JP6262092B2 - フロックの凝集状態評価方法およびフロックの凝集状態評価装置 - Google Patents

フロックの凝集状態評価方法およびフロックの凝集状態評価装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6262092B2
JP6262092B2 JP2014153215A JP2014153215A JP6262092B2 JP 6262092 B2 JP6262092 B2 JP 6262092B2 JP 2014153215 A JP2014153215 A JP 2014153215A JP 2014153215 A JP2014153215 A JP 2014153215A JP 6262092 B2 JP6262092 B2 JP 6262092B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
floc
aggregation state
moving speed
code
evaluation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014153215A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016030229A (ja
Inventor
聡美 海老原
聡美 海老原
良一 有村
良一 有村
寿治 杉野
寿治 杉野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Toshiba Infrastructure Systems and Solutions Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Infrastructure Systems and Solutions Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp, Toshiba Infrastructure Systems and Solutions Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2014153215A priority Critical patent/JP6262092B2/ja
Publication of JP2016030229A publication Critical patent/JP2016030229A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6262092B2 publication Critical patent/JP6262092B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)

Description

本発明の実施形態は、フロックの凝集状態評価方法およびフロックの凝集状態評価装置に関する。
従来、河川水、雨水、下水、工業排水などの被処理水(原水)の処理方法として、凝集剤を用いて原水中に含まれる懸濁物をフロック(凝集物)とし、これを沈殿させて除去する方法がある。この方法では、フロックの凝集状態が、処理水の水質に影響を及ぼす。
フロックの凝集状態は、原水に対する凝集剤の注入量によって変化する。しかし、フロックの凝集状態が良好となる凝集剤の注入量は、原水の水質の変動に伴って変化する。このため、原水の水質の変動に対応させて、フロックの凝集状態が良好となるように、凝集剤の注入量を適切に制御する方法が検討されている。
フロックの凝集状態が良好となるように、原水への凝集剤の注入量を制御するには、フロックの凝集状態を評価し、その結果を用いて最適な注入量を算出する必要がある。従来、フロックの凝集状態の指標としては、流動電流値、濾過時間指標(Suction time ratio:STR)、フロックの表面電位の平均値等が用いられている。
しかし、流動電流値および濾過時間指標は、原水の水質によって最適値が大きく異なるため、広く用いることができなかった。また、フロックの表面電位の平均値は、フロックの凝集状態が良好であるか否かの判断がしにくいものであった。
このため、これらの指標を用いて原水への凝集剤の注入量を制御しても、注入率を制御することによる効果が十分に得られない場合があった。
特許第3522650号公報 特開2013−198865号公報 特許第5131005号公報
本発明が解決しようとする課題は、試験水の水質に関わらず、フロックを含む試験水中のフロックの凝集状態を評価できるフロックの凝集状態評価方法およびフロックの凝集状態評価装置を提供することである。
実施形態のフロックの凝集状態評価方法は、移動速度測定工程と、分散値算出工程と、評価工程とを持つ。
移動速度測定工程は、フロックを含む試験水中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して複数の前記フロックの移動速度を前記フロック毎に測定する工程である。分散値算出工程は、各フロックの移動速度のベクトルが、前記陽極方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、前記陰極方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、前記第1符号の移動速度および前記第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する工程である。評価工程は、前記分散値に基づいて、前記フロックの凝集状態の良否を評価する工程である。
フロックの凝集状態評価方法の原理を説明するための説明図である。 第1の実施形態のフロックの凝集状態評価装置を備える水処理装置の一例を示す概略図である。 図2に示す水処理装置に備えられたフロックの凝集状態評価装置の一部を説明するための説明図である。 図2に示す水処理装置を用いた水処理方法の一例を説明するための説明図である。
以下、実施形態のフロックの凝集状態評価方法およびフロックの凝集状態評価装置を、図面を参照して説明する。
浄水場の被処理水である原水中の懸濁物質は、通常、マイナスの電荷を帯びている。原水に凝集剤を注入すると、原水中の懸濁物質が凝集してフロックを形成する。プラスの電荷を持つ凝集剤によって、懸濁物質のマイナスの電荷が打ち消されることで、懸濁物質の表面電荷が0に近づき、懸濁物質同士の反発が弱まってフロックの形成が進むと考えられている。
凝集剤の注入率が低すぎると、懸濁物質の有するマイナスの電荷が十分に打ち消されず、懸濁物質の表面電荷がマイナスの値を持ったままとなり、フロックの形成が十分に進まなくなる。一方、凝集剤の注入率が高すぎると、凝集剤の有するプラスの電荷の影響によって、懸濁物質の表面電荷がプラスの値を持つことになる。このプラスの表面電荷の絶対値が急激に大きくなると、懸濁物質同士の反発が強まって、フロックの形成が進まなくなる。
