次に、本開示の様々な実施形態が詳細に参照されることになり、その1以上の実施例が図示される。図面に関する以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ構成要素を指している。概して、個々の実施形態に対する相違のみが説明される。本開示の説明として各実施例が与えられているが、これは本開示を限定することを意図しているわけではない。更に、一実施形態の一部として図示且つ説明されている特徴を、他の実施形態で用いてもよく、或いは他の実施形態と併用してもよい。それにより、更に別の実施形態が生み出される。本説明には、このような修正例及び変形例が含まれることが意図されている。
移送システムは、真空チャンバ、例えば、真空堆積チャンバ内で基板キャリアを非接触方式で移送するための磁気浮揚システムを利用することができる。本開示を通して使用される際に、「非接触」という用語は、基板キャリアの重量が、機械的な接触又は機械的な力によって保持されないが、磁力によって保持されるという意味において理解され得る。特に、基板キャリアは、機械的な力の代わりに磁力を使用して、浮揚又は浮いた状態で保持される。一実施例として、移送システムは、ローラーなどの、基板キャリアの重量を支持する機械的な手段を有さない。ある実施態様では、基板キャリアと移送システムとの間で全く機械的な接触が存在し得ない。基板キャリアの非接触式浮揚と任意選択的な非接触方式の移送は、基板キャリアの移送の間、基板キャリアとローラーなどの移送システムのセクションとの間の機械的な接触による粒子の生成がないという点で有益である。したがって、基板上に堆積した層の純度が、改良され得る。何故ならば、とりわけ、非接触方式の移送を使用するときに、粒子の生成が最小化されるからである。
磁気浮揚システムは、真空チャンバの内側の雰囲気ボックス(atmospheric box)内に提供される、1以上の磁気デバイスなどの様々な構成要素を含み得る。移送システム及びその構成要素の保守、サービス、及び/又は修理のために、雰囲気ボックスに対するアクセスを得るために、真空チャンバは通気される必要がある。保守、サービス、及び/又は修理の後で、真空チャンバ内で真空が再び実現されなければならない。適切な真空条件を満たし、例えば、堆積層の汚染を最小化する又は完全に避けるために、残留ガスなどの不純物は、真空チャンバから除去されなければならない。通気すること及び真空を再び実現することを含むそのような手順は、時間がかかり、堆積装置の大きなダウンタイムをもたらす。
本開示は、磁気浮揚システムを有する基板を移送するための装置を提供する。磁気浮揚システムの構成要素の少なくとも一部は、真空チャンバの周囲大気サイドに設けられる。言い換えると、磁気浮揚システムの構成要素の少なくとも一部は、真空環境内に設けられない。保持ユニットによって保持される少なくとも1つの磁気デバイスなどの、磁気浮揚システムの構成要素は、周囲大気サイドに設けられ、真空チャンバの内側の真空を破壊することなくアクセスすることが可能である。保守、サービス、及び/又は修理のための、堆積装置などの装置のダウンタイムが、低減され得る。更に、磁気浮揚システム、及びとりわけ少なくとも1つの磁気デバイスの、保守、サービス、及び/又は修理は容易になる。
図1は、本明細書で説明される実施形態による、基板10を移送するための装置100の概略図を示している。ある実施形態によれば、装置100は、層の堆積、例えば、基板10上でのスパッタ堆積のために構成され得る。
装置100は、真空サイド101を周囲大気サイド102から分離するように構成されたチャンバ壁を有する、真空チャンバ110を含む。ある実施態様では、真空チャンバ110が、真空堆積チャンバであり得る。装置100は、基板キャリア140を非接触方式で浮揚させるように構成された、磁気浮揚システム120を更に含む。磁気浮揚システム120は、真空チャンバ110内で移送経路に沿って基板キャリア140を移送する間、基板キャリア140に作用する磁力を提供するように構成された、少なくとも1つの磁気デバイス122を含む。ある実施形態では、磁気浮揚システム120が、移送経路に沿って基板キャリア140を非接触方式で移送するように構成され得る。磁気浮揚システム120は、周囲大気サイド102からアクセス可能な少なくとも1つの磁気デバイス122を保持するように構成された、少なくとも1つの保持ユニット130を更に含む。言い換えると、少なくとも1つの保持ユニット130は、例えば、保守、修理、又は交換のために、少なくとも1つの磁気デバイス122が周囲大気サイドからアクセスされることを可能にする構成を有する。
