JP2019008956A - 採光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽高度に依存せず、屋内への導光量を一定以上の水準に維持するとともに、反射光に起因するグレアを防止することが可能な採光装置を提供する。【解決手段】採光装置は、太陽光Sを反射して反射光Rを屋内の天井面に照射し、対向する凹面及び凸面を有し、凹面で太陽光Sを反射する複数の長尺薄板状のスラット2を有する。各スラット2は、第1湾曲部21、第2湾曲部22及び第3湾曲部23を有する。第1湾曲部21は、第1太陽高度からの太陽光Sの反射光Rを天井面に照射する。第3湾曲部23は、第1太陽高度よりも低い第2太陽高度からの太陽光Sの反射光Rを天井面に照射する。第2湾曲部22は、第2太陽高度からの太陽光の反射光を天井面に照射し、また、第1湾曲部21または上記第3湾曲部23から照射された反射光Rを反射して、当該反射光Rに起因するグレアを抑制する。【選択図】図9

Description

本発明は、採光装置に関する。
従来から、太陽光を屋内に取り入れる採光装置として、ブラインドのスラット構造を利用したものが知られている。
従来の採光装置として、下記特許文献1には、上面側が太陽光を反射するミラー面からなる略逆へ字状の複数の帯状板からなる採光装置において、各帯状板の屋内側端部の傾斜部を遮光部とし、太陽光をミラー面で反射させて屋内の天井に照射させ、ミラー面で反射することなく上下の帯状板間を通過して屋内に射し込む太陽光を遮光部によって遮光することが開示されている。
また上記特許文献2には、上に凹んだ鏡面仕上げ反射面を有する複数の上スラットと、上に凸の乱反射面を有する複数の下スラットからなる採光式ブラインドにおいて、上スラットの鏡面仕上げの反射面で窓からの外光を天井面に導入し、下方のスラットによって遮光あるいは目隠しすることが開示されている。
特開2004−278068号公報 実開昭63−98993号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、帯状板の断面形状がフラットな2片を接続する逆へ字状であるため、太陽高度に応じて帯状板を回転させる必要が生じる。また、スラット角度を一定化とした場合には、正反射した反射光は太陽高度が高いほど太陽光に正対する反射領域が大きくなって採光量及び反射光量が大きくなり、太陽高度が低いほど太陽光に正対する反射領域が小さくなって対応する採光量及び反射光量が小さくなり、太陽高度の変化に伴い屋内への導光量が変化してしまう。
また、上記特許文献2に記載の技術においては、下スラットと同様に、中段コード上に上スラットを載置する構造が検討できるが、上スラットの下面は曲率が一定の曲面となっていることから、スラットは前後に揺動しやすくなって安定せず、複数のスラットの角度にばらつきが生じやすくなる。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、太陽高度に依存せず、屋内への導光量を一定以上の水準に維持するとともに、反射光に起因するグレアを防止することが可能な採光装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る採光装置は、太陽光を反射して反射光を屋内の天井面に照射する採光装置であって、対向する凹面及び凸面を有し、上記凹面が上、前記凸面が下を向いた状態で建築物の開口部近傍に所定間隔を置いて配置され、上記凹面で上記太陽光を反射する複数の長尺薄板状のスラットを有する。
上記各スラットは、第1湾曲部、第2湾曲部及び第3湾曲部を有する。上記第1湾曲部は、短手方向における屋外側の一端部から屋内側の他端部へ向かって第1距離の位置まで第1曲率で形成される。上記第2湾曲部は、上記短手方向における上記屋内側の他端部から上記屋外側の一端部へ向かって第2距離の位置まで第2曲率で形成される。上記第3湾曲部は、上記第1湾曲部と上記第2湾曲部とを接続し、上記第1曲率及び上記第2曲率よりも小さい第3曲率で形成される。
