定義
「抗体」は全抗体およびいずれかの抗原結合フラグメント(すなわち、「抗原結合部分」)またはその一本鎖変種を意味する。全抗体は、ジスルフィド結合により相互連結される、少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含むタンパク質である。重鎖は、各々、重鎖可変領域(VH)と、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む重鎖定常領域とを含む。軽鎖は、各々、軽鎖可変領域(VLまたはVk)と、1つの単一ドメイン、CLを含む軽鎖定常領域とを含む。VHおよびVL領域は、超可変性の領域、相補性決定領域(CDR)と称される領域、フレームワーク領域(FR)をさらに保存して組み入れられた領域にさらに細分割され得る。VHおよびVLは、各々、アミノ末端からカルボキシ末端に次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4で配置された、3つのCDRと、4つのFRとを含む。可変領域は抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。定常領域は、抗体と、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および典型的な補体系の第1成分(Clq)を含む、宿主組織または因子との結合を媒介してもよい。抗体が5x10−8M以下、より好ましくは1x10−8M以下、より好ましくは6x10−9M以下、より好ましくは3x10−9M以下、さらにより好ましくは2x10−9M以下のKDで抗原Xと結合するならば、抗体は抗原Xと「特異的に結合する」と言われる。抗体は、キメラ、ヒト化、または好ましくはヒト抗体であり得る。重鎖定常領域に遺伝子操作を施し、糖鎖形成の型または程度に影響を及ぼし、抗体の半減期を延ばすこと、エフェクター細胞または補体系との相互作用を強化または弱めること、あるいは他のある種の特性を調節することもできる。遺伝子操作は、1個または複数個のアミノ酸の置換、付加または欠失により、またはドメインをもう一つ別の免疫グロブリン型から由来のドメインと置換することにより、あるいはその上記を組み合わせることにより達成され得る。
抗体の「抗原結合フラグメント」および「抗原結合部分」(あるいは簡単に「抗体部分」または「抗体フラグメント」)は、抗原と特異的に結合する能力を保持する抗体の1または複数のフラグメントを意味する。抗体の抗原結合機能は、(i)Fabフラグメント、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド結合により連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii)Fab’フラグメント、本質的にFabと、ヒンジ領域の一部とを含むフラグメント(例えば、Abbasら、Cellular and Molecular Immunology, 6th Ed., Saunders Elsevier 2007を参照のこと);(iv)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(v)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(vi)VHドメインからなる、dAbフラグメント(Wardら、(1989)Nature 341:544-546);(vii)単離された相補性決定領域(CDR);および(viii)単一ドメイン抗体(nanobody)、単一の可変ドメインと2つの定常ドメインを含有する重鎖可変領域などの、全長抗体のフラグメントにより成されうる。好ましい抗原結合フラグメントはFab、F(ab’)2、Fab’、Fv、およびFdフラグメントである。さらには、Fvフラグメントの2つのドメイン、VLおよびVHは、別個の遺伝子によりコード化されるが、それらは、組換え技法を用い、VLおよびVH領域を対にして組をなし、一価分子(一本鎖Fv、またはscFvとして知られる)を形成する単一タンパク質として製造され得るようにする、合成リンカーにより結び付けることができる;例えば、Birdら(1988) Science 242:423-426;およびHustonら(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照のこと)。そのような一本鎖抗体も抗体の「抗原結合部分」なる語の範囲に含まれる。
「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない、抗体を意味する(例えば、抗原Xと特異的に結合する単離された抗体は、抗原X以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、抗原Xと特異的に結合する単離された抗体は、他の種からの抗原X分子などの他の抗原との交差反応性を有してもよい。ある実施態様において、単離された抗体はヒト抗原Xと特異的に結合し、他の(ヒト以外の)抗原X抗原と交差反応しない。その上、単離された抗体は他の細胞材料および/または化学物質が実質的になくてもよい。
「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性を示す、単一分子組成物の抗体分子の調製物を意味する。
「ヒト抗体」は、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列から誘導される可変領域を有する(および定常領域をあるとすれば有する)抗体を意味する。ヒト抗体は、天然または合成修飾を含め、その後の修飾を含んでもよい。ヒト抗体はヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列(例えば、インビトロでのランダムまたは部位特異的変異により、またはインビボでの体細胞変異により導入される変異体)によりコードされないアミノ酸残基を含んでもよい。しかしながら、「ヒト抗体」は、マウスなどの他の哺乳動物種の生殖細胞系列から由来のCDR配列をヒトフレームワーク配列に移植した、抗体を含まない。
「ヒトモノクローナル抗体」は、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列より誘導される可変領域を有する、単一結合特異性を提示する抗体を意味する。1の実施態様において、ヒトモノクローナル抗体は、ヒト以外のトランスジェニック動物、例えばトランスジェニックマウスより得られるB細胞を含む、不死化細胞と融合したヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する、ハイブリドーマにより産生される。
「脂肪族」は、(例えば、「C3脂肪族」、「C1−5脂肪族」、「C1−C5脂肪族」または「C1〜C5脂肪族」において見られるように、後の3種の語は1〜5個の炭素原子を有する脂肪族についての同義語である)特定数の炭素原子を有するか、あるいは炭素原子の数が明確に特定されない場合、1ないし4個の炭素原子(不飽和脂肪族基の場合には2ないし4個の炭素)を有する、直鎖または分岐鎖で飽和または不飽和の非芳香族炭化水素の部分を意味する。同様の理解は、C2−4アルケン、C4−C7脂環式等において見られるような、他の型の炭素数にも適用される。
「アルキル」は飽和脂肪族の部分を意味し、炭素数を特定するのに同じ慣習が適用され得る。例として、C1−C4アルキルの部分は、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、1−ブチル、2−ブチル等を包含する。「アルキレン」は、CH2CH2、CH2CH2CH2、およびCH2CH2CH2CH2などのアルキル基の二価の対応基を意味する。
「アルケニル」は少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する脂肪族の部分を意味し、炭素数を特定するのに同じ慣習が適用され得る。例として、C2−C4アルケニルの部分は、限定されないが、エテニル(ビニル)、2−プロペニル(アリルまたはプロパ−2−エニル)、シス−1−プロペニル、トランス−1−プロペニル、E−(またはZ−)2−ブテニル、3−ブテニル、1,3−ブタジエニル(ブタ−1,3−ジエニル)等を包含する。
「アルキニル」は少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する脂肪族の部分を意味し、炭素数を特定するのに同じ慣習が適用され得る。例として、C2−C4アルキニル基は、エチニル(アセチレニル)、プロパルギル(プロパ−2−イニル)、1−プロピニル、ブタ−2−イニル等を包含する。
「脂環式」は、1ないし3個の環を有し、各環が3ないし8個(好ましくは、3ないし6個)の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、非芳香族炭化水素の部分を意味する。「シクロアルキル」は各環が飽和の脂環式の部分を意味する。「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の環が少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する、脂環式の部分を意味する。「シクロアルキニル」は、少なくとも1個の環が少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する、脂環式の部分を意味する。例として、脂環式の部分として、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、およびアダマンチルが挙げられる。好ましい脂環式の部分はシクロアルキルの部分、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。「シクロアルキレン」はシクロアルキル基の二価の対応基を意味する。
「ヘテロ脂環式」は、少なくとも1個の環にて、3個までの(好ましくは1ないし2個の)炭素が、N、OまたはSより独立して選択されるヘテロ原子と置き換えられる脂環式の部分を意味し、ここでそのNおよびSは所望により酸化されてもよく、そのNは所望により四級化されてもよい。同様に、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルケニル」および「ヘテロシクロアルキニル」は、少なくとも1個の環がそのように修飾されている、各々、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはシクロアルキニルの部分を意味する。典型的なヘテロ脂環式の部分として、アジリジニル、アゼチジニル、1,3−ジオキサニル、オキセタニル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニルスルホン、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラニル、テトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、1,4−ジオキサニル、チエタニル等が挙げられる。「ヘテロシクロアルキレン」はヘテロシクロアルキル基の二価の対応基を意味する。
「アルコキシ」、「アリールオキシ」、「アルキルチオ」および「アリールチオ」は、各々、−O(アルキル)、−O(アリール)、−S(アルキル)および−S(アリール)素意味する。一例が、各々、メトキシ、フェノキシ、メチルチオおよびフェニルチオである。
「ハロゲン」または「ハロ」はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
「アリール」は、各環が3ないし7個の炭素原子を有し、少なくとも1個の環が芳香族である、単環、二環または三環式環系の炭化水素の部分を意味する。該環系中の環は(ナフチルに見られるように)相互に縮合しても、または(ビフェニルに見られるように)相互に結合してもよく、(インダニルまたはシクロヘキシルフェニルに見られるように)非芳香族環と縮合しても結合してもよい。さらなる例として、アリールの部分は、限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントラセニル、およびアセナフチルを包含する。「アリーレン」は、アリール基の二価の対応基、例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、または1,4−フェニレンを意味する。
「ヘテロアリール」は、各環が3ないし7個の炭素原子を有し、少なくとも1個の環が、N、OまたはSより独立して選択される1ないし4個のヘテロ原子を含有する芳香族である、単環、二環または三環式環系の部分を意味し、ここでそのNおよびSは所望により酸化されてもよく、そのNは所望により四級化されてもよい。そのような少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族環は(ベンゾフラニルまたはテトラヒドロイソキノリルに見られるように)他の型の環に縮合してもよく、あるいは(フェニルピリジルまたは2−シクロペンチルピリジルに見られるように)他の型の環に直接結合してもよい。さらなる例として、ヘテロアリールの部分は、ピロリル、フラニル、チオフェニル(チエニル)、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、N−オキソピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、シンノリニル、キノザリニル、ナフチリジニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチオフェニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フェノチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、ジベンゾチオフェニル、アクリジニル等を包含する。「ヘテロアリーレン」はヘテロアリール基の二価の対応基を意味する。
「置換されていないか、または置換されたC1−C5アルキル」あるいは「所望により置換されてもよいヘテロアリール」に見られるように、「置換されていないか、または置換された」あるいは「所望により置換されてもよい」なる語を使用することによるなどの、部分が置換されてもよいことを示す場合、かかる部分は、1または複数の、好ましくは1ないし5個の、より好ましくは1ないし2個の、独立して選択される置換基を有してもよい。置換基および置換パターンは、置換基が結合する部分を考慮して、化学的に安定し、そして当該分野にて公知の技法ならびに本明細書に記載の方法により合成され得る、化合物を提供するように、当業者によって選択され得る。
「アリールアルキル」、「(ヘテロ脂環式)アルキル」、「アリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ビアリールアルキル」等は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルの部分が、場合によっては、アリール、ヘテロ脂環式、ビアリール等で置換されてもよく、部分が、場合によっては、例えば、ベンジル、フェネチル、N−イミダゾリルエチル、N−モルホリノエチル等に見られるように、アルキル、アルケニルまたはアルキニルの部分でオープン(未充足)価電子帯であってもよい。反対に、「アルキルアリール」、「アルケニルシクロアルキル」等は、アリール、シクロアルキル等の部分が、場合によっては、アルキル、アルケニル等で置換されてもよく、部分が、場合によっては、例えば、メチルフェニル(トリル)またはアリルシクロヘキシルに見られるような状態であってもよい。「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、「アルキルアリール」、「シアノアリール」等は、アルキル、アリール等の部分が、場合によっては、1または複数の特定の置換基(場合によっては、ヒドロキシル、ハロ等)で置換されてもよいことを意味する。
例えば、許容される置換基は、限定されないが、アルキル(特に、メチルまたはエチル)、アルケニル(特に、アリル)、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、脂環式、ヘテロ脂環式、ハロ(特に、フルオロ)、ハロアルキル(特に、トリフルオロメチル)、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル(特に、ヒドロキシエチル)、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−O(ハロアルキル)(特に、−OCF3)、−O(シクロアルキル)、−O(ヘテロシクロアルキル)、−O(アリール)、アルキルチオ、アリールチオ、=O、=NH、=N(アルキル)、=NOH、=NO(アルキル)、−C(=O)(アルキル)、−C(=O)H、−CO2H、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH2、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)2、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH2、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)2、アジド、−NH2、−NH(アルキル)、−N(アルキル)2、−NH(アリール)、−NH(ヒドロキシアルキル)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH2、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)2、−NHC(=NH)NH2、−OSO2(アルキル)、−SH、−S(アルキル)、−S(アリール)、−S(シクロアルキル)、−S(=O)アルキル、−SO2(アルキル)、−SO2NH2、−SO2NH(アルキル)、−SO2N(アルキル)2等を包含する。
置換されている部分が脂肪族の部分である場合、好ましい置換基は、アリール、ヘテロアリール、脂環式、ヘテロ脂環式、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−O(ハロアルキル)、−O(シクロアルキル)、−O(ヘテロシクロアルキル)、−O(アリール)、アルキルチオ、アリールチオ、=O、=NH、=N(アルキル)、=NOH、=NO(アルキル)、−CO2H、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH2、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)2、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH2、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)2、アジド、−NH2、−NH(アルキル)、−N(アルキル)2、−NH(アリール)、−NH(ヒドロキシアルキル)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH2、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)2、−NHC(=NH)NH2、−OSO2(アルキル)、−SH、−S(アルキル)、−S(アリール)、−S(=O)アルキル、−S(シクロアルキル)、−SO2(アルキル)、−SO2NH2、−SO2NH(アルキル)、および−SO2N(アルキル)2である。より好ましい置換基は、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(アリール)、=O、=NOH、=NO(アルキル)、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)NH2、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)2、アジド、−NH2、−NH(アルキル)、−N(アルキル)2、−NH(アリール)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH2、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)2、および−NHC(=NH)NH2である。フェニル、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、C1−C4アルキルオキシ、O(C2−C4アルキレン)OH、およびO(C2−C4アルキレン)ハロが特に好ましい。
置換されている部分が脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、またはヘテロアリールの部分である場合、好ましい置換基はアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−O(ハロアルキル)、−O(アリール)、−O(シクロアルキル)、−O(ヘテロシクロアルキル)、アルキルチオ、アリールチオ、−C(=O)(アルキル)、−C(=O)H、−CO2H、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH2、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)2、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH2、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)2、アジド、−NH2、−NH(アルキル)、−N(アルキル)2、−NH(アリール)、−NH(ヒドロキシアルキル)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH2、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)2、−NHC(=NH)NH2、−OSO2(アルキル)、−SH、−S(アルキル)、−S(アリール)、−S(シクロアルキル)、−S(=O)アルキル、−SO2(アルキル)、−SO2NH2、−SO2NH(アルキル)、および−SO2N(アルキル)2である。より好ましい置換基はアルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、−O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)(アルキル)、−C(=O)H、−CO2H、−C(=O)NHOH、−C(=O)O(アルキル)、−C(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−C(=O)NH2、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(アルキル)2、−OC(=O)(アルキル)、−OC(=O)(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)O(アルキル)、−OC(=O)O(ヒドロキシアルキル)、−OC(=O)NH2、−OC(=O)NH(アルキル)、−OC(=O)N(アルキル)2、−NH2、−NH(アルキル)、−N(アルキル)2、−NH(アリール)、−NHC(=O)(アルキル)、−NHC(=O)H、−NHC(=O)NH2、−NHC(=O)NH(アルキル)、−NHC(=O)N(アルキル)2、および−NHC(=NH)NH2である。C1−C4アルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、およびC1−C4アルコキシが特に好ましい。
「C1−C5アルキル」または「5ないし10%」に見られるように範囲で示される場合、かかる範囲は、第1の例におけるC1およびC5、および第2の例における5%および10%のような、その範囲の端点を含む。
特定の立体異性体が(例えば、構造式中にて関連する立体中心で太文字または破線のくさび形結合により、構造式中で二重結合がEまたはZ配置を有すると記載することにより、あるいは立体化学特定命名法を用いることにより)具体的に示されていない限り、立体異性体のすべてが、純粋な化合物ならびにその混合物として、本発明の範囲内に包含される。特記されない限り、本発明は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体、ならびにその組み合わせおよび混合物もすべて包含する。
当業者は化合物が互変異性形態(例えば、ケトおよびエノール形態)、共鳴構造、および双性イオン形態(本明細書で使用される構造式で示される形態と均等な形態)を有し、その構造式がかかる互変異性形態、共鳴構造または双性イオン形態を包含することを理解するであろう。
「医薬的に許容されるエステル」は、インビボにて(例えば、ヒト体内にて)加水分解し、親化合物またはその塩を生成するか、またはそれ自体が親化合物と同様の活性を有する、エステルを意味する。適切なエステルは、C1−C5アルキル、C2−C5アルケニルまたはC2−C5アルキニルエステル、特に、メチル、エチルまたはn−プロピルを包含する。
「医薬的に許容される塩」は、医薬製剤に適する化合物の塩を意味する。化合物が1または複数の塩基性基を有する場合、その塩は、硫酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、塩化水素酸塩、乳酸塩、メチル硫酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、メシル酸塩、ラクトビオン酸塩、スベリン酸塩、トシル酸塩等などの酸付加塩であり得る。化合物が1または複数の酸性基を有する場合、その塩はカルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、アンモニウム塩、亜鉛塩、ピペラジン塩、トロメタミン塩、リチウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、4−フェニルシクロヘキシルアズ民塩、ベンザチン塩、ナトリウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等などの塩とすることができる。多形性結晶形態および溶媒和物も本発明の範囲内に含まれる。
本願明細書に記載の式中にて、結合手を横切る波線
または結合端にある星印(*)は共有結合部位を示す。例えば、
式:
中で、Rが
であるとの記述は
をいう。
本願明細書に記載の式中にて、芳香族環の2個の炭素間を横切る結合手は、その結合手と結合した基がその芳香族環の利用可能ないずれの位置にあってもよいことを意味する。例として、式:
は、
を示す。
二量体
式(I)、(Ia)および(Ib)中、好ましくは、R2は、各々、Meである。より好ましくは、各R2はMeであり、各R3、R4、R7、R8およびR10は(R7、R8およびR10に関しては、存在する場合)Hである。
式(I)および(Ia)中、好ましくは、各R7、R8およびR10はHであり、各R9は、独立して、H、OH、OMe、NH2、NMe2、O(CH2CH2O)1−8Me、OCH2CH2OH、または
である。
式(Ia)の好ましい実施態様において、各G’はCであり、Y’およびY’’は共にCH2である。式(Ia)のもう一つ別の好ましい実施態様において、1つのG’はNであり、Y’はCH2であり、Y’’は不在である(すなわち、関連した下付き文字は0である)。
好ましくは、式(I)中、X2は、各々独立して、Me、CO2H、NH2、NH(C1−C5アルキル)、N(C1−C5アルキル)2、SH、CHO、N(CH2CH2)2N(C1−C3アルキル)、NHNH2、またはC(=O)NHNH2である。
式(Ib)にて、R11は、好ましくは、H、=CH2、CH=CHMe、=CHMe、C≡CCH2NH2、
である。
式(I)にて、Xは、好ましくは、
であり;ここで、X1はCH2、OまたはNHであり;X2はCO2HまたはNH2であり;xとyの合計は2または4である。
より好ましくは、Xは
である。
好ましくは、式中に2個のベンゾジアゼピン環系があり、その各々に二重線
が示される場合、かかる二重線のうち少なくとも1つは二重結合である。
本発明の二量体は、THIQ−THIQ二量体とすることができ;すなわち、式(I)中、R1は式(Ia)で示される基である。そのような二量体は、式(IIa):
[式中
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、二重線
およびXは、式(I)に関して、上記の簡単な発明の概要のセクションにて定義されるとおりである]
で表すことができる。
式(IIa)に係る好ましい実施態様において、THIQ−THIQ二量体は、式(IIa’):
[式中
R9は、各々独立して、H、OH、OMe、NH2、NMe2、O(CH2CH2O)1−8Me、OCH2CH2OH、または
であり;および
Xは
である]
で示される。
THIQ−THIQ二量体の具体例として:
が挙げられる。
特に好ましいTHIQ−THIQ二量体は(IIa−16)および(IIa−20)である。
もう一つ別の実施態様において、本発明の二量体はTHIQ−PBD二量体であり;すなわち、式(I)中、R1は式(Ib)で示される基である。そのような二量体は、式(IIb):
[式中
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R11’、二重線
環Cにおける点線、およびXは、式(I)に関して、上記の簡単な発明の概要のセクションにて定義されるとおりである]
で表すことができる。
式(IIb)に係る好ましいTHIQ−PBD二量体は、式(IIb’):
[式中
R9はH、OH、OMe、NH2、NMe2、O(CH2CH2O)1−8Me、OCH2CH2OH、または
であり;
R11はH、=CH2、CH=CHMe、=CHMe、C≡CCH2NH2、
であり;および
Xは
である]
で示される。
THIQ−PBD二量体の具体例として、
