JP2018522178A - 多板クラッチ用のディスクアッセンブリ - Google Patents

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Abstract

本発明は、自動車動力発生装置の駆動軸を自動車伝動機構の少なくとも1つの伝動機構入力軸に断接自在に接続する多板クラッチ用のディスクアッセンブリ(10)であって、互いに平行に配置される複数のリング形のインナディスク(12)と、インナディスク(12)の内周部(16)に配置され、インナディスク(12)を互いに結合する内側結合装置(14)と、インナディスク(12)に対して平行に配置され、インナディスク(12)を押し合わせて摩擦結合させる複数のリング形のアウタディスク(18)と、を備え、アウタディスク(18)の数をn、インナディスク(12)の数をn−1とし、インナディスク(12)とアウタディスク(18)とは、交互に、かつ互いに相対的に軸方向変位可能に配置されており、さらにアウタディスク(18)の外周部に配置され、アウタディスク(18)を互いに結合する外側結合装置(22)を備える、多板クラッチ用のディスクアッセンブリ(10)に関する。さらに本発明は、本発明に係るディスクアッセンブリを組み上げる方法に関する。

Description

本発明は、自動車動力発生装置の駆動軸を自動車伝動機構の少なくとも1つの伝動機構入力軸に断接自在に接続する多板クラッチ用のディスクアッセンブリおよびディスクアッセンブリを組み上げる方法に関する。
薄板を積層してなる多板クラッチ、特に薄板を積層してなる多板デュアルクラッチが公知である。国際公開第2002046632号では、例えばディスクセットがインナキャリアおよびアウタキャリア内で案内される。しかし、この種の構成は、オイルなしの運転中、キャリア内の鋼製ディスクの不静定の位置に基づいて、望ましくないがたつき音に至る。さらに、ディスクの数を多くしたり、少なくしたりして使用するには、キャリアの長さも変更しなければならない。さらに、このような構成は、まだそれだけでは、ディスクが開放状態で所定の位置を取ること、つまりクラッチが所定の隙間を空けることを実現しない。これを実現するには、別の技術を持ち出さなければならない。
従来技術からは、さらに自立形のディスクセットが公知であり、自立形のディスクセットは、キャリアを有さず、板ばねにより結合することで所定の空隙を保証することができる。このディスクセットは、確かに上述の問題を解決することができるが、このディスクセットは、圧着力を増幅させる原理をもたない。さらに、インナディスクは、互いに所定の間隔には保持されない。インナディスクを積み重ねる上述の方法により、インナディスクの結合部に摩擦接触が生じる。この摩擦接触は、まず、コンタクト箇所における摩擦力が克服されねばならないため、目下伝達されるモーメントの大きさに依存して、必要とされるエンゲージ力を高めてしまう。
絶えず希求されていることは、多板クラッチの効率を簡単かつ低コストの解決手段により高めることである。
本発明の課題は、多板クラッチの効率を簡単かつ低コストの解決手段により高めることができる多板クラッチ用のディスクアッセンブリを提供することである。
上記課題は、本発明により、請求項1の特徴を備えるディスクアッセンブリおよび請求項9の特徴を備えるディスクアッセンブリを製造する方法によって解決される。本発明の有利な形態は、従属請求項および以下の説明に記載されており、これらは、それぞれ単独でも、任意の組み合わせでも、本発明の一態様をなし得る。
本発明によれば、自動車動力発生装置の駆動軸を自動車伝動機構の少なくとも1つの伝動機構入力軸に断接自在に接続する多板クラッチ用のディスクアッセンブリにおいて、互いに平行に配置される複数のリング形のインナディスクと、インナディスクの内周部に配置され、インナディスクを互いに結合する内側結合装置と、インナディスクに対して平行に配置され、インナディスクを押し合わせて摩擦結合させる複数のリング形のアウタディスクと、を備え、アウタディスクの数をn、インナディスクの数をn−1とし、インナディスクとアウタディスクとは、交互に、かつ互いに相対的に軸方向変位可能に配置されており、さらにアウタディスクの外周部に配置され、アウタディスクを互いに結合する外側結合装置を備えるようにした。