上記第1湾曲部は、第1太陽高度からの上記太陽光の反射光を上記天井面に照射する。上記第3湾曲部は、上記第1太陽高度よりも低い第2太陽高度からの上記太陽光の反射光を上記天井面に照射する。上記第2湾曲部は、上記第2太陽高度からの上記太陽光の反射光を上記天井面に照射し、または、上記第1湾曲部または上記第3湾曲部から照射された反射光を反射して当該反射光に起因するグレアを抑制する。
この構成によれば、採光装置は、スラットを形成する第1湾曲部によって高い太陽高度からの太陽光を屋内天井面に反射させ、第3湾曲部によって低い太陽高度からの太陽光を屋内天井面に反射させて太陽光を屋内に採り入れることができ、スラットが曲率の異なる曲面が連続する形状を有することで、平坦面と比較して、太陽光に正対する面が均等化されるため、スラットの角度を固定した状態で使用されても、太陽高度に依存せず、屋内への導光量を一定以上の水準に維持することが可能となる。また、スラット面での反射した一部の反射光を第2湾曲部によって反射して、屋内の居住者方向への照射を阻止することでグレアの発生を抑制できるため、居住者は屋内において快適に過ごすことができる。また所定間隔とは例えば15mm程度であるがこれに限られない。また第1太陽高度とは、例えば30°〜85°程度、第2太陽高度とは、例えば5°〜40°程度であるが、これらに限られない。
上記第1距離と第2距離とは略等しく、上記第1曲率と上記第2曲率とは略等しく、上記各スラットは、上記短手方向の断面において、上記一端部と上記他端部とを結ぶ直線を二分する直線に関して略対称な形状を有していてもよい。
これにより採光装置は、スラットを(水平時)断面略左右対称形状としたことから、加工時(ロールフォーミング加工)において、形状安定性を向上でき、ねじれや反り、あるいは縁部の波打ちといった変形の発生を防止でき、反射光量を一定化することが可能となる。ここで第1曲率及び第2曲率は例えば1/20(曲率半径R20)であり、第3曲率は例えば1/100(曲率半径R100)であるが、これらに限られない。
上記各スラットは、上記屋外側の一端部が上記屋内側の他端部よりも上方に位置するように、上記屋内側に所定角度傾斜した状態で設けられてもよい。
これにより採光装置は、スラットを屋内側に傾斜させたことで、スラットの屋外側半分以上が屋内側に傾斜した曲面となるため、天井面のより奥側まで反射光を採り込むことが可能となり、太陽高度の変化によらず(太陽高度が20°〜80°程度の場合)、スラット角度を調整することなく一定のスラット角度でスラット面における反射光を天井面に採り込むことができる。ここで所定角度とは、例えば、建築物の床面から開口部(窓等)の下端部までの高さを1.8m〜2.4m、居住者の目線の高さを1.5m〜1.7m、質奥距離(屋内の開口部が設けられた面からその対向面までの距離)を10m〜40mと想定した場合、おおよそ0.1°〜5.1°程度であるが、これに限られない。
また、上記各スラットは、上記屋内側に所定角度傾斜した状態から、上記屋外側の一端部が上記屋内側の他端部よりも下方に位置するように、上記屋外側へ回動可能であってもよい。
これにより採光装置は、太陽高度が水平に近い(20°を下回る)状態での入射があることが想定される場合には、スラット角度を微調整することで、直射光が屋内の居住者方向へ入射するのを防止することができる。
上記採光装置は、ヘッドボックスと、ラダーコードとをさらに有していてもよい。当該ラダーコードは、上記凹面が上、前記凸面が下を向いた状態にある上記各スラットの上記凸面に接触した状態で上記各スラットを整列状態に支持する複数の中段コードを有し、上記ヘッドボックスから吊下される。この場合上記各スラットは、当該第3湾曲部の上記短手方向の長さが、上記第1湾曲部及び上記第2湾曲部の上記短手方向の長さの2倍以上となるように形成されてもよい。
