JP2019001241A - パワーステアリング装置 - Google Patents

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Masao Kamiyama
真生 上山
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Abstract

【課題】油圧アクチュエータが故障しているときに、電動アシストモータがアシスト力を増加させた場合であっても電動アシストモータ又はその駆動回路が過熱状態になることを防止する。【解決手段】第2操舵補助機構が故障したと判定された場合、第1アシスト力が可変の第2アシスト上限値Ta12maxを超えないように電動アシストモータを制御する。パワーステアリング装置は、第2アシスト上限値Ta12maxを、故障判定時点にて第1アシスト上限値Ta11maxよりも大きい値に設定するとともに、故障判定時点からの経過時間を表す指標値が増加するにつれて第1アシスト上限値Ta11max以上の範囲において減少させる。これにより、第2操舵補助機構の故障時に運転者に大きな違和感を与えず、且つ電動アシストモータが加熱状態に陥ることを防止することができる。【選択図】図4

Description

本発明は、操舵アシスト力(以下、単に「アシスト力」又は「アシストトルク」と称呼される場合がある。)を操舵機構に付与するパワーステアリング装置に関する。
従来から、ステアリングホイールの操作(以下、「操舵」と称呼する場合がある。)を補助するアシスト力を、電動アシストモータと油圧アクチュエータとの両方から操舵機構に付与することができるパワーステアリング装置(以下、「従来装置」と称呼する。)が知られている。この油圧アクチュエータは、電動油圧ポンプから供給される作動油によって作動する。
従来装置の一つは、電動アシストモータ及び油圧アクチュエータの何れか一方が正常に動作していない場合に、電動アシストモータ及び油圧アクチュエータの何れか他方が操舵アシスト力を増加するアシスト力増加手段を備えている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2008−184049号公報(図1)
ところで、一般的に油圧アクチュエータとともに搭載される電動アシストモータには、低コスト化及び小型化の要求から比較的小型のモータが採用されることが多い。従って、油圧アクチュエータが正常に動作せず、期待されるアシスト力を発生しない場合、油圧アクチュエータによるアシスト力の喪失分を電動アシストモータによるアシスト力によって補填するために電動アシストモータが高負荷にて運転される。電動アシストモータが高負荷にて運転され続けると、電動アシストモータ又はその駆動回路が過熱状態になるという問題がある。
本発明は上記課題に対処するために為されたものである。即ち、本発明の目的の一つは、油圧アクチュエータが故障しているときに、電動アシストモータがアシスト力を増加させた場合であっても電動アシストモータ又はその駆動回路が過熱状態になることを防止するパワーステアリング装置を提供することにある。
そこで、本発明のパワーステアリング装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)は、操舵機構(20、30)、第1操舵補助機構(40)、第2操舵補助機構(50)、制御部(70)及び判定部(70)を備える。前記操舵機構は、ステアリングホイール(11)及び当該ステアリングホイールに連結されたステアリングシャフト(20)を含み、車両の運転者による前記ステアリングホイールの操作に応じて前記車両の転舵輪(FW1、FW2)を転舵させる。前記第1操舵補助機構は、前記操舵機構にトルク伝達可能に組み付けられた電動モータ(44)を含み、前記ステアリングホイールの操作に基づく前記転舵輪の転舵を補助する第1アシスト力(Ta1)を前記電動モータにより前記操舵機構に付与するように構成される。前記第2操舵補助機構は、駆動されたとき作動油を吐出する油圧ポンプ(53)、前記油圧ポンプを駆動する駆動部(54)及び前記油圧ポンプから吐出される作動油によって作動する油圧アクチュエータ(55)を含み、前記ステアリングホイールの操作に基づく前記転舵輪の転舵を補助する第2アシスト力(Ta2)を前記油圧アクチュエータにより前記操舵機構に付与するように構成される。前記制御部は、前記電動モータを制御することにより前記電動モータが発生するトルクを制御して前記第1アシスト力を発生させる。前記判定部は、前記第2操舵補助機構が故障しているか否かを判定する。
制御部は、上限値を超えない範囲で電動モータにアシスト力を発生させるから、電動モータの状態が長時間にわたって高負荷状態とならない。従って、電動モータ(又は、電動モータに付随する駆動回路等の部品)が過熱することを回避することができる。
一方、第2操舵補助機構が作動油漏れ及び油圧ポンプの故障等によりその機能の一部及び/又は全部が機能しなくなると、第2操舵補助機構は期待されるアシスト力を発生することができなくなる場合がある。この場合、本発明装置は、第2操舵補助機構のアシスト力の喪失分を第1操舵補助機構により補填するが、アシスト上限値が第1アシスト上限値の範囲のままであると、第2操舵補助機構の故障時にアシスト力が急変して運転者に違和感を与えてしまう。
そこで、前記制御部は、前記判定部により前記第2操舵補助機構が故障していないと判定されている場合、前記第1アシスト力が固定の第1アシスト上限値(Ta11max)を超えないように前記電動モータを制御し、前記判定部により前記第2操舵補助機構が故障したと判定された場合、前記第1アシスト力が可変の第2アシスト上限値(Ta12max)を超えないように前記電動モータを制御し、前記第2アシスト上限値を、前記第2操舵補助機構が故障したと判定された時点である故障判定時点にて前記第1アシスト上限値よりも大きい値に設定するとともに、前記故障判定時点からの経過時間を表す指標値(Te,Ns)が増加するにつれて前記第1アシスト上限値以上の範囲において減少させるように構成される。