本発明に係るディスクアッセンブリの場合、駆動モーメントを伝動機構入力軸に伝達するのに、インナキャリアもアウタキャリアも必要としない。駆動モーメントは、ディスクアッセンブリ自体により伝動機構側へと伝達することができる。本発明に係るディスクアッセンブリには、キャリアを有しない積層可能なアウタディスクと、キャリアを有しない積層可能なインナディスクとが設けられている。アウタディスクの外周部に配置される外側結合装置により、各アウタディスクは、その次に位置するアウタディスクに結合されることができる。内周部に配置される内側結合装置により、インナディスクは、その次に位置するインナディスクに結合されることができる。外側結合装置と内側結合装置とは、後続のアウタディスクおよびインナディスクを結合するために繰り返し使用されることができるので、n枚のディスクを有するディスクアッセンブリの組み立てプロセスは、n−1枚のディスクを有するディスクアッセンブリの組み立てプロセスに対し、組み立て工程が1回多く実施されねばならないという相違こそあれ、別の工具であったり、これまで使用されていた部材とは異なる別の部材であったりが使用される必要はない。これにより、乾式の運転中にディスクががたつく問題が解決され、それと同時に、コストおよび組み立て手間が低く済む。インナディスクを互いに結合することも、アウタディスクを互いに結合することも、ドライビング状態での運転中、圧着力増幅を引き起こすように構成されており、その結果、比較的少数のディスクを使用したときですら、言及に値するほどの増幅効果を得ることができる。これにより、閉鎖のために必要とされる圧着力を、伝達されるモーメントにより引き下げ可能であり、これにより、より小型、より省エネルギ、かつより低コストのアクチュエータを使用することができる。
本発明に係るディスクアッセンブリの外側結合装置および内側結合装置は、このディスクアッセンブリを、切り換え可能なクラッチで使用したとき、インナディスクもアウタディスクも、レリーズされた状態においても常に所定の位置を取るように構成されることができる。これによりクラッチは、より良好に隙間を空け、引きずりモーメントを軽減することができ、これにより、効率を高めることができる。
特にインナディスクには、摩擦結合を介してトルクを伝達する摩擦ライニングが設けられていてもよく、摩擦ライニングは、インナディスクの両側に配置されていてもよい。これによりインナディスクは、それぞれ2つの摩擦面を有し、両摩擦面でもってインナディスクは、その隣接構成部材、例えばアウタディスクに、それらがモーメント伝達のためにクラッチにより締結されると、当接し、そうしてインナディスクとともに2つの摩擦箇所を形成する。クラッチの伝達可能なモーメントは、圧着力が同じで、直径が同じで、摩擦状況(摩擦値)が同じであれば、摩擦箇所の数を増やせば、増大される。
有利には、インナディスク自体、摩擦材料から形成されていてもよい。さらに、摩擦ライニングをインナディスクに取り付ける代わりに、インナディスクを強度の高い材料、例えばカーボンからインナディスクの幾何学的な形状に直接製造することも、本発明の範囲内にある。これにより、摩擦ライニングを支持する付加的な担体や、摩擦ライニングを担体に取り付けることは、省略可能である。これにより、製造コストを下げることができる。
好ましくは、内側結合装置は、インナディスクに取り付けられる複数の内側板ばねと、次に位置するインナディスクの内側板ばねを結合する複数の内側結合箇所とを有していてもよい。次に位置するインナディスクと結合すべく、各インナディスクの内周部には、複数の内側板ばねと、次に位置するインナディスクの内側板ばねを結合する複数の内側結合箇所とが設けられていることができる。インナディスクの内側板ばねの数は、次に位置するインナディスクの結合箇所の数に相当する。内側板ばねの、対応する内側結合箇所への取り付けは、例えばねじ止め、リベット止めまたは溶接により実施可能である。
