JPH10152062A - パワーステアリング装置 - Google Patents

パワーステアリング装置

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JPH10152062A
JPH10152062A JP8268770A JP26877096A JPH10152062A JP H10152062 A JPH10152062 A JP H10152062A JP 8268770 A JP8268770 A JP 8268770A JP 26877096 A JP26877096 A JP 26877096A JP H10152062 A JPH10152062 A JP H10152062A
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idle
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Tomoyasu Kada
友保 嘉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アイドリング時に操舵が行われる場合でも、車
体に不快な振動が発生するのを最小限に抑えることがで
きるパワーステアリング装置を提供すること。 【解決手段】アイドリング時において、方向指示器の操
作などの操舵前によく行われる操舵前操作が行われた場
合には、アイドル目標値が高い値に変更される(S3)。そ
の結果、アイドル回転数が通常よりも高くなる。その
後、操舵が行われたと判別された場合(S5 のYES)、モー
タMが駆動されてアシスト制御が行われる(S11) 。操舵
が終了したと判別され(S12のNO) 、モータが停止された
後(S13) 、モータ停止から所定時間Δtが経過したとき
に、アイドル目標値が元の低い値に戻される(S8)。 【効果】操舵時および操舵終了後所定時間の間はアイド
ル回転数が高くされるから、アイドリング時において操
舵時および次回の操舵開始直後に車体に不快な振動が生
じるのを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、パワーステアリ
ング装置に関し、特に、モータによってオイルポンプを
駆動して油圧を発生させ、この発生された油圧によって
操舵を補助する、いわゆる油圧式のパワーステアリング
装置に関する。なお、この明細書で使用する用語「操
舵」は、所定値以上のトルクが加えられながらステアリ
ングホイールが操作されていることを意味するものとす
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、モータによりオイルポンプを
回転させ、オイルポンプからパワーシリンダに作動油を
供給することで、ステアリングホイールの操作力を軽減
させる油圧式のパワーステアリング装置が公知である。
この種のパワーステアリング装置では、通常、オルタネ
ータの発生電圧によって充電されるバッテリから、モー
タの駆動に必要な電流が取り出されるようになってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、駐車をしよ
うとしているときなどでは、エンジンの回転数が所定の
アイドル通常値に安定するようにエンジンの回転数が調
整されているアイドリング状態で操舵が行われる場合が
多い。このような場合には比較的大きな操舵補助力が必
要なので、モータには大電流を供給する必要がある。し
たがって、バッテリの負荷が急増し、バッテリの残容量
が急激に低下する。そのため、オルタネータの負荷が急
増する。その結果、エンジンの負荷も急増し、エンジン
の回転数がアイドル通常値から急激に低下する。そのた
め、車体に不快な振動が発生するおそれがある。
【0004】そこで、この発明の目的は、上述の技術的
課題を解決し、アイドリング時に操舵が行われる場合で
も、車体に不快な振動が発生するのを最小限に抑えるこ
とができるパワーステアリング装置を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の請求項1記載の発明は、エンジンを有する車両に搭載
され、モータによってオイルポンプを駆動して油圧を発
生させ、この発生された油圧により操舵を補助するため
のパワーステアリング装置であって、操舵の終了を検知
するための操舵終了検知手段と、この操舵終了検知手段
によって操舵の終了が検知された場合に、上記エンジン
のアイドル回転数を所定時間にわたって増加させるため
の回転数制御手段とを含むことを特徴とするパワーステ
アリング装置である。
【0006】この発明では、操舵の終了が検知された場
