JP4600713B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動モータにより駆動されるポンプの発生油圧によりステアリング機構に操舵補助力を与えるパワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステアリング機構に結合されたパワーシリンダにオイルポンプからの作動油を供給することによって、ステアリングホイールの操作を補助するパワーステアリング装置が知られている。オイルポンプは、たとえば、直流モータからなる電動モータによって駆動され、その回転速度に応じた操舵補助力がパワーシリンダから発生される。
【0003】
ステアリング軸には、ステアリングホイールに加えられた操舵トルクの方向および大きさに応じてねじれを生じるトーションバーと、トーションバーのねじれの方向および大きさに応じて開度が変化する油圧制御弁とが組み込まれている。この油圧制御弁は、オイルポンプとパワーシリンダとの間の油圧系統に介装されていて、操舵トルクに応じた操舵補助力をパワーシリンダから発生させる。
電動モータの駆動制御は、たとえば、ステアリングホイールの舵角速度に基づいて行われる。すなわち、ステアリングホイールに関連して設けられた舵角センサの出力に基づいて舵角速度が求められ、この舵角速度に基づいて電動モータの目標回転速度が設定される。この目標回転速度が達成されるように、電動モータに電圧が供給される。さらに具体的には、舵角速度が小さい場合には、ステアリングホイールの操作がわずかであるから、電動モータは、目標回転速度の下限値であるスタンバイ回転速度に減速される。一方、舵角速度が大きければ、ステアリングホイールが大きく操作されていると見なされ、そのときの舵角速度に応じて電動モータが駆動され、操舵補助力が発生される。
【0004】
さらに、上記電動モータの駆動制御は、車速情報に基づいて行われる場合もある。すなわち、車速センサからの出力信号に基づいて、低速走行時または停止時には、電動モータの目標回転速度が大きく設定され、高速走行時ほど電動モータの目標回転速度が小さく設定される。これにより、車速に応じた適切な操舵補助力をステアリング機構に与えることができる。
舵角センサまたは車速センサに故障が生じていると、電動モータの駆動制御を適切に行えないから、適切な操舵補助を行えない。そこで、上記のようなパワーステアリング装置には、舵角センサおよび車速センサ等のセンサ類の故障を検知するための故障診断機能が備えられている。すなわち、センサ類の出力信号に基づいて、センサ類の故障診断を行っている。そして、センサ類の故障が検出されると、目標回転速度が、低速走行時および高速走行時のいずれにおいてもある程度良好な操舵補助を行える中間的な固定値に設定されるようになっている。このようにして、センサ類の故障に対するフェールセーフ機能を実現している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、舵角センサや車速センサは、車載バッテリからの電力供給を受けて動作するので、このようなセンサ類の出力信号は車載バッテリの出力電圧変動の影響を受ける。したがって、センサ類に故障がない場合であっても、車載バッテリの出力電圧によっては、センサ類に故障が生じているものとの誤った診断がなされる場合があった。これにより、電動モータの目標回転速度が一定値に固定されるから、操舵フィーリングの悪化につながっていた。
【0006】
そこで、この発明の目的は、異常検出を適正に行うことができ、これにより、操舵フィーリングを向上することができるパワーステアリング装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、電動モータ(27)により駆動されるポンプ(26)の発生油圧によって操舵補助力を発生させるパワーステアリング装置であって、当該パワーステアリング装置が搭載された車両の車載バッテリ(40)からの電力供給を受けて作動するセンサ類(11,13,14)と、上記センサ類の異常を検出する異常検出手段(44)と、この異常検出手段が異常を検出していないときに、上記センサ類の出力信号に基づいて上記電動モータを制御する通常時制御手段(41)と、上記異常検出手段が異常を検出しているときに上記電動モータを制御するフェール時制御手段(42)と、下記条件ア、イ、ウおよびエのいずれかが満たされているときに、上記フェール時制御手段による電動モータの制御を禁止する手段(45)とを含むことを特徴とするパワーステアリング装置である。
