JP2018531611A - 遺伝的改変酵母細胞と血栓特異的ストレプトキナーゼ製造改良プロセス - Google Patents

遺伝的改変酵母細胞と血栓特異的ストレプトキナーゼ製造改良プロセス Download PDF

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Abstract

本明細書に開示されるものは、生物学的に活性な血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)タンパク質をメチル栄養性酵母で生成及び分泌する発現系である。酵母発現CSSKタンパク質は、改善されたプラスミノーゲン活性化及びフィブリン選択性を示す。更に開示されるものは、改変シグナル配列が付加されたCSSKをコードする機能的cDNA配列の少なくとも1つのコピーで形質転換されたメチル栄養性酵母である。前記改変シグナル配列は成熟かつ正確にプロセッシングされたCSSKの分泌をもたらす。

Description

本発明は、血栓(clot)特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)の産生を改善するために遺伝的に改変したCSSKタンパク質発現用酵母細胞に関する。本発明はまた、ストレプトキナーゼの発現配列を含むベクターの調製に関する。前記ベクターは、酵母細胞でCSSKを発現するために改変アルファシグナル配列及びCSSKコドン配列を含む。
近年、フィブリン溶解剤(例えばストレプトキナーゼ(SK)、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)又はウロキナーゼ(UK))を用いる血栓溶解療法は、多様な循環系疾患(例えば深部静脈血栓症、肺塞栓症及び心筋梗塞)の臨床管理に革命をもたらした。これらの薬剤は、プラスミノーゲン(PG)の残基561と562との間の切断可能なペプチド結合の切断による循環中のPGの活性化を介してそのフィブリン溶解作用を示す。結果として、不活性な酵素前駆体はその活性形(セリンプロテアーゼ、プラスミン(PN))に変換され、前記活性形は続いてフィブリンに作用して後者を可溶性分解生成物へと分解する。PGからPNへの活性化は、TPA(SK-プラスミノーゲン複合体)又はUKによって触媒され得る(TPA又はUKは各々PGの切断可能ペプチド結合を切断できる)。UK及びTPAとは異なり、SKはそれ自体のタンパク質溶解活性をもたず、最初にPGとの高親和性等モル複合体を形成することによって間接的にPGをPNに活性化させる(前記複合体はアクチベーター複合体として知られている(以下で概説されている:Castellino, F.J., 1981, Chem.Rev.81: 431))。SKには評価し得る何らのフィブリン血栓特異性も存在しないので、SKの投与は全身的なPG活性化を引き起こし、循環系のいたるところで生成されるプラスミンによって血液因子のタンパク分解性分解による出血性合併症を生じ得る。過去には、SKをコードする遺伝子がその天然の供給源(ストレプトコッカス)から単離され、いくつかの異種微生物(例えば酵母(Hagenson, M.J., 1989, Enzyme.Microb.Technol.11:650)、細菌、例えば大腸菌(E.coli)(Malke, H, Ferretti, J.J., 1984, Proc.Nat'l.Acad.Sci.81: 3557)、ストレプトコッカス属の他の種(Malke, H., 1984, Mol.Gen.Genet.196:360)、及びバシルス属(Bacillus)(Wong, S.L., 1994, Applied and Env.Microbiol.1:517))でクローン化された。
米国特許7,163,817号及び8,143,027号は、新規な血栓特異的ストレプトキナーゼタンパク質の作製を開示する。前記新規なタンパク質はSK又は機能的に関連するSK部分を含み、前記SK又はSK部分は、フィブリン親和性を付与するヒトフィブロネクチンのフィブリン結合ドメインが連結され、プラスミノーゲン活性化の特徴が改造されてある。前記改造されたプラスミノーゲン活性化は、PG活性化の速度において数分間の時間である初期遅滞時間を含み、前記遅滞時間の後には自然のままのSKのPG活性化速度と類似する高速のPG活性化が続く。
CSSKキメラタンパク質のフィブリン親和性及びPG活性化遅延は、血栓溶解療法を必要とする対象の治療に明瞭な利点を与える。具体的には、体内注射後にキメラPG活性化タンパク質はなお不活性であるか又は部分的に活性な状態であるが、それらは血管系の病的なフィブリン血栓に結合する。しかしながら、初期遅滞後にこれらは前記血栓に結合しつつ完全に活性化され、それによって天然のSK投与に随伴する全身性PG活性化は回避されるであろう。したがってCSSKのフィブリン親和性は、病的血栓の直近現場にCSSK自体を標的誘導する能力を付与し、その場の活性化因子の治療的に有効な濃度の構築に役立つ。PG活性化速度における初期遅延は、病的フィブリン血栓によって誘発される循環障害部位に遊離プラスミンが局在化する前にそれらの循環中における産生を全体的に低下させる。その最終的な結果は、CSSKの低い治療有効投薬量によって維持される、持続的でより効率的なフィブリン溶解である。
CSSKの開発は医療関係者にとっては大いなる恵みであった。しかしながら、CSSKを製造する従来の方法は多大な時間と労力を要し、低収量及び高い製造コストをもたらす。
当業界で公知の方法では、血栓特異的ストレプトキナーゼは大腸菌の細胞内で生成されるが、生物学的に活性なタンパク質は、尿素/塩化グアニジニウム(強力なカオトロピック試薬)中での可溶化及びその後の再折畳みによって得られる。in vitro再折畳み工程は多大な時間を要し、非常に低いタンパク質濃度において高い効率性で遂行され得る。加えて、大腸菌の細胞壁は発熱性物質であるリポ多糖類を含み、全ての大腸菌系プロセスはこれらの内毒素を除去する工程を必要とする。
したがって、血栓特異的ストレプトキナーゼ作製の改良方法、特に細菌性CSSK発現系を改良する方法が当業界で希求されている。
酵母細胞での発現は望ましい特性を有するが、酵母発現もまた欠点なしとは言えない。例えば、いくつかの酵母では、形質転換体は広範囲に変動するタンパク質量を発現し、これは、おそらくプラスミド組み込み部位の違い又は発現カセットのコピー数の違いによる。これらの欠点は、高生成クローンを入手するために形質転換体の何回もの診断及びスクリーニング工程を要する。陽性形質転換細胞をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又はサザンブロット分析によって特徴付け、DNAフラグメントの組み込みを裏付けることができる。酵母発現系では問題のタンパク質の発現を分析するために、PCR又はノザンブロット技術と一緒に逆転写を用いることができる。しかしながら、ポリペプチド組成及び要求される翻訳後修飾次第で、タンパク質レベルが常に転写レベルと一致するとは限らない。更にまた、酵母クローンの通常的なスクリーニング方法は、そのままの上清又は濃縮上清のSDS-PAGE分析を必要とし、前記は数千のクローンのスクリーニングのために極めて退屈なものであり(低収量のために大量の形質転換体の培地を濃縮するなど)、少なくても1人は本物の望ましい高生産クローンを見逃してしまう。
したがって、上記の欠陥に煩わされない、CSSKを非細菌種(例えば酵母)で製造するためのプロセス、及び生物学的に活性なCSSKを発現する酵母形質転換体をスクリーニングする方法が希求されている。
本発明の目的はあるポリヌクレオチドを含む発現カセットの提供であって、前記ポリヌクレオチドは、酵母のメタノール誘導性プロモーター配列、改変アルファシグナル遺伝子配列、血栓特異的ストレプトキナーゼをコードする核酸配列及び転写終了因子配列を含む。
本発明の別の目的は酵母細胞を形質転換する発現ベクターの提供であって、前記発現ベクターは少なくとも1つの発現カセットを含む。
別の目的は発現カセットを含む遺伝的に改変された酵母細胞の提供であって、前記発現カセットは更に、酵母のメタノール誘導性プロモーター配列、改変アルファシグナル遺伝子配列、血栓特異的ストレプトキナーゼと85%相同性を有する核酸配列及び転写終了因子配列を含むハイブリッドヌクレオチド含み、ここで、血栓特異的ストレプトキナーゼをコードする配列は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6及び配列番号:8から成る群から選択される。
本発明の更に別の目的は、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:23、配列番号:26及び配列番号:28から成る群から選択される核酸配列を有するポリヌクレオチドの提供である。
本発明の別の目的は血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を発現する形質転換酵母細胞の提供であって、前記CSSKは、(a)ストレプトコッカス・エクィシミリス(Streptococcus equisimilis)によって産生されるストレプトキナーゼ(SK)、又はプラスミノーゲンを活性化する能力を有するSKの誘導体;及び(b)ヒトフィブロネクチンのフィブリン結合ドメイン4及び5(FBD4,5)、又はフィブリン親和性を有するFBD4,5の誘導体を含む。
本発明の更に別の目的は、前記形質転換酵母細胞によって生成される血栓特異的ストレプトキナーゼの提供であって、ここで、前記血栓特異的ストレプトキナーゼはグリコシル化され80,515 Daの分子量を有する。
本発明の更に別の目的は、前記血栓特異的ストレプトキナーゼ及び医薬的に許容できる担体を含む組成物の提供である。
本発明の別の目的は、その必要がある対象で疾患を治療又は予防する方法の提供であって、前記方法は、前記組成物の治療的に有効な量を注射又は輸液の方法によって前記対象に投与する工程を含む。
本発明の更に別の目的は、酵母細胞をスクリーニングして血栓特異的ストレプトキナーゼを生成する形質転換酵母細胞を識別する方法の提供である。
ある実施態様では、本発明は発現カセットを含む遺伝的に改変された酵母細胞に関し、前記発現カセットは更に、酵母のメタノール誘導性プロモーター配列、改変アルファシグナル遺伝子配列、血栓特異的ストレプトキナーゼと85%相同性を有する核酸配列及び転写終了因子配列を含むハイブリッドポリヌクレオチドを含み、ここで、血栓特異的ストレプトキナーゼをコードする配列は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6及び配列番号:8から成る群から選択される。
別の実施態様では、本発明は、前記発現カセットを含む発現ベクターを有する遺伝的に改変された酵母細胞に関する。
ある特徴では、本発明は、酵母のメタノール誘導性プロモーター配列、改変アルファシグナル遺伝子配列、血栓特異的ストレプトキナーゼと85%相同性を有する核酸配列及び転写終了因子配列を含むハイブリッドポリヌクレオチドを含む発現カセットに関し、ここで、血栓特異的ストレプトキナーゼをコードする配列は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6及び配列番号:8から成る群から選択される。
別の特徴では、本発明はあるポリヌクレオチドを含む発現カセットを提供し、前記ポリヌクレオチドは、酵母のメタノール誘導性プロモーター配列、改変アルファシグナル遺伝子配列、血栓特異的ストレプトキナーゼをコードする核酸配列及び転写終了因子配列を含み、ここで、血栓特異的ストレプトキナーゼをコードする核酸配列は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6及び配列番号:8から成る群から選択される。
本発明の別の特徴は酵母細胞を形質転換する発現ベクターを提供し、ここで前記発現ベクターは少なくとも1つの発現カセットを含む。
本発明の更に別の特徴は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:23、配列番号:26及び配列番号:28から成る群から選択されるポリヌクレオチド配列と少なくとも85%同一性を有するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
本発明の更に別の特徴は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:27及び配列番号:29から成る群から選択されるポリペプチド配列と少なくとも85%同一性を有するポリペプチドをコードする発現ベクターを提供する。
本発明の別の特徴は、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:23、配列番号:26及び配列番号:28から成る群から選択される核酸配列を有するポリヌクレオチドを提供する。本発明の更に別の特徴は、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を発現する形質転換酵母細胞を提供し、前記CSSKは、(a)ストレプトコッカス・エクィシミリスによって産生されるストレプトキナーゼ(SK)、又はプラスミノーゲンを活性化する能力を有するSKの誘導体;及び(b)ヒトフィブロネクチンのフィブリン結合ドメイン4及び5(FBD4,5)、又はフィブリン親和性を有するFBD4,5の誘導体を含む。
本発明の更に別の特徴は、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を発現する形質転換酵母細胞を提供し、ここで、前記CSSKは、配列番号:11に示されるポリペプチド配列と少なくとも85%同一性を有するストレプトキナーゼ配列、及び前記ストレプトキナーゼ配列のN-末端及びC-末端のそれぞれに配列番号:22に示されるポリペプチド配列と少なくとも85%同一性を有するポリペプチド配列を含む。
更に別の特徴は、上記に記載の発現カセットを発現する形質転換酵母細胞に向けられ、ここで、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)をコードする核酸配列は、(a)ストレプトコッカス・エクィシミリスによって産生されるストレプトキナーゼ(SK)、又はプラスミノーゲンを活性化する能力を有するSKの誘導体;及び(b)ヒトフィブロネクチンのフィブリン結合ドメイン4及び5(FBD4,5)、又はフィブリン親和性を有するFBD4,5の誘導体を含む。
本発明の更に別の特徴は前記発現カセットを含む形質転換酵母細胞を提供し、ここで、前記酵母は、ピキア属(Pichia)、ハンセヌラ属(Hansenula)、トルロプシス属(Torulopsis)及びカンジダ属(Candida)の種から成る群から選択されるメチル栄養性酵母である。本発明の更に別の特徴は、そのようにして形質転換されたピキア・パストリス(Pichia pastoris)を提供する。
本発明のある特徴は、アクセッション番号MTCC25071を有する形質転換ピキア・パストリスを提供する。
本発明の別の特徴は、形質転換酵母細胞によって産生された血栓特異的ストレプトキナーゼを提供し、ここで、前記血栓特異的ストレプトキナーゼはグリコシル化され80,515 Daの分子量を有する。
本発明の更に別の特徴は、前記血栓特異的ストレプトキナーゼ及び医薬的に許容できる担体を含む組成物を提供する。
本発明の更に別の特徴は、心筋梗塞、血管血栓症、肺塞栓症、脳卒中、急性虚血性卒中、狭心症、肺塞栓症、一過性虚血性発作、深部静脈血栓症、冠状動脈介入処置に続く血栓性再閉塞、末梢血管血栓症、心不全、シンドロームX及び少なくとも1つの冠状動脈の狭窄から成る群から選択される疾患をその必要がある対象で治療又は予防する方法を提供し、前記方法は、前記組成物の治療的に有効な量を注射又は輸液の方法によって前記対象に投与する工程を含む。
