JP2019009124A - リチウムイオン電池用被覆活物質及びリチウムイオン電池用負極 - Google Patents

リチウムイオン電池用被覆活物質及びリチウムイオン電池用負極 Download PDF

Info

Publication number
JP2019009124A
JP2019009124A JP2018120785A JP2018120785A JP2019009124A JP 2019009124 A JP2019009124 A JP 2019009124A JP 2018120785 A JP2018120785 A JP 2018120785A JP 2018120785 A JP2018120785 A JP 2018120785A JP 2019009124 A JP2019009124 A JP 2019009124A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active material
negative electrode
lithium ion
group
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018120785A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7046732B2 (ja
Inventor
英起 西村
Hideki Nishimura
英起 西村
大澤 康彦
Yasuhiko Osawa
康彦 大澤
雄樹 草地
Takeki Kusachi
雄樹 草地
佐藤 一
Hajime Sato
一 佐藤
赤間 弘
Hiroshi Akama
弘 赤間
堀江 英明
Hideaki Horie
英明 堀江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Sanyo Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd, Sanyo Chemical Industries Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Publication of JP2019009124A publication Critical patent/JP2019009124A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7046732B2 publication Critical patent/JP7046732B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】エネルギー密度及びサイクル特性に優れたリチウムイオン電池用被覆活物質及びこれを用いたリチウムイオン電池用負極を提供すること。【解決手段】リチウムイオン電池用活物質粒子の表面の少なくとも一部に被覆用樹脂を含む被覆層を有し、以下の条件(1)〜(4)を全て満たすことを特徴とするリチウムイオン電池用被覆活物質。(1)上記リチウムイオン電池用活物質粒子が、珪素系負極活物質粒子の表面の少なくとも一部に炭素被覆を有する炭素被覆珪素系負極活物質粒子である(2)上記被覆用樹脂が、1つの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体(A)と重合性不飽和二重結合を2つ以上有する架橋性単量体(B)とを含む単量体組成物の重合体(P)である(3)上記ラジカル重合性単量体(A)が、下記一般式(1)で示されるエステル化合物(a1)を含むCH2=C(R1)COOR2(1)[R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数8〜24の直鎖又は分岐アルキル基である。](4)上記重合体(P)の飽和吸液状態での引張破断伸び率が200%を超え、800%未満である【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用被覆活物質及びリチウムイオン電池用負極に関する。
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が鋭意行われている。二次電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン電池に注目が集まっている。
リチウムイオン電池の高エネルギー密度化のためには、従来から負極活物質として用いられている炭素材料よりも理論容量の大きい珪素系材料が注目されている。しかしながら、珪素系材料を負極活物質として使用した場合には、充放電に伴う材料の体積変化が大きい。そのため、体積変化によって珪素系材料が自壊したり、集電体表面から剥離しやすくなるため、サイクル特性を向上させることが困難であった。
特許文献1には、シリコン及びシリコン化合物のうち少なくとも1つと炭素との混合比率、及び、これらの粒子径を所定の範囲に調整することで負極の膨張を抑制したリチウムイオン電池が開示されている。
特許文献2には、リチウムイオン二次電池の負極材料に適している炭素材料として、黒鉛構造を有する炭素粒子の表面の少なくとも一部にSi及び/又はSi化合物を含む炭素質材料が付着した炭素粒子及び繊維状炭素を含み、炭素質材料が重合体を含む組成物を熱処理して得られるものであることを特徴とする炭素材料が開示されている。さらに、この炭素材料とバインダ(結着剤)を含む電極ペースト及びこの電極ペーストを含む電極も開示されている。
特許文献3には、電解液に浸漬した際の吸液率が10%以上であり、飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上である樹脂を用いて活物質の表面を被覆することで電極の体積変化を緩和する方法が開示されている。
特開2016−103337号公報 特開2004−182512号公報 国際公開第2015/5117号
しかしながら、特許文献1及び2に記載された電極(負極)は、結着剤が用いられているため、電極厚さを厚くしすぎると負極集電体表面から負極活物質が剥離してしまうという問題があった。また、結着剤を使用する分だけ活物質の割合が減るのでエネルギー密度が低くなるという問題があった。また、結着剤によってシリコン及びシリコン化合物の膨張・収縮が制限されて自壊しやすくなることがあった。さらに、充電時の負極の膨張を抑制する効果も充分ではなく 、さらなる改善の余地があった。
なお、以下、本明細書では負極活物質として用いられるシリコン及びシリコン化合物をまとめて珪素系負極活物質ともいう。
さらに、特許文献3に記載された樹脂によって特許文献1又は2に記載された負極活物質を被覆した場合、珪素系負極活物質と樹脂との接触性が良好でなく、サイクル特性を充分に向上させることができなかった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、エネルギー密度及びサイクル特性に優れたリチウムイオン電池用被覆活物質及びこれを用いたリチウムイオン電池用負極を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、リチウムイオン電池用活物質粒子の表面の少なくとも一部に被覆用樹脂を含む被覆層を有し、以下の条件(1)〜(4)を全て満たすことを特徴とするリチウムイオン電池用被覆活物質に関する。
(1)上記リチウムイオン電池用活物質粒子が、珪素系負極活物質粒子の表面の少なくとも一部に炭素被覆を有する炭素被覆珪素系負極活物質粒子である
(2)上記被覆用樹脂が、1つの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体(A)と重合性不飽和二重結合を2つ以上有する架橋性単量体(B)とを含む単量体組成物の重合体(P)である
(3)上記ラジカル重合性単量体(A)が、下記一般式(1)で示されるエステル化合物(a1)を含む
CH=C(R)COOR (1)
[Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数8〜24の直鎖又は分岐アルキル基である。]
(4)上記重合体(P)の飽和吸液状態での引張破断伸び率が200%を超え、800%未満である
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質は、エネルギー密度及びサイクル特性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質は、リチウムイオン電池用活物質粒子の表面の少なくとも一部に被覆用樹脂を含む被覆層を有し、以下の条件(1)〜(4)を全て満たすことを特徴とする。
(1)上記リチウムイオン電池用活物質粒子が、珪素系負極活物質粒子の表面の少なくとも一部に炭素被覆を有する炭素被覆珪素系負極活物質粒子である
(2)上記被覆用樹脂が、1つの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体(A)と重合性不飽和二重結合を2つ以上有する架橋性単量体(B)とを含む単量体組成物の重合体(P)である
(3)上記ラジカル重合性単量体(A)が、下記一般式(1)で示されるエステル化合物(a1)を含む
CH=C(R)COOR (1)
[Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数8〜24の直鎖又は分岐アルキル基である。]
(4)上記重合体(P)の飽和吸液状態での引張破断伸び率が200%を超え、800%未満である
まず、条件(1)について説明する。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質では、リチウムイオン電池用活物質粒子が、珪素系負極活物質粒子の表面の少なくとも一部に炭素被覆を有する炭素被覆珪素系負極活物質粒子である。
珪素系負極活物質粒子の表面には、Si−O等の極性基が存在する。一方、炭素系負極活物質の表面には、そのような極性基がほとんど存在しない。そのため、炭素系負極活物質の表面を被覆するのに用いられる樹脂を被覆用樹脂として採用すると、極性の高い珪素系負極活物質表面と極性の低い樹脂との相性が悪く、接着力を充分に発揮することができなかった。
一方、本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質においては、珪素系負極活物質粒子の表面の少なくとも一部に炭素被覆が存在する。炭素被覆はその表面にSi−O等の極性基を持たないため、被覆用樹脂との接着性を向上させることができる。そのため、珪素系負極活物質粒子の表面から被覆用樹脂が剥離しにくくなると考えられる。
珪素系負極活物質粒子としては、珪素粒子、酸化珪素粒子、珪素合金粒子等が挙げられ、これらの混合物であってもよい。
珪素合金粒子を構成する合金としては、Si−Al合金、Si−Li合金、Si−Ni合金、Si−Fe合金、Si−Ti合金、Si−Mn合金、Si−Cu合金及びSi−Sn合金等が挙げられる。
また、珪素系負極活物質粒子の一部又は全部に、リチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施していてもよい。
炭素被覆珪素系負極活物質粒子の体積平均粒子径は、リチウムイオン電池用被覆活物質の電気特性の観点から、それぞれ0.01〜40μmが好ましく、0.1〜25μmであることがより好ましく、2〜20μmであることがさらに好ましい。
本明細書において、炭素被覆珪素系負極活物質粒子の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
炭素被覆を構成する材料としては、炭素、炭化珪素等が挙げられ、炭素が好ましい。
炭素被覆による珪素系負極活物質の表面の被覆割合は、30%以上であることが好ましい。また、炭素被覆は2層以上であってもよい。
炭素被覆が珪素系負極活物質の表面を被覆する割合は、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光(SEM−EDX)により測定することができる。
炭素被覆の厚さは特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましい。
炭素被覆の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)により炭素被覆珪素系負極活物質粒子を観察することにより測定することができる。
TEMによる拡大画像より無作為に10個の炭素被覆珪素系負極活物質粒子を抽出し、抽出した各粒子について、珪素系負極活物質粒子の表面に存在する炭素被覆の厚さの平均を画像解析により求め(ただし、炭素被覆が形成されていない部分は厚さ0μmとする)、これらの平均値を炭素被覆の厚さとする。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質において、炭素被覆珪素系負極活物質粒子を構成する珪素系負極活物質粒子の平均粒子径は、0.1〜20μmであることが好ましい。
珪素系負極活物質粒子の平均粒子径は、炭素被覆珪素系負極活物質粒子の体積平均粒子径と炭素被覆の厚さから求めることができる。
続いて、条件(2)について説明する。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質は、上記被覆用樹脂が、1つの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体(A)と重合性不飽和二重結合を2つ以上有する架橋性単量体(B)とを含む単量体組成物の重合体(P)である。
