JP2019006959A - 含フッ素化合物を含む接着剤組成物とそれを用いた接着方法 - Google Patents

含フッ素化合物を含む接着剤組成物とそれを用いた接着方法 Download PDF

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仁 下間
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牧人 中村
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薫 小黒
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Abstract

【課題】基材への浸透性、接着性、貯蔵安定性に優れる接着剤組成物と該接着剤組成物を用いた接着方法を提供する。
【解決手段】接着性樹脂および含フッ素化合物を含有する接着剤組成物であって、該含フッ素化合物はパーフルオロアルケニル基を有し、該含フッ素化合物の含有量は、接着性樹脂100質量部に対して0.3〜10質量部である接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着性樹脂とパーフルオロアルケニル基を有する含フッ素化合物を有する接着剤組成物に関する。本発明は、布帛、不織布、延伸ポリテトラフルオロエチレン膜などの多孔質基材同士の接着において、基材への浸透性、接着性、貯蔵安定性に優れる接着剤組成物に関する。本発明は、該接着剤組成物を用いた接着方法に関する。
湿気硬化性接着剤は、接着主成分に存在する官能基が、空気中や基材中の湿気(水分)等の活性水素を含有する化合物と反応することにより、接着層を形成し接着性能を発現する。例えば、ウレタン系の湿気硬化性接着剤においては、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーにおける、イソシアネート基が空気中の水分と反応することにより、接着層を形成する。結晶性の高い原料を用いた湿気硬化性接着剤は、基材に塗布された接着剤が固化することによって基材間を固定できる程度の初期密着力が生じ、接着直後でも基材同士がずれにくく、さらにその後、接着剤が湿気硬化することにより、強い接着力を発現する。一方、上記のように、分子末端のイソシアネート基は湿気(水分)等の活性水素を含有する化合物と反応しやすいため、長期間保管しておくと、高分子量化やゲル化等の反応が進行し、貯蔵安定性が悪いという問題があった。
従来からイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを主成分とする無溶剤型の湿気硬化性接着剤は知られている(特許文献1)。かかる無溶剤型の湿気硬化性接着剤は、有機溶剤を含まないため、引火の危険性が低く、良好な作業環境を実現するものであるが、有機溶剤によって粘度などの液物性を調整できないため、基材への濡れ広がりが不十分となり、十分な接着性を得ることが難しい場合があった。
各種コーティング液や洗浄液などの表面処理液で基材を処理する場合、対象とする基材に対して、十分濡れ広がることが望ましい。表面処理液の水溶液において、濡れ性を改善するために、直鎖型フッ素系界面活性剤と炭化水素系界面活性剤とを併用した水溶性の組成物(特許文献2)や、分岐鎖を有するフッ素系界面活性剤、及び炭化水素系界面活性剤を含有する水溶性湿潤剤組成物(特許文献3)が開示されている。
国際公開第2006/115138号 特表2003−535950号公報 特開2008−056799号公報
無溶剤型の湿気硬化性接着剤は、多孔性の基材を接着する場合において、基材の微細な孔や構造内部に浸透することができず、接着性に劣るという問題があった。
これらの問題を解決するために、無溶剤型の湿気硬化性接着剤の濡れ性を向上させる方法が考えられるが、従来の特許文献2および3に開示される方法は、水溶性の表面処理液などの濡れ性を改善するものであり、無溶剤型の湿気硬化性接着剤のような非水溶性の材料においては、必ずしも十分な効果を得ることができなかった。このため、多孔性の基材に対して実用十分な接着性が得られないという問題があった。
本発明は、上記課題を解決することを目的とするものであり、基材への浸透性および接着性に優れ、長期間保管してもゲル化等を起こさない、貯蔵安定性が良好な接着剤組成物と該接着剤組成物を用いた接着方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[9]の構成を有する、接着剤組成物および該接着剤組成物を用いた接着方法に関する。
[1]接着性樹脂および含フッ素化合物を有する、接着剤組成物であって、該含フッ素化合物は、下記式1で表されるパーフルオロアルケニル基を有する化合物であり、該含フッ素化合物の含有量は、接着性樹脂100質量部に対して、0.3〜10質量部である、接着剤組成物。
Figure 2019006959
[2]前記接着性樹脂は、イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂である、[1]の接着剤組成物。
[3]前記イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネートに基づく単位と、水酸基価換算分子量が650以上であるポリテトラメチレングリコールに基づく単位を有する、[2]の接着剤組成物。
