JP2019010734A - 積層型ガスバリアー性フィルム及び電子デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、高いガスバリアー性を備えた積層型ガスバリアー性フィルムと電子デバイスを提供することである。【解決手段】本発明の積層型ガスバリアー性フィルムは、基材上に、少なくとも第1のガスバリアー層、相互作用層、及び第2のガスバリアー層がこの順で積層され、前記第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の少なくとも一方の1層が、厚さ方向において、少なくとも厚さ方向において、非遷移金属M1及び遷移金属M2を含有する領域であって、前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、積層型ガスバリアー性フィルム及びそれを具備した電子デバイスに関する。更に詳しくは、優れたガスバリアー性を有する積層型ガスバリアー性フィルム及び電子デバイスに関する。
電子デバイス、特に、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(以下、有機ELデバイス又は有機EL素子ともいう。)では、用いられている有機材料や電極の水分による劣化を防止するため、素子を被覆する封止層が形成される。封止層には、25±0.5℃、90±2%RHの環境下での水蒸気透過度(WVTR)として10−5〜10−6g/m・24hオーダーの非常に高いガスバリアー性が必要であると言われている。
これらの要求に対し、無機層と有機層を交互に積層した構造の封止層を低温で形成する方法が提案されている。ただし、無機層と有機層を交互に積層した構造のガスバリアー層を実現するには、例えば、スパッタ装置、有機物蒸着装置、CVD装置を連結した装置を用い、無機層と有機層を交互に多数積層し、かつ、有機層にはそれぞれ紫外線(UV)硬化工程を要するといった、複雑で非常に長い成膜時間を要し、素子への多大な負担がかかり素子の劣化要因となっている。
一方で、同一原料を用いた成膜で、成膜条件を変化させることで、膜質の異なるガスバリアー層を交互に積層するという方法も提案されている。この方法は、一つの成膜装置によって形成できるメリットを有するが、要求性能を満足するガスバリアー性を得るには、約5000nmから7000nm程度の成膜が必要であり、素子劣化することには変わりがない。
上記問題に対し、CVD成膜法によるSiN膜(厚さ2μm)と、ポリシラザン塗布膜(厚さ500nm)とを組み合わせた封止膜が知られている。しかしながら、この方法では、ポリシラザン塗布膜は塗布乾燥したのみで形成されており、吸湿能力のみを利用するものであるため、初期性能としては吸湿能力による見かけ上の水蒸気遮断機能を有するものの、吸湿能力が飽和した後には水蒸気遮断機能は失われ、限定した効果しか得られない。また、厚さ2μmのSiN膜の形成にも長い成膜時間を要する工程が必要である上に、厚さ2μmのSiN膜のみでは、要求されるガスバリアー性を満足することはできない。
一方、防湿機能を付与させる観点から、単一層から構成される2つのガスバリアー層の間に、酸素又は水分と反応することができる無機反応層を設けることにより、ガスバリアー性を向上させる無機多層積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ガスバリアー層に隣接する位置に、水分又は酸素と相互作用することが可能な反応性ナノ粒子を含有する封止層を設けた、ガスバリアー特性が改善され、製造が安価なバリアースタックが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2で開示されている方法では、適用するガスバリアー層の構成が、従来採用されてきたガスバリアー性の低いガスバリアー層であるため、作製された無機多層積層体やバリアースタックとして、近年、例えば、高度のガスバリアー性が要求されている電子デバイス用途としては、未だ満足できる品質には到達していないのが現状であり、早急な技術開発が要望されている。
特表2014−511286号公報 特表2010−511267号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、極めて高いガスバリアー性を備えた積層型ガスバリアー性フィルムとそれを具備した電子デバイスを提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、基材上に、少なくとも第1のガスバリアー層、相互作用層、及び第2のガスバリアー層がこの順で積層され、前記第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の少なくとも一方の1層が、下記で規定する条件(1)を満たすガスバリアー層Mであることを特徴とする積層型ガスバリアー性フィルムにより、極めて高いガスバリアー性を備えた積層型ガスバリアー性フィルムが得られることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.基材上に、少なくとも第1のガスバリアー層、相互作用層、及び第2のガスバリアー層がこの順で積層され、
前記第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の少なくとも一方の1層が、下記で規定する条件(1)を満たすガスバリアー層Mであることを特徴とする積層型ガスバリアー性フィルム。
条件(1):少なくとも厚さ方向において、非遷移金属M1及び遷移金属M2を含有する領域であって、前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有すること。
2.前記相互作用層が、アルカリ金属酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、金属ドーピングされた亜鉛酸化物及びシリコン酸化物から選択される少なくとも1種の酸化物を含有することを特徴とする第1項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
3.前記相互作用層が、少なくとも1種の非酸化物化学成分でドーピングされることを特徴とする第1項又は第2項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
4.前記相互作用層が、反応性ナノ粒子を含有することを特徴とする第1項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
5.前記反応性ナノ粒子が、化学反応により水分又は酸素と相互作用することを特徴とする第4項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
6.前記反応性ナノ粒子が、金属又は金属酸化物により構成される材料を含有することを特徴とする第4項又は第5項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
7.前記反応性ナノ粒子が、Al、Ti、Mg、Ba及びCaから選択される少なくとも1種の金属を含有することを特徴とする第4項から第6項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
8.前記反応性ナノ粒子が、TiO、Al、ZrO、ZnO、BaO、SrO、CaO、MgO、VO、CrO、MoO及びLiMnから選択される少なくとも1種の金属酸化物を含有することを特徴とする第4項から第6項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
9.前記反応性ナノ粒子が、スズ酸カドミウム(CdSnO)、インジウム酸カドミウム(CdIn)、スズ酸亜鉛(ZnSnO又はZnSnO)及び酸化亜鉛インジウム(ZnIn)から選択される少なくとも1種の透明な導電性酸化物を含有することを特徴とする第4項から第6項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
10.前記反応性ナノ粒子が、吸着により水分又は酸素と相互作用することを特徴とする第4項から第9項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
11.前記反応性ナノ粒子が、カーボンナノチューブを含有することを特徴とする第4項から第10項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
12.前記ガスバリアー層Mが、前記遷移金属酸化物M2を主成分として含有する領域と、前記非遷移金属M1を主成分として含有する領域との間に、前記混合領域を有すること特徴とすることを特徴とする第1項から第11項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
13.前記ガスバリアー層Mが含有する前記非遷移金属M1が、ケイ素であることを特徴とする第1項から第12項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
14.前記遷移金属M2が、長周期型周期表の第5族元素であることを特徴とする求項1から第13項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
15.前記遷移金属M2が、ニオブ(Nb)又はタンタル(Ta)であることを特徴とする第1項から第14項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
16.前記混合領域の組成が、さらに酸素を含有していることを特徴とする第1項から第15項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
17.前記混合領域の組成を、下記化学組成式(1)で表したとき、前記混合領域の少なくとも一部が下記関係式(2)を満たすことを特徴とする第1項から第16項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
化学組成式(1)
(M1)(M2)
関係式(2)
(2y+3z)/(a+bx)<1.0
〔式中、M1は非遷移金属、M2は遷移金属、Oは酸素、Nは窒素を表す。x、y、zは、それぞれ化学量論係数であり、aはM1の最大価数、bはM2の最大価数を表す。〕
18.前記第1のガスバリアー層及び前記第2のガスバリアー層が、いずれもガスバリアー層Mであることを特徴とする第1項から第17項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
19.前記第1のガスバリアー層及び前記第2のガスバリアー層のいずれか一方が、前記ガスバリアー層Mであり、他方が第12族〜第14族の非遷移金属又はその化合物により構成される単一組成のガスバリアー層Nであることを特徴とする第1項から第18項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
20.第1項から第19項までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルムを具備していることを特徴とする電子デバイス。
21.電子デバイスが、量子ドットを含有するQDフィルムであることを特徴とする第20項に記載の電子デバイス。
22.電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする第20項に記載の電子デバイス。
本発明によれば、極めて高いガスバリアー性を備えた積層型ガスバリアー性フィルムとそれを具備した電子デバイスを提供することができる。
本発明の積層型ガスバリアー性フィルムの構成の一例を示す概略断面図 本発明の積層型ガスバリアー性フィルムの構成の他の一例を示す概略断面図 本発明の積層型ガスバリアー性フィルムの構成の他の一例を示す概略断面図 ガスバリアー層Mの厚さ方向における非遷移金属M1及び遷移金属M2の組成分布をXPS法により分析したときの元素プロファイルと混合領域を説明するためのグラフ ガスバリアー層Mを構成するB領域の形成に適用可能な真空紫外光照射装置の一例を示す概略断面図
本発明の積層型ガスバリアー性フィルム(以下、単にガスバリアー性フィルムともいう。)は、基材上に、少なくとも第1のガスバリアー層、相互作用層、及び第2のガスバリアー層がこの順で積層され、前記第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の少なくとも一方の1層が、下記で規定する条件(1)を満たすガスバリアー層Mであることを特徴とする。
条件(1):少なくとも厚さ方向において、非遷移金属M1及び遷移金属M2を含有する領域であって、前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有すること。
この特徴は、各請求項に係る発明に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明者らの検討によれば、非遷移金属酸化物の膜を単独で用いてガスバリアー層を形成したり、遷移金属酸化物の膜を単独で用いてガスバリアー層を形成したりすることにより、ガスバリアー性が得られることは観察されたものの、電子デバイス仕様で要求されるような高度のガスバリアー性の向上にはつながらなかった。
本発明者らは、上記問題を踏まえ更に検討を行った結果、本発明で規定するように、2層のガスバリアー層の間に、酸素や蒸気と反応することができる機能を備え、ガスバリー層内に侵入してくる酸素や水分等の有害ガスを効率的にトラップする相互作用層を設け、前記2層のガスバリアー層の少なくとも1層を本発明で規定する構成からなるガスバリアー層Mで構成すること、より好ましくは、相互作用層を挟持する2つのガスバリアー層のいずれも、本発明に係るガスバリアー層Mで構成することにより、ガスバリアー層Mと相互作用層のガスバリアー性の相乗効果により、従来では実現することができなかった極めて高次のガスバリアー性フィルム得ることができたものである。