本開示を通して使用される際に、「真空」、「真空サイド」、及び「真空環境」のような用語は、実質的に物質がない空間、例えば、スパッタ堆積プロセスなどの堆積プロセスで使用される処理ガスを除いて、そこから空気又はガスの全て又はほとんどが除去されたところの空間として理解され得る。一例として、「真空」、「真空サイド」、及び「真空環境」のような用語は、例えば、10mbar未満の真空圧を有する工業的真空の意味において理解され得る。層堆積のための装置100は、真空チャンバ110の内側での真空の生成のために真空チャンバ110に連結された、ターボポンプ及び/又は冷凍ポンプなどの、1以上の真空ポンプを含み得る。本開示を通して使用される際に、「周囲大気サイド」という用語は、大気圧又は周囲圧を有する空間として理解され得る。特に、周囲大気サイド102は、真腔チャンバ110の外側として理解され得る。
本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る、ある実施形態によれば、真空チャンバ110内に真空環境が存在するときに、少なくとも1つの保持ユニット130は、周囲大気サイド102からアクセス可能な少なくとも1つの磁気デバイス122を保持するように構成されている。少なくとも1つの磁気デバイス122は、真空チャンバ110内に真空が存在している間、保守、サービス、又は交換のためにアクセスされ得る。言い換えると、真空チャンバ110は、少なくとも1つの磁気デバイス122の保守、サービス、又は交換のために通気される必要がない。少なくとも1つの磁気デバイス122の保守、サービス、及び/又は交換のための装置100のダウンタイムが低減され得る。
真空チャンバ110は、真空サイド101を画定する空間を囲い込む複数のチャンバ壁を有する。ある実施態様では、複数のチャンバ壁が、上壁112、底壁114、及び1以上の側壁116を含み得る。少なくとも1つの保持ユニット130は、複数のチャンバ壁のうちの1つのチャンバ壁、例えば、上壁112又は底壁114に設けられ得る。しかし、本開示は、それらに限定されるものではなく、保持ユニット130は、周囲大気サイド102から少なくとも1つの磁気デバイス122へのアクセスを可能にする、真空チャンバ110の任意の適切な部分に設けられ得る。
基板キャリア140は、例えば、スパッタリングプロセスなどの層堆積プロセスの間、基板10を支持するように構成されている。基板キャリア140は、例えば、プレート又はフレームによって設けられた支持面を使用して基板10を支持するように構成されたプレート又はフレームを含み得る。任意選択的に、基板キャリア140は、プレート又はフレームに基板10を保持するように構成された(図示せぬ)1以上の保持デバイスを含み得る。1以上の保持デバイスは、機械的及び/又は磁気的クランプのうちの少なくとも1つを含み得る。
本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る、ある実施形態によれば、基板キャリア140は、特に、層堆積プロセスの間、実質的に垂直配向に基板10を支持するように構成されている。本開示の全体を通して使用される際に、「実質的に垂直」は、特に、基板の配向に言及するときに、垂直方向又は配向から±20度以下、例えば、±10度以下の偏差を許容するように理解される。例えば、垂直配向からの幾らかの偏差を有する基板支持体がより安定した基板位置をもたらし得るので、この偏差が提供され得る。やはり、層堆積プロセスの間の基板配向は、実質的に垂直であるとみなされ、水平な基板配向とは異なるとみなされる。
少なくとも1つの磁気デバイス122は、基板キャリア140に作用する磁力Fを提供するように構成されている。特に、少なくとも1つの磁気デバイス122は、基板キャリア140の位置に磁場を生成するように構成され、その磁場は磁力Fを提供する、磁力Fは、基板キャリア140に作用して、基板キャリア140を浮揚状態において非接触方式で保持する。一実施例として、少なくとも1つの磁気デバイス122によって提供される磁力Fは、例えば、真空チャンバ110を通して基板キャリア140を移送する間、基板キャリア140上に配置された基板10を有する基板キャリア140を、実質的に垂直配向で維持又は保持することができる。