特に内側結合装置の内側板ばねは、互いに実質同一に形成されており、インナディスクの周方向で均等に分配されていてもよい。内側板ばねを同一に形成し、均等に分配したことで、例えば構成部材に不均等に荷重がかかることが回避できる。
本発明の有利な形態において、内側結合装置は、インナディスクと一体に形成されていてもよい。これにより、内側結合装置をインナディスクに追加で取り付けることが省略可能であり、これにより、より低コストの製造が実現可能である。例えば内側板ばねと内側結合箇所とは、インナディスクから直接突出するように形成されてもよい。内側結合箇所は、それぞれ、インナディスクの半径方向内向きに突出する内側突出部に配置されていることができる。内側板ばねは、自由端部を有し、内側板ばねのこの自由端部が概ね内側結合箇所に向かって延びるように、インナディスクから突出するように形成されることができる。このとき、この内側結合箇所は、好ましくは、内側板ばねにより覆われないようにしておくことが望ましく、その結果、この内側結合箇所にも、内側板ばねの自由端部にも、組み立ての際、工具が常にアクセスできるようになっている。内側板ばねと内側結合箇所とを有するインナディスクは、例えば一体に打ち抜き加工されてもよい。内側板ばねは、次に位置するインナディスクと結合するために、軽微に変形されてもよい。内側板ばねの変形は、変形加工プロセスにより実施可能である。
本発明の有利な形態において、さらに外側結合装置は、複数の外側板ばねと、外側板ばねを結合する複数の第1の外側結合箇所および第2の外側結合箇所とを有していてもよい。例えば外側板ばねは、アウタディスクとは別体に形成されていてもよい。各外側板ばねには、第1のアウタディスクの第1の外側結合箇所に結合する第1の端部と、第1のアウタディスクの次に位置する第2のアウタディスクの第2の外側結合箇所に結合する第2の端部とが設けられていることができる。有利には、外側板ばねの第1の端部は、第1のアウタディスクの第1の外側結合箇所の第1の結合側に取り付けられていることができる。この外側板ばねの第2の端部は、第2のアウタディスクの第2の外側結合箇所の、第1の結合側とは反対側の第2の結合側に取り付けられていることができ、その結果、外側板ばねの可及的大きな設置角度、ひいては最大の増幅効果を得ることができる。その際、外側板ばねを、ディスクアッセンブリの運転時、ドライビング状態での運転中、外側板ばねに引っ張り荷重がかかるように配置することができる。外側板ばねの、第1の外側結合箇所および第2の外側結合箇所への取り付けは、ねじ止め、リベット止めまたは溶接により実施することができる。この結合原理は、アウタディスクが所望の数に達するまで、繰り返し使用されることができる。アウタディスクの結合を簡単にすべく、例えば外側板ばねの第1の端部は、結合作業前にアウタディスクの第1の外側結合箇所に前組み立てされることができる。外側板ばねの長さは、外側板ばねの片持ち状態となる第2の端部が、第1の端部をアウタディスクの第1の外側箇所に前組み立てした後、このアウタディスクの別の外側結合箇所により覆われないように予め決められることが望ましい。これにより、外側板ばねのこの片持ち状態となった第2の端部に、以後の組み立て工程の際、工具がアクセスできるようになっている。
有利には、外側結合装置の外側板ばねは、互いに実質同一に形成されており、アウタディスクの周方向で均等に分配され、取り付けられていることができる。外側板ばねを同一に形成し、均等に分配したことで、例えば構成部材に不均等に荷重がかかることは回避できる。
