JP6270655B2 - フロックの凝集条件制御方法およびフロックの凝集条件制御装置、水処理方法および水処理装置 - Google Patents

フロックの凝集条件制御方法およびフロックの凝集条件制御装置、水処理方法および水処理装置 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、フロックの凝集条件制御方法およびフロックの凝集条件制御装置、水処理方法および水処理装置に関する。
従来、河川水、雨水、下水、工業排水などの被処理水(原水)の処理方法として、凝集剤を用いて原水中に含まれる懸濁物をフロック(凝集物)とし、これを沈殿池で沈殿させて除去する方法がある。この方法では、フロックの凝集状態が、処理水の水質に影響を及ぼす。
フロックの凝集状態は、原水に対する凝集剤の注入量によって変化する。しかし、フロックの凝集状態が良好となる凝集剤の注入量は、原水の水質の変動に伴って変化する。このため、原水の水質の変動に対応させて、フロックの凝集状態が良好となるように、凝集剤の注入量を適切に制御する方法が検討されている。
フロックの凝集状態が良好となるように、原水に対する凝集剤の注入量などのフロックの凝集条件を制御するには、フロックの凝集状態を評価する必要がある。従来、フロックの凝集状態の指標としては、流動電流値、濾過時間指標(Suction time ratio:STR)、フロックの表面電位の平均値等が用いられている。
しかし、流動電流値および濾過時間指標は、原水の水質によって最適値が大きく異なるため、広く用いることができなかった。また、フロックの表面電位の平均値は、フロックの凝集状態が良好であるか否かの判断がしにくいものであった。このため、これらの指標を用いてフロックの凝集条件を制御しても、凝集条件を制御することによる効果が十分に得られない場合があった。
また、沈殿池でフロックを沈殿させて得られた上澄水である沈殿池出口水の濾過時間指標を評価して、混和池への凝集剤の注入量を制御する技術がある。しかし、この技術では、原水の水質の変化に応じて、変化後の水質に適したフロックの凝集条件に変更するために長い時間がかかるため、凝集条件を制御することによる効果が得られにくかった。
特許第3522650号公報 特開2013−198865号公報 特許第5131005号公報
本発明が解決しようとする課題は、フロックを含む水の水質に関わらず、水質が変化した場合に短時間で変化後の水質に適したフロックの凝集条件に調整することが可能であるフロックの凝集条件制御方法およびフロックの凝集条件制御装置、水処理方法および水処理装置を提供することである。
実施形態のフロックの凝集条件制御方法は、移動速度測定工程と、分散値算出工程と、評価工程と、パラメータ調整工程とを持つ。
移動速度測定工程は、混和池から採取したフロックを含む試験水中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して複数の前記フロックの移動速度をフロック毎に測定する工程である。分散値算出工程は、前記フロックの移動速度のベクトルが、前記陽極方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、前記陰極方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、前記第1符号の移動速度および前記第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する工程である。評価工程は、前記分散値および目標値に基づいて、前記フロックの凝集状態の良否を評価する工程である。パラメータ調整工程は、前記フロックの凝集状態が不良と評価された場合に、前記混和池内の前記凝集剤の注入率、前記混和池内の撹拌強度、前記混和池内での混和水の滞留時間、前記混和池内のpHのいずれか1以上のパラメータを、前記分散値が高くなるように調整する工程である。
フロックの凝集条件制御方法の原理を説明するための説明図である。 原水の供給量の増減率と分散値の増減率との関係を示したグラフである。 撹拌強度の増減率と分散値の増減率との関係を示したグラフである。 急速混和池の混和水のpHと分散値との関係を示したグラフである。 第1の実施形態のフロックの凝集条件制御装置を備える水処理装置の一例を示す概略図である。 図5に示す水処理装置に備えられたフロックの凝集条件制御装置の一部を説明するための説明図である。 図5に示す水処理装置を用いた水処理方法の一例を説明するための説明図である。 注入率設定工程を説明するための説明図である。 混和池内の試験水の採取場所と分散値の増減率との関係を示したグラフである。
以下、実施形態のフロックの凝集条件制御方法およびフロックの凝集条件制御装置、水処理方法および水処理装置を、図面を参照して説明する。
浄水場の被処理水である原水中の懸濁物質は、通常、マイナスの電荷を帯びている。原水に凝集剤を注入すると、原水中の懸濁物質が凝集してフロックを形成する。プラスの電荷を持つ凝集剤によって、懸濁物質のマイナスの電荷が打ち消されることで、懸濁物質の表面電荷が0に近づき、懸濁物質同士の反発が弱まってフロックの形成が進むと考えられている。
凝集剤の注入率が低すぎると、懸濁物質の有するマイナスの電荷が十分に打ち消されず、懸濁物質の表面電荷がマイナスの値を持ったままとなり、フロックの形成が十分に進まなくなる。一方、凝集剤の注入率が高すぎると、凝集剤の有するプラスの電荷の影響によって、懸濁物質の表面電荷がプラスの値を持つことになる。このプラスの表面電荷の絶対値が急激に大きくなると、懸濁物質同士の反発が強まって、フロックの形成が進まなくなる。
また、原水に凝集剤を添加した混和水に対して、一対の電極から直流電圧を印加すると、フロックの表面電荷がマイナスの値を持つ場合には、電気泳動によりフロックが陽極方向へ移動する。また、フロックの表面電荷がプラスの値をもつ場合は、電気泳動によりフロックが陰極方向へ移動する。また、フロックの表面電荷の絶対値が大きいほど、混和水に電圧を印加することによる影響を強く受けるため、フロックの移動速度が速くなる。したがって、フロックの移動速度は、フロックの表面電荷の絶対値と相関がある。
フロックの表面電荷は、凝集状態が良好であるときには0mV前後となる。このため、フロックの凝集状態が良好であるときは、フロックを含む混和水に電圧を印加しても、電気泳動による一方向への偏ったフロックの移動は起こらず、混和水中でのフロックの移動は、重力と混和水中の水流に伴う移動が主となる。
本発明者らは、このような現象に着目し、混和水に直流電圧を印加したときの混和水中の複数のフロックの移動速度をフロック毎に測定し、以下に示す方法により算出した複数のフロックの移動速度分布における分散値を用いることにより、フロックの凝集状態の良否を評価できることを見出した。さらに、フロックの凝集状態の評価結果は、フロックの凝集条件を制御する際に好適に利用できることが分かった。
複数のフロックの移動速度分布における分散値は、次のようにして求めた。各フロックの移動速度を計測し、フロックの移動速度のベクトルが陽極方向の成分を含む場合にはその移動速度にマイナスの符号を付与し、フロックの移動速度のベクトルが陰極方向の成分を含む場合にはその移動速度にプラスの符号を付与した。そして、マイナスの移動速度およびプラスの移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計し、統計的手法により、分散値を算出した。
図1に示す(A)〜(D)は、凝集剤の注入率の異なる混和水に電圧を印加し、上述した分散値と同様の方法により作成した複数のフロックの表面電位(移動速度)分布のヒストグラムの一例である。なお、フロックの表面電位は、上述したように、フロックの移動速度の絶対値と相関があるため、フロックの表面電位分布のヒストグラムの形状は、フロックの移動速度分布のヒストグラムと同じである。図1に示す(A)〜(D)のグラフにおいて、横軸は、マイナスの表面電位(移動速度)およびプラスの表面電位(移動速度)の大きさを示し、中心を0として所定の表面電位(移動速度)毎に階級分けしたものである。縦軸は検出個数を示す。
混和水中のフロックの凝集状態が良好である場合には、混和水に電圧を印加しても、一方向に偏ったフロックの移動は生じない。このため、検出個数はプラスの領域またはマイナスの領域に偏ることなく、広い範囲で疎らとなる。したがって、フロックの移動速度分布の分散値σが大きくなり、そのヒストグラムは、平たい分布形状となる(例えば、図1における(B)、(C)のヒストグラム参照)。