磁力Fは、基板キャリア140上に配置された基板10を有する基板キャリア140を、浮揚状態において保持するのに十分である。特に、磁力Fは、基板キャリア140の全重量に等しくなり得る。基板キャリア140の全重量は、少なくとも(空の)基板キャリア140の重量と基板10の重量とを含み得る。一実施例として、少なくとも1つの磁気デバイス122によって生成される磁場は、基板キャリア140を宙吊りの又は浮揚した状態において維持するために、磁力Fが基板キャリア140の全重量Gと等しくなるように選択される。
基板キャリア140が、所定の範囲内又は少なくとも1つの磁気デバイス122から所定の距離に配置されたときに、磁力Fは、基板キャリア140に作用する。特に、基板キャリア140が移送される間、例えば、基板キャリア140の少なくとも一部分が、少なくとも1つの磁気デバイス122の近傍(例えば、下方)にあるときに、磁力Fは、基板キャリア140に作用する。
ある実施形態では、基板キャリア140を移送する間、磁力Fが、基板キャリア140に作用しているときに、少なくとも1つの磁気デバイス122と(例えば、垂直配向の)基板キャリア140との間の距離又はスペースは、1cm未満、特に、0.5cm未満、更に特に、0.3cm未満である。ある実施態様では、少なくとも1つの磁気デバイス122と基板キャリア140との間の距離又はスペースは、0.5から5mmまでの範囲内であり、特に、1から2mmまでの範囲内であり、更に特に、約1.5mmであり得る。ある実施形態によれば、基板キャリア140が、少なくとも1つの磁気デバイス122の直下に配置されているときに、少なくとも1つの磁気デバイス122と(例えば、垂直配向の)基板キャリア140との間の距離又はスペースは、1cm未満、特に、0.5cm未満、更に特に、0.3cm未満である。しかし、少なくとも1つの磁気デバイス122と基板キャリア140との間の距離は、それらに限定されるものではないことが理解されるべきである。少なくとも1つの磁気デバイス122によって提供される磁力Fが、基板キャリア140を浮揚状態において保持するように基板キャリア140に作用することを可能にする、任意の適切な距離又はスペースが選択され得る。
本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る、ある実施形態によれば、少なくとも1つの磁気デバイス122によって生成される磁場は、静磁場又は動磁場である。磁場、特に、磁場の強度は、動的に調整され得る。一実施例として、基板キャリア140が、浮揚した又は宙吊りの状態で維持されるように、磁場は、基板キャリア140の位置に基づいて調整され得る。
ある実施態様では、基板キャリア140が、1以上の磁気ユニット142を含み得る。一実施例として、1以上の磁気ユニット142は、基板キャリア140の材料によって提供され得る。言い換えると、少なくとも1つの磁気デバイス122によって生成される磁場が、基板キャリア140に作用して磁力Fを提供し得るように、基板キャリア140の少なくとも一部分の材料は、(例えば、半磁性又は強磁性の)磁気材料であり得る。1以上の磁気ユニット142は、基板キャリア140のサイド又は側部/セクション、例えば、少なくとも1つの磁気デバイス122に面したサイド又は側部/セクションに設けられ得る。一実施例として、1以上の磁気ユニット142は、基板キャリア140が実質的に垂直配向にあるときに、基板キャリア140の上側に設けられ得る。少なくとも1つの磁気デバイス122によって提供される磁場、したがって、磁力Fは、1以上の磁気ユニット142に作用して、基板キャリア140を非接触方式で保持し得る。一実施例として、1以上の磁気ユニット142は、永久磁石であり得る。ある実施形態では、基板キャリア140は、基板キャリア140の周囲への有線接続を必要とする、電子デバイスなどの任意のデバイスを含み得ない。言い換えると、基板キャリア140は、その周囲への物理的又は機械的接続を有し得ない。そのような物理的接続を有さないことは、有益である。何故ならば、動く要素による粒子の生成が、低減され又は完全に避けられ得るからである。
本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る、ある実施形態によれば、装置100は、基板キャリア140を移送経路に沿って移送するように構成された、駆動システム150を更に含む。一実施例として、移送経路は、直線的な移送経路であり得る。ある実施態様では、駆動システム150が、基板キャリア140を移送経路に沿って非接触方式で動かすように構成された、磁気駆動システムであり得る。ある実施態様では、少なくとも1つの磁気デバイス122は、駆動システム150の上方に基板キャリア140を維持又は保持するように構成され得る。
