本発明は、医薬品有効成分(Active Pharmaceutical Ingredients [APIs])、賦形剤(excipients)、またはAPIsと賦形剤との組み合わせ(例えば共結晶やアモルファス固体分散体)の設計への連続するアプローチを開示している。本発明は、制御された沈殿(precipitation)を使用して、溶媒(solvent)とアンチソルベント流(anti-solvent streams)との間の分子の接触及び/または反応を促進する。さらに、本発明はろ過ユニットと噴霧乾燥機との組み合わせを用いた連続分離方法を開示する。ろ過システムは固形物濃度(solid concentration)を増加させ、その結果としてこの方法の生産性を増加させるように設計されており、このため本発明は大規模生産に応用可能である。本発明は、アモルファスまたは結晶形で、マイクロ及び/またはナノ範囲の粒径の、単一成分または多成分の粒子(例えば共結晶及びアモルファス固体分散体)を製造する方法の技術分野に属する。
最新の製薬のパイプライン(pipeline)には、悪い物理化学特性(poor physicochemical properties)を呈する新たな分子が高密度で取り込まれている。これは典型的には溶解性の問題につながる。難溶性(poor solubility)は、主として生物学的利用能(bioavailability)を限定するとの理由で、経口薬剤送達の分野における主要な関心事の一つである。径の低減により粒子の表面積を増加させることで溶解速度を向上できることは、当業者には知られている。
ほとんどの粒径低減方法はトップダウンアプローチ(top-down approach)に依存しており、大径の粒子が機械加工される。このような方法における粒子径の低減は衝突によるもので、これは不純物を導入することがあり、また粒子形態(particle morphology)の制御についての柔軟性を限定する。最新技術は、ジェット粉砕(jet milling)、微小流動化(microfluidization)、高せん断混合(high shear mixing)及びボールミル法等の粒径を低減するいくつかの技法を含む。湿式法の場合には、懸濁液及び加工粒子は次に、粉末を得るための既知の方法を利用して、乾燥される。
国際公開第2011/131947号は、目的の粒径が続く複数工程のアプローチにより達成される「トップダウン」アプローチを開示する。まずAPIはそれが不溶性の溶媒に懸濁され、次にAPI粒子の径がキャビテーションにより低減され、続いて、好ましくは、噴霧乾燥により粒子が乾燥されて、乾燥粉末として生産物が得られる(この方法は発明者により湿式研磨(Wet Polishing)と称される)。
トップダウン技法の分野においては、最先端は膜を使用し、その後に噴霧乾燥が続くいくつかの例を含む。国際公開第2013/144554号は、低減した粒子径分布を有する粒子を製造するための方法を開示している。開示した方法は、API、薬剤中間生成物、賦形剤または薬剤製品の粒子の懸濁物を、粒径減退工程又は粒径拡大工程で処理し、前記粒子を膜分離装置に送り込んで、前記粒子を径に応じて分離する。径の基準を充足しない粒子(透過流[permeate stream])は全て、粒径減退工程又は粒径拡大工程に再循環される。径の基準を満足する粒子(ろ過流)は噴霧乾燥により単離されてもよい。
しかしながら、サブミクロンサイズまでのAPI粒子の粉砕は、トップダウン法では究極の課題(challenging)である。これらの方法は時間とエネルギーを多消費し、その結果としてアモルファスAPI領域を作りやすく、結晶形及びAPI安定性の制御を困難なものとする。
別の粒径低減方法はボトムアップアプローチ(bottom-up approaches)を含んでおり、粒子の性質(粒径、密度、形態、多形相、結晶化度等)の制御は、溶液中の成分についての出発時の分子レベルにより実行される。一つの例は液体アンチソルベント沈殿であり、結晶化及び/または沈殿によって粒子の形成が可能な、適当な溶媒/アンチソルベントシステムが使用される。液体アンチソルベント沈殿は、APIのみの粒子、共結晶またはアモルファス固体分散体の生産において使用されてきた。
最先端は、医薬化合物又は中間体のために液体アンチソルベント沈殿を制御するいくつかの方法を含む。Chan et al. (Advanced Drug Delivery Reviews, 2011, 63, 406-416), D’Addio et al. (Advanced Drug Delivery Reviews, 2011, 63, 417-426) とThorat et al. (Chemical Engineering Journal, 2012, 181-182, 1-34) は、過飽和及び沈殿を制御するための、拘束液体衝突ジェット(confined liquid impinging jet)、多インレットボルテックスミキサー(multi-inlet vortex mixers)、超臨界流体技術(supercritical fluid texhnologies)、超音波、またはスタティックミキサーの使用を開示する。しかしながら、これらの技法のいくつかは、大規模生産に関連するスケールアップの課題(scale-up challenges)を導入する。液体アンチソルベント沈殿において使用された溶媒を除去する次工程(downstream processes)のいくつかも、これら論文の著者により論じられており、これらは噴霧乾燥、凍結乾燥またはろ過のような工程である。例えばThorat et al.は、大規模生産における溶媒の除去が課題であることを報告している。これは主として、大量のアンチソルベントが必要であることによる。
Zhang et al. (International Journal of Pharmaceutics, 2011, 63, 106-113) は、液体アンチソルベント沈殿及び噴霧乾燥の工程によるアモルファスアトルバスタチンカルシウム(atorvastatin calcium)の生成について報告している。上述の方法はアトルバスタチンカルシウムを含むメタノール溶液の沈殿を含み、続いて微粒子不純物を除去するためにろ過される。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropylmethylcellulose)は水に溶かされて、アンチソルベントとして利用される。溶媒流及びアンチソルベント流の両方を撹拌混合して懸濁物を生成し、続いて室内噴霧乾燥機(laboratory spray dryer)に送り込まれる。またShah et al. (International Journal of Pharmaceutics, 2012, 438, 53-60)は、噴霧乾燥や熱溶融押出のような従来のアプローチでは処理することができない難溶性化合物(poorly soluble compounds)のアモルファス固体分散体を製造する類似の方法を開示する。報告された方法では、APIとイオン性ポリマーの溶液の沈殿を含み、続いて水性媒体中に入れて共沈させる。溶媒は洗浄により抽出し、共沈(co-precipitation)はろ過により単離し、続いて強制空気オーブン(forced air oven)または流動層乾燥機(fluid bed dryer)の中で乾燥する。Wang et al. (International Journal of Pharmaceutics, 2013, 450, 311-322)は、連続撹拌の下でのAPI及びコフォーマー(co-former)を含む溶液のアンチソルベント添加によるカルバマゼピン-サッカリン(carbamazepine-saccharin)共結晶の生成について報告している。生成物を単離するために、溶液はろ過され乾燥される。前述の方法はアモルファス及び結晶形の多成分粒子を製造し単離するのに適している一方、溶媒及びアンチソルベントの混合の制御が欠如しているために限定され、従って粒子の成長及び粒径の制御も欠如している。さらに、懸濁物(suspension)の全ろ過(full filtration)はケークを作って粒子凝集を促進し、塊(lump)の生成につながることが当業者には知られている。従って、懸濁物の全ろ過を含む方法には問題がある。
本発明は、沈殿を制御できるようにマイクロ反応(microreaction)技術を使用する新規な連続製造方法を提供する。この技術の利点には、2以上の流体を均質且つ迅速な混合を達成する能力を含む。これにより粒子の性質(例えば粒径、密度、形態、多形相、結晶化度等)の制御が可能になる。
マイクロ反応技術の分野において、最新技術は粒子工学(particle engineering)に関連するいくつかの例を含んでいる。米国公開第2009/0269250号は、画定された反応チャンバ内における分子の接触及び相互作用を促進する装置を開示する。発明者はこの方法でサブミクロンの範囲の粒径を有するノルフロキサシン(norfloxacin)のナノ懸濁物を製造することができた。米国公開第2009/0269250号の装置においては、マイクロ反応チャンバに供給してナノ懸濁物を生成するために、溶媒とアンチソルベントとは制御された速度で個別に増圧ポンプ(intensifier pump)に送り込まれる。この方法と関連する課題の一つは、沈殿が完了した後で、溶媒とアンチソルベントとの間の割合が設定されると、固形物濃度は低くなって、結果的に分離処理に費用がかかるという事実である。さらに、国際公開第2016/016665号は、マイクロ反応技術を利用して溶媒制御した沈殿によってアモルファスナノ粒子を製造するボトムアップアプローチを開示している。このアプローチも沈殿後に低い固形物濃度という結果を生じる。
懸濁物中の粒子を安定させる典型的な方法は、懸濁物への界面活性剤の添加を含む。しかしながら、界面活性剤が製品の品質に影響を及ぼすことがあるので、このようなアプローチは常に効果的でも推奨されるものでもない。本発明は、そのすぐ後に粒子の単離が続く、新規な形状(configuration)の利用、時効(aging)の最短化、粒子の連続生産の目標設定(targeting)により、界面活性剤の添加に関連する障害を回避することを目的とする。本発明は、アモルファス材料の中間物安定性(intermediate stability)に伴う課題を克服し、また生成された材料を安定化するために使用される大量の賦形剤の必要性を軽減する連続分離アプローチを説明する。
国際公開第2011/131947号
国際公開第2013/144554号
米国公開第2009/0269250号
国際公開第2016/016665号
本発明は、従来技術に関係する課題を処理する新たなアプローチを提供するものであり、
i)沈殿または共沈により製造された材料の単離の間に分離する新たなアプローチを提供し、
ii)粒子の特性のより良い制御を可能にし、
iii)処方中の界面活性剤の使用を削減し、
iv)マイクロ及び/またはナノの範囲の粒径を有するAPIのみの粒子、賦形剤粒子またはAPIと賦形剤の組み合わせを含む粒子(例えば共結晶またはアモルファス固体分散体)の連続生産を援助し、及び
v)大規模生産まで実現可能である。
本発明の一つの側面によると、単一成分及び/または多成分の粒子を連続的に製造する製造方法であって、
少なくとも1種の成分と少なくとも1種の溶媒(solvent)を含む第1の溶液と、第1の溶液中に含まれる少なくとも1種の成分についての少なくとも1種のアンチソルベントを含む第2の溶液を調製し、
前記第1の溶液と前記第2の溶液とを微小流動化またはマイクロ反応によって混合して沈殿または共沈による懸濁物を生成し、
前記懸濁物をろ過システムに送り込んで濃縮流(concentrate stream)を得て、
前記濃縮流を噴霧乾燥機に送り込み、
少なくとも1つのアトマイズノズル(atomization nozzle)を用いて前記濃縮流をアトマイズし(atomizing)、
前記飛沫アトマイズされた(droplets atomized)濃縮流を乾燥し粒子を得て、さらに
粒子を収集する、工程を含む製造方法を提供する。
発明の他の側面は、本発明の方法により得られる単一成分粒子(single component particles)、多成分粒子(multi-component particles)、微粒子アモルファス固体分散体(particulate amorphous solid dispersions)及び微粒子共結晶(particulate co-crystals)、及び前記単一成分粒子、多成分粒子、微粒子アモルファス固体分散体及び微粒子共結晶を含む医薬組成物(pharmaceutical compositions)に関する。
本発明の方法の一つの実施の形態の図である。
XRPDパターン及びA)カルバマゼピン−サッカリン共結晶、B)サッカリン、C)カルバマゼピンの正規化強度(I)を示す図である。
本発明の方法の一つの実施の形態により生成されたカルバマゼピン−サッカリン共結晶粒子のSEM画像を示す図である。
生成された懸濁物をろ過システムへ送り込むポンプを含む本発明の方法の一つの実施の形態の図である。
本発明の方法の一つの実施の形態により生成したプロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)粒子(連続A−A)、噴霧乾燥が続く共沈バッチ処理により生成したプロピオン酸フルチカゾン粒子(バッチB−B)、及び噴霧乾燥が続く共沈バッチ処理により生成し、界面活性剤で安定化したプロピオン酸フルチカゾン粒子(バッチC−C)のSEM画像を示す図である。
生成された懸濁物をろ過システムと再循環流へ送り込むポンプを含む本発明の方法の一つの実施の形態の図である。
本発明の方法の一つの実施の形態により生成したプロピオン酸フルチカゾン粒子のSEM画像を示す図である。
マイクロ及び/またはナノの範囲の粒径の粒子を製造する先行技術の方法が、液体アンチソルベント沈殿と噴霧乾燥との組み合わせを既に有しているものの(上述のZhang et al.参照)、これらの方法の2つの工程はバッチ処理として操作されている。同じ規模におけるスループットの格差のために、連続処理の形式での液体アンチソルベント沈殿と噴霧乾燥との組み合わせは複雑である。例えば研究室規模(laboratory scale)では、液体アンチソルベント沈殿に使用されているマイクロ反応器は20−30kg/hのスループットを有するが、噴霧乾燥機は約1kg/hのスループットしかない。
加えて、液体アンチソルベント沈殿から噴霧乾燥機へ直接連続させるとサイクロン効率(cyclone efficiency)が低下し、その結果として製造工程(process yield)の歩留まりも低下する。これは、液体アンチソルベント沈殿から生じた懸濁液中の固形分が低いことによる、サイクロンのインレットにおける低固形負荷(low solid loading)のためである。本発明の発明者は、ろ過システムに懸濁物を送り込むことで、噴霧乾燥機に濃縮流を送り込む前に濃縮流を得るようにすることにより、この問題を克服する。しかしながら、マイクロ及び/またはナノの範囲の粒径を有する粒子を製造するための方法に付加的な工程を追加することは直観に反している。付加的な工程の追加は滞留時間を増加させ、これが粒径の増大を予期させるからである。
従って本発明の発明者は、本発明の連続方式に到達して技術的課題を克服しなければならなかったのである。
先行技術の方法に比較して、本発明の利点としては、
条件(例えば混合エネルギー、溶媒/アンチソルベントの割合)は、所望の粒子の性質(例えば粒径、密度、形態、多形相、結晶化度等)を達成するために操作することができる。特に、沈殿工程の条件は、形成される生成物及び収集される粒子の性質を決定するのに役立つ。