これに対し、混和水中のフロックの凝集状態が不良である場合には、フロックの移動方向が陰極方向または陽極方向へ偏るため、フロックの移動速度分布のヒストグラムは、プラスの領域またはマイナスの領域にシャープなピークを有する形状となる(図1における(A)、(D)のヒストグラム参照)。したがって、フロックの移動速度分布の分散値σは、混和水中の凝集剤の注入率が適正である場合と比較して小さいものとなる。
このように、フロックの移動速度分布の分散値σは、混和水中のフロックの凝集状態が良好である場合には大きく、混和水中のフロックの凝集状態が不良である場合には小さくなる傾向がある。よって、フロックの移動速度分布の分散値σに基づいて、フロックの凝集状態の良否を評価することが可能になる。
また、本発明者らは、以下に示すように、フロックの移動速度分布の分散値σを、予め設定した目標値と比較することによって、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかを判断できることを見出した。
例えば、図1における(E)のグラフは、フロックの移動速度分布の分散値と、混和水中の凝集剤の注入率との関係を示したものである。図1における(E)のグラフ中の点は、それぞれ図1における(A)〜(D)のヒストグラムで示すフロックの移動速度分布の分散値σに対応している。
図1に示す例では、(C)のヒストグラムの分散値σは、図1における(E)のグラフ中の目標値以上であり、フロックの凝集状態が良好であると判断される。
また、図1における(A)、(D)のヒストグラムの分散値σは、図1における(E)のグラフ中の目標値と比較して非常に小さく、フロックの凝集状態が不良であると判断される。
また、図1における(B)のヒストグラムの分散値σは、(A)、(D)のヒストグラムの分散値σと比較してかなり大きいものの、目標値未満であるため、フロックの凝集状態が不良であると判断される。
さらに、本発明者らは、以下に示すように、フロックの移動速度分布の分散値が目標値未満である場合において、フロックの移動速度の分布の平均値が0超か0未満であるかによって、混和水中の凝集剤の注入率が不足しているのか過剰なのかを判定できることを見出した。
具体的には、分散値が目標値未満であって、平均値がマイナスの値である場合、混和水中の凝集剤の注入率が不足していると判定する。また、分散値が目標値未満であって、平均値がプラスの値である場合は、混和水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定する。
例えば、図1における(D)のヒストグラムで示す検出個数は、プラスの領域にシャープなピークを有しており、フロックの移動速度の分布の平均値はプラスの値である。したがって、混和水中には、プラスの電荷を持つ凝集剤が過剰に含まれていると判断される。
また、図1における(A)のヒストグラムで示す検出個数は、マイナスの領域にシャープなピークを有しており、フロックの移動速度の分布の平均値はマイナスの値である。したがって、混和水中において、プラスの電荷を持つ凝集剤が不足していると判断される。
したがって、分散値が目標値未満であって平均値がマイナスの値である場合には、混和水中の凝集剤の注入率を高くすることで、分散値を高くできる。また、分散値が目標値未満であって平均値がプラスの値である場合には、混和水中の凝集剤の注入率を低くすることで、分散値を高くできる。
また、本発明者らは、上記の分散値が目標値未満である場合において、分散値の算出に用いた混和水を採取した混和池内の凝集剤の注入率を調整するだけでなく、凝集剤の注入率に代えて、または凝集剤の注入率とともに、分散値の算出に用いた混和水を採取した混和池内の撹拌強度と、その混和池内での混和水の滞留時間と、混和池内のpHのいずれか1以上のパラメータを調整することで、分散値を高くできることを見出した。
分散値の算出に用いた混和水を採取した混和池内での混和水の滞留時間は、混和池に供給する原水の供給量(流量)によって調整できる。すなわち、混和池に供給する原水の供給量を少なくすると、混和池内での混和水の滞留時間(処理時間)が長くなり、混和池内の混和水中のフロックの凝集状態が改善される。このため、分散値が高くなる。
図2は、原水の供給量の増減率とフロックの移動速度分布の分散値σの増減率との関係を示したグラフである。図2に示す結果は、原水の供給量(流量)以外の条件を同じとした場合の分散値の増減率を測定したものである。
図2に示すように、原水の供給量が少なくなるのに伴って、分散値が高くなっている。したがって、混和池への原水の供給量を少なくし、混和池内での混和水の滞留時間を長くすることで、混和水中のフロックの凝集状態を改善できる。
また、分散値の算出に用いた混和水を採取した混和池内の撹拌強度を高くすることによっても、混和池内の混和水中のフロックの凝集状態が改善される。このため、分散値が高くなる。
図3は、撹拌強度の増減率とフロックの移動速度分布の分散値σの増減率との関係を示したグラフである。図3に示す結果は、原水の水質が異なる2種類(図3における○および□)について、分散値の算出に用いた混和水を採取した混和池内の撹拌強度以外の条件を同じとした場合のフロックの移動速度分布の分散値の増減率を測定したものである。
図3に示すように、原水の水質の違いによって傾きに差はあるものの、原水の水質に関わらず、混和池内の撹拌強度を高くするのに伴って、フロックの移動速度分布の分散値が高くなっている。したがって、分散値の算出に用いた混和水を採取した混和池内の撹拌強度を高くすることで、混和水中のフロックの凝集状態を改善できる。
このように、混和池内の撹拌強度を高くする、および/または混和池内での混和水の滞留時間を長くすることにより、分散値を高くできる。
また、分散値の算出に用いた混和水を採取した混和池内のpHを所定の範囲内に調整することで、混和池内の混和水中のフロックの凝集状態が改善される。このため、分散値が高くなる。
図4は、分散値の算出に用いた混和水を採取した混和池内の混和水のpHとフロックの移動速度分布の分散値σとの関係を示したグラフである。図4に示す結果は、分散値の算出に用いた混和水を採取した混和池内の混和水のpH以外の条件を同じとした場合のフロックの移動速度分布の分散値を測定したものである。
図4に示すように、混和池内の混和水のpHが、6.5〜7.0である場合にフロックの移動速度分布の分散値が高くなっている。したがって、混和池内の混和水のpHを、フロックの移動速度分布の分散値が高くなるように調整することで、混和池内の混和水中のフロックの凝集状態が改善される。このため、分散値が高くなる。
次に、図5に示す第1の実施形態のフロックの凝集条件制御装置を備える水処理装置について説明する。本実施形態においては、フロックの凝集条件制御装置を備える水処理装置として、浄水場に設置された水処理装置を例に挙げて説明する。
水処理装置1は、着水井10と、混和池22と、沈殿池40と、濾過池50と、フロックの凝集条件制御装置60とを有している。
着水井10は、水処理装置1によって処理すべき原水を収容するものである。着水井10は、配管によって混和池22の急速混和池20と接続されている。着水井10と急速混和池20とを接続する配管には、配管内を通過して混和池22に供給される原水の流量を測定する流量計63と、pHを測定するpH測定装置74とが設置されている。
混和池22は、原水と凝集剤とを混合して生成されたフロック(凝集物)を含む混和水を収容するものである。混和池22の急速混和池20には、着水井10に導入された原水が、配管を介して流量調整弁72によって所定の流量で連続して供給される。
混和池22は、急速混和池20と、配管により急速混和池20と接続されたフロック形成池30とを有している。
混和池22の急速混和池20は、着水井10から供給された原水と、凝集剤注入装置70により注入された凝集剤と、必要に応じてpH調整剤注入装置71により注入されたpH調整剤とを収容するものである。急速混和池20では、原水中に含まれる懸濁物質が凝集剤によってフロック化され、フロックを含む混和水が生成される。