が挙げられる。
特に好ましいTHIQ−PBD二量体が(IIb−03)である。
もう一つ別の実施態様において、本発明の二量体は、THIQ環系を有するベンゾジアゼピン単位、およびアザインドリン(AZI)環系を有するベンゾジアゼピン単位を含む(THIQ−AZI二量体)。かかる二量体は、式(IIc):
[式中
G’の1つはNであり、他はCであり;
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、二重線
およびXは、式(I)に関連する上記の簡単な発明の概要のセクションにて定義されるとおりである]
で示され得る。
THIQ−AZI二量体の一例が化合物(IIc−01):
である。
コンジュゲート
概要
本発明の二量体は、治療剤それ自体として使用され得るが、がん細胞の化学物質に特異的または優先的に結合する標的とする部分とのコンジュゲートとして使用されるのが好ましい。好ましくは、標的とする部分が抗体またはその抗原結合部であり、化学物質が腫瘍関連抗原である。
このように、本発明のもう一つ別の実施態様は、本発明の二量体およびリガンドを含む、式(II):
[式中、Zはリガンドであり、Dは本発明の二量体であり、−(XD)aC(Xz)b−はZとDを連結するものであるから、集合的に、「リンカー部分」または「リンカー」と称される]
で示される、コンジュゲートである。リンカー内で、Cは二量体Dの意図する生物学的作用の部位で、またはその付近で切断されるように設計された切断基であり;XDおよびXZは、それらが、各々、DとC、およびCとZを一定の間隔を置いて離すため、スペーサー部分(または「スペーサー」)と称され;下付き文字のa、bおよびcは、独立して、0または1である(すなわち、XD、XZおよびCの存在は任意である)。下付き文字のmは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10(好ましくは、1、2、3または4)である。D、XD、C、XZおよびZは下記においてより詳細に記載される。
リガンドZ(例えば、抗体)は標的とする機能を遂行する。その抗原または受容体が位置付けられる標的組織または細胞と結合することにより、リガンドZはコンジュゲートをそこに向かわせる。リガンドZが抗体である場合、そのコンジュゲートは、時に、抗体−薬物コンジュゲート(ADC)または免疫コンジュゲートと称される。好ましくは、標的組織または細胞はがん組織または細胞であり、抗原または受容体は組織関連抗原、すなわちがん細胞により一意的に発現されるか、またはがん細胞以外の細胞と比べて、がん細胞により過剰発現される抗原である。標的組織または細胞で基Cを切断して二量体Dを放出させ、その細胞傷害性作用を局所的に発揮させる。ある場合には、そのコンジュゲートは飲食作用により標的細胞の中に取り込まれ、その標的細胞内で切断が起こる。このように、二量体Dが意図する作用部位に正確に送達され、必要とされる投与量が減少する。また、二量体Dは、通常、そのコンジュゲートされた状態では生物学的に不活性であり(あるいは活性が有意に小さく)、それにより標的とされない組織または細胞に対する望ましくない毒性が減少する。抗がん剤は、一般に、細胞に対して毒性であることが極めて多いため、このことは重視すべき事項である。
下付き文字のmによって反映されるように、リガンドZの各分子は、リガンドZがコンジュゲーションのために利用できる部位の数、および利用される実験条件に応じて、1より多くの二量体Dとコンジュゲートし得る。当業者であれば、リガンドZの各々個々の分子が二量体Dの整数とコンジュゲートされる一方で、コンジュゲートの調製は、統計的平均を反映して、二量体DのリガンドZに対する非整数割合について分析してもよいことを認識するであろう。この割合は、置換割合(SR)、または、同意語として、薬物−抗体割合(DAR)と称される。
リガンドZ
好ましくは、リガンドZは抗体である。便宜と簡潔のために、限定されるものではないが、本明細書のリガンドZのコンジュゲーションに関する下記の詳細な説明は、それが抗体であるとの文脈で記述されるが、当業者であれば、他の型のリガンドZが、変更すべき点は変更して、コンジュゲートされ得ることを理解するであろう。例えば、葉酸をリガンドとして有するコンジュゲートは、その表面に葉酸受容体を有する細胞を標的とすることができる(Leamonら、Cancer Res. 2008, 68(23), 9839)。同じ理由で、下記の詳細な説明は、抗体Zを二量体アナログDに対して1:1(m=1)の割合で記述する。
好ましくは、リガンドZは、がん細胞の選択的標的を可能とする、腫瘍関連抗原に拮抗する抗体である。そのような抗原の例として、メソテリン、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CD19、CD22、CD30、CD70、B7H3、B7H4(O8Eとしても知られる)、タンパク質チロシンキナーゼ7(PTK7)、グリピカン−3、RG1、フコシル−GM1、CTLA−4、およびCD44が挙げられる。抗体は動物(例えば、ネズミ)、キメラ、ヒト化、または、好ましくはヒト抗体とすることができる。抗体は、好ましくは、モノクローナル、特にヒトモノクローナル抗体である。上記のいくつかの抗原に対するヒトモノクローナル抗体の調製がKormanら、US8,609,816B2(2013;B7H4、08Eとしても知られる;特に抗体2A7、1G11および2F9);Rao-Naikら、8,097,703B2(2012;CD19;特に抗体5G7、13F1、46E8、21D4、21D4a、47G4、27F3および3C10);Kingら、US8,481,683B2(2013;CD22;特に抗体12C5、19A3、16F7および23C6);Kelerら、US7,387,776B2(2008;CD30;特に抗体5F11、2H9および17G1);Terrettら、US8,124,738B2(2012;CD70;特に抗体2H5、10B4、8B5、18E7および69A7);Kormanら、US6,984,720B1(2006;CTLA−4;特に抗体10D1、4B6および1E2);Visticaら、US8,383,118B2(2013、フコシル−GM1、特に抗体5B1、5B1a、7D4、7E4、13B8および18D5);Kormanら、US8,008,449B2(2011;PD−1;特に抗体17D8、2D3、4H1、5C4、4A11、7D3および5F4);Huangら、US2009/0297438A1(2009;PSMA、特に抗体1C3、2A10、2F5、2C6);Cardarelliら、US7,875,278B2(2011;PSMA;特に抗体4A3、7F12、8C12、8A11、16F9、2A10、2C6、2F5および1C3);Terrettら、US8,222,375B2(2012;PTK7;特に抗体3G8、4D5、12C6、12C6aおよび7C8);Terrettら、US8,680,247B2(2014;グリピカン−3;特に抗体4A6、11E7および16D10);Harkinsら、US7,335,748B2(2008;RG1;特に抗体A、B、CおよびD);Terrettら、US8,268,970B2(2012;メソテリン;特に抗体3C10、6A4および7B1);Xuら、US2010/0092484A1(2010;CD44;特に抗体14G9.B8.B4、2D1.A3.D12および1A9.A6.B9);Deshpandeら、US8,258,266B2(2012;IP10;特に抗体1D4、1E1、2G1、3C4、6A5、6A8、7C10、8F6、10A12、10A12Sおよび13C4);Kuhneら、US8,450,464B2(2013;CXCR4;特に抗体F7、F9、D1およびE2);およびKormanら、US7,943,743B2(2011;PD−L1;特に抗体3G10、12A4、10A5、5F8、10H10、1B12、7H1、11E6、12B7、および13G4)に開示されており;その内容を出典明示により本明細書に組み込むものとする。上記した抗体は、各々、本発明の二量体とのADCに用いることができる。
リガンドZは、アフィボディ、ドメイン抗体(dAb)、ナノボディ、ユニボディ、DARPin、アンチカリン、ベルサボディ、デュオカリン、リポカリンまたはアビマーなどの抗体フラグメントまたは抗体模倣物とすることもできる。
リガンドZ上の数種の異なる反応基のいずれか一つは、リジン残基のε−アミノ基、ペンダント炭水化物部分、カルボン酸基、ジスルフィド基およびチオール基を含む、コンジュゲーション部位とすることができる。各種の反応基は二律背反を示し、利点もあれば欠点もある。コンジュゲーションに適する抗体の反応基を評価するには、例えば、Garnett、Adv. Drug Delivery Rev. 53(2001), 171-216、およびDubowchikとWalker、Pharmacology & Therapeutics 83(1999), 67-123(出典明示によりその内容を本明細書の一部とする)を参照のこと。
1の実施態様において、リガンドZはリジンε−アミノ基を通してコンジュゲートされる。大抵の抗体は複数のリジンε−アミノ基を有し、当該分野で公知の技法を用い、アミド、尿素、チオ尿素またはカルバマート結合を介してコンジュゲートされ得る。しかしながら、コンジュゲート調製において潜在的バッチ間変動をもたらす、多くのε−アミノ基のどれを、どのように反応させるかを制御することは困難である。また、コンジュゲーションは、抗体の未変性コンホメーションを維持するのに重要なε−アミノ基のプロトン化の中和を引き起こすかもしれず、あるいは抗原結合部位で、またはその近くのリジンで、そのいずれも望ましくはないが、起こるかもしれない。
もう一つ別の実施態様において、多くの抗体が糖鎖形成されるように、リガンドZは炭水化物の側鎖を介してコンジュゲートされ得る。炭水化物の側鎖は過ヨウ素酸で酸化されてアルデヒド基を生成し、それは、順次、アミンと反応して、セミカルバゾン、オキシム、またはヒドラゾンにあるように、イミン基を形成し得る。所望により、イミン基はシアノ水素化ホウ素ナトリウムで還元することによりさらに安定したアミン基に変換されてもよい。炭水化物の側鎖を介するコンジュゲーションに関するさらなる開示については、例えば、Rodwellら、Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 83, 2632-2636(1986)(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)を参照のこと。リジンε−アミノ基と同様に、コンジュゲーション部位の位置および化学量論の再現性に関する懸念がある。
さらにもう一つ別の実施態様において、リガンドZは、カルボン酸基を通してコンジュゲートされ得る。1の実施態様において、末端カルボン酸基に官能基を付与してカルボヒドラジドを生成させ、次にそれをアルデヒドを有するコンジュゲーション部分と反応させる。Fischら、Bioconjugate Chemistry 1992, 3, 147-153を参照のこと。
さらにもう一つ別の実施態様において、抗体Zは、抗体Z上のシステイン残基と、コンジュゲートの他の部分にある硫黄とを架橋するジスルフィド結合を通してコンジュゲートされ得る。ある抗体は、例えば、ヒンジ領域に、ジスルフィド基があるが、遊離チオール(スルフヒドリル)基を欠く。そのような場合、天然のジスルフィド基を還元することにより遊離チオール基が生成され得る。そのように生成されたチオール基は次にコンジュゲーションに使用され得る。例えば、Packardら、Biochemistry 1986, 25, 3548-3552;Kingら、Cancer Res. 54, 6176-6185(1994);およびDoroninaら、Nature Biotechnol. 21(7), 778-784(2003)(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)を参照のこと。ここでも、コンジュゲーション部位の位置および化学量論ならびに抗体未変性コンホメーションの崩壊の可能性に関して懸念がある。
天然のジスルフィド結合を破壊することなく、遊離チオール基を抗体に導入するための多くの方法が知られており、本発明のリガンドZを用いて実施することができる。利用される方法に応じて、予測可能な数の遊離スルフヒドリルを所定の位置で導入することが可能であるかもしれない。一の方法では、システインが別のアミノ酸と置換されている変異抗体を調製する。例えば、Eigenbrotら、US7,521,541B2(2009);Chilkotiら、Bioconjugate Chem. 1994, 5, 504-507;Urnovitzら、US4,698,420(1987);Stimmelら、J. Biol. Chem., 275(39), 30445-30450(2000);Bamら、US7,311,902B2(2007);Kuanら、J. Biol. Chem., 269(10), 7610-7618(1994);Poonら、J. Biol. Chem., 270(15), 8571-8577(1995)を参照のこと。もう一つ別の方法において、必要以上のシステインをC−末端に加える。例えば、Cumberら、J. Immunol., 149, 120-126(1992);Kingら、Cancer Res., 54, 6176-6185(1994);Liら、Bioconjugate Chem., 13, 985-995(2002);Yangら、Protein Engineering, 16, 761-770(2003);およびOlafsonら、Protein Engineering Design & Selection, 17, 21-27(2004)を参照のこと。遊離システインを導入する好ましい方法は、Liuら、WO2009/026274A1により教示される方法であり、そこではシステインを含むアミノ酸配列が抗体の重鎖のC−末端に加えられる。この方法は既知の数のシステイン残基(重鎖に付き1個の残基)を抗原結合部位から離れた既知の場所に導入する。この段落で引用される参考文献の内容もすべて出典明示により本明細書の一部とする。
さらにもう一つ別の実施態様において、リジンε−アミノ基は、ε−アミノ基をチオールまたはジスルフィド基に変換し、言うなればシステインサロゲートを作製する、2−イミノチオランまたはN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)などの試薬を用いて修飾され得る。しかしながら、この方法では、適切なε−アミノ基との関連で、上記と同じコンジュゲーション位置および化学量論の制限に悩まされる。
リンカー成分
上記されるように、本発明のコンジュゲートのリンカー部分は、3つまでの要素:切断可能な基C、および任意のスペーサーXZおよびXDを含む。
切断可能な基Cは、コンジュゲートが一般に血漿中に循環している間は相対的に安定しているが、コンジュゲートがその意図する作用部位に、すなわち、標的細胞付近に、その細胞に、またはその細胞内に一旦達すれば、容易に切断されるように選択されることが好ましい、生理学的条件下で切断可能な基である。好ましくは、該コンジュゲートは、抗体Zが標的細胞の表面に提示される抗原と結合して、標的細胞によって内在化される。その後で、基Cの切断が標的細胞の小胞体(初期エンドソーム、後期エンドソーム、または特に、リソソーム)で起こる。
1の実施態様において、基CはpH感受性基である。血漿中のpHは中性よりもわずかに上であり、一方でリソソーム内部のpHは酸性で約5である。かくして、その切断が酸触媒作用である基Cは、血漿中の速度よりも、リソソーム内部で桁違いに速い速度で開裂するであろう。適切な酸感受性基の例として、Shenら、US4,631,190(1986);Shenら、US5,144,011(1992);Shenら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 102, 1048-1054(1981)およびYangら、Proc. Natl Acad. Sci(USA), 85, 1189-1193(1988)(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)により記載されるように、シス−アコニチルアミドおよびヒドラゾンが挙げられる。
もう一つ別の実施態様において、基Cはジスルフィドである。ジスルフィドは、環境下のチオール濃度に依存する速度で、チオール−ジスルフィド交換機能により切断され得る。グルタチオンおよび他のチオールの細胞内濃度はその血清中濃度よりも高いため、ジスルフィドの切断速度は細胞内でより速いであろう。さらには、チオール−ジスルフィド交換速度は、ジスルフィドの立体および電子特性を調整すること(例えば、アルキル−アリールジスルフィド対アルキル−アルキルジスルフィド;アリール環上の置換等)によりモジュレートすることができ、血清中安定性および特定の切断速度を高めるジスルフィド結合の設計を可能とする。コンジュゲートにおけるジスルフィド切断可能な基に関するさらなる開示として、例えば、Thorpeら、Cancer Res. 48, 6396-6403(1988);Santiら、US7,541,530B2(2009);Ngら、US6,989,452B2(2006);Ngら、WO2002/096910A1;Boydら、US7,691,962B2;およびSufiら、US2010/0145036A1(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)を参照のこと。
好ましい切断可能な基は、血清中のプロテアーゼによって切断されるのとは対称的に、標的細胞の内部にあるプロテアーゼにより選択的に切断されるペプチドである。典型的には、切断可能なペプチド基は、1ないし20個のアミノ酸、好ましくは1ないし6個のアミノ酸、より好ましくは1ないし3個のアミノ酸を含む。アミノ酸は天然および/または天然以外のα−アミノ酸とすることができる。天然アミノ酸は、遺伝コードによりコードされるアミノ酸、ならびにそれらから誘導されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタマート、シトルリン、およびO−ホスホセリンである。この文脈では、「アミノ酸」なる語はまた、アミノ酸アナログおよび模倣物を含む。アナログは、天然アミノ酸と同じ一般的H2N(R)CHCO2H構造(ただし、R基は天然アミノ酸の間で認められる基である)を有する化合物である。アナログの例として、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、およびメチオニンメチルスルホニウムが挙げられる。アミノ酸模倣物は、α−アミノ酸の一般的化学構造と異なる構造を有するが、それと同様のように機能する、化合物である。アミノ酸は、遺伝的にコードされるアミノ酸の「L」立体化学の、ならびにエナンチオマー的に「D」立体化学のものとすることができる。
好ましくは、基Cは、プロテアーゼの切断可能な認識配列である、アミノ酸配列を含む。多数の切断可能な認識配列が当該分野にて知られている。例えば、Matayoshiら、Science 247:954(1990);Dunnら、Meth. Enzymol. 241:254(1994);Seidahら、Meth. Enzymol. 244:175(1994);Thornberry、Meth. Enzymol. 244:615(1994);Weberら、Meth. Enzymol. 244:595(1994);Smithら、Meth. Enzymol. 244:412(1994);およびBouvierら、Meth. Enzymol. 248:614(1995)(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)を参照のこと。
細胞により内在化されることを意図としないコンジュゲートでは、基Cは、それが標的組織の近傍にある細胞外マトリックスに存在するプロテアーゼ、例えば、すぐ近くにある死細胞により放出されるプロテアーゼ、または腫瘍関連プロテアーゼによって切断されるように選択され得る。典型的な細胞外腫瘍関連プロテアーゼは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、チメットオリゴペプチダーゼ(thimet oligopeptidase)(TOP)およびCD10である。
細胞により内在化されるように設計されるコンジュゲートでは、基Cは、好ましくは、エンドソームまたはリソソームプロテアーゼにより、特に後者により切断されるように選択されるアミノ酸配列を含む。かかるプロテアーゼの例として、限定されるものではないが、カテプシンB、C、D、H、LおよびS、特に、カテプシンBが挙げられる。カテプシンBは、ペプチドを、配列−AA2−AA1−(ここで、AA1は塩基性アミノ酸または強固に水素結合しているアミノ酸(リジン、アルギニンまたはシトルリンなど)であり、AA2は疎水性アミノ酸(フェニルアラニン、バリン、アラニン、ロイシンまたはイソロイシンなど)である)、例えばVal−Cit(ここで、Citはシトルリンを意味する)またはVal−Lysで優先的に切断する。(本明細書中、アミノ酸配列は、文脈にて明らかにそうでないと示されない限り、H2N−AA2−AA1−CO2Hに示されるように、N−からC−の方向に記述される。)Lys−Val−Ala、Asp−Val−Ala、Val−Ala、Lys−Val−Cit、およびAsp−Val−CitもカテプシンBに関する基質のペプチドモチーフであるが、ある場合には切断速度は遅くなるかもしれない。カテプシン−切断可能な基に関するさらなる情報については、Dubowchikら、Biorg. Med. Chem. Lett. 8, 3341-3346(1998);Dubowchikら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 8, 3347-3352(1998);およびDubowchikら、Bioconjugate Chem. 13, 855-869(2002)(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)を参照のこと。ペプチジルリンカーを切断するのに利用され得る別の酵素はレグマインであり、Ala−Ala−Asnで優先的に切断するリソソームシステインプロテアーゼである。
1の実施態様において、基Cは、2個のアミノ酸配列、−AA2−AA1−(ここで、AA1はリジン、アルギニンまたはシトルリンであり、AA2はフェニルアラニン、バリン、アラニン、ロイシンまたはイソロイシンである)を含む、ペプチドである。もう一つ別の実施態様において、基Cは、Val−Cit、Ala−Val、Val−Ala−Val、Lys−Lys、Ala−Asn−Val、Val−Leu−Lys、Cit−Cit、Val−Lys、Ala−Ala−Asn、Lys、Cit、Ser、およびGluからなる群より選択される、1ないし3個のアミノ酸の配列で構成される。
単一のアミノ酸で構成される切断可能な基Cの調製および設計は、Chenら、US8,664,407B2(2014)(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)に開示される。
基Cは光切断可能な基でもあり、例えば光に暴露されると切断される、ニトロベンジルエーテルである。
基Cは抗体ZまたはアナログDと直接結合することができ;すなわち、スペーサーXZおよびXDが、場合によっては、不在とすることができる。例えば、基Cがジスルフィドであるならば、2個の硫黄の一つを抗体Z上のシステイン残基またはその代替基とすることができる。あるいは、基Cは抗体の炭水化物側鎖のアルデヒドとヒドラゾン結合を形成し得る。あるいは、基Cは抗体Zのリジンε−アミノ基とペプチド結合を形成し得る。好ましい実施態様において、二量体Dは、二量体Dのカルボキシルまたはアミン基と結合したペプチジルを通して、基Cと直接的に結合される。
スペーサーXZは、存在する場合には、基Cと抗体Zとの間に、前者が後者と抗原との結合を空間的に干渉しないように、または後者が前者の切断を空間的に干渉しないように、空間的隔離を提供する。さらには、スペーサーXZは、コンジュゲートに対して溶解性を増大させるために、または凝集性を低下させるために使用され得る。スペーサーXZは、任意の数の組み合わせで組み立てることのできる、1または複数のモジュラーセグメントを含むことができる。スペーサーXZに適切なセグメントの例が、
であり、ここでその下付き文字gは0または1であり、下付き文字hは1〜24、好ましくは2〜4である。これらのセグメントは、次に:
説明されるように組み合わせることができる。
スペーサーXDは、存在するとすれば、基Cと二量体Dとの間に、後者が前者の切断を立体的または電子的に干渉しないように、空間的隔離を提供する。スペーサーXDはまた、コンジュゲートにさらなる分子の質量および官能性の付加を導入するのに供され得る。一般に、さらなる質量および官能性はコンジュゲートの血清中半減期および他の特性に影響を及ぼすであろう。かくして、スペーサー基の賢明な選択を通して、コンジュゲートの血清中半減期をモジュレートすることができる。スペーサーXDは、スペーサーXZの文脈にて上記されるように、モジュラーセグメントから組み立てることもできる。
スペーサーXZおよび/またはXDは、存在するならば、各々、ZおよびC、またはDおよびCの間で、好ましくは原子数4〜25の、より好ましくは原子数4〜20の線形の分離を提供する。
リンカーは、抗体と薬物を共有的に結び付けることに加えて、他の機能を果たし得る。例えば、リンカーは、コンジュゲーション化学を遂行する間に、または最終のADC産物のいずれかにおいて、溶解度を高める、ポリ(エチレングリコール)(PEG)基を含有し得る。PEG基が存在する場合、それはスペーサーXZまたはXDのいずれか、あるいはその両方に組み込まれてもよい。PEG基での反復単位の数は2〜20、好ましくは4〜10とすることができる。
スペーサーXZまたはXDのいずれか、あるいはその両方は、自己犠牲部分を含むことができる。自己犠牲部分は、(1)基Cと、そして抗体Zまたは二量体Dのいずれかと結合し、および(2)基Cからの切断が、場合によっては、結果として、自己犠牲部分がそれ自体を抗体Zまたは二量体Dから剥離させる、反応を開始させるような構造を有する、部分である。言い換えれば、(基Cから切断可能な)体Zまたは二量体Dから離れた部位での反応は、XZ−ZまたはXD−Dの結合を惹起し、その上で断裂させる。スペーサーXDの場合には、自己犠牲部分が存在することが望ましい。というのも、仮にコンジュゲートを切断した後に、スペーサーXDまたはその一部が二量体Dに結合したままとしたら、その生物学的活性が損なわれるかもしれないからである。自己犠牲部分の使用は、切断可能な基Cがポリペプチドである場合に特に望ましく、その場合には、自己犠牲部分は、典型的には、ポリペプチドに隣接して位置付けられる。
パートナー分子Dのヒドロキシルまたはアミノ基と結合する典型的な自己犠牲部分(i)−(v)を以下に示す:
自己犠牲部分は、点線aとb(または点線bとc)の間で、文脈を提供するように示される隣接する構造的特徴のある構造部分である。自己犠牲部分(i)および(v)は、二量体D−NH2に結合し(すなわち、二量体Dはアミノ基を介してコンジュゲートされる)、一方で自己犠牲部分(ii)、(iii)および(iv)は二量体D−OHに結合する(すなわち、二量体Dはヒドロキシルまたはカルボキシル基を介してコンジュゲートされる)。点線bでのアミド結合の切断(例えば、ペプチダーゼによる)は、アミドの窒素をアミンの窒素として放出し、点線aの結合の切断を、場合によっては、結果としてD−OHまたはD−NH2の放出をもたらす、反応を開始させる。別法として、自己犠牲反応を引き起こす切断は、構造式(vi)の場合のように、異なる型の酵素による、例えばβ−グルクロニダーゼによるものとすることができる。ある場合には、自己犠牲基は、構造式(vii)に示されるように、縦一列になって、使用され得る。そのような場合には、点線cでの切断が1,6−脱離反応により点線bとcの間の部分の自己犠牲を誘発し、つづいて環化−脱離反応により点線aとbの間の部分の自己犠牲を誘発する。自己犠牲部分に関するさらなる開示として、Carlら、J. Med. Chem., 24(3), 479-480(1981);Carlら、WO81/01145(1981);Dubowchikら、Pharmacology & Therapeutics, 83, 67-123(1999);Firestoneら、US6,214,345B1(2001);Tokiら、J. Org. Chem. 67, 1866-1872(2002);Doroninaら、Nature Biotechnology 21(7), 778-784(2003)(誤植、p. 941);Boydら、US7,691,962B2;Boydら、US2008/0279868A1;Sufiら、WO2008/083312A2;Feng、US7,375,078B2;Jeffreyら、US8039,273;およびSenterら、US2003/0096743A1(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)を参照のこと。好ましい自己犠牲基は、構造式(i)に示されるように、p−アミノベンジルオキシカルボニル(PABC)基である。
もう一つ別の実施態様において、抗体を標的とする部分と二量体Dとを、切断できないリンカーで連結する:すなわち、要素Cが不在である。抗体のデグラデーションとは、結局は、リンカーを、二量体Dの生物学的活性に干渉しない、添付した小さな部分に縮小することである。
コンジュゲーション技法
本発明のコンジュゲートは、好ましくは、本発明のアナログ(下記の式中にてDで表される)およびリンカー:(XD)a(C)c(XZ)b(ここでXD、C、XZ、a、b、およびcは式(II)について定義されるとおりである)を含む化合物をまず調製し、式(III):
[式中、R31は、抗体Z上の相補的官能基と反応し、コンジュゲートを形成するのに適する官能基である]
で示されるアナログ−リンカー組成物を形成することにより製造される。適切な基R31の例として、アミノ、アジド、シクロオクチン、