本発明の別の特徴は、酵母細胞をスクリーニングして血栓特異的ストレプトキナーゼを産生する形質転換酵母細胞を識別する方法を提供し、前記方法は以下を含む:少なくとも1つの酵母細胞をベクターで形質転換し、形質転換酵母細胞を入手する工程;少なくとも1つの形質転換酵母細胞をBMMY培地でメタノールとともに培養し、CSSKタンパク質の発現を誘導する工程;前記培地を前記形質転換酵母細胞から分離し、上清を入手する工程;前記上清をプラスミノーゲン活性化について試験する工程;及び前記細胞の上清でプラスミノーゲン活性化を検出することによって、血栓特異的ストレプトキナーゼを産生する形質転換酵母細胞を識別する工程。
本発明のある特徴は血液血栓の位置指向(directed)分解の方法を提供し、前記方法は、前記血栓特異的ストレプトキナーゼ及び医薬的に許容できる担体を含む組成物の有効量をそのような治療の必要がある対象に投与する工程を含む。
SKのN-末端及びC-末端にFBD(4,5)が融合された血栓特異的ストレプトキナーゼハイブリッド構築物中の遺伝子ブロックを模式的に表示する。 ポリグリシンリンカー及びトランスグルタミナーゼ領域を介してフィブリン結合ドメインに連結されたSKを示すCSSK遺伝子フラグメントの模式図である。配列番号:12はアミノ酸配列であり、配列番号:13は核酸配列である。 CSSKのPCR増幅を示すアガロースゲル(0.8%)である。1860bpのPCR生成物が首尾よく増幅された。 pPIC9Kベクターマップである。CSSKは、マルチクローニング部位でアルファ接合因子シグナル配列(ベクターマップでは“S”として示されている)とインフレームでクローン化された。 STE13切断部位(組換え体ベクターでは除去される)の配列及び位置を示す、pPIC9K CSSKの部分的なヌクレオチド配列(配列番号:17)及びアミノ酸配列(配列番号:14)である。下線付き塩基はXhoI及びNotI消化後に除去される。 自然のままのアルファ接合因子シグナル配列からSTE13切断部位を除去するための手法である。KEX2及びSTE13シグナル切断部位(核酸配列、配列番号:18;アミノ酸配列、配列番号:19)を有するアルファ接合因子シグナル配列ストレッチは、XhoI及びNotIによる消化後にpPIC9Kベクターから除去された。CSSK増幅のためのフォワードプライマーは、KEX2切断部位(AAAAGA)に隣接するXhoI部位(CTCGAG)により組み込まれて、STE13切断部位の無いpPIC9K-アルファ改変CSSK発現ベクターが得られ、‘改変’アルファ接合因子シグナル配列が生成される。NotI部位(GCGGCCGC)はシグナル配列の末端からCSSKの末端に移動した。 ‘改変’α因子シグナル配列を有する組換えpPIC9K-アルファ改変CSSKプラスミドの構築を模式的に表示する。CSSK配列は、pET23(d)-CSSKから複数のプライマー(それぞれXhoI制限部位、5'末端にKEX2切断部位、及び3’末端にNotI制限部位を取り込んでいた)を用いて増幅され、続いてCSSK PCR生成物のXhoI及びNotI酵素による二重消化が実施された。pPIC9KベクターもまたXhoI及びNotIで消化された。前記消化はSTE13部位の切断とともにpPIC9Kベクターの2つのフラグメントを生じた(ベクターに2つのXhoI部位が存在するため)。続いて、pPIC9Kベクター(2フラグメント)及びCSSKのXhoI及びNotI消化フラグメントの3ピース連結によって、‘改変’α因子シグナルを有する組換えpPIC9K-CSSKプラスミドが生成された(前記はSTE13切断部位を欠く)。 アルファ改変シグナル配列タンパク質を有する組換え発現プラスミドpPIC9Kを図式的に表示する。 線状化した組換えプラスミドを示す。CSSKコード遺伝子はXhoI及びNotI制限部位の間でクローン化された。BglII部位を用い、形質転換前にプラスミドを線状化した。 アルファ改変CSSKを有する組換え発現プラスミドpPIC9Kのベクターマップである。5’AOX1プロモーターフラグメント(塩基1−948)は、ピキア属でのメタノール誘導性高レベル発現を可能にし、更にまたプラスミドの組み込みの照準をAOX1遺伝子座に絞る。アルファ因子分泌シグナル(塩基949−1203)は、所望のタンパク質の培地への分泌を可能にする。CSSK遺伝子(塩基1204−3063)。3’AOX1転写終了(TT)(塩基3083−3416)は、効率的な転写終了及びmRNAのポリアデニル化を可能にする。HIS4 ORF(塩基3810−6344)は、ピキア属の組換え株を単離するための選別可能マーカーを提供する。カナマイシン耐性遺伝子(塩基6758−7573)は、大腸菌でカナマイシン耐性についての選別を可能にし、更にまたG418に対する耐性増加によりマルチコピー挿入のin vivoスクリーニングを可能にする。3’AOX1フラグメント(塩基7952−8709)は、プラスミド組み込みの照準をAOX1遺伝子に絞る。pBR322起点(塩基9118−9791)は大腸菌での複製を可能にする。アンピシリン耐性遺伝子(塩基9936−10796)は、大腸菌でアンピシリン耐性についての選別を可能にする。 XhoI及びNotIによる組換えpPIC9K-アルファ改変CSSKプラスミドの制限エンドヌクレアーゼ消化を示す、アガロースゲル(0.8%)電気泳動図である。組換えpPIC9K-アルファ改変CSSKプラスミドの二重消化後の1860bpのDNAフラグメントは、アルファ改変シグナル配列を含むpPIC9KベクターでCSSKが首尾よくクローニングされたことを示す。 ‘改変’α因子シグナル配列及び‘最適化’CSSK配列を有する組換えpPIC9K-Opt CSSKの構築を模式的に表示する。CSSK配列は、最適化CSSKヌクレオチド配列を含むプラスミドから、XhoI制限部位及び5'末端のKEX2切断部位及び3’末端のNotI制限部位をそれぞれ含むプライマーを用いて増幅され、続いて、増幅された最適化CSSK PCR生成物のXhoI及びNotIによる二重消化が実施された。pPIC9KベクターもまたXhoI及びNotIで消化され、前記消化はSTE13部位の切断とともにベクターに2つのXhoI部位が存在するためpPIC9Kベクターの2つのフラグメントの生成をもたらした。続いて、pPIC9Kベクター(2フラグメント)及びCSSKのXhoI及びNotI消化フラグメントの3ピース連結によって、‘改変’アルファ接合因子シグナル配列を有する組換えpPIC9K-Opt CSSKプラスミドの生成がもたらされた。 ‘改変’α因子シグナル配列を有するpPIC9K-Native+Opt CSSK及びpPIC9K-Opt+Native CSSKプラスミドの構築を模式的に表示する。改変アルファ因子シグナル配列を含むpPIC9K-Opt CSSK及びpPIC9K-Native CSSKをSacI及AflII制限酵素で消化した。AOX1プロモーター及びCSSKはSacI及びAflII制限部位をそれぞれ有し、前記部位がキメラ組換えプラスミドの作製に用いられた。 キメラ組換えプラスミドpPIC9K-Native+Opt CSSK及びpPIC9K-Opt+NativeCSSKを構築する手法である。 CSSKスクリーニングの代表的な形である。CSSKを発現させて個々の形質転換体から分泌させ、プラスミノーゲン活性アッセイを用いて最大生成形質転換体についてスクリーニングする。このマルチウェルプレートでは、各ブロックは1つのウェル(100μLの反応混合物を含む)に対応する。曲線は、プラスミノーゲン活性化の結果として405nmにおける吸収の増加を表す(ここでプラスミンはアミド分解基質に作用する)。A列で大半の形質転換体はほとんど活性を示さず、通常のクローニング手順の結果の典型である。 アルファ改変CSSKスクリーニングの代表的な形である。アルファ改変CSSKを発現させて個々の形質転換体から分泌させ、プラスミノーゲン活性アッセイを用いて最大生成形質転換体についてスクリーニングする。このマルチウェルプレートでは、各ブロックは1つのウェル(100μLの反応混合物を含む)に対応する。改変アルファ接合シグナルを有するベクターを用いることによって、発現増加が観察された。反応速度を基準にしていくつかのクローンを選別した(クローン番号B15、B23、B56及びB63を含む)。 ピキア発現CSSKの正確な濃度測定用標準プロットを入手するために用いられる、大腸菌で発現され精製されたCSSKの活性化アッセイである。多様な濃度の大腸菌発現精製CSSK(0.05nM、0.1nM、0.25nM、0.5nM、10nM及び100nMの範囲)を用いて活性化曲線の勾配を測定し、それによって活性(勾配)対反応混合物中のCSSK濃度の標準プロットを作成した。0.1nMのストレプトキナーゼ(SK)及びプラスミノーゲン(PG)をそれぞれ反応混合物の陽性及び陰性コントロールとして用いた。 プラスミノーゲン活性アッセイを用いる、選別クローンのアルファ改変CSSK培養上清及び10倍希釈上清の活性アッセイである。各ブロックは100μLの反応混合物を含むマルチウェルプレートの1つのウェルに対応する。活性強化は、SacI線状化DNAと比較して、CSSK形質転換体の改変アルファ接合シグナルを有するBglII線状化ベクターについて観察された。CSSK最大生成形質転換体S1、S13及びS16を数百クローンから選別し、SacIによるベクター消化に付した。プラスミノーゲン活性アッセイを用いて選別クローンをチェックした。改変アルファ接合シグナル及びCSSKを有するBglII線状化ベクターを保持する形質転換体(クローン番号B15、B23、B56及びB63を含む)は反応速度を基準にしたときより良好な活性を示した。 クローンB15、B23、B56及びB63のSDS-PAGE分析である(各レーンに等体積をローディングした)。 フェニルセファロースカラムにおけるCSSKのクロマトグラフィー溶出プロフィールである。0.25M NaClの25mMリン酸緩衝液(pH7.4)で予め平衡化したフェニルセファロースカラムに培養ブロスを適用し、同じ緩衝液で続いて25mMリン酸緩衝液(pH7.4)で洗浄した。引き続きCSSKを滅菌水洗浄液で溶出させ、クロマトグラフィー図で明瞭なピークが示された。 組換え体ピキア・パストリスpPIC9K-アルファ改変CSSK/GS115/B15で発現されたCSSKのSDS-PAGE分析である。レーン1−7:ピーク分画;レーン8:分子量マーカー。 組換えピキア株で発現されたCSSK及び大腸菌で発現されたCSSKのプラスミノーゲンアクチベーター活性の比較アッセイである。X軸は時間(分)でY軸は405nmにおける吸収である。四角:ピキア・パストリスで発現され疎水性相互反応クロマトグラフィー(HIC)で精製された0.1nM濃度のCSSKのプラスミノーゲン活性化活性。丸:P.パストリス発現HIC精製の0.5nM濃度CSSKのプラスミノーゲン活性化活性。上向き三角:大腸菌発現HIC精製の0.1nM濃度CSSKのプラスミノーゲン活性化活性。下向き三角:大腸菌発現HIC精製の0.5nM濃度CSSKのプラスミノーゲン活性化活性。ひし形:大腸菌で発現されHIC続いてジエチルアミノエチル(DEAE)により精製された0.1nM濃度のCSSKのプラスミノーゲン活性化活性。(+):大腸菌で発現されHIC続いてDEAEにより精製された0.5nM濃度のCSSKのプラスミノーゲン活性化活性。(x):P.パストリス発現HIC精製0.5nM濃度CSSK+ヒトプラスミンでのプラスミノーゲン活性化活性。(*):大腸菌発現HIC精製0.5nM濃度CSSK+ヒトプラスミンでのプラスミノーゲン活性化活性。(-):大腸菌で発現されHIC続いてDEAEにより精製された0.5nM濃度のCSSK+ヒトプラスミンでのプラスミノーゲン活性化活性。 組換え体P.パストリスpPIC9K-アルファ改変CSSK/GS115/B15株によって発現されたグリコシル化CSSKの10% SDS-PAGE銀染色ゲルである。疎水性相互反応クロマトグラフィーを用いてCSSKを精製した。前記をendoH酵素の存在下及び非存在下で処理し、グリコシル型及び脱グリコシル化型における相違を確かめた。endoH酵素処理CSSKは、85kDaから70kDaへのバンドシフトを示し、これは計算によるCSSKの分子量と一致する。レーン1は標準分子量マーカーを含む(“M wt”)。 組換え体P.パストリスpPIC9K-アルファ改変CSSK/GS115/B15株で発現され精製されたCSSKのクマシーブリリアントブルー染色ゲルでのグリコシル化分析である。 組換え体P.パストリスpPIC9K-アルファ改変CSSK/GS115/B15株で発現され精製されたCSSKのPAS染色SDS-PAGEゲルでのグリコシル化分析である。ピキア由来CSSKはPAS試薬によって染色され、グリコシル化の存在を示した。プラスミノーゲンのより小さな分子量型、例えば非グリコシル化タンパク質ミニプラスミノーゲン(miniPG)及びミクロプラスミノーゲン(microPG)(前記もまたピキアから入手)をPAS染色の陰性コントロールとして用いた。 標準物(大腸菌発現SK)と比較したCSSKバッチを示すウェスタンブロットである。レーン1から5は5Lスケールのバッチを表し、一方、レーン6は100Lスケールのバッチを表す。 静脈内ボーラスによってCSSKを投与されたカニクイザルにおける大腿動脈の個々の血流データである。 再灌流後の瞬間的血流である。 再灌流後の平均化血流である。 急性部分上昇心筋梗塞(AMI/STEMI)の患者のプラスミンフィブリノゲンレベルに対する本明細書で調製したCSSKの投与の影響を示すグラフである。
配列表の簡単な説明
配列番号:1.CSSKアミノ酸配列。
配列番号:2.CSSK核酸配列。
配列番号:3.ピキア属用に改変されたCSSK配列(アミノ酸配列)。
配列番号:4.ピキア属用に改変されたCSSK配列(核酸配列)。
配列番号:5.N-末端改変C-末端オリジナルCSSK(アミノ酸配列)。
配列番号:6.5’改変3’オリジナルCSSK(核酸配列)。
配列番号:7.N-末端オリジナルC-末端改変CSSK(アミノ酸配列)。
配列番号:8.5’オリジナル3’改変CSSK(核酸配列)。
配列番号:9.改変アルファシグナル配列(アミノ酸配列)。
配列番号:10.改変アルファシグナル配列(核酸配列)。
配列番号:11.ストレプトキナーゼ配列(アミノ酸配列)。
配列番号:12.ポリグリシンリンカー及びトランスグルタミナーゼ部位を有するSK C-末端配列(アミノ酸配列)。
配列番号:13.ポリグリシンリンカー及びトランスグルタミナーゼ部位を有するSK 3’配列(核酸配列)。
配列番号:14.自然のままのアルファシグナル配列(アミノ酸配列)。
配列番号:15.自然のままのアルファシグナル配列(核酸配列)。
配列番号:16.シグナルペプチド配列ストレッチ(アミノ酸配列)。
配列番号:17.AOX1 5’プロモーター及びアルファ配列を有する部分的なベクター配列(核酸配列)。
配列番号:18.部分的なベクター配列(核酸配列)。
配列番号:19.部分的ベクター配列によってコードされるポリペプチド(アミノ酸配列)。
配列番号:20.アルファシグナル配列+N-末端CSSK(アミノ酸配列)。
配列番号:21.フィブリン結合ドメイン4,5(核酸配列)。
配列番号:22.フィブリン結合ドメイン4,5(アミノ酸配列)。
配列番号:23.アルファ配列改変、更にピキア属用に改変されたCSSK配列(核酸配列)。
配列番号:24.アルファ配列改変、更にピキア属用に改変されたCSSK配列(アミノ酸配列)。
配列番号:25.改変アルファシグナル配列を有する本来のCSSK(アミノ酸配列)。
配列番号:26.改変アルファシグナル配列を有する本来のCSSK(核酸配列)。
配列番号:27.改変アルファシグナル配列を有する、N-末端改変C-末端オリジナルCSSK(アミノ酸配列)。
配列番号:28.改変アルファシグナル配列を有する、5’オリジナル3’改変CSSK(核酸配列)。
配列番号:29.改変アルファシグナル配列を有する、N-末端オリジナルC-末端改変CSSK(アミノ酸配列)。
配列番号:30.5’AOX1フォワードプライマー。
配列番号:31.3’AOX1リバースプライマー。
配列番号:32.フォワードプライマー。
配列番号:33.プライマー配列
本発明の多様な特徴をより完全に理解かつ評価できるように、ある種の好ましい任意の実施態様と併せて本発明を今から詳細に説明する。