フロック形成池30は、急速混和池20から供給された混和水中のフロックを成長させるためのものである。フロック形成池30は、3つの撹拌池31、32、33を有している。フロック形成池30の第1撹拌池31には、急速混和池20で生成された混和水が供給される。第2撹拌池32には、第1撹拌池31を通過した混和水が供給され、第3撹拌池33には、第2撹拌池32を通過した混和水が供給される。
急速混和池20、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33には、それぞれ、例えば、モータにより駆動される撹拌装置21、34、35、36が備えられている。撹拌装置21、34、35、36は、混和池22を形成している各池の混和水の撹拌強度が、上流側から下流側に向けて段階的に小さくなるように設定されている。攪拌装置21としては、例えばフラッシュミキサを用いることができる。撹拌装置34、35、36としては、例えば、フロキュレータを用いることができる。
沈殿池40は、第3撹拌池33の下流に設けられている。沈殿池40は、混和池22から供給されたフロックを含む混和水を収容し、フロックを沈殿させるものである。
濾過池50は、沈殿池40の下流に設けられている。濾過池50には、混和池22から供給された混和水を、沈殿池40において所定時間以上滞留させて得られた上澄水が供給される。濾過池50は、例えば、砂濾過装置である。濾過池50に供給された上澄水は、濾過池50を通過することにより、沈殿池40で沈殿除去されなかった微小なフロックが除去され、清浄水(処理水)として排出される。
次に、本実施形態のフロックの凝集条件制御装置60について説明する。本実施形態においては、浄水場の混和池22から試験水を採取して、混和池22内の混和水の凝集状態を評価し、その評価結果を用いて混和池22内のフロックの凝集条件を制御する場合を例に挙げて説明する。
フロックの凝集条件制御装置60は、移動速度測定装置80と、分散値算出装置81と、評価装置90と、パラメータ調整装置91と、注入率決定装置73とを有している。
移動速度測定装置80は、混和池22から採取したフロックを含む試験水を収容するセル61(図6)と、セル61内の試験水に電圧を印加する電圧供給装置62(図6)と、試験水に電圧を印加したときの試験水中のフロックの位置を測定するフロック追跡装置65(図7)とを有している。
セル61は、試験水を収容するものである。セル61は、ガラス、アクリルなどの透明材料で形成されたものであることが好ましい。
電圧供給装置62は、セル61内に対向配置された陽極62aと陰極62bとによって、セル61内の試験水に電圧を印加するものである。電圧供給装置62は、試験水に10〜20Vの電圧を印加するものであることが好ましい。
フロック追跡装置65は、電圧供給装置62によって試験水に電圧を印加したときの試験水中の複数のフロックの位置を、少なくとも第1時刻と第1時刻から所定時間経過後の第2時刻とにフロック毎に測定するものである。フロック追跡装置65は、複数のフロックの移動速度を算出できるように、少なくとも第1時刻と第2時刻とにフロックの位置の測定を行うことができるものであればよく、フロックの位置の測定は、所定時間毎に複数回行ってもよいし、所定時間連続して行ってもよい。フロックの位置の測定を所定時間毎に複数回行う場合、例えば、1秒毎にフロックの位置の測定を行ってもよい。
フロック追跡装置65としては、セル61内に向かって光を照射する光源と、試験水に含まれるフロックを撮影するカメラと、カメラを用いて撮影することで入力された信号を表示する表示装置65aとを有するもの用いることが好ましい。
光源は、セル61内の試験水に光を照射できるものであれば、如何なるものであってもよい。光源としては、光の強度を調節できるものを用いることが好ましい。また、光源として、例えばレーザー光を照射するものを用いることができる。
カメラは、セル61の陽極62aおよび陰極62bの設置されていない側面の外面に設置することが好ましい。この場合、セル61の壁面を介して、セル61内のフロックを含む試験水を撮影するため、セル61として透明材料で形成されたものを用いる。
カメラとしては、例えば、試験水中のフロックを光源により照射して得られるフロック表面の散乱光を受光するものを用いることができる。
分散値算出装置81は、フロック追跡装置65の測定した試験水中に含まれる複数のフロックの位置の信号が入力されることにより、各フロックの移動速度のベクトルを生成する。また、分散値算出装置81は、生成したベクトルが、陽極62a方向の成分を含む場合にマイナス(第1符号)を付与し、陰極62b方向の成分を含む場合にプラス(第2符号)を付与する。さらに、分散値算出装置81は、マイナスの移動速度およびプラスの移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する。
分散値算出装置81は、集計に用いるマイナスの移動速度として、マイナスの移動速度の全て(移動速度のベクトルの成分の全て)を用い、かつ、集計に用いるプラスの移動速度として、プラスの移動速度の全て(移動速度のベクトルの成分の全て)を用いることができる。
また、分散値算出装置81は、集計に用いるマイナスの移動速度として、マイナスの移動速度のうち、各フロックの移動速度のベクトルに含まれる陽極62a方向の成分の移動速度のみを用い、かつ、集計に用いるプラスの移動速度として、プラスの移動速度のうち、各フロックの移動速度のベクトルに含まれる陰極62b方向の成分の移動速度のみを用いてもよい。
分散値算出装置81は、複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値を算出するものであることが好ましい。
なお、分散値算出装置81は、陰極方向および陽極方向に速度成分を持たない移動速度は0とするものである。
分散値算出装置81の分散値を算出する機能、複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値を算出する機能は、例えば、コンピュータの中央演算装置に備えられた機能によって実現される。
評価装置90は、分散値算出装置81の算出した分散値および目標値に基づいて、フロックの凝集状態の良否を評価するものである。
評価装置90は、分散値算出装置81の算出した分散値に基づいて、分散値が目標値以上である場合、フロックの凝集状態が良好であると判断し、分散値が前記目標値未満である場合、フロックの凝集状態が不良であると判断するものである。分散値の目標値は、複数のビーカを用いて凝集剤注入率をパラメータとしたビーカ試験における分散値の実測値や、沈殿池40から排出される上澄水の濾過時間指標(Suction time ratio:STR)に基づいて予め決定されたものとすることができる。
評価装置90は、上記のフロックの凝集状態の評価が不良である場合、分散値算出装置81の算出した複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値に基づいて、フロックの凝集状態と凝集剤の過不足状態を評価するものであることが好ましい。
具体的には、評価装置90は、上記のフロックの凝集状態が不良と評価され、平均値がマイナスである場合に、試験水中の凝集剤の注入率が不足していると判定するものであることが好ましい。
評価装置90は、上記のフロックの凝集状態が不良と評価され、平均値がプラスの値である場合に、試験水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定するものであることが好ましい。
評価装置90は、分散値算出装置81の集計結果に基づいて、フロックの移動速度分布のヒストグラムを生成し、ヒストグラムを表示装置に表示させるものであることが好ましい。さらに、評価装置90は、フロックの凝集状態を評価した結果と、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかを判断した結果と、凝集剤の注入率が不足しているか過剰であるかを判断した結果と、フロック追跡装置65の有する表示装置のリアルタイムの画像または動画のうち、いずれか1つ以上の結果を表示装置に表示させるものであってもよい。
評価装置90は、ヒストグラムおよび/または上記のいずれかの結果を、フロック追跡装置65の有する表示装置65aに表示させるものであってもよいし、フロック追跡装置65の表示装置65aとは別の表示装置に表示させるものであってもよい。