これにより、スラットは凹面が上向き(凸面が下向き)の状態で中段コードに支持(載置)されており、第3湾曲部が、第1及び第2湾曲部よりも曲率が小さく、かつ、第1及び第2湾曲部の2倍以上の長さを有することで、第3湾曲部が第1及び第2湾曲部よりも直線に近い形状となり、かつ、全体として一律の曲率を有するスラットよりも全体として直線に近い形状となる。したがって、中段コードと第3湾曲部の接触面積が十分に確保され、少なくとも第3湾曲部がスラットの短手方向の全長に亘って中段コードに接触した状態で支持されるため、スラットが上記短手方向(前後方向)において傾くことなく安定した状態で支持される。上記第3湾曲部の短手方向の長さは、第1及び第2湾曲部の短手方向の長さの約4倍とされてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、太陽高度に依存せず、屋内への導光量を一定以上の水準に維持するとともに、反射光に起因するグレアを防止することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
本発明の第1実施形態に係る採光装置の設置状況を示す、建築物の側面図である。 本発明の第1実施形態に係る採光装置の、通常使用時における側面図である。 本発明の第1実施形態に係る採光装置の、採光用スラットの角度を調整した状態を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る採光装置の採光用スラット及び上段用ラダーコード部分の一部拡大図である。 上記採光用スラットの傾斜角度を説明するための建築物の側面図である。 本発明の第1実施形態に係る採光装置が設けられる屋内の各種条件に応じたスラットの傾斜角度を示した表である。 上記採光用スラットの各部の曲率を示す側面図である。 上記採光用スラットの各部の長さを示す側面図である。 上記採光用ラットによる太陽光の反射状況を示す側面図である。 上記採光用スラットによる、太陽高度が高い場合における太陽光の反射状況を示す側面図である。 上記採光用スラットによる、太陽高度が低い場合における太陽光の反射状況を示す側面図である。 上記採光用スラットによる、太陽高度が図10と図11の間の場合における太陽光の反射状況を示す側面図である。 上記採光用スラットによる、太陽高度が水平に近い場合における太陽光の反射状況を示す側面図である。 本発明の第2実施形態に係る採光装置の採光用スラット及びラダーコード部分の一部拡大図である。 本発明の第2実施形態に係る採光装置の採光用スラットの各部の長さを示す側面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係るブラインドについて説明する。
[採光装置の構成]
図1は、本実施形態に係る採光装置の設置状況を示す、建築物の側面図である。また図2は、当該採光装置の、通常使用時における側面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る採光装置100は、建築物の屋内と屋外を隔てる外壁に設けられた、窓等の開口部Oの近傍に、当該開口部Oの形状に沿って(開口部Oの上端から下端にかけて)設置される。ここで「屋内」とは典型的には部屋の内部(室内)であるが、天井面を有するものであれば廊下等であっても構わない。
当該採光装置100は、太陽光Sを反射して、その反射光Rを屋内の天井面Cに照射するための装置である。
図1乃至図3に示すように、採光装置100は、ヘッドボックス1と、複数の採光用スラット2と、上段用ラダーコード3と、昇降コード4と、中間ボックス5と、複数の日射調整用スラット6と、下段用ラダーコード7と、ボトムレール8とを有する。
当該採光装置100は、中間ボックス5によって上段側と下段側に隔てられており、上段側に採光用スラット2が設けられ、下段側に日射調整用スラット6が設けられる。
採光用スラット2及び日射調整用スラット6は、共に、対向する凹面及び凸面を有する長尺薄板状からなり、アルミニウム等の鋼板によって製造され、その長手方向が各図Y方向に平行となるように設けられている。