上記態様によれば、第2操舵補助機構の故障が発生してそのアシスト力(第2アシスト力)が失われても、第1アシスト力が第2アシスト上限値を上限として増加させられて第2アシスト力の喪失分ができる限り補填されるので、急激にアシスト力が低下して運転者に大きな違和感を与える虞がない。しかし、電動モータが第1アシスト上限値を超えてアシスト力を発生すると、電動モータの消費電力が高くなり、電動モータが過熱状態となる虞がある。
そこで、本発明装置は、第2操舵補助機構が故障したと判定された時点(即ち、故障判定時点)からの「経過時間を表す指標値」が増加するほど第2アシスト上限値を小さくする。「経過時間を表す指標値」は、例えば、「経過時間そのもの」又は「運転者によるステアリングホイールの操作回数」である。例えば、運転者によるステアリングホイールの操作回数は、第2操舵補助機構が故障してから操舵トルクが所定の閾値トルクを超える回数であってもよいし、車両のヨーレートが所定の閾値ヨーレートを超える回数であってもよいし、車両の横加速度が所定の閾値加速度を超える回数であってもよい。これにより、本発明装置は、電動モータが過熱状態となる前に未然に電動モータの消費電力を低くすることができ、電動モータが過熱状態となることを防止することができる。
ところで、急激なアシスト力の低下は運転者に大きな違和感を与えることがあるが、アシスト力が緩慢に変化する場合には、比較的大きな変化量であっても運転者は大きな違和感を覚えることなくその変化に適応できることが知られている。本発明装置によれば、故障判定時点以降において第2アシスト上限値が次第に減少するから、アシスト力が緩慢に変化するので、運転者は大きな違和感を覚えない。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の第1実施形態に係るパワーステアリング装置の概略構成図である。 図2は、図1に示した電動油圧パワーステアリング装置(EHPS)の操舵トルクとアシストトルクとの関係を説明するための図である。 図3は、図1に示した電動油圧パワーステアリング装置の故障検出からの経過時間Teと電動パワーステアリング装置(EPS)のアシスト上限値との関係を説明するための図である。 図4は、図1に示したパワーステアリング装置のECUのCPUが実行する「アシスト上限値設定ルーチン」を示したフローチャートである。 図5は、図1に示したパワーステアリング装置のECUのCPUが実行する「操舵アシスト制御ルーチン」を示したフローチャートである。 図6は、本発明の第1実施形態の変形例に係る電動油圧パワーステアリング装置(EHPS)の故障検出からの操舵回数Nsと電動パワーステアリング装置(EPS)のアシスト上限値との関係を説明するための図である。 図7は、本発明の第1実施形態の変形例に係るパワーステアリング装置のECUのCPUが実行する「アシスト上限値設定ルーチン」を示したフローチャートである。 図8は、本発明の第2実施形態に係るパワーステアリング装置の電動アシストモータの駆動回路温度と、電動パワーステアリング装置(EPS)の第2アシスト上限値と、の関係を説明するための図である。 図9は、本発明の第2実施形態に係るパワーステアリング装置のECUのCPUが実行する「アシスト上限値設定ルーチン」を示したフローチャートである。
<第1実施形態>
(構成)
本発明の第1実施形態に係るパワーステアリング装置(以下、「第1装置」とも称呼される。)10は、車両に適用される。第1装置10は、図1に示したように、ステアリングホイール11、ステアリングシャフト20及びラックシャフト30を備えている。ステアリングシャフト20は、第1操舵軸21、第2操舵軸22及び中間軸23を備えている。
第1操舵軸21は、その一端にステアリングホイール11が同軸的に一体回転可能に連結されている。運転者がステアリングホイール11を回転させると、第1の操舵軸21が軸回りに回転し、この回転が中間軸23を介して第2操舵軸22に伝達されるので、第2操舵軸22も軸回りに回転する。第1操舵軸21は、第1軸211及び第2軸212を有している。第1軸211と第2軸212との間には第1トーションバー41が設けられている。
第1軸211はその一端がステアリングホイール11に連結し、他端が第1トーションバー41の一端に連結している。第2軸212はその一端が第1トーションバー41の他端に連結し、他端が中間軸23に連結している。第1トーションバー41は、第1軸211がステアリングホイール11の操舵に伴って回転すると捩れるようになっている。
第1操舵軸21には、電動パワーステアリング装置40が取り付けられている。電動パワーステアリング装置40は、第1トーションバー41、第1トーションバー41の両端に取り付けられた一対のトルクセンサ42(42a及び42b)、電動アシストモータ44及び減速機45を備えている。電動パワーステアリング装置40は、以下、「EPS40」とも「第1操舵補助機構40」とも称呼される。
より具体的に述べると、一対のトルクセンサ42は、第1のレゾルバ42a及び第2のレゾルバ42bにより構成されている。第1のレゾルバ42aによって検出される第1軸211の回転角θ1と第2のレゾルバ42bによって検出される第2軸212の回転角θ2との差に基づいて第1トーションバー41の捩れ量が検出される。更に、検出された捩れ量に基づいてステアリングホイール11に入力した操舵トルクTが計算される。
電動アシストモータ44は、減速機45を介して第2軸212に連結されており、後述の制御部(ECU)70からの制御指令に従った回転速度にて回転して、回転駆動力を発生する。電動アシストモータ44は、単に「電動モータ」44とも称呼される。