本実施形態の評価装置90は、フロックの凝集状態の評価が不良であると判断した場合、パラメータ調整装置91に、フロックの凝集状態の評価が不良であると判断した結果の信号を入力するものである。また、本実施形態の評価装置90は、試験水中の凝集剤の注入率が不足していると判定した場合または試験水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定した場合に、パラメータ調整装置91に、凝集剤の注入率が不足している信号または試験水中の凝集剤の注入率が過剰である信号を入力するものである。
評価装置90のフロックの凝集状態を評価する機能、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかを判断する機能、凝集剤の注入率が不足しているか過剰であるかを判断する機能、フロックの移動速度分布のヒストグラムを生成する機能は、例えば、コンピュータの中央演算装置に備えられた機能によって実現される。
パラメータ調整装置91は、評価装置90によってフロックの凝集状態が不良と評価された場合に、試験水を採取した混和池22内の凝集剤の注入率、前記混和池22内の撹拌強度、前記混和池22内での混和水の滞留時間、前記混和池22内のpHのいずれか1以上のパラメータを、前記分散値が高くなるように調整するものである。
パラメータ調整装置91は、評価装置90によるフロックの凝集状態の評価が不良である場合に、混和池22内の撹拌強度を高くするように制御する、および/または混和池22内での混和水の滞留時間を長くするように制御するものであることが好ましい。
パラメータ調整装置91は、混和池22内の凝集剤の注入率を調整する場合、凝集剤注入装置70から混和池22に注入される凝集剤の注入量を制御して、混和池22内の凝集剤の注入率を調整する。
パラメータ調整装置91は、評価装置90から試験水中の凝集剤の注入率が不足している信号が入力されることにより、凝集剤注入装置70から混和池22に注入される凝集剤の注入量を制御して、試験水を採取した混和池22内の混和水中の凝集剤の注入率を高くするように調整するものであることが好ましい。
また、パラメータ調整装置91は、評価装置90から試験水中の凝集剤の注入率が過剰である信号が入力されることにより、凝集剤注入装置70から混和池22に注入される凝集剤の注入量を制御して、試験水を採取した混和池22内の混和水中の凝集剤の注入率を低くするように調整するものであることが好ましい。
パラメータ調整装置91は、試験水を採取した混和池22内の撹拌強度を調整する場合、急速混和池20、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33のそれぞれに設けられている撹拌装置21、34、35、36のうち、いずれか1つ以上の撹拌装置の撹拌強度を制御することにより行う。パラメータ調整装置91は、予め測定された撹拌強度の増減率とフロックの移動速度分布の分散値の増減率との関係(例えば図3参照)に基づいて、分散値が高くなるように、混和池22内の撹拌強度を調整するものであることが好ましい。
また、パラメータ調整装置91は、試験水を採取した混和池22内での混和水の滞留時間を調整する場合、流量計63から入力される原水の流量に基づいて、流量調整弁72によって供給される原水の供給量を調整する。パラメータ調整装置91は、予め測定された原水の供給量(混和池内での混和水の滞留時間)の増減率とフロックの移動速度分布の分散値の増減率との関係(例えば図2参照)に基づいて、分散値が高くなるように、混和池22に供給する原水の供給量(流量)を調整するものであることが好ましい。
パラメータ調整装置91は、試験水を採取した混和池22内のpHを調整する場合、pH測定装置74から入力される原水のpHの測定値に基づいて、pH調整剤注入装置71により注入されるpH調整剤の種類および注入量を制御し、混和池22内の混和水中のpHを調整する。パラメータ調整装置91は、予め測定された混和水のpHとフロックの移動速度分布の分散値との関係(例えば図4参照)に基づいて、分散値が高くなるように、混和池22内の混和水中のpHを調整するものであることが好ましい。
パラメータ調整装置91による混和池22内の凝集剤の注入率、前記混和池22内の撹拌強度、前記混和池22内での混和水の滞留時間、前記混和池22内のpHのいずれか1以上のパラメータを調整する機能は、例えば、コンピュータの中央演算装置に備えられた機能によって実現される。
次に、図5に示す水処理装置1を用いた水処理方法の一例を、図面を用いて説明する。本実施形態の水処理方法は、原水に凝集剤を注入しフロックを含む混和水を生成する凝集剤注入工程と、フロックを沈降分離して、混和水から上澄水を得る分離工程と、フロックの凝集条件を制御するフロック制御工程とを有する。
凝集剤注入工程では、はじめに、水処理装置1によって処理すべき原水を着水井10に導入する。次いで、着水井10から混和池22の急速混和池20に、配管を介して原水を供給する。次に、急速混和池20に連続供給された原水に、凝集剤とpH調整剤とを注入して、フロックを含む混和水を生成する。次に、急速混和池20で生成されたフロックを含む混和水を、フロック形成池30の第1撹拌池31に供給する。第1撹拌池31に供給された混和水は、第1撹拌池31と第2撹拌池32と第3撹拌池33とをこの順で通過する。
凝集剤注入工程における着水井10から急速混和池20への原水の供給は、流量調整弁72によって、所定の供給量で連続して行う。
急速混和池20に供給する原水の流量は、着水井10と急速混和池20とを接続する配管に設置された流量計63によって測定され、パラメータ調整装置91に入力される。
また、急速混和池20に供給する原水のpHは、着水井10と急速混和池20とを接続する配管に設置されたpH測定装置74を用いて測定され、パラメータ調整装置91に入力される。
原水の流量の測定およびpHの測定は、原水の供給を開始してから終了するまでの間連続して行ってもよいし、所定の時間毎に行ってもよい。
凝集剤は、凝集剤注入装置70によって、所定の供給量で急速混和池20に連続して供給する。凝集剤としては、アルミ系の無機凝集剤、鉄系の無機凝集剤、高分子凝集剤などを用いることができる。アルミ系の無機凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)および硫酸アルミニウム(硫酸ばんど)が挙げられる。
pH調整剤は、pH調整剤注入装置71によって、所定の種類および注入量で急速混和池20に連続して供給する。pH調整剤としては、原水のpHに応じて、硫酸、塩酸などの酸性のもの、または水酸化ナトリウムなどのアルカリ性のものが用いられる。pH調整剤として、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性のものを注入する場合、原水のアルカリ度が15〜25度、好ましくは20度程度となるように、pH調整剤の注入量を制御することが好ましい。
混和池22内では、撹拌装置21、34、35、36によって、フロックを含む混和水を撹拌する。撹拌強度は、急速混和池20を最も大きくし、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33の順で段階的に小さくしている。混和池22内を通過することで、原水と凝集剤とが混ざり合い、フロックが生成し成長する。
次に、分離工程を行う。分離工程では、沈殿池40に供給された混和池22を通過したフロックを含む混和水を、沈殿池40内で所定時間以上、例えば3時間程度滞留させる。このことにより、混和水中のフロックが沈降し、沈殿する。
沈殿池40で沈殿したフロックは、汚泥として処理される。沈殿池40内で混和水中のフロックを沈降分離した後に得られる上澄水は、濾過池50に送られる。
濾過池50に供給された上澄水は、砂濾過を通過した後、清浄水として排出される。濾過池50から排出された清浄水は、浄水池に送られて塩素による殺菌等が行われ、浄水池から排出される。
さらに、濾過池50を通過した清浄水に、オゾン処理および/または生物活性炭処理を施してもよい。また、上澄水を濾過池50に通過させる前に、上澄水に対してオゾン処理および/または生物活性炭処理を施してもよい。
次に、フロック制御工程について説明する。本実施形態においてはフロック制御工程として、フロックの凝集条件制御装置60を用いるフロックの凝集条件制御方法を行う。