本発明の実施態様は、発現カセット、ベクター、ポリヌクレオチド配列、形質転換酵母細胞、血栓特異的ストレプトキナーゼ、前記血栓特異的ストレプトキナーゼを含む組成物、前記血栓特異的ストレプトキナーゼを用いて疾患を治療する方法、及び形質転換酵母細胞をスクリーニングする方法を提供する。CSSKをコードするベクターのpPIC9K-アルファ改変CSSKの導入によって形質転換させた、改変微生物P.パストリスpPIC9K-アルファ改変CSSK/GS115/B15株は、インド、チャンディーガルの国際微生物寄託機関、微生物系統培養収集兼遺伝子バンク(Microbial Type Culture Collection & Genebank, Institute of Microbial Technology, Sector 39-A, Chandigarh, India)に寄託されている。前記改変P.パストリスのアクセッション番号はMTCC 25071であり、寄託日は2015年10月19日である。
血栓特異的ストレプトキナーゼ
本明細書で用いられるように、“血栓特異的ストレプトキナーゼ”又は“CSSK”は、下記(1)及び(2)が合体したキメラポリペプチドと定義される:(1)ストレプトコッカス・エクィシミリスによって産生されるストレプトキナーゼ(SK)又はSKの誘導体若しくは変種型(前記SK又はSKの誘導体若しくは変種はプラスミノーゲンを活性化する能力を有する);及び(2)フィブリン結合能力を保有するヒトフィブロネクチン遺伝子のフラグメント(例えば、ヒトフィブロネクチンのフィブリン結合ドメイン4及び5)、又はフィブリン親和性を有するフィブリン結合ドメインの誘導体若しくは変種型。開示されるCSSKはしたがって機能的なSK活性を有しプラスミノーゲンをプラスミンに活性化することができ、更にまたヒトフィブロネクチンのフィブリン結合ドメイン4,5を介して機能的なフィブリン親和性を有する。このCSSKはまた、ストレプトコッカス・エクィシミリスによって発現される自然のままのSKの即時(すなわち明瞭な時間的ずれが存在しない)活性化カイネティクスと対比して遅延PG活性化カイネティクスを示す。CSSK及び細菌系におけるその発現は米国特許7,163,817号及び米国特許8,143,027号に開示される(前記両特許の内容は参照により本明細書に含まれる)。これらの特許に開示されているように、CSSKは自然のままのSKと対比して活性化カイネティクスにおいて明瞭な初期遅延を有する。この遅延活性化は、前記系における微量のプラスミンの存在と関係があり、CSSKは、自然のままのSK(プラスミンが全く存在しないときに、すなわちプラスミン非依存メカニズムを介してプラスミノーゲンを活性化できる)とは対照的に活性化のためにプラスミンを必要とすることを示す。
本発明にしたがえば、“誘導体”には、天然物、合成物又は組換え体(融合タンパク質を含む)を供給源とするフラグメント、部分、変異体、ホモローグ、及び模倣物が含まれる。誘導体は、アミノ酸の挿入、欠失又は置換によって誘導され得る。アミノ酸挿入誘導体は、アミノ及び/又はカルボキシル末端融合とともに単一又は複数アミノ酸の配列内挿入を含む。挿入型アミノ酸配列変種は、1つ以上のアミノ酸残基がタンパク質内の予め定められた部位に導入されるものであるが、ただしランダム挿入もまた生じた生成物の適切なスクリーニングにより可能である。欠失変種は、1つ以上のアミノ酸の配列からの除去を特徴とする。置換アミノ酸変種は、配列の少なくとも1つの残基が除去され異なる残基がその代わりに挿入される変種である。アミノ酸配列への付加は、他のペプチド、ポリペプチド又はタンパク質との融合を含む。“変種”は、全分子又はそのフラグメントと構造及び機能が実質的に類似する分子を指す。“フラグメント”という用語は、分子の任意の機能的サブセット、すなわち所望の生物学的活性を維持するより短いペプチドを指す。
CSSK変種ポリペプチドは、例えば、米国特許8,143,027号で開示されるフィブリン結合ドメインの種々の組合せと連結されたSKとして本出願の範囲内に意図される。
本発明のある実施態様はポリヌクレオチドを含む発現カセットを提供し、前記ポリヌクレオチドは、酵母のメタノール誘導性プロモーター配列、改変アルファシグナル遺伝子配列、血栓特異的ストレプトキナーゼをコードする核酸配列及び転写終了因子配列を含み、ここで、血栓特異的ストレプトキナーゼをコードする核酸配列は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6及び配列番号:8から成る群から選択される。
本発明の別の実施態様では発現カセットが提供され、ここで、前記改変アルファシグナル遺伝子は配列番号:10に示される通りである。
本発明にしたがえば、CSSKは、(a)ストレプトコッカス・エクィシミリスのストレプトキナーゼのポリペプチド配列(配列番号:11)と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%又はそれより高い同一性を有するポリペプチド配列;及び(b)前記ストレプトキナーゼのポリペプチド配列のN-末端、C-末端又はN-及びC-末端の両方に、ヒトフィブリノゲンフィブリン結合ドメイン4,5(FBD4,5)のポリペプチド配列(配列番号:22)と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%又はそれより高い同一性を有するポリペプチド配列を含む。本発明にしたがえば、CSSKのポリペプチド配列は、配列番号:1、3、5、7、24、25、27及び29から成る群から選択されるポリペプチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%又はそれより高い同一性を有する。本発明にしたがえば、CSSKは、配列番号:2、4、6、8、23、26及び28から成る群から選択されるポリヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%又はそれより高い同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。前記ポリヌクレオチドのいずれかによってコードされるCSSKは、フィブリノゲン活性化活性及びフィブリン親和性を有する。
本発明にしたがって生成されるCSSKは、ヒトへの投与について前記CSSKをより適切にする翻訳後修飾(例えばグリコシル化)によって改変される。
CSSKを生成する酵母細胞
本発明の別の実施態様は、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を発現する形質転換酵母細胞を提供し、前記CSSKは、(a)ストレプトコッカス・エクィシミリスによって生成されるストレプトキナーゼ(SK)、又はプラスミノーゲンを活性化する能力を有するSKの誘導体;及び(b)ヒトフィブロネクチンのフィブリン結合ドメイン4及び5(FBD4,5)、又はフィブリン親和性を有するFBD4,5の誘導体を含む。
本発明の別の実施態様では、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を発現する形質転換酵母細胞が提供され、ここで、前記CSSKは、配列番号:11に示されるポリペプチド配列と少なくとも85%同一性を有するストレプトキナーゼ配列、及び前記ストレプトキナーゼ配列のN-末端及びC-末端のそれぞれに配列番号:22に示されるポリペプチド配列と少なくとも85%同一性を有するポリペプチド配列を含む。
本発明の更に別の実施態様では、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を発現する形質転換酵母細胞が提供され、ここで、前記CSSKは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6及び配列番号:8から成る群から選択されるポリヌクレオチド配列と少なくとも85%相同性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる。
本発明の更に別の実施態様では、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を発現する形質転換酵母細胞が提供され、ここで、前記CSSKは、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6及び配列番号:8から成る群から選択されるポリヌクレオチドによってコードされる。
本発明の更にまた別の実施態様では、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を発現する形質転換酵母細胞が提供され、ここで、前記酵母は、ピキア属、ハンセヌラ属、トルロプシス属及びカンジダ属の種から成る群から選択されるメチル栄養性酵母である。
本発明の更に別の実施態様では、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を発現する形質転換酵母細胞が提供され、ここで、前記酵母は、ピキア・パストリス、ピキア・メタノリカ、ピキア・アノモラ、ハンセヌラ・ポリモルファ、及びカンジダ・ボイディニイから成る群から選択される。
本発明の更にまた別の実施態様では、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を発現する形質転換酵母細胞が提供され、ここで、前記酵母はピキア・パストリスである。
本発明の別の実施態様では、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を発現する形質転換酵母細胞が提供され、ここで、前記酵母は、アクセッション番号MTCC25071を有するピキア・パストリスである。
本発明の別の実施態様は発現カセットを含む形質転換酵母細胞を提供し、ここで、前記酵母は、ピキア属、ハンセヌラ属、トルロプシス属及びカンジダ属の種から成る群から選択されるメチル栄養性酵母である。
本発明の別の実施態様では形質転換酵母細胞が提供され、ここで、前記酵母は、ピキア・パストリス、ピキア・メタノリカ、ピキア・アノモラ、ハンセヌラ・ポリモルファ、及びカンジダ・ボイディニイから成る群から選択される。
本発明の別の実施態様では形質転換酵母細胞が提供され、ここで、前記酵母は、アクセッション番号MTCC25071を有するピキア・パストリスである。前記形質転換酵母細胞は、インド、チャンディーガルの国際微生物寄託機関、微生物系統培養収集兼遺伝子バンク(Microbial Type Culture Collection & Genebank, Institute of Microbial Technology, Sector 39-A, Chandigarh, India)に寄託されている。寄託日は2015年10月19日である。
これら形質転換酵母株は大量のCSSKを発現する。本発明で有用な酵母の種はメチル栄養性の種であり、前記は、炭素源としてメタノール又はメタンを含む培地で増殖できる。本発明の例示的なメチル栄養性酵母にはハンセヌラ属、ピキア属、カンジダ属又はトルロプシス属の酵母が含まれる。好ましい種には、ピキア・パストリス、ピキア・メタノリカ、ピキア・アノモラ、ハンセヌラ・ポリモルファ、及びカンジダ・ボイディニイが含まれる。P.パストリスHis4(GS115)の栄養要求性変異体が特に好ましい。
前記酵母種は、下記で更に詳述するように、CSSKをコードするベクターの酵母細胞への導入によって形質転換させることができる。
前記組換え酵母はCSSKを細胞外に分泌し、したがってCSSKは、当業界で公知のCSSKの低分解及び高収量を可能にする穏やかな回収方法、例えば遠心分離及びミクロろ過などにより入手することができる。
酵母でCSSKを発現するための核酸及びベクター
本発明の別の実施態様は酵母細胞の形質転換のための発現ベクターを提供し、ここで、前記発現ベクターは本発明の少なくとも1つの発現カセットを含む。
本発明の別の実施態様では発現ベクターが提供され、ここで、前記発現ベクターは、配列番号:2、4、6、8、23、26及び28から成る群から選択されるポリヌクレオチド配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%又はそれより高い同一性を有するポリヌクレオチドを含む。
本発明の別の実施態様では発現ベクターが提供され、ここで、前記発現ベクターは、配列番号:2、4、6、8、23、26及び28から成る群から選択されるポリヌクレオチド配列と少なくとも85%同一性を有するポリヌクレオチドを含む。
本発明の別の実施態様では発現ベクターが提供され、ここで、前記発現ベクターは、配列番号:2、4、6、8、23、26及び28から成る群から選択されるポリヌクレオチド配列を含む。
本発明の別の実施態様では発現ベクターが提供され、ここで、前記発現ベクターは、配列番号:1、3、5、7、24、25、27及び29から成る群から選択されるポリペプチド配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%又はそれより高い同一性を有するポリペプチドをコードする。
本発明の別の実施態様では発現ベクターが提供され、ここで、前記発現ベクターは、配列番号:1、3、5、7、24、25、27及び29から成る群から選択されるポリペプチド配列と少なくとも85%同一性を有するポリペプチドをコードする。
本発明の別の実施態様では発現ベクターが提供され、ここで、前記発現ベクターは、配列番号:1、3、5、7、24、25、27及び29から成る群から選択される配列を有するポリペプチドをコードする。
本発明の別の実施態様は、配列番号:4、6、8、23、26及び28から成る群から選択されるポリヌクレオチド配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%又はそれより高い同一性を有するポリヌクレオチドを提供する。
本発明の別の実施態様は、配列番号:4、6、8、23、26及び28から成る群から選択される核酸配列を有するポリヌクレオチドを提供する。
本明細書に開示するポリヌクレオチド配列によってコードされるCSSKは、フィブリノゲン活性化活性及びフィブリン親和性を有する。
本発明の別の実施態様は、CSSKの発現のために酵母細胞を形質転換するベクターを提供する。外因性遺伝子を標的酵母細胞に移転するために有用な多くのベクターが利用可能である。前記ベクターは、エピソーム性(例えばプラスミド)であっても、又は標的細胞ゲノムに相同組換え又はランダム組み込みにより組み込まれてもよい。相同組換えでは、問題の遺伝子(本明細書ではCSSKコード遺伝子)は宿主細胞ゲノムの特定の遺伝子座に標的誘導される。問題の遺伝子を保持するベクターが標的遺伝子座配列と相同なDNA領域を有するように設計することによって、任意の配列を宿主細胞ゲノム内の標的遺伝子座との相同組換えのために設計することができ、前記相同領域はベクター上で問題の遺伝子の5’及び3’末端にフランキングする(Rothstein, R.J., 1983.Methods Enzymol 101:202-211;Cregg J.M.et al.1987, Nature Biotechnology 5:479-485)。宿主細胞ゲノムとの相同組換えによる、問題の遺伝子の標的遺伝子座への組み込みのために設計される相同配列領域は、本明細書では“組込み配列”と称される。ベクターがいったん酵母細胞に導入されると、標的遺伝子座と配列相同性を有するベクターの領域は前記標的遺伝子座と一緒に並び、問題の遺伝子は標的遺伝子に組み込まれるであろう。
本発明で開示されるベクターは、酵母での発現のために適切なプロモーターと作動できるように連結されたCSSKをコードする。本明細書で用いられる“作動できるように連結された”又は“転写制御下にある”という語句は、RNAポリメラーゼによる転写の開始及びポリヌクレオチドの発現を制御するために、プロモーターがポリヌクレオチドとの関係で正確な位置に及び向きで存在することを意味する。酵母プロモーターには、誘導性プロモーター(例えばメタノール誘導性プロモーター)及び構成性プロモーター(例えば総アミノ酸パーミアーゼ-1(GAP-1))が含まれる。メタノール誘導性プロモーターの例にはアルコールオキシダーゼI(AOX1)及びアルコールオキシダーゼII(AOX2)遺伝子のプロモーターが含まれる。
