JP2019003845A - 銅組成物および銅導電体の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低エネルギーで残存する有機分のない銅導電体を形成することができる銅組成物および銅導電体の作製方法の提供。
【解決手段】水酸化銅又は塩基性炭酸銅と熱分解性を持つカルバジン酸エステルとを含む銅組成物。さらに、溶剤を加えた前記銅組成物を基板に塗布後、70〜200℃で加熱、光照射又はマイクロ波照射することにより残存する有機分のない金属銅導電体を作製することができ、それにより、プリンテッド・エレクトロニクス分野で低温でクリーンな導電層を形成するインクとして利用できる銅組成物。
【選択図】なし
【解決手段】水酸化銅又は塩基性炭酸銅と熱分解性を持つカルバジン酸エステルとを含む銅組成物。さらに、溶剤を加えた前記銅組成物を基板に塗布後、70〜200℃で加熱、光照射又はマイクロ波照射することにより残存する有機分のない金属銅導電体を作製することができ、それにより、プリンテッド・エレクトロニクス分野で低温でクリーンな導電層を形成するインクとして利用できる銅組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、低コストおよび低エネルギーでクリーンな銅導電体を形成する技術に関し、具体的には、それに用いるための銅組成物に関する。
近年、印刷技術を利用してポリマーフィルム上に電子回路、デバイス等を形成するプリンテッド・エレクトロニクスが注目され、銀ナノ粒子インクを用いた導電パターン形成技術が開発されている。しかしながら、銀はコストやエレクトロマイグレーションの問題があり、銀にかわってポリマーフィルムの耐熱温度より低い温度で導電パターンを形成可能な銅系インクまたはペーストの開発が期待されている。
現在、開発されている銅インクまたはペーストは、金属銅や酸化銅を用いる無機化合物系とギ酸銅などを用いる有機酸塩系に大別される。何れの系も、何らかの外部刺激により低温焼結性のよい金属銅ナノ粒子を生成し、これにより300℃以下の温度で導電層形成を可能としている。
無機化合物系は、金属銅ナノ粒子がひじょうに酸化されやすいため、アルキルアミン、有機酸またはポリオールからなる保護剤で被覆された銅ナノ粒子分散液、あるいは酸化の起こらない酸化銅微粒子分散液を利用することが検討されている。導電層は、これら分散液を用いて印刷などによりパターン形成後、還元性雰囲気下で加熱、光照射、プラズマ処理、またはマイクロ波照射により金属銅ナノ粒子生成−粒子接合を経て形成される。導電層の厚膜化という観点からみると、導電層の形成にともなって体積的に大きな割合を占める保護剤が消失する銅ナノ粒子分散液は厚膜化には向いておらず、保護剤を必要としない酸化銅微粒子分散液の方が好ましい。
酸化銅粒子分散液を用いた導電層の形成は、パターン形成後、水素やギ酸蒸気を含む不活性雰囲気下で熱処理する(特許文献1,2)または光照射する(特許文献3)、あるいはエチレングリコールのような還元剤を加えた酸化銅粒子分散液でパターン形成後、光またはマイクロ波を照射する(特許文献4,5)などにより行われる。特許文献3以外の方法では酸化銅の還元は化学的に行われるが、還元剤の還元力が高くないために還元に高温と時間がかかる問題がある。
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、低コストおよび低エネルギーで導電体を形成し得る銅組成物を提供することにある。
本発明の銅組成物は、一般式(1)で表されるカルバジン酸エステルと水酸化銅または塩基性炭酸銅とを含む。
(式中、R1、R2、R3は、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、C1〜C16の直鎖状アルキル基、C3〜C16の分岐状アルキル基、C3〜C10の環状アルキル基、R1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C10の環状アルキル基、アリール基、C6〜C9のアラルキル基およびC3〜C16のアルケニル基の内のいずれか一つを表す。なお、R1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C10の環状アルキル基は1つ以上のベンゼン環と縮合環を形成していてもよい。)