得られた懸濁粒子は、例えばAPIのみの粒子または共結晶の場合は、一貫して結晶固体状態であり、また例えばアモルファス固体分散体の場合は、一貫してアモルファス固体状態である。
得られた粒子の粒径はマイクロ及び/またはナノの範囲内であり、固体の状態の変化につながり得るシーケンシャル処理(例えば粉砕)を回避することができる。
この方法は固体の割合を向上させる濃縮を含み、単離の際の費用及びエネルギーを縮減することができる。
粒子の単離は噴霧乾燥により実行され、従って粒子の性質の変化の防止に役立つ。
粒子の形状及び形態(shape and morphology)は、使用した温度プロファイルのような乾燥処理パラメータを通じても制御可能である。
マイクロ及び/またはナノの範囲内での粒径の制御は、界面活性剤やポリマーを不使用または限定使用でも達成可能である。
この方法は微粒子状の生成物を得るのに適している。
この方法は連続的に実行される。
この方法は容易に大規模に実現可能である。
用語「アモルファス固体分散体」は、アモルファス状態の、母材(matrix)中の少なくとも1種のAPIの分散体、と定義される。母材は、結晶またはアモルファスのポリマー、界面活性剤またはこれらの組み合わせを含む。
用語「APIのみ」は、賦形剤がなくて、少なくとも1種のAPIが含まれる粒子、と定義される。APIのみの粒子は、結晶やアモルファスの形態でもよい。
用語「共結晶」は、化学量論比(stoichiometric ratio)で結合した、一つは有効API(active API)でその他はコフォーマー(coformer)の少なくとも2種の分子の多成分結晶(multicomponent crystal)であって、2種の分子は水素結合、ファンデルワールス力またはπスタッキングにより結合しているもの、と定義される。コフォーマーは、他のAPIまたは医薬用賦形剤、ビタミンもしくはアミノ酸でもよい。
用語「共結晶純度」は、変換割合の測定値(measure of the conversion percentage)と定義され、100%未満の変換割合とは、他の試薬(例えばAPI及び/または賦形剤)や他の形態(例えばアモルファス形態)が不純物として最終製品中に存在することを意味する。例えば75%の共結晶純度は、形成された多成分粒子の75%が前段落で述べた所望の多成分結晶を含み、形成された多成分粒子の25%がAPI、賦形剤またはアモルファス形態のような不純物の形の不純物を含む、ということを意味する。好適な実施の形態においては、溶媒及びアンチソルベントは、例えばAPI、及び該当する場合には、その賦形剤または対象の賦形剤(the excipient or exipients of interest)である、成分の溶解度に従って選択される。
本発明による用語「溶媒」は、その中で成分、例えばAPI、及び該当する場合にはその賦形剤または対象の賦形剤が溶解する溶媒または溶媒の混合物である。
本発明による用語「アンチソルベント」は、その中で成分、例えばAPI、及び該当する場合にはその賦形剤または対象の賦形剤が、「溶媒」と比較して相当に低い溶解度を示す溶媒または溶媒の混合物である。好ましくは、API、及び該当する場合にはの賦形剤または対象の賦形剤は、「アンチソルベント」中に実質的に不溶、または不溶である。「アンチソルベント」溶液には、水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)、塩酸(hydrochloric acid)、トリスバッファ(tris buffer)またはクエン酸塩(citrate)、酢酸塩(acetate)、乳酸塩(lactate)、メグルミン(meglumine)等のようなpH調整剤(pH adjusting agent)を添加するのが望ましい。また、そのアンチソルベント混合物(anti-solvent mixture)の温度を調整するのが望ましい。
溶媒とアンチソルベントという観点からは、用語「溶解性(soluble)」は、1部の溶質(solute)を溶解するのに10から30部の溶媒を要することを意味し、用語「相当に低い溶解度(substantially lower solubility)」は1部の溶質を溶解するのに100から1000部の溶媒を要することを意味し、用語「実質的に不溶」は1部の溶質を溶解するのに1000から10000部の溶媒を要することを意味し、そして用語「不溶」は1部の溶質を溶解するのに10000部を超える溶媒を要することを意味する。なお、これらの定義において、用語「部の溶媒」及び「部の溶質」は、溶質1グラム当たりミリリットル単位の溶媒の相当量を指す。
多成分粒子の場合、用語「賦形剤」は、例えばポリマー、界面活性剤、表面改質剤、糖、アミノ酸糖、いかなる医薬化合物でもよい。
本発明の方法において使用される第1の溶液は、少なくとも1種のAPI、または0種か少なくとも1種の賦形剤、または少なくとも1種のAPIと0種か少なくとも1種の賦形剤とを含むことができる。
本発明の方法において使用される第2の溶液は、少なくとも1種のAPI、または0種か少なくとも1種の賦形剤、または少なくとも1種のAPIと0種か少なくとも1種の賦形剤とを含むことができる。
好ましくは、第1及び第2の溶液中の固形物濃度は、限定するものではないが、約1から約30重量%の範囲内である。
用語「マイクロ反応」は、その中に微小流動場(microfluidic field)を含むマイクロ反応器(microreactor)、マイクロミキサ(micromixer)、マイクロチャネル(microchannel)、またはその他のいずれかの構成要素(component)の中での物理的及び/または化学的反応を含む技術を指す。用語「微小流動化」は、これらのマイクロチャネルによる連続的な流体処理(continuous fluid processing)を包含し、高せん断(high shear)、キャビテーション(cavitation)、及びメソミキシング及びマイクロミキシング(meso- and micromixing)の範囲内での均一混合(uniform mixing)を含む。
好ましくは、多成分粒子の場合、少なくとも1種のAPIの1種以上の賦形剤に対する比率は、95から5重量%に対し、5から95である。
第1及び第2の溶液は、アニオン性界面活性剤(anionic surfactants)、カチオン性界面活性剤(cationic surfactants)またはノニオン性界面活性剤(nonionic surfactants)を含んでいてもよい。好ましくは、用語「界面活性剤」は、2つの液体の間の、または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低くする化合物を説明するために使用される。それ故に、界面活性剤は表面改質剤としても知られている。界面活性剤は洗浄剤(detergents)、湿潤剤(wetting agents)、乳化剤(emulsifiers)、発泡剤(foaming agents)及び/または分散剤(dispersants)として作用しうる。
本発明の方法の図は図1に示されている。
混合/沈殿工程の好ましい実施の形態においては、マイクロ反応器(21)を使用して、制御された条件の下で混合が行われ、懸濁物を生成する。マイクロ反応器は、画定された反応チャンバまたはマイクロチャネルの中で、効果の高い分子接触/相互作用を促進して、2つの溶液中の物質の沈殿または共沈により懸濁物(12)を作成する。
溶液は連続的に反応チャンバ内にポンプで送り込まれ、ここで混合され、反応が可能になる。
好ましくは、反応チャンバは直径及びサイズが明確に画定された1以上のチャネルを含む。好ましくは、チャネルの直径は約10ミクロンから約400ミクロンの範囲内である。より好ましくは、直径は約50ミクロンから約200ミクロンである。1以上のマイクロ反応器を使用する実施の形態においては、マイクロ反応器は直列または並列に配置されうる。
溶液は反応チャンバ内に連続的にポンプで送り込まれて、そこで混合され、反応(連続流動反応 (continuous flow reaction))することが可能になる。
マイクロ反応器(21)は連続流動反応器(continuous flow reactor)でもよい。
第1の溶液(11)と第2の溶液(10)は、個々に制御された速度で、1以上の増圧ポンプ(intensifier pumps)(20)に送り込まれる。第1及び第2の溶液中に存在する成分間の相互作用は、増圧ポンプによる加圧に先立って、例えば混合比や処理圧力を制御することで、実質的に阻止される。
アンチソルベントの溶媒に対する割合は、溶媒の過飽和能力(supersaturation capacity)や成分の沈殿速度等、第1及び第2の溶液中に存在する溶媒及び成分の特性に依存する。この割合は、粒子の特性(例えば粒径、密度、形態、多形相、結晶化度等)を制御するために最適化される。本実施の形態においては、アンチソルベントの溶媒に対する割合は、1:1から40:1まで、任意に1:1から1:2.5まで、変化させることができる。
次に、第1の溶液(11)と第2の溶液(10)は、1以上の増圧ポンプ(20)で、マイクロ反応器(21)に向かって、結合流(combined streams)に加圧すると、第1及び第2の溶液中に存在する成分に、マイクロ反応器内でナノスケールレベル(nano-scale level)の相互作用を生じさせる。混合比、工程圧力(process pressure)及び固形物濃度の選択は、所望の粒径を達成できるように最適化すべきである。
第1の溶液は、溶液中に存在する少なくとも1種の成分、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種のアンチソルベント及びいずれかの付加的な試薬の相互作用を生じさせるのに十分な圧力で第2の溶液と結合され、溶液中に存在する少なくとも1種の成分、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種のアンチソルベント及びいずれかの付加的な試薬が反応して沈殿または共沈によりアモルファス粒子の懸濁物を形成するように、マイクロ反応器中の1以上のチャネルに配給される。
圧力は約1バールから約3500バールの範囲内で足り、任意に約20から約3500バール、約100から約3000バール、または約300から約2500バールの範囲内で足りる。
次工程において懸濁物(12)はろ過システム(22)に送り込まれ、固形分濃度が増加して濃縮流(14)が得られる。少なくとも1つのマイクロ反応炉からろ過システムへ懸濁物を輸送するためにポンプが使用できる。好ましくは、ろ過システム(22)は、ろ過、マイクロろ過(microfiltration)、限外ろ過(ultrafiltration)、透析ろ過(diafiltration)またはナノろ過(nanofiltration)による連続した濃縮が可能な、タンジェント流(tangential flow)ろ過システム、十字流(cross-flow)ろ過システムまたは当業者に知られているあらゆる類似のシステムを含む。ろ過システムに少なくとも1つの十字流膜システム(cross-flow membrane system)を含む実施の形態においては、膜の細孔径は約1nmから約100ミクロンの範囲内であり、好ましくは約10nmから約1ミクロンである。少なくとも1つの十字流膜システムは、十字流平膜(flat sheet membrane)、十字流管状膜(tubular membrane)、十字流スパイラル膜(spiral membrane)、十字流中空糸膜(hollow fiber membrane)及び/または十字流カセット膜(cassette membrane)を含むことができる。好ましくは、膜は十字流カセット膜である。少なくとも1つの十字流膜システムは、無機マイクロシーブタイプ(inorganic microsieve type)の十字流膜、または高分子飛跡エッチングされた(polymeric track-etched)十字流膜を含むことができる。選択されたシステムで使用される膜は、製品損失を最小限にするように選択されなければならない。1以上のろ過システムは、例えば多重タンジェント流ろ過システムだが、直列でも並列でも使用できる。
好ましくは、マイクロ反応器(21)の後に、懸濁物(12)を放出するために、任意のバッファタンク(buffer tank)が使用される。実施の形態にはバッファタンクが含まれる。
好ましくは、任意のポンプが、懸濁物を任意のバッファタンクからろ過システム(22)へ輸送するために使用される。
透過流(13)はほとんど生成物を含んでいないので廃棄される。
好ましくは、ろ過システム(22)の後に、濃縮流(14)を放出するために、第2の任意のバッファタンクが使用される。濃縮流(14)の一部は、ろ過システム(22)に任意に再循環されてもよい。
濃縮流(14)をアトマイザー(atmizer)に輸送するために、ポンプを使用できる。送出速度は、飛沫の乾燥速度を決定するのに役立ち、従って濃縮流(14)の組成物に応じて調整されなければならない。
アトマイズには、限定するものではないが、例えば回転式ノズル、圧力ノズル、二流体ノズルまたは超音波ノズルのような特殊タイプのノズルの使用が奨励される。アトマイズは、粒子の凝集を回避するのに役立ち、好ましいアトマイズ状態は非常に小さい飛沫を促進する。
噴霧の乾燥は乾燥チャンバ(23)中で遂行することができ、乾燥ガス流(15)により促進することができる。ガスの流れは、アトマイズ濃縮流の方向に対して並流でも逆流でもよい。ガスの流れには、窒素、空気、二酸化炭素またはこれらの組み合わせを含むことができる。導入ガスの温度は、飛沫の乾燥速度を決定するのに役立ち、従って濃縮流(14)の組成物に応じて調整されなければならない。
好適な実施の形態においては、高効率サイクロン(24)が、製造されたマイクロ及び/またはナノ粒子(micro- and/or nanoparticles)を収集するために使用され、及び/またはマイクロ及び/またはナノ粒子はフィルタを使用して収集される。
本発明の方法はさらに、マイクロ反応器(21)内での相互作用の後、結合流を冷却または急冷する(cooling or quenching)工程を含めることができる。結合流は、限定するものではないが、熱交換器または急冷塔を使用する方法のような、当業者に知られたいずれかの方法により冷却または急冷してもよい。
本発明の方法における少なくとも1種の成分として使用するための有機化合物は、一つの溶媒から他方にその溶解度が減少する、いかなる有機化学物質でもよい。この有機化合物は、好ましくは1種以上のAPIである。好ましいAPIの例には、限定するものではないが、難溶性の有効化合物、難溶性を有する熱不安定性化合物(thermolabile compounds)、あるいは小さい粒径と高い密度を要求されるAPIが含まれる。
少なくとも1種の成分という観点からは、「低溶性(low slubility)」、「難溶性」及び「難水溶性(poorly water soluble)」化合物の定義は、生物薬剤学分類システム(Biopharmaceutics Classification System [BCS])のそれと相応する。BCSによると、溶性(米国薬局方による)及び腸管透過性(intestinal permeability)に関し、化合物は4つのクラスに分けることができる。クラスI化合物は高透過性及び高溶性を有し、クラスII化合物は高透過性及び低溶性を有し、クラスIII化合物は低透過性及び高溶性を特徴とし、そしてクラスIV化合物は低透過性及び低溶性を有する。難溶性化合物は、クラスII及びクラスIVに相応する。