また、原水に凝集剤を添加した混和水に対して、一対の電極から直流電圧を印加すると、フロックの表面電荷がマイナスの値を持つ場合には、電気泳動によりフロックが陽極方向へ移動する。また、フロックの表面電荷がプラスの値をもつ場合は、電気泳動によりフロックが陰極方向へ移動する。また、フロックの表面電荷の絶対値が大きいほど、混和水に電圧を印加することによる影響を強く受けるため、フロックの移動速度が速くなる。したがって、フロックの移動速度は、フロックの表面電荷の絶対値と相関がある。
フロックの表面電荷は、凝集状態が良好であるときには0mV前後となる。このため、フロックの凝集状態が良好であるときは、フロックを含む混和水に電圧を印加しても、電気泳動による一方向への偏ったフロックの移動は起こらず、混和水中でのフロックの移動は、重力と混和水中の水流に伴う移動が主となる。
本発明者らは、このような現象に着目し、混和水に直流電圧を印加したときの混和水中の複数のフロックの移動速度をフロック毎に測定し、以下に示す方法により算出した複数のフロックの移動速度分布における分散値を用いることにより、フロックの凝集状態の良否を評価できることを見出した。さらに、フロックの凝集状態の評価結果は、フロックの凝集条件を制御する際に好適に利用できることが分かった。
複数のフロックの移動速度分布における分散値は、次のようにして求めた。各フロックの移動速度を計測し、フロックの移動速度のベクトルが陽極方向の成分を含む場合にはその移動速度にマイナスの符号を付与し、フロックの移動速度のベクトルが陰極方向の成分を含む場合にはその移動速度にプラスの符号を付与した。そして、マイナスの移動速度およびプラスの移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計し、統計的手法により、分散値を算出した。
図1に示す(A)〜(D)は、凝集剤の注入率の異なる混和水に電圧を印加し、上述した分散値と同様の方法により作成した複数のフロックの表面電位(移動速度)分布のヒストグラムの一例である。なお、フロックの表面電位は、上述したように、フロックの移動速度の絶対値と相関があるため、フロックの表面電位分布のヒストグラムの形状は、フロックの移動速度分布のヒストグラムと同じである。図1に示す(A)〜(D)のグラフにおいて、横軸は、マイナスの表面電位(移動速度)およびプラスの表面電位(移動速度)の大きさを示し、中心を0として所定の表面電位(移動速度)毎に階級分けしたものである。縦軸は検出個数を示す。
混和水中のフロックの凝集状態が良好である場合には、混和水に電圧を印加しても、一方向に偏ったフロックの移動は生じない。このため、検出個数はプラスの領域またはマイナスの領域に偏ることなく、広い範囲で疎らとなる。したがって、フロックの移動速度分布の分散値σが大きくなり、そのヒストグラムは、平たい分布形状となる(例えば、図1における(B)、(C)のヒストグラム参照)。
これに対し、混和水中のフロックの凝集状態が不良である場合には、フロックの移動方向が陰極方向または陽極方向へ偏るため、フロックの移動速度分布のヒストグラムは、プラスの領域またはマイナスの領域にシャープなピークを有する形状となる(図1における(A)、(D)のヒストグラム参照)。したがって、フロックの移動速度分布の分散値σは、混和水中の凝集剤の注入率が適正である場合と比較して小さいものとなる。
このように、フロックの移動速度分布の分散値σは、混和水中のフロックの凝集状態が良好である場合には大きく、混和水中のフロックの凝集状態が不良である場合には小さくなる傾向がある。よって、フロックの移動速度分布の分散値σに基づいて、フロックの凝集状態の良否を評価することが可能になる。
また、本発明者らは、以下に示すように、フロックの移動速度分布の分散値σを、予め設定した目標値と比較することによって、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかを判断できることを見出した。
例えば、図1における(E)のグラフは、フロックの移動速度分布の分散値と、混和水中の凝集剤の注入率との関係を示したものである。図1における(E)のグラフ中の点は、それぞれ図1における(A)〜(D)のヒストグラムで示すフロックの移動速度分布の分散値σに対応している。
図1に示す例では、(C)のヒストグラムの分散値σは、図1における(E)のグラフ中の目標値以上であり、フロックの凝集状態が良好であると判断される。
また、図1における(A)、(D)のヒストグラムの分散値σは、図1における(E)のグラフ中の目標値と比較して非常に小さく、フロックの凝集状態が不良であると判断される。
また、図1における(B)のヒストグラムの分散値σは、(A)、(D)のヒストグラムの分散値σと比較してかなり大きいものの、目標値未満であるため、フロックの凝集状態が不良であると判断される。
さらに、本発明者らは、以下に示すように、フロックの移動速度分布の分散値が目標値未満である場合において、フロックの移動速度の分布の平均値が0超か0未満であるかによって、混和水中の凝集剤の注入率が不足しているのか過剰なのかを判定できることを見出した。
具体的には、分散値が目標値未満であって、平均値がマイナスの値である場合、混和水中の凝集剤の注入率が不足していると判定する。また、分散値が目標値未満であって、平均値がプラスの値である場合は、混和水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定する。
例えば、図1における(D)のヒストグラムで示す検出個数は、プラスの領域にシャープなピークを有しており、フロックの移動速度の分布の平均値はプラスの値である。したがって、混和水中には、プラスの電荷を持つ凝集剤が過剰に含まれていると判断される。
また、図1における(A)のヒストグラムで示す検出個数は、マイナスの領域にシャープなピークを有しており、フロックの移動速度の分布の平均値はマイナスの値である。したがって、混和水中において、プラスの電荷を持つ凝集剤が不足していると判断される。
次に、図2に示す第1の実施形態のフロックの凝集状態評価装置を備える水処理装置について説明する。本実施形態においては、フロックの凝集状態評価装置を備える水処理装置として、浄水場に設置された水処理装置を例に挙げて説明する。
水処理装置1は、着水井10と、混和池22と、沈殿池40と、濾過池50と、フロックの凝集状態評価装置60と、パラメータ調整装置91とを有している。
まず、本実施形態のフロックの凝集状態評価装置60と、これを用いたフロックの凝集状態評価方法について説明する。本実施形態においては、凝集状態を評価するフロックを含む試験水が、浄水場の混和池から採取した混和水である場合を例に挙げて説明する。
フロックの凝集状態評価装置60は、フロックの凝集状態を評価するものである。フロックの凝集状態評価装置60は、移動速度測定装置80と、分散値算出装置81と、評価装置90とを有している。
移動速度測定装置80は、フロックを含む試験水として、混和池22から採取した混和水を収容するセル61(図3)と、セル61内の試験水に電圧を印加する電圧供給装置62(図3)と、試験水に電圧を印加したときの試験水中のフロックの位置を測定するフロック追跡装置65(図4)とを有している。
