JP2019009379A - 変圧器 - Google Patents

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Abstract

【課題】アモルファス金属の形状を維持し、破壊を防止することができる変圧器を実現することである。【解決手段】変圧器は、鉄心と、前記鉄心を囲むコイルとを有する変圧器であって、鉄心は、複数の鉄心ブロックから構成されており、鉄心ブロックは、アモルファス金属箔を重ねたアモルファス積層体と、その積層体を載せるブロック鋼板とからなり、ブロック鋼板は、鉄心の外周側に設けた第一の面と、内周側に設けた第二の面と、第一の面と第二の面の間に設けた第三の面とを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、アモルファス金属を積層した鉄心を備えた変圧器に関する。
従来、特許文献1に示されるように、額縁型鉄心を用いた変圧器において、額縁型鉄心を構成する板状磁性材としては、電磁鋼板を使っている。電磁鋼板としては、珪素鋼板が知られている。
特開2010−161289号公報
従来よりも効率の高い変圧器を得る方法として、鉄心の素材を珪素鋼板からアモルファス金属に変更することが考えられる。しかし、現状ではアモルファス金属は厚さ約25μm程度の箔体としてしか製造することができない。また、珪素鋼板と比べて、硬くて脆い素材である。このため、運搬、積層作業時に素材の形状を維持することができず、かつ鉄心の破損(切断や欠け)が生じるという課題がある。
本発明で解決しようとする課題は、アモルファス金属の形状を維持し、破壊を防止することができる変圧器を実現することである。
本発明の好ましい一例は、鉄心と、鉄心を囲むコイルとを有する変圧器であって、鉄心は、複数の鉄心ブロックから構成されており、鉄心ブロックは、アモルファス金属箔を重ねたアモルファス積層体と、アモルファス積層体を載せるブロック鋼板とからなり、ブロック鋼板は、鉄心の外周側に設けた第一の面と、内周側に設けた第二の面と、第一の面と第二の面との間に設けた第三の面とを備えたことにある。
本発明により、アモルファス金属の形状を維持し、破壊を防止することができる変圧器を提供することができる。
額縁鉄心を用いた変圧器の組立途中を示した図である。 額縁鉄心を用いた変圧器の中味構造物の図である。 額縁鉄心の脚部の断面を示した図である。 額縁鉄心の挿し鉄心作業の模式図である。 実施例1で用いる鉄心辺ブロックの図である。 鉄心辺ブロックの端部形状を示した図である。 鉄心辺ブロックで額縁鉄心を構成する模式図である。 額縁鉄心の外観図である。 実施例1の鉄心辺ブロックの別実施例を示した図である。 実施例2で用いる鉄心辺ブロックの図である。 実施例2の鉄心辺ブロックの断面図である。 実施例3を説明する鉄心辺ブロックの断面図である。 実施例4で用いる鉄心辺ブロックの図である。 実施例4で用いるかしめ部の拡大図である。 実施例4で用いる切り欠き部の拡大図である。 実施例5で用いる鉄心辺ブロックの面図である。 実施例6における挿し鉄心作業に用いる部材の図である。
以下に、図面を用いて実施例を説明する。
図1に、額縁鉄心1を用いた一実施例としての変圧器の中味構造物2の組立途中の図を示す。額縁形状を構成する鉄心1の一部(図1では上部)がない状態で、鉄心の脚部3に円筒状のコイル4(低圧用と高圧用)を挿入する。その後、残りの鉄心を組み付けて額縁形状を構成し、鉄心1とコイル4を締め金具5で固定することで、図2に示す変圧器の内部構造2が完成する。図2の内部構造2の全体を油の入ったタンクに挿入することで、変圧器が完成する。
