JP2019001977A - 陰イオン交換樹脂およびアルカリ型燃料電池用電解質膜 - Google Patents

陰イオン交換樹脂およびアルカリ型燃料電池用電解質膜 Download PDF

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Abstract

【課題】アルカリ耐性に優れる陰イオン交換樹脂の提供。【解決手段】αーメチルスチレン単位、及び、式(2)で示される構造単位を含み、αーメチルスチレン単位、及び、式(2)で示される構造単位は交互に配列されている陰イオン交換樹脂。(R1はC1〜10の炭化水素基;R2〜R4は、各々独立にH、シアノ基又は、置換/非置換の炭化水素基;X—は陰イオン)【選択図】なし

Description

本発明は、陰イオン交換樹脂およびアルカリ型燃料電池用電解質膜に関し、詳しくは、陰イオン交換樹脂、それを含むアルカリ型燃料電池用電解質膜に関する。
水素を燃料とするプロトン伝導燃料電池は、発電効率が高く化石燃料枯渇の有望な解決策となること、また、二酸化炭素排出が大幅に削減できるため、地球温暖化の抑止手段となることから、家庭向けコジェネレーション用や自動車用の電源として、その開発が望まれている。その中でも特に固体高分子型燃料電池は、作動温度が低く、電解質の抵抗が少ないことに加え、活性の高い触媒を用いるために小型でも高出力を得ることができ、早期の実用化が見込まれている。
一方、メタノールや水加ヒドラジンを燃料としたアニオン伝導燃料電池については、液体燃料としての搭載の簡易性、安全性や出力密度の高さから、特にコンパクトカーを意識した燃料電池自動車への適用が進められている。このシステムにおいては、運転時にプロトン伝導燃料電池のように強酸条件を必要としないことから、電極に白金のような貴金属ではなく、強酸性条件で溶解するためにプロトン伝導燃料電池では利用できなかった安価な鉄やコバルトを利用できることが最大の特徴である。従って、低コストかつ高出力の燃料電池が期待できる。しかしながら、実用性に耐えるアニオン伝導電解質膜が殆ど開発されていない状況であり、ナフィオンはじめ、利用実績のあるプロトン伝導電解質膜に比べて現状のアニオン伝導電解質膜は、導電性や機械的強度、燃料透過率などの性能の低さに加え、アルカリ耐性が著しく低いことなどその耐性が最大の問題となっている。
アルカリ型燃料電池において、アニオン伝導電解質膜(アルカリ型燃料電池用電解質膜)は、水酸化物イオン(アニオン)を伝導するためのいわゆる「電解質」として、さらに燃料であるメタノール、ヒドラジンと酸素とを直接混合させないための「隔膜」として作用する。この高分子電解質膜としては、イオン伝導性が大きいこと、電池の作動条件である高温(>60℃)のアルカリ水溶液中での長期間の使用に耐える化学的な安定性及び耐熱性があること、また、イオン伝導性を高く保持するために膜の保水性が一定であることが要求される。一方、隔膜としての役割から、膜の機械的な強度や寸法安定性が優れることや、メタノール、ヒドラジン及び酸素に対する高いバリア性を有することなどが要求される。
そこで、これまで上記諸問題を解決するアニオン伝導電解質膜の開発が活発に進められてきた。例えば、多孔質のポリエチレンなどの炭化水素系フィルムを基材として、その細孔に架橋されたアニオン交換樹脂を充填したアニオン伝導電解質膜が開発、市販されている(特許文献1〜3参照)。また、ハロアルキルスチレン、エラストマー、エポキシ化合物の混合物を重合させたものを基材膜として4級化反応によってアニオン交換基を導入するアニオン伝導電解質膜の製造方法(特許文献4参照)や、フッ素系高分子からなる基材にアニオン交換基前駆体モノマーの放射線グラフト重合とその後アニオン交換基を導入するアニオン伝導電解質膜の製造方法が提示されている(特許文献5、6参照)。
特開2002−367626号公報 特開2009−203455号公報 特開2010−092660号公報 特開2011−202074号公報 特開2000−331693号公報 特開2014−049352号公報
固体高分子型電解質燃料電池などに使用するアニオン伝導電解質膜として、例えば、含フッ素ポリマーからなる基材に、N−ビニルイミダゾールやその塩を放射線グラフト重合させた重合体を使用することが提案されているが、このような重合体は、アルカリ性条件下において分解反応が生じることを本発明者らは見出している。
例えば、特許文献6のアニオン伝導電解質膜のグラフト鎖は、下記式(3)で示される構造単位、および、下記式(4)で示される構造単位がランダムに配列されている。
Figure 2019001977
(Rは、ハロゲノ基、または、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、aは、0〜5の整数を示し、aが2以上の場合には、Rは、互いに同一または相異なって、上記のRと同意義を示す。)
Figure 2019001977
(式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R、RおよびRは、互いに同一または相異なって、水素原子、シアノ基、または、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Xは陰イオンを示す。)
そして、上記式(4)で示される構造単位が連続で配列された場合には、主鎖のβ位のプロトンが水酸化物イオンに引き抜かれることに由来する脱離反応(β脱離)が生じる。また、膜中で上記式(4)で示される構造単位が凝集し、親水性が局所的に高くなると、加水分解反応が起こる。そのため、特許文献6のアニオン伝導電解質膜は、アルカリ耐久性に劣るという不具合がある。