セル61は、試験水を収容するものである。セル61は、ガラス、アクリルなどの透明材料で形成されたものであることが好ましい。
電圧供給装置62は、セル61内に対向配置された陽極62aと陰極62bとによって、セル61内の試験水に電圧を印加するものである。電圧供給装置62は、試験水に10〜20Vの電圧を印加するものであることが好ましい。
フロック追跡装置65は、電圧供給装置62によって試験水に電圧を印加したときの試験水中の複数のフロックの位置を、少なくとも第1時刻と第1時刻から所定時間経過後の第2時刻とにフロック毎に測定するものである。フロック追跡装置65は、複数のフロックの移動速度を算出できるように、少なくとも第1時刻と第2時刻とにフロックの位置の測定を行うことができるものであればよく、フロックの位置の測定は、所定時間毎に複数回行ってもよいし、所定時間連続して行ってもよい。フロックの位置の測定を所定時間毎に複数回行う場合、例えば、1秒毎にフロックの位置の測定を行ってもよい。
フロック追跡装置65としては、セル61内に向かって光を照射する光源と、試験水に含まれるフロックを撮影するカメラと、カメラを用いて撮影することで入力された信号を表示する表示装置65aとを有するものを用いることが好ましい。
光源は、セル61内の試験水に光を照射できるものであれば、如何なるものであってもよい。光源としては、光の強度を調節できるものを用いることが好ましい。また、光源として、例えばレーザー光を照射するものを用いることができる。
カメラは、セル61の陽極62aおよび陰極62bの設置されていない側面の外面に設置することが好ましい。この場合、セル61の壁面を介して、セル61内のフロックを含む試験水を撮影するため、セル61として透明材料で形成されたものを用いる。
カメラとしては、例えば、試験水中のフロックを光源により照射して得られるフロック表面の散乱光を受光するものを用いることができる。
分散値算出装置81は、フロック追跡装置65の測定した試験水中に含まれる複数のフロックの位置の信号が入力されることにより、各フロックの移動速度のベクトルを生成する。また、分散値算出装置81は、生成したベクトルが、陽極62a方向の成分を含む場合にマイナス(第1符号)を付与し、陰極62b方向の成分を含む場合にプラス(第2符号)を付与する。さらに、分散値算出装置81は、マイナスの移動速度およびプラスの移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する。
分散値算出装置81は、集計に用いるマイナスの移動速度として、マイナスの移動速度の全て(移動速度のベクトルの成分の全て)を用い、かつ、集計に用いるプラスの移動速度として、プラスの移動速度の全て(移動速度のベクトルの成分の全て)を用いることができる。
また、分散値算出装置81は、集計に用いるマイナスの移動速度として、マイナスの移動速度のうち、各フロックの移動速度のベクトルに含まれる陽極62a方向の成分の移動速度のみを用い、かつ、集計に用いるプラスの移動速度として、プラスの移動速度のうち、各フロックの移動速度のベクトルに含まれる陰極62b方向の成分の移動速度のみを用いてもよい。
分散値算出装置81は、複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値を算出するものであることが好ましい。
なお、分散値算出装置81は、陰極方向および陽極方向に速度成分を持たない移動速度は0とするものである。
分散値算出装置81の分散値を算出する機能、複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値を算出する機能は、例えば、コンピュータの中央演算装置に備えられた機能によって実現される。
評価装置90は、分散値算出装置81の算出した分散値に基づいて、フロックの凝集状態の良否を評価するものである。
具体的には、評価装置90は、分散値算出装置81の算出した分散値に基づいて、分散値が目標値以上である場合、フロックの凝集状態が良好であると判断し、分散値が前記目標値未満である場合、フロックの凝集状態が不良であると判断するものであることが好ましい。分散値の目標値は、複数のビーカを用いて凝集剤注入率をパラメータとしたビーカ試験における分散値の実測値や、沈殿池40から排出される上澄水の濾過時間指標(Suction time ratio:STR)に基づいて予め決定されたものとすることができる。
評価装置90は、上記のフロックの凝集状態の評価が不良である場合、分散値算出装置81の算出した複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値に基づいて、フロックの凝集状態と凝集剤の過不足状態を評価するものであることが好ましい。
具体的には、評価装置90は、上記のフロックの凝集状態の評価が不良であって、平均値がマイナスの値である場合に、試験水中の凝集剤の注入率が不足していると判定するものであることが好ましい。
評価装置90は、上記のフロックの凝集状態の評価が不良であって、平均値がプラスの値である場合に、試験水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定するものであることが好ましい。
評価装置90は、分散値算出装置81の集計結果に基づいて、フロックの移動速度分布のヒストグラムを生成し、ヒストグラムを表示装置に表示させるものであることが好ましい。さらに、評価装置90は、フロックの凝集状態を評価した結果と、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかを判断した結果と、凝集剤の注入率が不足しているか過剰であるかを判断した結果と、フロック追跡装置65の有する表示装置のリアルタイムの画像または動画のうち、いずれか1つ以上の結果を表示装置に表示させるものであってもよい。
評価装置90は、ヒストグラムおよび/または上記のいずれかの結果を、フロック追跡装置65の有する表示装置65aに表示させるものであってもよいし、フロック追跡装置65の表示装置65aとは別の表示装置に表示させるものであってもよい。
本実施形態の評価装置90は、試験水中の凝集剤の注入率が不足していると判定した場合または試験水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定した場合に、パラメータ調整装置91に、凝集剤の注入率が不足している信号または試験水中の凝集剤の注入率が過剰である信号を入力するものである。
評価装置90のフロックの凝集状態を評価する機能、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかを判断する機能、凝集剤の注入率が不足しているか過剰であるかを判断する機能、フロックの移動速度分布のヒストグラムを生成する機能は、例えば、コンピュータの中央演算装置に備えられた機能によって実現される。
次に、フロックの凝集状態評価方法について説明する。
フロックの凝集状態評価方法では、試験水中の複数のフロックの移動速度をフロック毎に測定する移動速度測定工程と、複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出工程と、分散値に基づいて、前記フロックの凝集状態の良否を評価する評価工程とを行う。
