技術的問題は、下文に記載し、添付の特許請求の範囲において明らかにされる実施形態の提供により解決される。
本発明は、非天然型/遺伝子改変型/突然変異型のクラス3のセマフォリン、特に、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dからなる群から選択される、非天然型/遺伝子改変/突然変異セマフォリン、最も好ましくは、非天然型/遺伝子改変/突然変異セマフォリン3Aに関する。
したがって、本発明は、
(a)配列番号2に示す野性型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含み、または
(b)他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野性型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含み、かつ
(c)前記セマフォリン3が、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択され、好ましくは前記セマフォリン3がセマフォリン3Aである、
突然変異セマフォリン3(あるいは血管新生の阻害剤として機能するその機能性断片または前記突然変異セマフォリンもしくは前記機能性断片を含む融合タンパク質/ポリペプチド)に関する。
したがって、本発明は、一般的に、天然に存在せず、配列番号2に示す例示的なセマフォリン3Aの106位におけるアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含むセマフォリン3A、3B、3Cおよび3Dを提供する。下文にセマフォリン3A以外のセマフォリン3タンパク質、すなわち、セマフォリン3B、CおよびDにおけるこの突然変異の対応する位置を例示する。
これらの突然変異セマフォリン3の例は、配列番号2に示す野性型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに前記親水性アミノ酸;配列番号6に示す野性型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンの代わりに前記親水性アミノ酸;配列番号10に示す野性型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンの代わりに前記親水性アミノ酸;または配列番号14に示す野性型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンの代わりに前記親水性アミノ酸を含むセマフォリンである。
言い換えれば、本発明は、非天然型/遺伝子改変型セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよび/またはセマフォリン3Dを提供し、前記セマフォリン3、前記その機能性断片および/または前記融合タンパク質/ポリペプチドは、アミノ酸配列CX1X2A3GKDを含み、ここで、
X1は、KまたはNであり、
X2は、W、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、
A3は、前記アラニンを置換する前記親水性アミノ酸である。
本明細書で提供するコンセンサスモチーフCX1X2A3GKDは、本発明において初めて特定する。
本発明はまた、本発明の非天然型ポリペプチド、すなわち、本明細書で特徴付け、記載した突然変異セマフォリン3A、突然変異セマフォリン3B、突然変異セマフォリン3Cおよび/または突然変異セマフォリン3Dからなる群から選択される突然変異セマフォリン3をコードする核酸分子に関する。また非天然型セマフォリン3の本明細書で定義した機能性断片をコードする核酸分子および本発明の非天然型セマフォリン3または前記機能性断片を含む融合タンパク質/ポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。本明細書に示したように、本発明の機能性断片および融合ポリペプチド/タンパク質は、血管新生の驚くほど高い阻害を保持し、かつ/または疾患組織(がん組織および/または腫瘍におけるように)の驚くほど高い血管正常化の能力がある。したがって、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。本発明のポリペプチドは、本明細書で定義した突然変異セマフォリン3またはその機能性断片である。本発明のポリペプチドは、突然変異セマフォリン3(または本明細書で定義したような突然変異セマフォリン3の機能性断片)を含む融合タンパク質も含む。本発明のポリペプチド、特に本明細書で定義した融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として、かつ/または血管正常化剤として機能し、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンは、親水性アミノ酸により置換され、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。
特に、本発明は、核酸分子に関し、コードされる突然変異セマフォリン3(または前記その機能性断片もしくは前記融合ポリペプチド/タンパク質)は、アミノ酸配列コンセンサスモチーフCX1X2A3GKDを含み、ここで、
X1は、KまたはNである、アミノ酸であり、
X2は、W、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、
アラニン(A3)は、前記親水性アミノ酸、特にリシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはヒスチジン、より好ましくはリシンまたはアルギニン、最も好ましくはリシンにより置換されている。
本明細書で提供する非天然型/人工/突然変異セマフォリン(あるいはそれらの本明細書で述べた機能性断片および/または前記非天然型/人工/突然変異セマフォリンを含む融合タンパク質あるいは前記セマフォリンの前記非天然型/人工/突然変異機能性断片)は、高い医療的潜在能力を有する。添付の実施例において例示するように、本明細書で提供する発明の分子の医療的用途は、in vivoがんモデルにおけるがんの進行および転移の驚くべき低減である。このin vivoでの効果は、野生型セマフォリン3Aのような天然に存在するセマフォリンについて文書化されたまたは認められた任意の効果と比べて驚くほど優れている。本明細書で定義したセマフォリン3の本明細書で特定されたコンセンサスモチーフCX1X2A3GKD内の親水性アミノ酸による(天然に存在する)アラニン(A3)の人工的置換を含む特定の選択されるセマフォリン(セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dからなる群から選択されるクラス3のセマフォリン)による、この驚くべき効果を本明細書で例示する。前記セマフォリンにおける(または前記モチーフを含むその機能性断片における)この置換は、前記セマフォリン(セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dからなる群から選択される)の非修飾の天然に存在する野生型と比較して、そのプレキシン受容体に対する親和性の驚くべき増大をもたらす。言い換えれば、本発明は、クラス3の、突然変異セマフォリン3A、突然変異セマフォリン3B、突然変異セマフォリン3Cおよび突然変異セマフォリン3Dからなる群から選択される非天然型、突然変異セマフォリンを提供する。したがって、本発明は、突然変異セマフォリン3A、突然変異セマフォリン3B、突然変異セマフォリン3Cおよび突然変異セマフォリン3Dからなる群から選択されるクラス3の非天然型、突然変異セマフォリンを提供する。本明細書で述べた突然変異セマフォリン3(または本発明のこれらの突然変異セマフォリンの機能性断片および本明細書で述べた突然変異非天然型セマフォリンもしくはそれらの機能性断片を含む融合タンパク質)は、プレキシン受容体に驚くほど高い親和力で結合する。結合親和性の増大は、両価性(ambivalent)Nrp1タンパク質の関与の必要を回避する。さらに、突然変異セマフォリン3(または本明細書で述べたその機能性断片または本明細書で述べた融合タンパク質)とプレキシン受容体との間の高親和性結合は、所望の血管正常化および/または生理的、非疾患血管新生をもたらすその下流経路を効果的に誘発する。理論により拘束されるものではないが、本発明の突然変異セマフォリン3(または機能性断片またはそれを含む本発明の融合タンパク質)は、複数のフリンプロテアーゼ認識モチーフを含むIg様ドメイン/塩基性ストレッチ領域と無関係にそのプレキシン受容体との高親和性結合を可能にする。特定の実施形態では、本発明は、Ig様ドメイン/塩基性ストレッチ領域が欠失している、突然変異セマフォリン3またはその断片に関する。上述のようにまた添付の図2に示すようにプロテアーゼ(フリン)切断部位の欠如のため、本発明のタンパク質の保持時間は、延長し得る。
下文の添付のin vitroおよびin vivo実施例で実証されているように、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dからなる群から選択されるセマフォリン3(またはその機能性断片)のコンセンサスモチーフCX1X2A3GKDにおける親水性アミノ酸によるアラニンA3の置換がそのプレキシン受容体への結合の増大をもたらすことが驚くべきことに見いだされた。したがって、発明の非天然型突然変異セマフォリン3(あるいはその機能性断片または前記セマフォリン3を含む融合ポリペプチド/タンパク質もしくはそれらの機能性断片)は、Nrp1と無関係にプレキシン受容体に高い親和力で結合する。セマフォリン3のコンセンサスモチーフCX1X2A3GKDにおける(またはその突然変異/修飾を有する前記コンセンサスモチーフを含む前記セマフォリン3の機能性断片における)親水性アミノ酸によるアラニンの置換が、プレキシン受容体の驚くべき活性化の増大、およびヒトECの走触性移動の驚くべき阻害の増大をもたらすことも本明細書で実証されている。プレキシン受容体結合および活性化は、インテグリン活性化、細胞接着およびECMタンパク質上の移動の制御における重要なステップである。理論により拘束されるものではないが、セマフォリンによるプレキシン受容体の活性化により、インテグリンが不活性化し、ひいてはECM内の細胞の運動性が低下する。細胞移動は、がん細胞の進行および転移巣播種に不可欠である。したがって、本発明の突然変異セマフォリン3(およびその機能性断片)は、がんの進行および転移を効果的に阻害するために用いることができる。理論により拘束されるものではないが、発明の突然変異セマフォリン3(および/またはその機能性断片および/または前記突然変異セマフォリンもしくは本明細書で定義した機能性断片を含む融合タンパク質/ポリペプチド)は、対応するプレキシン受容体に高親和力で結合し、対応する下流経路を効果的に活性化し、細胞運動性を効果的に阻害する。実施例において示し、実証するように、クラス3の特定のセマフォリン(セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3D)における本明細書で定義した人工的に導入された修飾は、がんの進行および/または転移のin vivoでの低減の増大を示す驚くほどに有効な分子をもたらす。本明細書で述べた突然変異/非天然型セマフォリン様分子は、天然セマフォリン3と比較した場合、驚くほどにより良好なin vivoおよび/またはin vitro特性を示す。セマフォリン3のコンセンサスモチーフCX1X2A3GKDにおける(あるいは前記突然変異モチーフを有するその機能性断片におけるまたは本明細書で定義した非天然型セマフォリン3を含むもしくは本明細書で定義した機能性断片を含む融合ポリペプチド/タンパク質における)アラニンの置換ががんの進行および転移の低減の増大をもたらすことが本明細書で示され、かつ添付の実施例において示されている。前記アラニン(A3)の置換は、好ましくは親水性アミノ酸、最も好ましくはリシンである。非天然型の突然変異セマフォリン3におけるがんの進行および転移のこのもたらされる低減は、野性型セマフォリン3Aのような従来のまたは天然セマフォリンについて認められる効果よりも驚くべきことに優れている。特に、本明細書に示したin vivoデータにより、がんの成長および転移巣体積(metastasis volume)の驚くほどにさらに高い阻害が証明されている。ヒトがんの2つのマウスモデルにより、有益な薬理効果が証明されている。
したがって、添付の実施例で実証されているように、および本明細書で説明するように、本発明のセマフォリン(および/またはその機能性断片および/または本明細書で述べた融合ポリペプチド/タンパク質)は、従来のまたは天然セマフォリンと比較して血管新生障害および/または腫瘍性疾患の治療に優れている。
本発明のセマフォリンの(または機能性断片(複数可)または本発明の非天然型セマフォリンを含むもしくは前記機能性断片を含む融合ポリペプチド/タンパク質の)優れた効果は、例えば、添付の実施例におけるセマフォリン3A A106K(106位におけるアラニンのリシンへの突然変異)(例えば、配列番号18または20に示すセマフォリン3A A106K ΔIg−b)(添付の図3参照)のようなコンセンサスモチーフCX1X2A3GKDにおける親水性アミノ酸によるアラニン(A3)の置換に起因する。添付の実施例において示すように、保存モチーフCX1X2A3GKDにおける点突然変異(例えば、配列番号43または44に示す核酸配列をコードする、セマフォリン3A ΔIg−b)(添付の図2参照)を欠くことを除いて、セマフォリン3A A106Kと同じ構造を有するセマフォリン3構築物は、有益な薬理効果を示さなかった。したがって、本発明において実証された驚くべき有益な効果は、マウスならびに/またはヒトSema3A、Sema3B、Sema3CおよびSema3DのCX1X2A3GKDにおける本明細書で述べた突然変異に帰すことができる。好ましくは、本発明は、アラニン(A3)における本明細書で定義した突然変異を含むSema3A、Sema3B、Sema3CおよびSema3Dからなる群から選択されるヒトセマフォリン3(または本明細書で定義したコンセンサスモチーフを含むこれらのヒトセマフォリンの機能性断片)に関する。最も好ましくは、本発明は、配列モチーフCX1X2A3GKDにおけるアラニン(A3)の本明細書で述べた置換を含む本明細書で定義したモチーフを含む突然変異ヒトSema3A(または前記ヒトSema3Aの機能性断片)に関する。前記置換は、親水性アミノ酸による置換、最も好ましくはリシン(K)による置換である。突然変異させたアラニン(A3)は、マウスならびにヒトSema3A、Sema3B、Sema3CおよびSema3Dに見いだすことができる高度に保存された配列モチーフCX1X2A3GKDの一部である。添付の図3を参照のこと。これと整合して、添付の実施例に示されている同等の有益な効果は、(ヒト)Sema3B、Sema3Cおよび/またはSema3Dにおける親水性アミノ酸(Kのような)による前記アラニンの置換により予測され、また得られることが妥当と思われる。
ヒトならびにマウスSema3E、Sema3GおよびSema3Fは、天然に存在する親水性アミノ酸を有し、アラニンA3残基は、コンセンサス配列CX1X2A3GKに存在する。したがって、それらは、配列番号2に示すセマフォリン3Aの106位に対応する位置に親水性アミノ酸を有する。Sema3EおよびSema3Gの両方がこの位置にリシンを含み、Sema3Fはセリンを含む。それにもかかわらず、Sema3EおよびSema3Fは、以下で説明し、添付の実施例で示すように本発明のセマフォリン3について示された発明の特性を示さない。Sema3Fにおける107位におけるリシンによるセリンの置換は、プレキシンA、B、CまたはD受容体への結合を増大させない。さらに、この突然変異体は、本発明の突然変異セマフォリン3または機能性断片について本明細書で示されている、107位にセリンを示すその野生型カウンターパートよりも効果的にECの移動を阻害することができない。添付の実施例2および図12を参照のこと。さらに、Fcタグセマフォリン3Eおよびセマフォリン3Fは、親水性アミノ酸によるアラニンの本発明の置換を含む例示的な突然変異セマフォリン3Aほど強くはECの移動を阻害することができない。例示的図13を参照のこと。したがって、本明細書で提供する本発明の突然変異セマフォリン、すなわち、突然変異セマフォリン3A、突然変異セマフォリン3B、突然変異セマフォリン3Cおよび突然変異セマフォリン3Dは、配列番号2に示すセマフォリン3Aの106位に対応する位置に天然に存在する親水性アミノ酸を含むセマフォリン3と比較してEC細胞の運動性の驚くほどに優れた阻害剤である。細胞運動性の示された強い阻害は、本発明の突然変異セマフォリン3タンパク質が天然に存在するセマフォリン3と比較して血管新生障害および/または腫瘍性疾患の療法において優れていることを示すものである(下文も参照)。
したがって、本発明は、(ヒト)Sema3E、Sema3Fおよび/またはSema3Gに関連しない。
Sema3A/3B/3Cもしくは3Dにおける(またはその機能性断片における)コンセンサスモチーフCX1X2A3GKDにおける例えば、リシンによるアラニン(A3)の置換(とりわけ、Sema3Aの交換A106Kのような)は、2種のトランスジェニックマウスモデル、すなわち、自然発症膵神経内分泌がん(RipTag2)および膵管腺がん(PDAC)におけるがんの成長および転移巣形成の阻害の増大をもたらす。実施例2を参照のこと。PDACマウスは、高頻度かつ致死的ヒト膵がん組織型のモデルである。最も重要なことに、かつ驚くべきことに、非経口的に送達されたSema3A A106Kは、AAV8野生型Sema3Aタンパク質と比較してPDACマウスにおける優れた薬理効果を示す。詳細には、Sema3A A106Kは、がんの成長を64%(添付の図11A参照)、肝臓転移の発生率を81%(添付の図11B参照)阻害し、転移巣体積を78%減少させた。AAV−8送達野生型Sema3Aは、がんの成長を52%(添付の図10A参照)、肝臓転移の発生率を59%阻害したにすぎなかった。さらに、Sema3A A106Kは、ヒトがんを繰り返すマウスモデルにおける血管面積を減少させ、周皮細胞の被覆を増大させることによってがん血管の正常化を促進し、血管潅流を増加させ、がん低酸素を阻害した(添付の図11C参照)。
したがって、Sema3A A106Kのような、本発明の突然変異/非天然型セマフォリンは、従来の非修飾セマフォリンと比較してがんの進行および転移巣播種の低減にすぐれた効果をもたらす。
さらに、非経口的に投与したSema3A A106Kは、アデノ随伴ウイルス8(AAV8)送達全長Sema3Aと同様にRIP−Tag2マウスの生存期間を延長させた。Sema3A A106Kは、i)がん体積の67%の減少をもたらし;ii)がん血管面積を51%効果的に減少させ(添付の図9A参照);iii)周皮細胞被覆の増加によりがん血管の正常化を有利にし(添付の図9B参照);iv)潅流を増大させ(添付の図9C参照)、組織低酸素を低減した(添付の図9D参照)。したがって、本発明は、Nrp1結合と無関係である、その驚くべき治療効果を実証する。
さらに、突然変異セマフォリン3タンパク質(および/またはその機能性断片および/または前記突然変異セマフォリンもしくはそこで定義した断片を含む融合タンパク質/ポリペプチド)の優れた効果は、in vitro実験においても証明されている。添付の実施例を参照のこと。突然変異セマフォリン3A A106Kに見いだされたような、セマフォリン3またはその機能性断片のコンセンサスモチーフCX1X2A3GKDにおける親水性アミノ酸によるアラニン(A3)の置換は、野生型Sema3AまたはSema3A ΔIg−bと比較してプレキシンA4への高親和性結合をもたらす。添付の実施例を参照のこと。さらに、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片、例えば、Sema3A A106Kは、従来のセマフォリンと比較してRap1低分子量GTPアーゼのGTP負荷の阻害の増大(添付の図8A参照)およびERK1/2キナーゼのリン酸化の増大(添付の図8B参照)を示す。したがって、突然変異セマフォリン3(またはその機能性断片またはそれを含む融合ポリペプチド/タンパク質)は、天然ヒトSema3Aのような、従来のセマフォリンと比較してプレキシンサブユニットに例外的に高い親和力で結合し、がん血管の正常化をもたらすその下流経路を効果的に誘発する。
さらに、セマフォリン3タンパク質は、ECMタンパク質へのECの走触性移動などの、インテグリンを介する細胞運動性を制御する。ECMタンパク質上およびECMタンパク質へのインテグリン媒介性細胞移動は、血管形成(血管新生)および全身へのがん細胞の播種(転移)などの、いくつかの生理学的および病理学的状況において極めて重要な役割を果たす(Desgrosellier and Cheresh, 2010)。したがって、従来のまたは非天然型セマフォリン3またはその機能性断片に反応しての細胞の移動を解析した。驚くべきことに、セマフォリン3またはその機能性断片のコンセンサスモチーフCX1X2A3GKDにおける親水性アミノ酸によるアラニン(A3)の置換は、従来のセマフォリンと比較してヒト臍静脈内皮細胞(EC)の方向性がある移動のさらに高い阻害をもたらす(添付の図6A〜C参照)。市販のヒト野生型セマフォリン3Aおよびマウスセマフォリン3AΔIg−bは、ECの運動性を19〜25%低下させたにすぎなかった(表3)。重要なことに、Sema3A A106Kのような、突然変異セマフォリン3タンパク質(および/またはその機能性断片および/または前記突然変異セマフォリンもしくはそこで定義した断片を含む融合タンパク質/ポリペプチド)は、ECの運動性の最も効果的な阻害剤である。特に、最大(3,5nM)用量の市販のヒトSEMA3A WTは、ECの方向性がある移動を20%阻害したが、17.5倍低い(0.2nM)用量のヒトSEMA3A A106K(例えば、配列番号18)は、ECの運動性を46%阻害した(表4)。
したがって、本発明の突然変異セマフォリン3(またはその機能性断片および/または突然変異、非天然型セマフォリンもしくはそれらの機能性断片を含む本発明の融合ポリペプチド/タンパク質)は、従来のセマフォリンと比較して細胞の運動性の優れた阻害剤である。細胞運動性の阻害は、がん細胞の転移性播種も減弱させる。したがって、本発明の突然変異セマフォリン3(またはその機能性断片および/または突然変異、非天然型セマフォリンもしくはそれらの機能性断片を含む本発明の融合ポリペプチド/タンパク質)は、従来のセマフォリンと比較してがん細胞の形成および転移性播種の優れた阻害剤である。
したがって、添付の実施例における実験データは、血管新生障害および/または腫瘍性疾患/がんの療法の改善に本発明の突然変異セマフォリン3(または機能性断片またはそれを含む融合タンパク質/ポリペプチド)を使用する明確な論理的根拠となるものである。
本発明は、とりわけ従来の血管新生阻害剤と比べて以下の利点を有する。本発明の1つの利点は、本発明の化合物、すなわち、本明細書で述べた突然変異セマフォリン/その機能性断片/融合タンパク質/ポリペプチドは、プレキシン受容体に高い親和力で結合するが、それにもかかわらず、がんの進行を促進する無血管腫瘍領域へのマクロファージのNrp−1依存性セマフォリン誘導性侵入を回避する。さらなる利点として、本発明の化合物は、プレキシン受容体シグナル伝達を効果的に誘発する。さらなる有利な特性として、本発明の化合物は、Nrp1と無関係にプレキシン受容体を活性化する。さらに、本発明の化合物は、従来のセマフォリン3タンパク質と比較してECの移動をより効果的に阻害する。本発明の化合物は、プロテアーゼにより切断されず、保持時間の延長がもたらされる。さらなる利点として、本発明の化合物(タンパク質ならびにそれをコードする核酸分子)は、非経口的に送達することができる。本発明の化合物は、新しい血管の形成を予防し、それにより、腫瘍の成長または広がりを停止させるまたは遅くするのに優れている。本発明の化合物は、血管面積を減少させ、がん血管を正常化し、がん血管の潅流を増大させ、かつ/または組織低酸素を低減させるのに優れている。本発明の化合物は、血管正常化剤として用いることができ、すなわち、がん血管が正常化し、がん血管の潅流が増大し、かつ/または組織低酸素が低減する。本発明のさらなる利点は、がんの成長がより効果的に阻害されることである。さらなる有利な特性として、本発明のタンパク質および/または核酸分子は、転移発生率を低減させ、転移巣体積を減少させる。したがって、本発明は、がんの進行および転移巣播種を阻害するのに優れた効果を有する。
本明細書で用いられる、本発明による「突然変異セマフォリン3」、「遺伝子改変セマフォリン3」、「非天然型セマフォリン3」または「非天然セマフォリン3」という用語は、本明細書で定義したセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cまたはセマフォリン3Dの突然変異型を意味する。突然変異セマフォリン3は、アミノ酸置換(複数可)、付加(複数可)、欠失(複数可)および重複(複数可)からなる群から選択される少なくとも1つの突然変異を含む点が野生型セマフォリン3またはその機能性断片と異なる。特に、セマフォリン3の突然変異型は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置における親水性アミノ酸によるアラニンの置換を含む。言い換えれば、セマフォリン3タンパク質におけるコンセンサスモチーフCX1X2A3GKD(配列番号73にも示されている)におけるアラニン(A3)が親水性アミノ酸に突然変異している(表1)。したがって、突然変異セマフォリン3Aは、配列番号2または4に示す野生型セマフォリン3Aの106位におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されている、アミノ酸配列を含む。突然変異セマフォリン3Bは、配列番号6または8に示す野生型セマフォリン3Bの105位におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されている、アミノ酸配列を含む。突然変異セマフォリン3Cは、配列番号10または12に示す野生型セマフォリン3Cの104位におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されている、アミノ酸配列を含む。突然変異セマフォリン3Dは、配列番号14または16に示す野生型セマフォリン3Dの120位におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されている、アミノ酸配列を含む。前記親水性アミノ酸は、例えば、リシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはヒスチジン、より好ましくはリシンまたはアルギニン、最も好ましくはリシンであり得る。親水性アミノ酸は、非タンパク質構成または非標準α−アミノ酸(例えば、オルニチンおよびシトルリンなど)であり得ることも本明細書で認識される。親水性アミノ酸によるアラニンの置換が、がんの成長および転移巣の形成のさらに高い阻害をもたらすことが上文および添付の実施例において示されている。一般的に、セマフォリン3における親水性アミノ酸への突然変異は、プレキシン受容体に対する高い結合親和性をもたらす。突然変異セマフォリン3の結合の増大は、プレキシン受容体およびそれらの下流シグナル伝達の活性化の増大をもたらす。プレキシン受容体は、がん細胞の進行および転移における重要な側面である、インテグリンの活性化、細胞接着およびECMタンパク質上またはECMタンパク質への移動の制御に極めて重要である。したがって、本発明の突然変異セマフォリン3は、血管新生の阻害剤として、かつ血管正常化剤として用いることができる。
特に、本発明は、突然変異セマフォリンがセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択されることを意味する突然変異セマフォリン3タンパク質に関する。同様に、本発明に関連して突然変異セマフォリン3または突然変異セマフォリン3タンパク質に言及する場合、これは、突然変異セマフォリン3A、突然変異セマフォリン3B、突然変異セマフォリン3Cおよび突然変異セマフォリン3Dを意味するものとする。本発明の最も好ましい態様では、突然変異セマフォリン3は突然変異セマフォリン3Aである。突然変異セマフォリン3は、セマフォリン3E、セマフォリン3Fまたはセマフォリン3Gでないことが本明細書において理解される。さらに、本発明による突然変異セマフォリン3は、例えば、モウコノウマ(Equus przewalskii)に由来するセマフォリン3BアイソフォームX2または例えば、アムールトラ(Panthera tigris altaica)に由来するセマフォリン3BアイソフォームX6を含まないことが本明細書において理解される。そのようなセマフォリンは、アラニンA3が親水性アミノ酸により置換されている、アミノ酸配列CX1X2A3GKDを含まない。さらに、本発明による突然変異セマフォリン3は、血管新生の阻害剤として、かつ/または血管正常化剤として機能する。
本明細書で用いられる「セマフォリン3A」、「セマフォリン3B」、「セマフォリン3C」および「セマフォリン3D」、「Sema3A」、「Sema3B」、「Sema3C」および「Sema3D」、「SEMA3A」、「SEMA3B」、「SEMA3C」および「SEMA3D」という用語は、主としてタンパク質を意味する。本明細書で定義し、本発明により使用される「Sema3A」、「Sema3B」、「Sema3C」および「Sema3D」は、好ましくはヒト「Sema3A」、「Sema3B」、「Sema3C」および「Sema3D」である。本明細書で定義し、本発明により使用される「セマフォリン3A」、「セマフォリン3B」、「セマフォリン3C」および「セマフォリン3D」は、好ましくはヒト「Sema3A」、「Sema3B」、「Sema3C」および「Sema3D」である。本明細書で定義し、本発明により使用される「SEMA3A」、「SEMA3B」、「SEMA3C」および「SEMA3D」は、好ましくはヒト「Sema3A」、「Sema3B」、「Sema3C」および「Sema3D」である。
Sema3A A106Kまたはセマフォリン3A A106Kは、本明細書および添付の実施例においてFcタグSema3A A106KΔIg−bとも呼ぶ。
野生型セマフォリン3のアミノ酸配列およびコード化ヌクレオチド配列は、当技術分野で周知である。核酸配列は、以下の受託番号を用いてNCBIのような公開データベースにおいて検索することができる(以下の配列は、NCBIデータベースから検索された)。
ヒト(Homo sapiens)SEMA3A、配列番号1に対応する>gi|100913215|ref|NM_006080.2|;マウス(Mus musculus)Sema3A、配列番号3に対応する>gi|340523098|ref|NM_009152.4|);ヒト(Homo sapiens)SEMA3B、配列番号5に対応する>gi|586798179|ref|NM_001290060.1|;マウス(Mus musculus)Sema3B、配列番号7に対応する>gi|615276319|ref|NM_001042779.2|;ヒト(Homo sapiens)SEMA3C、配列番号9に対応する>gi|335057525|ref|NM_006379.3|;マウス(Mus musculus)Sema3C、配列番号11に対応する>gi|118130842|ref|NM_013657.5|;ヒト(Homo sapiens)SEMA3D、配列番号13に対応する>gi|41406085|ref|NM_152754.2|;またはマウス(Mus musculus)Sema3D、配列番号15に対応する>gi|282847343|ref|NM_028882.4|
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13または配列番号15は、野生型全長セマフォリン3タンパク質をコードする。
対応するアミノ酸配列は、NCBIのような公開データベースにおいて検索することができる。以下の配列は、NCBIデータベースから検索された。
ヒト(Homo sapiens)SEMA3A、配列番号2に対応する|ref|NP_006071.1|;
マウス(Mus musculus)Sema3A、配列番号4に対応する|ref|NP_033178.2;
ヒト(Homo sapiens)SEMA3B、配列番号6に対応する|ref|NP_001276989.1|;
マウス(Mus musculus)Sema3B、配列番号8に対応する|ref|NP_001036244.1;
ヒト(Homo sapiens)SEMA3C、配列番号10に対応する|ref|NP_006370.1|;
マウス(Mus musculus)Sema3C、配列番号12に対応する|ref|NP_038685.3;
ヒト(Homo sapiens)SEMA3D、配列番号14に対応する|ref|NP_689967.2|;または
マウス(Mus musculus)Sema3D、配列番号16に対応する|ref|NP_083158.3
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16は、野生型全長セマフォリン3タンパク質のアミノ酸配列を含む。
本発明のセマフォリン3のアミノ酸配列は、例えば、マウスならびにヒトセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3DについてUniprotからも得ることができる。
一実施形態では、本発明は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されており、前記セマフォリン3がセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される、突然変異セマフォリン3のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸に関する。
さらなる実施形態では、本発明は、突然変異セマフォリン3に関し、前記突然変異セマフォリン3は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンは親水性アミノ酸により置換されているアミノ酸配列を含み、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。
さらなる実施形態では、本発明は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されており、前記セマフォリン3がセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される、突然変異セマフォリン3またはその断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子に関する。
さらなる実施形態では、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその断片に関し、前記突然変異セマフォリン3または前記その断片は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、またはセマフォリン3タンパク質の他のセマフォリンにおける、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されているアミノ酸配列を含み、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。
上で説明したように、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含み、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含み、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。
上で説明したようにかつ表1に例示したように、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンは、配列番号2の106位におけるセマフォリン3Aの固有のアラニンまたは配列番号2の106位におけるセマフォリン3Aの前記固有のアラニンに対応する、セマフォリン3A、3B、3Cもしくは3D、好ましくはセマフォリン3Aの公知の野生型配列における固有のアラニンアミノ酸残基を意味する。それは、配列番号2の106位、配列番号6の105位、配列番号10の104位または配列番号14の120位における前記固有のアラニンと相同である公知の野生型配列、例えば、セマフォリン3A、3B、3Cまたは3Dにおける特定のアミノ酸残基も意味する。例示的な相同アミノ酸残基は、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンであり得る。最も好ましくは、特定のアミノ酸残基は、アラニンである。
対応する位置における他の野生型配列における対応するアミノ酸残基は、好ましくは下記のような関連配列について標準相同性スクリーニングまたはPCR媒介スクリーニング手法により選択することができる。アラニンまたは対応するアラニンは、本発明による突然変異セマフォリン3において親水性アミノ酸により置換されているかまたはそれに変化している。
本明細書で言及し、説明したように、他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンは、配列番号2に示す106位における前記セマフォリン3Aの前記固有のアラニンに対応するセマフォリン3B、3Cまたは3Dの公知の野生型配列における固有のアラニンアミノ酸残基を意味する。対応するアラニンは、突然変異セマフォリン3B、3Cまたは3Dにおいて親水性アミノ酸により置換されている。言い換えれば、配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニン、配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニン、または配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンは、親水性アミノ酸により置換される。