本発明は、分解反応に関わる高次構造を改良し、アルカリ耐性に優れる陰イオン交換樹脂およびその陰イオン交換樹脂を含むアルカリ型燃料電池用電解質膜を提供することを目的とする。
本発明[1]は、下記式(1)で示される構造単位、および、下記式(2)で示される構造単位を含み、下記式(1)で示される構造単位、および、下記式(2)で示される構造単位は交互に配列されている、陰イオン交換樹脂である。
Figure 2019001977
Figure 2019001977
(式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R、RおよびRは、互いに同一または相異なって、水素原子、シアノ基、または、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Xは陰イオンを示す。)
本発明[2]は、上記[1]に記載の陰イオン交換樹脂を含む、アルカリ型燃料電池用電解質膜を含んでいる。
本発明の陰イオン交換樹脂によれば、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位を含み、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位は交互に配列されているため、アルカリ型燃料電池用電解質膜として用いた場合に、上記式(2)で示される構造単位が、その両隣に配列された上記式(1)で示される構造単位によって保護され、上記したβ脱離や加水分解反応を抑制できる。その結果、アルカリ耐久性に優れる。
本発明のアルカリ型燃料電池用電解質膜によれば、上記の陰イオン交換樹脂を含んでいるため、アルカリ耐久性に優れる。
図1は、13C−固体NMRスペクトル測定の結果を示すチャートである。 図2は、各配合割合(N−ビニル−2−メチルイミダゾールおよびα−メチルスチレンの配合割合)における、グラフト率とイオン交換容量との関係を示したグラフである。
本発明の陰イオン交換樹脂は、下記式(1)で示される構造単位、および、下記式(2)で示される構造単位を含んでいる。陰イオン交換樹脂は、好ましくは、下記式(1)で示される構造単位、および、下記式(2)で示される構造単位からなる。
Figure 2019001977
Figure 2019001977
(式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R、RおよびRは、互いに同一または相異なって、水素原子、シアノ基、または、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Xは陰イオンを示す。)
上記式(2)において、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。
炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などの炭素数1〜10の直鎖状炭化水素基、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、i−ペンチル基、s−ペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、i−ヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基などの炭素数1〜10の分枝鎖状炭化水素基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基などの炭素数3〜10の環状炭化水素基が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の炭化水素基が挙げられ、より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。さらに好ましくは、メチル基が挙げられる。
また、上記式(2)において、R、RおよびRは、互いに同一または相異なって、水素原子、シアノ基、または、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、好ましくは、Rはメチル基を示し、RおよびRは互いに同一に水素原子を示す。
置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基として、例えば、上記した炭素数1〜10の炭化水素基、好ましくは、炭素数1〜4の炭化水素基が挙げられる。
上記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボキシ基、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲノ基などが挙げられる。なお、上記した置換基は1個または複数個有していてもよい。
また、上記式(2)において、Xは、陰イオンを示す。
陰イオンとしては、例えば、1価の陰イオンが挙げられる。
1価の陰イオンとしては、例えば、硫酸水素イオン、例えば、硝酸イオン、例えば、チオシアネートイオン、例えば、過塩素酸イオン、例えば、酢酸イオン、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲンイオン、例えば、水酸化物イオン、例えば、炭酸水素イオンが挙げられ、好ましくは、水酸化物イオンが挙げられる。なお、陰イオンは、1種類でも2種類以上混在していてもよい。
