(発明の詳細な説明)
個体における疾患または障害の処置のための1つまたは複数の有益な因子を産生するように、幹細胞(SC)、例えば、間葉系幹細胞(MSC)の集団を誘導することに関する方法および組成物が、本明細書に記載されており、このような産生は、処置されている疾患または障害の要求のためにカスタマイズされる。個体における疾患または障害の処置のための1つまたは複数の有益な因子を産生するために、幹細胞の集団における老化の誘導に有用な、老化を誘導するための組成物および方法も提供される。有益な因子の産生のための因子産生ユニットも、これを作製および使用する方法と共に提供される。
I.因子の産生
A.背景および全体的なシステム
本明細書に記載されている本発明は、誘導された幹細胞による1つまたは複数の有益な因子の産生のための、ならびにそれを必要とする個体へのこのような因子の送達および投与のための組成物、装置および方法を提供する。産生システムは、カスタマイズ可能であり、特定の臨床ニーズに有益な因子を産生するように個別調整される。因子は、個体自身の細胞(自家システム)を使用して、または別の個体由来の細胞(同種異系間システム)を使用して産生することができる。送達は、急性または慢性投与パラダイムを必要とする場合があり、実質的にいかなる送達系を利用することもできる。
本明細書に提供されている有益な因子は、ポリペプチド(全長タンパク質およびペプチド)であり得、創傷治癒因子、アポトーシス因子、抗アポトーシス因子、抗炎症因子、免疫調節因子、血管新生因子、ケモカイン因子、サイトカイン因子、インターロイキン、インターロイキン受容体、増殖因子、増殖因子受容体、ホルモン、接着促進因子、増殖誘導因子、シグナルトランスダクション刺激因子およびそれらの受容体、神経栄養因子、再生因子、ならびに修復誘発因子を含むことができる。有益な因子は、タンパク質に限定されず、小分子および代謝物も含む。
B.インプット細胞
本明細書に提供されている通り、幹細胞を含む哺乳動物細胞の集団は、1つまたは複数の所望の有益な因子を産生するように誘導される。産生に使用される細胞集団(すなわち、インプット細胞)は、純粋に幹細胞で構成されている必要はない。インプット細胞が、因子を分泌するように誘導または遺伝子(generically)改変され得る適した型の幹細胞を含む限りにおいて、1つまたは複数の細胞型が、インプット細胞集団に含まれていてよい。例示的な幹細胞は、胚性幹(ES)細胞、成体幹細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、および種々の方法を使用してSRとなるように誘導されたSEN細胞を限定することなく含む。より詳細には、成体幹細胞は、造血幹細胞(HSC)および間葉系幹細胞(MSC)を限定することなく含む。用いることができる他の型の細胞は、間質小胞画分、形質細胞、臍帯血細胞、胎盤細胞、骨髄由来細胞、上皮細胞、内皮細胞、免疫細胞、線維芽細胞、軟骨細胞、肝細胞、抗原提示細胞、肥満細胞、筋肉細胞、抗体産生細胞、神経細胞およびグリア細胞である。
例示的な一変形形態では、MSCは、1つまたは複数の有益な因子の産生のために誘導される。細胞集団におけるMSCの使用が、有益となり得る。MSCは、中胚葉に起源をもつ非造血成体幹細胞のサブセットであり、典型的には、自己再生能力を保持し、軟骨細胞、骨細胞、脂肪細胞および筋肉細胞等、中胚葉系列のみならず、外胚葉細胞および内胚葉細胞にも多系列分化する。MSCは、ほぼ全ての組織に存在する。
MSCは、いずれか適した組織に由来し得る。一変形形態では、MSCは、脂肪組織(ADSC)に、特に、消化されたまたは機械的に分離された脂肪組織から得られる間質血管画分(SVF)に由来する。本明細書において使用される場合、用語「脂肪」は、いずれかの脂肪性組織を指し、脂肪組織は、脂肪性組織を有するいずれかの生物に由来し得る。脂肪組織は、哺乳動物における皮下、網/内臓、乳房、性腺または他の脂肪組織部位に由来する褐色または白色脂肪組織であり得る。ある特定の変形形態では、脂肪は、皮下白色脂肪組織、内臓脂肪組織または吸引脂肪組織試料である。脂肪組織の簡便な供給源は、脂肪吸引外科手術に由来するが、脂肪組織の供給源は、そのように限定される必要はない。脂肪組織をいずれか適した酵素(例えば、コラゲナーゼ)で消化して、MSCを得ることができる、または機械的に分離することができる。一部の変形形態では、ヒトMSCは、脂肪由来MSC(hADMCまたはhADSCまたはhADMSC)である。他の変形形態では、MSCは、非ヒト哺乳動物脂肪組織に由来する。
インプット細胞は、自家(因子を受ける個体由来の細胞)または同種異系(因子を受ける個体に由来しない細胞)であり得る。インプット細胞は、単一個体由来の細胞を含むことができるか、またはその代わりに、1つ超の個体由来の細胞の混合物を含むことができる。細胞は、純粋にADSCであり得るか、または細胞の不均一混合物であり得る。当業者が、その後の因子産生を制御するためにインプット細胞をカスタマイズする能力を有することが理解される。
一部の変形形態では、インプット細胞は、幹細胞を含み、幹細胞は、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%またはさらには90%SR幹細胞(例えば、SR−ADSCまたはSR−hADSC)である。例示的な変形形態では、インプット細胞は、MSCであり、少なくとも50%のSR MSCを含む。SR幹細胞は、その形態、増殖指標および1つまたは多くのマーカーに関して定義することができる。
一部の変形形態では、インプット細胞は、幹細胞を含み、幹細胞は、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%またはさらには90%のSEN幹細胞(例えば、SEN−ADSCまたはSEN−hADSC)である。例示的な変形形態では、インプット細胞は、MSCであり、少なくとも50%のSEN MSCを含む。SEN幹細胞は、その形態、増殖指標および1つまたは多くのマーカーに関して定義することができる。
1.老化の誘導
一部の変形形態では、特定のセットの所望の因子の産生を達成するために、老化したまたは老化しつつある(まとめてSENと称される)幹細胞を利用することが望ましい。本明細書において使用される場合、SEN幹細胞は、複製的に老化した細胞である。複製老化は、成長停止、アポトーシス抵抗性、高レベルの代謝活性、形態学的および細胞サイズ変化、腫瘍サプレッサーのP16、P21、P53および/またはRBの高レベルの発現、老化関連ベータガラクトシダーゼ(SA−β−gal)の活性増加、ならびにDNAを合成および修復する能力の喪失によって特徴付けられる。幹細胞の複製加齢は、その生物学的特性に影響を与え得る。
特定の変形形態では、幹細胞は、SEN−ADSC、例えば、SEN−hADSCである。幹細胞は、本来SENであり得るか、または老化を起こすように誘導することができる。本文を通じてSEN細胞を参照する場合、この用語が、天然に存在するSEN幹細胞と、SENとなるように誘導された幹細胞の両方を包含することを理解されたい。老化を起こすように幹細胞を誘導する例示的な方法として、非コードmiRNA(後述)の送達や、遺伝毒性物質、放射線、紫外線、腫瘍サプレッサー誘導因子、有糸分裂阻害剤、核酸損傷剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、ホルモン阻害剤、増殖因子阻害剤またはPARP阻害剤への曝露が挙げられるがこれらに限定されない、WO2013/078392に記載されているもの等、老化誘導因子の送達が挙げられるがこれらに限定されない。
一変形形態では、老化を誘導する方法は、SEN状態を達成するための誘導を必要とするSR細胞の集団または少なくともいくつかのSR細胞を含む幹細胞の集団への、老化関連miRNA模倣物のトランスフェクションを含む。この変形形態では、SR−ADSCは、実施例10および図108〜112に記載されているような、miR−17−5p、miR−18a−5p、miR−20a−5p、mir−92a1−5p、mir−19a−3p、mir−125b1−5p、mir100−5pおよびmir−let7a−2−3pから選択されるmiRNAをトランスフェクトされる。
2.幹細胞性(若返り)の誘導
他の変形形態では、特定のセットの所望の因子の産生を達成するために、SRであり、高い程度の幹細胞性を示す幹細胞を利用することが望ましい。特定の変形形態では、幹細胞は、SR−ADSC、例えば、SR−hADSCである。幹細胞は、本来SRであり得るか、またはSRであるように若返らせることができる。本文を通じてSR細胞を参照する場合、この用語が、天然に存在するSR幹細胞と、SRとなるように誘導された幹細胞の両方を包含することを理解されたい。若返りを起こすように幹細胞を誘導する例示的な方法として、WO2012058097およびWO2013126565(幹細胞の集団におけるSINE/ALUレトロトランスポゾン転写物のレベルまたは活性の低下)に記載されている方法が挙げられるがこれらに限定されない。
一変形形態では、例示的な方法は、幹細胞を含む試料の単離を含む。試料をアッセイして、上述の特定の特徴に注目することにより、SENまたはSRであるか決定する。SENである場合、細胞は、上に提示されている通りにSRとなるように若返らせることができる。若返ったSEN幹細胞によって放出される因子は、SR幹細胞と同じであっても異なっていてもよい。
一変形形態では、SEN幹細胞の若返りには、SINE/ALUレトロトランスポゾンのレベルまたは活性の低下が関与する。低下は、前記細胞への、SINE/ALUレトロトランスポゾン転写物を標的とする低分子干渉RNA(siRNAまたはshRNA)分子を含むまたはこれをコードするいずれかの構築物を導入することを含み得る。例えば、低分子干渉RNAは、一本鎖RNA、対形成した二本鎖RNA(dsRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)およびPIWI RNA(piRNA)からなる群から選択される分子を含むことができる。構築物は、SINE/ALU転写物の安定した下方調節、または一部の変形形態では、一時的な下方調節を生じることができる。例えば、構築物は、プラスミドベクターまたはウイルスベクター等、ベクターを含むことができる。例えば、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ベクターからなる群から選択することができる。
構築物を導入するためのいずれか適切な機構、例えば、形質転換、形質導入、トランスフェクションまたは感染を使用することができる。一部の変形形態では、方法は、脂質またはリポソームによる方法を含むことができる。加えて、SINE/ALUレトロトランスポゾンを標的とする合成piRNAの送達は、細胞にDNAをトランスフェクトする物理的方法をもたらし、そして特異的リガンド−受容体またはいずれかの生化学的特色に依存しない、いずれかの種類の微粒子銃デバイスの使用により達成することができる(例えば、US20040033589を参照)。
一変形形態では、若返りは、HERVHに基づく転写を駆動するための;または成体幹細胞のLBP9転写因子駆動若返りを駆動するためのHERVHの送達による、Wangら(Nature.2014年12月18日;516巻(7531号):405〜9頁)に記載されている方法によって達成することができる。
一部の変形形態では、増殖能の誘導または回復するに十分な量で、インプット幹細胞の集団におけるSINE/ALUレトロトランスポゾン転写物のレベルまたは活性を低下させるステップは、最初にSENと識別された細胞においてのみ行われる。例えば、細胞(新鮮または凍結保存した)は、本明細書に記載されている品質管理(QC)技法によってスクリーニングして、SEN細胞を識別することができ、これらの細胞は、若返りのために標的にされ得る。よって、本明細書に記載されている方法のいずれかは、若返りおよび/または誘導に先立ち、細胞の老化状態を識別するためのQCステップを含むことができる。その代わりに、一部の変形形態では、若返りのための本明細書に記載されている方法のいずれかを使用して、SENおよびSR幹細胞の混合集団中の全細胞を若返りのために処理することができる。一旦若返ると、直前までSENであった若返った細胞の集団またはSR/若返ったSENの混合集団の因子は、これらの細胞から直接的に使用することができる(例えば、誘導することなく)。その代わりにまたはその上、若返ったSEN細胞の集団、若返ったSENおよびSR細胞の混合集団、または単なるSR細胞の集団は、因子を産生するように誘導することができ、その結果生じる因子を本明細書に記載されるように使用することができる。一部の変形形態では、誘導および非誘導集団由来の因子(および/または細胞それ自体)は、組み合わせることができるか、または別々に使用することができる。一部の変形形態では、誘導または非誘導集団由来の抽出物が投与される。これは、図1Aに模式的に記載されている。
若返った幹細胞の使用は、凍結保存または他の貯蔵方法が使用される状況において特に重要になり得る。延長された継代または凍結保存からの幹細胞の復活は、一般に、SR状態であり得る新鮮に単離された幹細胞と比較して、幹細胞の分裂能力を低下させる。
C.幹細胞の誘導および因子の産生
本明細書に提供されている通り、SENおよびSR幹細胞からの因子の産生は、広範囲の疾患および障害の処置のためにカスタマイズ可能である。誘導剤に応答して、特定化されたセットの条件下で、幹細胞は、因子の特定の組合せを産生または分泌するように誘導され得る。産生された因子の特定の組合せに対して貢献することは、どの型の幹細胞が誘導されるか、SRまたはSENとしての幹細胞集団の特徴付け、使用に選択された誘導剤、誘導の持続時間、および誘導後の時間間隔を含む。
本明細書に提供される変形形態では、因子のコレクションは、一般に、例えば、複数の因子のコレクションであると特徴付けることができ、この場合、因子のうちの1つまたは複数は、創傷治癒因子、アポトーシス因子、抗アポトーシス因子、抗炎症因子、免疫調節因子、血管新生因子、ケモカイン因子、サイトカイン因子、インターロイキン、インターロイキン受容体、増殖因子、増殖因子受容体、ホルモン、接着促進因子、増殖誘導因子、シグナル−トランスダクション刺激因子およびその受容体、神経栄養因子、再生因子、ならびに修復誘発因子である。
1.誘導剤および条件
本発明の幹細胞は、本発明の誘導剤と接触させた状態で(例えば、これと組み合わせて)配置される。本明細書において使用される場合、誘導剤は、幹細胞と相互作用するか、またはこれに影響を与えることができる(例えば、受容体に特異的または非特異的に結合する;転写および翻訳を誘導する)いずれかの分子または遺伝子改変であり得、これは、幹細胞のゲノムに組み込むことにより誘導因子を産生するか、またはこれを異所的に発現し、幹細胞の遺伝子発現に影響もしくはこれを誘導し、幹細胞のシグナルトランスダクションに影響し、および/または幹細胞の転写、翻訳もしくは翻訳後の仕組みに影響して、1つまたは複数の因子の産生および分泌を誘導することができる。
誘導剤の非限定例として、小分子、タンパク質、ペプチド、抗体、オリゴヌクレオチド、アプタマー、核酸分子にコードされる因子、およびRNAi、miRNAまたは長鎖ncRNAが挙げられる。
遺伝子導入に使用されるウイルスベクターの代表例として、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターおよびレトロウイルスベクターが挙げられる。解毒されたレトロウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、センダイウイルス、SV40もしくはヒト免疫不全ウイルス(HIV)等、DNAもしくはRNAウイルスに標的遺伝子を導入し、このような組換えウイルスを細胞に感染させることにより、またはCRISPR技術の使用により、標的遺伝子を細胞に導入することができる。
一変形形態では、誘導剤は、サイトカイン、例えば、IL−2、レチノイド酸およびその誘導体、走化性因子、ケモカイン、ホルモン、増殖因子、ロイコトリエン、プロスタグランジン、トロンボキサンおよび血小板活性化因子(PAF)、ならびに肥満細胞分泌メディエーターが例示されるがこれに限定されない、細胞によって分泌されるメディエーターを含む。
例示的な一変形形態では、誘導剤は、IL−2またはIL−2のアイソフォームである。
誘導因子は、いずれかの種類の培地における細胞と組み合わせることができるか、または遺伝子操作の手段により送達することができる(例えば、誘導性因子が、核酸分子にコードされる場合)と共に、RNAi、miRNA、長鎖ncRNAとして送達することができる。
誘導により産生/分泌された因子を含む培地は、本明細書において、「馴化培地」と称することができる。
例示的な一変形形態では、細胞は、血小板リッチな血漿(PRP、例えば、10%PRP)を含む培地において培養され、誘導剤は培地と混合される。
別の変形形態では、細胞は、血漿、血清、臍帯血血清、および血小板溶解物等の血小板派生物において培養される。一変形形態では、SVFは、ヒト血小板溶解物を使用して培養される。他の変形形態では、血小板リッチな血漿が、SVF培養培地に含まれる。
別の例示的な変形形態では、間質小胞画分が、因子産生に使用される場合、ウシ胎仔血清(FBS)および線維芽細胞増殖因子(FGF)−2が、培養培地において使用することができる物質である。
別の変形形態では、細胞は、無血清培地において培養される。無血清培地は、グルコース等のエネルギー源、無機塩、脂溶性成分、窒素源およびビタミンまたは脂質組成物を含む、標準無血清培地製剤に提供される要素等の成分を含むことができる。
一般に、幹細胞の誘導は、5分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、30時間、36時間、42時間、48時間、3日間、4日間よりも長い、またはさらには5日間よりも長い等、既定量の時間における、誘導剤への幹細胞の曝露(本明細書を通じて互換的に、誘導剤への幹細胞の曝露/誘導剤によるプライミング/誘導剤との接触/誘導剤による誘導/誘導剤とのインキュベート/誘導剤による刺激と称する)を含む。細胞は、一定レベルの誘導剤または変動するレベル(例えば、初期に高く、次いでより低いレベル、曝露時間にわたって増加するレベル、曝露時間にわたって減少するレベル、曝露時間にわたってランダムなレベル等)に曝露することができる。曝露後に、細胞によって産生された因子の使用に先立ち、細胞は、洗浄することができる、または他の仕方で処理して、誘導剤を除去することができる。変動するインキュベーション時間は、因子の産生に影響することから、特定の下流臨床適用のために産生をカスタマイズするために変動させることができる。一部の変形形態では、因子は、誘導剤の除去の直後に収集される;一部の変形形態では、誘導薬剤の除去から5分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、30時間、36時間、42時間、48時間、3日間、4日間またはさらには5日間より長い期間の後に、因子は、収集/除去/送達/使用される。一部の例示的な変形形態では、誘導剤の除去から24、48または72時間後に、因子は、収集/除去/送達/使用される。他の例示的な変形形態では、細胞が、上述の所定の期間、誘導薬剤と組み合わされ、誘導薬剤が除去され(例えば、培地が交換され)、一(1)時間、六(6)時間、12時間、24時間、36時間、48時間、60時間もしくは72時間に及ぶ誘導後の既定の期間、またはこれらの誘導後期間のいずれかの組合せの期間、細胞が回復させられる。
2.因子産生の誘導
誘導および産生は、特異的な因子を産生するように個別調整することができる。これは、様々な仕方で、例えば、ある特定の細胞集団を選択することにより、細胞培養培地の組成を調整することにより、または特定の誘導薬剤を選択することにより、達成することができる。本明細書に提供されているように、また、後述するように、因子の産生は、本明細書に提供されている因子産生ユニットのうちいずれか1つで起こる。因子産生ユニットは、インプット幹細胞の集団と、細胞集団に支持を提供する基材とを含む。
培養(例えば、誘導後)の持続時間は、因子産生ユニットによる因子産生をカスタマイズするように調整または制御することができる。因子は、誘導後5分間〜5日間に及ぶ既定の時間で収集することができ、これは、上に記載されている。
本明細書に記載されている方法において有益となり得る因子は、皮膚再生/若返り経路に関与するインターロイキン、インターロイキン受容体および結合タンパク質、増殖因子、増殖因子受容体、ケモカイン、サイトカイン、走化性因子、細胞接着をもたらす分子、細胞増殖を促進することができる因子、神経栄養因子、皮膚再生を促進することができる因子、創傷治癒を促進または抑制することができる因子、ヒアルロン酸合成を促進することができる因子、皮膚弾性を促進することができる因子、悪性病変形成を抑制する因子、UV誘導性皮膚損傷および色素沈着の阻害に関する因子、ならびに毛髪増殖を刺激する因子、代謝、内分泌機能を刺激し、インスリン感受性を改善する因子、一酸化窒素産生を促進する因子、抗アポトーシス因子、アポトーシス促進因子、抗壊死、抗炎症因子、ならびに喘息およびアレルギー反応の抑制に有用な因子、免疫調節性、血管新生、免疫調節物質、シグナルトランスダクションリガンドおよび受容体、脳炎症、脳外傷および神経筋疾患側面を抑制する神経栄養因子、神経堤(neurocrest)発生における異常を抑制する因子、脊髄運動神経細胞軸索の変性の反転を増強し、神経発生および神経細胞生存を刺激する因子、コラーゲン、エラスチンおよびヒアルロナンの産生による細胞外(extacellular)マトリックス(ECM)の回復を促進する因子、殺菌、抗菌、抗真菌活性、ならびに細胞生存、組織修復、再生および細胞分化を促進する因子を限定することなく含む。
図11〜17は、10%PRP(血小板リッチな血漿)を含有する培地単独(IL−2刺激なし)とのインキュベーション24時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。因子産生ユニットから産生される因子は、有益であり、熱傷における免疫応答の刺激、ならびに創傷治癒等の組織損傷後に炎症をもたらす疾患、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、シェーグレン症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎および強皮症、加齢したおよび光損傷した皮膚に関する皮膚美容適用、ならびに殺菌および抗真菌活性を有する抗菌タンパク質を必要とする処置のための治療利益をもたらし得る。
図11は、インターロイキン5(IL5)およびインターロイキン6(IL6)の分泌の増加を示す。IL−6の制御された産生および送達は、抗炎症性状態、骨粗鬆症のための送達、および睡眠関連状態の改善に所望され得る。IL−5の制御された産生および送達は、Th1細胞、マクロファージ、IFN−ガンマおよび樹状細胞の産生の増加等、免疫の増強に所望され得る。
図12は、インターロイキン1受容体4(IL1R4)の分泌の増加を示す。図13は、ニューロトロフィン3(NT3)、血小板由来増殖因子Aアルファ(PDGF AA)、血小板由来増殖因子Aベータ(PDGF AB)および血小板前駆細胞塩基性タンパク質(PPBP)の分泌の増加を示す。図14は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド18(CCL18)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド25(CCL25)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド27(CCL27)およびCXCケモカインリガンド11(CXCL11)の分泌の増加を示す。図15は、細胞間接着分子1(ICAM−1)およびメタロプロテイナーゼ阻害剤2(TIMP−2)の分泌の増加を示す。図16は、メタロプロテイナーゼ阻害剤1(TIMP−1)の分泌の増加を示す。図17は、血管上皮(VE)カドヘリン(カルシウム依存性細胞接着タンパク質)の分泌の増加を示す。
図18〜19は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)24時間後の、SR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。これらのタンパク質は、PRPに存在しないことが判明した。図18は、インターロイキン4(IL4)の分泌の増加を示す。図19は、インスリン様増殖因子結合タンパク質−1(IGFBP1)の分泌の増加を示す。
この因子産生ユニットによって産生される因子(図18〜19)は、活性化されたB細胞およびT細胞増殖の刺激、ならびにB細胞から形質細胞への分化のための治療利益をもたらすことができる。IL−4は、IgEへのB細胞クラススイッチングを誘導し、MHCクラスII産生を上方調節する。IL−4は、Th1細胞、マクロファージ、IFN−ガンマおよび樹状細胞の産生を減少させる。血管外組織におけるIL−4の存在は、マクロファージからM2細胞への選択的活性化を促進し、マクロファージからM1細胞への古典的活性化を阻害する。IGFBP1および2ならびにこれらのタンパク質分解断片は、ヒト歯肉線維芽細胞の増殖および遊走における効果により、炎症性状態下で組織修復を改善することが示された。
図20〜31は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。
これらの条件下で因子産生ユニットから産生される因子は、毛髪成長および形態形成、皮膚創傷、皮膚科学的障害、皮膚科学的病変、皮膚炎、乾癬、コンジローマ、疣贅、血管腫、ケロイド、皮膚がん、アトピー性皮膚炎、ベーチェット病、慢性肉芽腫性疾患、皮膚T細胞リンパ腫、潰瘍、線維症および機能喪失を含む慢性組織リモデリングをもたらす炎症および免疫調節不全を誘導する初期傷害によって特徴付けられる病理学的状態、感染からの皮膚防御、コラーゲン、エラスチンおよびヒアルロナンの新たな合成、メラノーマ成長の阻害、糖尿病性潰瘍、心筋梗塞(infraction)、粥状動脈硬化、セリアック病、関節リウマチ(RA)、炎症性腸疾患(IBD)、喘息、脳炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性骨溶解症、アレルギー性障害、敗血症性ショック、肺線維症(例えば、特発性肺線維症)、炎症性血管炎(vacultides)(例えば、結節性多発動脈炎、ウェゲナー(Wegner)肉芽腫症、高安動脈炎、側頭動脈炎およびリンパ腫様肉芽腫症(granulomatosus))、外傷後血管形成(例えば、血管形成後の再狭窄)、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解症、慢性肝炎、および慢性ウイルスまたは細菌感染に起因する慢性炎症、慢性肝臓線維症、硬変、劇症肝不全、アレルギー性気道炎症、急性肺傷害、心筋梗塞、胎児母性寛容(fetal maternal tolerance)、変形性関節症、GVHD、例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、または脳卒中および大脳もしくは脊髄外傷等の外傷後等、神経変性病理の処置のための治療利益をもたらし得る。
図20は、インターロイキン9(IL9)およびインターロイキン18結合タンパク質アルファ(IL18BPa)の分泌の増加を示す。図21は、インターロイキン1受容体II型(IL1R2)、インターロイキン2受容体ベータ(IL−2Rb)、インターロイキン2受容体ガンマ(IL−2Rg)、インターロイキン5受容体アルファ(IL5Ra)、インターロイキン10受容体ベータ(IL10Rb)、インターロイキン18受容体アクセサリータンパク質(IL18Rb)およびインターロイキン21受容体(IL−21R)の分泌の増加を示す。図22は、インスリン様増殖因子2(IGF2)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGFa)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1/潜在関連ペプチド(LAP)(TGFb1)およびトランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGFb2)の分泌の増加を示す。図23は、受容体チロシンタンパク質キナーゼErbB−3(ErbB3)、Fasリガンド(Fas LG)、白血病阻害因子(LIF)、プロラクチン(PRL)因子、血小板由来増殖因子受容体アルファ(PDGFRa)、血小板由来増殖因子受容体ベータ(PDGFRb)、幹細胞因子kit受容体(SCFR)およびシアル酸結合Ig様レクチン5(シグレック5)の分泌の増加を示す。図24は、CXCケモカインリガンド16(CXCL16)の分泌の増加を示す。図25は、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)、Eセレクチン(免疫接着における細胞表面糖タンパク質)、細胞間接着分子2(ICAM2)、Lセレクチン(リンパ球接着分子)および血小板内皮細胞接着分子(PECAM1)の分泌の増加を示す。図26は、アクチビンA(INHBA)、インスリン様増殖因子2(IGF−2)およびレプチン受容体(LEPR)の分泌の増加を示す。図27は、骨形成タンパク質5(BMP5)、骨形成タンパク質7(BMP7)、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(MCSFR)、マトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ3(MMP3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP13)の分泌の増加を示す。図28は、単球分化抗原(CD14)、細胞分化抗原(CD80)、カルジオトロフィン−1(CT−1)および白血病阻害因子(LIF)の分泌の増加を示す。図29は、エンドグリン(ENG)の分泌の増加を示す。図30は、免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ1(TIE1)、ならびに免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ2(TIE2)の分泌の増加を示す。図31は、アクチビンA(インヒビンベータA、INHBA)、レプチン受容体(レプチンR)およびトランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFb1)の分泌の増加を示す。
図32は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−MSCからの神経増殖因子受容体(NGFR)の分泌の増加を示す。NGFRは、PRPに存在しないことが判明した。これらの条件下で因子産生ユニットから産生される因子は、例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、または脳卒中および大脳もしくは脊髄外傷等の外傷後等、神経変性病理の処置、ならびに筋骨格および心臓修復を必要とする状態のスタンドアロン型または組合せ型処置のための治療利益をもたらし得る。
図33〜39は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。因子産生ユニットから産生される因子は、例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、または脳卒中および大脳もしくは脊髄外傷等の外傷後等、神経変性病理の処置、ならびに筋骨格および心臓修復を必要とする状態のスタンドアロン型または組合せ型処置、皮膚創傷、皮膚科学的障害、皮膚科学的病変、皮膚炎、乾癬、コンジローマ、疣贅、血管腫、ケロイド、皮膚がん、アトピー性皮膚炎、ベーチェット病、慢性肉芽腫性疾患、皮膚T細胞リンパ腫、潰瘍、線維症および機能喪失を含む慢性組織リモデリングをもたらす炎症および免疫調節不全を誘導する初期傷害によって特徴付けられる病理学的状態、感染からの皮膚防御、コラーゲン、エラスチンおよびヒアルロナンの新たな合成、メラノーマ成長の阻害、糖尿病性潰瘍、心筋梗塞、粥状動脈硬化、セリアック病、関節リウマチ(RA)、炎症性腸疾患(IBD)、喘息、脳炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性骨溶解症、アレルギー性障害、敗血症性ショック、肺線維症(例えば、特発性肺線維症)、炎症性血管炎(例えば、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、高安動脈炎、側頭動脈炎およびリンパ腫様肉芽腫症)、外傷後血管形成(例えば、血管形成後の再狭窄)、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解症、慢性肝炎、および慢性ウイルスまたは細菌感染に起因する慢性炎症、慢性肝臓線維症、硬変、劇症肝不全、アレルギー性気道炎症、急性肺傷害、心筋梗塞、胎児母性寛容、変形性関節症、GVHDのための治療利益をもたらし得る。
図33〜39において、分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図33は、インターロイキン1ベータ(IL1b)、インターロイキン3(IL3)、インターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2(IL13Rα2)およびインターロイキン1受容体アルファ(IL1Rα)の分泌の増加を示す。図34は、プロベータセルリン(BTC)、コロニー刺激因子(CSF1)、線維芽細胞増殖因子6(FGF6)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、インスリン様増殖因子1(IGF−1)、レプチンおよび血小板由来増殖因子Bベータ(PDGF BB)の分泌の増加を示す。図35は、幹細胞因子/c−kitリガンド(SCF)、間質細胞由来因子−1アルファ(SDF1a)、間質細胞由来因子−1ベータ(SDF1b)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFb1)、トランスフォーミング増殖因子ベータ3(TGFb3)および腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)の分泌の増加を示す。図36は、インスリン様増殖因子1(IGF1)の分泌の増加を示す。図37は、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFb1)および血小板由来増殖因子Bベータ(PDGF BB)の分泌の増加を示す。図38は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5(CCL5)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド7(CCL7)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド8(CCL8)およびケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11(CCL11)の分泌の増加を示す。図39は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド13(CCL13)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド22(CCL22)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド23(CCL23)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24(CCL24)およびCXCケモカインリガンド10(CXCL10)の分泌の増加を示す。