1つの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体(A)としては、下記一般式(1)で示されるエステル化合物(a1)、下記一般式(1)においてRが炭素数1〜7の直鎖又は分岐アルキル基であるエステル化合物(a2)、ヒドロキシ基含有ビニル化合物(a3)、カルボキシル基含有ビニル化合物(a4)、スルホン酸基含有ビニル化合物(a5)、炭素数5〜20の脂環式モノオール又は炭素数7〜20の芳香脂肪族モノオールと(メタ)アクリル酸から形成されるアルキル(メタ)アクリレート(a6)、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(炭素数2〜4)アルキル(炭素数1〜18)エーテル(メタ)アクリレート(a7)、窒素含有ビニル化合物(a8)、ビニルケトン(a9)、不飽和ジカルボン酸ジエステル(a10)、マクロモノマー(a11)等が挙げられる。
CH=C(R)COOR (1)
[Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数8〜24の直鎖又は分岐アルキル基である。]
なお、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物については、後述する架橋性単量体(B)に該当するため、ラジカル重合性単量体(A)には含まない。
エステル化合物(a1)としては、Rが炭素数8〜24の直鎖アルキル基であるエステル化合物(a1−1)とRが炭素数8〜24の分岐アルキル基であるエステル化合物(a1−2)が挙げられる。
(a1−1)Rが炭素数8〜24の直鎖アルキル基であるエステル化合物
炭素数8〜24の直鎖アルキル基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基が挙げられる。
(a1−2)Rが炭素数8〜24の分岐アルキル基であるエステル化合物
炭素数8〜24の分岐アルキル基としては、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,2−ジメチルヘキシル基、1,3−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、3−メチルオクチル基、4−メチルオクチル基、5−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、7−メチルオクチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1,2−ジメチルヘプチル基、1,3−ジメチルヘプチル基、1,4−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチルヘプチル基、1,6−ジメチルヘプチル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、1−メチルノニル基、2−メチルノニル基、3−メチルノニル基、4−メチルノニル基、5−メチルノニル基、6−メチルノニル基、7−メチルノニル基、8−メチルノニル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,2−ジメチルオクチル基、1,3−ジメチルオクチル基、1,4−ジメチルオクチル基、1,5−ジメチルオクチル基、1,6−ジメチルオクチル基、1,7−ジメチルオクチル基、1−エチルオクチル基、2−エチルオクチル基、1−メチルデシル基、2−メチルデシル基、3−メチルデシル基、4−メチルデシル基、5−メチルデシル基、6−メチルデシル基、7−メチルデシル基、8−メチルデシル基、9−メチルデシル基、1,1−ジメチルノニル基、1,2−ジメチルノニル基、1,3−ジメチルノニル基、1,4−ジメチルノニル基、1,5−ジメチルノニル基、1,6−ジメチルノニル基、1,7−ジメチルノニル基、1,8−ジメチルノニル基、1−エチルノニル基、2−エチルノニル基、1−メチルウンデシル基、2−メチルウンデシル基、3−メチルウンデシル基、4−メチルウンデシル基、5−メチルウンデシル基、6−メチルウンデシル基、7−メチルウンデシル基、8−メチルウンデシル基、9−メチルウンデシル基、10−メチルウンデシル基、1,1−ジメチルデシル基、1,2−ジメチルデシル基、1,3−ジメチルデシル基、1,4−ジメチルデシル基、1,5−ジメチルデシル基、1,6−ジメチルデシル基、1,7−ジメチルデシル基、1,8−ジメチルデシル基、1,9−ジメチルデシル基、1−エチルデシル基、2−エチルデシル基1−アルキルアルキル基[1−メチルドデシル基、1−ブチルエイコシル基、1−ヘキシルオクタデシル基、1−オクチルヘキサデシル基、1−デシルテトラデシル基、1−ウンデシルトリデシル基等]、2−アルキルアルキル基[2−メチルドデシル基、2−ヘキシルオクタデシル基)、2−オクチルヘキサデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ウンデシルトリデシル基等]、3〜22−アルキルアルキル基(3−アルキルアルキル基、4−アルキルアルキル基、5−アルキルアルキル基、20−アルキルアルキル基、21−アルキルアルキル基及び22−アルキルアルキル基等)、並びに、プロピレンオリゴマー(3〜8量体)、エチレン/プロピレン(モル比10/1〜1/7)オリゴマー、イソブチレンオリゴマー(5〜6量体)及びα−オレフィン(炭素数5〜12)オリゴマー(2〜4量体)等から得られるオキソアルコールから水酸基を除いた残基のような1又はそれ以上の分岐アルキル基を含有する混合アルキル基等が挙げられる。
これらの中では、特に、2−エチルヘキシル基及びオクチルヘキサデシル基が好ましい。
上記一般式(1)で表されるエステル化合物(a1)としては、例えば、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルヘキサデシルメタクリレート等が挙げられる。
上記一般式(1)においてRが炭素数1〜7の直鎖又は分岐アルキル基であるエステル化合物(a2)としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシ基含有ビニル化合物(a3)としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基含有ビニル化合物(a4)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等の炭素数3〜15のモノカルボン酸が挙げられる。
スルホン酸基含有ビニル化合物(a5)としては、2−スルホエチルアクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、スルホメチルアクリレート、スルホメチルメタクリレート等が挙げられる。これらは、カリウム塩、ナトリウム塩等の塩であってもよい。
(a6)炭素数5〜20の脂環式モノオール又は炭素数7〜20の芳香脂肪族モノオールと(メタ)アクリル酸から形成されるアルキル(メタ)アクリレート
上記モノオールとしては、(i)脂環式モノオール(シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等)、(ii)芳香脂肪族モノオール(ベンジルアルコール等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(a7)ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(炭素数2〜4)アルキル(炭素数1〜18)エーテル(メタ)アクリレートとしては、メタノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)10モル付加物(メタ)アクリレート、メタノールのプロピレンオキサイド(以下POと略記)10モル付加物(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(a8)窒素含有ビニル化合物
(a8−1)アミド基含有ビニル化合物としては、炭素数3〜30の(メタ)アクリルアミド化合物、例えばN,N−ジアルキル(炭素数1〜6)又はジアラルキル(炭素数7〜15)(メタ)アクリルアミド(N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド等)、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
(a8−2)(メタ)アクリレート化合物としては、(i)ジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数1〜4)(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]、(ii)4級アンモニウム基含有(メタ)アクリレート{3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等}等が挙げられる。
(a8−3)ニトリル基含有ビニル化合物としては、炭素数3〜15のニトリル基含有ビニル化合物、例えば(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアルキル(炭素数1〜4)アクリレート等が挙げられる。
(a9)ビニルケトンとしては、脂肪族ビニルケトン(炭素数4〜25、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン)、芳香族ビニルケトン(炭素数9〜21、例えばビニルフェニルケトン)等が挙げられる。
(a10)不飽和ジカルボン酸ジエステルとしては、炭素数4〜34の不飽和ジカルボン酸ジエステル、例えばジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数1〜22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数1〜22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)等が挙げられる。
(a11)マクロモノマーとしては、ω−(メタ)アクリロイルオキシポリ水添ブタジエン、ω−(メタ)アクリロイルオキシポリスチレン、ω−(メタ)アクリロイルオキシポリメチル(メタ)アクリレート、ω−(メタ)アクリロイルオキシポリブチルアクリレート、ω−(メタ)アクリロイルオキシポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
架橋性単量体(B)としては、2つ以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物が挙げられ、例えば、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジメタクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。重合性不飽和二重結合を有する官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
単量体組成物に含まれる架橋性単量体(B)の重量割合は、単量体組成物の合計重量に基づいて0.5重量%以下であることが望ましい。
単量体組成物に含まれる架橋性単量体(B)の重量割合が、単量体組成物の合計重量に基づいて0.5重量以下であると、架橋性単量体(B)の割合が少ないため、重合体(P)が網目構造を形成せず、重合体(P)の柔軟性がより維持されやすくなる。
単量体組成物に含まれる架橋性単量体(B)の重量割合は、単量体組成物の合計重量に基づいて0.1重量%以上であることが望ましい。
単量体組成物に含まれる架橋性単量体(B)の重量割合が、単量体組成物の合計重量に基づいて0.1重量%以上であると、重合体(P)の架橋密度が最適化され、重合体(P)の電解液等の溶媒との親和性がより好ましいものとなる。
架橋性単量体(B)の分子量は、特に限定されないが、100〜600であることが望ましく、100〜300であることがより望ましい。
架橋性単量体(B)が有する重合性不飽和二重結合の数は、2個以上であればよいが、2〜6個であることが望ましい。
重合体(P)を構成する単量体組成物には、上記ラジカル重合性単量体(A)及び架橋性単量体(B)の他に、重合体(P)の物性を損なわない範囲で、ラジカル重合性単量体(A)、架橋性単量体(B)と共重合可能であるその他の単量体(C)が含まれていてもよい。
その他の単量体(C)としては、カルボキシル基又は酸無水物基を有するモノマー(c1)、活性水素を含有しない下記のモノマー(c21)〜(c24)等が挙げられる。
カルボキシル基又は酸無水物基を有するモノマー(c1)としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の炭素数4〜24のジカルボン酸;アコニット酸等の炭素数6〜24の3価〜4価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸等が挙げられる。
(c21)窒素含有ビニル化合物としては、以下のものが挙げられる。
(c21−1)複素環含有ビニル化合物
ピリジン化合物(炭素数7〜14、例えば2−又は4−ビニルピリジン)、イミダゾール化合物(炭素数5〜12、例えばN−ビニルイミダゾール)、ピロール化合物(炭素数6〜13、例えばN−ビニルピロール)、ピロリドン化合物(炭素数6〜13、例えばN−ビニル−2−ピロリドン)
(c21−2)その他の窒素含有ビニル化合物
ニトロ基含有ビニル化合物(炭素数8〜16、例えばニトロスチレン)等
(c22)ビニル炭化水素としては、以下のものが挙げられる。
(c22−1)脂肪族ビニル炭化水素
炭素数2〜18又はそれ以上のオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン等)、炭素数4〜10又はそれ以上のジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等)等
(c22−2)脂環式ビニル炭化水素
炭素数4〜18又はそれ以上の環状不飽和化合物、例えばシクロアルケン(例えばシクロヘキセン)、(ジ)シクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン]、テルペン(例えばピネン及びリモネン)、インデン
(c22−3)芳香族ビニル炭化水素