そして、この陰イオン交換樹脂を製造するには、まず、下記式(5)で示されるα−メチルスチレンと下記式(6)で示されるN−ビニルイミダゾール誘導体とを共重合させる。
Figure 2019001977
Figure 2019001977
(式中、R、RおよびRは、上記式(2)のR、RおよびRと同意義を示す。)
N−ビニルイミダゾール誘導体としては、例えば、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、4,5−ジシアノ−N−ビニルイミダゾール、4,5−ジフェニル−N−ビニルイミダゾール、4,5−ジヒドロキシメチル−N−ビニルイミダゾールなどが挙げられ、好ましくは、N−ビニル−2−メチルイミダゾールが挙げられる。
これらN−ビニルイミダゾール誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
N−ビニルイミダゾール誘導体の配合割合は、α−メチルスチレンの配合割合と同量、あるいは、α−メチルスチレンの配合割合より多くてもよい。具体的には、N−ビニルイミダゾール誘導体の配合割合は、α−メチルスチレンとN−イミダゾール誘導体との総モル数に対して、例えば、35モルパーセント以上、好ましくは、40モルパーセント以上であり、また、例えば、90モルパーセント以下である。
N−ビニルイミダゾール誘導体の配合割合が、上記した上限以下であれば、余剰なN−ビニルイミダゾール誘導体同士が共重合して、上記式(2)で示される構造単位が、連続して配列されることを抑制できる。その結果、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位が、交互に配列された下記式(9)で示される構造単位を含有するポリマー(後述)を得ることができる。詳しくは、下記式(9)で示される構造単位を含有するポリマー(後述)の末端部分は、上記式(1)で示される構造単位になる。なお、α−メチルスチレンの解重合特性から、上記の末端部分において、余剰なα−メチルスチレン同士が共重合して、上記式(1)で示される構造単位が、連続して配列されることはない。
N−ビニルイミダゾール誘導体とα−メチルスチレンとを共重合させる方法としては、例えば、N−ビニルイミダゾール誘導体およびα−メチルスチレンを、必要により、不活性溶媒の存在下、不活性ガス(例えば、アルゴンガス)雰囲気下で反応させる。
不活性溶媒としては、N−ビニルイミダゾール誘導体およびα−メチルスチレンと反応しなければ特に制限されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素類、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、例えば、水などが挙げられ、好ましくは、アルコール類、水、より好ましくは、1−プロパノール、水が挙げられる。
これら不活性溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができ、好ましくは、アルコール類および水を併用する。
不活性溶媒の配合割合は、N−ビニルイミダゾール誘導体およびα−メチルスチレンの総量に対して、例えば、0質量パーセントを超え、好ましくは、10質量パーセント以上、より好ましくは、80質量パーセント以上であり、また、例えば、200質量パーセント以下、好ましくは、120質量パーセント以下である。
また、不活性溶媒として、アルコール類および水を併用する場合には、アルコール類の配合割合は、アルコール類および水の総量に対して、例えば、50質量パーセント以上、好ましくは、60質量パーセント以上、より好ましくは、70質量パーセント以上であり、また、例えば、90質量パーセント以下である。
反応条件として、反応温度は、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上であり、また、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下である。
反応時間は、例えば、16時間以上、好ましくは、24時間以上であり、また、例えば、48時間以下、好ましくは、36時間以下である。
これにより、下記式(7)で示される構造単位を含有する重合体(コポリマー)を得られる。
Figure 2019001977
(式中、R、R、および、Rは、上記式(2)のR、R、および、Rと同意義を示す。)
なお、得られた上記式(7)で示される構造単位を含有する重合体は、公知の方法により精製することができる。
次いで、上記式(7)で示される構造単位を含有する重合体のイミダゾール部位を、炭素数1〜10の炭化水素基を有するハロゲン化炭化水素でN−炭化水素化する。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、下記式(8)で示される化合物が挙げられる。
−X (8)
(式中、Rは、上記式(2)のRと同意義を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。)
上記式(8)において、Xは、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子を示し、好ましくは、ヨウ素原子を示す。