難溶性化合物の例には、限定するものではないが、イトラコナゾール(intraconazole)のような抗真菌薬(antifungal agents)、またはフルコナゾール(fluoconazole)、テルコナゾール(terconazole)、ケトコナゾール(ketoconazole)及びサペルコナゾール(saperconazole)のような関連する薬剤;グリセオフルビン (griseofulvin)のような抗感染症薬(anti-infective drugs)、及び関連する薬剤(例えばグリセオビルジン[griseoverdin]);抗マラリア薬[anti malaria drugs] (例えばアトバコン[Atovaquone]);アファチニブ(Afatinib)、アキシチニブ(Axitinib)、ボスチニブ(Bosutinib)、セツキシマブ(Cetuximab)、クリゾチニブ(Crizotinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、フォスタマチニブ(Fostamatinib)、ゲフィチニブ(Gefitinib)、イブルチニブ(Ibrutinib)、イマチニブ(Imatinib)、ゼムラセニブ(Zemurasenib)、ラパチニブ(Lapatinib)、レンバチニブ(Lenvatinib)、ムブリチニブ(Mubritinib)またはニロチニブ(Nilotinibのようなプロテインキナーゼ阻害薬(protein kinase inhibitors);免疫システム変調薬[immune system modulators](例えばシクロスポリン[cyclosporine]);心臓血管薬[cardiovascular drugs](例えばジゴキシン[digoxin]、スピロノラクトン[spironolactone]);イブプロフェン(ibuprofen);ステロール(sterols)またはステロイド(steroids);ダナゾール(danazol)、アシクロビル(acyclovir)、ダプソン(dapsone)、インジナビル(indinavir)、ニフェジピン(nifedipine)、ニトロフラントイン(nitrofurantion)、フェニトイン(phentytoin)、リトナビル(ritonavir)、サクイナビル(saquinavir)、スルファメトキサゾール(sulfamethoxazole)、バルプロ酸(valproic acid)、トリメトプリム(trimethoprin)、アセタゾールアミド(acetazolamide)、アザチオプリン(azathioprine)、イオパノ酸(iopanoic acid)、ナリジクス酸(nalidixic acid)、ネビラピン(nevirapine)、プラジカンテル(praziquantel)、リファンピシン(rifampicin)、アルベンダゾール(albendazole)、アミトリプチリン(amitrptyline)、アルテムエーテル(artemether)、ルメファントリン(lumefantrine)、クロロプロマジン(chloropromazine)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、クロファジミン(clofazimine)、エファビレンツ(efavirenz)、ロピナビル(iopinavir)、葉酸(folic acid)、グリベンクラミド(glibenclamide)、ハロペリドール(haloperidol)、イベルメクチン(ivermectin)、メベンダゾール(mebendazole)、ニクロサミド(niclosamide)、ピランテル(pyrantel)、ピリメタミン(pyrimethamine)、レチノールビタミン(retinol vitamin)、スルファジアジン(sulfadiazine)、スルファサラジン(sulfasalazine)、トリクラベンダゾール(triclabendazole)、及びシンナリジン(cinnarizine)を含む群からの薬剤が含まれる。
好ましい難溶性化合物の群の詳細なリストには、限定するものではないが、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE inhibitors)、下垂体前葉ホルモン(adenohypophoseal hormones)、アドレナリン作動性ニューロン遮断薬 (adrenergic neuron blocking agents)、副腎皮質ステロイド(adrenocortical steroids)、副腎皮質ステロイド生合成阻害薬(inhibitors of the biosynthesis of adrenocortical steroids)、アルファアドレナリン作動薬(alpha-adrenergic agonists)、アルファアドレナリン遮断薬(alpha-adrenergic antagonists)、選択的α2−アドレナリン作動薬(selective α2-adrenergic agonists)、鎮痛剤(analgesics)、解熱消炎剤(antipyretics and anti-inflammatory agents)、アンドロゲン(androgens)、麻酔剤(anesthetics)、抗耽溺性薬(antiaddictive agents)、抗アンドロゲン薬(antiandrogens)、抗不整脈薬(antiarrhythmic agents)、抗喘息薬(antiasthmatic agents)、抗コリン薬(anticholinergic agents)、抗コリンエステラーゼ薬(anticholinesterase agents)、抗凝血剤(anticoagulants)、抗糖尿病薬(antidiabetic agents)、下痢止め薬(antidiarrheal agents)、抗利尿薬(antidiuretics)、制吐薬及び消化管機能改善薬(antiemetic and prokinetic agents)、抗てんかん薬(antiepileptic agents)、抗エストロゲン薬(antiestrogens)、抗真菌薬(antifungal agents)、降圧薬(antihypertensive agents)、抗菌薬(antimicrobial agents)、抗片頭痛薬(antimigraine agents)、抗ムスカリン剤(antimuscarinic agents)、抗腫瘍薬(antineoplastic agents)、抗寄生虫薬(antiparasitic agents)、抗パーキンソン病薬(antiparkinsons agents)、抗血小板薬(antiplatelet agents)、抗プロゲスチン薬(antiprogestins)、抗甲状腺薬(antithyroid agents)、鎮咳薬(antitussives)、抗ウイルス剤(antiviral agents)、抗うつ剤(antidepressants)、アザスピロデカンジオン(azaspirodecanediones)、精神安定剤(barbituates)、ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)、ベンゾサイアジアザイド(benzothiadiazides)、ベータアドレナリン作動薬(beta-adrenergic agonists)、ベータアドレナリン遮断薬(beta-adrenergic antagonists)、選択的β1−アドレナリン作動薬(selective β1-adrenergic antagonists)、選択的β2−アドレナリン作動薬(selective β2-adrenergic agonists)、胆汁酸塩(bile salts)、体液の量及び組成に作用する薬(agents affecting volume and composition of body fluids)、ブチロフェノン(butyrophenones)、石灰化作用薬(agents affecting calcification)、カルシウムチャネル遮断薬(calcium channel blockers)、心臓血管薬(cardiovascular drugs)、カテコールアミン及び交感神経作動薬(catecholamines and sympathomimetic drugs)、コリン作動薬(cholinergic agonists)、コリンエステラーゼ再賦活薬(cholinesterase reactivators)、外皮用剤(dermatological agents)、ジフェニルブチルピペリジン(diphenylbutylpiperidines)、利尿剤(diuretics)、麦角アルカロイド(ergot alkaloids)、エストロゲン(estrogens)、神経節遮断薬(ganglionic blocking agents)、神経節興奮薬(ganglionic stimulating agents)、ヒダントイン(hydantoins)、胃液酸度制御薬及び消化性潰瘍処置薬(agents for control of gastric acidity and treatment of peptic ulcers)、抗貧血薬(haematopoietic agents)、ヒスタミン(histamines)、抗ヒスタミン薬(histamine antagonists)、5-ヒドロキシトリプタミン拮抗薬(5-hydroxytryptamine antagonists)、高リボタンパク血症処置薬(drugs for the treatment of hyperlipoproteinemia)、催眠薬及び鎮静剤(hypnotics and sedatives)、免疫抑制薬(immunosuppressive agents)、下剤(laxatives)、メチルキサンチン(methylxanthines)、モノアミン酸化酵素阻害薬(monoamine oxidase inhibitors)、神経筋遮断剤(neuromuscular blocking agents)、有機硝酸塩(organic nitrates)、オピオイド鎮痛薬及び遮断薬(opioid analgesics and antagonists)、膵臓酵素(pancreatic enzymes)、フェノチアジン(phenothiazines)、プロゲスチン(progestins)、プロスタグランジン(prostaglandins)、精神疾患処置薬(agents for the treatment of psychiatric disorders)、レチノイド(retinoids)、ナトリウムチャネル遮断薬(sodium channel blockers)、痙縮及び急性筋痙攣用薬剤(agents for spasticity and acute muscle spasms)、サクシミニド(succinimides)、チオキサンチン(thioxanthines)、血栓溶解剤(thrombolytic agents)、甲状腺薬(thyroid agents)、三環系抗うつ薬(tricyclic antidepressants)、有機化合物の尿細管輸送抑制薬(inhibitors of tubular transport of organic compounds)、子宮運動影響薬(drugs affecting uterine motility)、血管拡張薬(vasodilators)、ビタミン(vitamins)等の単独または組み合わせの群の活性剤(active agents)または生理活性化合物(bioactive compound)を含む。
薬学的に活性の化合物の好適な例は、限定するものではないが、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)及びカルバマゼピン(carbamazepine)である。
本発明による方法において使用される溶剤は、少なくとも1種の成分、好ましくはAPIが少なくとも部分的に中に溶解している溶媒または溶媒混合物が好ましい。
このような溶媒の例には、限定するものではないが、水、アセトン(acetone)、塩化メチル(methylchloride)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、メチルエチルケトン(methylethylketone)、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)、乳酸(lactic acid)、イソプロパノール(isopropanol)、3−ペンタノール(3-pentanol)、n−プロパノール(n-propanol)、グリセロール(glycerol)、ブチレングリコール(butylene glycol)、エチレングリコール(ethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、ジメチルイソソルビド(dimethyl isosorbide)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、1,4−ジオキサンポリエチレングリコール(1,4-dioxanepolyethylene glycol)、ポリエチレングリコールエステル(polyethylene glycol esters)、ポリエチレングリコールソルビタン(polyethylene glycol sorbitans)、ポリエチレングリコールモノアルキルエステル(polyethylene glycol monoalkyl ethers)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol)、アルギン酸ポリプロピレン(polypropylene alginate)、ブタンジオール(butanediol) 、またはこれらの混合物が含まれる。
本発明によるアンチソルベントは、第1の溶液中の溶媒に混和性でも非混和性でもよく、且つ第1の溶液中に存在することのある少なくとも1種のAPI及び1以上の賦形剤は、混合すると低溶性または完全に不溶性を示す。好ましいアンチソルベントは、限定するものではないが、水溶液である。