フロックの凝集条件制御方法では、混和池22から採取したフロックを含む試験水中の複数のフロックの移動速度をフロック毎に測定する移動速度測定工程と、複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出工程と、分散値および目標値に基づいて、フロックの凝集状態の良否を評価する評価工程と、評価工程での評価結果に基づいて、分散値が高くなるようにパラメータを調整するパラメータ調整工程とを行う。
移動速度測定工程では、まず、浄水場の混和池22から採取したフロックを含む試験水をセル61に注入する。
次に、図6に示すように、セル61内の試験水中に、電圧供給装置62の陽極62aと陰極62bとを配置し、試験水に例えば5V〜30V、好ましくは10V〜20Vの電圧を印加する。そして、フロック追跡装置65によって、試験水中の複数のフロックの移動速度をフロック毎に測定する。
移動速度測定工程において、試験水に電圧を印加する時間は、自由に設定でき、例えば3〜5分とすることができる。
本実施形態では、移動速度測定工程において、セル61内にレーザー光を照射する光源と、セル61の陽極62aおよび陰極62bの設置されていない側面の外面に設置されたカメラと、カメラを用いて撮影することによって入力された信号を表示する表示装置65aとを有するフロック追跡装置65を用いる。また、セル61としては、透明材料で形成されたものを用いる。
そして、例えば、セル61内にレーザー光を照射しながら、試験水に電圧を印加したときの試験水中の複数のフロックの位置を、所定の時間連続してカメラを用いて撮影する。このようにして得られた所定の時間の連続した複数のフロックの位置の情報は、複数のフロックのフロック毎の移動速度の情報として複数のフロックの各々における所定の時間内での移動距離の情報を含むものである。
なお、移動速度測定工程において、試験水に電圧を印加したときの試験水中の複数のフロックの位置は、カメラを用いて所定の時間毎に複数回撮影してもよい。この場合においても、移動速度測定工程を行うことにより、複数のフロックのフロック毎の移動速度の情報として複数のフロックの各々における所定の時間内での移動距離の情報が得られる。
カメラを用いて撮影することによって得られた所定の時間の連続した複数のフロックの位置の信号は、表示装置65aに入力されて表示されるとともに、分散値算出装置81に入力される。
図7は、カメラによって撮影した所定の時間の連続した複数のフロックの位置を、表示装置65aに表示した写真である。表示装置65aに表示された画像においては、右側が陰極側であり、左側が陽極側である。
分散値算出工程では、分散値算出装置81によって、フロック追跡装置65の測定した試験水中に含まれる複数のフロックの位置の信号から、各フロックの移動速度のベクトルを生成する。そして、分散値算出装置81によって、各フロックの移動速度のベクトルが、陽極62a方向の成分を含む場合にマイナスを付与し、陰極62b方向の成分を含む場合にプラスを付与する。次いで、分散値算出装置81によって、マイナスの移動速度およびプラスの移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する。
分散値算出工程において、分散値の算出に使用するフロックの移動速度の数は、特に限定されないが、フロックの凝集状態の評価精度を向上させるために、多い程好ましく、500個以上であることが好ましい。
分散値算出工程では、カメラを用いて撮影した画像上で認識できるすべてのフロックの移動速度を分散値の算出に用いてもよいし、一部のフロックの移動速度のみを用いてもよい。一部のフロックの移動速度のみを分散値の算出に用いる場合、例えば、カメラを用いて所定の時間毎に複数回撮影した画像において、認識できた回数が撮影回数に対して所定の回数以上であるフロックの移動速度のみ用いてもよい。
分散値算出工程において、集計に用いるマイナスの移動速度として、マイナスの移動速度の全て(移動速度のベクトルの成分の全て)を用い、かつ、集計に用いるプラスの移動速度として、プラスの移動速度の全て(移動速度のベクトルの成分の全て)を用いることができる。
また、分散値算出工程において、集計に用いるマイナスの移動速度として、マイナスの移動速度のうち、各フロックの移動速度のベクトルに含まれる陽極62a方向の成分の移動速度のみを用い、かつ、集計に用いるプラスの移動速度として、プラスの移動速度のうち、各フロックの移動速度のベクトルに含まれる陰極62b方向の成分の移動速度のみを用いてもよい。
本実施形態では、分散値算出工程において、分散値算出装置81によって、複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値を算出することが好ましい。
分散値算出工程において、算出した分散値または、分散値および上記平均値は、評価装置90に入力される。
次に、評価装置90によって、分散値算出装置81の算出した分散値および目標値に基づいて、フロックの凝集状態の良否を評価する評価工程を行う。
評価工程においては、分散値が目標値以上である場合、フロックの凝集状態が良好であると判断し、分散値が前記目標値未満である場合、フロックの凝集状態が不良であると判断する。
評価工程においては、上記のフロックの凝集状態の評価が不良である場合、分散値算出工程において算出した複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値に基づいて、フロックの凝集状態を評価することが好ましい。
具体的には、評価工程において、上記のフロックの凝集状態が不良と評価され、平均値がマイナスの値である場合に、試験水中の凝集剤の注入率が不足していると判定することが好ましい。
評価工程において、上記のフロックの凝集状態が不良と評価され、平均値がプラスの値である場合に、試験水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定することが好ましい。
本実施形態では、評価工程において、評価装置90によって、フロックの移動速度分布のヒストグラムを生成し、ヒストグラムを表示装置に表示することが好ましい。
さらに、評価工程において、評価装置90によって、フロックの凝集状態を評価した結果と、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかを判断した結果と、凝集剤の注入率が不足しているか過剰であるかを判断した結果と、フロック追跡装置65の有する表示装置のリアルタイムの画像または動画のうち、いずれか1つ以上の結果を表示装置に表示させてもよい。
本実施形態では、評価工程において、評価装置90によってフロックの凝集状態が不良と評価された場合、パラメータ調整装置91に、フロックの凝集状態の評価が不良であると判断した結果の信号を入力する。また、評価工程において、評価装置90が試験水中の凝集剤の注入率が不足していると判定した場合または試験水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定した場合に、パラメータ調整装置91に、凝集剤の注入率が不足している信号または試験水中の凝集剤の注入率が過剰である信号を入力する。
次に、パラメータ調整工程について説明する。パラメータ調整工程は、フロックの凝集状態の評価が不良である場合に行う工程である。したがって、パラメータ調整工程は、評価工程において、フロックの凝集状態が良好であると判断された場合には行わない。
パラメータ調整工程では、フロックの凝集状態が不良と評価された場合に、パラメータ調整装置91によって、混和池22内の凝集剤の注入率、混和池22内の撹拌強度、混和池22内での混和水の滞留時間、混和池22内のpHのいずれか1以上のパラメータを、分散値が高くなるように調整する。
パラメータ調整工程は、混和池22内の撹拌強度を高くする工程、混和池22に供給する内での混和水の滞留時間を長くする工程から選ばれるいずれか1以上の工程を含むことが好ましい。
パラメータ調整工程において、混和池22内の凝集剤の注入率を調整する場合、凝集剤注入装置70から混和池22に注入される凝集剤の注入量を制御して、混和池22内の凝集剤の注入率を調整する。
パラメータ調整工程では、評価装置90から試験水中の凝集剤の注入率が不足している信号が入力されることにより、凝集剤注入装置70から混和池22に注入される凝集剤の注入量を制御して、試験水を採取した混和池22内の混和水中の凝集剤の注入率を高くすることが好ましい。