ハロゲン化炭化水素として、例えば、フッ化メチル、フッ化エチル、フッ化プロピル、フッ化ブチル、フッ化ペンチル、フッ化ヘキシルなどのフッ化炭化水素、例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、塩化ペンチル、塩化ヘキシルなどの塩化炭化水素、例えば、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、臭化ペンチル、臭化ヘキシルなどの臭化炭化水素、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ペンチル、ヨウ化ヘキシルなどのヨウ化炭化水素などが挙げられ、好ましくは、ヨウ化炭化水素、より好ましくは、ヨウ化メチルが挙げられる。
これらハロゲン化炭化水素は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ハロゲン化炭化水素の配合割合は、上記式(7)で示される構造単位を含有する重合体のイミダゾール部位のモル数に対して、例えば、100モルパーセント以上、好ましくは、200モルパーセント以上であり、また、例えば、10000モルパーセント以下、好ましくは、1000モルパーセント以下である。
上記式(7)で示される構造単位を含有する重合体のイミダゾール部位を、N−炭化水素化するには、上記式(7)で示される構造単位を含有する重合体を有機溶媒に溶解させ、反応させる。
有機溶媒としては、上記した不活性溶媒と同様の溶媒が挙げられ、好ましくは、ジオキサンが挙げられる。
これら有機溶媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
有機溶媒の配合割合は、重合体の総量に対して、例えば、100質量パーセント以上、好ましくは、1000質量パーセント以上であり、また、例えば、10000質量パーセント以下、好ましくは、3000質量パーセント以下である。
反応条件として、反応温度は、例えば、40℃以上、好ましくは、60℃以上、また、例えば、100℃以下、好ましくは、95℃以下である。また、反応時間は、例えば、16時間以上、好ましくは、24時間以上、また、例えば、72時間以下、好ましくは、48時間以下である。
これにより、下記式(9)で示される構造単位を含有するポリマーを得る。
Figure 2019001977
(式中、R、R、R、R、および、Xは、上記式(2)のR、R、R、R、および、Xと同意義を示す。)
なお、その後、Xを、他の陰イオンに変更することもできる。
Xを、他の陰イオンに変更するには、例えば、上記式(9)で示される構造単位を含有するポリマーを、塩酸のジオキサン溶液に浸漬させる。これにより、Xをヨウ化物イオンから塩素イオンに変更することができる。
さらに、このような上記式(9)で示される構造単位を含有するポリマーを水酸化カリウム水溶液に浸漬する。これにより、Xを塩素イオンから水酸化物イオンすることができる。
上記式(9)で示される構造単位を含有するポリマーは、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位を含む。
また、α−メチルスチレンとN−ビニルイミダゾール誘導体とを共重合することにより、上記式(9)で示される構造単位を含有するポリマーにおいて、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位は交互に配列させられる。
すなわち、α−メチルスチレンとN−ビニルイミダゾール誘導体との共重合においては、N−ビニルイミダゾール誘導体同士の反応性よりも、N−ビニルイミダゾール誘導体とα−メチルスチレンとの反応性が高いため、末端部分は、常にα−メチルスチレンとなる。また、α−メチルスチレン同士が反応すると、即座に解重合が起こるため、α−メチルスチレンが連続することはない。それゆえ、α−メチルスチレンとN−ビニルイミダゾール誘導体とは、交互に共重合する。
そのため、上記式(9)で示される構造単位を含有するポリマーにおいて、上記式(2)で示される構造単位は、連続して配列されていない。そのため、上記式(2)で示される構造単位が連続することに起因する脱離反応(主鎖のβ位のプロトンが引き抜かれることに由来する脱離反応(β脱離))を抑制することができる。また、上記式(2)で示される構造単位が凝集し、局所的に親水性が高くなることに起因する加水分解反応も、上記式(2)で示される構造単位が、その両隣に存在する上記式(1)で示される疎水性の構造単位により保護されるため抑制できる。そして、上記式(9)で示される構造単位を含有するポリマーを含む陰イオン交換樹脂を含むアルカリ型燃料電池用電解質膜は、アルカリ耐久性に優れる。
これに対して、特許文献6に記載されるアニオン伝導電解質膜のグラフト鎖は、下記式(10)で示されるスチレン誘導体とN−ビニルイミダゾール誘導体とを共重合している。
Figure 2019001977
(式中、Rは、ハロゲノ基、または、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、aは、0〜5の整数を示し、aが2以上の場合には、Rは、互いに同一または相異なって、上記のRと同意義を示す。)
そのため、特許文献6のアニオン伝導電解質膜のグラフト鎖では、下記式(3)で示される構造単位、および、下記式(4)で示される構造単位がランダムに配列される。
Figure 2019001977
(式中、R、および、aは、上記式(10)のR、および、aと同意義を示す。)
Figure 2019001977
