掃除機10が走行する際、上カバー21の前側部分は、掛け布団F2から下向きの力を受ける。本実施の形態においては、上記したように、重心Gが車輪31の後方にあるため、上カバー21の前側部分が掛け布団F2から下向きの力を受けることによって自走式掃除機10の本体の前側部分が下方に傾くことが防止される。
また、上カバー21は、吸込口体41を覆うようにして、当該吸込口体41と掛け布団F2との間に位置する。吸込口体41は、上カバー21によって覆われているため、掛け布団F2から直接的には力を受けない。敷き布団F1と掛け布団F2との間を自走式掃除機10が走行する場合においても、吸込口体41は、回動可能な状態に維持される。また、掛け布団F2が自走式掃除機10の上に掛けられた状態でも、吸込口体41の底面および吸込口43が敷き布団F1に押し付けられることがない。
本実施の形態において、被清掃面検出センサー81は、斜め下方に向けて設けられている。言い換えると、被清掃面検出センサー81は、被清掃面の一例である敷き布団F1の表面に向けて設けられている。図20に示すように、敷き布団F1と掛け布団F2との間を自走式掃除機10が走行する際にも、被清掃面検出センサー81は、敷き布団F1の端部を検出することができる。本実施の形態の自走式掃除機10は、敷き布団F1と掛け布団F2との間においても、敷き布団F1から落下することなく、敷き布団F1の清掃および乾燥を自律的に行うことができる。
次に、敷き布団F1上でたるんだシーツSの上を清掃する自走式掃除機10について説明する。図21は、たるんだシーツSに覆われた敷き布団F1上を前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。図22は、たるんだシーツSに覆われた敷き布団F1上を後退する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
たるんだシーツSに覆われた敷き布団F1上で自走式掃除機10が旋回動作および往復動作を行うと、シーツSと車輪31の外周との接触面積が大きくなる。車輪31外周にまとわりついたシーツSの一部は、当該車輪31の上部に持ち上げられる。自走式掃除機10の前進時は、図21に示すように、たるんだシーツSは車輪31の後ろ側に持ち上げられる。自走式掃除機10の後退時には、図22に示すように、たるんだシーツSは車輪31の前側に持ち上げられる。
車輪31によって持ち上げられたシーツSは、車輪31の側面方向から見た場合に車輪31の外周とハウジング34の開口との2つの交点を覆うように設けられている内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bに当たる。車輪31によって持ち上げられたシーツSは、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bに当たると、車輪31の外周から引き剥がされる。これにより、シーツSが車輪31とハウジング34の隙間に巻き込まれることが防止される。
次に、自走式掃除機10が、たるんだシーツSに覆われた柔らかい敷き布団F3上を走行した場合の動作について説明する。自走式掃除機10は、柔らかい敷き布団F3で走行する前に、使用者によって、予め図5のように車輪31の突出量が大きくなるように調節されているものとする。
図23は、たるんだシーツSに覆われた柔らかい敷き布団F3上を前進する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。図24は、たるんだシーツSに覆われた柔らかい敷き布団F3上を後退する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
たるんだシーツSに覆われた柔らかい敷き布団F3上で自走式掃除機10が旋回動作および往復動作を行うと、シーツSと車輪31の外周との接触面積は大きくなる。車輪31外周にまとわりついたシーツSの一部は、当該車輪31の上部に持ち上げられる。自走式掃除機10の前進時は、図23に示すように、たるんだシーツSは車輪31の後ろ側に持ち上げられる。自走式掃除機10の後退時には、図24に示すように、たるんだシーツSは車輪31の前側に持ち上げられる。
車輪31の突出量が大きくなるように調節されている場合でも、車輪31によって持ち上げられたシーツSは、車輪31の側面方向から見た場合に車輪31の外周とハウジング34の開口との2つの交点を覆うように設けられている内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bに当たる。車輪31によって持ち上げられた柔らかい敷き布団F3上のシーツSは、内側遮蔽板34aと外側遮蔽板34bに当たると、車輪31の外周から引き剥がされる。これにより、シーツSが車輪31とハウジング34の隙間に巻き込まれることが防止される。