配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンは、配列番号6の105位におけるセマフォリン3Bの固有のアラニンまたは配列番号6の105位におけるセマフォリン3Bの前記固有のアラニンに対応するセマフォリン3Bの公知の野生型配列における固有のアラニンアミノ酸残基を意味する。配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンは、配列番号10の104位におけるセマフォリン3Cの固有のアラニンまたは配列番号10の104位におけるセマフォリン3Cの前記固有のアラニンに対応するセマフォリン3Cの公知の野生型配列における固有のアラニンアミノ酸残基を意味する。配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンは、配列番号14の120位におけるセマフォリン3Dの固有のアラニンまたは配列番号14の120位におけるセマフォリン3Dの前記固有のアラニンに対応するセマフォリン3Dの公知の野生型配列における固有のアラニンアミノ酸残基を意味する。本明細書で言及し、詳述したように、対応する位置における対応するアミノ酸残基は、好ましくは相同性の比較により選択することができる。ポリペプチドまたはヌクレオチド配列間の相同性は、それらの配列類似性から一般的に推測される。複数の配列のアライメントを本明細書で用いて、各配列のどの領域または特定のアミノ酸が相同であるかを示すことができる。セマフォリン3A、B、CおよびDのアミノ酸配列を参照配列として用いることができる。相同性は、好ましくはアミノ酸の一定のストレッチ、例えば、10、より好ましくは20、より好ましくは30、より好ましくは50もしくはより好ましくは100アミノ酸残基にわたって存在する、または最も好ましくは、相同性は、アミノ酸ストレッチ全体にわたって存在する。セマフォリン3タンパク質の例示的なアミノ酸ストレッチの例示的なアミノ酸配列アライメントを表1に示す。対応するアラニンは、突然変異セマフォリン3に含まれるアミノ酸配列CX1X2A3GKDにおける最も好ましくはA3である。したがって、本発明の突然変異は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDの助けにより特定することもできる。
本明細書で述べたように、本発明は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含む、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含む突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。
言い換えれば、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含み、またはセマフォリン3B、CもしくはDにおける、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含み、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。言い換えれば、他のセマフォリンは、セマフォリン3B、3Cおよび3Dである。
言い換えれば、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片であって、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dからなる群から選択され、前記突然変異セマフォリン3は、
配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;
配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;
配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;または
配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含む。
本発明の最も好ましい実施形態では、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含み、前記セマフォリン3は、セマフォリン3Aである。言い換えれば、本発明は、突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片に関し、前記突然変異セマフォリン3Aは、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含む。
上で概要を述べたように、また添付の実施例で示すように、アミノ酸配列CX1X2A3GKDにおけるアラニン(A3)の置換により、セマフォリン3A、B、CまたはDポリペプチドが強力な血管新生の阻害剤となる。したがって、突然変異セマフォリンに含まれるアミノ酸配列CX1X2A3GKDにおいて、アラニン(A3)が親水性アミノ酸に突然変異している。すなわち、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、前記突然変異セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dからなる群から選択され、前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片は、
配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;
配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;
配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;または
配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸
を含み、前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDを含み、
X1は、KまたはNである、アミノ酸であり、
X2は、W、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、
アラニン(A3)は、前記親水性アミノ酸により置換されている。
言い換えれば、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、前記突然変異セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dからなる群から選択され、前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDを含み、
X1は、KまたはNである、アミノ酸であり、
X2は、W、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、
アラニン(A3)は、親水性アミノ酸により置換されており、前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片は、
配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに前記親水性アミノ酸;
配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンの代わりに前記親水性アミノ酸;
配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンの代わりに前記親水性アミノ酸;または
配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンの代わりに前記親水性アミノ酸
を含む。
以下の説明は、すべての異なる実施形態を含む。以下は、血管新生の阻害剤として機能する活性を主として有する本明細書で提供する非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質もしくはそれらの本明細書で述べた機能性断片もしくは本明細書で述べた機能性semaドメインおよび/または前記非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質もしくは前記非天然型/人工/突然変異機能性断片を含む融合タンパク質/ポリペプチドもしくは前記セマフォリン3タンパク質の前記機能性semaドメインに関する。言い換えれば、本発明の化合物、すなわち、本明細書で述べた突然変異セマフォリン3タンパク質/その機能性断片/機能性semaドメイン/融合タンパク質/ポリペプチドは、血管新生の阻害剤として機能する活性を主として有する。一般的に、血管新生の阻害剤は、新しい血管の形成を妨げ、それにより、腫瘍の成長または広がりを停止または遅くする。本明細書で示したように、本発明の化合物は、血管面積を減少させ、がん血管を正常化し、すなわち、周皮細胞被覆を増加させ、がん血管の潅流を増大させ、かつ/または組織低酸素を低減させる。したがって、本発明のアミノ酸配列および/または核酸配列は、血管新生の直接的かつ/または間接的阻害剤に関連する。一般的に、血管新生の阻害剤は、ECなどの細胞の表面上の受容体および/または下流シグナル伝達経路における他のタンパク質にも結合し、それらの活性をブロックする。添付の実施例に示すように、突然変異セマフォリン3、その機能性断片、機能性semaドメイン、本発明の融合タンパク質またはポリペプチドは、そのプレキシン受容体、例えば、プレキシンA4またはプレキシンA2などのA型プレキシンに高い親和力で結合する、すなわち、非常に低いナノモル/サブナノモル範囲の解離定数KDを示す。したがって、本発明のアミノ酸配列および/または核酸配列は、血管新生を直接的かつ/または間接的に阻害する。特に、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、そのプレキシン受容体に対する親和性を有し、6nMより低い解離定数KDを有する。好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、そのプレキシン受容体に対する親和性を有し、4nMより低い解離定数KDを有する。より好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、そのプレキシン受容体に対する親和性を有し、2nMより低い解離定数KDを有する。最も好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、そのプレキシン受容体に対する親和性を有し、1nMより低い解離定数KDを有する。解離定数KDは、添付の実施例から明らかであるアッセイなどの、当技術分野で公知の標準的方法により測定することができる。突然変異セマフォリン3AがプレキシンA4受容体に高い親和力で結合する、すなわち、非常に低いナノモル/サブナノモル範囲の解離定数KDを示すことが添付の実施例で実証されている。さらに、突然変異セマフォリン3BがプレキシンA2受容体に高い親和力で結合すること、すなわち、非常に低いナノモル/サブナノモル範囲の解離定数KDを示すことが実証されている。
さらに、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片、機能性semaドメインまたは融合タンパク質/ポリペプチドは、Rap1 GTP負荷を阻害する(65%)。したがって、本発明のアミノ酸配列および/または核酸配列は、血管新生に関連する下流シグナル伝達経路を媒介する。したがって、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、添付の実施例で示されるように、血管新生を直接的かつ/または間接的に阻害する。特に、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、Rap1 GTP負荷を少なくとも50%阻害する。好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、Rap1 GTP負荷を少なくとも55%阻害する。なおより好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、Rap1 GTP負荷を少なくとも55%阻害する。最も好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、Rap1 GTP負荷を少なくとも65%阻害する。Rap1 GTP負荷の阻害は、添付の実施例から明らかであるアッセイなどの、当技術分野で公知の標準的方法により測定することができる。さらに、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片、機能性semaドメインまたは融合タンパク質/ポリペプチドは、ERK 1/2リン酸化を活性化する(3.9倍)。特に、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、ERK 1/2リン酸化を少なくとも2.5倍活性化する。好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、ERK 1/2リン酸化を少なくとも3.0倍活性化する。より好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、ERK 1/2リン酸化を少なくとも3.5倍活性化する。最も好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、ERK 1/2リン酸化を少なくとも4.9倍活性化する。ERK 1/2リン酸化の活性化は、添付の実施例から明らかであるアッセイなどの、当技術分野で公知の標準的方法により測定することができる。
さらに、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片、機能性semaドメイン、融合タンパク質またはポリペプチドは、ECなどの、細胞の運動性を阻害する(46%)。したがって、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片および本発明の融合タンパク質/ポリペプチドは、細胞の運動性の(優れた)阻害剤および/またはがん細胞の転移性播種の阻害剤である。したがって、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、がん細胞の転移性播種を阻害する。特に、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、内皮細胞などの細胞の運動性を少なくとも30%阻害する。好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、内皮細胞などの細胞の運動性を少なくとも35%阻害する。なおより好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、内皮細胞などの細胞の運動性を少なくとも40%阻害する。最も好ましい態様では、本発明の突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、内皮細胞などの細胞の運動性を少なくとも45%阻害する。細胞の運動性は、添付の実施例から明らかであるアッセイなどの、当技術分野で公知の標準的方法により測定することができる。
さらなる実施形態では、本発明は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3またはその機能性断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子に関し、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンは親水性アミノ酸により置換されており、前記セマフォリン3はセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。
さらなる実施形態では、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、血管新生の阻害剤として機能する前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンは親水性アミノ酸により置換されているアミノ酸配列を含み、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。
さらなる実施形態では、本発明は、血管新生の阻害剤として機能する遺伝子改変セマフォリン3またはその機能性断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子に関し、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンは親水性アミノ酸により置換されており、前記セマフォリン3はセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。
さらなる実施形態では、本発明は、遺伝子改変セマフォリン3またはその機能性断片に関し、血管新生の阻害剤として機能する前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンは親水性アミノ酸により置換されているアミノ酸配列を含み、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。
さらなる実施形態では、本明細書で提供する非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質もしくはそれらの本明細書で述べた機能性断片および/または前記非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質もしくは前記非天然型/人工/突然変異機能性断片を含む融合タンパク質/ポリペプチドまたは前記セマフォリン3タンパク質の前記機能性semaドメインまたは本明細書で提供するポリペプチドは、血管正常化剤として機能する活性を有する。言い換えれば、本発明の化合物、すなわち、本明細書で述べた突然変異セマフォリン3タンパク質/その機能性断片/機能性semaドメイン/融合ポリペプチド/タンパク質は、血管正常化剤として機能する活性を有し、血管正常化剤は、がん血管を正常化する、すなわち、周皮細胞被覆を増加させ、がん血管の潅流を増大させ、組織低酸素を低減し、かつ/またはがんへの薬物送達を改善する。したがって、本発明のアミノ酸配列および/または核酸配列は、直接的かつ/または間接的血管正常化剤に関連する。
したがって、本発明は、血管正常化剤として機能する突然変異セマフォリン3またはその機能性断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子に関し、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンは親水性アミノ酸により置換されており、前記セマフォリン3はセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。
さらに、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、血管正常化剤として機能する前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンは親水性アミノ酸により置換されているアミノ酸配列を含み、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。
以下の説明は、別途明確に述べない限り、上文で述べた本発明の実施形態のそれぞれに関するものである。
突然変異セマフォリン3タンパク質、遺伝子改変セマフォリン3タンパク質または関連ポリペプチド(その機能性断片および/または前記突然変異セマフォリン3タンパク質を含む融合タンパク質または本明細書で提供し、定義した特定のセマフォリン3タンパク質との少なくとも55%の同一性を有する前記セマフォリン3タンパク質の前記突然変異機能性断片など)は、血管新生阻害剤としての活性を主として有する。
さらに、突然変異セマフォリン3タンパク質、遺伝子改変セマフォリン3タンパク質または関連ポリペプチド(その機能性断片および/または前記突然変異セマフォリン3タンパク質を含む融合タンパク質または本明細書で提供し、定義した特定のセマフォリン3タンパク質との少なくとも55%の同一性を有する前記セマフォリン3タンパク質の前記突然変異機能性断片など)は、血管正常化剤としての活性を主として有する。
好ましい態様では、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸分子は、好ましくは配列番号1に示す核酸配列と少なくとも50%相同/同一である。そのような核酸配列は、オーソロガス/相同/同一である(かつしたがって関連する)配列も含み得ることが理解される。より好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸配列は、配列番号1のいずれか1つに示されている核酸配列と少なくとも52%、53%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%相同/同一であり、より高い値の配列同一性が好ましい。
特定の態様では、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸分子は、好ましくは配列番号5に示す核酸配列と少なくとも48%相同/同一である。そのような核酸配列は、オーソロガス/相同/同一である(かつしたがって関連する)配列も含み得ることが理解される。より好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸配列は、配列番号5のいずれか1つに示されている核酸配列と少なくとも50%、52%、53%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%相同/同一であり、より高い値の配列同一性が好ましい。
特定の態様では、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸分子は、好ましくは配列番号9に示す核酸配列と少なくとも55%相同/同一である。そのような核酸配列は、オーソロガス/相同/同一である(かつしたがって関連する)配列も含み得ることが理解される。より好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸配列は、配列番号9のいずれか1つに示されている核酸配列と少なくとも57%、60%、63%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%相同/同一であり、より高い値の配列同一性が好ましい。
特定の態様では、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸分子は、好ましくは配列番号13に示す核酸配列と少なくとも45%相同/同一である。そのような核酸配列は、オーソロガス/相同/同一である(かつしたがって関連する)配列も含み得ることが理解される。より好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸配列は、配列番号13のいずれか1つに示されている核酸配列と少なくとも48%、50%、53%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%相同/同一であり、より高い値の配列同一性が好ましい。
特定の態様では、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸分子は、好ましくは配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、57、59、61、63、65、67、69または71のいずれか1つに示す核酸配列と少なくとも55%相同/同一である。そのような核酸配列は、オーソロガス/相同/同一である(かつしたがって関連する)配列も含み得ることが理解される。より好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、57、59、61、63、65、67、69または71のいずれか1つに示す核酸配列と少なくとも56%、58%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%相同/同一であり、より高い値の配列同一性が好ましい。より好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードするすべての態様の核酸配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、57、59、61、63、65、67、69または71のいずれか1つに示す核酸配列と少なくとも60%相同/同一である。より好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、57、59、61、63、65、67、69または71のいずれか1つに示す核酸配列と少なくとも70%相同/同一である。なおより好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、57、59、61、63、65、67、69または71のいずれか1つに示す核酸配列と少なくとも80%相同/同一である。最も好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードする核酸配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、57、59、61、63、65、67、69または71のいずれか1つに示す核酸配列と少なくとも90%相同/同一である。上で定義したオーソロガス/相同/同一配列は、より長いまたはより短いアイソフォーム、スプライス変異体および融合転写物にも含まれ得る。本明細書で用いられる「オーソロガスタンパク質」または「オーソロガス遺伝子」という用語は、それらが共通の祖先に由来するため、互いに類似である異なる種におけるそれぞれタンパク質および遺伝子を意味する。
公知の核酸配列のオーソログまたは他の関連配列の特徴付けのためのハイブリダイゼーションアッセイは、当技術分野で周知であり、例えば、Sambrook, Russell “Molecular Cloning, A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (2001); Ausubel, “Current Protocols in Molecular Biology”, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1989)を参照のこと。
核酸に関連して本明細書で用いられる「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズすること」という用語は、任意の程度の厳しさの条件下でのハイブリダイゼーションに関するものである。一般的に、サザンまたはノーザンハイブリダイゼーションなどの、核酸のハイブリダイゼーションは、様々な程度の厳しさの実験条件下で実施することができる。通常、膜などの固体担体上に固定化された核酸を適切な緩衝液および温度条件下で別の類似核酸(プローブと呼ぶ)を含む液体と接触させるが、これはプローブと固定化核酸との相互作用を選択的に可能にするためであり、プローブは、試験する固定化核酸との一定の程度の配列同一性を有する。一般的にハイブリダイゼーション、特にハイブリダイゼーションの後の洗浄ステップに用いる緩衝液は、標準クエン酸ナトリウム緩衝液(SSC;生理食塩水クエン酸ナトリウム緩衝液とも呼ぶ)である。20倍濃縮SSC緩衝液は、3M NaClおよび0.3Mクエン酸ナトリウムを含み、HClを用いてpH7.0に調整され、例えば、Sigma Aldrichから市販されている。対応する20倍SSC緩衝液のNa+濃度は、3.3M(すなわち、3.3mol/L)であり、それは、10倍SSC緩衝液については1.65M、5倍SSC緩衝液については0.825M、2倍SSC緩衝液については0.33M、1倍SSC緩衝液については0.165M、0.1倍SSC緩衝液については0.0165Mである。プローブの非特異的結合を低減するためにホルムアミドまたはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)をSSC緩衝液に加えることができる。ハイブリダイゼーションの厳しさは、プローブの配列に存在するヌクレオチドGおよびCの百分率(%G+C)ならびにハイブリダイゼーション条件、特に温度、Na+の濃度およびホルムアミドまたはSDS(存在する場合)の濃度に依存する。一般的に、ハイブリダイゼーション温度が高いほど、またナトリウム(Na+)濃度が低いほど、厳しさが高くなる。したがって、ハイブリダイゼーションの厳しさは、ハイブリダイゼーションの温度、SSC緩衝液の濃度(およびしたがってナトリウム濃度)および任意選択でSSC緩衝液に加えられるホルムアミド(またはSDS)の濃度を適切に選択することによって制御することができる。異なる濃度のSSC緩衝液をハイブリダイゼーション手順の異なるステップに用いる場合、最も濃縮されたSSC緩衝液(一般的に最終洗浄ステップに用いられる緩衝液)中のナトリウムおよびホルムアミドの濃度が決定的である。
したがって、プローブの所定のGC含量ならびにハイブリダイゼーションの後の洗浄に用いられる最も濃縮された緩衝液(一般的に最終洗浄ステップに用いられる緩衝液)中のナトリウムおよびホルムアミド(存在する場合)の特定の濃度においては、ハイブリダイゼーションの厳しさは、(DNA−DNAハイブリダイゼーションについて)以下の式を用いて計算することができる有効融解温度(Tm)を下回る特定の度数のセ氏温度(例えば、25℃以下)にハイブリダイゼーション温度を調節することによって制御することができる。
Tm=81.5+16.6(logM[Na+])+0.41(%G+C)−0.72(ホルムアミド%)
上の式中、「Tm」は、その直下では両配列が互いにハイブリダイズするために供試固定化核酸の配列がプローブの配列の100%と一致する必要がある温度であり、「logM[Na+]」は、緩衝液中のmol/L単位のナトリウム(Na+)の濃度の10を底とする対数(log10)であり、「%G+C」は、プローブの配列におけるヌクレオチドGおよびCの百分率(GC含量)であり、「ホルムアミド%」は、緩衝液中の%(容積/容積)単位のホルムアミドの濃度である。周知のように、決定すべきプローブの長さは、ハイブリダイゼーション条件のさらなるパラメーターを構成する。
さらにハイブリダイゼーション温度は、Tmを下回り、ハイブリダイゼーションの厳しさが低下する。特に、ハイブリダイゼーション温度が計算Tmを1.4℃下回るごとに、ハイブリダイゼーションは、1%の配列ミスマッチの存在のもとにさらに起こる。すなわち、ハイブリダイゼーション温度が計算Tmを少なくともx・1.4℃下回る場合、プローブおよび供試固定化核酸の配列のx%のミスマッチは、依然としてハイブリダイゼーションにつながる。例えば、Tmが90℃と計算され、ハイブリダイゼーション実験を55℃(すなわち、Tmを35℃下回る)で行う場合、プローブの配列の少なくとも82.1%と一致する核酸配列は、プローブとハイブリダイズする(すなわち、35℃/1.4℃=25.0で、これは100%−25.0%=75.0%を意味する)。
本明細書で用いられる「ストリンジェント条件」下のハイブリダイゼーションは、好ましくはハイブリダイゼーション温度がTm(上で説明した式を用いて計算される)を約35℃以下下回ることを意味し、これは、ハイブリダイゼーションが起こるのに必要な約75.0%(すなわち、100%−(35℃/1.4℃)%)の最小限の配列同一性に対応する。より好ましくは、ストリンジェント条件下のハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション温度がTmを約30℃以下下回ること(ハイブリダイゼーションに必要な約78.6%の最小限の配列同一性に対応する)を意味し、なおより好ましくは、ストリンジェント条件下のハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション温度がTmを約25℃以下下回ること(ハイブリダイゼーションに必要な約82.1%の最小限の配列同一性に対応する)を意味し、なおより好ましくは、ストリンジェント条件下のハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション温度が、Tmを約20℃以下下回ること(ハイブリダイゼーションに必要な約85.7%の最小限の配列同一性に対応する)を、なおより好ましくはTmを約15℃以下下回ること(ハイブリダイゼーションに必要な約89.3%の最小限の配列同一性に対応する)を、なおより好ましくはTmを約10℃以下下回ること(ハイブリダイゼーションに必要な約92.9%の最小限の配列同一性に対応する)を、なおより好ましくはTmを約7℃以下下回ること(ハイブリダイゼーションに必要な約95.0%の最小限の配列同一性に対応する)を、またなおより好ましくはTmを約5℃以下下回ること(ハイブリダイゼーションに必要な約96.4%の最小限の配列同一性に対応する)を、さらにより好ましくはTmを約3℃以下下回ること(ハイブリダイゼーションに必要な約97.9%の最小限の配列同一性に対応する)を意味する。逆に、「非ストリンジェント条件」下のハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション温度が、厳しいハイブリダイゼーションに必要な上で規定した温度を下回ることを意味する。さらに指定されない場合、条件は、好ましくは厳しくない。前記ハイブリダイゼーション条件は、例えば、Sambrook (2001) loc. cit.;Ausubel (1989) loc. cit.、またはHiggins and Hames (Eds.) “Nucleic acid hybridization, a practical approach” IRL Press Oxford, Washington DC, (1985)に記載されている従来のプロトコールに従って確立することができる。条件の設定は、十分に当業者の技術の範囲内にあり、当技術分野で記載されたプロトコールに従って決定することができる。
本発明によれば、2つ以上の核酸配列に関連する「相同性」もしくは「相同性パーセント」または「同一性」もしくは「同一性パーセント」もしくは「同一性百分率」または「配列同一性」という用語は、当技術分野で公知の配列比較アルゴリズムを用いて、または手作業によるアライメントおよび視覚的査察によって測定される比較の領域にわたり(好ましくは全長にわたり)、または指定の領域(例えば、機能性semaドメイン)にわたり比較し、最大の一致が得られるようにアライメントした場合に、同じである、または同じであるヌクレオチドの規定の百分率を有する2つ以上の配列または部分配列を意味する。例えば、70%〜90%またはそれを超える配列同一性を有する配列は、実質的に同一であるとみなすことができる。そのような定義は、試験配列の相補体にも適用される。好ましくは記載されている同一性は、長さが少なくとも約15〜約25ヌクレオチドである領域にわたり、より好ましくは、長さが少なくとも約50〜約100ヌクレオチドである領域にわたり、なおより好ましくは、長さが少なくとも約800〜約1200ヌクレオチドである領域にわたり、最も好ましくは、全長にわたり存在する。当業者は、例えば、当技術分野で公知である、CLUSTALWコンピュータプログラム(Thompson Nucl. Acids Res. 2 (1994), 4673-4680)またはFASTDB(Brutlag Comp. App. Biosci. 6(1990), 237-245)に基づくものなどのアルゴリズムを用いて配列間の同一性パーセントをどのようにして決定するかを知る。
FASTDBアルゴリズムは、一般的に配列における内部の非一致欠失または付加、すなわち、ギャップをその計算において考慮していないが、これは、同一性%の過大評価を避けるために手作業により矯正することができる。しかし、CLUSTALWは、その同一性の計算において配列ギャップを考慮に入れている。BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムも当業者が利用可能である(Altschul, (1997) Nucl. Acids Res. 25:3389-3402; Altschul (1993) J. Mol. Evol. 36:290-300;Altschul (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410)。核酸配列用のBLASTNプログラムは、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=4および両鎖の比較をデフォルトとして用いる。BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff (1989) PNAS 89:10915)は、50のアライメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=4および両鎖の比較を用いる。
核酸配列におけるヌクレオチドが、例えば、それぞれ配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、57、59、61、63、65、67、69または71のヌクレオチド配列における特定の位置に対応するかどうかを判断するために、当業者は、当技術分野で周知の手段および方法、例えば、手作業による、または本明細書で言及したようなコンピュータプログラムを用いることによる、アライメントを用いることができる。例えば、Basic Local Alignment Search Tool BLASTを表す、BLAST2.0(Altschul (1997), loc. cit.;Altschul (1993), loc. cit.;Altschul (1990), loc. cit.)は、局所配列アライメントを検索するために用いることができる。BLASTは、上述のように、配列類似性を判定するためにヌクレオチド配列のアライメントを発生させる。アライメントの局所的性質のため、BLASTは、正確な一致を判定するのに、または類似配列を特定するのに特に有用である。BLASTアルゴリズムアウトプットの基本的単位は、ハイスコアセグメント対(High-scoring Segment Pair)(HSP)である。HSPは、そのアライメントが局所的に最大であり、アライメントスコアが使用者により設定された閾値またはカットオフスコアを満たすまたは超える、任意であるが、等しい長さの2つの配列断片からなる。BLASTアプローチは、クエリ配列とデータベース配列との間のHSPを探索し、見いだされた任意の一致の統計的有意性を評価し、使用者選択の有意性の閾値を満たす一致のみを報告することである。パラメーターEは、データベース配列の一致を報告するための統計的に有意な閾値を設定するものである。Eは、全データベース検索に際してのHSP(または一連のHSP)の偶然の出現の予測される頻度の上限と解釈される。その一致がEを満たすデータベース配列は、プログラムアウトプットで報告される。