[4]前記イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂に対して、ポリイソシアネートに基づく単位の割合が20〜50質量%であり、水酸基価換算分子量が650以上であるポリテトラメチレングリコールに基づく単位の割合が50〜80質量%である、[3]の接着剤組成物。
[5]前記イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、さらに水酸基価換算分子量が650未満であるジオールに基づく単位を有し、該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂に対して、該水酸基価換算分子量が650未満であるジオールに基づく単位の割合が30質量%以下である、[4]の接着剤組成物。
[6]接着剤組成物を介して、一方の延伸ポリテトラフルオロエチレン膜と、他方の延伸ポリテトラフルオロエチレン膜とを接着させたときの接着界面の剥離強度が、1.4[N/10mm]以上である[1]〜[5]のいずれかの接着剤組成物。
[7][1]〜[6]のいずれかの接着剤組成物を介して、多孔質基材同士を接着させた後、硬化させる接着方法。
[8]前記多孔質基材の少なくとも一方が繊維基材である、[7]の接着方法。
[9]前記多孔質基材の少なくとも一方が延伸ポリテトラフルオロエチレン膜である、[7]または[8]の接着方法。
本発明により、基材への浸透性、接着性、および貯蔵安定性に優れる接着剤組成物を提供することができる。また、該接着剤組成物を用いた接着方法を提供することができる。
以下の表現や用語の定義は、特に断りのない限り、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
式1で表される基を「基1」と記す。他の式で表される基も同様に記す。
「延伸ポリテトラフルオロエチレン膜」とは、テトラフルオロエチレンを重合して得られたポリテトラフルオロエチレンを、少なくとも1方向に延伸して得られる膜であり、「e−PTFE」と記す。延伸工程を行わずに得られた無延伸ポリテトラフルオロエチレン膜は「s−PTFE」と記し、e−PTFEと区別して記す。
「単位」とは、各構成原料が反応することにより形成された該各構成原料に由来する単位を意味する。「単位」は、反応によって直接形成された単位であってもよく、何らかの処理を行うことによって、該単位の一部が別の構造の変換された単位でもよい。
「水酸基価換算分子量」とは、ポリオールの水酸基価(mgKOH/g)およびそのポリオールの1分子当たりの平均官能基数をもとに、以下の式2を用いて算出した値である。なお、水酸基価はJIS K 1557に準じて測定された値である。
水酸基価換算分子量=(56100/水酸基価)×平均官能基数 式2
「〜」で表される数値範囲は、〜の前後の数値を下限値および上限値とする数値範囲を意味する。
(含フッ素化合物)
本発明の接着剤組成物は、接着性樹脂および含フッ素化合物を含有する。該含フッ素化合物は、式1で表されるパーフルオロアルケニル基を有する化合物である。該接着剤組成物における該含フッ素化合物の含有量は、該接着性樹脂100質量部に対して、0.3〜10質量部である。
Figure 2019006959
含フッ素化合物は、1分子中に基1を1個以上有するものであってよい。含フッ素化合物は基1を有する含フッ素界面活性剤が好ましい。
含フッ素界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤が挙げられる。含フッ素界面活性剤と接着性樹脂との相互作用による凝集などを抑制するため、接着性樹脂の特性によって、含フッ素界面活性剤のイオン性を選択することが好ましい。例えば、アニオン性の接着性樹脂に対しては、アニオン性、両性およびノニオン性の含フッ素界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を選択することが好ましい。接着性樹脂の特性に依らず良好な分散性が得られるため、ノニオン性の含フッ素界面活性剤がより好ましい。
本発明の接着剤組成物に含まれる含フッ素化合物として挙げられるアニオン性含フッ素界面活性剤としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基を有するものが好ましく、具体的には、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオス社製、製品名:フタージェント100、フタージェント110)、パーフルオロアルケニルオキシベンジルホスホン酸(ネオス社製、製品名:フタージェント140A)、パーフルオロアルケニルオキシフェニルスルホニル−N−メチルカルボン酸ナトリウム(ネオス社製、製品名:フタージェント150)が挙げられる。
カチオン性含フッ素界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩が好ましく、ヨウ化フルオロアルキルトリメチルアンモニウム(ネオス社製、製品名:フタージェント300)、臭化フルオロアルキルトリアルキルアンモニウム(ネオス社製、製品名:フタージェント320)などが挙げられる。
両イオン性含フッ素界面活性剤としては、ベタイン型、スルホベタイン型、アルキルベタイン型の両イオン性含フッ素界面活性剤が好ましく、フルオロアルキルベタイン(ネオス社製、製品名:フタージェント400S)などが挙げられる。
ノニオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリオキシエチレン鎖を持つものが好ましく、α−ペルフルオロノネニルオキシ−ω−メチルポリエチレンオキシド(ネオス社製、製品名:フタージェント250、FTX−212MH)の他、ネオス社製、フタージェントM−215、フタージェントFTX−218(いずれも製品名)等が挙げられる。
(接着性樹脂)
本発明の接着剤組成物は接着性樹脂を有する。接着性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂などが挙げられ、柔軟性があり追従性に優れるため、ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂としては、被着体との密着性に優れ硬化物の強度が高まるため、イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂が好ましい。
前記イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネートに基づく単位と、水酸基換算分子量が650以上であるポリテトラメチレングリコールに基づく単位を有することが好ましい。
前記ポリイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基をもつ化合物である。
ポリイソシアネートとしては、芳香族系ポリイソシアネート、アラルキルポリイソシアネート、脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート、ならびにこれらのポリイソシアネートの各種変性体が挙げられる。
芳香族系ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、およびポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗MDI)等が挙げられる。
アラルキルポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート、およびテトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族系ポリイソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、およびリジントリイソシアネート等が挙げられる。
脂環族系ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
本発明においては、ポリイソシアネートは1種のみ用いることも、2種以上を併用することもできる。本発明に用いるポリイソシアネートとしては、得られる硬化物の耐水性や耐溶剤性が良好なことから、芳香族系ポリイソシアネートが好ましく、なかでもMDI、粗MDI、およびそれらの変性体が好ましい。結晶性が高く、色のうすい接着剤が得られることから、特にMDIが好ましい。
前記ポリテトラメチレングリコールは、テトラメチレングリコールの単位からなる重合体であって、水酸基価換算分子量は650以上であることが好ましい。水酸基価換算分子量は、650〜1500が好ましく、800〜1200がより好ましく、950〜1050がさらに好ましい。水酸基価換算分子量が上記の下限値以上であると、結晶性があるため、特に、接着する多孔質基材が布帛である場合には、布帛に適度に染み込み、接着性を維持しつつ、風合いを損ないにくいため好ましい。上限値以下であると低粘度で取扱いやすいため好ましい。
前記イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネートに基づく単位と、上記水酸基換算分子量が650以上であるポリテトラメチレングリコールに基づく単位の他に、水酸基価換算分子量が650未満のジオールに基づく単位を有してもよい。
水酸基価換算分子量が650未満のジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種であってよく、水酸基価換算分子量が650未満のジオールであれば、これらの化合物の1種または2種以上を単位として有する重合体であってもよい。反応がコントロールしやすいため、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましく、結晶性が適度であるため、1,5−ペンタンジオールがより好ましい。
イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂に対するポリイソシアネートに基づく単位の含有割合は、20〜50質量%が好ましく、28〜37質量%がより好ましく、30〜35質量%がさらに好ましい。ポリイソシアネートの含有量が、上記範囲の下限値以上であると、良好な接着性が得られやすく、上限値以下であると接着剤組成物が作業性の良い粘度となりやすい。
イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂に対する水酸基価換算分子量が650以上のポリテトラメチレングリコールに基づく単位の含有量は、50〜80質量%が好ましく、55〜71質量%がより好ましく、62〜69質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、良好な接着性が得られやすく、上限値以下であると接着剤組成物が作業性の良い粘度となりやすい。
イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂が、水酸基価換算分子量が650未満であるジオールに基づく単位を含む場合は、該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂に対する水酸基価換算分子量が650未満であるジオールに基づく単位の含有割合は、30質量%以下が好ましく、1〜8質量%がより好ましく、1〜3質量%有がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、良好な接着性が得られやすく、上限値以下であると、接着剤組成物が作業性の良い粘度となりやすい。
イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂に対して、ポリイソシアネートに基づく単位を20〜50質量%有し、水酸基価換算分子量が650以上のポリテトラメチレングリコールに基づく単位を50〜80質量%有するものであることが好ましい。さらに必要に応じて、該接着性ポリウレタン樹脂は水酸基価換算分子量が650未満であるジオールに基づく単位を有してもよく、このとき、該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂に対して、水酸基価換算分子量が650未満であるジオールに基づく単位を30質量%以下有するものが好ましい。
イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂の各単位の含有割合は、該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂に対して、ポリイソシアネートに基づく単位が28〜37質量%であって、水酸基価換算分子量が650以上のポリテトラメチレングリコールに基づく単位が55〜71質量%であって、水酸基価換算分子量が650未満であるジオールに基づく単位が1〜8質量%であることがより好ましい。
イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂の各単位の含有割合は、該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂に対して、ポリイソシアネートに基づく単位が30〜35質量%であって、水酸基価換算分子量が650以上のポリテトラメチレングリコールに基づく単位が62〜69質量%であって、水酸基価換算分子量が650未満であるジオールに基づく単位が1〜3質量%であることがさらに好ましい。
各単位の割合が上記範囲内であると、良好な接着性が得られやすく、接着剤組成物が低粘度となりやすい。
イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、前記ポリイソシアネートおよび水酸基価換算分子量が650以上であるポリテトラメチレングリコールをイソシアネート基が過剰となる条件下で反応させて製造することができる。
反応に供する全イソシアネート基のモル数と全水酸基のモル数の比は、イソシアネート基/水酸基(モル比)の値として、1.0〜3.2が好ましく、1.1〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5がさらに好ましい。前記モル比を上記範囲の上限値以下にすることによって、接着性樹脂の硬化物のモジュラスを低くすることができ、この接着性樹脂を用いて繊維基材を接着した場合、接着部分の風合いが良好となる。また、前記モル比を上記範囲の下限値以上にすることにより、イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂の粘度を適度に低く保つことができるため、接着剤組成物の基材への塗布作業性が良好となり、優れた接着性が発現できる。
上記ポリイソシアネートと上記水酸基価換算分子量が650以上のポリテトラメチレングリコールおよび、必要に応じて加えられる水酸基価換算分子量が650未満のジオールを反応させる場合には、公知のウレタン化反応触媒を用いることができる。該ウレタン化反応触媒としては、ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物、2−エチルヘキサン酸およびネオデカン酸などの有機酸のビスマス塩などが挙げられるがこれらに限定されない。当業者は適宜、好ましい触媒使用量を選択できる。
該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂の製造条件は特に限定されず、公知の製造方法を用いることができる。例えば、特開2003−313531号公報の実施例に記載の方法等を用いることができる。具体的には、ポリイソシアネート、水酸基価換算分子量が650以上のポリテトラメチレングリコール、および必要に応じて、水酸基価換算分子量が650未満のジオールを混合し、ウレタン化反応触媒の下、40〜100℃で加熱撹拌する方法を用いることができる。
(接着剤組成物)
接着剤組成物における接着性樹脂の含有割合は、接着剤組成物に対して、75〜99.7質量%であることが好ましく、80〜99.5質量%であることがより好ましく、90〜99.4質量%であることがさらに好ましい。接着性樹脂の含有割合が、上記範囲内であれば、接着性が十分得られるため好ましい。接着剤組成物は、上記イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂を接着性樹脂として含むことが好ましい。