また、パラメータ調整工程では、評価装置90から試験水中の凝集剤の注入率が過剰である信号が入力されることにより、凝集剤注入装置70から混和池22に注入される凝集剤の注入量を制御して、試験水を採取した混和池22内の混和水中の凝集剤の注入率を低くすることが好ましい。
パラメータ調整工程では、試験水を採取した混和池22内の撹拌強度を調整する場合、急速混和池20、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33のそれぞれに設けられている撹拌装置21、34、35、36のうち、いずれか1つ以上の撹拌装置の撹拌強度を制御することにより行う。
水処理装置1では、混和池内22の混和水の撹拌強度を調整した後においても、混和池22を形成している各池の混和水の撹拌強度が、上流側から下流側に向けて段階的に小さくなっていることが好ましい。
また、パラメータ調整工程では、試験水を採取した混和池22内での混和水の滞留時間を調整する場合、流量計63から入力される原水の流量に基づいて、流量調整弁72によって供給される原水の供給量を調整する。
パラメータ調整工程では、試験水を採取した混和池22内のpHを調整する場合、pH測定装置74から入力される原水のpHに基づいて、pH調整剤注入装置71により注入されるpH調整剤の種類および注入量を制御し、混和池22内の混和水中のpHを調整する。
本実施形態において、フロック制御工程は、天気などによる水質の変動に応じて適宜行ってもよいし、所定時間毎に行ってもよい。フロック制御工程を所定時間毎に行なう場合、例えば、10分〜20分毎に行うことが好ましい。フロック制御工程を上記の時間毎に行うことで、原水の水質の変動に対応させて、混和水22中のフロックの凝集状態が良好となるようにフロックの凝集条件を高精度で制御できる。
次に、注入率決定工程について説明する。注入率決定工程は、凝集剤注入工程の前に必要に応じて行う工程である。注入率決定工程は、凝集剤注入装置70によって、混和池22内の混和水中に注入する凝集剤の注入率の制御範囲を決定するために行う。
注入率決定工程は、フロックの凝集条件制御装置60の有する注入率決定装置73を用いて行う。注入率決定装置73は、分散値算出装置81の算出した複数の目標値設定用混和水それぞれの分散値に基づいて、凝集剤の注入率の制御範囲を決定するものである。
図8は、注入率設定工程を説明するための説明図である。図8に示すように、注入率設定工程では、ビーカ17などの容器に採取した原水に凝集剤を注入して撹拌し、凝集剤の注入率の異なる複数の目標値設定用混和水11、12、13、14、15を生成する。そして、上述したフロックの凝集条件制御方法における移動速度測定工程および分散値算出工程と同様にして、フロックの凝集条件制御装置60の移動速度測定装置80および分散値算出装置81を用いて、複数の目標値設定用混和水11、12、13、14、15のそれぞれについて、複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する。分散値算出装置81によって算出した複数の目標値設定用混和水それぞれの分散値は、注入率決定装置73に入力される。
次に、注入率決定装置73によって、分散値算出装置81の算出した分散値に基づいて、凝集剤の注入率の制御範囲を決定する。
注入率決定装置73は、複数の目標値設定用混和水のうち、分散値が目標値以上となった目標値設定用混和水の凝集剤の注入率に基づいて、凝集剤の注入率の制御範囲を決定する。注入率決定装置73によって決定された凝集剤の注入率の制御範囲は、パラメータ調整装置91に入力される。
凝集剤注入工程の前に、注入率設定工程を行った場合には、凝集剤注入工程において、混和池22内の混和水中の凝集剤の注入率が上記の制御範囲内となるように、パラメータ調整装置91により、凝集剤注入装置70を制御して、混和池22に凝集剤を注入する。
本実施形態において、凝集剤注入工程の前に、注入率決定工程を行うことにより、凝集剤注入工程の開始時における混和池22の混和水中の凝集剤の注入量が、原水に応じた適切なものとなる。
本実施形態のフロックの凝集条件制御方法は、混和池22から採取したフロックを含む試験水中に陽極62aと陰極62bを配置し、試験水に電圧を印加して試験水中の複数のフロックの移動速度をフロック毎に測定する移動速度測定工程と、各フロックの移動速度のベクトルが、陽極62a方向の成分を含む場合にマイナスを付与し、陰極62b方向の成分を含む場合にプラスを付与し、マイナスの移動速度およびプラスの移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出工程とを行う。そして、分散値および目標値に基づいて、フロックの凝集状態の良否を評価する評価工程と、フロックの凝集状態が不良と評価された場合に、混和池22内の凝集剤の注入率、混和池22内の撹拌強度、混和池22内での混和水の滞留時間、混和池22内のpHのいずれか1以上のパラメータを、分散値が高くなるように調整するパラメータ調整工程とを行う。このため、以下に示す効果が得られる。
本実施形態のフロックの凝集条件制御方法では、評価工程において、分散値を用いて試験水中のフロックの凝集状態を評価する。フロックの移動速度分布の分散値σは、試験水の水質に関わらず、フロックの凝集状態が良好である場合には大きく、フロックの凝集状態が不良である場合には小さくなる傾向がある。したがって、本実施形態では、評価工程において、試験水の水質に関わらず、試験水中のフロックの凝集状態が良好であるか否かを高精度で判断できる。そして、本実施形態では、評価工程での評価に基づいて、分散値の調整が可能である上記の1以上のパラメータを、分散値が高くなるように調整するので、混和池22内のフロックの凝集条件を、フロックが良好な凝集状態となるように高精度で制御できる。
また、本実施形態のフロックの凝集条件制御方法では、混和池22から採取したフロックを含む試験水を用いて評価したフロックの凝集状態の良否に基づいて、混和池22内のフロックの凝集条件を制御できる。したがって、原水の水質の変動などによって混和池22内の最適なフロックの凝集条件が変化した場合に、短時間で混和池22内のフロックの凝集条件を変化後の水質に適した条件に調整できる。
これに対し、沈殿池でフロックを沈殿させて得られた上澄水を用いてフロックの凝集状態を評価する場合、フロックを除去しなければフロックの凝集状態を評価できない。すなわち、フロックの凝集状態を評価するためには、沈殿池でフロックを沈殿させる時間が必要である。したがって、例えば、浄水場の混和池内のフロックの凝集条件を制御するために、沈殿池出口水の濾過時間指標を用いてフロックの凝集状態を評価した場合、フロックの凝集状態の評価結果を、混和池内のフロックの凝集条件に反映させるまでに多くの時間が必要であった。
また、本実施形態フロックの凝集条件制御方法では、フロックの凝集条件を高精度で制御できるため、凝集剤を過剰に注入することを防止できる。したがって、過剰に凝集剤を注入することによって、汚泥量が増大したり、汚泥の再利用が妨げられたり、濾過池50の洗浄頻度が増加したりすることがない。
本実施形態のフロックの凝集条件制御方法の評価工程において、フロックの移動速度分布のヒストグラムを生成し、ヒストグラムを表示装置に表示した場合、作業者が、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかを判断する際に、表示装置に表示されたヒストグラムの形状を利用できる。
また、本実施形態の水処理方法では、上述したフロックの凝集条件制御装置60を用いるフロックの凝集条件制御方法を用いて、フロックの凝集条件をフロックが良好な凝集状態となるように制御するので、高品質な処理水が得られる。