円筒形状のコイルを挿入する脚部3に位置する鉄心辺は、図3に示すように額縁鉄心の周方向と直交する方向の幅の異なる複数の珪素鋼板の積層ブロック8、もしくは後述する鉄心辺ブロック10を積み上げることで、その断面形状を円形に近づけてことができる。これは円筒コイルの内部の鉄心の密度を高め、磁束の有効活用を図ることが目的である。
図4に模式図を示すように、図8の額縁鉄心1を起立させ、鉛直上方からコイル4を挿入する。この場合は、コイル挿入する脚部3の鉄心辺、及び脚部の鉄心辺を繋ぐ上下の鉄心辺9の両方とも、鉄心の断面形状は円形に積まれている。そして、図4に示すように、コイル4の挿入後、額縁鉄心の上部開放部分に、複数の形状の異なる珪素鋼板6、7を1枚ずつ端部が重なるように差し込み、最終的に下部鉄心と同一の鉄心辺を形成することで、磁路を構成する額縁形状を得る(この作業を挿し鉄心作業と呼ぶ)。
まず、図5〜図8を用いて、実施例1を説明する。本実施例では、図5に示すように、額縁鉄心の一辺を構成する鉄心辺ブロック10を、アモルファス金属箔の積層体11と、その片面に配置したブロック鋼板12(例えば磁性材料である珪素鋼板、非磁性材料であるSUS板、Al板でもよい)で構成する。
ここで、アモルファス金属の箔体は、端部形状の異なる2種類、額縁鉄心の周方向に短いアモルファス金属積層体13と、額縁鉄心の周方向に長いアモルファス金属積層体14を、所定の厚さ(例えば厚さ0.35〜0.5mm,或いは数mmなど)毎に交互に積層することで、図6に示すような凸凹の組合せ部を有する端部形状を得る。
ここで、ブロック鋼板12の外周形状は、隣接しないアモルファス金属箔の形状と一致させることで、これと端部を組み合わせる別のアモルファス金属箔の積層体11の端部と入れ子状に組み合わせることができる。
また、ブロック鋼板12の額縁形状の周方向と直交するブロック鋼板12の端部にアモルファス金属箔の表面と直交方向に突起15を設ける。この突起15によって、アモルファス金属箔の積層体11を内蔵した鉄心辺ブロック10全体の剛性を高められ、アモルファス金属箔の積層体11の形状を保ち、破損させずに運搬し、他の鉄心辺と組み合わせることが可能となる。
ブロック鋼板12には、鉄心の外周側(図5では上側)の突起15と、鉄心の内周側(図5では下側)の突起15として突起が設けられ、それらの突起で第一、第二の面を形成し、第一の面と第二の面との間にアモルファス金属箔の積層体11を載せる第三の面を有している。ブロック鋼板12の第一、第二の面は、溶接で形成してもよいが、一体の鋼材を曲げることで形成すると効率的である。
このようなアモルファス金属箔の積層体11とブロック鋼板12からなる鉄心辺のブロック10で、額縁鉄心の各辺毎に、額縁鉄心の周方向と直交する方向の幅とアモルファス金属箔の積層の高さが異なるものを図7のように組み合わせる。そのようにすることで、図8に示すようにコイルを挿入する脚部3の断面形状を円形に近づけた額縁鉄心1(コイル挿入用に1辺は未だない)を構成することができる。
そして、各鉄心辺の周囲に絶縁材料で作られたテープ(図示せず)を巻きつけて一体化する。ブロック鋼板12によって鉄心辺を構成する各ブロック10の剛性がアモルファス金属箔単独よりも格段に高まり、これを組み合わせることで額縁鉄心全体の剛性も向上し、起立が可能となる。
ここで、ブロック鋼板12の突起15は、図9に示すように、不連続でも構わない。ただし、額縁鉄心の積層方向の剛性を保つために、額縁鉄心1の周方向と直交する方向のブロック鋼板12の両端面に突起15が交互に、重複部を持ちながら配置されるのが好ましい。
アモルファス金属は、珪素鋼板よりも透磁率が高く、低鉄損である。このため、アモルファス金属を鉄心の素材に用いることで、珪素鋼板で鉄心を構成した変圧器よりもその待機電力を大幅に削減することができる。例えば、三相三脚、66kV/25MVAの変圧器で試算すると、珪素鋼板からアモルファス金属に鉄心の材料を変えることで、74kWの待機電力を削減することができる。