炭素数8〜20又はそれ以上の芳香族不飽和化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン
(c23)ビニルエステルとしては、脂肪族ビニルエステル[炭素数4〜15、例えば脂肪族カルボン酸(モノ−又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメトキシアセテート)]、芳香族ビニルエステル[炭素数9〜20、例えば芳香族カルボン酸(モノ−又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えばビニルベンゾエート、ジアリルフタレート、メチル−4−ビニルベンゾエート)、脂肪族カルボン酸の芳香環含有エステル(例えばアセトキシスチレン)]等が挙げられる。
(c24)ビニルエーテルとしては、脂肪族ビニルエーテル[炭素数3〜15、例えばビニルアルキル(炭素数1〜10)エーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル等)、ビニルアルコキシ(炭素数1〜6)アルキル(炭素数1〜4)エーテル(ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル等)、ポリ(2〜4)(メタ)アリロキシアルカン(炭素数2〜6)(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等)]、芳香族ビニルエーテル(炭素数8〜20、例えばビニルフェニルエーテル、フェノキシスチレン)等が挙げられる。
続いて、条件(3)について説明する。
ラジカル重合性単量体(A)は、下記一般式(1)で示されるエステル化合物(a1)を含む。
CH=C(R)COOR (1)
[Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数8〜24の直鎖又は分岐アルキル基である。]
単量体組成物に含まれるエステル化合物(a1)の重量割合は、特に限定されないが、被覆用樹脂の柔軟性の観点から、単量体組成物の合計重量に基づいて80重量%以上であることが好ましい。
続いて、条件(4)について説明する。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質は、上記重合体(P)の飽和吸液状態での引張破断伸び率が200%を超えて800%未満である。
重合体(P)の飽和吸液状態での引張破断伸び率が上記範囲であると、被覆用樹脂が充分な柔軟性を有するため、リチウムイオン電池用活物質粒子が膨張・収縮した場合に生じる体積変化に合わせて伸び縮みすることができるので、電極の体積変化を緩和するだけでなく、珪素系負極活物質粒子の表面にある炭素被覆の剥離を抑制することができる。そのため、サイクル特性に優れたリチウムイオン電池用被覆活物質とすることができる。
重合体(P)の飽和吸液状態での引張破断伸び率が200%以下の場合、被覆用樹脂の柔軟性が低く、膨張する活物質粒子に合わせて充分延びることができなくなり、炭素被覆の剥離を抑制する効果が充分でないことがある。一方、重合体(P)の飽和吸液状態での引張破断伸び率が800%以上である場合、被覆用樹脂の柔軟性が高すぎて、収縮する活物質粒子に合わせて縮むことができず、炭素被覆の剥離を充分に抑えられないことがある。
炭素被覆の剥離防止の観点から、上記重合体(P)の飽和吸液状態での引張破断伸び率は300%以上550%以下が好ましい。
なお、飽和吸液状態とは、それ以上電解液に浸漬しても被覆用樹脂の重量が増えない状態をいう。
飽和吸液状態での引張破断伸び率は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)を体積割合でEC:PC=1:1で混合した混合溶媒に、電解質としてLiPFを1mol/Lの濃度になるように溶解した電解液に、重合体(P)を50℃で3日間浸漬させて飽和吸液状態とし、浸漬後の重合体(P)をダンベル状に打ち抜き、その後にASTM D683(試験片形状TypeII)に準拠して引張試験を行うことにより測定することができる。引張破断伸び率は、引張試験において試験片が破断するまでの伸び率を下記式によって算出した値である。
引張破断伸び率(%)=[(破断時試験片長さ−試験前試験片長さ)/試験前試験片長さ]×100
重合体(P)の飽和吸液状態での引張破断伸び率を上記範囲に調整する方法としては、例えば、重合体(P)の架橋点間分子量を15000〜70000に調整する方法が挙げられる。重合体(P)の飽和吸液状態での引張破断伸び率と、重合体(P)の架橋点間分子量との間には一定の相関がみられるためである。
架橋点間分子量は、下記の数式(1)により計算される。
Figure 2019009124
上記数式(1)において、Mはラジカル重合性単量体(i)の分子量であり、Fは架橋性単量体(j)が有する重合性不飽和二重結合の数であり、ラジカル重合性単量体(i)は上記ラジカル重合性単量体(A)を構成するn個の分子のうちの1つ(i番目の分子)(n≧i)を意味し、架橋性単量体(j)は上記架橋性単量体(B)を構成するm個の分子のうちの1つ(j番目の分子)(m≧j)を意味する。
重合体(P)の架橋点間分子量が15000未満であると、重合体(P)の架橋密度が大きいため被覆用樹脂の柔軟性が低下し、飽和吸液状態での引張破断伸び率の値が200%以下となりやすい。炭素被覆と被覆用樹脂との密着性が低下して剥離が起こりやすくなる。さらに、被覆用樹脂の柔軟性が低下するために、本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質を用いて電極を作製する際に、被覆用樹脂が活物質の体積変化に合わせて伸び縮みすることが充分にできないことがある。一方、重合体(P)の架橋点間分子量が70000を超える場合、架橋密度が低すぎるため、重合体(P)が電解液に溶解してしまうことや、飽和吸液状態での引張破断伸び率の値が800%以上となってしまうことがある。
重合性不飽和二重結合を2つ有する架橋性単量体(B)を用いた重合体(P)を得る反応を単純化したものとしては、例えば、架橋性単量体(B)の持つ不飽和二重結合(架橋点ともいう)のそれぞれを始点として、1つの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体(A)(単官能単量体ともいう)が重合して単官能単量体の連鎖体(単官能単量体連鎖体ともいう)が2本形成される反応を考えることができる。ここで、重合体(P)が網目構造を作らない[すなわち、1つの単官能単量体連鎖体の両末端に架橋点がある場合、該単官能単量体連鎖体を介して接続されている2つの架橋点が、該単官能単量体連鎖体以外の単官能単量体連鎖体を介して接続されていない場合]と仮定した場合、架橋点間分子量は、架橋性単量体が有する架橋点から延びる単官能単量体連鎖体の分子量の平均値と考えることができる。
なお、本発明で用いる重合体(P)の架橋点間分子量は充分に大きく、重合体(P)を構成する単量体組成物に占める架橋性単量体(B)の割合が小さいため、本発明において重合体(P)が網目構造を作らないと仮定することに問題はない。
そして、架橋性単量体(B)が有する架橋点から延びる単官能単量体連鎖体の分子量の平均値は、上記数式(1)で表わすことができる。
なお、単官能単量体連鎖体の分子量は、単官能単量体連鎖体の始点である架橋点から単官能単量体連鎖体の末端までの分子量であるが、単官能単量体連鎖体の末端には別の架橋性単量体が有する架橋点に結合する場合と、架橋点に結合していない場合とが含まれる。
上記数式(1)で計算される架橋点間分子量について具体例を挙げて説明する。
分子量100の単官能単量体999個と2官能性の架橋性単量体1個が共重合する場合、1つの架橋点から2本の単官能単量体連鎖体が形成されるため、2つの架橋点を有する架橋性単量体からは合計4本の単官能単量体連鎖体が形成される。そして、1本の重合鎖の平均分子量は、単官能単量体連鎖体の数で単官能単量体の合計重量を割った値であるから、(100×999)÷4≒25000になる。
また、分子量100の単官能単量体499個と分子量150の単官能単量体500個と3官能性の架橋性単量体が共重合する場合では、架橋性単量体からは合計6本の単官能単量体連鎖体が形成され、1本の単官能単量体連鎖体の平均分子量は(100×499+150×500)÷6≒20800と考えることができる。
分子量100の単官能単量体998個と2官能性の架橋性単量体2個が共重合する場合において、上記仮定に基づいて架橋点間分子量を考える。
1つの架橋性単量体から4本の単官能単量体連鎖体が形成されるが、1本の単官能単量体連鎖体は2つの架橋点が共有する(すなわち単官能単量体連鎖体の両末端に架橋点がある)ことになり、形成される分子鎖は7本になり、この場合架橋点間分子量は、100×998÷{(2×2)×2−1}≒14200となる。同様に、分子量100の単官能単量体997個と2官能性の架橋性単量体3個が共重合する場合には、2本の単官能単量体連鎖体にはその両末端に架橋点が存在することになり、形成される分子鎖は10本になる。そして架橋点間分子量は、100×997÷{(2×2)×3−2}≒10000となる。すなわち架橋点で共有される分子鎖は「(架橋性単量体の個数)−1」で表すことができる。
分子量100の単官能単量体998個と2官能性の架橋性単量体1個と3官能性の架橋性単量体1個が共重合する場合には、2官能性の架橋性単量体は4本の単官能単量体連鎖体が、3官能性の架橋性単量体からは6本の単官能単量体連鎖体が形成される。そして、上記の仮定に従えば、この単官能単量体連鎖体のうち1本はその両末端に架橋点を持ち、形成される単官能単量体連鎖体の合計は9本になる。そして、この場合の架橋点間分子量は100×998÷{(2×2)×1+(2×3)×1−((1+1)−1)}≒14200となる。
同様に、分子量100の単官能単量体499個と分子量150の単官能単量体499個と2官能性の架橋単量体1個と3官能性の架橋性単量体1個との共重合体では、架橋点間分子量は(100×499+150×499)÷{(2×2)×1+(2×3)×1−((1+1)−1)}≒13900となる。
重合体(P)の重量平均分子量の好ましい下限は、電解液への溶解性を低下させる観点から、3,000、より好ましくは10,000、さらに好ましくは50,000、特に好ましくは80,000であり、好ましい上限は、被覆層を形成する際のハンドリング性の観点から、2,000,000、より好ましくは1,000,000、さらに好ましくは500,000、特に好ましくは200,000である。
重合体(P)の重量平均分子量は、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記)測定により求めることができる。
装置:Alliance GPC V2000(Waters社製)
溶媒:オルトジクロロベンゼン
標準物質:ポリスチレン
検出器:RI
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED−B 2本直列(ポリマーラボラトリーズ社製)
カラム温度:135℃
重合体(P)の表面自由エネルギー(表面張力ともいう)の値は、特に限定されないが、リチウムイオン電池用活物質粒子との親和性の観点から、20〜25mJ/mであることが好ましい。
表面自由エネルギーは重合体(P)の構成単量体や重量平均分子量を変えることで調整することができる。例えば、カルボン酸やスルホン酸基などの極性を有するモノマーの組成比を小さくする、又は、ハイドロカーボン基や一部フッ素に置換されたハイドロフルオロカーボン基を側鎖に有するモノマーの組成比を大きくする等の方法で、表面自由エネルギーを小さくできる。また、ポリマーの重量平均分子量(Mw)を大きくすることで表面自由エネルギーを小さくできる。
重合体(P)の表面自由エネルギーの値γは、重合体(P)の表面に対する液体(L1)の接触角θL1並びに液体(L1)の表面自由エネルギーγL1、表面自由エネルギーの分散成分γL1 及び極性成分γL1 をそれぞれ以下の数式(2)に代入して得られる数式(2’)と、重合体(A)の表面に対する液体(L2)の接触角θL2並びに液体(L2)の表面自由エネルギーγL2、表面自由エネルギーの分散成分γL2 及び極性成分γL2 をそれぞれ以下の数式(3)に代入して得られる数式(3’)とにより重合体(P)の表面自由エネルギーの分散成分及び極性成分(γ 及びγ )を得て、以下の数式(4)に代入することより求められる。なお、重合体(P)の表面自由エネルギーを測定するのに用いられる液体(L1及びL2)としては、水やジエチレングリコール等の、表面自由エネルギー並びに該表面自由エネルギーの分散成分及び極性成分が既知のものであることが好ましい。
なお、水及びジエチレングリコールの表面自由エネルギーはJ.Appl.Polym.Sci. 76, 1831−1845 (2000)に記載された20℃における表面自由エネルギーの分散成分と極性成分の値を使用することができる。
Figure 2019009124
Figure 2019009124
Figure 2019009124
重合体(P)の電解液に浸漬した際の吸液率は特に限定されないが、5%以上であることが好ましい。
電解液に浸漬した際の吸液率は、電解液に浸漬する前、浸漬した後の重合体(P)の重量を測定して、以下の式で求められる。
吸液率(%)=[(電解液浸漬後の重合体(P)の重量−電解液浸漬前の重合体(P)の重量)/電解液浸漬前の重合体(P)の重量]×100
吸液率を求めるための電解液としては、好ましくはエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)を体積割合でEC:PC=1:1で混合した混合溶媒に、電解質としてLiPFを1mol/Lの濃度になるように溶解した電解液を用いる。
吸液率を求める際の電解液への浸漬は、飽和吸液状態での引張破断伸び率の測定と同様に、50℃、3日間行う。50℃、3日間の浸漬を行うことにより重合体(P)が飽和吸液状態となる。