さらに本発明は、ディスクアッセンブリを組み上げる方法であって、内側板ばねと内側結合箇所とが設けられた複数のインナディスクを用意し、第1の外側結合箇所と第2の外側結合箇所とが設けられた複数のアウタディスクを用意し、アウタディスクの数をn、インナディスクの数をn−1とし、複数の外側板ばねを用意し、外側板ばねをアウタディスクの対応する第1の外側結合箇所に前組み立てし、i番目のインナディスクをi番目のアウタディスク上に載置し、ここでiは、整数かつ1≦i≦n−2であり、(i+1)番目のアウタディスクをi番目のインナディスク上に載置し、i番目のアウタディスクに前組み立てした外側板ばねを(i+1)番目のアウタディスクの対応する第2の外側結合箇所に取り付け、(i+1)番目のインナディスクを(i+1)番目のアウタディスク上に載置し、i番目のインナディスクの内側板ばねを(i+1)番目のインナディスクの対応する内側結合箇所に取り付け、(i+2)番目のアウタディスクを(i+1)番目のインナディスク上に載置し、(i+1)番目のアウタディスクに前組み立てした外側板ばねを(i+2)番目のアウタディスクの対応する第2の外側結合箇所に取り付ける、ディスクアッセンブリを組み上げる方法に関する。
以下に、本発明について添付の図面を参照しながら好ましい実施例に基づいて例示的に説明する。以下に示す特徴は、それぞれ単独でも、任意の組み合わせでも本発明の一態様をなし得る。
本発明の一実施の形態によるディスクアッセンブリの斜視全体図である。 図1に示したディスクアッセンブリのアウタディスクの平面図である。 外側結合装置を有する図1に示したディスクアッセンブリのアウタディスクの斜視図である。 外側結合装置を用いて2つのアウタディスクを組み上げる様子を示す斜視拡大図である。 外側結合装置を用いて3つのアウタディスクを組み上げる様子を示す斜視拡大図である。 図1に示したディスクアッセンブリのインナディスクの斜視図である。 図6に示した2つのインナディスクを組み上げる様子を示す斜視図である。 図6に示した3つのインナディスクを組み上げる様子を示す斜視図である。 そのうちの1つがハブに結合されている図6に示した4つのインナディスクを組み上げる様子を示す斜視図である。 複数のアウタディスクを結合したことから得られる圧着増幅の原理図である。 複数のインナディスクを結合したことから得られる圧着増幅の原理図である。 アウタディスクの最大数を計算する原理図である。
図1は、本発明の一実施の形態に係るディスクアッセンブリ10の斜視全体図である。本実施例において、ディスクアッセンブリ10は、互いに平行に配置される4つのリング形のインナディスク12を備える。インナディスク12を互いに結合すべく、ディスクアッセンブリ10は、インナディスク12の内周部16に配置されている内側結合装置14を備える。図1に示すように、ディスクアッセンブリ10は、さらに、インナディスク12に対して平行に配置される5つのリング形のアウタディスク18を備え、アウタディスク18は、インナディスク12を押し合わせて摩擦結合させる。インナディスク12とアウタディスク18とは、交互に、かつ互いに相対的に軸方向変位可能に配置されており、同じ回転軸線20を有する。アウタディスク18を互いに結合すべく、ディスクアッセンブリ10は、アウタディスク18の外周部24に配置されている外側結合装置22を備える。本実施例において、外側結合装置22は、アウタディスク18とは別体に形成される複数の外側板ばね24ならびに複数の第1の外側結合箇所26および第2の外側結合箇所28を有する。図1に示すように、アウタディスク18a〜18dは、周方向で均等に分配されるそれぞれ4つの第1の外側結合箇所26を有する。本実施例において、第1の外側結合箇所26は、それぞれ、半径方向外向きに突出する第1の外側突出部30に配置されており、第1の外側突出部30は、互いに実質同一に形成されている。アウタディスク18b〜18eは、それぞれ、周方向で均等に分配される4つの第2の外側結合箇所28を有する。本実施例において、第2の外側結合箇所28は、それぞれ、半径方向外向きに突出する第2の外側突出部32に配置されており、第2の外側突出部32は、互いに実質同一に形成されている。アウタディスク18b〜18dは、それぞれ、外側結合箇所の4つのペア34を有し、外側結合箇所の各ペア34は、1つの第1の外側結合箇所26と、この第1の外側結合箇所26から間隔を置いた1つの第2の外側結合箇所28とを有する。