また、図4のような額縁形状を起立させる際に、自重によって形状が崩れ、アモルファス金属箔が分離してしまう課題が生じるが、その課題を本実施例によれば解決できる。
また、(1)アモルファス金属箔1枚(25μm)では組付け時の形状維持ができない。(2)厚さ0.5mmの珪素鋼板1枚分のアモルファス金属箔を、20枚をまとめて扱おうとしても、各シートの形状、及びシート同士の位置の維持ができないといった、図4に示した挿し鉄心作業においての課題がある。しかし、前記(1)(2)の課題を、本実施例によれば、解決できる。
次に、図10を用いて、実施例2を説明する。実施例1と同様に、額縁鉄心の一辺の一ブロック10を、アモルファス金属の箔体の積層体11と、その片面に配置したブロック鋼板12(例えば磁性材料である珪素鋼板、非磁性材料であるSUS板、Al板でもよい)で構成し、更に、アモルファス金属箔の逆側の表面にも別の蓋となる鋼板16を配置する。
第一の実施例と同様に、アモルファス金属箔の積層体11の逆側に配置するブロック鋼板12(図10では下側)には、額縁形状の周方向と直交する鋼板端部にアモルファス金属箔の表面と直交方向に突起15を設ける。一方のアモルファス金属箔の積層体11の逆側面に配置する蓋となる鋼板16(図10では上側)は、同様の突起があってもなくてもよい。
両方の鋼板に突起15がある場合は、図11(a)(b)に示すように、下側のブロック鋼板12の突起の外側か内側に上側の鋼板の突起が位置し、両鋼板の突起15がアモルファス金属箔の積層方向で重なり合うようにする。
以下、最終的な額縁鉄心1は、第一の実施例と同様の構造と手順で構成する。第二の実施例では、アモルファス金属箔の積層体11を挟んで、アモルファス金属箔の積層方向の両端面に蓋となる鋼板16,ブロック鋼板12を配置することで、鉄心辺ブロック10の剛性を更に上げることができる。
次に、図12を用いて実施例3を説明する。図12のように上下に蓋となる鋼板16とブロック鋼板12が配置された場合、鋼板間が絶縁されていないと積層されたアモルファス金属箔の積層体11の外周に電気的なループ(図中の矢印)が構成される。このため、交番磁束が発生した際に電磁誘導によってこのループに反って電流が流れ、発熱損失が生じて変圧器のエネルギー損失を増やしてしまう。そこで、図12の蓋となる鋼板16,ブロック鋼板12の表面を絶縁材でコーティングしておくことで、循環電流による発熱損失の発生を防止することができる。
次に、図13を用いて実施例4を説明する。本実施例では、アモルファス金属箔の積層体11を搭載するブロック鋼板12の突起15の端面に変形可能な突出部17を設け、これを図14のように変形させてかしめ、アモルファス金属箔の積層体11とブロック鋼板12, 蓋となる鋼板16を一体化する。以下、最終的な額縁鉄心1は、実施例1と同様の構造と手順で構成する。
アモルファス金属箔の積層体11とブロック鋼板12, 蓋となる鋼板16を固定することで、運搬時のアモルファス金属箔の積層体11の脱落を防止すると共に、鉄心辺ブロック10の剛性を高めることができる。
なお、かしめ部18が上部の蓋となる鋼板16やアモルファス金属箔の積層体11の上面よりも突出するため、下部のブロック鋼板12に切り欠き部(穴)19を設け、積層した複数の鉄心辺ブロック10の間に隙間が生じないようにする。図15は、図13の切り欠き部(穴)19を拡大した図である。
また、上下に鋼板を配置する場合は、ブロック鋼板12,蓋となる鋼板16の表面に絶縁コーティングを施して、かしめ部18を介して鋼板の断面に沿ってループ状に電流が流れるのを防止する。