本発明の接着剤組成物は、含フッ素化合物を、接着性樹脂100質量部に対して、0.3〜10質量部含んでいる。含フッ素化合物の含有量が、0.3質量部未満であると、十分な浸透性が得られず、接着性が不良となり、10質量部を超えると、界面に濃縮された含フッ素化合物により、十分な剥離強度が得られない。含フッ素化合物の含有量は、接着性樹脂100質量部に対して、0.5〜7質量部が好ましく、0.6〜5質量部がより好ましい。上記下限値以上であれば、接着剤組成物として十分な浸透性が得られるため接着性が優れ、上記上限値以下であれば、十分な剥離強度が得られる。また、含フッ素化合物の含有量が、上記範囲内であれば、含フッ素化合物と接着性樹脂の相溶性が良く、良好な貯蔵安定性が得られる。
本発明の接着剤組成物は、所望により、ポリウレタン接着剤において一般に用いられる添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、特開2008−133459号公報の段落[0024]〜[0028]に記載される化合物を用いることができる。酸化防止剤、光安定剤、および紫外線吸収剤などの老化防止剤、着色剤、難燃剤、可塑剤ならびに粘着性付与剤などが挙げられる。必要に応じて、これらを一種または二種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の接着剤組成物は、多孔質基材同士を接着することができる。多孔質基材のいずれか一方が繊維基材であって、もう一方がe−PTFEである場合の接着により好適である。従来の接着剤組成物では、特に、一方の多孔質基材がe−PTFEである場合、e−PTFEの微細な孔や内部の構造に接着剤組成物が入り込みにくく、もう一方の多孔質基材と接着することが困難であった。本発明の接着剤組成物は、e−PTFEの微細な空隙に入り込むことができるため、e−PTFEと他の多孔質基材とを接着させることができる。本発明の接着剤組成物は、e−PTFEと繊維基材との接着に好適に用いられる。
本発明の接着剤組成物を介して、一方のe−PTFEと他方のe−PTFEとを接着させたときの、接着界面の剥離強度は、1.4[N/10mm]以上であることが好ましい。1.7[N/10mm]以上であることがより好ましく、1.9[N/10mm]以上であることがさらに好ましい。また、10[N/10mm]以下が好ましく、8[N/10mm]以下がより好ましく、5[N/10mm]以下がさらに好ましい。上記数値範囲の下限値以上であれば、十分な接着性が得られ、剥離試験において基材と接着剤組成物の硬化層との間で剥離される界面剥離が起こりにくい。界面剥離が起こるということは、接着剤組成物の接着性が弱いことを表す。上記数値範囲の上限値以下であれは、接着した部分が硬くなりすぎず、風合いを損ないにくい。
(接着方法)
本発明は、前記接着剤組成物を介して、多孔質基材同士を接着させた後、硬化させる接着方法を提供する。
接着方法としては、例えば、接着剤組成物を加熱溶融した後、塗布などにより基材に処理し、基材同士を接着させた後、湿気により硬化させる方法が挙げられる。接着剤組成物を加熱溶融する温度は、接着剤組成物の融点により適宜選択されるが、60〜125℃であってよい。
接着剤組成物を基材に処理する際に用いる装置としては、例えば、グラビアロールやリバースロールなどのロールコーター、カーテンコーター、ノズルおよびスプレーなどが挙げられる。これらの装置は、接着剤組成物を加熱溶融するための接着剤溶融槽を有するものであってよい。
上記接着剤溶融槽は、溶融されたイソシアネート基末端含有ウレタン樹脂が接着剤溶融槽内の雰囲気中に存在する水分と反応しないようにするために、雰囲気を窒素ガスなどの不活性ガスで置換しておくことが好ましい。例えば、接着しようとする基材の一方または両方に、接着剤組成物をロールコーターで面状、線状又はドット状に塗布するなどして処理した後、接着剤組成物が固化する前に接着剤組成物を介して基材同士を接着させる。接着させるときには、接着させた部分を加圧したロールの間を通すなどの方法により加圧し、接着させる基材同士を固定し、接着性を向上させることが好ましい。外観が損なわれることを避けるため、塗布などにより処理した接着剤の厚みや形状が変化しない程度に制御して加圧することが好ましい。
接着剤組成物を硬化させる方法としては、湿気による硬化の他に、接着剤組成物に更に硬化剤を配合して、硬化させることもできる。硬化剤としては、接着剤組成物に含まれるイソシアネート基と反応しうる、水酸基やアミンなどの活性水素含有基を1分子当り2〜8個有する化合物が挙げられる。好ましい硬化剤としては、比較的低分子量のポリオール、アルカノールアミン、およびポリアミンが挙げられ、ジオールおよびジアミンが好ましい。前記ジオールおよびジアミンの化学式量は400以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、200以下であることがさらに好ましい。
ジオールとしては、接着性樹脂を構成する単位として用いることができる水酸基価換算分子量が650未満のジオールの中で、化学式量が400以下である化合物を用いることが好ましい。
ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、および1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、および4,4’−シクロヘキサンジアミンなどが挙げられる。
上記硬化剤は、1種のみを用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。硬化剤の使用量は、硬化剤の活性水素含有官能基と接着剤組成物に含まれるイソシアネート基とのモル比率が、硬化剤の活性水素含有官能基/接着剤組成物に含まれるイソシアネート基(モル比)の値として、0.6〜1.6が好ましく、0.8〜1.4がより好ましい。
接着剤組成物を介して、接着される多孔質基材は、特に限定されない。多孔質基材としては、繊維基材、e−PTFE、合成樹脂製のフィルム、発泡金属製のフィルム、紙、パルプモールド等が挙げられる。
繊維基材としては、編物、織布、不織布等が挙げられる。繊維基材の材質としては、天然繊維、化学繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、炭素繊維等が挙げられる。天然繊維としては、綿、麻、絹、毛等が挙げられる。化学繊維としては、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維等が挙げられる。繊維基材は、1種の材質からなるものであってもよく、2種以上の材質を組み合わせたものであってもよい。
接着剤組成物により接着される多孔質基材は、同種類の基材であってもよいし、異なる種類の基材であってもよい。接着した基材に更に他の基材を接着して、層状の構造を形成してもよい。
接着方法としては、少なくとも一方の多孔質基材が繊維基材であって、本発明の接着剤組成物を介して、該繊維基材ともう一方の多孔質基材とを接着させる接着方法や、少なくとも一方の多孔質基材がe−PTFEであって、前記接着剤組成物を介して、該e−PTFEをもう一方の多孔質基材とを接着させる接着方法が好ましい。前記接着剤組成物を介して、繊維基材とe−PTFEとを接着させる接着方法がより好ましい。従来の接着方法においては、特に、一方の多孔質基材がe−PTFEである場合、e−PTFEの微細な孔や内部の構造に従来の接着剤組成物が入り込みにくいため、該e−PTFEともう一方の多孔質基材とを接着させることが困難であった。本発明の接着方法によれば、本発明の接着剤組成物はe−PTFEの微細な空隙に入り込むことができるため、e−PTFEと他の多孔質基材とを接着させることができる。
接着剤組成物を繊維基材に用いる場合、繊維基材上の接着剤組成物層の厚さが厚くなりすぎると、接着部分の基材の柔軟性が損なわれ、手触りが硬くなり、風合いが悪くなる場合がある。繊維基材に処理された接着剤組成物の厚さは、5〜60μmであることが好ましい。厚さを60μm以下にすることによって、接着された繊維基材の風合いを良好に保つことができる。厚さを5μm以上とすることによって、良好な接着性を得ることができる。
接着剤組成物を多孔質基材に用いる場合、グラビアコーティングによって、ドット状に接着剤組成物を処理して、多孔質基材同士を接着させる方法も用いることができる。多孔質基材の一方が繊維基材であり、もう一方がe−PTFEである場合、ドット状に接着剤組成物を処理して接着させることによって、e−PTFEが接着された繊維基材の風合いを柔軟にすることができる。
以下に実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。例1〜7は実施例であり、例8〜10は比較例である。
用いた原料は以下のとおりである。
ポリオールP:数平均分子量1,000のポリオキシテトラメチレンジオール。
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、製品名:ミリオネートMT)
含フッ素化合物A:上記式1で表されるパーフルオロアルケニル基を有する含フッ素界面活性剤(ネオス社製、製品名:フタージェントFTX−218)
含フッ素化合物B:上記式1で表されるパーフルオロアルケニル基を有する含フッ素界面活性剤(ネオス社製、製品名:フタージェントM−215)
S611:直鎖状パーフルオロアルキル基を持ち、上記式1で表されるパーフルオロアルケニル基を有しない含フッ素界面活性剤(AGCセイミケミカル社製、製品名:サーフロンS611)
PF:下式3で表されるペンダント型フルオロアルキル基型ポリエーテルポリマー(オムノバ社製、製品名:ポリフォックスPF−6520)
Figure 2019006959
(例1)
窒素置換した反応容器中に、MDIの250.3gを仕込み、80℃においてポリオールPの497.0gを撹拌しながら添加して、80℃で1時間反応させた。さらに、1,5−ペンタンジオールの21.8gを添加し、50℃で10分反応させて接着性樹脂を得た。該接着性樹脂の125℃における粘度は3,000mPa・sであった。
該接着性樹脂100質量部に対して1.2質量部となるように、含フッ素化合物Aを添加して、該含フッ素化合物Aが接着性樹脂中に均一になるように撹拌し、イソシアネート基含有率が2.93質量%である接着性樹脂を含有する接着剤組成物を得た。イソシアネート基含有率は、JIS K1603−1:2007に従って求めた。イソシアネート含有率は、以下の例においても同様に求めた。
(例2)
接着性樹脂100質量部に対して0.8質量部となるように含フッ素化合物Aを添加した以外は、例1と同様にして、イソシアネート基含有率が2.95質量%である接着性樹脂を含有する接着剤組成物を得た。