本発明のある実施態様では、その転写読取り枠の5’-3’方向に以下のDNA配列を含む発現カセットが構築された:(a)酵母メタノール誘導性プロモーター配列;(b)細胞からCSSKを分泌させるためのS.セレビシアエ(S.cerevisiae)のシグナル配列;(c)血栓特異的ストレプトキナーゼに対応するポリペプチド;及び(d)メチル栄養性酵母で機能する転写終了配列。前記DNA配列は、(c)のポリペプチドをコードする配列の転写を実行するために互に機能的に結合する。
本発明で有用なベクターは、酵母形質転換体の選別のために選別マーカー遺伝子を含むことができる。この目的のために、メチル栄養性酵母由来の任意の機能的選別マーカーを用いることができる。前記マーカー遺伝子はメチル栄養性酵母に種々の表現型を付与し、したがってその識別及び多数の非形質転換細胞とは異なる選択的方法での増殖を可能にする。適切な選別マーカー遺伝子には、例えばP.パストリス株の栄養要求性変異体及び宿主細胞の欠陥を補完する野生型生合成遺伝子を含む選別マーカー系が含まれる。例えば、P.パストリスHis4-株の形質転換の場合、S.セレビシアエ又はP.パストリスのHIS遺伝子を用いることができる。
ベクターは更に細菌で機能する1つ以上の選別マーカー遺伝子を含むことができる。識別及び選択的培養の目的で細菌にある表現型を付与する任意の遺伝子が適切である。この付加的選別マーカーは、適用ベクターを増幅用細菌(例えば大腸菌)に導入することを可能にする。適切な選別マーカー遺伝子には、アンピシリン耐性遺伝子(Ampr)、テトラサイクリン耐性遺伝子(Tcr)、カナマイシン耐性遺伝子(Kanr)などが含まれる。
本発明のある実施態様では、CSSK cDNAの発現に用いられる異種タンパク質発現系は、P.パストリスAOX1メタノール誘導性遺伝子由来プロモーターを利用し、CSSK cDNAは非常に効率的に発現され正確に調節される。具体的な例では、ベクターは、P.パストリスAOX1プロモーター;アルファ接合因子シグナル配列をコードするDNA配列;CSSKをコードする配列;及びP.パストリスAOX1遺伝子由来転写終了因子を有する。
ベクターは細胞からCSSKを分泌するためのシグナル配列を有することができる。本明細書で開示される“シグナル配列”は、発現されたタンパク質の細胞外環境への遊離/分泌のために前記タンパク質を細胞表面に誘導する配列(“タグ”としても知られている)である。シグナル配列の例には、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)のアルファ接合因子シグナル配列、アルファアミラーゼシグナル配列、イヌラーゼシグナル配列、キラータンパク質シグナル配列、リゾチームシグナル配列、アルブミンシグナル配列、及びグルコアミラーゼシグナル配列が含まれる。本発明では、サッカロミセス・セレビシアエの自然のままのアルファ因子シグナル配列の核酸配列は配列番号:15に示されている。サッカロミセス・セレビシアエの自然のままのアルファ因子シグナル配列のアミノ酸配列は配列番号:14に示されている。
本発明の別の実施態様では、ベクターは“改変された”アルファシグナル配列をコードすることができる。前記改変は、組換えベクターの‘自然のままの’アルファ接合因子シグナル配列からSTE13プロテアーゼ切断部位を除去することを必要とする。‘自然のままの’アルファ接合因子シグナル配列では、KEX2及びSTE13切断部位はシグナルペプチド配列のC-末端近くに存在する。KEX2切断部位は、Glu-Lys-Arg-Glu-Ala-Glu-Ala(配列番号:16)のシグナルペプチドストレッチのアルギニンとグルタミンの間に存在する。Glu-AlaリピートはSTE13遺伝子生成物によって更に切断される。しかしながら、Glu-Alaリピートは、Glu-Lys-Argに続くアミノ酸次第でKEX2の切断に不要である。いくつかの事例(STE13切断が効率的でない場合)では、Glu-Alaリピートは発現された問題のタンパク質のNH2-末端に維持される。したがって、アルファ因子シグナル配列のSTE13切断部位の除去は、シグナル配列のタンパク分解性プロセッシングの改善を提供でき、前記改善は望ましくないN-末端アミノ酸残基の無いCSSKを順次生成する。本発明にしたがえば、改変アルファシグナル配列をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:9と85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%又はそれより高い同一性を有するポリヌクレオチド配列である。本発明にしたがえば、改変アルファシグナル配列をコードするポリヌクレオチドは配列番号:9に示されるとおりである。本発明にしたがえば、本発明に開示するベクターは、メチル栄養性酵母プロモーター、改変アルファシグナル配列、CSSKをコードするポリヌクレオチド配列、及びメチル栄養性酵母で機能する転写終了因子を有する。
本発明にしたがえば、ベクターは、前記CSSKを発現する酵母の種について、コドン適合インデックスが0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、又は0.95を超えるCSSKコードポリヌクレオチド配列を有することができる。
本発明の実施態様は、形質転換酵母細胞によって生成される血栓特異的ストレプトキナーゼを提供し、ここで、前記血栓特異的ストレプトキナーゼはグリコシル化され、80,515Daの分子量を有する。
CSSK発現株を作製するために酵母を形質転換する
CSSKの発現及び分泌のために、本明細書に開示するベクターを用いてメチル栄養性酵母細胞を形質転換する。形質転換はベクターエレメント(本明細書では“発現カセット”とも称される)を介して生じ、前記ベクターエレメントは、CSSK遺伝子及び前記CSSK遺伝子の上流及び/又は下流にある酵母ゲノムでの相同組換えのための組込み配列を有する。組込みを促進するために線状化できるプラスミド及びDNAフラグメント/発現カセットは1つ又は複数の組込み配列の手段によって宿主染色体に組み込まれるであろう。ある例では、組込みは、AOX1遺伝子座における少なくとも1つの交差組換えによって生じる。
メチル栄養性酵母にベクターを導入する方法には、スフェロプラスト技術(Cregg JM et al.1985.Mol Cell Biol 5: 3376-3385)、エレクトロポレーション(Simon, J.R.&McEntee, K. 1989. Biochem Biophys Res Commun 164:1157-1164)、及び塩化リチウム形質転換(Ito, H et al. 1983. J Bacteriol 153:163-168)が含まれる。ある実施態様では、エレクトロポレーションの方法が用いられる。メチル栄養性酵母細胞の培養に適用できる方法は当業界で公知である。
本発明のある実施態様では、宿主酵母細胞は、CSSKをコードするcDNA(P.パストリスプロモーター遺伝子の調節下にある)を含む線状DNAフラグメントで形質転換され、前記発現カセットは相同組換えによって宿主ゲノムに組み込まれる。
P.パストリスMut株(Mutはメタノールを利用する表現型を指す)の育成のために、ベクターを適切な遺伝子座(例えばAOX1遺伝子座)に組み込むことができる。ある例では、AOX1遺伝子座への組込みの結果として、MutS株が入手できる。MutS株では、AOX1遺伝子は発現カセットによって入れ替えられ、したがってこの株ではメタノールを利用する能力は低下する。AOX1遺伝子の消失(したがって細胞のアルコールオキシダーゼ活性の大半の消失)は、表現型としてMutS(メタノール利用遅延(Methanol utilization slow))である株を生じる。前記は細胞のメタノール代謝能力の低下を生じる。したがって、細胞はメタノール培地では貧弱な増殖を示す。低速増殖はAOX2遺伝子生成物の発現のためにメタノールにより維持される。AOX1遺伝子座に発現カセットが(位置指向組換えを介して)組み込まれた形質転換細胞は、前記発現カセットのマーカー遺伝子の存在によって識別することができる。選別細胞は、メタノールの存在下でそれらを増殖させ増殖速度を記録することによって、又はPCTを用いて発現カセットの存在を確認することによってそれらのMutS遺伝子型についてスクリーニングすることができる。
CSSK生成クローンについて酵母をスクリーニングする方法
本発明の別の実施態様は、血栓特異的ストレプトキナーゼを生成する形質転換酵母細胞を識別するために酵母細胞をスクリーニングする方法を提供し、前記方法は、(a)少なくとも1つの酵母細胞を本発明のベクターで形質転換し、形質転換酵母細胞を入手する工程;(b)少なくとも1つの形質転換酵母細胞をBMMY培地でメタノールとともに培養し、CSSKタンパク質の発現を誘導する工程;(c)前記培地を形質転換酵母細胞から分離し、上清を入手する工程;(d)前記上清をプラスミノーゲン活性化について試験する工程;及び(e)前記細胞の上清でプラスミノーゲン活性化を検出することによって、血栓特異的ストレプトキナーゼを生成する形質転換酵母細胞を識別する工程を含む。
本発明のある実施態様では、血栓特異的ストレプトキナーゼを生成する形質転換酵母細胞を識別するために酵母細胞をスクリーニングする方法が提供され、ここで、工程(d)のプラスミノーゲン活性化を試験する工程は、前記上清をプラスミノーゲン及び発色団と一緒にすることによって実施され、光の吸収の変化は405nmで検出される。
本発明の別の実施態様では、血栓特異的ストレプトキナーゼを生成する形質転換酵母細胞を識別するために酵母細胞をスクリーニングする方法が提供され、ここで、プラスミノーゲン活性化は既知量のCSSKを表す参照値に対して測定される。
本発明の別の実施態様では、血栓特異的ストレプトキナーゼを生成する形質転換酵母細胞を識別するために酵母細胞をスクリーニングする方法が提供され、前記方法は、工程(e)で識別された細胞のCSSK生成をSDS-PAGE分析によって確認する工程を更に含む。
本発明はまた、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)及びその変種についてプレート基準スクリーニング(plate-based screening)の方法論を開示し、前記方法論は、最大生成クローンのより迅速な選別を可能にする。このプレート基準方法論のお陰で、種々の重要な培養パラメーターを小規模で修正することができる。
形質転換酵母細胞をスクリーニングするためのプレート基準スクリーニングの方法論は、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)生成酵母細胞を識別することができる。前記方法は、(a)少なくとも1つの酵母細胞を本明細書で開示するCSSKをコードするベクターで形質転換する工程;(b)前記酵母細胞をメタノールとともに培養し、CSSKタンパク質の発現を誘導する工程;(c)前記培養細胞の上清をプラスミノーゲン活性化について試験する工程;及び(d)前記細胞の上清でプラスミノーゲン活性化を検出することによって、CSSKを生成する1つの又は複数の酵母細胞を識別する工程を含む。
問題の遺伝子を保持する発現ベクターによってP.パストリス宿主株を形質転換するとき、典型的には個々の形質転換体は広範囲に変動するタンパク質量を発現する。したがって、高生成クローンを得るために、何回もの形質転換体の診断及びスクリーニングが要求される。陽性の形質転換細胞は、当業界で公知の方法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、サザンブロット又はノザンブロットによって特徴付けることができるが、ただしポリペプチド組成及び修飾後改変次第でポリペプチドレベルが常に転写レベルと一致するとは限らない。したがって、本出願は、プレート基準活性アッセイによってタンパク質レベルを直接チェックする方法を提供し、前記は、得られた全ての形質転換体の全てのスクリーニングを迅速かつ効率的にスクリーニングすることを可能にする。
開示するプレート基準スクリーニング方法が、サンプルの濃縮及び複数回のSDS-PAGE分析による時間のかかる工程を必要としないで最良クローンを選別するために案出された。更にまた、前記方法は、入手した多数の形質転換体のスクリーニングを可能にし、したがって希少な最良クローンを見逃す機会を最小限にする。
プレート基準スクリーニング方法論によって選別クローンを確認するために、前記表現型又は所望の遺伝子型を有する形質転換株を振盪フラスコで増殖させる。選別クローンを種々の培養条件(例えば温度、pH、メタノール濃度及び収穫日数)下でのメタノール誘導CSSK発現について試験する。好ましい標準的プロトコルによる発酵手法を利用するが、前記は、生物学的に活性なCSSKタンパク質の最大収量を得るために最良培養条件について系統的に改変される。
所望の遺伝子型及び表現型によって同定した形質転換メチル栄養性酵母をファーメンターで増殖させる。培地に分泌されたCSSKレベルは、プラスミノーゲン活性化アッセイ、SDS-PAGE、ウェスタンブロット分析によって、抗SK又はフィブロネクチン抗血清を大腸菌発現精製SK又はCSSK標準物と平行して用いて決定することができる。
プラスミノーゲン活性化は、上清をプラスミノーゲン及び発色団と一緒にし、光の吸収の変化を検出することによりプラスミノーゲン活性化を検出する工程によって試験することができる。別の例では、プラスミノーゲン活性化は既知量のCSSKを表す参照値に対して測定される。1つの又は複数の細胞でのCSSK生成は場合によってSDS-PAGE分析によって確認できる。
組成物
本発明の実施態様は、本明細書に開示された方法によって生成されるCSSKを含む医薬組成物を提供する。そのような組成物は、以下の循環系症状(ただしこれらに限定されない)の治療に有用である:心筋梗塞、血管血栓症、肺塞栓症、脳卒中、血管系事象(急性虚血性卒中を含む)、狭心症、肺塞栓症、一過性虚血性発作、深部静脈血栓症、冠状動脈介入処置に続く血栓性再閉塞、末梢血管血栓症、心不全、シンドロームX、及び少なくとも1つの冠状動脈の狭窄を生じる異常。
組成物は医薬的に許容できる担体中に有効量のCSSKを含む。本明細書に用いられるように、“医薬的に許容できる”という語句は、哺乳動物に投与されたときに有害な反応を引き起こさない担体又は賦形剤を意味する。そのような担体は非毒性であり、身体で炎症性又はアレルギー性応答を生じない。本発明の実施のための医薬的に許容できる担体には周知の成分、例えばリン酸緩衝食塩水が含まれる。付け加えられる医薬的に許容できる担体及びそれらの処方は周知であり、例えば以下で一般的に記載されている:Remington's Pharmaceutical Science(18th Ed., ed.Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1990)及びthe Handbook of Pharmaceutical Excipients(4th ed., Ed.Rowe et al.Pharmaceutical Press, Washington, D.C.)(前記の各々は参照により本明細書に含まれる)。
治療量のCSSKを含む組成物の例には、非経口、皮下、皮内、筋肉内、冠動脈内、心筋内、又は静脈内投与(例えば注射可能な投与)のための液体調製物、例えば無菌的懸濁物又は乳剤が含まれる。そのような組成物は、適切な担体、希釈剤、又は賦形剤(例えば無菌的な水、生理学的食塩水、グルコースなど)との混合物であり得る。組成物はまた凍結乾燥させることができる。
組成物は、補助物質(例えば、湿潤若しくは乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化若しくは粘度強化添加剤、保存料、香料、着色剤など)を投与ルート及び所望される調製物に応じて含むことができる。例えば、凍結乾燥組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ以上の補助物質(例えばゼラチンポリペプチド、架橋ゼラチンポリペプチド、グルタメート、L-グルタミン酸ナトリウム、及びヒトアルブミン)を含むことができる。