合には、アイドリング時におけるエンジンの回転数であ
るアイドル回転数が所定時間にわたって増加される。し
たがって、駐車しようとする場合のように、アイドリン
グ状態で操舵が開始され操舵終了後もそのままの状態が
維持される場合には、操舵終了後のエンジンのアイドル
回転数を通常値よりも高くすることができる。そのた
め、その後すぐに操舵を開始し、アイドリング状態で操
舵補助が行われた結果エンジンの負荷が急増した場合で
も、アイドル回転数が通常値未満に低下することはな
い。よって、操舵補助中において車体に不快な振動が発
生するのを防止できる。
【0007】上記所定時間は、たとえば駐車時などの操
作で操舵が行われてない時間に設定される。請求項2記
載の発明は、エンジンを有する車両に搭載され、モータ
によってオイルポンプを駆動して油圧を発生させ、この
発生された油圧により操舵を補助するためのパワーステ
アリング装置であって、その後に操舵が行われる可能性
の高い操作である操舵前操作が行われたか否かを検知す
るための操作検知手段と、この操作検知手段によって上
記操舵前操作が行われたことが検知された場合に、上記
エンジンのアイドル回転数を増加させるための回転数制
御手段とを含むことを特徴とするパワーステアリング装
置である。
【0008】上記操舵前操作には、ギアチェンジ操作、
ブレーキペダル踏込み操作、方向指示器操作、アクセル
ペダル踏込み操作などが含まれる。この発明では、操舵
前操作が行われた場合には、アイドル回転数が増加され
る。したがって、駐車しようとする場合のように、アイ
ドリング状態でブレーキペダルが踏込まれた後操舵が行
われる場合、操舵開始前からアイドル回転数を通常値よ
りも高くすることができる。そのため、操舵時にエンジ
ンの負荷が急増しても、アイドル回転数が通常値よりも
低くなることはない。よって、操舵時において車体に不
快な振動が生じるのを防止できる。
【0009】なお、操舵前操作が行われたと検知された
場合に増加されたアイドル回転数を、たとえば操舵が終
了したことが検知されてから所定時間経過後に元の通常
値に戻すようにしておけば、操舵終了後もアイドル回転
数を通常値以上に維持することができるから、さらに好
ましい。これを実現するための構成は、たとえば次に示
すようなものである。すなわち、エンジンを有する車両
に搭載され、モータによってオイルポンプを駆動して油
圧を発生させ、この発生された油圧により操舵を補助す
るためのパワーステアリング装置であって、その後に操
舵が行われる可能性の高い操作である操舵前操作が行わ
れたか否かを検知するための操作検知手段と、この操作
検知手段によって上記操舵前操作が行われたことが検知
された場合に、上記エンジンのアイドル回転数を増加さ
せるための回転数制御手段と、操舵の終了を検知するた
めの操舵終了検知手段と、この操舵終了検知手段によっ
て操舵の終了が検知されてから所定時間経過後に、上記
エンジンのアイドル回転数を通常値に戻すための手段と
を含むことを特徴とするパワーステアリング装置であ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下では、この発明の実施の形態
を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、この
発明の一実施形態のパワーステアリング装置の構成を示
す概要図である。このパワーステアリング装置は、エン
ジン30を有する車両に装着されて使用されるもので、
ステアリング機構1における操舵を補助するためのもの
である。
【0011】ステアリング機構1には、ステアリングホ
イール2が備えられている。ステアリングホイール2に
はステアリング軸3が連結されており、このステアリン
グ軸3の先端部にはピニオンギア4が取り付けられてい
る。ピニオンギア4は、車幅方向に延びたラックギア5
に噛合している。ラックギア5には、タイロッド6を介
してタイヤ7が取り付けられている。
【0012】ステアリングホイール2が操作され、その
回転力がステアリング軸3に伝達されると、その先端部
のピニオンギア4が回転し、これに伴ってラックギア5
が車幅方向に移動する。その結果、ラックギア5の移動
がタイロッド6に伝達され、タイヤ7の向きが変わる。
ラックギア5に関連して、操舵補助力を発生するための
パワーシリンダ20が備えられている。パワーシリンダ
20は、ラックギア5に連結されたピストン21と、こ
のピストン21によって区画される一対のシリンダ室2
0a,20bとを含む。シリンダ室20a,20bに
は、それぞれ破線で示すオイル供給路22a,22bを
介して油圧制御弁23からの作動油が供給されるように
なっている。
【0013】油圧制御弁23は、破線で示すオイル循環