BLAST(Altschul (1997), loc. cit.;Altschul (1993), loc. cit.;Altschul (1990), loc. cit.)を用いる同様なコンピュータ技術は、GenBankまたはEMBLなどのヌクレオチドデータベースにおける同一または関連分子を検索するために用いられる。この解析は、多重膜ベースのハイブリダイゼーションよりはるかに速い。さらに、コンピュータ検索の感度を修正して、任意の特定の一致が正確または類似と分類されるかを判断することができる。検索の基礎は、以下のように定義され、
2つの配列の間の類似性の程度および配列の一致の長さの両方を考慮に入れている、積スコアである。例えば、40の積スコアでは、一致は、1〜2%の誤差の範囲内で正確であり、70では、一致は、正確である。より低いスコアは、関連分子を特定するものであり得るが、類似分子は、15から40の間の積スコアを示すものを選択することによって通常特定される。配列アライメントを発生することができるプログラムの他の例は、当技術分野で公知である、CLUSTALWコンピュータプログラム(Thompson (1994) Nucl. Acids Res. 2:4673-4680)またはFASTDB(Brutlag (1990) Comp. App. Biosci. 6:237-245)である。
「核酸配列の相同性/同一性」に関する上文に示した説明および定義は、必要な変更を加えれば、突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片またはポリペプチドのメンバーの「アミノ酸配列」、特に配列番号2(ヒト(Homo sapiens)SEMA3A)、配列番号6(ヒト(Homo sapiens)SEMA3B)、配列番号10(ヒト(Homo sapiens)SEMA3C)、配列番号14(ヒト(Homo sapiens)SEMA3D)、配列番号4(マウス(Mus musculus)Sema3A)、配列番号8(マウス(Mus musculus)Sema3B)、配列番号12(マウス(Mus musculus)Sema3C)および配列番号16(マウス(Mus musculus)Sema3D)に示すアミノ酸配列に適用される。配列番号2に示す野生型ヒトセマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置にリシンを含むセマフォリン3タンパク質の例示的な配列は、配列番号58、60、62、64、66、68、70または72に示されている。
突然変異セマフォリン3タンパク質または遺伝子改変セマフォリン3タンパク質は、例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14または16に示すアミノ酸配列を有し、血管新生の阻害剤として機能する野生型セマフォリン3タンパク質/ポリペプチドとの少なくとも55%の相同性/同一性を有する。
好ましい態様では、本発明の提供する突然変異セマフォリン3は、好ましくは配列番号2に示すアミノ酸配列と少なくとも50%相同/同一である。そのようなアミノ酸配列は、オーソロガス/相同/同一である(かつしたがって関連する)配列も含み得ることが理解される。より好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードするアミノ酸配列は、配列番号2のいずれか1つに示されているアミノ酸配列と少なくとも52%、53%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%相同/同一であり、より高い値の配列同一性が好ましい。
特定の態様では、本発明の本明細書で提供する突然変異セマフォリン3は、好ましくは配列番号6に示すアミノ酸配列と少なくとも48%相同/同一である。そのようなアミノ酸配列は、オーソロガス/相同/同一である(かつしたがって関連する)配列も含み得ることが理解される。より好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードするアミノ酸配列は、配列番号6のいずれか1つに示されているアミノ酸配列と少なくとも50%、52%、53%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%相同/同一であり、より高い値の配列同一性が好ましい。
特定の態様では、本発明の本明細書で提供する突然変異セマフォリン3は、好ましくは配列番号10に示すアミノ酸配列と少なくとも55%相同/同一である。そのようなアミノ酸配列は、オーソロガス/相同/同一である(かつしたがって関連する)配列も含み得ることが理解される。より好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードするアミノ酸配列は、配列番号10のいずれか1つに示されているアミノ酸配列と少なくとも57%、60%、63%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%相同/同一であり、より高い値の配列同一性が好ましい。
特定の態様では、本発明の本明細書で提供する突然変異セマフォリン3は、好ましくは配列番号14に示すアミノ酸配列と少なくとも45%相同/同一である。そのようなアミノ酸配列は、オーソロガス/相同/同一である(かつしたがって関連する)配列も含み得ることが理解される。より好ましくは、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3をコードするアミノ酸配列は、配列番号14のいずれか1つに示されているアミノ酸配列と少なくとも48%、50%、53%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%相同/同一であり、より高い値の配列同一性が好ましい。
特定の態様では、本発明の本明細書で提供する突然変異セマフォリン3は、好ましくは配列番号2、4、6、8、10、12、14または16のいずれか1つに示すアミノ酸配列と少なくとも55%相同/同一である。より好ましくは、突然変異セマフォリン3は、例えば、それぞれ配列番号2、4、6、8、10、12、14および16に示すアミノ酸配列を有する野性型セマフォリン3タンパク質/ポリペプチドとの少なくとも57%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%の相同性/同一性を有し、より高い値が好ましい。最も好ましくは、突然変異セマフォリン3は、例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14または16に示すアミノ酸配列を有する野性型セマフォリン3タンパク質/ポリペプチドとの少なくとも99%の相同性を有する。
本発明は、上述の野性型アミノ酸配列から逸脱したポリペプチドも含み、前記逸脱は、例えば、アミノ酸および/またはヌクレオチドの単独のまたは組み合わされた、置換(複数可)、欠失(複数可)、付加(複数可)、挿入(複数可)、重複(複数可)、逆位(複数可)および/または組換え(複数可)の結果であり得る。これらの逸脱は、天然に存在または当技術分野で周知の組換えDNA技術によりもたらされ得る。例えば、Sambrook(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbour Laboratory Press, Cold Spring Harbour, NY (1989))およびAusubel, “Current Protocols in Molecular Biology”, Green Publishing Associates, and Wiley Interscience, N.Y. (1989)に記載さている技術を参照のこと。対立遺伝子変異は、天然に存在する対立遺伝子変異体および合成により生成したまたは遺伝子改変による変異体であり得る。突然変異セマフォリン3および/またはその断片をコードする上述の核酸分子の様々な誘導体、対立遺伝子変異体、ホモログまたはアナログによりコードされるポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質断片は、分子量、免疫学的反応性、立体配座などのような特定の共通の特性、および電気泳動移動度、クロマトグラフィーにおける挙動、沈降係数、至適pH、安定性、溶解度、分光学的特性などのような物理的特性を共有し得る。
本明細書で言及する「相補体」、「逆相補体」および「逆配列」という用語は、次の例で述べる。配列5’AGTGAAGT3’については、相補体は、3’TCACTTCA5’であり、逆相補体は、3’ACTTCACT5’であり、逆配列は、5’TGAAGTGA3’である。
本発明は、
(a) 配列番号1、配列番号5、配列番号9および配列番号13の群から選択される核酸配列によりコードされるポリペプチドであって、
配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、かつ
配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、
前記ポリペプチド、
(b)配列番号2、配列番号6、配列番号10および配列番号14の群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、
配列番号2の106位、配列番号6の105位、配列番号10の104位または配列番号14の120位におけるアラニン残基が前記親水性アミノ酸により置換されている、
前記ポリペプチド、
(c)(a)または(b)で定義したポリペプチドをコードする核酸分子の相補鎖にストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされるポリペプチド、
および
(d)血管新生の阻害剤として機能し、(b)で言及したポリペプチドのいずれか1つとの少なくとも55%の同一性を有するポリペプチド
からなる群から選択することができる本明細書で定義した突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関する。
最も好ましい実施形態では、本発明は、
(a)配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、
配列番号1に示す核酸配列によりコードされるポリペプチド;
(b)配列番号2の106位におけるアラニン残基が前記親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(c)(a)または(b)で定義したポリペプチドをコードする核酸分子の相補鎖にストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされるポリペプチド;
(d)血管新生の阻害剤として機能し、(b)で言及したポリペプチドのいずれか1つとの少なくとも50%の同一性を有するポリペプチド
の群から選択することができる本明細書で定義した突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片に関する。
特定の態様では、本明細書で定義した突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、
(a)配列番号1、配列番号5、配列番号9および配列番号13の群から選択される核酸配列を有する核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、
配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、かつ
配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、
前記ポリペプチド、
(b)配列番号2、配列番号6、配列番号10および配列番号14の群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、
配列番号2の106位に対応する、配列番号6の105位に対応する、配列番号10の104位に対応するまたは配列番号14の120位に対応するアラニン残基が前記親水性アミノ酸により置換されている、
前記ポリペプチド、
(c)配列番号2、配列番号6、配列番号10および配列番号14の群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子によりコードされるポリペプチドであって、配列番号2の106位に対応する、配列番号6の105位に対応する、配列番号10の104位に対応するまたは配列番号14の120位に対応するアラニン残基が前記親水性アミノ酸により置換されている、前記ポリペプチド、
(d)(a)または(c)で定義した核酸分子の相補鎖にストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸分子によりコードされるポリペプチド、
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドとの少なくとも55%の同一性を有し、血管新生の阻害剤として機能するポリペプチド、ならびに
(f)(a)、(c)および(d)のいずれか1つで定義した核酸分子のヌクレオチド配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む血管新生の阻害剤として機能するポリペプチド
の群から選択することができる。
特定の態様では、突然変異セマフォリン3、その機能性断片またはポリペプチドは、配列番号2の106位に対応するアラニン残基;配列番号4の106位に対応するアラニン残基;配列番号6の105に対応するアラニン残基;配列番号8の105位に対応するアラニン残基;配列番号10の104位に対応するアラニン残基;配列番号12の104位に対応するアラニン残基;配列番号14の120位に対応するアラニン残基;または配列番号16の120位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12および配列番号14の群から選択されるアミノ酸配列を含む。
最も好ましい実施形態では、突然変異セマフォリン3A、その機能性断片またはポリペプチドは、配列番号4の106位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2の群から選択されるアミノ酸配列を含む。
言い換えれば、本発明は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン;配列番号4に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン;配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニン;配列番号8に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニン;配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニン;配列番号12に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニン;配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニン;または配列番号16に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている、突然変異セマフォリン3またはその断片に関する。
したがって、当業者は、本発明の突然変異が特定の位置により本明細書で定義され、例えば、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンが置換されている場合、相同性の比較により見いだすことができる、対応するアミノ酸(位置)が、他のセマフォリン3Aポリペプチドまたはセマフォリン3B、CもしくはDポリペプチドなどの、他のセマフォリン3タンパク質にも存在し得ることを意味することは、明らかであることを理解する。したがって、さらなる野性型配列の特定および/または本発明により突然変異させた野生型セマフォリン3Aの106位におけるアラニンに対応する関連する特定のアミノ酸残基の検出のために標準の相同性スクリーニング(例えば、配列アライメント)またはPCR媒介スクリーニング技術を用いることができる。
最も好ましい実施形態では、本発明は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている、突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片に関する。
配列番号58、60、62、64、66、68、70または72は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置にリシンが配置されている、全長ヒトまたはマウス突然変異セマフォリン3A、B、CもしくはDに関する。したがって、代わりに親水性アミノ酸を含むことは、天然に存在するセマフォリン3A、B、CまたはDに存在する、例えば、配列番号2に示す106位に対応する固有のアラニンが、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDにおいて親水性アミノ酸、好ましくはリシンに突然変異または変化していることを意味する。
ヒト突然変異セマフォリン3Aを構成する例示的ポリペプチドは、リシンが106位に配置されている、配列番号58に示すアミノ酸配列を有する。
マウス突然変異セマフォリン3Aを構成する例示的ポリペプチドは、リシンが106位に配置されている、配列番号60に示すアミノ酸配列を有する。
ヒト突然変異セマフォリン3Bを構成する例示的ポリペプチドは、リシンが105位に配置されている、配列番号62に示すアミノ酸配列を有する。
マウス突然変異セマフォリン3Bを構成する例示的ポリペプチドは、リシンが105位に配置されている、配列番号64に示すアミノ酸配列を有する。
ヒト突然変異セマフォリン3Cを構成する例示的ポリペプチドは、リシンが104位に配置されている、配列番号66に示すアミノ酸配列を有する。
マウス突然変異セマフォリン3Cを構成する例示的ポリペプチドは、リシンが104位に配置されている、配列番号68に示すアミノ酸配列を有する。
ヒト突然変異セマフォリン3Dを構成する例示的ポリペプチドは、リシンが120位に配置されている、配列番号70に示すアミノ酸配列を有する。
マウス突然変異セマフォリン3Dを構成する例示的ポリペプチドは、リシンが120位に配置されている、配列番号72に示すアミノ酸配列を有する。
したがって、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、突然変異セマフォリン3は、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70および配列番号72またはその機能性断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。本発明の好ましい態様では、本発明は、突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片に関し、突然変異セマフォリン3Aは、配列番号58または配列番号60であるアミノ酸配列を含む。好ましい態様では、機能性断片は、下文で詳述するsemaドメインである。
さらに、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片をコードする核酸分子に関する。本発明の核酸分子は、
(a)配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、かつ
配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、
配列番号1、配列番号5、配列番号9および配列番号13の群から選択される核酸分子;
(b)配列番号2の106位における、配列番号6の105位における、配列番号10の104位におけるまたは配列番号14の120位におけるアラニン残基が前記親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2、配列番号6、配列番号10および配列番号14の群から選択されるポリペプチドをコードする核酸分子;
(c)(a)または(b)で定義した核酸分子の相補鎖にストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸分子;
(d)血管新生の阻害剤として機能し、(b)で言及したポリペプチドのいずれか1つとの少なくとも55%の同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子;ならびに
(e)(a)〜(d)のいずれか1つで定義した核酸分子のヌクレオチド配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸分子であって、縮重核酸分子が血管新生の阻害剤として機能するポリペプチドをコードしている核酸分子
の群から選択することができる。
特定の態様では、本明細書で定義したコード化突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、
(a)配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、かつ
配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、
配列番号1、配列番号5、配列番号9および配列番号13の群から選択されるDNA配列を有する核酸分子を含む核酸分子;
(b)配列番号2の106位における、配列番号6の105位における、配列番号10の104位におけるまたは配列番号14の120位におけるアラニン残基が前記親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2、配列番号6、配列番号10および配列番号14の群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む核酸分子;
(c)(a)または(b)で定義した核酸分子の相補鎖にストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸分子;
(d)血管新生の阻害剤として機能し、(b)で言及したポリペプチドのいずれか1つとの少なくとも55%の同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を含む核酸分子;ならびに
(e)(a)〜(d)のいずれか1つで定義した核酸分子のヌクレオチド配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸分子であって、縮重核酸分子が血管新生の阻害剤として機能するポリペプチドをコードしている核酸分子
の群から選択することができる。
最も好ましい実施形態では、本明細書で定義したコード化突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片は、
(a)配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号1に示す核酸分子;
(b)配列番号2の106位におけるアラニン残基が前記親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2に示すポリペプチドをコードする核酸分子、
(c)(a)または(b)で定義した核酸分子の相補鎖にストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸分子;
(d)血管新生の阻害剤として機能し、(b)で言及したポリペプチドのいずれか1つとの少なくとも50%の同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子;ならびに
(e)(a)〜(d)のいずれか1つで定義した核酸分子のヌクレオチド配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸分子であって、縮重核酸分子が血管新生の阻害剤として機能するポリペプチドをコードしている核酸分子
の群から選択することができる。
特定の態様では、本明細書で定義したコード化突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、
配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号3の965〜967位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号7の712〜714位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号11の498〜500位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号15の904〜906位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13および配列番号15に定義されている核酸配列を含む核酸分子
の群から選択することができる。
配列番号57、59、61、63、65、67、69、または71は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置にリシンが配置されている、全長ヒトまたはマウス突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDをコードする核酸配列に関する。
突然変異ヒトセマフォリン3Aをコードする例示的な核酸分子は、配列番号57の631〜633位におけるヌクレオチドがリシンアミノ酸をコードする、配列番号57に定義する核酸配列を含む。
突然変異マウスセマフォリン3Aをコードする例示的な核酸分子は、配列番号59の965〜967位におけるヌクレオチドがリシンアミノ酸をコードする、配列番号59に定義する核酸配列を含む。
突然変異ヒトセマフォリン3Bをコードする例示的な核酸分子は、配列番号61の559〜561位におけるヌクレオチドがリシンアミノ酸をコードする、配列番号61に定義する核酸配列を含む。
突然変異マウスセマフォリン3Bをコードする例示的な核酸分子は、配列番号63の712〜714位におけるヌクレオチドがリシンアミノ酸をコードする、配列番号63に定義する核酸配列を含む。
突然変異ヒトセマフォリン3Cをコードする例示的な核酸分子は、配列番号65の872〜874位におけるヌクレオチドがリシンアミノ酸をコードする、配列番号65に定義する核酸配列を含む。
突然変異マウスセマフォリン3Cをコードする例示的な核酸分子は、配列番号67の498〜500位におけるヌクレオチドがリシンアミノ酸をコードする、配列番号67に定義する核酸配列を含む。
突然変異ヒトセマフォリン3Dをコードする例示的な核酸分子は、配列番号69の398〜400位におけるヌクレオチドがリシンアミノ酸をコードする、配列番号69に定義する核酸配列を含む。
突然変異マウスセマフォリン3Dをコードする例示的な核酸分子は、配列番号71の904〜906位におけるヌクレオチドがリシンアミノ酸をコードする、配列番号71に定義する核酸配列を含む。
配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69または配列番号71に示す核酸は、全長突然変異セマフォリン3タンパク質をコードする。したがって、本発明は、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69および配列番号71からなる群から選択される核酸を含む核酸分子により突然変異セマフォリン3がコードされる、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関する。本発明の好ましい態様では、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片であって、突然変異セマフォリン3Aは、核酸配列番号57または配列番号59を含む核酸分子によりコードされる。好ましい態様では、機能性断片は、下文で詳細に述べるsemaドメインである。
特定の態様では、本明細書で定義したコード化突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、
配列番号1のヌクレオチド631〜633位におけるコドンが前記親水性アミノ酸をコードするコドンにより置換され、
配列番号5のヌクレオチド559〜561位におけるコドンが前記親水性アミノ酸をコードするコドンにより置換され、
配列番号9のヌクレオチド872〜874位におけるコドンが前記親水性アミノ酸をコードするコドンにより置換され、
配列番号13のヌクレオチド398〜400位におけるコドンが前記親水性アミノ酸をコードするコドンにより置換されている、
配列番号1、配列番号5、配列番号9および配列番号13に定義する核酸配列を含む核酸分子
の群から選択することができる。
親水性アミノ酸をコードするコドンは、本発明によれば、「親水性アミノ酸」をコードする、標準遺伝コード(とりわけ、Stryer (1995), “Biochemistry”, Freeman and Company, ISBN 0-7167-2009-4に示されている)に従う、コドンを意味する。特定の態様では、Kは、Kをコードするコドンによりコードされる。特定の好ましい態様では、Kは、コドンAAGまたはAAAによりコードされる。遺伝コードの縮重は、同じアミノ酸配列が多様な形でコードされ、翻訳されることを可能にする。例えば、ロイシン、セリンおよびアルギニンは、それぞれ6種のコドンによりコードされるが、バリン、プロリン、トレオニン、アラニンおよびグリシンは、それぞれ4種のコドンによりコードされる。しかし、そのような同義コドンの使用頻度は、真核生物および原核生物におけるゲノムごとに異なる。例えば、哺乳動物における同義コドン選択パターンは、非常に類似しているが、酵母(S.セレビシエ(S. cerevisiae))、細菌(大腸菌(E. coli)など)および昆虫(キイロショウジョウバエ(D. melanogaster)など)などの進化的に遠い生物は、ゲノムコドン使用頻度の明らかに異なるパターンを示す。したがって、コドン最適化遺伝子は、本発明で用いることができる。コドン最適化遺伝子の設計には、生物におけるコドン使用頻度、隣接頻度、RNAの安定性、二次構造の形成の可能性、合成経路および当遺伝子の意図される将来のDNA操作を含む、様々な因子を考慮に入れるべきである。本明細書ではコドン最適化核酸配列を用いることができると考えられる。そのようなコドン最適化遺伝子(配列番号17、19、43および44)を添付の実施例で用いた。
本明細書で示したように、コンセンサスモチーフCX1X2A3GKDにおける親水性アミノ酸によるアラニンの置換により、有益な薬理効果がもたらされる。
したがって、本発明のアミノ酸配列は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDを含み、
X1は、KまたはNである、アミノ酸であり、
X2は、W、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、
アラニン(A3)は、前記親水性アミノ酸により置換されている。
言い換えれば、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、前記突然変異セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dからなる群から選択され、好ましくは、前記突然変異セマフォリンはセマフォリン3Aであり、前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDを含み、
X1は、KまたはNである、アミノ酸であり、
X2は、W、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、
アラニン(A3)は、前記親水性アミノ酸により置換されている。
A3は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンを、配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンを、配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンを、配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンを意味する。「A3」は、通常、固有のアラニンを意味する。しかし、「A3」は、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンなどの、アラニンと相同であるアミノ酸残基も意味し得る。最も好ましくは、「A3」は、アラニンである。さらに、「C」、「X1」、「X2」、「G」、「K」および「D」により定義されるアミノ酸残基は、突然変異セマフォリン3がセマフォリン3A、B、CおよびDからなる群から選択される限り、前記それぞれの定義されたアミノ酸残基と相同であるアミノ酸残基も意味し得る。本発明によれば、突然変異セマフォリン3は、3E、FまたはGでない。本発明の好ましい態様では、「X1」は、イソロイシンまたはバリンでない。
前記親水性アミノ酸は、リシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸およびヒスチジンからなる群から選択される。より好ましくは、前記親水性アミノ酸は、リシンまたはアルギニンであり、最も好ましくは、前記親水性アミノ酸は、リシンである。
「親水性アミノ酸」という用語は、好ましくはN、Q、S、T、E、D、K、RおよびHからなる群から選択されるアミノ酸を意味する。標準的な三文字アミノ酸コードおよび一文字コードによれば、アルギニンは、(Arg)または(R)と略記することができる。リシンは、(Lys)または(K)と略記することができる。アスパラギン酸は、(Asp)または(D)と略記することができる。グルタミン酸は、(Glu)または(E)と略記することができる。グルタミンは、(Gln)または(Q)と略記することができる。アスパラギンは、(Asn)または(N)と略記することができる。ヒスチジンは、(His)または(H)と略記することができる。セリンは、(Ser)または(S)と略記することができる。トレオニンは、(Thr)または(T)と略記することができる。N、Q、SおよびTは、親水性非荷電アミノ酸であり、E、D、K、RおよびHは、親水性荷電アミノ酸である。前記親水性アミノ酸は、非タンパク質構成および/または非標準α−アミノ酸(例えば、オルニチンおよびシトルリンなど)であり得ることも本明細書で認識される。
本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含むアミノ酸配列に関し、前記親水性アミノ酸はK、R、N、Q、S、T、E、DおよびHの群から選択される。好ましい態様では、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含むアミノ酸配列に関し、前記親水性アミノ酸はK、R、E、DおよびHの群から選択される。より好ましい態様では、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含むアミノ酸配列に関し、前記親水性アミノ酸はKまたはRである。最も好ましい態様では、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含むアミノ酸配列に関し、前記親水性アミノ酸はKである。
特定の態様では、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含むアミノ酸配列に関し、アミノ酸配列モチーフCX1X2A3GKDにおけるアラニン(A3)はK、R、N、Q、S、T、E、DおよびHの群から選択される前記親水性アミノ酸により置換されている。特定の態様では、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、アミノ酸配列モチーフCX1X2A3GKDにおけるアラニン(A3)はK、R、E、DおよびHの群から選択される前記親水性アミノ酸により置換されている。好ましい態様では、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、アミノ酸配列モチーフCX1X2A3GKDにおけるアラニン(A3)はKまたはRである前記親水性アミノ酸により置換されている。特に好ましい態様では、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、アミノ酸配列モチーフCX1X2A3GKDにおけるアラニン(A3)はKである前記親水性アミノ酸により置換されている。
さらに、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含むポリペプチドに関し、前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片は、配列番号2の106位に、配列番号6の105位に、配列番号10の104位にまたは配列番号14の120位に前記親水性アミノ酸を含む。特定の態様では、本発明のポリペプチドは、アミノ酸置換(複数可)、付加(複数可)、欠失(複数可)、逆位(複数可)および重複(複数可)からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる突然変異を含む。最も好ましくは、本発明は、突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片を含むポリペプチドに関し、前記突然変異セマフォリン3Aまたは前記その機能性断片は、配列番号2の106位に親水性アミノ酸を含み、アミノ酸置換(複数可)、付加(複数可)、欠失(複数可)、逆位(複数可)および重複(複数可)からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる突然変異を含む。