移動速度測定工程では、まず、凝集状態を評価するフロックを含む試験水として、浄水場の混和池22から採取した混和水を採取し、セル61に注入する。
次に、図3に示すように、セル61内の試験水中に、電圧供給装置62の陽極62aと陰極62bとを配置し、試験水に例えば5V〜30V、好ましくは10V〜20Vの電圧を印加する。そして、フロック追跡装置65によって、試験水中の複数のフロックの移動速度をフロック毎に測定する。
移動速度測定工程において、試験水に電圧を印加する時間は、自由に設定でき、例えば3〜5分とすることができる。
本実施形態では、移動速度測定工程において、セル61内にレーザー光を照射する光源と、セル61の陽極62aおよび陰極62bの設置されていない側面の外面に設置されたカメラと、カメラを用いて撮影することによって入力された信号を表示する表示装置65aとを有するフロック追跡装置65を用いる。また、セル61としては、透明材料で形成されたものを用いる。
そして、例えば、セル61内にレーザー光を照射しながら、試験水に電圧を印加したときの試験水中の複数のフロックの位置を、所定の時間連続してカメラを用いて撮影する。このようにして得られた所定の時間の連続した複数のフロックの位置の情報は、複数のフロックのフロック毎の移動速度の情報として複数のフロックの各々における所定の時間内での移動距離の情報を含むものである。
なお、移動速度測定工程において、試験水に電圧を印加したときの試験水中の複数のフロックの位置は、カメラを用いて所定の時間毎に複数回撮影してもよい。この場合においても、移動速度測定工程を行うことにより、複数のフロックのフロック毎の移動速度の情報として複数のフロックの各々における所定の時間内での移動距離の情報が得られる。
カメラを用いて撮影することによって得られた所定の時間の連続した複数のフロックの位置の信号は、表示装置65aに入力されて表示されるとともに、分散値算出装置81に入力される。
図4は、カメラによって撮影した所定の時間の連続した複数のフロックの位置を、表示装置65aに表示した写真である。表示装置65aに表示された画像においては、右側が陰極側であり、左側が陽極側である。
分散値算出工程では、分散値算出装置81によって、フロック追跡装置65の測定した試験水中に含まれる複数のフロックの位置の信号から、各フロックの移動速度のベクトルを生成する。そして、分散値算出装置81によって、各フロックの移動速度のベクトルが、陽極62a方向の成分を含む場合にマイナスを付与し、陰極62b方向の成分を含む場合にプラスを付与する。次いで、分散値算出装置81によって、マイナスの移動速度およびプラスの移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する。
分散値算出工程において、分散値の算出に使用するフロックの移動速度の数は、特に限定されないが、フロックの凝集状態の評価精度を向上させるために、多い程好ましく、500個以上であることが好ましい。
分散値算出工程では、カメラを用いて撮影した画像上で認識できるすべてのフロックの移動速度を分散値の算出に用いてもよいし、一部のフロックの移動速度のみを用いてもよい。一部のフロックの移動速度のみを分散値の算出に用いる場合、例えば、カメラを用いて所定の時間毎に複数回撮影した画像において、認識できた回数が撮影回数に対して所定の回数以上であるフロックの移動速度のみ用いてもよい。
分散値算出工程において、集計に用いるマイナスの移動速度として、マイナスの移動速度の全て(移動速度のベクトルの成分の全て)を用い、かつ、集計に用いるプラスの移動速度として、プラスの移動速度の全て(移動速度のベクトルの成分の全て)を用いることができる。
また、分散値算出工程において、集計に用いるマイナスの移動速度として、マイナスの移動速度のうち、各フロックの移動速度のベクトルに含まれる陽極62a方向の成分の移動速度のみを用い、かつ、集計に用いるプラスの移動速度として、プラスの移動速度のうち、各フロックの移動速度のベクトルに含まれる陰極62b方向の成分の移動速度のみを用いてもよい。
本実施形態では、分散値算出工程において、分散値算出装置81によって、複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値を算出することが好ましい。
分散値算出工程において、算出した分散値または、分散値および上記平均値は、評価装置90に入力される。
次に、評価装置90によって、分散値算出装置81の算出した分散値に基づいて、フロックの凝集状態の良否を評価する評価工程を行う。
評価工程においては、分散値が目標値以上である場合、フロックの凝集状態が良好であると判断し、分散値が前記目標値未満である場合、フロックの凝集状態が不良であると判断することが好ましい。
評価工程においては、上記のフロックの凝集状態の評価が不良である場合、分散値算出工程において算出した複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値に基づいて、フロックの凝集状態を評価することが好ましい。
具体的には、評価工程において、上記のフロックの凝集状態の評価が不良であって、平均値がマイナスの値である場合に、試験水中の凝集剤の注入率が不足していると判定することが好ましい。
評価工程において、上記のフロックの凝集状態の評価が不良であって、平均値がプラスの値である場合に、試験水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定することが好ましい。
本実施形態では、評価工程において、評価装置90によって、フロックの移動速度分布のヒストグラムを生成し、ヒストグラムを表示装置に表示することが好ましい。
さらに、評価工程において、評価装置90によって、フロックの凝集状態を評価した結果と、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかを判断した結果と、凝集剤の注入率が不足しているか過剰であるかを判断した結果と、フロック追跡装置65の有する表示装置のリアルタイムの画像または動画のうち、いずれか1つ以上の結果を表示装置に表示させてもよい。
本実施形態では、評価工程において、評価装置90が試験水中の凝集剤の注入率が不足していると判定した場合または試験水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定した場合に、パラメータ調整装置91に、凝集剤の注入率が不足している信号または試験水中の凝集剤の注入率が過剰である信号を入力する。