本発明者らは、上記のようなガスバリアー層Mの効果を更に発展させる方法について、鋭意検討を進めた結果、非遷移金属を主成分とする化合物(例えば、酸化物)を含むB領域と、遷移金属を主成分とする化合物(例えば、酸化物)を含むA領域とを積層し、非遷移金属と遷移金属の複合酸化物を含有する混合領域を形成することにより、ガスバリアー性が著しく向上することを見出した。これは、上述したように、非遷移金属同士の結合や遷移金属同士の結合よりも、非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)との結合が生じやすいことに起因し、金属化合物の高密度な構造が混合領域において形成されたためであると考えられる。
さらには、当該混合領域を酸素欠損組成とすると、ガスバリアー性が著しく向上することを見出した。これは、上述したように、非遷移金属同士の結合や遷移金属同士の結合よりも、非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)との結合が生じやすいことに起因して、混合領域を酸素欠損組成とすることで、金属化合物の高密度な構造が混合領域において形成されたためであると考えられる。
本発明の実施形態としては、本発明に係る相互作用層の一つの形態としては、アルカリ金属酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、金属ドーピングされた亜鉛酸化物及びシリコン酸化物から選択される少なくとも1種の酸化物を含有する構成(以下、相互作用層タイプAともいう。)とすることが、本発明に係るガスバリアー層Mとの優れた相乗作用を発現し、より優れたガスバリアー性を実現することができる観点から好ましい。
更には、相互作用層タイプAにおいては、少なくとも1種の非酸化物化学成分でドーピングされることが、安定して相互作用層の効果である酸素又は水分と反応性を向上させることができる点で好ましい。
また、本発明に係る相互作用層の他の形態としては、相互作用層が、反応性ナノ粒子を含有する構成(以下、相互作用層タイプBともいう。)とすることが、本発明に係るガスバリアー層Mとの優れた相乗作用を発現し、より優れたガスバリアー性を実現することができる観点から好ましい。
更に、相互作用層タイプBにおいては、反応性ナノ粒子が、化学反応により水分又は酸素と相互作用する特性を有することが、層内に侵入してくる酸素や水分を効率的に補足し、ガスバリアー層Mのガスバリアー効果を向上させることができる点で好ましい。
また、相互作用層タイプBにおいては、反応性ナノ粒子が、金属又は金属酸化物により構成される材料を含有すること、更には、Al、Ti、Mg、Ba及びCaから選択される少なくとも1種の金属を含有すること、より具体的には、TiO、Al、ZrO、ZnO、BaO、SrO、CaO、MgO、VO、CrO、MoO及びLiMnから選択される少なくとも1種の金属酸化物を含有すること、スズ酸カドミウム(CdSnO)、インジウム酸カドミウム(CdIn)、スズ酸亜鉛(ZnSnO又はZnSnO)及び酸化亜鉛インジウム(ZnIn)から選択される少なくとも1種の透明な導電性酸化物を含有すること、あるいはカーボンナノチューブを含有することが、本発明に係るガスバリアー層Mとの優れた相乗作用を発現し、より優れたガスバリアー性を実現することができる観点から好ましい。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記ガスバリアー層Mが、前記遷移金属M2を主成分として含有する領域(以下、「A領域」という。)と前記非遷移金属M1を主成分として含有する領域(以下、「B領域」という。)との間に、前記混合領域を有する態様であることが好ましい。前記混合領域は、その少なくとも一部がA領域、又は、B領域と重なった領域であってもよい。
また、前記非遷移金属M1が、ガスバリアー性向上の観点から、ケイ素(Si)であることが好ましい。さらに、前記遷移金属M2が、長周期型周期表の第5族元素であることが、同様の観点から好ましい。具体的には、前記遷移金属M2が、ニオブ(Nb)又はタンタル(Ta)であることが好ましい。
本発明においては、特に、ガスバリアー性向上の観点から、前記混合領域に、前記非遷移金属M1と前記遷移金属M2に加えて、酸素が含有されていることが好ましい。
さらに、同様の観点から、前記混合領域の組成が、後述する酸素が欠損した非化学量論的組成を有していることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。また、各図の説明で、構成要素の後の括弧内に記載の数字は、各図に記載している符号を示してある。
《積層型ガスバリアー性フィルムの全体構成》
本発明のガスバリアー性フィルムは、基材上に、少なくとも第1のガスバリアー層、相互作用層、及び第2のガスバリアー層がこの順で積層され、当該第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の少なくとも一方の1層が、下記で規定する条件(1)を満たすガスバリアー層Mである。
条件(1):少なくとも厚さ方向において、非遷移金属M1及び遷移金属M2を含有する領域であって、前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有すること。
更には、本発明に係る相互作用層が、アルカリ金属酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、金属ドーピングされた亜鉛酸化物及びシリコン酸化物から選択される少なくとも1種の酸化物を含有する構成される相互作用層タイプAであること、あるいは、反応性ナノ粒子を含有する構成の相互作用層タイプBであることが好まし形態である。
また、ガスバリアー層Mとしては、遷移金属M2を主成分として含有するA領域と、非遷移金属M2を主成分として含有するB領域との間に、混合領域を有することが好ましい態様である。
本発明でいう「ガスバリアー性フィルム」におけるガスバリアー性とは、基材上に各ガスバリアー層及び相互作用層を積層して形成させた積層体について、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/m・24h以下の高バリアー性であることを意味する。
各ガスバリアー層の層厚は、特に制限されないが、5〜1000nmであることが好ましい。このような範囲であれば、高いガスバリアー性能、折り曲げ耐性、断裁加工適性に優れる。
水蒸気透過度は、例えば、水蒸気透過度測定装置(商品名:パーマトラン モコン社製)により、38℃、100%RHの雰囲気下で測定することができる。
図1は、本発明の積層型ガスバリアー性フィルムの構成の一例を示す概略断面図である。
図1において、積層型ガスバリアー性フィルム(1)は、基材(2)上に、少なくとも、第1のガスバリアー層(GB1)、相互作用層(3)、及び第2のガスバリアー層(GB2)をこの順で積層した構成を有している。
図2は、本発明の積層型ガスバリアー性フィルムの構成の他の一例を示す概略断面図である。
図2の(a)は、図1の構成において、相互作用層が、アルカリ金属酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、金属ドーピングされた亜鉛酸化物及びシリコン酸化物から選択される少なくとも1種の酸化物を含有する構成される相互作用層タイプA(3A)である構成を示しており、図2の(b)は、相互作用層が反応性ナノ粒子(4)を含有する構成の相互作用層タイプB(3B)を示してある。
本発明の積層型ガスバリアー性フィルムにおいては、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層が、いずれもガスバリアー層Mより形成されている構成であることが好ましい形態であり、更には、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層のいずれか一方をガスバリアー層Mで構成し、他方のガスバリアー層を第12族〜第14族の非遷移金属又はその化合物により構成される単一組成のガスバリアー層(N)とすることができる。
図3は、上記各種構成を説明するための本発明の積層型ガスバリアー性フィルムの構成の他の一例を示す概略断面図である。
図3の(a)で示す積層型ガスバリアー性フィルム(1)は、第1のガスバリアー層と、第2のガスバリアー層を、いずれもガスバリアー層M(M・GB1及びM・GB2)で形成した構成例を示してある。
図3の(b)で示す積層型ガスバリアー性フィルム(1)は、第1のガスバリアー層を、本発明に係るガスバリアー層M(M・GB1)で形成し、他方の第2のガスバリアー層を第12族〜第14族の非遷移金属又はその化合物により構成される単一組成のガスバリアー層N(N・GB2)で形成した構成例を示してある。
図3の(c)で示す積層型ガスバリアー性フィルム(1)では、図3の(b)で示した構成とは逆に、第1のガスバリアー層を第12族〜第14族の非遷移金属又はその化合物により構成される単一組成のガスバリアー層N(N・GB1)で形成し、他方の第2のガスバリアー層を、本発明に係るガスバリアー層M(M・GB2)で形成した構成例を示してある。
《積層型ガスバリアー性フィルムの各構成要素》
以下に、本発明の積層型ガスバリアー性フィルムを構成する、基材、ガスバリアー層M、ガスバリアー層N、相互作用層の詳細について説明する。
[基材]
本発明に用いる基材としては、無色透明な樹脂からなるフィルム又はシートが挙げられる。このような基材に用いる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、シクロポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル系樹脂;アセタール系樹脂;ポリイミド系樹脂;セルロースエステル系樹脂が挙げられる。
これらの樹脂の中でも、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シクロポリオレフィン系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂から選ばれる樹脂が特に好ましい。また、これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記基材の厚さは、本発明のガスバリアーフィルムを製造する際の安定性を考慮して適宜に設定することができる。前記基材の厚さとしては、真空中においてもフィルムの搬送が可能であるという観点から、5〜500μmの範囲であることが好ましい。
さらに、プラズマCVD法により本発明に係るガスバリアー層を形成する場合には、前記基材を通して放電しながらガスバリアー層を形成することから、前記基材の厚さが50〜200μmの範囲であることがより好ましく、50〜100μmの範囲であることが特に好ましい。
また、前記基材には、後述するガスバリアー層との密着性の観点から、基材の表面を清浄するための表面活性処理を施すことが好ましい。このような表面活性処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理が挙げられる。
基材の厚さは5〜500μmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは15〜250μmの範囲内である。
本発明に係る適用可能な基材のその他の種類、基材の製造方法等については、例えば、特開2013−226758号公報の段落「0125」〜「0136」に開示されている技術を適宜採用することができる。
[ガスバリアー層M]
本発明に係るガスバリアー層Mは、少なくとも厚さ方向において、非遷移金属M1及び遷移金属M2を含有する混合領域を有し、当該混合領域における前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有することを特徴とするガスバリアー層である。
更には、ガスバリアー層としては、第3族〜第11族の遷移金属を金属の主成分aとして含有するA領域と、第12族〜第14族の非遷移金属を金属の主成分bとして含有するB領域との間に、主成分a及び主成分bに由来する化合物を含有する混合領域を有する構成であることが好ましい形態である。
また、本発明に係るガスバリアー層においては、層内の全域にわたって、前記混合領域が形成されている構成であることも、好ましい形態である。
この混合領域では、遷移金属と非遷移金属、および酸素が含有されていることが好ましい。又、この混合領域は、遷移金属の酸化物と非遷移金属の酸化物との混合物、又は、遷移金属と非遷移金属との複合酸化物の少なくとも一方が含有されていることが好ましい形態であり、遷移金属と非遷移金属との複合酸化物が含有されていることがより好ましい形態である。
加えて、前記混合領域の組成を、下記化学組成式(1)で表したとき、前記混合領域の少なくとも一部が下記関係式(2)で規定する条件を満たすことが好ましい。
化学組成式(1)
(M1)(M2)
関係式(2)
(2y+3z)/(a+bx)<1.0
上記各式において、M1は非遷移金属、M2は遷移金属、Oは酸素、Nは窒素を表す。x、y、zは、それぞれ化学量論係数であり、aはM1の最大価数、bはM2の最大価数を表す。
以下、本発明に係るガスバリアー層Mの詳細について更に説明する。
〔ガスバリアー層Mを構成する各領域〕
本発明に係るガスバリアー層Mを構成する領域について説明するが、初めに、以下において使用する技術用語の定義について予め説明する。
本発明において、「領域」とは、ガスバリアー層Mの厚さ方向に対して垂直な面(すなわち当該ガスバリアー層Mの最表面に平行な面)で当該ガスバリアー層Mを一定又は任意の厚さで分割したときに形成される対向する二つの面の間の三次元的範囲内(領域)をいい、当該領域内の構成成分の組成は、厚さ方向において一定であっても、徐々に変化するものであっても良い。