(例3)
窒素置換した反応容器中に、MDIの250.3gを仕込み、80℃においてポリオールPの497.0gを撹拌しながら添加して、80℃で1時間反応させて接着性樹脂を得た。該接着性樹脂の25℃における粘度は45,000mPa・sであった。
該接着性樹脂100質量部に対して1.2質量部となるように、含フッ素化合物Aを添加して、該含フッ素化合物Aが接着性樹脂中に均一になるように撹拌し、イソシアネート基含有率が5.36質量%である接着性樹脂を含有する接着剤組成物を得た。
(例4)
1,5−ペンタンジオールの21.8gを1,4−ブタンジオールの18.7gに変更した以外は、例1と同様にして接着性樹脂を得た。該接着性樹脂100質量部に対して1.2質量部となるように、含フッ素化合物Aを添加して、該含フッ素化合物Aが接着性樹脂中に均一になるように撹拌し、イソシアネート基含有率が3.02質量%である接着性樹脂を含有する接着剤組成物を得た。
(例5)
1,5−ペンタンジオールの21.8gをエチレングリコールの13.0gに変更した以外は、例1と同様にして接着性樹脂を得た。該接着性樹脂100質量部に対して1.2質量部となるように、含フッ素化合物Aを添加して、該含フッ素化合物Aが接着性樹脂中に均一になるように撹拌し、イソシアネート基含有率が3.01質量%である接着性樹脂を含有する接着剤組成物を得た。
(例6)
含フッ素化合物Aを含フッ素化合物Bに変更した以外は、例1と同様にして、イソシアネート基含有率が2.93質量%である接着性樹脂を含有する接着剤組成物を得た。
(例7)
接着性樹脂100質量部に対して0.5質量部となるように、含フッ素化合物Aを添加した以外は、例1と同様にして、イソシアネート基含有率が2.96質量%である接着性樹脂を含有する接着剤組成物を得た。
(例8)
例1と同様にして、イソシアネート基含有率が2.97質量%である接着性樹脂を得た。含フッ素化合物は添加しなかった。
(例9)
含フッ素化合物AをS611に変更する以外は、例1と同様にして、イソシアネート基含有率が2.94質量%である接着性樹脂を含有する接着剤組成物を得た。
(例10)
含フッ素化合物AをPFとした以外は例1と同様にして、イソシアネート基含有率が2.79質量%である接着性樹脂を含有する接着剤組成物を得た。例10で得られた接着剤組成物においては、後述の剥離強度試験用の試験サンプルを作成する際に、ホットプレート上で接着剤組成物を加熱溶融する工程において、粘度が高くなる現象が観察された。PFの水酸基と接着性樹脂のイソシアネート基の反応が進行したものと考えられる。
上記により得られた接着剤組成物または接着性樹脂について、以下の方法で、剥離強度、接着性、接触角、貯蔵安定性を測定した。測定結果を表1に示す。
<剥離強度試験>
(例3以外の接着剤組成物または接着性樹脂を用いた試験サンプルの作成)
e−PTFEテープの片面にナイロン布を貼り合せ、250mm×50mmの大きさで2枚切り出し、試験片とした。該試験片において、ナイロン布とe−PTFEを貼り合わせるのに用いた接着剤は、本発明の接着剤組成物ではない。切り出した2枚の試験片のうち1枚の試験片を、e−PTFE面を上にしてテーブル上に静置した。
アルミカップを135℃のホットプレート上に置き、例3を除く各例で得られた接着剤組成物または接着性樹脂を約15g入れ、接着剤組成物が均一に溶融するようにスパチュラで撹拌しながら、約1分間加熱溶融させた。該接着剤組成物の温度が、90〜95℃であることを表面温度計で確認した。テーブル上の一方の試験片のe−PTFE面に、溶融した接着剤組成物を、厚さが750±300μmとなるように滴下した。別の一枚の試験片のe−PTFE面が、前記一方の試験片のe−PTFE面に滴下した接着剤組成物と接するよう重ね合わせた。該重ね合わせた試験片の厚みが均一となるように、100mm幅、質量2kgのゴムロールを、該重ね合わせた試験片の上を2回往復させて試験サンプルを得た。該試験サンプルを23℃、相対湿度60%で一週間養生させた後、250mm×10mmに切断した。
(例3の接着剤組成物を用いた試験サンプルの作成)
例3で得られた接着剤組成物の100gをプラスチック製容器に取り、1,4−ブタンジオールの5.47gを室温で撹拌して混合物を得た。該混合物を一方の試験片のe−PTFE面に、厚さが750±300μmとなるように、ドクターブレード(イーガーコーポレーション社製)で塗工した。別の一枚の試験片のe−PTFE面が、前記一方の試験片に塗工した接着剤組成物と接触するように重ね合わせて試験サンプルを得た。該試験サンプルを100℃のオーブンに10分間放置し硬化させた。次いで、23℃、相対湿度60%で一週間養生させた後、250mm×10mmに切断した。
(剥離強度の測定)
剥離強度試験は、JIS K 6843−3:1999のT型剥離試験に準じて行った。テンシロン(エー・アンド・デー社製、型番:RTG−1310)を用い、引張速度:300mm/minの条件で剥離強度([N/10mm])を測定した。
<接着性の評価>