採光用スラット2は、一般的なブラインドにおける(日射遮蔽・調整用の)スラットと異なり、太陽光Sを反射して反射光Rを屋内に取り込むためのスラットであり、そのため、凹面が上、凸面が下を向いた状態で設けられ、かつ、当該凹面は鏡面加工が施されている。
採光用スラット2の下端は、上記開口部Oのうち、図1の水平面Hに対応する。当該水平面Hは、居住者Uの目線よりも高い位置に設定されており、反射光Rが当該水平面Hよりも上方向に反射され、天井面Cに照射される。
また詳細は後述するが、採光用スラット2は、その短手方向(X方向)における屋外側の一端部(各図左端)が屋内側の他端部(各図右端)よりも上方に位置するように、屋内側に所定角度傾斜した状態で設けられている。
日射調整用スラット6は、一般的なブラインドと同様の日射遮蔽・調整機能を有するスラットであり、凸面が上、凹面が下を向いた状態で設けられる。
採光用スラット2及び日射調整用スラット6は、いずれも各図Z方向に間隔を置いて設けられるが、採光用スラット2の設置間隔は、屋内への直射光の入射を防止するため、日射調整用スラット6の設置間隔よりも短く設定されている。採光用スラット2の設置間隔は例えば15mmであるが、これに限られない。
ヘッドボックス1は、例えばその上面または背面に設けられた図示しないブラケットによって、上記開口部Oの上部の窓枠や壁等の所定面にネジ等により固定される。
上段用ラダーコード3は、ヘッドボックス1から吊下されており、当該上段用ラダーコード3によって各採光用スラット2が整列状態に支持されている。上段用ラダーコード3の下端は、採光用スラット2の下方に設けられた中間ボックス5に連結される。
下段用ラダーコード7は、中間ボックス5から吊下されており、当該下段用ラダーコード7によって各日射調整用スラット6が整列状態に支持されている。
昇降コード4は、ヘッドボックス1から吊下され、各採光用スラット2及び各日射調整用スラット6に設けられた挿通孔(図示せず)に挿通されており、その下端はボトムレール8に連結されている。
ヘッドボックス1の内部には、上記上段用ラダーコード3及び昇降コード4の各上端が導入される昇降回転装置及び下段用ラダーコード7の上端が導入される回転装置が設けられる。下段用ラダーコード7の上端は、中間ボックス5に導入後に各採光用スラット2に設けられた挿通孔を昇降コード4とともに挿通し、ヘッドボックス1に導入される。当該各昇降回転装置は、それぞれ、図示しない上段用操作コード及び下段用操作コードに連結されており、当該各操作コードに対するユーザの操作に連動して、Y軸方向の回転軸によって時計回りまたは反時計回りに回転可能とされている。
昇降コード4の上端は、上記ヘッドボックス1内の昇降回転装置(昇降ドラム)に連結されており、上段用操作コードがユーザに操作されると、昇降ドラムの外周面上に昇降コード4が巻き取られ、または昇降ドラムの外周面から昇降コード4が巻き解かれることで、日射調整スラット6がボトムレール8上に積層されながら昇降される。
上段用ラダーコード3は、上記上段用操作コードがユーザに操作されると、ヘッドボックス1内の昇降回転装置の所定角度範囲の回転に連動して傾動することで採光用スラット2を回転させる。
下段用ラダーコード7は、上記下段用操作コードがユーザに操作されると、ヘッドボックス1内の回転装置の所定角度範囲の回転に連動して傾動することで日射調整用スラット6を回転させる。
これらにより、採光用スラット2の傾斜角、及び、日射調整用スラット6の傾斜角(日射調整用スラット6間の開放状態と閉塞状態)が調整される。図2Aは日射調整用スラット6の全開(水平)状態を示しており、同図Bは日射調整用スラット6の全閉状態を示している。
採光用スラット2は、通常は、太陽高度に関わらず、図2に示した一定の角度で使用されるが、太陽高度が開口部Oに対して水平に近くなった場合には、各採光用スラット2の間から直射光Sが居住者U方向へ入射するのを防ぐため、必要に応じてその角度が調整される。
図3は、当該採光用スラット2の角度を調整した状態を示す側面図である。