次に、図16を用いて実施例5を説明する。本実施例では、アモルファス金属の積層体11とアモルファス金属箔の積層表面に配置するブロック鋼板12,蓋となる鋼板16で構成される鉄心辺ブロック10の外周を薄肉の絶縁物のテープ20で巻回し、一体に固定する。ここで、テープの厚みが問題となる場合は、鋼板に段差を設けて、テープが鋼板の表面より突出しないようにすればよい。以下、最終的な額縁鉄心は、実施例1と同様の構造と手順で構成する。
以上の構造でも、アモルファス金属箔と鋼板を固定し、運搬時のアモルファス金属箔の脱落を防止すると共に、鉄心辺ブロックの剛性を高めることができる。
最後に、図4、図17を用いて実施例6を説明する。ここまでに述べた実施例1から実施例5の全てに対して、図4の挿し鉄心作業をおこなう際に、本実施例を適用する。
額縁鉄心の周方向に短い、厚さ0.35〜0.5mm程度の珪素鋼板6,または額縁鉄心の周方向に長い、厚さ0.35〜0.5mm程度の珪素鋼板7(図17(a))のみを配置する。或いは、アモルファス金属箔の積層体11の両面に、額縁鉄心の周方向に短い珪素鋼板6,または額縁鉄心の周方向に長い7を配置する。そしてテープなどで仮固定(図17(b)(仮固定したテープは組立後に取り外す)し、額縁鉄心側の嵌合部と同一厚さとしたものを、額縁鉄心の開放部に組みつけていく。本実施例により、挿し鉄心作業の対象となる部材の剛性が増し、挿し鉄心作業が可能となる。
1 額縁鉄心、2 変圧器の中味構造物、3 鉄心の脚部、4 コイル、10 鉄心辺ブロック、11 アモルファス金属箔の積層体、12 突起付きのブロック鋼板、15 鋼板の突起、16 蓋となる鋼板、18 かしめ部、19 切り欠き部

Claims (8)

  1. 鉄心と、前記鉄心を囲むコイルとを有する変圧器であって、
    前記鉄心は、複数の鉄心ブロックから構成されており、
    前記鉄心ブロックは、アモルファス金属箔を重ねたアモルファス積層体と、前記アモルファス積層体を載せるブロック鋼板とからなり、
    前記ブロック鋼板は、前記鉄心の外周側に設けた第一の面と、内周側に設けた第二の面と、前記第一の面と前記第二の面との間に設けた第三の面とを備えたことを特徴とする変圧器。
  2. 請求項1記載の変圧器において、前記鉄心は、額縁形状の四辺からなる鉄心であり、前記鉄心の一辺は、前記鉄心ブロックで構成され、前記鉄心ブロックには、前記第三の面に対向して、蓋となる鋼板を設けたことを特徴とする変圧器。
  3. 請求項1または2記載の変圧器において、前記第一の面と第二の面は、鉄心の周方向に沿った非連続な突起で構成し、前記内周側の突起と前記外周側の突起は、交互に重複部を有していることを特徴とする変圧器。
  4. 請求項2記載の変圧器において、前記ブロック鋼板には、絶縁物をコーティングしてあることを特徴とする変圧器。
  5. 請求項2または4に記載の変圧器において、前記ブロック鋼板には、かしめ部があり、前記かしめ部により、前記ブロック鋼板と、前記蓋となる鋼板とを固定することを特徴とする変圧器。
  6. 請求項5に記載の変圧器において、前記ブロック鋼板の前記第三の面に、前記かしめ部の位置に対応した切り欠き部を設けたことを特徴とする変圧器。
  7. 請求項2、4、5のいずれか一つに記載の変圧器において、前記ブロック鋼板と前記蓋となる鋼板の周囲に絶縁材料を巻いた構成であることを特徴とする変圧器。
  8. 請求項2から7のいずれか一つに記載の変圧器において、前記鉄心の辺のうち一辺が、珪素鋼板のみで積層し、または、前記アモルファス金属箔を珪素鋼板に挟むように積層したことを特徴とする変圧器。
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