特に歯科用の光硬化装置において光源から放射された光を治療箇所に誘導するために光導体を使用することが久しい以前から知られている。光導体は光導ロッドあるいは光ファイバロッドとして形成するか、それらの組合せとすることができる。
通常、重合を確立させるために所与の波長において発光して硬化すべき歯科補綴部材内に埋入された光重合開始剤(例えばカンファキノン)を励起するLEDチップまたはレーザチップが光源として使用される。
重合が均一でかつ適宜に深く浸透して達成されることが極めて重要である。数mmの深さを有する歯科補綴部材において深い領域の重合を確立するために適宜に長い重合時間を選択する一方で、水平方向、すなわち光導ロッドの照射軸に対して横断方向においても均一に重合を実行させることが重要である。例えば米国特許出願公開第4742432号(A1)明細書によって開示されているように、通常光源から放射された光が集光される。それによって放射された光の中央強調ならびに焦点合わせも実施される。その中央強調は肉眼では容易に確認できず、歯科医師は前記中央強調のために異なったものになる場合でも例えば1cmの直径を有する照射領域全体にわたって均一な光照射が実行されるものと認識する。
前記の中央強調および不均一な照射を防止するために、光導ロッドもしくは光ファイバロッドと光源の間に混合器を設置することが以前から知られている。光混合器として例えばガラス部材の内部に均等に配置された小型反射体を備えたガラス部材を使用する。均一化および拡散を確立するためにガラス部材あるいはその他の透過性材料の不透明化を使用することもできる。
さらに、実質的に光混合器の縦方向、すなわち実質的に光線の方向に対して平行に延在するリブを光混合器の外側に設けることが提案されている。前記縦リブは、特に周囲空気とガラスあるいはその他の透明な樹脂からなる光混合器との間の異なった屈折率のために、リブ角度に応じて異なった反射を生成する。
また、鏡面層を蒸着させることによってガラス製光混合器のリブを鏡面加工して反射効果を向上させることも提案されている。
LEDチップは通常四角形あるいは正方形の外寸を有する配列内に配置される。
他方、光硬化装置の所要の出力および設計に応じて多様な形式のLEDチップ配列を使用することができ、従って最適な光混合を達成するために異なった光混合器を用意する必要がある。
また、8mm径および10mm径の光導ロッドが存在する。従って無損失の光出力を保証するために出力側においても多様な光放射面を形成する要求に応じる必要があり、それによって必要な光混合器の数がさらに倍増する。
さらに、異なった入力側および出力側形状を有するホモジナイザとしてのリブ型混合器が既に提案されている。このホモジナイザは通常入力面と出力面を備えていて透過性の材料が充填される。それに代えて中空体として形成することもできる。その際の難点は追加部材としてのホモジナイザによって発生する追加的なコストおよび光学損失であり、従ってその種のホモジナイザは一般にあまり使用されていない。
従って本発明の目的は、一方で光効率および光放射の均一化に関してまた他方で貯蔵コストの観点において最適化された、請求項1あるいは請求項15前文に記載のホモジナイザあるいは光硬化装置を提供することである。
前記の課題は本発明に従って請求項1または請求項15によって解決される。従属請求項によって好適な追加構成が定義される。
本発明によれば、光混合器あるいはホモジナイザが周知の方式によって入力面から出力面に向かって延在する起伏を備える。本発明に係るホモジナイザは中空体として形成される。内部には空気あるいはその他の気体が存在し、また必要に応じて真空にされる。
本発明に従ってホモジナイザが光源を包囲することが極めて好適である。ホモジナイザは反射性の中空体として形成されるため光源から放射された光を反射し、従ってホモジナイザが同時に光源に対する主反射器として作用する。
従って独立したホモジナイザを用意するための追加的なコストが排除され、すなわち本発明に係る中空体が二重の機能を備えていてそれによって意外なほど簡便な方式で従来の解決方式に対して大幅な改善を提供する。
ホモジナイザは出力面上で透明なプレートによって遮蔽することが好適である。ホモジナイザの中空体は、入力面に対して平行に延在していて光源のLEDチップが取り付けられている基礎プレートに入力側端面が接合することが好適である。ここでも容易に密封を形成することができる。従って中空体の内部空間が密封され、それによって汚染の発生が防止される。
本発明によれば、ホモジナイザが外周に沿って延在する起伏を有する部材として存在する。従って中空体の壁部は平面状でなく周囲全体にわたって起伏を有する。一実施形態によれば変形性を利用し、従って本発明係る中空体によって実用上考えられる全ての入力側および出力側形状に適応することができる。