本実施形態のフロックの凝集条件制御装置60は、混和池22から採取したフロックを含む試験水を収容するセル61と、セル61内に対向配置された陽極62aと陰極62bとによって、セル61内の試験水に電圧を印加する電圧供給装置と、試験水に電圧を印加したときの試験水中のフロックの位置を、少なくとも第1時刻と前記第1時刻から所定時間経過後の第2時刻とにフロック毎に測定するフロック追跡装置65とを有する移動速度測定装置80を有する。さらに、フロック追跡装置65の測定した試験水中の複数のフロックの位置の信号が入力されることにより、各フロックの移動速度のベクトルを生成し、ベクトルが、陽極62a方向の成分を含む場合にマイナスを付与し、陰極62b方向の成分を含む場合にプラスを付与し、マイナスの移動速度およびプラスの移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出装置81を有する。さらに、分散値および目標値に基づいて、フロックの凝集状態の良否を評価する評価装置90と、フロックの凝集状態が不良と評価された場合に、混和池22内の凝集剤の注入率、混和池22内の撹拌強度、混和池22内での混和水の滞留時間、混和池22内のpHのいずれか1以上のパラメータを、分散値が高くなるように調整するパラメータ調整装置とを有する。このため本実施形態のフロックの凝集条件制御方法を用いてフロックの凝集条件を制御した場合、フロックを含む混和池22の水質に関わらず、混和池22内のフロックの凝集条件を、フロックが良好な凝集状態となるように高精度で制御できる。また、本実施形態のフロックの凝集条件制御装置では、混和池22から採取したフロックを含む試験水を用いて評価したフロックの凝集状態の良否に基づいて、混和池22内のフロックの凝集条件を制御するので、原水の水質の変動などによって混和池22内の最適なフロックの凝集条件が変化した場合に、短時間で混和池22内のフロックの凝集条件を変化後の水質に適した条件に調整できる。
本実施形態の水処理装置は、本実施形態のフロックの凝集条件制御装置60を有しているので、水質の変化に対応してフロックの凝集条件をフロックが良好な凝集状態となるように制御することができ、高品質な処理水が得られる。
上述した実施形態においては、凝集状態を評価するフロックを含む試験水として、浄水場の混和池から採取した混和水を例に挙げて説明したが、実施形態のフロックの凝集条件制御方法およびフロックの凝集条件制御装置を用いて用いる試験水は、浄水場の混和池から採取した混和水に限定されるものではない。また、試験水を採取する混和池22は、図5に示す急速混和池20、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33のいずれであってもよい。
本実施形態のフロック制御工程において、凝集状態を評価するフロックを含む試験水は、より短時間で原水の変動に対応するために、混和池22の急速混和池20から採取した混和水であることが好ましい。しかし、フロックの凝集状態は、混和池22内での撹拌の強さ(G値)と撹拌が与えられている時間とによって変化する。この変化を考慮すると、フロックの凝集条件を高精度で制御するためには、フロック制御工程において用いる試験水は、フロック形成池30から採取することが好ましく、フロック形成池30の中でも下流に設置された第3撹拌池33から採取することが好ましい。
また、フロックの粒径は、混和池22内で徐々に成長して巨大化する。上述した移動速度測定工程において測定するフロックの移動速度は、粒径が大きいフロックほど測定しやすい。このため、フロックの粒径によって、フロックの凝集状態の評価結果の精度に差が生じる場合がある。また、フロックの粒径は、原水の水質によって異なる。したがって、原水の水質によって、精度の高いフロックの凝集状態の評価結果が得られる試験水の採取場所が異なる場合がある。
また、急速混和池20内の混和水は、撹拌が不十分であるために、混和池22内でフロックの凝集状態が変化する場合がある。したがって、急速混和池20から採取した混和水を試験水として用いる場合には、急速混和池20の混和水と、沈殿池出口水とにおけるフロックの凝集状態の評価結果の差が十分に小さいことを確認することが好ましい。
図9は、混和池22内の試験水の採取場所とフロックの移動速度分布の分散値σの増減率との関係を示したグラフである。図9に示す結果は、原水の水質が異なる3種類について、同じ条件でフロックの移動速度分布の分散値の増減率を測定したものである。
図9に示す(a)の水質では、急速混和池20の分散値が目標値を超えており、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33のいずれにおいても、分散値が目標値を超えている。
(a)の水質においては、試験水を混和池22内の複数個所から採取することにより、混和池22内でのフロックの凝集状態の変化が少ないことが分かった。その結果、(a)の水質においては、短時間で原水の変動に対応するために、急速混和池20から採取した試験水を用いて、フロック制御工程を行うことが好ましいことが分かった。
図9に示す(b)の水質では、急速混和池20および第1撹拌池31の分散値が目標値未満となっている。しかし、図9に示す(b)の水質では、混和池22内でフロックの凝集状態が改善され、第2撹拌池32および第3撹拌池33の分散値は目標値を超えている。(b)の水質において、急速混和池20から採取した試験水を用いてフロック制御工程を行った場合、沈殿池出口水の水質が良好であるのにパラメータを変更してしまい、フロックの凝集条件に悪影響を来す恐れがある。
(b)の水質においては、試験水を混和池22内の複数個所から採取することにより、混和池22内でのフロックの凝集状態の改善が顕著であることが分かった。また、(b)の水質においては、第2撹拌池32または第3撹拌池33から採取した試験水を用いることで、不要なパラメータ変更を防止して、より適切な凝集条件でフロックの凝集条件を制御できることが分かった。
図9に示す(c)の水質では、急速混和池20の分散値が目標値未満となっていて、混和池22内でフロックの凝集状態が徐々に改善されて、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33の順に徐々に分散値が高くなっている。しかし、(c)の水質では、第3撹拌池33の分散値も目標値未満となっている。
(c)の水質においては、試験水を混和池22内の複数個所から採取することにより、混和池22内でフロックの凝集状態が改善されているが、その効果が少ないため、パラメータの変更が必要であることが分かった。したがって、(c)の水質においては、実施形態のフロックの凝集条件制御方法を用いてフロックの凝集条件を制御することにより、フロックの凝集条件を改善できる。
図9に示すように、混和池22内の複数個所から採取した試験水について、それぞれのフロックの移動速度分布の分散値σを算出することで、混和池22内でのフロックの凝集状態の変化を評価できる。そして、混和池22内でのフロックの凝集状態の変化に基づいて、適切な試験水の採取箇所から採取することで、フロックの凝集条件をより高精度で適切に制御できる。
上記実施形態では、フロックの凝集条件制御装置が浄水場に設置された水処理装置に備えられている場合を例に挙げて説明したが、フロックの凝集条件制御装置およびフロックの凝集条件制御方法の適用は浄水場に限定されず、下水処理場、産業排水処理施設等に設置しても構わない。また浄水場における中央監視制御システムのようなコンピュータの中央演算装置を用いる場合を例に挙げて説明したが、タブレット端末のような持ち運び可能な可搬性の装置を使っても構わない。
上記実施形態では、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかの判断に、フロックの移動速度分布の分散値を用いているが、分散値に代えて、頻度分布の鋭さを表す尖度を用いてもよい。
上記実施形態では、急速混和池20とフロック形成池30とが、配管により接続されている場合を例に挙げて説明したが、急速混和池20およびフロック形成池30は、一体化された混和池22内の仕切りで区画された領域であってもよい。
上記実施形態では、フロック形成池30が3つの撹拌池を有する場合を例に挙げて説明したが、フロック形成池は、2つまたは4つ以上の混和水の撹拌強度の異なる撹拌池を有するものであってもよい。また、フロック形成池として、撹拌機を用いずに水の流れを利用してフロック形成池内を撹拌し、フロックを成長させる1つの凝集成長池を有していてもよい。
上記実施形態では、着水井10と急速混和池20とを接続する配管にpH測定装置74が設置されている場合を例に挙げて説明したが、pH測定装置は混和池22に設置してもよい。