図40〜42は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。図40〜42は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。これらの条件下で因子産生ユニットから産生される因子は、例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、または脳卒中および大脳もしくは脊髄外傷等の外傷後等、神経変性病理、コンジローマ、疣贅、血管腫、ケロイド、皮膚がん、網膜色素変性症(retinoditis pigmentosa)、特発性肺線維症、慢性肝臓線維症、硬変、劇症肝不全、アレルギー性気道炎症、急性肺傷害、アトピー性皮膚炎、ベーチェット病、慢性肉芽腫性疾患、皮膚T細胞リンパ腫、潰瘍、線維症および機能喪失を含む慢性組織リモデリングをもたらす炎症および免疫調節不全を誘導する初期傷害によって特徴付けられる病理学的状態、虚血性腎傷害、嚢胞性線維症、副鼻腔炎および鼻炎または整形外科的疾患、自己免疫性肝炎の処置、ならびに筋骨格および心臓修復を必要とする状態のスタンドアロン型または組合せ型処置のための治療利益をもたらし得る。
図40は、脳由来神経栄養因子(BDNF)、骨形成タンパク質4(BMP4)、骨形成タンパク質6(BMP6)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子7(FGF7)およびインスリン様増殖因子結合タンパク質−4(IGFBP4)の分泌の増加を示す。図41は、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド13(BLC)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド23(CCL23)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド28(CCL28)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11(エオタキシン1)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド6(GCP−2)、FLT3LG(Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド)およびフラクタルカイン(CX3CL1)の分泌の増加を示す。図42は、アンジオテンシン(ANG)およびコロニー刺激因子2(CSF2)の分泌の増加を示す。エオタキシン1は、喘息およびアレルギー反応に対する薬物として作用する。Flt3 LGは、造血細胞前駆体の増殖および分化を刺激し、フラクタルカインは、細胞傷害性エフェクターT細胞、誘導された遊走T&B細胞リンパ球、NK細胞および単球をモジュレートし、BLCは、リンパ系組織におけるB細胞の組織化を制御する。CCL23は、肺および肝臓組織における免疫調節に関連し、ANGシグナル伝達は、心血管疾患における保護効果に関連し、CSF2は、関節リウマチのための潜在的な治療法として使用され、マクロファージを刺激する。加えて、白血球の産生を刺激し、化学療法後の好中球減少症を予防する。これは、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ球性(lymphocutic)白血病、真菌感染およびホジキン病における処置に承認されている。
図43は、IL−2による刺激24時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド27(CCL27)およびTNFRSF1B(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー1B)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。
図44〜53は、IL−2による刺激48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。
図44〜53は、IL−2による刺激48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。これらの条件下で因子産生ユニットから産生される因子は、自己免疫性疾患の処置のための治療利益をもたらし得る。本明細書で参照される通り、「自己免疫性疾患」は、自分自身の細胞、組織および/または臓器に対する対象の免疫学的反応に起因する細胞、組織および/または臓器傷害によって特徴付けられる、対象における状態を指す。本発明の免疫調節性細胞で処置することができる自己免疫性疾患の実例としての非限定例として、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫性疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー・皮膚炎、慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡(cicatrical pemphigoid)、CREST症候群、寒冷凝集素病、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症−線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAニューロパチー、若年性関節炎、扁平苔癬、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、I型または免疫媒介性真性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー(Raynauld)現象、ライター症候群、サルコイドーシス、強皮症、進行性全身性硬化症、シェーグレン症候群、グッドパスチャー症候群、全身硬直症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎(arteristis)/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、疱疹状皮膚炎血管炎等の血管炎、白斑、ウェゲナー肉芽腫症、抗糸球体基底膜病、抗リン脂質症候群、神経系の自己免疫性疾患、家族性地中海熱、ランバート・イートン筋無力症症候群、交感性眼炎、多腺性内分泌障害、乾癬等、ならびに血管新生の増強を必要とする疾患および状態が挙げられる。
図44は、インターロイキン9(IL9)、インターロイキン11(IL11)、インターロイキン12アルファ(IL12a)、インターロイキン12ベータ(IL12b)およびインターロイキン18結合タンパク質アルファ(IL18BPa)の分泌の増加を示す。図45は、インターロイキン1受容体I型(IL1R1)、インターロイキン1受容体II型(IL1R2)、インターロイキン1受容体IV型(IL1R4)、インターロイキン2受容体ベータ(IL−2Rb)、インターロイキン2受容体ガンマ(IL−2Rg)、インターロイキン5受容体アルファ(IL5Ra)、インターロイキン10受容体ベータ(IL10Rb)、インターロイキン18受容体ベータ(IL18Rb)およびインターロイキン21受容体(IL−21R)の分泌の増加を示す。図46は、線維芽細胞増殖因子4(FGF4)、FGF9、MSPアルファ/HGF様因子(HGF様)、インスリン様増殖因子1(IGF1)、IGF2、インスリン様増殖因子結合タンパク質−6(IGFBP6)、LAP(TGFベータファミリー)および血小板由来増殖因子Aアルファ(PDGFAA)の分泌の増加を示す。図47は、血小板由来増殖因子Aベータ(PDGFAB)、血小板由来増殖因子Bベータ(PDGFBB)、間質細胞由来因子−1アルファ(SDF1a)、シアル酸結合Ig様レクチン5(シグレック5)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGFa)、トランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGFb2)、血管内皮増殖因子(VEGF)および血管内皮増殖因子D(VEGFD)の分泌の増加を示す。図47は、DR6、Dtk、EGFR、エンドグリン、ErbB3、Fas、Fas LGおよびIGF1 sRの分泌の増加も示す。図48は、レプチン(LEP)、レプチン受容体(LEPR)、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(MCSFR)、ニューロトロフィン4(NT4)、オステオプロテジェリン(OPG)、血小板由来増殖因子受容体アルファ(PDGFRa)、血小板由来増殖因子受容体ベータ(PDGFRb)およびプロラクチン(PRL)の分泌の増加を示す。図49は、幹細胞因子受容体(SCFR)、アンジオポエチン1受容体(TIE1)、アンジオポエチン1受容体(TIE2)、TNFスーパーファミリーメンバー10C(TNFSF10C)、TNFスーパーファミリーメンバー10D(TNFSF10D)、TNFスーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)および血管内皮増殖因子受容体−2(VEGFR2)の分泌の増加を示す。図50は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、CCL3、CCL5、CCL8、CCL17、CCL20、CCL25、CXCケモカインリガンド5(CXCL5)、CXCL11およびCXCL16の分泌の増加を示す。図51は、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)、骨形成タンパク質5(BMP5)、BMP7、Eセレクチン(内皮細胞接着分子)、細胞間接着分子2(ICAM2)、ICAM3、Lセレクチン(リンパ球接着分子)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP1)の分泌の増加を示す。図52は、マトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP13)、MMP3、MMP9、血小板内皮細胞接着分子(PECAM1)、メタロプロテイナーゼ阻害剤TIMP1、TIMP2、TIMP4および血管上皮(VE)カドヘリン(カルシウム依存性細胞接着タンパク質)の分泌の増加を示す。図53は、単球分化抗原(CD14)、細胞分化抗原(CD80)、カルジオトロフィン−1(CT−1)、白血病阻害因子(LIF)、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)、トロンボポエチン(THPO)およびリンホタクチン(XCL1)の分泌の増加を示す。
図44に示す通り、ある特定の因子が増加される。IL18BPaは、インターロイキンIL18誘導性インターフェロンガンマ産生を遮断することができ、感染、外傷およびアレルギーによって惹起される炎症性応答の抑制に関連する。IL9は、メラノーマのアポトーシスおよび阻害を予防する。IL11は、脂肪生成阻害因子に関連し、化学療法後の血小板回復を改善し、Ag/Ab応答をモジュレートする。IL9は、骨−細胞増殖分化に関与する。IL12は、インターフェロンガンマを誘導し、強力な免疫調節物質であるTh1およびTh2の分化を刺激する。
図54は、IL−2による刺激48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、神経増殖因子受容体(NGFR)の分泌の増加を示す。図54は、IL−2刺激24時間後の、IL−2によるIL8およびTNFRSF1Aの分泌の増加も示す。NGFR、IL8およびTNFRSF1Aは、PRPに存在しないことが判明した。
図55〜57は、IL−2による刺激72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図55は、インターロイキン1受容体アルファ(IL1Ra)、インターロイキン6(IL6)およびインターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2(IL13Ra2)の分泌の増加を示す。図56は、線維芽細胞増殖因子6(FGF6)、血小板前駆細胞塩基性タンパク質(PPBP)、幹細胞因子(SCF)および血管内皮増殖因子受容体−3(VEGFR3)の分泌の増加を示す。図57は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド22(CCL22)、CCL23、CCL24、CCL26およびCXCケモカインリガンド10(CXCL10)の分泌の増加を示す。
図58は、IL−2による刺激72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、アンジオテンシン(ANG)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、骨形成タンパク質4(BMP4)、コロニー刺激因子2(CSF2)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子7(FGF−7)、インターフェロンガンマ(IFNγ)、インスリン様増殖因子結合タンパク質−1(IGFBP1)およびIGFBP2の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
図59は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)24時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、線維芽細胞増殖因子6(FGF6)、CXCケモカインリガンド16(CXCL16)および間質細胞由来因子−1アルファ(SDF1a)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。
図60は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)24時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、脳由来神経栄養因子(BDNF)、Bリンパ球ケモカイン(CXCL13;BLC)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド1(CCL1)、Flt−3 LG(Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド)、フラクタルカイン(T細胞ケモカインCX3CL1)、顆粒球走化性タンパク質2(GCP−2)/CXCL6、インターロイキン1アルファ(IL1a)、インターロイキン4(IL4)、IL15およびインターフェロンガンマ(IFNγ)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
図61〜70は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図61は、インターロイキン2ベータ(IL−2b)、IL3、IL5およびIL6の分泌の増加を示す。図62は、インターロイキン1受容体II型(IL1R2)、インターロイキン2受容体ガンマ(IL−2Rg)、インターロイキン5受容体アルファ(IL5Ra)、インターロイキン10受容体ベータ(IL10Rb)、インターロイキン18受容体結合タンパク質アルファ(IL18BPa)、インターロイキン18受容体ベータ(IL18Rb)およびインターロイキン21受容体(IL−21R)の分泌の増加を示す。図63は、インスリン様増殖因子1(IGF1)、IGF2、LAP(TGFベータファミリー)、レプチン(LEP)、レプチン受容体(LEPR)、血小板由来増殖因子Aアルファ(PDGFAA)、血小板由来増殖因子Aベータ(PDGFAB)および血小板由来増殖因子Bベータ(PDGFBB)の分泌の増加を示す。図64は、血小板由来増殖因子受容体アルファ(PDGFRa)、幹細胞因子(SCF)、幹細胞因子受容体(SCFR)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGF b1)、トランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGF b2)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGFa)、血管内皮増殖因子受容体−2(VEGFR2)およびVEGFR3の分泌の増加を示す。図65は、細胞死受容体6(DR6;TNF受容体スーパーファミリーメンバー21)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニューロトロフィン3(NT3)、免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ1(TIE1)、TIE2およびTNFスーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)の分泌の増加を示す。図66は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、CCL5、CCL8、CCL17、CCL18およびCCL23の分泌の増加を示す。図67は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24(CCL24)、CCL25、CCL26、CCL27、CXCケモカインリガンド10(CXCL10)およびCXCL11の分泌の増加を示す。図68は、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)、骨形成タンパク質5(BMP5)、BMP7、Eセレクチン(内皮細胞接着分子)、細胞間接着分子1(ICAM1)、ICAM2、Lセレクチン(リンパ球接着分子)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP1)の分泌の増加を示す。図69は、マトリックスメタロプロテイナーゼ3(MMP3)、MMP9、MMP13、血小板内皮細胞接着分子(PECAM1)、メタロプロテイナーゼ阻害剤TIMP1、TIMP2およびTIMP4の分泌の増加を示す。図70は、単球分化抗原(CD14)、単球分化抗原(CD80)、カルジオトロフィン−1(CT−1)および白血病阻害因子(LIF)の分泌の増加を示す。CT−1は、in vivoで広範囲の生物学的活性を有する、例えば;これは、腎毒性を低下させることができ、傷害後の神経細胞死を予防することができ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)における神経筋変性に保護を課す。
図71〜72は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。図71は、骨形成タンパク質4(BMP4)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11(CCL11)、CCL23、毛様体神経栄養因子(CNTF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子7(FGF7)、インスリン様増殖因子結合タンパク質−1(IGFBP1)、IGFBP2、IGFBP4および神経増殖因子受容体(NGFR)の分泌の増加を示す。図72は、インターロイキン7(IL7)、IL10、IL13およびIL16の分泌の増加を示す。
図73は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、プロベータセルリン(BTC)、インターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2(IL13Ra2)および間質細胞由来因子−1ベータ(SDF1b)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。
図74は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、肝細胞増殖因子(HGF)、インターロイキン8(IL8)およびTNFRSF1A(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー1A)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
図75は、IL−2による刺激24時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド23(CCL23)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、上皮増殖因子(EGF)、CCL11(エオタキシン1)、IL4および神経増殖因子受容体(NGFR)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
図75は、IL−2刺激24時間後の、CXCL16、HCC4、sgp130およびTNFRSF1Bの分泌の増加も示す。分泌レベルは、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。
図76〜86は、IL−2による刺激48時間後の、SEN−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図76は、インターロイキン1ベータ(IL1b)、IL3、IL5、IL6、IL9、IL10、IL12bおよびインターロイキン18結合タンパク質アルファ(IL18BPa)の分泌の増加を示す。図77は、インターロイキン1受容体アルファ(IL1Ra)、IL1R4、IL10Rb、IL18Rb、IL1R2、IL−21R、IL−2Rb、IL−2RgおよびIL5Raの分泌の増加を示す。図78は、線維芽細胞増殖因子6(FGF6)、インスリン様増殖因子IGF1およびIGF2、LAP(TGFベータファミリー)、ニューロトロフィン3(NT3)、血小板由来増殖因子Aアルファ(PDGFAA)、血小板由来増殖因子Aベータ(PDGFAB)ならびに血小板由来増殖因子受容体アルファ(PDGFRa)の分泌の増加を示す。図79は、幹細胞因子(SCF)、トランスフォーミング増殖因子2(TGF2)、TGFa、TGFb1、TGFb3、腫瘍壊死因子ベータ(TNFb)、血管内皮増殖因子受容体−2(VEGF R2)およびVEGF R3の分泌の増加を示す。図80は、DR6(TNF受容体スーパーファミリーメンバー21)、エンドグリン(ENG)、受容体チロシンタンパク質キナーゼerbB−3(ErbB3)、Fasリガンド(Fas LG)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、GITRリガンド(GITR LG)およびレプチン受容体(LEPR)の分泌の増加を示す。図81は、プロラクチン(PRL)、幹細胞因子受容体(SCFR)、シアル酸結合Ig様レクチン5(シグレック5)、アンジオポエチン1受容体(TIE1)およびアンジオポエチン1受容体(TIE2)の分泌の増加を示す。図82は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド8(CCL8)、CCL13、CCL15、CCL17、CCL18およびCCL20の分泌の増加を示す。図83は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド22(CCL22)、CCL24、CCL26、CXCケモカインリガンド9(CXCL9)およびCXCL11の分泌の増加を示す。図84は、アクチビンA(INHBA)、骨形成タンパク質5(BMP5)、Eセレクチン(内皮細胞接着分子)、細胞間接着分子1(ICAM1)、ICAM2、Lセレクチン(リンパ球接着分子)およびマクロファージコロニー刺激因子(MCSF)の分泌の増加を示す。図85は、マトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP1)、MMP13、MMP3、MMP9、血小板内皮細胞接着分子(PECAM1)およびメタロプロテイナーゼ阻害剤4(TIMP−4)の分泌の増加を示す。図86は、単球分化抗原(CD14)、リンホタクチン(XCL1)、カルジオトロフィン−1(CT−1)、白血病阻害因子(LIF)、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)および血小板前駆細胞塩基性タンパク質(PPBP)の分泌の増加を示す。
図87は、IL−2による刺激48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、脳由来神経栄養因子(BDNF)、骨形成タンパク質4(BMP4)、線維芽細胞増殖因子7(FGF7)、インスリン様増殖因子結合タンパク質−2(IGFBP2)、IL−2、IL16およびインターフェロンガンマ(INFガンマ)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
図88〜89は、IL−2による刺激72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図88は、アディポネクチン(Acrp30)、アグーチ関連タンパク質(AgRP)、ANGPT2(アンジオポエチン2)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、プロベータセルリン(BTC)、インターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2(IL13Ra2)、レプチン(LEP)、ニューロトロフィン4(NT4)および間質細胞由来因子−1アルファ(SDF1a)の分泌の増加を示す。図89は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、CCL4、CCL5、CCL23、CCL25、CCL27、CXCケモカインリガンド10(CXCL10)、間質細胞由来因子−1ベータ(SDF1b)、メタロプロテイナーゼ阻害剤1(TIMP1)、TIMP2および腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)の分泌の増加を示す。
図90は、IL−2による刺激72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)およびIL13の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
一般に、本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムは、HB−EGF;FGF1、2および4;PDGF;IGF−1;TGF−β1およびβ2;TGF−β3;IL−1αおよび−β;IL−10;IL−4;IL−2、IL−12;IL−6、IL−8、IL−17a;LEPおよびLEPR;エンドグリン;Adipoq;IGFBP1、IGFPB3;CSF1、CSF3および受容体CSFR1;PPBP/NAP−2;HGF;NGRF;EGF;TNF−α;ならびにこれらの組合せが挙げられるがこれらに限定されない、因子を産生することができる。
皮膚再生経路に関与する、本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される例示的なインターロイキンは、IL1b(インターロイキン1β)、IL2b(インターロイキン2β)、IL3(インターロイキン3)、IL6(インターロイキン6)、IL6ST(インターロイキン6ST)、IL9(インターロイキン9)、IL11(インターロイキン11)、IL12a(インターロイキン12α)、IL12b(インターロイキン12β)、IL13(インターロイキン13)およびIL17(インターロイキン17)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される例示的なインターロイキン受容体および結合タンパク質は、IL1Ra(インターロイキン1受容体α)、IL1R1(インターロイキン1受容体1型)、IL1R2(インターロイキン1受容体2型)、IL1R4(インターロイキン1受容体4)、IL2Ra(インターロイキン2受容体α)、IL2Rg(インターロイキン2受容体γ)、IL5Ra(インターロイキン5受容体α)、IL6R(インターロイキン6受容体)、IL10Rb(インターロイキン10受容体β)、IL13Ra(インターロイキン13受容体α)、IL18Rb(インターロイキン受容体β)、IL18BP(インターロイキン18結合タンパク質)、IL21R(インターロイキン21受容体)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される例示的な増殖因子は、bFGF2(塩基性線維芽細胞増殖因子2)、bNGF(ベータ−神経増殖因子)、FGF4(線維芽細胞増殖因子4)、FGF6(線維芽細胞増殖因子6)、FGF9(線維芽細胞増殖因子9)、Fasリガンド、IGFBP1(インスリン増殖因子結合タンパク質1)、IGFBP3(インスリン増殖因子結合タンパク質3)、IGFBP6(インスリン増殖因子結合タンパク質6)、LAP(トランスフォーミング増殖因子様)、IGF−1(インスリン様増殖因子1)、IGF−2(インスリン様増殖因子2)、PDGF(血小板由来増殖因子)、PDGFAA(血小板由来増殖因子Aα)、PDGFAB(血小板由来増殖因子Aβ)、PDGFBB(血小板由来増殖因子Bβ)、TGFB1(トランスフォーミング増殖因子β1)、ANG(アンジオゲニン)、BDNF(脳由来神経栄養因子)、BMP4(骨形成(morphogenic)タンパク質4)、BMP6(骨形成タンパク質6)、bNGF(ベータ−神経増殖因子)、BTC(プロベータセルリン)、CNTF(毛様体神経栄養因子)、EGF(上皮増殖因子)、HGF(肝細胞増殖因子)、肝細胞様増殖因子、NT3(ニューロトロフィン3)、NT4(ニューロトロフィン4)、OPG(オステオプロテジェリン)、シグレック5(シアル酸結合If様レクチン5)およびTGFA(トランスフォーミング増殖因子アルファ)、TGFb1(トランスフォーミング増殖因子ベータ1)、TGFb2(トランスフォーミング増殖因子ベータ3)、VEGF(血管内皮増殖因子)、VEGFD(血管内皮増殖因子D)およびPLGF(胎盤増殖因子)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される例示的な増殖因子受容体は、PDGFRA(血小板由来増殖因子受容体α)、VEGFR2(血管内皮増殖因子受容体2)、VEGFR3(血管内皮増殖因子受容体3)、NGFR(神経増殖因子受容体)、EGFR(上皮増殖因子受容体)およびTNFRSF10D(腫瘍壊死因子受容体10D)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される例示的なケモカインは、CCL2(ケモカインリガンド2)、CCL3(ケモカインリガンド3)、CCL4(ケモカインリガンド4)、CCL5(ケモカインリガンド5)、CCL7(ケモカインリガンド7)、CCL8(ケモカインリガンド8)、CCL13(ケモカインリガンド13)、CCL15(ケモカインリガンド16)、CCL17(ケモカインリガンド17)、CCL18(ケモカインリガンド18)、CCL19(ケモカインリガンド19)、CCL20(ケモカインリガンド20)、CCL22(ケモカインリガンド22)、CCL23(ケモカインリガンド23)、CCL24(ケモカインリガンド24)、CCL25(ケモカインリガンド25)、CCL26(ケモカインリガンド26)、CCL27(ケモカインリガンド27)、CCL28(ケモカインリガンド28)、CXCL1(ケモカインリガンド1)、CXCL1/2/3(ケモカインリガンド1/2/3)、CXCL5(CXケモカインリガンド5)、CXCL9(CXケモカインリガンド9)、CXCL10(CXケモカインリガンド10)、CXCL13(CXケモカインリガンド13)およびCXCL16(CXケモカインリガンド16)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、細胞接着シグナル伝達をもたらす例示的な分子は、ALCAM(細胞接着分子)、E−セレクチンおよびVEカドヘリンを限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、細胞増殖を促進することができる例示的な因子は、BMP4(骨形成タンパク質4)、BMP5(骨形成タンパク質5)、BMP6(骨形成タンパク質6)、BMP7(骨形成タンパク質7)、CSF1R(コロニー刺激因子1受容体)、ICAM2(細胞間接着分子2)、MMP1(マトリックスメタロペプチダーゼ1)、MMP3(マトリックスメタロペプチダーゼ3)、MMP9(マトリックスメタロペプチダーゼ9)およびTIMP4(メタロプロテイナーゼ阻害剤4)を限定することなく含む。
皮膚科学的加齢および皮膚の加齢に伴う生理学的変化は、乾燥症、バリア機能の喪失、コラーゲンおよびエラスチンファイバーへの損傷による弾性の喪失、しわ(rhytides)の改変、ならびに最終的に皮膚を薄くする上皮細胞の効率的代謝回転の喪失、頬骨脂肪性萎縮、ならびに色素性変化を含む。加齢は不可避であるが、一部の変形形態では、本明細書に記載されている組成物を使用して、これらの生理学的および解剖学的変化と闘うことができる。本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、皮膚再生を促進することができる例示的な因子は、CXCL16(ケモカインリガンド16)、IGF−2(インスリン様増殖因子2)およびTIE2(免疫グロブリン(immunoglobin)/EGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、創傷治癒を促進することができる例示的な因子は、アクチビンA、IGF−2(インスリン様増殖因子2)およびLEPR(レプチン受容体)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、皮膚におけるヒアルロン酸合成を促進することができる例示的な因子は、アクチビンA、LEPR(レプチン受容体、TGFB1(トランスフォーミング増殖因子β1)、EGF(上皮増殖因子)、HGF(肝細胞増殖因子)およびPDGF(血小板由来増殖因子)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、皮膚弾性を促進することができる例示的な因子は、IGFBP1(インスリン様増殖因子結合タンパク質1)、IGFBP2(インスリン様増殖因子結合タンパク質2)、IGFBP4(インスリン様増殖因子結合タンパク質4)、TIMP1(メタロプロテイナーゼ阻害剤1)およびTIMP2(メタロプロテイナーゼ阻害剤2)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、悪性病変およびUV誘導性皮膚加齢の抑制のための例示的な因子は、エンドグリンおよびSCFR(c−KIT幹細胞因子受容体)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、創傷治癒または炎症性応答を抑制するための例示的な因子は、CD14(細胞分化抗原14)、CD80(細胞分化抗原80)、IFNγ(インターフェロンガンマ)およびLIF(白血病阻害因子)を限定することなく含む。