路24の途中に介装されている。オイル循環路24は、
リザーバタンク25に貯留されている作動油がオイルポ
ンプ26で汲み出され、この汲み出された作動油がオイ
ルポンプ26から吐出された後再びリザーバタンク25
に戻る経路である。オイルポンプ26は、モータMによ
って駆動される。オイルポンプ26がモータMによって
駆動されている場合には作動油はオイル循環路24を循
環し、駆動されていない場合には作動油の循環は停止し
ている。
【0014】油圧制御弁23は、ステアリング軸3に取
り付けられたトーションバー8のねじれ方向およびねじ
れ量、すなわちステアリング軸3に加えられるトルクの
方向および大きさに応じて開度が変化する。これによ
り、作動油のパワーシリンダ20への供給状態が変化す
る。より具体的には、トーションバー8に一方方向にね
じれが加わった場合には、作動油は、一方のオイル供給
路を介してパワーシリンダ20の一方のシリンダ室に供
給される。トーションバー8に他方方向にねじれが加わ
った場合には、作動油は、他方のオイル供給路を介して
他方のシリンダ室に供給される。トーションバー8にね
じれが加わっていない場合には、油圧制御弁23はいわ
ば中立状態となり、作動油がパワーシリンダ20へ供給
されることはない。
【0015】パワーシリンダ20のいずれかのシリンダ
室に作動油が供給されると、ピストン21が車幅方向に
沿ういずれかの方向に移動する。これにより、操舵補助
力が発生し、ラックギア5の移動が補助される。モータ
Mは、モータドライバ27によって駆動される。モータ
ドライバ27は、バッテリ28からの電流に基づいてモ
ータ駆動電流を生成し、この生成されたモータ駆動電流
をモータMに供給することでモータMを駆動する。
【0016】バッテリ28は、オルタネータ(ALT)
29の発生電圧によって充電される。オルタネータ29
は、エンジン30に関連して設けられ、エンジン30の
回転数に応じた電圧を発生するものである。具体的に
は、エンジン30の回転数が大きいほど高い電圧を発生
する。したがって、バッテリ28は、エンジン30の回
転数が大きいほど、十分に、かつ急速に充電される。
【0017】モータドライバ27は、電子制御ユニット
ECUによって制御される。電子制御ユニットECU
は、CPU、ROMおよびRAMを有するマイクロコン
ピュータを含むものである。電子制御ユニットECUに
は、トルクセンサ50からトルクデータTが与えられる
ようになっている。電子制御ユニットECUは、与えら
れるトルクデータTに基づいて、モータドライバ27を
制御する。
【0018】トルクセンサ50は、ステアリング軸3に
取り付けられたトーションバー8に関連して設けられて
おり、ステアリング軸3に加えられたトルクに比例し、
かつトルクの方向に応じた符号のトルクデータTを出力
する。トルクセンサ50には、ポテンショメータからな
る機械的接点を有する形式のものや、非接触式トルクセ
ンサなどのいずれの形式のものであっても適用すること
ができる。
【0019】電子制御ユニットECUは、モータドライ
バ27の制御に加えて、エンジン30の回転数の調整な
どを行うエンジン制御ユニット60を制御する。すなわ
ち、エンジン制御ユニット60を制御し、アイドリング
時におけるエンジン30の回転数(以下「アイドル回転
数」という。)をアイドル目標値に一致させる。アイド
ル目標値は、第1アイドル目標値N1 、および第1アイ
ドル目標値N1よりも高い第2アイドル目標値N2 の2
種類がある。第1アイドル目標値N1 は、車体に不快な
振動を生じさせないエンジン30の回転数の下限値に設
定されている。たとえば、800(rpm)に設定されている。
第2アイドル目標値N2 は、アイドリング状態において
操舵補助が行われた場合におけるエンジン30の回転数
の最大低下分以上、第1アイドル目標値N1 よりも高い
値に設定されている。たとえば、1200(rpm) に設定され
ている。
【0020】電子制御ユニットECUには、減速操作検
知部70、ブレーキ操作検知部71および方向指示操作
検知部72から減速操作検知データ、ブレーキ操作検知
データおよび方向指示操作検知データ(以下総称すると
きは「操舵前操作検知データP」という。)がそれぞれ
与えられるようになっている。電子制御ユニットECU
は、この操舵前操作検知データPのうちいずれか1つで
も与えられた場合、操舵が行われる前によく行われる操
作(以下「操舵前操作」という。)が行われたと判断
し、エンジン制御ユニット60に対してアイドル目標値
を高い方の第2アイドル目標値N2 にするように指示す
る。
【0021】減速操作検知部70は、変速機(図示せ
ず。)において減速されたことを検知し、減速操作検知
