下記の実施形態等において説明する図1A〜5Bは、模式的な図であり、図1A〜5B中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(実施形態)
以下では、本実施形態の発光装置100について、図1A〜1C、2A及び2Bに基づいて説明する。
発光装置100は、複数(ここでは、6個)の第1半導体発光素子101と、第2半導体発光素子102と、実装基板103と、を備える。発光装置100は、複数の第1半導体発光素子101を含む回路110と第2半導体発光素子102とを独立して制御可能に構成されている。
第1半導体発光素子101は、UV−Cの波長域の紫外線を放射する紫外線発光素子である。「UV−Cの波長域」とは、例えば国際照明委員会(CIE)における紫外線の波長による分類によれば、100nm〜280nmである。
第1半導体発光素子101は、基板1と、積層体2と、を備える。基板1は、その厚さ方向D1において互いに反対側にある第1面11及び第2面12を有する。積層体2は、基板1の第1面11上に設けられている。
積層体2では、基板1側からn型半導体層4、活性層5及びp型半導体層6が、この順に並んでいる。したがって、積層体2は、活性層5とp型半導体層6との積層構造7を有する。ここにおいて、積層構造7は、基板1の厚さ方向D1から見て、n型半導体層4の外周線よりも内側に位置している。基板1の厚さ方向D1から見て、n型半導体層4の大きさは、基板1の大きさと同じである。言い換えれば、第1半導体発光素子101では、基板1の厚さ方向D1から見て、n型半導体層4の外周線と基板1の外周線とが重なる。
第1半導体発光素子101は、p型半導体層6の表面61とn型半導体層4の表面41のうち積層構造7が積層されていない部位411との間に段差がある。第1半導体発光素子101は、メサ構造(mesa structure)を有している。メサ構造は、n型半導体層4、活性層5及びp型半導体層6を含む積層体2の一部を、積層体2の表面21側からn型半導体層4に達する深さまでエッチングすることで形成されている。
また、第1半導体発光素子101は、p型半導体層6に電気的に接続された正電極8と、n型半導体層4に電気的に接続された負電極9と、を更に備える。
第1半導体発光素子101では、基板1の第2面12が、紫外線を出射させる光取り出し面を構成している。
第1半導体発光素子101では、積層体2が、基板1とn型半導体層4との間に介在するバッファ層(buffer layer)3を更に備えている。また、第1半導体発光素子101は、積層体2の一部を覆う保護膜を更に備える。
第1半導体発光素子101は、LEDチップ(light emitting diode chip)である。第1半導体発光素子101の平面視形状は、例えば、正方形状である。「第1半導体発光素子101の平面視形状」とは、第1半導体発光素子101の厚さ方向から見た第1半導体発光素子101の外周形状である。第1半導体発光素子101の平面視でのチップサイズ(chip size)は、例えば、400μm□(400μm×400μm)である。
第1半導体発光素子101の各構成要素については、以下に、より詳細に説明する。
基板1は、積層体2を支持している。第1半導体発光素子101では、活性層5の材料としてAlGaNが採用されており、基板1は、例えば、サファイア基板である。基板1の第1面11は、(0001)面(つまり、c面)からのオフ角が、例えば、0.31°である。ここにおいて、「オフ角」とは、(0001)面に対する第1面11の傾斜角である。したがって、オフ角が0°であれば、第1面11は、(0001)面である。基板1の厚さは、例えば、150μmである。基板1の外周形状は、正方形状である。
基板1の第1面11上に設けられている積層体2では、基板1側からバッファ層3、n型半導体層4、活性層5及びp型半導体層6が、この順に並んでいる。積層体2は、例えば、MOVPE法(metal organic vapor phase epitaxy)等を利用して形成されている。
本明細書において、後述する組成比は、EDX法(energy dispersive X-ray spectroscopy)による組成分析で求められる値である。組成比の相対的な大小関係を議論する上では、組成比は、EDX法に限らず、例えば、オージェ電子分光法(auger electron spectroscopy)による組成分析で求められる値でもよい。
活性層5は、UV−Cの波長域の紫外線を放射できるように構成されている。n型半導体層4とp型半導体層6との間にある活性層5は、注入された2種類のキャリア(電子、正孔)の再結合により紫外線を放射する。第1半導体発光素子101の発光ピーク波長は、例えば、275nmである。ここでいう「発光ピーク波長」は、室温(27℃)での主発光ピーク波長である。また、「第1半導体発光素子101の発光ピーク波長」は、活性層5から放射されて第1半導体発光素子101から出射される紫外線の発光ピーク波長である。
活性層5では、基板1の厚さ方向D1において、複数(例えば、4つ)の障壁層と複数(例えば、4つ)の井戸層とが交互に並んでいる。これにより、活性層5は、多重量子井戸構造を有している。複数の井戸層の各々は、第1のAlGaN層により構成されている。複数の障壁層の各々は、第1のAlGaN層よりもAlの組成比が大きな第2のAlGaN層により構成されている。井戸層(第1のAlGaN層)は、例えば、厚さ2nmのAl0.45Ga0.55N層である。障壁層(第2のAlGaN層)は、例えば、厚さ10nmのAl0.60Ga0.40N層である。複数の井戸層の各々の厚さは、例えば、2nmである。複数の障壁層の各々の厚さは、例えば、10nmである。
バッファ層3は、例えば、AlN層である。バッファ層3は、n型半導体層4、活性層5及びp型半導体層6の結晶性の向上を目的として設けた層である。第1半導体発光素子101では、バッファ層3のバンドギャップエネルギが、活性層5における複数の井戸層の各々のバンドギャップエネルギよりも大きい。バッファ層3は、基板1の第1面11の全面に形成されている。
n型半導体層4は、例えば、n型AlGaN層である。n型AlGaN層のAlの組成比は、活性層5で発光する紫外線のn型AlGaN層での吸収が抑制されるように設定されている。より詳細には、n型半導体層4は、例えば、n型Al0.60Ga0.40N層である。n型半導体層4の厚さは、例えば、2μmである。n型半導体層4は、バッファ層3の基板1とは反対側の表面の全面に形成されている。したがって、n型半導体層4の外周形状は、基板1の外周形状と同じである。
p型半導体層6は、例えば、p型AlGaN層と、p型GaN層と、を含む。p型半導体層6では、p型AlGaN層が活性層5に接している。また、p型半導体層6では、p型GaN層がp型AlGaN層の活性層5とは反対側に位置している。p型AlGaN層のAlの組成比は、n型半導体層4から活性層5に注入された電子がp型半導体層6側へ漏れるのを防ぐように設定されている。より詳細には、p型AlGaN層は、例えば、p型Al0.80Ga0.20N層である。p型AlGaN層の厚さは、例えば、50nmである。また、p型GaN層の厚さは、例えば200nmである。
第1半導体発光素子101は、上述のように、正電極8及び負電極9を備えている。第1半導体発光素子101では、この第1半導体発光素子101の厚さ方向の一面側に正電極8及び負電極9が配置されている。ここで、「第1半導体発光素子101の厚さ方向の一面」とは、n型半導体層4の活性層5側の表面41において活性層5に覆われていない部位411及びp型半導体層6の表面61を含む。