本発明でいう「構成成分」とは、ガスバリアー層Mの特定領域を構成する化合物及び金属若しくは非金属の単体をいう。また、本発明でいう「主成分」とは、原子組成比として含有量が最大である構成成分をいう。例えば、「金属の主成分」といえば、構成成分の中の金属成分の中で、原子組成比として含有量が最大である金属成分をいう。
本発明でいう「混合物」とは、前記A領域及びB領域の前記構成成分が相互に化学結合することなく混じり合っている状態の物をいう。例えば、酸化ニオブと酸化ケイ素がお互いに化学結合することなく混じり合っている状態をいう。
本発明でいう「主成分a及び主成分bに由来する化合物」とは、主成分a及び主成分bそれら自体、並びに主成分aと主成分bが反応して形成された複合酸化物をいう。
複合化合物の具体例として「複合酸化物」を挙げて説明すると、「複合酸化物」とは、前記領域A及びBの前記構成成分が相互に化学結合をして形成された化合物(酸化物)をいう。例えば、ニオブ原子とケイ素原子が直接的に、又は酸素原子を介して化学結合を形成している化学構造を有する化合物をいう。
なお、本発明においては、前記A領域及びB領域の前記構成成分が相互に分子間相互作用などにより物理的結合をして形成された複合体も本発明に係る「複合酸化物」に含まれるものとする。
次いで、各領域について詳細な説明をする。
(遷移金属含有領域:A領域)
遷移金属含有領域であるA領域とは、遷移金属若しくはその化合物を主成分aとして含有する領域をいう。ここでいう「その化合物」、すなわち「遷移金属の化合物」とは、遷移金属を含む化合物をいい、例えば、遷移金属酸化物をいう。
遷移金属(M2)としては、特に制限されず、任意の遷移金属が単独で又は組み合わせて用いられうる。ここで、遷移金属とは、長周期型周期表の第3族元素から第11族元素を指し、遷移金属としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Pd、Ag、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、及びAuなどが挙げられる。
なかでも、良好なガスバリアー性が得られる遷移金属(M2)としては、Nb、Ta、V、Zr、Ti、Hf、Y、La、Ce等が挙げられる。これらのなかでも、種々の検討結果から、特に第5族元素であるNb、Ta、Vが、ガスバリアー層Mに含有される非遷移金属(M1)に対する結合が生じやすい観点から、好ましく用いることができる。
特に、遷移金属(M2)が第5族元素(特に、Nb)であって、詳細は後述する非遷移金属(M1)がSiであると、著しいガスバリアー性の向上効果を得ることができ、特に好ましい組み合わせである。これは、Siと第5族元素(特に、Nb)との結合が特に生じやすいためであると考えられる。さらに、光学特性の観点から、遷移金属(M2)は、透明性が良好な化合物が得られるNb、Taが特に好ましい。
(非遷移金属含有領域:B領域)
非遷移金属含有領域であるB領域とは、非遷移金属若しくはその化合物を主成分bとして含有する領域をいう。ここでいう「その化合物」すなわち「非遷移金属の化合物」とは、非遷移金属を含む化合物をいい、例えば、非遷移金属酸化物をいう。
非遷移金属(M1)としては、長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される非遷移金属が好ましい。当該非遷移金属としては、特に制限されず、第12族〜第14族の任意の金属が単独で又は組み合わせて用いることができるが、例えば、Si、Al、Zn、In及びSnなどが挙げられる。なかでも、当該非遷移金属(M1)として、Si、Sn又はZnを含むことが好ましく、Siを含むことがより好ましく、Si単独であることが特に好ましい。
(混合領域)
本発明に係る混合領域とは、長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される非遷移金属(M1)及び第3族元素から第11族の金属から選択される遷移金属(M2)が含有されている領域であって、前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有する領域である。
ここで、混合領域は、構成成分の化学組成が相互に異なる複数の領域として形成されていてもよく、また、構成成分の化学組成が連続して変化している領域として形成されていてもよい。
なお、ガスバリアー層の混合領域以外の領域は、非遷移金属(M1)の酸化物、窒化物、酸窒化物、酸炭化物等の領域であってもよいし、遷移金属(M2)の酸化物、窒化物、酸窒化物、酸炭化物等の領域であってもよい。
(酸素欠損領域)
本発明においては、本発明に係る混合領域に含有される一部の組成が、酸素が欠損した非化学量論的組成の酸素欠損領域を形成していることが好ましい。
本発明においては、酸素欠損組成とは、当該混合領域の組成を、下記化学組成式(1)で表したとき、当該混合領域の少なくとも一部の組成が、下記関係式(2)で規定する条件を満たすことと定義する。また、当該混合領域における酸素欠損程度を表す酸素欠損度指標としては、当該ある混合領域における(2y+3z)/(a+bx)を算出して得られる値の最小値を用いるものとする。詳細については後述する。
化学組成式(1)
(M1)(M2)
関係式(2)
(2y+3z)/(a+bx)<1.0
式中、M1は非遷移金属、M2は遷移金属、Oは酸素、Nは窒素を表す。x、y、zは、それぞれ化学量論係数であり、aはM1の最大価数、bはM2の最大価数を表す。
以下、特別の区別が必要ない場合、上記化学組成式(1)で表す組成を、単に複合領域の組成と言う。
上述したように、本発明に係る非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)との複合領域の組成は、化学組成式(1)である(M1)(M2)で示される。この組成からも明らかなように、上記複合領域の組成は、一部窒化物の構造を含んでいてもよく、窒化物の構造を含んでいる方がガスバリアー性の観点から好ましい。
ここでは、非遷移金属(M1)の最大価数をa、遷移金属(M2)の最大価数をb、Oの価数を2、Nの価数を3とする。そして、上記複合領域の組成(一部窒化物となっているものを含む)が化学量論的組成になっている場合は、(2y+3z)/(a+bx)=1.0となる。この式は、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の結合手の合計と、O、Nの結合手の合計とが同数であることを意味し、この場合、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)ともに、O及びNのいずれか一方と結合していることになる。なお、本発明において、非遷移金属(M1)として2種以上が併用される場合や、遷移金属(M2)として2種以上が併用される場合には、各元素の最大価数を各元素の存在比率によって加重平均することにより算出される複合価数を、それぞれの「最大価数」のa及びbの値として採用するものとする。
一方、本発明に係る混合領域において、関係式(2)で示す(2y+3z)/(a+bx)<1.0となる場合には、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の結合手の合計に対して、O、Nの結合手の合計が不足していることを意味し、この様な状態が上記の「酸素欠損」である。
酸素欠損状態においては、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の余った結合手は互いに結合する可能性を有しており、非遷移金属(M1)や遷移金属(M2)の金属同士が直接結合すると、金属の間にOやNを介して結合した場合よりも緻密で高密度な構造が形成され、その結果として、ガスバリアー性が向上すると考えられる。
また、本発明において、混合領域は、前記xの値が、0.02≦x≦49(0<y、0≦z)を満たす領域である。これは、先に、遷移金属(M2)/非遷移金属(M1)の原子数比率の値が、0.02〜49の範囲内にあり、厚さが5nm以上である領域と定義する、としたことと同一の定義である。
この領域では、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の双方が金属同士の直接結合に関与することから、この条件を満たす混合領域が所定値以上(5nm)の厚さで存在することで、ガスバリアー性の向上に寄与すると考えられる。なお、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の存在比率が近いほどガスバリアー性の向上に寄与しうると考えられることから、混合領域は、0.1≦x≦10を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことが好ましく、0.2≦x≦5を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことがより好ましく、0.3≦x≦4を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことが更に好ましい。
ここで、上述したように、混合領域の範囲内に、関係式(2)で示す(2y+3z)/(a+bx)<1.0の関係を満たす領域が存在すれば、ガスバリアー性の向上効果が発揮されることが確認されたが、混合領域は、その組成の少なくとも一部が(2y+3z)/(a+bx)≦0.9を満たすことが好ましく、(2y+3z)/(a+bx)≦0.85を満たすことがより好ましく、(2y+3z)/(a+bx)≦0.8を満たすことがさらに好ましい。ここで、混合領域における(2y+3z)/(a+bx)の値が小さくなるほど、ガスバリアー性の向上効果は高くなるものの可視光での吸収も大きくなる。したがって、透明性が望まれる用途に使用するガスバリアー層Mの場合には、0.2≦(2y+3z)/(a+bx)であることが好ましく、0.3≦(2y+3z)/(a+bx)であることがより好ましく、0.4≦(2y+3z)/(a+bx)であることがさらに好ましい。
なお、本発明において良好なガスバリアー性が得られる混合領域の厚さは、後述するXPS分析法におけるSiO換算のスパッタ厚さとして、5nm以上であり、この厚さは、8nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。混合領域の厚さは、ガスバリアー性の観点からは特に上限はないが、光学特性の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。
上述したような特定構成の混合領域を有するガスバリアー層Mは、例えば、有機EL素子等の電子デバイス用のガスバリアー層Mとして使用可能なレベルの非常に高いガスバリアー性を示す。
(XPSによる組成分析と混合領域の厚さの測定)
本発明に係るガスバリアー層Mの混合領域やA領域及びB領域における組成分布や各領域の厚さ等については、以下に詳述するX線光電分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy、略称:XPS)により測定することにより求めることができる。
本発明に係る混合領域は、ガスバリアー層Mの厚さ方向の組成分布をXPS法により分析したとき、前記非遷移金属(M1)を含有するB領域と遷移金属(M2)を含有するA領域との界面に位置する領域で、非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)とが共存する領域である。
以下、XPS分析法による混合領域及びA領域、B領域の測定方法について説明する。
本発明に係るガスバリアー層Mの厚さ方向における元素濃度分布曲線(以下、「デプスプロファイル」という。)は、具体的には、非遷移金属M1(例えば、ケイ素)の元素濃度、遷移金属M2(例えば、ニオブ)の元素濃度、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)元素濃度等を、X線光電子分光法の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、ガスバリアー層の表面より内部を露出させつつ順次表面組成分析を行うことにより作成することができる。
このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:atom%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は層厚方向における前記ガスバリアー層の厚さ方向におけるガスバリアー層の表面からの距離におおむね相関することから、「ガスバリアー層Mの厚さ方向におけるガスバリアー層Mの表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリアー層Mの表面からの距離を採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、エッチングイオン種としてアルゴン(Ar)を用いた希ガスイオンスパッタ法を採用し、そのエッチング速度(エッチングレート)を0.05nm/sec(SiO熱酸化膜換算値)とすることが好ましい。
以下に、本発明に係るガスバリアー層Mの組成分析に適用可能なXPS分析の具体的な条件の一例を示す。
・分析装置:アルバック・ファイ社製 QUANTERA SXM
・X線源:単色化Al−Kα
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:SiO換算スパッタ厚さで、所定の厚さ間隔で測定を繰り返し、深さ方向のデプスプロファイルを求める。この厚さ間隔は、1nmとした(深さ方向に1nmごとのデータが得られる)。