データを出力する。より具体的には、1速または2速に
減速されたことを検知する。減速されたことを検知する
のは、直後に操舵が行われる可能性が高いからである。
たとえば、走行状態から交差点を曲がるときには、それ
まで3速、4速または5速に設定されていたのが1速ま
たは2速に減速される場合が多い。
【0022】ブレーキ操作検知部71は、ブレーキペダ
ル(図示せず。)が踏み込まれていることを検知し、ブ
レーキ操作検知データを出力する。ブレーキペダルが踏
み込まれているのを検知するのは、直後に操舵が行われ
る可能性が高いからである。たとえば、走行状態から交
差点を曲がるときには、ブレーキペダルを踏み込んで減
速し、交差点を曲がる場合が多い。また、車庫から車両
を出した後道路を右左折しようとする場合、道路に出る
前にブレーキペダルを踏み込んでいったん停止した後、
右左折する場合が多い。さらに、駐車しようとする場
合、ブレーキペダルを踏み込んだ後操舵する動作を繰り
返し行う場合が多い。
【0023】方向指示操作検知部72は、方向指示器
(図示せず。)が操作されたことを検知し、方向指示検
知データを出力する。方向指示器が操作されたことを検
知するのは、直後に操舵が行われる可能性が高いからで
ある。たとえば、赤信号でいったん停止した後左折しよ
うとする場合には、方向指示器を操作し、左側の指示ラ
ンプ(図示せず。)を点滅させる場合が多い。
【0024】エンジン30では、次のような動作が繰り
返されることで駆動力が発生される。すなわち、所定タ
イミングで吸気弁31が開成される。その結果、吸気路
32に吸入されている空気とインジェクタ33から噴射
される燃料との混合ガスがシリンダ34に導かれる。当
該混合ガスは、シリンダ34内を上昇してきたピストン
35によって圧縮される。このとき、点火プラグ36が
点火され、上記混合ガスは爆発する。その結果、ピスト
ン35が下降する。また、所定タイミングで排気弁37
が開成されることで、爆発後の混合ガスが排気路38に
導かれる。
【0025】なお、参照符号39は、図示しないアクセ
ルペダルに連動して回動し、吸入空気量を調節するため
の吸気絞弁である。この吸気絞弁39の開度の程度に応
じて吸入空気量が調節され、エンジン30で発生される
駆動力の程度が決定される。吸気路32には、吸気絞弁
39の上流側と下流側とを結ぶバイパス路40が接続さ
れている。バイパス路40は、アイドリング状態をつく
るために、アクセルペダルが踏み込まれていなくても所
定量の空気をシリンダ34に供給させるためのものであ
る。
【0026】バイパス路40の途中部には、アイドル制
御弁41が介装されている。アイドル制御弁41は、ア
イドル回転数をアイドル目標値に一致させるためのもの
である。アイドル制御弁41の開度に応じてバイパス路
40を通る空気量が変わり、その結果アイドル回転数が
変わる。アイドル制御弁41の開度は、エンジン制御ユ
ニット60によって制御される。
【0027】エンジン制御ユニット60には、アクセル
ペダルが踏み込まれていない状態を検知してアクセル操
作データAを出力するアクセル操作検知部61、および
エンジン30に関連して設けられ、エンジン30の回転
数に対応する回転数データNを出力する回転センサ62
が接続されている。エンジン制御ユニット60は、アク
セル操作データAおよび回転数データNに基づいて、ア
イドル制御弁41の開度を調節する。すなわち、アクセ
ル操作データAが与えられている場合に、回転数データ
Nに対応するアイドル回転数がアイドル目標値よりも低
ければ、アイドル制御弁41の開度を大きくする。その
結果、それまでよりも多量の空気がシリンダ34に導か
れる。これにより、アイドル回転数が上昇する。一方、
アクセル操作データAが与えられている場合に、回転数
データNに対応するアイドル回転数がアイドル目標値よ
りも高ければ、アイドル制御弁41の開度を小さくす
る。その結果、それまでよりも少量の空気がシリンダ3
4に導かれる。これにより、アイドル回転数は低下す
る。
【0028】このように、エンジン制御ユニット60
は、アイドル回転数をフィードバック制御によって調整
し、アイドル目標値に一致させる。図2は、電子制御ユ
ニットECUによるモータMおよびエンジン制御ユニッ
ト60の制御を説明するためのフローチャートである。
イグニッションキースイッチ(IG)がオンされてエンジン
30が始動された場合、これに応答して電子制御ユニッ
トECUは、モータMを停止させ(ステップS1)、こ
のパワーステアリング装置を初期状態にする。また、エ
ンジン制御ユニット60に対してアイドル目標値の初期
化を指示する。すなわち、アイドル目標値を低い方の第