各外側結合箇所26,28には、外側板ばね24とのねじ止めまたはリベット止めに用いられる孔36が設けられている。図1に示すように、各外側板ばね24は、アウタディスク18の第1の外側結合箇所26に結合する第1の端部38と、このアウタディスク18の次に位置する別のアウタディスク18の第2の外側結合箇所28に結合する第2の端部40とを有する。5つのアウタディスク18の結合は、実質同じ原理で行われているので、本明細書では、第1のアウタディスク18aと第2のアウタディスク18bとの結合についてのみ、例として説明する。図1に示すように、外側板ばね24の第1の端部38は、第1のアウタディスク18aの第1の外側結合箇所26の第1の結合側42に取り付けられている。この外側板ばね26の第2の端部40は、第2のアウタディスク18bの、次に位置する第2の外側結合箇所28に取り付けられている。このとき、この外側板ばね24の第2の端部40は、この第2の外側結合箇所28の、第1の結合側42とは反対側の第2の結合側44に取り付けられているため、外側板ばね24の可及的大きな設置角度、ひいては最大の増幅効果を得ることができる。第1の外側結合箇所28および第2の外側結合箇所28への外側板ばね24の取り付けは、ねじ止め、リベット止めまたは溶接により実施することができる。
図2は、図1に示したディスクアッセンブリ10のアウタディスク18b〜18dのうちの1つのアウタディスクの平面図である。図2から看取可能であるように、アウタディスク18b〜18dは、それぞれ、外側結合箇所の4つのペア34を有する。外側結合箇所の4つのペア34は、実質同一に形成されており、周方向で均等に分配配置されている。外側結合箇所の各ペア34は、第1の外側結合箇所26と、この第1の外側結合箇所26から間隔を置いた第2の外側結合箇所28とを有し、各外側結合箇所26,28には、外側板ばね24とのねじ止めまたはリベット止めに用いられる孔36が設けられている。アウタディスク18に設けられる外側結合箇所のペア34は、3つであっても、5つ以上であってもよい。
図3は、外側板ばね24を前組み立てしたアウタディスク18の斜視図である。ディスクアッセンブリ10を組み上げる前に、外側板ばね24を前組み立てすることができる。前組み立ての際、例えば外側板ばね24の第2の端部40を外側結合箇所の1つのペア34の第2の外側結合箇所28に、この外側板ばね24の第1の端部38が概ね外側結合箇所の同じペア34の第1の外側結合箇所26に向かって延びるように取り付けることができる。この第1の外側結合箇所26は、好ましくは、前組み立てされた外側板ばね24により覆われないようにしておくことが望ましく、これにより、この第1の外側結合箇所26にも、外側板ばね24の第1の端部38にも、後続の組み立て工程中、工具が常にアクセスできるようになっている。
図4は、外側板ばね24を用いて2つのアウタディスク18を組み上げる様子を示す斜視拡大図である。本実施例では、第1のアウタディスク18aを第2のアウタディスク18bと組み立てる第1の組み立て工程を示している。この組み立ての際、まず、第1のアウタディスク18aを組み立て用キャリア(図示せず)内に装入する。第1のアウタディスク18a上に、図4には見やすさを優先して示していない第1のインナディスク12aを載置する。その後、第2のアウタディスク18bをこのインナディスク12a上に配置する。このとき、第2のアウタディスク18bには、図3に示したように、外側板ばね24が前組み立てされている。外側板ばね24の片持ち状態となった第1の端部38を、第1のアウタディスク18aの第1の外側結合箇所26の、対応する第1の結合側42に取り付ける。本実施例では、リベット止めによる取り付けを行う。外側板ばね24の長さは、外側板ばね24の第1の端部38が、第2のアウタディスク18bの第2の外側結合箇所28に重ならないように予め決められており、これにより、外側板ばね24の第1の端部38に、リベット止めの際、工具がアクセスできるようになっている。
