JP2019009965A - 回転電機ステータ - Google Patents

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哲也 百武
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哲也 百武
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Hiroyuki Hattori
宏之 服部
慎司 若松
Shinji Wakamatsu
慎司 若松
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Abstract

【課題】回転電機ステータにおいて、振動騒音性能を向上させることである。【解決手段】回転電機ステータ10は、複数の磁性体薄板28を積み重ねた積層体で構成され、円環状のバックヨーク、バックヨークから内周側に突き出す複数のティース、及び、隣接するティース間の空間である複数のスロット26を含むステータコア20と、スロット26に収納されてステータコアのティースに巻回され、ステータコア20の軸方向両端面から突き出した部分であるコイルエンド部34,36を有する複数のステータコイルと、複数のステータコイルがコイルエンド部34,36のみにおいて互いに接着固定されてステータコアとは接着されていないコイルエンド集塊部35,37と、を備える。【選択図】図3

Description

本開示は、回転電機ステータに係り、特に、複数の磁性体薄板を積み重ねた積層体で構成されるステータコアを備える回転電機ステータに関する。
特許文献1では、回転電機ステータにおいてステータコイルはティースの間のスロットに収納されてティースに巻回されるが、ステータコイルに固定されていないので、スロットにワニスを流し込みステータコイルを固定する、と述べている。
特許文献2の回転電機では、コイルの導体端末線とコイルエンド部との間の相間絶縁を行う構成として、導体端末線は先端以外の引出部を絶縁チューブで装着し、コイルエンド部には絶縁紙を折り曲げて形成したカップ状の絶縁部材を被せる構成が開示されている。コイルの導体端末線同士の接続は、カップ状の絶縁部材の外側において溶接等で行われ、接続部分には絶縁処理のためのワニス処理が行われる。
特開2016−059227号公報 特開2011−036093号公報
従来技術の回転電機ステータにおいては、スロットにワニスを流し込みステータコイルを固定することが行われる。これにより、ステータコイルとステータコアとの間、複数のステータコイル相互間等の固定が行われるが、スロット内にワニスを流し込むことで、積層体を構成する複数の磁性体薄板の間にもワニスが入り込み、1枚1枚の磁性体薄板が接着される。ところで、回転電機の動作時等において、ステータコアに振動が加わることがある。ステータコアの振動は、例えばモータケースを振動させ、回転電機の騒音性能が悪化する可能性がある。そこで、振動騒音性能を向上させる回転電機ステータが要望される。
本開示に係る回転電機ステータは、複数の磁性体薄板を積み重ねた積層体で構成され、円環状のバックヨーク、バックヨークから内周側に突き出す複数のティース、及び、隣接するティース間の空間である複数のスロットを含むステータコアと、スロットに収納されてステータコアのティースに巻回され、ステータコアの軸方向両端面から突き出した部分であるコイルエンド部を有する複数のステータコイルと、複数のステータコイルがコイルエンド部のみにおいて互いに接着固定されてステータコアとは接着されていないコイルエンド集塊部と、を備える。
上記構成によれば、複数のステータコイルはコイルエンド部のみにおいて互いに接着固定されるので、スロット内ではステータコイルが互いに接着固定する接着材が配置されていない。したがって、ステータコアを構成する複数の磁性体薄板は互いに固定されず、微小振動することが可能である。これにより、例えば、ステータコアとロータ間の電磁吸引力に起因する振動を減衰させることができるので、振動騒音性能が向上する。また、コイルエンド部のみが接着固定されていることで、コイルエンド部の剛性が向上し、ステータコアの振動にステータコイルの振動が追従しなくなり、スロット内でステータコイルとティースとの間に摩擦減衰が発生する。この作用によっても、振動騒音性能が向上する。
上記構成の回転電機ステータによれば、振動騒音性能が向上する。