ア.前記車載バッテリのバッテリ電圧が所定のしきい値電圧以下である。
イ.前記車両のエンジン回転数が所定のしきい値回転数以下である。
ウ.前記車両のオルタネータ信号レベルが所定のしきい値レベル以下である。
エ.前記車両のイグニッションスイッチがオンされてから一定時間経過前である。
なお、括弧内の英数字は後述する実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
条件アは、所定値以上の電源電圧変動が検出されたことを意味する。また、条件イ〜エは、所定値以上の電源電圧変動を生じる条件である。
【0008】
この構成によれば、異常検出手段によるセンサ類の異常検出動作に影響を与える上記の条件ア〜エのいずれかが満たされている時には、フェール時制御手段による電動モータの制御が禁止されて、通常時制御手段によって電動モータが制御されることになる。したがって、異常検出手段がセンサ類の異常を誤検出する蓋然性が高い状況では、通常時制御手段からフェール時制御手段へと制御の移行が行われることがない。これにより、異常の誤検出に起因する操舵フィーリングの悪化を防止することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、上記通常時制御手段とフェール時制御手段との間で上記電動モータの制御が切り換わるときに、上記電動モータの回転速度を徐々に変動させる制御移行制御手段(41a,42a)をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置である。
この構成によれば、通常時制御手段による制御とフェール時制御手段による制御との間で制御の移行が行われる時には、電動モータの回転速度が徐々に変動するので、電動モータの回転速度の急変に起因する操舵フィーリングの悪化を防止することができる。
【0010】
フェール時制御手段による電動モータの制御を禁止する手段は、異常検出手段による異常検出を禁止することによって、フェール時制御手段による電動モータの制御を間接的に禁止する手段(45)であってもよい
【0011】
請求項3記載の発明は、上記センサ類が、舵角センサを含む、請求項1または2記載のパワーステアリング装置である。
請求項4記載の発明は、上記センサ類が、作動油の温度を検出する油温センサを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパワーステアリング装置である。
請求項5記載の発明は、上記センサ類が、車速センサを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパワーステアリング装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るパワーステアリング装置の基本的な構成を示す概念図である。このパワーステアリング装置は、車両のステアリング機構1に関連して設けられ、このステアリング機構1に操舵補助力を与えるためのものである。
【0013】
ステアリング機構1は、運転者によって操作されるステアリングホイール2と、このステアリングホイール2に連結されたステアリング軸3と、ステアリング軸3の先端に設けられたピニオンギア4と、ピニオンギア4に噛合するラックギア部5aを有し、車両の左右方向に延びたラック軸5とを備えている。ラック軸5の両端にはタイロッド6がそれぞれ結合されており、このタイロッド6は、それぞれ、舵取り車輪としての前左右輪FL,FRを支持するナックルアーム7に結合されている。ナックルアーム7は、キングピン8まわりに回動可能に設けられている。
【0014】
この構成により、ステアリングホイール2が操作されてステアリング軸3が回転されると、この回転がピニオンギア4およびラック軸5によって車両の左右方向に沿う直線運動に変換される。この直線運動は、ナックルアーム7のキングピン8まわりの回動に変換され、これによって、前左右輪FL,FRの転舵が達成される。