が挙げられ、ここでR32は、Cl、Br、F、メシラート、またはトシラートであり、R33はCl、Br、I、F、OH、−O−N−スクシンイミジル、−O−(4−ニトロフェニル)、−O−ペンタフルオロフェニル、または−O−テトラフルオロフェニルである。適切な部分D−(XD)aC(XZ)b−R31を調製するのに一般に使用され得る化学は、Ngら、US7,087,600B2(2006);Ngら、US6,989,452B2(2006);Ngら、US7,129,261B2(2006);Ngら、WO02/096910A1;Boydら、US7,691,962B2;Chenら、US7,517,903B2(2009);Gangwarら、US7,714,016B2(2010);Boydら、US2008/0279868A1;Gangwarら、US7,847,105B2(2010);Gangwarら、US7,968,586B2(2011);Sufiら、US2010/0145036A1;およびChenら、US2010/0113476A1(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)に開示される。
好ましくは、反応性官能基−R31は、−NH2、−OH、−CO2H、−SH、マレイミド、シクロオクチン、アジド(−N3)、ヒドロキシルアミノ(−ONH2)またはN−ヒドロキシスクシンイミドである。特に好ましい官能基−R31は:
である。
−OH基は、抗体にある、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸側鎖上のカルボキシ基でエステル化され得る。
−CO2H基は、抗体にある、−OH基でエステル化され、あるいはアミノ基(例えば、リジン側鎖上の基)でアミド化され得る。
N−ヒドロキシスクシンイミド基は、機能的に活性化されたカルボキシル基を有し、都合よくはアミノ基(例えば、リジンより由来のアミノ基)と反応させることによりアミド化され得る。
マレイミド基は、ミカエル付加反応において、抗体にある−SH基(例えば、システインから由来、またはスルフヒドリル官能基を導入するのに抗体を化学的に修飾して得られる基)とコンジュゲートされ得る。
種々の技法が−SH基を抗体に導入し得る。好ましい技法において、抗体のリジン残基の側鎖にあるε−アミノ基を2−イミノチオランと反応させて遊離チオ−ル(−SH)基を導入する。そのチオール基をマレイミドまたは他の求核アクセプター基と反応させてコンジュゲーションを行うことができる:
典型的には、抗体に付き2〜3個のチオールのチオレーションレベルを達成する。代表的な操作として、Congら、2004(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)を参照のこと。かくして、1の実施態様において、本発明の二量体とコンジュゲートされる抗体は、イミノチオランとの反応により修飾される、1または複数の(好ましくは2または3個の)リジン残基を有する。
−SH基もコンジュゲーションのために使用することができ、それには、その記載されるものの「鏡像」であるミカエル付加反応においてマレイミド基を抗体中に導入するために抗体を修飾した。抗体はN−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)−シクロヘキサンカルボキシラート(SMCC)またはそのスルホン酸化した変異体スルホ−SMCCを用いてマレイミド基を有するように修飾され得る。その試薬は共にSigma-Aldrichより入手可能である。
代替となるコンジュゲーション技法は、銅触媒不要の「クリックケミストリー」を利用し、そこではアジド基をシクロオクチンの歪んだアルキン結合と交差して付加し、1,2,3−トリアゾール環を形成する。例えば、Agardら、J. Amer. Chem. Soc. 2004, 126, 15046;Best、Biochemistry 2009, 48, 6571(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)を参照のこと。アジドを抗体に、シクロオクチンを薬物部分に配置、あるいはその逆に位置付けることができる。好ましいシクロオクチン基はジベンゾシクロオクチン(DIBO)である。DIBO基を有する種々の試薬がInvitrogen/Molecular Probes, Eugene. Oregonより入手可能である。以下の反応は、DIBO基が抗体(Ab)に結合されている場合のクリックケミストリーのコンジュゲーションを説明する:
さらにもう一つ別のコンジュゲーション技法は、天然に存在しないアミノ酸を抗体に導入し、その天然に存在しないアミノ酸を用いて薬物部分の反応性官能基とコンジュゲートするための官能性を提供することを含む。例えば、天然に存在しないアミノ酸のp−アセチルフェニルアラニンは、Tianら、WO2008/030612A2(2008)にて教示されるように、抗体または他のポリペプチドに取り込まれ得る。p−アセチルフェニルアラニンのケト基は、リンカー−薬物部分にあるヒドロキシルアミンとの、オキシムの形成を介する、コンジュゲーション部位であり得る。別法として、天然に存在しないアミノ酸のp−アジドフェニルアラニンは、上記されるように、抗体に取り込まれ、クリックケミストリーを介するコンジュゲーションのためのアジド官能基を提供し得る。天然に存在しないアミノ酸はまた、Goerkeら、US2010/0093024A1(2010)およびGoerkeら、Biotechnol. Bioeng. 2009, 102(2), 400-416において教示されるように、無細胞系方法を用いて抗体または他のポリペプチドに組み込むこともできる。上述した開示は出典明示により本明細書の一部とする。かくして、1の実施態様において、本発明の二量体とコンジュゲートを製造するのに使用される抗体は、好ましくはp−アセチルフェニルアラニンまたはp−アジドフェニルアラニン、より好ましくはp−アセチルフェニルアラニンである、天然に存在しないアミノ酸と置換される1または複数のアミノ酸を有する。
さらにもう一つ別のコンジュゲーション技法は、Jegerら、Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 9995に従って、トランスグルタミナーゼ酵素(好ましくは、細菌性トランスグルタミナーゼまたはBTG)を用いる。BTGは、グルタミンの側鎖であるカルボキシアミド(アミンアクセプター)と、例えば、リジンのε−アミノ基または5−アミノ−n−ペンチル基とすることができる、アルキレンアミノ基(アミンドナー)の間にアミド結合を形成する。典型的なコンジュゲーション反応にて、以下に示されるように、グルタミン残基は抗体に位置付けられ、一方でアルキレンアミノ基はリンカー−薬物部分に位置付けられる:
ポリペプチド鎖にあるグルタミン残基の位置付けはBTG介在性アミノ基転移に対するその感受性に大きな影響を及ぼす。抗体にグルタミン残基のないものは、通常は、BTG基質である。しかしながら、抗体が脱グリコシル化されているならば、グルタミン295(Q295)のすぐ近くにあるアスパラギン297(N297)である糖鎖形成部位はBTGを感受性にする。抗体は、PNGaseF(ペプチド−N−グリコシダーゼF)で処理することにより、酵素を用いて脱グリコシル化され得る。別法として、抗体は定常領域にN297A変異を導入することによりグリコシドフリーで合成され、N297糖鎖形成部位を取り除くことができる。さらには、抗体でのN297Q置換が、糖鎖形成を排除するだけでなく、アミンアクセプターでもある、別のグルタミン残基を(位置297に)導入することが示された。かくして、1の実施態様において、本発明の二量体とコンジュゲートされる抗体は脱グリコシル化される。もう一つ別の実施態様において、抗体はN297A置換を有する。当業者であれば、合成後修飾による、またはN297A変異の導入による脱グリコシル化が、抗体当たり2つのBTG−反応性グルタミン残基(重鎖に付き1つ、位置295)を生成し、一方でN297Q置換の抗体は4つのBTG−反応性グルタミン残基(重鎖に付き2つ、位置295および297)を有するであろうことを理解するであろう。
コンジュゲーションはまた、Levaryら、PLoS One 2011, 6(4), e18342;Proft、Biotechnol. Lett. 2010, 32, 1-10;Ploeghら、WO2010/087994A2(2010);およびMaoら、WO2005/051976A2(2005)において教示されるように、酵素のソルターゼ(Sortase)Aを用いて行われうる。ソルターゼA認識モチーフ(典型的には、LPXTGであり、ここでXはいずれか天然のアミノ酸である)は、リガンドZに位置付けられ、求核アクセプターモチーフ(典型的には、GGG)は式(III)中の基R31であってもよく、あるいはその逆であってもよい。
二量体−リンカー化合物
一般に、本発明の二量体のADCは、その二量体の官能基に結合したリンカーを含み、そのリンカーは抗体と結合する。利用可能なコンジュゲーション技法の多様性を考慮して、本発明の二量体は、抗体とのコンジュゲーションに適する多くの異な二量体−リンカー化合物に変化させることができる。
一般に、リンカーを本発明の二量体と結合させるには、以下の図で説明されるように、3種の異なるやり方がある(簡潔にするために環における可変基と共に任意の置換基は図示せず)。
(a)型の二量体−リンカー化合物では、リンカーを結合させるための官能基は、2つの半二量体の間にある架橋Xに配置付けられる。(b)型の二量体−リンカー化合物では、リンカーはイミン二重結合を横切る付加生成物として結合される。(c)型および(c’)型の二量体−リンカー化合物では、リンカーを結合させるための官能基はTHIQ、AZIまたはPBDの二量体単位の「外側の」環に配置付けられる。
1の実施態様において、(a)型の二量体−リンカー化合物は、式(IIIa):
[式中
Tは自己犠牲基であり;
tは0または1であり;
AAaおよび各AAbは、アラニン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、γ−カルボキシグルタミン酸、シトルリン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より独立して選択され;
uは0または1であり;
pは1、2、3または4であり;
qは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12(好ましくは2、3、4または8)であり;
rは1、2、3、4または5であり;
sは0または1であり;
R31は
であり;
XAは
ここで、xおよびyは、各々、1、2または3である:ただし、xおよびyの合計は2または4であり;星印(*)は、各XAと隣接するOおよびR1との結合の位置を示し;波線
は、各XAと、Tが存在するならば、Tとの、あるいはTが不在であるならば、AAaとの結合の位置を示し;および
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、G、Y、および二重線
は、式(I)に関して上記される簡単な発明の概要のセクションにおいて定義されるとおりである]
で表されうる。
1の好ましい実施態様において、式(IIIa)中にて、uは1である。
式(IIIa)に係る(a)型の好ましい二量体−リンカー化合物は、式(IIIa’):
[式中、R9は、各々独立して、H、O(CH2CH2O)1−4H、(CH2CH2O)1−4(C1−C3アルキル)、OH、Cl、F、またはBrである]
で示される。
好ましくは、式(IIIa)および(IIIa’)中、XAは、
である。
(a)型の二量体−リンカー化合物の例として、
が挙げられる。
好ましい下位群の二量体−リンカーは、
で示され、ここで下付き文字のnは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12である。
(a)型の特に好ましい二量体−リンカーは、(IIIa−03)および(IIIa−04)である。
もう一つ別の実施態様において、(b)型の二量体−リンカー化合物は、式(IIIb):
[式中
T、t、AAa、AAb、u、p、q、s、r、およびR31は、式(IIIa)において定義されたとおりであり;および
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、X、Y、およびGは、上記の簡単な発明の概要のセクションにおいて定義されるとおりである]
で表すことができる。
1の好ましい実施態様において、式(IIIb)中にて、uは1である。
式(IIIb)に係る(b)型の好ましい二量体は、式(IIIb’):
[式中
R9は、各々独立して、H、O(CH2CH2O)1−4H、(CH2CH2O)1−4(C1−C3アルキル)、OH、Cl、F、またはBrであり;および
Xは、
である]
で示される。
(b)型の二量体−リンカー化合物の例として
が挙げられる。
1の実施態様において、(c)型の二量体−リンカー化合物は、式(IIIc):
[式中
T、t、AAa、AAb、u、p、q、s、r、およびR31は、式(IIIa)において定義されたとおりであり;および
R1、R2、R3、R4、R5、R6、Z、および二重線
は、上記の簡単な発明の概要のセクションにおいて定義されるとおりである]
で表すことができる。
1の好ましい実施態様において、式(IIIc)中にて、uは1である。
式(IIIc)に係る(c)型の好ましい二量体−リンカー化合物は、式(IIIc’):
[式中
R9はH、O(CH2CH2O)1−4H、(CH2CH2O)1−4(C1−C3アルキル)、OH、Cl、F、またはBrであり;および
Xは
である]
で示される。
(c)型の二量体−リンカー化合物の例として、
が挙げられる。
(c’)型の好ましい二量体−リンカーは、式(IIIc’’):
[式中
T、t、AAa、AAb、u、p、q、s、r、およびR31は、式(IIIa)において定義されたとおりであり;および
R50は、各々独立して、H、O(C1−C3アルキル)、O(C2−C3アルキレン)、O(C2−C3アルキニル)、F、Cl、Br、またはCNである]
で示される。
好ましくは、式(IIIc’’)中において、部分
は、
である。
式(IIIc’’)で示される二量体−リンカーの一例が、
である。
特に好ましい(c)/(c’)型の二量体−リンカー化合物が(IIIc−08)である。
式(IIIa)、(IIIa’)、(IIIb)、(IIIb’)、(IIIc)、(IIIc’)および(IIIc’’)中のR31は、上記されるように、コンジュゲーションを行うために、抗体上の相補的官能基と反応しうる反応性官能基である。
式(IIIa)、(IIIa’)、(IIIb)、(IIIb’)、(IIIc)、(IIIc’)および(IIIc’’)中、−AAa−[AAb]p−は、その長さがpの値により決定されるポリペプチド(pが1ならばジペプチド、pが3ならばテトラペプチド等)を表す。AAaはポリペプチドのカルボキシ末端にあり、そのカルボキシル基が二量体のアミンの窒素とペプチド(アミド)結合を形成する。反対に、最後のAAbはそのポリペプチドのアミノ末端にあり、そのα−アミノ基は、sが、各々、1であるか、0であるかに応じて、
とペプチド結合を形成する。好ましいポリペプチド−AAa−[AAb]p−は、Val−Cit、Val−Lys、Lys−Val−Ala、Asp−Val−Ala、Val−Ala、Lys−Val−Cit、Ala−Val−Cit、Val−Gly、Val−Gln、およびAsp−Val−Citであり、H2N−Val−Cit−CO2Hにあるように慣用的にNからCの方向に記載される。より好ましくは、該ポリペプチドはVal−Cit、Val−Lys、またはVal−Alaである。好ましくは、ポリペプチド−AAa−[AAb]p−は、標的(がん)細胞の内部に認められる酵素、例えば、カテプシン、特にカテプシンBで切断可能である。
下付き文字のtが0または1であることで示されるように、自己犠牲基Tは式(IIIa)、(IIIa’)、(IIIb)、(IIIb’)、(IIIc)、(IIIc’)および(IIIc’’)の二量体−リンカー化合物において所望により存在してもよい。自己犠牲基Tが存在する場合、それは、好ましくは、その構造が下記に示される、p−アミノベンジルオキシカルボニル(PABC)基であり、星印(*)は二量体のアミンの窒素と結合するPABCの末端を示し、波線
はポリペプチド−AAa−[AAb]p−と結合する末端を示す。
好ましい実施態様において、式(IIIa)、(IIIa’)、(IIIb)、(IIIb’)、(IIIc)、(IIIc’)または(IIIc’’)中にて、R31基は
である。
もう一つ別の好ましい実施態様において、式(IIIa)、(IIIa’)、(IIIb)、(IIIb’)、(IIIc)、(IIIc’)または(IIIc’’)中にて、R31基は
である。
コンジュゲートの調製
この一般的操作は、上記されるように、リジンε−アミノ基と2−イミノチオランとを反応させ、つづいてマレイミド含有の薬物−リンカーの部分と反応させることによって、遊離チオール基の抗体への導入を基礎とする。まず、抗体を50mM NaClおよび2mMジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)を含有する0.1Mリン酸塩緩衝液(pH8.0)への緩衝液交換に供し、5−10mg/mLに濃縮した。チオール化は2−イミノチオランの抗体への添加を通してなされる。2−イミノチオランの添加される量は予備実験により測定することができ、抗体によって様々である。予備実験においては、増大する量の2−イミノチオランを抗体に添加して滴定し、抗体と一緒に室温(約25℃)で1時間インキュベートした後、抗体をセファデックス(SEPHADEX)(登録商標)G−25カラムを用いて50mM HEPES、5mMグリシン、2mM DTPA、pH5.5中に脱塩処理に付し、ジチオジピリジン(DTDP)と反応させることで導入されたチオール基の数を速やかに測定する。チオール基とDTDPの反応はチオピリジンの遊離をもたらし、そのことは分光的に324nmでモニター観察され得る。試料は、典型的には、0.5−1.0mg/mLのタンパク質濃度で使用される。吸光度を280nmで用い、試料中のタンパク質の濃度を正確に測定し、次に各試料のアリコート(0.9mL)を0.1mLのDTDP(エタノール中5mMストック溶液)と一緒に室温で10分間インキュベートすることができる。緩衝液単独のブランク試料もDTDPと一緒に並行してインキュベートする。10分後に、324nmでの吸光度を測定し、19,800M−1のチオピリジンの吸光係数を用いてチオール基の数を定量する。
典型的には、1個の抗体に付き約2ないし3個のチオール基のチオール化レベルが望ましい。例えば、ある抗体では、このことは15倍のモル過剰の2−イミノチオランを添加し、つづいて室温で1時間インキュベートすることにより達成され得る。ついで抗体を2−イミノチオランと一緒に所望のモル比でインキュベートし、次にコンジュゲーション緩衝液(50mM HEPES、5mMグリシン、2mM DTPA、pH5.5)中に脱塩処理に付した。導入されるチオールの数を上記のように定量しながら、チオール化される材料を氷上に維持する。
導入されたチオールの数を検証した後、チオールに付き2.5倍モル過剰量の薬物(二量体)−リンカーの部分を添加する。コンジュゲーション反応を、25%プロピレングリコールおよび5%トレハロースを最終濃度で含有する、コンジュゲーション緩衝液中で進行させる。通常、薬物−リンカーのストック溶液を100%DMSOに溶かす。そのストック溶液をチオール化抗体に直接添加する。
コンジュゲーション反応混合物を緩やかに攪拌しながら室温で2時間インキュベートする。次に10倍モル過剰量のN−エチルマレイイミド(DMSO中100mMストック溶液)を該コンジュゲーション混合物に添加し、さらに1時間攪拌し、未反応のチオールを遮断した。
次に、試料を0.2μフィルターを通して濾過する。材料をTFFビバフロー50ザルトリウス30MWCO PES膜を通して10mg/mLのグリシン、20mg/mLのソルビトール、15%アセトニトリル pH5.0(5xTFF緩衝液交換容量)に緩衝液交換に供し、未反応のいずれの薬物も除去する。最終処方をTFFで行い、20mg/mlのソルビトール、10mg/mLのグリシン、pH5.0とする。
二量体−リンカー化合物(ここで、リンカーはアミン基を有し、アミン供与体として作用しうる)のトランスグルタミナーゼ介在のコンジュゲーションのために以下の操作を用いることができる。抗体は、トランスグルタミナーゼ反応性グルタミンを有する抗体、例えば、N297AまたはN297Q置換のある抗体とすることができる。コンジュゲーションは、組換え細菌性トランスグルタミナーゼにより抗体:酵素(5:1のモル比)を用いて実施される。コンジュゲーションは、50mMのトリス緩衝液(pH8.0)中、37℃で一夜インキュベートする標準的プロトコルを用いて実施される。得られたコンジュゲートを、50mMトリス(pH8.0)で予め平衡にした、プロテインAカラムを用いて精製する。コンジュゲートは0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.5)で溶出する。その溶出したフラクションを1Mトリス(pH9.0)で中和する。コンジュゲートは20mg/mLソルビトール、10mg/mLグリシン(pH5.0)に処方され得る。
当業者は上記の条件および方法が例示であって、限定するものではなく、コンジュゲーションのための他の方法も当該分野にて知られており、本発明にて用いることができることを理解するであろう。
コンジュゲート
1の実施態様において、本発明のコンジュゲートは、(a)型の二量体−リンカー化合物より誘導され、式(IVa):
[式中
Abは抗体であり;
R40は
であり;
ここで、Abと結合するR40のオープン価電子帯が星印(*)で示され、(CH2)rと結合するR40のオープン価電子帯が波線
で示され;
mは1、2、3または4であり;
T、t、AAa、AAb、u、p、q、s、r、およびXAは式(IIIa)において定義されるとおりであり;および
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、Y、G、および二重線
は、上記の簡単な発明の概要のセクションにて定義されるとおりである]
で示されうる。
好ましい実施態様において、式(IVa)中、uは1である。
式(IVa)に係る好ましいコンジュゲートは、式(IVa’):
[式中
R9はH、OH、OMe、NH2、NMe2、O(CH2CH2O)1−8Me、OCH2CH2OH、または
であり;および
XAは
であって、ここで星印(*)は各XAの隣接するOとの結合の位置を示し、波線
は各XAの、Tが存在するとすれば、Tとの、あるいはTが不在とすれば、AAaとの結合の位置を示す]
で示される。
もう一つ別の実施態様において、本発明のコンジュゲートは、(b)型の二量体−リンカー化合物より誘導され、式(IVb):
[式中
Ab、R40、m、T、t、AAa、AAb、u、p、q、s、およびrは、式(IVa)に関して定義されるとおりであり;および
R1、R2、R3、R4、R7、R8、R9、R10、Y、G、およびXは、式(I)に関して上記の簡単な発明の概要のセクションにて定義されるとおりである]
で示すことができる。
好ましい実施態様において、式(IVb)中、uは1である。
式(IVb)に係る好ましいコンジュゲートは、式(IVb’):
[式中
R9はH、OH、OMe、NH2、NMe2、O(CH2CH2O)1−8Me、OCH2CH2OH、または
であり;および
Xは
である]
で示される。
もう一つ別の実施態様において、本発明のコンジュゲートは、(c)型の二量体−リンカー化合物より誘導され、式(IVc):
[式中
Ab、R40、m、T、t、AAa、AAb、u、p、q、s、およびrは、式(IVa)に関して定義されるとおりであり;および
R1、R2、R3、R4、R5、R6、Y、X、および二重線
は、上記の簡単な発明の概要のセクションにおいて定義されるとおりである]
で示すことができる。
好ましい実施態様において、式(IVc)中、uは1である。
式(IVc)に係る好ましいコンジュゲートは、式(IVc’):
[式中
R9はH、OH、OMe、NH2、NMe2、O(CH2CH2O)1−8Me、OCH2CH2OH、または
であり;および
Xは
である]
で示される。
もう一つ別の実施態様において、本発明のコンジュゲートは、式(IVC’’):
[式中
Ab、R40、m、T、t、AAa、AAb、u、p、q、s、およびrは、式(IVa)にて定義されるとおりであり;および各R50は、独立して、H、O(C1−C3アルキル)、O(C2−C3アルキレン)、O(C2−C3アルキニル)、F、Cl、Br、またはCNである]
で示される構造を有する。
式(IIIa)、(IIIa’)、(IIIb)、(IIIb’)、(IIIc)、(IIIc’)および(IIIc’’)の二量体リンカーに関してポリペプチド−AAa−[AAb]p−および自己犠牲基Tについて上記される優先事項は、式(IVa)、(IVa’)、(IVb)、(IVb’)、(IVc)、(IVc’)および(IVc’’)のコンジュゲートにも適用され得る。
式(IVa)、(IVb)、(IVc)および(IVc’’)において、下付き文字tおよびuが共に0であるならば、その場合にはリンカーは切断できない型のものであり、抗体Abの分解に応じて薬物を放出する。もし、ポリエチレングリコール成分の存在が、例えば、薬物−リンカー化合物のコンジュゲーションの間の溶解性を増大させることにより、利益であり、薬物の生物学的活性を干渉しないとすれば、該成分は所望により存在してもよい(すなわち、sが1であってもよい)。
医薬組成物
もう一つ別の態様において、本発明の開示は、本発明の化合物またはそのコンジュゲートを含み、医薬的に許容される担体または賦形剤と一緒に処方された医薬組成物を提供する。抗体またはもう一つ別の薬物などの1または複数のさらなる医薬的に活性な成分を所望により含有してもよい。該医薬組成物は、もう一つ別の治療剤、特にもう一つ別の抗がん剤との併用療法にて投与され得る。
医薬組成物は1または複数の賦形剤を含んでもよい。使用されてもよい賦形剤は、担体、界面活性剤、増粘剤または乳化剤、固形結合剤、分散または懸濁助剤、可溶化剤、着色剤、矯味矯臭剤、被覆剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、保存剤、等張剤、ならびにそれらの組み合わせを包含する。適切な賦形剤の選択および使用は、Gennaro編、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、20th Ed.(Lippincott Williams & Wilkins 2003)において教示されており、その開示を出典を明示することで本明細書に組み込むものとする。
好ましくは、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または表皮投与(例えば、注射または注入による投与)に適する。投与経路に応じて、活性化合物を一の材料で被覆し、その化合物を酸の作用から、あるいは該化合物を不活性とするかもしれない他の天然条件から、保護してもよい。「非経口投与」なる語は、腸内投与および局所投与以外の、通常は注射による投与方法を意味し、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、皮膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および注入を包含する。あるいはまた、医薬組成物は、局所、表皮または粘膜投与経路などの非経口以外の経路を介して、例えば、鼻腔内に、経口的に、経膣的に、経直腸的に、舌下的にまたは局所的に投与され得る。
医薬組成物は、滅菌水溶液または分散液の形態であってもよい。それらはまた、マイクロエマルジョン、リポソーム、あるいは高い薬物濃度を達成するのに適した他の秩序だった構造に処方することもできる。該組成物はまた、投与前に水で復元するための凍結乾燥した形態にて提供され得る。
担体材料と組み合わせて単一剤形を生成することのできる活性成分の量は、治療される対象および個々の投与方法に応じて変化するであろうし、一般には治療効果をもたらす組成物の量であろう。一般に、この量は、100%中に、約0.01%ないし約99%の範囲の活性成分、好ましくは約0.1%ないし約70%、最も好ましくは約1%ないし約30%の範囲の活性成分と、医薬的に許容される担体とを組み合わせたものであろう。
投与方法は治療効果を提供するように調整される。例えば、単一のボーラスで投与されてもよく、数回に分割した用量を経時的に投与してもよく、あるいはその用量は状況の緊急性により示されるように比例的に減少または増加させてもよい。投与を容易にし、投与量を均一にするために、投与単位形態の非経口用組成物を処方するのが特に有利である。「投与単位形態」は、治療される対象のために単回投与に適した、物理的に別個の単位をいい;各単位は、必要とされる医薬担体と合わさって、望ましい治療効果が得られるように算定した、所定量の活性化合物を含有する。
投与量は、宿主体重1kg当たり約0.0001〜100mg、より一般的には0.01〜5mgの範囲にある。例えば、投与量は、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重または10mg/kg体重とするか、あるいは1−10mg/kgの範囲内と、あるいはまた0.1〜5mg/kgとすることができる。典型的な治療計画は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、月に1回、3ヶ月に1回、または3ないし6ヶ月に1回の投与である。好ましい投与計画は、1mg/kg体重または3mg/kg体重を静脈内投与を介して、以下の投与スケジュールの1つで投与すること:(i)6回の投与を4週間毎に、ついで3ヶ月毎に;(ii)3週間毎に;または(iii)3mg/kg体重を1回、つづいて1mg/kg体重を3週間毎に投与することを包含する。ある方法において、投与量は約1−1000μg/mLの血漿中抗体濃度が得られるように、ある方法では約25−300μg/mLが得られるように調整される。
