JP6794994B2 - タッチパネルセンサーフィルム - Google Patents
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Description
化学組成式(1): (M1)(M2) x O y N z
関係式(2): (2y+3z)/(a+bx)<1.0
(ただし、式中、M1:非遷移金属、M2:遷移金属、O:酸素、N:窒素、
x,y,z:化学量論係数、0.02≦x≦49、0<y、0≦z
a:M1の最大価数、b:M2の最大価数、を表す。)
前記ガスバリアー層が、少なくとも厚さ方向において、非遷移金属M1及び遷移金属M2を含有する領域であって、前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有し、かつ、前記混合領域の組成に、さらに酸素が含有されており、前記混合領域の組成を、前記化学組成式(1)で表したとき、前記混合領域の少なくとも一部が前記関係式(2)を満たすことを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する又は対応する技術的特徴である。
≪タッチパネルセンサーフィルムの概要≫
本発明のタッチパネルセンサーフィルムは、基材上に、ガスバリアー層及びパターニングされた導電層を有するタッチパネルセンサーフィルムであって、前記ガスバリアー層が、少なくとも厚さ方向において、非遷移金属M1及び遷移金属M2を含有する領域であって、前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有し、かつ、前記混合領域の組成に、さらに酸素が含有されており、前記混合領域の組成を、下記化学組成式(1)で表したとき、前記混合領域の少なくとも一部が下記関係式(2)を満たすことを特徴とする。
化学組成式(1): (M1)(M2) x O y N z
関係式(2): (2y+3z)/(a+bx)<1.0
(ただし、式中、M1:非遷移金属、M2:遷移金属、O:酸素、N:窒素、
x,y,z:化学量論係数、0.02≦x≦49、0<y、0≦z
a:M1の最大価数、b:M2の最大価数、を表す。)
本発明の実施形態としては、前記ガスバリアー層が、前記A領域と前記B領域との間に、前記混合領域を有する態様であることが好ましい。前記混合領域は、その少なくとも一部がA領域、又は、B領域と重なった領域であってもよい。
《ガスバリアー性フィルムの各構成要素》
以下に、本発明のガスバリアー性フィルムを構成する基材、ガスバリアー層等について詳細な説明をする。
[基材]
本発明に用いる基材としては、無色透明な樹脂からなるフィルム又はシートが挙げられる。このような基材に用いる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、シクロポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル系樹脂;アセタール系樹脂;ポリイミド系樹脂;セルロースエステル系樹脂が挙げられる。
[ガスバリアー層]
本発明に係るガスバリアー層は、少なくとも厚さ方向において、非遷移金属M1及び遷移金属M2を含有する混合領域を有し、当該混合領域における前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有することを特徴とするガスバリアー層である。 更には、ガスバリアー層としては、第3族〜第11族の遷移金属を金属の主成分aとして含有するA領域と、第12族〜第14族の非遷移金属を金属の主成分bとして含有するB領域との間に、主成分a及び主成分bに由来する化合物を含有する混合領域を有する構成であることが好ましい形態である。
関係式(2):(2y+3z)/(a+bx)<1.0
上記各式において、M1は非遷移金属、M2は遷移金属、Oは酸素、Nは窒素を表す。x、y、zは、それぞれ化学量論係数であり、aはM1の最大価数、bはM2の最大価数を表す。
〔ガスバリアー層を構成する各領域〕
本発明に係るガスバリアー層を構成する領域について説明するが、以下において使用する技術用語の定義について予め説明する。
(遷移金属含有領域:A領域)
遷移金属含有領域であるA領域とは、金属として遷移金属を主成分aとして含有する領域をいう。ここでいう「その化合物」、すなわち「遷移金属の化合物」とは、遷移金属を含む化合物をいい、例えば、遷移金属酸化物をいう。
(非遷移金属含有領域:B領域)
非遷移金属含有領域であるB領域とは、金属として、非遷移金属を主成分bとして含有する領域をいう。ここでいう「その化合物」すなわち「非遷移金属の化合物」とは、非遷移金属を含む化合物をいい、例えば、非遷移金属酸化物をいう。
(混合領域)
本発明に係る混合領域は、長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される非遷移金属(M1)及び第3族元素から第11族の金属から選択される遷移金属(M2)が含有されている領域であって、前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有する領域である。
(酸素欠損組成)
本発明においては、本発明に係る混合領域に含有される一部の組成が、酸素が欠損した非化学量論的組成(酸素欠損組成)である。
化学組成式(1)
(M1)(M2)xOyNz
関係式(2)
(2y+3z)/(a+bx)<1.0
上記各式において、M1は非遷移金属、M2は遷移金属、Oは酸素、Nは窒素を表し、x、y及びzはそれぞれ化学量論係数を表す。aはM1の最大価数、bはM2の最大価数を表す。
(XPSによる組成分析と混合領域の厚さの測定)
本発明に係るガスバリアー層の混合領域やA領域及びB領域における組成分布や各領域の厚さ等については、以下に詳述するX線光電分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy、略称:XPS)により測定することにより求めることができる。