正電極8は、活性層5とp型半導体層6との積層構造7においてp型半導体層6上に形成されている。これにより、正電極8は、p型半導体層6と電気的に接続されている。負電極9は、n型半導体層4の活性層5側の表面41のうち積層構造7が積層されていない部位411に設けられている。これにより、負電極9は、n型半導体層4と電気的に接続されている。
第1半導体発光素子101では、正電極8の面積が負電極9の面積よりも大きい。正電極8及び負電極9の各々の面積は、基板1の厚さ方向D1から見た面積である。
積層構造7の平面視形状は、基板1の外周線に沿った正方形のうちの1辺の中間部を内側に凹ませた形状である。ここにおいて、第1半導体発光素子101では、基板1の厚さ方向D1から見て、積層構造7の外周線が、n型半導体層4の外周線に沿っていて、かつ、負電極9を避けるように曲がっている。
第1半導体発光素子101は、保護膜を備えているのが好ましい。保護膜は、電気絶縁性を有する。保護膜の材料は、例えば、酸化シリコン等である。保護膜は、積層構造7の表面のうち正電極8に覆われていない部位及び側面と、n型半導体層4の表面41において活性層5に覆われていない部位411のうち負電極9に覆われていない領域と、に跨って形成されているのが好ましい。
第1半導体発光素子101では、正電極8と負電極9との間に電流を流すことにより、活性層5から紫外線が放射される。第1半導体発光素子101では、活性層5から放射されて基板1の第1面11に入射した紫外線が、基板1の第2面12から出射される。
以下では、第1半導体発光素子101の製造方法の一例について簡単に説明する。
第1半導体発光素子101の製造方法では、まず、複数の第1半導体発光素子101それぞれの基板1の元になるウェハ(サファイアウェハ)を準備する。
第1半導体発光素子101の製造方法では、ウェハを準備した後、ウェハの前処理を行ってから、ウェハをエピタキシャル成長装置に導入し、その後、ウェハの第1面上に積層体2をエピタキシャル成長法により積層する。ウェハの第1面は、基板1の第1面11に相当する表面である。エピタキシャル成長装置としてMOVPE装置を採用する場合、Alの原料ガスとしては、トリメチルアルミニウム(TMAl)を採用するのが好ましい。また、Gaの原料ガスとしては、トリメチルガリウム(TMGa)を採用するのが好ましい。Nの原料ガスとしては、NH3を採用するのが好ましい。n型導電性を付与する不純物であるSiの原料ガスとしては、テトラエチルシラン(TESi)を採用するのが好ましい。p型導電性に寄与する不純物であるMgの原料ガスとしては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を採用するのが好ましい。各原料ガスそれぞれのキャリアガスとしては、例えば、H2ガスを採用するのが好ましい。各原料ガスは、特に限定されず、例えば、Gaの原料ガスとしてトリエチルガリウム(TEGa)、Nの原料ガスとしてヒドラジン誘導体、Siの原料ガスとしてモノシラン(SiH4)を採用してもよい。積層体2の成長条件は、バッファ層3、n型半導体層4、活性層5及びp型半導体層6それぞれについて、基板温度、V/III比、各原料ガスの供給量、成長圧力等を適宜設定すればよい。「基板温度」とは、ウェハの温度を意味する。エピタキシャル成長装置としてMOVPE装置を採用する場合、「基板温度」は、例えば、ウェハを支持するサセプタ(susceptor)の温度を代用することができる。例えば、基板温度は、熱電対により測定したサセプタの温度を代用することができる。
第1半導体発光素子101の製造方法では、ウェハの第1面上に積層体2を積層した後、積層体2が積層されているウェハをエピタキシャル成長装置から取り出す。以下では、少なくともウェハと積層体2とを備えた構造体を、エピタキシャルウェハと称する。
第1半導体発光素子101の製造方法では、エピタキシャル成長装置から取り出したエピタキシャルウェハをアニール装置に導入し、p型半導体層のp型不純物を活性化するためのアニールを行う。アニールを行うためのアニール装置としては、例えば、ランプアニール装置、電気炉アニール装置等を採用することができる。p型不純物は、アクセプタ不純物を意味し、Mgである。
第1半導体発光素子101の製造方法では、アニール装置からエピタキシャルウェハを取り出した後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術等を利用して積層体2における活性層5とp型半導体層6との積層構造7をパターニングすることによって、メサ構造を形成する。
第1半導体発光素子101の製造方法では、メサ構造を形成した後、上述の保護膜を形成する。保護膜は、CVD法(chemical vapor deposition)等の薄膜形成技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して形成することができる。
第1半導体発光素子101の製造方法では、保護膜を形成した後、負電極9を形成し、その後、正電極8を形成する。
第1半導体発光素子101の製造方法では、第1半導体発光素子101が複数形成されたエピタキシャルウェハを得ることができる。
第1半導体発光素子101の製造方法では、エピタキシャルウェハをダイシングソー(dicingsaw)などによって切断することで、1枚のエピタキシャルウェハから複数の第1半導体発光素子101を得ることができる。第1半導体発光素子101の製造方法では、エピタキシャルウェハを切断する前に、ウェハの厚さを基板1の所望の厚さとするようにウェハを第1面とは反対の第2面側から研磨することが好ましい。これにより、第1半導体発光素子101の製造方法は、製造歩留りの向上を図ることが可能となる。
ところで、発光装置100では、第2半導体発光素子102は、図2A及び2Bに示した第1半導体発光素子101と同じ構成であるので、各構成要素については同一の符号を用いて説明する。「同じ構成」とは、チップサイズ、基板1と正電極8と負電極9とを含めた全体の構造、各層(バッファ層3、n型半導体層4、活性層5及びp型半導体層6)それぞれの材料、各層それぞれの組成が同じであることを意味し、仕様上において発光ピーク波長、順方向電圧(Vf)及び配光特性それぞれが同じである。
発光装置100では、複数の第1半導体発光素子101の各々の活性層5から出射した紫外線が、第2半導体発光素子102の活性層5の端面に入射し、第2半導体発光素子102の活性層5において受光される(吸収される)。したがって、発光装置100では、例えば、複数の第1半導体発光素子101から紫外線を発光させ、その紫外線の一部を第2半導体発光素子102で受光させることによって、第2半導体発光素子102の正電極8と負電極9との間に発生する電流(光電流)により、複数の第1半導体発光素子101の光出力のモニタリングが可能である。要するに、発光装置100は、複数の第1半導体発光素子101を発光部とし第2半導体発光素子102を受光部として動作させることが可能である。
発光装置100では、複数(ここでは、6個)の第1半導体発光素子101と1つの第2半導体発光素子102とが、1つの実装基板103に実装されている。より詳細には、複数の第1半導体発光素子101と1つの第2半導体発光素子102とは、実装基板103にフリップチップ実装されている。