1アイドル目標値N1 に設定するように指示する。
【0029】その後、電子制御ユニットECUは、操舵
前操作検知データPが与えられたか否かを判別する(ス
テップS2)。その結果、操舵前操作検知データPのう
ちいずれか1つでも与えられたと判別されると、操舵前
操作が行われたと判断するとともに、直後に操舵が行わ
れる可能性が高いと判断し、エンジン制御ユニット60
にアイドル目標値を高い方の第2アイドル目標値N2
変更するように指示する(ステップS3)。同時に、タ
イマ(図示せず。)をいったん初期化(クリア)した後
スタートさせる(ステップS4)。タイマは、予め定め
る所定時間Δt(たとえばΔt=1(sec))が経過したと
きにタイムアップ信号を出力する。
【0030】エンジン制御ユニット60は、電子制御ユ
ニットECUから目標値の変更が指示されると、アクセ
ル操作データAが与えられていることを条件として、ア
イドル回転数が第2アイドル目標値N2 と一致するよう
に、アイドル制御弁41の開度を調節する。これによ
り、その後にアイドリング状態で操舵が行われた場合で
も、操舵時におけるアイドル回転数を高くすることがで
きる。したがって、操舵時においてエンジン30の負荷
が急増しても、アイドル回転数は第1アイドル目標値N
1 未満にまで低下することがない。そのため、車体に不
快な振動が生じるのを防止できる。
【0031】タイマをスタートさせた後、電子制御ユニ
ットECUは、次のステップS5に処理を進める。一
方、ステップS2において操舵前操作は行われていない
と判別されると、ステップS3のアイドル目標値の設定
指示およびステップS4のタイマスタートは行わずに、
直接ステップS5に処理を進める。ステップS5では、
トルクデータTが予め定めるトルクしきい値TTH(たと
えばTTH=7(kgf・cm) )以上であるか否かが判別され
る。その結果、トルクデータTが上記トルクしきい値T
TH未満であれば、操舵は行われていないと判断し、アイ
ドル目標値を第2アイドル目標値N2 に変更するように
すでに指示しているか否かを判別する(ステップS
6)。その結果、アイドル目標値を第2アイドル目標値
2 に変更するように指示していない場合には、ステッ
プS2に戻って上述の処理を繰り返し実行する。
【0032】一方、アイドル目標値を第2アイドル目標
値N2 に変更するようにすでに指示している場合には、
タイマからタイムアップ信号が出力されたか否かを判別
する(ステップS7)。この判別の結果、タイマからタ
イムアップ信号が出力されたと判別された場合、アイド
ル目標値を第2アイドル目標値N2 に変更してから所定
時間Δtが経過したと判断し、アイドル目標値を元の第
1アイドル目標値N1に戻す(ステップS8)。すなわ
ち、アイドル目標値を第2アイドル目標値N2に変更し
てから操舵が行われずに所定時間Δtが経過した場合に
は、アイドル目標値を高い値にしておく必要がないから
である。
【0033】なお、アイドル目標値を第1アイドル目標
値N1 に戻すまでの所定時間Δtの間に操舵が行われる
ことも予想される。したがって、タイマからタイムアッ
プ信号が出力されるまでは(ステップS7のNO)、ス
テップS5に戻る。電子制御ユニットECUは、上記ス
テップS5での判別の結果、トルクデータTが上記トル
クしきい値TTH以上であれば、操舵が行われていると判
断し、操舵補助処理を実行する(ステップS9〜S1
4)。
【0034】より具体的には、アイドル目標値をすでに
第2アイドル目標値N2 に変更したか否かを判別する
(ステップS9)。この場合、当該操舵の前に操舵前操
作が行われていなかった場合にはアイドル目標値は変更
されていない。したがって、アイドング状態で操舵が行
われる場合においてアイドル回転数を高くするために、
エンジン制御ユニット60に対して、アイドル目標値を
第2アイドル目標値N2に変更するように指示する(ス
テップS10)。一方、当該操舵の前に操舵前操作が行
われている場合にはアイドル目標値はすでに第2アイド
ル目標値N2 に変更されているから、直接ステップS1
1に進む。
【0035】ステップS11では、アシスト制御が行わ
れる。すなわち、モータMを回転させる。その結果、オ
イルポンプ26が回転し、作動油に圧力が加えられる。
この圧力が加えられた作動油は、パワーシリンダ20に
供給される。これにより、操舵補助が行われる。このア
シスト制御は、トルクデータTがトルクしきい値TTH
上の場合(ステップS12のYES)には、繰り返し実
行される。一方、トルクデータTがトルクしきい値TTH
未満になり(ステップS12のNO)、操舵が終了した
ことが検知された場合に、モータMを停止させることで
終了する(ステップS13)。また、タイマをいったん