なお、本発明のリチウムイオン電池用負極を製造する際、及び、本発明のリチウムイオン電池用負極を用いてリチウムイオン電池を製造する際に使用する電解液は、上記電解液に限定されるものではなく、他の電解液を使用してもよい。
吸液率が5%以上であると、リチウムイオンが重合体(P)を容易に透過することができるため、負極活物質層内でのイオン抵抗を低く保つことができる。吸液率は10%以上であることがより好ましい。
また、吸液率の好ましい上限値としては、200%であり、より好ましい上限値としては100%である。
被覆層を構成する重合体(P)の酸価は特に限定されないが、30以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。
被覆層を構成する重合体(P)の酸価が30以下であると、被覆用樹脂が優れた柔軟性を有するため、炭素被覆珪素系負極活物質粒子の充放電に伴い体積膨張に被覆層が追従し、炭素被覆の珪素系負極活物質粒子からの剥離を抑制することができる。
被覆層を構成する重合体(P)のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、−30〜25℃であることが好ましく、−20〜20℃であることがより好ましく、−10〜10℃であることがさらに好ましい。被覆層を構成する重合体(P)のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であると、被覆層の活物質表面への接着性がさらに良好となり好ましい。
なお、重合体(P)のガラス転移温度(Tg)は、JIS K6240:2011 原料ゴム−示差走査熱量測定(DSC)によるガラス転移温度の求め方に準拠して測定される。
重合体(P)は、公知の重合開始剤{アゾ系開始剤[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル等)]、パーオキサイド系開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等)等}を使用して公知の重合方法(塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等)により製造することができる。
重合開始剤の使用量は、重量平均分子量を好ましい範囲に調整する等の観点から、モノマーの全重量に基づいて好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1.5重量%であり、重合温度及び重合時間は重合開始剤の種類等に応じて調整されるが、重合温度は好ましくは−5〜150℃、より好ましくは30〜120℃、反応時間は好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは2〜24時間で行われる。
溶液重合の場合に使用される溶媒としては、例えばエステル(炭素数2〜8、例えば酢酸エチル及び酢酸ブチル)、アルコール(炭素数1〜8、例えばメタノール、エタノール及びオクタノール)、炭化水素(炭素数4〜8、例えばn−ブタン、シクロヘキサン及びトルエン)及びケトン(炭素数3〜9、例えばメチルエチルケトン)が挙げられ、重量平均分子量を好ましい範囲に調整する等の観点から、その使用量はモノマーの合計重量に基づいて好ましくは5〜900重量%、より好ましくは10〜400重量%、さらに好ましくは30〜300重量%であり、モノマー濃度としては、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは30〜80重量%である。
乳化重合及び懸濁重合における分散媒としては、水、アルコール(例えばエタノール)、エステル(例えばプロピオン酸エチル)、軽ナフサ等が挙げられ、乳化剤としては、高級脂肪酸(炭素数10〜24)金属塩(例えばオレイン酸ナトリウム及びステアリン酸ナトリウム)、高級アルコール(炭素数10〜24)硫酸エステル金属塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、エトキシ化テトラメチルデシンジオール、メタクリル酸ジメチルアミノメチル等が挙げられる。さらに安定剤としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を加えてもよい。
溶液又は分散液のモノマー濃度は好ましくは5〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは15〜85重量%であり、重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%である。
重合に際しては、公知の連鎖移動剤、例えばメルカプト化合物(ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン等)及び/又はハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、四臭化炭素、塩化ベンジル等)を使用することができる。使用量はモノマーの全重量に基づいて好ましくは2重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下である。
また、重合反応における系内温度は好ましくは−5〜150℃、より好ましくは30〜120℃、さらに好ましくは50〜110℃、反応時間は好ましくは0.1〜50時間、より好ましくは2〜24時間であり、反応の終点は、未反応単量体の量を、使用した単量体全量の5重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。未反応単量体の量は、ガスクロマトグラフィー等の公知の定量方法を用いることにより確認できる。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質において、被覆層の炭素被覆に対する接着強度は特に限定されないが、電池反応時のリチウムイオン電池用活物質の体積変化に対する追従性向上の観点から、8N以上であることが好ましい。
なお、被覆層の炭素被覆に対する接着強度とは、被覆層を電解液で膨潤させた状態でJIS K 6854−1:1999に準拠して測定される、被覆層と炭素被覆との90度はく離接着強さを意味する。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質を製造する方法について説明する。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質を製造する方法としては、例えば、(1)炭素被覆形成工程、(2)樹脂被覆工程を経ることにより製造する方法が挙げられる。
(1)炭素被覆形成工程
炭素被覆形成工程では、珪素系負極活物質粒子の表面の少なくとも一部に炭素被覆を形成して炭素被覆珪素系負極活物質粒子を得る。
珪素系負極活物質粒子の表面に炭素被覆を形成する方法は特に限定されないが、例えば、熱CVD、プラズマCVD等の化学蒸着(CVD)、スパッタリング等の物理蒸着(PVD)等が挙げられる。
(2)樹脂被覆工程
樹脂被覆工程では、炭素被覆珪素系負極活物質粒子の表面の少なくとも一部に被覆用樹脂による被覆層を形成して樹脂被覆された炭素被覆珪素系負極活物質粒子を得る。
炭素被覆珪素系負極活物質粒子の表面に被覆層を形成する方法は特に限定されないが、炭素被覆珪素系負極活物質粒子と被覆層となる被覆用樹脂とを溶媒中で混合し、そこにさらに導電材料を加えて混合した後、脱溶媒する方法が挙げられる。
導電材料は、導電性を有する材料から選択され、具体的には、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、PAN系炭素繊維及びピッチ系炭素繊維等のカーボンファイバー、カーボンナノファイバー並びにカーボンナノチューブ、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]を用いることができる。
これらの導電材料は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電材料としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。グラフェンを練り込んだポリプロピレン樹脂も導電材料として好ましい。
導電材料の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、リチウムイオン電池用負極の電気特性の観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.02〜5μmであることがより好ましく、0.03〜1μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
導電材料の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、例えば、繊維状の導電材料であってもよい。
繊維状の導電材料としては、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維及び導電性炭素フィラー等が好ましいものとして挙げられる。
繊維状の導電材料の平均繊維径は、0.1〜20μmであることが好ましい。
被覆層が含有する被覆用樹脂と導電材料との合計重量の割合は、特に限定されるものではないが、炭素被覆珪素系負極活物質粒子の重量に対して25重量%以下であることが好ましい。
炭素被覆珪素系負極活物質粒子の重量に対する被覆用樹脂の重量の割合は、特に限定されないが、0.1〜20重量%であることが好ましい。
炭素被覆珪素系負極活物質粒子の重量に対する導電材料の重量の割合は、特に限定されないが、10重量%以下であることが好ましい。
続いて、本発明のリチウムイオン電池用負極について説明する。
本発明のリチウムイオン電池用負極は、本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質の非結着体からなる負極活物質層を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用負極を構成する負極活物質層は、本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質の非結着体からなる。
非結着体とは、負極活物質層を構成する活物質(すなわち、被覆用樹脂により被覆された炭素被覆珪素系負極活物質粒子)が結着剤(バインダともいう)により互いの位置を固定されていないことを意味する。
従来のリチウムイオン電池における負極活物質層は、負極活物質及び結着剤を溶媒中に分散させたスラリーを負極集電体等の表面に塗布し、加熱・乾燥させることにより製造されるため、負極活物質層は結着剤により固められた状態となっている。このとき、負極活物質は結着剤により互いに固定されており、負極活物質同士の位置が固定されている。そして、負極活物質層が結着剤により固められていると、充放電時の膨張・収縮によって負極活物質に過度の応力が係り、自壊しやすくなる。
さらに、負極活物質層が結着剤によって負極集電体の表面に固定されているため、負極活物質の充放電時の膨張・収縮によって結着剤により固められた負極活物質層に亀裂が生じたり、負極活物質層が負極集電体の表面から剥離、脱落してしまうことがある。さらには、負極活物質層の膨張・収縮によって負極の金属集電体が延伸され、金属集電体の均一性が損なわれるため、繰り返しの充放電により電池性能が低下することがあった。
一方、本発明のリチウムイオン電池用負極を構成する負極活物質層では、負極活物質層中の成分が互いに結着されておらず、位置も固定されていない。そのため、負極活物質の充放電時の膨張・収縮による自壊を抑制することができる。さらに、本発明のリチウムイオン電池用負極を構成する負極活物質層は、負極集電体表面に結着剤により固定されているわけではないため、負極活物質の充放電時の膨張・収縮によって負極活物質層に亀裂が生じたり、剥離することがないため、サイクル特性の劣化を抑制することができる。
従って、本発明のリチウムイオン電池用負極は、エネルギー密度及びサイクル特性に優れる。
本発明のリチウムイオン電池用負極を構成する負極活物質層は、樹脂被覆された炭素被覆珪素系負極活物質粒子以外にも、炭素系負極活物質や導電助剤等を含んでいてもよい。
負極活物質層は、さらに炭素系負極活物質を含んでいてもよい。
炭素系負極活物質は、炭素系負極活物質そのものであってもよく、該炭素系負極活物質の表面の少なくとも一部が被覆用樹脂を含んでなる被覆層により被覆された炭素系被覆負極活物質であってもよいが、炭素系被覆負極活物質であることが好ましい。
被覆層を構成する被覆用樹脂としては、被覆層を構成する被覆用樹脂と同じものを好適に用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池用負極において、樹脂被覆された炭素被覆珪素系負極活物質粒子と炭素系負極活物質の合計重量に対する、樹脂被覆された炭素被覆珪素系負極活物質粒子の重量割合は、10〜80%であることが好ましい。
炭素系負極活物質としては、炭素系材料[例えば黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)]、又は、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物)及び金属合金(リチウム−スズ合金、リチウム−アルミニウム合金、アルミニウム−マンガン合金等)等と炭素系材料との混合物等が挙げられる。上記炭素系負極活物質のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、内部の一部又は全部に、リチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施していてもよい。
炭素系負極活物質の体積平均粒子径は、リチウムイオン電池用負極の電気特性の観点から、0.01〜40μmが好ましく、0.1〜25μmであることがより好ましく、2〜20μmであることがさらに好ましい。