好ましい実施態様によれば、前記一般式(1)のR1、R2、R3は、互いに独立してC1〜C6の直鎖状アルキル基、C3〜C6の分岐状アルキル基およびC3〜C6の環状アルキル基の内のいずれか一つ、前記一般式(1)のR1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C10の環状アルキル基で残りがC1〜C6の直鎖状アルキル基およびC3〜C6の分岐状アルキル基の内のいずれか一つ、前記一般式(1)のR1、R2、R3のいずれか1つが水素で残りが互いに独立してC1〜C10の直鎖状アルキル基、C3〜C10の分岐状アルキル基およびC3〜C10の環状アルキル基の内のいずれか一つ、または前記一般式(1)のR1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C10の環状アルキル基で残りが水素である。
好ましい実施態様によれば、水酸化銅または塩基性炭酸銅1モルに対しカルバジン酸エステルが0.5〜4モル含まれる。
好ましい実施態様によれば、エステル系溶剤、芳香族系溶剤、エーテル系溶剤、アミド系溶剤およびアルコール系容剤からなる群より少なくとも1種選択された溶剤が含まれる。
本発明の銅導電体の作製方法は、前記一般式(1)で表されるカルバジン酸エステルと水酸化銅または塩基性炭酸銅とを含む銅組成物を基板に塗布後、70〜200℃で加熱、光照射またはマイクロ波照射する。
本発明によれば、低エネルギーで残存する有機分のない銅導電体を形成することができる銅組成物を提供する。それにより、高温加熱しなくてもクリーンな導電層を形成することができる。また、導電層の厚膜化にも優れた性能を発揮することができる。さらに、本発明の銅組成物は、安価な原料の入手が容易な水酸化銅や塩基性炭酸銅を利用するため低コストである。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
本発明の銅組成物は、一般式(1)で表されるカルバジン酸エステルと銅化合物として水酸化銅または塩基性炭酸銅を含む。
(式中、R1、R2、R3は、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、C1〜C16の直鎖状アルキル基、C3〜C16の分岐状アルキル基、C3〜C10の環状アルキル基、R1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C10の環状アルキル基、アリール基、C6〜C9のアラルキル基およびC3〜C16のアルケニル基の内のいずれか一つを表す。なお、R1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C10の環状アルキル基は1つ以上のベンゼン環と縮合環を形成していてもよい。)
本発明の銅組成物は、一般式(1)で表されるカルバジン酸エステルと銅化合物として水酸化銅または塩基性炭酸銅を含む。
カルバジン酸エステル自身は熱分解することが知られている(例えばR1、R2、R3が全てメチル基であるt−ブチル基の場合150℃以上で分解(熱分析による))。R1、R2、R3の少なくとも1つが水素になると分解温度は上昇し、熱分解温度にはR1、R2、R3が全て有機基(3級炭素)<R1、R2、R3のいずれか1つが水素(2級炭素)<R1、R2、R3のいずれか2つまたは全てが水素(1級炭素)のような構造依存性が見られる。
こうした熱分解性を持つカルバジン酸エステルであるが、銅化合物が共存すると、熱分解温度の構造依存性はそのままで熱分解温度だけが大きく低下することは全く知られていなかった。銅化合物共存下の熱分解温度域は、R1、R2、R3が全て有機基の場合70〜120℃、R1、R2、R3のいずれか1つが水素である場合100〜150℃、R1、R2、R3のいずれか2つまたは全てが水素である場合140℃〜190℃である。
すなわち、好ましい一般式(1)で表されるカルバジン酸エステルとしては、前記一般式(1)のR1、R2、R3は、互いに独立してC1〜C6の直鎖状アルキル基、C3〜C6の分岐状アルキル基およびC3〜C6の環状アルキル基の内のいずれか一つ、前記一般式(1)のR1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C10の環状アルキル基で残りがC1〜C6の直鎖状アルキル基およびC3〜C6の分岐状アルキル基の内のいずれか一つ、前記一般式(1)のR1、R2、R3のいずれか1つが水素で残りが互いに独立してC1〜C10の直鎖状アルキル基、C3〜C10の分岐状アルキル基およびC3〜C10の環状アルキル基の内のいずれか一つ、または前記一般式(1)のR1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C10の環状アルキル基で残りが水素である一般式(1)で表されるカルバジン酸エステルである。