変更された構成形態によればホモジナイザを中実な部材として形成し、それを外側が実質的に円筒形であるとともに内側が実質的に円錐台形になるようにすることが好適である。この構成形態において、基礎プレート上への取り付けを容易にするために、ホモジナイザを二分割式あるいはより多くの部品から構成することが有意義あるいは必要となる。
ホモジナイザの円筒形の外周面に円筒形状を中断するスナップロック留め具を形成し得ることも理解される。
さらに中実な部材としての構成がLEDチップの熱放出を改善する利点を有するが、その際必要に応じてホモジナイザの外側に冷却リブを設けることもできる。
出力面上の直径の10mmから8mmへの縮小を達成するために、中空体を起伏化された内壁と共に対応する8mm光導ロッド用の収容ソケットに単純に押し込み、その光導ロッドがそこからさらに延在するようにする。起伏化された内壁は適宜に嵌合する程に弾力的であり、またその弾力性によって起伏の均一性を保持する。リブ角度はいくらかより鋭角であるが、ホモジナイザ機能を阻害するものではない。
本発明に従って入力側においてもホモジナイザ中空体の壁部を必要に応じて変形させることができ、従って準備した光硬化装置のLEDチップを多様に装着する場合でも最適な調節が可能になる。本発明に係る中空体の入力側と出力側においていわば自動的な形状適合を達成することができる。
加えて、本発明に係る中空体の構成において長方形から丸形への移行が自動的に設定される。一般的に入力面は長方形あるいは多角形であり、また出力面は丸形である。そのことは自動的に中空体の壁部の傾斜を前提とするが、そのことも入射光の複数回反射および混合に対して好影響をもたらす。
特にホモジナイザの入力側に集光レンズを設ける場合、例えば平凸レンズによってそれを構成することができる。
傾斜したリブを有する起伏によって入射した光線の略無損失または少なくとも低損失の均一化が達成される。
入射光が入射および反射される傾斜角度によってその入射光が複数回反射され、そのことが拡散を向上させる。
別の好適な構成形態によれば、中空体が2個の半殻から形成される。それらは嵌め込み結合によって相互に連結することができ、従って断面が環状の中空反射器を形成する。
それに代えて本発明に係る起伏反射器を任意の数の断片から組成することができる。反射器は高い表面品質を有するポリカーボネートから形成することが好適であり、反射性のアルミニウム層からなる被覆と追加的にその上の保護層を有する。
反射性の中空体の入力側あるいは入力面は、使用される(ならびに場合によって被包成形される)LEDチップに適合する任意の形状を有することができる。通常被包成形されたLEDチップの包絡曲線は少なくとも多角形であり、そこで中空体は表面実装技術によって装着された被包成形LEDチップに緊密に接合することができる。一般的にLEDチップの成形材料がそれぞれ集光レンズを形成する。
相互に離間したLEDチップが少なくとも部分的に異なった放射極大値を有する。それらのLEDチップは少なくとも部分的に光導ロッドの入力側の光軸に対して非同軸に配置される。そのことは少なくとも1色の光のホモジナイザ内への非対称な導入を前提とする。本発明に係る反射性の中空体の複数の軸で傾斜したリブ上における反射のため、放射された光線が中空体から放出されるまで間に中空体内で複数回繰り返して反射されながら伝送される。
従って反射器として作用する中空体内にLEDチップを配置することが極めて好適である。放射された光線が全て反射され、特に傾斜した角度でかつ複数回反射され、そのことが均一化に対して極めて有効である。
そのため、本発明に係るホモジナイザは内側が反射性の中空体として形成することが好適である。
光導ロッドを固定的に装着した際はホモジナイザの出力側の追加的な遮蔽盤は不要となるが、特に光導ロッドが交換可能である場合に透明な遮蔽盤を設けることが好適である。8mm光導ロッドならびに10mm光導ロッドの両方に適合するある程度柔軟な連結を形成することも可能である。
起伏のリブは任意の適宜な軌道を有することができる。実用において、リブの輪郭は鋸型あるいは三角型が極めて有効であることが判明した。また、リブあるいは起伏を例えば一定の周期を有する三角形あるいは正弦波等の規則的な形状に形成せずにむしろ不規則に形成し、入射した光線が任意かつ不定の方式で反射されるようにすることも好適である。
リブは一様な形式で入力面から出力面まで延在させることが好適であるが、変更された構成形態によれば少なくともリブの一部の高さおよび/または幅を入力面から出力面までの軌道の間に変化させることも有効であり得る。
本発明の好適な構成形態によれば、入力面と出力面の周囲長が等しくなる。