実装基板103は、支持体112と、複数(ここでは、7個)の第1導体層104と、複数(ここでは、2個)の第2導体層114と、複数(ここでは、2個)の第1端子131と、複数(ここでは、2個)の第2端子132と、複数(ここでは、2個)の第1配線と、複数(ここでは、2個)の第2配線と、を有する。支持体112は、厚さ方向において互いに反対側にある表面113及び裏面123を有する。複数の第1導体層104及び複数の第2導体層114は、支持体112の表面113上に形成されている。複数の第1端子131及び複数の第2端子132は、支持体112の裏面123に形成されている。
支持体112は、例えば、AlNセラミックにより形成されており、電気絶縁性を有する。支持体112は、複数の第1導体層104、複数の第2導体層114、複数の第1端子131及び複数の第2端子132を支持する機能を有する。支持体112は、平板状に形成されている。支持体112の平面視形状は、例えば、正方形状である。「支持体112の平面視形状」とは、支持体112の厚さ方向から見た支持体112の外周形状である。支持体112の厚さ方向は、第1半導体発光素子101の基板1の厚さ方向D1と同じ方向である。支持体112の表面113及び裏面123は、支持体112の厚さ方向に直交する。支持体112の平面視でのサイズは、例えば、3.5mm□(3.5mm×3.5mm)である。
複数の第1導体層104及び複数の第2導体層114は、同じ材料により形成されている。複数の第1導体層104及び複数の第2導体層114の各々は、例えば、Ti膜と、このTi膜上のPt膜と、このPt膜上のAu膜との積層膜であり、Ti膜のPt膜と反対の表面が支持体112の表面113に接している。また、複数の第1導体層104及び複数の第2導体層114は、支持体112の表面113上に同じ厚さで形成されている。
複数の第1端子131及び複数の第2端子132は、同じ材料により形成されている。複数の第1端子131及び複数の第2端子132の各々は、例えば、Ti膜と、このTi膜上のPt膜と、このPt膜上のAu膜との積層膜であり、Ti膜のPt膜と反対の表面が支持体112の裏面123に接している。また、複数の第1端子131及び複数の第2端子132は、支持体112の裏面123上に同じ厚さで形成されている。
7個の第1導体層104は、6個の第1半導体発光素子101とともに回路110を形成する。回路110は、複数の第1半導体発光素子101の直列回路である。複数の第1半導体発光素子101の各々の正電極8及び負電極9は、7個の第1導体層104のうち一対一に対応する2個の第1導体層104と接合部105を介して電気的かつ機械的に接続されている。接合部105の材料は、例えば、AuSn等である。第2半導体発光素子102の正電極8及び負電極9は、2個の第2導体層114のうち一対一に対応する2個の第2導体層114と接合部115を介して電気的かつ機械的に接続されている。接合部115の材料は、例えば、AuSn等である。
実装基板103では、回路110の一端の第1半導体発光素子101の正電極8に接続された第1導体層104と回路110の他端の第1半導体発光素子101の負電極9に接続された第1導体層104とのそれぞれが、互いに異なる第1配線を介して互いに異なる第1端子131と電気的に接続されている。発光装置100では、例えば、外部の電源部等から2個の第1端子131と回路110とを含む電路に電流が給電されることにより、6個の第1半導体発光素子101が発光する。
また、実装基板103では、第2半導体発光素子102の正電極8に接続された第2導体層114と負電極9に接続された第2導体層114とのそれぞれが、互いに異なる第2配線を介して互いに異なる第2端子132と電気的に接続されている。発光装置100では、例えば、外部の電源部等から2個の第2端子132と第2半導体発光素子102とを含む電路に電流が給電されることにより、第2半導体発光素子102が発光する。また、発光装置100では、第2半導体発光素子102を、複数の第1半導体発光素子101の各々から放射される紫外線の一部を受光するフォトダイオードとして動作させることもできる。発光装置100では、第2半導体発光素子102は、実装基板103の2個の第2端子132間に印加された電圧が第2半導体発光素子102の正電極8よりも負電極9を高電位とする逆方向電圧である場合に、フォトダイオードとして動作することができる。
発光装置100では、複数(6個)の第1半導体発光素子101が第2半導体発光素子102を中心として第2半導体発光素子102を囲むように配置されている。より詳細には、発光装置100では、6個の第1半導体発光素子101が、第2半導体発光素子102を囲む1つの仮想円における円周上において等間隔で配置されている。ここにおいて、仮想円は、第2半導体発光素子102の厚さ方向に直交する。第2半導体発光素子102と複数の第1半導体発光素子101との間の距離は、例えば、300〜600μm程度である。第1半導体発光素子101から放射される紫外線の一部を第2半導体発光素子102において受光させる観点から、第2半導体発光素子102と複数の第1半導体発光素子101との間の距離は、例えば、600μm以下であるのが好ましい。また、第1半導体発光素子101から放射される紫外線が第2半導体発光素子102において吸収されすぎるのを抑制する観点から、第2半導体発光素子102と複数の第1半導体発光素子101との間の距離は、例えば、300μm以上であるのが好ましい。
以上説明した本実施形態の発光装置100は、複数の第1半導体発光素子101を含む回路110に接続された複数の第1端子131と第2半導体発光素子102に接続された複数の第2端子132とを備えている。要するに、発光装置100は、複数の第1半導体発光素子101を含む回路110と第2半導体発光素子102と独立して制御可能に構成されている。これにより、発光装置100は、第2半導体発光素子102を、複数の第1半導体発光素子101の各々から放射される光(紫外線)を受光するフォトダイオードとして動作させることが可能である。第1半導体発光素子101の活性層5から基板1側へ放射された紫外線を基板1の第2面12で反射させる必要がないので、光出力の低下を抑制しつつ光出力のモニタリングが可能となる。また、発光装置100では、複数(6個)の第1半導体発光素子101が第2半導体発光素子102を中心として第2半導体発光素子102を囲むように配置されているので、第2半導体発光素子102を備えていない場合と比べて配光特性が低下するのを抑制することができる。これにより、発光装置100は、上記の紫外線発光装置と比べて、レンズ、反射部材等による配光制御の点で有利である。
上記の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
図3は、実施形態の変形例1の発光装置100aの断面図である。変形例1の発光装置100aは、実装基板103が実装される回路基板108を備えている。
変形例1の発光装置100aは、電源部203と、制御部109と、を更に備えている。電源部203及び制御部109は、回路基板108に実装されている。回路基板108は、例えば、プリント配線板である。
電源部203は、外部から供給される電圧を所定電圧に変換して回路110へ電流を供給する電源回路である。