減速機45は、例えば、ウォーム減速機であり、電動アシストモータ44の回転速度を減速させるとともに回転トルクを増加する。減速機45から第2軸212に回転トルクがアシストトルクとして伝達される。
第2操舵軸22は、入力軸221及び出力軸(以下、「ピニオン軸」とも称呼される。)222を有している。入力軸221と出力軸222との間には第2トーションバー51が設けられている。
入力軸221はその一端が中間軸23に連結し、他端が第2トーションバー51の一端に連結している。出力軸222はその一端が第2トーションバー51の他端に連結し、他端にはピニオンギヤ222aが形成されている。第2トーションバー51は、入力軸221から回転トルクが加えられるとそのトルクに応じた量だけ捩れるようになっている。
ラックシャフト30は、シャフト部31を備えている。シャフト部31の両端には図示しないナックルアームを介して転舵輪FW1及びFW2が連結されている。シャフト部31にはピニオンギヤ222aと歯合するラック部32が形成されている。ピニオンギヤ222aとラック部32とによりラックアンドピニオン機構が構成されている。
このラックアンドピニオン機構によりステアリングシャフト20の回転運動がラックシャフト30の軸方向の直線運動に変換され、転舵輪FW1及びFW2が転舵する。このように、ステアリングシャフト20及びラックシャフト30が、ステアリングホイール11の操舵量を転舵輪FW1及びFW2に伝達する「操舵機構」を構成する。
第2操舵軸22及びラックシャフト30には、電動油圧パワーステアリング装置50が取り付けられている。電動油圧パワーステアリング装置50は、第2トーションバー51、コントロールバルブ機構52、油圧ポンプ53、油圧ポンプ駆動用電動モータ54、パワーシリンダ55、主配管56a及びリザーバタンク57等を備えている。第2トーションバー51は、入力軸221から回転トルクが付与されると、その回転トルクによって捩れる。この捩れによって入力軸221と後述するバルブスリーブ521との間に回転方向における角度変位が生じるようになっている。電動油圧パワーステアリング装置50は、以下、「EHPS50」とも「第2操舵補助機構50」とも称呼される。
コントロールバルブ機構52は、油圧ポンプ53とパワーシリンダ55との間の主配管56a中に設けられ、その内部に入力軸221及び第2トーションバー51が挿通した円筒形状のバルブスリーブ521を備えている。バルブスリーブ521は、出力軸222に連結され、出力軸222と同軸的且つ一体的に回転するようになっている。
コントロールバルブ機構52は、ステアリングホイール11の操作方向に応じて作動油の流れる方向を切替えるとともにステアリングホイール11の操舵量(回転量)に応じて作動油の流量を変更する。このコントロールバルブ機構52の構成は周知であり、特開2008−184049号公報(特許文献1)を参照することにより本願明細書に組み込まれる。
油圧ポンプ53は、吸入ポート53a及び吐出ポート53bを有し、油圧ポンプ駆動用電動モータ54の駆動力により回転する。油圧ポンプ53は、吸入ポート53aからリザーバタンク57内の作動油を吸入配管56cを通じて吸入し、吸入した作動油を吐出ポート53bから主配管56a内に吐出する。
油圧ポンプ駆動用電動モータ54は後述のECU70からの制御指令に従った回転速度にて回転して、油圧ポンプ53を駆動する。
パワーシリンダ55は、油圧ポンプ53から吐出される作動油が供給され又は作動油を排出する(給排する)ことにより駆動力を発生し、発生した駆動力をラックシャフト30に付与する。パワーシリンダ55は、「油圧アクチュエータ55」とも称呼される。パワーシリンダ55は、その内部に作動油が充填される空間が形成されている。この空間にはシャフト部31が挿通されているとともに、シャフト部31に取り付けられたパワーピストン551により、空間が左室55Lと右室55Rとに区画されている。更に、パワーシリンダ55には、左室55Lに通じる左方ポート55aと右室55Rに通じる右方ポート55bとが形成されている。左方ポート55aはバルブスリーブ521の第2ポート521bに、右方ポート55bはバルブスリーブ521の第3ポート521cにそれぞれ連通している。
例えば、ステアリングホイール11が中立状態である場合、即ち、第2トーションバー51が捩れていない状態である場合、全ての流路(第1流路P12乃至第4流路P34)が連通するようになっている。よって、この場合、油圧ポンプ53から第1ポート521aに流れた作動油はパワーシリンダ55内を流れることなく第4ポート521dに達し、ドレン配管56bを通ってリザーバタンク57に流れる。この場合、EHPS50によるアシスト力は発生しない。
ステアリングホイール11が操作され特定の操舵方向に回転し、第1流路P12及び第4流路P34が連通し、第2流路P13及び第3流路P24が遮断された場合、第1ポート521aに到達した作動油は、第1流路P12側から第2ポート521bに達する。そして、作動油は左方ポート55aを経由して左室55Lに流れ込む。これにより、パワーピストン551は図示左面から圧力を受ける。この圧力がシャフト部31に伝達されることによりシャフト部31が軸方向(図示右方向)の駆動力を発生し、この駆動力がアシスト力としてラックシャフト30に付与される。一方、パワーピストン551が図示右方向に移動すると、右室55R内の作動油が右方ポート55bから排出される。
ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称であり、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM(又は不揮発性メモリ)及びインタフェースI/F等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより後述する各種機能を実現する。