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバック・ファイ社製のMultiPakを用いる。なお、分析した元素は、非遷移金属M1(例えば、ケイ素(Si))、遷移金属M2、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)である。
得られたデータから、組成比を計算し、非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)とが共存し、かつ、遷移金属(M2)/非遷移金属(M1)の原子数比率の値が、0.02〜49になる範囲を求め、これを混合領域と定義し、その厚さを求める。混合領域の厚さは、XPS分析におけるスパッタ深さをSiO換算で表したものである。
本発明において、混合領域の厚さは5nm以上であるときに「混合領域」と判定する。ガスバリアー性の観点からは、混合領域での厚さの上限はないが、光学特性の観点から、好ましくは5〜100nmの範囲内であり、より好ましくは8〜50nmの範囲内であり、さらに好ましくは、10〜30nmの範囲内である。
以下に、本発明に係るガスバリアー層Mにおける混合領域の具体例について、図を用いて説明する。
図4は、ガスバリアー層Mの厚さ方向における非遷移金属及び遷移金属の組成分布をXPS法により分析したときの元素プロファイルと混合領域を説明するためのグラフである。
図4において、ガスバリアー層Mの表面(グラフの左端部)より深さ方向に、非遷移金属(M1)、遷移金属(M2)、O、N、Cの元素分析を行い、横軸にスパッタの深さ(層厚:nm)を、縦軸に非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)の含有率(atom%)を示したグラフである。
右側より、非遷移金属(M1、例えば、Si)を主成分とする元素組成であるB領域が示され、これに接して左側に金属として遷移金属(M2、例えば、ニオブ)を主成分とする元素組成であるA領域が示されている。混合領域は、遷移金属(M2)/非遷移金属(M1)の原子数比率の値が、0.02〜49の範囲内の元素組成で示される領域であり、A領域の一部とB領域の一部とに重なって示される領域であって、かつ、厚さ5nm以上の領域である。
〔各領域の形成方法〕
(遷移金属(M2)含有領域:A領域の形成)
本発明に係る遷移金属(M2)は、前述のとおり良好なガスバリアー性が得られる観点から、Nb、Ta、V、Zr、Ti、Hf、Y、La、Ce等が挙げられ、これらの中でも、特に第5族元素であるNb、Ta、Vが、ガスバリアー層に含有される非遷移金属(M1)に対する結合が生じやすいと考えられるため、好ましく用いることができる。
前記遷移金属(M2)の酸化物を含有する層の形成は、特に限定されず、例えば、既存の薄膜堆積技術を利用した従来公知の気相成膜法を用いることが、混合領域を効率的に形成する観点から好ましい。
これらの気相成膜法は公知の方法で用いることができる。気相成膜法としては、特に制限されず、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法等の物理気相成長(PVD)法、プラズマCVD(chemical vapordeposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などの化学気相成長(CVD)法が挙げられる。なかでも、機能性素子へのダメージを与えることなく成膜が可能となり、高い生産性を有することから、物理気相成長(PVD)法により形成することが好ましく、スパッタ法により形成することがより好ましい。
スパッタ法による成膜は、2極スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、中間的な周波数領域を用いたデュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)、イオンビームスパッタリング、ECRスパッタリングなどを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、ターゲットの印加方式はターゲット種に応じて適宜選択され、DC(直流)スパッタリング、及びRF(高周波)スパッタリングのいずれを用いてもよい。
また、金属モードと、酸化物モードとの中間である遷移モードを利用した反応性スパッタ法も用いることができる。遷移領域となるようにスパッタ現象を制御することにより、高い成膜スピードで金属酸化物を成膜することが可能となるため好ましい。
プロセスガスに用いられる不活性ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xe等を用いることができ、Arを用いることが好ましい。さらに、プロセスガス中に酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素を導入することで、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の複合酸化物、窒酸化物、酸炭化物等の薄膜を形成することができる。スパッタ法における成膜条件としては、印加電力、放電電流、放電電圧、時間等が挙げられるが、これらは、スパッタ装置や、膜の材料、層厚等に応じて適宜選択することができる。
スパッタ法は、遷移金属(M2)の単体又はその酸化物を含む複数のスパッタリングターゲットを用いた多元同時スパッタ方式であってもよい。これらのスパッタリングターゲットを作製する方法や、これらのスパッタリングターゲットを用いて複合酸化物からなる薄膜を作製する方法については、例えば、特開2000−160331号公報、特開2004−068109号公報、特開2013−047361号公報などの記載の方法や条件を適宜参照することができる。
共蒸着法を実施する際の成膜条件としては、成膜原料における遷移金属(M2)と酸素との比率、成膜時の不活性ガスと反応性ガスとの比率、成膜時のガスの供給量、成膜時の真空度、及び、成膜時の電力からなる群から選択される1種又は2種以上の条件が例示され、これらの成膜条件(好ましくは、酸素分圧)を調節することによって、酸素欠損組成を有する複合酸化物からなる混合領域を形成することができる。すなわち、上述したような共蒸着法を用いてガスバリアー層Mを形成することで、形成されるガスバリアー層Mの厚さ方向のほとんどの領域を混合領域とすることができる。このような方法によれば、混合領域の厚さを制御するという極めて簡便な操作により、所望のガスバリアー性を実現することができる。なお、混合領域の厚さを制御するには、例えば、共蒸着法を実施する際の成膜時間を調節すればよい。
(非遷移金属(M1)含有領域:B領域の形成)
本発明に係るガスバリアー層Mにおいて、非遷移金属(M1)を含有するB領域を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、気相成膜法は公知の方法で用いることができる。気相成膜法としては、特に制限されず、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法等の物理気相成長(PVD)法、プラズマCVD(chemical vapordeposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などの化学気相成長(CVD)法が挙げられる。なかでも、機能性素子へのダメージを与えることなく成膜が可能となり、高い生産性を有することから、物理気相成長(PVD)法により形成することが好ましく、スパッタ法により、非遷移金属をターゲットとして用いて形成することができる。
また、他の方法としては、非遷移金属としてSiを含むポリシラザン含有塗布液を用いて、湿式塗布法により形成する方法も、好ましい方法の一つである。
本発明において、B領域の形成に適用可能な「ポリシラザン」とは、構造内にケイ素−窒素結合を持つポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
上述した基材の平面性等を損なわないように、ポリシラザンを用いてガスバリアー層Mを構成するB領域を形成するためには、特開平8−112879号公報に記載されているような、比較的低温で酸化ケイ素、窒化珪素、又は酸窒化珪素に変性することが可能なポリシラザンが好ましい。
このようなポリシラザンとしては、下記一般式(1)で表す構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2019010734
式中、R、R及びRは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、又はアルコキシ基を表す。
本発明では、得られるガスバリアー層Mを構成するB領域の、薄膜としての緻密性の観点からは、R、R及びRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(PHPS)が特に好ましい。
一方、そのSiと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより、隣接する基材との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる点で好ましい。
用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンを選択してよく、混合して使用することもできる。
なお、パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6又は8員環を中心とする環構造とが共存した構造を有していると推定されている。
ポリシラザンの分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)であり、液体又は固体の物質であり、分子量により異なる。
これらのポリシラザン化合物は有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品
をそのままポリシラザン化合物含有塗布液として使用することができる。
低温でセラミック化するポリシラザンの他の例としては、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等が挙げられる。
また、その他、ポリシラザンの詳細については、例えば、特開2013−255910号公報の段落(0024)〜同(0040)、特開2013−188942号公報の段落(0037)〜同(0043)、特開2013−151123号公報の段落(0014)〜同(0021)、特開2013−052569号公報の段落(0033)〜同(0045)、特開2013−129557号公報の段落(0062)〜同(0075)、特開2013−226758号公報の段落(0037)〜同(0064)等に記載されている内容を参照して適用することができる。
〈ポリシラザンを含有する塗布液〉
ポリシラザンを含有する塗布液を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応してしまうようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは避けることが好ましい。好適な有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度等、目的にあわせて選択し、複数の有機溶剤を混合してもよい。
ポリシラザンを含有する塗布液におけるポリシラザンの濃度は、目的とするガスバリアー層Mの膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、0.2〜35質量%程度であることが好ましい。
また、ポリシラザンを含有する塗布液には、酸化ケイ素、窒化珪素、又は酸窒化珪素への変性を促進するために、アミンや金属の触媒を添加することもできる。例えば、市販品としてのAZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNAX120−20、NN120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140のような触媒が含まれるポリシラザン溶液を用いることができる。また、これらの市販品は単独で使用されてもよく、2種以上混合して使用されてもよい。
なお、ポリシラザンを含有する塗布液中において、触媒の添加量は、触媒による過剰なシラノール形成、及び膜密度の低下、膜欠陥の増大などを避けるため、ポリシラザンに対して2質量%以下に調整することが好ましい。
ポリシラザンを含有する塗布液には、ポリシラザン以外にも無機前駆体化合物を含有させることができる。ポリシラザン以外の無機前駆体化合物としては、塗布液の調製が可能であれば特に限定はされない。例えば、特開2011−143577号公報の段落「0110」〜「0114」に記載のポリシラザン以外の化合物を適宜採用することができる。
(添加元素)
ポリシラザンを含有する塗布液には、Si以外の金属元素の有機金属化合物を添加することができる。Si以外の金属元素の有機金属化合物を添加することで、塗布乾燥過程において、ポリシラザンのN原子とO原子との置き換わりが促進され、塗布乾燥後にSiOに近い安定した組成へと変化させることができる。
Si以外の金属元素の例としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、リチウム(Li)、ゲルマニウム(Ge)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、コバルト(Co)、ホウ素(B)、ベリリウム(Be)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、タリウム(Tl)等が挙げられる。
特に、Al、B、Ti及びZrが好ましく、中でもAlを含む有機金属化合物が好ましい。