CSSKは、フィブリン溶解活性単位として例えばバイアルに包装することができ、バイアル当たり約1,000,000から約2,000,000国際単位(IU)のフィブリン溶解活性、又はバイアル当たり約1,250,000から約1,750,000IUのフィブリン溶解活性、又はバイアル当たり約1,500,000IUのフィブリン溶解活性の範囲である。フィブリン溶解活性の国際単位を、例えば市販のストレプトキナーゼ処方物(例えばSTREPTASE(CSL Behring Canada))で決定する方法は当業界で公知である。更に別の例では、凍結乾燥CSSKが、バイアル又は他の容器に、バイアル当たり約1,000,000から約2,000,000国際単位(IU)のフィブリン溶解活性の範囲で;バイアル当たり約10から約40mg、又は約20から約30mg、又は約25mgの範囲の架橋ゼラチンポリペプチドとともに;バイアル当たり約10から約40mg、又は約20から約30mg、又は約25mgのL-グルタミン酸ナトリウムとともに;及びバイアル当たり約10から約200mg、又は約50から約150mg、又は約100mgのヒトアルブミンとともに含まれ得る。組成物は、適切な体積の賦形剤を添加することによって静脈内及び/又は冠動脈内投与のために調製され得る。
治療方法
本明細書の記載のように生成されるCSSKは血栓溶解薬である。したがって、血栓症を随伴する症状で本発明にしたがって生成されるCSSKを用いることができる。CSSKを含む組成物を用い、以下を含む(ただしこれらに限定されない)循環系症状を治療又は予防することができる:心筋梗塞、血管血栓症、肺塞栓症、脳卒中(急性虚血性卒中を含む)、狭心症、肺塞栓症、一過性虚血性発作、深部静脈血栓症、冠状動脈介入処置に続く血栓性再閉塞、末梢血管血栓症、心不全、シンドロームX、及び少なくとも1つの冠状動脈の狭窄。
CSSKは血液血栓を溶解する。ある実施態様では、本開示は、本明細書に記載のように生成されたCSSKの治療的に有効な量をそのような治療が必要な患者に投与することによって血液血栓を位置指向的に溶解する方法に関する。
本明細書で用いられる“治療する(treat, treatment, treating)”という用語及び同様な語は、疾患若しくは症状の緩和又は除去、又はそのような疾患若しくは症状に随伴する1つ以上の徴候の緩和を含む。本明細書で用いられるようにこれらの用語はまた、患者の症状次第で、疾患若しくは症状の緩和又は疾患若しくは症状に随伴する徴候の緩和を包含し、前記緩和には疾患若しくは症状又はそれらに随伴する徴候の重篤度の改善が含まれる。本明細書で用いられるように、“治療的に有効な量”及び“有効量”という用語は互換的に用いられ、上記に記載の循環系症状の発達、再発又は開始の予防若しくは阻害、循環系症状の重篤度及び持続時間の改善、循環系症状の1つ以上の徴候の緩和、循環系症状の進行の予防、及び/又は循環系症状に対する他の治療の治療的効果の強化又は改善のために十分である前記適用組成物の量を指す。
治療的に有効な量は、疾患を軽減、緩和、安定化させるために、疾患の進行を反転若しくは遅らせるために、或いはそうでなければ疾患の病理学的結果を改善するために、又は疾患の徴候を改善するために十分な用量の1倍以上で患者に投与することができる。前記緩和又は改善は永久的である必要はないが、少なくとも1時間、少なくとも1日、又は少なくとも1週間以上の範囲の期間であり得る。有効な量は、一般的には症例に応じて医師によって決定され、当業者の技術範囲内である。有効量に達する適切な投薬量を決定するとき、典型的にはいくつかの要件が考慮される。これらの要件には、患者の年齢、性別及び体重、治療される症状、前記症状の重篤度とともに、投与ルート、投薬形及び投薬プログラム並びに所望される結果が含まれる。
本明細書で用いられるように、“予防(prevention, prophylaxis)”という用語は、疾患若しくは症状又は疾患若しくは症状に随伴する徴候に罹患する傾向又は蓋然性、特に前記疾患若しくは症状の罹患前に前記疾患若しくは症状を罹患しやすい傾向又は蓋然性を改善することを指す。そのような罹患前の予防又は改善は、投与時に前記疾患又は症状に罹患していない患者へのCSSKの投与をいう。“予防”はまた、疾患若しくは症状又は前記に随伴する徴候の、例えばある改善期間後の再発予防又は再燃予防を包含する。
本発明のある実施態様は、心筋梗塞、血管血栓症、肺塞栓症、脳卒中、急性虚血性卒中、狭心症、肺塞栓症、一過性虚血性発作、深部静脈血栓症、冠状動脈介入処置に続く血栓性再閉塞、末梢血管血栓症、心不全、シンドロームX、及び少なくとも1つの冠状動脈の狭窄から成る群から選択される疾患をその必要がある対象で治療又は予防する方法を提供し、前記方法は、血栓特異的ストレプトキナーゼ及び医薬的に許容できる担体を含む組成物の治療的に有効な量を注射又は輸液の方法によって前記対象に投与する工程を含む。
組成物は、医療分野及び獣医分野の業者に周知の投薬形及び技術で、例えば個々の患者の年齢、性別、体重及び症状並びに投与に用いられる組成物の形態(例えば液体)のような要件を考慮しながら投与され得る。人間又は他の哺乳動物に対する投薬量は、本開示、本明細書に引用した文書類、及び当業界の情報により煩瑣な実験を実施することなく当業者が決定することができる。
ある実施態様では、治療方法は、輸液(例えば、約10分から約2時間、又は約10から約90分、又は約20から約80分、又は約30から約60分の静脈内投与)、又は緩徐なボーラス注射(1本の充填注射器から約3分以内、又は約5分以内、又は約10分以内、又は約15分位内で投与される)としての静脈内投与を含む。ある実施態様では、治療方法は、約1mL/分、又は約2mL/分、又は約3mL/分、又は約4mL/分の速度の静脈内ボーラス注射である。各投与につき総体積約1から約4mLの液体で、約0.1から約1.9、又は約0.3から約1.1mg/kgの投薬量が意図される。前記用量は、約30から約90分毎に、又は1、2、3、4、8、12若しくは24時間毎に担当医師の判断で繰り返される。
液体形で投与されるときは、CSSKは、食塩水溶液、糖溶液(例えばブドウ糖)、又は他の生理学的に許容できるベヒクル(例えば等張であり約6.5から約7.5の範囲のpH(例えば中性pH)を有するベヒクル)に溶解される。ある実施態様では、CSSKは、約0.9%(w/w)食塩水溶液、又は約5%(w/w)ブドウ糖溶液、又は等張で上述のpH範囲の他の生理学的に許容できるベヒクルで処方される。別の実施態様では、酵母細胞(例えばピキア・パストリス)から生成及び精製されるCSSKは、ヒトフィブロネクチンの線維結合ドメイン4及び5(FBD4,5)又はフィブリン親和性を有するFBD4,5の誘導体を含み、前記は前記ストレプトキナーゼの各末端に付加される。フィブリン結合ドメインは、前記ストレプトキナーゼ成分が血中プラスミノーゲンと相互反応する能力を覆い隠す。したがって、CSSKは血液循環中では不活性のままであり、フィブリン結合ドメインが血栓結合プラスミンによって切断されるまで血中プラスミノーゲンをプラスミンに変換しない。これは、プラスミノーゲンを無差別にプラスミンに変換する自然のままのストレプトキナーゼとは対照的である。したがって調製されたCCSKは、残留する血漿フィブリノゲンレベルを低下させることなくヒト血液血栓を溶解することができる。
以下の非限定的実施例によって本開示を更に詳述する。
ピキア発現用血栓特異的ストレプトキナーゼ遺伝子ベクターの構築
下記実施例で開示する発現ベクターの構築は、例えば下記Sambrookらが記載した標準的な方法にしたがって実施された(J.Sambrook, E.F.Fritsch and T.Maniatis, Molecular cloning: A laboratory Manual, second edition (1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., USA)
血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)をコードする遺伝子は、ヒトフィブロネクチンタンパク質由来のフィブリン結合ドメイン4及び5(“FBD(4,5)”)をストレプキナーゼ(SK)遺伝子に付加することによって作製し、4及び5ドメインのコピーはストレプトキナーゼ遺伝子のN-末端及びC-末端にも配置された(図1A)。ストレプトコッカス・エクィシミリスH46AのSK遺伝子及びヒトフィブロネクチンのフィブリン結合ドメイン4及び5のDNA配列、並びにCSSKを生成する方法は、米国特許7,163,817号及び米国特許8,143,027号に開示されている(前記特許の各々は参照によりその全体が本明細書に含まれる)。このCSSKは、ポリ-Glyリンカー及びトランスグルタミナーゼ部位を有する(前記はSKのC-末端を前記SK C-末端に隣接するFBD(4,5)ドメインに連結する)(図1B)。本明細書の実施例で利用されるCSSKは、SKのN-末端及びC-末端の両末端にFBD4,5ドメインを有するストレプトキナーゼである(例えばFBD(4,5)-SK-FBD(4,5))。
自然のままのピキアアルファ接合シグナル配列がCSSK遺伝子に先行する発現ベクターを構築した。CSSK配列は、CSSK[pET23(d)FBD(4,5)-SK-FBD(4,5)](米国特許8,143,027号に開示)を含むpET23dベクターからピキア発現ベクターpPIC9K(Invitrogen/Life Technologies)でサブクローン化した。pPIC9Kベクター(図2)は、メタノール誘導のために5’AOX1(アルコールオキシダーゼ-1)プロモーター(前記プロモーターは5’AOX1プライマー部位を有する);発現されたポリペプチドを宿主細胞から分泌するためにピキアα-因子分泌シグナル(前記分泌シグナル配列はα-因子プライマー部位を有する);マルチクローニング部位(MCS);3’AOX1プライマー部位;3’AOX1転写終了(TT)領域;ヒスチジン-4(HIS4)オープンリーディングフレーム(ORF);カナマイシン耐性遺伝子;3’AOX1フラグメント;大腸菌での複製のためにpBR322起点;及びアンピシリン耐性遺伝子を含む。
pPIC9Kベクターは細菌の複製起点を有するが酵母の複製起点をもたない。安定な形質転換体は、組換え事象がプラスミドとピキアゲノムとの間で生じる場合にのみもたらされ得る。α-因子分泌シグナルは組換えタンパク質を培地に分泌させる。MCSは4つの固有の制限部位を有し、それら制限部位は、アルファ-接合シグナル配列を有する標的遺伝子のインフレームクローニングのために利用できる。HIS4 ORFは、ヒスチジンを含まないプレートでの形質転換体の選別を可能にする(野生型宿主GS115はhis4であり、したがって増殖にヒスチジンを要求する)。SacI及びSalIで線状化した場合、形質転換は組換え後にGS115でHis+ Mut+細胞を生じ、一方、BglIIで線状化された場合には、形質転換はHis+及びMutS細胞を生じる。
サブクローニングのために、pET23(d)FBD(4,5)-SK-FBD(4,5)を制限酵素EcoRI及びNotIで切断し、消化生成物を0.8%アガロースゲルで分離させた。CSSK(1860bp)に対応するフラグメント(図1C)を、QIAQUICKゲル抽出キット(Qiagen Sciences)を製造業者の説明書にしたがって用いてゲルから溶出させた。溶出フラグメントをEcoRI及びNotI制限酵素で消化し、EcoRI-及びNotI-消化pPIC9Kベクターに連結した。シャトルベクターを熱ショック形質転換方法によって大腸菌XL1-BLに導入した。生じたベクター(pPIC9K-CSSKと呼ばれる)をEcoRI及びNotI酵素で消化した。アライメント及び配列は、5’AOX1フォワードプライマー配列(配列番号:30;5’-GACTGGTTCCAATTGACAAGC-3’)及び3’AOX1リバースプライマー(配列番号:31;5’- GCAAATGGCATTCTGACATCC-3’)を用いる増幅及び配列決定によって確認した。
CSSKのポリペプチド配列は配列番号:1に示されるとおりである。CSSKをコードするポリヌクレオチド配列は配列番号:2に示されるとおりである。
改変アルファシグナル配列を含むピキアCSSK発現ベクターの構築
pPIC9Kベクターのα-因子シグナルポリヌクレオチド配列(配列番号:15)では、シグナルポリペプチド配列の最初の切断はKEX2タンパク質の作用によって生じる。KEX2切断は、ポリペプチド配列Glu-Lys-Arg-Glu-Ala-Glu-Ala(配列番号:16)のアルギニンとグルタミンの間で生じる。Glu-Alaリピートは続いてSTE13タンパク質によって切断される。しかしながら、Glu-AlaリピートはKEX2による切断に不要である。なぜならば、KEX2は、Glu-Lys-Atg配列に続くアミノ酸次第で他の配列を認識及び切断するからである。懸念される事柄として、STE13切断が不完全で、問題の発現タンパク質のNH2末端にGlu-Alaリピートを保持し、異種タンパク質の細胞外培地への非効率的分泌を生じる可能性がある。
CSSKはpPIC9K-CSSKベクターから低レベルで発現された。加えて、CSSKのN-末端はGLU-ALAアミノ酸付加を被り、前記は明らかに不完全又は非効率的STE13切断から生じた。シグナル配列の効率的なタンパク分解処理は、発現された異種タンパク質の細胞外環境への分泌を促進する。したがって、STE13プロテアーゼ切断部位を欠失させることによって、改変アルファシグナル配列を設計した(図3−4)。図4は、自然のままのアルファ接合因子シグナル配列からSTE13切断部位を除去するための手法を示す。KEX2及びSTE13シグナル切断部位を有するアルファ接合因子シグナル配列ストレッチ(ポリヌクレオチド配列は配列番号:18に、ポリペプチド配列は配列番号:19に示される)が、XhoI及びNotIによる消化後にpPIC9Kベクターから除去された。フォワードプライマーは配列番号:32に示すとおりである(GACAGCCTCGAGAAAAGAGTGCAAGCTCAACAA(二重下線部分は、斜体);XhoI制限部位には下線が付され、KEX2切断部位(AAAAGA)は斜字体である)。前記はCSSKの増幅に用いられ、KEX2切断部位(AAAAGA)に隣接するXhoI部位(CTCGAG)により組み込まれて、STE13切断部位をもたない(‘改変’アルファ接合因子シグナル配列を生じる)pPIC9K-アルファ改変CSSK発現ベクターが得られた。NotI部位(GCGGCCGC)はシグナル配列の末端からCSSKの末端に移された。
改変アルファシグナルのポリペプチド配列は配列番号:9に示され、改変アルファシグナルのポリヌクレオチド配列は配列番号:10に示される。
前記改変アルファシグナルポリペプチド配列を有するCSSKのポリヌクレオチド配列(配列番号:26)をpPICK9Kでクローン化した。CSSKポリヌクレオチド配列は、配列番号:33(GACAGCCTCGAGAAAAGAGTGCAAGCTCAACAA;下線はXhoI制限部位)に示されるプライマーを用いてpET23(d)-CSSKから増幅され、前記は、XhoI制限部位、5’末端にKEX2切断部位、3’末端にNotI制限部位をそれぞれ取り込んでいた。続いてCSSK PCR生成物をXhoI及びNotI酵素で二重消化した。pPICK9KベクターもまたXhoI及びNotI酵素で消化され、その結果、STE13部位の切断と併せてpPICK9Kベクターの2つのフラグメントが生成された(前記ベクターに2つのXhoI部位が存在するからである)。続いて、pPICK9KベクターのXhoI及びNotI消化フラグメント(2つのフラグメントはpPICK9Kの2つのXhoI制限部位により生じる(制限部位の1つはマルチクローニング部位(MCS)の直前に存在し、他方はカナマイシン耐性遺伝子に存在する))及びCSSKの3ピース連結は、‘改変’α-因子シグナル配列を有する組換えpPIC9K-CSSKプラスミドの形成をもたらし、前記はSTE13切断部位を欠く。‘改変’α-因子シグナル配列を有する組換えpPIC9K-CSSKプラスミドの模式的表示は図5に概略される。生じたベクターをpPIC9K-アルファ改変CSSKと名付けた(図6、7)。pPIC9K-アルファ改変CSSKプラスミドをXhoI及びNotIで消化し、0.8%アガロースゲルで泳動させた。1860bpのDNAフラグメントが二重消化後に識別され(図8)、アルファ改変シグナル配列を有するCSSKがpPICK9Kベクターで首尾よくクローニングされたことを示した。熱ショック形質転換方法によって大腸菌XL1BL細胞にシャトルベクターを導入し、以下のプライマー(5’AOX1フォワードプライマー(配列番号:30)及び3’AOX1リバースプライマー(配列番号:31))を別々に用いて増幅及び配列決定することによってアラインメント及び配列を確認した。