制御部109は、電源部203を制御する。制御部109は、マイコン(Microcontroller)を含む。マイコンは、プログラムに従って動作するプロセッサと、プロセッサを動作させるプログラムを格納するためのメモリ及び作業用のメモリと、を備えた1チップのデバイスとして構成される。制御部109は、マイコンにプログラムを実行させることにより、実現することができる。
制御部109は、例えば、A/D変換部を有する。A/D変換部は、フォトダイオード(第2半導体発光素子102)の出力電流を電圧信号に変換して出力する。制御部109は、A/D変換部から出力される電圧信号に応じて、電源部203から複数の第1半導体発光素子101を含む回路110へ供給される電流の電流値を変えるように電源部203を制御する。例えば、制御部109は、フォトダイオードの出力電流の電流値が規定値となるように電源部203を制御する。
制御部109は、上述の例に限らず、例えば、A/D変換部から出力される電圧信号に基づいて複数の第1半導体発光素子101の光出力を推定するように構成されていてもよい。
次に、実施形態の変形例2の発光装置100bについて、図4A〜5Bに基づいて説明する。
変形例2の発光装置100bは、実装基板103の代わりに実装基板103bを備え、キャップ106を備えている点、第2半導体発光素子102の代わりに第2半導体発光素子102bを備えている点等が、実施形態の発光装置100と相違する。変形例2の発光装置100bに関し、実施形態の発光装置100と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を適宜省略する。
実装基板103bは、複数の第1半導体発光素子101と第2半導体発光素子102bとを収納する凹部133を有する。実装基板103bでは、凹部133の底面134に複数の第1半導体発光素子101と第2半導体発光素子102bとが実装されている。ここにおいて、発光装置100bでは、第2半導体発光素子102bが、凹部133の底面134の中心に配置されている。
実装基板103bは、支持体112と、複数(ここでは、7個)の第1導体層104と、複数(ここでは、2個)の第2導体層114と、複数(ここでは、2個)の第1端子131と、複数(ここでは、4個)の第2端子132と、複数(ここでは、2個)の第1配線と、複数(ここでは、4個)の第2配線と、を有する。つまり、実装基板103bでは、実装基板103と比べて、第2端子132及び第2配線それぞれの数が2つずつ多い。
支持体112は、厚さ方向において互いに反対側にある表面113及び裏面123を有し、表面113に上述の凹部133が形成されている。凹部133は、支持体112の厚さ方向において凹部133の底面134から離れるにつれて開口面積が徐々に大きくなっている。複数の第1導体層104及び複数の第2導体層114は、凹部133の底面134上に形成されている。複数の第1端子131及び複数の第2端子132は、支持体112の裏面123に形成されている。
支持体112は、例えば、AlNセラミックにより形成されており、電気絶縁性を有する。支持体112の平面視形状は、例えば、正方形状である。支持体112の平面視でのサイズは、例えば、6mm□(6mm×6mm)である。また、凹部133の平面視形状は、例えば、正方形状である。凹部133の底面134の平面視でのサイズは、例えば、3.5mm□(3.5mm×3.5mm)である。
発光装置100bは、実装基板103の凹部133の開口を塞ぐように支持体112に接合されたキャップ106を更に備える。キャップ106の平面視形状は、支持体112と同じ大きさの正方形状である。キャップ106は、接合部107を介して支持体112に接合されている。
キャップ106は、実装基板103b上で複数の第1半導体発光素子101と第2半導体発光素子102bとを覆っている。キャップ106は、第1半導体発光素子101から放射される紫外線を透過するガラスにより構成されている。
キャップ106を構成するガラスは、第1半導体発光素子101から放射される紫外線に対する透過率が70%以上であるのが好ましく、80%以上であるのがより好ましい。キャップ106を構成するガラスは、紫外線に対する透過率の観点から、石英ガラス又は硼珪酸ガラスであるのが好ましい。キャップ106を構成する硼珪酸ガラスとしては、例えば、SCHOTT社製の8347、SCHOTT社製の8337B等を採用することができる。
接合部107は、支持体112の表面113における凹部133の周部の全周に亘って形成されている。接合部107は、例えば、AuSn等を含む。接合部107は、AuSn等の合金に限らず、例えば、低融点ガラスにより構成されていてもよい。低融点ガラスとは、軟化点が600℃以下のガラスであり、軟化点が500℃以下のガラスが好ましく、軟化点が400℃以下のガラスが更に好ましい。低融点ガラスは、例えば、主成分として酸化鉛(PbO)と無水ほう酸(B2O3)とを含むガラスである。
実装基板103bと接合部107とキャップ106とで囲まれた空間は、例えば、不活性ガス雰囲気となっている。不活性ガスは、例えば、N2ガスである。
発光装置100bは、実装基板103とキャップ106と接合部107とで、複数の第1半導体発光素子101及び第2半導体発光素子102bを収納するパッケージを構成している。
以下、第2半導体発光素子102bについて図5A及び5Bに基づいて説明する。第2半導体発光素子102bに関し、図2A及び2Bに示した第1半導体発光素子101と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
第2半導体発光素子102bは、第1半導体発光素子101と同様、基板1と、積層体2と、を備える。
積層体2では、基板1側からn型半導体層4、活性層5及びp型半導体層6が、この順に並んでいる。積層体2は、積層体2の基板1とは反対側の表面21に形成されている溝23を有する。溝23は、活性層5とp型半導体層6との積層構造7を第1半導体部71と第2半導体部72とに分離するように形成されている。ここにおいて、第1半導体部71及び第2半導体部72は、基板1の厚さ方向D1から見て、n型半導体層4の外周線よりも内側に位置している。基板1の厚さ方向D1から見て、n型半導体層4の大きさは、基板1の大きさと同じである。言い換えれば、第2半導体発光素子102bでは、基板1の厚さ方向D1から見て、n型半導体層4の外周線と基板1の外周線とが重なる。
第2半導体発光素子102bは、p型半導体層6の表面61とn型半導体層4の表面41のうち積層構造7が積層されていない部位411との間に段差がある。第1半導体部71及び第2半導体部72の各々は、メサ構造を有している。
また、第2半導体発光素子102bは、p型半導体層6に電気的に接続された第1正電極81及び第2正電極82と、n型半導体層4に電気的に接続された第1負電極91及び第2負電極92と、を更に備える。
第2半導体発光素子102bの平面視でのチップサイズ(chip size)は、例えば、400μm□(400μm×400μm)である。
第2半導体発光素子102bでは、積層体2の基板1とは反対側の表面21に形成されている溝23によって、活性層5とp型半導体層6との積層構造7が、第1半導体部71と第2半導体部72とに分離されている。これにより、第2半導体発光素子102bは、活性層5のうち積層構造7の第1半導体部71の一部を構成する部分である第1機能部51と、積層構造7の第2半導体部72の一部を構成する部分である第2機能部52と、を有する。第1機能部51と第2機能部52との互いに対向する端面513、523の各々は、基板1の厚さ方向D1に沿って形成されている。第2半導体発光素子102bでは、第1機能部51と第2機能部52との互いに対向する端面513、523同士が平行であるのが好ましい。ここにおいて、「平行」とは、厳密に平行である場合のみに限定されず、略平行(互いに対向する端面513、523同士のなす角度が例えば0°±10°)でもよい。