ステアリング軸3には、ステアリングホイール2に加えられた操舵トルクの方向および大きさに応じてねじれを生じるトーションバー9と、トーションバー9のねじれの方向および大きさに応じて開度が変化する油圧制御弁23とが組み込まれている。油圧制御弁23は、ステアリング機構1に操舵補助力を与えるパワーシリンダ20に接続されている。パワーシリンダ20は、ラック軸5に一体的に設けられたピストン21と、ピストン21によって区画された一対のシリンダ室20a,20bとを有しており、シリンダ室20a,20bは、それぞれ、オイル供給/帰還路22a,22bを介して、油圧制御弁23に接続されている。
【0015】
油圧制御弁23は、さらに、リザーバタンク25およびオイルポンプ26を通るオイル循環路24の途中部に介装されている。オイルポンプ26は、電動式のモータ27によって駆動され、リザーバタンク25に貯留されている作動油を汲み出して油圧制御弁23に供給する。余剰分の作動油は、油圧制御弁23からオイル循環路24を介してリザーバタンク25に帰還される。リザーバタンク25には、作動油の温度を検出するための油温センサ14が配置されている。
【0016】
油圧制御弁23は、トーションバー9に一方方向のねじれが加わった場合には、オイル供給/帰還路22a,22bのうちの一方を介してパワーシリンダ20のシリンダ室20a,20bのうちの一方に作動油を供給する。また、トーションバー9に他方方向のねじれが加えられた場合には、オイル供給/帰還路22a,22bのうちの他方を介してシリンダ室20a,20bのうちの他方に作動油を供給する。トーションバー9にねじれがほとんど加わっていない場合には、油圧制御弁23は、いわば平衡状態となり、作動油はパワーシリンダ20に供給されることなく、オイル循環路24を循環する。
【0017】
パワーシリンダ20のいずれかのシリンダ室に作動油が供給されると、ピストン21が車幅方向に沿って移動する。これにより、ラック軸5に操舵補助力が作用することになる。
油圧制御弁23に関連する構成例は、たとえば、特開昭59−118577号公報に詳しく開示されている。
電動モータ27は、たとえば直流モータからなり、駆動回路28を介して、電子制御ユニット30によって制御される。駆動回路28は、たとえば、パワートランジスタのブリッジ回路からなり、電源としての車載バッテリ40からの電力を、電子制御ユニット30から与えられる制御信号に応じて電動モータ27に供給する。
【0018】
電子制御ユニット30は、車載バッテリ40からの電力供給を受けて動作するマイクロコンピュータを含み、このマイクロコンピュータは、CPU31と、CPU31のワークエリアなどを提供するRAM32と、CPU31の動作プログラムおよび制御用のデータ等を記憶したROM33と、CPU31、RAM32およびROM33を相互接続するバス34とを備えている。
電子制御ユニット30には、舵角センサ11から出力される舵角データが与えられるようになっている。舵角センサ11は、ステアリングホイール2に関連して設けられており、イグニッションキースイッチが導通されてエンジンが始動したときのステアリングホイール2の舵角を初期値「0」として、この初期値からの相対舵角に対応し、かつ操舵方向に応じた符号の舵角データを出力する。CPU31は、この舵角データに基づいて、その時間微分値である舵角速度を演算する。
【0019】
電子制御ユニット30には、さらに、電動モータ27に流れる電流を検出する電流検出回路12からの電流検出信号と、電動モータ27の回転速度を検出する回転センサ15からの回転速度信号とが与えられるようになっている。
さらに、電子制御ユニット30には、車速センサ13から出力される車速信号が与えられるようになっている。車速センサ13は、車速を直接的に検出するものでもよく、また、車輪に関連して設けられた車輪速センサの出力パルスに基づいて車速を計算により求めるものであってもよい。
【0020】
電子制御ユニット30は、舵角センサ11、電流検出回路12および車速センサ13からそれぞれ与えられる舵角データ、電流データおよび車速データに基づいて、電動モータ27の駆動を制御する。
上記の他、電子制御ユニット30には、エンジンの回転数を表すエンジン回転信号、オルタネータの出力レベルを表すオルタネータ信号およびイグニッションスイッチ16からの信号が入力されている。
【0021】
図2は、電子制御ユニット30の機能的な構成を説明するためのブロック図である。電子制御ユニット30は、CPU31がソフトウェア処理を実行することによって実現される機能部分として、通常時制御部41、フェール時制御部42、センサ類の異常を検出する異常検出部44、この異常検出部44による異常検出動作を停止させるための異常検出停止部45、および異常検出部44の出力に基づいて通常時制御部41またはフェール時制御部42が出力する目標回転速度を出力する切換部43を備えている。