本発明における使用に適したポリマーは、限定するものではないが、セルロースエステル(cellulose ester)、セルロースエーテル(cellulose ether)、ポリアルキレンオキシド(polyalkylene oxide)、ポリアクリル酸塩(polyacrylate)、ポリメタクリル酸塩(polymethacrylate)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、酢酸ビニル重合体(vinyl acetate polymer)、オリゴ糖(oligosaccharide)、多糖類(polysaccharide)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropylcellulose)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ヒドロキシアルキルセルロース(hydroxyalkylcelluloses)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(hydroxyalkylalkylcellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose)、フタル酸セルロース(cellulose phthalate)、コハク酸セルロース(cellulose succinate)、酢酸フタル酸セルロース(cellulose acetate phthalate)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose phthalate)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose acetate succinate)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide)、ポリプロピレンオキサイド(polypropylene oxide)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体(copolymer of ethylene oxide and propylene oxide)、メタクリル酸/酢酸エチル共重合体(methacrylic acid/ethyl acrylate copolymer)、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体(methacrylic acid/methyl methacrylate copolymer)、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose succinate)、メタクリル酸メチル/メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル共重合体(butyl methacrylate/2-dimethylaminoethyl methacrylate copolymer)、ポリ(アクリル酸ヒドロキシアルキル)(poly [hydroxyalkyl acrylate])、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシアルキル)(poly [hydroxyalkyl methacrylate])、ゼラチン(gelatin)、酢酸/クロトン酸共重合体(copolymer of vinyl acetate and crotonic acid)、部分加水分解酢酸ポリビニル(partially hydrolyzed polyvinyl acetate)、粉末寒天(carrageenan)、ガラクトマンナン(galactomannan)、高粘度ガムまたはキサンタンガム(high viscosity gums or xanthan gum)またはこれらの組み合わせを含む。
他の賦形剤の例は、チオエーテル(thioether)、アルコール(alcohol)、チオール(thiol)、アルデヒド(aldehyde)、ケトン(ketone)、チオケトン(thioketone)、硝酸エステル(nitrate ester)、リン酸エステル(phosphate ester)、チオリン酸エステル(thiophosphate ester)、エステル(ester)、チオエステル(thioester)、硫酸エステル(sulfate ester)、カルボン酸(carboxylic acid)、ホスホン酸(phosphonic acid)、ホスフィン酸(phosphinic acid)、スルホン酸(sulfonic acid)、アミド(amide)、1級アミン(primary amine)、2級アミン(secondary amine)、アンモニア(ammonia)、3級アミン(tertiary amine)、イミン(imine)、チオシアン酸(thiocyanate)、シアナミド(cyanamide)、オキシム(oxime)、ニトリル(nitrile)、ジアゾ(diazo)、有機ハロゲン(organohalide)、ニトロ(nitro)、S−複素環(S-heterocyclic ring)、チオフェン(thiophene)、N−複素環(N-heterocyclic ring)、ピロール(pyrrole)、O−複素環(O-heterocyclic ring)、フラン(furan)、エポキシド(epoxide)、過酸化水素(peroxide)、ヒドロキサム酸(hydroxamic acid)、イミダゾール(imidazole)及びピラジン(pyridine)から選択された少なくとも1種の官能基を有する。
本発明の方法により得ることのできる粒子は、単一成分粒子、多成分粒子、微粒子アモルファス固体分散体及び微粒子共結晶を含み、ナノ範囲からマイクロ範囲の粒径の範囲を有していてもよい。これらの粒子は、約5から100重量%、任意に約5から約95重量%の少なくとも1種のAPIと、約95から約5重量%の1種以上の賦形剤とを含んでいてもよく、及び/または約0.1g/mlから約1.0g/mlの範囲のかさ比重(bulk density)を有していてもよい。単一成分粒子、多成分粒子、微粒子アモルファス固体分散体及び微粒子共結晶は、医薬組成物に処方されてもよく、薬剤として使用されてもよい。
本発明の方法により得ることができる単一成分粒子及び多成分粒子は、0%の界面活性剤、または0%より多くの界面活性剤を含んでいてもよい。単一成分粒子及び多成分粒子の粒径は、約50nmから約10μmの範囲内とすることができ、任意に約50nmから約2μm、約50nmから約1μm、または約50nmから約800nmである。単一成分粒子又は多成分粒子は、カルバマゼピンのようなAPIの生物学的利用能を増進させるために使用することができる。
本発明の方法により得ることのできる微粒子アモルファス固体分散体の粒径は約50nmから約1μmの範囲内とすることができ、任意に約50nmから約800nmである。微粒子アモルファス固体分散体はAPIの生物学的利用能を増進させるために使用することができる。本発明の方法により合成されたアモルファス固体分散体を投薬するための剤型の例は、例えば錠剤、カプセル、顆粒、ペレット又は粉末のような固形剤を含むことができる。得られた組成物は、限定されるものではないが、過飽和、生物学的利用能、溶解速度の改善、徐放性(controlled release)または味覚マスキングを含む性能を向上させる。
本発明の方法により得ることができる微粒子共結晶の粒径は約50nmから約10μmの範囲内とすることができ、任意に約50nmから約2μmである。共結晶の純度は少なくとも50重量%とすることができ、任意に少なくとも75重量%、または少なくとも90重量%である。微粒子共結晶は水溶解性、生物学的利用能、吸湿性、安定性及び/またはAPIの味覚の向上のために使用することができる。
微粒子アモルファス固体分散体または微粒子共結晶のいずれかを調製することを求める当業者は、上述したように、母材中の少なくとも1種のAPIの分散体の製造か、化学量論比で結合した、一つは有効APIでその他はコフォーマーの少なくとも2種の分子の多成分結晶かの、いずれかを可能にする賦形剤を選択することになろう。例えば、微粒子共結晶を調製することを求める当業者は、APIと都合のよい分子間相互作用を有する賦形剤を選択して、水素結合、ファンデルワールス力またはπスタッキングを促進することになる。さらに、当業者は溶媒のアンチソルベントに対する割合、及び第1と第2の溶液の濃度を調整して、所望の生成物を生成するために役立てることができる。
<実施例1>
カルバマゼピン(3.19g)とサッカリン(2.47g)をメタノール(119g)中にモル比1:1で溶解した。脱イオン水をアンチソルベントとして使用した。溶媒の2倍の量に相当する量の脱イオン水を測定した。
共結晶の共沈は、直径200μmの反応チャネルを有する補助処理モジュールがその後に続く、直径75μmの反応チャネルを有するチャンバを含む微小流動化反応器処理装置(micro-fluidizer reactor processor)[マイクロフルイディクス社(Microfluidics)のモデルMRT CR5]を使用して実行した。蠕動ポンプ(peristaltic pump)は溶媒とアンチソルベントとの割合1:2を維持するように設定した。増圧ポンプは1379バールの圧力をかけるように設定した。
生じた懸濁物は0.47μmの膜孔を有する十字流フィルタに送り込まれた。懸濁物は粉末X線回折特性解析(X-ray powder diffraction [XRPD] characterization)により分析され、Porter III et al. (Crystal Growth & Design, 2008, 8, 14-16)に述べられているとおりの目標のカルバマゼピン−サッカリン共結晶の結晶形が示された。図2は、共結晶及び対応する原料のXRPD分析を示す。得られた生成物は、乾燥前に得られたカルバマゼピン−サッカリン共結晶と同じ目標の結晶形を有していた。
単離した生成物は粒径決定のために走査電子顕微鏡(SEM)により特性解析した。粒子の代表画像を図3に示す。
<実施例2>
プロピオン酸フルチカゾン(6g)をアセトン(476g)中に溶解した。脱イオン水をアンチソルベントとして使用した。溶媒の10倍の量に相当する量の脱イオン水を測定した。
図4は本発明の方法の一つの実施の形態の図であり、この実施の形態を本実施例において使用した。この実施の形態においては、懸濁物をろ過システムに送り出すためにポンプが使用される。
API粒子の形態の沈殿は、直径200μmの反応チャネルを有する補助処理モジュールがその後に続く、直径75μmの反応チャネルを有するチャンバを含む微小流動化反応器処理装置(micro-fluidizer reactor processor [マイクロフルイディクス社のモデルMRT CR5])を使用して実行した。蠕動ポンプは溶媒(10)とアンチソルベント(11)との割合1:10を維持するように設定した。増圧ポンプ(20)は1379バールの圧力をかけるように設定した。
生じた懸濁物を、撹拌しつつ、560mL/minの流速で、バッファタンク(22)に連続的に送り込んだ。バッファタンク(22)の水位は運転中一定に維持した。バッファタンクの出口は、ポンプ(23)により、流速50mL/minで、細孔径0.22μm及びろ過面積0.1m2のPelliconカセット1つを含むCogent M1タンジェント流ろ過システム(24)に、連続的に送り出して、濃縮液を得た。濃縮液(14)を、撹拌しつつ、連続的に第2バッファタンク(25)に供給した。第2バッファタンク(25)の水位は運転中一定に維持した。バッファタンクの出口(17)は、蠕動ポンプ(図示していない)を使用して、研究室規模の噴霧乾燥機(ビュッヒ社[Buchi], model B-290)(27)に連続的に送り込んだ。懸濁物(17)をアトマイズし且つ乾燥するために、研究室規模の噴霧乾燥機(27)には2つの流体ノズルが備えられた。並流の窒素(18)がアトマイズの後の乾燥を促進するために使用された。噴霧乾燥機(27)は、流速10mL/min且つ乾燥温度80℃のオープンサイクルモードで(すなわち乾燥ガスの再循環なしで)運転した。
単離された生成物(連続A)は、粒径決定のためにSEMにより特性解析した。粒子の代表画像を図5(連続A−A)に示す。
比較目的のために、2つの別な試作(trials)(バッチB及びバッチC)を、マイクロ反応技術、続く噴霧乾燥を用いて実施した。バッチBに関しては、溶液の調製、さらに沈殿の条件は連続A生成物と同様だが、懸濁物流(12)は容器(vessel)内に収集し、連続Aと同じ条件で撹拌しつつ噴霧乾燥機ユニットに供給した。バッチCは、プロピオン酸フルチカゾン(3g)と、界面活性剤として、ポロクサマー(Poloxamer)188(3g)をアセトン(476g)に溶解した。沈殿及び乾燥の方法はバッチBにおけるとおりに実行した。単離した生成物の粒径は、SEMにより特性解析した。図5に示すように、広い粒径分布のマイクロ及び/またはナノサイズの粒子がバッチBで得られた。この広い粒径分布は、懸濁物生成の長い乾燥時間、及びその結果としての時効時間(aging time)により説明できる。バッチCに関しては、粒子は同様の径だが、製剤中の界面活性剤の添加により、狭い粒子径分布を伴う。界面活性剤は、懸濁物の乾燥時間中のオストワルド熟成(Oswald Ripening)現象を阻止することができる。結局、連続A粒子はバッチCのように狭い粒径分布を有するが、界面活性剤は何も添加されていない。この狭い粒径分布は、連続Aの生成において使用された連続的な方法における懸濁物の滞留時間が短いことにより説明できる。
<実施例3>
プロピオン酸フルチカゾン(6g)をアセトン(467g)中に溶解した。脱イオン水をアンチソルベントとして使用した。溶媒の10倍の量に相当する量の脱イオン水を測定した。
図6は本発明の一つの実施の形態の図であり、この実施の形態はこの実施例において使用された。この実施の形態においては、懸濁物をろ過システムに送り出すためにポンプが使用される。
API粒子の形態の沈殿は、直径200μmの反応チャネルを有する補助処理モジュールがその後に続く、直径75μmの反応チャネルを有するチャンバを含む微小流動化反応器処理装置(micro-fluidizer reactor processor)[マイクロフルイディクス社のモデルMRT CR5]を使用して実行した。蠕動ポンプ(図示していない)は溶媒(11)とアンチソルベント(10)との割合1:10を維持するように設定した。増圧ポンプ(20)は1379バールの圧力をかけるように設定した。
生じた懸濁物を、撹拌しつつ、560mL/minの流速で、バッファタンク(22)に連続的に送り込んだ。バッファタンク(22)の水位は運転中一定に維持した。バッファタンクの出口(13)は、ポンプ(23)を使用して、流速52mL/minで、細孔径0.22μm及びろ過面積0.1m2のPelliconカセット(24)1つを含むCogent M1タンジェント流ろ過システムに、連続的に送り出して、濃縮液(14)を得た。前記濃縮液を、撹拌しつつ、連続的に第2バッファタンク(25)に供給した。第2バッファタンク(25)の水位は運転中一定に維持した。第2バッファタンク(25)は2つの出口を有し、ポンプ(26)により流速42mL/minでタンク(22)に送り出される再循環流(16)と、蠕動ポンプ(図示していない)を使用して、研究室規模の噴霧乾燥機(ビュッヒ社, model B-290)(27)に送り出される他方の出口の流れ(17)である。
懸濁物(17)をアトマイズし且つ乾燥するために、研究室規模の噴霧乾燥機(27)には2つの流体ノズルが備えられた。並流の窒素(18)がアトマイズの後の乾燥を促進するために使用された。噴霧乾燥機(27)は、流速10mL/min且つ乾燥温度80℃のオープンサイクルモードで(すなわち乾燥ガスの再循環なしで)運転した。
単離された生成物は、粒径決定のためにSEMにより特性解析した。粒子の代表画像を図7に示す。ほぼマイクロ及びナノ径の粒子が得られた。図7に示すような得られた粒子を、図4Aで示すような実施例3で得られた連続A生成物の粒子と比較すると、再循環流(16)のために滞留時間が増加したことにより粒径が影響を受けることはなかった。
<粉末X線回折(XRPD)>
粉末X線ディフラクトグラムは、銅放射線源 (Cu Kα2, λ = 1.5406オングストローム) 、電圧40kV及びフィラメント発光35mAで、D8 Advance Bruker AXS Theta-2Thetaディファクトメータにより取得された。全走査に対して、試料は0.017°のステップサイズ及び50sのステップタイムでの、3から70°のインターバルで、2θを超えて測定された。
<走査電子顕微鏡(SEM)>
試料は、予めアルミニウムスタブ(aluminum stubs)に固定した粘着カーボンテープ (Ted Pella Inc., CA, USA)に付着させた。過剰な粉末は加圧空気の噴射により除去した。試料は2時間真空下に放置し、次に金/パラジウムで被覆した(South Bay Technologies, model E5100, San Clement, CA)。高真空中において15kVの加速電圧で運転されるJEOL JSM-7001F/Oxford INCA Energy 250/HKL 走査電子顕微鏡(JEOL, Japan) を使用した。