例示的な変形形態では、本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生されるNGF(神経増殖因子受容体)は、脱毛の処置に有益な因子であり得る。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生され得る他の因子は、Adipoq(アディポネクチン)、AgRP(アグーチ関連タンパク質)、ANGPT2(アンジオポエチン2)、AREG(アンフィレギュリン)、Ax1(チロシンタンパク質キナーゼ受容体UFO)、BTC(ベータセルリン)、CD14(細胞分化抗原14)、CD80(細胞分化抗原80)、CT−1(カルジオトロフィン(cardiotropin)−1)、Dtk(チロシンタンパク質キナーゼ受容体TYRO3)、ErbB3(受容体チロシンタンパク質キナーゼerB−3)、OPG(オステオプロテジェリン)、OSM(オンコスタチンM)、PPBP(血小板塩基性タンパク質)、PRL(プロラクチン)、THPO(トロンボポエチン)およびTIE−1(アンジオポエチン1受容体)を限定することなく含む。
例示的な一変形形態では、SR−hADSCは、IL−2誘導薬剤で24時間刺激され、因子を24時間産生させられる。図43は、IL−2による誘導24時間後に産生された因子の収集を示す。
別の例示的な変形形態では、SR−hADSCは、IL−2誘導薬剤で24時間刺激され、因子を48時間産生させられる。図43〜57は、IL−2による誘導48時間後に産生された因子の収集を示す。
別の例示的な変形形態では、SR−hADSCは、IL−2誘導薬剤で24時間刺激され、因子を72時間産生させられる。図43〜58は、IL−2による誘導72時間後に産生された因子の収集を示す。
別の例示的な変形形態では、SR−hADSCは、24時間の培地単独であり、因子を24時間産生させられる。図11〜19は、培地単独による誘導24時間後に産生された因子の収集を示す。
別の例示的な変形形態では、SR−hADSCは、24時間の培地単独であり、因子を48時間産生させられる。図11〜42は、培地単独による誘導から48時間後に産生された因子の収集を示す。
別の例示的な変形形態では、SR−hADSCは、24時間の培地単独であり、因子を72時間産生させられる。図20〜42は、培地単独による誘導72時間後に産生された因子の収集を示す。
例示的な一変形形態では、SEN−hADSCは、IL−2誘導薬剤で24時間刺激され、因子を24時間産生させられる。図75は、IL−2による誘導24時間後に産生された因子の収集を示す。
別の例示的な変形形態では、SEN−hADSCは、IL−2誘導薬剤で24時間刺激され、因子を48時間産生させられる。図75〜90は、IL−2による誘導48時間後に産生された因子の収集を示す。
別の例示的な変形形態では、SEN−hADSCは、IL−2誘導薬剤で24時間刺激され、因子を72時間産生させられる。図75〜90は、IL−2による誘導72時間後に産生された因子の収集を示す。
別の例示的な変形形態では、SEN−hADSCは、培地単独で24時間刺激され、因子を24時間産生させられる。図59〜60は、培地単独による誘導24時間後に産生された因子の収集を示す。
別の例示的な変形形態では、SEN−hADSCは、培地単独で24時間刺激され、因子を48時間産生させられる。図59〜74は、培地単独による誘導48時間後に産生された因子の収集を示す。
別の例示的な変形形態では、SEN−hADSCは、培地単独で24時間刺激され、因子を72時間産生させられる。図59〜74は、培地単独による誘導72時間後に産生された因子の収集を示す。
例示的な変形形態では、因子産生ユニットにおける1つまたは複数の因子を産生するための方法は、少なくとも50%のSEN−hADSCを含むインプット細胞を使用するステップと、細胞の集団にIL−2誘導剤を添加して、因子の産生を促進するステップと、因子を収集するステップとを含む。
3.例示的な誘導方法
図1Aは、本明細書に記載されている本発明の態様を実施するための例示的な方法を描写する。
一般に、細胞のSEN状態に基づき、本明細書に記載されるように使用される幹細胞の複数のクラスおよびこれらのサブコンビネーションが存在し得る。各集団およびサブコンビネーションは、異なる栄養因子を産生し得る。例えば、細胞の集団は、完全SR、完全にSENまたは(より可能性が高いことには)SRおよびSEN細胞の混合集団であり得る。完全にSR細胞の集団は、本明細書に記載されている特定の因子を産生するように誘導することができ、栄養因子の第1のプロファイルを産生することができる(図1A「表現型3」)。単なるSEN細胞の集団は、本明細書に記載されるように若返らせることができ、誘導なし(「表現型1」)または誘導あり(「表現型2」)のいずれかで因子を産生することができる。第4の表現型は、因子を産生するように誘導されていない単離されたSR細胞であり得る(「表現型4」)。これらの異なる集団(若返った、以前にSEN細胞、誘導されたおよび誘導されていない、ならびに誘導された/誘導されたSR細胞)は、単独でまたは様々なサブコンビネーションで使用して、本明細書に記載されている疾患/障害のいずれかを処置することができる。
図1Aは、本発明の例示的なインプット細胞であるヒト脂肪由来間葉系幹細胞(hADSC)の特性を改変して、すぐ上に言及されている表現型1〜3のいずれかを産生するための方法を概略的に図解する。図1Aに示す通り、間葉系幹細胞(MSC)の抽出物は、脂肪組織から採取することができるか、または凍結保存した細胞の試料を使用することができる(101)。脂肪組織(よって、MSC)は、自家または異種供給源(例えば、若返ったおよび/もしくは誘導されたhADSCおよび/もしくは抽出物で処置しようとする同患者、またはドナーMSC)に由来し得る。脂肪組織は、いずれか適切な手順に従って採取することができる。MSCは、脂肪組織から増幅および/または単離することができるが、一般に、MSCは培養される(103)。任意選択で、別のステップとしてまたは培養ステップの一部として、細胞を試験(QC)して、SEN細胞の存在および/または同一性を決定することができる。その後、いずれかのSEN−hADSCは、本明細書に記載されるように若返らせて、全細胞がSR状態になり(以前にSEN細胞で、現在若返った状態を含む)、SEN状態でなくなることができる。
一部の変形形態では、識別されたSEN細胞のみを、単なるSEN細胞の集団またはSENおよびSR細胞の混合集団のいずれかにおいて若返らせる。例えば、SEN細胞のみを若返らせる場合、SEN細胞は、まずSR細胞から単離することができる。その代わりに、SENおよびSR細胞の両方を含み得る混合集団の全細胞を若返らせる。
例えば、図1Aにおいて、QCステップは、単なるSEN細胞の集団(113)、SEN/SR細胞の混合集団(115)および単なるSR細胞の集団(117)を識別することができるか、または本方法は、手順においてSENおよびSR細胞を分離するための細胞選別ステップを含むことができる。その後、細胞に、誘導ありまたはなしのいずれかで、栄養因子を産生させることができる。例えば、細胞の全てまたは一部は、この例では、これらをIL−2に曝露することにより、「誘導」する(例えば、すぐに、所望のサブセットの因子を確実にかつ有効に産生することができるようにする)ことができる(107、107’、107’’)。細胞は、図1に図解されている通り、治療エンドポイントのために若返りありまたはなしでIL−2により誘導することができる。図1Aに示す通り、各亜集団(若返ったSENのみ(113)、SRのみ(117)ならびに若返ったSENおよびSRの混合(115))は、任意選択で誘導することができ、異なるセットの栄養因子を産生することができる。これらの異なる集団は、本明細書に記載および示されている(indicateed)治療方法のいずれかにおける使用のために、いずれかのサブコンビネーション(非誘導SR細胞またはこれから得た栄養因子を含む)で組み合わせることができる。例えば、誘導されていない若返ったSEN細胞は、有益なセットの栄養因子を産生することができ(表現型1)、誘導された若返ったSEN細胞は、有益なセットの栄養因子を産生することができ(表現型2)、誘導されたSR細胞は、有益なセットの栄養因子を産生することができる(表現型3)。既に記載されている通り、これらのいずれかの組合せを組み合わせて、治療用細胞(hADSC)および/またはそれから得られる抽出物のセットを形成することができる。
別の変形形態では、図1A、1B、2Aおよび2Bに図解されている通り、因子産生ユニットを使用した1つまたは複数の因子(または図2Aのように因子組成物)の産生は、制御または個別調整することができる。例えばIL−2による細胞集団の誘導/刺激により、1つまたは複数の因子が、細胞集団によって産生される。次いで、1つまたは複数の因子は、収集が望まれる因子に応じて、図面に示す通り、既定の時点で、例えば、24時間、48時間または72時間目に収集することができる。例えば、誘導後24時間目にインターロイキンが、48時間目に増殖因子がおよび72時間目にケモカインが産生され、皮膚若返りクリームへの製剤化に増殖因子が必要とされる場合、因子産生ユニットを培養し、誘導後48時間目に因子を収集することができる。因子産生の制御は、因子産生ユニットに含まれる細胞の種類および基材の種類によって制御することもできる。因子収集の時点は、24時間よりも早く、72時間よりも遅くなってよいことが理解される。
図2Bは、因子の制御された産生のための、個体のhADSCを定植された5種の例示的な因子産生ユニット(A〜E)を示す模式図である。この例示的な態様では、各因子産生ユニットは、幹細胞の天然の成長環境を模倣するECM様3−D足場を含有する。全5種の因子産生ユニットは、適した培地、例えば、10%PRP含有StemPro MSC SFM Xeno不含培地に幹細胞を含有する(細胞なし対照の因子産生ユニットを表す因子産生ユニットAを除いて)。因子産生ユニットは、SRまたはSEN細胞を定植され、IL−2で24時間刺激されるまたは刺激されない。
D.因子組成物
本明細書に記載されるように産生された因子は、いずれか適した組成物へと製剤化することができる。組成物は、本明細書に記載されている疾患および障害のいずれかのために、特定の使用適応に合わせて個別調整することができる。
因子は、いずれか適した担体および/または賦形剤(複数可)と共に、外用組成物、経口剤形、インプラント、注射用組成物または静脈内組成物へと製剤化することができる。場合により、因子または皮膚外観を増強する他の成分の皮膚浸透またはバイオアベイラビリティを増強するために追加的な薬剤を含める。1つまたは複数の因子を組成物に含めてよい。組成物は、1つまたは複数の因子の即時型、持続性または制御された放出のために製剤化することができる。
組成物に取り込まれる因子の量は、典型的には、所望の生物学的応答を誘導するための、所望の量の因子の有効量を構成する範囲内となるであろう。
一変形形態では、組成物は、IL−2で24時間誘導されたSR幹細胞(例えば、SR−hADSC)から産生された因子を含み、因子は、誘導完了から24時間後に収集される。
一変形形態では、組成物は、IL−2で24時間誘導されたSR幹細胞(例えば、SR−hADSC)から産生された因子を含み、因子は、誘導完了から48時間後に収集される。
一変形形態では、組成物は、IL−2で24時間誘導されたSR幹細胞(例えば、SR−hADSC)から産生された因子を含み、因子は、誘導完了から72時間後に収集される。
一変形形態では、組成物は、IL−2で24時間誘導されたSEN幹細胞(例えば、SEN−hADSC)から産生された因子を含み、因子は、誘導完了から24時間後に収集される。
一変形形態では、組成物は、IL−2で24時間誘導されたSEN幹細胞(例えば、SEN−hADSC)から産生された因子を含み、因子は、誘導完了から48時間後に収集される。
一変形形態では、組成物は、IL−2で24時間誘導されたSEN幹細胞(例えば、SEN−hADSC)から産生された因子を含み、因子は、誘導完了から72時間後に収集される。
一変形形態では、組成物は、いかなる誘導剤でも誘導されていないSR幹細胞(例えば、SR−hADSC)から産生された因子を含む。
一変形形態では、組成物は、いかなる誘導剤でも誘導されていないSEN幹細胞(例えば、SEN−hADSC)から産生された因子を含む。
E.疾患および障害の処置
本明細書に提供されている通り、1つもしくは複数の誘導された因子、1つもしくは複数の誘導された因子を含む馴化培地、または1つもしくは複数の因子を含む組成物は、種々の疾患および障害の処置に使用することができる。
処置することができる疾患および障害の非限定的なリストは、がん、自己免疫性疾患、心血管疾患、糖尿病、皮膚疾患、神経変性疾患、骨粗鬆症、変形性関節症、脊髄傷害、肝臓の疾患、腎臓の疾患、加齢性病理、脱毛、熱傷、植皮を必要とする状態および皮膚病変を含む。
因子産生方法の有益な態様は、処置しようとする特定の疾患、障害または状態に従って治療法をカスタマイズすることができることである。細胞の集団および基材は、産生しようとする所望の因子に応じて選択することができる。さらに、産生された因子は、既定の時点で収集することができる。特定の時点において選択された細胞集団によって産生される因子は、ある特定の疾患、障害または状態の処置において、他のものよりも有益となり得る。
処置のための因子の使用および送達の特定の機序は、より詳細に後述する。
本明細書にさらに詳細に記載されている通り、因子を産生し、いずれか適切な方法(例えば、クリーム組成物、注射、植え込み、プラスマフェレーシスによる等)を使用して、それを必要とする個体に直接的に送達することができる。
その代わりに、因子は、本発明の例示的な因子産生ユニットを使用して産生することができ、個体由来の免疫細胞のモジュレーションに使用することができる。この変形形態では、因子は、個体由来の試料(例えば、血液または血漿)における免疫細胞と接触し、免疫細胞のモジュレーション(免疫調節)をもたらす(例えば、Tregの産生/分化を誘導する)ことができ、その後、試料は、個体に戻し送達される。この変形形態では、因子それ自体は、単に任意選択で送達される。むしろ、その使用は、ex vivoで為される。一変形形態では、本明細書に記載されている方法を使用して産生される他の因子組成物、他の活性薬剤または処置モダリティと組み合わせた、本明細書において産生される免疫調節された細胞(例えば、記載されるように産生されるTreg)を使用した併用療法が、本明細書に企図されている。これらの他の薬剤または処置は、このような障害の処置のための公知の薬物および治療法、例えば、これらに限定されないが、副腎皮質ステロイドおよび非ステロイド性抗炎症性化合物および刺激性薬物等を含むことができる。
本明細書に記載されている他の疾患または障害の処置に使用される因子は、自宅または診療所において、処置スケジュールに従って達成することができる。
図1Bは、例えば、若返り誘導されたhADSCにより対象を処置するための一般方法を図解する。この例示的な方法において、本方法は、処置しようとする対象から脂肪組織を抽出する初期ステップ(例えば、自家手順を行う場合)(201)と、次いでこの脂肪組織由来のMSCを培養するステップ(203)とを含むことができる(図1Aに示し、上述する通り)。対象自身の細胞の使用は、任意選択であり(201、203を囲む破線によって示す通り)、それは、その代わりにまたはそれに加えて異種細胞を使用することができるからであり(例えば、ドナー由来の)、これは、インタクトhADSCを含まない処理されたhADSCの抽出物を使用する場合に特に有用となり得る。
次いで、培養されたMSC(例えば、hADSC)を図1Aの上述の通りに処理して、SINE/ALUレトロトランスポゾンの活性(および/またはレベル)を低下または抑制することにより、これを若返らせることができる(205)、および/または次いで、これを誘導することができる(例えば、これをIL−2に曝露することにより)(207)。IL−2等の誘導剤への曝露により細胞を誘導する場合、曝露の濃度および持続時間は、頑強な誘導応答を誘起するように選択することができる。このような処理の例は、後述する実施例に記載されている。
若返り誘導されたら、図1Bの209に記載されている通り、hADSC由来の因子または抽出物を使用して、患者を処置することができる。この例において、MSC由来の抽出物は、局所的または全身性、例えば、注入による機構を含むいずれか適切な機構によって投与することができる。本明細書において使用される場合、若返り誘導されたMSC/hADSCの投与は、実際の細胞および/または細胞の抽出物の投与を含むことができる。
1.皮膚美容および皮膚適用
一部の変形形態では、誘導された因子、1つもしくは複数の誘導された因子を含む馴化培地、または1つもしくは複数の因子を含む組成物は、皮膚への適用、例えば、美容適用、皮膚再生、皮膚若返り、創傷治癒または審美的処置のための組成物において使用することができる。因子を使用して、これらに限定されないが、皺、小皺、瘢痕(にきび瘢痕を含む)、皮膚変色、染み、皮膚弾性減少、日焼けによる損傷および脱毛等の美容状態を処置することができる。これらの美容状態は、10%PRP単独(誘導剤なし)にADSCを含有する因子産生ユニットから分泌される因子によって処置することができる。一部の変形形態では、因子は、マイクロニードル適用と組み合わせて使用して、軽度の(light)創傷を模造して、因子の送達および生理学的利益を容易にすることができる。
異なる時点(例えば、24、48、72時間)で収集された、10%PRP単独の存在下で因子産生ユニットによって産生される因子を使用して、細胞レベルの皮膚加齢と有効に闘って、外因性および内因性加齢の両方に取り組むことができる。
一変形形態では、因子は、10%PRP単独にSR ADSCを含有する因子産生ユニットによって24時間後に産生され、これらの因子を含む組成物を使用して、炎症の発生およびその急速な消散の間の均衡を達成することができる(ステージ1皮膚若返り治療法のための皮膚美容組成物)。この変形形態では、24時間目に収集された因子の例示的な組成物は、インターロイキン5(IL5)、インターロイキン6(IL6)、インターロイキン4(IL4)、インターロイキン1受容体4(IL1R4)、ニューロトロフィン3(NT3)、血小板由来増殖因子Aアルファ(PDGF AA)、血小板由来増殖因子Aベータ(PDGF AB)および血小板前駆細胞塩基性タンパク質(PPBP)ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド18(CCL18)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド25(CCL25)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド27(CCL27)およびCXCケモカインリガンド11(CXCL11)、(ICAM−1)、メタロプロテイナーゼ阻害剤2(TIMP−2)、メタロプロテイナーゼ阻害剤1(TIMP−1)、血管上皮(VE)カドヘリン(カルシウム依存性細胞接着タンパク質)およびインスリン様増殖因子結合タンパク質−1(IGFBP1)を含む。
別の変形形態では、因子は、10%PRP単独にSR ADSCを含有する因子産生ユニットによって48時間後に産生され、これらの因子を含む組成物(ステージ2皮膚若返り治療法のための皮膚美容組成物)を使用して、創傷治癒の炎症期から肉芽形成期(増殖性)への移行を容易にすることができる。この変形形態では、48時間目に収集された因子の例示的な組成物は、インターロイキン9(IL9)、インターロイキン18結合タンパク質アルファ(IL18BPa)、インターロイキン1受容体II型(IL1R2)、インターロイキン2受容体ベータ(IL−2Rb)、インターロイキン2受容体ガンマ(IL−2Rg)、インターロイキン5受容体アルファ(IL5Ra)、インターロイキン10受容体ベータ(IL10Rb)、インターロイキン18受容体アクセサリータンパク質(IL18Rb)およびインターロイキン21受容体(IL−21R)、インスリン様増殖因子2(IGF2)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGFa)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1/潜在関連ペプチド(LAP)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFb1)、トランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGFb2)、受容体チロシンタンパク質キナーゼErbB−3(ErbB3)、Fasリガンド(Fas LG)、白血病阻害因子(LIF)、プロラクチン(PRL)因子、血小板由来増殖因子受容体アルファ(PDGFRa)、血小板由来増殖因子受容体ベータ(PDGFRb)、幹細胞因子kit受容体(SCFR)およびシアル酸結合Ig様レクチン5(シグレック5)、CXCケモカインリガンド16(CXCL16)、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)、Eセレクチン(免疫接着における細胞表面糖タンパク質)、細胞間接着分子2(ICAM2)、Lセレクチン(リンパ球接着分子)、血小板内皮細胞接着分子(PECAM1)、アクチビンA(INHBA)、インスリン様増殖因子2(IGF−2)およびレプチン受容体(LEPR)、骨形成タンパク質5(BMP5)、骨形成タンパク質7(BMP7)、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(MCSFR)、マトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ3(MMP3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP13)、単球分化抗原(CD14)、細胞分化抗原(CD80)、カルジオトロフィン−1(CT−1)および白血病阻害因子(LIF)、エンドグリン(ENG)、免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ1(TIE1)ならびに免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ2(TIE2)、レプチン受容体(レプチンR)、ならびに神経増殖因子受容体(NGFR)を含む。
別の変形形態では、因子は、10%PRP単独にSR ADSCを含有する因子産生ユニットによって72時間後に産生され、これらの因子を含む組成物(ステージ3皮膚若返り治療法のための皮膚美容組成物)を使用して、肉芽形成から創傷再上皮化(皮膚組織リモデリングの初期である皮膚のピーリング)への移行を容易にすることができる。このステージにおいて、ECM産生期において産生される低強度の組織化されていないIII型コラーゲンおよびエラスチン構造は、より強いIII型コラーゲンおよび構造化エラスチンファイバーによって置き換えられて、真皮に強度および復元性をもたらす。この変形形態では、72時間目に収集された因子の例示的な組成物は、インターロイキン1ベータ(IL1b)、インターロイキン3(IL3)、インターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2(IL13Rα2)、インターロイキン1受容体アルファ(IL1Rα)、プロベータセルリン(BTC)、コロニー刺激因子(CSF1)、線維芽細胞増殖因子6(FGF6)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、インスリン様増殖因子1(IGF−1)、レプチン、血小板由来増殖因子Bベータ(PDGF BB)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、骨形成タンパク質4(BMP4)、骨形成タンパク質6(BMP6)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子7(FGF7)、インスリン様増殖因子結合タンパク質−4(IGFBP4)、幹細胞因子/c−kitリガンド(SCF)、間質細胞由来因子−1アルファ(SDF1a)、間質細胞由来因子−1ベータ(SDF1b)、アンジオテンシン(ANG)、コロニー刺激因子2(CSF2)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFb1)、トランスフォーミング増殖因子ベータ3(TGFb3)、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5(CCL5)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド7(CCL7)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド8(CCL8)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11(CCL11)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド13(CCL13)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド22(CCL22)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド23(CCL23)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24(CCL24)、CXCケモカインリガンド10(CXCL10)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド13(BLC)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド23(CCL23)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド28(CCL28)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11(エオタキシン1)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド6(GCP−2)、FLT3LG(Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド)およびフラクタルカイン(CX3CL1)等を含む。
別の変形形態では、上述の皮膚美容組成物の組合せを使用して、創傷治癒、例えば、切創および擦り傷、熱傷、植皮および褥瘡の治癒を促進することができる。
別の変形形態では、いずれかの皮膚障害を、本発明の因子産生ユニットによって産生される因子の組成物によって処置することができる。皮膚障害の例として、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎(湿疹)、例えば、剥脱性皮膚炎またはアトピー性皮膚炎、毛孔性紅色粃糠疹、ばら色粃糠疹(pityriasis rosacea)、類乾癬、苔癬状粃糠疹(pityriasis lichenoiders)、扁平苔癬、光沢苔癬、魚鱗癬様皮膚症、角皮症、皮膚症、円形脱毛症、壊疽性膿皮症、白斑、類天疱瘡(例えば、眼性瘢痕性類天疱瘡または水疱性類天疱瘡)、蕁麻疹、汗孔角化症(prokeratosis)、関節包を裏打ちする上皮関連の細胞の過剰増殖および炎症に関与する関節リウマチ;脂漏性皮膚炎および日光皮膚炎等の皮膚炎;脂漏性角化症、老人性角化症、光線性角化症、光誘導性角化症および毛包性角化症等の角化症;尋常性ざ瘡;ケロイドおよびケロイド形成に対する予防法;母斑;疣贅、コンジローマまたは尖圭コンジローマ、および性病性いぼ等のヒトパピローマウイルス(HPV)感染を含むいぼ;白板症;扁平苔癬;ならびに角膜炎が挙げられる。皮膚障害は、皮膚炎、例えば、アトピー性皮膚炎もしくはアレルギー性皮膚炎または乾癬であり得る。一変形形態では、これらの状態のいずれかは、72時間、SR hADSCを使用して因子産生ユニットによって産生される因子によって処置することができる。この実施形態において、組成物は、インターロイキン1ベータ(IL1b)、インターロイキン3(IL3)、インターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2(IL13Rα2)、インターロイキン1受容体アルファ(IL1Rα)、プロベータセルリン(BTC)、コロニー刺激因子(CSF1)、線維芽細胞増殖因子6(FGF6)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、インスリン様増殖因子1(IGF−1)、レプチン、血小板由来増殖因子Bベータ(PDGF BB)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、骨形成タンパク質4(BMP4)、骨形成タンパク質6(BMP6)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子7(FGF7)、インスリン様増殖因子結合タンパク質−4(IGFBP4)、幹細胞因子/c−kitリガンド(SCF)、間質細胞由来因子−1アルファ(SDF1a)、間質細胞由来因子−1ベータ(SDF1b)、アンジオテンシン(ANG)、コロニー刺激因子2(CSF2)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFb1)、トランスフォーミング増殖因子ベータ3(TGFb3)、腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5(CCL5)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド7(CCL7)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド8(CCL8)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11(CCL11)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド13(CCL13)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド22(CCL22)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド23(CCL23)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24(CCL24)、CXCケモカインリガンド10(CXCL10)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド13(BLC)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド23(CCL23)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド28(CCL28)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11(エオタキシン1)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド6(GCP−2)、FLT3LG(Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド)およびフラクタルカイン(CX3CL1)を含む。
これらの因子は、単独で、または異なる時点で産生される因子と組み合わせて送達することができ、例えば、10%PRPにおけるSR細胞によって産生される因子(PRP単独とのインキュベーション24、48または72時間後)は、SR細胞+IL−2によって産生される因子(誘導72時間後)と組み合わせることができる。
一部の変形形態では、段階的用量の因子を、皮膚関連の状態の処置のために送達することができる。
一部の変形形態では、段階的用量の因子を、後述する免疫調節性組成物と組み合わせて送達することができる。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、皮膚再生を促進することができる例示的な因子は、CXCL16(ケモカインリガンド16)、IGF−2(インスリン様増殖因子2)およびTIE2(免疫グロブリン/EGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、創傷治癒を促進することができる例示的な因子は、アクチビンA、IGF−2(インスリン様増殖因子2)およびLEPR(レプチン受容体)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、皮膚におけるヒアルロン酸合成を促進することができる例示的な因子は、アクチビンA、LEPR(レプチン受容体、TGFB1(トランスフォーミング増殖因子β1)、EGF(上皮増殖因子)、HGF(肝細胞増殖因子)およびPDGF(血小板由来増殖因子)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、皮膚弾性を促進することができる例示的な因子は、IGFBP1(インスリン様増殖因子結合タンパク質1)、IGFBP2(インスリン様増殖因子結合タンパク質2)、IGFBP4(インスリン様増殖因子結合タンパク質4)、TIMP1(メタロプロテイナーゼ阻害剤1)およびTIMP2(メタロプロテイナーゼ阻害剤2)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、悪性病変およびUV誘導性皮膚加齢の抑制のための例示的な因子は、エンドグリンおよびSCFR(c−KIT幹細胞因子受容体)を限定することなく含む。
本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して産生される、創傷治癒または炎症性応答を抑制するための例示的な因子は、CD14(細胞分化抗原14)、CD80(細胞分化抗原80)、IFNγ(インターフェロンガンマ)およびLIF(白血病阻害因子)を限定することなく含む。
美容製品(美容または皮膚状態を処置するための)として使用される場合、因子は、処置スケジュールに従って送達することができる。因子送達の機序に応じて、処置は、自宅または診療所で完了することができる。マイクロニードル適用(後述)手順または他の皮膚表面手順後の因子の送達は、処置スケジュールの一部であり得る。
2.腫瘍学適用
一部の変形形態では、産生/分泌された因子、1つもしくは複数の因子を含む馴化培地、1つもしくは複数の因子を含む組成物、または免疫調節された免疫細胞(例えば、本明細書で産生されるTreg)を使用して、がん等、異常細胞分化に関する疾患または障害を処置することができる。細胞増殖性および/または分化障害の例として、いずれかの型のがん(例えば、癌腫、肉腫、転移性障害または造血器新生物障害、例えば、白血病)が挙げられる。本明細書に企図される通り、がんは、肺、乳房、甲状腺、リンパ腺およびリンパ系組織、胃腸臓器ならびに尿生殖器のがんであり得る。がんは、大部分の結腸がん、腎細胞癌、前立腺がんおよび/または精巣腫瘍、肺の非小細胞癌、小腸のがん、ならびに食道のがん等、悪性病変を含むと一般に考えられる腺癌であり得る。