実施の形態に係る回転電機ステータについて接着材の図示を省略した斜視図である。 実施の形態に係る回転電機ステータの軸方向に垂直な面で切断した断面図である。 図2のB−B線で切断した断面図である。 図2のC−C線で切断した断面図である。 従来技術の回転電機について、図2に対応する断面図である。 従来技術の回転電機について、図3に対応する断面図である。 従来技術の回転電機について、図4に対応する断面図である。 実施の形態に係る回転電機ステータの振動騒音性能を従来技術の回転電機ステータと比較した図である。 実施の形態に係る回転電機ステータにおけるステータコアを構成する磁性体薄板の微小振動状態について、従来技術の回転電機ステータと比較した図である。 他の実施の形態の回転電機ステータを示す図である。 実施の形態の回転電機ステータを用いた回転電機の構成例を示す図である。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、車両に搭載される回転電機に用いられる回転電機ステータを述べるが、これは、説明のための例示であって、車両搭載用以外の回転電機に用いられても構わない。以下では、ステータコイルの巻回方法として分布巻を述べるが、これは説明のための例示であって、集中巻等であってもよい。
また、ステータコイルとして、セグメントコイルを用いるものを述べるが、これは説明のための例示であって、連続した導体線を巻回して形成されるステータコイルであってもよい。セグメントコイルをステータコアに沿って折り曲げて巻回するときの損傷防止等のための折り曲げ治具として、ステータに据置型のステータカフサを用いるが、これに代えて取外し型のステータカフサであってもよい。セグメントコイルを用いない場合等には、ステータカフサを用いなくてもよい。
以下で述べる形状、寸法、ティース及びスロットの数、材質等は、説明のための例示であって、回転電機のステータの仕様に合わせ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、車両に搭載される回転電機に用いられる回転電機ステータ10を示す斜視図である。図1では、後述する接着材50,52の図示を省略した。図2以下は、接着材50,52を備える回転電機ステータ10に関する図である。以下では、特に断らない限り、回転電機ステータ10をステータ10と呼ぶ。後述する図11に示すように、車両に搭載される回転電機は、モータケース6にロータ8とステータ10を含んで構成され、車両が力行するときは電動機として機能し、車両が制動時にあるときは発電機として機能するモータ・ジェネレータで、三相同期型の回転電機である。図1では、回転電機のモータケース6、ロータ8等については図示を省略した。
図1に、軸方向と径方向と周方向とを示す。軸方向は、ステータ10の中心軸CLに沿った方向である。軸方向の2方向を区別するときは、三相動力線POが引き出される側がリード側の方向であり、その反対側が反リード側の方向である。図1の例では、紙面の上方側がリード側の方向、下方側が反リード側の方向である。径方向は、軸方向に垂直な面内で中心軸CLを通る放射状の方向であり、内径側へ向かう方向が内周側の方向で、外径側に向かう方向が外周側の方向である。周方向は、中心軸CLを中心として円周方向に沿った方向である。
ステータ10は、ロータ8の外周側に所定の間隔を隔てて配置される固定子である。ステータ10は、円環状の形状を有し、円環状の外周側に複数の取付穴12,14が設けられる。取付穴12,14は、ステータ10をモータケース6に取り付けるために用いられ、モータケース6はケース取付穴等によって車両に固定される。
図2から図4は、ステータ10の断面図である。図2は、ステータ10の軸方向に垂直な面で切断した断面図であり、図3と図4は、ステータ10の軸方向に平行な面で切断した断面図である。図3は、周方向に沿ったB−B線に平行な面で切断したときの断面図であり、図4は、径方向に沿ったC−C線に平行な面で切断したときの断面図である。
ステータ10は、ステータコア20と、ステータコイル30とを含む。ステータコア20は、ロータ8が配置される中心穴を有する磁性体部品であり、円環状のバックヨーク22とバックヨーク22から内周側に突き出す複数のティース24とを含む。隣接するティース24の間の空間はスロット26である。
かかるステータコア20は、バックヨーク22とティース24とスロット26とが形成される所定の形状に成形された円環状の磁性体薄板28を所定枚数で軸方向に積み重ねた積層体である。磁性体薄板28の材質としては、珪素鋼板の一種である電磁鋼板を用いることができる。