本発明の化合物の「治療的に効果的な量」は、好ましくは、症状の重篤度の減少、無症状の期間の頻度および持続期間の増加、疾患による障害または身体障害の防止をもたらす。例えば、腫瘍を患う対象を治療する場合、「治療的に効果的な量」は、未処理の対象と比べて、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、その上さらに好ましくは少なくとも約80%の腫瘍増殖を阻害する。治療用化合物の治療的に効果的な量は、腫瘍の大きさを縮小させるか、そうでなければ、典型的にはヒトであるが、他の哺乳動物とすることもできる対象での徴候を改善することができる。
医薬組成物は、インプラント、経皮パッチおよびマイクロカプセル化デリバリーシステムを含む、制御放出性または徐放性製剤とすることができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを用いることができる。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R. Robinson編、Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照のこと。
治療用組成物は、(1)無針皮下注射装置(例えば、米国特許第5,399,163号;第5,383,851号;第5,312,335号;第5,064,413号;第4,941,880号;第4,790,824号;および第4,596,556号);(2)マイクロ注入ポンプ(米国特許第4,487,603号);(3)経皮装置(米国第4,486,194号);(4)注入装置(米国第k4,447,233号および第4,447,224号);および(5)浸透性装置(米国第4,439,196号および第4,475,196号)(それらの開示は出典明示により本明細書に組み込まれる)などの医療装置を通して投与され得る。
ある実施態様において、医薬組成物は、インビボでの適切な分布を確保するために製剤化され得る。例えば、本発明の治療用化合物が血液脳関門を横切って移動することを確保するために、それらはリポソーム中に処方することができ、それは特異的細胞または器官への選択的輸送を強化するために、さらに標的とする部分を含んでもよい。例えば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;第5,416,016号;および第5,399,331号;V.V. Ranade(1989) J. Clin. Pharmacol. 29:685;Umezawaら、(1988) Biochem. Biophys. Res. Commun. 153:1038;Bloemanら(1995)FEBS Lett. 357:140;M. Owaisら(1995)Antimicrob. Agents Chemother. 39:180;Briscoeら(1995)Am. J. Physiol. 1233:134;Schreierら(1994)J. Biol. Chem. 269:9090;KeinanenおよびLaukkanen(1994)FEBS Lett. 346:123;ならびにKillionおよびFidler(1994)Immunomethods 4:273を参照のこと。
使用
本発明の化合物またはそれらのコンジュゲートは、限定されるものではないが、頭部、頚部、鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、口腔、中咽頭、喉頭、下咽頭、唾液腺および傍神経節の腫瘍を含む頭頸部がん;肝臓および胆道系のがん、特に肝細胞がん;腸がん、特に大腸がん;卵巣がん;小細胞および非小細胞肺がん(SCLCおよびNSCLC);線維肉腫、悪性線維性組織球腫、胎児性横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、神経線維腫、骨肉腫、滑膜肉腫、脂肪肉腫および胞巣状軟部肉腫などの乳がん肉腫;急性前骨髄球性白血病(APL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)および慢性骨髄性白血病(CML)などの白血病;中枢神経系の腫瘍、特に脳がん;多発性骨髄腫(MM)、ホジキンリンパ腫、リンパ形成細胞性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、B系統大細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、およびT細胞未分化大細胞型リンパ腫を含む、過剰増殖性疾患などの疾患の治療に使用され得る。臨床的に、本明細書に記載の方法の実施および組成物の使用は、成長したがんの大きさまたは数の減少、および/または(該当する場合には)関連する徴候の減少をもたらすであろう。病理学的に、本明細書に記載の方法の実施および組成物の使用は、がん細胞増殖の阻害、がんまたは腫瘍の大きさの減少、さらなる転移の防止、および腫瘍血管新生の阻害などの病理学的に関連する応答を生じさせるであろう。そのような疾患を治療する方法は、治療的に効果的な量の本発明の組み合わせを対象に投与することを含む。該方法は必要に応じて繰り返されてもよい。特に、がんは腎臓、肺、胃、または卵巣のがんとすることができる。
本発明の化合物またはそれらのコンジュゲートは、抗体、アルキル化剤、血管新生阻害剤、抗代謝産物、DNA切断剤、DNA架橋剤、DNA挿入剤、DNA副溝結合剤、エンジイン、熱ショックタンパク質90阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、免疫調節剤、微小管安定剤、ヌクレオシド(プリンまたはピリミジン)類似体、核外輸送阻害剤、プロテアソーム阻害剤、トポイソメラーゼ(IまたはII)阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、およびセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤を含む、他の治療剤と組み合わせて投与され得る。特定の治療剤として、アダリブマブ、アンサミトシンP3、アウリスタチン、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ビカルタミド、ブレマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カリスタチンA、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セツキシマブ、シスプラチン、クラドリビン、シタラビン、クリプトフィシン、ダカルバジン、ダサチニブ、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、デュオカルマイシン、ダイネマイシンA、エポチロン、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、5−フルオロウラシル、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、イピリムマブ、ヒドロキシ尿素、イマチニブ、インフリキシマブ、インターフェロン、インターロイキン、β−ラパコン、レナリドミド、イリノテカン、マイタンシン、メクロレタミン、メファラン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトマイシンC、ニロチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、プロカルバジン、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、6−チオグアニジン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、トラスツズマブ、トリコスタチンA、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシンが挙げられる。
実施例
本発明の実施は、例示として提供され、限定するものではない、以下の実施例を参照することによりさらに理解され得る。次の一般的操作は例示であり、当業者であれば別法であるが、同等である方法を用いることができることを理解する。
1H−NMRスペクトルはブルーカー(Bruker)600、500、または400MHz装置で測定され、化学シフトはテトラメチルシラン(δ=0.0)との関連でppm(δ)で報告された。一般に、蒸発は減圧下で実施される。
これらの2つのLC/MS分析方法は例示である:
A カラム::ウォーターズ(Waters)BEH C18、2.0x50mm、1.7μm粒子;移動相A:水+0.05%TFA;移動相B:アセトニトリル+0.05%TFA;3分間の測定時間で、1.5分間で2−98%とする;温度:40℃;流れ:0.8mL/分;220または254nmに設定されたUV検出器
B カラム:フェノメネックス・ルナ(Phenomenex Luna)2.0x30mm、3μm粒子;移動相A:10%アセトニトリル/90%水+0.1%TFA;移動相B:90%アセトニトリル/10%水+0.1%TFA;4分間の測定時間で、2分間で0−100%とする;温度:40℃;流れ:1.0mL/分;220または254nmに設定されたUV検出器
実施例1−中間化合物6
この実施例および図1は、本発明の二量体の調製に用いられる、中間化合物6の合成に関する。
4−(ベンジルオキシ)−5−メトキシ−2−ニトロベンゾイルクロリド1を以下のように対応するメチルエステルより調製した:4−(ベンジルオキシ)−5−メトキシ−2−ニトロ安息香酸メチル(Harve Chem、15g、47.3ミリモル)のテトラヒドロフラン(THF、350mL)中溶液に、NaOH水溶液(56.7mL、142ミリモル、2.5M)を添加した。反応物を50℃で5時間攪拌した。該反応物を室温(RT)に冷却し、次に真空下で濃縮し、THFを除去した。残りの水層を水性HCl(6N)を用いてpH2の酸性にした。得られた黄色の沈殿物を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて4−(ベンジルオキシ)−5−メトキシ−2−ニトロ安息香酸(14.32g、収率100%)を得た。LCMS (M+H)=304.08;1H NMR(400MHz、メタノール−d4)δ 7.60(s,1H)、7.53−7.45(m,2H)、7.45−7.31(m,3H)、7.29(s,1H)、5.23(s,2H)、3.98(s,3H)
上記のニトロ安息香酸(3.5g、11.54ミリモル)のTHF(150mL)中溶液に、塩化オキサリル(1.212mL、13.85ミリモル)を、つづいてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF、50μL)を滴下して加えた。その得られた溶液を室温で2時間攪拌し、ついでそれを真空下で濃縮し、酸クロリド1を黄色の固体として得た。
酸クロリド1をTHF(35mL)に溶かし、(S)−ベンジル 1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシラート・p−トルエンスルホン酸塩2(Accela、5.58g、12.70ミリモル)およびトリエチルアミン(4.83mL、34.6ミリモル)のTHF(80mL)中溶液に0℃で滴下して加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌し、ついで水でクエンチさせ、濃縮してTHFを除去した。得られた混合物をEtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、NaHCO3飽和水溶液で、次にブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(80g カラム、EtOAc/ジクロロメタン(DCM)の15分間における0%から100%までの勾配)を用いて精製し、エステル3(6.25g、収率98%)を得た。LCMS (M+H)=553;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.95−7.72(m,1H)、7.57−7.35(m,5H)、7.34−7.0(m,8H)、7.14−6.98(m,1H)、6.94−6.69(m,1H)、5.39−5.19(m,2H)、5.19−5.08(m,1H)、4.99(q,J=12.4Hz,1H)、4.75(d,J=17.4Hz,1H)、4.65−4.40(m,2H)、4.28(d,J=15.6Hz,1H)、3.86(brs.,3H)、3.71(s,1H)、3.50−3.18(m,1H)
エステル3(6.25g、11.31ミリモル)、亜鉛(4.44g、67.9ミリモル)およびNH4Cl(7.26g、136ミリモル)のMeOH(50mL)中懸濁液を50℃で16時間加熱した。反応物を室温に冷却し、MeOHで希釈した。得られた混合物をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、EtOAc、DCMおよびMeOHで連続して洗浄した。濾液を合わせ、真空下で濃縮した。粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(120g カラム、EtOAc/DCMの15分間における0%から100%までの勾配)を用いて精製し、ジオン4(4.5g、収率96%)を得た。LCMS (M+H)=415;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.49−7.40(m,4H)、7.32(brs.,6H)、6.45(s,1H)、5.19(s,2H)、5.13(d,J=15.4Hz,1H)、4.47(d,J=15.2Hz,1H)、4.21(t,J=6.7Hz,1H)、3.93(s,3H)、3.52(dd,J=15.4、7.0Hz,1H)、3.02(dd,J=15.4、6.4Hz,1H)
ジオン4(4.5g、10.86ミリモル)のDMF(54.3mL)中溶液を0℃に冷却し、ついでNaH(鉱油中60%分散液、0.54g、13.57ミリモル)をバッチ式にて添加した。得られた混合物を30分間攪拌し、ついで(2−(クロロメトキシ)エチル)トリメチルシラン(SEM−Cl、2.31mL、13.03ミリモル)を添加した。反応物を室温に加温し、1時間攪拌し、ついで水でクエンチさせた。得られた混合物をEtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(80g カラム、EtOAc/DCMの15分間における0%から50%までの勾配)を用いて精製し、SEM−ジオン5(4.60g、収率78%)を得た。LCMS (M+H)=545;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.59−7.41(m,2H)、7.40−7.21(m,9H)、5.43(d,J=9.9Hz,1H)、5.21(s,2H)、5.14(d,J=15.2Hz,1H)、4.50(d,J=9.7Hz,1H)、4.41(d,J=15.2Hz,1H)、4.33−4.16(m,1H)、4.13(d,J=7.3Hz,1H)、3.92(s,3H)、3.82−3.46(m,3H)、3.06−2.84(m,1H)、1.26(t,J=7.2Hz,1H)、0.97(ddd,J=9.9、6.8、2.6Hz,2H)、0.10−0.01(m,9H)
SEM−ジオン5(4.68g、8.59ミリモル)およびPd/C(10%、0.457g)のEtOH(10mL)中懸濁液をH2バルーン下にて室温で3時間攪拌した。反応物をセライト(登録商標)パッドを通して濾過し、EtOHで洗浄し、真空下で濃縮した。粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(120g カラム、EtOAc/DCMの15分間における0%から100%までの勾配)を用いて精製し、化合物6(3.23g、収率83%)を得た。LCMS (M+H)=455;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.40−7.21(m,5H)、5.97(s,1H)、5.46(d,J=9.7Hz,1H)、5.18(d,J=15.4Hz,1H)、4.72(d,J=9.7Hz,1H)、4.58−4.24(m,2H)、3.95(s,3H)、3.83−3.44(m,3H)、3.14−2.88(m,1H)、0.99(t,J=8.0Hz,2H)、0.14(s,9H)
実施例2−中間化合物13
この実施例および図2は、本発明の二量体の調製に用いられる、中間化合物13の合成に関する。
酸クロリド1をTHF(30mL)に溶かし、カルボキシラート7(Borzilleriら、WO2014/047024A1(2014)、1.6g、6.39ミリモル)およびNEt3(2.67mL、19.2ミリモル)のTHF(20mL)中溶液に0℃にて滴下して加えた。反応溶液を室温までのゆっくりとした加温に供し、30分間攪拌した。反応物を水でクエンチさせ、濃縮してTHFを除去した。得られた混合物をEtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、NaHCO3飽和水溶液で、ついでブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(80g カラム、EtOAc/ヘキサンの15分間における0%から100%までの勾配)を用いて精製し、エチルエステル8(2.66g、収率78%)を得た。LCMS (M+H)=536.4
エチルエステル8(1.75g、3.55ミリモル)、亜鉛(1.394g、21.32ミリモル)およびNH4Cl(2.281g、42.6ミリモル)のMeOH(10mL)中懸濁液を50℃で一夜加熱した。反応混合物をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、多量のDCM中20%MeOHで洗浄した。濾液を濃縮し、アミノ−ジオン9を白色の固体(1.25g、2.90ミリモル、収率82%)として得た。LCMS (M+H)=430.3;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 10.26(brs.,1H)、7.53−7.31(m,6H)、7.24(s,1H)、6.92(d,J=7.9Hz,1H)、6.78(s,1H)、6.50−6.41(m,2H)、5.07(d,J=4.6Hz,2H)、5.00−4.88(m,2H)、4.84(d,J=15.0Hz,1H)、4.09(d,J=15.0Hz,1H)、4.01(t,J=6.9Hz,1H)、3.75(s,3H)、3.12(dd,J=15.3、7.6Hz,1H)、2.78(dd,J=15.2、6.2Hz,1H)
アミノ−ジオン9(1.6g、3.73ミリモル)および塩化トリチル(1.246g、4.47ミリモル)のDCM(10mL)中溶液に、NEt3(0.779mL、5.59ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で3時間攪拌し、濃縮した。粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(80g カラム、0−50%EtOAc/ヘキサン)を用いて精製し、トリチル−ジオン10を白色の固体(2.2g、3.27ミリモル、収率88%)として得た。1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 8.01(s,1H)、7.50−7.12(m,22H)、6.77(d,J=8.4Hz,1H)、6.47−6.34(m,2H)、6.16(dd,J=8.1、2.4Hz,1H)、5.02(brs.,1H)、4.91(d,J=15.2Hz,1H)、4.18−4.09(m,2H)、4.05(t,J=6.9Hz,1H)、3.92(s,3H)、3.28(dd,J=15.4、7.7Hz,1H)、2.75(dd,J=15.4、6.4Hz,1H)
トリチル−ジオン10(2.2g、3.27ミリモル)の0℃でのDMF(15mL)中溶液に、NaH(鉱油中60%分散液、0.236g、3.93ミリモル)を添加した。該混合物を30分間攪拌し、ついでSEM−Cl(0.697mL、3.93ミリモル)を添加した。反応混合物を0℃で2時間攪拌し、ついでそれをブラインでクエンチさせた。反応混合物をEtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(40g カラム、0−50%EtOAc/ヘキサン)を用いて精製し、SEM−ジオン11(2.1g、2.62ミリモル、収率80%)を得た。LCMS (M−トリチル)=560.4;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.48−7.42(m,2H)、7.41−7.32(m,9H)、7.31−7.18(m,11H)、6.77(d,J=8.1Hz,1H)、6.38(d,J=2.2Hz,1H)、6.19(dd,J=8.3、2.3Hz,1H)、5.45(d,J=9.7Hz,1H)、5.21(s,2H)、5.08−4.92(m,2H)、4.49(d,J=9.7Hz,1H)、4.13−4.08(m,1H)、4.02(d,J=15.2Hz,1H)、3.93(s,3H)、3.71(td,J=9.6、7.0Hz,1H)、3.61(td,J=9.6、7.2Hz,1H)、3.36(dd,J=15.5、8.3Hz,1H)、2.72(dd,J=15.5、6.5Hz,1H)、1.05−0.92(m,2H)、0.06(s,9H)
SEM−ジオン11(950mg、1.18ミリモル)およびPd/C(10%、200mg)のEtOAc(20mL)中懸濁液をH2バルーン下にて2日間攪拌した。反応混合物をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、EtOAcで、ついでMeOHで洗浄した。濾液を合わせ、濃縮してISCOシリカゲルクロマトグラフィー(40g カラム、0−100%のEtOAc/ヘキサン)を用いて精製し、化合物12(510mg、1.08ミリモル、収率90%)を得た。LCMS (M+H)=470.2;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.33(s,1H)、7.27(s,1H)、7.09(d,J=8.6Hz,1H)、6.67−6.54(m,2H)、6.02(s,1H)、5.47(d,J=9.7Hz,1H)、5.11(d,J=15.2Hz,1H)、4.71(d,J=9.7Hz,1H)、4.29(d,J=15.2Hz,1H)、4.22(dd,J=7.7、6.5Hz,1H)、3.94(s,3H)、3.79−3.60(m,4H)、3.47(dd,J=15.4、7.7Hz,1H)、2.90(dd,J=15.5、6.4Hz,1H)、1.09−0.94(m,2H)、0.05(s,9H)
化合物12(500mg、1.065ミリモル)の0℃でのTHF(3mL)中溶液に、NEt3(0.742mL、5.32ミリモル)を添加した。クロロギ酸アリル12a(513mg、4.26ミリモル)を滴下して加えた。得られた溶液を0℃で2時間攪拌した。反応物をMeOH(5mL)で希釈し、LiOH水溶液(2mL、2N)を添加した。得られた混合物を室温で16時間攪拌した。反応物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(24g カラム、0−10% MeOH/DCM)に付して精製し、化合物13を白色の固体(440mg、0.795ミリモル、収率74.6%)として得た。LCMS (M+H)=554.2;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.38−7.30(m,3H)、7.27−7.21(m,2H)、6.96(s,1H)、6.28(s,1H)、6.02−5.89(m,1H)、5.44(d,J=9.8Hz,1H)、5.35(dq,J=17.2、1.5Hz,1H)、5.26(dq,J=10.4、1.3Hz,1H)、5.10(d,J=15.4Hz,1H)、4.70(d,J=9.8Hz,1H)、4.66(d,J=5.1Hz,2H)、4.40(d,J=15.4Hz,1H)、4.31−4.23(m,1H)、3.91(s,3H)、3.79−3.58(m,2H)、3.51(dd,J=15.6、7.3Hz,1H)、2.96(dd,J=15.5、6.4Hz,1H)、1.07−0.95(m,2H)、0.03(s,9H)
実施例3−中間化合物19
この実施例および図3は、本発明の二量体を合成するための中間体として用いられる、化合物19の合成に関する。
酸クロリド1をTHF(30mL)に溶かし、カルボキシラート14(Buchstallerら、US2007/0191423A1(2007)、1.6g、5.21ミリモル)およびNEt3(2.9mL、20.8ミリモル)の0℃でのTHF(20mL)中溶液に滴下して加えた。反応溶液を0℃で2時間攪拌し、ついでそれを水でクエンチさせた。得られた混合物をEtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、ついでNa2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。次に、得られた混合物をMeOH(50mL)に溶かした。炭酸カリウム(1g)を加えた。得られた懸濁液を室温で1時間攪拌し、ついでそれをセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(220g カラム、EtOAc/ヘキサンの15分間における0%から50%までの勾配)を用いて精製し、エステル15(1.75g、収率68%)を得た。LCMS (M+H)=493.1
エステル15(1.75g、3.55ミリモル)、亜鉛(1.394g、21.32ミリモル)およびNH4Cl(2.281g、42.6ミリモル)のMeOH(10mL)中懸濁液を50℃で一夜加熱した。次に反応混合物をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、20%MeOH/DCMで洗浄した。濾液を濃縮し、化合物16(1.25g、2.90ミリモル、収率82%)を得た。LCMS (M+H)=431.3;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 10.25(brs.,1H)、9.26(s,1H)、7.53−7.32(m,5H)、7.24(s,1H)、7.07(d,J=8.1Hz,1H)、6.79(s,1H)、6.71−6.60(m,2H)、5.08(d,J=4.0Hz,2H)、4.83(d,J=15.2Hz,1H)、4.22(d,J=15.4Hz,1H)、4.08(t,J=6.7Hz,1H)、3.76(s,3H)、3.16(dd,J=15.4、6.8Hz,1H)、2.85(dd,J=15.1、6.3Hz,1H)
化合物16(1.25g、2.90ミリモル)のDCM(40mL)中溶液に、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS、0.073g、0.290ミリモル)およびテトラヒドロピラン(THP、2.84mL、29.0ミリモル)を添加した。反応物を室温で一夜攪拌し、次にNaHCO3飽和水溶液でクエンチさせた。得られた混合物をDCMで抽出した(3x)。有機層を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(40g カラム;0−100%のEtOAc/ヘキサン)を用いて精製し、化合物17を白色の固体(1.15g、2.235ミリモル、収率77%)として得た。LCMS (M+H)=515.3
化合物17(1.2g、2.332ミリモル)の冷却したDMF(10mL)中溶液に、NaH(鉱油中60%分散液、0.168g、2.80ミリモル)を添加した。混合物を0℃で15分間攪拌し、次に室温への加温に供し、10分間攪拌し、ついで冷却して0℃に戻した。次にSEM−Cl(0.496mL、2.80ミリモル)を添加した。反応物を0℃で30分間攪拌し、ついで室温まで加温させ、1時間攪拌した。次に反応物をブラインでクエンチさせた。得られた混合物をEtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(40g カラム、0−50%EtOAc/ヘキサン)に付して精製し、化合物18(875mg、1.357ミリモル、58.2%)を得た。LCMS (M+H)=645.5;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.48−7.41(m,2H)、7.39−7.28(m,4H)、7.24(s,1H)、7.19(d,J=8.1Hz,1H)、7.02−6.92(m,2H)、5.51−5.32(m,2H)、5.20(s,2H)、5.12(dd,J=15.3、3.2Hz,1H)、4.50(dd,J=9.8、1.7Hz,1H)、4.33(dd,J=15.3、5.2Hz,1H)、4.22(ddd,J=7.4、6.5、4.3Hz,1H)、3.91(s,4H)、3.76−3.56(m,3H)、3.47(dd,J=15.4、7.7Hz,1H)、2.92(dd,J=15.4、6.4Hz,1H)、2.03−1.92(m,1H)、1.88−1.81(m,2H)、1.74−1.57(m,3H)、0.97(ddd,J=9.7、6.8、2.6Hz,2H)、0.09−0.01(m,9H)
化合物18(875mg、1.357ミリモル)およびPd/C(10%、87mg)のEtOAc(10mL)中懸濁液をH2のバルーン下にて2時間攪拌した。次に反応混合物をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(40g カラム、0−100%のEtOAc/ヘキサン)を用いて精製し、化合物19を白色の固体(485mg、0.874ミリモル、収率64.4%)として得た。LCMS (M+H)=555.1;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.33(d,J=0.7Hz,1H)、7.27(s,1H)、7.22(d,J=8.1Hz,1H)、7.04−6.95(m,2H)、6.01(s,1H)、5.46(d,J=9.7Hz,1H)、5.44−5.34(m,1H)、5.16(dd,J=15.3、2.6Hz,1H)、4.71(dd,J=9.7、1.8Hz,1H)、4.35(dd,J=15.3、4.5Hz,1H)、4.25(ddd,J=7.7、6.4、4.0Hz,1H)、4.01−3.87(m,4H)、3.80−3.59(m,3H)、3.52(dd,J=15.5、7.8Hz,1H)、2.95(dd,J=15.5、6.4Hz,1H)、2.05−1.96(m,1H)、1.92−1.82(m,2H)、1.77−1.62(m,3H)、1.06−0.97(m,2H)、0.05(s,9H)