本実施形態のフロックの凝集状態評価方法は、フロックを含む試験水中に陽極62aと陰極62bを配置し、試験水に電圧を印加して試験水中の複数のフロックの移動速度をフロック毎に測定する移動速度測定工程と、各フロックの移動速度のベクトルが、陽極62a方向の成分を含む場合にマイナスを付与し、陰極62b方向の成分を含む場合にプラスを付与し、マイナスの移動速度およびプラスの移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出工程と、分散値に基づいて、フロックの凝集状態の良否を評価する評価工程とを有する。フロックの移動速度分布の分散値σは、試験水の水質に関わらず、フロックの凝集状態が良好である場合には大きく、フロックの凝集状態が不良である場合には小さくなる傾向がある。このため、本実施形態のフロックの凝集状態評価方法によれば、試験水の水質に関わらず、試験水中のフロックの凝集状態が良好であるか否かを精度よく評価できる。したがって、本実施形態のフロックの凝集状態評価方法によるフロックの凝集状態の評価結果は、凝集剤の注入量を制御する場合に好適に使用できる。
これに対し、例えば、従来、フロックの凝集状態の指標として用いられていた流動電流値および濾過時間指標(Suction time ratio:STR)では、原水の水質によって最適値が変化するため、フロックの凝集状態の指標として使用しにくいものであった。
本実施形態のフロックの凝集状態評価方法では、評価工程において、分散値が目標値以上である場合、フロックの凝集状態が良好であると判断し、分散値が目標値未満である場合、フロックの凝集状態が不良であると判断することで、容易にフロックの凝集状態が良好であるか不良であるかを判断できる。
また、本実施形態のフロックの凝集状態評価方法が、分散値算出工程において、複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値を算出し、評価工程において、フロックの凝集状態の評価が不良であって、平均値がマイナスの値である場合に、試験水中の凝集剤の注入率が不足していると判定する方法である場合、フロックの凝集状態の評価結果を試験水の凝集剤の注入率の調整に容易に利用できる。
また、本実施形態のフロックの凝集状態評価方法が、分散値算出工程において、複数のフロックの移動速度の、マイナスの移動速度とプラスの移動速度の平均値を算出し、評価工程において、フロックの凝集状態の評価が不良であって、平均値がプラスの値である場合に、試験水中の凝集剤の注入率が過剰していると判定する方法である場合、フロックの凝集状態の評価結果を試験水の凝集剤の注入率の調整に容易に利用できる。
また、本実施形態のフロックの凝集状態評価方法では、評価工程において、フロックの移動速度分布のヒストグラムを生成し、ヒストグラムを表示装置に表示した場合、作業者が、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかを判断する際に、ヒストグラムの形状を利用できる。
本実施形態のフロックの凝集状態評価装置60は、フロックを含む試験水を収容するセル61と、セル61内に対向配置された陽極62aと陰極62bとによって、セル61内の試験水に電圧を印加する電圧供給装置と、試験水に電圧を印加したときの試験水中のフロックの位置を、少なくとも第1時刻と前記第1時刻から所定時間経過後の第2時刻とにフロック毎に測定するフロック追跡装置65とを有する移動速度測定装置80と、フロック追跡装置65の測定した試験水中の複数のフロックの位置の信号が入力されることにより、各フロックの移動速度のベクトルを生成し、ベクトルが、陽極62a方向の成分を含む場合にマイナスを付与し、陰極62b方向の成分を含む場合にプラスを付与し、マイナスの移動速度およびプラスの移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出装置81と、分散値に基づいて、フロックの凝集状態の良否を評価する評価装置90とを有する。このため、本実施形態のフロックの凝集状態評価方法を用いて、試験水の水質に関わらず、試験水中のフロックの凝集状態を精度よく評価できる。
次に、図2に示す第1の実施形態の水処理装置について、フロックの凝集状態評価装置以外の構成について説明する。水処理装置1は、フロックの凝集状態評価装置60以外に、着水井10と、混和池22と、沈殿池40と、濾過池50と、パラメータ調整装置91とを有している。
着水井10は、水処理装置1によって処理すべき原水を収容するものである。着水井10は、配管によって混和池22の急速混和池20と接続されている。着水井10と急速混和池20とを接続する配管には、配管内を通過して混和池22に供給される原水の流量を測定する流量計63と、pHを測定するpH測定装置74とが設置されている。
混和池22は、原水と凝集剤とを混合して生成されたフロック(凝集物)を含む混和水を収容するものである。混和池22の急速混和池20には、着水井10に導入された原水が、配管を介して流量調整弁72によって所定の流量で連続して供給される。
混和池22は、急速混和池20と、配管により急速混和池20と接続されたフロック形成池30とを有している。
混和池22の急速混和池20は、着水井10から供給された原水と、凝集剤注入装置70により注入された凝集剤と、必要に応じてpH調整剤注入装置71により注入されたpH調整剤とを収容するものである。急速混和池20では、原水中に含まれる懸濁物質が凝集剤によってフロック化され、フロックを含む混和水が生成される。
フロック形成池30は、急速混和池20から供給された混和水中のフロックを成長させるためのものである。フロック形成池30は、3つの撹拌池31、32、33を有している。フロック形成池30の第1撹拌池31には、急速混和池20で生成された混和水が供給される。第2撹拌池32には、第1撹拌池31を通過した混和水が供給され、第3撹拌池33には、第2撹拌池32を通過した混和水が供給される。
急速混和池20、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33には、それぞれ、例えば、モータにより駆動される撹拌装置21、34、35、36が備えられている。撹拌装置21、34、35、36は、混和池22を形成している各池の混和水の撹拌強度が、上流側から下流側に向けて段階的に小さくなるように設定されている。攪拌装置21としては、例えばフラッシュミキサを用いることができる。撹拌装置34、35、36としては、例えば、フロキュレータを用いることができる。
沈殿池40は、第3撹拌池33の下流に設けられている。沈殿池40は、混和池22から供給されたフロックを含む混和水を収容し、フロックを沈殿させるものである。
濾過池50は、沈殿池40の下流に設けられている。濾過池50には、混和池22から供給された混和水を、沈殿池40において所定時間以上滞留させて得られた上澄水が供給される。濾過池50は、例えば、砂濾過装置である。濾過池50に供給された上澄水は、濾過池50を通過することにより、沈殿池40で沈殿除去されなかった微小なフロックが除去され、清浄水(処理水)として排出される。
パラメータ調整装置91は、フロックの凝集状態評価装置60を用いてフロックの凝集状態を評価した結果に基づいて、試験水を採取した混和池22内のフロックの凝集状態を調整するものである。パラメータ調整装置91は、評価装置90から試験水中の凝集剤の注入率が不足している信号または試験水中の凝集剤の注入率が過剰である信号が入力されることにより、凝集剤注入装置70から注入される凝集剤の注入量を制御し、試験水を採取した混和池22内の混和水中の凝集剤の注入率を調整するものである。