本発明の一変形形態では、IL−2で刺激され、刺激72時間後に収集された、SR細胞によって産生される因子の組成物は、がんの処置のために個体に投与することができる。IL−2で刺激され、刺激72時間後に収集され、血液または血漿と接触した、SR細胞によって産生される因子を使用して、ex vivo免疫調節されたT細胞が産生される場合、養子T細胞療法のための因子の使用も本明細書に企図されている。
3.自己免疫性疾患
一部の変形形態では、産生/分泌された因子、1つもしくは複数の因子を含む馴化培地、1つもしくは複数の因子を含む組成物、または免疫調節された免疫細胞(例えば、本明細書で産生されるTreg)は、自己免疫性疾患の処置にまたはその徴候および症状の低下に使用することができる。
本発明の一変形形態では、IL−2で刺激され、刺激72時間後に収集された、SR細胞によって産生される因子の組成物は、自己免疫性疾患の処置のために個体に投与することができる。このような組成物は、サイトカインおよびプロスタグランジンを含み、本発明に記載されているデバイスの使用により、このような因子は、個体への送達後に、血液または罹患組織へと放出され得る。
一変形形態では、エフェクターT細胞(ある特定の自己免疫性疾患において数が増加)および機能的Treg(ある特定の自己免疫性疾患において数が減少)細胞の間に不均衡が存在することが多い場合、投与後に、エフェクターT細胞/Treg細胞均衡のリセットに使用して、T細胞依存性炎症性自己免疫性疾患を処置することができる因子が、本明細書に提供される。よって、IL−2薬物それ自体の送達がない、エフェクターT細胞/Treg均衡のリセットに有用な方法および因子産生ユニットが、本明細書に提供される。このアプローチは、自己免疫性血管炎、円形脱毛症、糖尿病、慢性移植片対宿主病、アルツハイマー病および加齢性神経変性、脳脊髄炎、多発性硬化症、ALS、歯根膜感染、関節リウマチ、CAR−T等のがん免疫療法に伴う可変的重症度の自己免疫性炎症、ループスおよび強直性脊椎炎が挙げられるがこれらに限定されない、本明細書に収載されているいずれかの自己免疫性疾患に適する(Smigielら、Immunol Rev.2014年:40〜59頁)。このような産生は、創傷治癒および創傷修復に有用となる場合もある。
一変形形態では、Tregの産生のための因子は、SR細胞(またはSRとなるように若返ったSEN細胞)において産生され、SR細胞は、IL−2により因子を産生するように誘導される(約24時間の期間、IL−2と組み合わされる)。これらの条件下で産生された因子は、Treg産生をブーストすることができる(例えば、CD4+CD25+FoxP3+および/またはCD4+CD25−FoxP3+であるTregを増加させる)。一変形形態では、SR細胞は、IL−2と共に約24時間インキュベートされ、それに続いて、SR細胞由来の馴化培地は、血液、血漿または血液の末梢血単核細胞(PBMC)と約72時間の期間接触させられ、これにより、血液、血漿またはPBMC中のナイーブT細胞を免疫調節する。
図2Cは、免疫調節に有用な因子の産生および検査を含む本発明の例示的な態様を示し、Tregの産生を例証する。
4.神経変性疾患および脳卒中
一部の変形形態では、産生/分泌された因子、1つもしくは複数の因子を含む馴化培地、1つもしくは複数の因子を含む組成物、または免疫調節された免疫細胞(例えば、本明細書で産生されるTreg)は、アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(amyolateral sclerosis)(ALS)およびハンチントン病が挙げられるがこれらに限定されない神経変性疾患の処置にまたはその徴候および症状の低下に使用すると共に、傷害後の神経細胞死を予防することができる。本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して、神経変性疾患の処置に役立つことができる例示的な因子は、SEN hADSC+IL−2によって産生され、誘導24〜72時間後に収集された因子;または誘導48時間後にSR hADSC+IL−2によって産生された因子を含む。刺激の48時間後に収集されたSEN ADSC+IL−2を使用して因子産生ユニットから得られる因子を送達して、必要に応じて細胞遊走および血行再建の増強およびアポトーシスの予防のための治療効果を達成することができる。一部の変形形態では、これら2種の条件から得られる因子が組み合わされ、それを必要とする個体に送達される。
5.加齢性疾患
一部の変形形態では、産生/分泌された因子、1つもしくは複数の因子を含む馴化培地、1つもしくは複数の因子を含む組成物、または免疫調節された免疫細胞(例えば、本明細書で産生されるTreg)は、加齢性疾患の処置にまたはその徴候および症状の低下に使用することができる。このような加齢性疾患は、骨粗鬆症、変形性関節症および関節炎を限定することなく含む。本明細書に提供されるインプット細胞およびシステムを使用して、加齢性疾患の処置に役立つことができる例示的な因子は、インターロイキン9(IL9)、インターロイキン18結合タンパク質アルファ(IL18BPa)、インターロイキン1受容体II型(IL1R2)、インターロイキン2受容体ベータ(IL−2Rb)、インターロイキン2受容体ガンマ(IL−2Rg)、インターロイキン5受容体アルファ(IL5Ra)、インターロイキン10受容体ベータ(IL10Rb)、インターロイキン18受容体アクセサリータンパク質(IL18Rb)およびインターロイキン21受容体(IL−21R)、インスリン様増殖因子2(IGF2)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGFa)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1/潜在関連ペプチド(LAP)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFb1)、トランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGFb2)、受容体チロシンタンパク質キナーゼErbB−3(ErbB3)、Fasリガンド(Fas LG)、白血病阻害因子(LIF)、プロラクチン(PRL)因子、血小板由来増殖因子受容体アルファ(PDGFRa)、血小板由来増殖因子受容体ベータ(PDGFRb)、幹細胞因子kit受容体(SCFR)およびシアル酸結合Ig様レクチン5(シグレック5)、CXCケモカインリガンド16(CXCL16)、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)、Eセレクチン(免疫接着における細胞表面糖タンパク質)、細胞間接着分子2(ICAM2)、Lセレクチン(リンパ球接着分子)および血小板内皮細胞接着分子(PECAM1)、アクチビンA(INHBA)、インスリン様増殖因子2(IGF−2)、レプチン受容体(LEPR)、骨形成タンパク質5(BMP5)、骨形成タンパク質7(BMP7)、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(MCSFR)、マトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ3(MMP3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP13)、単球分化抗原(CD14)、細胞分化抗原(CD80)、カルジオトロフィン−1(CT−1)および白血病阻害因子(LIF)、エンドグリン(ENG)、免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ1(TIE1)ならびに免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ2(TIE2)、レプチン受容体(レプチンR)、ならびに神経増殖因子受容体(NGFR)を限定することなく含む。
例示的な変形形態では、加齢性疾患の処置のための因子が望まれる場合、SR幹細胞(例えば、hADSC)の集団は、10%PRPを含有する培地における因子産生ユニット中に配置することができ、因子は、48時間目に収集することができる。
6.心血管疾患
一部の変形形態では、産生/分泌された因子、1つもしくは複数の因子を含む馴化培地、1つもしくは複数の因子を含む組成物、または免疫調節された免疫細胞(例えば、本明細書で産生されるTreg)は、心血管疾患の処置にまたはその徴候および症状の低下に使用することができる。このような心血管疾患は、心筋梗塞、および幹細胞関連の治療法の増強を限定することなく含む。10%PRP単独における配置してから48時間後にSR ADSCを含む因子産生ユニットから得られる因子、または刺激の48時間後に収集されたSEN ADSC+IL−2を使用して因子産生ユニットから得られる因子と組み合わせた因子を送達して、筋細胞分化、細胞遊走および血管新生の増強のための治療効果を達成することができる。因子の同様の組成物は、血行再建の増強およびアポトーシスの予防が要求される場合の状態の処置に使用することができる。
一部の変形形態では、増強された細胞生存およびHGFによるパラクリン刺激が、心筋梗塞における心保護の促進に要求される場合、IL−2刺激なしの(PRP単独における)SEN ADSCを含有する因子産生ユニットを使用して因子を産生することができ、因子は、PRPに配置してから72時間後に収集される。
7.他の疾患
一部の変形形態では、産生/分泌された因子、1つもしくは複数の因子を含む馴化培地、1つもしくは複数の因子を含む組成物、または免疫調節された免疫細胞(例えば、本明細書で産生されるTreg)は、糖尿病、脊髄傷害、クローン病、再生不良性貧血、関節リウマチ、脳傷害、移植片対宿主病(GVHD)、腎臓疾患、肝臓硬変および脳卒中、神経系の疾患および脊髄傷害を限定することなく含む、他の疾患の処置にまたはその徴候および症状の低下に使用することができる。
II.因子産生ユニット
上述の種々の疾患および障害に有益な、様々な因子を産生するためのシステムが、本明細書に記載されている。システムは、インプット幹細胞の集団と、細胞集団に支持をもたらす基材とを含む因子産生ユニットを含むことができる。適切な誘導薬剤との接触後に、因子産生ユニットの細胞集団は、1つまたは複数の因子を産生/分泌するように刺激される。特定の種類の因子の産生は、誘導薬剤の選択、細胞の選択、基材の選択および/または刺激/誘導後の細胞培養の持続時間によって個別調整することができる。
図2Dは、本明細書に記載されている、本発明の例示的な因子産生ユニットにおけるhADSCを図画により図解する。図解した因子産生ユニットは、幹細胞(例えば、MSC)が天然に存する3−D細胞外マトリックス(ECM)を模倣するポリマーマトリックス/ファイバーで作製された3−D足場を含有する。因子産生ユニットは、細胞が、その天然の環境中に維持され、これにより、幹細胞の形態および分泌特性を維持することを可能にする。幹細胞は、因子産生ユニットの局所的環境の維持および調節、ならびに因子産生ユニット空間の外側での生理活性分子の分泌において重要な増殖因子、サイトカインおよび他の栄養因子を産生する。左下2枚のパネルは、細胞がない3−D足場により示されており、右下2枚のパネルは、10×および40×拡大率で、健康な49歳の患者由来のGFPを発現するhADSC細胞を示す(PD 8)。GFPを発現するADSCは、マトリックス中の細胞の可視化のために、患者ADSCのレンチウイルス形質導入によって作製した。GFPを発現するhADSCは、StemPro MSC SFM Xeno不含培地(ThermoFisher Scientific)中の10%PRPにおける因子産生ユニット中に12日間維持した。GFPは、因子産生ユニットにおける細胞形態および細胞生存率を実証する。
A.細胞
本明細書に提供されている通り、インプット細胞集団は、因子を産生/分泌するように誘導することができるいずれか適した型の幹細胞を含むことができる。産生された因子は、種々の疾患および障害の処置にまたはその徴候および症状の低下に使用することができる。
因子産生ユニットは、個体への送達のための、因子を産生するように誘導されたインプット細胞の集団を含むことができる。インプット細胞は、自家(因子を受ける個体に由来する細胞)または同種異系間(因子を受ける個体に由来しない細胞)であり得る。
因子産生ユニットは、SR細胞(SRとなるように若返ったSEN細胞を含む)、SEN細胞(SENとなるように誘導されたSR細胞を含む)、SR細胞のみ、SEN細胞のみ、SRおよびSEN細胞の混合物、ならびにこれらのいずれかの変形形態を含むことができる。
B.基材
細胞集団に加えて、因子産生ユニットは、細胞集団に支持をもたらす基材も含む。
細胞集団のためのマトリックスもしくは足場となり得る、または細胞集団を保持もしくは保有することができるいずれか適した構造を基材として用いることができる。例えば、集団の細胞は、フィルム、膜、シート、メッシュ、ディスク、ロッド、ファイバー、ナノファイバー等、基材の表面上に配置および支持することができる、または基材材料それ自体の内に配置することができる(例えば、材料内に被包または包埋することができる)。
因子産生ユニットは、ある体積、例えば、マルチウェルプレート、チューブ、チャンバーまたは他の容器内に細胞を保持することができる。一部の変形形態では、因子産生ユニットは、様々な区画および/またはフィルタリング機構を含むアセンブリーである。さらなる変形形態では、因子産生ユニットは、体組織または内腔内に配置することができるインプラントである。その代わりに、因子産生ユニットは、別の構造、例えば、マルチウェルプレートのウェルの上に配置されたまたはその上に層形成されたコーティングを含むことができる。
一部の変形形態では、因子産生ユニットは、アフェレーシスシステムの一部である。用語「アフェレーシス」は、血液の成分を除去する過程またはシステムに与えられた一般用語である。この過程またはシステムは、除去される特定の血液成分によってより特異的に定義される。例えば、血漿が除去される場合、この過程またはシステムは、「プラスマフェレーシス」または「プラスマフェレーシス型システム」と称される。アフェレーシスシステムを使用して、細胞型を交換することができる(例えば、鎌状赤血球症のために行われる赤血球アフェレーシス)、血漿(例えば、抗体、パラプロテイン、コレステロールを除去するため)もしくは血液(疾患状態に貢献すると考えられる成分を除去するため)を処理することができる、または血液成分を改変することができる(例えば、フォトフェレーシス)。
基材の形成に使用されるポリマーは、生体適合性であり、生分解性または非生分解性であり得る。例示的なポリマーは、ポリアミド、ポリ(シロキサン)、ポリ(シリコーン)、ポリ(エチレン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(メタクリル酸)、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリ(カーボネート)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリアニリン、ポリビニルカルバゾール、ポリスチレン、ポリ(ビニルフェノール)、ポリヒドロキシ酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリ酸無水物、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリウレタン、コラーゲン、アルブミン、アルギネート、キトサン、フィブロネクチン、ゼラチン、デンプン、ヒアルロン酸、ならびにこれらのブレンドおよびコポリマーを限定することなく含む。
基材は、1本または複数のファイバーを含むことができる。ファイバーは、ミリメートル、マイクロメートルまたはナノメートル範囲内であり得る。本明細書において使用される場合、「ファイバー」は、ナノファイバー(1000ナノメートル(nm)未満の直径)およびマイクロファイバー(50マイクロメートル(μm)未満の直径)を含む、いずれかの直径を有するファイバーを指す。本明細書に記載されている基材を作製するために使用されるファイバーの直径は、約50nm〜約20μmに及び得る。例えば、ファイバー直径は、約50nm、約100nm、約200nm、約300nm、約400nm、約500nm、約600nm、約700nm、約800nm、約900nm、約1μm、約2μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μmまたは約50μmであり得る。
場合により、基材が、1本または複数のナノファイバーを含むことが有益となり得る。これらのナノファイバーは、様々なサイズ、形状および幾何的形状の二次元(2D)または三次元(3D)基材を形成するように構成することができる。一変形形態では、ナノファイバーは、人工細胞外マトリックス(ECM)を構築するために使用される。ナノファイバーは、中空であってもそうでなくてもよい。その上、ナノファイバーは、ナノファイバー上にまたはその中に様々な形状、直径および/または分布のポアを含むことができる。
適切なECM環境を構築するために使用される場合、ネイティブのECMの機械的特性を正確に模倣する材料の選択は、細胞集団の維持および因子の産生に最適な環境をもたらすことができる。含まれる材料は、生分解性でないポリマーまたはゆっくり分解するように設計されたポリマーであり得る。生分解性でないポリマーは、ポリウレタン、ポリカーボネートまたはポリエステルテレフタレートを含むことができる。生分解性ポリマーは、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ゼラチン、コラーゲンまたはフィブロネクチンを含むことができる。
C.基材の形成
基材は、いずれか適した過程によって形成することができる。例えば、基材は、ポリマー材料の押し出し、射出成形、真空熱成形またはエンボス加工によって形成することができる。ファイバーで構成されている場合、ファイバーを押し出しおよび射出成形によって形成することもできる。しかし、ナノファイバーの製作は、その微小な直径のため、困難な課題となり得る。多孔性固体におけるまたは積層結晶のステップ端における形成等、伝統的な方法は多くの場合、無効かつ高価である。代替方法は、静電ファイバー形成またはエレクトロスピニングまたは3−Dレーザープリンティングである。
エレクトロスピニングにおいて、高電圧(例えば、約0.3〜約0.50kV)が、典型的には、標的(またはコレクタ)と、ポリマー溶液または融液が注入される導電キャピラリとの間に印加される。キャピラリが、ガラスピペット等の不導体である場合、高電圧は、ワイヤを介して溶液または融液に印加することもできる。コレクタは、金属プレートもしくはスクリーン、回転ドラム、またはさらには、キャピラリが垂直である場合は液体槽であり得る。最初に、キャピラリの開口先端における溶液が、電気力および表面張力の相互作用により円錐形(いわゆる「テイラーコーン(Taylor cone)」)内に引き入れられる。ある特定の電圧範囲で、ポリマー溶液(または融液)の微細なジェットが、テイラーコーンの先端に生じ、標的に向けて吹き出す。電場からの力は、ジェットを加速および伸展する。この伸展は、溶媒分子の蒸発と共に、ジェット直径をより小さくする。ポリマー内の静電力が、ジェットを一体に保持する凝集力(例えば、表面張力)を克服するまで、ジェット直径が減少するにつれて、電荷密度が増加し、ジェットを、ポリマーファイバーのマルチフィラメントに分割するまたは「広げる」。ファイバーは、コレクタに達するまで広がり続け、コレクタにおいて、不織ファイバーとして収集され、任意選択で乾燥される。急速に回転するコレクタは、整列されたファイバーを収集する一方、静止したコレクタは、ランダムに配向されたファイバーのマットを収集する。次いで、これらのファイバーおよびマットは、様々な2Dまたは3D構造に形成する、形作る等ができる。一変形形態では、ファイバーは、細胞外マトリックスの構造に似せて形成される。
エレクトロスピニング過程の様々なパラメータを調整して、ファイバーの形態を改変することができる。例えば、溶液パラメータ、加工パラメータ、ならびに温度および湿度等のパラメータは、ファイバーの形態、例えば、ファイバー直径および/またはファイバーの多孔度に影響を与えることができる。より詳細には、ポリマー濃度、ポリマー分子量および溶液粘度等、溶液パラメータ;ならびに印加電圧、溶液の流速およびコレクタとノズルとの間の距離等、加工パラメータを調整することができる。
一部の変形形態では、異なるポリマーのブレンドを一緒にエレクトロスピニングすることができ、1つのポリマーが優先的に溶解して、足場多孔度を増加させる。
エレクトロスピニングのためのポリマー溶液の作製において有用となり得るポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリグリセロールセバシン酸、ポリジオールクエン酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリエーテルアミド、ポリジアキサノン、およびこれらの組合せ、ブレンドまたはコポリマーを限定することなく含むことができる。エレクトロスピニングに使用される代替ポリマー溶液は、フィブロネクチン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、キトサンまたはこれらの組合せ等、天然ポリマーを含むことができる。例示的な変形形態では、ポリマーは、ポリカプロラクトンである。
エレクトロスピニング溶液が、いずれかの組成比で、いずれかのポリマーまたはポリマー組合せを含むことができることが理解される。溶媒(単数または複数)におけるポリマー(単数または複数)の濃度範囲は、限定することなく、約5wt%〜約50wt%であり得る。溶液におけるポリマー濃度のいくつかの非限定例として、約5wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、約30wt%、約35wt%、約40wt%、約45wt%もしくは約50wt%、またはこれらの値のうちいずれか2つの間の濃度を挙げることができる。
いくつかの非限定例では、ポリマー溶液は、約10%〜約90%の、ポリウレタンに対するポリエチレンテレフタレートの重量パーセント比を含むことができる。例えば、重量パーセント比は、約10%、約25%、約33%、約50%、約66%、約75%、約90%、またはこれらの値のうちいずれか2つの間の重量パーセント比であり得る。
ポリマー溶液は、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ヘキサン、エーテル、ジオキサン、酢酸エチル、ピリジン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、トリフルオロ酢酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、酢酸、ジメチルアセトアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、水、アルコール、イオン性化合物またはこれらの組合せ等、1つまたは複数の溶媒を含むこともできる。
ポリマー溶液は、追加的な材料を含むこともできる。このような追加的な材料の非限定例として、放射線不透過性材料、導電性材料、蛍光材料、発光材料、抗生物質、増殖因子、ビタミン、サイトカイン、ステロイド、抗炎症性薬物、小分子、糖、脂質、塩、ペプチド、タンパク質、細胞因子またはこれらのいずれかの組合せを挙げることができる。
塩またはスクロース等、粒子をエレクトロスピニング過程に含めて、足場の至るところに沈着させてもよい。これらの粒子は、後に、足場多孔度の増加のために溶解されてよい。ファイバーの特性は、ファイバー直径、ファイバースペーシングまたは多孔度、ファイバーの多孔度または円形からリボン様へと形状を変動させるアスペクト比等の各ファイバーの形態を最適化するために制御され得る。溶液パラメータは、各ファイバーの係数または他の機械的特性、ファイバー組成および/または分解速度をカスタマイズするために制御され得る。ファイバーは、薬物溶出ファイバー、抗細菌ファイバー、またはx線、CTもしくは他のスキャンにおけるファイバーの設置もしくは位置づけに役立つ放射線不透過性ファイバーとして形成することもできる。
例示的な足場は、まず、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)およびトリフルオロ酢酸の混合物に2〜30wt%ポリエチレンテレフタレート(PET)を溶解することによりポリマーナノファイバー前駆体溶液を調製し、次いで、この溶液を60℃まで加熱し、続いて連続的に撹拌して、PETを溶解することにより作製することができる。溶液を室温まで冷却し、先端が尖っていない針(例えば、20ゲージ)を備えるシリンジ(例えば、60cc)に溶液を配置することができる。1kV〜40kV(例えば、+15kV)の正または負の極性、5〜30cm(例えば、15cm)の先端から基材への距離、および1μl/時間〜100mL/時間(例えば、10ml/時間)の流速に設定された、高電圧DC電源(Glassman High Voltage,Inc.、High Bridge、N.J.)を使用したエレクトロスピニングによって、ナノファイバーを形成することができる。多数の針(例えば、>1000本)を含む針アレイを使用して、システムアウトプットを増加させることも可能である。ファイバー直径は、使用される前駆体溶液および溶媒の粘度によって制御することができ、適した例示的なファイバーは、100ナノメートル〜30ミクロンの範囲内である。およそ0.2〜3mm(例えば、1mm)の厚さのランダムに配向されたおよび/または高度に整列されたファイバーを型に置き、ポリマー環(ring)を添加し、続いて型を回転させつつ、追加的なおよそ0.2〜3.0mm(例えば、2mm)のファイバーを添加することができる。足場を真空中に一晩配置して、残渣溶媒(典型的には10ppm未満)の除去を確実にし、高周波ガスプラズマを使用して1分間処理して、ファイバーをより親水性にし、細胞付着を促進することができる。試料は、再閉鎖可能な(re-closeable)ポリエチレンバッグまたは同様のものに貯蔵することができる。
その代わりに、基材ファイバーは、セラミック材料から形成することができる。例示的なセラミック材料は、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、窒化チタン(TiN)および白金(Pt)を限定することなく含む。一部の変形形態では、ナノファイバーは、ポリマーと混合された粒子として用意されたセラミック材料から作製される。
細胞集団が、基材材料内に、例えば、ナノファイバーの材料に含有される場合、これをポリマー溶液に添加し、次いで溶液をナノファイバーとなるようにエレクトロスピニングすることができる。その代わりに、細胞が、乾燥前にナノファイバー内に包埋、被包または他の仕方で含有されるように、ナノファイバーをエレクトロスピニングしつつ、細胞集団を別のノズル(繊維化先端)を介してスプレー(例えば、エレクトロスプレー)することができる。
作製されたら、ナノファイバーは、様々なサイズ、形状および幾何的形状の二次元(2D)または三次元(3D)基材を形成するように構成することができる。例えば、ナノファイバーを使用して、ECM等の人工組織を構築することができる。ナノファイバーを使用して、メッシュまたはファイバーマットを形成することもできる。メッシュ、ファイバーマットまたはナノファイバーの収集物は、絆創膏、創傷包帯材、パッド、布巾(wipe)等に取り込むことができる。その代わりに、ナノファイバーを使用して、さらに後述する通り、フィルターまたは因子産生ユニットの成分を構築することができる。
ある特定の変形形態では、基材は、所望の基材形状を有する予め形作ったマンドレル(プレフォーム)におけるナノファイバーのエレクトロスピニングによって形成される。マンドレルをテフロン(登録商標)または同様の材料でコーティングして、沈着後の基材の除去を容易にすることができる。一変形形態では、マンドレル形状は、ネイティブの組織または臓器に基づく。ファイバーは典型的には、繊維化先端からポリマーおよび/またはセラミック溶液を押し出し、繊維化先端に近接して電場(electronic field)を生じ、マンドレル内にアース端子または逆の極性を設置することにより形成される。マンドレルを回転させて、マンドレル上にファイバーを整列することができる、または第2のアース端子もしくは極性をマンドレルに配置して、電場の急速なスイッチングを行って、ファイバーを整列することができる。ナノスケールポリマーファイバーは、ランダムに整列することができる、もしくは実質的に平行にすることができる、またはその両方である。
ナノファイバー構造および本明細書に記載されている他の基材(例えば、フィルム、膜、メッシュ、シート、インプラント等)に、1つまたは複数の細胞型を含む細胞集団を播種して、因子産生ユニットを形成することができる。基材表面に細胞をアプライするための播種は、スプレー、エレクトロスプレー、ピペッティングおよびプリンティング等の公知方法によって達成することができる。一部の変形形態では、細胞は、基材上にエレクトロスプレーされる。他の変形形態では、細胞のエレクトロスプレーは、ナノファイバーのエレクトロスピニングと同時に行われて、ナノファイバー上に細胞を播種する、またはナノファイバー材料内に細胞を被包する(または分布させる)。なおさらなる変形形態では、細胞をポリマーおよび/またはセラミック材料と混合し、次いで、所望のサイズ、形状または幾何的形状の基材中に押し出すまたは射出成形することができる。細胞は、いずれか適した様式で、基材上またはその内に播種または分布させることができる。例えば、細胞は、基材上にあるパターンで配置することができる(例えば、対称または非対称パターンで)、または基材材料内に均一にもしくは不均一に分布させることができる。
基材またはナノファイバーは、基材への細胞付着の促進に効力がある少なくとも1つの化合物でコーティングまたは他の仕方で処理することもできる。この少なくとも1つの化合物は、タンパク質、ペプチド、サイトカイン、増殖因子、抗生物質化合物、脂質、抗炎症性化合物およびこれらの組合せからなる群から選択することができる。
ホローファイバー/ナノファイバーは、エレクトロスピニングによって作製することもできる。そこで、単一ノズルシステムを使用して、2種の溶液、典型的には、2種の異なるポリマー溶液をエレクトロスピンすることができる。第1のポリマーは、ファイバーのコアとみなされ、第2のポリマーは、ファイバーのシェルとみなされる。コア材料は一般に、エレクトロスピニング後に除去(例えば、加熱によって)されて、ホローファイバーを後に残すように構成された犠牲ポリマーである。
D.基材上における細胞の配置
細胞集団は、基材の表面にまたは基材の材料(例えば、基材の本体)内に配置することができる。基材がファイバーまたはナノファイバーを含む変形形態では、細胞集団は、ファイバーもしくはナノファイバーの表面および/またはファイバーもしくはナノファイバーによって形成された構造の表面に、またはファイバーもしくはナノファイバーそれ自体の材料内に配置することができる。基材表面に細胞をピペッティング、スプレー(エレクトロスプレーを含む)、プリンティングもしくはエンボス加工することにより、またはポリマー−細胞懸濁液を押し出す、射出成形するもしくは熱成形することにより、細胞集団を基材表面に配置することができる。基材上またはその内に細胞集団を含める他の仕方を用いることができる。一部の変形形態では、細胞集団をポリマー組成物に添加し、その結果得られるポリマー−細胞懸濁液をエレクトロスピニングして、細胞をファイバーのポリマー材料内に配置することができる。使用する基材および/またはファイバーの型、ならびに基材および/またはファイバー上またはその内に含まれる細胞の型を操作して、特定の使用適応のために因子産生ユニットによる因子産生をカスタマイズすることができる。例えば、因子が、美容用途に使用される場合、基材は、人工細胞外マトリックス、例えば、脂肪細胞外マトリックスとして配置された複数のナノファイバーを含むことができ、細胞集団は、間葉系幹細胞を含むことができる。別の変形形態では、因子は、人工細胞外マトリックスとして配置された複数のナノファイバーと、hADSCとを含む因子産生ユニットによって産生される。
E.例示的な因子産生ユニット
例示的な一変形形態では、因子産生ユニットは、脂肪組織内に見出される細胞外マトリックスの構造を実質的に模倣するように形成されたナノファイバーを含む3D基材を含む。MSCならびに内皮細胞、マクロファージ、単球、周皮細胞、線維芽細胞、肥満細胞および免疫細胞を含有する間質血管画分は、この特定の基材上に配置し、培養し、1つまたは複数の因子を産生するように誘導することができる。1つまたは複数の因子を含有する馴化培地は、本明細書に提供される適用(例えば、美容組成物、例えば、皮膚若返り、創傷治癒のための美容組成物、または骨粗鬆症および関節炎等の腫瘍学、心血管、自己免疫性、神経変性、炎症性もしくは加齢性疾患等、医学的状態を処置するため)のうちいずれか1つまたは複数において使用することができる。
本発明の因子産生ユニットは、スタンドアロン型であり得る、またはより大型のシステムの一部、例えば、本明細書に記載されているアフェレーシスまたはプラスマフェレーシスシステムのうちいずれか1つの一部であり得る。図107を参照すると、因子産生ユニットは、閉鎖式システムの一部であり得る。図107において、因子産生ユニット(500)は、個体の循環器系に接続して、この単位から放出された因子に個体を曝露するように構成されている。本明細書に記載されているいずれか適した因子単位は、閉鎖式システムの一部として含まれ得る。ここで、閉鎖式システムは、導管(502)と、導管(502)内の因子産生ユニット(500)と、流体酸素負荷デバイス(504)と、流体、例えば、血液または血漿を因子産生ユニット(500)に導入するための酸素負荷された流体入口(506)と、因子産生ユニット(500)から流体を除去するための流体出口(508)と、温度支持チャンバー(512)と、試料収集出口(514)と、ヘパリンまたは他の薬物の投与のための注入ポンプ(516)とを含む。蠕動ポンプ(510)は、閉鎖式システムを巡る流体流動を駆動する。因子産生ユニット(500)を巡る流体流動は、37℃における約1.10〜1.30mPAの血漿粘度で、約50ml/分〜約500ml/分に及ぶことができる。場合により、閉鎖式システムを巡る流体流動は、約0.1ml/分〜約50ml/分に及ぶ。因子産生ユニット(500)は一般に、約37℃〜約40℃の間の温度を許容するように構成されている。温度支持チャンバー(512)は一般に、因子産生ユニット(500)の温度を37℃に維持する。
具体的には、図107における閉鎖式システムは、少なくとも6mlの流体容量を収容する導管(502)を含む。導管は、他の流体容量を収容し得ることが理解される。因子産生ユニット(500)は一般に、非ヘパリン結合性(例えば、約41.5U/mlのヘパリン濃度で)であり、DMSOを許容する(例えば、重量で約7〜13%)医療グレードポリマー;および細胞、例えば、間葉系幹細胞で形成される。因子産生ユニット(500)は、約1〜3kDに及ぶ、約3〜6kDに及ぶまたは6〜50kDに及ぶ分子量を有する因子に対し透過性となるように構成され得る。因子産生ユニットは、50kDおよびそれを超える分子量を有する因子に対し透過性となることもできる。流体入口(506)を通って流動する流体はまず、例えば、約21%O2、約5%CO2および約74%N2を因子産生ユニット(500)に提供する酸素負荷デバイス(504)を通過して、細胞生存率を支持することができる。試料ステーション(514)において収集される因子は典型的には、約0.2ml〜約1mlに及ぶ容量で収集される。
