JP2019011555A - 山留め用切梁構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 山留め工事を行う際に、切梁の本数を少なくすることができ、かつ、腹起し側の荷重を確実に受けることができる山留め用切梁を提供すること。
【解決手段】長さ調節手段を有する切梁と、この切梁の両端部付近に設けられた火打切梁主材とからなる山留め用切梁構造にであって、前記切梁の長さ調節手段を除く部位が角鋼管で構成されるとともに、前記火打切梁主材は、切梁の両端部付近に設けられた単数又は複数の火打取付部材と、一端部が前記火打取付部材に固定され、他端部が腹起し材に固定される1対の第1の火打部材と、この第1の火打部材に対して前後方向に所定間隔を有して設けられ、その一端部が前記火打取付部材に固定され、他端部が腹起し材に固定される1対の第2の火打部材とで構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は山留め工事に用いられる山留め用切梁構造に関する。
従来、山留め用切梁構造は、その両端部に火打部材を備えるものが知られている。
例えば特許文献1には、「腹起しと切梁との間に腹起し側60度、切梁側30度の火打角度で配置された火打材の火打受け構造であって、前記火打材の腹起し側と切梁側にそれぞれ60度用火打ピースと30度用火打ピースが配置され、当該60度用火打ピースと30度用火打ピースはそれぞれ腹起しと切梁にボルト接合されていることを特徴とする火打受け構造」が開示されており、特許文献1に記載の火打部材は切梁の両端部に左右1対ずつ設けられるものである。
従来、このような切梁の両端部に左右1対ずつ火打部材を備える山留め用切梁が用いられていた理由としては、切梁本体にH形鋼が用いられており、腹起し材(矢板等)から受けられる荷重が限られていた。したがって、1本の切梁に設ける火打部材の数を増すことにより、切梁自体の数を減らすことはできなかった。
そのため、山留め工事には、多数の切梁を用いなければならず、コスト高となってしまうという欠点があった。
特開2008−8002号公報
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、山留め工事を行う際に、切梁の本数を少なくすることができ、かつ、腹起し側の荷重を確実に受けることができる山留め用切梁構造を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の山留め用切梁は、長さ調節手段を有する切梁と、この切梁の両端部付近に設けられた火打切梁主材とからなる山留め用切梁構造にであって、前記切梁の長さ調節手段を除く部位が角鋼管で構成されるとともに、前記火打切梁主材は、切梁の両端部付近に設けられた単数又は複数の火打取付部材と、一端部が前記火打取付部材に固定され、他端部が腹起し材に固定される1対の第1の火打部材と、この第1の火打部材に対して前後方向に所定間隔を有して設けられ、その一端部が前記火打取付部材に固定され、他端部が腹起し材に固定される1対の第2の火打部材とで構成されることを特徴とする。
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1乃至請求項4に記載された各発明においては、切梁に角鋼管を用いているので、従来用いられているH形鋼よりも高荷重を受けることができる。
したがって、切梁の本数を少なくしても荷重を受けることができる。
(2)第1の火打部材及び第2の火打部材を用いているので、これらの火打部材で腹起し材を押圧することができるので、腹起し側に発生する曲げモーメントを効率よく受けることができる。
したがって、切梁の本数を少なくしても腹起し側が曲げモーメントで破断等することを防止することができる。
(3)請求項5に記載された発明においては、前記(1)〜(2)の効果が得られるとともに、長孔状のボルト通し穴により腹起し側の固定位置を微調整することができる。
(4)請求項6に記載された発明においては、前記(1)〜(3)の効果が得られるとともに、補強材により切梁本体の強度等を向上させることができる。
図1乃至図8は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図9乃至図11は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
第1実施形態の山留め用切梁の平面図。 切梁の説明図 図2の3−3線断面図。 火打切梁主材の説明図。 火打取付部材の説明図。(a)平面図。(b)b−b線断面図。 第1の火打部材の説明図。 使用状態の概要説明図。 使用状態の火打切梁主材の概要説明図。 第2実施形態の山留め用切梁の平面図。 火打切梁主材の説明図。 火打取付部材の説明図。(a)平面図。(b)b−b線断面図。