剥離強度試験測定後の剥離面を観察した。前記試験サンプルの剥離試験において、接着剤組成物の接着力が強い場合、e−PTFEの方が、接着剤組成物が硬化して形成された層よりも破壊されやすいため、e−PTFEが破壊されて、剥離が起こる。また、接着剤組成物の接着力が弱い場合、接着剤組成物が硬化して形成される接着剤組成物層とe−PTFEの界面で剥離が起こる。剥離強度試験後の試験サンプルにおいて、接着剤組成物層が付着している側の剥離面を解析面とした。解析面に試験サンプルと同じ大きさの透明フィルムをあてて、残存しているe−PTFEの面積をサインペンで写し取った。写し取ったe−PTFE部分を切り取って質量を測定し、透明フィルム全体の質量に対する、切り取ったe−PTFEの透明フィルム部分の質量の割合(質量%)を残存率として算出した。該残存率が高いほど接着性が良好であることを示し、接着性を以下のように評価した。
○:上記残存率が50〜100質量%であるもの。
△:上記残存率が10%以上50質量%未満であるもの。
×:上記残存率が10%質量未満であるもの。
<接触角の測定>
アルミカップを180℃のホットプレート上に置き、例3を除く各例で得られた接着剤組成物または接着性樹脂を約3g入れた。該接着剤組成物が均一に溶融するようにスパチュラで撹拌しながら、約1分間加熱溶融させた。接着剤組成物または接着性樹脂の液温度が、118〜122℃であることを表面温度計で確認した。厚み1.5mmのステンレス板上に両面テープで固定したs−PTFE上に、溶融した接着剤組成物または接着性樹脂をスパチュラですくい取り、一滴滴下した。25℃で10分間静置し、固化した接着剤組成物または接着性樹脂のs−PTFEとの接触角を協和界面科学社製CA−Xを用いて測定した。各接着剤組成物または接着性樹脂について同様の操作を3回行い、得られた接触角の平均を表1に示す。なお、例3で得られた接着剤組成物は25℃において液状であるため上記の測定は行わなかった。接触角の値が小さいほどs−PTFEに対する濡れ性が良好であることを示す。
<貯蔵安定性試験>
各例で得られた接着剤組成物または接着性樹脂を、内蓋のある70mlのガラス製容器に約50g入れて、乾燥窒素を封入して内蓋を閉めた。内蓋とガラスの接触部分にポリテトラフルオロエチレン製のシールテープを巻き、外気が侵入しないようにした。室温でデシケータ内に一週間放置した後、接着剤組成物または接着性樹脂のイソシアネート基含有率を測定した。放置前のイソシアネート基含有率に対する変化率を貯蔵安定性として表1に示す。該変化率が2%以内であれば貯蔵安定性は良好であることを示す。イソシアネート基含有率は、上記同様に、JIS K1603−1:2007に従って求めた。
Figure 2019006959
本発明の含フッ素化合物である含フッ素化合物Aまたは含フッ素化合物Bを、接着性樹脂の100質量部に対して、0.3〜10質量部含有する例1〜7においては、剥離強度が高く、接着性が良好であり、接触角が低く、かつ貯蔵安定性が良好であった。本発明の含フッ素化合物を添加しない例8〜10においては、剥離強度、接着性、接触角、および貯蔵安定性の少なくとも一つが劣っていた。
本発明の接着剤組成物は、繊維基材、e−PTFE、合成樹脂製のフィルム、発泡金属製のフィルム、紙、パルプモールド等の各種多孔質基材同士を接着することができる。特に、繊維基材とe−PTFEの接着に適している。本発明の接着剤組成物は、衣料、スポーツ用品、靴などの用途における接着剤として好適である。

Claims (9)

  1. 接着性樹脂および含フッ素化合物を有する接着剤組成物であって、該含フッ素化合物は、下記式1で表されるパーフルオロアルケニル基を有する化合物であり、該含フッ素化合物の含有量は、接着性樹脂100質量部に対して、0.3〜10質量部である、接着剤組成物。
    Figure 2019006959
  2. 前記接着性樹脂は、イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂である、請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネートに基づく単位と、水酸基価換算分子量が650以上であるポリテトラメチレングリコールに基づく単位を有する、請求項2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂に対して、ポリイソシアネートに基づく単位の割合が20〜50質量%であり、水酸基価換算分子量が650以上のポリテトラメチレングリコールに基づく単位の割合が50〜80質量%である、請求項3に記載の接着剤組成物。
  5. 前記イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂は、さらに水酸基価換算分子量が650未満であるジオールに基づく単位を有し、該イソシアネート基末端を有するポリウレタン樹脂に対して、該水酸基価換算分子量が650未満であるジオールに基づく単位の割合が30質量%以下である、請求項4に記載の接着剤組成物。
  6. 接着剤組成物を介して、一方の延伸ポリテトラフルオロエチレン膜と、他方の延伸ポリテトラフルオロエチレン膜とを接着させたときの接着界面の剥離強度が、1.4[N/10mm]以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着剤組成物を介して、多孔質基材同士を接着させた後、硬化させる、接着方法。
  8. 前記多孔質基材の少なくとも一方が繊維基材である、請求項7に記載の接着方法。
  9. 前記多孔質基材の少なくとも一方が延伸ポリテトラフルオロエチレン膜である、請求項7または8に記載の接着方法。
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