クリアした後新たにスタートさせる(ステップS1
4)。
【0036】その後、電子制御ユニットECUは、アイ
ドル目標値が第2アイドル目標値N 2 にすでに変更され
ているか否かを判別する(ステップS6)。この場合に
は、アイドル目標値はすでに第2アイドル目標値N2
変更されているから、次にタイマからタイムアップ信号
が出力されたか否かを判別する(ステップS7)。その
結果、タイマからタイムアップ信号が出力されていない
と判別されると、モータMが停止されてからまだ所定時
間Δtが経過していないと判断し、ステップS5に戻っ
て上述の処理を繰り返し実行する。そして、操舵前操作
も操舵も行われずにタイマからタイムアップ信号が出力
された場合に、アイドル目標値を第1アイドル目標値N
1 に戻す(ステップS8)。
【0037】モータMを停止させてから所定時間Δtが
経過するまでアイドル目標値を第2アイドル目標値N2
から第1アイドル目標値N1 に戻すのを待っているの
は、次の理由による。すなわち、たとえば駐車をしよう
とする場合のように、操舵が短時間の間に連続的に繰り
返される場合には、操舵が行われた後所定時間Δtが経
過する前に次の操舵が行われることが予想される。この
ような場合、1回の操舵が終了した後もしばらくの間は
アイドル目標値を第2アイドル目標値N2 に維持してお
く方が好ましいからである。
【0038】図3は、アイドリング時において操舵補助
が行われる場合のアイドル回転数の時間変化を説明する
ための図である。図3において、実線はこの実施形態に
かかるパワーステアリング装置におけるアイドル回転数
の時間変化に対応し、二点鎖線は従来のパワーステアリ
ング装置におけるアイドル回転数の時間変化に対応して
いる。以下では、この図3を参照し、この実施形態にか
かるパワーステアリング装置の動作をさらに具体的に説
明する。
【0039】たとえば駐車をしようとする場合、ドライ
バは駐車スペース近傍まで車両を動かし、いったんブレ
ーキペダルを踏んでアイドリング状態にした後操舵を開
始し、車両を駐車スペースに収納した後操舵を終了する
場合が多い。また、操舵終了後はアイドリング状態をし
ばらくの間維持する場合が多い。このような場合、ブレ
ーキペダルを踏み込む前は、アイドル目標値は第1アイ
ドル目標値N1 に初期化されているから、アイドル回転
数は第1アイドル目標値N1 に安定している。その後、
ブレーキペダルを踏み込んだとき(t1 )、アイドル目
標値が第2アイドル目標値N2 に変更される。これに応
答して、エンジン制御ユニット60がアイドル制御弁4
1の開度を調節する。これにより、アイドル回転数は、
実線で示すように、第2アイドル目標値N2 に上昇す
る。
【0040】その後、操舵を開始したとき(t2 )、エ
ンジン30の負荷が急増し、アイドル回転数は急激に低
下する。しかし、アイドル回転数はすでに第2アイドル
目標値N2 に上げられているから、二点鎖線で示す従来
のように、アイドル回転数が第1アイドル目標値N1
満に低下することはない。これにより、操舵時において
車体に不快な振動が生じることがない。
【0041】その後、操舵が終了すると(t3 )、エン
ジン30の負荷は操舵時に比べて軽減するから、アイド
ル回転数は上昇し始め、第2アイドル目標値N2 に戻
る。そして、操舵終了時から所定時間Δtが経過したと
き(t4 )、アイドル目標値が第1アイドル目標値N1
に戻される。その結果、アイドル回転数は第1アイドル
目標値N1 にまで低下する。このときには、操舵補助の
ためにエンジン30にかかる負荷はほとんどないから、
車体に不快な振動が生じることはない。
【0042】以上のようにこの実施形態のパワーステア
リング装置によれば、アイドリング時において操舵補助
を行う場合には、操舵補助前から操舵終了後所定時間Δ
tが経過するまでアイドル回転数は通常よりも高くされ
る。したがって、操舵補助によってアイドル回転数が低
下しても、アイドル回転数は車体に振動が発生しないア
イドル回転数の下限値である第1アイドル目標値N1
満にまで低下することはない。そのため、車体に不快な
振動が生じるのを防止できる。
【0043】この発明の一実施形態の説明は以上のとお
りであるが、この発明の実施形態は上述のものに限定さ
れるものではない。たとえば上記実施形態では、操舵前
操作が行われたか否かを判別し、その結果操舵前操作が
行われている場合には、アイドル目標値を高い方の第2
アイドル目標値N2 に変更している。この処理は、アシ
スト制御中もエンジン30の負荷を軽減するために、電
子制御ユニットECUのアルゴリズム中に入れらてい
る。これは、操舵前操作が行われずに操舵が行われた場
合にアイドル目標値を第2アイドル目標値N2 に変更す