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書では図1を基準として左右方向、前(図面上方)後(図面下方)方向という。また、図3を基準として上下方向という。
図1乃至図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は山留め工事に用いられる山留め用切梁構造である。
この山留め用切梁構造1は、図1に示すように、長さ調節手段2を有する切梁3と、この切梁3の両端部付近に設けられた火打切梁主材4とで構成されている。
この切梁3は、図2に示すように、複数本の切梁本体5と、該複数本の切梁本体5の間に介在された長さ調節手段(ジャッキ)2とで構成されており、切梁本体5には角鋼管が用いられている。
切梁本体5に角鋼管を用いることにより、H形鋼を切梁本体として用いるよりも、強度や剛性が向上し、少ない本数で腹起し側の荷重を受けることができるものである。
また、切梁3の本数を少なくすることができるので、通常、切梁の交差する部位に設けられる支持杭の数も少なくすることができる。
この切梁本体5のジャッキ2と接続される部位には、長さ調節手段2としてのジャッキ2と接続するための接続板6が固定されており、この接続板6とジャッキ2とがボルト等(図示せず)で接続される。このジャッキ2により、切梁3全体の長さを調節し、両端部の腹起し材7に当接させて荷重を切梁3自体でも受けることができる。
この切梁本体5のジャッキ2と接続される端部には、前述したように接続板6が設けられており、切梁本体5の端部の一側面にはこの接続板6とジャッキ2とをボルト等(図示せず)で接続する際に使用される切欠き8が設けられており、この切欠き8を形成する分、低下した強度を補うため、図3に示すように、その内部に十字状に形成された板状の補強部材22が固定的に設けられている。
切梁本体5同士を接続する端部には、フランジ部5aが設けられており、このフランジ部5a同士をボルト等(図示せず)によって接続する。また、腹起し材7に当接する部位には板状の当接板9が設けられている。
火打切梁主材4は、図4に示すように、切梁3の両端部付近の両側面に設けられた火打取付部材10と、一端部が前記火打取付部材10に固定され、他端部が腹起し材7に固定される左右1対の第1の火打部材11と、この第1の火打部材11と前後方向に所定間隔を有して固定された左右1対の第2の火打部材12とで構成されている。
この火打切梁主材4は、通常は1対で用いられる火打部材を、例えば図1を基準として前後方向に2対設けていることが特徴である。このように、火打部材を2対設けることにより、腹起し材7に発生する曲げモーメントを非常に少なくすることができる。
本実施形態では、後述するように、切梁3から第1の火打部材11までのピッチと第1の火打部材11から第2の火打部材12までのピッチが、腹起し材7に当接する他方の火打受け部材15から隣り合う他方の火打受け部材15の間隔及び他方の火打受け部材15から当接板9までの間隔と略同じとなるように火打部材11、12が固定されている。
火打取付部材10は、図5に示すように本実施形態ではH形鋼を用いており、このH形鋼の一方の平坦面10aを切梁3の両端部付近の両側面に溶接により固定している。この火打取付部材10は左右1対となるように設けられており、本実施形態では、第1の火打部材11用として1対、第2の火打部材12用としてもう1対の計4つが切梁3の端部付近に設けられている。
ところで、第1の火打部材11用の火打取付部材10と第2の火打部材12用の火打取付部材10とを分割して複数個設けているが、長尺の1対の火打取付部材10を用いて、第1の火打部材11及び第2の火打部材12の両方を取り付けられるものとしてもよい。
すなわち、切梁本体5の一方の端部寄りの部位の一側面につき、単数の火打取付部材10を設けてもよいし、本実施形態のように複数の火打取付部材10を設けてもよい。
この火打取付部材10の他方の平坦面10bには、火打部材11、12が固定される。なお、火打取付部材10のウェブ高さは、腹起し材7に設けられたボルトピッチと整合するように形成されていることが望ましい。
第1の火打部材11は、図6に示すように、火打本体13と、この火打本体13の両端部にそれぞれ設けられた火打受け部材14、15とで構成されている。
この火打本体13は、本実施形態ではH形鋼を用いているが、この火打本体13にも角鋼管を用いてもよい。
一方の火打受け部材14は、その一側面14aが前記火打取付部材10の他方の平坦面10bにボルトにより固定され、他側面14bには火打本体13がボルトにより固定される。
この一方の火打受け部材14は、一側面14aに固定された火打取付部材10と他側面14bに固定された火打本体13の成す角が30°となるように形成されている。すなわち、火打取付部材10と略平行な切梁3と火打本体13の成す角が30°となるように形成されている。
他方の火打受け部材15その一側面15aが腹起し材7にボルトにより固定され、他側面15bには火打本体13がボルトにより固定される。