パラメータ調整装置91による凝集剤注入装置70から注入される凝集剤の注入量を制御する機能、原水の流量を制御する機能、pH調整剤の種類および注入量を制御する機能、撹拌装置21、34、35、36の撹拌強度を調整する機能は、例えば、コンピュータの中央演算装置に備えられた機能によって実現される。
次に、図2に示す水処理装置1を用いた水処理方法の一例を、図面を用いて説明する。本実施形態の水処理方法は、原水に凝集剤を注入しフロックを含む混和水を生成する凝集剤注入工程と、フロックを沈降分離して、混和水から上澄水を得る分離工程と、フロックの凝集条件を制御するフロック制御工程を有する。
凝集剤注入工程では、はじめに、水処理装置1によって処理すべき原水を着水井10に導入する。次いで、着水井10から混和池22の急速混和池20に、配管を介して原水を供給する。次に、急速混和池20に連続供給された原水に、凝集剤とpH調整剤とを注入して、フロックを含む混和水を生成する。次に、急速混和池20で生成されたフロックを含む混和水を、フロック形成池30の第1撹拌池31に供給する。第1撹拌池31に供給された混和水は、第1撹拌池31と第2撹拌池32と第3撹拌池33とをこの順で通過する。
凝集剤注入工程における着水井10から急速混和池20への原水の供給は、流量調整弁72によって、所定の供給量で連続して行う。
急速混和池20に供給する原水の流量は、着水井10と急速混和池20とを接続する配管に設置された流量計63によって測定され、パラメータ調整装置91に入力される。
また、急速混和池20に供給する原水のpHは、着水井10と急速混和池20とを接続する配管に設置されたpH測定装置74を用いて測定され、パラメータ調整装置91に入力される。
原水の流量の測定およびpHの測定は、原水の供給を開始してから終了するまでの間連続して行ってもよいし、所定の時間毎に行ってもよい。
凝集剤は、凝集剤注入装置70によって、所定の供給量で急速混和池20に連続して供給する。凝集剤としては、アルミ系の無機凝集剤、鉄系の無機凝集剤、高分子凝集剤などを用いることができる。アルミ系の無機凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)および硫酸アルミニウム(硫酸ばんど)が挙げられる。
pH調整剤は、pH調整剤注入装置71によって、所定の種類および注入量で急速混和池20に連続して供給する。pH調整剤としては、原水のpHに応じて、硫酸、塩酸などの酸性のもの、または水酸化ナトリウムなどのアルカリ性のものが用いられる。pH調整剤として、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性のものを注入する場合、原水のアルカリ度が15〜25度、好ましくは20度程度となるように、pH調整剤の注入量を制御することが好ましい。
混和池22内では、撹拌装置21、34、35、36によって、フロックを含む混和水を撹拌する。撹拌強度は、急速混和池20を最も大きくし、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33の順で段階的に小さくしている。混和池22内を通過することで、原水と凝集剤とが混ざり合い、フロックが生成し成長する。
次に、分離工程を行う。分離工程では、沈殿池40に供給された混和池22を通過したフロックを含む混和水を、沈殿池40内で所定時間以上、例えば3時間程度滞留させる。このことにより、混和水中のフロックが沈降し、沈殿する。
沈殿池40で沈殿したフロックは、汚泥として処理される。沈殿池40内で混和水中のフロックを沈降分離した後に得られる上澄水は、濾過池50に送られる。
濾過池50に供給された上澄水は、砂濾過を通過した後、清浄水として排出される。濾過池50から排出された清浄水は、浄水池に送られて塩素による殺菌等が行われ、浄水池から排出される。
さらに、濾過池50を通過した清浄水に、オゾン処理および/または生物活性炭処理を施してもよい。また、上澄水を濾過池50に通過させる前に、上澄水に対してオゾン処理および/または生物活性炭処理を施してもよい。
本実施形態の水処理方法は、フロックの凝集条件を制御するフロック制御工程を有している。フロック制御工程は、フロックの凝集状態を評価した結果に基づいて、試験水を採取した混和池22内の混和水中の凝集剤の注入率を調整するものである。したがって、フロック制御工程は、上述したフロックの凝集状態評価装置60を用いるフロックの凝集状態評価方法を用いてフロックの凝集状態を評価した後に行われる。
フロック制御工程は、上述したフロックの凝集状態評価方法により、フロックの凝集状態が良好であると判断された場合には行わない。フロック制御工程は、上述したフロックの凝集状態評価方法により、凝集剤の注入率が不足していると判定された場合または凝集剤の注入率が過剰であると判定された場合に行われる。
フロック制御工程は、評価装置90から試験水中の凝集剤の注入率が不足している信号または試験水中の凝集剤の注入率が過剰である信号が、パラメータ調整装置91に入力されることにより行われる。パラメータ調整装置91は、試験水中の凝集剤の注入率が不足している信号または試験水中の凝集剤の注入率が過剰である信号に基づいて、凝集剤注入装置70から注入される凝集剤の注入量を制御し、試験水を採取した混和池22内の混和水中の凝集剤の注入率を調整する。
本実施形態において、上述したフロックの凝集状態の評価は、天気などによる水質の変動に応じて適宜行ってもよいし、所定時間毎に行ってもよい。フロックの凝集状態の評価を所定時間毎に行なう場合、例えば、10分〜20分毎に行うことが好ましい。フロックの凝集状態の評価を上記の時間毎に行って、凝集剤の注入率が不足していると判定された場合または凝集剤の注入率が過剰であると判定された場合にフロック制御工程を行うことで、原水の水質の変動に対応させて、混和水中のフロックの凝集状態が良好となるようにフロックの凝集状態を高精度で制御できる。
本実施形態の水処理方法では、上述したフロックの凝集状態評価装置60を用いるフロックの凝集状態評価方法を用いて、混和池22から採取した混和水のフロックの凝集状態を評価した結果に基づいて、試験水を採取した混和池22内の混和水中の凝集剤の注入率を調整するフロック制御工程を行っている。本実施形態では、フロックの凝集状態を評価した結果が、原水の水質に関わらないものであるので、混和池22中のフロックの凝集状態を高精度で制御できる。
また、本実施形態の水処理方法では、混和池22から採取した混和水のフロックの凝集状態を評価した結果に基づいて、混和池22内の混和水中の凝集剤の注入率を調整するので、例えば、沈殿池出口水の濾過時間指標(STR)を評価して混和池への凝集剤の注入量を制御する場合と比較して、原水の水質が変動した場合に、原水の水質が変動してからフロックの凝集条件が変更されるまでの時間が短時間となる。