言い換えれば、本発明のアミノ酸配列は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、配列番号2の106位に、配列番号6の105位に、配列番号10の104位にまたは配列番号14の120位に前記親水性アミノ酸を含み、アミノ酸置換(複数可)、付加(複数可)、欠失(複数可)、逆位(複数可)および重複(複数可)からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる突然変異を含む。
特定の態様では、本発明のアミノ酸配列は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に関し、前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片は、配列番号2の106位に、配列番号4の106位に、配列番号6の105位に、配列番号8の105位に、配列番号10の104位に、配列番号12の104位に、配列番号14の120位に、または配列番号16の120位に前記親水性アミノ酸を含み、アミノ酸置換(複数可)、付加(複数可)、欠失(複数可)、逆位(複数可)および重複(複数可)からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる突然変異を含む。
以下は、融合タンパク質/ポリペプチドに含まれる突然変異セマフォリン3タンパク質に関する。融合タンパク質/ポリペプチドに含まれる突然変異セマフォリン3タンパク質は、突然変異セマフォリン3タンパク質の機能性断片でもあり得る。言い換えれば、以下は、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質の本明細書で提供する機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドに含まれる非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質の本明細書で提供する機能性断片に関する。
最も好ましい実施形態では、突然変異セマフォリン3の本明細書で提供する発明の機能性断片は、機能性semaドメインを含み、semaドメインは、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置に親水性アミノ酸を含み、かつsemaドメインは、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有する。「semaドメイン」という用語は、セマフォリン3タンパク質の構造ドメインを意味する。一般的に、セマフォリンは、semaドメインフォールド[NCB1位置特異的スコアリングマトリックス(PSSM)ID:214747;Conserved Domain Database(CDD):smart00630およびc115693]を含み、これは、従来技術において、いわゆるβプロペラトポロジーの約500アミノ酸長変異と記載されている(Chen et al., 2011;Gherardi et al., 2004)。より一般的には、βプロペラタンパク質は、中心チャンネルの周りの羽根としても公知の環状に配列した構造モジュールにより形成された広範囲のファミリーのディスク様構造である。各羽根は、四本鎖逆平行βシートである。鎖は、A〜D鎖と表され、それぞれのN末端から始まっている(Chen et al., 2011;Gherardi et al., 2004)。各羽根の内側の鎖(A)は、プロペラの中心のチャンネルの内面となり、同じ繰返し体のBおよびC鎖は、放射状に外へ広がり、次の繰返し体のD鎖は、羽根の外縁を形成している。各シートの内側の鎖(A鎖)が中心軸に平行に伸びているが、外側の鎖(D鎖)は垂直に伸び(各βシートをひずませて、プロペラの羽根のように見える)、これが組み合わされて、ドメインにプロペラ様の外観をもたらす。一般的に、従来技術で述べられるsemaドメインは、7枚羽根βプロペラであり、βプロペラフォールドの最大の公知の変異体である。大きなサイズのsemaドメインは、いくつかの羽根に挿入されたさらなる二次構造要素の存在によって生じ、Loveおよび共同研究者らが最初のセマフォリン結晶構造を述べた(Love et al., 2003)ときに、彼らLoveによって突起(extrusions)と呼ばれた、βプロペラの主として上部表面上のいくつかの長いループを生ずる。semaドメインは、突起1(羽根1と羽根2との間)および突起2(羽根5の内側)と名付けられた2つの突起を示す。semaドメインは、最初の羽根と最後の羽根との間の円を閉じるために「ループおよびフック」システムを使用する。フォールドは、シート間疎水性接触によって、また大部分の構造において、N末端β鎖が、第7の(C末端)羽根の最外鎖(D)を提供することによって円を閉じる「ベルクロ(登録商標)」型の環閉鎖によって安定化する。βプロペラは、羽根6の外縁上のさらなる第5のβ鎖を提供する、N末端の延長によってさらに安定化する。例えば、セマフォリン3Aでは、i)羽根1は、さらなる鎖およびらせんを有し、ii)羽根4は、余分のらせんを有し、羽根5は、3つのらせんおよび2つの鎖からなる最大の挿入を有する(Antipenko et al., 2003)。semaドメインは、構造を安定化するためのCys103−Cys114、Cys132−Cys144、Cys269−Cys381およびCys293−Cys341の4つのジスルフィド結合を形成する、保存された一連のシステイン残基を特徴とし得る。したがって、本発明によるsemaドメインは、Cys103−Cys114、Cys132−Cys144、Cys269−Cys381およびCys293−Cys341のうちの少なくとも1つまたはすべてを含み得る。
セマフォリンにおいて、semaドメインの羽根7のC末端β鎖は、semaドメインβプロペラの羽根6の側面に隣接する、約50アミノ酸長のプレキシンセマフォリンインテグリン(PSI)ドメイン(NCBI PSSM−ID:214655;smart00423)に直接入っている(Love et al., 2003)。PSIは、二本鎖逆平行βシートにより形成されたドメインであり、3つのジスルフィド架橋により結合した2つのフランキング短αらせんを有し、内側ドメインコアを形成している。この反復モチーフは、セマフォリン、プレキシンを含む数種の細胞外受容体およびαβインテグリンヘテロダイマーのβサブユニットに見いだされる(Xiong et al., 2004)。プレキシン、セマフォリンおよびインテグリンPSIドメイン間の重要な差異は、プレキシンおよびセマフォリンにおける鎖間ABループが明確により短いことである。プレキシン、セマフォリンおよびインテグリンPSIドメインの全体的な構造は、ドメインのC末端ハーフが異なり、PSIのこの部分の機能がその特異的な構造上の状況によってどのように規定されるかが示唆される。
セマフォリンのsemaドメインとプレキシン受容体のsemaドメインとの間のヘテロ二量体インターフェースは、セマフォリンのsemaドメインに含まれる3つのモチーフ/配列/コンセンサスモチーフを含み得る。上述のように、セマフォリンのsemaドメインは、その構造フォールド内に突起1(羽根1と羽根2との間)および突起2(羽根5の内側)と名付けられた2つの突起を含む。セマフォリンとプレキシン受容体との間のインターフェースに含まれている3つのコンセンサスモチーフ/配列/モチーフは、セマフォリン3A、B、CまたはDにおけるi)本明細書でモチーフ1と呼ぶ突起1(例えば、配列番号25に対応する配列番号2のSEMA3Aアミノ酸104〜113;配列番号28に対応する配列番号6のSEMA3Bアミノ酸103〜112;配列番号31に対応する配列番号10のSEMA3Cアミノ酸102〜111;配列番号34に対応する配列番号14のSEMA3Dアミノ酸118〜127);ii)本明細書でモチーフ2と呼ぶ羽根3(例えば、配列番号26に対応する配列番号2のSEMA3Aアミノ酸214〜221;配列番号29に対応する配列番号6のSEMA3Bアミノ酸213〜220;配列番号32に対応する配列番号10のSEMA3Cアミノ酸211〜218;配列番号35に対応する配列番号14のSEMA3Dアミノ酸231〜238);およびiii)本明細書でモチーフ3と呼ぶ羽根4(例えば、配列番号27に対応する配列番号2のSEMA3Aアミノ酸274〜287;配列番号30に対応する配列番号6のSEMA3Bアミノ酸274〜287;配列番号33に対応する配列番号10のSEMA3Cアミノ酸271〜284;配列番号36に対応する配列番号14のSEMA3Dアミノ酸291〜304)に局在している。したがって、本発明のsemaドメインは、モチーフ1、モチーフ2および/またはモチーフ3を含み得る。
配列番号25、28、31または34に示す(突起1/モチーフ1)のアミノ酸配列(それぞれセマフォリンA、B、CまたはDのアミノ酸配列に対応する)は、アミノ酸配列CX1X2A3GKD(X1は、KまたはNであり、X2は、W、MおよびLの群から選択されるアミノ酸である)に対応し、配列番号25、28、31または34は、N末端システイン(C)を欠き、C末端におけるさらなるアミノ酸を含む。配列番号25、28、31または34に示す(突起1/モチーフ1)のアミノ酸配列は、本明細書で述べる突然変異セマフォリン3、本発明のその機能性断片または本発明による機能性semaドメインに含まれ、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されている。したがって、突然変異セマフォリン3の機能性断片は、配列番号25、28、31および34からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されている。好ましい実施形態では、突然変異セマフォリン3Aの機能性断片は、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている。
配列番号53、配列番号54、配列番号55または配列番号56に示すアミノ酸配列(それぞれセマフォリン3A、B、CまたはDのアミノ酸配列に対応する)は、それぞれ配列番号25、28、31または34(モチーフ1)に対応し、その差異は、配列番号53、配列番号54、配列番号55または配列番号56に示すアミノ酸配列が、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置に配置されているリシンを有することである。配列番号53、配列番号54、配列番号55または配列番号56に示すアミノ酸配列は、本明細書で「モチーフ1*」と呼ぶ。本明細書で述べる突然変異セマフォリン3、その機能性断片または本発明の機能性semaドメインは、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。最も好ましい実施形態では、本発明の突然変異セマフォリン3Aの機能性断片は、配列番号53に示すアミノ酸配列を含む。
要約すると、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3の本明細書で述べた機能性断片は、
・ X1がKまたはNであるアミノ酸であり、X2がW、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、アラニン(A3)が親水性アミノ酸に置換されている、アミノ酸配列CX1X2A3GKD;
・ 配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されている、配列番号25、28、31および34からなる群から選択されるアミノ酸配列;または
・ アミノ酸配列配列番号53、配列番号54、配列番号55もしくは配列番号56
を含み、
機能性断片は、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの性質/特性を有し、セマフォリン3E、FまたはGの性質/特性を有さない。
突然変異セマフォリン3の機能性断片は、モチーフ1*のアミノ酸配列(配列番号53、配列番号54、配列番号55または配列番号56)に加えてモチーフ2のアミノ酸配列(配列番号26、配列番号29、配列番号32または配列番号35)および/またはモチーフ3のアミノ酸配列(配列番号27、配列番号30、配列番号33または配列番号36)を含み得る。したがって、突然変異セマフォリン3または突然変異セマフォリン3の本発明の機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDに加えて配列番号26、配列番号27、配列番号29、配列番号30、配列番号32、配列番号33、配列番号35または配列番号36のいずれか1つに定義されている1つまたは複数の以下のアミノ酸配列を含み、X1は、KまたはNであるアミノ酸であり、X2は、W、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、アラニン(A3)は、親水性アミノ酸に置換されており、機能性断片は、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有するべきである。本発明の突然変異セマフォリン3の機能性断片がセマフォリン3E、FまたはGの特性を有すべきでないことがここで理解される。好ましい実施形態では、突然変異セマフォリン3Aの機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDに加えて配列番号26または配列番号27に定義されている1つまたは複数のアミノ酸配列を含み、X1は、Kであり、X2は、Wであり、アラニン(A3)は、親水性アミノ酸に置換されており、機能性断片は、突然変異セマフォリン3Aの特性を有するべきである。
PSIドメインは、機能性semaドメイン、突然変異セマフォリン3の機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドの立体配座構造および/または構造の完全性を安定させる。PSIドメインの断片が突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチド、より好ましくは機能性semaドメインを安定させる機能を有する限り、突然変異セマフォリン3の機能性断片は、PSIドメインの断片を含んでいてよい。セマフォリン3A、B、CまたはDのPSIドメインは、それぞれコンセンサスモチーフ/配列/モチーフ配列番号45、配列番号46、配列番号47または配列番号48に示す保存アミノ酸配列を共有する。したがって、本発明のPSIドメインは、以下の配列、配列番号45、配列番号46、配列番号47または配列番号48のうちの1つまたは複数を含む。ヒトセマフォリン3AのPSIドメインの例示的アミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基517〜567に及ぶ。添付の実施例に示すように、かつひいてはより好ましくは、フリンプロテアーゼ切断部位を欠いている、より短いPSIドメインの例示的アミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基517〜548に及ぶ。例示的なPSIドメインを以下に示す:ヒトセマフォリン3AのPSIドメインの例示的アミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基517〜548に及び、ヒトセマフォリン3BのPSIドメインの例示的アミノ酸配列は、配列番号6のアミノ酸残基516〜547に及び、ヒトセマフォリン3CのPSIドメインの例示的アミノ酸配列は、配列番号10のアミノ酸残基514〜545に及び、ヒトセマフォリン3DのPSIドメインの例示的アミノ酸配列は、配列番号14のアミノ酸残基534〜565に及ぶ。
さらに、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3または突然変異セマフォリン3の機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDに加えて配列番号26、配列番号27、配列番号29、配列番号30、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号36、配列番号45、配列番号46、配列番号47または配列番号48のいずれか1つに定義されている1つまたは複数の以下のアミノ酸配列を含み、X1は、KまたはNであるアミノ酸であり、X2は、W、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、アラニン(A3)は、親水性アミノ酸に置換されており、機能性断片は、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有するべきである。本発明の突然変異セマフォリン3の機能性断片がセマフォリン3E、FまたはGの特性を有すべきでないことがここで理解される。好ましい実施形態では、突然変異セマフォリン3または突然変異セマフォリン3Aの機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDに加えて配列番号26、配列番号27または配列番号45のいずれか1つに定義されている1つまたは複数の以下のアミノ酸配列を含み、X1は、Kであり、X2は、Wであり、アラニン(A3)は、親水性アミノ酸に置換されており、機能性断片は、突然変異セマフォリン3Aの特性を有するべきである。上文で示したアミノ酸配列、とりわけ配列番号53、配列番号54、配列番号55または配列番号56は、天然に存在するセマフォリン3タンパク質のアミノ酸配列に関連して存在し得る。これらのアミノ酸配列は、人工アミノ酸リンカー、例えば、セリン−グリシンリンカーと結合させることができることも本明細書で認識される。本発明による機能性断片が、突然変異セマフォリン3、その機能性断片、機能性断片または機能性semaドメインを含む融合タンパク質について上述したように、例えば、血管新生の阻害剤としての、かつ/または血管正常化剤としての機能を示す限り、突然変異セマフォリン3タンパク質の機能性断片の長さは、制限されない。そのような機能性断片は、例えば、10、20、30、40、50、60、80、100、200、250、300、400、500または600アミノ酸の長さを有し得ることが認識される。好ましくは、そのような断片は、約400〜500アミノ酸の長さを有する。好ましくは、そのような断片は、約300〜400アミノ酸の長さを有する。好ましくは、そのような断片は、約100〜300アミノ酸の長さを有する。非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質の本明細書で提供する機能性断片のアミノ酸配列は、N末端、C末端および/またはアミノ酸配列の本体において短縮することができることが本明細書で認識される。例えば、10、20、30、40または50個のアミノ酸を欠失させることができることが本明細書で認識される。機能性断片が突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有する限り、これらの欠失/修飾は、本発明の範囲から逸脱しない。さらに、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンの代わりに親水性アミノ酸を有する、本明細書で提供する機能性断片または本明細書で提供する機能性断片を含む融合タンパク質/ポリペプチドが、例えば、突然変異セマフォリン3、その機能性断片、機能性断片または機能性semaドメインを含む融合タンパク質の、血管新生の阻害剤としてのかつ/または血管正常化剤としての上文で定義した機能/活性を有する限り、これらの欠失/修飾は制限されない。
最も好ましい実施形態では、本発明による突然変異セマフォリン3の機能性断片は、機能性semaドメインを含み、前記semaドメインは、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置に親水性アミノ酸を有する。言い換えれば、本発明による突然変異セマフォリン3は、機能性semaドメインを含み得るものであり、前記semaドメインは、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置に親水性アミノ酸を有する。本発明の機能性semaドメインは、モチーフ1*における述べたアミノ酸配列を含み、またはX1がKもしくはNであるアミノ酸であり、X2がW、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、アラニン(A3)が親水性アミノ酸に置換されている、アミノ酸配列CX1X2A3GKDを含み、前記semaドメインは、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有するべきである。突然変異セマフォリン3の本明細書で述べた機能性semaドメインがセマフォリン3E、FまたはGの特性を有すべきでないことがここで理解される。さらに、本発明の機能性semaドメインは、モチーフ1*のアミノ酸配列(配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56)に加えてモチーフ2のアミノ酸配列(配列番号26、配列番号29、配列番号32または配列番号35)および/またはモチーフ3のアミノ酸配列(配列番号27、配列番号30、配列番号33、配列番号36、配列番号45、配列番号46、配列番号47または配列番号48)を含み得る。さらに、機能性semaドメインは、アミノ酸置換(複数可)、付加(複数可)、欠失(複数可)、逆位(複数可)および重複(複数可)からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる突然変異を含み得る。さらに、機能性semaドメインは、さらなるアミノ酸欠失(複数可)を含み得る。機能性semaドメインのアミノ酸配列は、N末端、C末端および/またはアミノ酸配列の本体において短縮することができることが本明細書で認識される。例えば、10、20、30、40、50または100個のアミノ酸を欠失させることができることが本明細書で認識される。機能性semaドメインが上文で定義した突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有する限り、これらの欠失/修飾は、本発明の範囲から逸脱しない。さらに、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンの代わりに親水性アミノ酸を有する、本明細書で提供する機能性semaドメインまたは本明細書で提供する前記semaドメインを含む融合タンパク質が、例えば、突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片の、または機能性断片もしくは機能性semaドメインを含む融合タンパク質の、血管新生の阻害剤としてのかつ/または血管正常化剤としての上文で定義した機能/活性を有する限り、これらの欠失/修飾は制限されない。機能性semaドメインがセマフォリンの別の機能性semaドメインおよびプレキシン受容体と相互作用することが本明細書で理解される。これは、semaドメインの異なる表面曝露領域により起こり得る。理論により拘束されることなく、semaドメインは、その表面上に少なくとも2つの異なる領域を示す。第1の領域は、セマフォリンの別のsemaドメインへのその結合を支持し、第2の領域は、プレキシン受容体へのその結合に関与する。
本発明の突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインまたは機能性断片をコードする例示的な核酸分子は、
配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドに置換されている、配列番号1の601〜1206のヌクレオチド;
配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドに置換されている、配列番号5の529〜1137のヌクレオチド;
配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドに置換されている、配列番号9の842〜1444のヌクレオチド;または
配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドに置換されている、配列番号13の368〜982のヌクレオチド
を含み得る。
配列番号1、配列番号5、配列番号9または配列番号13は、それぞれ野生型ヒトセマフォリン3A、B、CまたはDをコードする全長核酸配列である。
好ましい実施形態では、本発明の突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメインまたは機能性断片をコードする核酸分子は、配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドに置換されている、配列番号1の601〜1206のヌクレオチドを含む。
さらに、本発明の突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインもしくは機能性断片をコードする例示的な核酸分子は、配列番号57の601〜1206のヌクレオチド;配列番号61の529〜1137のヌクレオチド;配列番号65の842〜1444のヌクレオチド;または配列番号69の368〜982のヌクレオチドを含み得る。配列番号57、61、65または69は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置にリシンが配置されている、それぞれ突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDをコードする核酸配列を含む。好ましい実施形態では、本発明の突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメインまたは機能性断片をコードする核酸分子は、配列番号57の601〜1206のヌクレオチドを含む。
さらに、例示的なポリペプチドは、突然変異セマフォリン3の機能性断片を含み、機能性断片は、以下に示す本発明の突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインを含むまたは機能性semaドメインである。
言い換えれば、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、以下に示す本発明の突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインを含むまたは機能性semaドメインである。
配列番号2の106位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号21;
配列番号6の105位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号22;
配列番号10の104位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号23;
配列番号14の120位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号24。
好ましい実施形態では、本発明の突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメインまたは機能性断片のアミノ酸配列は、配列番号2の106位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号21に示すアミノ酸配列を含む。
配列番号49、50、51または52は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置においてアラニンがリシンにより置換されている、それぞれ突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの例示的な機能性semaドメインまたは例示的な機能性断片のアミノ酸配列を含む。したがって、本発明の突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインまたは機能性断片の例示的なアミノ酸配列は、配列番号49、配列番号50、配列番号51および配列番号52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み得る。好ましい実施形態では、本発明の突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメインまたは機能性断片のアミノ酸配列は、配列番号49に示すアミノ酸配列を含む。機能性semaドメインの断片も本明細書で認識される。例えば、semaドメインは、本明細書で定義した例示的なsemaドメインの短縮型も含み得る。
以下は、本発明の最も好ましい実施形態である、融合タンパク質/ポリペプチドに関する。最も好ましい実施形態では、本発明のポリペプチドは、融合タンパク質である。融合タンパク質は、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質、セマフォリン3の非天然型/人工/突然変異機能性断片、セマフォリン3の非天然型/人工/突然変異機能性semaドメイン、安定化ドメインおよび/または二量体化ドメインを含む。突然変異セマフォリン3の上文で定義した機能性断片のいずれか1つは、融合タンパク質に含まれ得るものであって、機能性断片は、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性/性質を有し、セマフォリン3E、FまたはGのそれを有さない。言い換えれば、融合タンパク質は、本発明による突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含み得る。
したがって、本発明の融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含み、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されている、配列番号25、28、31および34からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。任意選択で、本発明の融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含み、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、X1がKまたはNであるアミノ酸であり、X2がW、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、アラニン(A3)が親水性アミノ酸に置換されている、アミノ酸配列CX1X2A3GKDを含む。任意選択で、本発明の融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含み、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質は、配列番号25に示すアミノ酸配列を含み、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応する位置におけるアラニンは親水性アミノ酸により置換されている。任意選択で、好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質は、配列番号53に示すアミノ酸配列を含む。
さらに、本発明の融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含み、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDに加えて、配列番号26、配列番号27、配列番号29、配列番号30、配列番号32、配列番号33、配列番号35または配列番号36のいずれか1つに定義されている1つまたは複数の以下のアミノ酸配列を含み、X1がKまたはNであるアミノ酸であり、X2がW、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、アラニン(A3)が親水性アミノ酸に置換されており、機能性断片は、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有するべきである。本発明の突然変異セマフォリン3の機能性断片がセマフォリン3E、FまたはGの特性を有すべきでないことがここで理解される。好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片を含み、突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDに加えて、配列番号26または配列番号27に定義されている1つまたは複数の以下のアミノ酸配列を含み、X1がKであり、X2がWであり、アラニン(A3)が親水性アミノ酸に置換されており、機能性断片は、突然変異セマフォリン3Aの特性を有するべきである。
さらに、本発明の融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含み、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDに加えて、配列番号26、配列番号27、配列番号29、配列番号30、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号36、配列番号45、配列番号46、配列番号47または配列番号48のいずれか1つに定義されている1つもしくは複数の以下のアミノ酸配列を含み、X1がKまたはNであるアミノ酸であり、X2がW、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、アラニン(A3)が親水性アミノ酸に置換されており、機能性断片は、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有するべきである。本発明の突然変異セマフォリン3の機能性断片がセマフォリン3E、FまたはGの特性を有すべきでないことがここで理解される。好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片を含み、突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片は、アミノ酸配列CX1X2A3GKDに加えて、配列番号26、配列番号27または配列番号45のいずれか1つに定義されている1つまたは複数の以下のアミノ酸配列を含み、X1がKであり、X2がWであり、アラニン(A3)が親水性アミノ酸に置換されており、機能性断片は、突然変異セマフォリン3Aの特性を有するべきである。
最も好ましい実施形態では、本発明は、機能性semaドメインを含む融合タンパク質に関し、突然変異セマフォリン3の機能性semaドメイン内で、配列番号2の野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されているまたはセマフォリン3B、3Cもしくは3Dにおける前記アラニン106に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている。言い換えれば、本発明の融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3の機能性断片を含み、前記機能性断片は、機能性semaドメインを含み、semaドメインは、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置に親水性アミノ酸を含む。言い換えれば、本発明の融合タンパク質は、機能性semaドメインを含み、semaドメインは、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置に親水性アミノ酸を含む。
本発明の融合タンパク質に含まれる機能性semaドメインは、モチーフ1*に示すアミノ酸配列(配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56)を含み、または本発明の融合タンパク質に含まれる機能性semaドメインは、アミノ酸配列CX1X2A3GKDを含み、X1がKまたはNであるアミノ酸であり、X2がW、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、アラニン(A3)が親水性アミノ酸に置換されており、機能性semaドメインは、セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有するべきである。本発明の融合タンパク質に含まれる突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインがセマフォリン3E、FまたはGの特性を有すべきではなく、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有するべきであることがここで理解される。さらに、本発明の機能性semaドメインを含む融合タンパク質は、モチーフ1*のアミノ酸配列(配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56)に加えてモチーフ2のアミノ酸配列(配列番号26、配列番号29、配列番号32または配列番号35)および/またはモチーフ3のアミノ酸配列(配列番号27、配列番号30、配列番号33または配列番号36)を含み得る。さらに、融合タンパク質に含まれる突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインまたは機能性断片は、アミノ酸置換(複数可)、付加(複数可)、欠失(複数可)、逆位(複数可)および重複(複数可)からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる突然変異を含み得る。融合タンパク質に含まれる突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインまたは機能性断片のアミノ酸配列は、N末端、C末端および/またはアミノ酸配列の本体において短縮することができることが本明細書で認識される。例えば、10、20、30、40、50または100個のアミノ酸を欠失させることができることが本明細書で認識される。機能性断片または機能性semaドメインが突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有する限り、これらの欠失/修飾は、本発明の範囲から逸脱しない。さらに、突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインまたは機能性断片を含む融合タンパク質が、前記非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質または前記セマフォリン3タンパク質の前記非天然型/人工/突然変異機能性断片または機能性semaドメインを含む融合タンパク質/ポリペプチドの、例えば、血管新生の阻害剤としてのかつ/または血管正常化剤としての上文で定義した機能/活性を示す限り、これらの欠失/修飾は制限されない。融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3の短いアイソフォームも含み得る。