ある実施形態によれば、装置100は、基板10を真空処理するための装置である。装置100は、真空チャンバ110内に1以上の処理ツール160を含み得る。1以上の処理ツール160は、移送経路に沿って配置され得る。一実施例として、1以上の処理ツール160は、堆積源、スパッタ源、エッチングツール、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択された、少なくとも1つのツールを含み得る。ある実施形態では、装置100が、1以上の堆積源を処理ツール160として真空チャンバ110内に含む、層堆積するための装置である。1以上の堆積源は、直線的な移送経路などの移送経路に沿って配置され得る。1以上の堆積源は、スパッタ堆積源であり得る。一実施例として、1以上の堆積源は、回転可能カソードなどのスパッタカソードを含み得る。カソードは、基板10上に堆積されるべきターゲット材料を有する、平面カソード又は円筒状カソードであり得る。
本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る、ある実施形態によれば、少なくとも1つの保持ユニット130は、チャンバ壁と取外し可能に連結されている。一実施例として、少なくとも1つの保持ユニット130は、ねじ及び/又は機械的クランプなどの固定手段を使用して、チャンバ壁に固定され得る。代替的な一実施形態では、少なくとも1つの保持ユニット130が、チャンバ壁と恒久的に固定されている。一実施例として、少なくとも1つの保持ユニット130は、チャンバ壁に溶接され得る。
ある実施態様では、少なくとも1つの磁気デバイス122が、少なくとも1つの保持ユニット130と取り外し可能に連結されている。一実施例として、少なくとも1つの磁気デバイス122は、ねじ及び/又は機械的クランプなどの固定手段を使用して、少なくとも1つの保持ユニット130に固定され得る。ある実施形態では、各保持ユニット130が、1つの磁気デバイス122を収容又は保持し得る。別の一実施例では、各保持ユニット130が、2以上の磁気デバイス122を収容又は保持し得る。
磁気浮揚システム120は、1つの保持ユニット130を含み、又は2以上の保持ユニット130を含み得る。ある実施態様では、磁気浮揚システム120が、一連の保持ユニット130、及びそれぞれの磁気デバイス122を含む。一連の保持ユニット130は、移送経路に沿って配置され得る。一実施例として、保持ユニット130、及びそれぞれの磁気デバイス122は、移送経路の上方に配置され得る。ある実施形態では、一連の保持ユニット130の各保持ユニット130が、1つの磁気デバイス122を保持するように構成され得る。他の実施形態では、一連の保持ユニット130の各保持ユニット130が、2以上の磁気デバイス122を保持するように構成され得る。
本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る、ある実施形態によれば、少なくとも1つの磁気デバイス122は、電磁気デバイス、ソレノイド、コイル、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。一実施例として、少なくとも1つの磁気デバイス122は、基板キャリア140に作用する磁力Fを提供するために磁場を生成するように構成された、電磁石又は超伝導磁石であり得る。磁場は、静磁場又は動磁場であり得る。
本明細書で説明される実施形態は、例えば、ディスプレイ製造のための、大面積基板への堆積のために利用され得る。典型的には、本明細書で説明される実施形態による構造体及び方法が提供の対象である基板又は基板キャリアは、本明細書で説明されるように大面積基板である。例えば、大面積基板又はキャリアは、約0.67m2の基板(0.73×0.92m)に対応するGEN4.5、約1.4m2の基板(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29m2の基板(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7m2の基板(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又は約8.7m2の基板(2.85m×3.05m)に対応するGEN10とさえすることができる。GEN11及びGEN12のような更に次の世代、並びにそれに相当する基板面積を同様に実装してもよい。