・分析装置:アルバックファイ社製QUANTERASXM
・X線源:単色化Al−Kα
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:SiO2換算スパッタ厚さで、所定の厚さ間隔で測定を繰り返し、深さ方向のデプスプロファイルを求める。この厚さ間隔は、1nmとした(深さ方向に1nmごとのデータが得られる)。
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバックファイ社製のMultiPakを用いる。なお、分析した元素は、非遷移金属M1(例えば、ケイ素(Si))、遷移金属M2、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)である。
〔各領域の形成方法〕
(遷移金属含有領域:A領域の形成)
本発明に係る遷移金属(M2)は、前述のとおり良好なガスバリアー性が得られる観点から、Nb、Ta、V、Zr、Ti、Hf、Y、La、Ce等が挙げられ、これらの中でも、特に第5族元素であるNb、Ta、Vが、ガスバリアー層に含有される非遷移金属(M1)に対する結合が生じやすいと考えられるため、好ましく用いることができる。
(非遷移金属含有領域:B領域の形成)
本発明に係るガスバリアー層において、非遷移金属(M1)を含有するB領域を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、気相成膜法は公知の方法で用いることができる。気相成膜法としては、特に制限されず、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法等の物理気相成長(PVD)法、プラズマCVD(chemical vapordeposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などの化学気相成長(CVD)法が挙げられる。なかでも、機能性素子へのダメージを与えることなく成膜が可能となり、高い生産性を有することから、物理気相成長(PVD)法により形成することが好ましく、スパッタ法により、非遷移金属をターゲットとして用いて形成することができる。
〈ポリシラザンを含有する塗布液〉
ポリシラザンを含有する塗布液を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応してしまうようなアルコール系や水分を含有するものを用いることは避けることが好ましい。好適な有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度等、目的にあわせて選択し、複数の有機溶剤を混合してもよい。
ポリシラザンを含有する塗布液には、Si以外の金属元素の有機金属化合物を添加することができる。Si以外の金属元素の有機金属化合物を添加することで、塗布乾燥過程において、ポリシラザンのN原子とO原子との置き換わりが促進され、塗布乾燥後にSiO2に近い安定した組成へと変化させることができる。
(混合領域の形成)
混合領域形成方法としては、前述したように、A領域及びB領域を形成する際に、各々の形成条件を適宜調整して、A領域とB領域との間に混合領域を形成する方法が好ましい。
《電子デバイス》
本発明のガスバリアー性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく適用できる。すなわち、本発明のガスバリアー性フィルムは、電子デバイス本体と、を含む電子デバイスに適用することができる。
〔有機EL素子〕
本発明のガスバリアー性フィルムは、有機EL素子に適用することができ、本発明に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013−157634号公報、特開2013−168552号公報、特開2013−177361号公報、特開2013−187211号公報、特開2013−191644号公報、特開2013−191804号公報、特開2013−225678号公報、特開2013−235994号公報、特開2013−243234号公報、特開2013−243236号公報、特開2013−242366号公報、特開2013−243371号公報、特開2013−245179号公報、特開2014−003249号公報、特開2014−003299号公報、特開2014−013910号公報、特開2014−017493号公報、特開2014−017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
両面に易接着処理した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー(登録商標)(U403))のガスバリアー層を形成する面とは反対側の面に、アンチブロック機能を有するクリアハードコート層を形成した。具体的には、UV硬化型樹脂(アイカ工業株式会社製、品番:Z731L)を乾燥膜厚が0.5μmになるように塗布した後、80℃で乾燥し、その後、空気下、高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量0.5J/cm2の条件で硬化を行った。
上記基材に対し、表1に記載の製膜条件にて遷移金属M2を含有する領域、非遷移金属M1を含有する領域を形成し、試料No.1〜13のガスバリアー性フィルムを得た。各条件の具体的な手順は下記のとおりである。なお、製膜の順番は、上記基材上に、表1に記載の方法で非遷移金属M1を含有する領域(B領域)を製膜し、その後、遷移金属M2を含有する領域(A領域)を製膜する順番とした。
<スパッタ法>
スパッタリング法として、以下のS−1〜S−7までの方法を行った。S−1〜S−7においては、マグネトロンスパッタ装置を用いた。なお、S−1〜S−7においては、プロセスガスにArとO2とを用いた。
(S−1)
市販の多結晶Siターゲットを用いて酸化ケイ素を製膜、RF方式、厚さ110nmとなるように製膜時間を設定して製膜した。なお、酸素分圧を調整し、XPSでの組成がSiO2となるようにした。