【0022】
通常時制御部41は、舵角センサ11からの舵角信号、車速センサ13からの車速信号、および油温センサ14からの油温信号に基づいて、電動モータ27の目標回転速度を設定して出力する。
図3は、舵角信号に基づいて算出される舵角速度と電動モータ27の目標回転速度との対応関係を示す特性図である。目標回転速度Rは、舵角速度Vθ(操舵速度に相当する。)に対して定められた第1しきい値VT1および第2しきい値VT2の間で単調に増加(この実施形態ではリニアに増加)するように、下限値R1と上限値R2との間で定められる。この単調増加区間における目標回転速度Rの下限値R1がスタンバイ回転速度とされ、第1しきい値VT1未満の舵角速度に対しては、このスタンバイ回転速度R1で電動モータ27が回転駆動される。
【0023】
CPU31は、車速に基づいて、図3に示すように、舵角速度Vθに対する目標回転速度Rの傾きを可変設定する。すなわち、第2しきい値VT2が、車速域に応じて可変設定される。より具体的には、車速が大きいほど、第2しきい値VT2は大きな値に設定される。これにより、車速が大きいほど目標回転速度Rが小さく設定されることになり、操舵補助力が小さくなる。こうして、車速に応じた適切な操舵補助力を発生するための車速感応制御が行われる。
【0024】
通常時制御部41は、図3の特性図に従って設定される目標回転速度を「基準値」とし、次式に示される補正を当該基準値に施すことによって、目標回転速度を設定する。
目標回転速度=基準値×K(T)
ただし、K(T)は温度Tに応じて定まる係数である。
図4には、油温センサ14によって検出される作動油の温度と上記係数K(T)との関係が示されている。係数K(T)は、一定の温度範囲内において、温度の上昇に伴い、下限値から上限値へと単調に増加するように設定される。
【0025】
作動油の温度に応じて作動油の粘度が変化するから、それに応じて油圧制御弁23の特性に変化が生じる。したがって、作動油の温度により、ステアリングホイール1に与えられる操舵補助力が変動することになる。そこで、作動油の温度変化に起因する操舵補助力の変動を補償するために、図4に示されている係数K(T)に従って、目標回転速度が作動油の温度に応じて可変設定される。
再び、図2を参照する。異常検出部44は、舵角センサ11、車速センサ13および油温センサ14の出力信号を監視していて、たとえばそれらの出力信号が各所定レベル未満となったときに、当該センサに異常が生じたものと判断し、異常発生を表わす信号を切換部43に与える。切換部43は、異常検出部44が異常を検出していない状況では、通常時制御部41によって設定される目標回転速度を選択して出力する。これに対して、異常検出部44が異常を検出すると、フェール時制御部42が出力する目標回転速度を選択して出力する。
【0026】
フェール時制御部42は、舵角速度、車速および油温に依存しない一定の目標回転速度を出力する。この一定の目標回転速度は、舵角速度の中間的な値および車速の中間的な値を考慮して定められていて、いずれの状況においても、許容可能な操舵補助力をステアリング機構1に与えることができるように設定されている。
切換部43から出力される目標回転速度は、偏差演算部46に与えられる。偏差演算部46は、目標回転速度から回転センサ15によって検出される電動モータ27の実回転速度を減じることによって、実回転速度の目標回転速度に対する偏差を求める。求められた偏差は、PI(比例・積分)制御部47に与えられてPI制御演算に供される。これによって、PI制御部47は、上記偏差に応じたデューティ比を求めて出力する。このデューティ比は、PWMパルス発生部48に与えられる。このPWMパルス発生部48は、PI制御部47から与えられたデューティ比のPWMパルスを生成して、電動モータ27を駆動するための駆動回路28に与えるようになっている。
【0027】
こうして、目標回転速度と実回転速度との偏差に対応したデューティ比のPWMパルスで電動モータ27を駆動することにより、電動モータ27は、目標回転速度で回転するようにフィードバック制御されて、適切な操舵補助力をステアリング機構1に与えることになる。