実施例4− 対称的THIQ−THIQ二量体
図4は対称的THIQ−THIQ二量体を製造するための一般的スキームを示す。2つの単量体(1/2)を結び付ける架橋は化合物20aより由来する。
X5基は、I、Br、Cl、メシラートおよびトシラートなどの脱離基である。RX基は架橋における構造的可変性をもたせる。当業者であれば、ある場合には、RXにおける官能基が保護される必要のあること、そして必要に応じて合成を行う間に脱保護されてもよいことは明らかであろう。典型例としてのRX基は、
を包含する。
図4のスキームは一般的適用性があり、THIQ環系の芳香族環は簡潔にするために非置換なものとして記載されている。当業者であれば、該環が上記されるように置換基を担持しうることを理解するであろう。
図4の構想に従って、化合物(IIa−02)は次のように合成された。
化合物6(50mg、0.11ミリモル)、1,5−ジヨードペンタン(17.8mg、0.055ミリモル)およびK2CO3(15.2mg、0.11ミリモル)のDMF(1mL)中懸濁液を室温で14時間攪拌した。次に反応混合物をH2Oで希釈し、EtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(12g カラム、MeOH/DCMの15分間における0%から10%までの勾配)を用いて精製し、化合物21(ここでR9は、各々、Hである)(22mg、収率21%)を得た。LCMS (M+H)=977.8
上記した反応の生成物(22mg、0.023ミリモル)のTHF/EtOH(1:1、1mL)中溶液に、LiBH4のTHF中溶液(2M、116μL、0.232ミリモル)を0℃で添加した。反応物をゆっくりと室温への加温に供し、15分間攪拌し、ついでそれをブラインでクエンチさせた。得られた混合物をクロロホルムで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。次に粗生成物をEtOH/クロロホルム(1:1、2mL)に溶かした。シリカゲル(700mg)を添加し、つづいて水(0.6mL)を添加した。得られた懸濁液を室温で24時間攪拌し、ついで濾過し、10%MeOH/クロロホルムで洗浄した。濾液を濃縮し、逆相HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:15分間にわたって20−70%Bとする;流速:20mL/分;検出:UV(220nm))を用いて精製し、二量体(IIa−02)(7.5mg、9.86マイクロモル、収率43.8%)を得た。LCMS M+H=685.2;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.55(s,2H)、7.49(d,J=5.3Hz,2H)、7.42−7.31(m,8H)、6.82(s,2H)、5.03(d,J=15.6Hz,2H)、4.58(d,J=15.4Hz,2H)、4.26−4.04(m,4H)、4.00−3.92(m,8H)、3.37−3.25(m,2H)、3.21−3.10(m,2H)、2.02−1.90(m,4H)、1.70(d,J=7.3Hz,2H)
図4の一般的スキームに従って、さらなる対称的THIQ−THIQ二量体を合成した:
(a)化合物6および1,3−ジブロモプロパンから由来の二量体(IIa−01):LCMS M+H=657.2;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.55(s,2H)、7.49(d,J=5.3Hz,2H)、7.42−7.30(m,8H)、6.87(s,2H)、5.03(d,J=15.6Hz,2H)、4.58(d,J=15.4Hz,2H)、4.31(tdd,J=9.6、6.1、3.6Hz,4H)、3.95(s,6H)、3.94(s,2H)、3.37−3.24(m,2H)、3.21−3.10(m,2H)、2.44(t,J=6.1Hz,2H)
(b)化合物6および1−ヨード−2−(2−ヨードエトキシ)エタンより由来の二量体(IIa−07):LCMS M+H=687.2;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.55(s,2H)、7.49(d,J=5.3Hz,2H)、7.40−7.31(m,8H)、6.86(s,2H)、5.02(d,J=15.4Hz,2H)、4.58(d,J=15.4Hz,2H)、4.36−4.18(m,4H)、4.07−4.00(m,4H)、3.97−3.92(m,8H)、3.35−3.24(m,2H)、3.22−3.12(m,2H)
(c)化合物13および1,5−ジヨードペンタンより由来の二量体(IIa−08):LCMS M+H=883.3;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.55(s,2H)、7.49(d,J=5.3Hz,2H)、7.44−7.33(m,6H)、6.81(s,2H)、6.69(s,2H)、6.00(dd,J=17.1、10.5Hz,2H)、5.40(dd,J=17.3、1.4Hz,2H)、5.30(dd,J=10.5、1.2Hz,2H)、5.01(d,J=15.6Hz,2H)、4.71(d,J=5.5Hz,4H)、4.53(d,J=15.6Hz,2H)、3.96(s,6H)、3.31−3.19(m,2H)、3.17−3.06(m,2H)、1.97(brs.,4H)、1.75−1.66(m,2H)
実施例5− 化合物(IIa−05)
この実施例および図4aは、化合物(IIa−05)((6aS,6a’S)−3,3’−(((5−アミノ−1,3−フェニレン)ビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(2−メトキシ−6a,7−ジヒドロベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2−b]イソキノリン−14(12H)−オン))の合成に関連し、図4の一般的合成スキームに従うが、図示されるように保護−脱保護のサイクルを必要とする。
5−ニトロ−m−キシレン−α,α−ジオール24a(Aldrich、1g、5.46ミリモル)およびPd/C(291mg、0.273ミリモル)のMeOH(50mL)中懸濁液を、H2のバルーン下、室温にて2時間攪拌した。反応物をセライト(登録商標)を通して濾過し、真空下で濃縮した。粗5−アミノ−1,3−フェニレン)ジメタノール24bをさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS (M+H)=154
ジメタノール24b(600mg、3.92ミリモル)、K2CO3(650mg、4.7ミリモル)の0℃でのTHF(10mL)中懸濁液に、クロロギ酸アリル12a(0.5mL、4.7ミリモル)を添加した。反応混合物を0℃で30分間攪拌し、ついで室温までの加温に供し、室温で3時間攪拌した。次に反応物を水でクエンチさせ、EtOAcで抽出した(2x)。有機層を乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(40g カラム、EtOAc/DCMの15分間における0%から100%までの勾配)を用いて精製し、カルバミン酸アリル24c(200mg、収率21.5%)を得た。LCMS (M+23)=261;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 7.31(s,2H)、6.91(s,1H)、5.99(ddt,J=17.2、10.6、5.4Hz,1H)、5.36(dq,J=17.2、1.6Hz,1H)、5.24(dq,J=10.6、1.4Hz,1H)、5.13(t,J=5.7Hz,2H)、4.60(dt,J=5.4、1.3Hz,2H)、4.44(d,J=5.5Hz,4H)
上記のカルバミン酸アリル(462.5mg、1.949ミリモル)およびトリエチルアミン(0.815mL、5.85ミリモル)のDCM(20mL)中懸濁液を−10℃に冷却し、塩化メタンスルホニル(Ms−Cl、0.395mL、5.07ミリモル)で処理した。有機層を氷冷水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮してジメタンスルホナート24d(750mg、収率95%)を得た。LCMS (M+H)=394;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.52(s,2H)、7.15(s,1H)、7.04(s,1H)、6.09−5.87(m,1H)、5.39(dd,J=17.2、1.5Hz,1H)、5.29(dd,J=10.3、1.3Hz,1H)、5.21(s,4H)、4.69(dt,J=5.7、1.2Hz,2H)、3.02(s,6H)
ジメタンスルホナート24d(135mg、0.343ミリモル)のジメチルスルホキシド(DMSO、16mL)中溶液を化合物6(312mg、0.686ミリモル)およびK2CO3(142mg、1.029ミリモル)で室温にて2時間処理した。反応物を水でクエンチさせ、EtOAcで抽出した(3x)。混合物を乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(40g カラム、EtOAc/ヘキサンの15分間における0%から100%までの勾配)に付して精製し、カルバマート24e(250mg、収率66%)を得た。LCMS (M+1)=1110;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.51(s,2H)、7.38−7.13(m,14H)、6.96−6.75(m,1H)、6.12−5.86(m,1H)、5.48(d,J=10.1Hz,2H)、5.43−5.32(m,1H)、5.32−5.23(m,1H)、5.23−4.99(m,6H)、4.74−4.53(m,4H)、4.41(d,J=15.2Hz,2H)、4.30(d,J=0.9Hz,2H)、3.96−3.83(m,6H)、3.81−3.46(m,6H)、2.98(s,2H)、1.14−0.85(m,4H)、0.13−0.08(m,18H)
カルバマート24e(200mg、0.180ミリモル)の0℃でのTHF(5mL)中溶液に、Pd(Ph3P)4(8.33mg、7.20マイクロモル)およびモルホリン(0.038mL、0.432ミリモル)を添加した。反応物を0℃で2時間攪拌した。反応混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液(5mL)でクエンチさせ、EtOAc(10mL)で抽出した。有機層をNaHCO3飽和水溶液で、ついでNaCl飽和水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過して濃縮した。粗生成物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(40g カラム、メタノール/DCMの15分間における0%から10%までの勾配)を用いて精製し、化合物24f(160mg、収率87%)を得た。LCMS (M+1)=1026;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.38−7.30(m,6H)、7.28(d,J=5.1Hz,7H)、6.92−6.85(m,1H)、6.76(d,J=1.1Hz,2H)、5.47(d,J=10.1Hz,2H)、5.18(d,J=15.2Hz,2H)、5.08(d,J=8.6Hz,4H)、4.65(d,J=10.1Hz,2H)、4.42(d,J=15.4Hz,2H)、4.30(d,J=0.9Hz,2H)、3.92(s,6H)、3.82−3.50(m,8H)、3.09−2.94(m,2H)、1.11−0.88(m,4H)、0.10−0.03(m,18H)
化合物24f(22mg、0.021ミリモル)の0℃でのTHF(233μL)およびEtOH(233μL)中溶液に、LiBH4(214μL、0.429ミリモル、THF中2M)を添加した。反応物をゆっくりと室温への加温に供し、室温で2時間攪拌した。反応物を水でクエンチさせ、クロロホルム(2x)で、ついでクロロホルム/MeOH(2x)で抽出した。有機抽出液を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をクロロホルム/EtOH/水(1:1:1、2mL)に溶かし、シリカゲル(0.7g)を添加し、反応物を室温で3日間攪拌した。反応混合物をセライト(登録商標)プラグを通して濾過し、クロロホルムで洗浄し、その溶液を濃縮した。残渣を逆相HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:20分間にわたって20−80%B;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製し、二量体(IIa−05)を得、明黄色固体(8.1mg、収率46.3%)として単離した。LCMS (M+1)=734;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d) d 7.57(s,1H)、7.47(d,J=5.3Hz,1H)、7.43−7.30(m,4H)、6.99−6.79(m,1H)、6.73(s,1H)、5.40−4.90(m,4H)、4.59(d,J=15.4Hz,1H)、4.17−3.85(m,4H)、3.39−3.05(m,2H)
実施例6−イミン二重結合の還元
この実施例は、一方または両方のイミン結合の還元した種々のTHIQ−THIQ二量体の調製を記載する。
この実施例の最初のセクションにおいて、調製された二量体は(IIa−03)および(IIa−04)であった。
二量体(IIa−01)(6mg、9.14マイクロモル)の0℃でのTHF(0.7mL)中溶液に、NaBH4(0.691mg、0.018ミリモル)を添加した。得られた混合物を40分間攪拌し、ついで水でクエンチさせた。混合物をクロロホルムで抽出した(3x)。有機層を合わせ、真空下で濃縮した。二量体(IIa−03)(LCMS (M+1):659.1)および(IIa−04)(LCMS (M+1):661.1)を逆相HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:20分間にわたって15−60%Bとし;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して分離した。
この実施例の次のセクションにて、(6aS,6a’S)−3,3’−(ペンタン−1,5−ジイルビス(オキシ))ビス(2−メトキシ−5,6,6a,7−テトラヒドロベンゾ[5,6][1,4]−ジアゼピノ[1,2−b]イソキノリン−14(12H)−オン)(IIa−06)を調製した:二量体(IIa−02)(28mg、0.041ミリモル)のTHF/MeOH(1:1、1mL)中溶液に、NaBH4(1.548mg、0.041ミリモル)を添加した。反応物を室温で2時間攪拌した。別のバッチのNaBH4(1.548mg、0.041ミリモル)を添加し、反応物を室温で一夜攪拌した。次に反応物を水でクエンチさせ、DCMで抽出した。有機層を合わせ、濃縮し、逆相HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:20分間にわたって20−80%Bとし;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製し、化合物(IIa−06)(4.2mg、5.49マイクロモル、収率13.41%;LCMS (M+1):689.2)を得た。
実施例7− 非対称性THIQ−THIQ二量体
この実施例は非対称性THIQ−THIQ二量体の合成に関する。図5はその合成のための一般的スキームを示す。図中のREおよびRE’基は上記されるように種々の置換基とすることができる。
この実施例の第1セクションは、次の反応スキームを通して、二量体 (S)−10−ヒドロキシ−2−メトキシ−3−((5−(((S)−2−メトキシ−14−オキソ−6a,7,12,14−テトラヒドロベンゾ[5,6][1,4]−ジアゼピノ[1,2−b]イソキノリン−3−イル)オキシ)ペンチル)オキシ)−6a,7−ジヒドロベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2−b]イソキノリン−14(12H)−オン(IIa−15)を合成することに関する:
化合物6(250mg、0.550ミリモル)およびK2CO3(304mg、2.200ミリモル)のDMSO(5mL)中懸濁液に、1,5−ジヨードペンタン(891mg、2.75ミリモル)を添加した。反応物を室温で2時間攪拌し、ついでそれをEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(12g カラム、MeOH/DCMの0−10%の勾配)に付して精製し、化合物6a(275mg、0.423ミリモル、収率77%)を黄色の油状物として得た。LCMS:(M+H)=651.2;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.33−7.24(m,5H)、7.21(s,1H)、5.50(d,J=9.9Hz,1H)、5.15(d,J=15.4Hz,1H)、4.66(d,J=9.9Hz,1H)、4.41(d,J=15.4Hz,1H)、4.33−4.25(m,1H)、4.05(d,J=8.6Hz,2H)、3.89(s,3H)、3.80(td,J=9.6、6.9Hz,1H)、3.72−3.62(m,1H)、3.56(dd,J=15.5、7.4Hz,1H)、3.22(t,J=6.9Hz,2H)、3.00(dd,J=15.6、6.4Hz,1H)、1.98−1.80(m,4H)、1.67−1.54(m,2H)、0.98(ddd,J=9.8、6.7、2.9Hz,2H)、0.04(s,9H)
化合物6a(135mg、0.208ミリモル)および化合物19(110mg、0.198ミリモル)のDMSO(3mL)中溶液に、K2CO3(82mg、0.595ミリモル)を添加した。得られた懸濁液を室温で5時間攪拌した。次に反応物をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をMeOH(10mL)に溶かした。PPTS(約15mg)を添加し、反応物を40℃で1時間攪拌した。次に反応物を濃縮し、ISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−100%EtOAc/ヘキサン、24g カラム)に付して精製し、化合物6b(141mg、0.142ミリモル、収率71.6%)を得た。LCMS (M+H)=993.7;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.36−7.29(m,4H)、7.27−7.24(m,1H)、7.23−7.10(m,4H)、6.94(d,J=2.2Hz,1H)、6.79(dd,J=8.1、2.4Hz,1H)、5.51(t,J=9.6Hz,2H)、5.18(dd,J=19.4、15.2Hz,2H)、4.69(dd,J=9.9、7.5Hz,2H)、4.42(d,J=15.4Hz,1H)、4.37−4.26(m,2H)、4.22(dd,J=7.7、6.6Hz,1H)、4.09−4.00(m,3H)、3.88(d,J=2.6Hz,6H)、3.80(dd,J=7.0、4.6Hz,2H)、3.68(dd,J=6.8、5.1Hz,2H)、3.60−3.43(m,2H)、3.10−2.82(m,2H)、2.00−1.87(m,4H)、1.69(brs.,2H)、0.98(td,J=6.6、3.3Hz,4H)、0.10−0.02(m,18H)
化合物6b(18mg、0.018ミリモル)の−78℃でのTHF(0.6mL)中溶液に、水素化トリエチルホウ素リチウム溶液(THF中1M、362μL、0.362ミリモル)を添加した。反応物を−78℃で1時間攪拌し、ついでそれを水(1mL)でクエンチさせた。次に反応物をクロロホルムで抽出した(3x)。有機層を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をクロロホルム/EtOH(1:1、2mL)に溶かした。シリカゲル(0.8g)を、つづいて水(0.6mL)を添加した。得られた懸濁液を室温で1日攪拌し、次に濾過し、10%MeOH/クロロホルムで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、逆相HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%トリフルオロ酢酸;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:20分間にわたって20−80%Bとし;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製し、二量体(IIa−15)(4.8mg、6.16マイクロモル、収率34.0%)を得た。LCMS (M+H)=701.2
二量体 (S)−2,10−ジメトキシ−3−((5−(((S)−2−メトキシ−14−オキソ−6a,7,12,14−テトラヒドロベンゾ[5,6][1,4]−ジアゼピノ[1,2−b]イソキノリン−3−イル)オキシ)ペンチル)オキシ)−6a,7−ジヒドロベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピン[1,2−b]イソキノリン−14(12H)−オン(IIa−12)の化合物6bからの合成は、以下のように実施された。化合物6bをK2CO3を用いてヨードメタンでアルキル化し、対応するメトキシ生成物を得た。LCMS (M+H)=1007.6。一般に、上記の操作に従ってLiEt3BHを用いて還元し、二量体(IIa−12)を得た。LCMS (M+H)=715.3;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.55(d,J=1.6Hz,2H)、7.50(d,J=5.3Hz,2H)、7.41−7.30(m,5H)、6.94−6.86(m,2H)、6.81(m,1H)、5.01(t,J=14.9Hz,2H)、4.67−4.47(m,2H)、4.24−4.01(m,5H)、3.96(s,6H)、3.86(s,3H)、3.34−3.02(m,4H)、2.02−1.88(m,4H)
上記の操作に従って、必要に応じて変更を加え、さらなる非対称的THIQ−THIQ二量体を合成した:
(a)(IIa−13):LCMS (M+H)=758.3;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.55(d,J=2.2Hz,2H)、7.49(dd,J=5.3、3.4Hz,2H)、7.42−7.33(m,5H)、6.95−6.89(m,2H)、6.86−6.77(m,2H)、6.54(brs.,1H)、5.57(brs.,1H)、5.02(dd,J=15.5、10.9Hz,2H)、4.62−4.56(m、2H)、4.20−4.02(m,6H)、3.96(s,3H)、3.96(s,3H)、3.90−3.84(m,3H)、3.31−3.05(m,5H)、1.96(m,4H)
(b)(IIa−14):LCMS (M+H)=803.3
(c)(IIa−17):LCMS (M+H)=745.2
実施例8− 非対称性架橋での二量体
この実施例および図6は、2つの二量体の半分の単位を連結する架橋が左右相称に対称的でない、二量体を製造する合成方法を説明する。具体的な説明は二量体(IIa−09)に関するものである。
ベンジル (2−ヒドロキシエチル)カルバマート29(Aldrich、0.781g、4ミリモル)およびNEt3(1.115mL、8.00ミリモル)の溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(TsCl、0.915g、4.80ミリモル)を加えた。反応物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、ISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−100%EtOAc/HEx、40g カラム)に付して精製し、トルエンスルホナート30(0.85g、2.43ミリモル、収率60.8%)を得た。LCMS (M+H)=350
化合物6(160mg、0.352ミリモル)およびトルエンスルホナート30(135mg、0.387ミリモル)のDMF(3mL)中溶液に、K2CO3(97mg、0.704ミリモル)を添加した。得られた懸濁液を室温で2時間攪拌した。反応物をEtOAcで希釈し、水性LiClおよびブラインで連続して洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗材料をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%MeOH/DCM、24g カラム)に付して精製し、化合物31を得た。LCMS (M+H)=632.3
化合物31および10%Pd/C(25mg)のMeOH(8mL)中懸濁液をH2バルーン下にて5時間攪拌した。次に反応物にN2をパージし、セライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、濃縮して化合物32(150mg、0.301ミリモル、収率86%)を得た。LCMS (M+H)=498;1H NMR(500MHz、クロロホルム−d)δ 7.65(d,J=8.2Hz,1H)、7.38−7.23(m,4H)、7.21(s,1H)、7.07(d,J=7.9Hz,1H)、6.90−6.64(m,3H)、5.41(d,J=10.2Hz,1H)、5.14(d,J=15.3Hz,1H)、4.76(d,J=10.1Hz,1H)、4.44−4.33(m,2H)、4.32−4.17(m,3H)、3.80(s,3H)、3.72−3.50(m,4H)、3.39−3.30(m,2H)、3.05−2.93(m,1H)、0.98−0.87(m,2H)、0.00(s,9H)
化合物32(65mg、0.131ミリモル)の0℃でのDCM(2mL)中溶液に、NEt3(0.055mL、0.39ミリモル)および2−クロロアセチルクロリド32a(22.13mg、0.196ミリモル)を添加した。該溶液を1時間攪拌し、次にDCMで希釈した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を化合物6(59.4mg、0.131ミリモル)およびK2CO3(4.2mg、0.392ミリモル)と合わせ、DMSO(1mL)に懸濁させた。得られた混合物を50℃で4時間加熱した。室温に冷却した後、反応物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗材料をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%MeOH/DCM、24g カラム)に付して精製し、アセトアミド33(95mg、0.096ミリモル、収率73.3%)を得た。LCMS (M+H)=992.5
アセトアミド33(40mg、0.040ミリモル)の−78℃でのTHF(0.6mL)中溶液に、LiEt3BH(0.4mL、THF中1M)を添加した。次に反応物を−78℃で1時間攪拌し、ついでそれを水(1mL)でクエンチさせた。次に反応混合物をクロロホルムで抽出した(3x)。有機層を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をクロロホルム/EtOH(1:1、2mL)に溶かした。シリカゲル(0.8g)を、つづいて水(0.6mL)を添加した。得られた懸濁液を室温で1日攪拌し、次に濾過し、10%MeOH/クロロホルムで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、逆相HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:15分間にわたって15−70%Bとし;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製し、二量体(IIa−09)(11mg、0.014ミリモル、収率35.1%)を得た。LCMS (M+H)=700.2;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.57(d,J=9.5Hz,2H)、7.48(dd,J=5.3、0.9Hz,2H)、7.40−7.31(m,9H)、6.83(d,J=4.0Hz,2H)、5.01(d,J=15.6Hz,2H)、4.64−4.51(m,4H)、4.20(td,J=9.4、5.0Hz,2H)、3.96(s,3H)、3.95(s,3H)、3.91−3.82(m,4H)、3.34−3.23(m,2H)、3.20−3.11(m,2H)
実施例9− THIQ−PBD二量体
図5の一般的スキームを用い、2個のTHIQ単量体の単位の一つがPBD単量体の単位と置き換えられている、THIQ−PBD二量体を調製することができる。THIQ単量体の単位をまずアルキル化し、次にPBD単量体の単位と結合させることができ、あるいはその逆である。
この実施例ならびに図7aおよび7bは、具体的には二量体(IIb−01) および(IIb−02)を参照して、THIQ−PBD二量体の合成を説明する。