上述した実施形態においては、凝集状態を評価するフロックを含む試験水として、浄水場の混和池から採取した混和水を例に挙げて説明したが、実施形態のフロックの凝集状態評価方法およびフロックの凝集状態評価装置を用いて評価できる試験水は、浄水場の混和池から採取した混和水に限定されるものではなく、フロックを含む試験水であれば、如何なる試験水であってもよい。また、試験水を採取する混和池22は、図2に示す急速混和池20、第1撹拌池31、第2撹拌池32、第3撹拌池33のいずれであってもよい。
上記実施形態では、フロックの凝集状態評価装置が浄水場に設置された水処理装置に備えられている場合を例に挙げて説明したが、フロックの凝集状態評価装置およびフロックの凝集状態評価方法の適用は浄水場に限定されず、下水処理場、産業排水処理施設等に設置しても構わない。また浄水場における中央監視制御システムのようなコンピュータの中央演算装置を用いる場合を例に挙げて説明したが、タブレット端末のような持ち運び可能な可搬性の装置を使っても構わない。
上記実施形態では、フロックの凝集状態が良好であるか不良であるかの判断に、フロックの移動速度分布の分散値を用いているが、分散値に代えて、頻度分布の鋭さを表す尖度を用いてもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、フロックを含む試験水中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して複数の前記フロックの移動速度を前記フロック毎に測定する移動速度測定工程と、各フロックの移動速度のベクトルが、前記陽極方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、前記陰極方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、前記第1符号の移動速度および前記第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出工程と、前記分散値に基づいて、前記フロックの凝集状態の良否を評価する評価工程とを有することにより、試験水の水質に関わらず、試験水中のフロックの凝集状態が良好であるか否かを評価できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…水処理装置、10…着水井、20…急速混和池、21、34、35、36…撹拌装置、22…混和池、30…フロック形成池、31…第1撹拌池、32…第2撹拌池、33…第3撹拌池、40…沈殿池、50…濾過池、60…フロックの凝集状態評価装置、61…セル、62…電圧供給装置、62a…陽極、62b…陰極、63…流量計、65…フロック追跡装置、70…凝集剤注入装置、71…pH調整剤注入装置、72…流量調整弁、74…pH測定装置、80…移動速度測定装置、81…分散値算出装置、90…評価装置、91…パラメータ調整装置

Claims (10)

  1. フロックを含む試験水中に陽極と陰極を配置し、前記試験水に電圧を印加して複数の前記フロックの移動速度を前記フロック毎に測定する移動速度測定工程と、
    各フロックの移動速度のベクトルが、前記陽極方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、前記陰極方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、前記第1符号の移動速度および前記第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出工程と、
    前記分散値に基づいて、前記フロックの凝集状態の良否を評価する評価工程とを有するフロックの凝集状態評価方法。
  2. 前記評価工程において、前記分散値が目標値以上である場合、前記フロックの凝集状態が良好であると判断し、前記分散値が前記目標値未満である場合、前記フロックの凝集状態が不良であると判断する請求項1に記載のフロックの凝集状態評価方法。
  3. 前記分散値算出工程において、前記複数のフロックの移動速度の、前記第1符号の移動速度と前記第2符号の移動速度の平均値を算出し、
    前記評価工程において、前記フロックの凝集状態の評価が不良であって、前記平均値が第1符号である場合に、前記試験水中の凝集剤の注入率が不足していると判定する請求項2に記載のフロックの凝集状態評価方法。
  4. 前記分散値算出工程において、前記複数のフロックの移動速度の、前記第1符号の移動速度と前記第2符号の移動速度の平均値を算出し、
    前記評価工程において、前記フロックの凝集状態の評価が不良であって、前記平均値が第2符号である場合に、前記試験水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定する請求項2に記載のフロックの凝集状態評価方法。
  5. 前記評価工程において、前記フロックの移動速度分布のヒストグラムを生成し、前記ヒストグラムを表示装置に表示する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフロックの凝集状態評価方法。
  6. フロックを含む試験水を収容するセルと、
    前記セル内に対向配置された陽極と陰極とによって、前記セル内の前記試験水に電圧を印加する電圧供給装置と、
    前記試験水に電圧を印加したときの前記試験水中のフロックの位置を、少なくとも第1時刻と前記第1時刻から所定時間経過後の第2時刻とにフロック毎に測定するフロック追跡装置とを有する移動速度測定装置と、
    前記フロック追跡装置の測定した前記試験水中の複数のフロックの位置の信号が入力されることにより、各フロックの移動速度のベクトルを生成し、前記ベクトルが、前記陽極方向の成分を含む場合に第1符号を付与し、前記陰極方向の成分を含む場合に第2符号を付与し、前記第1符号の移動速度および前記第2符号の移動速度をそれぞれ所定の大きさ毎に集計して、前記複数のフロックの移動速度分布における分散値を算出する分散値算出装置と、
    前記分散値に基づいて、前記フロックの凝集状態の良否を評価する評価装置とを有するフロックの凝集状態評価装置。
  7. 前記評価装置は、前記分散値が目標値以上である場合、前記フロックの凝集状態が良好であると判断し、前記分散値が前記目標値未満である場合、前記フロックの凝集状態が不良であると判断する請求項6に記載のフロックの凝集状態評価装置。
  8. 前記分散値算出装置は、前記複数のフロックの移動速度の、前記第1符号の移動速度と前記第2符号の移動速度の平均値を算出し、
    前記評価装置は、前記フロックの凝集状態の評価が不良であって、前記平均値が第1符号である場合に、前記試験水中の凝集剤の注入率が不足していると判定する請求項7に記載のフロックの凝集状態評価装置。
  9. 前記分散値算出装置は、前記複数のフロックの移動速度の、前記第1符号の移動速度と前記第2符号の移動速度の平均値を算出し、
    前記評価装置は、前記フロックの凝集状態の評価が不良であって、前記平均値が第2符号である場合に、前記試験水中の凝集剤の注入率が過剰であると判定する請求項7に記載のフロックの凝集状態評価装置。
