JP2019000806A - 凝集剤注入率設定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原水濁度が高い状態において、攪拌強度と凝集剤注入率とを最適化し凝集剤注入率の減少を図ることが可能な凝集剤注入率設定方法を提供する。【解決手段】この凝集剤注入率設定方法は、ジャーテストに基づいて高濁度時に適した最適攪拌強度を設定するとともに、重回帰分析を用いた近似式に基づいて高濁度時の凝集剤注入率を設定する。このため、水処理設備100に高濁度の原水が流入した際には、撹拌装置20の回転数を最適攪拌強度のものに上げるとともに、凝集剤注入装置22の凝集剤注入率をこの凝集剤注入率設定方法で設定された値とすることで、従来よりも少ない凝集剤注入率で十分な濁質の凝集と分離とを行うことができる。これにより、凝集剤の薬剤コストの低減を図ることが可能となる他、攪拌強度及び凝集剤注入率が適正化され処理水中の濁質の残留を防止することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、原水に凝集剤を注入して濁質を除去する水処理設備の凝集剤注入率設定方法に関するものである。
例えば上水道の水処理施設は河川等の水源から原水を取得して所定の水処理を行った後、給水施設等へ供給する。ここで、一般的な急速濾過式の水処理設備100の構成を図5に示す。先ず、原水は河川等の水源から取水設備2を介して取得され、沈砂池4で比較的大きな砂が沈殿除去された後、取水槽6の取水ポンプ6aによって水処理設備100の着水井8に圧送される。そして、水処理設備100の着水井8において取水された原水の水量調整と水質検査とが行われる。尚、この水質検査時に原水の濁度が測定され、この濁度に応じて凝集剤の注入率が設定される。
次に、着水井8の原水は混和池30に流入する。尚、混和池30には、流入した原水に凝集剤を注入する凝集剤注入装置22と、原水と凝集剤とを攪拌する撹拌装置20と、を備えている。そして、この混和池30において所定の凝集剤が濁度に応じた比率で注入されるとともに、撹拌装置20が所定の速度で回転し原水と凝集剤とを急速に攪拌する。この攪拌により原水中に分散した細かな土砂やシルト等の濁質は凝集して微小なマイクロフロックを形成する。
混和池30においてマイクロフロックの形成された処理水は、次にフロック形成池10に流入して比較的緩い速度で攪拌される。これにより、マイクロフロック同士がさらに凝集して比較的大きなフロックへと成長する。フロックが形成された処理水は、次に沈澱池12に流入し静置される。これにより、フロックは沈澱池12の下方に沈殿して上澄水と分離する。次に、沈澱池12の上澄水は例えばアンスラサイトやマンガン砂等の周知の濾過材が充填した濾過池14に通水され、さらに夾雑物が除去される。そして、濾過池14を通過した処理水は浄水池16にて次亜塩素酸等の周知の殺菌剤が所定量添加され、殺菌処理が施された後、送水部18の送水ポンプ26により給水施設等に送水される。
ここで、本願発明者らは混和池30における凝集剤の攪拌に際し、原水の温度に応じて最適な攪拌速度を取得し撹拌装置20の回転数を制御する下記[特許文献1]に記載の発明を行った。
特許第5711692号公報
前述のように凝集剤の注入率は基本的に原水の濁度に応じて設定される。従って、原水の濁度が著しく上昇する長雨や集中豪雨の時などには凝集剤注入率も増大する。このような大量の凝集剤の注入は薬剤コストの増大を招くだけでなく、凝集剤注入率が不適切な場合には凝集不良が生じ処理水に濁質が残留する可能性が有る。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、特に原水濁度が高い状態において、攪拌強度と凝集剤注入率とを最適化し凝集剤注入率の減少を図ることが可能な凝集剤注入率設定方法の提供を目的とする。
本発明は、