改変アルファシグナル配列及び改変CSSK遺伝子を含む発現ベクターの構築
酵母ピキア・パストリスのCSSKタンパク質発現でより高収量を得るために、P.パストリスでもっとも多く発現される遺伝子の優先的コドンを考慮しつつCSSK核酸配列を改変し、一方P.パストリス発現ベクターでのクローニングを促進するために合成遺伝子の末端に制限部位を付加した。この改変過程で、該当する場合には以下のcis-作動性配列モチーフを避けた:内部TATA-ボックス、カイ部位及びリボソーム進入部位;AT-リッチ又はGC-リッチ配列ストレッチ;RNA不安定モチーフ;リピート配列及びRNA二次構造;高等真核細胞の(隠れた)スプライスドナー及びアクセプター部位。改変時に、前記遺伝子のいくつかの固有部位、例えばAflII制限部位を融合構築物の作製のために保存した。
改変によって、消極的cis-作動性部位(例えばスプライス部位、ポリ(A)シグナル、TATAボックスなど)は可能なかぎり除外され、GC含量はmRNA半減期を長引かせるために調整され、良好なCAI(コドン適合インデックス)が達成された配列が生成された。CAIは、前記コドンがどのように良好に標的生物のコドン使用頻度と一致するかを示す。したがって、CAIが1.0ならば完全であろうが、0.8を超えるCAIは良好と考えられる(すなわち高発現を可能にする)。ピキア・パストリス用に改変したCSSKは0.87のCAI値を有する。したがって、この改変遺伝子は高くて安定した発現率をピキア・パストリスで可能にするはずである。P.パストリスでの発現に適切なコドン改変配列を合成した。
改変CSSK遺伝子のポリヌクレオチド配列は配列番号:4に示されたとおりで、改変CSSK遺伝子によってコードされるポリペプチド配列は配列番号:3に示されたとおりである。配列番号:3は配列番号:1と100%同一性を有する。この配列を用いてP.パストリスの宿主細胞を形質転換してCSSKを発現させた。
‘改変’α-因子シグナル配列を有する組換え体pPIC9K-Opt CSSKプラスミドの構築は模式図として概略されている(図9)。CSSKのポリヌクレオチド配列(配列番号:4)は、XhoI制限部位及びKEX2切断部位を5'末端に、更にNotI制限部位を3'末端にそれぞれ有するプライマーを用いて最適化CSSKヌクレオチド配列を含むプラスミドから増幅され、続いてこの増幅させた最適化CSSKのPCR生成物をXhoI及びNotI酵素で二重消化した。pPIC9KベクターもまたXhoI及びNotIで消化し、STE13部位の切断と併せてpPIC9Kベクターの2つのフラグメント(前記ベクターの2つのXhoI部位の存在による)が生成された。続いて、pPIC9Kベクター(2フラグメント)及びCSSKのXhoI及びNotI消化フラグメントの3ピース連結によって、‘改変’α接合因子シグナル配列を有する組換えpPIC9K-OptCSSKプラスミドが生成された。正確なクローニングはDNA配列決定によって確認された。更にまた、前記遺伝子の5’領域で、S.セレビシアエアルファシグナル配列のKEX2部位及びXhoIの制限部位に対応する配列が導入された。前記遺伝子の3’末端には、終止コドン及びNotIの制限部位が導入された。改変アルファ配列を有する改変CSSKのポリヌクレオチド配列は配列番号:23に示されたとおりであり、ポリペプチド配列は配列番号:24に示されたとおりである。
改変アルファシグナル配列及び5’領域改変CSSKとCSSK遺伝子の3’領域とのキメラを含む発現ベクターの構築
‘改変’α-因子シグナル配列を有するキメラ組換え体pPIC9K-Opt+Native CSSKプラスミドの構築は模式図として概略されている(図10)。AOX1プロモーター及びCSSKは、固有のSacI及びAflII制限部位を、それぞれpPIC9K-Opt CSK及びpPIC9K-Native CSSK組換えプラスミドの両方で含み、これらの部位がキメラ組換えプラスミドの作製に利用された。改変CSSKの5’領域(厳密には1−516bp;下線で示されるように合計516bp)及び本来のCSSKの3’領域(517−1860bp;合計1344bp)を有するキメラCSSK遺伝子1(opt+native CSSK遺伝子)のポリヌクレオチド配列は配列番号:6に示されたとおりであり、キメラCSSK遺伝子1によってコードされるポリペプチド配列の配列は配列番号:5に示されたとおりである。
本来のCSSK遺伝子配列(配列番号:2)とキメラCSSK遺伝子(配列番号:6)とのポリヌクレオチド配列アラインメントの結果は、キメラCSSK遺伝子1の配列と本来のCSSK遺伝子の配列とは93%同一性であることを明らかにした。
改変アルファシグナル配列、本来のCSSKの5’領域及び改変CSSK遺伝子の3’領域を有する発現ベクターの構築
‘改変’α-因子シグナル配列を有するキメラ組換え体pPIC9K-Native+Opt CSSKプラスミドの構築は模式図として図10に示される。pPIC9K-Opt CSK及びpPIC9K-Native CSSK組換えプラスミドの両方で、CSSKはAOX1プロモーター並びに固有のSacI及びAflII制限部位を有し、これらの部位がキメラ組換えプラスミドの作製で利用された。CSSK遺伝子の5’領域(厳密には1−516bp;合計516bp)及び改変CSSK遺伝子の3’領域(517−1860bp;合計1344bp)を有するキメラCSSK遺伝子2(native+opt CSSK遺伝子)のポリヌクレオチド配列は配列番号:8に示されたとおりであり、キメラCSSK遺伝子2によってコードされるポリペプチドの配列は配列番号:7に示されたとおりである。
ベクターによるピキア・パストリスの形質転換及び形質転換体のCSSK発現のスクリーニング
発現ベクター、pPIC9K-CSSK、pPIC9K-アルファ改変CSSK、pPIC9K-optCSSK、pPIC9K-native+optCSSK及びpPIC9K-opt+native CSSKを作製したら、消化を行なって前記プラスミドをエンドヌクレアーゼSacI又はBglIIのどちらかで線状化し、続いて酵母GS115株を形質転換した。GS115のグリセロールストックをYPDプレートにストリーキング接種し、30℃で48−72時間インキュベートした。単離した単一コロニーを5mLのYPD培地に接種して一晩30℃でインキュベートし、続いて前記一晩増殖培養の500μLを1リットルフラスコの新しいYPD培地250mLに接種した。培養のODが1.3−1.5に達した後で、細胞をペレットにし(5000rpm、5分、4℃)、更に250mLの氷冷滅菌水に再懸濁した。細胞を再びペレットにし、引き続き125mLの氷冷滅菌水及び10mLの1Mソルビトールで2回洗浄した。洗浄後、1mLの1Mソルビトールに再懸濁した。次に、細胞を同じ条件下でペレットにし、更に1mLの氷冷1Mソルビトールに再懸濁した。CSSK構築物の発現ベクターはQIAGENプラスミド精製キットによって調製し、エタノール沈澱法によって濃縮した。10μgのDNAをBglII制限酵素で消化した。線状化DNAを再びエタノール沈殿法によって濃縮した。最後にDNAペレットを10μLの滅菌水に最終濃度1μg/mLで溶解した。エレクトロコンピテント細胞を10μLの線状化DNA(10μgのDNA)と混合した。続いて混合物を氷冷した0.2cmのエレクトロポレーションキュベットに移し、氷上で5分インキュベートした。細胞を線状化DNAでジーンパルサーエレクトロポレーション装置(Biorad)を用いて形質転換し(設定は1.5KV、25μF、抵抗200Ω)、更にInvitrogen社のユーザーマニュアルの記載にしたがって1mLの氷冷1Mソルビトールを直ちにキュベットに添加した。キュベットの内容物を無菌的な微量遠心分離管に移した。続いて細胞を振盪することなく30℃で1−2時間インキュベートし、更に内容物をMDプレートに分散させた。コロニーが出現するまで30℃でインキュベートした。
形質転換体は、まず初めに非ヒスチジン要求性増殖によって選別し、必要な場合には更にG418(ゲネチシン)耐性によって選別した。これらの選別を通して、CSSKタンパク質発現株、pPIC9K-CSSK/GS115、pPIC9K-アルファ改変CSSK/GS115、pPIC9K-optCSSK/GS115、pPIC9K-native+optCSSK/GS115及びpPIC9K-opt+nativeCSSK/GS115がそれぞれ得られた。
CSSK発現についてのスクリーニングによる形質転換体の分析
CSSK発現を査定するために、P.パストリスの形質転換体から得られたクローンを5mLのBMGY培地に別々に接種し、ODが2から6に達するまで30℃で振盪させながらログ期に向けて増殖させた。細胞を室温で遠心分離(5000rpm、5分)によって収集し、誘導のために細胞ペレットをメタノール含有BMMY培地に再懸濁した。24時間後毎に7日間、0.5%の最終濃度で追加のメタノールを添加した。各タイムコース後にメタノール誘導培養上清を微量遠心分離管に移し、細胞は室温で遠心分離(6000rpm、5分)によって採集した。上清を新しい管に移した。タイムコースサンプルを濃縮し、続いて12%のSDS-PAGEゲルで分析した。結果は、いくつかのクローンのうちほんのわずかのクローンがCSSKの分泌発現に関して陽性結果になったことを明らかにした。
P.パストリスCSSK株のためのプレート基準スクリーニング方法の開発
メタノール誘導培養上清の濃縮及び転換体のSDS-PAGE分析によって、種々の形質転換体から最大生成クローンを選別することは労働集約的手順であり、最良生成体の“ふるい分け”はピキア・パストリス発現系の隘路である。したがって、数百の形質転換体をスクリーニングして最大生成クローンを選別するという通常の退屈な方法を打ち負かす、直接的なプレート基準スクリーニング方法(PBS方法)が開発された。
このスクリーニング方法では、CSSKを発現するクローンはメタノール誘導後に培養され、上清が活性のアッセイに用いられた。PBS方法を最適化するために、種々の体積のCSSK培養ブロスを用いて、発現CSSKによる外因性プラスミノーゲンの活性化を基準にする機能性アッセイを実施し、活性対用量応答曲線を作成した。この活性アッセイの結果は、CSSK含有培養ブロスの体積増加に伴うCSSK活性の漸増的増加を10μL未満の最小体積まで明瞭に示し、その後は活性が低下した。これは、培養ブロスに存在する培地成分による酵素活性の干渉に起因する可能性があろう。
超生成クローンを得るために、2.5mLのBMGY培地を含むファルコンチューブで個々の形質転換体をODが2−6に達するまで12−16時間培養した。続いて細胞をBMMY培地でOD 1に希釈した。前記培養を10日間メタノールとともに維持した。メタノールを24時間毎に最終濃度1%に補充してエタノールの蒸発を相殺した。24時間後毎に、細胞を遠心分離し、培養ブロスを活性アッセイのために収集した。アッセイのために、各ウェルで100μLの反応混合物(50mM Tris-Cl、21.2uMのプラスミノーゲン(PG)、0.5mMクロモザイム(トシル-Gly-Pro-Lys-p-ニトロアナリド)及び3μLの上清から成る)を用いた。活性アッセイは、マイクロタイタープレートリーダー(VERSAmax, Molecular Devices)での時間の関数として405nmでの吸収の変化を記録することによって実施した。96ウェル様式でのスクリーニング方法及び得られた結果は図11−12に示されている。複数の株を5mLのBMGY培地に別々に接種し、ODが2から6に達するまで30℃で振盪しながらログ期に向けて増殖させた。細胞を室温で遠心分離(5000rpm、5分)によって収集し、誘導のためにメタノール含有BMMY培地に前記細胞ペレットをOD 1に再懸濁した。メタノール誘導培養の上清は各タイムコース後に微量遠心管に移し細胞を採集した。
CSSKタンパク質の発現レベルをCSSK発現株(例えばpPIC9K-CSSK/GS115、pPIC9K-アルファ改変CSSK/GS115、pPIC9K-optCSSK/GS115、pPIC9K-native+optCSSK/GS115及びpPIC9K-opt+nativeCSSK/GS115)でチェックした。
培養上清のCSSKの全収量をプラスミノーゲン活性化を用いて決定し(表1)、この場合、既知濃度の大腸菌発現精製CSSK対活性勾配を利用する標準図を基準にした(図13)。結果は表1に集計されている。
表1:標準曲線によるCSSKの計算表
Figure 2018531611
活性アッセイを基準に選別したクローンを10倍希釈後に活性について再度試験し、更にSDS-PAGE分析によって検証した(図14A−B)。
表2は、種々のヌクレオチド配列を利用するが同じアルファ改変シグナル配列を有するCSSKによりP.パストリスで得られた分泌発現レベルの比較を提供する。表2から分かるように、CSSK発現は5’最適化/3’自然のままのCSSKで形質転換されたクローンで最高であった。
表2:種々のヌクレオチド配列を利用するCSSKによりP.パストリスで得られた分泌発現レベル
Figure 2018531611
培養及びCSSKタンパク質の精製
ピキア株のCSSK分泌発現は細菌によるCSSK生成と較べてタンパク質抽出手順を簡略化したが、それでもCSSKはその他の培地成分から分離されねばならない。分離工程を改良するために、CSSK及びHIC物質をカラムで高効率に結合させる多様な塩及び塩濃度を試験し、純粋形でのその溶出を選択的に可能にする低塩濃度に辿り着き、更にタンパク質の安定性に影響を与えることなくフェニルセファロースビーズとの結合を最大にする塩条件が確定された。CSSKタンパク質の大規模発現を2Lのフラスコで実施した。プレート基準スクリーニング方法を用いそこそこに良好な活性プロフィールに基づいて、最大量のタンパク質を生成するP.パストリス組換え株のクローン、pPIC9K-アルファ改変CSSK/GS115及びpPIC9K-opt+nativeCSSK/GS115を125mLのBMGY培地で振盪しながら(280rpm)30℃で、培養が2−6のOD600に達するまで培養した。細胞をペレットにし(1500g、10分)、更に500mLのBMMY培地に再懸濁した。純粋なメタノールを最終濃度1%で24時間毎に添加した。48時間後に細胞をペレットにし(5000g、12分)、培養ブロスを平衡化緩衝液(0.25M NaCl及び25mMリン酸緩衝液(pH7.4))に再懸濁した。CSSKを精製するために、フェニルセファロースカラムを充填し、同じ緩衝液で平衡化した。培養ブロスを平衡化カラムに適用し、引き続き8倍のベッドボリュームの同じ緩衝液で、その後25mMのリン酸緩衝液(pH7.4)で洗浄し、続いて1.0mL/分の流速の滅菌水でタンパク質を溶出させた。溶出分画は1mL分画として収集した(図15)。全精製工程をAKTAprimeクロマトグラフィー系(GE Healthcare Life Sciences)で4℃にて実施した。
精製CSSKタンパク質の分析
単工程精製から得られるCSSKタンパク質の性状