同図Aに示すように、採光用スラット2を、図2に示した状態から、採光用スラット2の屋内側の端部が屋外側の端部よりも上方に位置するように、同図の反時計回りに回転させることで、水平に近い太陽光Sの屋内への入射を防ぐことができる。
また同図Bに示すように、採光用スラット2を、その凹面が屋内側を向くように、同図の時計回りに回転させることによっても、上記太陽光Sの屋内への入射を防ぐことができる。
[採光用スラットの詳細]
次に、上記採光用スラット2の詳細について説明する。
図4は、当該採光用スラット2及び上段用ラダーコード3を示す部分拡大図である。また図7は、上記採光用スラット2の各部の曲率を示す側面図であり、図8は、当該採光用スラット2の各部の長さを示す側面図である。また図9は、採光用スラット2による太陽光Sの反射状況を示す側面図である。
図4に示すように、上段用ラダーコード3は、ヘッドボックス1から吊下されるX方向前後の垂直コード31と、上下方向(Z方向)において所定間隔(例えば15mm程度)を空けた位置で上記前後の垂直コード31間に架設される中段コード32とからなる。各採光用スラット2は、その凸面に中段コード32が接した状態(中段コード32に載置された状態)で中段コード32に支持される。
また上述したように、採光用スラット2は、その短手方向(X方向)における屋外側の一端部が屋内側の他端部よりも上方に位置するように、屋内側に所定角度θgだけ傾斜した状態で設けられている。これにより、採光用スラット2の屋外側の一端部は、その屋内側の他端部よりも、同図Z方向における距離αだけ上方に位置することになる。
この傾斜角度θgは、太陽高度に関わらず屋内側に一定水準以上の量の採光を得るとともに、採光用スラット2による反射光Rが上記図1に示した水平面Hよりも下方に照射されて居住者Uの眼に入射し、グレア源となるのを防止するためのグレア防止角度である。
本発明者等は、このグレア防止用の傾斜角度θgについて種々の検討を行った。図5は、当該傾斜角度θgを説明するための建築物の側面図であり、図6は、採光装置100が設けられる室内の各種条件に応じた傾斜角度θgを示した表である。
上記傾斜角度θgは、上記水平面Hよりも下方向に反射された反射光Rが、居住者Uの眼に直接入射しないための、反射角Rの最大角度である。いずれの採光用スラット2からの反射光Rも居住者Uの眼に直接入射しないようにするためには、屋内空間における居住者Uの想定される行動範囲の中で、この反射角の最大角度が最も小さくなる場合の角度を算出し、それを傾斜角度θgとすればよい。
反射角の最大角度が最も小さくなる場合は、最下端の採光用スラット2による反射光Rが、屋内のうち、開口部Oが設けられた面と対向する壁面の近傍に居る居住者Uの眼に入射する場合である。すなわち、傾斜角度θgは、Hを床面から窓等の開口部O(採光用スラット2)の下端の高さ、Hを床面から居住者Uの目線の高さ、Dを室奥距離(開口部Oが設けられた面からその対向面までの距離)とすると、図5の式(A)により求めることができる。
そして、図6に示すように、上記Hの範囲を1.8m〜2.4m、Hの範囲を1.5m〜1.7m、Dの範囲を10m〜40mと想定して、上記式(A)に基づき計算した結果、上記傾斜角度θgは、おおよそ0.1°〜5.1°程度の範囲になることが分かった。
本実施形態においては、そのうち、Hを2m、Hを1.5m、Dを15mと想定し、傾斜角度θgは約1.9°に設定している。
このように、採光用スラット2が傾斜角度θgだけ屋内側に傾斜していることで、採光用スラット2の屋外側半分以上が屋内側に傾斜した曲面となるため、天井面Oのより奥側まで反射光Rを採り込むことが可能となる。太陽高度がおおよそ20°〜80°程度の場合には、太陽高度の変化に依存することなく、採光用スラット2の角度を調整することなく一定の角度で凹面における反射光Rを天井面Oに採り込むことができる。
また図4、図7乃至図9に示すように、採光用スラット2は、第1湾曲部21、第2湾曲部22、及び第3湾曲部23を有する。