本明細書において、炭素系負極活物質の体積平均粒子径は、珪素系負極活物質粒子の場合と同様に、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。
負極活物質層は、さらに導電助剤を含んでいてもよい。
なお、導電助剤は負極活物質層に添加してもよい任意成分であり、被覆層の任意成分である導電材料とは区別される。
導電助剤としては、被覆層の任意成分である導電材料と同様のものを好適に用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池用負極を製造する際には、例えば、本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質を、分散媒(水、電解液又は溶剤)の重量に基づいて30〜60重量%の濃度で分散してスラリー化した分散液を、集電体にバーコーター等の塗工装置で塗布後、分散媒として水又は溶剤を使用した場合には、乾燥させることによって、分散媒として電解液を用いた場合には、過剰の電解液をスポンジ等の吸収体に吸収させたり、メッシュを介して吸引することよって分散媒を除去して、必要によりプレス機でプレスすればよい。上記分散液には、必要に応じて導電材料を添加してもよい。
上記分散液には、必要に応じて公知のリチウムイオン電池用の負極に含まれる公知の電極用バインダ[ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等]を添加してもよいが、このような電極用バインダは添加しないことが好ましい。負極活物質として被覆活物質を用いていない従来公知のリチウムイオン電池用の負極においては、電極用バインダで負極活物質を負極内に固定することで導電経路を維持する必要がある。しかし、本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質を用いた場合は、被覆層の働きによって負極活物質を負極内に固定することなく導電経路を維持することができるため、電極用バインダを添加する必要がない。電極用バインダを添加しないことによって、負極活物質が負極内に固定化されないため負極活物質の体積変化に対する緩和能力が更に良好となる。
なお、電極の製造に用いる導電助剤は、被覆層の任意成分である導電材料とは異なり、被覆活物質が有する被覆層の外部に存在し、活物質層中において被覆活物質表面からの電子伝導性を向上する機能を有する。
分散媒のうち、水としては、イオン交換水及び超純水等が挙げられる。
分散媒のうち、電解液としては、本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質を含む負極を用いてリチウムイオン電池を作製する際に使用する電解液(後述する)と同じものを用いることができる。
分散媒のうち、溶剤としては、本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質を含む負極を用いてリチウムイオン電池を作製する際に使用する電解液を構成する非水溶媒と同じものを用いることができ、これらの他にも、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルアミノプロピルアミン等を用いることができる。
集電体としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼及びニッケル等の金属箔、導電性高分子からなる樹脂集電体(特開2012−150905号公報等に記載されている)、導電性炭素シート及び導電性ガラスシート等が挙げられる。
電極用バインダとしてはデンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等が挙げられる。
以上の工程により、本発明のリチウムイオン電池用負極を製造することができる。
電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び溶媒を含有する電解液を使用することができる。
電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、好ましいものとしては、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF及びLiClO等の無機酸のリチウム塩系電解質、LiN(FSO、LiN(CFSO及びLiN(CSO等のフッ素原子を有するスルホニルイミド系電解質、LiC(CFSO等のフッ素原子を有するスルホニルメチド系電解質等が挙げられる。
電解液の電解質濃度としては、特に限定されないが、電解液の取り扱い性及び電池容量の観点から、0.1〜5mol/Lであることが好ましく、0.5〜4mol/Lであることがより好ましく、1〜3mol/Lであることがさらに好ましい。
溶媒としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン等及びこれらの混合物を用いることができる。
ラクトン化合物としては、5員環(γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等)及び6員環のラクトン化合物(δ−バレロラクトン等)等を挙げることができる。
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2−エトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン、2−トリフルオロエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン及び2−メトキシエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)等が挙げられる。スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等の鎖状スルホン及びスルホラン等の環状スルホン等が挙げられる。
溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒のうち、リチウムイオン電池の出力特性及びサイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルである。更に好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、特に好ましいのは環状炭酸エステル又は環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。最も好ましいのはエチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合液、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液である。
続いて、任意構成である負極集電体について説明する。
負極集電体を構成する材料としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル及びこれらの合金等の金属材料、並びに、焼成炭素、電気伝導性高分子材料、導電性ガラス等が挙げられる。なかでも、軽量化、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅及び電気伝導性高分子材料である。電気伝導性高分子材料には、電子伝導性を有する分子骨格を有する高分子(導電性高分子ともいう)、及び、電子伝導性を有さない高分子と導電剤との混合物が含まれる。
負極集電体の形状は特に限定されず、上記の材料からなるシート状の集電体、及び、上記の材料で構成された微粒子からなる堆積層であってもよい。
負極集電体の厚さは、特に限定されないが、50〜500μmであることが好ましい。
導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリピロール及びポリアニリン等が挙げられる。
導電剤としては、被覆層の任意成分である導電材料と同様のものを好適に用いることができる。
電気伝導性高分子材料を構成する電子伝導性を有さない高分子としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
これらのなかでも、電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
本発明のリチウムイオン電池用負極を用いてリチウムイオン電池を作製する際には、対極となる電極を組み合わせて、セパレータと共にセル容器に収容し、電解液を注入し、セル容器を密封する方法等により製造することができる。
また、集電体の一方の面に正極を形成し、もう一方の面に負極を形成して双極型電極を作製し、双極型電極をセパレータと積層してセル容器に収容し、電解液を注入し、セル容器を密閉することでも得られる。
セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン製フィルムの微多孔膜、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等の公知のリチウムイオン電池用セパレータが挙げられる。
セル容器に注入する電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び非水溶媒を含有する公知の電解液を使用することができる。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
<製造例1:炭素繊維の作製>
Eiichi Yasuda,Asao Oya,Shinya Komura,Shigeki Tomonoh,Takashi Nishizawa,Shinsuke Nagata,Takashi Akatsu、CARBON、50、2012、1432−1434及びEiichi Yasuda,Takashi Akatsu,Yasuhiro Tanabe,Kazumasa Nakamura,Yasuto Hoshikawa,Naoya Miyajima、TANSO、255、2012、254〜265頁の製造方法を参考にして下記の方法で炭素繊維を製造した。
炭素前駆体として合成メソフェーズピッチAR・MPH[三菱ガス化学(株)製]10重量部とポリメチルペンテンTPX RT18[三井化学(株)製]90重量部を、バレル温度310℃、窒素雰囲気下で一軸押出機を用いて溶融混練し、樹脂組成物を調製した。
上記樹脂組成物を390℃で溶融押出し紡糸した。紡糸した樹脂組成物を電気炉に入れ、窒素雰囲気下270℃で3時間保持し炭素前駆体を安定化させた。ついで、電気炉を1時間かけて500℃まで昇温し、500℃で1時間保持し、ポリメチルペンテンを分解除去した。電気炉を2時間かけて1000℃まで昇温し1000℃で30分間保持し、残った安定化させた炭素前駆体を導電性繊維とした。
得られた導電性繊維90重量部、水500重量部とφ0.1mmのジルコニアボール1000重量部をポットミル容器に入れ5分間粉砕した。ジルコニアボールを分級後、100℃で乾燥し、炭素繊維を得た。
SEMでの測定結果より、炭素繊維の平均繊維径は0.3μmであり、平均繊維長は26μmであり、アスペクト比は87であった。また、炭素繊維の電気伝導度は600mS/cmであった。
<実施例1>
[被覆用樹脂溶液の作製]
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコにトルエン167.2部を仕込み75℃に昇温した。次いで、2−エチルヘキシルメタクリレート99.6部及びヘキサメチレングリコールジメタクリレート0.4部を配合したモノマー配合液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.2部をトルエン9.3部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、75℃で反応を1時間継続した。次いで2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.05部をトルエン9.3部に溶解した開始剤溶液をさらに加えて、80℃に昇温し反応を3時間継続し樹脂固形分濃度35重量%の重合体溶液(被覆用樹脂溶液)を得た。
得られた重合体(被覆用樹脂)の重量平均分子量(Mw)は292000、架橋点間分子量は25000、酸価は0であった。
[架橋点間分子量の計算]
使用した単量体の分子量、使用量等を上記数式(1)に当てはめ、重合体の架橋点間分子量を測定した。結果を表1に示す。
[表面自由エネルギーの測定]
得られた重合体溶液を水平なガラス板上に塗布して室温で半日自然乾燥を行った。次に80℃に加熱した減圧乾燥機中に3時間静置した後、室温まで冷却して測定用試料を作製した。続いて、測定装置として協和界面化学(株)製 動的接触角測定器「DMo−701」を用いて、重合体に対する水及びジエチレングリコールの接触角を測定した。得られた接触角の値と、水及びジエチレングリコールの表面自由エネルギー、表面自由エネルギーの分散成分及び極性成分の文献値をそれぞれ上記数式(2)、(3)及び(4)に当てはめ、重合体の表面自由エネルギーを計算した。結果を表1に示す。
[ガラス転移温度の測定]
表面自由エネルギーの測定に用いた試料と同様に調製した測定用試料10mgをアルミ製測定用容器に採取し、JIS K6240:2011[原料ゴム−示差走査熱量測定(DSC)によるガラス転移温度の求め方]に準拠し、TA Instruments 製DSC「Q2000」を使用して−50℃から60℃まで20℃/分の速度で昇温して重合体のガラス転移温度を測定した。結果を表1に示す。
[剥離強度の測定]
(測定用サンプルの作製)
厚さ100μmのアルミ箔上に[炭素被覆珪素系負極活物質粒子の作製]と同様の条件で炭素被覆を形成し、該炭素被覆上に、各実施例及び比較例の[被覆用樹脂溶液の作製]で準備された被覆用樹脂溶液を塗布し乾燥させ、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率1:1)に電解質としてLiPFを1mol/Lの濃度になるように溶解して作製した電解液に、50℃で3日間含浸させることにより、炭素被覆上に厚さ100μmの電解液により膨潤した被覆用樹脂層が形成された測定用サンプルを準備した。