(式中、R、R、R、R、および、Xは、上記式(2)のR、R、R、R、および、Xと同意義を示す。)
すなわち、スチレン誘導体とN−ビニルイミダゾール誘導体とを共重合においては、スチレン誘導体の反応性がN−ビニルイミダゾール誘導体よりも高いため、スチレン誘導体の配合割合を低くして重合し、重合比を調整するが、重合はランダムに進行するため、スチレン誘導体同士、N−ビニルイミダゾール誘導体同士が、連続して共重合する箇所が必ずできる。
そして、上記式(4)で示される構造単位が連続で配列された場合には、上記の脱離反応および加水分解反応が生じるため、特許文献6のアニオン伝導電解質膜を含むアルカリ型燃料電池用電解質膜は、アルカリ耐久性に劣る。
なお、上記したポリマーの配列は、13C−固体NMRスペクトルのエチレン主鎖のピーク位置(後述)、および、アルカリ耐久性の評価(後述)によって確認することができる。
なお、得られた上記式(9)で示される構造単位を含有するポリマーは、公知の方法により精製することができる。
また、本発明は、上記した陰イオン交換樹脂を含むアルカリ型燃料電池用電解質膜を、含んでいる。
このようなアルカリ型燃料電池用電解質膜を調製するには、例えば、高分子基材上で、α−メチルスチレンとN−ビニルイミダゾール誘導体とを共重合する。
高分子基材上で、α−メチルスチレンとN−ビニルイミダゾール誘導体とを共重合するには、まず、高分子基材に放射線を、不活性ガス(例えば、アルゴンガス)雰囲気下で照射する。
高分子基材としては、例えば、フッ素系高分子、オレフィン系高分子、芳香族系高分子などが挙げられる。
フッ素系高分子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などが挙げられる。
オレフィン系高分子としては、例えば、超高分子量ポリオレフィンが挙げられる。
超高分子量ポリオレフィンとしては、例えば、超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリプロピレンなどが挙げられる。
超高分子量ポリオレフィンの重量平均分子量(Mw)は、例えば、100万以上、好ましくは、150万以上、より好ましくは、200万以上であり、また、例えば、400万以下である。
芳香族系高分子としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホンなどが挙げられる。
高分子基材として、好ましくは、フッ素系高分子、より好ましくは、ETFEが挙げられる。
高分子基材の形状は、特に制限されず、例えば、フィルム状(シート状)などが挙げられる。
高分子基材がフィルム状である場合、その膜厚は、例えば、10μm以上、また、例えば、100μm以下である。
放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、電子線、紫外線などの電離放射線が挙げられ、好ましくは、γ線が挙げられる。
放射線の照射線量は、例えば、1kGy以上、また、例えば、400kGy以下である。
次いで、例えば、放射線が照射された高分子基材上で、α−メチルスチレンとN−ビニルイミダゾール誘導体とを共重合する。具体的には、放射線が照射された高分子基材を、α−メチルスチレンおよびN−ビニルイミダゾール誘導体を含む溶液(以下、モノマー溶液とする。)に浸漬させる。
モノマー溶液は、α−メチルスチレンおよびN−ビニルイミダゾール誘導体を、上記した不活性溶媒に溶解し調製される。
浸漬時間は、例えば、16時間以上、好ましくは、24時間以上であり、また、例えば、168時間以下、好ましくは、96時間以下である。
反応温度(すなわち、モノマーの溶液の温度)は、例えば、0℃以上、好ましくは、40℃以上であり、また、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下である。
これにより、α−メチルスチレンとN−ビニルイミダゾール誘導体との共重合が進行するとともに、高分子基材とN−ビニルイミダゾール誘導体とがグラフト重合し、高分子基材に、α−メチルスチレンとN−ビニルイミダゾール誘導体との重合体(具体的には、上記式(7)で示される構造単位を含有する重合体)のグラフト鎖が導入される。
グラフト率は、例えば、10%以上、好ましくは、20%以上であり、また、例えば、100%以下である。
なお、グラフト率は、下記式によって求めることができる。
グラフト率(%)={(グラフト重合後の質量)−(グラフト重合前の質量)}/(グラフト重合前の質量)×100
すなわち、高分子基材の質量に対する、グラフト重合により導入されたグラフト鎖の質量の比がグラフト率である。
次いで、上記と同様の方法で、グラフト鎖(具体的には、上記式(7)で示される構造単位を含有する重合体)のイミダゾール部位を、炭素数1〜10の炭化水素基を有するハロゲン化炭化水素でN−炭化水素化する。
これにより、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位を含み、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位が、交互に配列され、上記式(9)で示される構造単位を含有するポリマーを含む陰イオン交換樹脂を得る。そして、アルカリ型燃料電池用電解質膜は、この陰イオン交換樹脂を含む。
アルカリ型燃料電池用電解質膜の厚みは、例えば、1.2μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、350μm以下、好ましくは、200μm以下である。