二量体(IIb−01)の調製をまず記載する。その合成スキームが図7aに概要されており、まずTHIQがアルキル化される方法を例示として説明する。
化合物6a(上記実施例7、50mg、0.077ミリモル)、K2CO3(31.9mg、0.231ミリモル)およびジオン35(CAS Reg. No.132391−70−9、Howardら、2014c、40.3mg、0.154ミリモル)のDMF(1.5mL)中懸濁液を50℃で2時間加熱した。反応物を室温に冷却し、水でクエンチさせた。得られた混合物をEtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗材料をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(24g カラム、0−10%MeOH/DCM)に付して精製し、化合物36を得た。LCMS (M+H)=785.4
化合物36をDMF(0.5mL)に溶かした。その溶液を0℃に冷却し、ついでNaH(鉱油中60%分散液、3.07mg、0.077ミリモル)およびSEM−Cl(0.014mL、0.077ミリモル)を連続して添加した。反応物を室温への加温に供し、2時間攪拌した。次に反応物を水でクエンチさせ、EtOAcで抽出し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗化合物37(14mg、0.015ミリモル、収率20%)をさらに精製することなく次工程に用いた。LCMS (M+H)=915.7
粗化合物37(14mg、0.015ミリモル)の0℃でのTHF/EtOH(1:1、1mL)中溶液に、LiBH4(101μl、0.202ミリモル、THF中2M)の溶液を添加した。反応物をゆっくりと室温への加温に供し、15分間攪拌し、ついでそれをブラインでクエンチさせた。得られた混合物をCHCl3で抽出した(3x)。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。次に残渣をEtOH/クロロホルム(1:1、2mL)に溶かした。シリカゲル(700mg)を、つづいて水(0.6mL)を添加した。得られた懸濁液を室温で1日攪拌し、ついで濾過し、10%MeOH/CHCl3で洗浄した。濾液を濃縮し、逆相HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 CH3CN:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:20分間にわたって15−60%Bとし;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製し、(IIb−01)(0.92mg、1.330マイクロモル、収率8.69%)を得た。LCMS (M+H)=623;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.69(d,J=4.4Hz,1H)、7.57−7.53(m,2H)、7.50(d,J=5.1Hz,1H)、7.41−7.32(m,4H)、6.82(d,J=1.5Hz,2H)、5.03(d,J=15.6Hz,1H)、4.59(d,J=15.6Hz,1H)、4.18−4.06(m,4H)、3.97(s,3H)、3.96(s,3H)、3.75(d,J=7.3Hz,4H)、3.61(dt,J=11.8、7.8Hz,1H)、3.34−3.26(m,1H)、3.22−3.15(m,1H)、2.34(brs.,2H)、2.11−2.06(m,1H)、2.01−1.94(m,4H)、1.71−1.66(m,2H)
次に二量体(IIb−02)の合成を検討するが、その合成スキームを図7bに要約する。この場合、まずPBD単量体の単位をアルキル化し、次にそれをTHIQ単量体の単位とカップリングさせる。
化合物9(220mg、0.512ミリモル)のMeOH(3mL)およびTHF(3mL)中溶液に、ホルムアルデヒド(37%水溶液、0.572mL、7.68ミリモル)および2、3滴の酢酸を添加した。その溶液を室温で10分間攪拌し、ついでNa(CN)BH3(129mg、2.049ミリモル)を加えた。次に反応物を室温で2時間攪拌し、ついでそれを真空下で濃縮した。粗材料をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%MeOH/DCM、24g カラム)に付して精製し、化合物38a(230mg、0.503ミリモル、収率98%)を得た。LCMS (M+H)=458
化合物38a(230mg、0.503ミリモル)の0℃でのDMF(5mL)中溶液に、NaH(鉱油中60%分散液、25.1mg、0.628ミリモル)を添加した。該混合物を15分間攪拌し、ついでSEM−Cl(0.111mL、0.628ミリモル)を添加した。反応物をゆっくりと室温への加温に供し、一夜攪拌した。次に反応物を水でクエンチさせ、EtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗材料をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%MeOH/DCM)に付して精製し、化合物38bを得た。LCMS (M+H)=588.2
化合物38bを10%Pd/C(20mg)と合わせ、EtOH/EtOAc(1:1、10mL)に懸濁させた。その混合物にN2をパージし、次にH2のバルーン下で4時間攪拌した。次に反応物をセライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、真空下で濃縮した。粗材料をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%MeOH/DCM、40g カラム)に付して精製し、化合物38c(190mg、0.382ミリモル、収率76%)を得た。LCMS (M+H)=498.2;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.45(s,1H)、7.21(s,1H)、7.18−7.10(m,1H)、6.69(m.、2H)、5.51(d,J=9.9Hz,1H)、5.12(d,J=15.2Hz,1H)、4.65(d,J=10.1Hz,1H)、4.33(d,J=15.2Hz,1H)、4.24(d,J=0.4Hz,1H)、3.91(s,3H)、3.79(s,1H)、3.72−3.63(m,1H)、3.52−3.40(m,1H)、2.93(s,6H)、1.05−0.89(m,2H)、0.03(s,9H)
化合物38dは、上記の操作に略従って、調製された。LCMS (M+H)=393.4;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.38(s,1H)、7.27(s,1H)、6.34(s,1H)、5.46(d,J=9.8Hz,1H)、4.70(d,J=9.8Hz,1H)、4.19−4.06(m,1H)、3.96(s,3H)、3.80−3.60(m,3H)、3.60−3.53(m,1H)、3.50(d,J=2.9Hz,2H)、2.78−2.68(m,1H)、2.19−1.95(m,3H)、1.05−0.96(m,2H)、0.08−0.02(m,9H)
化合物38d(1.2g、3.06ミリモル)のDMF(10mL)中懸濁液に、K2CO3(1.268g、9.17ミリモル)および1,5−ジヨードペンタン(5.94g、18.34ミリモル)を添加した。反応物を室温で2時間攪拌し、ついでそれを水でクエンチさせた。得られた混合物をEtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗材料をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(24g カラム、0−10%MeOH/DCM)に付して精製し、化合物38e(1.52g、2.58ミリモル、収率84%)を得た。LCMS (M+H)=589.1
化合物38e(22.12mg、0.038ミリモル)および化合物38c(17mg、0.034ミリモル)のDMSO(1mL)中溶液に、K2CO3(9.44mg、0.068ミリモル)を添加した。得られた混合物を室温で14時間攪拌した。次に反応物をEtOAcで希釈し、水およびブラインで連続して洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%MeOH/DCM、24g カラム)に付して精製し、化合物38f(27mg、0.028ミリモル、収率82%)を得た。LCMS (M+H)=958.3
化合物38fは、上記の操作に略従って還元することにより、二量体(IIb−02)に変換された。LCMS (M+H)=666.2;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.68(d,J=4.4Hz,1H)、7.54(d,J=1.8Hz,2H)、7.52(d,J=5.3Hz,1H)、7.23(d,J=8.8Hz,1H)、6.82(d,J=1.8Hz,2H)、6.73−6.65(m,2H)、4.97(d,J=15.4Hz,1H)、4.53(d,J=15.4Hz,1H)、4.29−4.03(m,4H)、3.96(s,3H)、3.92(s,3H)、3.84(ddd,J=11.7、7.1、4.5Hz,1H)、3.78−3.72(m,1H)、3.66−3.56(m,1H)、3.28−3.17(m,1H)、3.06(dd,J=15.4、4.2Hz,1H)、3.01−2.95(m,6H)、2.34(td,J=6.7、3.0Hz,2H)、2.16−1.90(m,6H)、1.78−1.62(m,3H)
実施例10− THIQ−THIQ二量体(IIa−10)および(IIa−11)
この実施例および図8は二量体(IIa−10)および(IIa−11)の調製に関する。
化合物6a(100mg、0.154ミリモル)および化合物13(68mg、0.123ミリモル)のDMSO(3mL)中溶液に、K2CO3(50.9mg、0.368ミリモル)を添加した。得られた懸濁液を室温で5時間攪拌した。次に反応物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗材料をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%MeOH/DCM、12g カラム)に付して精製し、カルバマート39(124mg、0.115ミリモル、収率94%)を得た。LCMS (M+H)=1076.3;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.30(d,J=0.9Hz,6H)、7.27−7.18(m,5H)、6.89(s,1H)、6.01−5.88(m,1H)、5.49(dd,J=9.9、4.0Hz,2H)、5.34(dd,J=17.3、1.4Hz,1H)、5.25(dd,J=10.3、1.1Hz,1H)、5.18−5.04(m,2H)、4.71−4.62(m,4H)、4.40(d,J=15.4Hz,2H)、4.32−4.22(m,2H)、4.09−3.97(m,4H)、3.90−3.84(m,6H)、3.82−3.73(m,2H)、3.71−3.44(m,5H)、3.08−2.90(m,2H)、1.99−1.90(m,4H)、1.04−0.91(m,4H)、0.02(s,9H)、0.02(s,9H)
カルバマート39(124mg、0.115ミリモル)の0℃でのDCM(6mL)中溶液に、モルホリン(0.080mL、0.922ミリモル)を添加した。反応物にN2をパージした後、Pd(Ph3P)4(13.31mg、0.012ミリモル)を加えた。反応物をゆっくりと室温への加温に供し、N2下で2時間攪拌した。次に反応物を濃縮し、ISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%MeOH/DCM)に付して精製し、対応するアニリン化合物(90mg、0.091ミリモル、収率79%)を得た。LCMS (M+H)=992.5
上記のアニリン化合物(89mg、0.090ミリモル)の−78℃でのTHF(3mL)中溶液に、LiEt3BH(THF中1M、0.448mL、0.448ミリモル)を添加した。反応物を−78℃で1時間攪拌した。次に反応物を水(1mL)でクエンチさせ、クロロホルムで抽出した(3x)。有機層を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。次に残渣をクロロホルム/EtOH(1:1、2mL)に溶かした。シリカゲル(0.7g)を、つづいて水(0.6mL)を添加した。得られた懸濁液を室温で1日攪拌し、次に濾過し、10%MeOH/クロロホルムで洗浄した。濾液を濃縮し、HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:20分間にわたって20−70%Bとし;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製し、二量体(IIa−10)(19mg、0.024ミリモル、収率27.2%)を得た。LCMS (M+H)=700.2;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.54(d,J=2.4Hz,2H)、7.50(t,J=4.7Hz,2H)、7.41−7.31(m,5H)、7.15(d,J=8.6Hz,1H)、6.81(d,J=1.8Hz,2H)、6.73−6.59(m,2H)、5.02(d,J=15.6Hz,1H)、4.92(d,J=15.4Hz,1H)、4.58(d,J=15.6Hz,1H)、4.47(d,J=15.4Hz,1H)、4.22−4.03(m,3H)、4.00−3.70(m,9H)、3.34−3.25(m,1H)、3.18(dt,J=15.4、4.2Hz,2H)、3.09−3.00(m,1H)、2.03−1.92(m,4H)、1.76−1.63(m,2H)
二量体(IIa−10)(4.5mg、6.43マイクロモル)、Fmoc−GLY−OH(Chem-Impex、3.82mg、0.013ミリモル)およびN,N,N′,N′−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU、4.89mg、0.013ミリモル)のDMF(0.5mL)中溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、3.37μL、0.019ミリモル)を添加した。反応物を室温で4時間攪拌し、ついでピペリジン(100μL)を加えた。得られた混合物を室温で1時間攪拌した。次に粗反応混合物をDMFで希釈し、濾過し、逆相HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:20分間にわたって20−70%Bとし;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製し、二量体(IIa−11)(0.94mg、1.180マイクロモル、収率18.35%)を得た。LCMS (M+H)=757.2
実施例11− THIQ−PBD二量体(IIb−03)
この実施例および図9は、THIQ−PBD二量体(IIb−03)の調製に関する。
化合物41は上記した実施例の操作に略従って調製された。LCMS (M+H)=409.1;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.32(s,1H)、7.25(s,1H)、6.30(s,1H)、5.45(d,J=9.7Hz,1H)、4.71(d,J=9.8Hz,1H)、4.65(brs.,1H)、4.30(dd,J=7.9、5.9Hz,1H)、4.00−3.84(m,4H)、3.79−3.57(m,3H)、2.97(dt,J=13.5、5.5Hz,1H)、2.86(brs.,1H)、2.21−2.08(m,1H)、1.00(t,J=8.4Hz,2H)、0.03(s,9H)
ジオン41(500mg、1.224ミリモル)のDMSO(3mL)中溶液に、1,3−ジブロモプロパン42(1730mg、8.57ミリモル)およびK2CO3(423mg、3.06ミリモル)を添加した。反応物を室温で3時間攪拌した。次に反応物を水およびEtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%MeOH/DCM、40g カラム)に付して精製し、ブロモプロポキシ PBD43(540mg、0.918ミリモル、75%)を白色の泡沫体として得た。LCMS (M+H)=531.2
上記の実施例の操作に略従って調製した、THIQ単量体19(100mg、0.180ミリモル)、およびブロモプロポキシ PBD43(117mg、0.198ミリモル)のDMSO(2mL)中溶液に、K2CO3(62.3mg、0.451ミリモル)を添加した。その混合物を室温で16時間攪拌した。次に反応物をEtOAcで希釈し、水およびブラインで連続して洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させて濃縮した。得られた混合物をMeOH(10mL)に溶かし、PPTS(20mg)を加えた。反応物を40℃で1時間攪拌した。反応物を濃縮し、EtOAcに溶かし、水性NaHCO3で、ついでブラインで洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−20%EtOAc/ヘキサン、24g カラム)に付して精製し、化合物45(150mg、0.163ミリモル、収率91%)を得た。LCMS:(M+H)=919.3
化合物45(150mg、0.163ミリモル)のDMSO(2mL)中溶液に、K2CO3(67.7mg、0.490ミリモル)およびヨードメタン(46.3mg、0.326ミリモル)を加えた。該混合物を室温で16時間攪拌した。次に反応物をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物46をさらに精製することなく次の工程に用いた。LCMS (M+H)=933.5
粗生成物46(150mg、0.161ミリモル)のDCM(804μL)およびDMSO(804μL)中の0℃溶液に、トリエチルアミン(112μl、0.804ミリモル)を、つづいて三酸化硫黄・ピリジン複合体(51.2mg、0.321ミリモル)を添加した。反応物を室温までの加温に供し、16時間攪拌した。次に反応物をDCM(30mL)で希釈し、NH4Cl飽和水溶液(10mL)、H2O(2x10mL)およびNaHCO3飽和水溶液(10mL)で連続して洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。その粗材料をISCOシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(24g カラム;0−100%のEtOAc−CH2Cl2の勾配)に付して精製し、ケトン47(112mg、0.084ミリモル、収率52.4%)を得た。LCMS (M+H)=930.5
ケトン47(112mg、0.120ミリモル)のDCM(2mL)中溶液に、2,6−ルチジン(0.028mL、0.241ミリモル)を添加した。次に該溶液を−78℃に冷却した。次にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.030mL、0.180ミリモル)を滴下して加えた。反応物をゆっくりと0℃までの加温に供し、2時間攪拌した。次に反応物をブラインでクエンチさせ、DCMで抽出した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−10%MeOH/DCM、24g カラム)に付して精製し、トリフラート48(81mg、0.076ミリモル、収率63.3%)を得た。LCMS (M+H)=1062
スクリュー型キャップのバイアルに、トリフラート48(81mg、0.076ミリモル)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン48a(20.03mg、0.091ミリモル)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(2.79mg、3.81マイクロモル)を添加した。該バイアルを空にし、N2で埋め戻した。THF(2mL)およびK3PO4水溶液(1M、0.38μl、0.38ミリモル)を添加した。その混合物をN2下の45℃で2時間攪拌した。反応物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。粗材料をISCOシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(12g カラム;EtOAc−ヘキサンの0−100%の線形勾配)に付して精製し、化合物49(53mg、0.053ミリモル、収率69.1%)を得た。LCMS (M+H)=1006.3;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.41(s,1H)、7.33(s,1H)、7.29−7.20(m,6H)、6.91−6.80(m,2H)、6.68(d,J=8.6Hz,2H)、5.51(dd,J=11.9、10.0Hz,2H)、5.13(d,J=15.4Hz,1H)、4.75(dd,J=16.8、10.0Hz,2H)、4.60(dd,J=10.6、3.4Hz,1H)、4.39(d,J=15.3Hz,1H)、4.33−4.21(m,5H)、3.93(s,3H)、3.89(s,3H)、3.82(s,3H)、3.80−3.74(m,3H)、3.69(tdd,J=9.5、7.2、5.0Hz,2H)、3.51(dd,J=15.5、7.5Hz,1H)、3.12(ddd,J=16.1、10.6、2.1Hz,1H)、3.03−2.87(m,1H)、2.44(t,J=5.9Hz,2H)、1.03−0.92(m,4H)、0.04(s,9H)、0.03(s,9H)
化合物49(7mg、6.96マイクロモル)の−78℃でのTHF(1mL)中溶液に、水素化トリエチルホウ素リチウム溶液(0.070mL、0.070ミリモル、THF中1M)を滴下して加えた。反応物を−78℃で1時間攪拌し、ついでそれをブラインでクエンチさせた。該混合物を10%MeOH/クロロホルムで抽出した(3x)。有機層を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をTHF/EtOH(1:1、2mL)に溶かした。ギ酸水溶液(0.05%、1mL)を添加した。次に反応物を室温で2時間攪拌した。該混合物を水性NaHCO3で中和し、クロロホルムで抽出した(3x)。有機層を合わせ、濃縮し、ISCOシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−6%MeOH/DCM、4g カラム)に付して精製し、二量体(IIb−03)(2.1mg、2.65マイクロモル、収率38.1%)を得た。LCMS (M+H)=714.0
実施例12− 二量体(IIa−16)および(IIa−18)
この実施例および図10および11は、二量体の2つの単位を結び付ける架橋にてアミン基を有する二量体であって、かかるアミン基がリンカーを結合するのに適切な官能基であるところの二量体の合成に関する(上記の(a)型の二量体−リンカー化合物を参照のこと)。
二量体(IIa−16)((6aS,6a’S)−3,3’−((アザンジイルビス(エタン−2,1−ジイル))ビス(オキシ))ビス(2−メトキシ−6a,7−ジヒドロベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2−b]イソキノリン−14(12H)−オン))を合成するためのスキームを図10に示す。
2,2’−アザンジイルジエタノール50(5g、47.6ミリモル、Fluka)およびK2CO3(6.57g、47.6ミリモル)の0℃でのアセトニトリル(50mL)中懸濁液に、クロロギ酸アリル12a(5.07mL、47.6ミリモル)を加え、室温で3時間攪拌した。LCMSは生成物の形成を示した。反応混合物を0℃に冷却し、水(200mL)でクエンチさせ、EtOAc(3x100mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaHCO3飽和水溶液(100mL)、水(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濃縮してカルバマート51(2.55g、13.48ミリモル、収率28.3%)を明黄色の油として得た。1H NMR(400MHz、CDCl3) δ5.94(m,1H)、5.32(dd,J=17.6、1.6Hz,1H)、5.24(dd,J=10.4、1.2Hz,1H)、4.62(d,J=6.8Hz,2H)、3.84(d,J=12.4Hz,2H)、3.52(s,2H)、2.86(s,2H);LCMS:[M+1]=190.1
カルバマート51(600mg、3.17ミリモル)およびNEt3(1.768mL、12.68ミリモル)の0℃でのDCM(5mL)中溶液に、TsCl(1814mg、9.51ミリモル)/DCM(5mL)を加え、室温で1時間攪拌した。LCMSは生成物の形成を示した。反応溶液を濃縮し、その粗生成物をコンビフラッシュ(COMBIFLASH)(登録商標)(80g シリカカラムを用い、25分間にわたって0−70%EtOAc/ヘキサンとする)に付して精製し、70%のフラクションから化合物52を粘性油(収率54%)として得た;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.78(m,4H)、7.38(m,4H)、5.82(m,1H)、5.22(m,2H)、4.48(m,2H)、4.13(m,4H)、3.52(m,4H)、2.47(s,6H);LCMS:[M+Na]=520.1
化合物52(39.8mg、0.080ミリモル)および化合物6(80mg、0.176ミリモル)およびK2CO3(33.2mg、0.240ミリモル)のDMSO(1.5mL)中溶液を50℃で19時間攪拌した。LCMSは生成物に相当する主要なピークを示した。反応混合物をAcOHを含有する水(0.027mL、0.480ミリモル、30mL)中に注いだ。飽和ブライン(10mL)を添加し、EtOAc(3x15mL)で抽出した。有機層を合わせ、濃縮し、ISCOコンビフラッシュ(登録商標)(24g カラムを用い、30分間にわたって0−100%EtOAc/ヘキサンとする)に付して精製した。70%EtOAc/ヘキサンのフラクションから化合物53(収率64%)を得た。LCMS (m+1)=1062.5
化合物53(54mg、0.051ミリモル)のTHF(4mL)中溶液に、モルホリン(0.022mL、0.254ミリモル)およびPd(Ph3P)4(2.94mg、2.54マイクロモル)を添加し、窒素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。LCMSは反応の完了を示した。反応混合物を濃縮し、ISCOコンビフラッシュ(登録商標)(24g カラムを用い、0−8%MeOH/DCMとする)に付して精製し、化合物54を白色の固体(収率64%)として得た。LCMS:(m+1)=978.5
化合物54(35mg、0.036ミリモル)のTHF(4mL)中溶液に、LiEt3BH(0.179mL、0.179ミリモル)を−76℃で添加した。該溶液を1時間攪拌した。LCMSは反応の完了を示した。反応物を冷水(20mL)でクエンチさせ、反応混合物をCHCl3(3x10mL)で抽出した。得られた残渣をDCM/EtOH/水(1:2:1=4mL)およびシリカゲル(1g)で4日間処理した。この混合物を焼結ガラス漏斗を通して濾過し、そのシリカゲルをCHCl3−MeOH(8:2、100mL)で洗浄した。濾液を高真空下で濃縮し、MeOH/DCMを用いる24g シリカゲルカラムに付して精製した。20%MeOH/DCMフラクションより二量体(IIa−16)を収率65%で得た。LCMS:(m+1)=686.3
二量体(IIa−18)が、2−アミノ−プロパノール−1,3−ジオール55から出発し、化合物56、57、58および59を介して進行して、同様にして調製された。
化合物56:明黄色油、1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 5.94(m,1H)、5.50(brs,1H)、5.29(m,2H)、4.60(d,J=7.2Hz,2H)、3.83(m,5H);LCMS (m+1)=176
化合物57:白色の固体、1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.78(m,4H)、7.38(m,4H)、5.88(m,1H)、5.25(m,2H)、5.02(brs,1H)、4.53(d,J=5.6Hz,2H)、4.09(m,5H)、2.48(s,6H)
化合物58:MS(m+1)=1048
化合物59:LCMS (m+1)=964.46
二量体(IIa−18):LCMS (m+1)=672.3
実施例13− (a)型の二量体−リンカー(IIIa−01)
この実施例および図12は、(a)型の二量体−リンカー(IIIa−01)の調製を記載する。
100mLの丸底フラスコに、Fmoc−Val−Cit60(Firestoneら、US6,214,345B1(2001)、実施例56、363mg、0.731ミリモル)、HATU(278mg、0.731ミリモル)およびDMF(20mL)を加えた。得られた溶液を0℃で10分間攪拌し、ついで2,6−ルチジン(0.113mL、0.97ミリモル)を添加した。該混合物を化合物24f(500mg、0.487ミリモル)に加えた。反応混合物をゆっくりと室温への加温に供し、5時間攪拌した。ついで反応物を10%LiCl溶液でクエンチさせ、EtOAcで抽出した(3x)。有機層を合わせ、10%LiClで、ついでブラインで洗浄し、その後でNa2SO4で乾燥させて真空下で濃縮した。その粗生成物の混合物をISCOシリカゲルクロマトグラフィー(40g カラム、MeOH/DCMの15分間における0%から10%までの勾配)に付して精製し、化合物61a(520mg、収率71%)を得た。LCMS (M+1)=1504;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.83−7.69(m,4H)、7.58(brs.,2H)、7.45−7.17(m,16H)、7.15−6.93(m,1H)、5.45(d,J=10.1Hz,2H)、5.24−4.97(m,7H)、4.71(d,J=9.7Hz,5H)、4.56−4.02(m,8H)、3.87(s,6H)、3.79−3.49(m,8H)、3.03(d,J=6.4Hz,3H)、1.77(s,7H)、1.09−0.82(m,11H)、0.10−0.10(m,18H)