ECU70は、電動アシストモータ44及び油圧ポンプ駆動用電動モータ54と電気的に接続されている。ECU70は、トルクセンサ42、車速センサ71、圧力センサ72及び油圧ポンプ駆動用電動モータ異常検出センサ73等と電気的に接続され、これらセンサからの出力信号を受信するようになっている。トルクセンサ42は、上述したように、ステアリングホイール11に入力した操舵トルクTを計算し、操舵トルクTを表す出力信号を発生するようになっている。車速センサ71は、第1装置10が適用される車両の走行速度(以下、「車速」とも称呼される。)Vを表す出力信号を発生するようになっている。圧力センサ72は、油圧ポンプ53の吐出ポート53bに取り付けられ、吐出ポート53bの油圧Pを表す出力信号を発生するようになっている。油圧ポンプ駆動用電動モータ異常検出センサ73は、油圧ポンプ駆動用電動モータ54の駆動回路中に備えられ、駆動回路の電圧値、電流値及び温度等の異常を表す出力信号を発生するようになっている。例えば、油圧ポンプ駆動用電動モータ異常検出センサ73は、駆動回路の電圧値及び/又は電流値が所定電圧値以下及び/又は所定電流値以下となったとき、異常を表す出力信号を発生する。更に、油圧ポンプ駆動用電動モータ異常検出センサ73は、駆動回路の温度が所定の温度以上となったとき、異常を表す出力信号を発生する。
(作動)
以下、第1装置10の作動について説明する。先ず、第2操舵補助機構(EHPS)50が故障していない「正常状態」における第1装置10の作動について説明する。第1装置10において、運転者によりステアリングホイール11が操作されると、第1トーションバー41及び第2トーションバー51が捩れる。
第1装置10は、「正常状態」において、電動アシストモータ44に主として車線維持支援制御及び車線逸脱防止制御等の運転支援制御を行うための操舵トルクを発生させる。更に、必要があるときは、第1装置10は、電動アシストモータ44に運転者による操舵をアシストするアシストトルクを発生させる。この電動アシストモータ44が発生するアシストトルクは、以下、「第1アシストトルクTa1」とも称呼される。電動アシストモータ44及び電動アシストモータ44の駆動回路の保護のため、第1装置10は、第1アシストトルクTa1の上限値としてアシスト上限値Ta1maxを設定している。「正常状態」におけるアシスト上限値Ta1maxは、特に第1アシスト上限値Ta11maxとして定められる。この第1アシスト上限値Ta11maxは、仮にアシストトルクを第1アシスト上限値Ta11maxに設定して長時間アシストを継続した場合であっても電動アシストモータ44が過熱により故障する虞のない値に設定されている。第1アシスト上限値Ta11maxは固定値である。
第1装置10は、第2トーションバー51が捩れると、前述したように、コントロールバルブ機構52にコントロールバルブ機構52の内部を流れる作動油の流れる方向及び流量を変更させる。以下、EHPS50が発生するアシストトルク(以下、「第2アシストトルクTa2」とも称呼される。)と操舵トルクTとの関係について、図2を参照して説明する。油圧ポンプ53が常時作動している状態における操舵トルクTに対する第2アシストトルクTa2の変化が図2に示される。なお、図2に示した操舵トルクTと第2アシストトルクTa2との関係は、第1アシストトルクTa1が「0」の場合に得られる関係である。
図2において、左操舵方向の「操舵トルクT及び第2アシストトルクTa2」はそれぞれ正の値、右操舵方向の「操舵トルクT及び第2アシストトルクTa2」はそれぞれ負の値、として表されている。操舵トルクTが「0」の場合、第2トーションバー51は捩れておらず、コントロールバルブ機構52の各流路(第1流路P12、第2流路P13、第3流路P24及び第4流路P34)が全て連通しているので、第2アシストトルクTa2は「0」である。
ステアリングホイール11が左操舵方向に回転させられることによって操舵トルクTが「0」から増加し始めると、第1流路P12及び第2流路P13の流路断面積が徐々に増加する一方、第3流路P24及び第4流路P34の流路断面積が徐々に減少する。よって、左室55Lに供給される作動油が増加し、右室55Rから排出される作動油が減少する。従って、パワーピストン551が図1の左面から受ける圧力が徐々に増加する。その結果、第2アシストトルクTa2は徐々にその増加の割合(傾き)を増し、やがて略一定の割合にて増加する。反対に、ステアリングホイール11が右操舵方向に回転させられることによって操舵トルクTが「0」から減少し始めると、第2アシストトルクTa2は徐々にその減少の割合(傾き)を増し、やがて略一定の割合にて減少する。第2アシストトルクTa2の増加又は減少の割合は、車速Vが高いほど小さくなるように設定される。この第2アシストトルクTa2の入出力特性は、操舵トルクT及び車速Vと、第2アシストトルクTa2と、の関係を規定したルックアップテーブルMapTa2(T,V)としてECU70のROMに予め格納され、後で詳述するように、第2アシストトルクTa2の推定値の算出に用いられる。
第1装置10は操舵トルクTが「0」のとき、EHPS50の油圧ポンプ駆動用電動モータ54を停止させている。第1装置10は、操舵トルクTの大きさ(絶対値)|T|が所定の操舵トルク(閾値操舵トルク)Tth以上となったとき、油圧ポンプ駆動用電動モータ54の駆動を開始する。従って、第1装置10は、操舵アシストが必要とされるときだけ油圧ポンプ53を駆動するので、第1装置10が搭載された車両の燃費を改善することができる。
次に、EHPS50が故障して、第2アシストトルクTa2が発生しなくなった場合における第1装置10の作動を説明する。ここで言うEHPS50の故障は、例えば、油圧ポンプ53の吐出圧が大きく低下して、所望のアシストトルクを発生することができない状態に陥る故障である。