各測定用サンプルを90度ピール試験台を治具に用いた(株)島津製作所製オートグラフ「AGS−X」にセットし、JIS K 6854−1:1999に準拠して、1.3mm/分の引張速度で90度はく離接着強さを測定した。結果を表1に示す。
[飽和吸液状態での引張破断伸び率の測定]
重合体溶液を水平なガラス板上に塗布して室温で半日自然乾燥を行った。次に80℃に加熱した減圧乾燥機中に3時間静置した後、室温まで冷却し、厚さが0.5mmの平板状の被覆用樹脂を作製した。続いて、上記電解液に50℃で3日間浸漬した後、ダンベル状に打ち抜いて試験片を準備し、(株)島津製作所製オートグラフ「AGS−X」を用いてASTM D683(試験片形状TypeII)に準拠して300mm/分の引っ張り速度で引張試験を行い、下記式によって被覆用樹脂の引張破断伸び率を測定した。結果を表1に示す。
引張破断伸び率(%)=[(破断時試験片長さ−試験前試験片長さ)/試験前試験片長さ]×100
[膨潤率の測定]
重合体溶液を水平なガラス板上に塗布して室温で半日自然乾燥を行った。次に80℃に加熱した減圧乾燥機中に3時間静置した後、室温まで冷却した後、10×40×0.2mmの寸法に切り出した被覆用樹脂を試験片とし、この試験片を上記電解液に50℃で3日間浸漬させて飽和吸液状態の被覆用樹脂を準備した。
試験片の吸液前後の体積変化から下記式によって膨潤率を求めた。結果を表1に示す。
膨潤率[%]=[(吸液後の試験片重量−吸液前の試験片重量)/吸液前の試験片重量]×100
[炭素被覆珪素系負極活物質粒子の作製]
酸化珪素粒子(体積平均粒子径5μm)を横型加熱炉中に入れ、横型加熱炉内にメタンガスを通気しながら1100℃/1000Pa、平均滞留時間約2時間の化学蒸着操作を行い、炭素含有量が2重量%で、表面が炭素で被覆された、炭素被覆珪素系負極活物質粒子を得た。
得られた炭素被覆珪素系負極活物質粒子の体積平均粒子径は、5μmであった。
[樹脂被覆された炭素被覆珪素系負極活物質粒子の作製]
炭素被覆珪素系負極活物質粒子51.5部を万能混合機に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、上記被覆用樹脂溶液4.28部、トルエン2.93部、導電材料としてのアセチレンブラック[デンカ(株)製]5.0部を投入して5分撹拌した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去し、樹脂被覆された炭素被覆珪素系負極活物質粒子を得た。
[分散液の調製]
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiPFを1mol/Lの割合で溶解させて作製した電解液95.05部に樹脂被覆された炭素被覆珪素系負極活物質粒子3.2部、炭素系負極活物質である難黒鉛化性炭素粉末[(株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製 体積平均粒子径18μm]1.5部、を添加した後、遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて1000rpmで5分間混合して、分散液(負極活物質スラリー)を作製した。
[負極活物質層の作製]
得られた負極活物質スラリーをφ15mmのマスクを装着したφ23mmのアラミド不織布(日本バイリーン製、2415R)上に目付量が39.4mg/cmとなるように滴下し、裏面から吸引濾過(減圧)することでアラミド不織布上に積層し、さらに5MPaの圧力で約10秒プレスすることでリチウムイオン電池用負極活物質層を作製した。
[正極活物質層の作製]
製造例1で得られた炭素繊維2部と正極活物質粒子としてのLiNi0.8Co0.15Al0.05粉末98部を上記電解液と混合して、φ15mmのマスクを載せたφ23mmのステンレス製メッシュ[サンネット工業(株)製 SUS316綾畳織2300メッシュ]上に目付量78mg/cmとなるように滴下し、裏面から吸引濾過(減圧)することにより、正極活物質粒子と炭素繊維をステンレス製メッシュ上に定着させてリチウムイオン電池用正極活物質層を作製した。
[リチウムイオン電池の作製]
端子(5mm×3cm)付き銅箔(3cm×3cm、厚さ17μm)と端子(5mm×3cm)付きカーボンコート付きアルミ箔(3cm×3cm、厚さ21μm)を、同じ方向に2つの端子が出る向きで順に積層し、それを2枚の市販の熱融着型アルミラミネートフィルム(10cm×8cm)に挟み、端子の出ている1辺を熱融着し、ラミネートセルを作製した。
作製した負極活物質層からアラミド不織布を剥がし、ラミネートセルの銅箔上に配置し、
電解液を100μL添加した。セパレータ(5cm×5cm、厚さ23μm、セルガード2500 ポリプロピレン製)を負極活物質層上に配置し、電解液を100μL添加した。作製した正極活物質層からステンレス製メッシュを剥がし、セパレータを介して負極活物質層に対向するように積層し、電解液を100μL添加した。さらに正極活物質層にラミネートセルのアルミ箔を被せ、ラミネートセルの先に熱融着した1辺に直交する2辺をヒートシールした。その後、真空シーラーを用いてセル内を真空にしながら開口部をヒートシールすることでラミネートセルを密封し、本発明のリチウムイオン電池用負極を有する実施例1に係るリチウムイオン電池を得た。
<実施例2>
[被覆用樹脂溶液の作製]において、2−エチルヘキシルメタクリレートの使用量を99.7部に変更し、ヘキサメチレングリコールジメタクリレート0.4部に変わってトリメチロールプロパントリアクリレート0.3部を使用したほかは、実施例1と同様の手順で実施例2に係るリチウムイオン電池を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は286000、架橋点間分子量は28000、酸価は0であった。得られた重合体について実施例1と同様の方法で測定した表面自由エネルギー、ガラス転移温度、剥離強度、飽和吸液状態での引張破断伸び率及び膨潤率も表1に記載した。
<実施例3>
[被覆用樹脂溶液の作製]において、2−エチルヘキシルメタクリレートの使用量を94.7部に変更し、ヒドロキシエチルメタクリレート5.0部を加え、ヘキサメチレングリコールジメタクリレートの使用量を0.3部に変更したほかは、実施例1と同様の手順で実施例3に係るリチウムイオン電池を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は112000、架橋点間分子量は30000、酸価は0であった。得られた重合体について実施例1と同様の方法で測定した表面自由エネルギー、ガラス転移温度、剥離強度、飽和吸液状態での引張破断伸び率及び膨潤率も表1に記載した。
<実施例4>
[被覆用樹脂溶液の作製]において、2−エチルヘキシルメタクリレートの使用量を93.1部に変更し、2−スルホエチルメタクリレート・ナトリウム塩を6.7部添加し、ヘキサメチレングリコールジメタクリレートの使用量を0.2部に変更したほかは、実施例1と同様の手順で実施例4に係るリチウムイオン電池を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は128000、架橋点間分子量は32000、酸価は0であった。得られた重合体について実施例1と同様の方法で測定した表面自由エネルギー、ガラス転移温度、剥離強度、飽和吸液状態での引張破断伸び率及び膨潤率も表1に記載した。
<実施例5>
[被覆用樹脂溶液の作製]において、2−エチルヘキシルメタクリレートの使用量を96.9部に変更し、アクリル酸3.0部を加え、ヘキサメチレングリコールジメタクリレートの使用量を0.1部に変更したほかは、実施例1と同様の手順で実施例5に係るリチウムイオン電池を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は121000、架橋点間分子量は47000、酸価は23であった。得られた重合体について実施例1と同様の方法で測定した表面自由エネルギー、ガラス転移温度、剥離強度、飽和吸液状態での引張破断伸び率及び膨潤率も表1に記載した。
<実施例6>
[被覆用樹脂溶液の作製]において、2−エチルヘキシルメタクリレートの使用量を97.9部に変更し、メタクリル酸2.0部を加え、ヘキサメチレングリコールジメタクリレートの使用量を0.1部に変更したほかは、実施例1と同様の手順で実施例6に係るリチウムイオン電池を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は76000、架橋点間分子量は49000、酸価は16であった。得られた重合体について実施例1と同様に測定した表面自由エネルギー、ガラス転移温度、剥離強度、飽和吸液状態での引張破断伸び率及び膨潤率を表1に記載した。
<実施例7>
[被覆用樹脂溶液の作製]において、2−エチルヘキシルメタクリレートの使用量を84.8部に変更し、イソブチルメタクリレート15.0部を加え、ヘキサメチレングリコールジメタクリレートの使用量を0.2部に変更したほかは、実施例1と同様の手順で実施例7に係るリチウムイオン電池を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は116000、架橋点間分子量は23000、酸価は0であった。得られた重合体について実施例1と同様に測定した表面自由エネルギー、ガラス転移温度、剥離強度、飽和吸液状態での引張破断伸び率及び膨潤率を表1に記載した。
<実施例8>
[被覆用樹脂溶液の作製]において、2−エチルヘキシルメタクリレートの使用量を89.1部に変更し、イソブチルメタクリレート10.0部を加え、ヘキサメチレングリコールジメタクリレートの使用量を0.9部に変更したほかは、実施例1と同様の手順で実施例8に係るリチウムイオン電池を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は835000、架橋点間分子量は15000、酸価は0であった。得られた重合体について実施例1と同様に測定した表面自由エネルギー、ガラス転移温度、剥離強度、飽和吸液状態での引張破断伸び率及び膨潤率を表1に記載した。
<比較例1>
[被覆用樹脂溶液の作製]において、2−エチルヘキシルメタクリレートの使用量を99.6部に変更し、ヘキサメチレングリコールジメタクリレート0.4部をジビニルベンゼン0.4部に変更したほかは、実施例1と同様の手順で比較例1に係るリチウムイオン電池を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は422000、架橋点間分子量は14000、酸価は0であった。得られた重合体について実施例1と同様の方法で測定した表面自由エネルギー、ガラス転移温度、剥離強度、飽和吸液状態での引張破断伸び率及び膨潤率も表2に記載した。
<比較例2>
[被覆用樹脂溶液の作製]において、2−エチルヘキシルメタクリレートの使用量を99.9部に変更し、ヘキサメチレングリコールジメタクリレートの使用量を0.1部に変更したほかは、実施例1と同様の手順で、比較例2に係るリチウムイオン電池を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は80000、架橋点間分子量は69000、酸価は0であった。得られた重合体について実施例1と同様の方法で測定した表面自由エネルギー、ガラス転移温度、剥離強度、飽和吸液状態での引張破断伸び率及び膨潤率も表2に記載した。
<比較例3>
[被覆用樹脂溶液の作製]において、2−エチルヘキシルメタクリレートの使用量を74.7部に変更し、メチルメタクリレート25.0部を加え、ヘキサメチレングリコールジメタクリレートの使用量を0.3部に変更したほかは、実施例1と同様の手順で比較例3に係るリチウムイオン電池を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は123000、架橋点間分子量は18000、酸価は0であった。得られた重合体について実施例1と同様の方法で測定した表面自由エネルギー、ガラス転移温度、剥離強度、飽和吸液状態での引張破断伸び率及び膨潤率も表2に記載した。
[電池特性の測定]
作製した実施例1〜7及び比較例1〜3に係るリチウムイオン電池について、充放電測定装置「HJ0501SM」[北斗電工(株)製]を用いて以下の方法で充放電試験を行い、初回充電時の負極活物質層の膨張率及び1サイクル目の放電容量に対する10サイクル目の放電容量の比率(10サイクル後の容量維持率ともいう)を求めた。結果を表1及び表2に示す。
45℃の条件下において、電池特性評価用リチウムイオン電池を、0.1Cの電流で4.2Vまでそれぞれ充電し、10分間の休止後、0.05Cの電流で2.5Vまで放電する充放電工程を、10分の休止を挟んで10回繰り返した。
10サイクル後の容量維持率は以下の一般式(2)にて算出した。容量維持率の値が大きいほど容量の低下が少なく優れたサイクル特性を有することを意味する。
10サイクル後の容量維持率(%)=[(10サイクル目の放電容量)÷(1サイクル目の放電容量)×100] (2)
Figure 2019009124
Figure 2019009124
表1及び表2の結果より、表面の少なくとも一部に条件(1)〜(4)を全て満たす被覆用樹脂を含む被覆層を有するリチウムイオン電池用被覆活物質である実施例1〜7に係るリチウムイオン電池用被覆活物質は、条件(4)を満たさない比較例1〜3に係るリチウムイオン電池用被覆活物質と比較してサイクル特性に優れることがわかった。
本発明のリチウムイオン電池用被覆活物質は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター、ハイブリッド自動車及び電気自動車用に用いられる双極型二次電池用及びリチウムイオン電池用等の活物質として有用である。