(S−2)
厚さ10nmとなるように製膜時間を設定して製膜した以外はS−1と同様にした。
(S−3)
市販の酸素欠損型五酸化二ニオブターゲットを用いて酸化ニオブを製膜、DC方式、酸素分圧12%、厚さ10nmとなるように製膜時間を設定して製膜した。
(S−4)
厚さ5nmとなるように製膜時間を設定して製膜した以外はS−3と同様にした。
(S−5)
厚さ2nmとなるように製膜時間を設定して製膜した以外はS−3と同様にした。
(S−6)
厚さ0.5nmとなるように製膜時間を設定して製膜した以外はS−3と同様にした。(S−7)
市販の金属タンタルターゲットを用いて酸化タンタルを製膜、DC方式、酸素分圧20%、厚さ5nmとなるように製膜時間を設定して製膜した。
<塗布法>
塗布法として、以下のC−1〜C−3までの方法を行った。
(C−1)
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらに乾燥膜厚調整のためジブチルエーテルで希釈し、固形分4質量%の塗布液を調製した。
(C−2)
C−1で得られた乾燥した塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを有する真空紫外線照射装置を用い、照射エネルギーを6.0J/cm2とした条件で真空紫外線照射処理を行った。この際、照射雰囲気は窒素で置換し、酸素濃度は0.1体積%とした。また、試料を設置するステージ温度を80℃とした。
(C−3)
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで固形分濃度が4質量%となるように希釈した液Aを調製した。塗布液の調製はグローブボックス内で行った。次に、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートをジブチルエーテルで固形分濃度が5質量%となるように希釈したアルミニウム化合物液を作製した。S1とアルミニウム化合物液とを、Al/Si原子数比が0.01となるように混合し、攪拌しながら80℃まで昇温し、80℃で2時間保持した後、室温(25℃)まで徐冷した。このようにして、固形分4質量%の塗布液を調製した。
上記基材上にスピンコート法により塗布液を、乾燥後の厚さが、110nmになるよう塗布し、80℃で2分間乾燥した塗膜を得た。
(銀ナノワイヤーの水分散物の調整)
特開2013−198990号公報の実施例の銀ナノワイヤー分散液(1)の調製方法にしたがって、銀ナノワイヤーの水分散物を調整した。
(透明導電膜の作製)
特開2013−198990号公報の実施例のパターン透明導電膜1の形成方法にしたがって、ガスバリアー性フィルムのガスバリアー層上に、透明導電膜を形成した。
(透明導電膜のパターニング)
特開2013−198990号公報の実施例のパターン透明導電膜1の形成方法にしたがって、透明導電膜のパターニングを行った。導電性エリアは12cm×12cmサイズにパターニングしたものを作製した。取り出し電極の形成は行わなかった。
[導電性パターン2の形成方法]
特開2015−12046の実施例に従い、細線形成用インク・インク1を用い、ガスバリアー性フィルムのガスバリアー層上に、200μmピッチで複数のラインをストライプ状に形成した。形成エリアは12cm×12cmサイズとした。次いで、電解メッキにより、上記で形成したライン上に、銅の導電性パターンを形成した。
<水蒸気透過率の評価>
各ガスバリアー性フィルムの水蒸気透過率を、モコン社製の水蒸気透過率測定装置アクアトランを用い、38℃、100%RHの条件で測定した。測定は、導電性パターンを形成していない試料、導電性パターン1を形成した試料、導電性パターン2を形成した試料それぞれで行った。結果を表1に示した。
12 導線
13 基材フィルム
14 プライマー層
15 バリアー層
16 導電層
17 低反射層
18 導電本体層
19 防錆層
31 フィルムセンサ
32 支持フィルム
35 表示装置
36 表示面
Claims (5)
- 基材上に、ガスバリアー層及びパターニングされた導電層を有するタッチパネルセンサーフィルムであって、
前記ガスバリアー層が、少なくとも厚さ方向において、非遷移金属M1及び遷移金属M2を含有する領域であって、前記非遷移金属M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有し、かつ、前記混合領域の組成に、さらに酸素が含有されており、前記混合領域の組成を、下記化学組成式(1)で表したとき、前記混合領域の少なくとも一部が下記関係式(2)を満たすことを特徴とするタッチパネルセンサーフィルム。
化学組成式(1): (M1)(M2) x O y N z
関係式(2): (2y+3z)/(a+bx)<1.0
(ただし、式中、M1:非遷移金属、M2:遷移金属、O:酸素、N:窒素、
x,y,z:化学量論係数、0.02≦x≦49、0<y、0≦z
a:M1の最大価数、b:M2の最大価数、を表す。) - 前記ガスバリアー層が、前記遷移金属M2を主成分として含有する領域と前記非遷移金属M1を主成分として含有する領域との間に、前記混合領域を有すること特徴とする請求項1に記載のタッチパネルセンサーフィルム。
- 前記非遷移金属M1が、ケイ素(Si)であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタッチパネルセンサーフィルム。
- 前記遷移金属M2が、長周期型周期表の第5族元素であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のタッチパネルセンサーフィルム。
- 前記遷移金属M2が、ニオブ(Nb)又はタンタル(Ta)であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のタッチパネルセンサーフィルム。
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