化合物61a(580mg、0.385ミリモル)のDMF(7.7mL)中溶液に、ピペリジン(191μl、1.927ミリモル)を加えた。反応物を室温で1時間攪拌した。次に粗生成物の混合物を濃縮し、ISCOシリカゲルクロマトグラフィー(40g カラム、MeOH/DCMの15分間における0%から10%までの勾配)に付して精製し、化合物61b(318mg、収率64%)を得た。LCMS (M+1)=1282
化合物61b(200mg、0.156ミリモル)のTHF(4mL)中の−78℃溶液に、LiEt3BH溶液(0.780mL、0.780ミリモル)(THF中1M)を加えた。反応物を−78℃で2時間攪拌した。反応物を水でクエンチさせ、クロロホルムで(2x)、次にクロロホルム/MeOHで(2x)抽出した。有機抽出液を合わせ、乾燥させて濃縮した。次に残渣をクロロホルム/EtOH/水(1:1:1、4mL)に溶かし、シリカゲル(0.7g)を加えた。得られた懸濁液を室温で3日間攪拌し、ついでセライト(登録商標)プラグを通して濾過し、クロロホルムで洗浄して濃縮させた。その材料をDMFに溶かし、逆相HPLCに付して精製し、化合物62(57mg、収率36.9%)を得た。LCMS (M+H)=990;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 7.62−7.50(m,2H)、7.50−7.25(m,12H)、6.88−6.68(m,1H)、5.33−4.67(m,6H)、4.66−4.29(m,3H)、4.02−3.69(m,6H)、3.47−2.84(m,6H)、2.46−1.74(m,2H)、1.59(brs.,4H)、1.09−0.74(m,6H)
化合物62(23mg、0.023ミリモル)および化合物62a(QuantaBioからMAL−dPEG8−NHS(登録商標)エステルとして入手可能;32mg、0.046ミリモル)のDMSO(1.4mL)中溶液に、2,6−ルチジン(5.41μl、0.046ミリモル)を添加した。反応物を室温で2時間攪拌した。粗生成物の混合物を濾過し、逆相HPLC(カラム:ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%トリフルオロ酢酸;勾配:17分間にわたって20−70%Bとし;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製した。生成物を含有するフラクションをPL−HCO3 MP 500mgカートリッジ(Agilent)に通した。濾液を重力で集め、カラムを4mLのACNで洗浄した。濾液を集め、濃縮して凍結乾燥させ、二量体−リンカー(IIIa−01)(3mg、収率35.8%)を得た。LCMS (M+1)=1564
実施例14− (a)型二量体−リンカー(IIIa−02)
この実施例および図13は、(a)型二量体−リンカー(IIIa−02)の調製を記載する。
カルボナート63(3.92mg、3.50マイクロモル、下記の調製物)および二量体(IIa−16)(2mg、2.92マイクロモル)のDMSO(0.2mL)中溶液に、DIEA(1.528μL、8.75マイクロモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜攪拌した。R−HPLCに付し、アセトニトリル/水(0.05%ギ酸)を用いて30分間にわたって精製し、生成物を含有するフラクションを得、それを塩基性樹脂(PL−HCO3 MP−樹脂 1.8ミリモル/g;Agilent Part番号PL3540−C603)を通して濾過し、アセトニトリル(5mL)で洗浄した。凍結乾燥に付し、二量体−リンカー(IIIa−02)を白色の固体として収率52%で得た。LCMS (m+1)=1666
当業者であれば、この実施例および上記の実施例の(a)型の二量体−リンカー化合物を製造する操作が、変更すべきところは変更して、別の(a)型の二量体−リンカー化合物を製造するのに適用され得ることを認識するであろう。
実施例15− (b)型の二量体−リンカー化合物
この実施例および図14−16は、(b)型の二量体−リンカー化合物の合成に使用される、化合物73および74の調製、ならびにそれらの化合物から由来のかかる二量体−リンカー化合物の調製に関する。
フラスコに、5−メトキシ−2−ニトロ−4−((トリイソプロピルシリル)オキシ)安息香酸64(CAS Reg No.1430738−03−6、9.0g、24.36ミリモル)およびHATU(10.19g、26.8ミリモル)/DCM(100mL)を0℃で充填した。反応混合物を10分間攪拌し、DIEA(4.68mL、26.8ミリモル)およびイソキノリン65(CAS Reg No.215928−81−7、7.43g、26.8ミリモル)で処理した。反応物を0℃で3時間維持し、次に室温で24時間攪拌した。反応混合物を飽和NH4ClおよびDCMに注いだ。有機相を集め、濃縮して残留物とした。その残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ(Biotage))に付し、ヘキサン中10%−30%EtOAcで溶出してさらに精製した。生成物を集め、濃縮してアミド66を明黄褐色の油(10.15g、収率66%)として得た。LCMS M+H=629.65
アミド66(10.1g、16.06ミリモル)のMeOH(200mL)中溶液を0℃に冷却し、NH4Cl(4.29g、80ミリモル)および亜鉛粉(5.25g、80ミリモル)を加えた。得られた緑色懸濁液を0℃で45分間攪拌し、次に室温までの加温に一夜供した。反応混合物をセライト(登録商標)パッドを通して(MeOHで洗浄しながら)濾過し、濾液を濃縮して残留物とした。その残留物をDCMに溶かし、シリカゲルパッドに負荷した。これを50%EtOAcおよびヘキサンで流し、アニリン67(8.02g、収率83%)を得た。LCMS M+H=599.35
アニリン67(2500mg、4.17ミリモル)をDCM(50mL)に溶かし、ピリジン(0.878mL、10.85ミリモル)を添加した。その混合物を−78℃に冷却し、クロロギ酸アリル12a(0.579mL、5.43ミリモル)を加えた。反応混合物をこの温度で1時間維持し、次に室温までの加温に供した。反応混合物を飽和NH4ClおよびDCMに注いだ。該混合物をDCMで抽出し、シリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、ヘキサン中10%−50%EtOAcで溶出してカルバマート68(2.5g、収率88%)を得た。LCMS M+H=683.40
カルバマート68(1.372g、2.009ミリモル)をMeOH(20mL)に溶かした。MeOH中10%濃度のHCl(2mL、6.58ミリモル)を添加した。混合物を20分間放置し、NaHCO3(0.591g、7.03ミリモル)/水でクエンチさせた。該混合物を水で希釈し、DCMで4回抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。シリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、10−50%EtOAc/ヘキサンで溶出して精製し、アルコール69(963mg、収率84%)を得た。LCMS M+H=569.25
塩化オキサリル(2.0M、1.450mL、2.90ミリモル)をDCM(30mL)に溶かし、次に該混合物をドライアイス/アセトン浴にて−78℃に冷却した。これにDMSO(0.515mL、7.25ミリモル、約2mLのDCMに溶かし、添加の間に凍結することを防止した)を加え、温度を−78℃に維持した。20分後、DCM(10mL)に溶かしたアルコール69(1.65g、2.90ミリモル)を該反応物に添加した。これによりさらに30分間攪拌させ、つづいてNEt3(2.022mL、14.50ミリモル)を添加した。10分後、反応物を室温までの加温に供した。これを飽和NH4Clでクエンチさせ、DCM(2x)で抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、残留物となるまで濃縮させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、ヘキサン中30%−100%EtOAcで溶出して精製した。生成物を集め、濃縮してアミナール70を白色の固体(1.51g、収率92%)として得た。LCMS M+H=567.30;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d) δ 7.39−7.24(m,5H)、7.22(s,1H)、6.67(s,1H)、5.75(dd,J=11.2、5.6Hz,1H)、5.31(dd,J=9.5、4.0Hz,1H)、5.22−5.07(m,2H)、4.84(d,J=15.8Hz,1H)、4.64−4.49(m,2H)、4.44(d,J=5.3Hz,1H)、3.87(s,3H)、3.77−3.61(m,1H)、3.28−3.01(m,3H)、1.34−1.18(m,3H)、1.09(dd,J=7.4、2.6Hz,18H)
アミナール70(776mg、1.369ミリモル)をDCM(12mL)に溶かし、2,6−ルチジン(0.638mL、5.48ミリモル)を添加した。該混合物を氷浴中で冷却し、tert−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート(TBSOTf、0.943mL、4.11ミリモル)を添加した。該混合物を30分間放置し、DCMで希釈し、NaHCO3飽和溶液でクエンチさせ、DCMで2回抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、10−30%EtOAc/ヘキサンで溶出して精製し、シリルエーテル71(907.6mg、1.333ミリモル、収率97%)を得た。1H−NMRは精製された材料が約0.25当量の2,6−ルチジン(約4重量%)で汚染されていることを示したが、何らさらに精製することなく用いた。LCMS M+H=681.25
シリルエーテル71(907mg、1.332ミリモル)をDMF(5mL)および水(0.1mL)に溶かした。酢酸リチウム(88mg、1.332ミリモル)を加え、該混合物を一夜放置した。DMFの大部分を窒素流の下で蒸発させた。残渣をEtOAcで希釈し、0.1Mクエン酸で2回、次にブラインで1回洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、30−70%EtOAc/ヘキサンで溶出して精製し、1H−NMRによればEtOAcをいくらか(約1.3当量;EtOAcの割合を説明するのに収率を調整)含有するフェノール72(707.4mg、1.107ミリモル、収率83%)を得た。LCMS M+H=525.10
フェノール72(290mg、0.553ミリモル)はアセトン(2800μl)に溶かし、炭酸セシウム(180mg、0.553ミリモル) および1,5−ジヨードペンタン(400μL、2.69ミリモル)を添加した。バイアルを密封し、60℃で一夜加熱した。反応を一夜進行させた後、溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcと水の間に分配した。混合物を2回抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて粗残渣を得、それをシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、10−50%EtOAc/ヘキサンで溶出して精製し、化合物73(381mg、収率96%)を得た。LCMS M+H=721.10
化合物74はフェノール72より1,3−ジヨードプロパンを用いて同様にして調製された。
次に図15のスキームを検討した場合:化合物67(2.1g、3.51ミリモル)をDCM(30mL)に溶かし、ピリジン(0.3mL、3.71ミリモル)を添加した。混合物を0℃に冷却した。4−ニトロフェニルカルボノクロリダート67a(0.707g、3.51ミリモル)を添加し、その混合物をこの同じ温度で7分間放置した。化合物75(CAS Reg.No.1343407−91−9、1.323g、3.51ミリモル)およびDIEA(0.750mL、4.29ミリモル)のDMF(3mL)中溶液を添加した。該混合物を室温にてロータリーエバポレーターに入れ、DCMを除去した。20分後、DMFを窒素流の下で蒸発させ、次に残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、ヘキサン中10−100%EtOAcで溶出して化合物76(1.579g、1.575ミリモル、収率44.9%)を得た。LCMS M+H=1002.50
化合物76(1.579g、1.575ミリモル)のMeOH(14.4mL)中溶液をMeOH中10%濃度のHCl(1.6mL、5.27ミリモル)で処理した。混合物を30分間放置し、飽和NaHCO3でクエンチさせ、クロロホルムで抽出した(3x)。有機相を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて残渣を得た。その残渣を、精製のために、同じ反応の(0.816gの化合物76で出発する)もう一つ別のバッチと合わせた。粗残渣を合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、20−100%EtOAc/ヘキサンで溶出して精製し、カルバマート77(1.7412g、1.961ミリモル、収率82%)を得た。LCMS M+H=888.30
塩化オキサリル(2.0M、1.00mL、2.000ミリモル)のDCM(10mL)中溶液を−78℃に冷却した。DMSO(0.348mL、4.90ミリモル)のDCM(5mL)中溶液を滴下して加え、その混合物をこの同じ温度で10分間放置した。カルバマート77(1741.2mg、1.961ミリモル)のDCM(5mL)中溶液を滴下して加え、該混合物を再び15分間放置した。NEt3(1.366mL、9.80ミリモル)を滴下して加え;該混合物をこの同じ温度で5分間放置し、次に冷却浴を取り外し、混合物を室温にまで加温させた。該混合物をNH4Cl溶液でクエンチさせ、DCMで2回抽出した。有機相を合わせ、水およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過して蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、50−80%EtOAc/ヘキサンで溶出して精製し、化合物78(1376.7mg、1.554ミリモル、収率79%)を得た。LCMS M+H=886.30
化合物78(1045mg、1.179ミリモル)をDCM(10mL)に溶かし、2,6−ルチジン(0.549mL、4.72ミリモル)を加えた。混合物を氷浴で冷却し、TBSOTf(0.813mL、3.54ミリモル)を添加した。1時間後、該混合物をDCMで希釈し、飽和NaHCO3およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過して蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、20−100%EtOAc/ヘキサンで溶出して精製した。いくらか混合したフラクションを得、それをシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、50%EtOAc/ヘキサン(定組成)で溶出して再び精製した。純粋なフラクションを合わせ、化合物79(676.9mg、0.677ミリモル、収率57.4%)を得た。LCMS M+H=1000.30
化合物79(676mg、0.676ミリモル)のDMF(5mL)および水(0.1mL)中溶液を酢酸リチウム(44.6mg、0.676ミリモル)で処理した。該混合物を一夜放置し、溶媒を窒素流の下で蒸発させた。残渣をEtOAcと0.1Mクエン酸の間に分配した。相を分離し、有機相を0.1Mクエン酸で2回、ブラインで1回洗浄し、次にNa2SO4で乾燥させ、濾過して蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、50−100%EtOAc/ヘキサンで溶出して精製し、化合物80(543.6mg、0.644ミリモル、収率95%)を得た。LCMS M+H=844.35
次に図16を検討した場合、それは上記に製造した中間化合物73および80を用いて二量体−リンカー(IIIb−01)を製造する、スキームを示す。
化合物73(326mg、0.452ミリモル)および化合物80(318mg、0.377ミリモル)のアセトン(1884μl)中溶液を炭酸セシウム(123mg、0.377ミリモル)で処理する。該混合物を含有するバイアルを密封し、60℃での加温に供した。反応を一夜進行させた後、反応混合物をEtOAcで希釈し、0.1Mクエン酸およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、残留物となるまで蒸発させた。その残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、50−80%EtOAc/ヘキサンで溶出して精製した。この操作により接近して溶出する不純物で汚染された化合物81(338mg、0.235ミリモル、収率62.4%)を得た。該混合物をさらに精製することなく次の工程に適用した(収率は純度に対して補正されていない)。LCMS M+H=1436.65;HRMS:測定値 M+H=1436.6881、計算値=1436.6916:HRMS(接近して溶出する不純物) M+H=1378.6485
化合物81(107mg、0.074ミリモル、上記工程からの混ざった化合物)のTHF(2mL)中溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF、1.0M、0.16mL、0.160ミリモル)を添加した。その混合物を10分間放置し、EtOAcで希釈し、水、飽和NaHCO3およびブラインで連続して洗浄し、次にNa2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。その粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、1−10%MeOH/DCMで溶出して精製し、接近して溶出する不純物で汚染された化合物82(71mg、0.059ミリモル、収率79%)を得た(収率は純度に対して補正されていない)。LCMS M+Na=1230.25;HRMS:測定値 M+H=1208.5170、計算値=1208.5187;HRMS(接近して溶出する不純物) M+H=1150.4755
バイアルに化合物82(71mg、0.059ミリモル、上記工程からの不純物)を充填し、ピロリジンのDCM中0.042M溶液(3.50mL、0.147ミリモル)を、つづいてパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(4.07mg、3.53マイクロモル)を添加した。その混合物を1時間放置し、DCMで希釈し、飽和NH4Clで洗浄した。その水性部分をDCMで再抽出し、有機相を合わせ、ブラインで洗浄し、そのブライン層を再びDCMで再抽出し、有機相を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過して蒸発させた。残渣をDMFに溶かし、プレパラティブHPLC(3回注入)(サンファイア C18 プレパラティブOBDカラム 19x100mm、溶媒A=95%水、5%ACN+0.1%TFA、溶媒B=55%水、95%ACN+0.1%TFA;勾配は10分間にわたって0−100%Bとし、12分間保持し、254nmのUVにおけるフラクションを集めた)に付して精製した。その精製したフラクションをPL−HCO3−MP SPE 500mg/6mLカートリッジに通し、生成物を遊離塩基として得た。遊離塩基の溶液を蒸発させて化合物83(30mg、0.029ミリモル、収率49.9%)を得た。LCMS M+H=1022.25
バイアルに化合物83(18.10mg、0.059ミリモル)を、つづいてDMF中0.05M DIEA(0.8mL、0.040ミリモル)を添加した。混合物を一夜放置し、次にDMF(約0.4mL)で希釈し、プレパラティブHPLC(1回注入)(サンファイアC18プレパラティブOBDカラム 19x100mm、溶媒A=95%水、5%ACN+0.1%TFA、溶媒B=55%水、95%ACN+0.1%TFA;勾配は10分間にわたって0−100%Bとし、12分間保持し、254nmのUVでフラクションを集めた)に付して精製した。その精製したフラクションをPL−HCO3−MP SPE 500mg/6mLカートリッジに通し、二量体−リンカー(IIIb−01)(19.6mg、0.015ミリモル、収率52.2%)を遊離塩基として得た。LCMS M+H=1216;HRMS 測定値:M+H=1215.5387、計算値=1215.5397
上記の操作と同様にして、さらなる二量体−リンカー化合物を調製した:
(a)化合物74および80を用いて二量体−リンカー(IIIb−03)を調製した:LCMS M+H=1187.20;HRMS 測定値:M+H=1187.5087、計算値=1187.5084
(b)二量体−リンカー(IIIb−01)および(IIIb−03)をシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元し、各々、二量体−リンカー(IIIb−05)(LCMS (M+2H)/2=609.55;HRMS 測定値:M+H=1217.5561、計算値=1217.5554)および(IIIb−06)(LCMS M+H=1189;HRMS 測定値:M+H=1189.5268、計算値=1189.5241)を得た。
(c)化合物83を化合物62aとカップリングさせることで二量体−リンカー(IIIb−02)に変換した:LCMS (M+2H)/2=799.25;HRMS 測定値:M+H=1596.7390、計算値=1596.7396
(d)化合物81をパラジウムテトラキストリフェニルホスフィンで還元し、化合物84とカップリングさせることで二量体−リンカー(IIIb−04)に変換した:LCMS M+H=1329;HRMS 測定値:M+H=1329.6247、計算値=1329.6262
当業者であれば、(b)型のTHIQ−PBD二量体−リンカー化合物が化合物73または74のPBD均等物あるいは化合物80を用い、あるいはまた同様に上記の操作に従って製造され得ることを理解するであろう。
実施例16− (c)型の二量体−リンカー
化合物39(実施例10)よりアシルオキシカルボニル基を除去することにより調製された化合物85を、上記の操作と同様にして、化合物60とカップリングさせ、化合物86に変換した。
化合物86(9.6mg、10.04マイクロモル)および2,6−ジメチルピリジン(2.152mg、0.020ミリモル)のDMSO(0.7mL)中溶液に、MAL−dPEG(登録商標)8−NHSエステル(13.85mg、0.020ミリモル)のDMSO(100μL)中溶液を添加した。反応物を室温で1時間攪拌した。次に該溶液をアセトニトリルで希釈し、濾過し、逆相HPLC(カラム:ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:15分間にわたって0−70%Bとし;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製した。生成物を含有するフラクションをPL−HCO3 MPの500mgカートリッジ(Agilent)に通した。濾液を重力作用により集め、そのカラムを4mLのACNで洗浄した。濾液を合わせ、濃縮し、凍結乾燥させて二量体−リンカー(IIIc−01)(9.4mg、5.53マイクロモル、収率55.0%)を得た。LCMS (M+H)=1530
化合物87(LCMS(M+2H)=435.9)は、変更すべきところは変更して、上記の操作と同様にして、化合物85より調製された。
化合物87(5mg、5.75マイクロモル)および2,5−ジオキソピロリジン−1−イル 6−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノアート(1.949mg、6.32マイクロモル)のDMSO(0.2mL)中溶液に、2,6−ルチジン(1.339μl、0.011ミリモル)を添加した。反応物を室温で4時間攪拌した。次に反応物をDMF(1mL)で希釈し、濾過し、逆相HPLC(カラム:ルナC18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:15分間にわたって20−80%Bとする;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製した。生成物を含有するフラクションをPL−HCO3 MP 500mgカートリッジ(Agilent)に通した。濾液を重力作用により集め、そのカラムを4mLのアセトニトリルで洗浄した。濾液を合わせ、濃縮し、凍結乾燥させて二量体−リンカー(IIIc−07)(1.8mg、1.524マイクロモル、収率26.5%)を得た。LCMS (M+H)=1063.4
化合物88は、上記の操作と同様にして、化合物49より調製された。LCMS (M+H)=884.7
化合物84(12.03mg、0.039ミリモル)および化合物88(23mg、0.026ミリモル)のDMSO(0.2mL)中溶液に、2,6−ルチジン(6.06μl、0.052ミリモル)を添加した。反応物を室温で5時間攪拌し、次にDCMで希釈し、ISCOシリカゲルクロマトグラフィー(0−15%MeOH/DCM、12g カラム)を用いて精製した。次に所望の生成物を含有するフラクションを濃縮し、淡黄色の泡沫体を得、それをH2O/THF(2:1、4mL)に溶かし、凍結乾燥させて二量体−リンカー(IIIc−08)(9.5mg、7.94マイクロモル、収率30.5%)を得た。LCMS (M+H)=1077.8
実施例17− リンカー中に自己犠牲基を有する(c)型の二量体−リンカー
この実施例は、二量体−リンカー化合物の調製であって、リンカーが二量体−リンカー(IIIc−02)などのPABC自己犠牲基を有する、化合物の調製を説明する。そのリンカー部分は下記に示されるように構成される:
化合物89(Firestoneら、US6,124,345B1(2001)、実施例57;0.75g、1.246ミリモル)のDMF(2mL)およびTHF(8mL)中溶液に、ジエチルアミン(2.81mL、26.9ミリモル)を添加した。反応物をを室温で1.5時間攪拌し、濃縮した。粗生成物をDCMでトリチュレートし、濾過し、真空下で乾燥させ、化合物90を白色の固体として得た。LCMS (M+H)=380.2;1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 10.06(s,1H)、8.15(d,J=7.3Hz,1H)、7.56(d,J=8.5Hz,2H)、7.26(d,J=8.3Hz,2H)、6.00(t,J=5.4Hz,1H)、5.43(s,2H)、5.13(t,J=5.3Hz,1H)、4.56−4.33(m,3H)、3.07−2.93(m,3H)、2.00−1.55(m,5H)、1.49−1.32(m,2H)、0.90(d,J=6.8Hz,3H)、0.80(d,J=6.8Hz,3H)
化合物90(79mg、0.209ミリモル)のDMSO(2mL)中溶液に、MAL−dPEG(登録商標)8−NHSエステル(120mg、0.174ミリモル)のDMSO(1mL)中溶液を、つづいて2,6−ルチジン(37.3mg、0.348ミリモル)を添加した。反応物を室温で3時間攪拌した。ビス(4−ニトロフェニル)カルバナート(63.5mg、0.209ミリモル)のDMF(2mL)中溶液を、つづいて2,6−ルチジン(37.3mg、0.348ミリモル)を添加した。次に反応物を室温で12時間攪拌した。次にDIPEA(0.061mL、0.348ミリモル)を添加し、反応物を室温で3時間攪拌した。粗生成物の混合物をDMFで希釈し、濾過し、逆相HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:15分間にわたって0−70%Bとする;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製し、化合物63(40mg、0.036ミリモル、収率20.54%)を得た。LCMS (M+H)=1119.5
化合物(IIa−10)(3.5mg、5.00マイクロモル)に、化合物91(5.60mg、5.00マイクロモル)のDMSO(0.16mL)中溶液を、つづいてDIPEA(2.62μL、0.015ミリモル)およびHOAt(0.6mg、5.00マイクロモル)を添加した。反応物を室温で24時間攪拌し、DMFで希釈し、濾過し、逆相HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ C18 20x100mm;移動相A:10:90 アセトニトリル:水+0.1%TFA;移動相B:90:10 アセトニトリル:水+0.1%TFA;勾配:15分間にわたって20−80%Bとする;流速:20mL/分;検出:220nmでのUV)に付して精製し、二量体−リンカー(IIIc−02)(2.1mg、1.188マイクロモル、収率23.74%)を白色の固体として得た。LCMS (M+H)=1679.6
上記の同様の操作に従って、自己犠牲基を有する、さらなる二量体−リンカー化合物を調製した:
(IIIc−03): LCMS (M+2H)/2=876.1