本発明は、医薬品有効成分(Active Pharmaceutical Ingredients [APIs])、賦形剤(excipients)、またはAPIsと賦形剤との組み合わせ(例えば共結晶やアモルファス固体分散体)の設計への連続するアプローチを開示している。本発明は、制御された沈殿(precipitation)を使用して、溶媒(solvent)とアンチソルベント流(anti-solvent streams)との間の分子の接触及び/または反応を促進する。さらに、本発明はろ過ユニットと噴霧乾燥機との組み合わせを用いた連続分離方法を開示する。ろ過システムは固形物濃度(solid concentration)を増加させ、その結果としてこの方法の生産性を増加させるように設計されており、このため本発明は大規模生産に応用可能である。本発明は、アモルファスまたは結晶形で、マイクロ及び/またはナノ範囲の粒径の、単一成分または多成分の粒子(例えば共結晶及びアモルファス固体分散体)を製造する方法の技術分野に属する。
最新の製薬のパイプライン(pipeline)には、悪い物理化学特性(poor physicochemical properties)を呈する新たな分子が高密度で取り込まれている。これは典型的には溶解性の問題につながる。難溶性(poor solubility)は、主として生物学的利用能(bioavailability)を限定するとの理由で、経口薬剤送達の分野における主要な関心事の一つである。径の低減により粒子の表面積を増加させることで溶解速度を向上できることは、当業者には知られている。
ほとんどの粒径低減方法はトップダウンアプローチ(top-down approach)に依存しており、大径の粒子が機械加工される。このような方法における粒子径の低減は衝突によるもので、これは不純物を導入することがあり、また粒子形態(particle morphology)の制御についての柔軟性を限定する。最新技術は、ジェット粉砕(jet milling)、微小流動化(microfluidization)、高せん断混合(high shear mixing)及びボールミル法等の粒径を低減するいくつかの技法を含む。湿式法の場合には、懸濁液及び加工粒子は次に、粉末を得るための既知の方法を利用して、乾燥される。
国際公開第2011/131947号は、目的の粒径が続く複数工程のアプローチにより達成される「トップダウン」アプローチを開示する。まずAPIはそれが不溶性の溶媒に懸濁され、次にAPI粒子の径がキャビテーションにより低減され、続いて、好ましくは、噴霧乾燥により粒子が乾燥されて、乾燥粉末として生産物が得られる(この方法は発明者により湿式研磨(Wet Polishing)と称される)。
トップダウン技法の分野においては、最先端は膜を使用し、その後に噴霧乾燥が続くいくつかの例を含む。国際公開第2013/144554号は、低減した粒子径分布を有する粒子を製造するための方法を開示している。開示した方法は、API、薬剤中間生成物、賦形剤または薬剤製品の粒子の懸濁物を、粒径減退工程又は粒径拡大工程で処理し、前記粒子を膜分離装置に送り込んで、前記粒子を径に応じて分離する。径の基準を充足しない粒子(透過流[permeate stream])は全て、粒径減退工程又は粒径拡大工程に再循環される。径の基準を満足する粒子(ろ過流)は噴霧乾燥により単離されてもよい。
しかしながら、サブミクロンサイズまでのAPI粒子の粉砕は、トップダウン法では究極の課題(challenging)である。これらの方法は時間とエネルギーを多消費し、その結果としてアモルファスAPI領域を作りやすく、結晶形及びAPI安定性の制御を困難なものとする。
別の粒径低減方法はボトムアップアプローチ(bottom-up approaches)を含んでおり、粒子の性質(粒径、密度、形態、多形相、結晶化度等)の制御は、溶液中の成分についての出発時の分子レベルにより実行される。一つの例は液体アンチソルベント沈殿であり、結晶化及び/または沈殿によって粒子の形成が可能な、適当な溶媒/アンチソルベントシステムが使用される。液体アンチソルベント沈殿は、APIのみの粒子、共結晶またはアモルファス固体分散体の生産において使用されてきた。
最先端は、医薬化合物又は中間体のために液体アンチソルベント沈殿を制御するいくつかの方法を含む。Chan et al. (Advanced Drug Delivery Reviews, 2011, 63, 406-416), D’Addio et al. (Advanced Drug Delivery Reviews, 2011, 63, 417-426) とThorat et al. (Chemical Engineering Journal, 2012, 181-182, 1-34) は、過飽和及び沈殿を制御するための、拘束液体衝突ジェット(confined liquid impinging jet)、多インレットボルテックスミキサー(multi-inlet vortex mixers)、超臨界流体技術(supercritical fluid texhnologies)、超音波、またはスタティックミキサーの使用を開示する。しかしながら、これらの技法のいくつかは、大規模生産に関連するスケールアップの課題(scale-up challenges)を導入する。液体アンチソルベント沈殿において使用された溶媒を除去する次工程(downstream processes)のいくつかも、これら論文の著者により論じられており、これらは噴霧乾燥、凍結乾燥またはろ過のような工程である。例えばThorat et al.は、大規模生産における溶媒の除去が課題であることを報告している。これは主として、大量のアンチソルベントが必要であることによる。
Zhang et al. (International Journal of Pharmaceutics, 2011, 63, 106-113) は、液体アンチソルベント沈殿及び噴霧乾燥の工程によるアモルファスアトルバスタチンカルシウム(atorvastatin calcium)の生成について報告している。上述の方法はアトルバスタチンカルシウムを含むメタノール溶液の沈殿を含み、続いて微粒子不純物を除去するためにろ過される。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Hydroxypropylmethylcellulose)は水に溶かされて、アンチソルベントとして利用される。溶媒流及びアンチソルベント流の両方を撹拌混合して懸濁物を生成し、続いて室内噴霧乾燥機(laboratory spray dryer)に送り込まれる。またShah et al. (International Journal of Pharmaceutics, 2012, 438, 53-60)は、噴霧乾燥や熱溶融押出のような従来のアプローチでは処理することができない難溶性化合物(poorly soluble compounds)のアモルファス固体分散体を製造する類似の方法を開示する。報告された方法では、APIとイオン性ポリマーの溶液の沈殿を含み、続いて水性媒体中に入れて共沈させる。溶媒は洗浄により抽出し、共沈(co-precipitation)はろ過により単離し、続いて強制空気オーブン(forced air oven)または流動層乾燥機(fluid bed dryer)の中で乾燥する。Wang et al. (International Journal of Pharmaceutics, 2013, 450, 311-322)は、連続撹拌の下でのAPI及びコフォーマー(co-former)を含む溶液のアンチソルベント添加によるカルバマゼピン-サッカリン(carbamazepine-saccharin)共結晶の生成について報告している。生成物を単離するために、溶液はろ過され乾燥される。前述の方法はアモルファス及び結晶形の多成分粒子を製造し単離するのに適している一方、溶媒及びアンチソルベントの混合の制御が欠如しているために限定され、従って粒子の成長及び粒径の制御も欠如している。さらに、懸濁物(suspension)の全ろ過(full filtration)はケークを作って粒子凝集を促進し、塊(lump)の生成につながることが当業者には知られている。従って、懸濁物の全ろ過を含む方法には問題がある。
本発明は、沈殿を制御できるようにマイクロ反応(microreaction)技術を使用する新規な連続製造方法を提供する。この技術の利点には、2以上の流体を均質且つ迅速な混合を達成する能力を含む。これにより粒子の性質(例えば粒径、密度、形態、多形相、結晶化度等)の制御が可能になる。
マイクロ反応技術の分野において、最新技術は粒子工学(particle engineering)に関連するいくつかの例を含んでいる。米国公開第2009/0269250号は、画定された反応チャンバ内における分子の接触及び相互作用を促進する装置を開示する。発明者はこの方法でサブミクロンの範囲の粒径を有するノルフロキサシン(norfloxacin)のナノ懸濁物を製造することができた。米国公開第2009/0269250号の装置においては、マイクロ反応チャンバに供給してナノ懸濁物を生成するために、溶媒とアンチソルベントとは制御された速度で個別に増圧ポンプ(intensifier pump)に送り込まれる。この方法と関連する課題の一つは、沈殿が完了した後で、溶媒とアンチソルベントとの間の割合が設定されると、固形物濃度は低くなって、結果的に分離処理に費用がかかるという事実である。さらに、国際公開第2016/016665号は、マイクロ反応技術を利用して溶媒制御した沈殿によってアモルファスナノ粒子を製造するボトムアップアプローチを開示している。このアプローチも沈殿後に低い固形物濃度という結果を生じる。
懸濁物中の粒子を安定させる典型的な方法は、懸濁物への界面活性剤の添加を含む。しかしながら、界面活性剤が製品の品質に影響を及ぼすことがあるので、このようなアプローチは常に効果的でも推奨されるものでもない。本発明は、そのすぐ後に粒子の単離が続く、新規な形状(configuration)の利用、時効(aging)の最短化、粒子の連続生産の目標設定(targeting)により、界面活性剤の添加に関連する障害を回避することを目的とする。本発明は、アモルファス材料の中間物安定性(intermediate stability)に伴う課題を克服し、また生成された材料を安定化するために使用される大量の賦形剤の必要性を軽減する連続分離アプローチを説明する。
国際公開第2011/131947号
国際公開第2013/144554号
米国公開第2009/0269250号
国際公開第2016/016665号
本発明は、従来技術に関係する課題を処理する新たなアプローチを提供するものであり、
i)沈殿または共沈により製造された材料の単離の間に分離する新たなアプローチを提供し、
ii)粒子の特性のより良い制御を可能にし、
iii)処方中の界面活性剤の使用を削減し、
iv)マイクロ及び/またはナノの範囲の粒径を有するAPIのみの粒子、賦形剤粒子またはAPIと賦形剤の組み合わせを含む粒子(例えば共結晶またはアモルファス固体分散体)の連続生産を援助し、及び
v)大規模生産まで実現可能である。
本発明の一つの側面によると、単一成分及び/または多成分の粒子を連続的に製造する製造方法であって、
少なくとも1種の成分と少なくとも1種の溶媒(solvent)を含む第1の溶液と、第1の溶液中に含まれる少なくとも1種の成分についての少なくとも1種のアンチソルベントを含む第2の溶液を調製し、
前記第1の溶液と前記第2の溶液とを微小流動化またはマイクロ反応によって混合して沈殿または共沈による懸濁物を生成し、
前記懸濁物をろ過システムに送り込んで濃縮流(concentrate stream)を得て、
前記濃縮流を噴霧乾燥機に送り込み、
少なくとも1つのアトマイズノズル(atomization nozzle)を用いて前記濃縮流をアトマイズし(atomizing)、
前記飛沫アトマイズされた(droplets atomized)濃縮流を乾燥し粒子を得て、さらに
粒子を収集する、工程を含む製造方法を提供する。
発明の他の側面は、本発明の方法により得られる単一成分粒子(single component particles)、多成分粒子(multi-component particles)、微粒子アモルファス固体分散体(particulate amorphous solid dispersions)及び微粒子共結晶(particulate co-crystals)、及び前記単一成分粒子、多成分粒子、微粒子アモルファス固体分散体及び微粒子共結晶を含む医薬組成物(pharmaceutical compositions)に関する。
本発明の方法の一つの実施の形態の図である。
XRPDパターン及びA)カルバマゼピン−サッカリン共結晶、B)サッカリン、C)カルバマゼピンの正規化強度(I)を示す図である。
本発明の方法の一つの実施の形態により生成されたカルバマゼピン−サッカリン共結晶粒子のSEM画像を示す図である。
生成された懸濁物をろ過システムへ送り込むポンプを含む本発明の方法の一つの実施の形態の図である。
本発明の方法の一つの実施の形態により生成したプロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)粒子(連続A−A)、噴霧乾燥が続く共沈バッチ処理により生成したプロピオン酸フルチカゾン粒子(バッチB−B)、及び噴霧乾燥が続く共沈バッチ処理により生成し、界面活性剤で安定化したプロピオン酸フルチカゾン粒子(バッチC−C)のSEM画像を示す図である。
生成された懸濁物をろ過システムと再循環流へ送り込むポンプを含む本発明の方法の一つの実施の形態の図である。
本発明の方法の一つの実施の形態により生成したプロピオン酸フルチカゾン粒子のSEM画像を示す図である。
マイクロ及び/またはナノの範囲の粒径の粒子を製造する先行技術の方法が、液体アンチソルベント沈殿と噴霧乾燥との組み合わせを既に有しているものの(上述のZhang et al.参照)、これらの方法の2つの工程はバッチ処理として操作されている。同じ規模におけるスループットの格差のために、連続処理の形式での液体アンチソルベント沈殿と噴霧乾燥との組み合わせは複雑である。例えば研究室規模(laboratory scale)では、液体アンチソルベント沈殿に使用されているマイクロ反応器は20−30kg/hのスループットを有するが、噴霧乾燥機は約1kg/hのスループットしかない。
加えて、液体アンチソルベント沈殿から噴霧乾燥機へ直接連続させるとサイクロン効率(cyclone efficiency)が低下し、その結果として製造工程(process yield)の歩留まりも低下する。これは、液体アンチソルベント沈殿から生じた懸濁液中の固形分が低いことによる、サイクロンのインレットにおける低固形負荷(low solid loading)のためである。本発明の発明者は、ろ過システムに懸濁物を送り込むことで、噴霧乾燥機に濃縮流を送り込む前に濃縮流を得るようにすることにより、この問題を克服する。しかしながら、マイクロ及び/またはナノの範囲の粒径を有する粒子を製造するための方法に付加的な工程を追加することは直観に反している。付加的な工程の追加は滞留時間を増加させ、これが粒径の増大を予期させるからである。
従って本発明の発明者は、本発明の連続方式に到達して技術的課題を克服しなければならなかったのである。
先行技術の方法に比較して、本発明の利点としては、
条件(例えば混合エネルギー、溶媒/アンチソルベントの割合)は、所望の粒子の性質(例えば粒径、密度、形態、多形相、結晶化度等)を達成するために操作することができる。特に、沈殿工程の条件は、形成される生成物及び収集される粒子の性質を決定するのに役立つ。