融合タンパク質に含まれ得る突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインまたは機能性断片をコードする例示的な核酸分子を以下に示す。
配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号1のヌクレオチド601〜1206;配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号5のヌクレオチド529〜1137;配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号9のヌクレオチド842〜1444;または配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号13のヌクレオチド368〜982。
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、本発明の機能性semaドメインを含み、semaドメインは、配列番号1のヌクレオチド601〜1206を含む核酸分子によりコードされ、配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTは、親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている。
融合タンパク質に含まれる突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインまたは機能性断片をコードする例示的な核酸分子は、配列番号57のヌクレオチド601〜1206;配列番号61のヌクレオチド529〜1137;配列番号65のヌクレオチド842〜1444;または配列番号69のヌクレオチド368〜982を含み得る。配列番号57、61、65または65は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置にリシンが配置されている、それぞれ全長突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDをコードする核酸配列を含む。好ましい実施形態では、融合タンパク質に含まれる突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメインをコードする核酸分子は、配列番号57のヌクレオチド601〜1206を含む。
さらに、例示的な融合タンパク質/ポリペプチドは、突然変異セマフォリン3の機能性断片を含み得、機能性断片は、以下に定義する突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインを含むまたは機能性semaドメインである:
配列番号2の106位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号21;
配列番号6の105位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号22;
配列番号10の104位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号23;または
配列番号14の120位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号24。
好ましい実施形態では、融合タンパク質に含まれる突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメインのアミノ酸配列は、配列番号2の106位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号21に示すアミノ酸配列を含む。
配列番号49、50、51および52は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンがリシンにより置換されている、融合タンパク質に含まれ得る、それぞれ突然変異セマフォリン3A、B、CおよびDの例示的な機能性semaドメインまたは機能性断片のアミノ酸配列を含む。したがって、例示的な融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3の機能性断片を含み得、機能性断片が配列番号49、配列番号50、配列番号51および配列番号52からなる群から選択されるsemaドメインを含むまたはsemaドメインである。好ましい実施形態では、融合タンパク質に含まれる突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメインのアミノ酸配列は、配列番号49に示すアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に加えて安定化ドメインを含む。前記安定化ドメインは、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質の本明細書で提供する機能性断片、または本明細書で提供する機能性semaドメインの立体配座構造および/または構造の完全性を安定させる。上文で定義したように、そのような安定化ドメインは、PSIドメインまたはその断片であり得る。したがって、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含む融合タンパク質は、PSIドメインにより安定させることができる。安定化ドメインは、PSIドメインまたはその断片を含み、前記PSIドメインは、以下のコンセンサス配列モチーフ:配列番号45、配列番号46、配列番号47または配列番号48の1つを含み得る。ヒトセマフォリン3AのPSIドメインの例示的なアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基517〜567に及ぶ。添付の実施例に示すように、したがってより好ましくは、PSIドメインの例示的なアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基517〜548に及ぶ。融合タンパク質に含められ得る例示的なPSIドメインを以下に示す。ヒトセマフォリン3AのPSIドメインの例示的なアミノ酸配列は、配列番号2のアミノ酸残基517〜548に及び、ヒトセマフォリン3BのPSIドメインの例示的なアミノ酸配列は、配列番号6のアミノ酸残基516〜547に及び、ヒトセマフォリン3CのPSIドメインの例示的なアミノ酸配列は、配列番号10のアミノ酸残基514〜545に及び、ヒトセマフォリン3DのPSIドメインの例示的なアミノ酸配列は、配列番号14のアミノ酸残基534〜565に及ぶ。
好ましい実施形態では、融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含み得、機能性断片は、semaドメインおよびPSIドメインを含む。したがって、例示的な融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含み得、その機能性断片は、以下のアミノ酸配列を含む。
配列番号2の106位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2のアミノ酸残基1〜548に及ぶ;
配列番号6の105位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号6のアミノ酸残基1〜547に及ぶ;
配列番号10の104位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号10のアミノ酸残基1〜565に及ぶ;または
配列番号14の120位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号14のアミノ酸残基1〜545に及ぶ。好ましい実施形態では、融合タンパク質に含まれる突然変異セマフォリン3Aの機能性断片は、配列番号2のアミノ酸残基1〜548に及ぶポリペプチドを有し、配列番号2の106位のアラニン残基は、親水性アミノ酸により置換されている。
言い換えれば、融合タンパク質は、semaドメインおよびPSIドメインを含む突然変異セマフォリン3を含み得る。したがって、例示的な融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列を含む突然変異セマフォリン3を含み得る。
配列番号2の106位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2のアミノ酸残基1〜548に及ぶ;
配列番号6の105位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号6のアミノ酸残基1〜547に及ぶ;
配列番号10の104位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号10のアミノ酸残基1〜565に及ぶ;または
配列番号14の120位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号14のアミノ酸残基1〜545に及ぶ。
添付の実施例で示すように、かつ上文で説明したように、突然変異セマフォリン3タンパク質の二量体化により、EC移動の阻害効果が増大する。したがって、本発明の突然変異セマフォリン3タンパク質は、好ましくは二量体の形態である。突然変異セマフォリン3タンパク質の機能性semaドメインは、二量体化およびプレキシン受容体への結合に関与し得る。そのプレキシン受容体へのセマフォリン3の結合は、プレキシン受容体の細胞質領域の活性化をもたらし、これが活発な下流シグナル伝達をもたらす。理論により拘束されることなく、プレキシン受容体は、セマフォリン誘導性二量体化により活性化される。したがって、本発明の最も好ましい実施形態では、本明細書で提供する突然変異セマフォリン3または突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインもしくは機能性断片は、別の本明細書で提供する突然変異セマフォリン3または突然変異セマフォリン3の機能性semaドメインもしくは機能性断片との二量体の形態である。融合タンパク質に含まれる非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質または非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質の本明細書で提供する機能性断片の二量体化は、前記機能性断片により、例えば、機能性semaドメイン自体により誘導することができ、かつ/または二量体化ドメインにより誘導/促進することができる。
最も好ましい実施形態では、融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3、突然変異セマフォリン3の機能性断片および/または安定化ドメインに加えて二量体化ドメインを含む。言い換えれば、融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に加えて、分子の構造的完全性を安定させる安定化ドメインおよび/またはホモもしくはヘテロ二量体を誘導する二量体化ドメインを含む。言い換えれば、融合タンパク質は、安定化ドメインおよび/または二量体化ドメインを含み得る。「二量体化ドメイン」は、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質の本明細書で提供する機能性断片または本明細書で提供する機能性semaドメインの空間的近接を誘導/促進するドメインを意味する。「二量体」は、弱いまたは強い、すなわち、分子間または共有結合性であり得る結合によって結合した2つの構造上類似の単量体からなるオリゴマーである。二量体を形成する2つの単量体は、同じ融合タンパク質にまたは2つの融合タンパク質に含まれ得る。二量体化ドメインは、2つの二量体化ドメインが互いに10−5M〜10−6Mの範囲内の解離定数KDを有する限り、いずれかの二量体化ドメインであり得る。セマフォリン3の2つのsemaドメインの結合親和性は、10−5〜10−6Mの範囲内にあることが見いだされた(Antipenko et al., 2003)。二量体化ドメインは、C末端IgG定常ドメイン、DARPinおよびロイシンジッパーの群から選択することができる。好ましい実施形態では、二量体化ドメインは、IgG定常ドメインである。なおより好ましい実施形態では、二量体化ドメインは、IgG1またはIgG3ドメインである。なおより好ましい実施形態では、二量体化ドメインは、IgG1である。ヒトIgG1のそのような例示的なアミノ酸およびコード化核酸配列を配列番号37、38および41に示す。最も好ましい実施形態では、IgG1ドメインの定常断片は、104〜330位に及ぶアミノ酸配列を含む二量体化ドメインとして用いる。そのような例示的なアミノ酸配列を配列番号41に示す。マウスIgG1定常断片も用いることができ、対応するアミノ酸および核酸配列を配列番号39、40および42に示す。例えば、ロイシンジッパーおよび/または免疫グロブリンCH3もしくはFc断片のような定常ドメインがヘテロまたはホモ二量体化する親和性の強さは、約10−5〜10−6Mの範囲の解離定数KDと推定される。semaドメインの二量体の解離定数は、10−5〜10−6Mの範囲内にあると推定された(Antipenko et al., 2003)。一般的に、本明細書で言及したKDsは、4〜38℃、好ましくは4〜20℃(例えば、10℃)もしくは20〜38℃(例えば、30℃)の温度および/または4,5〜8のpH(例えば、7のpH)(i)に適用され、(ii)それらにおけるものであり、または(iii)それらで測定すべきである。添付の実施例に示すように、二量体化ドメイン、例えば、IgG1ドメインは、ジスルフィド架橋により安定させることができる。二量体化ドメイン、例えば、IgG1ドメインの2つの単量体は、二量体内のジスルフィド架橋により安定させることができる。
最も好ましい実施形態では、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質もしくはその機能性断片または前記セマフォリン3タンパク質(複数可)もしくは前記その機能性断片(複数可)を含む融合タンパク質は、互いにホモまたはヘテロ二量体を形成する。「ホモ二量体」という用語は、2つの同一の単量体が二量体の形態にあることを意味する。「ヘテロ二量体」という用語は、2つの異なる単量体が二量体の形態にあることを意味する。
特定の態様では、二量体の2つの単量体は、1つの融合タンパク質に含まれ得る。2つの非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質の2つの本明細書で提供する機能性断片または2つの本明細書で提供する機能性semaドメインが1つの融合タンパク質に含まれ得ることが本明細書で認識される。さらなる態様では、野生型タンパク質も、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質の本明細書で提供する機能性断片または本明細書で提供する機能性semaドメインと一緒に二量体を形成し得る。したがって、野生型セマフォリン3またはその機能性断片は、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質の本明細書で提供する機能性断片または本明細書で提供する機能性semaドメインと一緒に、1つの融合タンパク質に含まれ得、融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有する。「第1のポリペプチド」という用語は、二量体における第1の単量体を意味することがここに理解される。「第2のポリペプチド」という用語は、二量体における第2の単量体を意味する。特定の態様では、融合タンパク質は、2つの非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質(複数可)の2つの本明細書で提供する機能性断片、もしくは2つの本明細書で提供する機能性semaドメイン、2つの安定化ドメインおよび/または1つもしくは2つの二量体化ドメイン(複数可)を含み得る。融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3、その機能性断片、機能性semaドメインおよび/または本発明の本明細書で述べたポリペプチドを任意の組合せで含み得るものであって、融合タンパク質は、突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性を有する。以下の態様では、そのような組合せを例示する。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能するセマフォリン3またはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、前記セマフォリン3タンパク質がセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cまたはセマフォリン3Dの群から選択される第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換され、前記セマフォリン3タンパク質がセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cまたはセマフォリン3Dの群から選択される第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能するセマフォリン3またはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、前記セマフォリン3タンパク質がセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Bまたはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Cまたはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Aまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Dまたはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Bまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、セマフォリン3またはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、前記セマフォリン3タンパク質がセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Bまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Bまたはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Bまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Cまたはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Bまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Dまたはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Cまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、セマフォリン3またはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、前記セマフォリン3タンパク質がセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Cまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Cまたはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Cまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Dまたはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Dまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、セマフォリン3またはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、前記セマフォリン3タンパク質がセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される第2のポリペプチドとを含む。
特定の態様では、本発明の融合タンパク質は、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Dまたはその機能性断片を含む第1のポリペプチドであって、配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第1のポリペプチドと、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3Dまたはその機能性断片を含む第2のポリペプチドであって、配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている第2のポリペプチドとを含む。
突然変異セマフォリン3の融合タンパク質は、以下のドメイン
(i)semaドメイン;
(ii)PSIドメイン;および
(iii)PSIドメインのC末端と融合したC末端IgG定常ドメイン
を含み、セマフォリン3のモチーフCX1X2A3GKDに含まれるアラニン(A3)残基がリシンに突然変異していることをさらに特徴とし、セマフォリン3は、セマフォリン3A、B、CおよびDからなる群から選択されることも本明細書で認識される。
融合タンパク質は、機能性semaドメインを含み、前記semaドメインは、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンの代わりに親水性アミノ酸ならびに二量体化ドメインおよび/または安定化ドメインを含む。
言い換えれば、融合タンパク質は、機能性semaドメインを含み、前記semaドメインは、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dからなる群から選択され、前記semaドメインは、
配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;
配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;
配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;または
配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸
を含み、
前記融合タンパク質は、二量体化ドメインおよび/または安定化ドメインをさらに含む。
最も好ましくは、融合タンパク質は、機能性semaドメインであって、前記機能性semaドメイン内で配列番号2の野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されまたはセマフォリン3B、3Cもしくは3Dにおける前記アラニン106に対応するアラニンが親水性アミノ酸により置換されている、機能性semaドメイン、ならびにIgG1および/または安定化ドメインである二量体化ドメインであって、安定化ドメインは、PSIドメインである、二量体化ドメインを含む。最も好ましい態様では、融合タンパク質は、セマフォリン3Aの機能性semaドメインを含み、前記semaドメインは、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含み、前記融合タンパク質は、二量体化ドメインおよび/または安定化ドメインをさらに含む。
本発明の最も好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質/ポリペプチドは、PSIドメインと融合している機能性semaドメインを含み得る(添付の実施例に示すように)。結果として生じるsema−PSIドメインは、二量体化ドメイン、例えば、IgG1ドメインの定常断片と融合している。さらに、そのような融合タンパク質は、Nrp1結合および/またはフリン切断性Ig様(配列番号2の580〜670に及ぶアミノ酸)/塩基性領域(配列番号2の715〜771に及ぶアミノ酸)を欠いている。そのような融合タンパク質は、本明細書で最も好ましい実施形態であり、そのようなコード化融合タンパク質の例示的な核酸分子は、
配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号1のヌクレオチド316〜1959に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列;
配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号5のヌクレオチド247〜1887に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列;
配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号9のヌクレオチド563〜2197に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列;または
配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号13のヌクレオチド41〜1735に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列
を有する核酸配列を含み得る。
最も好ましい実施形態では、突然変異セマフォリン3Aの融合タンパク質は、配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号1のヌクレオチド316〜1959に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列によりコードされる。
コドン最適化核酸配列を添付の実施例に示すように用いることができることが本明細書で予期される(配列番号17、19、43および44)。
最も好ましい実施形態では、融合タンパク質は、semaドメイン、安定化ドメインおよび二量体化ドメインを含む。機能性semaドメインを安定化ドメイン、例えば、PSIドメインと融合させる。結果として生じるsema−PSIドメインを二量体化ドメイン、例えば、配列番号38または41に示すIgG1ドメインの定常断片と融合させる。そのような例示的な融合タンパク質は、semaドメイン、PSIおよび二量体化ドメインを含み、融合タンパク質は、
配列番号2の106位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2のアミノ酸残基1〜548に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列;
配列番号6の105位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号6のアミノ酸残基1〜547に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列;
配列番号10の104位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号10のアミノ酸残基1〜565に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列;または
配列番号14の120位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号14のアミノ酸残基1〜545に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列
を含む。
最も好ましい実施形態では、突然変異セマフォリン3Aの融合タンパク質は、配列番号2の106位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2のアミノ酸残基1〜548に及ぶポリペプチドおよび配列番号41に示すアミノ酸配列を含む。
突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメイン、PSIドメイン、IgG1ドメインを含む例示的な融合タンパク質を配列番号18または20に示す。突然変異セマフォリン3B、突然変異セマフォリン3Cまたは突然変異セマフォリン3Dの機能性semaドメイン、PSIドメイン、IgG1ドメインを含む例示的な融合タンパク質をそれぞれ配列番号76、78または79に示す。配列番号18は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンがリシンにより置換されている、ヒト突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメイン、PSIドメインおよびIgG1のヒト定常断片を含む融合タンパク質を示す。配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンがリシンにより置換されている、ヒト突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメイン、PSIドメインおよびIgG1のヒト定常断片を含む融合タンパク質をコードする対応する核酸配列を配列番号17に示す。配列番号74および75は、発明の突然変異を有さないセマフォリン3Bの例示的な融合タンパク質のアミノ酸配列およびコード化核酸配列を示す。
配列番号20は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンがリシンにより置換されている、マウス突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメイン、PSIドメインおよびIgG1のヒト定常断片を含む融合タンパク質を示す。配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンがリシンにより置換されている、マウス突然変異セマフォリン3Aの機能性semaドメイン、PSIドメインおよびIgG1のマウス定常断片を含む融合タンパク質をコードする対応する核酸配列を配列番号19に示す。
本明細書で述べる融合タンパク質は、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質、セマフォリン3の非天然型/人工/突然変異機能性断片もしくはセマフォリン3の非天然型/人工/突然変異機能性semaドメイン、二量体化ドメインおよび/または安定化ドメインが異なる源に由来する、例えば、異なる種に由来する、異種タンパク質であり得る。非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質、セマフォリン3の非天然型/人工/突然変異機能性断片、セマフォリン3の非天然型/人工/突然変異機能性semaドメイン、二量体化ドメインおよび/または安定化ドメインを天然に存在するセマフォリン3タンパク質に見いだされるように結合/融合させることができ、その際に突然変異セマフォリン3A、B、CまたはDの特性が維持されることが本明細書で理解される。さらに、非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質、セマフォリン3の非天然型/人工/突然変異機能性断片、セマフォリン3の非天然型/人工/突然変異機能性semaドメイン、二量体化ドメインおよび/または安定化ドメインを天然に見いだされないように結合/融合させることができる。非天然型/人工/突然変異セマフォリン3タンパク質、セマフォリン3の非天然型/人工/突然変異機能性断片、セマフォリン3の非天然型/人工/突然変異機能性semaドメイン、二量体化ドメインおよび/または安定化ドメインをアミノ酸リンカー、例えば、セリン−グリシンリンカーを介してコンジュゲート/結合させることができる。そのようなリンカーは、当技術分野で公知であり、例えば、タンパク質ドメイン間に存在する短いペプチド配列であり得る。リンカーは、隣接タンパク質ドメインが互いに自由に動くことができるようにグリシンおよびセリンのような柔軟性のある残基からしばしば構成されている。2つの隣接するドメインが互いに立体的に妨害しないことを保証することが必要である場合、より長いリンカーが用いられる。非ペプチド結合も本明細書で認識される。そのような非ペプチド結合は、例えば、Cys側鎖間のジスルフィド結合、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)またはスルホスクシンイミジル4−[p−マレイミドフェニル]ブチレート(Sulfo−SMPB)、金属キレート化/錯化基などの、化学架橋剤により生じるチオエーテル結合または非ペプチド共有結合、および非共有結合性タンパク質−タンパク質相互作用を含み得る。これらは、本発明の単なる実施形態であり、修正は、融合タンパク質内において容易に行うことができ、本発明の主旨から逸脱することなく用いられることは、当業者に明らかである。
免疫グロブリン様ドメインを付加することによって突然変異セマフォリン3またはその機能性断片の安定性を最適化することができること、血清中半減期の延長のような薬物動態学的特性を同時に向上させることおよびプロテアーゼによるタンパク質分解からの保護も本明細書で認識される。さらに、構成の安定性は、製造を最適化することによって増大させることができる。ドメインを共有結合させるために用いられるリンカー配列は、しばしば凝集体をもたらすので、機能性薬物を得るために容易に再構築することができる2つまたは3つのポリペプチドを最初に製造する製造ラインが確立された。そのような技術は、2種のポリペプチドを共有結合させるための指向性(directed)ジスルフィド架橋または架橋試薬を利用する。他の技術は、ロイシンジッパードメインのようなヘテロまたはホモ二量体化ドメイン、Fcドメインおよびノブ・イントゥー・ホール技術のようなその他のものを利用する(例えば、国際公開第2007/062466号パンフレット参照)。
本発明はまた、本発明の核酸配列(複数可)を含むベクターに関する。
多くの適切なベクターが分子生物学の分野における当業者に公知であり、その選択は、所望の機能に依存し、プラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージおよび遺伝子工学で通常用いられている他のベクターなどがある。当業者に周知である方法を用いて、様々なプラスミドおよびベクターを構築することができる。例えば、Sambrook et al.(上記引用文中)およびAusubel, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y. (1989),(1994)に記載されている技術を参照のこと。あるいは、本発明のポリヌクレオチドおよびベクターは、標的細胞への送達用のリポソーム内に再構成することができる。特定のポリペプチドの発現が必要である場合、関連配列を発現ベクターに導入することができる。一般的なクローニングベクターは、pBluescript SK、pGEM、pUC9、pBR322およびpGBT9を含む。一般的な発現ベクターは、pTRE、pCAL−n−EK、pESP−1、pOP13CATを含む。
好ましくは前記ベクターは、遺伝子標的ベクターおよび/または遺伝子導入ベクターである。治療用遺伝子(例えば、ワクチン接種用)をex vivoまたはin vivo技術により細胞に導入することに基づいている、遺伝子治療は、遺伝子導入の最も重要な応用の1つである。in vitroまたはin vivo遺伝子治療のための適切なベクター、ベクターシステムおよび方法は、文献に記載されており、当業者に公知である。例えば、Giordano, Nature Medicine 2 (1996), 534-539;Schaper, Circ. Res. 79 (1996), 911-919;Anderson, Science 256 (1992), 808-813, Isner, Lancet 348 (1996), 370-374;Muhlhanser, Circ. Res. 77 (1995), 1077-1086;Wang, Nature Medicine 2 (1996), 714-716;国際公開第94/29469号パンフレット;国際公開第97/00957号パンフレット、Schaper, Current Opinion in Biotechnology 7 (1996), 635-640またはVerma, Nature 389 (1997), 239-242およびそれらに引用されている参考文献を参照のこと。特定の態様では、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。特定の態様では、AAVウイルスは、AAV8であり、したがって、ベクターは、AAV8ベクターである。AAVベクターは、遺伝子治療用に魅力的である。AAVシステムは、長期遺伝子発現、ヘルパーウイルスなしに自律的に複製することが不可能であること、分裂および非分裂細胞の形質導入ならびに野生型感染による病原性の欠如を含むいくつかの利点を有する。AAV血清型が異なる臓器向性を示すことが本明細書で認識される。したがって、異なるAAV血清型を用いて、本発明のタンパク質/ポリペプチドを異なる臓器のがんに導くことができる。各種のAAVベクターを標準プロトコールに従って遺伝子療法に用いることができる(Grieger et al., 2012およびAsokan et al., 2012)ことが本明細書で認識される。