本明細書で使用される際に、「基板」という用語は、例えば、特に、ウエハ、サファイアなどの透明結晶体のスライス、又はガラス板のような、実質的に非フレキシブル基板を含み得る。しかし、本開示は、これらに限定されず、「基板」という用語は、ウェブ又はホイルなどのフレキシブル基板も含み得る。「実質的に非フレキシブル」という用語は、「フレキシブル」と区別して理解される。特に、実質的に非フレキシブル基板、例えば、0.5mm以下の厚さを有するガラス板でも、ある程度の柔軟性を有し得る。実質的に非フレキシブル基板の柔軟性は、フレキシブル基板と比べて低くなっている。
図2は、本明細書で説明される更なる実施形態による、基板10を移送するための装置200の概略図を示している。
本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る、ある実施形態によれば、チャンバ壁は、少なくとも1つの開口部を含む。少なくとも1つの保持ユニット230は、開口部内に設けられ得る。一実施例として、少なくとも1つの保持ユニット230は、少なくとも部分的に開口部内に挿入されるように構成され得る。ある実施態様では、少なくとも1つの保持ユニット230が、少なくとも1つの開口部を密封するように構成され得る。特に、少なくとも1つの保持ユニット230は、少なくとも1つの開口部を実質的に真空密封又は真空気密に密封し得る。一実施例として、Oリング又は銅密封リングなどの密封デバイスが、少なくとも1つの開口部を実質的に真空気密に密封するために使用され得る。少なくとも1つの保持ユニット230は、ねじ及び/又は機械的クランプなどの固定手段を使用して、チャンバ壁に固定され得る。代替的な一実施形態では、少なくとも1つの保持ユニット230が、例えば、溶接によってチャンバ壁に恒久的に固定されている。溶接は、少なくとも1つの開口部を実質的に真空気密に密封し得る。
ある実施形態によれば、少なくとも1つの保持ユニット230の少なくとも一部分は、チャンバ壁を通って延在する。言い換えると、少なくとも1つの保持ユニット230は、真空チャンバ110の真空サイド101に向けて、チャンバ壁によって画定された平面を超えて延在し得る。少なくとも1つの磁気デバイス122は、真空サイド101に向かう方向に、チャンバ壁によって画定された平面を超えて配置されるように、少なくとも1つの保持ユニット230において又はその範囲内に配置され得る。チャンバ壁によって画定された平面を超えて少なくとも1つの磁気デバイス122を配置することは、少なくとも1つの磁気デバイス122を、基板キャリア140のより近くに配置することを可能にする。特に、対応する磁場が最小化され得る一方で、十分な磁力Fが基板キャリア140に作用し得るように、少なくとも1つの磁気デバイス122は、磁気ユニット142のより近くに配置され得る。
図3は、本明細書で説明されるまた更なる実施形態による、基板を移送するための装置のセクションの概略図を示している。
ある実施態様では、少なくとも1つの保持ユニット330が、側壁332及び底壁334を有する。側壁332及び底壁334は、受容空間333を画定する。少なくとも1つの磁気デバイス122は、受容空間333内に配置され得る。側壁332及び/又は底壁334は、真空サイド101を周囲大気サイド102から分離するように構成され得る。基板キャリア140が、少なくとも1つの保持ユニット330の実質的に下方に配置されたときに、底壁334は、基板キャリア140に隣接して配置され得る。ある実施形態によれば、底壁334は、側壁332の厚さ未満の厚さを有し得る。底壁334の低減された厚さは、底壁334を通る、少なくとも1つの磁気デバイス122によって生成された磁場の改良された貫通を可能にする。一実施例として、底壁の厚さは、側壁332の厚さの、70%未満、特に、50%未満、更に特に、20%未満であり得る。
本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る、ある実施形態によれば、少なくとも1つの保持ユニット330は、コップのような形状又はボウルのような形状を有し得る。図3の実施例で示されているように、コップ又はボウルは、チャンバ壁を通って、例えば、上壁312に到達するように、チャンバ壁の開口部313内に挿入され得る。チャンバ壁を通って到達するコップ又はボウルを使用することは、少なくとも1つの磁気デバイス122を、基板キャリア140のより近くに、特に、磁気ユニット142のより近くに配置することを可能にする。