第2半導体発光素子102bは、上述のように、第1正電極81、第2正電極82、第1負電極91及び第2負電極92を備えている。第2半導体発光素子102bでは、この第2半導体発光素子102bの厚さ方向の一面側に第1正電極81、第2正電極82、第1負電極91及び第2負電極92が配置されている。
第1正電極81は、活性層5とp型半導体層6との積層構造7の第1半導体部71上に形成されている。これにより、第1正電極81は、第1半導体部71においてp型半導体層6と電気的に接続されている。第2正電極82は、積層構造7の第2半導体部72上に形成されている。これにより、第2正電極82は、第2半導体部72においてp型半導体層6と電気的に接続されている。第1負電極91は、n型半導体層4の活性層5側の表面41のうち積層構造7が積層されていない部位411に設けられている。これにより、第1負電極91は、n型半導体層4と電気的に接続されている。第2負電極92は、n型半導体層4の活性層5側の表面41のうち積層構造7が積層されていない部位411に設けられている。これにより、第2負電極92は、n型半導体層4と電気的に接続されている。
第2半導体発光素子102bでは、基板1の厚さ方向D1から見て、厚さ方向D1に直交する一の方向において、第1負電極91、第1正電極81、第2正電極82及び第2負電極92が、この順に並んでいる。したがって、第1負電極91は、基板1の厚さ方向D1から見て第1正電極81に隣り合っている。また、第2負電極92は、基板1の厚さ方向から見て第2正電極82に隣り合っている。
第2半導体発光素子102bでは、第1正電極81と第1負電極91との間に電流を流すことにより、活性層5の第1機能部51から紫外線が放射される。第2半導体発光素子102bでは、第1機能部51から放射されて基板1の第1面11に入射した紫外線が、基板1の第2面12から出射される。ここにおいて、第2半導体発光素子102bでは、活性層5の第1機能部51の端面513から出射した紫外線が、活性層5の第2機能部52の端面523に入射し、第2機能部52において受光される(吸収される)。したがって、第2半導体発光素子102bでは、例えば、第1機能部51から紫外線を発光させ、その紫外線の一部を第2機能部52で受光させることによって、第2正電極82と第2負電極92との間に発生する電流(光電流)により、第2半導体発光素子102bの光出力のモニタリングが可能である。要するに、第2半導体発光素子102bは、第1機能部51を発光部とし第2機能部52を受光部として動作させることが可能である。
第2半導体発光素子102bでは、第1半導体部71の面積が第2半導体部72の面積よりも大きい。ここにおいて、第1半導体部71及び第2半導体部72の各々の面積は、基板1の厚さ方向D1から見た面積である。そして、第2半導体発光素子102bでは、第1正電極81の面積が第2正電極82の面積よりも大きく、第1負電極91の面積が第2負電極92の面積よりも大きい。第1正電極81、第2正電極82、第1負電極91及び第2負電極92の各々の面積は、基板1の厚さ方向D1から見た面積である。
第1半導体部71の平面視形状は、基板1の外周線に沿った正方形のうちの2辺それぞれの中間部を内側に凹ませた形状である。ここにおいて、第2半導体発光素子102bでは、基板1の厚さ方向D1から見て、第1半導体部71の外周線が、n型半導体層4の外周線に沿っていて、かつ、第2半導体部72と第1負電極91と第2負電極92とを避けるように曲がっている。これにより、第2半導体発光素子102bでは、第1半導体部71の平面視形状を長方形とする場合と比べて、第1半導体部71の面積をより大きくすることが可能となる。
第2半導体発光素子102bは、第1半導体発光素子101と同様、保護膜を備えているのが好ましい。保護膜は、電気絶縁性を有する。保護膜の材料は、例えば、酸化シリコン等である。保護膜は、第1半導体部71の表面のうち第1正電極81に覆われていない部位及び側面と、第2半導体部72の表面のうち第2正電極82に覆われていない部位及び側面と、n型半導体層4の表面41において活性層5に覆われていない部位411のうち第1負電極91及び第2負電極92に覆われていない領域と、に跨って形成されているのが好ましい。
以上説明した第2半導体発光素子102bでは、積層体2は、活性層5とp型半導体層6との積層構造7を第1半導体部71と第2半導体部72とに分離する溝23を有し、第1半導体部71の面積が第2半導体部72の面積よりも大きい。よって、第2半導体発光素子102bは、第1半導体部71と第2半導体部72とのうち相対的に面積の大きな第1半導体部71から側方へ放射された紫外線を、相対的に面積の小さな第2半導体部72で受光することができる。これにより、第2半導体発光素子102bでは、第1半導体部71から基板1側へ放射された紫外線を基板1の第2面12で反射させる必要がないので、光出力の低下を抑制しつつ光出力のモニタリングが可能となる。
また、第2半導体発光素子102bでは、上記の紫外線発光装置と比べて、チップサイズの小型化を図りながらも光出力の高出力化を図れる。また、第2半導体発光素子102bでは、第1機能部51(発光部)の中心と、基板1の厚さ方向D1に沿った基板1の中心線に対する第1機能部51の交差点とを揃えてあるので、第2半導体発光素子102bの光軸が基板1の厚さ方向D1に沿った中心線に揃いやすい。
以下では、第2半導体発光素子102bの製造方法の一例について簡単に説明する。
第2半導体発光素子102bの製造方法は、第1半導体発光素子101の製造方法と略同じである。第2半導体発光素子102bの製造方法は、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術等を利用して積層体2における活性層5とp型半導体層6との積層構造7をパターニングすることによって、溝23、第1半導体部71及び第2半導体部72を形成する点が、第1半導体発光素子101の製造方法と相違する。また、第2半導体発光素子102bの製造方法では、第1負電極91及び第2負電極92を形成し、その後、第1正電極81及び第2正電極82を形成する点が、第1半導体発光素子101の製造方法と相違する。ただし、第2半導体発光素子102bの製造方法では、第1半導体発光素子101の製造方法で用いるフォトマスクを変えることにより、第1半導体発光素子101と同じ製造工程で製造することができる。また、フォトマスクとして第1半導体発光素子101用のパターンと第2半導体発光素子102b用のパターンとの両方を含むフォトマスクを用いることにより、複数の第1半導体発光素子101と複数の第2半導体発光素子102bとを含むエピタキシャルウェハを製造することもできる。
上述の第2半導体発光素子102bの製造方法によれば、第1半導体部71と第2半導体部72とを同じ構成とすることができる。ここにおいて、「同じ構成」とは、材料、組成比及び厚さが同じであることを意味する。また、上述の第2半導体発光素子102bの製造方法によれば、第1半導体部71における第1機能部51の端面513と第2半導体部72における第2機能部52の端面523との相対的な位置精度を向上させることができる。