本発明に適用可能なアルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムイソポロポキシド、アルミニウム−sec−ブチレート、チタンイソプロポキシド、アルミニウムトリエチレート、アルミニウムトリイソプロピレート、アルミニウムトリtert−ブチレート、アルミニウムトリn−ブチレート、アルミニウムトリsec−ブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレートモノアルミニウム−t−ブチレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムオキシドイソプロポキシドトリマー等を挙げることができる。
具体的な市販品としては、例えば、AMD(アルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレート)、ASBD(アルミニウムセカンダリーブチレート)、ALCH(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、ALCH−TR(アルミニウムトリスエチルアセトアセテート)、アルミキレートM(アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、アルミキレートD(アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート)、アルミキレートA(W)(アルミニウムトリスアセチルアセトネート)(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、プレンアクト(登録商標)AL−M(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、味の素ファインケミカル株式会社製)等を挙げることができる。
なお、これらの化合物を用いる場合は、ポリシラザンを含む塗布液と不活性ガス雰囲気下で混合することが好ましい。これらの化合物が大気中の水分や酸素と反応し、激しく酸化が進むことを抑制するためである。また、これらの化合物とポリシラザンとを混合する場合は、30〜100℃に昇温し、撹拌しながら1分〜24時間保持することが好ましい。
本発明に係るガスバリアー性フィルムを構成するポリシラザン含有層における上記添加金属元素の含有量は、ケイ素(Si)の含有量100mol%に対して0.05〜10mol%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5mol%である。
ポリシラザンを用いたB領域の形成においては、ポリシラザン含有層を形成した後、改質処理を施すことが好ましい。
改質処理とは、ポリシラザンを、エネルギーを付与して、その一部又は全てを酸化ケイ素または酸化窒化珪素への転化する処理である。
本発明における改質処理は、ポリシラザンの転化反応に基づく公知の方法を選ぶことができ、例えば、公知のプラズマ処理、プラズマイオン注入処理、紫外線照射処理、真空紫外線照射処理等を挙げることができる。本発明においては、低温で転化反応が可能なプラズマやオゾンや紫外線を使う転化反応が好ましい。プラズマやオゾンは従来公知の方法を用いることができる。本発明において、基材上に塗布方式のポリシラザン含有塗布液の塗膜を設け、波長200nm以下の真空紫外線(VUV)を照射して改質処理する真空紫外線照射処理を適用してガスバリアー層Mを形成する方法が好ましい。
真空紫外光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられ、例えば、エキシマランプ(172nm、222nm、308nmの単一波長、例えば、ウシオ電機株式会社製、株式会社エム・ディ・コム製など)等を挙げることができる。
真空紫外線照射による処理は、ポリシラザン内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素膜の形成を行う方法である。
これらの改質処理の詳細については、例えば、特開2012−086394号公報の段落(0055)〜同(0091)、特開2012−006154号公報の段落(0049)〜同(0085)、特開2011−251460号公報の段落(0046)〜同(0074)等に記載の内容を参照することができる。
B領域の厚さは、特に制限はないが、1〜500nmの範囲内が好ましい、より好ましくは10〜300nmの範囲内である。
(混合領域の形成)
混合領域の形成方法としては、前述したように、A領域及びB領域を形成する際に、各々の形成条件を適宜調整して、A領域とB領域の間に混合領域を形成する方法が好ましい。 B領域を上述した気相成膜法により形成する場合は、例えば、成膜原料における前記非遷移金属(M1)と酸素との比率、成膜時の不活性ガスと反応性ガスとの比率、成膜時のガスの供給量、成膜時の真空度、成膜時の磁力、および、成膜時の電力からなる群から選択される1種または2種以上の条件を調節することで混合領域を形成することができる。
B領域を上述した塗布成膜法により形成する場合は、例えば、前記非遷移金属(M1)を含有する成膜原料種(ポリシラザン種等)、触媒種、触媒含有量、塗布膜厚、乾燥温度・時間、改質方法、改質条件からなる群から選択される1種または2種以上の条件を調節することで混合領域を形成することができる。
A領域を上述した気相成膜法により形成する場合は、例えば、成膜原料における前記遷移金属(M2)と酸素との比率、成膜時の不活性ガスと反応性ガスとの比率、成膜時のガスの供給量、成膜時の真空度、成膜時の磁力、および、成膜時の電力からなる群から選択される1種または2種以上の条件を調節することで混合領域を形成することができる。
なお、上記した方法によって、混合領域の厚さを制御するには、A領域及びB領域を形成する方法の形成条件を適宜調整して、制御することができる。例えば、A領域を気相成膜法で形成する際には、成膜時間を制御することにより所望の厚さにすることができる。 また、これに加えて、非遷移金属と遷移金属の混合領域を直接形成する方法も好ましい。
混合領域を直接形成する方法としては、公知の共蒸着法を用いることが好ましい。このような共蒸着法として、好ましくは、共スパッタ法が挙げられる。本発明において採用される共スパッタ法は、例えば、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の双方を含む合金からなる複合ターゲットや、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の複合酸化物からなる複合ターゲットをスパッタリングターゲットとして用いた1元スパッタでありうる。
また、本発明における共スパッタ法は、非遷移金属(M1)の単体又はその酸化物と、遷移金属(M2)の単体又はその酸化物とを含む複数のスパッタリングターゲットを用いた多元同時スパッタであってもよい。これらのスパッタリングターゲットを作製する方法や、これらのスパッタリングターゲットを用いて複合酸化物からなる薄膜を作製する方法については、例えば、特開2000−160331号公報、特開2004−068109号公報、特開2013−047361号公報などの記載が適宜参照されうる。
そして、共蒸着法を実施する際の成膜条件としては、成膜原料における前記遷移金属(M2)と酸素との比率、成膜時の不活性ガスと反応性ガスとの比率、成膜時のガスの供給量、成膜時の真空度、及び、成膜時の電力からなる群から選択される1種又は2種以上の条件が例示され、これらの成膜条件(好ましくは、酸素分圧)を調節することによって、酸素欠損組成を有する複合酸化物からなる薄膜を形成することができる。すなわち、上述したような共蒸着法を用いてガスバリアー層を形成することで、形成されるガスバリアー層の厚さ方向のほとんどの領域を混合領域とすることができる。このため、かような手法によれば、混合領域の厚さを制御するという極めて簡便な操作により、所望のガスバリアー性を実現することができる。なお、混合領域の厚さを制御するには、例えば、共蒸着法を実施する際の成膜時間を調節すればよい。
[ガスバリアー層N]
本発明の積層型ガスバリアー性フィルムにおいては、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層のいずれか一方を、上記説明したガスバリアー層(M)で構成し、他方を、第12族〜第14族の非遷移金属又はその化合物により構成される単一組成のガスバリアー層Nとすることも好ましい構成の一つである。
ガスバリアー層Nを形成する方法としては、前述の「非遷移金属(M1)含有領域:B領域の形成」に記載方法を適用することができる。
[相互作用層]
本発明に係る相互作用層は、第1のガスバリアー層と、第2のガスバリアー層の間に形成し、侵入してくる酸素や水分と反応して保続する機能を備えている層である。
本発明に適用可能な相互作用層の具体例としては、2つのタイプが挙げられ、1つはアルカリ金属酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、金属ドーピングされた亜鉛酸化物及びシリコン酸化物から選択される少なくとも1種の酸化物を含有する構成(相互作用層タイプA)であり、他の一つは反応性ナノ粒子を含有する構成(相互作用層タイプB)である。
〔相互作用層タイプA〕
相互作用層の一つの形態である相互作用層タイプAは、アルカリ金属酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、金属ドーピングされた亜鉛酸化物及びシリコン酸化物から選択される少なくとも1種の酸化物を含有する構成である。
本発明に係る相互作用層タイプAにおいては、少なくとも1種の非酸化物化学成分でドーピングされる構成であることが好ましい。このような非酸化物ドーパント材料の代表的な例としては、カルシウム、ナトリウム及びリチウムなどのアルカリ金属を含む化合物を挙げることができる。
また、相互作用層タイプAは、柱状構造体を形成することができる。柱状構造体とすることにより、拡散してくる酸素や水分等の化学種を反応あるいは吸着する表面積を広くすることができ、補足効率を高めることができる観点から好ましい。
相互作用層タイプAを第1のガスバリアー層上に形成する方法としては、アルカリ金属酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、金属ドーピングされた亜鉛酸化物、又はシリコン酸化物を形成する材料を原料として、従来公知のスパッタリング、反応性スパッタリング、蒸着、反応性蒸着、化学気相堆積、溶液コーティングプロセス及びプラズマ化学気相堆積等を適宜選択して適用することができる。
相互作用層タイプAにおいて、当該層の形成材料としては、層の全質量の約1質量%から約100質量%の濃度範囲で含有しさらに好ましくは、90〜100質量%の葉に内である。
相互作用層タイプAの層厚としては、10nm〜1.0μmの範囲内であり、好ましくは20〜500nmの範囲内である。
〔相互作用層タイプB〕
相互作用層の他の一つの形態である相互作用層タイプBは、反応性ナノ粒子を含有する。
本発明でいう「反応性ナノ粒子」とは、化学反応(例えば、加水分解又は酸化)、若しくは物理的相互作用又は物理化学的相互作用(例えば、毛管作用、吸着、親水性引力又はナノ粒子と水/酸素の間の他の任意の非共有結合性の相互作用)のいずれかによって水分又は酸素と相互作用することができるナノサイズの粒子をいう。
反応性ナノ粒子には、水又は酸素と反応する金属種を含有することが好ましく、あるいはこれらの金属単体で構成されていてもよい。
反応性ナノ粒子の形成に適用可能な具体的な金属としては、第2族〜第14族の金属を挙げることができ、更に好ましい金属として、第2族、第4族、第10族、第12族、第13族及び第14族の金属挙げることができる。更に具体的には、Al、Mg、Ba及びCaから選択される金属であることが好ましい。また、Ti、Zn、Sn、Ni及びFeを始めとする反応性遷移金属を使用することも可能である。
金属単体の他には、水分又は酸素と相互作用することができる特定の金属酸化物を含有することもでき、TiO、Al、ZrO、ZnO、BaO、SrO、CaO及びMgO、VO、CrO、MoO及びLiMnから選択される金属酸化物を使用することも好ましい。更に、特定の金属酸化物として、スズ酸カドミウム(CdSnO)、インジウム酸カドミウム(CdIn)、スズ酸亜鉛(ZnSnO又はZnSnO)及び酸化亜鉛インジウム(ZnIn)からなるグループから選択される透明な導電性金属酸化物も好適な材料として挙げることができる。
また、相互作用層B中の反応性ナノ粒子は、金属及び金属酸化物とは別に、カーボンナノチューブ、ナノリボン、ナノファイバ及び寸法がナノスケールである任意の規則的又は不規則的形状の炭素粒子などの炭素ナノ粒子を含有することができ、或いはそれらからなっていてもよい。カーボンナノチューブの場合、単層又は多層のカーボンナノチューブを使用することができる。
カーボンナノチューブは、毛管吸引によって水分子をカーボンナノチューブの開放端に引き込むことができ、水分子は、カーボンナノチューブ内に擬似一次元構造を形成することができ、それにより微小体積の酸素及び水分子の吸収及び保持を促進することができる。カーボンナノチューブの量を最大化することによって水分又は酸素の吸収を最大化することも可能であるが、カーボンナノチューブは、存在する反応性ナノ粒子の0.01〜10質量%の範囲内で使用することができる。
また、相互作用層Bにおいては、反応性ナノ粒子と共に、不活性ナノ粒子を併用することができる。不活性ナノ粒子に適した材料は、銅、白金、金及び銀などの非反応性金属、シリカ、ケイ灰石、ムライト、モンモリロナイトなどの鉱物又は粘土、希土類元素、ケイ酸塩ガラス、フルオロケイ酸塩ガラス、フルオロホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ケイ酸カルシウムガラス、ケイ酸アルミニウムカルシウムガラス、フルオロケイ酸アルミニウムカルシウムガラス、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、炭化ケイ素又は窒化ケイ素、金属硫化物及びそれらの混合物等を挙げることができる。