(1)撹拌装置20を有し原水と凝集剤とを混合する混和池30を備えた水処理設備100に対する凝集剤注入率設定方法であって、
前記原水に濁質を添加して濁度の異なる複数の模擬原水を調製する調製ステップS104と、
前記模擬原水に対し攪拌強度と凝集剤注入率とを変化させてジャーテストを行い、各条件における模擬原水の上澄水濁度を取得する試験ステップS106と、
前記上澄水濁度と凝集剤注入率の攪拌強度毎の関係を模擬原水の濁度別にグラフ化するグラフ作成ステップS108と、
前記グラフ作成ステップS108で得られたグラフに基づいて最適攪拌強度を設定する攪拌強度設定ステップS110と、
凝集剤注入率と攪拌強度とを説明変数とし、上澄水濁度の常用対数を目的変数とした重回帰方程式に基づいて、下記に示す上澄水濁度と凝集剤注入率と攪拌強度との近似式を作成し、
Y=B×10(A1・X+A2・G)
Y:上澄水濁度(予測値)
X:凝集剤注入率
G:攪拌強度
前記試験ステップS106で得られた上澄水濁度、攪拌強度、凝集剤注入率の値を用いた重回帰分析を行う事で前記近似式の係数B、A1、A2を模擬原水の濁度別に算出する近似式算出ステップS112と、
前記近似式算出ステップS112で算出された近似式の最適攪拌強度でのシミュレーショングラフを模擬原水の濁度別に作成するシミュレーショングラフ作成ステップS114と、
予め設定された上澄水濁度の閾値と前記シミュレーショングラフとから凝集剤の注入率を原水の濁度毎に設定する凝集剤注入率設定ステップS116と、を有することを特徴とする凝集剤注入率設定方法を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)混和池30の攪拌情報を取得する攪拌情報取得ステップS100と、
前記攪拌情報に基づいて撹拌装置20の回転数と攪拌強度との関係式を導出する撹拌強度式導出ステップS101と、
前記関係式から最適攪拌強度をとる撹拌装置20の回転数を算出する攪拌条件設定ステップS118と、をさらに有することを特徴とする上記(1)記載の凝集剤注入率設定方法を提供することにより、上記課題を解決する。
本発明に係る凝集剤注入率設定方法は、高濁度な原水に適した攪拌強度と凝集剤注入率とを導出する。このため、水処理設備に高濁度の原水が流入した際には、撹拌装置の回転数を最適攪拌強度のものに上げるとともに、凝集剤注入率をこの凝集剤注入率設定方法で導出された値とすることで、従来よりも少ない凝集剤注入率で濁質の凝集と分離とを行うことができる。これにより、凝集剤の薬剤コストの低減を図ることが可能となる。また、凝集剤注入率が適正化されるため凝集不良による濁質の残留を防止することができる。
本発明に係る凝集剤注入率設定方法のフローチャートである。 本発明に係るグラフ作成ステップでのグラフ例である。 近似式における攪拌強度と凝集剤注入率の係数を比較したグラフである。 本発明に係るシミュレーショングラフ作成ステップでのシミュレーショングラフの例である。 本発明を適用する水処理設備の例を示す図である。 従来の凝集剤注入率の設定に関するグラフである。
本発明に係る凝集剤注入率設定方法について図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る凝集剤注入率設定方法のフローチャートである。先ず、本発明に係る凝集剤注入率設定方法は、撹拌装置20を有し原水と凝集剤とを混合する混和池30を備えた水処理設備100に対するものであり、特に原水濁度が高い状態での凝集剤の注入率を設定する方法である。