本発明の好適な構成形態によれば、起伏のリブが入力面から出力面まで連続的に延在する。
本発明の好適な構成形態によれば、起伏のリブがホモジナイザの半径方向内側に向かって鋭角を成すように延在する。
本発明の好適な構成形態によれば、起伏のリブがホモジナイザの半径方向内側に向かって丸形を成すように延在し、特にリブの相互間隔および/またはリブの高さの1/3未満、好適には約1/6の半径を有する丸形を成すように延在する。
本発明の好適な構成形態によれば、リブが斜面を備えていて隣接するリブの斜面の間の角度が60ないし110°、好適には80°超となる。
本発明の好適な構成形態によれば、リブが断面で見て実質的に正弦波の輪郭を有する。
本発明のその他の詳細、特徴、ならびに種々の利点は、添付図面を参照しながら以下に記述する実施例の説明によって明らかさにされる。
図1には、例示的なホモジナイザ10が光硬化装置の一部として示されている。ホモジナイザ10の入力面12に隣接してLEDチップ14の集合体が配置され、それらはいずれも透明な成形材料16内に集光レンズを形成しながら被包成形されている。この実施例において被包成形されたLEDチップ14は入力面から離間している。入力面12は略正方形であり、図1においてはホモジナイザ10を切断した状態で四角形に示されている。
ホモジナイザ10は中空体として形成され、その外周上に起伏18を備える。起伏10は外周の周りに均等に配置された多数のリブ20からなる。リブ20はホモジナイザの延長にわたって外周上に形成され、すなわち入力面12から出力面22まで延在する。
図示された実施例においてリブ20は三角リブとして形成されている。ホモジナイザ10の壁部24を形成する材料全体が起伏化されていて、すなわち壁部24は内側と外側の両方が起伏化されている。
加えて壁部24は内側に鏡面加工を有する。その鏡面加工は例えば蒸着したアルミニウム層によって形成することができる。安定して良好な反射特性を保持するために、その上にさらに保護層を塗付することが好適である。
中空体あるいはホモジナイザ10はそれの壁部24と共に少なくとも内側に高い表面品質および低い租度を備えたポリカーボネートによって形成される。
図示された実施例において出力面22は円形である。その出力面は図示されていない光導体の入力端子に光を伝送するために適している。前記光導体の入力端子は最大でも数%の誤差をもって正確に出力面22に一致する。従って実質的に完全なホモジナイザ10から光導体への光伝送が保証される。
図1には概略的に光線25が示されており、それが複数回反射されてホモジナイザ10内を伝送される。特に重要なことはリブ20の内側における斜め反射であり、それによって非対称すなわち不規則な光線25の軌道につながり、所要の均一化を達成する。
図2には本発明に係るホモジナイザの実施形態が示されている。この実施形態において入力面12がLEDチップ14に対する長方形の包絡線として形成される。その意味は、ホモジナイザが壁部24の内面によってLEDチップ14の集合体を、特に比較的近接して、包囲することである。この実施形態によれば対称に配置された4個のLEDチップ14が設けられる。図7には断面図であるため2個のLEDチップ14のみが示されている。入力面12がLEDチップ14の周りに延在し、その際特に比較的緊密にLEDチップ14の外側に近接する。
その場合LEDチップ14はホモジナイザ10内に収容される。この実施形態によれば、放射された光が直ぐに全てホモジナイザ10内に到達しリブ20上で反射されて非対称に屈折する確率が高くなることが保証される。
図2に示された実施形態において、壁部24は湾曲させて管状に溶接したポリカーボネートのフィルムから形成される。壁部24は外側が平滑で内側に起伏化された反射器が形成される。
ここでも出力面22は円形である。その出力面は入力面12と同等な周囲長を有する。形状の不整合のためにリブ20の傾斜に加えて反射器26の傾斜した側面が形成される。反射器26および起伏18の多軸の傾斜性が均一化特性の改善に寄与する。
図2のホモジナイザの実施形態が図3に断面図で示されている。これ以降の図においても同一の構成要素は同一の参照符号によって示される。図3により、入力面12ならびに出力面22の両方に対して垂直な起伏の延在が明確に示されている。また、周回状の壁部24が斜めに延在して入力面および出力面に適合することも理解される。
図4に示された実施形態は図2の実施形態と同様である。追加的に、光線25がどのように複数回反射され、また起伏18上で反射されて何度も屈折しながら入力面12から出力面22の方向に伝送されるかが示されている。