他方の火打受け部材15の一側面15aには長孔状のボルト通し穴が形成され、該ボルト通し穴を貫通して腹起し材にボルトによって固定されている。ボルト通し穴を長孔状とすることにより、腹起し側の固定位置を微調整することができる。
この他方の火打受け部材15は、一側面15aに固定された腹起し材7と他側面14bに固定された火打本体13の成す角が60°となるように形成されている。
この一方の火打受け部材14(30°用火打受け部材)、他方の火打受け部材15(60°用火打受け部材)と火打本体13は、ボルトによって取り付けられている。
第2の火打部材12は、前記第1の火打部材11と同様の構成で、前記第1の火打部材11よりも腹起し材7側に固定されており、その分火打本体13の長さが短く形成されている。
ところで、切梁3の腹起し材7側の端部から第2の火打部材12の腹起し材7側の端部の距離と、第2の火打部材12の腹起し材7側の端部から第1の火打部材11の腹起し材7側の端部の距離が略同じ距離となるように第1の火打部材11と第2の火打部材12を切梁3に固定することが望ましい。
このように第1の火打部材11と第2の火打部材12を固定することにより、山留め工事に山留め用切梁1を用いた際に、切梁3、第1の火打部材11及び第2の火打部材12で略均等に腹起し材7の曲げモーメントを受けることができるためである。
付言すると、山留め工事の際に、本願発明の山留め用切梁構造1を用いた切梁(以下、このような切梁を「山留め用切梁1」という)を複数使用することになるが、山留め用切梁1と隣り合う山留め用切梁1との間隔も、第1の火打部材11同士の間隔が、切梁3の腹起し材7側の端部から第2の火打部材12の腹起し材7側の端部の距離と略同じ距離になるように設けることが望ましい。
そのように山留め用切梁1を設けることにより、山留め用切梁1同士のピッチの腹起し材7の曲げモーメントの距離を5等分することができ、切梁3、第1の火打部材11及び第2の火打部材12で略均等に腹起し材7の曲げモーメントを受けることができるためである。
すなわち、切梁3の腹起し材7側の端部から第2の火打部材12の腹起し材7側の端部の距離と、第2の火打部材12の腹起し材7側の端部から第1の火打部材11の腹起し材7側の端部の距離は、山留め工事の際に設ける山留め用切梁1のピッチの略1/5の距離に設定して設けることが望ましい。
第1の火打部材11と第2の火打部材12は、それぞれ左右1対の火打部材で、それぞれ略線対称となるように配置されている。
本発明の山留め用切梁1を使用する際には、図7及び図8に示すように、複数個の山留め用切梁1を、所定間隔を有して腹起し材7に固定し、山留め用切梁1が格子状となるように設ける。なお、腹起し材7に固定する際に、必要に応じて長さ調節手段2により切梁3の長さを調節する。また、図示しないが、この山留め用切梁1が交差する部位には、支持杭が設けられる。
この使用状態において、火打切梁主材4の第1の火打部材11及び第2の火打部材12は、図8に示すように、山留め工事の際に設ける山留め用切梁1のピッチの略1/5の距離に設定して設けられているので、荷重を略均等に受けることができる。また、切梁本体5に角鋼管を用いているので、少ない本数で荷重を受けることができる。
例えば、山留め用切梁1のピッチが9500mmである場合、切梁3の端部から第2の火打部材12の端部までの距離が1906mm、第2の火打部材12の端部から第1の火打部材11の端部までの距離が1910mm、この第1の火打部材11の端部から隣り合う山留め用切梁の第1の火打部材11の端部までの距離が1868mmとなるように固定する。
他の例としては、山留め用切梁1のピッチが8500mmである場合、切梁3の端部から第2の火打部材12の端部までの距離が1617mm、第2の火打部材12の端部から第1の火打部材11の端部までの距離が1790mm、この第1の火打部材11の端部から隣り合う山留め用切梁の第1の火打部材11の端部までの距離が1686mmとなるように固定する。
山留め用切梁1のピッチが8700mmである場合、切梁3の端部から第2の火打部材12の端部までの距離が1620mm、第2の火打部材12の端部から第1の火打部材11の端部までの距離が1800mm、この第1の火打部材11の端部から隣り合う山留め用切梁の第1の火打部材11の端部までの距離が1860mmとなるように固定する。
山留め用切梁1のピッチが9200mmである場合、切梁3の端部から第2の火打部材12の端部までの距離が1810mm、第2の火打部材12の端部から第1の火打部材11の端部までの距離が1890mm、この第1の火打部材11の端部から隣り合う山留め用切梁の第1の火打部材11の端部までの距離が1800mmとなるように固定する。
山留め用切梁1のピッチが9000mmである場合、切梁3の端部から第2の火打部材12の端部までの距離が1600mm、第2の火打部材12の端部から第1の火打部材11の端部までの距離が1500mm、この第1の火打部材11の端部から隣り合う山留め用切梁の第1の火打部材11の端部までの距離が1800mmとなるように固定する。