ある実施態様では、少なくとも1つの保持ユニット330が、チャンバ壁に付着するように構成されたフランジ336を有し得る。一実施例として、Oリング337又は銅密封リングなどの密封デバイスが、フランジ部分336とチャンバ壁との間に配置され得る。フランジ部分336は、1以上の貫通孔を有し得る。少なくとも1つの保持ユニット330をチャンバ壁にねじ留めするために、ねじなどの固定手段が、1以上の貫通孔の中へ挿入され得る。
図4は、本明細書で説明される更なる実施形態による、基板を移送するための装置のセクションの概略図を示している。
本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る、ある実施形態によれば、少なくとも1つの保持ユニット430は、受容空間333をカバーするように構成された蓋436を含む。蓋436は、少なくとも1つの保持ユニット430、特に、フランジ部分336に取り付けられ得る。蓋436は、例えば、(図示せぬ)1以上のヒンジを使用して、少なくとも1つの保持ユニット430に取り付けられ得る。蓋436は、受容空間333内に設けられた少なくとも1つの磁気デバイス122をカバーし得る。
本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る、ある実施形態では、保持ユニット430は、磁気浮揚システムの1以上の電子制御デバイス440を保持するように構成されている。一実施例として、1以上の電子制御デバイス440は、少なくとも1つの磁気デバイスを制御するための制御デバイスを含み得る。保持ユニット430の範囲内又は保持ユニット430において設けられた1以上の電子制御デバイス440は、周囲大気サイド102から1以上の電子制御デバイス440へのアクセスを可能にする。1以上の電子制御デバイス440の保守、修理、及び/又は交換が、容易にされ得る。
図5は、基板10上のスパッタ堆積などの層堆積のための装置500の概略図を示している。
本明細書で説明される、ある実施形態によれば、装置500は、(「真空堆積チャンバ」、「堆積チャンバ」、又は「真空処理チャンバ」とも称される)真空チャンバ502、真空チャンバ502内の第1のスパッタ堆積源580a及び第2のスパッタ堆積源580bなどの、1以上のスパッタ堆積源、並びにスパッタ堆積プロセスの間に少なくとも1つの基板10を支持するための基板キャリア540を含む。基板キャリア540は、本明細書で説明される実施形態のうちの何れか1つに従って構成され得る。第1のスパッタ堆積源580a及び第2のスパッタ堆積源580bは、例えば、(1以上の)基板上に堆積されるべき材料のターゲットを有する回転可能カソードであってもよい。
装置500は、本明細書で説明される実施形態に従って構成された、磁気浮揚システム510を更に含む。磁気浮揚システム510は、磁場及びそれぞれの磁力を使用して機械的接触なしに、基板キャリア540を、真空チャンバ502の中へ、真空チャンバ502を通して、及び/又は真空チャンバ502の外へ移送するように構成されている。
図5で示されているように、更なるチャンバが、真空チャンバ502に隣接して設けられてもよい。真空チャンバ502は、バルブハウジング504及びバルブユニット506を有するバルブによって、隣接するチャンバから分離され得る。基板キャリア540の上に少なくとも1つの基板10を有する基板キャリア540が、矢印1で示されているように、真空チャンバ502の中へ挿入された後で、バルブユニット506は閉じられ得る。真空チャンバ502内の雰囲気は、例えば、真空チャンバに連結された真空ポンプを用いて技術的真空を生成することによって、且つ/又は、処理ガスを真空チャンバ502内の堆積領域内に挿入することによって、個別に制御することができる。ある実施形態によれば、処理ガスは、アルゴンなどの不活性ガス、及び/又は酸素、窒素、水素、アンモニア(NH3)、オゾン(O3)、活性ガスなどの反応性ガスを含み得る。
スパッタ堆積プロセスは、RF周波数(RF)スパッタ堆積プロセスであり得る。一実施例として、基板上に堆積されるべき材料が誘電体材料であるときに、RFスパッタ堆積プロセスが使用され得る。RFスパッタプロセスのために使用される周波数は、約13.56MHz以上であり得る。