次に、敷き布団F1上でたるんだシーツSが駆動ユニット30へ侵入したことを検出する自走式掃除機10について説明する。図25は、前進時に敷き布団F1上でたるんだシーツSが駆動ユニット30へ侵入したことを検出する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。図26は、後退時に敷き布団F1上でたるんだシーツSが駆動ユニット30へ侵入したことを検出する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
上記したように、たるんだシーツSに覆われた敷き布団F1上で自走式掃除機10が旋回動作および往復動作を行うと、シーツと車輪31の外周との接触面積が大きくなる。車輪31外周にまとわりついたシーツSの一部は、当該車輪31の上部まで持ち上げられる。
シーツSのたるみ具合等によっては、内側遮蔽板34aが外側遮蔽板34b設けられていても、図25および図26に示すように、シーツSが駆動ユニット30に侵入してしまうことがあり得る。自走式掃除機10の前進時は、図25に示すように、たるんだシーツSは車輪31の後ろ側に侵入する。自走式掃除機10の後退時は、図26に示すように、たるんだシーツSは車輪31の前側に侵入する。
このような場合、車輪31によって持ち上げられたシーツSは、異物侵入検出センサー35の位置まで持ち上げられる。異物侵入検出センサー35の位置まで持ち上げられたシーツSは、レバー35bを押し上げる。これにより、スイッチ部35aのスイッチ回路が短絡する。スイッチ部35aのスイッチ回路が短絡することよって、駆動ユニット30への異物侵入が検出される。
次に、柔らかい敷き布団F3上でたるんだシーツSが駆動ユニット30へ侵入したことを検出する自走式掃除機10について説明する。自走式掃除機10は、柔らかい敷き布団F3で走行する前に、使用者によって、予め図5のように車輪31の突出量が大きくなるように調節されているものとする。図27は、前進時に柔らかい敷き布団F3上でたるんだシーツSが駆動ユニット30へ侵入したことを検出する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。図28は、後退時に柔らかい敷き布団F3上でたるんだシーツSが駆動ユニット30へ侵入したことを検出する実施の形態1の自走式掃除機10の縦断面図である。
上記したように、シーツSのたるみ具合等によっては、内側遮蔽板34aが外側遮蔽板34b設けられていても、図27および図28に示すように、シーツSが駆動ユニット30に侵入してしまうことがあり得る。自走式掃除機10の前進時は、図27に示すように、たるんだシーツSは車輪31の後ろ側に侵入する。自走式掃除機10の後退時は、図28に示すように、たるんだシーツSは車輪31の前側に侵入する。
柔らかい敷き布団F3上では、車輪31が敷き布団F3に深く沈み込む。上記したように、異物侵入検出センサー35のレバー35bは、車輪31が大きく突出した状態においても当該車輪31と近接した状態で保たれる。このように、本実施の形態の自走式掃除機10は、柔らかい敷き布団F3上においてもシーツSが車輪31とハウジング34との間に侵入したことを検出することができるように構成されている。車輪31によって持ち上げられたシーツSは、異物侵入検出センサー35の位置まで持ち上げられる。異物侵入検出センサー35の位置まで持ち上げられたシーツSは、レバー35bを押し上げる。これにより、スイッチ部35aのスイッチ回路が短絡する。スイッチ部35aのスイッチ回路が短絡することよって、駆動ユニット30への異物侵入が検出される。
本実施の形態においては、異物侵入検出センサー35によって異物侵入が検出されると、制御ユニット80は、左右両方の車輪用モーター32の駆動を停止する。その後、制御ユニット80は、車輪用モーター32を数秒間逆回転させる。これにより、自走式掃除機10は逆方向に移動する。
このように、本実施の形態においては、シーツSが、車輪31とハウジング34との間の奥に巻き込まれる前に、シーツSが駆動ユニット30に侵入したことが検出される。本実施の形態によれば、シーツSが車輪31に巻き込まれることで当該シーツSが傷むことが防止される。また、シーツSが車輪31に巻き込まれることで車輪用モーター32が過熱することも防止される。
なお、駆動ユニット30への異物侵入が検出されて自走式掃除機10が逆方向に移動する際、制御ユニット80は、ファン51を停止させることが望ましい。たるんだシーツSは、吸込口43に引き込まれ易い。ファン51が停止することにより、シーツSは、吸込口43に引き込まれない。これにより、シーツSの車輪31への接触圧力が低減し、車輪31へのシーツSの巻き込みがより効果的に防止される。