  10. 前記評価装置は、前記フロックの移動速度分布のヒストグラムを生成し、前記ヒストグラムを表示装置に表示させる請求項6〜請求項9のいずれか一項に記載のフロックの凝集状態評価装置。
JP2014153215A 2014-07-28 2014-07-28 フロックの凝集状態評価方法およびフロックの凝集状態評価装置 Active JP6262092B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014153215A JP6262092B2 (ja) 2014-07-28 2014-07-28 フロックの凝集状態評価方法およびフロックの凝集状態評価装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014153215A JP6262092B2 (ja) 2014-07-28 2014-07-28 フロックの凝集状態評価方法およびフロックの凝集状態評価装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016030229A JP2016030229A (ja) 2016-03-07
JP6262092B2 true JP6262092B2 (ja) 2018-01-17

Family

ID=55440961

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014153215A Active JP6262092B2 (ja) 2014-07-28 2014-07-28 フロックの凝集状態評価方法およびフロックの凝集状態評価装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6262092B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6437394B2 (ja) * 2015-07-28 2018-12-12 株式会社東芝 水処理方法、水処理施設、注入凝集剤量評価システムおよび残留凝集剤量推算装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3594313A (en) * 1970-04-13 1971-07-20 Int Waterpure Corp Liquid purification system with zetapotential control of chemical additives
JP2002066568A (ja) * 2000-08-28 2002-03-05 Japan Organo Co Ltd 水処理方法および装置
US7695630B2 (en) * 2005-11-15 2010-04-13 De Guevara Cesar Ladron Process for conditioning an aqueous solution for efficient colloidal precipitation
JP5131005B2 (ja) * 2008-04-09 2013-01-30 東レ株式会社 水処理方法及び水処理装置
JP5951423B2 (ja) * 2012-09-13 2016-07-13 株式会社東芝 凝集剤注入制御方法及び凝集剤注入制御システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016030229A (ja) 2016-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5951423B2 (ja) 凝集剤注入制御方法及び凝集剤注入制御システム
JP7179486B2 (ja) 凝集剤注入制御装置、凝集剤注入制御方法及びコンピュータプログラム
JP6437394B2 (ja) 水処理方法、水処理施設、注入凝集剤量評価システムおよび残留凝集剤量推算装置
JP2019055406A (ja) 凝集沈殿制御装置、凝集沈殿制御方法及びコンピュータプログラム
JP6577383B2 (ja) 凝集制御装置
JP6633342B2 (ja) 凝集剤注入支援装置及び制御方法
JP2008055299A (ja) 凝集沈殿処理装置
JP2016191679A (ja) 凝集状態検出方法、薬剤注入制御方法及び薬剤注入制御装置
JP6270655B2 (ja) フロックの凝集条件制御方法およびフロックの凝集条件制御装置、水処理方法および水処理装置
JP2019089022A (ja) 凝集剤注入制御装置、凝集剤注入制御方法及び凝集剤注入制御システム
JP6139314B2 (ja) 凝集制御装置及び凝集制御方法
JP2017026527A (ja) 凝集沈殿制御装置、凝集沈殿制御方法、コンピュータプログラム及び凝集沈殿システム
JP6262092B2 (ja) フロックの凝集状態評価方法およびフロックの凝集状態評価装置
JP2002159805A (ja) 浄水場の凝集剤注入制御方法
JP6739913B2 (ja) 凝集沈殿制御装置、凝集沈殿制御方法及びコンピュータプログラム
JP6797718B2 (ja) 凝集制御装置、凝集制御方法及び凝集制御システム
WO2016006419A1 (ja) 凝集方法および凝集装置
JP6385860B2 (ja) 凝集状態判別方法、および凝集状態判別装置
JP6173808B2 (ja) 凝集剤注入率設定方法
JP7249818B2 (ja) 凝集剤注入制御装置、凝集剤注入制御方法及びコンピュータプログラム
KR20140115604A (ko) 입자표면적에 의한 응집제 주입 제어장치 및 응집제 주입 제어방법, 그리고 이를 구비한 수처리 설비와 방법
JP2012223690A (ja) 浄水場の汚濁物質処理方法
JP2020078797A (ja) 凝集処理システム、凝集処理方法、コンピュータプログラム及び凝集処理制御装置
JP2013022505A (ja) 凝集剤注入量決定装置及び凝集剤注入量制御システム
JP7395414B2 (ja) 電気泳動の速度測定方法、電気泳動の速度測定装置、凝集制御装置、プログラム及び凝集制御システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170308

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20170911

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170911

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171114

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171213

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6262092

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150