変形例2の発光装置100bでは、第2半導体発光素子102bは、第1正電極81、第2正電極82、第1負電極91及び第2負電極92が、複数の第2端子132のうち一対一に対応する第2端子132と接続されている。より詳細には、変形例2の発光装置100bでは、第1正電極81及び第1負電極91の各々が、第2端子132(1321)に接続されている。また、第2正電極82及び第2負電極92の各々が、第2端子132(1322)に接続されている。
次に、実施形態の発光装置100を備えた光学分析システム200の一例について図6に基づいて説明する。
光学分析システム200は、発光装置100と、電源部203と、制御部109と、検知部204と、分析部205と、を備える。発光装置100では、発光装置100の複数の第1半導体発光素子101が発光部201として動作し、かつ、第2半導体発光素子102が発光部201に対応する受光部202として動作する。検知部204は、発光部201から分析対象の物質へ向けて放射された第1の光に基づく第2の光を検知する。分析部205は、検知部204の出力信号に基づいて物質に関する分析を行う。
光学分析システム200では、発光部201と検知部204とが対向して配置されている。また、光学分析システム200は、発光装置100と検知部204との間に、試料セルを更に備える。試料セルは、光学分析システム200の分析対象の物質(例えば、オゾンガス)又は分析対象の物質を含む気体(例えば、オゾンを含む空気)等の出入り可能なセルである。
電源部203は、外部から供給される電圧を所定電圧に変換して発光装置100の回路110へ電流を供給する電源回路である。
発光部201から分析対象の物質へ向けて放射される第1の光は、発光部201から試料セル内へ放射される紫外線である。ここにおいて、分析対象の物質であるオゾンは、発光部201から放射される波長275nmの紫外線を吸収する性質を有する。
検知部204は、例えば、フォトダイオードである。検知部204は、発光部201から分析対象の物質へ向けて放射された第1の光に基づく第2の光を受光し、受光した第2の光を光電変換して電気信号を出力信号とする。第2の光は、発光部201から試料セル内へ放射された紫外線のうち分析対象の物質等に吸収されずに検知部204に入射した紫外線である。
分析部205は、例えば、検知部204の出力信号に基づいて分析対象の物質の分析を行う。ここにおいて、分析部205による分析結果は、例えば、物質の特定又は物質の量の特定である。例えば、分析部205は、分析対象の物質が試料セル内に入っていないときの検知部204の出力信号と、分析対象の物質が試料セル内に入っているときの検知部204の出力信号と、の比から分析対象の物質の濃度を演算する。分析部205は、例えば、マイクロコンピュータで適宜のプログラムを実行することにより実現される。
制御部109は、電源部203を制御する。制御部109は、例えば、マイクロコントローラ(Microcontroller)を含む。マイクロコントローラは、プログラムに従って動作するプロセッサと、プロセッサを動作させるプログラムを格納するためのメモリ及び作業用のメモリと、を備えた1チップのデバイスとして構成される。制御部109は、マイクロコントローラにプログラムを実行させることにより、実現することができる。
制御部109は、例えば、A/D変換部を有する。A/D変換部は、受光部202(フォトダイオードとして動作している第2半導体発光素子102)の出力電流を電圧信号に変換して出力する。制御部109は、A/D変換部から出力される電圧信号に応じて、電源部203から発光部201(複数の第1半導体発光素子101を含む回路110)へ供給される電流の電流値を変えるように電源部203を制御する。より詳細には、制御部109は、例えば、受光部202の出力電流の電流値が規定値(A/D変換部から出力される電圧信号の電圧値が一定値)となるように電源部203を制御する。これにより、光学分析システム200では、発光部201の発光特性の経時変化等によらず発光部201からの紫外線の光出力を安定化することが可能となり、分析精度の向上を図ることが可能となる。
次に、実施形態の発光装置100を備えた光学分析システム210の他の例について図7に基づいて説明する。光学分析システム210に関し、光学分析システム200と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
光学分析システム210は、発光装置100と、検知部204と、分析部215と、を備える。発光装置100では、発光装置100の複数の第1半導体発光素子101が発光部201として動作し、かつ、第2半導体発光素子102が発光部201に対応する受光部202として動作する。検知部204は、発光部201から分析対象の物質へ向けて放射された第1の光に基づく第2の光を検知する。分析部215は、検知部204の出力信号に基づいて物質に関する分析を行う。
光学分析システム210は、光学分析システム200と同様、発光装置100と検知部204との間に、試料セルを更に備える。
発光部201から分析対象の物質へ向けて放射される第1の光は、発光部201から試料セル内へ放射される紫外線である。
検知部204は、発光部201から分析対象の物質へ向けて放射された第1の光に基づく第2の光を受光し、受光した第2の光を光電変換して電気信号を出力信号とする。
分析部215は、例えば、受光部202の出力信号と検知部204の出力信号とに基づいて分析対象の物質の分析を行う。例えば、分析部215は、受光部202の出力信号と、検知部204の出力信号と、の比から分析対象の物質の濃度を演算する。分析部215は、例えば、マイクロコンピュータで適宜のプログラムを実行することにより実現される。
光学分析システム210は、受光部202の出力信号と検知部204の出力信号との比比から濃度を演算することにより、発光部201の光出力の変動の影響を軽減できる。
上記の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
例えば、複数の第1半導体発光素子101を含む回路110は、複数の第1半導体発光素子101の直列回路に限らず、例えば、複数の第1半導体発光素子101の並列回路でもよいし、複数の第1半導体発光素子101の直並列回路でもよい。
また、第2半導体発光素子102を囲むように配置される複数の第1半導体発光素子101は、6個の第1半導体発光素子101に限らず、3個以上の第1半導体発光素子101であればよい。
また、複数の第1半導体発光素子101は、2個以上の第1半導体発光素子101でもよい。この場合、n個(nは2以上の整数)の第1半導体発光素子101が、第2半導体発光素子102の中心軸を回転中心軸としてm回回転対称性(mは1を除くnの約数)を有するように配置されているのが好ましい。
また、第1半導体発光素子101、第2半導体発光素子102及び第2半導体発光素子102bの平面視形状は、正方形状に限らず、例えば、長方形状等でもよい。
また、基板1は、サファイア基板に限らず、例えば、単結晶AlN基板等でもよい。
また、n型半導体層4は、単層構造に限らず多層構造でもよい。例えば、n型半導体層4は、例えば、互いにAlの組成比の異なる複数のn型AlGaN層の積層構造でもよい。また、p型半導体層6におけるp型AlGaN層及びp型GaN層は、単層構造に限らず多層構造でもよい。例えば、p型AlGaN層は、互いにAlの組成比の異なる複数のp型AlGaN層の積層構造でもよい。また、p型GaN層は、互いにp型不純物の濃度の異なる複数のp型GaN層の積層構造でもよい。