Claims (6)

  1. リチウムイオン電池用活物質粒子の表面の少なくとも一部に被覆用樹脂を含む被覆層を有し、以下の条件(1)〜(4)を全て満たすことを特徴とするリチウムイオン電池用被覆活物質。
    (1)前記リチウムイオン電池用活物質粒子が、珪素系負極活物質粒子の表面の少なくとも一部に炭素被覆を有する炭素被覆珪素系負極活物質粒子である
    (2)前記被覆用樹脂が、1つの(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性単量体(A)と重合性不飽和二重結合を2つ以上有する架橋性単量体(B)とを含む単量体組成物の重合体(P)である
    (3)前記ラジカル重合性単量体(A)が、下記一般式(1)で示されるエステル化合物(a1)を含む
    CH=C(R)COOR (1)
    [Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数8〜24の直鎖又は分岐アルキル基である。]
    (4)前記重合体(P)の飽和吸液状態での引張破断伸び率が200%を超え、800%未満である
  2. 前記重合体(P)の表面に対する水の接触角とジエチレングリコールの接触角とから計算される前記重合体(P)の表面自由エネルギーの値が20〜25mJ/mである請求項1に記載のリチウムイオン電池用被覆活物質。
  3. 前記重合体(P)の酸価が30以下である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用被覆活物質。
  4. 前記単量体組成物に含まれる前記エステル化合物(a1)の重量割合が、前記単量体組成物の合計重量に基づいて80重量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆活物質。
  5. 前記単量体組成物に含まれる前記架橋性単量体(B)の重量割合が、前記単量体組成物の合計重量に基づいて、0.5重量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆活物質。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆活物質の非結着体からなる負極活物質層を有することを特徴とするリチウムイオン電池用負極。