この故障の主な原因の一つは、EHPS50の各構成部品からの油漏れ及びこれらの部品の接続部分からの油漏れである。この場合、圧力センサ72により検出される油圧Pが所定の油圧以下となってEHPS50が故障していると判定される。油圧ポンプ53の経時劣化及び油圧ポンプ駆動用電動モータ54の異常も故障の原因となり得る。油圧ポンプ駆動用電動モータ異常検出センサ73により油圧ポンプ駆動用電動モータ54の異常が検出されると、第1装置10は、油圧ポンプ駆動用電動モータ54の駆動を停止させる。従って、この場合、第2アシストトルクTa2は「0」となり、圧力センサ72により検出される油圧Pも所定の油圧以下の異常値となる。
EHPS50が故障して、正常状態において発生すべきトルクであった第2アシストトルクTa2が失われたとき、第1装置10は、アシスト上限値Ta1maxを第1アシスト上限値Ta11maxよりも大きい第2アシスト上限値Ta12maxに設定する。これにより、第1装置10は、EHPS50が故障したと判定された時点(以下、「故障判定時点」とも称呼される。)において、正常状態において発生し得た第2アシストトルクTa2の喪失分をできる限り補填することにより運転者に与える違和感を少なくし、操舵への影響を小さくすることができる。以下、EHPS50が故障した状態は「故障状態」とも称呼される。
ところで、運転者は、比較的小さなトルク変化であっても急激にアシストトルクが変化する場合には、大きな違和感を覚えることがある一方で、比較的大きなトルク変化であっても緩やかにアシストトルクが変化する場合には、大きな違和感なく操舵することができる。そこで、図3に示したように、第1装置10は、EHPS50が故障して第2アシストトルクTa2が「0」になったとき(時刻t0;故障判定時点)、第2アシストトルクTa2の喪失分をできる限り補填するためにアシスト上限値Ta1maxを第1アシスト上限値Ta11maxから第1アシスト上限値Ta11maxよりも大きい第2アシスト上限値Ta12maxに変更する。その後、第1装置10は、故障判定時点からの経過時間Teが増加するにつれて第2アシスト上限値Ta12maxを減少させる。第2アシスト上限値Ta12maxの下限値である。つまり、第2アシスト上限値Ta12maxは可変であり、第1アシスト上限値Ta11max以上の範囲において変化するようになっている。
これにより、アシストトルクの喪失時においては、運転者に与える違和感を小さくすることができ、時間の経過とともにアシストトルクを小さくすることにより、運転者に違和感を与えることなくアシストトルクを小さくし、電動アシストモータ44が過負荷となることを防止することができる。この経過時間Teと、第2アシスト上限値Ta12maxと、の関係を規定したルックアップテーブルMapTa12max(Te)はECU70のROMに予め格納されている。
(第1装置の具体的作動)
ECU70のCPUは、一定時間が経過する毎に図4にフローチャートにより示したアシスト上限値設定ルーチン及び図5にフローチャートにより示した操舵アシスト制御ルーチンを実行するようになっている。
CPUは所定の時点にてステップ400から処理を開始してステップ410に進み、圧力センサ72及び油圧ポンプ駆動用電動モータ異常検出センサ73の出力信号に基づいてEHPS50が故障しているか否かを判定する。EHPS50が故障していない場合、CPUはステップ410にて「No」と判定してステップ470に進み、アシスト上限値Ta1maxを第1アシスト上限値Ta11maxに設定する。次いで、CPUはステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、EHPS50が故障している場合、CPUはステップ410にて「Yes」と判定してステップ420に進み、EHPS50が正常状態から故障状態に変化した直後であるか否かを判定する。EHPS50が正常状態から故障状態に変化した直後であれば、CPUはステップ420にて「Yes」と判定してステップ430に進み、カウンタCの値を「0」に設定し(リセットし)、以下に述べるステップ440乃至ステップ460の処理を順に行ってからステップ495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ440:CPUは、カウンタCの値を「1」だけインクリメントする。
ステップ450:CPUは、カウンタCの値に基づいて故障判定時点からの経過時間Teを取得する。
ステップ460:CPUは、図3に示したルックアップテーブルMapTa12max(Te)に取得した経過時間Teを適用することによりアシスト上限値Ta1maxを設定する。
一定時間経過後、CPUはステップ400から再び処理を開始すると、ステップ410にて「Yes」と判定してステップ420に進み、ステップ420にて「No」と判定してステップ440に直接進み、ステップ440以降の処理を行う。
このように、CPUは、故障判定時点からの経過時間TeとルックアップテーブルMapTa12max(Te)とに基づいて、アシスト上限値Ta1maxを設定する。
一方、CPUは、所定時間が経過する毎に図5のステップ500から処理を開始する。以下、場合に分けて説明する。
(1)電動油圧パワーステアリング装置(EHPS)が故障していない場合
CPUは、ステップ510に進んでトルクセンサ42の検出した信号から操舵トルクTと、車速センサ71の検出した信号から車速Vと、をそれぞれ取得する。次いで、CPUはステップ520に進み、取得した操舵トルクT及び車速Vに基づいて第2アシストトルク推定値Ta2eを算出する。より具体的には、CPUは、前述の(図2に示した)ルックアップテーブルMapTa2(T,V)に取得した操舵トルクT及び車速Vを適用することにより、第2アシストトルク推定値Ta2eを演算する。