ステータコイル30は、三相の分布巻巻線で、1つの相巻線が複数のティース24に跨って巻回されて形成される。各相巻線の形成には、複数のセグメントコイル32を用いる。セグメントコイル32は、両端部を除く導体線の周囲に絶縁皮膜を被覆し、略U字形に成形された絶縁皮膜付き導体線である。絶縁皮膜付き導体線の素線としては、銅線、銅錫合金線、銀メッキ銅錫合金線等が用いられる。絶縁皮膜としては、ポリアミドイミドのエナメル皮膜が用いられる。
セグメントコイル32の略U字形のうち、山形に折り曲げて成形された部分から真直ぐに延びる2つのストレート部分は、ステータコア20において所定のスロット間隔だけ離れた2つのスロット26にそれぞれ挿入される部分である。セグメントコイル32を山形に折り曲げて成形された部分をステータコア20の反リード側として、2つのストレート部分をスロット26に挿入すると、ストレート部分の先端の絶縁皮膜が剥離されたリード部がステータコア20のリード側に突き出す。突き出たリード部は、ステータコア20のリード側の軸方向端面の外側で適当に折り曲げ成形され、他のセグメントコイル32のリード部に接合されて、ステータ10のリード側におけるコイルエンド部34を形成する。山形に折り曲げて成形された部分は、ステータ10の反リード側におけるコイルエンド部36を形成する。ここで、コイルエンド部34,36には、まだ接着材50,52が供給されていない。
ステータ10のリード側におけるコイルエンド部34では、複数のセグメントコイル32のリード部が、所定の接続方法で互いに接続され、各相巻線が形成される。リード側のコイルエンド部34において形成された各相巻線のそれぞれの両端子は、一方側の端子が互いに接続されて中性点を形成し、他方側の端子はそれぞれステータコア20の外側に引き出され、ステータ10の三相動力線POとなる。
上記では、ステータコイル30の形成に略U字形のセグメントコイル32を用いることを述べたが、これは説明のための例示である。略U字形以外の異形セグメントコイルを用いてもよく、場合によっては、セグメントコイル32を用いずに連続巻線でステータコイル30を形成してもよい。
ステータコア20の軸方向の両端面上に配置されるステータカフサ40,42は、スロット26に挿入されるセグメントコイル32をコイルエンド部34,36側で折り曲げ成形するときに、ステータコア20の端面と直接的に接触しないようにする保護部材である。これにより、セグメントコイル32の損傷を抑制できる。
ステータカフサ40は、ステータコア20のリード側の軸方向端面と、ステータコイル30との間に配置されてセグメントコイル32のリード側の曲り形状を案内する電気的絶縁材である。ステータカフサ42は、ステータコア20の反リード側の軸方向端面と、ステータコイル30との間に配置されてセグメントコイル32の反リード側の曲り形状を案内する電気的絶縁材である。ステータカフサ40,42は、それぞれ、ステータコア20の各ティース24に対応するティースカフサ部と、各ティースカフサ部の内周側を互いに接続する内周側環状部と、外周側を互いに接続する外周側環状部とを有する。これらに囲まれた開口部は、ステータコア20の各スロット26に対応し、ステータコイル30を構成する各セグメントコイル32が挿入される空間である。図1には、ステータカフサ40の内周側環状部46と外周側環状部47、ステータカフサ42の外周側環状部48が図示されている。
図2、図3において、スロット26の内部に配置されるインシュレータ44は、ステータコイル30を構成するセグメントコイル32と、ステータコア20の内壁面との間の電気的絶縁を確保するための絶縁シートである。
接着材50,52は、複数のステータコイル30を互いに固定するワニスである。接着材50,52は、ステータコア20のスロット26内には配置されず、ステータ10のコイルエンド部34,36の領域に配置される。ステータコア20のスロット26内に接着材50,52を配置しないことで、ステータコア20を構成する複数の磁性体薄板28の間の隙間に接着材50,52が入り込まないようにできる。図3、図4の場合には、接着材50,52は、ステータカフサ40,42よりも外側のコイルエンド部34,36のみに配置される。接着材50は、コイルエンド部34に配置され、接着材52は、コイルエンド部36に配置されるが、各スロット26には配置されないので、接着材50と接着材52とは独立で、スロット26を介して連続することはない。また、接着材50は、ステータコア20に接着していない。接着材52も、ステータコア20に接着していない。