そして、本発明に係る凝集剤注入率設定方法では、先ず、本願発明を適用する水処理設備100の攪拌情報の取得を行う(攪拌情報取得ステップS100)。この攪拌情報は、混和池30の撹拌装置20の回転数と攪拌強度との関係式を導出するためのものであり、原水の設定水温t(℃)、撹拌装置20の攪拌翼の直径φD(m)、撹拌装置20の攪拌翼の面積A(m)、混和池30の容量V(m)、通常使用時の撹拌装置20の回転数R、が少なくとも必要である。尚、原水の設定水温tは原水の年間の平均水温や通常時の水温としても良いが、原水の濁度が上昇する時期の平均的な水温とすることが好ましい。例えば、秋に豪雨等が発生し濁度が上昇する水源の水処理設備100では、この時期の平均水温を原水の設定水温tとすることが好ましい。
また、攪拌情報としては、従来の高濁度時の凝集剤注入率の値も取得する。例えば、水処理設備100の凝集剤注入率の設定が図6に示すグラフに基づいて行われている場合、後述の調製ステップS104で調製する模擬原水の濁度、即ち濁度50度、100度、200度の原水に対して図6のグラフが示唆する凝集剤注入率を取得する。尚、以後は従来の手法で設定された凝集剤注入率を現行注入率と記載する。
そして、これらの攪拌情報から撹拌装置20の回転数Rと攪拌強度Gとの関係式を以下の式により導出する(撹拌強度式導出ステップS101)。
ここで、Gは攪拌強度(1/s)である。また、Cは抵抗定数でありC=1.5である。また、Aは撹拌装置20の攪拌翼の面積(m)である。また、kは係数であり、k=0.85である。また、φDは撹拌装置20の攪拌翼の直径(m)である。また、Rは通常使用時の撹拌装置20の回転数(rpm)である。
また、γは γ=1.7×10(−0.01×t)×10−6
で表される水の動粘性係数(m/s)である。また、tは前述した原水の設定水温(℃)である。また、Vは混和池30の容量(m)である。
次に、着水井8内の原水を所定量採取する(原水採取ステップS102)。尚、採取する原水は必ずしも高濁度時のものでなくとも良い。
次に、採取した原水に濁質を添加して濁度の異なる複数の模擬原水を調製する(調製ステップS104)。尚、このときの濁質としては、水源の泥、土や市販のカオリン等を用いることができる。また、調製する模擬原水の濁度としては50度以上の例えば50度、100度、200度等の高濁度のものとする。尚、ここでは水源の泥を濁質として濁度50度、100度、200度の模擬原水を調製した。
次に、調製ステップS104で調製した模擬原水に対して攪拌強度と凝集剤注入率を変化させてジャーテストを行い、各条件における模擬原水の上澄水濁度を取得する(試験ステップS106)。尚、試験する凝集剤注入率は、現行注入率と、この現行注入率よりも少ない注入率、例えば現行注入率の80%、60%、40%、20%等とすることが好ましい。また、攪拌強度は前述の[数1]から算出した混和池30(撹拌装置20)の通常使用時の攪拌強度(概ね200(1/s)前後が一般的である)と、通常使用時の攪拌強度よりも小さい例えば100(1/s)と、通常使用時の攪拌強度よりも大きい例えば300(1/s)、400(1/s)等とすることが好ましい。
そして、ここでは濁度50度、100度、200度の模擬原水を所定のテスト容器に1L入れ、下記の比率で凝集剤を注入した後、周知のジャーテスタを用いて下記の攪拌強度による急速攪拌を3分間行った。その後、攪拌強度58(1/s)で10分間緩速攪拌を行い、その後、攪拌翼を停止して10分間静置した。そして、静置後の各模擬原水の上澄水をテスト容器の一定の水深の位置から採取して、その濁度(上澄水濁度)を濁度計(日本電色工業株式会社製:WA6000)を用いて積分球式電光度法で測定した。
尚、このジャーテストにおける凝集剤注入率は濁度50度のものでは便宜的に25、30、35、40、45、50、55、60mg/Lとし、濁度100度、200度のものでは20、30、40、50、60、70、80、100mg/Lとした。また、攪拌強度は通常使用時の攪拌強度を便宜的に200(1/s)とし、さらに100(1/s)、300(1/s)、400(1/s)とした。また、凝集剤は水処理設備100で使用しているポリ塩化アルミニウム(PAC)を用いた。さらに、ジャーテスト時の模擬原水の水温は攪拌情報の設定水温tから大きく乖離しない比較的高温の25℃とした。