本明細書で説明される、ある実施形態によれば、装置500は、1以上のスパッタ堆積源に連結された、AC電源580を有し得る。一実施例として、第1のスパッタ堆積源580aと第2のスパッタ堆積源580bが、交互様式でバイアスされ得るように、第1のスパッタ堆積源580a及び第2のスパッタ堆積源580bが、AC電源580に接続され得る。1以上のスパッタ堆積源は、同じAC電源に接続され得る。他の実施形態では、各スパッタ堆積源が、それ自身のAC電源を有し得る。
本明細書で説明される実施形態によれば、スパッタ堆積プロセスは、マグネトロンスパッタリングとして行われ得る。本明細書で使用される際に、「マグネトロンスパッタリング」は、磁石アセンブリ、例えば、磁場を発生させることができるユニットを使用して実行されるスパッタリングを指す。そのような磁石アセンブリは、永久磁石から成り得る。この永久磁石は、回転ターゲットの表面の下方に生成された発生磁場の内部に自由電子が捕捉されるようなやり方で、回転可能ターゲットの内部に配置されるか又は平面ターゲットに連結される。そのような磁石アセンブリは、平面カソードに配置連結されてもいてもよい。マグネトロンスパッタリングは、二重マグネトロンカソード、例えば、非限定的に、TwinMag(米国登録商標)カソードアセンブリなどの、第1のスパッタ堆積源580aと第2のスパッタン堆積源580bによって実現され得る。
本明細書で説明される基板キャリア及び基板キャリアを利用している装置は、垂直基板処理のために使用され得る。ある実施態様によれば、本開示の基板キャリアは、少なくとも1つの基板を実質的に垂直配向に保持するように構成されている。「垂直基板処理」という用語は、「水平基板処理」とは区別されたものとして理解される。例えば、垂直基板処理は、基板処理中の基板キャリア及び基板の実質的に垂直な配向に関する。厳密な垂直配向から数度、例えば、最大で10度、又は更に最大で15度の偏差があっても垂直基板処理とみなされる。垂直配向は、重力に対して実質的に平行であり得る。一実施例として、少なくとも1つの基板上のスパッタ堆積のための装置500は、垂直に方向付けられた基板上でスパッタ堆積するように構成され得る。
ある実施形態によれば、基板キャリアと基板は、堆積材料のスパッタリング中に静的又は動的である。本明細書で説明される、ある実施形態によれば、動的なスパッタ堆積プロセスは、例えば、ディスプレイ製造のために提供され得る。
図6は、例えば、本明細書で説明される実施形態による装置の、磁気浮揚システムを保守するための方法のフローチャートを示している。磁気浮揚システムは、真空チャンバ内で基板キャリアを非接触方式で浮揚させるように構成されている。磁気浮揚システムは、本明細書で説明される実施形態に従って構成され得る。特に、方法600は、本明細書で説明される装置の磁気浮揚システムの保守又はサービスのための方法である。
該方法は、ブロック602で、真空チャンバの周囲大気サイドから、保持ユニットによって保持された磁気浮揚システムの少なくとも1つの磁気デバイスにアクセスすることを含む。ある実施態様では、該方法が、ブロック604で、真空チャンバの内側で真空が維持されている間に、周囲大気サイドから少なくとも1つの磁気デバイスを修理又は交換することを含む。
本明細書で説明される実施形態によれば、磁気浮揚システムを保守するための方法は、コンピュータプログラムと、ソフトウェアと、コンピュータソフトウェア製品と、大面積基板を処理するために装置の対応する構成要素と通信可能なCPU、メモリ、ユーザインターフェース、及び入出力手段を有し得る、相互に関連したコントローラとによって、実行され得る。
本開示は、真空チャンバの密封を通って到達する貫通デバイス又はボウルを含み得る、(「浮揚モジュール」とも称される)磁気浮揚システムを有する装置を提供する。雰囲気ボックスは、全く必要ではない。サービスの場合に、この浮揚モジュールは、真空チャンバの外側から交換でき、真空を破壊することなしにメンテナンスされ得る。
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の更なる実施形態を考案することができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められる。
図6は、例えば、本明細書で説明される実施形態による装置の、磁気浮揚システムを保守するための方法のフローチャートを示している。磁気浮揚システムは、真空チャンバ内で基板キャリアを非接触方式で浮揚させるように構成されている。磁気浮揚システムは、本明細書で説明される実施形態に従って構成され得る。特に、方法は、本明細書で説明される装置の磁気浮揚システムの保守又はサービスのための方法である。