10% SDSポリアクリルアミドゲルを用いてSDS-PAGEを実施した。クロマトグラフィー分画を含むサンプルをSDSサンプル緩衝液に還元条件下で溶解した(図16A−16B)。タンパク質バンドの可視化のためにゲルをクマシーブリリアントブルーR-250(Sigma)で染色した。クロマトグラフィー分画分析は、発現されたCSSKタンパク質と一致する約1520分のピークを明示した。SDS-PAGE分析は、大腸菌発現CSSKと比較してピキア発現CSSKタンパク質の分子サイズの上方シフトをはっきりと示した。発現宿主として、酵母は、真核細胞のタンパク質プロセッシング、折畳み及び翻訳後修飾に関して大腸菌よりも多くの利点を提供する。したがって、ピキア由来CSSKのサイズ増加の説明は翻訳後修飾(例えばグリコシル化)であり得る。
生化学アッセイ及び細菌発現CSSKとの比較
ピキア発現CSSKの精製タンパク質は大腸菌発現精製CSSKに匹敵する活性を示すはずである。プラスミノーゲン活性化を試験し、前記活性化がピキア発現CSSKと大腸菌発現CSSKで本質的に同一であることが判明した。加えて、反応に添加されるプラスミン量が増加するとき活性におけるタイムラグが漸進的に減少する(図17)。このことは、酵母由来CSSKは大腸菌由来CSSKと同じように活性を有すること、更に活性化のために同じようにプラスミン依存性を有することを示している。少量のプラスミン(血液血栓に存在する)の存在に対するプラスミノーゲン活性化能力の依存性はフィブリン血栓特異性を機能させる。なぜならば、自然のままのSKとは異なり、CSSK(酵母由来であれ大腸菌由来であれ)は同時点で血液循環中では不活性であるが(血中ではプラスミンは迅速に不活化されるため)、病理的血液血栓中ではプラスミンが“遮蔽されている”ために選択的に活性化される。酵母由来CSSKにこの特性が存在することは、この系で生成されたCSSKは大腸菌から調製されたものと同様に、そのプラスミノーゲンアクチベーター活性という特徴に関して同じ(もっとも重要な)生物学的特徴を有することの明瞭な証である。
SK及びフィブリン結合ドメインによる免疫ブロッティング
CSSKの複数のバッチを細菌発現CSSK及び自然のままの非グリコシル化SKとウェスタンブロットによって比較した。図20に示すように、ピキア発現CSSKはグリコシル化のためにより大きな分子量を有する。ウェスタンブロッティングは、5つの5Lバッチから精製したタンパク質(図20、レーン1−5)及び1つの100L生成バッチ(図20、レーン6)は一致することを明らかにし、ピキア発現CSSKは複数のバッチ及びバッチサイズ間で同じ分子量を有することを示した。
精製CSSKの生物物理学的特徴
N-末端配列決定:‘改変’α-因子シグナル配列を有する精製CSSKタンパク質をポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜にエレクトロブロッティングによって移した。タンパク質バンドを切り出し、N-末端配列決定のために処理した。配列番号:20は、改変アルファシグナル配列及び成熟CSSKタンパク質の始まりの配列を提供する。この配列では、コロン(:)は、成熟タンパク質コード配列の開始及び種々のシグナル配列のプロセッシング部位を表示し、下線付き残基は成熟CSSKタンパク質の決定されたN-末端配列を示す。下線が付されていない残基は改変アルファシグナル配列である。
配列番号:20
MRFPSIFTAVLFAASSALAAPVNTTTEDETAQIPAEAVIGYSDLEGDFDVAVLPFSNSTNNGLLFINTTIASIAAKEEGVSLEKR:QAQQIVPIAEKC
このタンパク質のN-末端配列決定は、エドマン分解を用いて自動タンパク質シーケンサーによって達成された。エドマン試薬(フェニルイソチオシアネート(PTC))は、12%のトリメチルアミンの軽度に塩基性の緩衝溶液と一緒に吸着タンパク質に添加される。続いて、末端アミノ酸(これから誘導される)を酸無水物の添加によって選択的に分離させる。続いて誘導体を異性化して置換フェニルチオヒドラントインを生じ、これを洗い流してクロマトグラフィーによって識別する。前記サイクルを繰り返す。
N-末端配列決定は、酵母発現によって生成したCSSKタンパク質のN-末端が大腸菌発現タンパク質と同じN-末端を有するか否かを調べるために実施した。発酵によって生成したいくつかのバッチの精製タンパク質をエレクトロブロッティングによってPVDF膜に吸着させ、同様に大腸菌発現精製CSSKもブロッティングした。タンパク質ブロットをアプライドバイオシステムズ社のタンパク質シーケンサーモデル491 cLCのBLOTTTMカートリッジ(反応チャンバー)(Applied Biosystems Procise Protein Sequencer Model 491 cLC)にローディングした。前記装置はエドマン分解反応を利用し、誘導後にタンパク質のN-末端から連続的なアミノ酸の分解を引き起こす。
N-末端配列決定の結果は正確なタンパク分解プロセッシング及びシグナル配列の除去を明らかにした。シグナル配列の除去は所望のCSSK N-末端配列をもたらした。したがって、改変アルファシグナル配列を用いたCSSKの分泌発現は、シグナル配列が除去されないという問題が存在しないN-末端配列及び大腸菌発現CSSKと同一のN-末端配列をもたらした。
精製CSSKのグリコシル化実験
CSSKの酵素による脱グリコシル化
P.パストリスから分泌されたCSSKの脱グリコシル化を、エンドグリコシダーゼHf及びPNGase F(New England Biolabs, Beverly, USA)を用いることによって実施し、前記酵素のそれぞれの脱グリコシル化緩衝液及び条件を製造業者の指示にしたがって用いた。前記脱グリコシル化タンパク質を10%のSDS-PAGEゲルで分析し、未処理コントロールと比較してタンパク質分子量における何らかのシフトを検出するためにクマシーブリリアントブルーR-250で染色した。ピキアCSSKをendoH酵素とともにインキュベートしたときに、85kDaから70kDa(大腸菌発現CSSKと同等)への分子サイズの低下が観察された(図18)。脱グリコシル化CSSKの分子量は69,695Daであり、一方、酵母発現グリコシル化CSSKの分子量は80,515Daであった。これらの結果は、ピキア発現CSSKは酵母細胞で発現されるときにはグリコシル化を受けるが、グリコシル化は大腸菌発現CSSK(一切のグリコシル化を欠く)と比較してその生物学的活性に影響を与えなかったことを示している。
PAS染色
グリコシル化部分の存在を確認するために、SDS-PAGEゲルをクマシーブリリアントブルーG-250で染色し、並行して別のゲルを糖タンパク質検出キット(Sigma, USA)で処理した。この検出系は過ヨウ素酸シッフ(PAS)法の改変で、淡桃色又は無色のバックグラウンドにマゼンタバンドを生じる。PAS染色のプロトコルそれ自体は製造業者の指示にしたがった。ピキア発現CSSKは過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色によって染色され、したがってグリコシル化の存在が確認された(図19A−19B)。
ファーメンターでのCSSK発現株の培養
7リットルのファーメンター(5リットルに近い稼働体積)を発酵に用いた。ファーメンターには所望の設定値での温度、pH、溶解酸素及び気流の自動制御が装備された。ファーメンターにはまた、操作パラメーターのオンライン記録のためにデーターロギングソフトが装備された。pH、溶解酸素及び接続空気のためのプローブ並びに廃ガスフィルターを挿入した後でファーメンターを増殖培地とともに滅菌した。滅菌及び冷却後、培地の残りの成分を無菌条件下で容器に加えた。液体アンモニアをpH制御に及び窒素源として用いた。所望の設定値でpHを設定し、DOプローブの目盛りを調整した後、ファーメンターの培地に種培養を接種した。pH、温度及び溶解酸素は発酵を通して所望の設定値で維持された。撹拌速度は300−900rpmに、気流は1.0±0.2vvmに維持された。回分相完了後に、予め定めた流速で供給培地を添加することによって流加相を開始した。純酸素を接続し、DO制御装置によって必要な時にはいつでも取り入れた。培養を所望の光学密度まで増殖させ、メタノールの添加によって誘導した。規則的な間隔でサンプルを採取し、OD600及び活性アッセイによる発現レベルについて試験した。最大レベルの発現が達成された後、バッチを誘導から10日目に採集した。
大規模(100リットル)ピキア発酵からCSSKを得るために、15Lファーメンター(10Lに近い稼働体積)を接種調製物のために用いた。100Lに近い稼働体積を有する製造用ファーメンター(140L)に10%接種材料で接種した。前記ファーメンターはともに所望の設定値での温度、pH、溶解酸素及び気流の自動制御を備えていた。ファーメンターにはまた操作パラメーターのオンライン記録のためにデーターロギングソフトが搭載された。pH、溶解酸素及び接続空気のためのプローブ並びに廃ガスフィルターを挿入した後で、定置蒸気滅菌(SIP)を用いてin situでファーメンターを増殖培地とともに滅菌した。滅菌及び冷却後、培地の残りの成分を無菌条件下で製造用(100L)ファーメンターに加えた。液体アンモニアをpH制御に及び窒素源として用いた。所望の設定値でpHを設定し、DOプローブの目盛りを調整した後、ファーメンターの培地に種培養を接種した。pH、温度及び溶解酸素は発酵を通して所望の設定値で維持された。撹拌速度は150−400rpmに、気流は1.0±0.2vvmに維持された。回分相完了後に、予め定めた流速で供給培地を添加することによって流加相を開始した。純酸素を接続し、DO制御装置によって必要な時にはいつでも取り入れた。培養を所望の光学密度まで増殖させ、メタノールの添加によって誘導した。規則的な間隔でサンプルを採取し、OD600及び活性アッセイによる発現レベルについて試験した。最大レベルの発現が達成された後、バッチを誘導から10日目に採集した。典型的には、1リットル当たり2gを超えるCSSK収量が得られた。
精製
固液分離:発酵ブロスをファーメンターから収集し、培地から細胞を分離するために遠心分離に付した。得られた湿潤細胞重量及び培養上清の総体積を記録した。上清に対して、塩化ナトリウム及びリン酸緩衝液の最終濃度をそれぞれ0.1M及び20mMに維持して最終導電率50±10 mS/cmを維持した。前記を直ちにクロマトグラフィーカラムにローディングした。バイオマスは加圧滅菌処理に付した後で焼却した。100L規模では、ブロスの清澄化にはグランドスタンド中空糸系(G.E Healthcare)を用いて実施し、0.2μmの中空糸カートリッジを使用した。所望のタンパク質を含む浸透物の導電率は、クロマトグラフィーカラムにローディングする前に、5MのNaCl及び1MのPB(pH7.2)を用いて50±10 mS/cmに設定した。
クロマトグラフィー:疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムを用いて、改変ストレプトキナーゼを培養上清から精製した。種々の緩衝液を用いて広範囲に洗浄してから培養上清をカラムにローディングし、タンパク質を溶出させた。この工程から得られる精製タンパク質を、いくつかの陽イオン性不純物を除去するために続いてイオン交換カラムに適用した。この工程から得られるタンパク質を濃縮し、クロスフロー限外ろ過(30kDa)を用いて脱塩し、続いて凍結乾燥に付した。最終生成物を濾過滅菌して-80℃で保存した。
血栓症霊長類モデルにおけるCSSK用量応答のin vivo試験
カニクイザル(3.3−6.9kg)のCSSK血栓溶解応答を調べた。動物に外科手術を施して大腿動脈にアクセスし、大腿動脈血流をモニターする血流プローブを導入した。加えて針電極を大腿動脈に導入し血栓症を誘発した。電極から電流(150uA)を流すことによって偶発的に血小板濃厚/フィブリン血栓を発生させた(電流は血管内層の内皮の破壊とその後の損傷部位への血小板付着をもたらす)。血小板凝集が続き、その後にフィブリンの沈着及び架橋が生じる。CSSKをボーラス注射によって投与し、先に血栓を生じた大腿動脈における有効な溶解として前記薬剤の用量応答性特徴を決定した。再灌流時間、再灌流発生率及び再閉塞時間を残留血栓重量、出血時間及び血漿フィブリノゲンの連続的実験室測定とともにモニターした。
動物の保定、技術的処置及び外科手術準備を実施する前に、0.2mg/kgのアセプロマジン及び0.02mg/kgのアトロピンを含むカクテル、続いて4mg/kgのプロポフォール注射(i.v.)(撓側皮静脈又は伏在静脈の静脈内カテーテルによる)を用いて動物を鎮静化させた。鎮静化後に外科手術/処置のために以下のような準備を動物に実施した:直ちに動物に挿管し、体積調節型人工呼吸器又は吸入装置から送られる吸入イソフルランで麻酔した(導入には2.5%−4%、維持には0.5−2.5%)。薬剤の投与はIVカテーテルを介して実施し、投与薬剤、用量、ルート及び部位を記録した。乳酸リンゲル溶液を外科手術の間ずっと10mL/kg/時間で投与した。
大腿動脈に動脈圧及び心拍数のモニター装置を設置した。大腿静脈に血液サンプル採取及び静脈用液体の投与のためにカニューレを挿管した。反対側の大腿動脈を大腿静脈から慎重に切り外し、血管攣縮の予防を促進するために塩酸リドカイン(2%溶液)を局所適用した。2.0mmの血管周囲血流プローブ(Transonic Systems)を、下腹壁動脈の大腿動脈上の起点から約15mm遠位の大腿動脈上に配置した。血管周囲間隙を粘稠な音響ゲルで満たした(前記ゲルは超音波通過時間法(ultrasonic transit time method)(Transonic Systems)によって大腿動脈の相的血流及び平均血流の測定を可能にする)。
25ゲージの皮下針から作製した小電極を利用して内皮を損傷させた。この電極を下腹壁動脈の分枝部と血流プローブとの間の血管内腔に導入した。血栓を形成させ1時間経過後に動物にCSSKをボーラス投与した。前記時間経過の間に、ヘパリンナトリウムを静脈内投与して血栓成長を予防した(閉塞後に100U/kg(静注)、更に50U/kg(静注)を追加)。血液サンプルを、基準時、血栓閉塞後、CSSKボーラス静注投与直前、続いてCSSK投与後30分、1時間、2時間、3時間及び4時間後に収集及び記録した。血液は指定の時点でaPTT、ACT及びフィブリノゲン決定のためにそれぞれ別個に耳介辺縁静脈穿刺により収集した。各時点で合計約5mLの血液を収集した。
凝固試験:クエン酸ナトリウムチューブ(0.2mLの3.8%クエン酸ナトリウム)への約1.8mL血液の抜取りを実施した。血液サンプルは、血漿調製のための遠心分離(1500g、15分、4℃)まで氷上で維持した。ピペットを用いてクエン酸添加血漿サンプルを吸い上げ、ラベルを付した2本の清浄な個々のチューブに均等に分けた。サンプルは、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の分析のために-80℃で保存した。ACTは現地で実施した。1本のバイアルを分析し、1本のバイアルを代替サンプルとして保存した。
血漿フィブリノゲン:約3mLの血液を入手し、EDTA/PPACKチューブに加えた。血液サンプルは遠心分離(1500g、15分、4℃)まで氷上で維持した。ピペットを用いて血漿EDTA/PPACKサンプルを吸い上げ、ラベルを付した2本の清浄な個々のチューブに均等に分けた。サンプルは、血漿フィブリノゲンの以後の分析のために-80℃で保存した。沈殿法を用いて1本のバイアルを分析し、血漿フィブリノゲンレベルを決定した(Orsonneau, J., et al., Clin.Chem., 35:2233, 1989)。
薬物反応動態(PK):CSSK血漿レベルのPK分析のための血液サンプルを、本実験の各動物から0、1、3、10、15、30、60、120、240、300及び360分の時点で入手した。これらのサンプルをS2251アミド分解バイオアッセイで分析する(Grierson DS and Bjornsson TD, Clin Pharmacol Ther.1987 Mar;41(3):304-13)。
出血時間:皮膚出血時間を前腕部で決定した(前記前腕部は上腕部に配置した締付け輪によって40mmHgの静脈流停止を受けた)。SURGICUTテンプレートブリーディング装置を用いて均一な切開(長さ5mmx深さ1mm)を実施した。出血時間は、切開部位の血流を停止させるために十分な一次血小板血栓の形成に要した秒による時間と定めた。