かかる接着材50、52の配置方法としては、ステータ10のコイルエンド部34,36の外表面に液体であるワニスを塗布し、コイルエンド部34,36を構成する複数のステータコイル30の間の隙間にワニスを含浸させる。ワニスの粘度と塗布量とを適切に管理することで、ワニスの含浸が、ステータカフサ40とコイルエンド部34の境界、及び、ステータカフサ42とコイルエンド部36の境界でそれぞれ止まり、スロット26内に入り込まないようにできる。このようにして、コイルエンド部34,36と接着材50,52とによって一体化されたコイルエンド集塊部35,37がステータコア20の軸方向両端部に形成される。ステータコイル30が互いに接着固定されるのは、このコイルエンド集塊部35,37のみであって、スロット26内ではステータコイル30は互いに接着固定されない。すなわち、複数のステータコイル30がコイルエンド部34,36のみにおいて互いに接着固定されてコイルエンド集塊部35,37を形成することは、スロット26に接着材50,52が入り込んでいないことを示す。
なお、上記では接着材50をワニスとしたが、これは説明のための例示であって、適当な高粘度を有し、その粘度と塗布量とを適切に管理可能な電気絶縁性の液状樹脂または塗料を用いてもよい。これらに代えて、高粘性の接着シート等を接着材50,52として用いてもよい。
上記構成のステータ10の作用効果について、図5〜図9を用いて説明する。図5〜図7は、上記構成のステータ10と比較するための従来技術におけるステータの構成を示す図で、図8は、上記構成のステータ10と、従来技術のステータとについて、それぞれ回転電機としたときの振動騒音特性を測定した結果である。図9は、上記構成のステータ10と、従来技術のステータとについて、それぞれのステータコア20を構成する磁性体薄板28の微小振動状態を比較した図である。
図5〜図7は、従来技術におけるステータの構成を示す図で、それぞれ、ステータ10の図2〜図4に対応する。図2〜図4のステータ10と、従来技術のステータとは、接着材としてのワニスの配置箇所を除き、その他はすべて同一の構成である。従来技術では、ステータコイル30を固定するために、例えば、コイルエンド部34側からスロット26に向けてワニスを滴下する。滴下したワニスは、コイルエンド部34における接着材54、スロット26内の接着材55、スロット26内からステータコア20の複数の磁性体薄板28の積層の隙間の接着材56、及び、コイルエンド部36における接着材58となる。スロット26内における接着材55は、図5に示すように、ステータコイル30を構成する各セグメントコイル32の間、各セグメントコイル32とインシュレータ44との間、インシュレータ44とステータコア20との間に含浸し、これらを互いに固定する。スロット26内壁面には、積層された複数の磁性体薄板28の内壁面が露出しているので、図6、図7に示すように、隣接する磁性体薄板28の間の隙間に接着材56が含浸する。
図8は、図1〜図4で述べたステータ10と、図5〜図7で述べた構成を有する従来技術のステータについて、それぞれ同じ条件の下で回転電機に組み立てて、それぞれの回転電機を動作させて振動騒音の音圧レベルを比較した図である。横軸は回転電機の毎分あたりの回転数(RPM)であり、縦軸は音圧レベルである。実線は、スロット26に接着材50,52を入り込ませないステータ10を有する回転電機の振動騒音特性60で、破線は、スロット26に接着材55が入り込んでいる従来技術のステータを有する回転電機の振動騒音特性62である。斜線は、ステータ10を有する回転電機が従来技術のステータを有する回転電機に比べて音圧レベルが低減されている部分である。図8に示すように、ステータ10を有する回転電機は、従来技術のステータを有する回転電機に比べ、0〜5000rpmの範囲で8dB程度の音圧レベルの低減効果がある。
図5〜図7の従来技術に対し、スロット26に接着材を入り込ませないことが回転電機の振動騒音特性を改善する理由は以下のように考えられる。すなわち、回転電機が動作すると、ステータコア20とロータ間の電磁吸引力に起因する振動が生じ、ステータコア20を半径方向に振動させ円環状の振動モードを励起させる。図5〜図7の従来技術では、ステータコア20を構成する磁性体薄板28は互いに接着されているので、独立した面内振動ができない。また、コイルエンド部34,36のみが接着固定され、ステータコア20に接着固定されていないため、ステータコア20の面内振動に対してセグメントコイル32が追従できず、摩擦減衰を増大させる。これに対し、従来技術では、ステータコア20の面内振動にセグメントコイル32が追従するので、摩擦減衰が発生しない。