また、上記実施形態の水処理装置は、原水または混和池22の濁度、アルカリ度、有機物濃度などの水質を測定するための測定装置を有するものであってもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、混和池から採取したフロックを含む試験水中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して複数の前記フロックの移動速度をフロック毎に測定する移動速度測定工程と、前記フロックの移動速度のベクトルが、前記陽極方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、前記陰極方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、前記第1符号の移動速度および前記第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出工程と、前記分散値および目標値に基づいて、前記フロックの凝集状態の良否を評価する評価工程と、前記フロックの凝集状態が不良と評価された場合に、前記混和池内の前記凝集剤の注入率、前記混和池内の撹拌強度、前記混和池内での混和水の滞留時間、前記混和池内のpHのいずれか1以上のパラメータを、前記分散値が高くなるように調整するパラメータ調整工程とを有することにより、水質が変化した場合に短時間で変化後の水質に適したフロックの凝集条件に調整することが可能であり、フロックを含む混和池の水質に関わらず、フロックの凝集条件を制御できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…水処理装置、10…着水井、20…急速混和池、21、34、35、36…撹拌装置、22…混和池、30…フロック形成池、31…第1撹拌池、32…第2撹拌池、33…第3撹拌池、40…沈殿池、50…濾過池、60…フロックの凝集条件制御装置、61…セル、62…電圧供給装置、62a…陽極、62b…陰極、63…流量計、65…フロック追跡装置、70…凝集剤注入装置、71…pH調整剤注入装置、72…流量調整弁、74…pH測定装置、80…移動速度測定装置、81…分散値算出装置、90…評価装置、91…パラメータ調整装置

Claims (10)

  1. 混和池から採取したフロックを含む試験水中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して複数の前記フロックの移動速度をフロック毎に測定する移動速度測定工程と、
    前記フロックの移動速度のベクトルが、前記陽極方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、前記陰極方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、前記第1符号の移動速度および前記第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出工程と、
    前記分散値および目標値に基づいて、前記フロックの凝集状態の良否を評価する評価工程と、
    前記フロックの凝集状態が不良と評価された場合に、前記混和池内の前記凝集剤の注入率、前記混和池内の撹拌強度、前記混和池内での混和水の滞留時間、前記混和池内のpHのいずれか1以上のパラメータを、前記分散値が高くなるように調整するパラメータ調整工程とを有するフロックの凝集条件制御方法。
  2. 前記パラメータ調整工程が、前記混和池内の撹拌強度を高くする工程、前記混和池内での混和水の滞留時間を長くする工程から選ばれるいずれか1以上の工程を含む請求項1に記載のフロックの凝集条件制御方法。
  3. 前記分散値算出工程において、前記複数のフロックの移動速度の、前記第1符号の移動速度と前記第2符号の移動速度の平均値を算出し、
    前記評価工程において、前記フロックの凝集状態が不良と評価され、前記平均値が第1符号である場合に、前記混和水中の凝集剤の注入率が不足していると判定し、
    前記パラメータ調整工程が、前記混和池内の前記凝集剤の注入率を高くする工程を含む請求項1に記載のフロックの凝集条件制御方法。
  4. 前記分散値算出工程において、前記複数のフロックの移動速度の、前記第1符号の移動速度と前記第2符号の移動速度の平均値を算出し、
    前記評価工程において、前記フロックの凝集状態が不良と評価され、前記平均値が第2符号である場合に、前記混和水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定し、
    前記パラメータ調整工程が、前記混和池内の前記凝集剤の注入率を低くする工程を含む請求項1に記載のフロックの凝集条件制御方法。
  5. 混和池で原水に凝集剤を注入しフロックを含む混和水を生成する凝集剤注入工程と、
    前記フロックを沈降分離して、前記混和水から上澄水を得る分離工程と、
    前記フロックの凝集条件を制御するフロック制御工程とを有し、
    前記フロック制御工程が、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフロックの凝集条件制御方法である水処理方法。
  6. 混和池から採取したフロックを含む試験水を収容するセルと、
    前記セル内に対向配置された陽極と陰極とによって、前記セル内の前記試験水に電圧を印加する電圧供給装置と、
    前記試験水に電圧を印加したときの前記試験水中のフロックの位置を、少なくとも第1時刻と前記第1時刻から所定時間経過後の第2時刻とにフロック毎に測定するフロック追跡装置とを有する移動速度測定装置と、
    前記フロック追跡装置の測定した前記試験水中の複数のフロックの位置の信号が入力されることにより、各フロックの移動速度のベクトルを生成し、前記ベクトルが、前記陽極方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、前記陰極方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、前記第1符号の移動速度および前記第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出装置と、
    前記分散値および目標値に基づいて、前記フロックの凝集状態の良否を評価する評価装置と、
    前記フロックの凝集状態が不良と評価された場合に、前記混和池内の前記凝集剤の注入率、前記混和池内の撹拌強度、前記混和池内での混和水の滞留時間、前記混和池内のpHのいずれか1以上のパラメータを、前記分散値が高くなるように調整するパラメータ調整装置とを有するフロックの凝集条件制御装置。
  7. 前記パラメータ調整装置が、前記混和池内の撹拌強度を高くするように制御する、前記混和池内での混和水の滞留時間を長くするように制御する、から選ばれるいずれか1以上の制御を行う請求項6に記載のフロックの凝集条件制御装置。
  8. 前記分散値算出装置が、前記複数のフロックの移動速度の、前記第1符号の移動速度と前記第2符号の移動速度の平均値を算出し、
    前記評価装置が、前記フロックの凝集状態が不良と評価され、前記平均値が第1符号である場合に、前記混和水中の凝集剤の注入率が不足していると判定し、
    前記パラメータ調整装置が、前記混和池内の前記凝集剤の注入率を高くするように制御する請求項6に記載のフロックの凝集条件制御装置。
  9. 前記分散値算出装置が、前記複数のフロックの移動速度の、前記第1符号の移動速度と前記第2符号の移動速度の平均値を算出し、
    前記評価装置が、前記フロックの凝集状態が不良と評価され、前記平均値が第2符号である場合に、前記混和水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定し、
    前記パラメータ調整装置が、前記混和池内の前記凝集剤の注入率を低くするように制御する請求項6に記載のフロックの凝集条件制御装置。
  10. フロックを含む混和水が収容され、前記混和水を撹拌する撹拌装置が備えられた混和池と、
    前記混和池から供給された混和水を収容し、前記フロックを沈殿させる沈殿池と、
    前記フロックの凝集条件を制御するフロック制御装置とを有し、
    前記フロック制御装置が、請求項6〜請求項9のいずれか一項に記載のフロックの凝集条件制御装置である水処理装置。
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