図5Aないし図5Dには、LEDチップ14を包含した入力面12の多様な形成例が示されている。壁部24ならびに反射性の中空体10はいずれも設置されたLEDチップ14の直線的な外周に沿って延在する。隣接しているが相互にずれている角部の間では斜めに延在し、従って被包成形されたLEDチップ14の周囲で包絡線が緊密に隣接して延在する。
図5Aにより、同一波長で直線状に配置されたLEDチップ14の配列が示されている。そこから離間しているが中心対称な配置で別のより大きな成形されたLEDチップが設けられ、それも壁部24によって包囲される。
そのため図5Aによれば壁部24が六角形の形状を有する。
図5Bには被包成形されたLEDチップ14の配列が示されており、追加的に外周上のLEDチップの間隙に配置されたセンサ30を備えている。センサ30は、周知の方式により照射された材料、例えば歯科材料の表面から反射された光線を検出するように機能する。図示された実施例においてセンサ30は壁24によっても包囲される。
変更された構成形態によれば、センサ30を均一化から除外して壁部24がセンサの内側であるがLEDチップ14の外側を延在するように構成する。その場合センサ30が存在する位置において壁部24が幾らか切り下がるようにすることができる。
この実施形態は、LEDチップの発光の間、すなわち発光と同時でパルス休止間隔以外の時点に反射光を検出する必要がある場合に極めて好適である。
図5Cには非対称なLEDチップの配列が示されている。より大きな被包成形されたLEDチップ14に対して横方向あるいは対角線上でずらして3個のLEDチップ14が配置される。ここでもホモジナイザ10の壁部24が可能な限り短いルートでLEDチップ14の周りを延在する。
図5Dには、さらに別のLEDチップ14の配列を有する構成形態が示されている。小さな成形材料からなる3個のLEDチップ14が三角形に配置され、斜辺に隣接してより大きな成形材料からなるLEDチップ14が配置される。
ここでは全てのLEDチップ14を包囲する五角形の壁部24の構成が提供される。
図6により起伏18の2種類の形成例が示されている。図6Aによれば、起伏(ならびにリブ20)が実質的に正弦波形状に延在する。リブ20の側面32が約45°の傾斜角度αを有する。この角度は図6のdCとdH、すなわち周期とリブの高さの関係によって決定される。それらの値は一定であるか、または内側に延在する起伏18の周囲に沿って変化することが可能である。
図6Aと図6Cには正弦波形状の起伏が示されているが、図6Bによれば斜辺角度αを有する三角形の起伏が示されている。角度αは必要に応じて広範囲に調整することができる。図示された実施例においては約50°であり、従ってリブの開口角が80°となる。別の数値例によればα=20°となり、開口角140°に相当する。
図7により別のホモジナイザの実施形態が示されている。ホモジナイザ10の壁部24は中実に形成され、またホモジナイザ10は二分割式でその際壁部24の円筒形の外面が適宜な係止スナップによって中断されるが円筒形の基本構造は保持される。
ホモジナイザ10は、出力側においてホモジナイザ10の外側半径の少なくとも1/4、入力側においては少なくとも1/3に相当する壁厚を有する、外側が中実で特に実質的に円筒形の部材として形成される。
この実施形態において、ホモジナイザ10の内壁上で起伏18が反射器を形成しながら鏡面加工されまた反射器26は出力面22の方向に向かって円錐形に拡幅するため、ホモジナイザ10が同時にホモジナイザおよび反射器として機能する。
この実施形態において出力面22が透明な遮蔽盤32によって被覆され、その遮蔽盤がさらに固定リング34によってホモジナイザに対して密封して固定される。
図7の実施形態の特徴は、LEDチップ14と共に共通の基礎盤36上に装着されるセンサ30の統合である。従ってセンサ30はLEDチップ14と同じ平面内に存在する。
ホモジナイザ10の内部からセンサ30まで傾斜したセンサ光経路38と40が延在し、好適にはその傾斜によって反射光、例えば歯表面から反射された光を捕捉してセンサ30に伝導する。
傾斜角度はホモジナイザ10の光軸に対して例えば30°とすることができるが、僅か15°とするかまたは例えば40°とすることもできる。
センサ光経路38および40はいずれもセンサ30から顕著に離間して終止する。そのため適宜な熱分離が達成される。ホモジナイザと基礎盤からなる構成ユニット全体が閉鎖されたハウジング内に収容され、従って前記センサ光経路を介して伝送される光がセンサ30の領域に到達する唯一の光となる。
従ってこの実施形態によれば本発明に係るホモジナイザ10が三重の機能を有する。すなわちホモジナイザが反射器として機能し、またリブ20を有する起伏のために光混合器として、さらに同時にセンサ光の伝導体として機能する。