シーツSのたるみ具合によっては、自走式掃除機10が旋回動作および往復動作を繰り返すと、異物侵入検出センサー35による異物侵入の検出が短い間隔で発生することがありえる。また、左右の異物侵入検出センサー35による異物侵入の検出が同時に発生することもありえる。すなわち、自走式掃除機10が前進しても後退しても、車輪31へのシーツSの巻き込みが生じる可能性がある状況が発生しうる。制御ユニット80は、上記のような状況においては車輪用モーター32とファン51との両方の駆動を停止させてもよい。また、自走式掃除機10は、上記のような状況において、使用者に対して警告の表示および音声報知を行うように構成されてもよい。自走式掃除機10は、警告の表示および音声報知を行う報知手段を備えていてもよい。また、自走式掃除機10は、異物侵入検出センサー35によって異物侵入が検出された場合にはアジテーター44の回転が停止するように構成されてもよい。
上記した実施の形態において、異物侵入検出センサー35は、機械式スイッチで構成されている。異物侵入検出センサー35は、その他の方式で構成されていてもよい。異物侵入検出センサー35は、例えば、検出対象となる異物が光を遮ることを利用した光学式センサーによって構成されてもよい。このように、異物侵入検出センサー35は、駆動ユニット30への異物の侵入を検出可能なものであれば、任意のものでよい。
また、自走式掃除機10は、例えば、アジテーター44を必ずしも備えていなくてもよい。アジテーター44を備えていない自走式掃除機10は、より少ない電力で動作することができる。また、アジテーター44を備えていない自走式掃除機10は、吸込口43の面積がより狭くなるように構成されてもよい。アジテーター44を備えていない自走式掃除機10は、底面22aから吸込口43までの距離がより長くなるように構成されてもよい。アジテーター44を備えていない自走式掃除機10を上記のように構成することで、消費電力が削減されつつ、吸込口43にシーツSが密着することが防止されて清掃性能が十分に確保される。
上記の実施の形態において、吸込口43は、下ケース22とは独立して設けられた吸込口体41の底面に形成されている。吸込口43は、例えば、底面22aよりも高い位置で下ケース22と一体的に形成されてもよい。吸込口43が下ケース22の底面22aよりも高い位置に形成されることにより、上記の実施の形態と同様に、吸込口43にシーツSが密着することを防止する効果が得られる。
上記の実施の形態では、一例として、異物侵入検出センサー35は、車輪31に対して、自走式掃除機10の進行方向の一側と他側との両側に設けられている。異物侵入検出センサー35は、自走式掃除機10の進行方向の一側および他側のどちらか一方に設けられていてもよい。異物侵入検出センサー35は、自走式掃除機10の進行方向の一側および他側のどちらか一方に設けられていたとしても、異物侵入を検出することができる。
上記の実施の形態においてハウジング34には、車輪31を挟むように内側遮蔽板34aと外側遮蔽板34bとが設けられている。本開示に係る自走式掃除機10は、遮蔽体の一例として内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bの一方のみを備えるように構成されていてもよい。この場合においても、シーツS等の異物が車輪31とハウジング34の隙間に巻き込まれることを防止する効果が得られる。
なお、上記の実施の形態において、車輪31の内側には、自走式掃除機10の下ケース22が近接している。このため、車輪31の内側においては、シーツSの車輪31の外周への密着が弱くなる傾向がある。すなわち、シーツSの車輪31の外周への巻き込みは、特に、車輪31の外側において発生しやすい。このため、自走式掃除機10は、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bのうち、特に、外側遮蔽板34bを備えていることが望ましい。
また、上記の実施の形態において、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、車輪31の側面方向から見た場合に車輪31の外周とハウジング34の開口との2つの交点を覆うように設けられている。車輪31の外周とハウジング34の開口との2つの交点とは、前側の交点と後側の交点とである。内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、車輪31の前後両側に亘るように設けられている。内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、一例として、車輪31の側面方向から見た場合に車輪31の外周とハウジング34の開口との2つの交点の何れか一方の交点を覆うように設けられてもよい。換言すると、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、車輪31の前側と後側のいずれか一方に差し掛かるように形成されていてもよい。この場合においても、シーツS等の異物が車輪31とハウジング34の隙間に巻き込まれることを防止する効果が得られる。