異常検出停止部45は、異常検出部44における異常検出動作(故障診断処理)が適正に行われない所定の条件が満たされた時に、異常検出部44による異常検出処理を停止させるための信号を生成する。その結果、切換部43はフェール時制御部42からの目標回転速度を選択しなくなるから、結果として、フェール時制御部42による電動モータ27の制御が禁止されることになる。
【0028】
異常検出停止部45には、バッテリ40の発生電圧(バッテリ電圧)、エンジン回転信号、オルタネータ信号およびイグニッションスイッチ16からの信号が入力されている。異常検出停止部45は、次の▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼のいずれかの条件が満たされると、異常検出部44に異常検出停止信号を与える。
▲1▼バッテリ電圧VBが所定のしきい値電圧(たとえば、9V)以下である。
▲2▼エンジン回転信号が表わすエンジン回転数が所定のしきい値回転数(たとえば、500rpm)以下である。
【0029】
▲3▼オルタネータ信号レベルが所定のしきい値レベル以下である。
▲4▼イグニッションスイッチ16がオンされてから一定時間(たとえば、2秒)経過前である。
上記▲1▼〜▲4▼の条件は、舵角センサ11、車速センサ13および油温センサ14に異常が生じていなくても、これらのセンサの出力信号が異常な値を出力する蓋然性の高い条件である。
【0030】
すなわち、条件▲1▼は、舵角センサ11、車速センサ13および油温センサ14に電源電圧を供給しているバッテリ40の電圧変動が生じている場合であるので、上記センサ11,13,14の出力信号は異常な値を示す。
上記条件▲2▼は、エンジン回転数が低いために、バッテリ電圧の低下が生じやすい条件である。
上記条件▲3▼は、オルタネータ信号レベルが低いことから、バッテリ電圧の一時的な低下が生じている蓋然性が高い条件である。
【0031】
上記条件▲4▼は、イグニッションオン直後のバッテリ電圧低下が著しい点に着目した条件であって、センサ11,13,14の出力信号が異常低下している条件である。
このように、この実施形態では、センサ類に故障がなくても、これらのセンサ類の出力が異常値を示すような条件のときには、異常検出部44による異常検出動作を停止させて、通常時制御部41によって電動モータ27を制御するようにしている。これによって、センサ類の動作が正常であるにも関わらずそれらの出力信号が異常値を示す蓋然性が高い状況では、故障と診断されることがないので、センサ類の異常の誤検出を防止できる。これによって、通常時制御部41による制御からフェール時制御部42への制御の移行が、異常の誤検出に伴って行われることがなくなり、電動モータ27をより適切に制御することが可能になる。その結果、舵角速度および車速に応じた適切な目標回転速度を設定できるので、良好な操舵フィーリングを実現できる。
【0032】
ところで、異常検出部44がセンサ類の異常を検出すると、通常時制御部41が出力する目標回転速度に基づく電動モータ27の制御から、フェール時制御部42が出力する目標回転速度に基づいて電動モータ27の制御へと切り換わる。また、異常検出部44がセンサ類の異常を検出している故障状態から、当該異常が検出されなくなって正常状態へと復帰すると、フェール時制御部42による制御から通常時制御部41による制御へと移行することになる。
【0033】
通常時制御部41による制御とフェール時制御部42による制御との間で制御が切り換えられる時に、通常時制御部41が設定する目標回転速度とフェール時制御部42における一定の目標回転速度とが一致しているとは限らないから、一般的には、目標回転速度が急変することになる。これに伴って、ステアリング機構1に与えられる操舵補助力が急変するから、運転者はステアリングホイール2を介して違和感を感じることになる。
【0034】