一部の変形形態では、因子産生ユニットは、例えば、PCT公開番号WO2015/153011に開示されている、エレクトロスピニングされたポリマーファイバーから形成された膜またはマットである。例えば、また、図105に示す通り、因子産生ユニットは、膜またはファイバーマット(基材)(302)として形成されたエレクトロスピニングされたポリマーファイバー(300)を含むことができる。ファイバーは、幹細胞からの指導的サイトカイン、マトリカイン(matrikine)、栄養因子、メディエーター、ホルモン、ならびに/または膜貫通および免疫細胞ドッキング受容体の放出による患者特異的免疫細胞(例えば、T細胞)の訓練のために、幹細胞(図示せず)を含有する。この例示的な変形形態を、例えば、免疫調節適用に使用して、例えば、上述の自己免疫性疾患の処置のためのTregの産生を増加させることができる。例えば、ファイバーマット(因子産生ユニット)が、プラスマフェレーシスシステム等、閉鎖式システムの一部である場合、ファイバーマットは、免疫細胞を含有する血漿に接触させるまたはその近くに配置することができる。ファイバーマット内の細胞は、免疫細胞をモジュレートするのにまたは免疫細胞に変化をもたらすのに有用な因子を血漿中に分泌することができる。幹細胞および/または免疫細胞は、収集および後の使用のために因子を産生することもできる。
ファイバーマットおよび幹細胞を含む因子産生ユニットは、上に記す通り、有用な免疫調節処置となり得る。そこでは、免疫細胞集団(例えば、T細胞、B細胞、マクロファージ、NK細胞、樹状細胞または抗原提示細胞等)のアフェレーシスによってプールされた循環細胞、または凍結保存もしくは単離された細胞を、用意された培地内に配置し、ファイバーマットに付着させ、またはファイバーマットのごく近くに配置し、ex−vivoでファイバーマットから分泌された因子に曝露させて、細胞に変化をもたらす(細胞における免疫調節をもたらす)。次いで、これらの増強された免疫細胞が、マットから血漿へと放出され得、変化した細胞、例えば、成熟T細胞、活性化マクロファージ、樹状細胞、NK細胞等を含有する血漿を、用量依存性様式で個体に戻し送達することができる。個体への戻し送達は、免疫調節性細胞の注射によって行うことができ、血液循環に送達される医薬および医薬組成物と組み合わせて行うこともできる。
免疫調節性細胞および本明細書に記載されている因子含有組成物は、リンパ管に送達することができる(リンパ内投与)、またはこれらに限定されないが、皮下投与もしくは舌下投与、経口、経皮的(外用ワクチン接種)、真皮内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、鼻腔内、結膜、気管支内、経皮、直腸内、腹腔内、筋肉内、肺内、腟、直腸および眼球内等、他の経路によって送達することができる。免疫調節性細胞および因子含有組成物は、植え込み型デバイスによって送達することもできる。
一部の変形形態では、因子産生ユニットを使用して、Tregの産生のための因子を送達することができる。
他の変形形態では、因子産生ユニットは、ファイバー壁内に捕捉された幹細胞を含有するホローポリマーファイバー(チューブ)によって形成された少なくとも1個のカートリッジを含む、逆向き(reverse)透析型システムの一部であり得る。幹細胞は、自家または同種異系間であり得る。図106Aを参照すると、例示的なシステムは、平行して並ぶ複数のポリマーチューブ(404)を含むカートリッジ(402)を含む因子産生ユニット(400)を含む。例示的な変形形態では、システムはまず、カートリッジ(402)を巡る循環のために、対象の血液を取り入れる。図106Aにおけるポリマーチューブ(404)の1本の断面図である図106Bに示す通り、カートリッジ(402)のホローチューブ(404)を通過する血液(406)は、チューブ壁(410)を透過して、その中の捕捉された幹細胞(408)に接触し、これにより、チューブ(404)の内腔(L)へと因子を放出し血液(406)中に戻すことを可能にする。次いで、因子を有する血液を患者に戻すことができる。所望の因子投薬量が達成されるまで、このサイクルが反復されるであろう。これらの型のカートリッジは、さらに後述するプラスマフェレーシス型システムにおいて使用することもでき、その場合、細胞が血液から除去されて、血漿を形成し、血漿がカートリッジを循環する。血漿中に放出された因子は、患者への再導入に先立ち細胞と再度組み合わせることができる。同様の型のホローファイバーカートリッジは、U.S.8,172,784に開示されている。ホローチューブは、その壁内にポアを含むことができ、これにより、幹細胞からの因子の放出が可能になる。ポアは、チューブ壁内にいずれか適した様式で、例えば、至るところに均一に、または対称もしくは非対称パターンで配置することができる。いずれか適したポア直径を使用することもできる。他の事例では、ホローファイバー壁は、因子に対し透過性の材料で作製される。ポアと同様に、チューブ壁全体が透過性であっても、その部分のみが透過性であってもよい。ファイバー壁内に捕捉される代わりに、幹細胞は、ファイバー壁の内側および/または外側表面に播種および/または接着させることもできる。
一部の変形形態では、因子産生ユニットは、米国特許第4,929,354号に開示されている通り、プリーツのある円柱状膜を含むカートリッジを含むことができる。因子産生ユニットは、他の適した幾何的形状を有する膜を含むことができる。
その代わりに、因子産生ユニットは、基材を含むことができ、この基材は、U.S.9,074,172に開示される、ウェル(複数可)の表面に沈着した少なくとも1層のポリマーファイバーを有する単一またはマルチウェルプレートである。ポリマーファイバーは、その上での生物学的細胞の成長を促すことができ、よって、細胞培養に使用することができる。ポリマーファイバーは、エレクトロスピニングまたは3D−プリンティングによってウェル(複数可)の表面に沈着させることができる。
一部の変形形態では、因子産生ユニットは、プラスマフェレーシス型システムの成分であり、そこでは、血液が個体から除去され、身体の外側(体外)で血漿および血液細胞に分離され、血漿および細胞が個体に戻る前に、1つまたは複数の因子が、因子産生ユニットから血漿へと産生/分泌される。そこで、分離された血漿は、様々な因子産生ユニット、例えば、複数のファイバーを含むフィルターを巡って循環させて、個体への戻し送達のための血漿に1つまたは複数の因子を取り込むことができる。因子の送達は、薬物または遺伝子操作された生物製剤と組み合わせることもできる。
一変形形態では、体外循環のための装置は、1個または複数の区画を含むカートリッジまたは導管の形態の因子産生ユニットを含み、少なくとも灌流入口および灌流出口を有する。細胞集団は、細胞の維持に適した培地と細胞の灌流を可能にしつつ、生細胞に適した環境をもたらすカートリッジの区画内のマトリックス上に支持することができる。このような細胞区画は、例えば、ファイバーの外側での血液または血漿の循環によるホローファイバーまたは平坦なプレートであり得る;例えば、U.S.6,759,245を参照されたい。
因子産生ユニットが、免疫調節処置に使用される場合、これは、細胞収集単位の上流に配置することができる。この変形形態では、免疫細胞集団(例えば、T細胞、B細胞、マクロファージ、NK細胞、樹状細胞または抗原提示細胞等)のアフェレーシスによってプールされた循環細胞もしくは血漿、または凍結保存もしくは単離された細胞を、in vitroで因子産生ユニットによって分泌された因子に曝露させて、細胞に変化をもたらす。次いで、これらの増強された免疫細胞は、収集し、対象に戻し送達することができる。
本明細書に記載されている因子産生ユニットは、いずれかの型の幹細胞を含むことができる。一部の変形形態では、因子産生ユニットは、改変されたhADMSCを含む。個体を処置する方法は、その循環器系をこれらの因子産生ユニットに接続し、これにより、インプット細胞によって産生された因子に個体(血液を介して)を曝露することにより達成することができる。
因子産生ユニットを含む装置は、限外濾過液発生器を使用して、血液の細胞成分から血漿を連続的に分離することもできる。限外濾過液(例えば、血漿)は、培養された幹細胞、例えば、hADSCを含有するカートリッジを巡って循環させることができる。その代わりに、因子産生ユニットにおいて全血を処理することができる。
因子産生ユニットは、一般に、個体の血漿に向かうおよびそこから来る巨大分子および他の細胞由来産物の通過を可能にする材料でできた、半透性の関門を含有することができる。多くの変形形態では、細胞それ自体は、因子産生ユニットから出ないが、本発明は、そのように限定されてはいない。因子産生ユニットを巡る循環および1または複数の通過後に、処理された血液または限外濾過液(例えば、個体の血液の細胞成分と再度組み合わせることができる血漿)は、静脈アクセス経由で個体に戻すことができる。個体の血液または血漿は、ヘパリンを補充して、凝固を予防することができる。この循環は、例えば、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間等の治療期間において、連続的に維持することができる。血液または血漿は、因子産生ユニットにおける幹細胞から個体へと因子を運ぶことができる。
因子産生ユニットは、液体処理区画および細胞区画、ならびに任意選択で、液体処理区画および細胞区画を隔てる選択的透過性関門を含むこともできる。細胞リザーバは、因子産生ユニットの細胞区画と流体連絡することができ、細胞リザーバは、幹細胞、例えば、hADSCの集団を含む。個体由来の血液または限外濾過液は、液体処理区画に入ることができ、ここで、幹細胞によって分泌された薬剤が、幹細胞および血液もしくは限外濾過液の間の直接的接触、または存在する場合は任意選択の選択的透過性関門を越えた薬剤の通過のいずれかによって、血液または限外濾過液に入る。
図100は、例示的な因子産生ユニットの模式図を図解する。複数のカートリッジ(2)を有し、改変された(例えば、若返り誘導された)hADSCを含有し得る因子産生ユニット(1)が、本明細書に記載されている。この例において、因子産生ユニット(1)は、酸素負荷された流体供給部(4)から酸素負荷された流体を導入するための酸素負荷された流体入口(3)と、酸素負荷された流体出口(3’)と、ポンプ(6)によって免疫単離単位(7)から因子産生ユニットへと供給される生物学的液体を導入するための液体入口(5)と、免疫単離単位(7)に戻るために1つまたは複数の因子を含有する生物学的液体を因子産生ユニットから除去するための液体出口(5’)とを含む。個体(9)由来の血液は、ポンプ(6’)を経由してプラスマフェレーシス単位(8)へと流動し、次いでここから、血漿の部分が、ポンプ(6’’)を経由して免疫単離単位(7)へと流動する。個体(9)へと流動して戻る前に、処理された血漿(1つまたは複数の因子により)は、免疫単離単位(7)から流動し、プラスマフェレーシス単位(8)由来の血液と混合される。
図101を参照すると、因子産生ユニットの別の例が、模式的形態で示されている(U.S.7,160,719およびU.S.8,172,784を参照)。システム(10)は、1つまたは複数の因子の産生のための改変されたhADSCを含む外部因子産生ユニット(FPU)(42)によって表される。血液または血漿は、生体液入口経路(32)を経由して因子産生ユニット(42)を巡って流動することができ、1つまたは複数の因子の導入後に、生体液出口経路(33)を経由して出ることができる。例えば、カテーテルを使用して、哺乳動物の血流を、生体液入口通路(32)を経由してEB(42)と流体連絡するように配置することができる。一部の変形形態では、装置は、限外濾過液(UF)発生器(41)を含む。これらの場合、哺乳動物(51)由来の血液は、血液通路(31)に沿ってUF発生器(41)へと流動し、ここで、細胞成分が血漿から分離される。次いで、限外濾過された血漿は、通路(32)に沿ってEB(42)へと流動する一方、細胞成分は、通路(34)を経由して処理されたUFに再び加わる。次いで、生体液は、通路(35)を経由して哺乳動物(51)または生体液リザーバに戻る。
図100および101は、因子産生ユニットの様々な成分を、特異的な配向および同様の寸法で描写しているが、成分は、いずれの配向、サイズまたは形状であってもよい。
逆向き透析システムまたはプラスマフェレーシスシステムを巡る個体の血漿の流速は、必要に応じて、例えば、約50〜500ml/分、例えば、50、100、200、300、400および500ml/分の速度に調整することができる。一部の変形形態では、流速は、分泌された因子の、幹細胞(例えば、hADSC)から限外濾過液への通過を最適化するために調整されるであろう。一部の変形形態では、標的流速は、175ml/分となるであろう。個体の処置(例えば、因子産生ユニットを巡る個体の血漿の循環)は、治療的に有効な時間、例えば、1時間〜72時間の間、例えば、約2、3、4、5、10、12、15、18、20または23時間続けることができる。個体は、複数ラウンドの改変されたhADSC治療法を受けることができ、各ラウンドは、例えば、1時間〜24時間の間持続する。この治療法は、例えば、個体または個体の医療提供者によって決断される、所望の治療因子の用量または効果が達成されるまで続けることができる。
因子は、誘導後の他の既定の時点で収集することができる。その代わりに、因子産生ユニット、例えば、ホローファイバーカートリッジを巡る血漿もしくは血液の循環のための既定の持続時間、または因子産生ユニットを巡る流動サイクルの数は、個体が受ける因子の量(用量)をカスタマイズするために予め決定することができる。
細胞によって生成された因子は、血液、血漿または培養培地へと放出され得る。因子は、因子産生ユニット、例えば、ホローファイバーカートリッジを巡って流動する血液、血漿もしくは培養培地へと放出され得る、または因子産生ユニット、例えば、エレクトロスピニングされたナノファイバー細胞外マトリックスが培養されている培地へと放出され得る。因子産生ユニット培養または流動血液/血漿/培地への因子産生ユニットの曝露の持続時間および因子産生ユニットに含まれる細胞の型に応じて、異なる因子および/または異なる量(用量)の因子が産生され得る。したがって、因子の製造は、因子産生ユニットの特定の組成およびその培養または流動血漿/培地への曝露の持続時間に基づき制御または個別調整することができる。因子産生ユニットが、流動血液/血漿/培地に曝露される場合、因子の産生および投薬は、流動サイクル数に基づき個別調整することもできる。
他の変形形態では、因子産生ユニットは、組み込むことができる(例えば、組み込まれた細胞チャンバーにより)、または幹細胞を保持/培養するための1個もしくは複数の取り外し可能なカートリッジを使用するように構成することができる。カートリッジは、単回使用(使い捨て)または反復使用のために構成することができる。いくつかの適したカートリッジ構成が、本技術分野で公知であり、例えば、米国特許第5,270,192号;同第7,160,719号;同第6,858,146号;同第6,582,955号;同第6,759,245号;同第8,172,784号;DixitおよびGitnick、Eur. J. Surg. Suppl.(582巻):71〜6頁(1998年);ならびにLegallaisら、J. Memb. Sci.181巻:81〜95頁(2001年)を参照されたい。このようなカートリッジは、例えば、ホローファイバーまたは平坦なプレートを含むことができる。半透膜を使用して、処理しようとする生体液を細胞から分離することができ、このような膜は、カートリッジの一部、例えば、カートリッジの外部壁を形成することができる。カートリッジは、因子産生ユニットに挿入されるように、例えば、因子産生ユニットの一部または因子産生ユニット全体として構成することができる。したがって、因子産生ユニットは、より大型のシステムの一部であり得る。
図102は、いくつかのホローファイバー(140)と、入口(110)と、出口(120)とを含有するホローファイバーカートリッジ(100)によって表される、例示的な因子産生ユニットの模式的図解である。ホローファイバーは、半透性であり、幹細胞、例えば、hADSCによって分泌された因子の血液または血漿への通過を可能にする。
図103は、図102の線A−Aにおける因子産生ユニット(100)の断面図であり、キャピラリ外部(extracapillary)空間(150)に囲まれた内部キャピラリ内腔(130)を有するホローファイバー(140)を図解する。ホローファイバー因子産生ユニットにおいて、血液もしくは血漿がキャピラリ外部空間(150)を巡って流動しながら、幹細胞が内腔(130)に存在し得る、または逆もまた同じである。
図104は、半透膜(230)によって隔てられた液体処理区画(210)および細胞区画(220)を含む、平坦なプレートまたは2区画因子産生ユニット(200)によって表される、別の例示的な因子産生ユニットの模式的図解である。血液または血漿は、通路(250)に沿って液体処理区画(210)を巡って流動する。細胞区画(220)は、幹細胞、例えば、若返り誘導されたhADSC(240)を含む。同様の型の単位は、U.S.6,759,254にさらに詳細に記載されている。
例示的な一変形形態では、因子産生ユニットは、改変されたhADSCに由来する因子を送達するように構成された装置であって、第1の区画と;第2の区画と;第1の区画および第2の区画を隔てる選択的透過性関門と;第2の区画内のhADSCの集団であって、hADSCにおけるSINE/ALUレトロトランスポゾン転写物のレベルまたは活性が、前記hADSCに対する増殖能および/または多分化能の誘導または回復に十分な量まで低下され、さらに、細胞における因子の産生が増強されるように、hADSCが、インターロイキン−2(IL−2)にhADSCを曝露することにより誘導されている、集団と;第1の区画に接続された流体入口および流体出口であって、第1の区画および個体の血流の間の流体連絡を可能にする流体入口および出口とを含む装置を含む。
選択的透過性関門は、ホローファイバーの束を含むことができる。その代わりにまたはその上、装置は、血液(または血漿)を濾過するため、および/または第1の区画と連絡する前に第2の区画からの流体を濾過するための1個または複数のフィルターを含むことができる。第2の区画は、装置に取り外し可能に接続することができるカートリッジとして構成され得る。カートリッジは、本明細書に記載されている処置の前およびその最中にhADSCを生きた健康な状態で維持するための支持を含むこともできる、装置の残り部分に即時(snap)接続され得る。
これらの装置のいずれかは、ポンプ、チャネル、フィルター等を含む流体取扱い成分を含むこともできる;例えば、これらの装置のいずれかは、第1の区画を巡って血液または血漿を循環させるように構成されたポンプを含むことができる。これらの装置のいずれかは、第1の区画と流体連絡したフィルターを含むことができる。
その代わりに、因子産生ユニットは、その内に複数のポリマーファイバーを含有する基材を含むことができる。これらのポリマーファイバーは、エレクトロスピニングによって作製することができる。本発明のファイバー基材は、異なるサイズおよび形状の、ならびに使い捨てまたは永続的な(すなわち、再利用可能な)因子産生ユニットと共に使用することができる。これらの基材におけるポリマーファイバーは、互いと比べてランダムに配置することもできる、または互いに整列することができる。因子産生ユニットの幾何的形状に応じて、ファイバー基材は、因子産生ユニット壁もしくは他の表面に接着していても、または因子産生ユニットに含有された細胞培養培地中に浮遊している分散した個々のファイバーであってもよい。因子産生ユニットにポリマーファイバーを接着させるために、ファイバーは、因子産生ユニットの裏に負の電荷を持つ基材を配置することにより、表面に直接的に沈着させることができる。この技法は、因子産生ユニット表面における正の電荷を持つファイバーの均一な沈着を可能にする。その代わりに、ファイバーは、接着剤、熱、レーザー溶接、超音波溶接または他の方法により因子産生ユニット壁に付着させることができる。
例示的な変形形態では、処置方法は、本明細書に記載されている因子産生ユニットのいずれかを使用して、hADSCを使用するステップを含む。例えば、処置方法は、前記hADSCに対する増殖能および/または多分化能の誘導または回復に十分な量で、抽出されたhADSCにおけるSINE/Aluレトロトランスポゾン転写物のレベルまたは活性を低下させるステップと;インターロイキン−2(IL−2)にhADSCを曝露して、因子の産生を増強することにより、hADSC(若返った、以前にSEN−hADSCであったまたはSR−hADSCのいずれかまたは両方)を誘導するステップと;インターロイキン−2(IL−2)にhADSCを曝露して、因子の産生を増強することにより、hADSC(若返った、以前にSEN−hADSCであったまたはSR−hADSCのいずれかまたは両方)を誘導するステップと;因子産生ユニット装置を個体に接続するステップであって、因子産生ユニット装置が、選択的透過膜によって隔てられた第1の区画および第2の区画を含み、第2の区画が、hADSCを含む、ステップと;個体の血液または血漿に、第1の区画を通過させて、第2の区画におけるhADSCによって産生された因子に血液または血漿を曝露するステップとを含むことができる。個体への装置の接続は、因子産生ユニット装置の入口および出口を介した、個体の循環器系への装置の接続を含むことができる。
なおさらなる変形形態では、処置方法は、個体に因子産生ユニットを接続するステップであって、因子産生ユニットが、選択的透過膜で隔てられた第1の区画および第2の区画を含み、第2の区画が、前記hADSCに対する増殖能および/または多分化能の誘導または回復に十分な量で、hADSCにおけるSINE/Aluレトロトランスポゾン転写物のレベルまたは活性を低下させることにより若返ったhADSCの集団を含み、さらに、hADSCが、因子の産生を増強するようにインターロイキン−2(IL−2)への曝露によって誘導されているステップと;個体の血液または血漿に、第1の区画を通過させて、第2の区画におけるhADSCに血液または血漿を曝露するステップとを含むことができる。
これらの方法のいずれかは、個体からhADSCを抽出するステップ、または凍結保存後のhADSCを得るもしくは復活させるステップを含むことができる。個体は、hADSCまたはhADSCの抽出物が投与される同じ個体であり得る(例えば、自家処置)。
他の方法は、疾患(例えば、MSC処置の恩恵を被ることができる上述の疾患のいずれか)を有する個体を識別するステップと、液体処理区画および細胞区画、ならびに液体処理区画および細胞区画を隔てる選択的透過性関門を含む、個体由来の血液または血漿を処理するための因子産生ユニットを用意するステップであって、細胞区画が、若返り誘導されたhADSCの集団を含むステップと、因子産生ユニットにおけるhADSCに個体の血漿または血液を曝露するステップとを含むことができる。
III.因子の使用および送達
因子を送達する方法についても本明細書に記載されている。インプット細胞によって、例えば、本明細書に提供される因子産生ユニットにおいて因子が産生されたら、因子を種々の仕方で個体に送達することができる。送達方法は一般に、因子により製剤化された組成物の種類に依存する。1つまたは複数の因子は、舌下投与、経口、静脈内、注射による、外用、経皮、経皮的(外用ワクチン接種)、真皮内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、鼻腔内、結膜、気管支内、経皮、直腸内、腹腔内、筋肉内、肺内、腟、直腸もしくは眼球内による、またはCSFもしくはリンパ内投与による等、従来の経路によって送達することができる。
例示的な変形形態では、1つまたは複数の因子は、プラスマフェレーシス等、アフェレーシス型の送達を使用して送達される。プラスマフェレーシスが行われる場合、血液は、個体から除去され、身体の外側(体外)で血漿および血液細胞に分離され、1つまたは複数の因子が、血漿および細胞が個体に戻る前に、血漿に添加される。そこで、分離された血漿は、本明細書に記載されている因子産生ユニットを巡って循環して、個体に戻し送達するための血漿に1つまたは複数の因子を取り込むことができる。因子の送達は、薬物または生物製剤と組み合わせることもできる。
因子は、経口剤形へと製剤化される場合、錠剤、カプセルまたはそれを覆うコーティングとして;溶解性フィルムとして;経口スプレー;等として経口送達することができる。
因子が、静脈内剤形へと製剤化される場合、因子は、溶液として静脈内送達することができる。注射用組成物は、例えば、皺、特定の皮膚層または腫瘍塊への因子の局所的投与のために、シリンジ、イメージガイド針または他の有針(needled)デバイス(例えば、マイクロニードルパッチ)により送達することができる。一部の変形形態では、針内腔を通って送達される代わりに、因子は、針(複数可)にコーティングされ、針(複数可)が組織内に配置されたときに放出される。
一部の変形形態では、因子は、インプラントと併せて与えられる。組成物がインプラントである場合、組成物は、特定の身体部位または組織内に植え込む/配置することができる。因子の持続放出は、植え込み型組成物および本明細書に記載されている他の組成物により達成することができる。
その代わりに、因子は、皮膚または粘膜表面に外用適用される組成物へと製剤化することができ、水ベースのゲルまたはペースト、軟膏、皮膚科学的使用のためのクリーム(無水または含水)、セラム、ローション(無水または含水)、エマルション、スプレー、溶液、エアロゾル、スティック(固体クリーム)、フィルム、絆創膏、タオレット(towellete)、粉末、皮膚スプレー、鼻または喉スプレー、経口点滴薬、点眼薬、点耳薬、塗布可能なフィルム形成組成物、および経皮パッチを限定することなく含む。
外用適用される場合、皮膚への因子の送達は、事前に行われる(preformed)様々な皮膚表面処置によって増強または支援され得る。皮膚表面処置は、因子適用に先立ち行うことができる。例えば、皮膚表面処置は、因子適用の二(2)時間前までに、一(1)時間前までに、30分前までに、15分前までに、10分前までに、または5分前までに行うことができる。皮膚表面処置は、皮膚剥離、レーザーリサーフェシングおよびケミカルピールを限定することなく含むことができる。一部の変形形態では、皮膚表面処置は、マイクロニードル適用を含む。マイクロニードル適用は、いずれか適したダーマローラーにより達成することができる。ダーマローラーは、ローラーの周りに列を成して配置されたマイクロニードルが散りばめられたドラム形のローラーを一般に含む市販のデバイスであり、このマイクロニードルは、約0.5〜1.5mmの長さおよび0.1mmの直径である。皮膚の上を転がすと、ダーマローラーは、外用適用された組成物のより優れた浸透を可能にする開口部を皮膚に作る。そこで、ダーマローラーによるマイクロニードル適用は、皮膚内への因子の浸透を増強するために、また、微小な傷害を作るために、因子組成物の外用適用に先立ち行うことができ、これは、炎症性/治癒過程を誘発して、皮膚の若返りおよび皮膚外観の改善において有益なコラーゲンおよび他の物質を産生する。次いで、送達された因子は、ケラチノサイトを誘導して、PDGF、IL−1、TGF−αおよびTGF−βが挙げられるがこれらに限定されない、増殖因子を産生することができ、これは、皮膚線維芽細胞の増殖および活性化においてパラクリン効果を発揮し、皮膚再生および皮膚細胞外マトリックスのリモデリングをもたらすことが示された。
因子組成物は、以前に記述した通り、外用組成物であり得る。例示的な外用組成物として、水ベースのゲルまたはペースト、軟膏、クリーム(無水または含水)、セラム、ローション(無水または含水)、エマルション、スプレー、溶液、エアロゾル、スティック(固体クリーム)、フィルム、絆創膏、タオレット、粉末、皮膚スプレー、鼻または喉スプレー、経口点滴薬、点眼薬、点耳薬、塗布可能なフィルム形成組成物、および経皮パッチが挙げられるがこれらに限定されない。
クリームは、油/水エマルションである。クリームは、典型的には、ワックス、ペトロラタム、鉱油その他等の固定油、炭化水素その他を含む油相(内相)、ならびに水および添加された塩等のいずれかの水溶性物質を含む水相(連続相)からなる。この2相は、乳化剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の表面活性剤;アカシアコロイド粘土、ビーガム(veegum)その他等の親水性コロイドの使用によって安定化される。エマルションの形成後に、活性成分(例えば、因子(複数可)または馴化培地)が通例、所望の濃度を達成する量で添加される。
ゲルは、油質基剤、水またはエマルション懸濁液基剤から選択される基剤を含む。基剤へと、基剤にマトリックスを形成するゲル化剤が添加され、その粘度を増加させる。ゲル化剤の例は、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル酸ポリマーその他である。通例、活性成分(例えば、因子(複数可)または馴化培地)は、ゲル化剤の添加に先行する時点において、所望の濃度で製剤に添加される。
軟膏は一般に、(1)油質基剤、すなわち、白色ワセリンもしくは鉱油等の固定油もしくは炭化水素からなる基剤、または(2)吸収(absorbant)基剤、すなわち、無水物質もしくは水を吸収することができる物質、例えば、無水ラノリンからなる基剤のいずれかを使用して調製される。通例、油質であれ吸収剤であれ、基剤の形成後に、活性成分(例えば、因子(複数可)または馴化培地)が、所望の濃度をもたらす量で添加される。
セラムは、色が鮮やかなことが多い、水様性またはより粘度がある液体であり得る。セラムは、水ベースであり、その稠度を軽くする。セラムは、他のセラムおよびクリームまたはローションの下に層形成することができ、皮膚ケアレジメンに取り込むために非常に柔軟な製品となる。個体が、成分のいずれかに対し感受性がない限りにおいて、セラムは、あらゆる皮膚型により十分に耐容される。セラムは、グリセロールまたはグリセリンを含むことができる。
本発明の一部の組成物は、閉塞、生体接着剤または薬理学的作用をもたらす他の添加物もしくはデバイスを必要としない薄い均一なフィルムとして適用することができる。製剤は、スワブ、アプリケーターパッド、シリンジ延展器、または薄いフィルムにおける液体の適用を意図する同様のデバイスを含む物理的機械的手段により適用することができる。
組成物は、浸透賦活薬、界面活性物質、油脂、多価アルコール、低級アルコール、増粘剤、UV吸収剤、光散乱剤、保存料、抗酸化剤、抗生物質、キレート化剤、pH調節薬、調味料、色素および水等、薬科学で一般的に使用される添加物と共に所望の通りに製剤化することができる。
因子組成物における使用に適した浸透賦活薬として、次のクラスのいずれかに由来する賦活薬が挙げられるがこれらに限定されない:脂肪アルコール、脂肪酸(直鎖状または分枝鎖状);テルペン(例えば、モノ、ジおよびセスキ(sequi)テルペン;炭化水素、アルコール、ケトン);脂肪酸エステル、有機酸、エーテル、アミド、アミン、炭化水素、アルコール、フェノール、ポリオール、界面活性物質(アニオン性、カチオン性、非イオン性、胆汁酸塩)。
界面活性物質の非限定例として、ポリオキシエチレン(以降、POE−オクチルドデシルアルコールおよびPOE−2−デシルテトラデシルアルコール等のPOE−分枝鎖アルキルエーテルと省略)、POE−オレイルアルコールエーテルおよびPOE−セチルアルコールエーテル等のPOE−アルキルエーテル、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレートおよびソルビタンモノラウレート等のソルビタンエステル、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノイソステアレートおよびPOE−ソルビタンモノラウレート等のPOE−ソルビタンエステル、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレートおよびグリセリルモノミリステート等のグリセロールの脂肪酸エステル、POE−グリセリルモノオレエート、POE−グリセリルモノステアレートおよびPOE−グリセリルモノミリステート等のグリセロールのPOE−脂肪酸エステル、POE−ジヒドロコレステロールエステル、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油イソステアレート等のPOE−硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、POE−オクチルフェノールエーテル等のPOE−アルキルアリールエーテル、グリセロールモノイソステアレートおよびグリセロールモノミリステート等のグリセロールエステル、POE−グリセロールモノイソステアレートおよびPOE−グリセロールモノミリステート等のPOE−グリセロールエーテル、ジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカステアレート、デカグリセリルデカイソステアレートおよびジグリセリルジイソステアレート等のポリグリセロール脂肪酸エステルならびに他の非イオン性界面活性物質;ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸およびオレイン酸等の高級脂肪酸のカリウム塩、ナトリウム塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、アミノ酸塩および他の塩、エーテルカルボン酸の上述のアルカリ塩、N−アシルアミノ酸の塩、N−アシルサルコネート(salconate)、高級アルキルスルホネートならびに他のアニオン性界面活性物質;アルキルアミン塩、ポリアミン、アミノアルコール脂肪酸、有機シリコーン樹脂、アルキル四級アンモニウム塩および他のカチオン性界面活性物質;ならびにレシチン、ベタイン誘導体および他の両性界面活性物質が挙げられる。
油脂の例として、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、ツバキ油、ココナツ油、ウッドワックス(wood wax)、ホホバ油、ブドウ種子油およびアボカド油等の植物性油脂;ミンク(mink)油および卵黄油等の動物性油脂;蜜ろう、鯨ろう(whale wax)、ラノリン、カルナウバろうおよびカンデリラろう等のワックス;液体パラフィン、スクアレン、微結晶性ワックス、セレシンワックス、パラフィンワックスおよびワセリン等の炭化水素;ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸およびベヘン酸等の天然または合成脂肪酸;セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノールおよびラウリルアルコール等の天然または高級アルコール;ならびにイソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、オクチルドデシルミリステート、オクチルドデシルオレエートおよびコレステロールオレエート等のエステルが挙げられる。
多価アルコールの例として、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレン(butyrene)グリコール、1,4−ブチレン(butyrene)グリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロールおよび他のポリグリセロール、グルコース、マルトース、マルチトース(maltitose)、スクロース、フルクトース、キシリトース(xylitose)、ソルビトール、マルトトリオース、トレイトール(threitol)ならびにエリスリトールが挙げられる。