本発明の核酸分子および上述のベクターは、細胞への直接導入またはリポソームもしくはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)を介する導入のために設計することができる。さらに、バキュロウイルスシステムまたはワクシニアウイルスもしくはセムリキ森林ウイルスに基づくシステムを本発明の核酸分子の真核細胞発現システムとして用いることができる。組換え産生に加えて、本発明のタンパク質の断片、融合タンパク質または抗原性断片は、固相技術を用いて直接ペプチド合成により生成することができる(Stewart et al. (1969) Solid Phase Peptide Synthesis, WH Freeman Co, San Francisco; Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85 (1963), 2149-2154参照)。in vitroタンパク質合成は、用手技術を用いてまたは自動化により実施することができる。自動化合成は、例えば、製造業者により提供された使用説明書に従ってApplied Biosystems 431Aペプチド合成装置(Perkin Elmer、Foster City CA)を用いて達成することができる。種々の断片を別個に化学的に合成し、化学的方法を用いて結合させて、全長分子を生成させることができる。
特定の態様では、ベクターは、本明細書で定義した前記核酸配列に作動可能に連結した調節配列である核酸配列を含む。
「調節配列」という用語は、それらがライゲーションされるコード配列の発現をもたらすのに必要である、DNA配列を意味する。そのような制御配列の性質は、宿主生物によって異なる。原核生物では、制御配列は、一般的にプロモーター、リボソーム結合部位およびターミネーターを含む。原核生物では、一般的な制御配列は、プロモーター、ターミネーターおよび、場合によっては、エンハンサー、転写活性化因子または転写因子を含む。「制御配列」という用語は、最低限、その存在が発現に必要であるすべての構成要素を含むものとし、さらなる有益な構成要素も含み得る。
「作動可能に連結した」という用語は、そのように記述される構成要素が、それらがそれらの意図された仕方で機能することを可能にする関係にある、並置を意味する。コード配列に「作動可能に連結した」制御配列は、コード配列の発現が制御配列に適合する条件下で達成されるような仕方でライゲーションされる。制御配列がプロモーターである場合、二本鎖核酸を用いることが好ましいことは、当業者に明らかである。
列挙したベクターは、発現ベクターでもあり得る。「発現ベクター」は、選択される宿主を形質転換するために用いることができ、選択される宿主におけるコード配列の発現をもたらす。発現ベクターは、例えば、クローニングベクター、バイナリーベクターまたは組込み型ベクターであり得る。発現は、好ましくは翻訳可能mRNAへの核酸分子の転写を含む。原核および/または真核細胞における発現を保証する調節エレメントは、当業者に周知である。真核細胞の場合、それらは、転写の開始を保証する通常のプロモーターならびに任意選択で、転写の終結および転写物の安定化を保証するポリAシグナルを含む。原核宿主細胞における発現を可能にする可能な調節エレメントは、例えば、大腸菌(E. coli)におけるPL、lac、trpまたはtacプロモーターを含み、真核宿主細胞における発現を可能にする調節エレメントの例は、酵母におけるAOX1もしくはGALプロモーターまたは哺乳類および他の動物細胞におけるCMV、SV40、RSVプロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMVエンハンサー、SV40エンハンサーもしくはグロビンイントロンである。
転写の開始に関与するエレメントに加えて、そのような調節エレメントは、ポリヌクレオチドの下流の、SV40−ポリA部位またはtk−ポリA部位などの転写終結シグナルも含み得る。さらに、用いられる発現システムによって、ポリペプチドを細胞コンパートメントに導くまたはそれを培地中に分泌することができるリーダー配列は、列挙した核酸配列のコード配列に付加することができ、当技術分野で周知である。リーダー配列(複数可)は、翻訳、開始および終結シーケンスにより適切な段階でアセンブルされ、好ましくはリーダー配列は、翻訳タンパク質またはその一部の細胞周辺腔または細胞外媒体中への分泌を誘導することができる。したがって、そのようなリーダー配列は、シグナルペプチドでもあり得る。したがって、突然変異セマフォリン3ポリペプチドは、シグナルペプチドを含み得る。シグナルペプチドは、分泌経路に向うことが定められているタンパク質のN末端に通常存在するアミノ酸の短いストレッチである。そのようなタンパク質は、小胞体、ゴルジまたはエンドソームのような特定のオルガネラ内に存在するまたは細胞から分泌されるものを含む。シグナルペプチドは、切断され、活性ポリペプチドは、通常シグナルペプチドを含まない。場合によっては、異種配列は、所望の特性、例えば、発現組換え産物の安定化または簡略化精製をもたらすN末端識別ペプチドを含む融合タンパク質をコードし得る。これに関連して、Okayama−Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(Invitrogen)、pEF−DHFR、pEF−ADAまたはpEF−neo(Mack et al. PNAS (1995) 92, 7021-7025およびRaum et al. Cancer Immunol Immunother (2001) 50(3), 141-150)またはpSPORT1(GIBCO BRL)などの適切な発現ベクターが当技術分野で公知である。
好ましくは、発現制御配列は、トランスフェクト真核宿主細胞の形質転換を可能にするベクターにおける真核生物プロモーターシステムであるが、原核生物宿主の制御配列も用いることができる。ベクターが適切な宿主に組み込まれたならば、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベルの発現に適する条件下で維持され、所望の通りに、本発明のポリペプチドの収集および精製が後続し得る。例えば、添付の実施例を参照のこと。
本発明は、本発明のベクターにより形質転換された宿主または本発明の核酸分子を含む宿主に関する。前記宿主は、原核または真核細胞であり得る。大腸菌(E. coli)または枯草菌(Bacillus subtilis)のような適切な原核/細菌細胞は、クローニングに一般的に用いられるものである。前記真核生物宿主は、哺乳類細胞であり得る。好ましい実施形態では、前記哺乳類細胞は、とりわけ、HEK293(ヒト胚腎)細胞、CHO、HeLa、NIH3T3、BHKまたはPC12細胞のような神経細胞および/または培養細胞である。特に好ましい実施形態では、HEK293細胞株は、エプスタイン−バーウイルス核抗原1(HEK293−EBNA1または293E)を適切に発現する。一般的に、これは、大規模トランスフェクションに最も一般的に用いられる細胞株である(CSH Protocols; 2008; doi:10.1101/pdb.prot4976)。
列挙した宿主が哺乳類細胞であり得ることが特に認識される。特に好ましい宿主細胞は、HEK細胞、HEK293E細胞、エプスタイン−バーウイルス核抗原1を安定に発現するHEK293細胞株(HEK293−EBNA1、または293E)を含む。
「細胞」または「哺乳類細胞」という用語は、これに関連して用いられているように、複数の細胞および組織に含まれる細胞も含み得る。スクリーニングまたはバリデーション法に用いる細胞は、疾患、例えば、血管新生疾患、がんまたはセマフォリン依存性プレキシン受容体活性化に関連する疾患に罹患している(トランスジェニック)非ヒト動物またはヒトからの試料から得ることができる。細胞(例えば、腫瘍細胞および同類のもの)はまた、患者試料(例えば、生検)から、特に上文または下文で定義した疾患に罹っている患者/対象からの生検/複数の生検から得ることができるまたはそれに由来し得る。したがって、細胞は、ヒト細胞であり得る。再び、本スクリーニングまたはバリデーション法に用いるそのような細胞は、生検試料のような、組織または組織試料に含まれ得る。本発明はまた、本発明のベクターを形質転換したまたはトランスフェクトした宿主を提供する。前記宿主は、本発明の上述のベクターまたは本発明の上述の核酸分子を宿主に導入することによって作製することができる。宿主における少なくとも1つのベクターまたは少なくとも1つの核酸分子の存在は、上述の突然変異セマフォリン3またはその断片をコードする遺伝子の発現を媒介し得る。宿主に導入される、本発明の上述の核酸分子またはベクターは、宿主のゲノムに組み込まれ得るまたは染色体外に維持され得る。宿主は、原核または真核細胞であり得る。
代替発現システムは、昆虫システムまたは昆虫細胞発現システムである。1つのそのようなシステムにおいて、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞またはトリコプルシア属(Trichoplusia)幼虫における外来遺伝子を発現させる。列挙した核酸分子のコード配列は、ポリヘドリン遺伝子などの、ウイルスの非必須領域内にクローニングし、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置くことができる。前記コード配列の挿入の成功により、ポリヘドリン遺伝子が不活性化し、外被タンパク質外被を欠く組換えウイルスが生成する。次いで組換えウイルスを用い、本発明のタンパク質を発現させるスポドプテラ・フルギペルダ(S. frugiperda)細胞またはトリコプルシア属(Trichoplusia)幼虫に感染させる(Smith, J. Virol. 46 (1983), 584;Engelhard, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 91 (1994), 3224-3227)。特定の態様では、pFBDMベクターを発現のために用いることができる。MultiBacバキュロウイルスDNAへの挿入は、DH10 MultiBac大腸菌(E. coli)細胞における形質転換時にTn7転位配列により媒介される(Berger et al., 2004;Fitzgerald et al., 2006)。ウイルスの増幅および発現は、Sf21(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))(Gibco、Invitrogen)および/またはHigh Five(イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni))(Gibco、Invitrogen)細胞において実施することができる。
さらなる調節エレメントは、転写および翻訳エンハンサーを含み得る。有利には、本発明の上述のベクターは、選択可能および/またはスコラブルマーカーを含む。
形質転換細胞ならびに、例えば、植物組織および植物の選択に有用な選択可能マーカー遺伝子は、当業者に周知であり、例えば、メトトレキセートに対する耐性をもたらす、dhfrの選択の根拠としての代謝拮抗薬耐性(Reiss, Plant Physiol. (Life Sci. Adv.) 13 (1994), 143-149);アミノグリコシドであるネオマイシン、カナマイシンおよびパロマイシンに対する耐性をもたらす、npt(Herrera-Estrella, EMBO J. 2 (1983), 987-995)およびハイグロマイシンに対する耐性をもたらす、hygro(Marsh, Gene 32 (1984), 481-485)を含む。さらなる選択可能遺伝子、すなわち、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にする、trpB;細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にする、hisD(Hartman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1988), 8047);細胞がマンノースを利用することを可能にするマンノース−6−リン酸イソメラーゼ(国際公開第94/20627号パンフレット)およびオルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤、2−(ジフルオロメチル)−DL−オルニチン、DFMOに対する耐性をもたらすODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)(McConlogue, 1987, In: Current Communications in Molecular Biology, Cold Spring Harbor Laboratory ed.)またはブラスチシジンSに対する耐性をもたらすアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)に由来するデアミナーゼ(Tamura, Biosci. Biotechnol. Biochem. 59 (1995), 2336-2338)が記載された。
有用なスコラブルマーカーも当業者に公知であり、市販されている。有利には、前記マーカーは、ルシフェラーゼ(Giacomin, Pl. Sci. 116 (1996), 59-72; Scikantha, J. Bact. 178 (1996), 121)、緑色蛍光タンパク質(Gerdes, FEBS Lett. 389 (1996), 44-47)またはβ−グルクロニダーゼ(Jefferson, EMBO J. 6 (1987), 3901-3907)をコードする遺伝子である。この実施形態は、列挙されたベクターを含む細胞、組織および生物の簡易かつ迅速スクリーニングに特に有用である。
上述のように、列挙した核酸分子は、例えば、精製のためだけでなく、遺伝子治療の目的のためにも、細胞中の本発明のポリペプチドを発現させるために単独でまたはベクターの一部として用いることができる。本発明の上述のポリペプチドのいずれか1つをコードするDNA配列(複数可)を含む核酸分子またはベクターが細胞に導入され、これが次に目的のポリペプチドを産生する。ex vivoまたはin vivo技術により治療用遺伝子を細胞に導入することに基づく、遺伝子治療は、遺伝子導入の最も重要な応用の1つである。in vitroまたはin vivo遺伝子治療のための適切なベクター、方法または遺伝子送達システムは、文献に記載され、当業者に公知である。例えば、Giordano, Nature Medicine 2 (1996), 534-539;Schaper, Circ. Res. 79 (1996), 911-919;Anderson, Science 256 (1992), 808-813;Verma, Nature 389 (1994), 239;Isner, Lancet 348 (1996), 370-374;Muhlhauser, Circ. Res. 77 (1995), 1077-1086;Onodera, Blood 91 (1998), 30-36;Verma, Gene Ther. 5 (1998), 692-699;Nabel, Ann. N.Y. Acad. Sci. 811 (1997), 289-292;Verzeletti, Hum. Gene Ther. 9 (1998), 2243-51;Wang, Nature Medicine 2 (1996), 714-716;国際公開第94/29469号パンフレット;国際公開第97/00957号パンフレット;米国特許第5,580,859号明細書;米国特許第5,589,466号明細書;またはSchaper, Current Opinion in Biotechnology 7 (1996), 635-640を参照のこと。列挙した核酸分子およびベクターは、細胞への直接導入またはリポソームもしくはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)を介する導入用に設計することができる。好ましくは、前記細胞は、生殖系列細胞、胚細胞もしくは卵細胞であるまたはそれらに由来すし、最も好ましくは、前記細胞は、幹細胞である。胚性幹細胞の例は、とりわけ、Nagy, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993), 8424-8428に記載されている幹細胞であり得る。
「原核生物」という用語は、本発明のタンパク質の発現のためにDNAまたはRNA分子を形質転換またはトランスフェクトすることができる、すべての細菌を含むことを意味する。原核生物宿主は、例えば、大腸菌(E. coli)、ネズミチフス菌(S. typhimurium)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)および枯草菌(Bacillus subtilis)などの、グラム陰性ならびにグラム陽性細菌を含み得る。「真核」という用語は、酵母、高等植物、昆虫および好ましくは哺乳類細胞を含むことを意味する。組換え生産方法に用いられる宿主によって、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質は、グリコシル化され得るまたは非グリコシル化され得る。本発明のポリペプチドのコード配列およびそれに加えてプロテインAタグに遺伝子操作により融合させたものを含むプラスミドまたはウイルスの使用が特に好ましい。上述のポリヌクレオチドは、当業者に一般的に公知のいずれかの技術を用いて宿主に形質転換またはトランスフェクトするために用いることができる。さらに、融合し、作動可能に連結した遺伝子を作製し、それらを例えば、哺乳類細胞および細菌において発現させる方法は、当技術分野で周知である(Sambrook, loc cit.)。
本明細書では本発明により使用されるポリペプチドの産生の方法も提供するものであって、前記方法は、本発明のポリペプチドの発現を可能にする条件下で本発明の宿主を培養し/生育させ、任意選択で産生されたポリペプチドを培養から回収/単離することを含む。
形質転換宿主を発酵槽中で増殖させ、当技術分野で公知の技術により培養して、最適な細胞増殖を達成することができる。次いで本発明のポリペプチドを増殖培地、細胞溶解物または細胞膜画分から単離することができる。例えば、本発明の微生物発現ポリペプチドの単離および精製は、例えば、分取クロマトグラフ分離および例えば、本発明のポリペプチドのタグに対するまたは添付の実施例で述べるようなモノクローナルもしくはポリクローナル抗体の使用を含むものなどの免疫学的分離などのあらゆる従来の手段によるものであり得る。
発現を可能にする、宿主の培養の条件は、そのような方法に用いられる宿主システムおよび発現システム/ベクターに依存することが当技術分野で公知である。組換えポリペプチドの発現を可能にする条件を実現するために修正すべきパラメーターは、当技術分野で公知である。したがって、適切な条件は、さらなる発明インプットの非存在下で当業者が決定することができる。
発現したならば、本発明のポリペプチドは、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む、当技術分野の標準的方法により精製することができる。Scopes, “Protein Purification”, Springer-Verlag, N.Y. (1982)を参照のこと。少なくとも約90〜95%の均一性の実質的に純粋なポリペプチドが好ましく、98〜99%またはより高い均一性が製薬学的用途に最も好ましい。所望の通りに部分的にまたは均一性が得られるまで、精製されたならば、本発明のポリペプチドは、治療に(体外を含む)またはアッセイ法を開発し、実施するのに用いることができる。さらに、培養からの本発明のポリペプチドの回収の方法の例は、添付の実施例で述べる。
本明細書で詳述したように、本発明はまた、突然変異セマフォリン3、その機能性断片または前記突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片を含む本発明の融合タンパク質に特異的に結合する抗体に関する。特に、本明細書では突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に特異的に結合する抗体を提供するものであって、前記抗体は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンを置換している親水性アミノ酸を含むエピトープに特異的に結合し、または他のセマフォリン3における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されており、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される。したがって、本発明は、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に特異的に結合する抗体に関し、前記抗体は、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;配列番号6に示す野生型セマフォリン3Bの105位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;配列番号10に示す野生型セマフォリン3Cの104位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸;または配列番号14に示す野生型セマフォリン3Dの120位に対応するアラニンの代わりに親水性アミノ酸を含むエピトープに特異的に結合し、前記セマフォリン3は、セマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dからなる群から選択される。
本発明による、「抗体」という用語は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体ならびに結合特異性を依然として保持しているその誘導体または断片を含む。抗体の産生の技術は、当技術分野で周知であり、例えば、Harlow and Lane “Antibodies, A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988およびHarlow and Lane “Using Antibodies: A Laboratory Manual” Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999に記載されている。本発明による「抗体」という用語は、キメラ、単鎖およびヒト化抗体、ならびにとりわけ、Fab断片、Eph受容体、エフリンまたはホスファターゼ細胞外ドメインおよびFcからなる融合タンパク質のような抗体断片などの実施形態も含む。抗体断片または誘導体は、F(ab’)2、Fv断片、scFv、単一ドメインVHまたはVhHもしくはV−NARドメインなどの、V様ドメイン、ならびにミニボディ、ダイアボディ、トリボディ、テトラボディまたは化学的にコンジュゲートさせたFab’多量体などの多量体の形式をさらに含む。例えば、Harlow and Lane (1988)および(1999)、Altshuler (2010) Biochemistry (Moscow) 75, 1584-605またはHolliger (2005) Nature Biotechnology 23, 1126-36を参照のこと。様々な手段が当技術分野で公知であり、そのような抗体および/または断片の産生に用いることができる。したがって、(抗体)誘導体は、ペプチド模倣物質により製造することができる。さらに、単鎖抗体の産生のための記載された技術(とりわけ米国特許第4,946,778号明細書を参照のこと)は、本発明のポリペプチド(複数可)および融合タンパク質に特異的な単鎖抗体を産生させるように適応させることができる。また、本発明のポリペプチドおよび融合タンパク質に特異的なヒト化抗体を発現させるためにトランスジェニック動物を用いることができる。最も好ましくは、本発明の抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体の作製のために、連続細胞株培養により産生される抗体をもたらす、あらゆる技術を用いることができる。そのような技術の例は、当技術によりさらに開発された最初のハイブリドーマ技術(Kohler and Milstein (1975) Nature 256, 495)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor (1983) Immunology Today 4, 72)およびヒトモノクローナル抗体を産生するEBVハイブリドーマ技術(Cole et al. (1985) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., 77)を含む。抗体という用語はまた、ヒト化抗体に関する。非ヒト(例えば、マウスまたはウサギ)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含むキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2もしくは抗体の他の抗原結合配列など)である。しばしば、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性および容量(capacity)を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種のCDR(ドナー抗体)の残基により置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が対応する非ヒト残基により置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入CDRまたはフレームワーク配列にも見いだされない、残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の性能をさらに改良し、最適化するために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、一般的に2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、ここで、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのそれらに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のそれらである。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、一般的にヒト免疫グロブリンのそれも含み得る。さらなる詳細については、Jones Nature 321 (1986), 522-525; Reichmann Nature 332 (1998), 323-327およびPresta Curr Op Struct Biol 2 (1992), 593-596を参照のこと。
抗体のヒト化のよく知られている方法は、非ヒト「ドナー」抗体の機能性抗原結合部位をヒト「アクセプター」抗体上に移植する、CDRグラフティングを含む。CDRグラフティング法は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第5,225,539号明細書、米国特許第5,693,761号明細書および米国特許第6,407,213号明細書に記載されている。別の関連する方法は、遺伝子再構成および遺伝子変換を受けることができる1つまたは複数のヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含むように遺伝子組換えが行われているトランスジェニック動物からのヒト化抗体の産生である(例えば、米国特許第7,129,084号明細書参照)。ヒト化抗体を設計し、作製するさらなる方法は、米国特許出願公開第07/290,975号明細書、米国特許出願公開第07/310,252号明細書および米国特許出願公開第2003/0229208号明細書にまたはQueen PNAS (1989), 10029-10033により記載されている。
BIAcoreシステムに用いられる表面プラズモン共鳴は、本発明のポリペプチドのエピトープに結合するファージ抗体の効率および/または選択性のような効率を高めるために用いることができる(Schier (1996) Human Antibodies Hybridomas 7, 97;Malmborg (1995) J. Immunol. Methods 183, 7)。本発明に関連して、「抗体」という用語は、細胞中で発現させることができる、抗体構築物、例えば、とりわけ、ウイルスまたはプラスミドベクターを介してトランスフェクトし、かつ/または形質導入することができる抗体構築物を含むことも認識される。本発明に関連して述べる抗体は、言及したポリペプチドまたは本明細書で定義した突然変異セマフォリン3のエピトープと特異的に結合/相互作用することができる。「と特異的に結合/相互作用する」という用語は、本発明により用いられているように、抗体が類似の構造のエピトープと交差反応しないまたは本質的にしないことを意味する。検討中の抗体のパネルの交差反応性は、例えば、目的のエピトープに対するおよび多数の多かれ少なかれ(構造的かつ/または機能的に)密接に関連するエピトープに対する通常の条件下での前記抗体のパネルの結合を評価することによって試験することができる。その関連する状況において目的のエピトープ(例えば、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片の構造における特定のモチーフ)に結合するが、他のエピトープのいずれにも結合しないまたは本質的に結合しない抗体のみが、目的のエピトープに対して特異的であり、したがって、本発明による抗体であるとみなされる。対応する方法は、例えば、Harlow and Lane, 1988 and 1999, loc citに記載されている。抗体は、言及したポリペプチド、好ましくは突然変異セマフォリン3に固有である、配座または連続エピトープに特異的に結合する/と相互作用する。配座または不連続エピトープは、ポリペプチド抗原について一次配列において分離されているが、ポリペプチドが天然タンパク質/抗原へと折りたたまれるときに分子の表面上に集合する2つ以上の不連続アミノ酸残基の存在によって特徴付けられる(Sela (1969) Science 166, 1365;Laver (1990) Cell 61, 553)。エピトープに寄与する2つ以上の不連続アミノ酸残基は、1つまたは複数のポリペプチド鎖(複数可)の別個の部分に存在する。これらの残基は、ポリペプチド鎖(複数可)が3次元構造に折りたたまれて、エピトープを構成するときに分子の表面上に集合する。対照的に、連続または直線状エピトープは、ポリペプチド鎖の単一直線状セグメントとして存在する、2つ以上の不連続アミノ酸残基からなる。
抗体断片の作製のために様々な技術が開発された。伝統的に、これらの断片は、完全な抗体のタンパク質分解によって得られた(Morimoto et al (1992) Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117;およびBrennan et al (1985) Science 229:81参照)。抗体断片は、上述の組換え宿主細胞および抗体ファージライブラリーにより直接的に作製することもできる。Fab’−SH断片を大腸菌(E. coli)から直接回収し、化学的に結合させて、F(ab’)2断片を形成することができる(Carter et al (1992) Bio/Technology 10:163-167)。他のアプローチによれば、F(ab’)2断片を組換え宿主細胞培養から直接単離することができる。抗体断片の作製のための他の技術は、当業者には明らかである。他の実施形態では、最適な抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である。国際公開第93/16185号パンフレット、米国特許第5,571,894号明細書および米国特許第5,587,458号明細書を参照のこと。抗体断片は、例えば、米国特許第5,641,870号明細書に記載されているように、「線状抗体」でもあり得る。そのような線状抗体断片は、単一特異性または二重特異性であり得る。
少なくとも2種のエピトープに対する結合特異性を有する二重特異性抗体(Millstein et al (1983), Nature 305:537-539)は、突然変異セマフォリン3の2種のエピトープに結合し得る。完全な抗体をタンパク質分解により切断してF(ab’)2断片を作製する、化学結合を用いる技術などの、抗体断片から二重特異性抗体を作製する技術も記載された(Brennan et al (1985) Science 229:81)。Fab’−SH断片を大腸菌(E. coli)から回収し、化学的に結合させて、二重特異性抗体を形成することができる(Shalaby et al (1992) J. Exp. Med. 175:217-225)。「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片を作製するための代替法となるものである(Hollinger et al (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448)。
「Fab断片」は、一般的に1つの軽鎖ならびに1つの重鎖のCH1および可変領域からなっている。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とのジスルフィド結合を形成し得ない。「Fc」領域は、一般的に抗体のCH2およびCH3ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合によりかつCH3ドメインの疎水性相互作用により結合している。「Fab’断片」は、一般的に1つの軽鎖ならびにVHドメインおよびCH1ドメイン含む1つの重鎖の一部と、2つのFab’断片の2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合が形成されてF(ab’)2分子を形成することができるように、CH1およびCH2ドメインの間の領域も含む。「F(ab’)2断片」は、一般的に2つの軽鎖ならびに2つの重鎖間に鎖間ジスルフィド結合が形成されるように、CH1およびCH2ドメインの間の定常領域の一部を含む2つの重鎖を含む。F(ab’)2断片は、したがって、2つの重鎖の間のジスルフィド結合によって結合している2つのFab’断片からなっている。「Fv領域」は、一般的に重および軽鎖の両方の可変領域を含むが、定常領域を欠いている。2を超える抗体価を有する抗体が予期される。3つ以上の抗原結合部位および2つ以上の可変ドメインを有する多価の「オクトパス」抗体は、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって容易に作製することができる(米国特許出願公開第2002/0004586号明細書;国際公開第01/77342号パンフレット)。例えば、三重特異性抗体を作製することができる(Tutt et al (1991) J. Immunol. 147:60.)。
本明細書で提供する結合分子/抗体/抗原結合断片は、好ましくはIgG1またはIgG3フレームワーク内、より好ましくヒトIgG1またはIgG3フレームワーク内にある。IgG1またはIgG3内、好ましくヒトIgG1またはIgG3フレームワーク内の結合分子、抗体またはこれらの抗体の抗原結合断片は、ワクチン療法に使用するのに特に好ましい。
以下の例示的アッセイは、候補抗体が本発明による突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に実際に特異的に結合することを判定するために用いることができる。
配列番号2に示すセマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置に親水性アミノ酸を含むエピトープに選択的かつ特異的に結合する抗体は、例えば、捕捉ELISAアッセイにより特定することができる。そのようなアッセイを実施するために、Corning 96ウエル透明ポリスチレンHigh Bind Stripwell Microplate(製品#2592)を4℃の0.05M Na2CO3(pH9.6)中で漸増量(0.02nM〜3.5nM)のアフィニティー精製突然変異セマフォリン3(もしくはその機能性断片)または精製野生型セマフォリン3(もしくはその機能性断片)により終夜被覆する。その後、5%BSAを添加した0.05% Tween−20を含むPBS(PBS−T)で室温で2時間反応をブロックする。等量の生成した抗体を含む溶液を4℃で終夜インキュベートすることにより捕捉する。非結合物質は、PBS−Tによる広範な洗浄によって除去する。抗突然変異セマフォリン3抗体の結合は、1%BSAを含むPBS−T中でウエルを適切な西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体とともに4℃で1時間インキュベートすることにより検出する。さらなる洗浄の後、突然変異セマフォリン3結合(もしくはその機能性断片結合)または野生型セマフォリン3結合(もしくはその機能性断片結合)抗突然変異セマフォリン3抗体をオルトフェニレンジアミンとの発色反応により検出する。突然変異セマフォリン3(もしくはその機能性断片)に特異的に結合するが、野生型セマフォリン3(もしくはその機能性断片)には特異的に結合しない抗体を選択する。