得られた懸濁粒子は、例えばAPIのみの粒子または共結晶の場合は、一貫して結晶固体状態であり、また例えばアモルファス固体分散体の場合は、一貫してアモルファス固体状態である。
得られた粒子の粒径はマイクロ及び/またはナノの範囲内であり、固体の状態の変化につながり得るシーケンシャル処理(例えば粉砕)を回避することができる。
この方法は固体の割合を向上させる濃縮を含み、単離の際の費用及びエネルギーを縮減することができる。
粒子の単離は噴霧乾燥により実行され、従って粒子の性質の変化の防止に役立つ。
粒子の形状及び形態(shape and morphology)は、使用した温度プロファイルのような乾燥処理パラメータを通じても制御可能である。
マイクロ及び/またはナノの範囲内での粒径の制御は、界面活性剤やポリマーを不使用または限定使用でも達成可能である。
この方法は微粒子状の生成物を得るのに適している。
この方法は連続的に実行される。
この方法は容易に大規模に実現可能である。
用語「アモルファス固体分散体」は、アモルファス状態の、母材(matrix)中の少なくとも1種のAPIの分散体、と定義される。母材は、結晶またはアモルファスのポリマー、界面活性剤またはこれらの組み合わせを含む。
用語「APIのみ」は、賦形剤がなくて、少なくとも1種のAPIが含まれる粒子、と定義される。APIのみの粒子は、結晶やアモルファスの形態でもよい。
用語「共結晶」は、化学量論比(stoichiometric ratio)で結合した、一つは有効API(active API)でその他はコフォーマー(coformer)の少なくとも2種の分子の多成分結晶(multicomponent crystal)であって、2種の分子は水素結合、ファンデルワールス力またはπスタッキングにより結合しているもの、と定義される。コフォーマーは、他のAPIまたは医薬用賦形剤、ビタミンもしくはアミノ酸でもよい。
用語「共結晶純度」は、変換割合の測定値(measure of the conversion percentage)と定義され、100%未満の変換割合とは、他の試薬(例えばAPI及び/または賦形剤)や他の形態(例えばアモルファス形態)が不純物として最終製品中に存在することを意味する。例えば75%の共結晶純度は、形成された多成分粒子の75%が前段落で述べた所望の多成分結晶を含み、形成された多成分粒子の25%がAPI、賦形剤またはアモルファス形態のような不純物の形の不純物を含む、ということを意味する。好適な実施の形態においては、溶媒及びアンチソルベントは、例えばAPI、及び該当する場合には、その賦形剤または対象の賦形剤(the excipient or exipients of interest)である、成分の溶解度に従って選択される。
本発明による用語「溶媒」は、その中で成分、例えばAPI、及び該当する場合にはその賦形剤または対象の賦形剤が溶解する溶媒または溶媒の混合物である。
本発明による用語「アンチソルベント」は、その中で成分、例えばAPI、及び該当する場合にはその賦形剤または対象の賦形剤が、「溶媒」と比較して相当に低い溶解度を示す溶媒または溶媒の混合物である。好ましくは、API、及び該当する場合にはの賦形剤または対象の賦形剤は、「アンチソルベント」中に実質的に不溶、または不溶である。「アンチソルベント」溶液には、水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)、塩酸(hydrochloric acid)、トリスバッファ(tris buffer)またはクエン酸塩(citrate)、酢酸塩(acetate)、乳酸塩(lactate)、メグルミン(meglumine)等のようなpH調整剤(pH adjusting agent)を添加するのが望ましい。また、そのアンチソルベント混合物(anti-solvent mixture)の温度を調整するのが望ましい。
溶媒とアンチソルベントという観点からは、用語「溶解性(soluble)」は、1部の溶質(solute)を溶解するのに10から30部の溶媒を要することを意味し、用語「相当に低い溶解度(substantially lower solubility)」は1部の溶質を溶解するのに100から1000部の溶媒を要することを意味し、用語「実質的に不溶」は1部の溶質を溶解するのに1000から10000部の溶媒を要することを意味し、そして用語「不溶」は1部の溶質を溶解するのに10000部を超える溶媒を要することを意味する。なお、これらの定義において、用語「部の溶媒」及び「部の溶質」は、溶質1グラム当たりミリリットル単位の溶媒の相当量を指す。
多成分粒子の場合、用語「賦形剤」は、例えばポリマー、界面活性剤、表面改質剤、糖、アミノ酸糖、いかなる医薬化合物でもよい。
本発明の方法において使用される第1の溶液は、少なくとも1種のAPI、または0種か少なくとも1種の賦形剤、または少なくとも1種のAPIと0種か少なくとも1種の賦形剤とを含むことができる。
本発明の方法において使用される第2の溶液は、少なくとも1種のAPI、または0種か少なくとも1種の賦形剤、または少なくとも1種のAPIと0種か少なくとも1種の賦形剤とを含むことができる。
好ましくは、第1及び第2の溶液中の固形物濃度は、限定するものではないが、約1から約30重量%の範囲内である。
用語「マイクロ反応」は、その中に微小流動場(microfluidic field)を含むマイクロ反応器(microreactor)、マイクロミキサ(micromixer)、マイクロチャネル(microchannel)、またはその他のいずれかの構成要素(component)の中での物理的及び/または化学的反応を含む技術を指す。用語「微小流動化」は、これらのマイクロチャネルによる連続的な流体処理(continuous fluid processing)を包含し、高せん断(high shear)、キャビテーション(cavitation)、及びメソミキシング及びマイクロミキシング(meso- and micromixing)の範囲内での均一混合(uniform mixing)を含む。
好ましくは、多成分粒子の場合、少なくとも1種のAPIの1種以上の賦形剤に対する比率は、95から5重量%に対し、5から95である。
第1及び第2の溶液は、アニオン性界面活性剤(anionic surfactants)、カチオン性界面活性剤(cationic surfactants)またはノニオン性界面活性剤(nonionic surfactants)を含んでいてもよい。好ましくは、用語「界面活性剤」は、2つの液体の間の、または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低くする化合物を説明するために使用される。それ故に、界面活性剤は表面改質剤としても知られている。界面活性剤は洗浄剤(detergents)、湿潤剤(wetting agents)、乳化剤(emulsifiers)、発泡剤(foaming agents)及び/または分散剤(dispersants)として作用しうる。
本発明の方法の図は図1に示されている。
混合/沈殿工程の好ましい実施の形態においては、マイクロ反応器(21)を使用して、制御された条件の下で混合が行われ、懸濁物を生成する。マイクロ反応器は、画定された反応チャンバまたはマイクロチャネルの中で、効果の高い分子接触/相互作用を促進して、2つの溶液中の物質の沈殿または共沈により懸濁物(12)を作成する。
溶液は連続的に反応チャンバ内にポンプで送り込まれ、ここで混合され、反応が可能になる。
好ましくは、反応チャンバは直径及びサイズが明確に画定された1以上のチャネルを含む。好ましくは、チャネルの直径は約10ミクロンから約400ミクロンの範囲内である。より好ましくは、直径は約50ミクロンから約200ミクロンである。1以上のマイクロ反応器を使用する実施の形態においては、マイクロ反応器は直列または並列に配置されうる。
溶液は反応チャンバ内に連続的にポンプで送り込まれて、そこで混合され、反応(連続流動反応 (continuous flow reaction))することが可能になる。
マイクロ反応器(21)は連続流動反応器(continuous flow reactor)でもよい。
第1の溶液(11)と第2の溶液(10)は、個々に制御された速度で、1以上の増圧ポンプ(intensifier pumps)(20)に送り込まれる。第1及び第2の溶液中に存在する成分間の相互作用は、増圧ポンプによる加圧に先立って、例えば混合比や処理圧力を制御することで、実質的に阻止される。
アンチソルベントの溶媒に対する割合は、溶媒の過飽和能力(supersaturation capacity)や成分の沈殿速度等、第1及び第2の溶液中に存在する溶媒及び成分の特性に依存する。この割合は、粒子の特性(例えば粒径、密度、形態、多形相、結晶化度等)を制御するために最適化される。本実施の形態においては、アンチソルベントの溶媒に対する割合は、1:1から40:1まで、任意に1:1から1:2.5まで、変化させることができる。
次に、第1の溶液(11)と第2の溶液(10)は、1以上の増圧ポンプ(20)で、マイクロ反応器(21)に向かって、結合流(combined streams)に加圧すると、第1及び第2の溶液中に存在する成分に、マイクロ反応器内でナノスケールレベル(nano-scale level)の相互作用を生じさせる。混合比、工程圧力(process pressure)及び固形物濃度の選択は、所望の粒径を達成できるように最適化すべきである。
第1の溶液は、溶液中に存在する少なくとも1種の成分、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種のアンチソルベント及びいずれかの付加的な試薬の相互作用を生じさせるのに十分な圧力で第2の溶液と結合され、溶液中に存在する少なくとも1種の成分、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種のアンチソルベント及びいずれかの付加的な試薬が反応して沈殿または共沈によりアモルファス粒子の懸濁物を形成するように、マイクロ反応器中の1以上のチャネルに配給される。
圧力は約1バールから約3500バールの範囲内で足り、任意に約20から約3500バール、約100から約3000バール、または約300から約2500バールの範囲内で足りる。
次工程において懸濁物(12)はろ過システム(22)に送り込まれ、固形分濃度が増加して濃縮流(14)が得られる。少なくとも1つのマイクロ反応炉からろ過システムへ懸濁物を輸送するためにポンプが使用できる。好ましくは、ろ過システム(22)は、ろ過、マイクロろ過(microfiltration)、限外ろ過(ultrafiltration)、透析ろ過(diafiltration)またはナノろ過(nanofiltration)による連続した濃縮が可能な、タンジェント流(tangential flow)ろ過システム、十字流(cross-flow)ろ過システムまたは当業者に知られているあらゆる類似のシステムを含む。ろ過システムに少なくとも1つの十字流膜システム(cross-flow membrane system)を含む実施の形態においては、膜の細孔径は約1nmから約100ミクロンの範囲内であり、好ましくは約10nmから約1ミクロンである。少なくとも1つの十字流膜システムは、十字流平膜(flat sheet membrane)、十字流管状膜(tubular membrane)、十字流スパイラル膜(spiral membrane)、十字流中空糸膜(hollow fiber membrane)及び/または十字流カセット膜(cassette membrane)を含むことができる。好ましくは、膜は十字流カセット膜である。少なくとも1つの十字流膜システムは、無機マイクロシーブタイプ(inorganic microsieve type)の十字流膜、または高分子飛跡エッチングされた(polymeric track-etched)十字流膜を含むことができる。選択されたシステムで使用される膜は、製品損失を最小限にするように選択されなければならない。1以上のろ過システムは、例えば多重タンジェント流ろ過システムだが、直列でも並列でも使用できる。
好ましくは、マイクロ反応器(21)の後に、懸濁物(12)を放出するために、任意のバッファタンク(buffer tank)が使用される。実施の形態にはバッファタンクが含まれる。
好ましくは、任意のポンプが、懸濁物を任意のバッファタンクからろ過システム(22)へ輸送するために使用される。
透過流(13)はほとんど生成物を含んでいないので廃棄される。
好ましくは、ろ過システム(22)の後に、濃縮流(14)を放出するために、第2の任意のバッファタンクが使用される。濃縮流(14)の一部は、ろ過システム(22)に任意に再循環されてもよい。
濃縮流(14)をアトマイザー(atmizer)に輸送するために、ポンプを使用できる。送出速度は、飛沫の乾燥速度を決定するのに役立ち、従って濃縮流(14)の組成物に応じて調整されなければならない。
アトマイズには、限定するものではないが、例えば回転式ノズル、圧力ノズル、二流体ノズルまたは超音波ノズルのような特殊タイプのノズルの使用が奨励される。アトマイズは、粒子の凝集を回避するのに役立ち、好ましいアトマイズ状態は非常に小さい飛沫を促進する。
噴霧の乾燥は乾燥チャンバ(23)中で遂行することができ、乾燥ガス流(15)により促進することができる。ガスの流れは、アトマイズ濃縮流の方向に対して並流でも逆流でもよい。ガスの流れには、窒素、空気、二酸化炭素またはこれらの組み合わせを含むことができる。導入ガスの温度は、飛沫の乾燥速度を決定するのに役立ち、従って濃縮流(14)の組成物に応じて調整されなければならない。
好適な実施の形態においては、高効率サイクロン(24)が、製造されたマイクロ及び/またはナノ粒子(micro- and/or nanoparticles)を収集するために使用され、及び/またはマイクロ及び/またはナノ粒子はフィルタを使用して収集される。
本発明の方法はさらに、マイクロ反応器(21)内での相互作用の後、結合流を冷却または急冷する(cooling or quenching)工程を含めることができる。結合流は、限定するものではないが、熱交換器または急冷塔を使用する方法のような、当業者に知られたいずれかの方法により冷却または急冷してもよい。
本発明の方法における少なくとも1種の成分として使用するための有機化合物は、一つの溶媒から他方にその溶解度が減少する、いかなる有機化学物質でもよい。この有機化合物は、好ましくは1種以上のAPIである。好ましいAPIの例には、限定するものではないが、難溶性の有効化合物、難溶性を有する熱不安定性化合物(thermolabile compounds)、あるいは小さい粒径と高い密度を要求されるAPIが含まれる。
少なくとも1種の成分という観点からは、「低溶性(low slubility)」、「難溶性」及び「難水溶性(poorly water soluble)」化合物の定義は、生物薬剤学分類システム(Biopharmaceutics Classification System [BCS])のそれと相応する。BCSによると、溶性(米国薬局方による)及び腸管透過性(intestinal permeability)に関し、化合物は4つのクラスに分けることができる。クラスI化合物は高透過性及び高溶性を有し、クラスII化合物は高透過性及び低溶性を有し、クラスIII化合物は低透過性及び高溶性を特徴とし、そしてクラスIV化合物は低透過性及び低溶性を有する。難溶性化合物は、クラスII及びクラスIVに相応する。