このように、実際には切梁3の腹起し材7側の端部から第2の火打部材12の腹起し材7側の端部の距離、第2の火打部材12の腹起し材7側の端部から第1の火打部材11の腹起し材7側の端部の距離及び第1の火打部材11の腹起し材7側の端部から隣り合う第1の火打部材11の腹起し材7側の端部の距離には若干のバラツキがあるが、この程度の範囲内で設定することを本願発明では略同じ距離又は山留め用切梁1のピッチの略1/5の距離とする。
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図9乃至図11に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
図9乃至図11に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、H形鋼を用い、その開口部16が外方(左右方向)に位置するように切梁3に固定された火打取付部材10Aを用いるとともに、一方の火打受け部材14が、この火打取付部材10Aの開口からH形鋼の内部に挿入されて固定されている火打切梁主材4Aにした点で、このような山留め用切梁構造1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
火打取付部材10Aについて詳しく説明すると、この火打取付部材10AはH形鋼をI型にして切梁3に固定されており、切梁3側の開口部16aには、切梁3に溶接等によって固定するための固定板17が溶接等により固定されている。
他方の開口部16bの上下に位置するフランジ部18には、本実施形態ではボルト通し穴が形成されおり、第1の火打部材11及び第2の火打部材12の一端部である一方の火打受け部材14の上下プレート面は、この開口部16bから上下のフランジ部18の間に挿入された状態でボルトにより固定される。
本発明は山留め工事を行う産業や山留め用切梁を生産等する産業で利用される。
1、1A:山留め用切梁構造、 2:長さ調節手段(ジャッキ)、
3:切梁、 4、4A:火打切梁主材、
5:切梁本体、 6:接続板、
7:腹起し材、 8:切欠き、
9:当接板、 10、10A:火打取付部材、
11:第1の火打部材、 12:第2の火打部材、
13:火打本体、 14:一方の火打受け部材、
15:他方の火打受け部材、 16:開口部、
17:固定板、 18:フランジ部、
19:ウェブ。

Claims (6)

  1. 長さ調節手段を有する切梁と、この切梁の両端部付近に設けられた火打切梁主材とからなる山留め用切梁構造にであって、
    前記切梁の長さ調節手段を除く部位が角鋼管で構成されるとともに、前記火打切梁主材は、切梁の両端部付近に設けられた単数又は複数の火打取付部材と、一端部が前記火打取付部材に固定され、他端部が腹起し材に固定される1対の第1の火打部材と、この第1の火打部材に対して前後方向に所定間隔を有して設けられ、その一端部が前記火打取付部材に固定され、他端部が腹起し材に固定される1対の第2の火打部材とで構成される山留め用切梁構造。
  2. 前記火打取付部材はH形鋼であり、前記第1の火打部材及び第2の火打部材は該H形鋼の平坦部に前記火打部材の一端部が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の山留め用切梁構造。
  3. 前記火打取付部材はH形鋼であり、前記第1の火打部材及び第2の火打部材の一端部が該H形鋼の上下のフランジ部の間に挿入されて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の山留め用切梁構造。
  4. 前記第1の火打部材及び第2の火打部材は、火打本体と、この火打本体の両端部にそれぞれ設けられた火打受け部材とで構成され、前記火打取付部材に固定される一方の火打受け部材は、切梁と火打本体とのなす角が30°となるように形成され、前記腹起し材に固定される他方の火打受け部材は、腹起し材と火打本体とのなす角が60°となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の山留め用切梁構造。
  5. 前記他方の火打受け部材は、長孔状のボルト通し穴が形成され、該ボルト通し穴を貫通して腹起し材にボルトによって固定されていることを特徴とする請求項4に記載の山留め用切梁構造。
  6. 前記切梁は、複数個の角鋼管の切梁本体と、該複数個の切梁本体の間に介在された長さ調節手段としてのジャッキとで構成され、前記切梁本体のジャッキと接続される端部付近には、その内部に補強材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の山留め用切梁構造。
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