さらなる実施形態では、本発明による核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片または融合タンパク質/ポリペプチドは、医薬として使用することができる。すなわち、本明細書で提供し、述べた突然変異セマフォリン3またはその機能性断片は、医薬に用いる。「医薬」および「医薬組成物」という用語は、本明細書で同義で用いる。したがって、「医薬組成物」に関して本明細書に示す定義および説明は、必要な変更を加えて、「医薬」という用語に適用される。
「がんの治療」のような、本明細書で用いている「障害または疾患の治療」という用語は、当技術分野で周知である。「障害または疾患の治療」は、障害または疾患が患者/対象において疑われるまたは診断されたことを意味する。障害または疾患に罹患していることが疑われた患者/対象は、当業者が特定の病的状態に帰す(すなわち、障害または疾患を診断する)ことができる特定の臨床および/または病理学的症状を一般的に示す。
障害または疾患の「治療」は、例えば、障害もしくは疾患の進行の停止(例えば、症状の悪化なし)または障害もしくは疾患の進行の遅延(進行の停止が一過性にすぎない場合)をもたらし得る。障害または疾患の「治療」は、障害または疾患に罹患している対象/患者の部分奏功(例えば、症状の改善)または完全奏功(例えば、症状の消失)ももたらし得る。したがって、障害または疾患の「治療」は、例えば、障害もしくは疾患の進行の停止または障害もしくは疾患の進行の遅延をもたらし得る、障害または疾患の改善も意味し得る。そのような部分または完全奏功には、再発が後続し得る。対象/患者が治療に対する広範囲の反応(例えば、上述の例示的な反応)を経験し得ることを理解すべきである。障害または疾患の治療は、とりわけ、根治治療(好ましくは完全奏効および最終的に障害または疾患の治癒をもたらす)および待機的治療(症状軽減を含む)を含む。したがって、「治療」という用語は、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味する。効果はまた、疾患/病的状態/障害もしくはその症状を完全もしくは部分的に予防することに関して予防的であり、かつ/または疾患/病的状態/障害および/もしくは疾患/病的状態/障害に帰せられる有害影響を部分的もしくは完全に治療することに関して治療的であり得る。「がんの予防」のような、本明細書で用いる「障害または疾患の予防」という用語も当技術分野で周知である。例えば、本明細書で定義した障害または疾患に罹る傾向があると推測される患者/対象は、特に障害または疾患の予防による恩恵を受け得る。対象/患者は、障害または疾患に対する、遺伝的素因を含むがこれに限定されない、感受性または素因を有し得る。そのような素因は、例えば、遺伝マーカーまたは表現型インジケーターを用いて標準的アッセイにより判定することができる。本発明により予防される障害または疾患は、患者/対象において診断されなかったまたは診断できなかった(例えば、患者/対象が臨床または病理学的症状を示さない)ことを理解すべきである。したがって、「予防」という用語は、臨床および/または病理学的症状が診断もしくは判定されるまたは主治医が診断もしくは判定することができる前の本発明の化合物の使用を含む。
本発明は、本発明の核酸分子、本発明の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片、本発明の融合タンパク質またはポリペプチドを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、医薬賦形剤を含み得る。前記医薬賦形剤は、医薬担体、媒体および/または希釈剤を含み得るまたは媒体および/または希釈剤であることが本明細書で理解される。1つの特定の実施形態では、前記医薬担体は、ウイルスである。好ましい実施形態では、前記ウイルスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)であり、アデノ随伴ウイルスは、AAV8である。AAVは、例えば、遺伝子治療に用いることができる。したがって、一態様では、本発明は、アデノウイルスゲノムのエレメントおよび真核生物転写プロモーターの制御下にある突然変異セマフォリン3またはその断片を含むヌクレオチド配列を提供する。この核酸配列は、ベクターが個体の細胞に導入される場合に前述の異種遺伝子の発現を可能とするベクターとして機能することができる。
さらに、本発明は、医薬として使用する医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、血管新生障害、がん、腫瘍、腫瘍性疾患、血管性網膜症、血液脳関門透過性変化、神経炎症性障害、炎症性障害、骨粗鬆症、乾癬、肥満、マイコバクテリア感染および/または肉芽腫の治療に使用するための医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、固形腫瘍である、腫瘍の治療に使用するための医薬組成物を提供する。特に、本発明は、膵臓腫瘍である、腫瘍の治療に使用するための医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、膵臓がん、子宮頚がん、乳がん、結腸がん、黒色腫、前立腺がん、膀胱がんおよび舌がんからなる群から選択される、がんの治療に使用するための医薬組成物を提供する。特に、本発明は、膵臓がんの治療に使用するための医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、血管正常化、腫瘍成長の低減、転移の低減または生存期間の延長が伴う、医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、抗増殖薬、抗がん薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬および/または放射線療法と併用して投与するものとする、医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドを提供する。特定の好ましい態様では、医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドは、非経口的に投与するものとする。
さらに、本発明は、がんの成長を阻害し、肝臓転移または転移巣体積を低減し、血管面積を低減し、かつ/または周皮細胞被覆を増大させることによりがん血管の正常化を促進し、かつ/または血管潅流を増大させ、がん低酸素を阻害するための腫瘍またはがんの治療に使用するための医薬組成物、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドまたはコード化核酸分子を提供する。
医薬組成物、核酸分子、ベクター、前記突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドは、他の治療剤と併用して用いることができる。本発明の化合物を同じ疾患に対して活性な第2の治療剤と併用して用いる場合、各化合物の用量は、化合物を単独で用いる場合の用量と異なり得る。本発明の化合物と第2の治療剤との併用は、本発明の化合物と一緒の第2の治療剤の投与を含み得る。そのような投与は、同時(simultaneous)/同時(concomitant)投与を含み得る。しかし、下文でも説明するように、連続/個別投与も想定される。
好ましくは、本発明の化合物と併用して投与される第2の治療剤は、抗がん薬である。本発明による医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドと併用して投与される抗がん薬は、腫瘍血管新生阻害剤(例えば、プロテアーゼ阻害剤、表皮増殖因子受容体キナーゼ阻害剤または血管内皮増殖因子受容体キナーゼ阻害剤);細胞毒性薬(例えば、プリンおよびピリミジン類似物質代謝拮抗薬などの、代謝拮抗薬);有糸分裂阻害薬(例えば、微小管安定化薬または抗有糸分裂アルカロイド);白金配位錯体;抗腫瘍抗生物質;アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素);内分泌薬(例えば、副腎皮質ステロイド、アンドロゲン、抗アンドロゲン、エストロゲン、抗エストロゲン、アロマターゼ阻害剤、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニストまたはソマトスタチン類似体);あるいは腫瘍細胞において誤調節される特定の代謝経路において過剰発現し、かつ/またはさもなければ関与する酵素もしくは受容体を標的とする化合物(例えば、ATPおよびGTPホスホジエステラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤(セリン、トレオニンおよびチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、エーベルソンプロテインチロシンキナーゼ))ならびに様々な増殖因子、それらの受容体および対応するキナーゼ阻害剤(表皮増殖因子受容体キナーゼ阻害剤、血管内皮増殖因子受容体キナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖因子阻害剤、インスリン様増殖因子受容体阻害剤および血小板由来増殖因子受容体キナーゼ阻害剤など));メチオニン、アミノペプチダーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、シクロオキシゲナーゼ1またはシクロオキシゲナーゼ2阻害剤)およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポイソメラーゼI阻害剤またはトポイソメラーゼII阻害剤)であり得る。
本発明の医薬組成物、核酸、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドと併用して抗がん薬として用いることができるアルキル化剤は、例えば、ナイトロジェンマスタード(シクロホスファミド、メクロレタミン(クロルメチン)、ウラムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イフォスファミド、ベンダムスチンまたはトロフォスファミドなど)、ニトロソ尿素(カルムスチン、ストレプトゾシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、ラニムスチンまたはセムスチンなど)、アルキルスルホネート(ブスルファン、マンノスルファンまたはトレオスルファンなど)、アジリジン(ヘキサメチルメラミン(アルトレタミン)、トリエチレンメラミン、ThioTEPA(N,N’,N’−トリエチレンチオホスホルアミド)、カルボクオンまたはトリアジクオンなど)、ヒドラジン(プロカルバジンなど)、トリアゼン(ダカルバジンなど)またはイミダゾテトラジン(テモゾロミドなど)であり得る。
本発明の医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドと併用して抗がん薬として用いることができる白金配位錯体は、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチンまたはトリプラチンテトラナイトレートであり得る。
本発明の医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドと併用して抗がん薬として用いることができる細胞毒性薬は、例えば、葉酸類似体代謝拮抗薬(アミノプテリン、メトトレキセート、ペメトレキセドまたはラルチトレキセドなど)、プリン類似体代謝拮抗薬(クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、6−メルカプトプリン(そのプロドラッグ型アザチオプリンを含む)、ペントスタチンまたは6−チオグアニンなど)およびピリミジン類似体代謝拮抗薬(シタラビン、デシタラビン、5−フルオロウラシル(そのプロドラッグ型カペシタビンおよびテガフルを含む)、フロクスリジン、ゲムシタビン、エノシタビンまたはサパシタビンなど)であり得る。
本発明の医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドと併用して抗がん薬として用いることができる有糸分裂阻害薬は、例えば、タキサン(ドセタキセル、ラロタキセル、オルタキセル、パクリタキセル/タキソールもしくはテセタキセルなど)、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンフルニン、ビンデシンもしくはビノレルビンなど)、エポチロン(エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、エポチロンEもしくはエポチロンFなど)またはエポチロンB類似体(イクサベピロン/アザエポチロンBなど)であり得る。
本発明の医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドと併用して抗がん薬として用いることができる抗腫瘍抗生物質は、例えば、アントラサイクリン(アクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アムルビシン、ピラルビシン、バルルビシンもしくはゾルビシンなど)、アントラセンジオン(ミトキサントロンもしくはピキサントロンなど)またはストレプトミセス属(Streptomyces)から単離された抗腫瘍抗生物質(アクチノマイシン(アクチノマイシンDを含む)、ブレオマイシン、マイトマイシン(マイトマイシンCを含む)もしくはプリカマイシンなど)であり得る。
本発明の医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドと併用して抗がん薬として用いることができるチロシンキナーゼ阻害剤は、例えば、アキシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ニロチニブ、セマキサニブ、ソレフェニブ、スニチニブまたはバンデタニブであり得る。
本発明の医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドと併用して抗がん薬として用いることができるトポイソメラーゼ阻害剤は、例えば、トポイソメラーゼI阻害剤(イリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、ベロテカン、ルビテカンまたはラメルラリンDなど)またはトポイソメラーゼII阻害剤(アムサクリン、エトポシド、エトポシドホスフェート、テニポシドもしくはドキソルビシンなど)であり得る。
さらなる抗がん薬を本発明の医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドと併用して用いることができる。抗がん薬は、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、タモキシフェン、アムサクリン、ベキサロテン、エストラムスチン、イロフルベン、トラベクテジン、セツキシマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、エドレコロマブ、ゲムツズマブ、トラスツズマブ、ペルツズマブ、アルボシジブ、セリシクリブ、アミノレブリン酸、アミノレブリン酸メチル、エファプロキシラル、ポルフィマーナトリウム、タラポルフィン、テモポルフィン、ベルテポルフィン、アリトレチノイン、トレチノイン、アナグレリド、三酸化ヒ素、アトラセンタン、ボルテゾミブ、カルモフル、セレコキシブ、デメコルシン、エレスクロモール、エルサミトルシン、エトグルシド、ロニダミン、ルカントン、マソプロコール、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトタン、オブリメルセン、オマセタキシン、シティマゲン、セラデノベク、テガフル、テストラクトン、チアゾフリン、チピファニブおよびボリノスタットのような、生物学的または化学的分子を含み得る。
増殖性疾患に関与するがんまたは腫瘍マーカー/因子/サイトカインに対する抗体、抗体断片、抗体構築物(例えば、単鎖構築物)および/または修飾抗体(CDRグラフト抗体、ヒト化抗体、「完全ヒト化」抗体など)のような生物学的製剤も本発明の医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドとの併用療法アプローチに用いることができる。そのような生物学的分子の例は、抗HER2抗体(例えば、トラツズマブ、Herceptin(登録商標))、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ、Rituxan(登録商標)、MabThera(登録商標)、Reditux(登録商標)、抗CD19/CD3構築物(例えば、欧州特許第1071752号明細書参照)および抗TNF抗体(例えば、Taylor PC. Antibody therapy for rheumatoid arthritis. Curr Opin Pharmacol. 2003. 3(3):323-328)である。本発明の医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/またはポリペプチドとの併用療法アプローチに用いることができるさらなる抗体、抗体断片、抗体構築物および/または修飾抗体は、Taylor PC. Curr Opin Pharmacol. 2003, 3(3):323-328;Roxana A. Maedica. 2006. 1(1):63-65に見いだすことができる。
上記で言及した組合せは、医薬製剤の形で用いるために好都合に提示することができる。そのような組合せの個々の成分は、好都合な経路により個別または組み合わせた配合医薬製剤で連続的にまたは同時に(simultaneously)/同時に(concomitantly)投与することができる。投与が連続的である場合、本発明の医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドあるいは第2の治療剤を最初に投与することができる。同時に投与する場合、組合せは、同じまたは異なる医薬組成物で投与することができる。同じ製剤で併用する場合、2つの化合物が安定で、互いにおよび製剤の他の成分と適合性がなければならないことは、十分に理解されよう。別個に製剤化される場合、それらはいずれかの好都合な製剤として提供され得る。
医薬組成物、核酸分子、ベクター、突然変異セマフォリン3、その機能性断片および/または融合タンパク質/ポリペプチドは、放射線療法などの、理学療法と併用して投与することもできる。放射線療法は、本発明の化合物の投与の前、後または同時に開始することができる。例えば、放射線療法は、化合物の投与の1〜10分、1〜10時間または24〜72時間後に開始することができる。しかし、これらの時間枠は、限定的と解釈すべきでない。対象は、放射線、好ましくはガンマ線に曝露し、放射線は、数時間、数日間および/または数週間にわたり施行される1回または複数回の照射で送達することができる。ガンマ線は、標準的線量および計画を用いて標準的放射線療法プロトコールに従って送達することができる。
したがって、本発明は、がんの治療または予防、特に膵臓がんの治療または予防に用いるための、核酸分子、突然変異セマフォリン3、その機能性断片、融合タンパク質もしくはポリペプチドおよび/またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグまたは薬学的に許容される賦形剤と一緒に前述の物質のいずれかを含む医薬組成物に関し、化合物または医薬組成物は、抗がん薬と併用しておよび/または放射線療法と併用して投与するものとする。
言い換えれば、本発明は、医薬として使用するための本発明の核酸分子、本発明のベクターおよび/または突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、本発明の融合タンパク質もしくは本発明のポリペプチドを提供する。さらに本発明は、血管新生障害、がん、腫瘍性疾患、血管性網膜症、血液脳関門透過性変化、神経炎症性障害、骨粗鬆症、肥満、マイコバクテリア感染および/または肉芽腫の治療に使用するための本発明の核酸分子、本発明のベクターおよび/または本発明の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片または本発明の融合タンパク質/ポリペプチドを提供する。さらに、本発明は、固形腫瘍である、腫瘍の治療に使用するための本発明の核酸分子、本発明のベクターおよび/または本発明の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片または本発明の融合タンパク質/ポリペプチドを提供する。さらに、本発明は、膵臓腫瘍、子宮頚がん、乳がん、結腸がん、黒色腫、前立腺がん、膀胱がんおよび舌がんからなる群から選択される腫瘍の治療に使用するための本発明の核酸分子、本発明のベクターおよび/または本発明の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片または本発明の融合タンパク質/ポリペプチドを提供する。特に、本発明は、膵臓がんの治療に使用するための本発明の核酸分子、本発明のベクターおよび/または本発明の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片または本発明の融合タンパク質/ポリペプチドを提供する。さらに、本発明は、血管正常化、腫瘍成長の低減、転移の低減または生存期間の延長が伴う、本発明の核酸分子、本発明のベクターおよび/または本発明の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片または本発明の融合タンパク質/ポリペプチドを提供する。
「血管新生」という用語は、血管ECが先在血管から発生し、毛細血管が組織に侵入する方法で形成されることを意味する。形成過程は、プロテアーゼによる血管基底膜の消化、血管ECの移動/増殖および管腔の形成である。「血管新生障害」は、動脈硬化症、高血圧、狭心症、閉塞性動脈硬化症、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病性血管障害または血管奇形などの血管疾患;肝炎、肺炎、糸球体腎炎、甲状腺炎、骨炎、滑膜炎、破骨、軟骨融解、リウマチ、気管支喘息、類肉腫症、Crow−Fukase症候群、パンヌス、アレルギー性浮腫、潰瘍、腹水、腹膜硬化症または組織癒着などの炎症性疾患;糖尿病性網膜症、網膜静脈の閉塞または加齢黄斑変性などの眼内血管新生性疾患;子宮機能不全、胎盤機能不全、卵巣機能亢進または卵胞嚢胞などの生殖系疾患;網膜症、脳卒中、血管性認知症またはアルツハイマー病などの中枢神経系疾患;固形がん、血管腫、血管内皮腫、肉腫、カポシ肉腫または造血器潰瘍などのがんである。
「がん」は、本発明によれば、細胞の制御されない分裂、および浸潤による隣接組織内への直接増殖により、またはがん細胞が血流もしくはリンパ系により運ばれる、転移による遠隔部位への移植により広がるこれらの細胞の能力を特徴とする障害または疾患のクラスを意味する。腫瘍性疾患は、がん、腫瘍のいずれかの形であり得るまたは膵臓がん、乳がん、上皮がん、肝細胞癌腫、胆管細胞がん、胃がん、結腸がん、前立腺がん、膀胱がん、舌がん、頭頸部がん、皮膚がん(黒色腫)、尿生殖路のがん、例えば、卵巣がん、子宮内膜がん、子宮頸がんおよび腎臓がん;肺がん、胃がん、小腸のがん、肝臓がん、胆嚢がん、胆管のがん、食道がん、唾液腺のがんもしくは甲状腺のがんから選択される。
血管新生阻害剤は、上記の疾患におけるその状態が血管新生によって重篤になり得る疾患に対する予防または治療剤として用いることができる。血管新生阻害剤が効果を有する疾患は、血管疾患、炎症性疾患、眼内血管新生性疾患、生殖系疾患、中枢神経系疾患、がんなどである。本発明のベクターの形の製剤(遺伝子治療剤)は、上記のそれぞれの形態の投与に応じた異なる形態のものであり得る。例えば、それが有効成分である本発明のDNAを含む注射剤である場合、注射剤は、通常の方法により調製することができる。遺伝子治療剤の基礎原料は、それが注射に通常用いられる基礎原料である限り、特に限定されない。それは、例えば、蒸留水、塩化ナトリウム、塩化ナトリウムおよび無機塩の混合物などの塩溶液、マンニトール、ラクトース、デキストランもしくはグルコースなどの溶液、グリシンもしくはアルギニンなどのアミノ酸溶液、または有機酸溶液もしくは塩溶液およびグルコース溶液の混合物である。注射剤は、浸透圧調節剤、pH調整剤などの助剤、ゴマ油もしくはダイズ油などの植物油、レシチンもしくは非イオン性界面活性剤などの界面活性剤などを用いて溶液、懸濁液または分散系として通常の方法により調製することができる。上記の注射剤は、粉末化または凍結乾燥などの操作により使用時に溶解する製剤であり得る。
さらに、本発明は、本発明による突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片の、核酸分子の、融合タンパク質の、ポリペプチドのまたは宿主の使用を提供する。
さらに、本発明は、薬学的に活性な量の本発明の核酸分子、または本発明による突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、本発明の融合タンパク質、ポリペプチド、本発明のまたは本明細書で述べるような方法により製造された医薬組成物をそのような治療を必要とする対象に投与するステップを含む血管新生障害および/または腫瘍性疾患および/またはがんの治療の方法を提供する。
本発明により治療される対象または患者は、動物(例えば、非ヒト動物)、脊椎動物、哺乳類、げっ歯類動物(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ科動物(例えば、マウス)、イヌ科動物(例えば、イヌ)、ネコ科動物(例えば、ネコ)、ブタ科動物(例えば、ブタ)、ウマ科動物(例えば、ウマ)、霊長類、類人猿(例えば、サルまたは類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、ギボン)またはヒトであり得る。本発明との関連においては、経済的、農学的または科学的に重要な動物を治療すべきであることが特に認識される。科学的に重要な生物は、マウス、ラットおよびウサギを含むが、これらに限定されない。例えば、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のようなミバエおよびエレガンス線虫(Caenorhabditis elegans)のような線虫などの下等生物も科学的アプローチにおいて用いることができる。農学的に重要な動物の非限定的な例は、ヒツジ、ウシおよびブタであるが、例えば、ネコおよびイヌは、経済的に重要な動物と考えることができる。好ましくは、対象/患者は、哺乳類であり、より好ましくは、対象/患者は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、サル、類人猿、マーモセット、ヒヒ、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、ギボン、ヒツジ、ウシまたはブタ)であり、最も好ましくは、対象/患者は、ヒトである。
薬学的有効量は、10mg/kg体重より高いことがあり得る。さらに、薬学的有効量は、0.5mg/kg体重より低いことがあり得る。特に好ましい態様では、本発明は、本発明による治療の方法を提供し、薬学的有効量は、0.5〜10mg/kg体重の範囲である。
製剤のDNAの含量は、疾患の治療目的、投与部位、投与回数、所望の治療期間、患者の年齢もしくは体重などによって異なり、適切に調節することができることが本明細書で認識される。それは、患者(体重が60kg)に対して通常約0.01〜2000mg、好ましくは0.1〜100mgの本発明のタンパク質をコードするDNAである。
医薬組成物は、個々の患者の臨床状態、医薬組成物の送達の部位、投与方法、投与計画および開業医に公知の他の因子を考慮に入れて、適正医療規範と調和した方法で製剤化し、投与する。したがって、本明細書における目的のための医薬組成物の「有効量」は、そのような考慮によって決定される。
当業者は、個体に投与される医薬組成物の有効量は、とりわけ化合物の性質に依存することを知っている。
本明細書で提供する組成物の投与は、とりわけ、1日2回、毎日、1日おき、2日おき、3日おき、4日おき、週1回、隔週に1回、2週に1回、毎月1回などの投与を含む。
例えば、前記化合物が(ポリ)ペプチドまたはタンパク質である場合、1回当たり非経口的に投与される医薬組成物の総薬学的有効量は、上記のように、これは治療上の裁量にゆだねられるが、患者の体重の約1μgタンパク質/kg/日〜15mgタンパク質/kg/日の範囲にある。より好ましくは、この用量は、少なくとも0.01mgタンパク質/kg/日、最も好ましくはヒトに対して約0.01〜1mgタンパク質/kg/日である。連続的に投与する場合、医薬組成物は、一般的に、1日当たり1〜4回の注射により、または例えば、ミニポンプを用いた持続皮下注入により、約1μg/kg/時〜約50μg/kg/時の投与速度で投与される。静注バッグ溶液も用いることができる。変化を観測するのに必要な治療の期間および反応が起こる治療後の間隔は、所望の効果によって異なると思われる。個別の量は、当業者に周知である通常の試験によって決定することができる。
本発明の医薬組成物は、非経口、経口、直腸、嚢内、膣内、腹腔内、局所(散剤、軟膏剤、滴剤もしくは経皮貼付剤による)または口腔内投与することができる。特に好ましい実施形態では、医薬組成物は、非経口投与する。
本発明の医薬組成物は、好ましくは薬学的に許容される担体を含む。「薬学的に許容される担体」とは、ウイルス、非毒性固体、半固体もしくは液体充填剤、希釈剤、封入材料またはあらゆる種類の製剤助剤を意味する。本明細書で用いられる「非経口」という用語は、静脈内、筋肉内、腹腔内、気管内、鼻腔内、胸骨内、皮下および関節内注射ならびに注入を含む投与方法を意味する。
医薬組成物はまた、持続放出システムにより適切に投与される。持続放出組成物の適切な例は、成型品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態の半透過性ポリマーマトリックスを含む。持続放出マトリックスは、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号明細書、欧州特許第58,481号明細書)、L−グルタミン酸およびガンマ−エチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidman, U. et al., Biopolymers 22:547-556 (1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(R. Langer et al., J. Biomed. Master. Res. 15:167-277 (1981)およびR. Langer, Chem. Tech. 12:98-105 (1982))、エチレン酢酸ビニル(R. Langer et al., Id.)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133,988号明細書)を含む。持続放出医薬組成物はまた、リポソームに封入された化合物を含む。医薬組成物を含むリポソームは、以下に示されている本質的に公知の方法により調製される:独国特許第3,218,121号明細書、Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 82:3688-3692 (1985);Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 77:4030-4034 (1980);欧州特許第52,322号明細書;欧州特許第36,676号明細書;欧州特許第88,046号明細書;欧州特許第143,949号明細書;欧州特許第142,641号明細書;特開83−118008号広報;米国特許第4,485,045号明細書および第4,544,545号明細書;ならびに欧州特許第102,324号明細書。通常、リポソームは、脂質含量がコレステロールとして約30モルパーセントを超え、選択される割合が最適な療法について調節される、小さな(約200〜800オングストローム)単層型のものである。
非経口投与のために、医薬組成物は、一般的に所望の純度のそれを薬学的に許容される担体、すなわち、用いられる用量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、製剤の他の成分と適合性がある担体と混合することによって単位用量の注射可能な形態(溶液、懸濁剤または乳剤)に製剤化する。
一般的に、製剤は、医薬組成物の成分を液体担体または微細固体担体または両方と均一かつ緊密に接触させることによって調製する。次いで、必要な場合、製品を所望の製剤に成型する。好ましくは担体は、非経口担体、より好ましくはレシピエントの血液と等張性である溶液である。そのような担体媒体の例は、水、生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液を含む。固定油およびオレイン酸エチルなどの非水性媒体ならびにリポソームもここで有用である。担体は、等張性および化学的安定性を向上させる物質などの少量の添加物を適切に含む。そのような物質は、用いられる用量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸および他の有機酸もしくはそれらの塩などの緩衝剤;アスコルビン酸などの抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)(ポリ)ペプチド、例えば、ポリアルギニンもしくはトリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸もしくはアルギニンなどのアミノ酸;セルロースもしくはその誘導体、グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む単糖、二糖および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの対イオン;および/またはポリソルベート、ポロキサマーもしくはPEGなどの非イオン性界面活性剤を含む。
治療的投与に用いられる医薬組成物の成分は、無菌性でなければならない。無菌性は、滅菌濾過膜(例えば、0.2μm膜)による濾過により容易に達成される。医薬組成物の治療用成分は、無菌的アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針により貫通可能な栓を有する静注バッグまたはバイアルに入れる。
医薬組成物の成分は、通常、単位または多用量容器、例えば、密封アンプルまたはバイアル中に水性溶液としてまたは復元用の凍結乾燥製剤として保存する。凍結乾燥製剤の例として、10mlバイアルに5mlの濾過滅菌済み1%(重量/容積)水性溶液を充填し、得られた混合物を凍結乾燥する。注入溶液は、静菌性注射用水を用いて凍結乾燥化合物(複数可)を復元することによって調製する。
本発明はさらに、本明細書で定義した突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、融合タンパク質、核酸分子、抗体および/または医薬組成物を含むキットに関する。そのようなキットは、例えば、がん、腫瘍および/または腫瘍性疾患の治療に用いることができ、前記腫瘍、がん、腫瘍性疾患は、固形腫瘍、特に膵臓腫瘍/がんである。
本発明による「核酸分子」という用語は、コードおよび、当てはまるならば、非コード配列(プロモーター、エンハンサーなどのような)を含む。
「ポリペプチド」、「(ポリ)ペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書で同義で用い、1つのアミノ酸のアミノ基と別のアミノ酸のカルボキシル基との間で形成されるアミド結合により結合した2つ以上のアミノ酸のポリマーを意味する。アミノ酸残基とも呼ばれる、ペプチドまたはタンパク質に含まれるアミノ酸は、20種の標準タンパク質構成α−アミノ酸(すなわち、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、TyrおよびVal)からだけでなく、非タンパク質構成および/または非標準α−アミノ酸(例えば、オルニチン、シトルリン、ホモリシン、ピロリシンまたは4−ヒドロキシプロリン)ならびにβ−アミノ酸(例えば、β−アラニン)、γ−アミノ酸およびδ−アミノ酸からも選択することができる。好ましくは、ペプチドまたはタンパク質に含まれるアミノ酸残基は、α−アミノ酸、より好ましくは20種の標準タンパク質構成α−アミノ酸(L−異性体またはD−異性体として存在し得る、好ましくはすべてL−異性体として存在する)から選択される。ペプチドまたはタンパク質は、非修飾であり得るあるいは例えば、そのN末端において、そのC末端において、かつ/またはそのアミノ酸残基のいずれかの側鎖における官能基において(特に1つまたは複数のLys、His、Ser、Thr、Tyr、Cys、Asp、Gluおよび/またはArg残基の側鎖官能基において)修飾され得る。そのような修飾は、例えば、Wuts PG & Greene TW, Greene’s protective groups in organic synthesis, John Wiley & Sons, 2006に対応する官能基について記載された保護基のいずれかの結合も含み得る。そのような修飾は、1つもしくは複数のポリエチレングリコール(PEG)鎖の共有結合(PEG化ペプチドもしくはタンパク質を形成する)、グリコシル化および/または1つもしくは複数の脂肪酸によるアシル化(例えば、1つもしくは複数のC8−30アルカン酸またはアルケン酸;脂肪酸アシル化ペプチドまたはタンパク質を形成する)も含み得る。ペプチドまたはタンパク質に含まれるアミノ酸残基は、例えば、線状分子鎖(線状ペプチドまたはタンパク質を形成する)として存在し得るまたは1つもしくは複数の環(環状ペプチドまたはタンパク質に対応する)を形成し得る。ペプチドまたはタンパク質はまた、2つ以上の同一または異なる分子からなるオリゴマーを形成し得る。本明細書で用いられる「ドメイン」という用語は、特定の構造および/または機能を自律的にとることができるアミノ酸配列の任意の領域/部分に関する。本発明との関連においては、したがって、「ドメイン」は、機能ドメインまたは構造ドメインであり得る。
「コンセンサス配列」または「コンセンサス配列モチーフ」という用語は、配列アライメントにおける各位置に見いだされる、ヌクレオチドまたはアミノ酸の、最も頻度の高い残基の計算された整列である。それは、関連する配列を互いに比較し、類似配列モチーフを計算する、多重配列アライメントの結果である。