図9は、ステータコア20を構成する磁性体薄板28の微小振動状態について、図4を用いて、図5〜図7で述べた従来技術のステータと比較した図である。図9(a)は、回転電機を動作させたときの従来技術のステータの状態を示す図である。従来技術ではステータコア20を構成する磁性体薄板28は接着材56によって互いに接着されているので、回転電機が動作して振動が生じてもステータコア20の全体が振動するだけで、個々の磁性体薄板は微小振動しない。これに対し、スロット26に接着材を入り込ませないステータ10を有する回転電機を動作させると、図9(b)に示すように、互いに接着されていない個々の磁性体薄板は、積層方向である上下方向に沿って微小振動64が生じる。
ステータ10を有する回転電機では、この微小振動64によって隣接する磁性体薄板28の間における摩擦減衰が生じ、これによって、ステータコア20の振動騒音が抑制される。従来技術では、磁性体薄板28が互いに接着されているので、この摩擦減衰の発生が妨げられ、したがって、ステータコア20の振動騒音が抑制されない。
さらに、従来技術のステータにおいては、図5に示すように、スロット26内のセグメントコイル32とステータコア20もインシュレータ44を介してワニスで固定されている。そのため、スロット26内のセグメントコイル32とステータコア20間の摩擦減衰効果も小さく、騒音性能が悪い。これに対し、ステータ10では、図2に示すように、スロット26内のセグメントコイル32はステータコア20に接着されていない。加えて、コイルエンド部34,36のそれぞれは固定されているため、コイルエンド集塊部35,37としての剛性が向上し、ステータコア20の半径方向の振動に対して、セグメントコイル32が追従できなくなる。したがって、スロット26内におけるインシュレータ44を介したセグメントコイル32とステータコア20との間の摩擦も確保でき、セグメントコイル32とステータコア20との間の摩擦減衰を向上させ、振動騒音性の向上に寄与する。
このように、図1〜図4で述べたステータ10の構成によれば、スロット26内に接着材50,52が配置されないので、ステータコア20を構成する複数の磁性体薄板28は互いに固定されず、微小振動64が可能である。これにより、例えば、ステータコア20とロータ間の電磁吸引力に起因する振動に対する減衰性能が向上し、振動騒音性能が向上する。また、コイルエンド部34,36の剛性向上と、スロット26内においてセグメントコイル32が固定されないことによる摩擦減衰によっても、振動騒音性能が向上する。
上記では、接着材50,52をスロット26内に入り込まないようにして、コイルエンド部34,36のみにおいてステータコイル30を接着材50,52で固定するものとした。接着材50,52の配置の仕方にばらつきがあって、僅かな接着材50,52がスロット26内に入り込んでも、ステータコア20を構成する個々の磁性体薄板28について、微小振動64が可能な程度であれば構わない。また、スロット26内における磁性体薄板28とセグメントコイル32との間の接着が生じても、その接着材の量、接着強度、接着面積等が、コイルエンド集塊部35,37の接着材の量、接着強度、接着面積等に比べ、十分小さい程度であれば構わない。
上記では、接着材50,52をスロット26内に入り込まないようにして、コイルエンド部34,36のみにおいてステータコイル30を接着材50,52で固定した。これに代えて、図10に示すステータ11のように、ステータコア20のスロット26には樹脂が入り込まないようにして、コイルエンド部34,36のみに樹脂モールド部70,72を形成してもよい。図10において、(a)は、ステータ11の全体についての斜視図であり、(b)は、(a)のA方向から見た側面図である。ステータ11において、樹脂モールド部70,72は、コイルエンド集塊部35,37と同様に、ステータコア20のスロット26には樹脂が入り込まず、かつ、ステータコア20と接着しないので、ステータコア20を構成する個々の磁性体薄板28は微小振動が可能であり、ステータコア20とセグメントコイル32との間に摩擦が発生し、図8で述べたと同様の効果が期待できる。
次に、振動騒音特性を改善できる回転電機80の構成例を図11に示す。回転電機80は、固定子であるステータ10に対応して回転子であるロータ8を備える。ロータ8は、複数の磁極を有するロータ体82と回転軸84とを有する。ロータ体82は、図示しないが複数の永久磁石を磁性体のロータコアに埋め込んだ埋込磁石型のロータ体82である。これは例示であって、外周側に永久磁石を備えるタイプのロータ体82であってもよく、リラクタンス型のロータ体82であってもよい。回転軸84は、回転電機80の出力軸である。