本発明の陰イオン交換樹脂を含む本発明のアルカリ型燃料電池用電解質膜、および、そのようなアルカリ型燃料電池用電解質膜を備える燃料電池は、アルカリ耐久性に優れる。
また、上記した陰イオン交換樹脂を電極触媒層形成用バインダーとして用いることもできる。つまり、この電極触媒層形成用バインダーは、上記した陰イオン交換樹脂を含む。
このような電極触媒層形成用バインダーを調製するには、例えば、陰イオン交換樹脂を細断し、上記した有機溶媒に溶解させる。
これにより、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位を含み、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位が、交互に配列され、上記式(9)で示される構造単位を含有するポリマーを含む陰イオン交換樹脂を含む電極触媒層形成用バインダーを得る。
そして、このような電極触媒層形成用バインダーに、カーボンなどの公知の多孔質担体、および、公知の触媒を分散させることにより、触媒インクを調製できる。そして、このような触媒インクから、公知の方法により、触媒層(電池電極触媒層)を形成することができる。
上記の陰イオン交換樹脂を含む電極触媒層形成用バインダー、および、そのような電極触媒層形成用バインダーによって形成された触媒層(電池電極触媒層)を備える燃料電池は、アルカリ耐久性に優れる。
次に、本発明を、実施例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
1.アルカリ型燃料電池用電解質膜の製造
実施例1
アルゴン雰囲気下、室温(25℃)において、膜厚25μmのETFE膜(デュポン社製)に、80kGyのγ線を照射した。次いで、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、α−メチルスチレン、水、イソプロパノールを混合した溶液(モノマー溶液)(N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン:水:イソプロパノール=4:6:3:7)を調製した。
次いで、50℃の恒温槽中で、ETFE膜をモノマー溶液に、24時間浸漬し、N−ビニル−2−メチルイミダゾールおよびα−メチルスチレンを共重合するとともに、ETFE主鎖にN−ビニル−2−メチルイミダゾール−α-メチルスチレン共重合体をグラフト重合した。グラフト率は24%であった。
得られた共重体と、1Mのヨウ化メチルのジオキサン溶液とを、スクリュー管に入れ、60℃の恒温槽中で24時間、N−炭化水素化させた。反応終了後、得られた生成物を、ジオキサンで洗浄した。これにより、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位を含み、上記式(9)で示されるポリマー(R、および、Rは、メチル基を示し、RおよびRは、互いに同一に水素原子を示し、Xは、ヨウ化物イオンを示す。すなわち、陰イオン交換樹脂である。)を含むアルカリ型燃料電池用電解質膜を得た。なお、イオン交換容量から算出した共重合比は、N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン=5:5であった。
次いで、このポリマーを含むアルカリ型燃料電池用電解質膜を、60℃の1Mの塩酸のジオキサン溶液(50重量%)に浸漬する操作を3回繰り返し、その後、水洗し、真空乾燥することにより、対イオンをヨウ化物イオンから塩素イオンに変更した。
次いで、1Mの水酸化カリウム水溶液に室温で3日間浸漬して対イオンを置換し、その後、窒素をバブリングにより炭酸を除いた脱イオン水で2回洗浄し、さらに、30分浸漬する操作を2回繰り返すことにより、対イオンを塩素イオンから水酸化物イオンに変更した。
実施例2
モノマー溶液におけるN−ビニル−2−メチルイミダゾールおよびα−メチルスチレンの配合割合(N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン)を、5:5に変更した以外は、実施例1と同様にして、アルカリ型燃料電池用電解質膜を得た。
なお、グラフト率は、14%であり、イオン交換容量から算出した共重合比は、N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン=5:5であった。
実施例3
モノマー溶液におけるN−ビニル−2−メチルイミダゾールおよびα−メチルスチレンの配合割合(N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン)を、8:2に変更した以外は、実施例1と同様にして、アルカリ型燃料電池用電解質膜を得た。
なお、グラフト率は、11%であり、イオン交換容量から算出した共重合比は、N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン=5:5であった。
実施例4
モノマー溶液におけるN−ビニル−2−メチルイミダゾールおよびα−メチルスチレンの配合割合(N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン)を、9:1に変更した以外は、実施例1と同様にして、アルカリ型燃料電池用電解質膜を得た。
なお、グラフト率は、32%であり、イオン交換容量から算出した共重合比は、N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン=5:5であった。