《積層型ガスバリアー性フィルムのその他の機能層》
本発明の積層型ガスバリアー性フィルムにおいては、上記説明した各構成層の他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、他の機能層を設けることができる。
(アンカーコート層)
本発明に係る第1及び第2のガスバリアー層を形成する側の基材の表面には、基材と第1のガスバリアー層との密着性の向上を目的として、アンカーコート層が配置されてもよい。
アンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により支持体上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5.0g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
また、アンカーコート層は、物理蒸着法または化学蒸着法といった気相成膜法により形成することもできる。例えば、特開2008−142941号公報に記載のように、接着性等を改善する目的で酸化珪素を主体とした無機膜を形成することもできる。あるいは、特開2004−314626号公報に記載されているようなアンカーコート層を形成することで、その上に気相成膜法により無機薄膜を形成する際に、基材側から発生するガスをある程度遮断して、無機薄膜の組成を制御するといった目的でアンカーコート層を形成することもできる。
また、アンカーコート層の厚さは、特に制限されないが、0.5〜10μm程度が好ましい。
(ハードコート層)
基材の表面(片面または両面)には、ハードコート層が配置されてもよい。ハードコート層に含まれる材料の例としては、例えば、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられるが、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物を含む層、すなわちハードコート層が形成される。活性エネルギー線硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂が好ましい。予めハードコート層が形成されている市販の基材を用いてもよい。
ハードコート層の厚さは、平滑性および屈曲耐性の観点から、0.1〜15μmの範囲内が好ましく、1〜5μmの範囲内であることがより好ましい。
ハードコート層の形成材料に適用可能な活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズを用いることができる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
熱硬化性材料として具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、株式会社アデカ製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製の各種シリコン樹脂、日東紡株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。この中でも特に耐熱性を有するエポキシ樹脂ベースの材料であることが好ましい。
ハードコート層の形成方法は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
ハードコート層の形成では、上述の活性エネルギー線硬化性樹脂に、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、ハードコート層の積層位置に関係なく、いずれのハードコート層においても、成膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
ハードコート層の厚さとしては、フィルムの耐熱性を向上させ、フィルムの光学特性のバランス調整を容易にする観点から、1〜10μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、2μm〜7μmの範囲にすることが好ましい。
《電子デバイス》
本発明の積層型ガスバリアー性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく適用できる。すなわち、本発明の積層型ガスバリアー性フィルムは、電子デバイス本体と、を含む電子デバイスに適用することができる。
本発明のガスバリアー性フィルムを具備した電子デバイスに用いられる電子デバイス本体の例としては、例えば、量子ドット(QD)含有樹脂層を有するQDフィルム、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等を挙げることができる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、該電子デバイス本体は有機EL素子または太陽電池が好ましく、有機EL素子がより好ましい。
〔量子ドット(略称:QD)フィルム〕
本発明の積層型ガスバリアー性フィルムは、量子ドット(QD)を含有するQDフィルムに適用することができる。
以下、QD含有樹脂層の主要な構成要素である量子ドット(QD)及び樹脂等について説明する。
〈量子ドット〉
一般に、ナノメートルサイズの半導体物質で量子閉じ込め(quantum confinement)効果を示す半導体ナノ粒子は、「量子ドット」とも称されている。このような量子ドットは、半導体原子が数百個から数千個集まった10数nm程度以内の小さな塊であるが、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドットのエネルギーバンドギャップに相当するエネルギーを放出する。
したがって、量子ドットは、量子サイズ効果によりユニークな光学特性を有することが知られている。具体的には、(1)粒子のサイズを制御することにより、様々な波長、色を発光させることができる、(2)吸収帯が広く、単一波長の励起光で様々なサイズの微粒子を発光させることができる、(3)蛍光スペクトルが良好な対称形である、(4)有機色素に比べて耐久性、耐退色性に優れる、といった特徴を有する。
QD含有樹脂層が含有する量子ドットは公知のものであってもよく、当業者に既知の任意の方法を使用して生成することができる。例えば、好適なQD及び好適なQDを形成するための方法には、米国特許第6225198号明細書、米国特許出願公開第2002/0066401号明細書、米国特許第6207229号明細書、同第6322901号明細書、同第6949206号明細書、同第7572393号明細書、同第7267865号明細書、同第7374807号明細書、米国特許出願第11/299299号、及び米国特許第6861155号明細書に記載のものが挙げられる。
QDは、任意の好適な材料、好適には無機材料及びより好適には無機導体又は半導体材料から生成される。好適な半導体材料には、II−VI族、III−V族、IV−VI族及びIV族の半導体を含む、任意の種類の半導体が含まれる。
好適な半導体材料には、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む。)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCO、及び二つ以上のこのような半導体の適切な組合せが含まれるが、これらに限定されない。
本発明においては、次のようなコア/シェル型の量子ドット、例えば、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、CdTe/ZnS等も好ましく使用できる。
〈樹脂〉
QD含有樹脂層には、量子ドットを保持するバインダーとして樹脂を用いることができる。例えば、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む。)系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、セロファン系、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリビニルアルコール系、エチレンビニルアルコール系、シンジオタクティックポリスチレン系、ノルボルネン系、ポリメチルペンテン系、ポリエーテルケトン系、ポリエーテルケトンイミド系、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ナイロン系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂等を挙げることができる。
QD含有樹脂層は、厚さが50〜200μmの範囲内であることが好ましい。
なお、QD含有樹脂層における量子ドットの含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には15〜60体積%の範囲内であることが好ましい。
〔有機EL素子〕
本発明の積層型ガスバリアー性フィルムを適用する電子デバイスの代表例である有機EL素子は、例えば、透明基材上に、陽極、第1有機機能層群、発光層、第2有機機能層群、陰極が積層されて構成されている。第1有機機能層群は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層等から構成され、第2有機機能層群は、例えば、正孔阻止層、電気輸送層、電子注入層等から構成されている。第1有機機能層群及び第2有機機能層群はそれぞれ1層のみで構成されていても良いし、第1有機機能層群及び第2有機機能層群はそれぞれ設けられていなくても良い。
以下に、有機EL素子の構成の代表例を示す。
(i)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔注入輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔注入輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(v)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(vi)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
更に、有機EL素子は、非発光性の中間層を有していても良い。中間層は電荷発生層であっても良く、マルチフォトンユニット構成であっても良い。
本発明に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013−157
634号公報、特開2013−168552号公報、特開2013−177361号公報、特開2013−187211号公報、特開2013−191644号公報、特開2013−191804号公報、特開2013−225678号公報、特開2013−235994号公報、特開2013−243234号公報、特開2013−243236号公報、特開2013−242366号公報、特開2013−243371号公報、特開2013−245179号公報、特開2014−003249号公報、特開2014−003299号公報、特開2014−013910号公報、特開2014−017493号公報、特開2014−017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例1
《積層型ガスバリアー性フィルムの作製》
下記の方法に従って、積層型ガスバリアー性フィルム1〜7を作製した。
[積層型ガスバリアー性フィルム1の作製]
〔基材の作製〕
両面に易接着処理した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー(登録商標)U48、略称:PETフィルム)の両面に、クリアハードコート層1(裏面側)及びクリアハードコート層2(ガスバリアー層形成面側)を下記の方法により形成した。
(クリアハードコート層の形成)
上記PETフィルムの裏面側(ガスバリアー層を形成する面とは反対側の面)に、UV硬化型樹脂(アイカ工業株式会社製、品番:Z731L)を乾燥膜厚が0.5μmになるように湿式塗布方式により塗布した後、形成した塗膜を80℃で乾燥し、その後、空気下、高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量0.5J/cmの条件で硬化を行い、裏面側のクリアハードコート層1を形成した。
次いで、PETフィルムの表面側(ガスバリアー層を形成する面)に、JSR株式会社製のUV硬化型樹脂「オプスター(登録商標)Z7527」を用い、乾燥膜厚が2μmになるように、湿式塗布方式で塗布した後、80℃で乾燥し、その後、空気下、高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量0.5J/cmの条件で硬化を行い、表面側に厚さ2μmのクリアハードコート層2を形成した。
〔第1のガスバリアー層1の形成〕
(B領域の形成:非遷移金属(SiO)領域)
基材のクリアハードコート層2を形成した面側に、気相法・スパッタ(マグネトロンスパッタ装置・キャノンアネルバ社製:型式EB1100)により、第1のガスバリアー層を構成するB領域を製膜した。用いたスパッタ装置は、2元同時スパッタが可能なものである。
ここで、ターゲットとして多結晶Siターゲットを用い、プロセスガスとしてArとOとの混合ガスを用いて、DCスパッタにより、膜厚が30nmのB領域を形成した。製膜は、B領域の組成がSiOとなるように酸素分圧を調整することにより行った。なお、事前にガラス基板を用いた製膜を行い、酸素分圧を調整することにより組成の条件出しを行い、表層から深さ10nm近傍の組成がSiOとなる条件を見出し、その条件を適用した。また、膜厚に関しては、100nm〜300nmの範囲で製膜時間に対する膜厚変化のデータを取り、単位時間当たりに製膜される膜厚を算出した後、設定膜厚となるように製膜時間を設定することで膜厚を調整した。