図7及び図8に示すように、第1湾曲部21は、採光用スラット2の短手方向(X方向)における屋外側の一端部から屋内側の他端部へ向かって、距離bの位置まで、所定の曲率(曲率半径R1)で形成されている。
また第2湾曲部22は、上記短手方向における屋内側の他端部から上記屋外側の一端部へ向かって、上記距離bの位置まで、上記所定の曲率(曲率半径R1)で形成されている。
そして第3湾曲部23は、上記第1湾曲部21と第2湾曲部22とを接続しており、上記第1湾曲部21及び第2湾曲部22よりも小さい曲率(曲率半径R2)で形成される。
ここで、曲率半径R1は例えば20であり、曲率半径R2は例えば100であるが、これらに限られない。
すなわち本実施形態では、第1湾曲部21と第2湾曲部22の曲率及び短手方向における長さは等しく形成されている。したがって採光用スラット2は、図8に示すように、上記短手方向(X方向)の断面において、上記一端部と上記他端部とを結ぶ直線L1を二分する直線L2に関して対称(同図において左右対称)な形状を有している。採光用スラット2を断面対称形状としたことから、その加工(ロールフォーミング加工)時において、形状安定性を向上でき、ねじれや反り、あるいは縁部の波打ちといった変形の発生を防止でき、反射光量を一定化することが可能となる。
また、本実施形態における採光用スラット2のZ方向の長さ(幅)は50mmであり、第1湾曲部21、第2湾曲部22、第3湾曲部23の各長さは、図8に示すように、a>2bとなるように設計されている。本実施形態では特に、第3湾曲部23の長さaは、第1湾曲部21及び第2湾曲部22の長さbの4倍弱とされている。
上述したように、採光用スラット2がその凹面が上向きの状態で中段コード32に支持されており、第3湾曲部23が、第1湾曲部21及び第2湾曲部22よりも曲率が小さく形成されている。そして、第3湾曲部23が第1湾曲部21及び第2湾曲部湾曲部22の2倍以上の長さを有することで、第3湾曲部23が第1湾曲部21及び第2湾曲部22よりも直線に近い形状となり、かつ、全体として一律の曲率を有するスラットよりも全体として直線に近い形状となる。したがって、図4に示すように、中段コード32と第3湾曲部23の接触面積が十分に確保され、少なくとも第3湾曲部23が採光用スラット2の短手方向(X方向)の全長に亘って中段コード32に接触した状態で支持されるため、採光用スラット2が上記短手方向において傾くことなく、安定した状態で支持される。
図9に示すように、第1湾曲部21は、比較的高い太陽高度(例えば30°〜85°程度)からの上記太陽光Sの反射光Wを上記天井面Oに照射し、第3湾曲部23は、比較的低い太陽高度(例えば5°〜40°程度)からの上記太陽光Sの反射光Wを上記天井面Oに照射する。
また第2湾曲部22は、上記比較的低い太陽高度からの太陽光Sの反射光Wを上記天井面Oに照射し、または、第1湾曲部21または第3湾曲部23から照射された反射光Wを反射して、当該反射光Wに起因するグレアを抑制する。
図10は、採光用スラット2による、太陽高度が比較的高い場合(約70°)における太陽光Sの反射状況を示す側面図である。
同図に示すように、この場合、第1湾曲部21が太陽光Sを反射して、その反射光Rの一部を天井面O方向に照射している。また第2湾曲部22は、第1湾曲部21の反射光Rのうち、上記水平面Hよりも下方に向かう反射光を反射して、それを天井面O方向に照射している。これにより反射光に起因するグレアが防止される。
図11は、採光用スラット2による、太陽高度が比較的低い場合(約20°)における太陽光Sの反射状況を示す側面図である。
同図に示すように、この場合、第3湾曲部23が太陽光Sを反射し、その反射光Rのほぼ全てを天井面O方向に照射している。また第2湾曲部22は、第3湾曲部23の反射光Rのうち、上記水平面Hよりも下方に向かう反射光を反射して、それを天井面O方向に照射している。これにより反射光に起因するグレアが防止される。
図12は、上記採光用スラット2による、太陽高度が上記図10と図11の間の場合(約45°)における太陽光Sの反射状況を示す側面図である。