実施例5
ETFE膜に、160kGyのγ線を照射し、モノマー溶液に、72時間浸漬した以外は、実施例4と同様にして、アルカリ型燃料電池用電解質膜を得た。
なお、グラフト率は、37%であり、イオン交換容量から算出した共重合比は、N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン=5:5であった。
実施例6
ETFE膜をモノマー溶液に、120時間浸漬した以外は、実施例5と同様にして、アルカリ型燃料電池用電解質膜を得た。
なお、グラフト率は、58%であり、イオン交換容量から算出した共重合比は、N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン=5:5であった。
比較例1
アルゴン雰囲気下、室温(25℃)において、膜厚25μmのETFE膜に、80kGyのγ線を照射した。次いで、N−ビニル−2−メチルイミダゾールとスチレンを混合した1,4-ジオキサン50重量%溶液(モノマー溶液)(N−ビニル−2−メチルイミダゾール:スチレン=9:1)を調製した。
次いで、60℃の恒温槽中で、ETFE膜をモノマー溶液に、16時間浸漬し、N−ビニル−2−メチルイミダゾールおよびスチレンを共重合するとともに、ETFE主鎖にN−ビニル−2−メチルイミダゾール−スチレン共重合体をグラフト重合した。グラフト率は95%であった。
得られた共重体と、1Mのヨウ化メチルのジオキサン溶液とを、スクリュー管に入れ、60℃の恒温槽中で24時間、N−炭化水素化させた。反応終了後、得られた生成物を、ジオキサンで洗浄した。これにより、下記式(11)で示されるポリマーを含むアルカリ型燃料電池用電解質膜を得た。
Figure 2019001977
なお、イオン交換容量から算出した共重合比は、N−ビニル−2−メチルイミダゾール:スチレン=6:4であった(すなわち、上記式(11)において、m=60であった)。
次いで、このポリマーを含むアルカリ型燃料電池用電解質膜を、60℃の1Mの塩酸のジオキサン溶液(50重量%)に浸漬する操作を3回繰り返し、その後、水洗し、真空乾燥することにより、対イオンをヨウ化物イオンから塩素イオンに変更した。
次いで、1Mの水酸化カリウム水溶液に室温で16時間浸漬して対イオンを置換し、その後、窒素をバブリングにより炭酸を除いた脱イオン水で2回洗浄し、さらに、30分浸漬する操作を2回繰り返すことにより、対イオンを塩素イオンから水酸化物イオンに変更した。
比較例2
モノマー溶液におけるN−ビニル−2−メチルイミダゾールとスチレンとの配合割合を、N−ビニル−2−メチルイミダゾール:スチレン=8:2に変更し、ETFE膜をモノマー溶液に、4時間浸漬させた以外は、比較例1と同様にして、アルカリ型燃料電池用電解質膜を得た。なお、グラフト率は65%であった。また、共重合比は、N−ビニル−2−メチルイミダゾール:スチレン=4:6であった。
2.評価
(アルカリ耐久性評価)
室温において、水中で飽和膨潤状態にある実施例1、比較例1および比較例2のそれぞれのアルカリ型燃料電池用電解質膜を、白金電極からなる膜抵抗測定セルにおける白金電極の間に設置し、HIOKI製のLCRメータ3522を用い、60℃の脱イオン水に浸漬2分後のインピーダンスによる膜抵抗(Rm)を測定した。得られた膜抵抗から、下記式によって、アルカリ型燃料電池用電解質膜の導電率(標準)を求めた。
κ=1/Rm・d/S
κ:アルカリ型燃料電池用電解質膜の導電率(S/cm)
d:アルカリ型燃料電池用電解質膜の厚さ(cm)
S:アルカリ型燃料電池用電解質膜の通電面積(cm
次いで、各アルカリ型燃料電池用電解質膜を、80℃に加熱した1M KOHに2日間および60日間浸漬し、上記と同様にして、導電率(2日後)、および、導電率(60日後)を求めた。得られた導電率から、下記式によって、アルカリ型燃料電池用電解質膜の維持率(2日後)、および、維持率(60日後)をそれぞれ求めた。
維持率=導電率(2日後)、または、導電率(60日後)/導電率(標準)×100
その結果を表1に示す。
(イオン交換容量)
実施例1〜6、比較例1および比較例2のそれぞれのアルカリ型燃料電池用電解質膜を、0.1Mの塩酸溶液中に、室温で12時間浸漬し、対イオンを水酸化物イオンから塩素イオンに変更した。その後、塩酸溶液の濃度を0.1MのNaOHで逆滴定することで、塩基性基濃度を求めた。そして、下記式により、イオン交換容量を求めた。
イオン交換容量=塩基性基濃度/乾燥重量
Figure 2019001977
13C−固体NMRスペクトル測定)
実施例1および比較例1のそれぞれのアルカリ型燃料電池用電解質膜について、13C−固体NMRスペクトル測定装置(ブルカー社製、周波数:300MHz、測定温度:25℃、基準物質:グリシン、マジック角回転の回転数:10kHz、積算回数:40000〜60000回、パルス幅2000μs、コンタクトタイム34ms、緩和時間:5s)を用い、13C−固体NMRスペクトルを測定した。その結果を、図1に示す。
3.考察
1)比較例1および比較例2では、上記式(11)で示されるスチレン誘導体とN−ビニルイミダゾール誘導体とが共重合している。このことから、比較例1および比較例2では、下記式(12)で示される構造単位、および、下記式(13)で示される構造単位がランダムに配列されているとわかる。
Figure 2019001977
Figure 2019001977