なお、上記の実施の形態において、吸込口43は、車輪31の前方に設けられている。このため、自走式掃除機10の後進時の方が、自走式掃除機10の前進時よりもシーツSのたるみが大きくなる傾向がある。すなわち、シーツSの車輪31の外周への巻き込みは、自走式掃除機10の後進時に車輪31の前側において発生しやすい。このため、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、車輪31の前側と後側とのうち、特に、前側に差し掛かるように構成されていることが望ましい。換言すると、車輪31の側面方向から見た場合に、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、車輪31の外周とハウジング34の開口の縁との2つの交点のうち吸込口43に近い側の交点を覆うように設けられていることが望ましい。
上記の実施の形態において、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bの下面は、一例として、曲面になっている。内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bは、中央付近が最も突出するような山型の板状に形成されている。内側遮蔽板34a外側遮蔽板34bの外面のうち被清掃面側へ向く面は、自走式掃除機10の走行時に被清掃面に引っ掛からないように曲面になっている。内側遮蔽板34a外側遮蔽板34bの外面のうち被清掃面側へ向く面は、例えば、水平面に対して傾いた平坦な傾斜面であってもよい。内側遮蔽板34a外側遮蔽板34bの外面のうち被清掃面側へ向く面は、自走式掃除機10の走行時に被清掃面に引っ掛からないように構成されていればよい。
なお、内側遮蔽板34aは、車輪31の側面方向から見た場合に上記した交点P3およびP4における内側遮蔽板34aの外形線と車輪31の外周とがなす角度が鈍角になるように構成されていることが望ましい。同様に、外側遮蔽板34bは、車輪31の側面方向から見た場合にP3およびP4における外側遮蔽板34bの外形線と車輪31の外周とがなす角度が鈍角になるように構成されていることが望ましい。
また、自走式掃除機10は、例えば、車輪31の位置に合わせて内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bが移動可能に構成されていてもよい。これにより、車輪31の突出量によらず、異物の巻き込みをより確実に防止することができる。
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態1と同一または相当する部分については、同じ符号を付し、説明を簡略化または省略する。図29および図30は、実施の形態2の駆動ユニット30の斜視図である。図31および図32は実施の形態2の自走式掃除機10の縦断面図である。図29および図31は、車輪31のハウジング34からの突出量が最小である状態を示している。図30および図31は、車輪31のハウジング34からの突出量が最大である状態を示している。
駆動ユニット30は、実施の形態1と同様、車輪31、車輪用モーター32、車輪用ギヤユニット33およびハウジング34を有する。車輪31、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33は、回動軸36を中心にして、一体となって回動可能である。ハウジング34には、内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bが設けられている。内側遮蔽板34aには、ストッパー34cが設けられている。車輪31の側面には、フック31aが設けられている。
本実施の形態において、内側遮蔽板34aは、2つの突起34eが設けられている。内側遮蔽板34aに設けられている2つの突起34eは、車輪31の側面方向から見た場合に車輪31の外周と内側遮蔽板34aの外形線との2つの交点P3およびP4を覆うように配置される。同様に、外側遮蔽板34bは、2つの突起34eが設けられている。外側遮蔽板34bの設けられている2つの突起34eは、車輪31の側面方向から見た場合に車輪31の外周と外側遮蔽板34bの外形線との2つの交点P3およびP4を覆うように配置される。車輪31の側面方向から見た場合において、それぞれ2つの突起34eが設けられた内側遮蔽板34aおよび外側遮蔽板34bを備える自走式掃除機10の本体部分と車輪31の外周との2つの交点を、P5およびP6とする。P5は前側の交点であり、P6は後側の交点である。車輪31は、上記のP3およびP4から、P5およびP6に向かって突出する。車輪31は、P5およびP6から、自走式掃除機10の本体の外部に出る。また、突起34eは、車輪31のハウジング34からの突出量に依らず、P5およびP6における突起34eの外形と車輪31の外周とがなす角度が鈍角になるように構成されている。