また、活性層5は、多重量子井戸構造を有する例に限らず、例えば、単一量子井戸構造でもよいし、単層構造でもよい。また、活性層5の材料は、AlGaNに限らず、他の窒化物半導体材料でもよく、例えば、InAlGaN等でもよい。また、活性層5の材料は、窒化物半導体材料以外の材料でもよい。
また、第1半導体発光素子101、第2半導体発光素子102及び第2半導体発光素子102bは、UV−Cの波長域の紫外線を放射するように構成される場合に限らず、例えば、UV−Bの波長域又はUV−Aの波長域の紫外線を放射するように構成されていてもよい。「UV−Bの波長域」とは、例えば国際照明委員会における紫外線の波長による分類によれば、280nm〜315nmである。「UV−Aの波長域」とは、例えば国際照明委員会における紫外線の波長による分類によれば、315nm〜400nmである。また、第1半導体発光素子101、第2半導体発光素子102及び第2半導体発光素子102bは、紫外線発光素子に限らず、例えば、可視光を放射する可視光発光素子、赤外線を放射する赤外線発光素子でもよい。
また、第2半導体発光素子102bの使用例は、第1機能部51を発光部とし第2機能部52を受光部として動作させる例に限らない。例えば、第2半導体発光素子102bは、第1機能部51と第2機能部52との両方を発光部として動作させてもよいし、第2機能部52を発光部とし第1機能部51を受光部として動作させてもよい。
また、第2半導体発光素子102bに関し、第1半導体部71、第2半導体部72、第1正電極81、第2正電極82、第1負電極91及び第2負電極92の平面視形状、レイアウト等は、図5Aの例に限らず、適宜変更可能である。
また、第2半導体発光素子102bに関して、第1正電極81及び第1負電極91の各々の数は、1つに限らず、複数でもよい。また、第2半導体発光素子102bでは、第1正電極81の数と第1負電極91の数とが異なっていてもよい。
また、第2半導体発光素子102bに関して、第2正電極82及び第2負電極92の各々の数は、1つに限らず、複数でもよい。また、第2半導体発光素子102bでは、第2正電極82の数と第2負電極92の数とが異なっていてもよい。
また、第2半導体発光素子102bでは、基板1の第2面12において活性層5からの紫外線を反射させる必要がないので、例えば、基板1の第2面12に、単層もしくは多層の誘電体膜からなるアンチリフレクションコート(anti-reflection coat)が設けられていてもよい。
また、第2半導体発光素子102bでは、基板1の第2面12に、活性層5から放射された光の第2面12での反射を抑制する光取出し構造部を備えていてもよい。光取出し構造部としては、例えば、2次元周期構造を有した凹凸構造部が挙げられる。凹凸構造部は、例えば、例えば複数の四角錐状の凸部が2次元アレイ状に配列された構成である。2次元周期構造の周期は、活性層5で発光する紫外線の波長に応じて適宜決めればよい。
また、変形例2の発光装置100bにおいて、第1半導体発光素子101を第2半導体発光素子102bと同じ構成としてもよい。また、変形例2の発光装置100bにおいて、第2半導体発光素子102bを第1半導体発光素子101と同じ構成としてもよい。また、変形例2の発光装置100bが、変形例1の発光装置100aと同様に制御部109を備えていてもよい。
また、実施形態の発光装置100及び変形例1の発光装置100aにおいて、第2半導体発光素子102の数は、1つに限らず、複数でもよい。この場合、例えば、複数の第2半導体発光素子102を囲むように複数の第1半導体発光素子101が配置されているのが好ましい。同様に、変形例2の発光装置100bにおいて、第2半導体発光素子102bの数は、1つに限らず、複数でもよい。この場合、例えば、複数の第2半導体発光素子102bを囲むように複数の第1半導体発光素子101が配置されているのが好ましい。また、実施形態の発光装置100及び変形例1の発光装置100aにおいて、第2半導体発光素子102の数を複数とした場合に、複数の第2半導体発光素子102のうちの一部の第2半導体発光素子102を第2半導体発光素子102bに置き換えてもよい。
また、光学分析システム200又は210における検知部204は、フォトダイオードに限らず、例えば、光電子増倍管、分光光度計等でもよい。
光学分析システム200又は210の分析対象の物質は、オゾンに限らず、例えば、人の呼気中のアセトン等でもよい。ここにおいて、光学分析システム200又は210の分析対象の物質は、紫外線を吸収する物質に限らず、紫外線を励起光として蛍光を発する物質でもよいし、ラマン散乱光を発する物質でもよい。
光学分析システム200又は210では、分析対象の物質が発光部201からの紫外線により励起されて蛍光を発する物質の場合、検知部204として分光光度計を採用し、物質の発する蛍光が検知部204に入射するように検知部204が配置されていてもよい。この場合、検知部204は、分析対象の物質の発する蛍光に関して、光の波長ごとの強度の分布を測定することが可能となる。そして、分析部205又は215は、例えば、分光光度計の測定結果に基づいて分析対象の物質の分析を行う。ここにおいて、分析部205又は215による分析結果は、例えば、物質の特定又は物質の量の特定である。
また、光学分析システム200又は210では、分析対象の物質が発光部201からの紫外線を散乱する物質の場合、試料セル内において発光部201の光軸と検知部204の光軸とが交差するように発光部201及び検知部204が配置されていてもよい。これにより、光学分析システム200又は210では、分析対象の物質で散乱された紫外線の一部を検知部204で受光する。
また、光学分析システム200又は210は、発光装置100の代わりに、発光装置100a又は100bを備えていてもよい。
以上説明した実施形態等から明らかなように、第1の態様に係る発光装置(100、100a、100b)は、複数の第1半導体発光素子(101)と、第2半導体発光素子(102、102b)と、実装基板(103)と、を備える。実装基板(103)は、複数の第1半導体発光素子(101)と第2半導体発光素子(102、102b)とが実装されている。実装基板(103)は、複数の第1半導体発光素子(101)を含む回路(110)に接続された複数の第1端子(131)と、第2半導体発光素子(102、102b)に接続された複数の第2端子(132)と、を有する。
以上の構成により、発光装置(100、100a、100b)は、光出力の低下を抑制しつつ光出力のモニタリングが可能となる。
第2の態様に係る発光装置(100、100a、100b)では、第1の態様において、第2半導体発光素子(102、102b)は、複数の第1半導体発光素子(101)と同じ構成である。これにより、発光装置(100、100a、100b)は、低コスト化を図ることが可能となる。
第3の態様に係る発光装置(100、100a、100b)では、第1の態様において、第2半導体発光素子(102、102b)は、複数の第1半導体発光素子(101)と異なる構成である。これにより、発光装置(100、100a、100b)は、第2半導体発光素子(102、102b)の構造の設計自由度が高くなる。
第4の態様に係る発光装置(100、100a、100b)では、第1乃至3の態様のいずれか一つにおいて、複数の第1半導体発光素子(101)及び第2半導体発光素子(102、102b)は、紫外線発光素子である。これにより、発光装置(100、100a、100b)は、光出力として紫外線出力のモニタリングが可能となる。