JP2018120785A 2017-06-27 2018-06-26 リチウムイオン電池用被覆活物質及びリチウムイオン電池用負極 Active JP7046732B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017125510 2017-06-27
JP2017125510 2017-06-27

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019009124A true JP2019009124A (ja) 2019-01-17
JP7046732B2 JP7046732B2 (ja) 2022-04-04

Family

ID=65025883

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018120785A Active JP7046732B2 (ja) 2017-06-27 2018-06-26 リチウムイオン電池用被覆活物質及びリチウムイオン電池用負極

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7046732B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112968151A (zh) * 2019-12-12 2021-06-15 郑州宇通集团有限公司 一种负极活性材料及其制备方法、锂离子电池
CN114899397A (zh) * 2022-03-24 2022-08-12 楚能新能源股份有限公司 锂离子电池正极材料及二次电池的制备方法
WO2022202902A1 (ja) * 2021-03-26 2022-09-29 富士フイルム株式会社 電極組成物、全固体二次電池用電極シート及び全固体二次電池、並びに、全固体二次電池用電極シート及び全固体二次電池の製造方法
JP7506478B2 (ja) 2019-01-23 2024-06-26 三洋化成工業株式会社 リチウムイオン電池用電極
WO2024144309A1 (ko) * 2022-12-29 2024-07-04 한화솔루션(주) 실리콘-고분자 복합체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 음극 활물질

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015530704A (ja) * 2012-12-06 2015-10-15 エルジー・ケム・リミテッド リチウム二次電池用高容量負極活物質、その製造方法、及びそれを含むリチウム二次電池
JP2017004946A (ja) * 2015-06-11 2017-01-05 三洋化成工業株式会社 リチウムイオン電池及びその製造方法
JP2017054703A (ja) * 2015-09-09 2017-03-16 三洋化成工業株式会社 非水系二次電池活物質被覆用樹脂、非水系二次電池用被覆活物質及び非水系二次電池用被覆活物質の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015530704A (ja) * 2012-12-06 2015-10-15 エルジー・ケム・リミテッド リチウム二次電池用高容量負極活物質、その製造方法、及びそれを含むリチウム二次電池
JP2017004946A (ja) * 2015-06-11 2017-01-05 三洋化成工業株式会社 リチウムイオン電池及びその製造方法
JP2017054703A (ja) * 2015-09-09 2017-03-16 三洋化成工業株式会社 非水系二次電池活物質被覆用樹脂、非水系二次電池用被覆活物質及び非水系二次電池用被覆活物質の製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7506478B2 (ja) 2019-01-23 2024-06-26 三洋化成工業株式会社 リチウムイオン電池用電極
CN112968151A (zh) * 2019-12-12 2021-06-15 郑州宇通集团有限公司 一种负极活性材料及其制备方法、锂离子电池
CN112968151B (zh) * 2019-12-12 2022-11-01 郑州宇通集团有限公司 一种负极活性材料及其制备方法、锂离子电池
WO2022202902A1 (ja) * 2021-03-26 2022-09-29 富士フイルム株式会社 電極組成物、全固体二次電池用電極シート及び全固体二次電池、並びに、全固体二次電池用電極シート及び全固体二次電池の製造方法
CN114899397A (zh) * 2022-03-24 2022-08-12 楚能新能源股份有限公司 锂离子电池正极材料及二次电池的制备方法
CN114899397B (zh) * 2022-03-24 2023-01-31 楚能新能源股份有限公司 锂离子电池正极材料及二次电池的制备方法
WO2024144309A1 (ko) * 2022-12-29 2024-07-04 한화솔루션(주) 실리콘-고분자 복합체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 음극 활물질

Also Published As

Publication number Publication date
JP7046732B2 (ja) 2022-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7046732B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆活物質及びリチウムイオン電池用負極
JP6998194B2 (ja) リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池用負極の製造方法
KR102237019B1 (ko) 리튬 전지용 결착제, 전극 제작용 조성물 및 전극
JP2018101623A (ja) リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池
JP7143069B2 (ja) リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池
WO2013146916A1 (ja) 全固体二次電池用電極およびその製造方法
US11038158B2 (en) Method for manufacturing a binder composition for lithium-ion secondary battery electrode
KR20120094003A (ko) 전기 화학 소자용 바인더 입자
JP2010192258A (ja) 固体電解質、リチウムイオン二次電池及び固体電解質の製造方法。
WO2018084319A1 (ja) リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池
JP2018081907A (ja) リチウムイオン電池用正極及びリチウムイオン電池
JP2015128012A (ja) 二次電池正極用スラリーの製造方法、二次電池用正極の製造方法、及び二次電池
JP7297529B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆負極活物質、リチウムイオン電池用負極スラリー、リチウムイオン電池用負極、及び、リチウムイオン電池
JP7058525B2 (ja) リチウムイオン電池用電極
JP2018101624A (ja) リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池
WO2021230360A1 (ja) リチウムイオン電池
WO2018117087A1 (ja) リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池
WO2018084320A1 (ja) リチウムイオン電池用正極及びリチウムイオン電池
JP6845733B2 (ja) リチウムイオン電池用電極の製造方法
JP7297528B2 (ja) リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池
JP2020047549A (ja) リチウムイオン電池用被覆正極活物質、リチウムイオン電池用正極スラリー、リチウムイオン電池用正極、及び、リチウムイオン電池
WO2018117089A1 (ja) リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池
WO2022270488A1 (ja) リチウムイオン電池用電極組成物の製造方法
WO2018117086A1 (ja) リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池用負極の製造方法
WO2022225064A1 (ja) リチウムイオン電池用電極組成物の製造方法及びリチウムイオン電池用電極の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180718

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220308

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220323

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7046732

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150