難溶性化合物の例には、限定するものではないが、イトラコナゾール(intraconazole)のような抗真菌薬(antifungal agents)、またはフルコナゾール(fluoconazole)、テルコナゾール(terconazole)、ケトコナゾール(ketoconazole)及びサペルコナゾール(saperconazole)のような関連する薬剤;グリセオフルビン (griseofulvin)のような抗感染症薬(anti-infective drugs)、及び関連する薬剤(例えばグリセオビルジン[griseoverdin]);抗マラリア薬[anti malaria drugs] (例えばアトバコン[Atovaquone]);アファチニブ(Afatinib)、アキシチニブ(Axitinib)、ボスチニブ(Bosutinib)、セツキシマブ(Cetuximab)、クリゾチニブ(Crizotinib)、ダサチニブ(Dasatinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、フォスタマチニブ(Fostamatinib)、ゲフィチニブ(Gefitinib)、イブルチニブ(Ibrutinib)、イマチニブ(Imatinib)、ゼムラセニブ(Zemurasenib)、ラパチニブ(Lapatinib)、レンバチニブ(Lenvatinib)、ムブリチニブ(Mubritinib)またはニロチニブ(Nilotinibのようなプロテインキナーゼ阻害薬(protein kinase inhibitors);免疫システム変調薬[immune system modulators](例えばシクロスポリン[cyclosporine]);心臓血管薬[cardiovascular drugs](例えばジゴキシン[digoxin]、スピロノラクトン[spironolactone]);イブプロフェン(ibuprofen);ステロール(sterols)またはステロイド(steroids);ダナゾール(danazol)、アシクロビル(acyclovir)、ダプソン(dapsone)、インジナビル(indinavir)、ニフェジピン(nifedipine)、ニトロフラントイン(nitrofurantion)、フェニトイン(phentytoin)、リトナビル(ritonavir)、サクイナビル(saquinavir)、スルファメトキサゾール(sulfamethoxazole)、バルプロ酸(valproic acid)、トリメトプリム(trimethoprin)、アセタゾールアミド(acetazolamide)、アザチオプリン(azathioprine)、イオパノ酸(iopanoic acid)、ナリジクス酸(nalidixic acid)、ネビラピン(nevirapine)、プラジカンテル(praziquantel)、リファンピシン(rifampicin)、アルベンダゾール(albendazole)、アミトリプチリン(amitrptyline)、アルテムエーテル(artemether)、ルメファントリン(lumefantrine)、クロロプロマジン(chloropromazine)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、クロファジミン(clofazimine)、エファビレンツ(efavirenz)、ロピナビル(iopinavir)、葉酸(folic acid)、グリベンクラミド(glibenclamide)、ハロペリドール(haloperidol)、イベルメクチン(ivermectin)、メベンダゾール(mebendazole)、ニクロサミド(niclosamide)、ピランテル(pyrantel)、ピリメタミン(pyrimethamine)、レチノールビタミン(retinol vitamin)、スルファジアジン(sulfadiazine)、スルファサラジン(sulfasalazine)、トリクラベンダゾール(triclabendazole)、及びシンナリジン(cinnarizine)を含む群からの薬剤が含まれる。
好ましい難溶性化合物の群の詳細なリストには、限定するものではないが、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE inhibitors)、下垂体前葉ホルモン(adenohypophoseal hormones)、アドレナリン作動性ニューロン遮断薬 (adrenergic neuron blocking agents)、副腎皮質ステロイド(adrenocortical steroids)、副腎皮質ステロイド生合成阻害薬(inhibitors of the biosynthesis of adrenocortical steroids)、アルファアドレナリン作動薬(alpha-adrenergic agonists)、アルファアドレナリン遮断薬(alpha-adrenergic antagonists)、選択的α2−アドレナリン作動薬(selective α2-adrenergic agonists)、鎮痛剤(analgesics)、解熱消炎剤(antipyretics and anti-inflammatory agents)、アンドロゲン(androgens)、麻酔剤(anesthetics)、抗耽溺性薬(antiaddictive agents)、抗アンドロゲン薬(antiandrogens)、抗不整脈薬(antiarrhythmic agents)、抗喘息薬(antiasthmatic agents)、抗コリン薬(anticholinergic agents)、抗コリンエステラーゼ薬(anticholinesterase agents)、抗凝血剤(anticoagulants)、抗糖尿病薬(antidiabetic agents)、下痢止め薬(antidiarrheal agents)、抗利尿薬(antidiuretics)、制吐薬及び消化管機能改善薬(antiemetic and prokinetic agents)、抗てんかん薬(antiepileptic agents)、抗エストロゲン薬(antiestrogens)、抗真菌薬(antifungal agents)、降圧薬(antihypertensive agents)、抗菌薬(antimicrobial agents)、抗片頭痛薬(antimigraine agents)、抗ムスカリン剤(antimuscarinic agents)、抗腫瘍薬(antineoplastic agents)、抗寄生虫薬(antiparasitic agents)、抗パーキンソン病薬(antiparkinsons agents)、抗血小板薬(antiplatelet agents)、抗プロゲスチン薬(antiprogestins)、抗甲状腺薬(antithyroid agents)、鎮咳薬(antitussives)、抗ウイルス剤(antiviral agents)、抗うつ剤(antidepressants)、アザスピロデカンジオン(azaspirodecanediones)、精神安定剤(barbituates)、ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)、ベンゾサイアジアザイド(benzothiadiazides)、ベータアドレナリン作動薬(beta-adrenergic agonists)、ベータアドレナリン遮断薬(beta-adrenergic antagonists)、選択的β1−アドレナリン作動薬(selective β1-adrenergic antagonists)、選択的β2−アドレナリン作動薬(selective β2-adrenergic agonists)、胆汁酸塩(bile salts)、体液の量及び組成に作用する薬(agents affecting volume and composition of body fluids)、ブチロフェノン(butyrophenones)、石灰化作用薬(agents affecting calcification)、カルシウムチャネル遮断薬(calcium channel blockers)、心臓血管薬(cardiovascular drugs)、カテコールアミン及び交感神経作動薬(catecholamines and sympathomimetic drugs)、コリン作動薬(cholinergic agonists)、コリンエステラーゼ再賦活薬(cholinesterase reactivators)、外皮用剤(dermatological agents)、ジフェニルブチルピペリジン(diphenylbutylpiperidines)、利尿剤(diuretics)、麦角アルカロイド(ergot alkaloids)、エストロゲン(estrogens)、神経節遮断薬(ganglionic blocking agents)、神経節興奮薬(ganglionic stimulating agents)、ヒダントイン(hydantoins)、胃液酸度制御薬及び消化性潰瘍処置薬(agents for control of gastric acidity and treatment of peptic ulcers)、抗貧血薬(haematopoietic agents)、ヒスタミン(histamines)、抗ヒスタミン薬(histamine antagonists)、5-ヒドロキシトリプタミン拮抗薬(5-hydroxytryptamine antagonists)、高リボタンパク血症処置薬(drugs for the treatment of hyperlipoproteinemia)、催眠薬及び鎮静剤(hypnotics and sedatives)、免疫抑制薬(immunosuppressive agents)、下剤(laxatives)、メチルキサンチン(methylxanthines)、モノアミン酸化酵素阻害薬(monoamine oxidase inhibitors)、神経筋遮断剤(neuromuscular blocking agents)、有機硝酸塩(organic nitrates)、オピオイド鎮痛薬及び遮断薬(opioid analgesics and antagonists)、膵臓酵素(pancreatic enzymes)、フェノチアジン(phenothiazines)、プロゲスチン(progestins)、プロスタグランジン(prostaglandins)、精神疾患処置薬(agents for the treatment of psychiatric disorders)、レチノイド(retinoids)、ナトリウムチャネル遮断薬(sodium channel blockers)、痙縮及び急性筋痙攣用薬剤(agents for spasticity and acute muscle spasms)、サクシミニド(succinimides)、チオキサンチン(thioxanthines)、血栓溶解剤(thrombolytic agents)、甲状腺薬(thyroid agents)、三環系抗うつ薬(tricyclic antidepressants)、有機化合物の尿細管輸送抑制薬(inhibitors of tubular transport of organic compounds)、子宮運動影響薬(drugs affecting uterine motility)、血管拡張薬(vasodilators)、ビタミン(vitamins)等の単独または組み合わせの群の活性剤(active agents)または生理活性化合物(bioactive compound)を含む。
薬学的に活性の化合物の好適な例は、限定するものではないが、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)及びカルバマゼピン(carbamazepine)である。
本発明による方法において使用される溶剤は、少なくとも1種の成分、好ましくはAPIが少なくとも部分的に中に溶解している溶媒または溶媒混合物が好ましい。
このような溶媒の例には、限定するものではないが、水、アセトン(acetone)、塩化メチル(methylchloride)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、メチルエチルケトン(methylethylketone)、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)、乳酸(lactic acid)、イソプロパノール(isopropanol)、3−ペンタノール(3-pentanol)、n−プロパノール(n-propanol)、グリセロール(glycerol)、ブチレングリコール(butylene glycol)、エチレングリコール(ethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、ジメチルイソソルビド(dimethyl isosorbide)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、1,4−ジオキサンポリエチレングリコール(1,4-dioxanepolyethylene glycol)、ポリエチレングリコールエステル(polyethylene glycol esters)、ポリエチレングリコールソルビタン(polyethylene glycol sorbitans)、ポリエチレングリコールモノアルキルエステル(polyethylene glycol monoalkyl ethers)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol)、アルギン酸ポリプロピレン(polypropylene alginate)、ブタンジオール(butanediol) 、またはこれらの混合物が含まれる。
本発明によるアンチソルベントは、第1の溶液中の溶媒に混和性でも非混和性でもよく、且つ第1の溶液中に存在することのある少なくとも1種のAPI及び1以上の賦形剤は、混合すると低溶性または完全に不溶性を示す。好ましいアンチソルベントは、限定するものではないが、水溶液である。