同図に示すように、この場合、第1湾曲部21及び第3湾曲部23が太陽光Sを反射して、その反射光Rの一部を天井面O方向に照射し、他の一部は直上に位置する採光用スラット2の下面によって拡散あるいは吸収される。また第2湾曲部22は、第1湾曲部21の反射光Rのうち、上記水平面Hよりも下方に向かう反射光を反射して、それを天井面O方向に照射している。これにより反射光に起因するグレアが防止される。
図13は、採光用スラット2による、太陽高度が水平に近い場合における太陽光Sの反射状況を示す側面図(上記図3Aに対応)である。
同図に示すように、この場合、採光用スラット2が、その短手方向における屋外側の一端部が上記屋内側の他端部よりも下方に位置するように、上記屋外側へ回動されることで、第3湾曲部23が太陽光Sを反射して、その反射光Rのほぼ全てを天井面O方向に照射している。これにより直射光が屋内の居住者Uに入射するのが防止される。
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、採光装置100は、採光用スラット2を形成する第1湾曲部21によって高い太陽高度からの太陽光Sを屋内の天井面Oに反射させ、第3湾曲部23によって低い太陽高度からの太陽光Sを天井面Oに反射させて太陽光Sを屋内に採り入れることができる。また、採光用スラット2が曲率の異なる曲面が連続する形状を有することで、平坦面のスラットと比較して、太陽光Sに正対する面が均等化されるため、採光用スラット2の角度を固定した状態で使用されても、太陽高度に依存せず、屋内への導光量を一定以上の水準に維持することが可能となる。さらに、採光用スラット2の凹面で反射した一部の反射光を第2湾曲部22によって反射して、屋内の居住者U方向への照射を阻止することでグレアの発生を抑制できるため、居住者は屋内において快適に過ごすことができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る採光装置について説明する。本実施形態以降の実施形態において、上記第1実施形態と同様の機能を有する部分には同一の符号を付す。また、上記第1実施形態と同様の構成となる部分については説明を省略または簡略化する。
図14は、本実施形態に係る採光装置100の採光用スラット2及びラダーコード3の部分拡大図である。また図15は、本実施形態に係る採光装置100の採光用スラット2の各部の長さを示す側面図である。
上述の第1実施形態では、採光用スラット2の短手方向(X方向)の幅は50mmとされたが、本実施形態では、当該採光用スラット2の短手方向(X方向)の幅は25mmとされている。
そして、上述の第1実施形態では、第3湾曲部の同方向の長さaは、第1湾曲部21及び第2湾曲部の同方向の長さの4倍弱とされたが、本実施形態では、図15に示すように、第3湾曲部の同方向の長さa'は、第1湾曲部21及び第2湾曲部のX方向の長さbの2倍よりも僅かに大きい長さに設計される。
これにより、第3湾曲部23の長さa'を調整することにより、図14に示すように、上述の第1実施形態と同様に、第3湾曲部23が第1湾曲部21及び第2湾曲部22よりも直線に近い形状となり、かつ、全体として一律の曲率を有するスラットよりも全体として直線に近い形状となり、中段コード32と第3湾曲部23の接触面積を十分に確保され、採光用スラット2が上記短手方向において傾くことなく、安定した状態で支持される。
<変形例>
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
採光用スラット2の第1湾曲部21、第2湾曲部22及び第3湾曲部23の曲率及び長さは、上述した各実施形態に示されたものに限られず、第1湾曲部21及び第2湾曲部22の曲率が第3湾曲部23の曲率よりも大きい限り如何様な曲率にも設定でき、また第3湾曲部23の長さが第1湾曲部21及び第2湾曲部22の長さの2倍よりも大きい限り、如何様な長さにも設定できる。