図5は、外側板ばね24を用いて3つのアウタディスク18を組み上げる様子を示す斜視拡大図である。図4に示した第1の組み立て工程後、第2の組み立て工程において、第3のアウタディスク18cを組み立てる。この組み立ての際、まず、第2のアウタディスク18b上に、図5には見やすさを優先して示していない第2のインナディスク12bを載置する。その後、第3のアウタディスク18cをこのインナディスク12b上に配置する。このとき、第3のアウタディスク18cには、図3に示したように、外側板ばね24が前組み立てされている。外側板ばね24の片持ち状態となった第1の端部38を、第2のアウタディスク18bの第1の外側結合箇所26の、対応する第1の結合側42に取り付ける。本実施例では、リベット止めによる取り付けを行う。外側板ばね24の長さは、外側板ばね24の第1の端部38が、第3のアウタディスク18cの第1の外側結合箇所26に重ならないように予め決められており、これにより、外側板ばね24の第1の端部38に、リベット止めの際、工具がアクセスできるようになっている。この組み立て作業を、アウタディスク18が所望の数に達するまで、繰り返し実施することができる。
図6は、図1に示したディスクアッセンブリ10のインナディスク12の斜視図である。次に位置するインナディスク12と結合すべく、各インナディスク12は、インナディスク12の内周部16に内側結合装置14を有する。本実施例において、内側結合装置14は、インナディスク12から突出するように形成される4つの内側板ばね46と、次に位置するインナディスク12の内側板ばね46を結合する4つの内側結合箇所48とを有する。本実施例において、4つの内側結合箇所12は、それぞれ、半径方向内向きに突出する内側突出部50に配置されており、内側突出部50は、互いに実質同一に形成されており、周方向で均等に分配されている。図6に示すように、内側板ばね46は、自由端部52を有し、内側板ばね46の自由端部52が概ね内側結合箇所48に向かって延びるように配置されている。このとき、この内側結合箇所48は、好ましくは、内側板ばね46により覆われないようにしておくことが望ましく、これにより、この内側結合箇所48にも、内側板ばね46の自由端部52にも、組み立ての際、工具が常にアクセスできるようになっている。4つの内側板ばね46は、互いに実質同一に形成されており、周方向で均等に分配されている。
図7は、2つのインナディスク12を組み上げる様子を示す斜視図である。本実施例にでは、第1のインナディスク12aを第2のインナディスク12bと組み立てる組み立て工程を示している。この組み立ての際、まず、第1のインナディスク12aを第1のアウタディスク18a(図7には図示せず)上に載置する。その後、第1のインナディスク12a上に、図7には見やすさを優先して示していない第2のアウタディスク18bを載置する。その後、第2のインナディスク12bをこのアウタディスク18b上に配置する。このとき、第2のインナディスク12bには、図6に示したように、内側板ばね46が設けられている。第2のインナディスク12bの内側板ばね46の自由端部52を、第1のインナディスク12aの、対応する内側結合箇所48に取り付ける。本実施例では、リベット止めによる取り付けを行う。内側板ばね46の長さは、内側板ばね46の自由端部52が、第2のインナディスク12bの内側結合箇所48に重ならないように予め決められており、これにより、内側板ばね46の自由端部52に、第1のインナディスク12aの内側結合箇所48へのリベット止めの際、工具がアクセスできるようになっている。
図8は、3つのインナディスク12を組み上げる様子を示す斜視図である。図7に示した組み立て工程後、第3のインナディスク12cを組み立てる。この組み立ての際、まず、第2のインナディスク12b上に、図8には見やすさを優先して示していない第3のアウタディスク18cを載置する。その後、第3のインナディスク12cをこのアウタディスク18c上に配置する。このとき、第3のインナディスク12cには、図6に示したように、内側板ばね46が設けられている。第3のインナディスク12cの内側板ばね46の自由端部52を、第2のインナディスク12bの、対応する内側結合箇所48に取り付ける。本実施例では、リベット止めによる取り付けを行う。内側板ばね46の長さは、内側板ばね46の自由端部52が、第3のインナディスク12cの内側結合箇所48に重ならないように予め決められており、これにより、内側板ばね46の自由端部52に、第2のインナディスク12bの内側結合箇所48へのリベット止めの際、工具がアクセスできるようになっている。この組み立て作業を、アウタディスク18が所望の数に達するまで、繰り返し実施することができる。