血圧、心拍数及び処置血管の血流:上記に記載した手順の間、動脈へのアクセスは経皮的に得られ、動脈血圧のモニタリングのために利用した。動脈壁の側方開口部をデータスコープパスポート系(Datascope Passport System)に連結し、収縮期動脈圧(SAP)、拡張期動脈圧(DAP)、平均動脈圧(MAP)及び心拍数(HR)をモニターした。前記手順の間ずっとAD装置により持続的に全データをモニターしデジタルで記録した。
結果
血栓溶解有効性及び残留血栓重量:先に血栓を生じ完全に閉塞した大腿動脈の血流を回復させるCSSKの能力によって、血栓溶解の有効性を査定した。血栓性閉塞は、血管内面に対する電解性損傷(血小板付着、血小板凝集及びフィブリン沈積が後続する内皮の破壊をもたらす)により達成された。
表3はCSSKについての試験の以下の主要評価項目を示す:再灌流発生率、再灌流までの時間、再閉塞の発生率及び再閉塞までの時間。CSSKは、25,000、50,000及び100,000U/kgのボーラス静注用量で評価された。CSSKの比活性(70,000U/mg)を基準にして、CSSKのこれらの3用量は、それぞれ0.35、0.71及び1.42mg/kgに変換される。各用量グループで2匹の動物が試験された。
表3:カニクイザルの大腿動脈におけるCSSKの血栓溶解有効性
Figure 2018531611
25,000U/kg(0.35mg/kg)で投与されたCSSKは、2匹の被験サルの標的血管の再灌流を惹起できなかった。残留血栓の質量は、より高用量のCSSKで処置された他のグループと比較して相対的に高く、十分に血栓を分解して首尾よい再灌流を達成するためには、前記低用量はこの動物モデルでは十分ではないことを示している(首尾よい再灌流は、血栓が誘発される前の基準血流と比較して50%以上の血流の回復と定義される)。
次に高い用量(50,000U/kg(0.71mg/kg))で投与されたCSSKは2匹の被験動物のうち1匹で首尾よい再灌流を引き起こし、残留血栓質量は非常に低かった。
最高用量で(100,000U/kg又は1.42mg/kg)、首尾よい再灌流が両動物で生じ、残留血栓は先の中間用量CSSKグループで観察されたように低かった。
図21は大腿動脈血流のリアルタイム分析を示す。時間帯の空白領域は、標的血管が開放され上記で定義したように血液が50%以上のレベルで流れていることを示す。閉鎖領域は、血管が血栓を有し血流がないことを示す。CSSKは矢印で投与され、続いて溶解作用の進行を視覚的に認めることができる。この仕方は、tPA及び関連アナローグの作用を示すために最初Goldら(Gold et al., Circ., 77(3):673, 1988)が記載した。
効果的なCSSK誘発血栓溶解時のリアルタイム大腿動脈血流の追跡図は図22A−22Bに提供される。上段の追跡図は拡張期及び収縮期により変動する拍動性血流パターンであり、下段の追跡図は標的血管の平均(mean)(平均化(average))血流である。最高用量(100,000U/kg又は1.4mg/kg)で処置された両動物は、それぞれ35分及び162分で有効な再灌流を生じた。
血漿フィブリノゲンレベル:血漿フィブリノゲンレベルを表4に示す。CSSKは処置後にフィブリノゲンレベルのわずかな変動をもたらすだけで、前記は時間とともに減少する傾向があり、これはPBSのみで処置されたカニクイザルで以前に認められた現象である。
表4:血漿フィブリノゲンレベル(mg/dL)
Figure 2018531611
出血時間:この試験では出血時間は変動し、CSSK応答に一定のパターンは観察されなかった。
平均動脈血圧及び心拍数:平均動脈血圧及び心拍数を各実験の間ずっと定常的にモニターした。CSSKは、調べた全ての用量で平均動脈血圧又は心拍数を顕著には変化させなかった。
結論
本主要目的は、可能なかぎり人間の血栓の状況に近いモデルでCSSKの用量応答特性を決定することであった。本明細書で用いた非ヒト霊長類モデルは、新規な血栓溶解剤の開発に、特に人間の臨床試験のための用量選択に関する重要な情報の提供で決定的なデータを提供する。この試験で得られたデータは、CSSKの人間への用量決定のために強力な薬理学的土台を提供する。両被験動物で有効であったCSSK用量(1.42mg/kg(100,000U/kg))はまた以前の2匹の被験カニクイザルでも有効であり、したがって、この用量は、今や総合すれば4匹の非ヒト霊長類のうち4匹で首尾よく再灌流を引き起こすために有効である。
この試験で用量応答の他の末端値もまた0.35mg/kg(25,000U/kg)の低用量で確認された。この用量は2匹の動物で再灌流をもたらすことができなかった。しかしながら以前の試験では、この用量は血栓の溶解に有効であったが、血管は急速に再閉塞された。したがって、0.35mg/kg用量は、用量応答曲線のほぼ最低と定義される。
用いた中間用量(0.70mg/kg(50,000U/kg))は2匹の被験動物のうち1匹で再灌流を生じた。以前の試験では、この用量もまた50%レベルで有効で、したがって合計すればこの用量では4匹のうち2匹で有効であった。
したがって、in vivoでのCSSK(ボーラス静注として0.7−1.4mg/kg)は、カニクイザルで実験的に誘発した大腿動脈血栓を溶解し、血漿フィブリノゲン、前腕部出血時間又は血流動態における変動は比較的小さい。
約0.5mg/kgの人間の想定CSSK用量はこの非ヒト霊長類用量応答範囲に近くなる。この非ヒト霊長類は人間由来プラスミノーゲンアクチベーターに対する感受性は少し低いから、したがって人間のための用量が非ヒト霊長類から想定される用量よりもわずかに低いことは驚くに当たらない。
CSSKに関するGLP安全性試験が、1、3及び10mg/kg/日の用量で雄及び雌のカニクイザルで5日間連続して実施された。カニクイザルは雄雌ともにこれらの用量レベルのCSSKに対して一般的に良好な耐性を示した。したがって、この低用量1mg/kgは、カニクイザルに静脈内ボーラス注射で投与されるCSSKの反復投与1日用量として無有害作用レベル(NOAEL)と考えられる。
単一ボーラスとして投与され得る血栓溶解剤は、病院施設へのアクセスが文字通り数時間を要する農村地帯で診断された患者にとって多くの利点を有する。心筋梗塞を発症するスピードとともに、時間は非常に重要であり、したがって、単一ボーラスとして投与し得る血栓特異的溶解剤(例えばCSSK)は、梗塞のリスクがある心筋を潜在的に守りしたがって人々の生命を救う。
ST部分上昇性急性心筋梗塞(STEMI)患者における本明細書の記載にしたがって生成したCSSKのボーラス注射の有効性及び安全性
本試験は、インドで、より具体的にはインドのナーグプル、バローダ、カラムサードで実施された。
投与ルート:末梢静脈における2分間の静脈内ボーラス
投薬量:本明細書の記載にしたがって生成したCSSKの20mg
STEMIと確認された患者が3センターで自由意思により登録された(インドのナーグプル、バローダ及びカラムサード)。患者が胸部痛を訴えてから6時間以内に全ての患者(n=10)にCSSKを処置した。年齢が40−61歳で体重が41−80kgの範囲の男性9名及び女性1名がCSSKで処置された。CSSK投与後90分で血管造影によって患者を判定し、全員にステントを設置した(TIMI流速0−3とは無関係)
結果を下記に集計する。
表5:冠動脈TIMIにおける血流の特徴及び患者の結果
Figure 2018531611
他の結果は以下の通りであった:
−20mgのCSSKで処置された10名の患者のいずれにも小出血又は大出血の素質は全く認められなかった。
−血流動態(BP、心拍数、呼吸数)はCSSK投与によって評価し得るほどには変化がなかった。
−生化学的及び臨床検査的凝固パラメーターにCSSK処置に起因する実質的な変化はなかった。
−CSSKに起因する肝障害の血清化学的証拠は認められなかった。しかしながら、肝酵素のわずかな上昇があったが(これらはSGOT及びわずかなSGPT)、ただしこれらは、これら患者で発生した急性心筋梗塞事象による二次的なものと考えられた。
−血漿フィブリノゲンがCSSK投与前及び投与後36時間まで全ての患者で評価された。予想されかつ一定の血漿フィブリノゲンレベルの低下があったが、前記低下は薬剤投与から4−8時間後に回復した。図23に示すように、いずれの患者も100mg/dLより低いフィブリノゲン降下は示さなかった。
−有効性の表示としてTIMIグレード2又は3流速が、10名の患者のうち5名で静脈内ボーラスSMRX-11(20mg)により達成された。
−全ての患者が症状の解除を示した。
参考文献
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特許
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−U.S.Patent No.8,143,0273/2012Sahni et.al 435/71.1

Claims (23)

  1. ポリヌクレオチドを含む発現カセットであって、前記ポリヌクレオチドが、酵母のメタノール誘導性プロモーター配列、改変アルファシグナル遺伝子配列、血栓特異的ストレプトキナーゼをコードする核酸配列及び転写終了因子配列を含み、前記血栓特異的ストレプトキナーゼをコードする核酸配列が、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6及び配列番号:8から成る群から選択されるヌクレオチド配列と85%同一性を有することを特徴とする発現カセット。
  2. 前記血栓特異的ストレプトキナーゼヌクレオチド配列をコードする核酸配列が、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6及び配列番号:8から成る群から選択される、請求項1に記載の発現カセット。
  3. 前記改変アルファシグナル遺伝子配列が配列番号:10に示されるとおりである、請求項1に記載の発現カセット。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の発現カセットを含む発現ベクター。
  5. 前記発現ベクターが、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:23、配列番号:26及び配列番号:28から成る群から選択されるポリヌクレオチド配列と少なくとも85%同一性を有するポリヌクレオチドを含む、請求項4に記載の発現ベクター。
  6. 前記血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)をコードする核酸配列が、(a)ストレプトコッカス・エクィシミリスによって生成されるストレプトキナーゼ(SK)、又はプラスミノーゲンを活性化する能力を有するSKの誘導体;及び(b)ヒトフィブロネクチンのフィブリン結合ドメイン4及び5(FBD4,5)、又はフィブリン親和性を有するFBD4,5の誘導体を含む、請求項1に記載の発現カセットを発現する形質転換酵母細胞。
  7. 前記形質転換酵母細胞が、血栓特異的ストレプトキナーゼ(CSSK)を細胞外に生成する、請求項1又は2に記載の改変アルファシグナル配列を発現する形質転換酵母細胞。
  8. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:27及び配列番号:29から成る群から選択されるポリペプチド配列と少なくとも85%同一性を有するポリペプチドをコードする、請求項4に記載の発現ベクター。
  9. 配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:23、配列番号:26及び配列番号:28から成る群から選択される核酸配列を有することを特徴とするポリヌクレオチド。
  10. 前記CSSKが、
    a.配列番号:11に示されるポリペプチド配列と少なくとも85%同一性を有するストレプトキナーゼ配列、及び
    b.前記ストレプトキナーゼ配列のN-末端及びC-末端の各々に配列番号:22に示されるポリペプチド配列と少なくとも85%同一性を有するポリペプチド配列を含む、請求項6に記載の形質転換酵母細胞。
  11. 前記CSSKが、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6及び配列番号:8から成る群から選択されるポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項6に記載の形質転換酵母細胞。
  12. 前記酵母が、ピキア属(Pichia)、ハンセヌラ属(Hansenula)、トルロプシス属(Torulopsis)及びカンジダ属(Candida)の種から成る群から選択されるメチル栄養性酵母である、請求項6に記載の形質転換酵母細胞。
  13. 前記酵母が、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・アノモラ(Pichia anomola)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、及びカンジダ・ボイディニイ(Candida boidinii)から成る群から選択される、請求項12に記載の形質転換酵母細胞。
  14. 前記酵母が、ピキア・パストリスである、請求項13に記載の形質転換酵母細胞。
  15. 前記酵母が、アクセッション番号MTCC25071を有するピキア・パストリスである、請求項14に記載の形質転換酵母細胞。
  16. 前記血栓特異的ストレプトキナーゼが、グリコシル化され、80,515 Daの分子量を有し、更に細胞外態様によって分泌される、請求項10〜15のいずれか1項に記載の形質転換酵母細胞によって生成される血栓特異的ストレプトキナーゼ。
  17. 請求項16に記載の血栓特異的ストレプトキナーゼ及び医薬的に許容できる担体を含む組成物。
  18. 心筋梗塞、血管血栓症、肺塞栓症、脳卒中、急性虚血性卒中、狭心症、肺塞栓症、一過性虚血性発作、深部静脈血栓症、冠状動脈介入処置に続く血栓性再閉塞、末梢血管血栓症、心不全、シンドロームX及び少なくとも1つの冠状動脈の狭窄から成る群から選択される疾患の治療又は予防を必要とする対象における前記疾患を治療又は予防する方法であって、請求項17に記載の組成物の治療的に有効な量を注射又は輸液の方法によって前記対象に投与する工程を含むことを特徴とする方法。
  19. 酵母細胞をスクリーニングして血栓特異的ストレプトキナーゼを産生する形質転換酵母細胞を識別する方法であって、以下の工程、
    (a)少なくとも1つの酵母細胞を請求項5に記載のベクターで形質転換し、形質転換酵母細胞を入手する工程;
    (b)少なくとも1つの形質転換酵母細胞をBMMY培地でメタノールとともに培養し、CSSKタンパク質の発現を誘導する工程;
    (c)前記培地培養液を前記形質転換酵母細胞から分離し、上清を入手する工程;
    (d)前記上清をプラスミノーゲン活性化について試験する工程;及び
    (e)前記細胞の上清でプラスミノーゲン活性化を検出することによって、血栓特異的ストレプトキナーゼを産生する形質転換酵母細胞を識別する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  20. 工程(d)のプラスミノーゲン活性化試験が、前記上清とプラスミノーゲン及び発色団と組合せ、そして405nmにおける光の吸収の変化を検出することによる、請求項19に記載の方法。
  21. 前記プラスミノーゲン活性化が、既知量のCSSKを示す参照値に対して測定される、請求項20に記載の方法。
  22. 工程(e)で識別された細胞のCSSK生成をSDS-PAGE分析によって確認する工程を更に含む、請求項19に記載の方法。
  23. 血液血栓の位置指向分解の方法であって、請求項17に記載の組成物の有効量をそのような治療の必要がある対象に投与する工程を含むことを特徴とする方法。
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