増粘剤の例として、アルギン酸ナトリウム、キサンテンガム、ケイ酸アルミニウム、マルメロ種子エキス、トラガカントゴム、デンプン、コラーゲンおよびヒアルロン酸ナトリウム等の天然起源の高分子物質;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプンおよびカチオン化セルロース等の半合成高分子物質;ならびにカルボキシビニルポリマーおよびポリビニルアルコール等の合成高分子物質が挙げられる。
UV吸収剤の例として、p−アミノ安息香酸、2−エトキシエチルp−メトキシシンナメート、イソプロピルp−メトキシシンナメート、ブチルメトキシベンゾイルメタン、グリセリル−モノ−2−エチルヘキサノイル−ジ−p−メトキシベンゾフェノン、ジガロイルトリオレエート、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−ビスヒドロキシプロピルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシルサリシレート、グリセリルp−アミノベンゾエート、ホモメチルサリシレート、メチルo−アミノベンゾエート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、アミルp−ジメチルアミノベンゾエート、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸および2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸が挙げられる。
保存料の例として、ベンゾエート、サリシレート、ソルベート、デヒドロアセテート、p−オキシベンゾエート、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロカルバニリド、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、レゾルシノールおよびエタノールが挙げられる。
抗酸化剤の例として、トコフェロール、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアレチン酸(guaiaretic acid)およびプロピルガレートが挙げられる。
キレート化剤の例として、エデト酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムが挙げられる。
上述に加えて、適した媒体、担体およびアジュバントは、水、ワセリン、ペトロラタム、鉱油、植物油、動物油、有機および無機ワックス、キサンタン、ゼラチン、セルロース、コラーゲン、デンプン等のポリマー、カオリン、カラゲナン、アラビアゴム、合成ポリマー、アルコール、ポリオールその他を含む。担体は、リポソーム(lypizome)、マイクロスポンジ、マイクロスフェアもしくはマイクロカプセル等の持続放出担体、水性ベースの軟膏、油中水型もしくは水中油型エマルション、ゲルまたは同様のものを含むこともできる。
因子組成物中に含まれ得る追加的な薬剤は、ビタミン、抗酸化剤、ミネラル、エキス、コエンザイムQ10、キャビアエキス、シイタケエキス、トリペプチド(SYN−AKE)、Matrixyl 3000(パルミトイルオリゴペプチドおよびパルミトイル−テトラペプチド−7)(Sederma,Inc.、Edison、NJ)、ならびにアルファ−トコフェロール(ビタミンE)、メラニン、ビタミンC、ビタミンA、レチニルプロピオネート(proprionate)、レチノイン酸、ビタミンD3、ニコチンアミド(ビタミンB)、ナイアシンアミド(niacinaminde)(Vit B3)、d−パンテノール、ヒアルロン酸、セラミドまたは海藻(藻類)エキス等の他の化合物である。
場合により、界面活性物質、油および/または他の賦形剤等の物質と組み合わせた場合、因子は不安定になる。これらの場合、因子は、凍結乾燥し、使用前に10%ヒアルロン酸に溶解することができる組成物へと製剤化することができる。
IV.製造品
本願は、本明細書に記載されているデバイスまたは組成物のうちいずれか1つを含む製造品も提供する。
例示的なキットは、パッケージまたは容器内に次のうちの1つまたは複数を含有することができる:(1)因子産生ユニットカートリッジ;(2)1つまたは複数の薬学的に許容されるバッファー;ならびに(3)hADSC等の幹細胞を改変および/または添加するための説明書を含む、因子産生ユニットカートリッジを設置するための説明書。
本明細書に提供される因子組成物のいずれかの送達による使用のための、ダーマローラー、マイクロニードル、クリームおよび経皮パッチも、本明細書に提供される。
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることから、本明細書に用いられている用語法が、単に特定の実施形態を説明する目的で使用されており、限定を意図しないことを理解されたい。次の実施例は、説明を目的とする。これらは、本発明のある特定の態様および実施形態を示すことを意図するが、いかなる様式においても本発明を限定することを意図しない。
(実施例1)
材料および方法
この実施例は、実施例2〜9で後に使用される材料および方法を提供する。
MSCの単離、培養および特徴付け
この研究で使用されたMSCは、UCSD医療センター、San Diego、CA、でルーチンの脂肪吸引手技を受けた32歳および49歳の健康な成人女性ドナーから得られたヒト脂肪組織から単離した。MSC単離プロトコールは現地の倫理委員会の承認を得、前述の通りに実行した。単離した脂肪由来幹細胞株は、DMEM/F12培地(Life Technologies)で成長させた。International Society for Cellular Therapyによって設定されたMSC最小定義基準により、フローサイトメトリー分析は、hADSCがCD29、CD73、CD90およびCD105を発現するが、CD11b、CD14、CD19、CD34、CD45、CD80、CD86(eBiosciense、USAからの抗体)を発現しないことを示した。形態学的分析は、細胞が線維芽細胞様形態を示し、プラスチック粘着性であり、市販の分化培地(Invitrogen、USA)を使用したin vitro条件下で脂肪生成、軟骨形成および骨形成分化が可能なことを示した。累積集団倍加(PD)は、培養での成長日数の関数としての複数の継代にわたるPD=log(N/NO)×3.33として計算し、ここで、NOはフラスコに平板培養した細胞の数であり、Nはこの継代で回収された細胞の数である。全ての実験で、hADSCのPD4またはPD6のSR集団ならびにSEN集団のPD41および45が使用された。組換えIL−2(Peprotech、USA)による処置は、Deenick EK、Gett AV、Hodgkin PD(2003年)Stochastic model of T cell proliferation: a calculus revealing IL-2 regulation of precursor frequencies, cell cycle time, and survival. J Immunol170巻:4963〜4972頁に記載されるように実行した。20U/mlのIL−2を、37℃で24時間培養培地に加えた。
老化関連のSA−βガラクトシダーゼアッセイ
pH依存性の老化関連β−ガラクトシダーゼ活性(SA−(βGal)の発現をモニタリングするアッセイを、製造業者のキット(BioVision)に記載されるように、およびWang J、Geesman GJ、Hostikka SL、Atallah M、Blackwell Bら(2011年)Inhibition of activated pericentromeric SINE/ALU repeat transcription in SEN human adult stem cells reinstates self-renewal. Cell cycle10巻:3016〜3030頁で以前に公開されている通りに実行した。培養されたhADSCをPBSで室温で15分間洗浄し、PBSで2回洗浄し、37℃で一晩X−Gal含有補助剤で染色した。細胞をPBSで2回洗浄し、顕微鏡(Nikons、TE300、DXM1200デジタルカメラ、Japan)を使用して画像を捕捉した。
遊走および浸潤アッセイ
トランスウェルフィルターはCorning Incorporated(Acton、MA、USA)からのものであり、使用した全てのサイトカインはPeprotech Inc.(Rocky Hill、NJ、USA)から得た。遊走アッセイは、8mm厚のトランスウェルチャンバーを使用して、Perez LM、Bernal A、San Martin N、Galvez BG(2013年)、Arch Physiol Biochem119巻:195〜201頁に記載されるように実行した。トランスウェル遊走アッセイのために、1.0×104個の細胞を80ulの無血清アルファ−MEMに懸濁し、8mm孔径フィルターを含有する24ウェルトランスウェルプレート(Corning、Costar、USA)の上部チャンバーに播種した。下部チャンバーに、600ulのDMEMまたはサイトカイン:IL−2、IL−6、IL−8、TNF−α、HMGβ1を含有する培地を加えた。使用濃度は:50ng/mlのIL−2、IL−6、IL−8およびHMGβ1;(Perezら、2013年、Arch Physiol Biochem119巻:195〜201頁)に記載されているように30ng/mlのTNF−αであった。hADSCを37℃で16時間インキュベートした。上部チャンバーに保持された細胞はスワブによって除去し、フィルターを通して遊走したものは室温で20分間4%パラホルムアルデヒドで固定し、5%トルイジンブルーで一晩染色した。細胞は、下側で数えた;明視野顕微鏡(Nikons、TE300、DXM1200デジタルカメラ、Japan)を使用して、5つの異なるランダムに選択された10×視野で。これらの実験は、SRまたはSEN集団のいずれかの32歳および41歳の2名のドナーのhADSCで行い、各ドナーは3回を超えて試料採取した。
酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)
hADSC(SRまたはSEN)を10cm2のシャーレあたり105個の細胞密度で平板培養し、IL−2の20U/mLで24時間処置し、未処置対照は、Deenick EK、Gett AV、Hodgkin PD(2003年)Stochastic model of T cell proliferation: a calculus revealing IL-2 regulation of precursor frequencies, cell cycle time, and survival. J Immunol170巻:4963〜4972頁に既述の通りである。次に、MemPER Plus#89842(ThermoFisher Scientific)を製造業者のプロトコールに従って使用して、細胞膜に会合しているタンパク分画を調製した。ヒトIL−2RアルファおよびヒトIL−2RベータELISAキット#ELH−IL−2Raおよび#ELH−IL−2Rb(RayBiotech,Inc)をそれぞれ使用して、IL−2受容体アルファおよびベータの濃度の測定を得た。標準(組換えIL−2受容体アルファおよびベータ)ならびに実験試料の光学密度はSPECTRA Max Plus(Molecular Devices)によって450nmで測定し、濃度は製造業者のプロトコールに記載されるように計算した。
リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応
RNeasyミニキット(Qiagen、Germany)を使用して、hADSCから全RNAを単離した。RevertAid First Strand cDNA合成キット(Fermentas、USA)を使用して、cDNAを次に合成した。リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)は、TaqMan装置を使用して実行した。発現レベルは2−ΔΔCtとして計算し、ここで、相対発現はベータ−アクチン遺伝子発現への正規化によって決定した。全てのアッセイを3反復で実行し、cDNAのない陰性対照試料を使用した。qPCRのためのプライマーは、以下の通りだった:
転写分析
Deenick EK、Gett AV、Hodgkin PD(2003年)Stochastic model of T cell proliferation: a calculus revealing IL-2 regulation of precursor frequencies, cell cycle time, and survival. J Immunol170巻:4963〜4972頁に既述の通りに、IL−2処置および未処置(対照群)のSRおよびSEN−hADSCで転写分析を実行した。4つの異なる条件:それぞれIL−2刺激の有る無しのSRまたはSEN細胞の分析のために、図3Aに示す2つの遺伝子型を使用した。各実験条件のためにDMEM F12培地に同じ量(106個)の細胞を播種し、Deernickら2003年に既述の通り、20U/mlの組換えIL−2(Peprotech、USA)を24時間培地に直接的に加えることによってIL−2処置を実行した。製造業者の説明書に従ってTRIzol試薬(Invitrogen、USA)を使用して、全RNAを試料から単離した。2名の異なる患者からの試料を関連する条件のために一緒に合わせ、RNA HSアッセイキット(Invitrogen、Life technologies、USA)を使用してRNA濃度をQubit2.0蛍光計で測定した。
製造業者の説明書に従って、Ion Proton(商標)システム(Life technologies、USA)の上で配列決定のためのライブラリーを構築するために、各試料の全RNAの100ngを使用した。rRNA消去およびRNA−seqライブラリー構築の前に、品質管理分析のためにERCC RNA Spike−In対照ミックス(Ambion、Life Technologies)を全RNAに加えた。ERCC RNA Spike−In対照ミックスは、天然の真核生物mRNAを模倣する長さ250〜2000ntの92個の転写物を含有する。製造業者によって提供されるプロトコールに従って、全RNAの100ngをspike−inの1:1000の希釈で2ulのMixlに加えた。その後、Low Input Ribominus真核生物システムv2(Ambion、Life technologies、USA)でrRNA消去を実行した。cDNAライブラリーをIon total RNA−seqキットv2(Ambion、Life technologies、USA)で構築し、Ion Xpress RNA−seqバーコード(Ambion、Life technologies)でバーコード化した。ライブラリーのサイズ分布および数量化は、バイオアナライザー2100(Agilent technologies、USA)で実行した。ライブラリーの配列決定はP1チップを有するIon Proton(商標)システムで実行し、各ライブラリーは3回配列決定をした。
RNA−seqデータ分析
個々のIon Proton(商標)システムの配列決定実行からのRNA−seq読み取りデータを、4つの条件の各々のために合わせた。配列読み取りデータは、Torrent Mapping Alignmentプログラム(TMAP、Life technologies)を使用して、参照ヒトゲノムアセンブリーhgl9(GRCh37)にマッピングした。4つの条件特異的な合わせたRNA−seq実行の品質は、製造業者のウェブサイトから得たERCC spike−in RNA配列の予想されたカウントを、同じ配列にマッピングされるRNA−seqタグの観察されたカウントに対して比較することによって評価した。初期の遺伝子発現レベルは、個々のNCBI RefSeq遺伝子モデル(c)のためのエクソンマッピング読み取りデータの合計としてとり、低発現遺伝子(100万あたりの読み取りカウントデータが<1)は以降の分析から除去した。各ライブラリーについて、個々の遺伝子発現レベルを、ベータ−アクチン(ACTB)発現レベル(cACTB)および各遺伝子の全エクソン長lを使用して正規化した。ライブラリーjのために、ベータ−アクチン(beta-acting)正規化因子sjを、
として計算し、ライブラリーjの遺伝子iの最終正規化発現値を、
として計算した。
ライブラリーの対の間の差次的遺伝子発現分析を、プログラムGFOLD v1.1.3、Feng J、Meyer CA、Wang Q、Liu JS、Shirley Liu Xら、(2012年)GFOLD: a generalized fold change for ranking differentially expressed genes from RNA-seq data. Bioinformatics28巻:2782〜2788頁を使用して実行した。複製データセットの非存在下で差次的に発現された遺伝子の特徴付けにおいて実証されたその優れた性能に基づいて、GFOLDを選択した。GFOLD分析は、条件間の差次的遺伝子発現の程度を測定するスコアを与える;差次的に発現された遺伝子をここで規定するために、推奨された±0.01のGFOLDスコアカットオフを使用した。ライブラリーの対の間の差次的に発現された遺伝子に関する、機能の濃縮についての分析(functional enrichment analysis)は、プログラムGSEA v2.1.0を使用して実行した。具体的には、SR、SENまたは両方でのIL−2処置の後に上方調節または下方調節される複数の遺伝子を含有する個々の経路は、このように識別した。ノードが経路に対応し、端が経路間で共有される遺伝子の存在に対応するネットワークを使用して、差次的に調節された遺伝子(SRおよび/またはSENで上方調節されたIL−2+とSRおよび/またはSENで下方調節されたIL−2+)の特異的セットのための個々の経路を関連付けた。
図9は、RNA−seq実験の品質管理のために使用されたExternal RNA Controls Consortium(ERCC、外部RNA対照の一般的なセット)用量応答を示す。4つの条件特異的RNA−seqプールの各々について、ERCC spike−in RNA配列の予想されたカウントを、同じ配列にマッピングされるRNA−seqタグの観察されたカウントに対して回帰させた。回帰およびピアソン相関r値の形状によって示されるように、観察されたカウント対予想されたカウントは非常に相関しており、高品質RNA−seq結果と一致していた。
(実施例2)
MSC老化表現型の特徴付け
この実施例で、IL−2シグナル伝達に応答したヒト脂肪由来MSC(hADSC)の転写活性に及ぼす複製老化の影響を評価するために実行された試験を記載する。
IL−2は、3つのIL−2Rサブユニット:IL−2Ra(CD25)、IL−2Rβ(CD122)およびIL−2Rg(CD132)の様々な組合せによって形成される細胞表面受容体の3つのクラスにより、特異的受容体を通してシグナル伝達する。実験結果は、hADSCが全3つの受容体を転写により発現するが、hADSCでのIL−2Raのタンパク質発現はIL−2Rβで見られるより低いことを示す。これらの観察は、IL−2RβおよびIL−2RγアイソフォームからなるIL−2受容体組成物が、hADSCによる支配的な形態のIL−2サイトカインの認識を媒介することができることを示す。hADSCの複製加齢により受容体組成物はわずかに変化するだけであり、IL−2へのhADSCの応答性はそれらの老化により変化しないことを示す。
hADSCを単離し、上記のように培養した。ex vivo複製老化は、減少した増殖、DNA傷害および形態学的変化の蓄積につながった:hADSCは不規則で平らな形状を伴って大いにより大きくなり、核は、位相差顕微鏡法において多くの封入体および埋積の顆粒状細胞質外観を伴ってより限局性になった。2名の異なる患者から得られたhADSCの成長曲線を、図3Aに示す。線形成長速度、SR、または細胞株がそれらの増殖を停止するとき、SEN、のいずれかのhADSCについての老化関連のSA−βガラクトシダーゼ活性についての一般的な染色を、図3Bに示す。
(実施例3)
SEN−MSCは、遊走のより高い傾向を示す
下の材料および方法のセクションに記載されている通り、トランスウェルシステムを使用しサイトカインおよび増殖因子のセットを使用して、遊走アッセイを実行した。複製老化を経た脂肪由来MSCが、遊走のより高い傾向を示すことが観察された。SEN−hADSCが、それらのSR対応物より有意に高い基底遊走能力を示すことが観察された(図3C)。図3Cは、SR(左)およびSEN(右)のhADSCのex vivo遊走アッセイを示す。黒線は中央値を示し、ひげは値の範囲を示す。表されるように、統計的差はp値(p)によるT検定によって評価した。
さらに、異なるサイトカイン化学誘引物質へのSEN−hADSCの応答を測定した。hADSCは、初期の継代と比較して後期の継代で遊走する能力が増加することが観察され(図3D)、複製老化が、試験した化学誘引物質に応答してhADSCの遊走特性を増加させることを示す。IL−2はSEN−MSCに対して最も強力な化学走性刺激剤であったが、TNF−αはこれらの実験で試験した化学誘引物質の間でより強力でなかった(図3D)。図3Dは、自己再生SR(左)および老化SEN(右)hADSCの遊走を示す。hADSCは、異なるサイトカイン(50ng/mlのIL−2、IL−6、IL−8、HMGBl;30ng/mlのTNF)の存在下で遊走するように誘導された。グラフは、10件の独立実験(n=10)の平均を表す。実験測定に関するP値(p)は、グラフの下に列挙する。
総合すると、これらのデータは、複製老化がhADSCの遊走特性を改変し、炎症性環境へのMSCの応答に影響して、それらの免疫調節出力に影響することができることを示した。
(実施例4)
複製老化の際のヒト脂肪由来MSCにおけるIl−2刺激への差次的応答
qPCRによるIL−2受容体アイソフォーム発現の評価は、ex vivo複製老化の際のIL−2RgおよびIL−2Rβと比較してIL−2Rαアイソフォームの発現の有意な変化を実証した(図4B)。図4Bは、非刺激(IL−2−)SR細胞(第1のバー)およびSEN細胞(第3のバー)における、ならびに20ug/mlの組換えIL−2(IL−2+)による刺激の際(SR細胞、第2のバー;SEN細胞、第4のバー)の、定量的PCR(qPCR)によって評価したIL−2受容体α、βおよびγを示す。データは、変化倍率(ΔΔCT)として示す。3件の独立実験からの平均±SDを示す。注目すべきことに、SRおよびSEN−hADSCの両方で、IL−2処置の後にIL−2RβおよびIL−2Ra転写物の蓄積の増加が記録されたが、SEN細胞を類似の処置に供したときにIL−2Ra発現は抑止された(図4B)。
しかし、細胞膜に会合しているIL−2Rα受容体のタンパク質レベル発現は反対のパターンを示すことをデータは示した(図4C)。図4Cは、IL−2RαおよびIL−2Rβの細胞膜に会合しているレベルを示す。レベルは、非刺激(IL−2−)SEN(第3のバー)およびSR(第1のバー)hADSC、ならびに20ug/mlの組換えIL−2(IL−2+)による刺激の後のSEN(第4のバー)およびSR(第2のバー)において、ELISAによって数量化した。データは、ミリリットルあたりのピクトグラムで表す。結果は、3件の独立実験の平均である(平均±SD)。統計的有意性はt検定によって推定し、***はp<0.001、**はp<0.01、*はp<0.05であった。
IL−2受容体アイソフォームの転写状態は2つの異なる細胞状態(SRおよびSEN)の間で異なるが、ELISAアッセイによって測定したときにそれはIL−2曝露(誘導)に依存しないようである(上の材料および方法で記載されている)。図4Cに示すように、データは、IL−2α受容体鎖をコードするタンパク質が、IL−2Rβアイソフォームほど豊富でないことも実証した(120pg/mlのIL−2Rαを、ex vivo複製老化の際の350pg/mlのIL−2Rβと、l50pg/mlのIL−2Rαおよび440pg/mlのIL−2Rβと比較する)。これらのデータは、IL−2刺激へのhADSC応答が、IL−2Rβ(CD122)および一般的なIL−2Rg(CD132)で構成される中間体親和性受容体ダイマーを通して起こることを示す。
IL−2は、STAT5AおよびSTAT5Bを活性化するためにJAK1およびJAK3を通してシグナル伝達し、さらにRas−MAPキナーゼおよびホスホイノシトール3−キナーゼ依存性シグナル伝達経路を使用する。IL−2の下流標的STAT5の発現は、図5、7Aおよび7Bならびに図10Aおよび10Bの表に示す。hADSCでは、STAT5A遺伝子転写とSTAT5B遺伝子転写の両方は、IL−2/STAT5シグナル伝達軸をたどる。
図5は、IL−2によるSRおよびSEN−hADSCの刺激の効果を図示する。IL−2は、IL−2シグナル伝達STAT5遺伝子のメディエーターのmRNAを上方調節する。STAT5AおよびSTAT5BのmRNA発現は、非刺激(IL−2−)SR(第1のバー)およびSEN細胞(第3のバー)において、ならびに20ug/mlの組換えIL−2(IL−2+)による刺激の際(SR+IL−2、第2のバー;SEN+IL−2、第3のバー)に、定量的RT−PCRによって評価した。データは、変化倍率(ΔΔCT)として示す。3件の独立実験からの平均±SDを示す。qPCRプライマーの位置を、図式で表す。統計的有意性はt検定によって推定し、***はp<0.001、**はp<0.01であった。
IL−2およびその下流標的STAT5がex vivoでそれらの複製老化の際にhADSCで転写転帰にどのように影響するかについて、次に調査した。
IL−2への曝露は、複製老化の際にヒトMCSで遺伝子発現の改変をもたらした。IL−2/STAT5軸への転写応答がex vivoでhADSCの複製加齢の際にどのように変化するかについて対処するために、実施例1に記載し、図8Aに示した通りにIon Proton(商標)システムを使用してRNA−seqトランスクリプトーム分析を実行した。4つの条件(ライブラリー)にわたるhADSCでの遺伝子発現レベルを比較した:正常なex vivo培養の際の自己再生(SR IL−2−)、24時間の組換えIL−2刺激の際の自己再生(SR IL−2+)、正常なex vivo培養の際の複製老化(SEN IL−2−)および24時間の組換えIL−2刺激の際の複製老化(SEN IL−2+)。各状態を表す4つの条件のための全読み取りカウントデータの分布を、図8Bに示す。
条件間で遺伝子発現レベルを正規化するために、ベータ−アクチン発現レベルを使用した(実施例1に記載されるように)。IL−2処置の後に全体の遺伝子発現レベルが変化することができるという事実を認めるために、このアプローチがとられた。ベータ−アクチン正規化遺伝子発現分布は、SR状態とSEN状態の両方でのIL−2処置の後の遺伝子発現の全体的上方調節を明らかにする(図8D)。しかし、4つの条件の間の個々の遺伝子発現レベルの比較は、IL−2処置がSR−hADSCと比較してSEN−により有意に影響することを示す(図6A)。図6Aは、条件特異的遺伝子発現プロファイルの比較に基づく条件間のペアワイズの距離を示す階層的クラスタリングを示す。個々の遺伝子発現レベルを比較したとき、SR IL−2−およびSR IL−2+条件は緊密な集団になり、SEN IL−2−条件が後に続く。SEN IL−2+条件は、個々の遺伝子発現レベルの実質的に発散したパターンを示す、4つの条件の間の外れ値である。これは、老化の後のhADSCでのIL−2処置への生物学的応答が、IL−2に応答した広域の転写脱調節を通してMSC機能を有意に妨害することができることを示す。
SR状態とSEN状態の両方でIL−2処置に応答して差次的に発現され、上方および下方調節される個々の遺伝子を識別するために、発現レベルを条件間でさらに比較した(図6B)。図6Bは、IL−2処置の際に上方調節および下方調節される遺伝子の数を示すベン図である。SRとSEN−hADSCの両方において、IL−2処置の際に下方調節される遺伝子(2,296個)と比較していくつかのより多くの遺伝子(8,866個)が上方調節される。両方の状態で下方調節される遺伝子(4%)と比較して、SRとSEN−hADSCの両方で上方調節される遺伝子の割合(35%)は実質的により高い。IL−2処置の際のSEN−hADSCで下方調節される遺伝子(1,739個)で最も大きな非対称が見られる;そのような遺伝子は、SR IL−2+条件で見られるよりずっと多い(649個)。SEN IL−2+条件の全体的発散がIL−2処置の際に下方調節される遺伝子に大きく起因することをこの差は示し、これは、IL−2処置の際のSRとSENの両方にわたる全体的上方調節を考慮すると予想外の結果である(図6Bおよび図8D)。
図6C〜6Dは、IL−2処置の後に上方調節(図6C)および下方調節(図6D)される遺伝子の発現レベルを示すヒートマップを示す。正規化された遺伝子発現レベルは、グレイスケールでヒートマップとして示す。群は、SRだけで、SENだけで、または両条件で上方または下方調節される遺伝子に対応する。
まとめると、これらのデータは、活発に増殖するSR細胞で存在するのと同じ程度に、IL−2処置に応答して協調調節変化を生成する能力をSEN−hADSCが失ったことを示す。SEN IL−2−と比較してSR IL−2+で見られる上方調節された遺伝子の数がより多いことは、この解釈と整合する。
図10Aは、SRおよびSEN−hADSCでIL−2処置の際に上方調節される遺伝子が濃縮された生物学的経路を示す表(図10A)を示す。図10Aで、濃縮された経路を、経路に属する個々のIL−2+上方調節された遺伝子および経路濃縮有意レベルと一緒に示す。SRで上方調節される遺伝子メンバーの経路は左の欄に示し、SENで上方調節される遺伝子メンバーの経路は右の欄に示す。SRとSENの両方で上方調節される遺伝子メンバーの経路を上の列に、続いてSENだけで上方調節される遺伝子メンバーの経路を、および最後にSRだけで上方調節される遺伝子メンバーの経路を示す。SRで上方調節される経路(左の欄)およびSENで上方調節される経路(右の欄)を関連付けるネットワークを示す。ネットワークノードは経路を表し、ノードのサイズはその経路で上方調節された遺伝子の数に対応する。経路が上方調節された遺伝子を共有する場合には経路ノードは端で接続し、端重量は経路間で共有される上方調節された遺伝子の数に対応する。
図10Bは、SRおよびSEN−hADSCでIL−2処置の際に下方調節された遺伝子が濃縮された生物学的経路を図示する。濃縮された経路を、経路に属する個々のIL−2+下方調節された遺伝子および経路濃縮有意レベルと一緒に示す。SRで下方調節される遺伝子メンバーの経路は左の欄に示し、SENで下方調節される遺伝子メンバーの経路は右の欄に示す。SRとSENの両方で下方調節される遺伝子メンバーの経路を上の列に、続いてSENだけで下方調節される遺伝子メンバーの経路を、および最際にSRだけで下方調節される遺伝子メンバーの経路を示す。SENで下方調節される経路(左の欄)を関連付けるネットワークを示す。ネットワークノードは経路を表し、ノードのサイズはその経路でのSEN下方調節された遺伝子の数に対応する。経路がSEN下方調節された遺伝子を共有する場合には経路ノードは端で接続し、端重量は経路間で共有される下方調節された遺伝子の数に対応する。
(実施例5)
Il−2刺激後のhADSCの栄養特性は、ex vivo複製加齢に感受性である
図7A〜7Dは、機能的にコヒーレントなセットの遺伝子の間の、IL−2処置の際のSRおよびSEN細胞の遺伝子発現レベルを図示する。(図7Aで)栄養因子、(図7Bで)抗炎症性および免疫調節性、(図7Cに示すように)抗アポトーシス性および転移促進性、ならびに(図7Dに示すように)遊走および血管新生促進性であると特徴付けられる遺伝子のセットについて、発現レベルを示す。正規化された遺伝子発現レベルは、グレイスケールでヒートマップとして示す。
表1は、SENおよびSR細胞でのIL−2処置の際の栄養因子の差次的発現を示す。SR GFold値は、IL−2で処置されていないSR細胞と比較して、IL−2で処置したSR細胞での差異倍率を表す;SEN GFold値は、IL−2で処置されていないSEN細胞と比較して、IL−2で処置したSEN細胞での差異倍率を表す。
IL−2による刺激の際のhADSCでの増殖因子の発現が、ex vivoで複製老化の後に有意な変化に供されることを、データは示した。活発に増殖する(SR)hADSCのIL−2への曝露は間質細胞由来因子2(SDF2)およびSDFL2ならびにプロスタグランジンEシンテターゼ2(PTGES2)などの分裂誘起タンパク質の発現増加をもたらしたが、SRとSEN−hADSCの両方は、トランスフォーミング増殖因子アルファおよびベータ(TGFa、TGFβ1およびTGFβ2)、トランスフォーミング増殖因子ベータ受容体TGFBR2およびトランスフォーミング増殖因子ベータ受容体関連タンパク質TGFBRAPl、ならびにトランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)の有意な増加が特徴である(図7Aおよび表6A〜6D)。
さらに、SRとSEN IL−2刺激hADSCの両方は、コロニー刺激因子1(CSF−1)、LIF、IL−11、IL−17D、IL−1βおよび腫瘍壊死因子(リガンド)スーパーファミリーTNFSF13B、B細胞およびT細胞機能を刺激するサイトカインコード遺伝子の上方調節が特徴であった(図7A、7Bおよび図10A〜10B)。
パラクリンIL−17Dが内皮細胞でIL−6、IL−8およびGM CSF遺伝子の発現を誘導すること、ならびに、IL−1βが線維芽細胞増殖因子活性(TGFa、TGFβ1およびTGFβ2遺伝子はIL−2曝露hADSCで顕著に上方調節される)をオートクリンおよびパラクリン様式で刺激すること、加えてこれらの細胞からIL−2の放出を誘導することによる胸腺細胞およびB細胞の増殖および成熟を刺激することを考慮すると、SRとSEN−hADSCの両方の転写状態が、複雑な調節フィードバックループを通したIL−2曝露の後のこれらの細胞の強化された免疫調節特性を指し示すことができることを、データは示す。
IL−2に曝露させたSRとSEN−hADSCの両方は、トランスフォーミング増殖因子アルファおよびベータ(TGFa、TGFβ1およびTGFβ2)、トランスフォーミング増殖因子ベータ受容体TGFBR2およびトランスフォーミング増殖因子ベータ受容体関連タンパク質TGFBRAPl、ならびにトランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)遺伝子の発現の有意な増加が特徴である(図7A)。
さらに、SR細胞で観察されなかったhADSCの老化の後の増殖因子のIL−2依存的発現における本質的な差も注目された。これは、FGF2、FGF5、FGF7などの他のメンバーの下方調節を伴う、線維芽細胞増殖因子ファミリーメンバー(FGF1、FGF11、FGF14)のサブセットの上方調節を含む(図7A、表1および表6A〜6D)。
IL−2に曝露させたSEN−hADSCは、EGF mRNAの上方調節を特徴とするが、その受容体EGFRへのmRNAの下方調節も、血清応答因子SRFおよびWNTシグナル伝達SFRP1の分泌されるモジュレーターの発現の低下とともにその特徴とする。創傷治癒を促進する間葉系起源の細胞のための強力な分裂促進因子PDGFAとその受容体PDGFRAの発現の両方は、IL−2の曝露に供したSR細胞と比較してSEN−hADSCで有意に抑制される(図7A、図10A、表1および表6A〜6D)。