次いで、CPUはステップ530に進み、EHPS50が故障しているか否かを判定する。前述の仮定によれば、現時点においてEHPS50は故障していない(正常状態である)。従って、CPUはステップ530にて「No」と判定してステップ580に進み、第1アシストトルクTa1に対する要求値である第1要求アシストトルクTa1*を「0」に設定する。次いで、CPUはステップ570に進み、第1要求アシストトルクTa1*に基づいて操舵アシスト制御を実行し、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ570にて実行される操舵アシスト制御において、CPUは、第1要求アシストトルクTa1*を、電動アシストモータ44を駆動するための電流値に換算する。より具体的には、CPUは、設定した第1要求アシストトルクTa1*から、ECU70内の、電動アシストモータ44を駆動する駆動回路における駆動電流パルスのデューティ比D1を決定する。デューティ比D1は第1要求アシストトルクTa1*が大きいほど高く設定される。その結果、電動アシストモータ44を駆動する実効的な電流値が定まる。
(2)電動油圧パワーステアリング装置(EHPS)が故障している場合
CPUは所定の時点にてステップ500から処理を開始してステップ510、ステップ520、ステップ530と順に進む。上述の仮定によれば、EHPS50は故障している。従って、CPUはステップ530にて「Yes」と判定してステップ540に進み、第1要求アシストトルクTa1*をステップ520にて算出した第2アシストトルク推定値Ta2eに設定する。次いで、CPUはステップ550に進み、第1要求アシストトルクTa1*が「ステップ460にて決定されているアシスト上限値Ta1max」以上であるか否かを判定する。
第1要求アシストトルクTa1*がアシスト上限値Ta1max以上である場合、CPUはステップ550にて「Yes」と判定してステップ560に進み、第1要求アシストトルクTa1*をアシスト上限値Ta1maxに設定する。即ち、CPUは第1アシストトルクTa1をアシスト上限値Ta1maxに制限し、ステップ570に進む。CPUはステップ570にて、設定した第1要求アシストトルクTa1*に基づいてアシスト制御を実行し、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、第1要求アシストトルクTa1*がアシスト上限値Ta1max未満である場合、CPUはステップ550にて「No」と判定してステップ570に直接進む。
以上、説明したように、第1装置10は、EHPS50が故障していないと判定されている場合、第1アシスト力Ta1が固定の第1アシスト上限値Ta11maxを超えないように電動アシストモータ44を制御する。一方、第1装置10は、EHPS50が故障したと判定された場合、第1アシスト力Ta1が可変の第2アシスト上限値Ta12maxを超えないように電動アシストモータ44を制御し、第2アシスト上限値Ta12maxを、EHPS50が故障したと判定された時点である故障判定時点にて第1アシスト上限値Ta11maxよりも大きい値に設定するとともに、故障判定時点からの経過時間を表す指標値(経過時間Te)が増加するにつれて第1アシスト上限値Ta11max以上の範囲において減少させるように構成される。
これにより、第1装置10は、EHPS50が故障したと判定された異常状態においては、アシスト上限値Ta1maxを、EHPS50が故障していないと判定された通常状態において規定されている第1アシスト上限値Ta11maxよりも大きい第2アシスト上限値Ta12maxに設定する。従って、第2操舵補助機構50の故障が発生しても、急激にアシスト力が低下して運転者に大きな違和感を与える虞がない。更に、第1装置10は、アシスト上限値Ta1maxを第2アシスト上限値Ta12maxに設定した後、経過時間Teの増加に伴って第2アシスト上限値Ta12maxの値を小さくするので、電動アシストモータ44が過熱状態に陥ることを未然に防止することができる。
なお、経過時間Teの増加に対して第2アシスト上限値Ta12maxを小さくする速さ(単位時間当たりのTa12maxの減少量の大きさであり、以下、「アシスト上限値漸減速度」とも称呼される。)は、車速Vにより変更してもよい。
例えば、車速Vが比較的高いとき(高速走行時)には、運転者によるステアリングホイール11の操舵は比較的小さい操舵角範囲にて行われることが多いので、運転者は第2アシストトルクTa2の喪失に気付き難い。言い換えると、車両の高速走行時において、運転者は第2アシストトルクTa2が失われていることに気付くのに時間を要する。更に言い換えると、車両の高速走行時において、電動アシストモータ44は加熱し難い。一方、車速Vが比較的低いとき(低速走行時)には、運転者によるステアリングホイール11の操舵は比較的大きい操舵角範囲にて行われるので、運転者は第2アシストトルクTa2の喪失に比較的気付き易い。言い換えると、車両の低速走行時において、運転者は第2アシストトルクTa2が失われていることに気付くまでの時間が短い。更に言い換えると、車両の低速走行時において、電動アシストモータ44は加熱し易い。そこで、第1装置10は、車速Vが低いほどアシスト上限値漸減速度を高くするように構成されてもよい。
車速Vが比較的低いときは、車速Vが比較的高いときよりも操舵角範囲が比較的大きいので、電動アシストモータ44が第2アシストトルクTa2の喪失分を補填する場合、電動アシストモータ44は比較的高負荷になり易い。そこで、第1装置10は、車速Vが比較的低い場合、即ち、低速走行時には第2アシスト上限値Ta12maxを大きく設定し、車速Vが比較的高い場合、即ち、高速走行時には第2アシスト上限値Ta12maxを小さく設定してもよい。言い換えると、車速Vが低いほど第2アシスト上限値Ta12maxが大きくなるように設定してもよい。
<第1実施形態の変形例>
第1装置10においては、故障判定時点からの経過時間を表す指標値として、経過時間Teが採用されたが、第1実施形態の変形例に係るパワーステアリング装置(以下、「第1変形装置」とも称呼される。)は、経過時間Teに代えて、故障判定時点からの運転者の操舵回数Nsを採用する。