図9は、4つのインナディスク12を組み上げる様子を示す斜視図である。インナディスク12の結合原理は、図7および8で説明したのと同様である。図9に示すように、伝動機構入力軸との結合に用いられるハブ54が、第4の(最後の)インナディスク12dに取り付けられている。増幅効果を保証するには、ハブ54を最後のインナディスク12dまたは第1のインナディスク12aに取り付けることが必須となる。
図10は、複数のアウタディスク18を結合したことから得られる圧着増幅の原理図である。或るアウタディスク18内で伝達されるモーメントは、外側板ばね24を介して次のアウタディスク18へと伝達される。その際、外側板ばね24は、好適には、ドライビング状態での運転中、引っ張り荷重がかかり、ひいては危険な座屈が起こり得ないように設けられている。外側板ばね24の設置角度に起因して、引っ張り荷重により圧着力を増幅させる軸方向力FV,iが生じる。i番目のアウタディスク18の引っ張り荷重FM,iは、そのアウタディスク18内で伝達されるモーメントに依存している。各アウタディスク18内に生じる軸方向力FV,iは、後続の各アウタディスク18にそれ以前のすべてのアウタディスク18のモーメントが付加的にかかるため、カスケード接続されている。
図11は、複数のインナディスク12を結合したことから得られる圧着増幅の原理図である。原理は、アウタディスク18の原理と同じである。インナディスク12の場合も、モーメントは、或るインナディスク12から次のインナディスク12へと伝達される。このとき、インナディスク12でも、内側板ばね46には、ドライビング状態での運転中、引っ張り荷重がかかることを明記しておく。やはり設置角度を介して、各インナディスク12内には、圧着力を増幅させる軸方向力FV,iが生じる。全体としていわばディスクアッセンブリ10は、伝達されるモーメントによりラップスプリングのように締まる。
図12は、アウタディスク18の最大数を計算する原理図である。アウタディスク18の具体的な最大数は、次式:
Figure 2018522178
により算出可能であり、ここで、sは、アウタディスク18毎の、外側結合箇所の、対称に分配されたペア34の数である。図12に示した実施の形態では、s=4である。アルファベットbは、外側突出部30,32の幅、式d/2は、アウタディスク18の中心から外側結合箇所26,28の孔36までの間隔を表している。
インナディスク12には、同じ式が成立する。つまりインナディスク12の場合、通常、最大数は小さくなる。それというのも、その他の値sおよびbが同じであるとき、インナディスク12の中心から内側結合箇所48の孔36までの間隔d/2が、より短いからである。
10 ディスクアッセンブリ
12 インナディスク
14 内側結合装置
16 インナディスクの内周部
18 アウタディスク
20 回転軸線
22 外側結合装置
24 外側板ばね
26 第1の外側結合箇所
28 第2の外側結合箇所
30 第1の外側突出部
32 第2の外側突出部
34 外側結合箇所のペア
36 孔
38 第1の端部
40 第2の端部
42 第1の外側結合箇所の第1の結合側
44 第2の外側結合箇所の第2の結合側
46 内側板ばね
48 内側結合箇所
50 内側突出部
52 内側結合ばねの自由端部
54 ハブ

Claims (9)

  1. 自動車動力発生装置の駆動軸を自動車伝動機構の少なくとも1つの伝動機構入力軸に断接自在に接続する多板クラッチ用のディスクアッセンブリであって、
    互いに平行に配置される複数のリング形のインナディスク(12)と、
    前記インナディスク(12)の内周部(16)に配置され、前記インナディスク(12)を互いに結合する内側結合装置(14)と、
    前記インナディスク(12)に対して平行に配置され、前記インナディスク(12)を押し合わせて摩擦結合させる複数のリング形のアウタディスク(18)と、