る処理についても同様である。
【0044】しかし、処理の簡素化および構成の簡素化
という点を重要視するのであれば、これらの処理は省略
してもよい。この構成によっても、モータMを停止した
後所定時間Δtの間はアイドル回転数は通常よりも高く
されたままであるから、次回の操舵開始直後に車体に不
快な振動が生じるのを防止できる。また、上記実施形態
では、アイドル目標値を第1および第2アイドル目標値
1 ,N2 の2つだけ設定しているが、たとえば3つ以
上のアイドル目標値を設定できるようにしてもよいのは
もちろんである。
【0045】さらに、上記実施形態では、操舵をトルク
センサ50によって検知するようにしているが、たとえ
ば舵角センサによって検知するようにしてもよく、その
他種々のセンサを適用することできる。舵角センサを用
いる場合において、ステアリングホイール2の舵角が一
定値以上のときには、ステアリングホイール2には一定
値以上のトルクが加わっている可能性が高い。したがっ
て、舵角センサを用いる場合には、用語「操舵」は、舵
角が所定値以上である状態を意味するものとすればよ
い。
【0046】その他、特許請求の範囲に記載された範囲
内で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0047】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれ
ば、アイドリング状態において操舵が行われ操舵終了後
もアイドリング状態が維持される場合において、操舵終
了後のエンジンのアイドル回転数を通常値よりも高くす
ることができる。したがって、アイドリング状態で操舵
補助が行われる場合に、操舵補助中において車体に不快
な振動が発生するのを防止できる。よって、乗り心地の
良い車両を提供できる。
【0048】請求項2記載の発明によれば、アイドリン
グ状態において操舵が行われる場合において、操舵開始
前からエンジンのアイドル回転数を通常値よりも高くす
ることができる。したがって、操舵時にエンジンの負荷
が急増しても、エンジンの回転数が通常値未満に低下す
ることはない。そのため、操舵時において車体に不快な
振動が生じるのを防止できる。よって、乗り心地の良い
車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態のパワーステアリング装
置の構成を示す概要図である。
【図2】電子制御ユニットにおけるモータおよびエンジ
ン制御ユニットの制御を説明するためのフローチャート
である。
【図3】アイドリング時において操舵補助が行われる場
合のアイドル回転数の時間変化を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
26 オイルポンプ 30 エンジン 40 バイパス路 41 アイドル制御弁 50 トルクセンサ 60 エンジン制御ユニット 61 アクセル操作検知部 62 回転センサ 70 減速操作検知部 71 ブレーキ操作検知部 72 方向指示操作検知部 ECU 電子制御ユニット M モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B62D 127:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンを有する車両に搭載され、モータ
    によってオイルポンプを駆動して油圧を発生させ、この
    発生された油圧により操舵を補助するためのパワーステ
    アリング装置であって、 操舵の終了を検知するための操舵終了検知手段と、 この操舵終了検知手段によって操舵の終了が検知された
    場合に、上記エンジンのアイドル回転数を所定時間にわ
    たって増加させるための回転数制御手段とを含むことを
    特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 【請求項2】エンジンを有する車両に搭載され、モータ
    によってオイルポンプを駆動して油圧を発生させ、この
    発生された油圧により操舵を補助するためのパワーステ
    アリング装置であって、 その後に操舵が行われる可能性の高い操作である操舵前
    操作が行われたか否かを検知するための操作検知手段
    と、 この操作検知手段によって上記操舵前操作が行われたこ
    とが検知された場合に、上記エンジンのアイドル回転数
    を増加させるための回転数制御手段とを含むことを特徴
    とするパワーステアリング装置。
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