上記方法により、基材の一方の面側に、組成が非遷移金属酸化物であるSiO、膜厚が30nmのB領域を形成した。
(A領域の形成:遷移金属(Nb)領域)
上記形成したB領域上に、気相法・スパッタにより、A領域を形成した。スパッタ装置としては、マグネトロンスパッタ装置(キャノンアネルバ社製:型式EB1100)を用いた。
ターゲットとしては、市販の酸素欠損型酸化ニオブターゲット(組成:Nb1229)を用い、プロセスガスとしてArとOの混合ガスを用いて、マグネトロンスパッタ装置により、DC方式により成膜を行った。スパッタ電源パワーは5.0W/cmとし、成膜圧力は0.4Paとした。また、成膜条件において、酸素分圧を12%とした。なお、事前にガラス基材を用いた成膜により、成膜条件において、成膜時間に対する層厚変化のデータを取り、単位時間当たりに成膜される層厚を算出した後、設定層厚となるように成膜時間を設定した。
上記方法により、B領域上に、遷移金属(Nb)により構成される、膜厚が10nmのA領域を形成し、第1のガスバリアー層1を形成した。第1のガスバリアー層1は、本発明に係るガスバリアー層Mに相当する。
(混合領域の有無の確認)
上記作製した第1のガスバリアー層について、XPS分析法により混合領域の有無の測定を行った。
XPS分析により、第1のガスバリアー層1の表面側により厚さ方向の組成分布プロファイルを測定した。なお、XPS分析条件は以下の通りである。なお、分析に用いた試料は、試料作製後、20℃・50%RHの環境下で保管した試料を用いた。
〈XPS分析条件〉
・装置:アルバック・ファイ社製QUANTERA SXM
・X線源:単色化Al−Kα
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:SiO換算スパッタ厚さで、所定の厚さ間隔で測定を繰り返し、深さ方向のデプスプロファイルを得た。この厚さ間隔は、1nmとした(深さ方向に1nmごとのデータが得られる)。
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバック・ファイ社製のMultiPakを用いた。なお、分析した元素は、Si、M1、O、Cである。
得られたデータから、図4で例示するように、A領域とB領域との界面領域で、遷移金属M2(Nb)と非遷移金属M1(Si)とが共存し、かつ、遷移金属M2(Nb)/非遷移金属M1(Si)の原子数比率の値が、0.02〜50の範囲内にある領域を、混合領域と定義して測定した結果、第1のガスバリアー層1においては混合領域が存在していることを確認した。
〔相互作用層1の形成:TypeA〕
上記形成した第1のガスバリアー層1上に、下記の方法に従って、相互作用層1(TypeA)を形成した。
物理気相成膜法であるスパッタ法を用いて、相互作用層1を形成した。使用したスパッタ装置は、マグネトロンスパッタ装置(キャノンアネルバ社製、型式EB1100)を用いた。
ターゲットとしては、市販の酸化亜鉛ターゲットを用い、プロセスガスとしてアルゴンと酸素の混合ガスを用いて、上記マグネトロンスパッタ装置を用い、DC方式により、酸化亜鉛からなる相互作用層1の成膜を行った。
〔第2のガスバリアー層1の形成〕
上記形成した相互作用層1上に、前記第1のガスバリアー層1の形成と同様の方法で、第2のガスバリアー層1を形成し、第1のガスバリアー層1と、第2のガスバリアー層1とで、相互作用層1を挟持した構成の積層型ガスバリアー性フィルム1を作製した。
なお、第2のガスバリアー層1においても、第1のガスバリアー層1と同様に、混合領域の存在を確認することができた。
[積層型ガスバリアー性フィルム2の作製]
前記積層型ガスバリアー性フィルム1の作製において、第2のガスバリアー層を形成する際に、A領域(遷移金属M2含有領域)の形成を行わなかった以外は同様にして、積層型ガスバリアー性フィルム2を作製した。
第2のガスバリアー層は、B領域のみで形成され、A領域及び混合領域が存在しないガスバリアー層Nである。
[積層型ガスバリアー性フィルム3の作製]
前記積層型ガスバリアー性フィルム1の作製において、第1のガスバリアー層を形成する際に、A領域(遷移金属M2含有領域)の形成を行わなかった以外は同様にして、積層型ガスバリアー性フィルム3を作製した。
第1のガスバリアー層は、B領域のみで形成され、A領域及び混合領域は存在しないガスバリアー層Nである。
[積層型ガスバリアー性フィルム4の作製]
前記積層型ガスバリアー性フィルム1の作製において、第1のガスバリアー層のA領域及び第2のガスバリアー層のA領域を形成する遷移金属(M2)をNbからTaに変更した以外は同様にして、積層型ガスバリアー性フィルム4を作製した。
[積層型ガスバリアー性フィルム5の作製]
前記積層型ガスバリアー性フィルム4の作製において、第2のガスバリアー層を形成する際に、A領域(遷移金属M2含有領域)の形成を行わなかった以外は同様にして、積層型ガスバリアー性フィルム5を作製した。
第2のガスバリアー層は、B領域のみで形成され、A領域及び混合領域は存在しないガスバリアー層Nである。
[積層型ガスバリアー性フィルム6の作製]
前記積層型ガスバリアー性フィルム4の作製において、第1のガスバリアー層を形成する際に、A領域(遷移金属M2含有領域)の形成を行わなかった以外は同様にして、積層型ガスバリアー性フィルム6を作製した。
第1のガスバリアー層は、B領域のみで形成され、A領域及び混合領域は存在しないガスバリアー層Nである。
[積層型ガスバリアー性フィルム7の作製]
前記積層型ガスバリアー性フィルム1の作製において、相互作用層1(TypeA)の形成を行わなかった以外は同様にして、積層型ガスバリアー性フィルム7を作製した。
《積層型ガスバリアー性フィルムの評価》
上記作製した各積層型ガスバリアー性フィルムについて、下記の方法に従ってガスバリアー性を評価した。
〔ガスバリアー性の評価:Ca法評価〕
以下の測定方法に従って、各積層型ガスバリアー性フィルムの水蒸気透過性(ガスバリアー性)を評価した。
下記のようにして作製したCa法評価試料(透過濃度により評価するタイプ)を、85℃、85%RH環境に保存して、一定時間ごとにCaの腐食率を観察した。1時間、5時間、10時間、20時間、それ以降は20時間ごとに観察及び透過濃度測定(任意4点の平均)し、測定した透過濃度が透過濃度初期値の50%未満となった時点の観察時間を求め、これをガスバリアー性の指標とした。500時間の保存で測定した透過濃度が透過濃度初期値の50%以上であった場合は500時間以上とした。
(Ca評価試料の作製)
積層型ガスバリアー性フィルムのガスバリアー層表面をUV洗浄した後、ガスバリアー層面に、封止樹脂層として熱硬化型のシート状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ20μmで貼合した。これを50mm×50mmのサイズに打ち抜いた後、グローブボックス内に入れて、24時間乾燥処理を行った。
50mm×50mmサイズの無アルカリガラス板(厚さ0.7mm)の片面をUV洗浄した。次いで、株式会社エイエルエステクノロジー製の真空蒸着装置を用い、ガラス板の中央に、マスクを介して20mm×20mmのサイズでCaを蒸着した。Caの厚さは80nmとした。Ca蒸着済のガラス板をグローブボックス内に装着し、封止樹脂層を貼合した積層型ガスバリアー性フィルムの封止樹脂層面とガラス板のCa蒸着面とを接するように配置し、真空ラミネートにより接着した。この際、110℃の加熱を行った。さらに、接着した試料を110℃に設定したホットプレート上にガラス板を下にして置き、30分間硬化させて、評価用セルを作製した。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2019010734
表1に記載の結果より明らかなように、基材上に第1のガスバリアー層、相互作用層(TypeA)、及び第2のガスバリアー層を有し、かつ第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の少なくとも1層が本発明で規定するガスバリアー層Mである本発明の積層型ガスバリアー性フィルムは、比較例に対し、極めて優れたガスバリー性を有していることが分かる。
その中でも、特に、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層を、いずれも本発明で規定するガスバリアー層Mで構成した積層型ガスバリアー性フィルム1及び積層型ガスバリアー性フィルム4は、より優れたガスバリアー性を有していることを確認することができた。
実施例2
《積層型ガスバリアー性フィルムの作製》
実施例1に記載の積層型ガスバリアー性フィルム1〜7の作製において、相互作用層1(TypeA)に代えて、下記の方法に従って相互作用層2(TpyeB:反応性ナノ粒子含有)を形成し、それを用いた以外は同様にして、積層型ガスバリアー性フィルム11〜17を作製した。
〔相互作用層2(TypeB)の形成:反応性ナノ粒子含有〕
市販品の反応性ナノ粒子として、Nanophase Technologies社製の#44931 NanoDur(登録商標、平均粒径:45nm、99.5%酸化アルミニウム粒子(Al)。)を用い、予めプラズマ処理を施した後、50質量%となる条件で、2−メトキシエタノールとエチレングリコールの1:1(質量比)の混合有機溶媒中に添加した後、超音波分散機を用いて分散処理を行って、反応性ナノ粒子分散液を調製した。
次いで、バインダー樹脂として、UV硬化型アクリレートモノマー(Addision Clear Wave−HC−5607)の34質量部を用い、これを上記反応性ナノ粒子分散液の66質量部に添加して、相互作用層2形成用塗布液を調製した。
次いで、相互作用層2形成用塗布液を、スピンコーターを用いて、第1のガスバリアー層上に、乾燥後の層厚が50nmとなる条件で塗布、乾燥した後、紫外線照射による硬化処理を施して、相互作用層2を形成し、これを用いて積層型ガスバリアー性フィルム11〜16を作製した。
なお、表2に記載の積層型ガスバリアー性フィルム17(相互機能層フリー)は、実施例1で作製した積層型ガスバリアー性フィルム7と同一である。
《積層型ガスバリアー性フィルムの評価》
上記作製した積層型ガスバリアー性フィルム11〜17について、ガスバリアー性を、実施例1に記載した「ガスバリアー性の評価方法(Ca法評価)」と同様にして評価し、得られた結果を表2に示す。
Figure 2019010734
表2に記載の結果より明らかなように、基材上に第1のガスバリアー層、相互作用層(TypeB)、及び第2のガスバリアー層を有し、かつ第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の少なくとも1層が本発明で規定するガスバリアー層Mである本発明の積層型ガスバリアー性フィルムは、比較例に対し、極めて優れたガスバリー性を有していることが分かる。
その中でも、特に、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層のいずれも本発明で規定するガスバリアー層Mで構成した積層型ガスバリアー性フィルム11は、積層型ガスバリアー性フィルム12及び13に対し、また積層型ガスバリアー性フィルム14は、積層型ガスバリアー性フィルム15及び16に対し、より優れたガスバリアー性を有していることを確認することができた。
実施例3
《積層型ガスバリアー性フィルムの作製》
実施例1に記載の積層型ガスバリアー性フィルム1〜7の作製において、第1ガスバリアー層のB領域(SiO)、及び第2ガスバリアー層のB領域(SiO)の形成方法を、スパッタ法に代えて、下記に記載のパーヒドロポリシラザン(略称:PHPS)を用いたエキシマ改質法により形成した以外は同様にして、積層型ガスバリアー性フィルム21〜27を作製した。
〔B領域の形成方法:PHPSを用いたエキシマ改質法〕
非遷移金属(M1)として、Siを含有するポリシラザンを用い、塗布・改質方式により非遷移金属(M1)含有層を形成した。以下に、B領域の塗布条件と改質条件を示す。
(塗布条件:B領域の成膜)
パーヒドロポリシラザン(PHPS)を20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザンの20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合して塗布液を調製した。
次いで、グローブボックス内の窒素雰囲気下で、スピンコート法により上記塗布液を乾燥層厚が100nmとなるように塗布し、80℃で10分間乾燥し、非遷移金属(M1)を含有する塗膜を形成した。
(エキシマによる改質処理)
次いで、非遷移金属(M1)を含有する塗膜(B領域)を形成した試料を、波長172nmのXeエキシマランプを有する図5に示す真空紫外線照射装置に設置し、照射エネルギー5.0J/cmの条件で真空紫外線照射処理を行った。この際、チャンバー内に窒素と酸素とを供給し、照射雰囲気の酸素濃度を0.1体積%に調整した。また、試料を設置するステージ温度を80℃とした。
図5に示す真空紫外光照射装置(100)において、101は装置チャンバーであり、図示しないガス供給口から内部に窒素と酸素とを適量供給し、図示しないガス排出口から排気することで、チャンバー内部から実質的に水蒸気を除去し、の酸素濃度を所定の濃度に維持することができる。102は172nmの真空紫外光を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプ(エキシマランプ光強度:130mW/cm)、103は外部電極を兼ねるエキシマランプのホルダーである。104は試料ステージである。試料ステージ104は、図示しない移動手段により装置チャンバー101内を水平に所定の速度で往復移動することができる。また、試料ステージ104は図示しない加熱手段により、所定の温度に維持することができる。105はポリシラザン化合物塗布層が形成された試料である。試料ステージが水平移動する際、試料の塗布層表面と、エキシマランプ管面との最短距離が3mmとなるように試料ステージの高さが調整されている。106は遮光板であり、Xeエキシマランプ2のエージング中に試料の塗布層に真空紫外線が照射されないようにしている。