本発明における使用に適したポリマーは、限定するものではないが、セルロースエステル(cellulose ester)、セルロースエーテル(cellulose ether)、ポリアルキレンオキシド(polyalkylene oxide)、ポリアクリル酸塩(polyacrylate)、ポリメタクリル酸塩(polymethacrylate)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、酢酸ビニル重合体(vinyl acetate polymer)、オリゴ糖(oligosaccharide)、多糖類(polysaccharide)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropylcellulose)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ヒドロキシアルキルセルロース(hydroxyalkylcelluloses)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(hydroxyalkylalkylcellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose)、フタル酸セルロース(cellulose phthalate)、コハク酸セルロース(cellulose succinate)、酢酸フタル酸セルロース(cellulose acetate phthalate)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose phthalate)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose acetate succinate)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide)、ポリプロピレンオキサイド(polypropylene oxide)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体(copolymer of ethylene oxide and propylene oxide)、メタクリル酸/酢酸エチル共重合体(methacrylic acid/ethyl acrylate copolymer)、メタクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体(methacrylic acid/methyl methacrylate copolymer)、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose succinate)、メタクリル酸メチル/メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル共重合体(butyl methacrylate/2-dimethylaminoethyl methacrylate copolymer)、ポリ(アクリル酸ヒドロキシアルキル)(poly [hydroxyalkyl acrylate])、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシアルキル)(poly [hydroxyalkyl methacrylate])、ゼラチン(gelatin)、酢酸/クロトン酸共重合体(copolymer of vinyl acetate and crotonic acid)、部分加水分解酢酸ポリビニル(partially hydrolyzed polyvinyl acetate)、粉末寒天(carrageenan)、ガラクトマンナン(galactomannan)、高粘度ガムまたはキサンタンガム(high viscosity gums or xanthan gum)またはこれらの組み合わせを含む。
他の賦形剤の例は、チオエーテル(thioether)、アルコール(alcohol)、チオール(thiol)、アルデヒド(aldehyde)、ケトン(ketone)、チオケトン(thioketone)、硝酸エステル(nitrate ester)、リン酸エステル(phosphate ester)、チオリン酸エステル(thiophosphate ester)、エステル(ester)、チオエステル(thioester)、硫酸エステル(sulfate ester)、カルボン酸(carboxylic acid)、ホスホン酸(phosphonic acid)、ホスフィン酸(phosphinic acid)、スルホン酸(sulfonic acid)、アミド(amide)、1級アミン(primary amine)、2級アミン(secondary amine)、アンモニア(ammonia)、3級アミン(tertiary amine)、イミン(imine)、チオシアン酸(thiocyanate)、シアナミド(cyanamide)、オキシム(oxime)、ニトリル(nitrile)、ジアゾ(diazo)、有機ハロゲン(organohalide)、ニトロ(nitro)、S−複素環(S-heterocyclic ring)、チオフェン(thiophene)、N−複素環(N-heterocyclic ring)、ピロール(pyrrole)、O−複素環(O-heterocyclic ring)、フラン(furan)、エポキシド(epoxide)、過酸化水素(peroxide)、ヒドロキサム酸(hydroxamic acid)、イミダゾール(imidazole)及びピラジン(pyridine)から選択された少なくとも1種の官能基を有する。
本発明の方法により得ることのできる粒子は、単一成分粒子、多成分粒子、微粒子アモルファス固体分散体及び微粒子共結晶を含み、ナノ範囲からマイクロ範囲の粒径の範囲を有していてもよい。これらの粒子は、約5から100重量%、任意に約5から約95重量%の少なくとも1種のAPIと、約95から約5重量%の1種以上の賦形剤とを含んでいてもよく、及び/または約0.1g/mlから約1.0g/mlの範囲のかさ比重(bulk density)を有していてもよい。単一成分粒子、多成分粒子、微粒子アモルファス固体分散体及び微粒子共結晶は、医薬組成物に処方されてもよく、薬剤として使用されてもよい。
本発明の方法により得ることができる単一成分粒子及び多成分粒子は、0%の界面活性剤、または0%より多くの界面活性剤を含んでいてもよい。単一成分粒子及び多成分粒子の粒径は、約50nmから約10μmの範囲内とすることができ、任意に約50nmから約2μm、約50nmから約1μm、または約50nmから約800nmである。単一成分粒子又は多成分粒子は、カルバマゼピンのようなAPIの生物学的利用能を増進させるために使用することができる。
本発明の方法により得ることのできる微粒子アモルファス固体分散体の粒径は約50nmから約1μmの範囲内とすることができ、任意に約50nmから約800nmである。微粒子アモルファス固体分散体はAPIの生物学的利用能を増進させるために使用することができる。本発明の方法により合成されたアモルファス固体分散体を投薬するための剤型の例は、例えば錠剤、カプセル、顆粒、ペレット又は粉末のような固形剤を含むことができる。得られた組成物は、限定されるものではないが、過飽和、生物学的利用能、溶解速度の改善、徐放性(controlled release)または味覚マスキングを含む性能を向上させる。
本発明の方法により得ることができる微粒子共結晶の粒径は約50nmから約10μmの範囲内とすることができ、任意に約50nmから約2μmである。共結晶の純度は少なくとも50重量%とすることができ、任意に少なくとも75重量%、または少なくとも90重量%である。微粒子共結晶は水溶解性、生物学的利用能、吸湿性、安定性及び/またはAPIの味覚の向上のために使用することができる。
微粒子アモルファス固体分散体または微粒子共結晶のいずれかを調製することを求める当業者は、上述したように、母材中の少なくとも1種のAPIの分散体の製造か、化学量論比で結合した、一つは有効APIでその他はコフォーマーの少なくとも2種の分子の多成分結晶かの、いずれかを可能にする賦形剤を選択することになろう。例えば、微粒子共結晶を調製することを求める当業者は、APIと都合のよい分子間相互作用を有する賦形剤を選択して、水素結合、ファンデルワールス力またはπスタッキングを促進することになる。さらに、当業者は溶媒のアンチソルベントに対する割合、及び第1と第2の溶液の濃度を調整して、所望の生成物を生成するために役立てることができる。
<実施例1>
カルバマゼピン(3.19g)とサッカリン(2.47g)をメタノール(119g)中にモル比1:1で溶解した。脱イオン水をアンチソルベントとして使用した。溶媒の2倍の量に相当する量の脱イオン水を測定した。
共結晶の共沈は、直径200μmの反応チャネルを有する補助処理モジュールがその後に続く、直径75μmの反応チャネルを有するチャンバを含む微小流動化反応器処理装置(micro-fluidizer reactor processor)[マイクロフルイディクス社(Microfluidics)のモデルMRT CR5]を使用して実行した。蠕動ポンプ(peristaltic pump)は溶媒とアンチソルベントとの割合1:2を維持するように設定した。増圧ポンプは1379バールの圧力をかけるように設定した。
生じた懸濁物は0.47μmの膜孔を有する十字流フィルタに送り込まれた。懸濁物は粉末X線回折特性解析(X-ray powder diffraction [XRPD] characterization)により分析され、Porter III et al. (Crystal Growth & Design, 2008, 8, 14-16)に述べられているとおりの目標のカルバマゼピン−サッカリン共結晶の結晶形が示された。図2は、共結晶及び対応する原料のXRPD分析を示す。得られた生成物は、乾燥前に得られたカルバマゼピン−サッカリン共結晶と同じ目標の結晶形を有していた。
単離した生成物は粒径決定のために走査電子顕微鏡(SEM)により特性解析した。粒子の代表画像を図3に示す。
<実施例2>
プロピオン酸フルチカゾン(6g)をアセトン(476g)中に溶解した。脱イオン水をアンチソルベントとして使用した。溶媒の10倍の量に相当する量の脱イオン水を測定した。
図4は本発明の方法の一つの実施の形態の図であり、この実施の形態を本実施例において使用した。この実施の形態においては、懸濁物をろ過システムに送り出すためにポンプが使用される。
API粒子の形態の沈殿は、直径200μmの反応チャネルを有する補助処理モジュールがその後に続く、直径75μmの反応チャネルを有するチャンバを含む微小流動化反応器処理装置(micro-fluidizer reactor processor [マイクロフルイディクス社のモデルMRT CR5])を使用して実行した。蠕動ポンプは溶媒(10)とアンチソルベント(11)との割合1:10を維持するように設定した。増圧ポンプ(20)は1379バールの圧力をかけるように設定した。
生じた懸濁物を、撹拌しつつ、560mL/minの流速で、バッファタンク(22)に連続的に送り込んだ。バッファタンク(22)の水位は運転中一定に維持した。バッファタンクの出口は、ポンプ(23)により、流速50mL/minで、細孔径0.22μm及びろ過面積0.1m2のPelliconカセット1つを含むCogent M1タンジェント流ろ過システム(24)に、連続的に送り出して、濃縮液を得た。濃縮液(14)を、撹拌しつつ、連続的に第2バッファタンク(25)に供給した。第2バッファタンク(25)の水位は運転中一定に維持した。バッファタンクの出口(17)は、蠕動ポンプ(図示していない)を使用して、研究室規模の噴霧乾燥機(ビュッヒ社[Buchi], model B-290)(27)に連続的に送り込んだ。懸濁物(17)をアトマイズし且つ乾燥するために、研究室規模の噴霧乾燥機(27)には2つの流体ノズルが備えられた。並流の窒素(18)がアトマイズの後の乾燥を促進するために使用された。噴霧乾燥機(27)は、流速10mL/min且つ乾燥温度80℃のオープンサイクルモードで(すなわち乾燥ガスの再循環なしで)運転した。
単離された生成物(連続A)は、粒径決定のためにSEMにより特性解析した。粒子の代表画像を図5(連続A−A)に示す。
比較目的のために、2つの別な試作(trials)(バッチB及びバッチC)を、マイクロ反応技術、続く噴霧乾燥を用いて実施した。バッチBに関しては、溶液の調製、さらに沈殿の条件は連続A生成物と同様だが、懸濁物流(12)は容器(vessel)内に収集し、連続Aと同じ条件で撹拌しつつ噴霧乾燥機ユニットに供給した。バッチCは、プロピオン酸フルチカゾン(3g)と、界面活性剤として、ポロクサマー(Poloxamer)188(3g)をアセトン(476g)に溶解した。沈殿及び乾燥の方法はバッチBにおけるとおりに実行した。単離した生成物の粒径は、SEMにより特性解析した。図5に示すように、広い粒径分布のマイクロ及び/またはナノサイズの粒子がバッチBで得られた。この広い粒径分布は、懸濁物生成の長い乾燥時間、及びその結果としての時効時間(aging time)により説明できる。バッチCに関しては、粒子は同様の径だが、製剤中の界面活性剤の添加により、狭い粒子径分布を伴う。界面活性剤は、懸濁物の乾燥時間中のオストワルド熟成(Oswald Ripening)現象を阻止することができる。結局、連続A粒子はバッチCのように狭い粒径分布を有するが、界面活性剤は何も添加されていない。この狭い粒径分布は、連続Aの生成において使用された連続的な方法における懸濁物の滞留時間が短いことにより説明できる。
<実施例3>
プロピオン酸フルチカゾン(6g)をアセトン(467g)中に溶解した。脱イオン水をアンチソルベントとして使用した。溶媒の10倍の量に相当する量の脱イオン水を測定した。
図6は本発明の一つの実施の形態の図であり、この実施の形態はこの実施例において使用された。この実施の形態においては、懸濁物をろ過システムに送り出すためにポンプが使用される。
API粒子の形態の沈殿は、直径200μmの反応チャネルを有する補助処理モジュールがその後に続く、直径75μmの反応チャネルを有するチャンバを含む微小流動化反応器処理装置(micro-fluidizer reactor processor)[マイクロフルイディクス社のモデルMRT CR5]を使用して実行した。蠕動ポンプ(図示していない)は溶媒(11)とアンチソルベント(10)との割合1:10を維持するように設定した。増圧ポンプ(20)は1379バールの圧力をかけるように設定した。
生じた懸濁物を、撹拌しつつ、560mL/minの流速で、バッファタンク(22)に連続的に送り込んだ。バッファタンク(22)の水位は運転中一定に維持した。バッファタンクの出口(13)は、ポンプ(23)を使用して、流速52mL/minで、細孔径0.22μm及びろ過面積0.1m2のPelliconカセット(24)1つを含むCogent M1タンジェント流ろ過システムに、連続的に送り出して、濃縮液(14)を得た。前記濃縮液を、撹拌しつつ、連続的に第2バッファタンク(25)に供給した。第2バッファタンク(25)の水位は運転中一定に維持した。第2バッファタンク(25)は2つの出口を有し、ポンプ(26)により流速42mL/minでタンク(22)に送り出される再循環流(16)と、蠕動ポンプ(図示していない)を使用して、研究室規模の噴霧乾燥機(ビュッヒ社, model B-290)(27)に送り出される他方の出口の流れ(17)である。
懸濁物(17)をアトマイズし且つ乾燥するために、研究室規模の噴霧乾燥機(27)には2つの流体ノズルが備えられた。並流の窒素(18)がアトマイズの後の乾燥を促進するために使用された。噴霧乾燥機(27)は、流速10mL/min且つ乾燥温度80℃のオープンサイクルモードで(すなわち乾燥ガスの再循環なしで)運転した。
単離された生成物は、粒径決定のためにSEMにより特性解析した。粒子の代表画像を図7に示す。ほぼマイクロ及びナノ径の粒子が得られた。図7に示すような得られた粒子を、図5Aで示すような実施例2で得られた連続A生成物の粒子と比較すると、再循環流(16)のために滞留時間が増加したことにより粒径が影響を受けることはなかった。
<粉末X線回折(XRPD)>
粉末X線ディフラクトグラムは、銅放射線源 (Cu Kα2, λ = 1.5406オングストローム) 、電圧40kV及びフィラメント発光35mAで、D8 Advance Bruker AXS Theta-2Thetaディファクトメータにより取得された。全走査に対して、試料は0.017°のステップサイズ及び50sのステップタイムでの、3から70°のインターバルで、2θを超えて測定された。
<走査電子顕微鏡(SEM)>
試料は、予めアルミニウムスタブ(aluminum stubs)に固定した粘着カーボンテープ (Ted Pella Inc., CA, USA)に付着させた。過剰な粉末は加圧空気の噴射により除去した。試料は2時間真空下に放置し、次に金/パラジウムで被覆した(South Bay Technologies, model E5100, San Clement, CA)。高真空中において15kVの加速電圧で運転されるJEOL JSM-7001F/Oxford INCA Energy 250/HKL 走査電子顕微鏡(JEOL, Japan) を使用した。