また上述の実施形態においては、第1湾曲部21と第2湾曲部22の曲率及び長さは同一に形成されていたが、当該曲率は、第3湾曲部23の曲率よりも大きい限り、同一である必要はなく、長さbは、両者を加えた長さが第3湾曲部の長さaよりも小さい限り、同一である必要は無い。したがって、採光用スラット2の短手方向(X方向)の断面は、上記図8の直線L2に関して非対称であってもよい。
上述の各実施形態では、採光装置100は、中間ボックス5によって上段と下段に隔てられ、上段に採光用スラット2が、下段に日射調整用スラット6が設けられた構成とされた。しかし、例えば開口部Oが外壁の上方のみに設けられている場合等には、日射調整用スラット6(及び中間ボックス5)は不要であり、この場合採光装置100は、採光用スラット2の直下にボトムレール8が設けられた構成とされてもよい。
1…ヘッドボックス
2…採光用スラット
3…上段用ラダーコード
4…昇降コード
5…中間ボックス
6…日射調整用スラット
7…下段用ラダーコード
8…ボトムレール
21…第1湾曲部
22…第2湾曲部
23…第3湾曲部
32…中段コード
100…採光装置
C…天井面
O…開口部
S…太陽光
R…反射光
θg…傾斜角度

Claims (5)

  1. 太陽光を反射して反射光を屋内の天井面に照射する採光装置であって、
    対向する凹面及び凸面を有し、前記凹面が上、前記凸面が下を向いた状態で建築物の開口部近傍に所定間隔を置いて配置され、前記凹面で前記太陽光を反射する複数の長尺薄板状のスラットを具備し、
    前記各スラットは、
    短手方向における屋外側の一端部から屋内側の他端部へ向かって第1距離の位置まで第1曲率で形成された第1湾曲部と、
    前記短手方向における前記屋内側の他端部から前記屋外側の一端部へ向かって第2距離の位置まで第2曲率で形成された第2湾曲部と、
    前記第1湾曲部と前記第2湾曲部とを接続し、前記第1曲率及び前記第2曲率よりも小さい第3曲率で形成された第3湾曲部と、を有し、
    前記第1湾曲部は、第1太陽高度からの前記太陽光の反射光を前記天井面に照射し、
    前記第3湾曲部は、前記第1太陽高度よりも低い第2太陽高度からの前記太陽光の反射光を前記天井面に照射し、
    前記第2湾曲部は、前記第2太陽高度からの前記太陽光の反射光を前記天井面に照射し、または、前記第1湾曲部または前記第3湾曲部から照射された反射光を反射して当該反射光に起因するグレアを抑制する
    採光装置。
  2. 請求項1に記載の採光装置であって、
    前記第1距離と第2距離とは略等しく、
    前記第1曲率と前記第2曲率とは略等しく、
    前記各スラットは、前記短手方向の断面において、前記一端部と前記他端部とを結ぶ直線を二分する直線に関して略対称な形状を有する
    採光装置。
  3. 請求項1または2に記載の採光装置であって、
    前記各スラットは、前記屋外側の一端部が前記屋内側の他端部よりも上方に位置するように、前記屋内側に所定角度傾斜した状態で設けられる
    採光装置。
  4. 請求項3に記載の採光装置であって、
    前記各スラットは、前記屋内側に所定角度傾斜した状態から、前記屋外側の一端部が前記屋内側の他端部よりも下方に位置するように、前記屋外側へ回動可能である
    採光装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の採光装置であって、
    ヘッドボックスと、
    前記各スラットの前記凸面に接触した状態で前記各スラットを整列状態に支持する複数の中段コードを有し、前記ヘッドボックスから吊下されたラダーコードと、をさらに具備し、
    前記各スラットは、当該第3湾曲部の前記短手方向の長さが、前記第1湾曲部及び前記第2湾曲部の前記短手方向の長さの2倍以上となるように形成される
    採光装置。
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