本実施の形態では、シーツSが車輪31によって持ち上げられても、当該シーツSは、内側遮蔽板34aと外側遮蔽板34bと突起34eとの少なくとも何れかに当たることで、車輪31の外周から引き剥がされる。本実施の形態であれば、シーツSが車輪31とハウジング34との隙間に巻き込まれることがより確実に防止される。
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態1および実施の形態2と同一または相当する部分については、同じ符号を付し、説明を簡略化または省略する。図33は、実施の形態3の駆動ユニット30の斜視図である。また、図34、図35および図36は実施の形態3の自走式掃除機10の縦断面図である。
駆動ユニット30は、実施の形態1および実施の形態2と同様、車輪31、車輪用モーター32、車輪用ギヤユニット33およびハウジング34を有する。車輪31、車輪用モーター32および車輪用ギヤユニット33は、回動軸36を中心にして、一体となって回動可能である。
本実施の形態において、ハウジング34には、実施の形態1および実施の形態2における内側遮蔽板34aに代えて、内側遮蔽板34fが設けられている。また、本実施の形態において、ハウジング34には、実施の形態1および実施の形態2における外側遮蔽板34bに代えて、外側遮蔽板34gが設けられている。
内側遮蔽板34fは、車輪31の側面方向から見た場合に車輪31の外周とハウジング34の開口の縁との2つの交点のうちの、車輪31の後側の交点を覆うように設けられている。外側遮蔽板34gは、車輪31の側面方向から見た場合に車輪31の外周とハウジング34の開口の縁との2つの交点を覆うように、車輪31の前後に一つずつ配置される。2つの外側遮蔽板34gの間には、一定の距離があけられている。2つの外側遮蔽板34gは、敷き布団F1に沈み込んだ車輪31とシーツSとの接触が悪くならないように配置されている。
図33に示すように、本実施の形態において、車輪用ギヤユニット33は、車輪31の側面に近接した位置に設けられている。車輪用ギヤユニット33の前部には、複数の調節穴33aが形成されている。本実施の形態のハウジング34は、底面側にガイド部37を有する。このガイド部37には、ストッパー38がスライド可能に設けられる。ストッパー38は、水平方向にスライド可能であるが、ガイド部37に規制されることによって上下方向には動かない。
ストッパー38は、先端部が調節穴33aに嵌合するように構成されている。ストッパー38の先端部が調節穴33aに嵌合すると、車輪用ギヤユニット33の上下方向の回動が規制される。ストッパー38の調節穴33aに嵌合する先端部の反対側、すなわち前方側には、バネ39が設けられる。ストッパー38は、このバネ39によって、後方側に付勢される。ストッパー38は、バネ39によって付勢されることで、通常時は、調節穴33aに嵌合した状態となる。
使用者は、ストッパー38を本体前方側にスライドさせて車輪用ギヤユニット33との嵌合を解除した状態で車輪31を上下方向に回動させることで、車輪31の底面22aからの突出量を変えることができる。複数の調節穴33aは、回動軸36を中心とする円弧に沿って配列されている。すべての調節穴33aは、ストッパー38に同じ程度の力で嵌合可能に構成される。本実施の形態における調節穴33aおよびストッパー38は、車輪31の突出量を調節する突出量調節手段の一例である。突出量調節手段は、実施の形態1においては車輪31の側面と内側遮蔽板34aとに設けられていたが、本実施の形態のようにそれ以外の場所に設けられていてもよい。
図34に示すように、車輪31の側面方向から見た場合において、内側遮蔽板34fおよび外側遮蔽板34gが設けられた自走式掃除機10の本体部分と車輪31の外周との2つ交点を、P7およびP8とする。P7は前側の交点であり、P8は後側の交点である。また、図34において車輪31を破線で示すように、ハウジング34からの車輪31の突出量が大きい場合において、当該車輪31の外周と自走式掃除機10の本体部分との交点を、P9およびP10とする。本実施の形態の自走式掃除機10は、車輪31のハウジング34からの突出量に依らず、P7、P8、P9およびP10における車輪31の外周と自走式掃除機10の本体部分の外形とがなす角度が鈍角になるように構成されている。