これらの細胞免疫調節特性をex vivoで、および最終的にin vivoで妨害し得るhADSCでのIL−2媒介転写応答の性質における老化関連の差を、これらのデータは明らかにした。
IL−2処置、他の薬物と組み合わせたIL−2およびIL−2に曝露させたヒトMSCのための抗炎症性および免疫調節性マーカーのパネルを示す(表2)。
IL−2処置と未処置のSRおよびSEN細胞を比較した差次的遺伝子発現分析は、IL−2刺激の際に上方または下方調節される個々の遺伝子の識別を可能にした。IL−2刺激に対する協調細胞性応答の生物学的な現実を捕捉しようとして、統合した遺伝子セット濃縮および経路ネットワークアプローチを使用して、IL−2処置のSRおよびSEN−hADSCで上方または下方調節されると指定された遺伝子を分析した。これを行うために、上方または下方調節された遺伝子について統計学的に濃縮された経路を識別し、それらが共通する差次的に発現された遺伝子に基づいて次に選択した(図10A〜10B)。各経路で差次的に発現された遺伝子の数および異なる経路が差次的に発現された遺伝子のセットを共有する程度に基づいて、経路ネットワーク表示に重み付けした。このアプローチは、多数の機能的に関係のある経路ならびに機能的に関連するネットワーク下部構造を有する高度に接続したネットワーク構造の識別を可能にした。
hADSCの老化の後、生存、遊走および増殖などの重要な細胞性機能を調節する、増殖を促進する(細胞周期経路、q値=l.54e−5)、G2チェックポイントを課す(G2経路、q値=5.94e−4)遺伝子経路、p53経路(q値=l.18e−2)、主なシグナル伝達MAPK経路(MAPK、q値=2.42e−4)およびその主サブグループERK経路(ERK、q値=2.62e−2)に対して、IL−2は刺激性がより低い。分析は、PDGF誘導AKTおよびERK経路が、MSC自己再生を促進するために増殖および分化の対立する運命決定を調節するとの以前の知見に対するさらに確証となる。これらの経路を代表する遺伝子の活性化は、活発なSR−hADSCのex vivoでのIL−2曝露の後だけに観察されたが、それらのSEN対応物では観察されなかった(図10A、左側)。
データは、発癌性状況でのMSCの機能性に関する情報も提供する。IL−2に曝露させたSRとSEN−hADSCの両方は、トランスフォーミング増殖因子アルファおよびベータ(TGF□、TGFβ1およびTGFβ2)、トランスフォーミング増殖因子ベータ受容体TGFBR2およびトランスフォーミング増殖因子ベータ受容体関連タンパク質TGFBRAPl、ならびにトランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)遺伝子の発現の有意な増加が特徴である(図7A)。分泌されたTGFPは、CD+4T細胞の分化を促進し、免疫サーベイランスを阻害し、それによって免疫抑制を課すことによって、免疫系の調節において重要であると考えられている。しかし、IL−2への曝露の後の脂肪由来ヒトMSCでのTGFP発現のより高いレベルは、発癌を促進し得る。TGFPシグナル伝達経路の一部はがん細胞で突然変異していることが示されているので、これは、TGFPによって誘導される細胞周期ブロック、分化またはアポトーシスからがん細胞が逃避することを可能にし、一方で、周囲の間質、免疫、内皮および平滑筋細胞は、がん細胞微小環境において増殖の強力なサプレッサーならびに免疫抑制および血管新生を引き起こす分化のトリガーとしてTGFPシグナル伝達を依然として読み取る。
IL−2処置SEN−hADSCでは、MSCに生存有利性を提供することが証明されている、炎症(IL−6経路、q値=5.55e−3)およびEGFシグナル伝達(q値=2.33e−4)と関連する経路のために、顕著な上方調節された遺伝子が濃縮される。IL−2に曝露させたSEN−hADSCは、IL−1R、IL−6およびIL−12(図7B)、リンパ球からのIL−17を刺激することが公知のサイトカインの発現の増加も特徴とする。データは、リンパ球がIL−17産生の唯一の供給源であること、および炎症誘発性環境に供したとき、特にそれらの老化の後のMSCがIL−17の高い転写活性を示すことも示す(図7A)。
血管新生VEGF経路(q値=5.24e−3)(図10A、右側および図7D)との観察された関係およびSEN−hADSCの遊走能力の強化(図3A、3B)は、IL−2に曝露させたSEN−MSCが、腫瘍形成環境および転移を支持するのに必要な特性を獲得し得ることを示すことができる。さらに、複製老化の後のhADSCでの一酸化窒素合成酵素経路(iNOS)NOSl経路(q値=8.32e−2)に含まれる遺伝子の上方調節は、老化を経るMSCが、免疫抑制を通して転移促進特性を獲得することができることを再び支持する。
増殖およびDNA修復の支持にとって重要な経路は、老化の後のhADCSで下方調節される:図l0Bに示す細胞周期経路(q値=2.52e−5)、MCM経路(q値=1.62e−8)、RB経路(q値=6.97e−5)、ATM経路(q値=3.28e−2)、p53経路(q値=1.86e−2)。全体として、データは、自己再生よりも老化において、IL−2誘発下方調節に供する多くの生物学的経路があること、および、これらの生物学的経路は相互に関係し(図l0B)、hADSCの複製加齢の後のIL−2応答の生理的障害をさらに関連付けることを示した。
表2は、SENおよびSR細胞でのIL−2処置後の抗炎症性および免疫調節因子の差次的発現を示す。SR GFold値は、IL−2で処置されていないSR細胞と比較して、IL−2で処置したSR細胞での差異倍率を表す;SEN GFold値は、IL−2で処置されていないSEN細胞と比較して、IL−2で処置したSEN細胞での差異倍率を表す。
(実施例6)
IL−2刺激ヒトMSCの抗炎症および免疫調節特性
次に、複製加齢に課されるとき、IL−2炎症誘発性環境への曝露が、hADSCの免疫調節特性(例えば、IL−2に曝露させたヒトMSCの抗炎症および免疫調節特性)を提供すると指定された遺伝子の発現にどのように影響するかを調査した。免疫調節のための能力が、ex vivoでの継代の間にヒト脂肪由来MCSの複製加齢によって影響を受けることを、データは実証した(図7Bおよび表2)。
SR−hADSCでのIL−2曝露は、T細胞調節に起因する異なるセットの遺伝子を活性化する。SR−hADSCのIL−2曝露は、図7B、表2および表6A〜6Dに示した遺伝子、例えばTNFRSF21(T細胞分化に関与する)、IL12A(T細胞活性化因子)、ILF2(T細胞活性化の間のIL−2遺伝子の転写の強力な調節因子)、IL33(ヘルパーT2型関連のサイトカインのパラクリン誘導因子)の上方調節、およびCCL28(CD+4、CD+8T細胞の走化因子)、CD320(プラズマ細胞の増殖を増強するオートクリンおよびパラクリン機能を有する受容体分子)の下方調節をもたらす。
それに反して、IL−2に曝露させたSEN−hADSCは、CD320、T細胞機能のモジュレーションに関与し得るいくつかのインテグリン(ITG11、ITGA V、ITFG1)、ならびに、重要な調節分子をコードする遺伝子、例えば:T細胞接着受容体(CD99)、ナイーブT細胞の維持に帰される因子(CHST3)、T細胞活性化因子(HIVEP1およびHIVEP2)、T細胞シグナル伝達経路に関与する遺伝子(CMIP)、およびCD+細胞増殖の阻害に関与するオートクリン/パラクリン因子、PTGERlの有意な転写上方調節によって特徴付けられた(図7B、表2および表6A〜6D)。
データは、IL−2に曝露させたSR−hADSCが、B細胞増殖および分化(CD72)ならびにマクロファージホーニング(CD68)で役割を果たす表面受容体をコードする遺伝子の転写活性の下方調節を誘発することも実証した。これらの遺伝子の両方とも、類似の処置の後にSEN細胞で有意に転写的に上方調節される(図7B、表2、表6A〜6D)。さらに、IL−2処置SEN−hADSCは、いくつかの非粘着性の骨髄性前駆細胞を調節する、プロ−Bからプレ−Bへの移行のために必要とされる遺伝子、LRRC8AおよびPEARl遺伝子、の転写下方調節によって、同様に処置されるSR細胞から区別される。対照的に、リンパ球の活性化およびホメオスタシス(CD83およびTNFRSF25)ならびに白血球遊出(CERCAM)に関与する遺伝子、ならびに内皮細胞−白血球相互作用の役割を担う遺伝子(ESM1)、ならびに対照単球/マクロファージ媒介免疫学的プロセスにとって重要な遺伝子(TNFSF13)は、SEN−hADSCで上方調節される(図7B、表2および表6A〜6D)。
IL−2曝露は、化学走性のために重大ないくつかのサイトカインおよび因子の差次的発現をもたらす(図7Bおよび表2に示す)。
SR−hADSCは、IL−33、IL−12A、IL10RB、IL1RAP、IL7R、ILF2およびNOS3遺伝子の上方調節を特徴とするが、IL−16およびCSF1R遺伝子はこれらの細胞で下方調節される。
IL−2により類似の条件下で処置されたSEN−hADSCでは、サイトカインIL−32、IL−6、IL1RN、IL−20RB、IL−21Rをコードする遺伝子、ならびに炎症誘導因子TNFSF13およびTNFSF12、ならびに細胞外マトリックスリモデラーPLAUをコードする遺伝子は、上方調節される。
同時に、MYL9、KIF14、IRAC3などの細胞質分裂のために必須のいくつかの因子、ならびに単球および好塩基球(CCL2)を誘引する走化因子をコードする遺伝子および造血前駆体細胞の増殖および分化を調節するCLEC11A遺伝子は、下方調節される(図7B)。
類似の下方調節は、いくつかのインターロイキン受容体コード遺伝子IL7R、IL1R1、IL15RA、およびインターロイキンエンハンサー結合性因子ILF2およびILF3でも見出される。
これらの観察は、SEN−hADSC(IL−32、IL−6、PLAU遺伝子の上方調節;CCL2、CLEC11A、ILF3、IRAK3、KIF14、MYL9遺伝子の下方調節)およびSR−hADSC(IL12A、IL7R、IRAK1、NOS3遺伝子の上方調節;IL16、CSF1R遺伝子の下方調節)でのサイトカインのIL−2依存性差次的転写性発現とともに、hADSCの免疫調節特性が老化によって強いられる変化に感受性であることを示す。
血管新生VEGF経路(q値=5.24e−3)(図10A、右側および図7D)との観察された関係、およびSEN−hADSCの遊走能力の強化(図4A、B)は、IL−2に曝露させたSEN−MSCが、腫瘍形成環境および転移を支持するのに必要な特性を獲得し得ることを示す。さらに、複製老化の後のhADSCでの一酸化窒素合成酵素経路(iNOS)NOSl経路(q値=8.32e−2)に含まれる遺伝子の上方調節は、老化を経るMSCが、免疫抑制を通して転移促進特性を獲得することができることも示す。
(実施例7)
複製老化の際のIL−2刺激hADSCの抗アポトーシスおよび転移促進特性
これらの実験は、複製老化の際のIL−2曝露MSCの抗アポトーシスおよび転移促進特性を調べるためにも使用された。
IL−2処置、他の薬物と組み合わせたIL−2、またはMSCと組み合わせたIL−2のための抗アポトーシスおよび転移促進マーカーのパネルを表3に示す。データは、抗アポトーシスおよび転移促進事象の評価にとって重要な分子マーカー標的のリストを提供する(例えば、本発明で使用するためのSENおよびSR幹細胞のQCのために)。
表3は、SENおよびSR細胞でのIL−2処置の際の抗アポトーシスおよび転移因子の差次的発現を示す。SR GFold値は、IL−2で処置されていないSR細胞と比較して、IL−2で処置したSR細胞での差異倍率を表す;SEN GFold値は、IL−2で処置されていないSEN細胞と比較して、IL−2で処置したSEN細胞での差異倍率を表す。
例えば、MSCは、虚血後の心臓筋芽細胞ならびに傷害を受けたニューロンおよび肺線維芽細胞でのアポトーシスの反転を支援することが証明された。スタンニオカルシン1(STC1)が、UVおよび酸度によって傷害を受けた線維芽細胞で強力なアポトーシス反転が可能な必須の因子として識別された。
IL−2曝露がSTC1遺伝子とSTC2遺伝子の両方を転写的に上方調節することをデータは示し、そのような活性化は、少なくともex vivoで、hADSCの複製加齢に依存性でない(表6A〜6D)。さらに、VEGFおよびTGFB1などのパラクリンエフェクターが、内皮細胞でのアポトーシスの反転と結びつけられた。これらの因子の両方をコードする遺伝子の発現は、IL−2処置後のSRおよびSEN−hADSCで上方調節される(図7C、図5、表3および表6A〜6D)。
図5の第3のグラフは、hADSCの複製老化の際にIL−2がVEGFA遺伝子の転写を上方調節することを示す。VEFGA遺伝子発現は、非刺激(IL−2−)SEN(暗色)およびSR(明色)hADSCで、ならびに20ug/mlの組換えIL−2による刺激の後に(IL−2+)、定量的qPCRによって評価した。3件の独立実験からの変化倍率ΔΔCT平均±SDとして示されるデータを示す。q−PCRプライマーの位置は、図式で表される。統計的有意性はt検定によって推定し、***はp<0.001、**はp<0.01であった。
しかし、図7Cに示すqPCR分析によってさらに検証される通り、VEGFAの転写活性は、活発に増殖する細胞より老化で著しく高い。注目すべきことに、アポトーシス促進因子をコードするSIVA1遺伝子およびTリンパ球アポトーシスの強力な誘導因子は、増殖するhADSCと比較してIL−2処置後のSEN細胞で有意に下方調節される(図7C、表3および表6A〜6D)。SIVA1は、厳密にアポトーシス促進性の因子でなく、腫瘍転移の強力なサプレッサーでもない。重要なことに、浸潤性成長および転移の役割を担ういくつかの因子は、同様に処置されたSR細胞と比較してIL−2に曝露させたSEN−hADSCで有意に上方調節される(図7Cおよび表3)。これには、RACKI、PLEKHA1、PLEKHA6、CTSB、CRMP1、FERMTl遺伝子が含まれる。これらのデータは、IL−2によるhADSCの前処置/曝露が、これらの細胞一般の抗アポトーシス特性を強化することができること、およびそのような強化が複製老化によって影響を受けることを示した。
IL−2処置SEN−hADSCでは、MSCに生存有利性を提供することが証明されている、炎症(IL−6経路、q値=5.55e−3)およびEGFシグナル伝達(q値=2.33e−4)と関連する経路のために、顕著な上方調節された遺伝子が濃縮されることが実証された。IL−2に曝露させたSEN−hADSCは、IL−1β、IL−6およびIL−12(図7B)、リンパ球からのIL−17を刺激することが公知のサイトカインの発現の増加も特徴とする。
データは、リンパ球がIL−17産生の唯一の供給源であること、および炎症誘発性環境に供されるとき、特にそれらの老化の後のMSCがIL−17の高い転写活性を示すことも示した(図7A)。
(実施例8)
転写プロファイリングは、複製老化の際にIL−2刺激hADSCで強化された遊走および血管新生を調節する遺伝子標的を示す
加齢に際しIL−2処置で強化された遊走および血管新生を示すマーカーのパネルを示す(表4)。
転写プロファイリングは、複製老化に際しIL−2刺激ADSCで強化された遊走および血管新生を調節する遺伝子標的を示す。転写応答のさらなる分析は、SEN−hADSCのIL−2刺激が、血管発生、および血管新生に関するリモデリングに関与する遺伝子の発現を強化することを示す。VEGFA、VEGFB、FBLNS、FBLN7、PGF、ANGPT1、ANGPT2、ANGPTL2、ANGPTL6、TNFSF12、PRKCA、PIK3CA、HRAS遺伝子、ならびに内皮細胞−白血球接着の強力なモジュレーターをコードする遺伝子ESM1の有意な上方調節が観察された(図7D、図10A〜10B、表4および表6A〜6D)。
表4は、SENおよびSR細胞でのIL−2処置後の遊走および血管新生因子の差次的発現を示す。SR GFold値は、IL−2で処置されていないSR細胞と比較して、IL−2で処置したSR細胞での差異倍率を表す;SEN GFold値は、IL−2で処置されていないSEN細胞と比較して、IL−2で処置したSEN細胞での差異倍率を表す。
以前に報告されたように、MCSによって放出される血管内皮増殖因子VEGFは、内皮系統細胞の動員および血管新生の開始を可能にする。SEN−hADSCでのVEGFA遺伝子発現の上方調節は定量的RT−PCR分析によって検出することができること、ならびに、IL−2曝露がSRおよびSEN−hADSCでVEGFA遺伝子転写の統計的に有意な増加をもたらすことがさらに実証される(図7Dおよび表4)。
IL−2曝露に応答して、細胞運動性、遊走および浸潤性成長の役割を担う一群の遺伝子が、複製老化を経たhADSCだけで有意に上方調節されることがさらに観察された:CGNL1、CGREF1、CRMP1、FGD6、TNK2、PTGS1、TNFAIP8、CTSB、CTSO、FAP、FERMT1、PLEKHA1、PLEKHA6、ROCK1、ROCK2。細胞接着を促進する遺伝子のセット、例えばCHD24、CYR61、ILK、NEDD9、MYL9、PPAP2B、RELNおよびTLN2が下方調節された(図7D、表4および表6A〜6D)。これらのデータは、図3Bに示すSEN−hADSCの強化された遊走能力の実験証拠をさらに支持する。
(実施例9)
プロテオーム抗体アレイデータ
表7は、全てのプロテオーム抗体アレイデータの生の値を提供する。
図2Bは、これらのデータの収集のために使用される5つの因子産生ユニットを示す。全ての5つの因子産生ユニットは、A(無細胞対照)以外は10%PRP含有StemPro MSC SFM Xeno不含培地中の38歳の患者からの幹細胞を含有した。因子産生ユニットには、700ul/cm3の10%PRP含有StemPro MSC SFM Xeno不含培地中の1cm3あたりSRまたはSEN−hADSCの2500個の細胞を接種した。図2B、因子産生ユニットCおよびEに関し、因子産生ユニットの細胞をIL−2で24時間刺激し、その後培地を10%PRP含有StemPro MSC SFM Xeno不含培地に交換した。因子産生ユニットを37℃および5%CO2に24、48および72時間保った後、培地を収集し、分析した。
因子産生ユニットからの等量の培地を、RayBio Cシリーズヒトサイトカイン抗体アレイAAH−CYT−2000(RayBiotech,Inc)で分析した。Cシリーズヒトサイトカイン抗体アレイAAH−CYT−2000は、ケミルミネッセンスアッセイ原理に基づき、目的の174個のタンパク質に対する抗体を含有する。LI−COR Biosciencesデンシトメトリーソフトウェア(Li−COR)を使用して、膜からデータを抽出した。曝露の差およびアレイ間の変動について調整するために、所与のタンパク質シグナルの平均強度/平均強度陰性対照の間の比をとることによって、生データを正規化した。
対照として、Aで表される因子産生ユニットは、細胞を含有しなかった。この因子産生ユニットは、700ul/cm2の10%PRP含有StemPro MSC SFM Xeno不含培地でセットアップした。培地を24、48および72時間でに収集し、RayBioCシリーズヒトサイトカイン抗体アレイAAH−CYT−2000に適用した、Qubit2.0(Thermofisher)を使用してQubit蛍光数量化によって総タンパクを数量化し、データを上記のように抽出し、分析した。
Bと標識した因子産生ユニットは、IL−2で処置していないSR−hADSCを含有した。この因子産生ユニットには、700ul/cm3の10%PRP含有StemPro MSC SFM Xeno不含培地中の1cm3あたり患者特異的hADSCの2500個の細胞を接種した。試料は、24時間、48時間または72時間で収集した。
Cと標識した因子産生ユニットは、IL−2で処置したSR−hADSCを含有する因子産生ユニットであった。この因子産生ユニットは、700ul/cm3の10%PRP含有StemPro MSC SFM Xeno不含培地中の患者特異的SR−hADSCを1cm3あたり2500個の細胞で含有した。因子産生ユニット中の細胞は、IL−2で処置した。IL−2処置のために、因子産生ユニットは、StemPro MSC SFM Xeno不含培地中の10%PRPにおいて20U/mlのIL−2(Peprotech)により37℃で24時間処置した。IL−2は、PBS−cmfの2回の洗浄で処置後に除去した。新鮮な培地を700ul/cm3で加えた。試料は、24時間、48時間または72時間後に収集した。
Dと標識した因子産生ユニットは、老化hADSC(SEN−hADSC)を含有した。この因子産生ユニットは、700ul/cm3の10%PRP含有StemPro MSC SFM Xeno不含培地中に1cm3あたり2500個の細胞のSEN−hADSCを含有した。試料は、24時間、48時間または72時間で収集した。
Eと標識した因子産生ユニットは、Cと標識した因子産生ユニットについて上に記載したように、IL−2で処置したSEN−hADSCを含有した。試料は、24時間、48時間または72時間で収集した。
図2Bに表した因子産生ユニットA〜Eから収集された因子を、以下に詳細に特徴付ける。
図11〜17は、10%PRP(血小板リッチな血漿)を含有する培地単独(IL−2刺激なし)とのインキュベーション24時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図11は、インターロイキン5(IL5)およびインターロイキン6(IL6)の分泌の増加を示す。図12は、インターロイキン1受容体4(IL1R4)の分泌の増加を示す。図13は、ニューロトロフィン3(NT3)、血小板由来増殖因子Aアルファ(PDGF AA)、血小板由来増殖因子Aベータ(PDGF AB)および血小板前駆細胞塩基性タンパク質(PPBP)の分泌の増加を示す。図14は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド18(CCL18)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド25(CCL25)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド27(CCL27)およびCXCケモカインリガンド11(CXCL11)の分泌の増加を示す。図15は、細胞間接着分子1(ICAM−1)およびメタロプロテイナーゼ阻害剤2(TIMP−2)の分泌の増加を示す。図16は、メタロプロテイナーゼ阻害剤1(TIMP−1)の分泌の増加を示す。図17は、血管上皮(VE)カドヘリン(カルシウム依存性細胞接着タンパク質)の分泌の増加を示す。
図18〜19は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)24時間後の、SR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。これらのタンパク質は、PRPに存在しないことが判明した。図18は、インターロイキン4(IL4)の分泌の増加を示す。図19は、インスリン様増殖因子結合タンパク質−1(IGFBP1)の分泌の増加を示す。
図20〜31は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図20は、インターロイキン9(IL9)およびインターロイキン18結合タンパク質アルファ(IL18BPa)の分泌の増加を示す。図21は、インターロイキン1受容体II型(IL1R2)、インターロイキン2受容体ベータ(IL−2Rb)、インターロイキン2受容体ガンマ(IL−2Rg)、インターロイキン5受容体アルファ(IL5Ra)、インターロイキン10受容体ベータ(IL10Rb)、インターロイキン18受容体アクセサリータンパク質(IL18Rb)およびインターロイキン21受容体(IL−21R)の分泌の増加を示す。図22は、インスリン様増殖因子2(IGF2)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGFa)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1/潜在関連ペプチド(LAP)(TGFb1)およびトランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGFb2)の分泌の増加を示す。図23は、受容体チロシンタンパク質キナーゼErbB−3(ErbB3)、Fasリガンド(Fas LG)、白血病阻害因子(LIF)、プロラクチン(PRL)因子、血小板由来増殖因子受容体アルファ(PDGFRa)、血小板由来増殖因子受容体ベータ(PDGFRb)、幹細胞因子kit受容体(SCFR)およびシアル酸結合Ig様レクチン5(シグレック5)の分泌の増加を示す。図24は、CXCケモカインリガンド16(CXCL16)の分泌の増加を示す。図25は、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)、Eセレクチン(免疫接着における細胞表面糖タンパク質)、細胞間接着分子2(ICAM2)、Lセレクチン(リンパ球接着分子)および血小板内皮細胞接着分子(PECAM1)の分泌の増加を示す。図26は、アクチビンA(INHBA)、インスリン様増殖因子2(IGF−2)およびレプチン受容体(LEPR)の分泌の増加を示す。図27は、骨形成タンパク質5(BMP5)、骨形成タンパク質7(BMP7)、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(MCSFR)、マトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ3(MMP3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP13)の分泌の増加を示す。図28は、単球分化抗原(CD14)、細胞分化抗原(CD80)、カルジオトロフィン−1(CT−1)および白血病阻害因子(LIF)の分泌の増加を示す。図29は、エンドグリン(ENG)の分泌の増加を示す。図30は、免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ1(TIE1)、ならびに免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ2(TIE2)の分泌の増加を示す。図31は、アクチビンA(インヒビンベータA、INHBA)、レプチン受容体(レプチンR)およびトランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFb1)の分泌の増加を示す。
図32は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)48時間後の、本発明の因子産生ユニットで維持されたSR−MSCからの神経増殖因子受容体(NGFR)の分泌の増加を示す。NGFRは、PRP中に存在しないことが見出された。
図33〜39は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図33は、インターロイキン1ベータ(IL1b)、インターロイキン3(IL3)、インターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2(IL13Rα2)およびインターロイキン1受容体アルファ(IL1Rα)の分泌の増加を示す。図34は、プロベータセルリン(BTC)、コロニー刺激因子(CSF1)、線維芽細胞増殖因子6(FGF6)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、インスリン様増殖因子1(IGF−1)、レプチンおよび血小板由来増殖因子Bベータ(PDGF BB)の分泌の増加を示す。図35は、幹細胞因子/c−kitリガンド(SCF)、間質細胞由来因子−1アルファ(SDF1a)、間質細胞由来因子−1ベータ(SDF1b)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFb1)、トランスフォーミング増殖因子ベータ3(TGFb3)および腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)の分泌の増加を示す。図36は、インスリン様増殖因子1(IGF1)の分泌の増加を示す。図37は、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGFb1)および血小板由来増殖因子Bベータ(PDGF BB)の分泌の増加を示す。図38は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5(CCL5)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド7(CCL7)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド8(CCL8)およびケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11(CCL11)の分泌の増加を示す。図39は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド13(CCL13)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド22(CCL22)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド23(CCL23)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24(CCL24)およびCXCケモカインリガンド10(CXCL10)の分泌の増加を示す。
図40〜42は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。図40は、脳由来神経栄養因子(BDNF)、骨形成タンパク質4(BMP4)、骨形成タンパク質6(BMP6)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子7(FGF7)およびインスリン様増殖因子結合タンパク質−4(IGFBP4)の分泌の増加を示す。図41は、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド13(BLC)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド23(CCL23)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド28(CCL28)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11(エオタキシン1)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド6(GCP−2)、FLT3LG(Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド)およびフラクタルカイン(CX3CL1)の分泌の増加を示す。図42は、アンジオテンシン(ANG)およびコロニー刺激因子2(CSF2)の分泌の増加を示す。
図43は、IL−2による刺激24時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド27(CCL27)およびTNFRSF1B(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー1B)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。
図44〜53は、IL−2による刺激48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図44は、インターロイキン9(IL9)、インターロイキン11(IL11)、インターロイキン12アルファ(IL12a)、インターロイキン12ベータ(IL12b)およびインターロイキン18結合タンパク質アルファ(IL18BPa)の分泌の増加を示す。図45は、インターロイキン1受容体I型(IL1R1)、インターロイキン1受容体II型(IL1R2)、インターロイキン1受容体IV型(IL1R4)、インターロイキン2受容体ベータ(IL−2Rb)、インターロイキン2受容体ガンマ(IL−2Rg)、インターロイキン5受容体アルファ(IL5Ra)、インターロイキン10受容体ベータ(IL10Rb)、インターロイキン18受容体ベータ(IL18Rb)およびインターロイキン21受容体(IL−21R)の分泌の増加を示す。図46は、線維芽細胞増殖因子4(FGF4)、FGF9、MSPアルファ/HGF様因子(HGF様)、インスリン様増殖因子1(IGF1)、IGF2、インスリン様増殖因子結合タンパク質−6(IGFBP6)、LAP(TGFベータファミリー)および血小板由来増殖因子Aアルファ(PDGFAA)の分泌の増加を示す。図47は、血小板由来増殖因子Aベータ(PDGFAB)、血小板由来増殖因子Bベータ(PDGFBB)、間質細胞由来因子−1アルファ(SDF1a)、シアル酸結合Ig様レクチン5(シグレック5)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGFa)、トランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGFb2)、血管内皮増殖因子(VEGF)および血管内皮増殖因子D(VEGFD)の分泌の増加を示す。図47は、DR6、Dtk、EGFR、エンドグリン、ErbB3、Fas、Fas LGおよびIGF1 srの分泌の増加も示す。図48は、レプチン(LEP)、レプチン受容体(LEPR)、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(MCSFR)、ニューロトロフィン4(NT4)、オステオプロテジェリン(OPG)、血小板由来増殖因子受容体アルファ(PDGFRa)、血小板由来増殖因子受容体ベータ(PDGFRb)およびプロラクチン(PRL)の分泌の増加を示す。図49は、幹細胞因子受容体(SCFR)、アンジオポエチン1受容体(TIE1)、アンジオポエチン1受容体(TIE2)、TNFスーパーファミリーメンバー10C(TNFSF10C)、TNFスーパーファミリーメンバー10D(TNFSF10D)、TNFスーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR)および血管内皮増殖因子受容体−2(VEGFR2)の分泌の増加を示す。図50は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、CCL3、CCL5、CCL8、CCL17、CCL20、CCL25、CXCケモカインリガンド5(CXCL5)、CXCL11およびCXCL16の分泌の増加を示す。図51は、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)、骨形成タンパク質5(BMP5)、BMP7、Eセレクチン(内皮細胞接着分子)、細胞間接着分子2(ICAM2)、ICAM3、Lセレクチン(リンパ球接着分子)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP1)の分泌の増加を示す。図52は、マトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP13)、MMP3、MMP9、血小板内皮細胞接着分子(PECAM1)、メタロプロテイナーゼ阻害剤TIMP1、TIMP2、TIMP4および血管上皮(VE)カドヘリン(カルシウム依存性細胞接着タンパク質)の分泌の増加を示す。図53は、単球分化抗原(CD14)、細胞分化抗原(CD80)、カルジオトロフィン−1(CT−1)、白血病阻害因子(LIF)、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)、トロンボポエチン(THPO)およびリンホタクチン(XCL1)の分泌の増加を示す。