さらに、熱分解温度が150℃以下である本発明の銅組成物を構成する一般式(1)で表されるカルバジン酸エステルは、R1、R2、R3の全てがC1〜C6の直鎖状アルキル基、C3〜C6の分岐状アルキル基、C3〜C6の環状アルキル基またはR1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C10の環状アルキル基、あるいはR1、R2、R3のいずれか1つが水素で残りがC1〜C10の直鎖状アルキル基、C3〜C10の分岐状アルキル基、C3〜C10の環状アルキル基またはR1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C10の環状アルキル基であることが好ましい。より好ましくは、R1、R2、R3の全てがC1〜C3の直鎖状アルキル基、C3〜C6の分岐状アルキル基またはR1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C6の環状アルキル基、あるいはR1、R2、R3のいずれか1つが水素で残りがC1〜C6の直鎖状アルキル基、C3〜C6の分岐状アルキル基またはR1、R2およびR3のうち2つが結合して環を形成したC3〜C6の環状アルキル基である。具体的には、tert−ブチル基、sec−ブチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。
カルバジン酸エステルは、ヒドラジンと炭酸ジアルキル(M−Y.Yangら,Lett.Drug.Des.Discov.,2015,12,314、G−Y.Sunら,Phosphorus.Sulfur.2014,189,1895)またはクロロ炭酸アルキル(E.Coltonら、J.Am.Chem.Soc.1954,76,2572.、特開2006−325061、特開2007−073137)を反応させる方法、モノクロル尿素ナトリウム塩にアルコールを反応させる方法(特開平7−41260)、ヒドラジン水溶液にアルコールと触媒(硫酸ナトリウム、ジメチルアミノピリジン、ジシクロカルボジイミド)を加え、pH5〜11にした後二酸化炭素ガスを吹き込むことで合成する方法(CN 103980164)、アルコールにジシクロヘキシルカルボジイミドを作用させた後、ヒドラジンと反応させる方法(Y.Zhaonら,Chem.Eur.J.2011,17,3571)などで合成することができる。
カルバジン酸エステルは熱分解によって、ヒドラジン、二酸化炭素および揮発性のアルケンまたはアルキンを生成する。この時、生成したヒドラジンが銅(II)イオンを金属銅にまで還元する。ヒドラジンは反応後、窒素と水になる。よって、カルバジン酸エステルの熱分解後に残存する物質は極めて少ないといえる。
カルバジン酸エステルの熱分解によって生成するヒドラジンの還元力は水酸基の有無によって大きく異なるため、水性媒体中での銅イオンの金属銅への還元はアルカリ側が好ましいことが知られている。しかしながら、カルバジン酸エステルはアルカリ性水性媒体中では不安定なため水を用いることは好ましくない。非水系としてエタノールのようなアルコールに水酸化ナトリウムのような水酸化物を溶解して使用することは可能であるが、導電層形成後にアルカリ金属等が残存するため好ましくない。
こうしたことから、カルバジン酸エステルと組み合わせる銅化合物として、水酸基を有する水酸化銅(II)微粒子または塩基性炭酸銅(例えば、炭酸二水酸化二銅(II)Cu2(OH)2CO3、ビス(炭酸)二水酸化三銅(II)Cu3(OH)2(CO3)2など)微粒子が好ましい。これらの銅化合物微粒子の大きさとしては、還元されて生成した銅粒子間の接合のしやすさを考慮すると、2〜600nm、好ましくは5〜400nm、より好ましくは10〜300nmである。600nmより大きくなると銅粒子が接合しにくくなり、導電体の導電性が低下する。こうしたサイズの銅化合物微粒子は公知の方法で合成し得る。
カルバジン酸エステルと水酸化銅または塩基性炭酸銅の比率は、銅化合物の水酸基を基準(モル換算)とすると、水酸基/カルバジン酸エステル=5:1〜1:4、好ましくは4:1〜1:3、より好ましくは2:1〜1:2である。5:1より水酸基が増すと還元が十分でなくなる。1:4よりカルバジン酸エステルが多くなると還元に関与しないカルバジン酸エステルが無駄になる。