そこで、この実施形態では、通常時制御部41とフェール時制御部42とは目標回転速度を互いに監視していて、目標回転速度の急変が生じることのないようにしている。すなわち、通常時制御部41およびフェール時制御部42は、それぞれ制御移行制御部41a,42aを備えている。制御移行制御部41a,42aは、通常時制御部41とフェール時制御部42との間での制御の切り換え時に、目標回転速度を徐々に変化させる。すなわち、制御移行制御部41aは、フェール時制御部42による制御から通常時制御部41による制御に移行する際に、フェール時制御部42における一定の目標回転速度から、通常時制御部41によって可変設定される目標回転速度へと目標回転速度を漸次的に変化させる。また、制御移行制御部42aは、通常時制御部41による制御からフェール時制御部42による制御に移行するときに、通常時制御部41によって可変設定される目標回転速度からフェール時制御部42における一定の目標回転速度へと、漸次的に変化するような目標回転速度を切換部43に与える。
【0035】
このようにして、制御の切り換えに伴う操舵補助力の急変を防止できるから、操舵フィーリングを向上できる。なお、目標回転速度を漸次的に変化させる代わりに、モータの制御に用いる車速または舵角速度を徐々に変化させるようにしてもよい。
図2には示されていないが、油温センサ14によって作動油の温度が極低温(たとえば−40℃以下)であることが検出されたときには、電動モータ27を最大出力で駆動するための低油温制御が行われてもよい。この場合、低油温制御から通常時制御部41による制御への移行の際に、目標回転速度を漸次的に変化させるようにすることが好ましい。
【0036】
一方、PI制御部47では、比例ゲインPおよび積分ゲインIを、一定の制御周期毎に更新しつつデューティ比を設定している。この場合、今周期の比例ゲインP(n)(nは、今制御周期を表す番号)は、下記(1)式で与えられる。
P(n)=Pi×(実回転速度−目標回転速度) …(1)
ただし、Piは比例定数である。
また、今周期における積分ゲインI(n)は、下記(2)式によって与えられる。
【0037】
I(n)=Ki×(実回転速度−目標回転速度)+I(n-1)…(2)
ただし、Kiは積分定数である。
そして、PI制御部47は、デューティ比を下記(3)式に従って求める。
デューティ比=P(n)+I(n) …(3)
比例ゲインPおよび積分ゲインIを設定するための比例定数Piおよび積分定数Kiを一定の値に設定して、実回転速度と目標回転速度との偏差のみに基づいてフィードバック制御(PI制御)を実行すると、応答性、安定性および騒音の点で問題となることがわかっている。そこで、この実施形態では、比例定数Piおよび積分定数Kiを環境変数に基づいて可変設定するための定数設定部49が設けられている。この定数設定部49は、バッテリ電圧、電流検出回路12によって検出されるモータ電流、および油温センサ14によって検出される油温に基づいて、比例定数Piおよび積分定数Kiを可変設定する。この他に、定数設定部49は、車速センサ13によって検出される車速および舵角センサ11の出力に基づいて演算される舵角速度に基づいて、比例定数Piおよび積分定数Kiを可変設定する機能を有していてもよい。
【0038】
バッテリ電圧に基づく比例定数Piおよび積分定数Kiの可変設定は、バッテリ電圧の変動の影響を補償して電動モータ27を安定駆動するために行われる。また、モータ電流または油温に基づく比例定数Piおよび積分定数Kiの可変設定は、電動モータ27に対する負荷の大小を補償して、電動モータ27を安定駆動するために行われる。また、車速および/または舵角速度に基づく比例定数Piおよび積分定数Kiの可変設定は、操舵フィーリングの向上のために行われる。
【0039】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の実施形態では、条件▲1▼〜▲4▼のいずれか1つが成立した時に、異常検出部44による異常検出を停止することとしているが、▲1▼〜▲4▼のいずれか1つの条件のみを異常検出停止部45で監視することとしてもよいし、上記条件▲1▼〜▲4▼のうちの任意の複数個の条件が同時に成立することに基づいて、異常検出部44の異常検出動作を停止することとしてもよい。さらには、上記条件▲1▼〜▲4▼の他にさらに別の条件を設けて、この条件が満たされた時に異常検出部44の動作を停止することとしてもよい。
【0040】
また、上記の実施形態では、異常検出部44による異常検出動作を停止することによって、フェール時制御部42による電動モータ27の駆動制御を禁止している。これに代えて、異常検出停止部45が所定の条件の成立を検出した時に、切換部43が通常時制御部41からの目標回転速度を選択するようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、PI制御部47における比例定数Piおよび積分定数Kiを環境変数(バッテリ電圧、モータ電流および油温)に基づいて可変設定しているが、その代わりに、比例定数Piおよび積分定数Kiはそれぞれ固定値として、上記(3)式によって演算されたデューティ比に対して、環境変数に基づく補正を施すこととしてもよい。