第5の態様に係る発光装置(100、100a、100b)では、第1乃至4の態様のいずれか一つにおいて、複数の第1半導体発光素子(101)が3個以上の第1半導体発光素子(101)であり、複数の第1半導体発光素子(101)が第2半導体発光素子(102、102b)を中心として第2半導体発光素子(102、102b)を囲むように配置されている。これにより、発光装置(100、100a、100b)は、配光特性の低下を抑制することが可能となる。
第6の態様に係る発光装置(100、100a、100b)では、第1乃至4の態様のいずれか一つにおいて、複数の第1半導体発光素子(101)がn個(nは2以上の整数)の第1半導体発光素子(101)であり、n個の第1半導体発光素子(101)が第2半導体発光素子(102、102b)の中心軸を回転中心軸としてm回回転対称性(mは1を除くnの約数)を有するように配置されている。これにより、発光装置(100、100a、100b)は、配光特性の低下を抑制することが可能となる。
第7の態様に係る発光装置(100、100a、100b)では、第1乃至6の態様のいずれか一つにおいて、実装基板(103)は、複数の第1半導体発光素子(101)と第2半導体発光素子(102、102b)とを収納する凹部(133)を有し、凹部(133)の底面(134)に複数の第1半導体発光素子(101)と第2半導体発光素子(102、102b)とが実装されている。第2半導体発光素子(102、102b)が、凹部(133)の底面(134)の中心に配置されている。これにより、発光装置(100、100a、100b)は、配光特性の低下を抑制することが可能となる。
第8の態様に係る発光装置(100、100a、100b)では、第1乃至7の態様のいずれか一つにおいて、第2半導体発光素子(102b)は、基板(1)と、積層体(2)と、を備える。基板(1)は、その厚さ方向(D1)において互いに反対側にある第1面(11)及び第2面(12)を有する。積層体(2)は、基板(1)の第1面(11)上に設けられている。積層体(2)では、n型半導体層(4)、活性層(5)及びp型半導体層(6)が基板(1)側からこの順に並んでいる。積層体(2)は、積層体(2)の基板(1)とは反対側の表面(21)に形成されて活性層(5)とp型半導体層(6)との積層構造(7)を第1半導体部(71)と第2半導体部(72)とに分離する溝(23)を有する。第1半導体部(71)の面積が第2半導体部(72)の面積よりも大きい。第2半導体発光素子(102b)は、第1正電極(81)と、第2正電極(82)と、第1負電極(91)と、第2負電極(92)と、を更に備える。第1正電極(81)は、第1半導体部(71)上に形成されている。第2正電極(82)は、第2半導体部(72)上に形成されている。第1負電極(91)は、n型半導体層(4)の活性層(5)側の表面(41)に設けられ、厚さ方向(D1)から見て第1正電極(81)に隣り合う。第2負電極(92)は、n型半導体層(4)の活性層(5)側の表面(41)に設けられ、厚さ方向(D1)から見て第2正電極(82)に隣り合う。これにより、発光装置(100、100a)では、第2半導体発光素子(102b)は、光出力の低下を抑制しつつ光出力のモニタリングが可能となる。
第9の態様に係る発光装置(100、100a、100b)は、第1乃至8の態様のいずれか一つにおいて、制御部(109)を更に備える。制御部(109)は、複数の第1半導体発光素子(101)を発光させるとともに、第2半導体発光素子(102、102b)をフォトダイオードとして動作させる。これにより、発光装置(100、100a、100b)は、光出力の低下を抑制しつつ光出力のモニタリングが可能となる。
第10の態様に係る光学分析システム(200)は、第1乃至9の態様のいずれか一つの発光装置(100、100a、100b)と、電源部(203)と、制御部(109)と、検知部(204)と、分析部(205)と、を備える。発光装置(100、100a、100b)では、発光装置(100、100a、100b)の複数の第1半導体発光素子(101)が発光部(201)として動作し、かつ、第2半導体発光素子(102、102b)が発光部(201)に対応する受光部(202)として動作する。電源部(203)は、発光装置(100、100a、100b)の回路(110)へ電流を供給する。制御部(109)は、受光部(202)の出力信号が規定値となるように電源部(203)を制御する。検知部(204)は、発光部(201)から分析対象の物質へ向けて放射された第1の光に基づく第2の光を検知する。分析部(205)は、検知部(204)の出力信号に基づいて分析対象の物質に関する分析を行う。
以上の構成により、光学分析システム(200)は、発光部(201)の光出力の低下を抑制しつつ受光部(202)において発光部(201)の光出力のモニタリングが可能となる。
第11の態様に係る光学分析システム(210)は、第1乃至9の態様のいずれか一つの発光装置(100、100a、100b)と、検知部(204)と、分析部(215)と、を備える。発光装置(100、100a、100b)では、発光装置(100、100a、100b)の複数の第1半導体発光素子(101)が発光部(201)として動作し、かつ、第2半導体発光素子(102、102b)が発光部(201)に対応する受光部(202)として動作する。検知部(204)は、発光部(201)から分析対象の物質へ向けて放射された第1の光に基づく第2の光を検知する。分析部(215)は、受光部(202)の出力信号と検知部(204)の出力信号に基づいて分析対象の物質に関する分析を行う。
以上の構成により、光学分析システム(200)は、発光部(201)の光出力の低下を抑制しつつ受光部(202)において発光部(201)の光出力のモニタリングが可能となる。
第12の態様に係る発光装置(100、100a、100b)では、第8の態様において、活性層(5)のうち第1半導体部(71)の一部を構成する部分である第1機能部(51)と第2半導体部(72)の一部を構成する部分である第2機能部(52)との互いに対向する端面(513、523)同士が平行である。これにより、発光装置(100、100a、100b)では、光出力のモニタリング精度の向上を図ることが可能となる。
第13の態様に係る発光装置(100、100a、100b)では、第8又は12の態様において、厚さ方向(D1)から見てn型半導体層(4)の大きさは、基板(1)の大きさと同じである。これにより、発光装置(100、100a、100b)では、光出力の低下をより抑制することが可能となる。
第14の態様に係る発光装置(100、100a、100b)では、第8、12又は13の態様において、第1正電極(81)の面積が第2正電極(82)の面積よりも大きく、第1負電極(91)の面積が第2負電極(92)の面積よりも大きい。これにより、発光装置(100、100a、100b)では、光出力の低下をより抑制することが可能となる。
第15の態様に係る発光装置(100、100a、100b)では、第14の態様において、厚さ方向(D1)から見て第1半導体部(71)の外周線が、n型半導体層(4)の外周線に沿っていて、かつ、第2半導体部(72)と第1負電極(91)と第2負電極(92)とを避けるように曲がっている。これにより、発光装置(100、100a、100b)では、光出力の低下を更に抑制することが可能となる。