本発明の銅組成物は、カルバジン酸エステルと前記銅化合物微粒子を前記比率で混合したものであり、その作製は両者を直接乳鉢等で混合、あるいは両者に適切な溶剤を混合後、超音波照射やジルコニアビーズ等を用いた分散により実施し得る。溶剤としては、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶剤、N−メチルホルムアミドやN,N’−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテルやエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール系溶剤およびエタノール等のアルコール系溶剤を使用することができる。溶剤の使用量としては、銅組成物の使用形態、例えばペーストあるいはインクによって異なるので特に制限はない。なお、作製においては、保存安定性の観点から水分の混入をできるだけ避けることが好ましい。
塗布または印刷等によって、プラスチックフィルムやセラミックス板等の基板上に本発明の銅組成物のパターンを形成する場合、必要に応じてバインダーを用いることができる。バインダーとしては、例えば、ポリN−ビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリオキシメチレン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース等のセルロース誘導体、アクリル樹脂、パラフィンワックスなどのセラミックスの成形・焼結に用いられている物質を挙げることができる。バインダーの使用量としては、前記銅化合物微粒子100重量部に対し、0.5〜50重量部、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは2〜20重量部である。0.5重量部より少ないとバインダーとしての効果が発揮されない。50重量部より多いと銅化合物微粒子の還元が遅くなる。なお、必要に応じて可塑剤等を混合することができる。
本発明の銅導電体は、前記銅組成物を基板上に塗布または印刷等によってパターン形成後、加熱、光照射またはマイクロ波加熱することにより得られる。加熱する場合は、電気炉等を用いて、70〜250℃、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃で加熱する。70℃より低いと生成する銅微粒子の焼結(接合)が進みにくい。250℃以上は必要がない。加熱時間は加熱温度によって異なるため特に制限はなく、得られた銅導電体の体積抵抗値が十分低くなるまで加熱すれば良い。なお、加熱処理は大気下でも可能であるが、加熱時間が5分より長くなる場合は、銅の酸化を防ぐために窒素等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。光照射は、特開2013−196881号公報などに記載されている公知技術を援用することができる。
誘電体を主とする物質は、300MHz〜300GHzの電磁波(マイクロ波)を照射すると分子運動とイオン伝導によって熱が発生し、加熱される。誘電体でない金属や金属酸化物粒子もマイクロ波で加熱されることが知られている。例えば、J.Maらは銅粒子の2450MHzのマイクロ波による加熱・焼結を検討している(J.Appl.Phys.,2007,102,109902)。加熱に用いることのできる周波数としては、国際電気通信連合によって割り当てられたISM周波数が好ましい。その中で、世界共通に使用でき、かつ安価なマイクロ波発振管が普及している2450MHz帯がより好ましい。マイクロ波の照射時間は、装置の出力によって異なるため、特に制限はない。マイクロ波加熱は大気下でも可能であるが、マイクロ波の照射時間が5分より長くなる場合は、生成する銅の酸化を防ぐために窒素等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例には限定されない。
[水酸化銅の合成]
硫酸銅5水和物(ナカライテスク製)2.41gを蒸留水50mlに溶解させ、これに1N水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えてpH7.5とし、水酸化銅を沈殿させた。生成した水酸化銅を濾紙で濾別し、蒸留水100mlで洗浄後、メタノールで洗浄して60℃で4時間乾燥させた。