本明細書で用いられる「含む(comprising)」および「含む(including)」という用語またはその文法的変異形は、記述された特徴、整数、ステップまたは成分を規定するものと解釈すべきであるが、1つまたは複数のさらなる特徴、整数、ステップ、成分またはその群の追加を排除しない。この用語は、「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」を含む。
したがって、「含む(comprising)」/「含む(including)」/「有する(having)」という用語は、さらなる成分(または同様に特徴、整数、ステップなど)が存在し得る/可能性があることを意味する。
「からなる(consisting of)」という用語は、さらなる成分(または同様に特徴、整数、ステップなど)が存在しないことを意味する。
「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語またはその文法的変異形は、本明細書で用いる場合、記述された特徴、整数、ステップまたは成分を規定するが、さらなる特徴、整数、ステップ、成分またはそれらの群が、特許請求した組成物、装置または方法の基本的および新規の特性を実質的に変化させない場合にのみ、1つまたは複数のさらなる特徴、整数、ステップ、成分またはそれらの群の追加を除外しない。
したがって、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、特定のさらなる成分(または同様に特徴、整数、ステップなど)が存在し得るもの、すなわち組成物、装置または方法の本質的特性に実質的に影響を及ぼさないものを意味する。言い換えれば、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語(「実質的に含む(comprising substantially)」という用語と本明細書で同義で用いることができる)は、装置または方法の本質的な特性が他の成分の存在によって実質的に影響を受けないならば、必須の成分(または同様に特徴、整数、ステップなど)に加えて組成物、装置または方法における他の成分の存在を可能にする。
「方法」という用語は、化学、生物学および生物物理学の技術分野の当業者に公知であるまたは当業者によって公知の方法、手段、手法および手順から容易に開発される方法、手段、手法および手順を含むが、これらに限定されない所定の課題を遂行するための方法、手段、手法および手順を意味する。
「約」という用語は、好ましくは表示された数値の±10%、より好ましくは表示された数値の±5%、特に表示された正確な数値を意味する。
本明細書で用いられる「約」という用語は、表示された数値の±10%、特に表示された数値の±5%を意味する。「約」という用語を用いる場合には、表示された正確な数値への具体的な言及も含まれる。「約」という用語を、所定の核酸におけるヌクレオチドの数のような、整数で定量化されるパラメーターに関連して用いる場合、表示された数値の±10%または±5%に対応する数は四捨五入して最も近い整数にするものとする。例えば、「約25ヌクレオチド」という表現は、23〜28ヌクレオチドの範囲、特に24〜26ヌクレオチドの範囲を意味し、好ましくは25ヌクレオチドという特定の値を意味する。
本発明は、以下の非限定的な図面および実施例を参照することによってさらに説明する。特に明記しない限り、組換え遺伝子技術の確立された方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook, Russell “Molecular Cloning, A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (2001)に記載されている通りに用いた。
本明細書で用いられる「単離された」という用語は、そのin vivo位置から除去された組成物に適用される。好ましくは本発明の単離された組成物または化合物は、それらのin vivo位置に存在する他の物質(例えば、他のタンパク質または他の化合物)を実質的に含まない(すなわち、精製または半精製組成物または化合物)。
示した定義および説明は、これらの項目にも適用でき、必要な変更を加えて適用する。上記によれば、本発明は、特定の実施形態における以下の項目に関する。
1. 配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換され、前記セマフォリン3がセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される、血管新生の阻害剤として機能する突然変異セマフォリン3またはその機能性断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子。
2. 前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片が血管新生の阻害剤として機能する、項目1に記載の核酸分子。
3. 前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片がアミノ酸配列CX1X2A3GKDを含み、ここで、
X1がKまたはNであり、
X2がW、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、
アラニン(A3)が前記親水性アミノ酸により置換されている、
項目1または2に記載の核酸分子。
4. (a)配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、かつ
配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、
配列番号1、配列番号5、配列番号9および配列番号13の群から選択される核酸分子;
(b)配列番号2の106位における、配列番号6の105位における、配列番号10の104位におけるまたは配列番号14の120位におけるアラニン残基が前記親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2、配列番号6、配列番号10および配列番号14の群から選択されるポリペプチドをコードする核酸分子;
(c)(a)または(b)で定義した核酸分子の相補鎖にストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸分子;
(d)血管新生の阻害剤として機能し、(b)で言及したポリペプチドのいずれか1つとの少なくとも55%の同一性を有するポリペプチドをコードする核酸分子;ならびに
(e)(a)〜(d)のいずれか1つで定義した核酸分子のヌクレオチド配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸分子であって、縮重核酸分子が血管新生の阻害剤として機能するポリペプチドをコードする核酸分子
の群から選択される、項目1から3のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
5. 前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片が配列番号2の106位、配列番号6の105位、配列番号10の104位または配列番号14の120位に前記親水性アミノ酸を含む、項目1から4のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
6. 前記突然変異セマフォリン3またはその機能性断片がアミノ酸置換(複数可)、付加(複数可)、欠失(複数可)および重複(複数可)からなる群から選択される少なくとも1つの追加の突然変異を含む、項目1から5のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
7. 前記親水性アミノ酸が、K、R、N、Q、S、T、E、DおよびHの群から選択される、項目1から6のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
8. 前記親水性アミノ酸が、K、R、E、DおよびHの群から選択される、項目7に記載の核酸分子。
9. 前記親水性アミノ酸残基がKまたはRである、項目7に記載の核酸分子。
10. 前記親水性アミノ酸残基がKである、項目7に記載の核酸分子。
11. KがコドンAAGまたはAAAによりコードされる、項目1から10のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
12. 前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片が突然変異ヒトまたはマウスセマフォリン3またはその機能性断片である、項目1から11のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
13. 前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片が配列番号26、配列番号27、配列番号29、配列番号30、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号36、配列番号45、配列番号46、配列番号47および配列番号48のいずれか1つに定義されている1つまたは複数の配列(複数可)を含む、項目1から12のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
14. (a)配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号1の601〜1206のヌクレオチド;
(b)配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号5の529〜1137のヌクレオチド;
(c)配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号9の842〜1444のヌクレオチド;または
(d)配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号13の368〜982のヌクレオチド
を含む、項目1から13のいずれか1つに記載の核酸分子。
15. 配列番号57の601〜1206のヌクレオチド;配列番号61の529〜1137のヌクレオチド;配列番号65の842〜1444のヌクレオチド;または配列番号69の368〜982のヌクレオチドを含む、項目1から14のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
16. 前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片が
(a)配列番号2の106位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号21;
(b)配列番号6の105位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号22;
(c)配列番号10の104位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号23;または
(d)配列番号14の120位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号24
に示すアミノ酸配列を含む、項目1から15のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
17. 前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片が配列番号49、配列番号50、配列番号51および配列番号52の群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目1から16のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
18. 前記ポリペプチドが融合タンパク質である、項目1から17のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
19. 前記ポリペプチドが前記突然変異セマフォリン3もしくは前記その機能性断片、安定化ドメインおよび/または二量体化ドメインを含む、項目18に記載の核酸分子。
20. 前記安定化ドメインがプレキシンセマフォリンインテグリン(PSI)ドメインであり、前記PSIドメインが1つまたは複数の次の配列:配列番号45、配列番号46、配列番号47または配列番号48を含む、項目18または19に記載の核酸分子。
21. 前記二量体化ドメインが別のそのような二量体化ドメインとの10−5M〜10−6Mの範囲の解離定数KDを有する、項目18から20のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
22. 前記二量体化ドメインがC末端IgG定常ドメイン、DARPinおよびロイシンジッパーの群から選択される、項目18から21のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
23. 前記IgG定常ドメインがIgG1またはIgG3である、項目22に記載の核酸分子。
24. (a)配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号1のヌクレオチド316〜1959に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列;
(b)配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号5のヌクレオチド247〜1887に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列;
(c)配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号9のヌクレオチド563〜2197に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列;
(d)配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号13のヌクレオチド41〜1735に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列
を有する核酸酸配列を含む、項目1から23のいずれか1つの項目に記載の核酸分子。
25. 前記ポリペプチドが
(a)配列番号2の106位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2のアミノ酸残基1〜548に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列;
(b)配列番号6の105位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号6のアミノ酸残基1〜547に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列;
(c)配列番号10の104位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号10のアミノ酸残基1〜565に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列;または
(d)配列番号14の120位におけるアラニン残基が前記親水性アミノ酸により置換されている、配列番号14のアミノ酸残基1〜545に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列
を含む、項目1から24のいずれか1つに記載の核酸分子。
26. 項目1から25のいずれか1つに記載の核酸分子を含むベクター。
27. 遺伝子標的ベクターまたは遺伝子導入ベクターである、項目26に記載のベクター。
28. アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、項目26または27に記載のベクター。
29. アデノ随伴ウイルスベクターがAAV8ベクターである、項目26から28のいずれか1つの項目に記載のベクター。
30. 項目26から29のいずれか1つの項目に記載のまたは項目1から22に記載の核酸分子を含むベクターにより形質転換された宿主。
31. 哺乳類細胞である、項目30に記載の宿主。
32. 哺乳類細胞がHEK細胞である、項目30または31に記載の宿主。
33. HEK細胞がHEK293−EBNA1またはHEK293E細胞である、項目30から32のいずれか1つの項目に記載の宿主。
34. 項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子によりコードされる前記ポリペプチド、前記突然変異セマフォリン3または前記その機能性断片を産生させる方法であって、項目30から33のいずれか1つの項目に記載の宿主を培養し/生育させ、任意選択で産生されたポリペプチドを単離することを含む、方法。
35. 項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子によりコードされるポリペプチド。
36. 血管新生の阻害剤として機能し、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニン、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換されている、アミノ酸配列を含む突然変異セマフォリン3またはその機能性断片であって、前記セマフォリン3がセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される、突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
37. 血管新生の阻害剤として機能する、項目36に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
38. アミノ酸配列CX1X2A3GKDを含み、ここで、
X1がKまたはNであり、
X2がW、MおよびLの群から選択されるアミノ酸であり、
アラニン(A3)が前記親水性アミノ酸により置換されている、項目36から37のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
39. 前記突然変異セマフォリン3が
(a)配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、
配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換され、かつ
配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが前記親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、
配列番号1、配列番号5、配列番号9および配列番号13の群から選択される核酸分子によりコードされるポリペプチド;
(b)配列番号2の106位に対応する、配列番号6の105位に対応する、配列番号10の104位に対応するまたは配列番号14の120位に対応するアラニン残基が前記親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2、配列番号6、配列番号10および配列番号14の群から選択されるポリペプチド;
(c)(a)または(c)で定義した核酸分子の相補鎖にストリンジェント条件下でハイブリダイズする核酸配列によりコードされるポリペプチド;
(d)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドとの少なくとも55%の同一性を有し、血管新生の阻害剤として機能するポリペプチド;ならびに
(e)(a)、(c)および(d)のいずれか1つで定義した核酸分子のヌクレオチド配列に対する遺伝コードの結果として縮重している核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含む血管新生の阻害剤として機能するポリペプチド
の群から選択される、項目36から38のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
40. 配列番号2の106位、配列番号6の105位、配列番号10の104位または配列番号14の120位に前記親水性アミノ酸を含む、項目36から39のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
41. アミノ酸置換(複数可)、付加(複数可)欠失(複数可)および重複(複数可)からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる突然変異を含む、項目36から40のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
42. 前記親水性アミノ酸が、K、R、N、Q、S、T、E、DおよびHの群から選択される、項目36から41のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
43. 前記親水性アミノ酸が、K、R、E、DおよびHの群から選択される、項目42に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
44. 前記親水性アミノ酸がKまたはRである、項目42に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
45. 前記親水性アミノ酸がKである、項目42に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
46. 突然変異ヒトもしくはマウス突然変異セマフォリン3またはその機能性断片である、項目36から45のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
47. 配列番号26、配列番号27、配列番号29、配列番号30、配列番号32、配列番号33、配列番号35、配列番号36、配列番号45、配列番号46、配列番号47または配列番号48のいずれか1つに定義されている1つまたは複数の配列を含む、項目36から46のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
48. (a)配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号1の601〜1206のヌクレオチド;
(b)配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号5の529〜1137のヌクレオチド;
(c)配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号9の842〜1444のヌクレオチド;または
(d)配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号13の368〜982のヌクレオチド
を含む核酸分子によりコードされる、項目36から47のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
49. 配列番号57の601〜1206のヌクレオチド;配列番号61の529〜1137のヌクレオチド;配列番号65の842〜1444のヌクレオチド;または配列番号69の368〜982のヌクレオチドを含む核酸分子によりコードされる、項目36から48のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
50. (a)配列番号2の106位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号21;
(b)配列番号6の105位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号22;
(c)配列番号10の104位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号23;または
(d)配列番号14の120位に対応するアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号24
に示すアミノ酸配列を含む、項目36から49のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
51. 配列番号49、配列番号50、配列番号51および配列番号52の群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目36から50のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片。
52. 項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片を含むポリペプチド。
53. 融合タンパク質である、項目52に記載のポリペプチド。
54. 前記突然変異セマフォリン3もしくは前記その機能性断片、安定化ドメインおよび/または二量体化ドメインを含む、項目52または53に記載のポリペプチド。
55. 前記安定化ドメインがプレキシンセマフォリンインテグリン(PSI)ドメインであり、前記PSIドメインが1つまたは複数の次の配列:配列番号45、配列番号46、配列番号47または配列番号48を含む、項目52または54に記載のポリペプチド。
56. 前記二量体化ドメインが別のそのような二量体化ドメインとの10−5M〜10−6Mの範囲の解離定数KDを有する、項目52から55のいずれか1つの項目に記載のポリペプチド。
57. 前記二量体化ドメインがC末端IgG定常ドメイン、DARPinおよびロイシンジッパーの群から選択される、項目52から56のいずれか1つの項目に記載のポリペプチド。
58. IgG定常ドメインがIgG1またはIgG3である、項目57に記載のポリペプチド。
59. (a)配列番号1の631〜633位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号1のヌクレオチド316〜1959に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列;
(b)配列番号5の559〜561位におけるヌクレオチドGCAが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号5のヌクレオチド247〜1887に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列;
(c)配列番号9の872〜874位におけるヌクレオチドGCTが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号9のヌクレオチド563〜2197に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列;
(d)配列番号13の398〜400位におけるヌクレオチドGCCが親水性アミノ酸をコードするヌクレオチドにより置換されている、配列番号13のヌクレオチド41〜1735に及ぶ核酸配列および配列番号37のヌクレオチド295〜990に及ぶ核酸配列
を有する核酸酸配列を含む核酸分子によりコードされる、項目52から58のいずれか1つの項目に記載のポリペプチド。
60. (a)配列番号2の106位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号2のアミノ酸残基1〜548に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列;
(b)配列番号6の105位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号6のアミノ酸残基1〜547に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列;
(c)配列番号10の104位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号10のアミノ酸残基1〜565に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列;または
(d)配列番号14の120位におけるアラニン残基が親水性アミノ酸により置換されている、配列番号14のアミノ酸残基1〜545に及ぶアミノ酸配列および配列番号41に示すアミノ酸配列
を含む、項目52から59のいずれか1つの項目に記載のポリペプチド。
61. 項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3またはその機能性断片に特異的に結合する抗体であって、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に対応するアラニンを置換している親水性アミノ酸を含むエピトープに特異的に結合し、または他のセマフォリン3タンパク質における、配列番号2に示す野生型セマフォリン3Aの106位に相同性の比較により対応する位置におけるアラニンが親水性アミノ酸により置換され、前記セマフォリン3がセマフォリン3A、セマフォリン3B、セマフォリン3Cおよびセマフォリン3Dの群から選択される、抗体。
62. 項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子または項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片または項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチドを含み、医薬賦形剤を任意選択で含む医薬組成物。
63. 項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片または項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチドを含み、医薬賦形剤を任意選択で含む、項目62に記載の医薬組成物。
64. 医薬賦形剤がウイルスである医薬担体である、項目62または63に記載の医薬組成物。
65. 前記ウイルスがアデノ随伴ウイルス(AAV)である、項目62から64のいずれか1つの項目に記載の医薬組成物。
66. アデノ随伴ウイルスがAAV8である、項目62から65のいずれか1つの項目に記載の医薬組成物。
67. 医薬として使用するための項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子、項目26もしくは29のいずれか1つの項目に記載のベクター、項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチドまたは項目62から66のいずれか1つの項目に記載の医薬組成物。
68. 血管新生障害、がん、腫瘍、腫瘍性疾患、血管性網膜症、血液脳関門透過性変化、神経炎症性障害、骨粗鬆症、肥満、マイコバクテリア感染および/または肉芽腫の治療における使用のための項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子、項目26もしくは29のいずれか1つの項目に記載のベクター、項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチドまたは項目62から66のいずれか1つの項目に記載の医薬組成物。
69. 腫瘍が固形腫瘍である、項目68に記載の使用のための項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子、項目68に記載の使用のための項目26もしくは29のいずれか1つの項目に記載のベクター、項目68に記載の使用のための項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、項目68に記載の使用のための項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチドまたは項目68に記載の使用のための項目62から66のいずれか1つの項目に記載の医薬組成物。
70. 腫瘍が膵臓腫瘍である、項目68または69に記載の使用のための項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子、項目68または69に記載の使用のための項目26もしくは29のいずれか1つの項目に記載のベクター、項目68または69に記載の使用のための項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、項目68または69に記載の使用のための項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチドまたは項目68または69に記載の使用のための項目62から66のいずれか1つの項目に記載の医薬組成物。
71. 前記がんが、膵臓がん、子宮頚がん、乳がん、結腸がん、黒色腫、前立腺がん、膀胱がんおよび舌がんからなる群から選択される、項目68から70のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子、項目68から70のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目26もしくは29のいずれか1つの項目に記載のベクター、項目68から70のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、項目68から70のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチドまたは項目68から70のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目62から66のいずれか1つの項目に記載の医薬組成物。
72. 血管正常化、腫瘍成長の低減、転移の低減または生存期間の延長が伴う、項目68から71のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子、項目68から71のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目26もしくは29のいずれか1つの項目に記載のベクター、項目68から71のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、項目68から71のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチドまたは項目68から71のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目62から66のいずれか1つの項目に記載の医薬組成物。
73. 前記核酸分子、前記ベクター、前記突然変異セマフォリン3、前記その機能性断片、前記ポリペプチドまたは前記医薬組成物を抗増殖薬、抗がん薬、細胞増殖抑制薬、細胞毒性薬および/または放射線療法と併用して投与するものとする、項目68から72のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子、項目68に記載の使用のための項目26もしくは29のいずれか1つの項目に記載のベクター、項目68から72のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、項目68から72のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチドまたは項目68から72のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目62から66のいずれか1つの項目に記載の医薬組成物。
74. 前記核酸分子、前記ベクター、前記突然変異セマフォリン3、前記その機能性断片、前記ポリペプチドまたは前記医薬組成物を非経口的に投与するものとする、項目68から72のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子、項目68に記載の使用のための項目26もしくは29のいずれか1つの項目に記載のベクター、項目68から72のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、項目68から72のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチドまたは項目68から72のいずれか1つの項目に記載の使用のための項目62から66のいずれか1つの項目に記載の医薬組成物。
75. 項目1から25のいずれか1つの項目に記載の核酸分子によりコードされる突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片のまたは項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片のまたは項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチドのまたは項目30から33のいずれか1つの項目に記載の宿主の使用。
76. 薬学的有効量の項目1から23のいずれか1つの項目に記載の核酸分子、または項目36から51のいずれか1つの項目に記載の突然変異セマフォリン3もしくはその機能性断片、項目52から60のいずれか1つの項目に記載のポリペプチド、項目62から68のいずれか1つの項目に記載のもしくは項目34に記載の方法により製造された医薬組成物をそのような治療を必要とする対象に投与するステップを含む血管新生障害、腫瘍性疾患および/またはがんの治療の方法。
77. 前記対象がヒトである、項目76に記載の治療の方法。
78. 前記薬学的有効量が0.5〜10mg/kg体重の範囲である、項目76または77に記載の治療の方法。
本発明は、以下の非限定的な図面および実施例を参照することによってさらに説明する。
特に明記しない限り、組換え遺伝子技術の確立された方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook, Russell “Molecular Cloning, A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (2001)に記載されている通りに用いた。