真空紫外光照射工程で試料塗布層表面に照射されるエネルギーは、浜松ホトニクス社製の紫外線積算光量計:C8026/H8025 UV POWER METERを用い、172nmのセンサヘッドを用いて測定した。測定に際しては、Xeエキシマランプ管面とセンサヘッドの測定面との最短距離が、3mmとなるようにセンサヘッドを試料ステージ104中央に設置し、かつ、装置チャンバー101内の雰囲気が、真空紫外光照射工程と同一の酸素濃度となるように窒素と酸素とを供給し、試料ステージ104を0.5m/minの速度で移動させて測定を行った。測定に先立ち、Xeエキシマランプ102の照度を安定させるため、Xeエキシマランプ点灯後に10分間のエージング時間を設け、その後試料ステージを移動させて測定を開始した。
この測定で得られた照射エネルギーを元に、試料ステージの移動速度を調整することで、5.0J/cmの照射エネルギー量となるように調整した。尚、真空紫外光照射は、10分間のエージング後に行った。
《第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の酸素欠損指標の測定》
(混合領域の有無の確認)
上記作製した第1のガスバリアー層について、XPS分析法により混合領域の有無の測定を行った。
XPS分析により、第1のガスバリアー層1の表面側により厚さ方向の組成分布プロファイルを測定した。なお、XPS分析条件は以下の通りである。なお、分析に用いた試料は、試料作製後、20℃・50%RHの環境下で保管した試料を用いた。
〈XPS分析条件〉
・装置:アルバック・ファイ社製QUANTERA SXM
・X線源:単色化Al−Kα
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:SiO換算スパッタ厚さで、所定の厚さ間隔で測定を繰り返し、深さ方向のデプスプロファイルを得た。この厚さ間隔は、1nmとした(深さ方向に1nmごとのデータが得られる)。
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバック・ファイ社製のMultiPakを用いた。なお、分析した元素は、Si、M1、N、O、Cである。
得られたデータから、図4で例示するように、A領域とB領域との界面領域で、遷移金属M2(Nb)と非遷移金属M1(Si)とが共存し、かつ、遷移金属M2(Nb)/非遷移金属M1(Si)の原子数比率の値が、0.02〜49の範囲内にある領域を、混合領域と定義して測定した結果、第1のガスバリアー層1においては混合領域が存在していることを確認した。
(混合領域の組成をSiM2で表した際の、(2y+3z)/(a+bx)の値の計算〕
上記XPS分析データを用いて計算した(2y+3z)/(a+bx)の値を、表3に示す。
《積層型ガスバリアー性フィルムの評価》
〔ガスバリアー性の評価〕
上記作製した積層型ガスバリアー性フィルム21〜27について、ガスバリアー性を、実施例1に記載した「ガスバリアー性の評価方法(Ca法評価)」と同様にして評価し、得られた結果を表3に示す。
Figure 2019010734
表3に記載の結果より明らかなように、基材上に第1のガスバリアー層、相互作用層(TypeA)、及び第2のガスバリアー層を有し、かつ第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の少なくとも1層が本発明で規定するガスバリアー層Mである本発明の積層型ガスバリアー性フィルムは、比較例に対し、極めて優れたガスバリー性を有していることが分かる。
その中でも、特に、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層のいずれも本発明で規定するガスバリアー層Mで構成した積層型ガスバリアー性フィルム21は、積層型ガスバリアー性フィルム22及び23に対し、また積層型ガスバリアー性フィルム24は、積層型ガスバリアー性フィルム25及び26に対し、より優れたガスバリアー性を有していることを確認することができた。
実施例4
《積層型ガスバリアー性フィルムの作製》
実施例3に記載の積層型ガスバリアー性フィルム21〜27の作製において、相互作用層1(TypeA)を、実施例2で記載の相互作用層2(TpyeB:反応性ナノ粒子含有)に変更した以外は同様にして、積層型ガスバリアー性フィルム31〜37を作製した。
なお、表4に記載の積層型ガスバリアー性フィルム37(相互作用層フリー)は、実施例3で作製した積層型ガスバリアー性フィルム27と同一である。
《積層型ガスバリアー性フィルムの評価》
上記作製した積層型ガスバリアー性フィルム31〜37について、ガスバリアー性を、実施例1に記載した「ガスバリアー性の評価方法(Ca法評価)」と同様にして評価し、得られた結果を表4に示す。
Figure 2019010734
表4に記載の結果より明らかなように、基材上に第1のガスバリアー層、相互作用層(TypeB)、及び第2のガスバリアー層を有し、かつ第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の少なくとも1層が本発明で規定するガスバリアー層Mである本発明の積層型ガスバリアー性フィルムは、比較例に対し、極めて優れたガスバリー性を有していることが分かる。
その中でも、特に、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層のいずれも本発明で規定するガスバリアー層Mで構成した積層型ガスバリアー性フィルム31は、積層型ガスバリアー性フィルム32及び33に対し、また積層型ガスバリアー性フィルム34は、積層型ガスバリアー性フィルム35及び36に対し、より優れたガスバリアー性を有していることを確認することができた。
実施例5
上記作製した積層型ガスバリアー性フィルム1〜7、11〜17、21〜27、31〜37について、特開2010−20925号公報の実施例に記載されている方法に準じて基材フィルムとして適用し、特開2010−20925号公報の図8に記載された構成からなる有機ELセルを作製した。
次いで、作製した各有機ELセルを、40℃、80%RHの環境下で、200時間保管した後、有機EL素子の発光効率低下率を、常法に従って測定した結果、本発明で規定する構成からなる積層型ガスバリアー性フィルムは、比較例に対し、発光効率の低下を抑制し、優れたガスバリアー性を有していることを確認することができた。
1 積層型ガスバリアー性フィルム
2 基材
3、3A、3B 相互作用層
4 反応性ナノ粒子
A領域 遷移金属(M2)含有領域
B領域 非遷移金属(M1)含有領域
GB1、GB2 ガスバリアー層
M・GB1、MGB2 ガスバリアー層M
N・GB1、NGB2 ガスバリアー層N
100 真空紫外光照射装置
101 装置チャンバー
102 Xeエキシマランプ
103 エキシマランプのホルダー
104 試料ステージ
105 ポリシラザン化合物塗布層形成試料
106 遮光板

Claims (22)

  1. 基材上に、少なくとも第1のガスバリアー層、相互作用層、及び第2のガスバリアー層がこの順で積層され、
    前記第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の少なくとも一方の1層が、下記で規定する条件(1)を満たすガスバリアー層Mであることを特徴とする積層型ガスバリアー性フィルム。
    条件(1):少なくとも厚さ方向において、非遷移金属M1及び遷移金属M2を含有する領域であって、前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有すること。
  2. 前記相互作用層が、アルカリ金属酸化物、亜鉛酸化物、チタン酸化物、金属ドーピングされた亜鉛酸化物及びシリコン酸化物から選択される少なくとも1種の酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  3. 前記相互作用層が、少なくとも1種の非酸化物化学成分でドーピングされることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  4. 前記相互作用層が、反応性ナノ粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  5. 前記反応性ナノ粒子が、化学反応により水分又は酸素と相互作用することを特徴とする請求項4に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  6. 前記反応性ナノ粒子が、金属又は金属酸化物により構成される材料を含有することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  7. 前記反応性ナノ粒子が、Al、Ti、Mg、Ba及びCaから選択される少なくとも1種の金属を含有することを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  8. 前記反応性ナノ粒子が、TiO、Al、ZrO、ZnO、BaO、SrO、CaO、MgO、VO、CrO、MoO及びLiMnから選択される少なくとも1種の金属酸化物を含有することを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  9. 前記反応性ナノ粒子が、スズ酸カドミウム(CdSnO)、インジウム酸カドミウム(CdIn)、スズ酸亜鉛(ZnSnO又はZnSnO)及び酸化亜鉛インジウム(ZnIn)から選択される少なくとも1種の透明な導電性酸化物を含有することを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  10. 前記反応性ナノ粒子が、吸着により水分又は酸素と相互作用することを特徴とする請求項4から請求項9までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  11. 前記反応性ナノ粒子が、カーボンナノチューブを含有することを特徴とする請求項4から請求項10までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  12. 前記ガスバリアー層Mが、前記遷移金属酸化物M2を主成分として含有する領域と、前記非遷移金属M1を主成分として含有する領域との間に、前記混合領域を有すること特徴とすることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  13. 前記ガスバリアー層Mが含有する前記非遷移金属M1が、ケイ素であることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  14. 前記遷移金属M2が、長周期型周期表の第5族元素であることを特徴とする求項1から請求項13までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  15. 前記遷移金属M2が、ニオブ(Nb)又はタンタル(Ta)であることを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  16. 前記混合領域の組成が、さらに酸素を含有していることを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  17. 前記混合領域の組成を、下記化学組成式(1)で表したとき、前記混合領域の少なくとも一部が下記関係式(2)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項16までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
    化学組成式(1)
    (M1)(M2)
    関係式(2)
    (2y+3z)/(a+bx)<1.0
    〔式中、M1は非遷移金属、M2は遷移金属、Oは酸素、Nは窒素を表す。x、y、zは、それぞれ化学量論係数であり、aはM1の最大価数、bはM2の最大価数を表す。〕
  18. 前記第1のガスバリアー層及び前記第2のガスバリアー層が、いずれもガスバリアー層Mであることを特徴とする請求項1から請求項17までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  19. 前記第1のガスバリアー層及び前記第2のガスバリアー層のいずれか一方が、前記ガスバリアー層Mであり、他方が第12族〜第14族の非遷移金属又はその化合物により構成される単一組成のガスバリアー層Nであることを特徴とする請求項1から請求項18までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルム。
  20. 請求項1から請求項19までのいずれか一項に記載の積層型ガスバリアー性フィルムを具備していることを特徴とする電子デバイス。
  21. 電子デバイスが、量子ドットを含有するQDフィルムであることを特徴とする請求項20に記載の電子デバイス。
  22. 電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項20に記載の電子デバイス。
JP2015228398A 2015-11-24 2015-11-24 積層型ガスバリアー性フィルム及び電子デバイス Pending JP2019010734A (ja)

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