第1変形装置は、例えば、運転者によりステアリングホイール11が操作され、操舵トルクTの大きさ|T|が所定の操舵トルクTns未満から操舵トルクTns以上に変化したとき条件1が成立したと定義し、条件1が成立した回数を操舵回数Nsとしてカウントする。
第1変形装置は、EHPS50が故障したと判定すると、EPS40のアシスト上限値Ta1maxを第1アシスト上限値Ta11maxから第2アシスト上限値Ta12maxに変更する。図6に示したように、アシスト上限値Ta1maxを第2アシスト上限値Ta12maxに変更した時点の操舵回数Nsは「0」回である。第1変形装置は、操舵回数Nsが増える毎に第2アシスト上限値Ta12maxを小さく設定する。第2アシスト上限値Ta12maxの下限は、第1アシスト上限値Ta11maxに設定される。
(第1変形装置の具体的作動)
以下、第1変形装置の実際の作動について説明する。ECU70のCPUは、一定時間が経過する毎に図7にフローチャートにより示したアシスト上限値設定ルーチン及び図5にフローチャートにより示した操舵アシスト制御ルーチンを実行するようになっている。なお、図7において、図4のステップと同じステップには同じ符号が添えられている。
EHPS50が正常状態から故障状態に変化した直後である場合、CPUは所定の時点にてステップ700から処理を開始してステップ410乃至ステップ430の処理を順に行ってからステップ710に進み、操舵トルクTの大きさ|T|が所定の操舵トルクTns未満から所定の操舵トルクTns以上に変化したか否かを判定する。
操舵トルクTの大きさ|T|が所定の操舵トルクTns未満から所定の操舵トルクTns以上に変化していない場合、CPUはステップ710にて「No」と判定してステップ720に直接進む。これに対し、操舵トルクTの大きさ|T|が所定の操舵トルクTns未満から所定の操舵トルクTns以上に変化した場合、CPUはステップ710にて「Yes」と判定してステップ440に進み、カウンタCの値を「1」だけインクリメントしてステップ720に進む。CPUはステップ720にてカウンタCの値を操舵回数Nsとして取得する。次いで、CPUはステップ730に進み、ルックアップテーブルMapTa12max(Ns)に取得した操舵回数Nsを適用することにより、アシスト上限値Ta1maxを設定する。次いで、CPUはステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了する。
このように、CPUは、故障判定時点からの操舵回数NsとルックアップテーブルMapTa12max(Ns)とに基づいて、アシスト上限値Ta1maxを設定する。
一方、CPUは、所定時間が経過する毎に図5のステップ500から処理を開始する。以下、操舵アシスト制御ルーチンについては上述したとおりであるので説明は省略する。
この第1変形装置によっても、第1装置と同様の効果を奏することができる。
なお、横加速度Gyの大きさ|Gy|が所定の横加速度Gyns未満から所定の横加速度Gyns以上に変化したとき条件2が成立したと定義し、条件2が成立した回数を操舵回数Nsとしてカウントしてもよい。更に、ヨーレートYrの大きさ|Yr|が所定のヨーレートYrns未満から所定のヨーレートYrns以上に変化したとき条件3が成立したと定義し、条件3が成立した回数を操舵回数Nsとしてカウントしてもよい。加えて、上記条件1乃至条件3のうち、何れか2つの組合せ又は3つの組合せが成立した回数を操舵回数Nsとしてカウントしてもよい。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るパワーステアリング装置(以下、「第2装置」とも称呼される。)は、EHPS50が故障したと判定されて、第1アシストトルクTa1のアシスト上限値Ta1maxを第2アシスト上限値Ta12maxに設定した後、電動アシストモータ44の負荷状況に応じて第2アシスト上限値Ta12maxを変化させる点のみにおいて、第1装置10と相違している。以下、この相違点を中心に説明する。
例えば、第2装置は、EHPS50が故障したと判定した場合、アシスト上限値Ta1maxを第2アシスト上限値Ta12maxに設定し、操舵のアシストを行う。この場合、電動アシストモータ44が第1アシスト上限値Ta11maxを超えたアシスト力を発生する機会が増加する。従って、EHPS50の正常時にくらべ、電動アシストモータ44の負荷(消費電力)は増大する傾向となる。電動アシストモータ44の消費電力が増大すると、電動アシストモータ44の温度及び電動アシストモータ44を駆動する図示しない駆動回路(半導体素子)の温度が上昇し、電動アシストモータ44及びその駆動回路が過熱状態(高負荷状態)となる虞がある。以下、電動アシストモータ44の駆動回路の温度を「駆動回路温度Temp」と称呼する。そこで、第2装置は、図8に示したように、駆動回路温度Tempが高いほど、第2アシスト上限値Ta12maxを小さく設定する。
(第2装置の具体的作動)
以下、第2装置の実際の作動について説明する。ECU70のCPUは、一定時間が経過する毎に図9にフローチャートにより示したアシスト上限値設定ルーチン及び図5にフローチャートにより示した操舵アシスト制御ルーチンを実行するようになっている。なお、図9において、図4のステップと同じステップには同じ符号が添えられている。
EHPS50が故障している場合、CPUは所定の時点にてステップ900から処理を開始してステップ410に進み、「Yes」と判定してステップ910に進み、駆動回路に設けられた温度センサにより検出される駆動回路温度Tempを取得する。次いで、CPUはステップ920に進み、第2アシスト上限値Ta12maxと駆動回路温度Tempとの関係を規定したルックアップテーブルMapTa12max(Temp)(図8を参照。)に駆動回路温度Tempを適用することにより、アシスト上限値Ta1maxを設定する。次いで、CPUはステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。一方、EHPS50が故障していない場合、CPUはステップ410にて「No」と判定してステップ470に進み、アシスト上限値Ta1maxを第1アシスト上限値Ta11maxに設定する。