次に、試験ステップS106で得られた上澄水濁度と凝集剤注入率の攪拌強度毎の値を模擬原水の濁度別にグラフ化する(グラフ作成ステップS108)。その結果を図2に示す。ここで、図2(a)は模擬原水濁度50度のグラフを示し、図2(b)は模擬原水濁度100度のグラフを示し、図2(c)は模擬原水濁度200度のグラフを示す。また、図2(a)〜図2(c)中の△は攪拌強度100(1/s)のデータを示し、□は攪拌強度200(1/s)のデータを示し、◇は攪拌強度300(1/s)のデータを示し、○は攪拌強度400(1/s)のデータを示す。
次に、グラフ作成ステップS108で作成されたグラフに基づいて最適攪拌強度を設定する(攪拌強度設定ステップS110)。ここで、図2から、上澄水濁度は凝集剤注入率もしくは攪拌強度が上昇すると低下傾向を示す。そして、図2(a)〜図2(c)から、攪拌強度300(1/s)、400(1/s)の上澄水濁度は、凝集剤注入率40mg/L以上の範囲においてほぼ同等の値を示した。尚、攪拌強度が高ければ撹拌装置20は高速回転し、その分だけ電力コストが増大する。従って、上澄水濁度(凝集効果)に大きな有意差が認められない場合、低い攪拌強度を採用することが好ましい。よって、ここでは最適攪拌強度を300(1/s)に設定した。
次に凝集剤注入率と攪拌強度とを説明変数とし、上澄水濁度の常用対数を目的変数とした重回帰方程式に基づいて、上澄水濁度と凝集剤注入率と攪拌強度との近似式を模擬原水の濁度別に作成し、これに試験ステップS106で得られた上澄水濁度、攪拌強度、凝集剤注入率の値を用いた重回帰分析を行う事でこの近似式の係数を算出する。
ここで、近似式に関して説明を行う。先ず、前述のように凝集剤注入率と攪拌強度を説明変数とし、上澄水濁度の常用対数を目的変数として周知の重回帰方程式を立てると下記(1)式のようになる。
A1・X+A2・G+B’=Log10Y ・・・(1)式
ここで、Yは上澄水濁度(予測値)であり、Xは凝集剤注入率であり、Gは攪拌強度であり、A1は凝集剤注入率の係数であり、A2は攪拌強度の係数であり、B’は切片(定数)である。
これを上澄水濁度Yについて解くと下記(2)式となる。
Y=10B’・10(A1・X+A2・G) ・・・(2)式
ここで、B’は定数であるから、10B’も定数となり、10B’=Bとすると(2)式は、下記(3)式で表せられる。
Y=B×10(A1・X+A2・G) ・・・(3)式
Y:上澄水濁度(予測値)
X:凝集剤注入率
G:攪拌強度
そして、試験ステップS106で得られた上澄水濁度と凝集剤注入率と攪拌強度の値を用いて周知の重回帰分析を行うことで、上記(1)式の係数A1、A2と定数B’とを算出する。これにより、(3)式の係数B、A1、A2を取得することができる。そして、この重回帰分析を模擬原水の濁度毎に行い、凝集剤注入率Xと攪拌強度Gを変数とした上澄水濁度Yの近似式を模擬原水の濁度別に取得する(近似式算出ステップS112)。
その結果、模擬原水濁度50度の近似式は
Y=61.5×10(−0.035・X−0.003・G)
(B=61.5、A1=−0.035、A2=−0.003)となり、
また、模擬原水濁度100度の近似式は
Y=34.9×10(−0.022・X−0.004・G)
(B=34.9、A1=−0.022、A2=−0.004)となり、
また、模擬原水濁度200度の近似式は
Y=14.4×10(−0.011・X−0.0032・G)
(B=14.4、A1=−0.011、A2=−0.0032)となった。