回転電機80は、ステータ10とロータ8とを収容するモータケース6を備える。モータケース6は、開口を有するケース体86と、ケース体86の開口を塞ぐカバー部88とを有する。ステータ10は、図1で述べた取付穴12,14等を用いて、ステータ締結ボルト90によってモータケース6のケース体86に取付固定される。カバー部88は、固定ボルト92によってケース体86と固定されて一体化したモータケース6を形成する。ロータ8の回転軸84は、ケース体86に設けられる軸受94とカバー部88に設けられる軸受96とによって両端が回転自在に支持される。
このようにして、ステータ10は、モータケース6にロータ8と共に収納されて回転電機80を構成する。ステータコア20のスロット26内に接着材50,52が入り込まないように構成されたステータ10を用いることで、回転電機80は、図8に示す優れた振動騒音特性60を有する。さらに振動騒音特性の優れた回転電機80とするために、図11に示すように、カバー部88は、ステータコア20をケース体86側に押し付ける押圧部100を備える。ステータコア20をケース体86側に押し付ける位置としては、ステータコア20の外周側端面となるが、図1に示すように、取付穴12,14近傍を除き、適当な押圧面積を確保できない。そこで、押圧部100は、複数のステータ締結ボルト90の周囲をそれぞれ取り囲む円環状の形状の突起部として、カバー部88に複数箇所設けられる。押圧部100とステータコア20の端面との間には、弾性変形可能な円環状の押付部102が設けられる。押付部102としては、弾性を有する樹脂部材、リング状の金属ばね部材、軸方向側面にスリットを有して軸方向の押圧に対し弾性変形可能な金属ばね部材等を用いることができる。
ステータコア20の複数のステータ締結ボルト90を取り囲むように複数の円環状の押付部102が設けられ、押付部102に対応してカバー部88の複数の押圧部100が宛がわれる。その状態で、固定ボルト92を用いてカバー部88をケース体86に締付固定する。これによって、ステータ締結ボルト90の近傍の押付荷重を増加させることができ、回転電機80が動作してステータ10に生じた振動に対して増加した押付荷重によるマスダンパ効果が生じ、モータケース6に伝達されるステータ10の振動を抑制できる。これによって、回転電機80は、図8に述べた優れた振動騒音特性60よりもさらに改善された振動騒音特性を有する。
6 モータケース、8 ロータ、10,11 (回転電機)ステータ、12,14 取付穴、20 ステータコア、22 バックヨーク、24 ティース、26 スロット、28 磁性体薄板、30 ステータコイル、32 セグメントコイル、34,36 コイルエンド部、35,37 コイルエンド集塊部、40,42 ステータカフサ、44 インシュレータ、46 (ステータカフサの)内周側環状部、47,48 (ステータカフサの)外周側環状部、50,52,54,55,56,58 接着材、60,62 振動騒音特性、64 微小振動、70,72 樹脂モールド部、80 回転電機、82 ロータ体、84 回転軸、86 ケース体、88 カバー部、90 ステータ締結ボルト、92 固定ボルト、94,96 軸受、100 押圧部、102 押付部。

Claims (1)

  1. 複数の磁性体薄板を積み重ねた積層体で構成され、円環状のバックヨーク、前記バックヨークから内周側に突き出す複数のティース、及び、隣接する前記ティース間の空間である複数のスロットを含むステータコアと、
    前記スロットに収納されて前記ステータコアの前記ティースに巻回され、前記ステータコアの軸方向両端面から突き出した部分であるコイルエンド部を有する複数のステータコイルと、
    前記複数のステータコイルが前記コイルエンド部のみにおいて互いに接着固定されてステータコアとは接着されていないコイルエンド集塊部と、
    を備える、回転電機ステータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024109323A1 (zh) * 2022-11-25 2024-05-30 深蓝汽车科技有限公司 定子组件及其电机

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