【0041】
また、上記の実施形態では油温センサ14を用いて作動油の温度を検出しているが、電動モータ27を駆動するための駆動素子の冷却のために作動油を用いる油冷構造が採用されている場合には、当該駆動素子の温度を検出することによって、作動油の温度を間接的に検出してもよい。
また、電流検出回路12によって検出されるモータ電流を一定時間にわたって積算することにより、電動モータ27の負荷を推定し、この電動モータの負荷に基づいて作動油の温度を推定することとしてもよい。すなわち、電動モータ27の負荷の大小は、作動油の粘度に依存するから、作動油の粘度と作動油の温度との対応関係に基づき、作動油の温度を推定することができる。
【0042】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るパワーステアリング装置の基本的な構成を示す概念図である。
【図2】電子制御ユニットの機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】舵角速度と電動モータの目標回転速度との対応関係を示す特性図である。
【図4】作動油の温度に基づく目標回転速度の設定を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ステアリング機構
2 ステアリングホイール
11 舵角センサ
12 電流検出回路
13 車速センサ
14 油温センサ
15 回転センサ
16 イグニッションスイッチ
20 パワーシリンダ
23 油圧制御弁
26 オイルポンプ
27 電動モータ
28 駆動回路
30 電子制御ユニット
40 車載バッテリ
41 通常時制御部
41a 制御移行制御部
42 フェール時制御部
42a 制御移行制御部
43 切換部
44 異常検出部
45 異常検出停止部
46 偏差演算部
47 PI制御部
48 PWMパルス発生部
49 定数設定部

Claims (5)

  1. 電動モータにより駆動されるポンプの発生油圧によって操舵補助力を発生させるパワーステアリング装置であって、
    当該パワーステアリング装置が搭載された車両の車載バッテリからの電力供給を受けて作動するセンサ類と、
    上記センサ類の異常を検出する異常検出手段と、
    この異常検出手段が異常を検出していないときに、上記センサ類の出力信号に基づいて上記電動モータを制御する通常時制御手段と、
    上記異常検出手段が異常を検出しているときに上記電動モータを制御するフェール時制御手段と、
    下記条件ア、イ、ウおよびエのいずれかが満たされているときに、上記フェール時制御手段による電動モータの制御を禁止する手段とを含むことを特徴とするパワーステアリング装置。
    ア.前記車載バッテリのバッテリ電圧が所定のしきい値電圧以下である。
    イ.前記車両のエンジン回転数が所定のしきい値回転数以下である。
    ウ.前記車両のオルタネータ信号レベルが所定のしきい値レベル以下である。
    エ.前記車両のイグニッションスイッチがオンされてから一定時間経過前である。
  2. 上記通常時制御手段とフェール時制御手段との間で上記電動モータの制御が切り換わるときに、上記電動モータの回転速度を徐々に変動させる制御移行制御手段をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のパワーステアリング装置。
  3. 上記センサ類が、舵角センサを含む、請求項1または2記載のパワーステアリング装置。
  4. 上記センサ類が、作動油の温度を検出する油温センサを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパワーステアリング装置。
  5. 上記センサ類が、車速センサを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のパワーステアリング装置。
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