2)図1が参照されるように、13C−固体NMRスペクトル測定において、上記したように、ランダムに配列されている比較例1のポリスチレンの主鎖炭素に由来するピーク位置αと、実施例1のポリα−メチルスチレンの主鎖炭素に由来するピーク位置αピーク位置とは異なっている。このことから、実施例1は、比較例1とは異なり、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位は交互に配列されているとわかる。
3)図1が参照されるように、13C−固体NMRスペクトル測定において、比較例1では、ポリスチレンの主鎖炭素に由来するピークαと、上記式(9)のR(メチル基)に由来するピークβとが、重なり合い、全体として、幅広いピークを形成している。上記したように、比較例1では、上記式(12)で示される構造単位、および、上記式(13)で示される構造単位がランダムに配列されている。具体的には、比較例1のポリマーは、上記式(12)で示される構造単位、および、上記式(13)で示される構造単位は交互に配列されている構造単位を含むとともに、上記式(12)で示される構造単位、および、上記式(13)で示される構造単位は交互に配列されず、ランダムに配列された構造単位(詳しくは、上記式(13)で示される構造単位と、上記式(13)で示される構造単位と、上記式(12)で示される構造単位とが、順に配列される構造単位、および、上記式(13)で示される構造単位と、上記式(13)で示される構造単位と、上記式(13)で示される構造単位とが順に配列される構造単位)を含む。そのため、比較例1では、ポリスチレンの主鎖炭素に由来するピークαと、上記式(9)のR(メチル基)に由来するピークβに関して、異なる複数のNMR信号が観測され、上記した幅広いピークが観測されたとわかる。
一方、実施例1では、ポリα−メチルスチレンの主鎖炭素に由来するピークαと、上記式(9)のR(メチル基)に由来するピークβとが、重なり合うことなく、それぞれ分離している。実施例1は、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位は交互に配列されている。詳しくは、実施例1のポリマーは、比較例1のように、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位がランダムに配列された構造単位(詳しくは、上記式(2)で示される構造単位と、上記式(2)で示される構造単位と、上記式(1)で示される構造単位とが、順に配列される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位と、上記式(2)で示される構造単位と、上記式(2)で示される構造単位とが順に配列される構造単位)を含まない。
そのため、実施例1では、ポリα−メチルスチレンの主鎖炭素に由来するピークαと、上記式(9)のR(メチル基)に由来するピークβに関して、異なる複数のNMR信号が観測されず、上記した分離したピークが観測されたとわかる。
図2は、各配合割合(N−ビニル−2−メチルイミダゾールおよびα−メチルスチレンの配合割合)における、グラフト率とイオン交換容量との関係を示したグラフである。図2には、共重合比(N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン)が5:5となる場合における、グラフト鎖の繰り返し単位のモル質量から算出した各グラフト率におけるイオン交換容量と、グラフト率との関係を示す曲線を併記した。
図2に示すように、N−ビニル−2−メチルイミダゾールの配合割合と、α−メチルスチレンの配合割合を変更しても共重合比(N−ビニル−2−メチルイミダゾール:α−メチルスチレン)が5:5のアルカリ型燃料電池用電解質膜が得られる点、および、グラフト率を変更しても共重合比が5:5である点がわかる。この結果、および、上記の13C−固体NMRスペクトル測定結果から、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位は交互に配列されていると結論付けた。
4)表1が参照されるように、実施例1の維持率(60日後)は、比較例1の維持率(60日後)に比べて、高い。このことから、上記式(2)で示される構造単位が連続することに起因する上記の脱離反応および加水分解反応が抑制されていることがわかる。このことから、実施例1は、上記式(1)で示される構造単位、および、上記式(2)で示される構造単位は交互に配列されているとわかる。

Claims (2)

  1. 下記式(1)で示される構造単位、および、下記式(2)で示される構造単位を含み、
    下記式(1)で示される構造単位、および、下記式(2)で示される構造単位は交互に配列されていることを特徴とする、陰イオン交換樹脂。
    Figure 2019001977

    Figure 2019001977

    (式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R、RおよびRは、互いに同一または相異なって、水素原子、シアノ基、または、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、Xは陰イオンを示す。)
  2. 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂を含むことを特徴とする、アルカリ型燃料電池用電解質膜。
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