    を備え、前記インナディスク(12)と前記アウタディスク(18)とは、交互に、かつ互いに相対的に軸方向変位可能に配置されており、
    前記アウタディスク(18)の外周部に配置され、前記アウタディスク(18)を互いに結合する外側結合装置(22)をさらに備える、多板クラッチ用のディスクアッセンブリ。
  2. 前記インナディスク(12)には、摩擦結合を介してトルクを伝達する摩擦ライニングが設けられており、前記摩擦ライニングは、前記インナディスク(12)の両側に配置されていることを特徴とする、請求項1記載のディスクアッセンブリ。
  3. 前記インナディスク(12)自体、摩擦材料から形成されていることを特徴とする、請求項1記載のディスクアッセンブリ。
  4. 前記内側結合装置(14)は、前記インナディスク(12)に取り付けられる複数の内側板ばね(46)と、次に位置する前記インナディスク(12)の前記内側板ばね(46)を結合する複数の内側結合箇所(48)とを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のディスクアッセンブリ。
  5. 前記内側結合装置(14)の前記内側板ばね(46)は、互いに実質同一に形成されており、前記インナディスク(12)の周方向で均等に分配されていることを特徴とする、請求項4記載のディスクアッセンブリ。
  6. 前記内側結合装置(14)は、前記インナディスク(12)と一体に形成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のディスクアッセンブリ。
  7. 前記外側結合装置(22)は、複数の外側板ばね(24)と、前記外側板ばね(22)を結合する複数の第1の外側結合箇所(26)および第2の外側結合箇所(28)とを有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のディスクアッセンブリ。
  8. 前記外側結合装置(22)の前記外側板ばね(24)は、互いに実質同一に形成されており、前記アウタディスク(18)の周方向で均等に分配され、取り付けられていることを特徴とする、請求項7記載のディスクアッセンブリ。
  9. 請求項1から8までのいずれか1項記載のディスクアッセンブリを組み上げる方法であって、
    内側板ばね(46)と内側結合箇所(48)とが設けられた複数のインナディスク(12)を用意し、
    第1の外側結合箇所(26)と第2の外側結合箇所(28)とが設けられた複数のアウタディスク(18)を用意し、前記アウタディスク(18)の数をn、前記インナディスク(12)の数をn−1とし、
    複数の外側板ばね(24)を用意し、
    前記外側板ばね(24)を前記アウタディスク(18)の対応する前記第1の外側結合箇所(26)に前組み立てし、
    i番目の前記インナディスク(12)をi番目の前記アウタディスク(18)上に載置し、ここでiは、整数かつ1≦i≦n−2であり、
    (i+1)番目の前記アウタディスク(18)をi番目の前記インナディスク(12)上に載置し、
    i番目の前記アウタディスク(18)に前組み立てした前記外側板ばね(24)を(i+1)番目の前記アウタディスク(18)の対応する前記第2の外側結合箇所(28)に取り付け、
    (i+1)番目の前記インナディスク(12)を(i+1)番目の前記アウタディスク(18)上に載置し、
    i番目の前記インナディスク(12)の前記内側板ばね(46)を(i+1)番目の前記インナディスク(12)の対応する前記内側結合箇所(48)に取り付け、
    (i+2)番目の前記アウタディスク(18)を(i+1)番目の前記インナディスク(12)上に載置し、
    (i+1)番目の前記アウタディスク(18)に前組み立てした前記外側板ばね(24)を(i+2)番目の前記アウタディスク(18)の対応する前記第2の外側結合箇所(28)に取り付ける、
    ディスクアッセンブリを組み上げる方法。
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