このように、第2装置は、EHPS50が故障していないと判定したときは、第1アシスト上限値Ta11maxを超えない範囲において電動アシストモータ44によるアシストトルクを発生させる。一方、第2装置は、EHPS50が故障したと判定したときは、第1アシスト上限値Ta11maxよりも大きい第2アシスト上限値Ta12maxを超えない範囲において電動アシストモータ44によるアシストトルクを発生させる。更に、第2装置は、第2アシスト上限値Ta12maxを電動アシストモータ44の負荷(駆動回路温度Temp)が高いほど小さく設定するように構成される。
一方、CPUは、所定時間が経過する毎に図5のステップ500から処理を開始する。以下、操舵アシスト制御ルーチンについては上述したとおりであるので説明は省略する。
従って、EHPS50の故障が発生しても、急激にアシストトルクが低下して運転者が違和感を覚えることを防止しつつ、電動アシストモータ44が過熱状態となることを防止することができる。
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、以下に述べるように、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
第1装置10は、EHPS50がトーションバーの捩れによって流路を変更するとともにトルクを変更する装置であったが、電動油圧パワーステアリング装置は、ECU70が油圧ポンプ駆動用電動モータ54の回転速度(ポンプの吐出圧力)及び油圧ポンプ駆動用電動モータ54の回転方向(油圧ポンプが圧力を発生する方向)を操舵トルクに応じて変更するように制御する装置であってもよい。
第1装置10は、油圧ポンプ53を油圧ポンプ駆動用電動モータ54の回転力を用いて駆動していたが、車両の内燃機関の回転力を用いて駆動してもよい。
第2アシストトルクTa2は、操舵トルクT及び車速Vから推定されたが、第2アシストトルクTa2は、車両のヨーレートYr又は車両の横加速度Gyとも相関を有しているので、車両のヨーレートYr及び車速V又は車両の横加速度Gy及び車速Vから推定されてもよい。
EPS40がフィードバック制御可能に構成されている場合、EHPS50が故障したと判定されたときは、EPS40のフィードバック制御のゲインを大きくしてもよい。これによれば、第1アシストトルクTa1を目標の(本来必要とされる)アシストトルクに早期に近付けることが可能となる。
10…パワーステアリング装置、11…ステアリングホイール、20…ステアリングシャフト、21…第1操舵軸、22…第2操舵軸、221…入力軸、222…出力軸、222a…ピニオンギヤ、23…中間軸、30…ラックシャフト、31…シャフト部、32…ラック部、40…第1操舵機構(電動パワーステアリング装置)、41…第1トーションバー、42…トルクセンサ、44…電動モータ(電動アシストモータ)、45…減速機、50…第2操舵機構(電動油圧パワーステアリング装置)、51…第2トーションバー、52…コントロールバルブ機構、521…バルブスリーブ、53…油圧ポンプ、54…油圧ポンプ駆動用電動モータ、55…パワーシリンダ、551…パワーピストン、55L…左室、55R…右室、57…リザーバタンク、70…電子制御装置(ECU)。

Claims (1)

  1. ステアリングホイール及び当該ステアリングホイールに連結されたステアリングシャフトを含み、車両の運転者による前記ステアリングホイールの操作に応じて前記車両の転舵輪を転舵させる操舵機構と、
    前記操舵機構にトルク伝達可能に組み付けられた電動モータを含み、前記ステアリングホイールの操作に基づく前記転舵輪の転舵を補助する第1アシスト力を前記電動モータにより前記操舵機構に付与するように構成された第1操舵補助機構と、
    駆動されたとき作動油を吐出する油圧ポンプ、前記油圧ポンプを駆動する駆動部及び前記油圧ポンプから吐出される作動油によって作動する油圧アクチュエータを含み、前記ステアリングホイールの操作に基づく前記転舵輪の転舵を補助する第2アシスト力を前記油圧アクチュエータにより前記操舵機構に付与するように構成された第2操舵補助機構と、
    前記電動モータを制御することにより前記電動モータが発生するトルクを制御して前記第1アシスト力を発生させる制御部と、
    前記第2操舵補助機構が故障しているか否かを判定する判定部と、
    を備えたパワーステアリング装置において、
    前記制御部は、
    前記判定部により前記第2操舵補助機構が故障していないと判定されている場合、前記第1アシスト力が固定の第1アシスト上限値を超えないように前記電動モータを制御し、
    前記判定部により前記第2操舵補助機構が故障したと判定された場合、前記第1アシスト力が可変の第2アシスト上限値を超えないように前記電動モータを制御し、
    前記第2アシスト上限値を、前記第2操舵補助機構が故障したと判定された時点である故障判定時点にて前記第1アシスト上限値よりも大きい値に設定するとともに、前記故障判定時点からの経過時間を表す指標値が増加するにつれて前記第1アシスト上限値以上の範囲において減少させるように構成された、
    パワーステアリング装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111055917A (zh) * 2019-12-16 2020-04-24 南京航空航天大学 一种电液耦合智能转向系统及模式切换控制方法

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