ここで、上記近似式の係数A1、A2と上澄水濁度Yとの関係に関して考察する。上記(3)式に示すように係数A1、A2は上澄水濁度Yを算出する際の乗数に関与し、その絶対値が大きい程、上澄水濁度Yへの影響が大きい。しかしながら、係数A1、A2の影響度を考える場合、係数A1、A2の基となる凝集剤注入率(mg/L)と攪拌強度(1/s)とは単位が異なるため、両者を単純に比較することはできない。よって、凝集剤注入率(mg/L)と攪拌強度(1/s)と上澄水濁度Y(対数値)のデータをそれぞれ標準化して無次元化した後、同様に原水濁度毎に重回帰分析を行い係数A1’、A2’を算出した。その結果を図3に示す。尚、原水濁度は5、10、20、30、40、50、100度とし、凝集剤注入率は25、30、35、40、45、50、55、60mg/Lとし、攪拌強度は100、200、300、400(1/s)とした。また、各条件における上澄水濁度は試験ステップS106と同等のジャーテストにより取得した。
ここで、図3(a)は原水濁度と凝集剤注入率の係数A1’との関係を示す図であり、図3(b)は原水濁度と攪拌強度の係数A2’との関係を示す図であり、図3(c)は原水濁度と(係数A2’/係数A1’)との関係を示す図である。先ず、図3(a)から、凝集剤注入率の係数A1’は原水濁度の上昇に応じて減少傾向を示すことがわかる。また、図3(b)から、攪拌強度の係数A2’は原水濁度の上昇に応じて増加傾向を示すことがわかる。そして、図3(c)から、(係数A2’/係数A1’)は原水濁度50度未満の低濁度の領域では約0.6の略一定の値を示し、原水濁度50度以上の高濁度の領域では約1.0の略一定の値を示すことがわかる。このことから、原水濁度が50度以上の高濁度領域では、上澄水濁度に対する攪拌強度の影響度が低濁度領域と比較して高いことがわかる。即ち、原水濁度が高い領域では凝集剤の注入率を増やすよりも攪拌強度を上げることの方が濁質の凝集に対して効果的であるといえる。従って、原水濁度が高い領域では攪拌強度を上げる方向で最適化(最適攪拌強度)することで、凝集剤注入率を従来よりも低減することが可能となる。
ここで、本願発明の説明に戻る。近似式算出ステップS112で近似式が算出され、攪拌強度設定ステップS110で最適攪拌強度が設定されると、上記の近似式の攪拌強度Gに攪拌強度設定ステップS110で得られた最適攪拌強度300(1/s)の値を代入する。
これにより、原水濁度50度の近似式は
Y=61.5×10(−0.035・X−0.9) となり、
また、原水濁度100度の近似式は
Y=34.9×10(−0.022・X−1.2) となり、
また、原水濁度200度の近似式は、
Y=14.4×10(−0.011・X−0.96) となった。
次に、最適攪拌強度における上澄水濁度Yと凝集剤注入率Xの上記近似式のグラフ(シミュレーショングラフ)を模擬原水の濁度別に作成する(シミュレーショングラフ作成ステップS114)。これを図4(a)〜図4(c)に示す。尚、図4(a)〜図4(c)では比較のため、現行注入率で同様のジャーテストを行った結果を破線で示している。
次に、予め設定された上澄水濁度の閾値と上記のシミュレーショングラフとから原水の濁度別の凝集剤注入率を設定する(凝集剤注入率設定ステップS116)。ここで、上澄水濁度の閾値が0.5度の場合、図4(a)から原水濁度50度での凝集剤注入率は33mg/Lに設定される。これにより、凝集剤注入率を従来の現行注入率41mg/Lより約20%減少することができる。また、図4(b)から原水濁度100度での凝集剤注入率は37mg/Lに設定される。これにより、凝集剤注入率を従来の現行注入率52mg/Lよりも約29%減少することができる。また、図4(c)から原水濁度200度での凝集剤注入率は44mg/Lに設定される。これにより、凝集剤注入率を従来の現行注入率76mg/Lよりも約42%減少することができる。