硫酸銅5水和物(ナカライテスク製)2.41gを蒸留水50mlに溶解させ、これに1N水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えてpH7.5とし、水酸化銅を沈殿させた。生成した水酸化銅を濾紙で濾別し、蒸留水100mlで洗浄後、メタノールで洗浄して60℃で4時間乾燥させた。
〔実施例1〕
[銅組成物の作製1]
30mlのガラス容器に水酸化銅0.976gとカルバジン酸t−ブチル(東京化成製)0.238gとエタノール3mlをとり、超音波照射して水酸化銅を分散させて銅組成物を作製した。
[銅組成物の作製1]
30mlのガラス容器に水酸化銅0.976gとカルバジン酸t−ブチル(東京化成製)0.238gとエタノール3mlをとり、超音波照射して水酸化銅を分散させて銅組成物を作製した。
〔実施例2〕
[銅組成物の作製2]
30mlのガラス容器に水酸化銅0.976gとカルバジン酸t−ブチル(東京化成製)0.238gとエタノール3mlをとり、超音波照射して水酸化銅を分散させた後、エタノールを蒸発させて銅組成物を作製した。
[銅組成物の作製2]
30mlのガラス容器に水酸化銅0.976gとカルバジン酸t−ブチル(東京化成製)0.238gとエタノール3mlをとり、超音波照射して水酸化銅を分散させた後、エタノールを蒸発させて銅組成物を作製した。
〔実施例3〕
[銅導電体の作製1]
実施例1において、ガラス容器にキャップをした後、120℃のオイルバスで加熱したところ、ガラス壁に金属光沢を持つ薄膜が生成した。生成した薄膜をエタノールで洗浄後、減圧乾燥して走査型電子顕微鏡で観察したところ、100〜200nmの微粒子の集合体であることがわかった。次いで、X線回折測定を行ったところ、金属銅の回折パターンが得られ、生成物は金属銅であることがわかった。薄膜の表面抵抗を測定したところ、300Ω/□であり導電体となっていることを確認した。
[銅導電体の作製1]
実施例1において、ガラス容器にキャップをした後、120℃のオイルバスで加熱したところ、ガラス壁に金属光沢を持つ薄膜が生成した。生成した薄膜をエタノールで洗浄後、減圧乾燥して走査型電子顕微鏡で観察したところ、100〜200nmの微粒子の集合体であることがわかった。次いで、X線回折測定を行ったところ、金属銅の回折パターンが得られ、生成物は金属銅であることがわかった。薄膜の表面抵抗を測定したところ、300Ω/□であり導電体となっていることを確認した。
〔実施例4〕
[銅導電体の作製2]
実施例2において、ガラス容器を家庭用電子レンジに入れ、600wで10分マイクロ波を照射したところ、銅色の固体が生成した。これを一部とって走査型電子顕微鏡で観察したところ、100〜200nmの微粒子が接合した多孔体であることがわかった。X線回折測定を行ったところ、金属銅の回折パターンが得られ、生成物は金属銅であることがわかった。固体の表面抵抗を測定したところ、30Ω/□であり導電体となっていることを確認した。
[銅導電体の作製2]
実施例2において、ガラス容器を家庭用電子レンジに入れ、600wで10分マイクロ波を照射したところ、銅色の固体が生成した。これを一部とって走査型電子顕微鏡で観察したところ、100〜200nmの微粒子が接合した多孔体であることがわかった。X線回折測定を行ったところ、金属銅の回折パターンが得られ、生成物は金属銅であることがわかった。固体の表面抵抗を測定したところ、30Ω/□であり導電体となっていることを確認した。
本発明の銅組成物は、低エネルギーで残存する有機分のない金属銅導電体を形成することができる。それにより、プリンテッド・エレクトロニクス分野で低温でクリーンな導電層を形成するインクとして利用できる。
Claims (4)
- 水酸化銅または塩基性炭酸銅1モルに対しカルバジン酸エステルが0.5〜4モル含まれる、請求項1に記載の銅組成物。
- エステル系溶剤、芳香族系溶剤、エーテル系溶剤、アミド系溶剤、グリコール系溶剤およびアルコール系溶剤からなる群より少なくとも1種選択された溶剤が含まれる、請求項1または請求項2に記載の銅組成物。
- 銅導電体の作製方法であって、請求項3に記載の銅組成物を基板に塗布後、70〜200℃で加熱、光照射またはマイクロ波照射する、銅導電体の作製方法。
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JP2017118267A JP2019003845A (ja) | 2017-06-16 | 2017-06-16 | 銅組成物および銅導電体の作製方法 |
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