図54は、IL−2による刺激48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、神経増殖因子受容体(NGFR)の分泌の増加を示す。図54は、IL−2刺激24時間後の、IL−2によるIL8およびTNFRSF1Aの分泌の増加も示す。NGFR、IL8およびTNFRSF1Aは、PRPに存在しないことが判明した。
図55〜57は、IL−2による刺激72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図55は、インターロイキン1受容体アルファ(IL1Ra)、インターロイキン6(IL6)およびインターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2(IL13Ra2)の分泌の増加を示す。図56は、線維芽細胞増殖因子6(FGF6)、血小板前駆細胞塩基性タンパク質(PPBP)、幹細胞因子(SCF)および血管内皮増殖因子受容体−3(VEGFR3)の分泌の増加を示す。図57は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド22(CCL22)、CCL23、CCL24、CCL26およびCXCケモカインリガンド10(CXCL10)の分泌の増加を示す。
図58は、IL−2による刺激72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSR−hADSCからの、アンジオテンシン(ANG)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、骨形成タンパク質4(BMP4)、コロニー刺激因子2(CSF2)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子7(FGF−7)、インターフェロンガンマ(IFNγ)、インスリン様増殖因子結合タンパク質−1(IGFBP1)およびIGFBP2の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
図59は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)24時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、線維芽細胞増殖因子6(FGF6)、CXCケモカインリガンド16(CXCL16)および間質細胞由来因子−1アルファ(SDF1a)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。
図60は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)24時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、脳由来神経栄養因子(BDNF)、Bリンパ球ケモカイン(CXCL13;BLC)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド1(CCL1)、Flt−3 LG(Fms関連チロシンキナーゼ3リガンド)、フラクタルカイン(T細胞ケモカインCX3CL1)、顆粒球走化性タンパク質2(GCP−2)/CXCL6、インターロイキン1アルファ(IL1a)、インターロイキン4(IL4)、IL15およびインターフェロンガンマ(IFNγ)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
図61〜70は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図61は、インターロイキン2ベータ(IL−2b)、IL3、IL5およびIL6の分泌の増加を示す。図62は、インターロイキン1受容体II型(IL1R2)、インターロイキン2受容体ガンマ(IL−2Rg)、インターロイキン5受容体アルファ(IL5Ra)、インターロイキン10受容体ベータ(IL10Rb)、インターロイキン18受容体結合タンパク質アルファ(IL18BPa)、インターロイキン18受容体ベータ(IL18Rb)およびインターロイキン21受容体(IL−21R)の分泌の増加を示す。図63は、インスリン様増殖因子1(IGF1)、IGF2、LAP(TGFベータファミリー)、レプチン(LEP)、レプチン受容体(LEPR)、血小板由来増殖因子Aアルファ(PDGFAA)、血小板由来増殖因子Aベータ(PDGFAB)および血小板由来増殖因子Bベータ(PDGFBB)の分泌の増加を示す。図64は、血小板由来増殖因子受容体アルファ(PDGFRa)、幹細胞因子(SCF)、幹細胞因子受容体(SCFR)、トランスフォーミング増殖因子ベータ1(TGF b1)、トランスフォーミング増殖因子ベータ2(TGFb2)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGFa)、血管内皮増殖因子受容体−2(VEGFR2)およびVEGFR3の分泌の増加を示す。図65は、細胞死受容体6(DR6;TNF受容体スーパーファミリーメンバー21)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニューロトロフィン3(NT3)、免疫グロブリン様およびEGF様ドメインを有するチロシンキナーゼ1(TIE1)、TIE2およびTNFスーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)の分泌の増加を示す。図66は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、CCL5、CCL8、CCL17、CCL18およびCCL23の分泌の増加を示す。図67は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド24(CCL24)、CCL25、CCL26、CCL27、CXCケモカインリガンド10(CXCL10)およびCXCL11の分泌の増加を示す。図68は、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)、骨形成タンパク質5(BMP5)、BMP7、Eセレクチン(内皮細胞接着分子)、細胞間接着分子1(ICAM1)、ICAM2、Lセレクチン(リンパ球接着分子)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP1)の分泌の増加を示す。図69は、マトリックスメタロプロテイナーゼ3(MMP3)、MMP9、MMP13、血小板内皮細胞接着分子(PECAM1)、メタロプロテイナーゼ阻害剤TIMP1、TIMP2およびTIMP4の分泌の増加を示す。図70は、単球分化抗原(CD14)、単球分化抗原(CD80)、カルジオトロフィン−1(CT−1)および白血病阻害因子(LIF)の分泌の増加を示す。
図71〜72は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。図71は、骨形成タンパク質4(BMP4)、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド11(CCL11)、CCL23、毛様体神経栄養因子(CNTF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子7(FGF7)、インスリン様増殖因子結合タンパク質−1(IGFBP1)、IGFBP2、IGFBP4および神経増殖因子受容体(NGFR)の分泌の増加を示す。図72は、インターロイキン7(IL7)、IL10、IL13およびIL16の分泌の増加を示す。
図73は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、プロベータセルリン(BTC)、インターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2(IL13Ra2)および間質細胞由来因子−1ベータ(SDF1b)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。
図74は、10%PRP単独とのインキュベーション(IL−2刺激なし)72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、肝細胞増殖因子(HGF)、インターロイキン8(IL8)およびTNFRSF1A(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー1A)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
図75は、IL−2による刺激24時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド23(CCL23)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、上皮増殖因子(EGF)、CCL11(エオタキシン1)、IL4および神経増殖因子受容体(NGFR)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
図75は、IL−2刺激24時間後の、CXCL16、HCC4、sgp130およびTNFRSF1Bの分泌の増加も示す。分泌レベルは、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。
図76〜86は、IL−2による刺激48時間後の、SEN−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図76は、インターロイキン1ベータ(IL1b)、IL3、IL5、IL6、IL9、IL10、IL12bおよびインターロイキン18結合タンパク質アルファ(IL18BPa)の分泌の増加を示す。図77は、インターロイキン1受容体アルファ(IL1Ra)、IL1R4、IL10Rb、IL18Rb、IL1R2、IL−21R、IL−2Rb、IL−2RgおよびIL5Raの分泌の増加を示す。図78は、線維芽細胞増殖因子6(FGF6)、インスリン様増殖因子IGF1およびIGF2、LAP(TGFベータファミリー)、ニューロトロフィン3(NT3)、血小板由来増殖因子Aアルファ(PDGFAA)、血小板由来増殖因子Aベータ(PDGFAB)ならびに血小板由来増殖因子受容体アルファ(PDGFRa)の分泌の増加を示す。図79は、幹細胞因子(SCF)、トランスフォーミング増殖因子2(TGF2)、TGFa、TGFb1、TGFb3、腫瘍壊死因子ベータ(TNFb)、血管内皮増殖因子受容体−2(VEGF R2)およびVEGF R3の分泌の増加を示す。図80は、DR6(TNF受容体スーパーファミリーメンバー21)、エンドグリン(ENG)、受容体チロシンタンパク質キナーゼerbB−3(ErbB3)、Fasリガンド(Fas LG)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、GITRリガンド(GITR LG)およびレプチン受容体(LEPR)の分泌の増加を示す。図81は、プロラクチン(PRL)、幹細胞因子受容体(SCFR)、シアル酸結合Ig様レクチン5(シグレック5)、アンジオポエチン1受容体(TIE1)およびアンジオポエチン1受容体(TIE2)の分泌の増加を示す。図82は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド8(CCL8)、CCL13、CCL15、CCL17、CCL18およびCCL20の分泌の増加を示す。図83は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド22(CCL22)、CCL24、CCL26、CXCケモカインリガンド9(CXCL9)およびCXCL11の分泌の増加を示す。図84は、アクチビンA(INHBA)、骨形成タンパク質5(BMP5)、Eセレクチン(内皮細胞接着分子)、細胞間接着分子1(ICAM1)、ICAM2、Lセレクチン(リンパ球接着分子)およびマクロファージコロニー刺激因子(MCSF)の分泌の増加を示す。図85は、マトリックスメタロプロテイナーゼ1(MMP1)、MMP13、MMP3、MMP9、血小板内皮細胞接着分子(PECAM1)およびメタロプロテイナーゼ阻害剤4(TIMP−4)の分泌の増加を示す。図86は、単球分化抗原(CD14)、リンホタクチン(XCL1)、カルジオトロフィン−1(CT−1)、白血病阻害因子(LIF)、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)および血小板前駆細胞塩基性タンパク質(PPBP)の分泌の増加を示す。
図87は、IL−2による刺激48時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、脳由来神経栄養因子(BDNF)、骨形成タンパク質4(BMP4)、線維芽細胞増殖因子7(FGF7)、インスリン様増殖因子結合タンパク質−2(IGFBP2)、IL−2、IL16およびインターフェロンガンマ(INFガンマ)の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
図88〜89は、IL−2による刺激72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、図の下に記すタンパク質(因子)の分泌の増加を示す。分泌レベルは、hADSC支持に使用される、10%PRP含有培地における基底レベルで存在する対応するタンパク質の量と比べて示される。図88は、アディポネクチン(Acrp30)、アグーチ関連タンパク質(AgRP)、ANGPT2(アンジオポエチン2)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、プロベータセルリン(BTC)、インターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2(IL13Ra2)、レプチン(LEP)、ニューロトロフィン4(NT4)および間質細胞由来因子−1アルファ(SDF1a)の分泌の増加を示す。図89は、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド2(CCL2)、CCL4、CCL5、CCL23、CCL25、CCL27、CXCケモカインリガンド10(CXCL10)、間質細胞由来因子−1ベータ(SDF1b)、メタロプロテイナーゼ阻害剤1(TIMP1)、TIMP2および腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14)の分泌の増加を示す。
図90は、IL−2による刺激72時間後の、本発明の因子産生ユニット中に維持されたSEN−hADSCからの、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)およびIL13の分泌の増加を示す。これらの因子は、PRPに存在しないことが判明した。
(実施例10)
マイクロRNAを使用した老化の誘導
SEN表現型は、老化関連のマイクロRNA(SA−miRNA)またはSA−miRNA模倣物の一定範囲の濃度(1pmから1000uM)のトランスフェクションによって達成することができる。
この実施例は、MIRG17HGおよびMIR100HGクラスターを起源とするSA−miRNAが、老化を誘導するために遺伝子標的を協調的に調節することができることを示す。SR−ADSCへのSA−miRNAの一時的送達は、SEN表現型を誘導するのに十分である。MIR100HGまたはMIR17HGクラスターからのSA−miRNAのmiRNA模倣物の別々の送達は、SA−βgalによって検出されるようなSEN表現型をもたらさない(図108、パネルA)。両クラスターからのSA−miRNAをSR−hADSCにトランスフェクトさせたとき、細胞の約40%は老化関連のβ−ガラクトシダーゼ(SA−βgal)の発現によって区別されるようになった。FITC標識ランダムRNAは、これらの実験の全てにおいて、50から60%の範囲内のトランスフェクション効率のための対照として使用された(図108、パネルB)。SEN表現型は、一定範囲の濃度(SA−miRNA模倣物と組み合わせた5pMまたは10pM)によって達成された。
細胞培養
トランスフェクションの1日前に、4ウェルスライドの上にSR−hADSCを細胞約1×104個/ウェルの密度で播種する。トランスフェクションは、Fugene6(Promega)などのトランスフェクション試薬を使用して、5pmolまたは10pmolの1つまたは複数の老化関連のマイクロRNA模倣物で実行する。
RT−PCR
TRIzol試薬(商標)(Life Technologies)を製造業者の説明書に従って使用して、細胞から全細胞性RNAを抽出した。マイクロRNAをmirPremierマイクロRNA単離キット(Sigma−Aldrich)を使用して単離し、RNAおよびマイクロRNAをNanoDrop ND−2000分光計(Thermo Scientific)で数量化した。スーパースクリプトIII逆転写酵素(Life Technologies)を使用して精製されたRNAおよびオリゴ(dT)プライマーを加えることによって、cDNAを合成した。プライマーはprimer3ソフトウェアによって設計し、表S1に示す。miRNA cDNA合成のために、MysticマイクロRNA cDNA合成ミックスキット(Sigma−Aldrich)を使用した。全てのマイクロRNAアッセイプライマーは、Sigma−Aldrichから購入した。
リアルタイム定量的PCR
候補遺伝子のためのmRNAおよびマイクロRNA発現の数量化は、LightCycler(登録商標)480リアルタイムPCRシステム(Roche)を使用して、リアルタイム定量的PCR(qRT−PCR)によって実行した。高能力スーパースクリプトIII逆転写酵素(Life Technologies)およびMysticマイクロRNA cDNA合成ミックスキット(Sigma−Aldrich)をそれぞれ使用して、全RNAおよびマイクロRNAを逆転写した。プライマーはprimer3ソフトウェアによって設計し、配列は下の表5に提供する。全てのマイクロRNAアッセイプライマーは、Sigma−Aldrichから購入した。qRT−PCR反応は、MicroAmp光学式96ウェルリアクションプレートでのパワーSYBR(登録商標)グリーンPCRマスターミックスおよびmysticマイクロRNA SYBRグリーンqPCR ReadyMixで実行した。全RNAのPCR増幅は、以下のプログラムを使用して、LightCycler(登録商標)480リアルタイムPCRシステム(Roche)で実行した:サイクル1、95℃で10分間。サイクル2、95℃で15秒間、60℃で60秒間を40サイクル。CT値は、自動的に得た。RNAの相対発現値は、CT方法を使用して、内在性対照(ベータ−アクチン)のCT値と比較してmRNA遺伝子のCT値を正規化することにより得た。マイクロRNAのPCR増幅は、以下のプログラムを使用して、LightCycler(登録商標)480リアルタイムPCRシステム(Roche)で実行した:サイクル1、95℃で2分間。サイクル2、95℃で5秒間、60℃で30秒間を40サイクル。マイクロRNAの相対発現値は、CT方法を使用して、内在性対照(U6)のCT値と比較してマイクロRNA遺伝子のCT値を正規化することにより得た。
結果
老化を誘導するために使用することができるSA−miRNA模倣物には、mir−17−5p、mir−18a−5p、mir−19a−3p、mir−20a−5pおよびmir−92a1−5p、mir−125b1−5p、mir−1let7a−2−3pおよびmir−100−5pが含まれる(この実施例では、SA−miRNA模倣物のセットと呼ばれる)。
図108は、腫瘍形成性MIR17HGおよび腫瘍(tumori)抑制性MIR100HGクラスターからの老化関連miRNAが、hADSC SEN表現型を確立する働きをすることを図示する。パネルAは、MIR17HG(mir−17−5p、mir−18a−5p、mir−19a−3p、mir−20a−5pおよびmir−92a1−5p)もしくはMIR100HG(mir−125b1−5p、mir−1let7a−2−3p、mir−100−5p)クラスターからの別々のSA−miRNAの模倣物の一時的トランスフェクションの後に、またはSR hADSCでの両クラスターからのSA−miRNA模倣物のセットによる同時トランスフェクションの後にカウントされた細胞の全量の間での、SA−β−Gal陽性細胞の百分率を示す。実験手順に記載したように、トランスフェクション効率について調整するために、SA−miRNA模倣物をFITC標識対照と共にトランスフェクトした。各組合せのトランスフェクション効率は(B)に示し、蛍光顕微鏡下でカウントした細胞の全量(n)の間の緑色の細胞の百分率で表される。
図109は、SA−β−Gal陽性、および5pMまたは10pMのSA−miRNAの模倣物によるSR−hADSCへのトランスフェクションの後のSEN−hADSCへのSR−hADSCの変換を表す視野を図示する。
これらの条件下で誘導されるSEN表現型は、少数の選択された遺伝子の下方調節によって実証される複製老化と類似する(図110〜112)。SA−miRNA模倣物の完全セットをトランスフェクトしたSR−hADSCでは、SA−miRNA標的遺伝子、例えばSUZ12、NAP1L1、SMARCD2、SAP18、IGF2BP3、CHD2、およびCHD4(図110および図113)、ならびに、SA−miRNAの標的ではないが、それにもかかわらず、複製老化の後に下方調節されることが示されたいくつかの遺伝子、例えばSMARCA1、CHD8、HDAC3、HDAC5およびHDAC9(図111および図113)に相当する濃縮された機能的ネットワークからの内在性mRNAの下方調節が観察された。
図110は、遺伝子転写に及ぼすSA−miRNAの直接的影響を実証する。SA−miRNA標的遺伝子の発現は、SR−hADSC(SR、明色のバー)およびSA−miRNA模倣物のセットを一時的にトランスフェクトしたSR−hADSC(SR+miRNA、暗色のバー)でのqPCR分析によって測定した。
図111は、遺伝子転写に及ぼすSA−RNAの間接的影響を実証する。SEN−hADSCで下方調節されると以前に示されたが、SA−miRNA標的と識別されなかった遺伝子の発現は、SR−hADSC(SR、明色のバー)およびSA−miRNA模倣物のセットを一時的にトランスフェクトしたSR−hADSC(SR+miRNA、暗色のバー)でのqPCR分析によって測定した。トランスフェクションの48時間後に、細胞からRNAを単離した。試料は、β−アクチンに対して正規化した。平均発現レベル±SEM(n=3)は、変化倍率(ΔΔCτ)で示す。統計的差を評価し、***はp<0.001、**はp<0.01、*はp<0.05であった。
図112は、SA−miRNAをトランスフェクトしたSR−hADSC(明色のバー)およびSEN−hADSC(暗色のバー)での平均の正規化タンパク質発現レベル±SEM(n=3)を示す。結果は、SA−miRNAの直接的および間接的標的遺伝子について示す。統計的差はスチューデントのt検定によって評価し、***はp<0.001、**はp<0.01、*はp<0.05であった。
図113は、複製老化でのSA−miRNAの標的である新規遺伝子ならびにそれらの機能的関係および濃縮を図示する。上記のネットワークベースのアプローチを使用して、遺伝子の4つの機能的カテゴリーをそれらの関係および機能の濃縮について評価した。ネットワークノードは遺伝子を表し、それらの機能的カテゴリーに基づいて分類される。遺伝子ノードは、標的化miRNAに関して標識する。端は、STRINGデータベースからの注釈をつけたタンパク質関係を表す。黒べたの端はサブネットワーク最小スパニングツリー(すなわち、Steinerツリー)の接続を表し、暗灰色の破線の端は追加のサブネットワーク接続を示し、薄灰色破線の端は機能特異的サブネットワーク間の接続を表す。P値は、各機能特異的サブネットワークが、その特定の機能的カテゴリーからの遺伝子が濃縮される程度を示す。Steinerノードは、灰色で示す。SA−miRNAの標的でない下方調節された遺伝子は、それらの機能的カテゴリーに基づいて示す。
(実施例11)
Treg細胞の産生を増加させるためのヒトPBMCの因子依存的免疫促進
発明者らは、ここで(図98で)、本発明の例示的な因子産生ユニットでSR MSC+IL−2によって産生される因子がTreg細胞の産生をモジュレートする能力を有することを示す。Treg細胞は、ここでは、CD4+CD25+FoxP3+(フォークヘッドボックスP3(FoxP3)+発現)およびCD4+CD25−FoxP3+によって規定される。転写因子FoxP3を発現するCD4+調節性T細胞(Treg細胞)は高度に免疫抑制性であり、自己寛容および免疫ホメオスタシスの維持において中心的役割を果たす。
Tregの分化および産生に影響することができる因子の産生のための材料および方法は、下に記載されている。
hADSCの単離、培養および特徴付け
この実施例で使用したMSCは、UCSD医療センター、San Diego、CA、でルーチンの脂肪吸引手技を受けた38歳、45歳および49歳の健康な成人女性ドナーから得られたヒト脂肪組織から単離した。MSC単離プロトコールは現地の倫理委員会の承認を得、前述の通りに実行した(Wangら、Cell Cycle、2011年)。単離した脂肪由来幹細胞株は、DMEM/F12培地(Life Technologies)で成長させた。International Society for Cellular Therapyによって設定されたMSC最小定義基準(Dominiciら、2006年、Cytotherapy8巻:315〜317頁)により、フローサイトメトリー分析は、hADSCがCD29、CD73、CD90およびCD105を発現するが、CD11b、CD14、CD19、CD34、CD45、CD80、CD86(eBiosciense、USAからの抗体)を発現しないことを示した。形態学的分析は、細胞が線維芽細胞様形態を示し、プラスチック粘着性であり、市販の分化培地(Invitrogen、USA)を使用したin vitro条件下で脂肪生成、軟骨形成および骨形成分化が可能なことを示した。累積集団倍加(PD)は、記載のように(Wangら、Cell Cycle、2011年;Niuら、2015年、Oncotarget)培養での成長日数の関数としての複数の継代にわたるPD=log(N/N0)×3.33として計算し、ここで、N0はフラスコに平板培養した細胞の数であり、Nはこの継代で回収された細胞の数である。SR集団のためのhADSC PD4またはPD6。
遺伝毒性物質を使用した老化の誘導
遺伝毒性老化を誘導するために、細胞を遺伝毒性物質、ブレオマイシン(Cayman chemical)抗がん化学療法薬で処置した。患者のhADSCを接種した因子産生ユニット(3−D ECMを模倣するポリカプロラクトン(PCL)マトリックス/ファイバーから作製された3−D足場を含有する)を、10%PRP含有StemPro MSC SFM xeno不含培地中の50ug/mlのブレオマイシンにより、37℃で2時間処置した(Niuら、Oncotarget、2015年)。遺伝毒性曝露の後、因子産生ユニットをPBS−cmfで2回洗浄し、新鮮な培地と交換した。完全な遺伝毒性誘導老化を達成するために因子産生ユニットを5日間維持し、その後、SEN細胞を有する因子産生ユニットは未処置のまま放置したか(SEN)、または下記のように20U/mlのIL−2で24時間処置した(SEN+IL−2)。pH依存性の老化関連β−ガラクトシダーゼ活性(SA−βGal)の発現をモニタリングするためのアッセイを、製造業者のキット(BioVision)に記載されているように、および(Wangら、2011年、Cell Cycle10巻:3016〜3030頁)で以前に公開されているように実行した。培養したhADSCをPBSで室温で15分間洗浄し、37℃で一晩X−Gal含有補助剤で染色した。細胞をPBSで2回洗浄し、顕微鏡(Nikons、TE300、DXM1200デジタルカメラ、Japan)を使用して画像を捕捉した。
IL−2刺激/処置
組換えIL−2(Peprotech、USA)による刺激を、記載されているように実行した(Deenickら、2003年、J Immunol170巻:4963〜4972頁;Niuら、2015年、Oncotarget)。20U/mlのIL−2を37℃で24時間、培養培地に加えた。IL−2処置のために、hADSCを含有する因子産生ユニットを、StemPro MSC SFM xeno不含培地中の10%PRPにおいて20U/mlのIL−2(Peprotech)により37℃で24時間処置した。PBS−cmfの2回の洗浄により処置後にIL−2を除去し、細胞をStemPro MSC SFM xeno不含培地中の10%PRP中のPBMCと共培養した。
免疫調節のためのPBMCとの共培養
4つの因子産生ユニットに4つの条件のために細胞を接種し、図2Cに示す:未処置のSR−hADSC、未処置の遺伝毒性誘導SEN−hADSC、Il−2で処置したSR−hADSC、およびIL−2で処置したSEN−hADSC。PBMC集団でTreg産生を誘導するために、細胞によって産生された因子を使用した。各条件のために、50,000個のhADSCを500,000個の生存能力のある正常な末梢血単核細胞(PBMC)と72時間共培養した。1人の健康な32歳の男性ドナーからのPBMCを、AllCells、Alameda、CA、から購入した。各実験のために新鮮なバイアルを解凍し、トリパンブルーでの染色の後にBiorad TC20細胞カウンターを使用して生存度および細胞数を実行した。対照は、PBMC単独で実行した(図2C)。24時間または72時間の時点でトリプシン処理によって細胞を収集し、図97および図99で説明されているように製造業者の推奨に従って、FoxP3 Alexa Fluor647、PEマウス抗ヒトCD25、FITCマウス抗ヒトCD4、アイソタイプFITC−マウスIgG1、アイソタイプPE−マウスIgG1、アイソタイプAlexa647−マウスIgG1kを含有する抗ヒトFoxP3染色キット(BD Biosciences)を使用して、Tregを染色した。
FACSデータ分析戦略−Treg産生の分析
24時間または72時間の時点でトリプシン処理によって細胞を収集し、製造業者の推奨に従って、FoxP3 Alexa Fluor647、PEマウス抗ヒトCD25、FITCマウス抗ヒトCD4、アイソタイプFITC−マウスIgG1、アイソタイプPE−マウスIgG1、アイソタイプAlexa647−マウスIgG1kを含有する抗ヒトFoxP3染色キット(BD Biosciences)でTregを染色した。簡潔には、非特異的受容体結合をブロックするために、細胞を染色緩衝液(BD Biosciences、CA)で1:50に希釈したヒトFc−受容体ブロック(BD Biosciences)と氷上で10分間インキュベートした。CD4(FITC)またはCD25(PE)または両方に対する各表面抗体およびアイソタイプをマッチさせた対照抗体の20ulと30分間、細胞を暗所の氷上でインキュベートした。次に1mlの染色緩衝液で細胞を洗浄し、FoxP3染色キット(BD Biosciences)で供給された固定緩衝液により暗所の4℃で10分間固定した。透過化緩衝液(BD Biosciences)を使用して細胞を室温で30分間透過化処理し、次に1mlの染色緩衝液で洗浄した。洗浄の後、暗所の室温で30分間、細胞を20ulのFoxP3−Alexa Fluor647抗体とインキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、PBMCを洗浄して500ulの固定剤緩衝液に再懸濁させ、FACS Canto IIフローサイトメーター(BD Biosciences)でフローサイトメトリーを実行した。
データは、UCSFコア施設においてFACS Canto IIフローサイトメーター(BD Biosciences)で収集した。補償のために、Onecomp ebeads(eBioscience)を製造プロトコールに従って使用した。簡潔には、1滴のビーズを別個のチューブに加え、単一の抗体をPBMCのために使用された濃度で各チューブに加えた。試料を4℃で15分間インキュベートし、次に2mlの染色緩衝液で洗浄し、染色緩衝液に再懸濁させ、PBMC染色のために使用したPE、FITCおよびAlexa−647蛍光色素のための最適な蛍光検出器(PMT)電圧をセットアップするために使用した。
Tregのための分析は、FlowJoソフトウェア(Tree Star Inc)を使用して、図97BにおいてFACS分析ゲーティング戦略で概説される通りに実行した。リンパ球は、全PBMC集団からの前方および側方散乱にゲーティングした。次に、CD25−PE T細胞:CD4+CD25+ T細胞またはCD4+CD25− T細胞を識別するために、CD4−FITC集団を発現するリンパ球集団をゲーティングした。FoxP3タンパク質を発現する集団は、Tregとして識別した(図97に示す)。Treg集団は、CD4+CD25−FoxP3+および三重陽性のCD4+CD25+FoxP3+リンパ球と規定することができる。
図98は、本発明の例示的な因子産生ユニットで産生される因子がTregの産生に影響することを図示する。この図は、試験した条件の中で、IL−2による刺激(24時間)の72時間後にSR hADSCから収集された因子が、Tregの産生の増加に最適だったことを示す。
図99は、FACS分析からの代表的データを示す。プロットの中の数字は、マーカーを発現する集団中の細胞の数を表す。表は、パネルA〜Dでマーカーを発現する細胞の数の要約を提供する。このゲーティングでは、リンパ球は光散乱プロット分布(SSC−A対FSC−A)に基づいてゲーティングした(A)。パネルAからのリンパ球集団は、結合したCD4 FITCに基づいてCD4+リンパ球についてさらに分析し、ヒストグラムプロットとして示す(B)。次にCD25発現(D)についてCD4+リンパ球を逐次的に分析し、その後、陽性Alexa−Fluor647抗FoxP3抗体結合に基づいてFoxp3を発現するTregを分析した。パネルE〜Hは、2つのマーカーの発現についてのリンパ球のドットプロットを示す。CD4+リンパ球はx軸に示し、CD25発現はy軸に示す(E)。CD4+CD25+リンパ球は、Q2にある。CD25+またはCD25陰性を発現するFoxp3+陽性T−Regを表す(パネルFおよびG)。全CD4+CD25+FoxP3+ Tregは、パネルHにプロットする。
前述のことから、本発明の具体的な変形形態が例示のために本明細書に記載されているが、本発明の精神および範囲からそれることなく様々な改変を加えることができることが理解される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。