次に、撹拌強度式導出ステップS101で得られた関係式を用いて最適攪拌強度をとる撹拌装置20の回転数を算出する(攪拌条件設定ステップS118)。そして、水処理設備100の原水が50度以上の高濁度となった場合には、撹拌装置20の回転数を最適攪拌強度のものに上げるとともに、凝集剤注入率を凝集剤注入率設定ステップS116で設定された値とする。これにより、従来よりも少ない凝集剤注入率で充分な濁質の凝集と分離とを行うことができる。これにより、薬剤コストの低減を図ることが可能となる。また、攪拌強度及び凝集剤注入率が適正化されることで、凝集不良が防止され処理水中の濁質の残留を防ぐことができる。
以上のように、本発明に係る凝集剤注入率設定方法は、ジャーテストに基づいて高濁度時に適した最適攪拌強度を設定するとともに、重回帰分析を用いた近似式に基づいて高濁度時の凝集剤注入率を設定する。このため、水処理設備100に高濁度の原水が流入した際には、撹拌装置20の回転数を最適攪拌強度のものに上げるとともに、凝集剤注入装置22の凝集剤注入率を本発明に係る凝集剤注入率設定方法で設定された値とすることで、従来よりも少ない凝集剤注入率で十分な濁質の凝集と分離とを行うことができる。これにより、凝集剤の薬剤コストの低減を図ることが可能となる他、攪拌強度及び凝集剤注入率が適正化され処理水中の濁質の残留を防止することができる。
尚、本例で示した凝集剤注入率設定方法の各ステップ、ジャーテストの方法、水処理設備100の構成等は一例であるから、本例に限定されるわけではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
20 撹拌装置
30 混和池
100 水処理設備
S100 攪拌情報取得ステップ
S101 撹拌強度式導出ステップ
S104 調製ステップ
S106 試験ステップ
S108 グラフ作成ステップ
S110 攪拌強度設定ステップ
S112 近似式算出ステップ
S114 シミュレーショングラフ作成ステップ
S116 凝集剤注入率設定ステップ
S118 攪拌条件設定ステップ

Claims (2)

  1. 撹拌装置を有し原水と凝集剤とを混合する混和池を備えた水処理設備に対する凝集剤注入率設定方法であって、
    前記原水に濁質を添加して濁度の異なる複数の模擬原水を調製する調製ステップと、
    前記模擬原水に対し攪拌強度と凝集剤注入率とを変化させてジャーテストを行い、各条件における模擬原水の上澄水濁度を取得する試験ステップと、
    前記上澄水濁度と凝集剤注入率の攪拌強度毎の関係を模擬原水の濁度別にグラフ化するグラフ作成ステップと、
    前記グラフ作成ステップで得られたグラフに基づいて最適攪拌強度を設定する攪拌強度設定ステップと、
    凝集剤注入率と攪拌強度とを説明変数とし、上澄水濁度の常用対数を目的変数とした重回帰方程式に基づいて、下記に示す上澄水濁度と凝集剤注入率と攪拌強度との近似式を作成し、
    Y=B×10(A1・X+A2・G)
    Y:上澄水濁度(予測値)
    X:凝集剤注入率
    G:攪拌強度
    前記試験ステップで得られた上澄水濁度、攪拌強度、凝集剤注入率の値を用いた重回帰分析を行う事で前記近似式の係数B、A1、A2を模擬原水の濁度別に算出する近似式算出ステップと、
    前記近似式算出ステップで算出された近似式の最適攪拌強度でのシミュレーショングラフを模擬原水の濁度別に作成するシミュレーショングラフ作成ステップと、
    予め設定された上澄水濁度の閾値と前記シミュレーショングラフとから凝集剤の注入率を原水の濁度毎に設定する凝集剤注入率設定ステップと、
    を有することを特徴とする凝集剤注入率設定方法。
  2. 混和池の攪拌情報を取得する攪拌情報取得ステップと、
    前記攪拌情報に基づいて撹拌装置の回転数と攪拌強度との関係式を導出する撹拌強度式導出ステップと、
    前記関係式から最適攪拌強度をとる撹拌装置の回転数を算出する攪拌条件設定ステップと、をさらに有することを特徴とする請求項1記載の凝集剤注入率設定方法。
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