(IIIc−04): LCMS (M+2H)/2=790.5
(IIIc−05): LCMS (M+H)=1650.9
(IIIc−06): LCMS (M+H)=1593.9
当業者であれば、他の(c)型の二量体−リンカー化合物、あるいはまたPABC自己犠牲基または他の基を有する二量体−リンカー化合物が、変更すべきところは変更して、同様に調製され得ることを認識するであろう。
実施例18− THIQ−AZI二量体
この実施例および図17はTHIQ−AZI二量体、特に二量体(IIc−01)の調製に関する。
パール(Parr)瓶に化合物90a(CAS Reg.No.1210045−50−3、3.0g、8.27ミリモル)と、エタノール(60mL)および酢酸(10mL)に懸濁させた水酸化パラジウム/炭素(20%、50重量%;1.0g、0.712ミリモル)を充填した。これをパール装置に入れ、55psiの水素を充填した。一夜震盪した後、反応混合物をセライト(登録商標)を通して濾過し、濾液を濃縮して残留物を得た。残渣をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO3で洗浄した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、ヘキサン中20%−50%EtOAcで溶出してラセミ生成物(2.49g、収率83%)を透明な油として得た。LCMS (M+H)=365.55;1H NMR(400MHz、クロロホルム−d)δ 8.44−8.16(m,2H)、7.79−7.42(m,1H)、4.48(brs.,1H)、3.74(d,J=6.5Hz,2H)、3.36−3.18(m,1H)、3.18−3.00(m,1H)、1.65−1.49(m,9H)、0.75(s,9H)、0.11−0.23(m,6H)。このラセミ体をキラルSFCクロマトグラフィー(ラックス・セルロース(Lux Cellulose)−2 21.2x250mm、5μMカラム、140バールおよび35℃でCO2中30%アセトニトリルを用いて溶出)に付してさらに精製し、2本のピークを得た。溶出した第2のピーク((−)異性体)を集め、アザインドリン91を無色の油(1.01g、全収率34%)として得た。
バイアルにアザインドリン91(850mg、2.332ミリモル)/MeOH(4mL)を充填した。これに、ジオキサン中4M HCl(8.5mL、34.0ミリモル)を加えた。反応物を室温で一夜攪拌した。反応混合物を残留物となるまで濃縮し、次にMeOHおよびエーテルに溶かした。これを再び濃縮し(2x)、脱保護された残渣を得た。この残渣をアセトニトリル(1mL)と一緒にフラスコに充填した。これに、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(TBS−Cl、446mg、2.96ミリモル)およびイミダゾール(671mg、9.86ミリモル)を添加し、反応物を室温で2時間攪拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和NH4Clで洗浄した。有機相を2回洗浄し、次に残留物となるまで濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、クロロホルム中5%(10%NH4OH/MeOH)で溶出して精製した。生成物を集め、濃縮して化合物92を透明な油として得た。1H NMR(400MHz、DMSO−d6) d 8.00−7.84(m,2H)、6.77(brs.,1H)、6.40(d,J=5.8Hz,1H)、3.95(dd,J=9.9、5.1Hz,1H)、3.54(d,J=5.8Hz,2H)、3.05(dd,J=16.2、9.9Hz,1H)、2.77−2.59(m,1H)、0.83(s,9H)、0.03(d,J=7.5Hz,6H)
バイアルに化合物93(CAS Reg. No.313644−41−6、420mg、0.863ミリモル)/DMF(5mL)を充填した。これに、HATU(821mg、2.159ミリモル)を添加した。30分間放置した後、化合物65(252mg、0.907ミリモル)および化合物92(240mg、0.907ミリモル)ならびにDIPEA(0.754mL、4.32ミリモル)のDMF(2mL)中溶液を添加した。さらに1時間放置した後、その混合物を約100mLの水を含有するフラスコに移し、該混合物を1N HClで酸性にした。得られた固体を濾過で集め、水で洗浄した。その湿った固体を集め、DCMに溶かし、Na2SO4で乾燥させ、濾過して蒸発させた。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、0−10%MeOH/DCMで溶出して精製し、3種の生成物を得た。中間で溶出するピークはヘテロ二量体のアミド94(353.1mg、0.356ミリモル、収率41.2%)であった。LCMS (M+H)=992.30
アミド94(200mg、0.202ミリモル)をTHF(2mL)に溶かした。これに水(200μl、11.10ミリモル)およびP(Me)3(605μL、0.605ミリモル)を添加した。約30分間放置した後、溶媒を蒸発させ、試料をトルエンとの共沸蒸留に付した。残渣をDCM(10mL)に溶かした。ピリジン(0.08mL、1.00ミリモル)を加え、その混合物を−78℃に冷却した。クロロギ酸アリル12a(64.5μL、0.605ミリモル)を加え、その混合物をその同じ温度で30分間攪拌し、次に室温までの加温に供した。混合物をNH4Clでクエンチさせ、DCMで2回抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濾過して蒸発させた。残渣を再び7:1:1:2 AcOH/THF/MeOH/水(合計3mL)に溶かし、一夜攪拌した。脱保護はなかなか進まないため、一夜攪拌した後、0.5mlのMeOH中10%HClを加え、さらに30分間経過した後に完全な脱保護が得られた。反応混合物を注意して飽和NaHCO3に移し、それを中和した。該混合物をDCMで3回抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濾過して蒸発させた。粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(バイオタージ)に付し、クロロホルム中3−6%(10%NH4OH/MeOH)で溶出して精製した。主要なピークを集め、化合物95(95.7mg、0.109ミリモル、収率54.0%)を得た。LCMS (M+H)=880.15
フラスコにDMSO(0.018mL、0.256ミリモル)/DCM(0.5mL)を充填し、−78℃に冷却した。塩化オキサリル(0.061mL、0.123ミリモル)を滴下して加えた。その反応混合物をこの同じ温度で10分間放置し、その時点で化合物95(45mg、0.051ミリモル)のDCM(0.5mL)を滴下して加えた。30分間再び放置した後、トリエチルアミン(0.071mL、0.511ミリモル)を滴下して加えた。−78℃で30分間攪拌した後、冷却浴を取り外し、反応混合物を外界温度までの加温に供した。混合物を飽和NH4Clでクエンチさせ、DCMで3回抽出した。抽出液をNH4Clで3回、ブラインで1回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。その粗残渣をDCM(3mL)およびピロリジン(0.017mL、0.201ミリモル)に溶かし、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(2.90mg、2.51マイクロモル)を加えた。該混合物を1時間放置し、NH4Clで、ついでブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて残留物を得た。該残渣をプレパラティブHPLC(サンファイア(sunfire)ACN/水+0.1%TFA)に付し、操作を行う前にチューブにあるNaHCO3溶液を用いて精製し、その試料を直ちに中和した。主要なピークを集め、過剰量の溶媒を蒸発させ、ついでDCMで抽出することにより予想される生成物を得た。その生成物をバイオタージに付し、DCM/MeOH 3−6%段階的勾配(各段階で1%ずつ増加)で再び精製した。主要なピークを集め、クロロホルムと何回も共沸蒸留に付し、メタノールを除去し、THIQ−AZI二量体(IIc−01)(7mg、8.34マイクロモル、収率16.60%)を得た。LCMS (M+H)=672.15
実施例19− 二量体−リンカー(IIIa−03)
化合物96(Senterら、2010;10mg、0.014ミリモル)および二量体IIa−16(13.01mg、0.019ミリモル)のDMSO(0.5mL)中溶液に、ヒューニッヒ塩基(7.10μL、0.041ミリモル)を加え、室温で一夜攪拌した。これを島津製(Shimadzu)R−HPLCに付し、エックスブリッジ(XBridge) プレパラティブC18、5μmカラムおよび30分間にわたる5−55%アセトニトリル/水(0.05%ギ酸)を用いて精製した。
24分のフラクションを集め、二量体−リンカーIIIa−03(5.6mg、4.36マイクロモル、収率32.2%)を得た。的確な質量のフラクションを塩基性樹脂(PL−HCO3 MP−樹脂 1.8ミリモル/g;Agilent Part番号PL3540−番号603)を通して濾過し、アセトニトリル(5mL)で洗浄し、つづいて凍結乾燥に付した。MS(m+1)=1284
実施例20− 二量体IIa−20および二量体−リンカーIIIa−04
この実施例および図18aおよび18bは二量体(IIa−20)および二量体−リンカー(IIIa−04)の合成に関する。
トリフェニルホスフィン(1.385g、5.28ミリモル)、化合物20(2g、4.40ミリモル)および化合物51(1.165g、6.16ミリモル)のTHF(10mL)中溶液に、じイソプロピルアゾジカルボキシラート(DIAD、1.026mL、5.28ミリモル)を0℃にて滴下して加えた。室温で一夜攪拌した後、濃縮し、ISCOコンビフラッシュ(登録商標)120g カラムに付し、0−100%EtOAc/ヘキサン溶出液を用いて精製し、アルコール108(1.28g、2.045ミリモル、収率46.5%)を白色の固体として得た。MS(m+Na)=648.2;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 7.48(m,3H)、7.33(m,2H)、7.22(m,1H)、5.93(m,1H)、5.50(t,J=10.0Hz,1H)、5.31(d,J=16.0Hz,1H)、 5.22(dd,J=10.8、1.6Hz,1H)、5.17(d,J=15.2Hz,1H)、4.70(t,J=11.2Hz,1H)、4.63(m,2H)、4.43(m,1H)、4.30(m,2H)、4.22(m,1H)、3.97(m,1H)、3.90(s,3H)、3.79(m,4H)、3.57(m,4H)、3.01(dd,J=15.2、2.0Hz,1H)、2.07(m,2H)、1.88(m,2H)、0.997(m,2H)、0.06(s,9H)
アルコール108(0.64g、1.023ミリモル)およびトリエチルアミン(TEA、0.214mL、1.534ミリモル)のDCM(10mL)中懸濁液を0℃に冷却し、塩化メタンスルホニル(MsCl、0.104mL、1.330ミリモル)で処理した。0℃で60分間攪拌した後、LCMSは生成物に50%変換したことを示した。さらにTEA(0.214mL、1.534ミリモル)およびMsCl(0.104mL、1.330ミリモル)を添加し、攪拌を1時間続け、変換を完了させた。反応物を氷冷水(30mL)でクエンチさせ、DCM(2x30mL)で抽出し、氷冷水(30mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、ロータリーエバポレーターにてメシラート109(0.713g、1.012ミリモル、収率99%)に濃縮した。MS(m+1)=704.2
化合物106(336mg、0.852ミリモル)およびメシラート109(500mg、0.710ミリモル)のDMSO(2mL)中溶液に、K2CO3(196mg、1.421ミリモル)を添加した。反応混合物を50℃で一夜攪拌した。該反応混合物をEtOAc(50mL)および水(50mL)で希釈した。水層をEtOAcで抽出した(2x50mL)。有機層を合わせ、濃縮し、ISCOコンビフラッシュ(登録商標)80g カラム(45分間にわたって0−100%の勾配のEtOAc/ヘキサンで溶出する)に付して精製し、化合物110(180mg、0.180ミリモル、収率25.3%)を得た。MS(m+1)=1003.3
化合物110(180mg、0.180ミリモル)のTHF(4mL)中溶液に、水素化トリエチルホウ素リチウム(スーパーハイドライド(SUPER HYDRIDE)(登録商標)、0.898mL、0.898ミリモル)を−76℃で添加した。反応混合物を1時間攪拌した。反応物を冷水(1mL)でクエンチさせ、DCM(3x10mL)で抽出した。有機層を濃縮し、DCM/EtOH/水(1:2:1=4mL)およびシリカゲル(1g)で2日間処理した。この混合物を焼結ガラス漏斗を通して濾過し、そのシリカゲルをDCM−MeOH(8:2、50mL)で洗浄した。濾液を高真空下で濃縮し、15分間にわたってMeOH/DCM溶出液を用いる40g シリカゲルカラムに付して精製した。9分の10%MeOH/DCMフラクションより化合物111(151mg、0.143ミリモル、収率80%)を白色の固体として得た。MS(m+1)=856.3
化合物111(151mg、0.176ミリモル)のDCM(3mL)中溶液に、Pd(PPh3)4(10.19mg、8.82マイクロモル)およびピロリジン(0.058mL、0.706ミリモル)を添加した。反応混合物を窒素下の室温で攪拌した。濃縮し、ISCO 24gシリカゲルカラムに付し、0−20%MeOH/DCMを用いて精製し、二量体(IIa−20)(42mg、0.058ミリモル、収率32.9%)を白色の固体として得た。MS(m+1)=688.2;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 7.55(s,1H)、7.48(d,J=5.2Hz,1H)、7.41(s,1H)、7.25−7.40(m,9H)、7.21(m,1H)、6.85(s,1H)、6.27(s,1H)、5.03(d,J=15.6Hz,1H)、4.83(q,J=15.6Hz,2H)、4.57(d,J=15.2、1H)、4.30(m,2H)、4.21(t,J=5.2Hz,2H)、4.13(m,1H)、3.94(s,3H)、3.84(s,3H)、3.51(s,1H)、3.46(dd,J=10.8、2.0Hz,1H)、3.20−3.30(m,6H)、3.12(dd,J=15.2、6.0Hz,2H)、2.83(dd,J=15.2、5.6Hz,2H)
p−ニトロフェニルカルボナート96(20mg、0.027ミリモル)および二量体(IIa−20)(22.37mg、0.033ミリモル)のDMSO(1mL)中溶液に、DIPEA(0.014mL、0.081ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜攪拌した。反応生成物を、R−HPLCに付し、エックスブリッジ プレパラティブOBD C18、5μmカラム(30x250mm)を用い、40分間にわたって5−55%アセトニトリル/水(0.05%ギ酸)(4回注入)として精製した。31.8分に集めたフラクションを塩基性樹脂(PL−HCO3 MP−樹脂 1.8ミリモル/g;Agilent Part番号PL3540−番号603)を通して濾過し、アセトニトリル(5mL)で洗浄した。凍結乾燥に供し、二量体−リンカー(IIIa−04)(8mg、5.91マイクロモル、収率21.79%)を白色の固体として得た。MS(m+1)=1286.5
実施例21− 二量体IIa−21
この実施例および図19は、二量体(IIa−21)の合成に関する。
フェノール72(68mg、0.13ミリモル)、1,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン97(17mg、0.065ミリモル)およびCs2CO3(42mg、0.13ミリモル)のアセトン(0.4mL)中懸濁液を40℃での加温に1時間供した。混合物を0.1Mクエン酸でクエンチさせ、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過して蒸発させた。その混合物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、ヘキサン中30−80%EtOAcの勾配で溶出して精製し、2種の化合物を得た。最初に溶出したのがモノアルキル化化合物99(15.6mg、収率17%):LCMS M+H=707.10であった。次に溶出したのが二量体98(13.5mg、収率18%):LCMS M+H=1151.20であった。
二量体98(13.5mg、0.012ミリモル)をピロリジンのDCM中溶液(0.042M、0.7mL、0.029ミリモル)に溶かし、Pd(PPh3)4(2.0mg、1.7マイクロモル)を添加した。該混合物を30分間攪拌し、DCMと飽和NH4Clの間に分配した。相を分離し、水性フラクションをDCMで2回以上抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、残留物となるまで蒸発させて、それを次にプレパラティブHPLC(サンファイア C18 プレパラティブOBDカラム 19x100mm、溶媒A=95%水、5%アセトニトリル+0.1%TFA;溶媒B=5%水、95%アセトニトリル+0.1%TFA;10分間にわたって0−100%の勾配)に付して精製した。試料を2つの等量の注入液に分割した。生成物を含有するフラクションを合わせ、PL−HCO3−MP SPE500mg/6mLカートリッジに通し、アセトニトリルで溶出し、生成物の遊離塩基としての溶液を得た。有機溶媒のほとんどをロータリーエバポレーションで除去し、水を凍結乾燥で除去し、二量体(IIa−21)を白色の粉末(5.18mg、収率58%)として得た。LCMS M+H=719.10;HRMS 測定値:M+H=719.2851、計算値:719.2864
実施例22− 二量体IIa−22
この実施例および図20は二量体(IIa−22)の調製に関する。
ジオール100(0.25g、1.40ミリモル、J. Med. Chem. 2011, 4350に基づき調製)およびNEt3(0.58mL、4.19ミリモル)のDCM(5mL)中懸濁液を氷水浴で冷却し、MsCl(0.25mL、3.2ミリモル)で処理した。反応混合物をこの同じ温度で2時間攪拌し、次に水を添加してクエンチさせた。二相混合物の層を分離し、水相を一部のDCMで再び抽出した。有機相を合わせ、冷希釈HCl(0.05N)で、つづいてブラインで洗浄し、次にNa2SO4で乾燥させた。溶媒を蒸発させ、メシラート101を白色の固体(0.425g、収率91%)として得、それをさらに精製することなく用いた。1H NMR(400MHz、クロロホルム−d) δ 7.25(s,1H)、7.11(s,2H)、5.29−5.18(m,4H)、3.05(s,6H)
フェノール72(94mg、0.18ミリモル)、メシラート101(30mg、0.089ミリモル)およびCs2CO3(73mg、0.22ミリモル)のアセトン(0.4mL)中懸濁液を40℃への加温に1時間供した。該混合物を0.1Mクエン酸でクエンチさせ、EtOAcで3回抽出した。有機相を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過して蒸発させた。混合物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、ヘキサン中30−80%の勾配のEtOAcで溶出して精製し、二量体102(82.6mg、収率77%)を得た。LCMS M+H=1192.15
二量体102(41.3mg、0.035ミリモル)を二量体(IIa−21)についての方法に従って脱保護し、二量体(IIa−22)を白色の粉末(7.08mg、収率26%)として得た。LCMS M+H=760.10;HRMS 測定値:M+H=760.2872、計算値:760.2878
実施例23− 二量体−リンカーIIIb−07およびIIIb−08
この実施例および図21は、二量体リンカー(IIIb−07)および(IIIb−08)の調製に関する。
化合物104aは、次のように、フェノール80およびモノアルキル化化合物99より調製された。フェノール80(18.6mg、0.022ミリモル)、化合物99(15.6mg、0.022ミリモル)およびCs2CO3(7.18mg、0.022ミリモル)をアセトン(0.11mL)に懸濁させ、40℃への加温に1.5時間供した。混合物をEtOAcで希釈し、0.1Mクエン酸で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。粗材料をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、30−100%EtOAc/ヘキサンで溶出して精製し、生成物104a(23.3mg、収率72%)を得た。LCMS M+H=1472.20
二量体104a(23.3mg、0.016ミリモル)をTHF(0.4mL)に溶かし、TBAFのTHF中溶液(0.035mL、1.0M、0.035ミリモル)を加えた。混合物を0.5時間攪拌し、EtOAcと飽和NH4Clの間に分配し、相を分離し、水性フラクションをDCMで2回抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、残留物となるまで蒸発させ、次にシリカゲルクロマトグラフィーに付し、DCM中0−10%の勾配のMeOHで溶出して精製し、化合物105a(16.4mg、収率83%)を得た。LCMS M+Na=1265.25
二量体105a(16.4mg、0.013ミリモル)をピロリジンのDCM中溶液(0.042M、0.8mL、0.033ミリモル)に溶かし、Pd(PPh3)4(1.2mg、1.04マイクロモル)を加えた。混合物を1時間攪拌し、DCMと飽和NH4Clの間に分配し、相を分離し、水性フラクションをDCMで2回以上抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、残留物となるまで蒸発させ、アミン106aを得、それをさらに精製することなく用いた(定量的収率が想定される)。
アミン106a(13.7mg、0.13ミリモル)をDIPEAのDMF中溶液(0.05M、0.31mL、0.016ミリモル)に溶かし、化合物84(8mg、0.026ミリモル)を添加した。該混合物を20時間攪拌し、その時点でそれをDMFで希釈し、プレパラティブHPLC(サンファイア C18 プレパラティブOBDカラム 19x100mm、溶媒A=95%水、5%アセトニトリル+0.1%TFA;溶媒B=5%水、95%アセトニトリル+0.1%TFA;10分間にわたって0−100%の勾配)に付して精製した。生成物を含有するフラクションを合わせ、PL−HCO3−MP SPE 500mg/6mLカートリッジを通し、アセトニトリルで溶出して生成物の溶液を遊離塩基として得た。有機溶媒のほとんどをロータリーエバポレーションで除去し、水を凍結乾燥で除去し、二量体−リンカー(IIIb−07)を白色の粉末(7.10mg、収率42%)として得た。LCMS M+H=1249.35;HRMS 測定値:M+H=1249.5221、計算値:1249.5241
ビスメシラート101(100mg、0.191ミリモル)を、化合物99の合成について記載される方法と同様の方法にて、化合物72と反応させ、モノメシラート103(74.6mg、収率51%)を得た。LCMS M+H=764.10
モノメシラート103(46.8mg、0.061ミリモル)を、化合物104aの合成について記載される方法と同様の方法にて、化合物80と反応させ、化合物104b(68.8mg、収率74%)を得た。LCMS M+H=1511.95
化合物104b(68.8mg、0.046ミリモル)を、化合物105aの合成について記載される方法と同様の方法にて、脱保護し、化合物105b(51.4mg、収率88%)を得た。
化合物105b(51.4mg、0.040ミリモル)を、化合物106aの合成について記載される方法と同様の方法にて、脱保護し、アミン106b(44mg、収率100%、次の工程にて粗製物を使用)を得た。
アミン106b(46.8mg、0.061ミリモル)を、二量体−リンカー(IIIb−07)の合成について記載される方法と同様の方法にて、化合物84と反応させ、二量体−リンカー(IIIb−08)(13.5mg、収率25%)を得た。HRMS 測定値:M+H=1290.5245、計算値:1290.5255
実施例24− 二量体−リンカーIIIb−04
この実施例および図22は、二量体−リンカー(IIIb−09)の合成に関する。
ビスヨードエチルエーテル(46mg、0.088ミリモル)を、化合物99の合成について記載される方法と同様の方法にて、化合物72と反応させ、化合物107(29mg、収率46%)を得た。LCMS M+H=723.20
シリルエーテル78(431mg、0.486ミリモル)をDMF(2.0mL)および水(0.04mL)に溶かし、酢酸リチウム(32mg、0.486ミリモル)で処理した。混合物を40℃までの加温に2.5時間供し、室温でさらに1時間攪拌し、次に溶媒を窒素流の下で(3日間にわたって)除去した。残渣を0.1Mクエン酸で処理し、EtOAcで3回抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濾過して蒸発させた。該混合物をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、DCM中0−10%の勾配のMeOHで溶出して精製し、フェノール108(297mg、収率84%)を得た。LCMS M+H=730.40
モノヨード化合物107(29mg、0.04ミリモル)を、化合物104aの合成について記載される方法と同様の方法にて、フェノール108と反応させ、化合物109(18.8mg、収率35%)を得た。LCMS M+Na=1347.15
化合物109(18.8mg、0.014ミリモル)を、化合物106aの合成について記載される方法と同様の方法にて、脱保護に付し、アミン110(13mg、収率100%、次の工程にて粗製物を用いる)を得た。
アミン110(14mg、0.014ミリモル)を、二量体−リンカー(IIIb−07)の合成について記載される方法と同様の方法にて、化合物84と反応させ、二量体−リンカー(IIIb−09)(8.6mg、収率53%)を得た。LCMS M+Na=1239.75
実施例25− 二量体−リンカーIIIa−05、−06、−07および−08
この実施例および図23は、二量体−リンカーIIIa−05、IIIa−06、IIIa−07およびIIIa−08の調製に関する。これらの二量体−リンカーは、リンカー構成成分にてアルキルアミノ基を有し、トランスグルタミナーゼ介在性コンジュゲーションにおけるアミンドナーとして供し、ADCを製造し得る。
化合物54(850mg、0.869ミリモル)および化合物111(CAS Reg. No. 863971−53−3、666mg、0.869ミリモル)のNMP(7mL)中溶液に、DIPEA(0.228mL、1.303ミリモル)を加えた。溶液を室温で一夜攪拌した。LCMSは生成物の形成を示した。粗反応物を120gシリカゲルカラムのCOMBIFLASH(登録商標)クロマトグラフィーに直接供し、MeOH/DCMで45分間にわたって溶出した。18分のフラクションから化合物112(0.8g、収率57%)を白色の固体として得た。MS(m+1)=1605.6
化合物112(0.7g、0.436ミリモル)のTHF(5mL)中溶液に、ピペリジン(0.5mL、5.05ミリモル)を加えた。該溶液を室温で30分間攪拌した。LCMSは反応の完了を示した。濃縮し、80gのCOMBIFLASH(登録商標)シリカゲルカラムでMeOH/DCMを用いて40分間にわたって精製し、19−23分にて30%MeOH/DCMフラクションを得、それから化合物113(0.475g、0.343ミリモル、収率79%)を白色の固体として得た。MS(m+1)=1383.6;1H NMR(400MHz、DMSO−d6) δ 10.11(s,2H)、8.13(s,2H)、7.57(d,J=8.4Hz,2H)、7.23(m,14 H)、5.96(t,J=5.6Hz,2H)、5.76(s,1H). 5.39(s,4H)、5.26(t,J=6.0Hz,4H)、5.08(dd,J=22.0、10.4Hz,4H)、5.01(s,2H)、4.92(d,J=15.6Hz,4H)、4.47(m,2H)、4.31(m,5H)、4.21(m,5H)、4.10(q,J=5.2Hz,2H)、3.76(m,10 H)、3.18(d,J=5.2Hz,2H)、3.03(m,6H)、2.68(m,2H)、2.34(m,2H)、1.93(m,3H)、1.50−1.70(m,6H)、1.39(m,5H)、0.88(d,J=6.8Hz,3H)、0.78(d,J=6.8Hz,3H)、0.74(m,9H)、0.09、0.10(m,9H)
化合物113(975mg、0.705ミリモル)の−76℃でのTHF(10mL)中溶液に、LiEt3BH(SUPERHYDRIDE(登録商標)、3.52mL、3.52ミリモル)を添加した。該溶液を1時間攪拌した。LCMSは反応の完了を示した。反応物冷水(1mL)でクエンチさせ、濃縮した。得られた残渣をDCM/EtOH/水(1:2:1=8mL)およびシリカゲル(1g)で3日間処理した。この混合物を焼結漏斗を通して濾過し、シリカゲルをDCM−MeOH(8:2、100mL)で洗浄した。濾液を高真空下で濃縮し、24gのシリカゲルカラムに付し、15分間にわたってMeOH/DCMを用いて精製した。20%MeOH/DCMフラクションより化合物114(422mg、0.387ミリモル、収率54.9%)を白色の固体として得た。MS(m+1)=1091.6
化合物114(67mg、0.061ミリモル)およびN−ヒドロキシスクシンイミドエステル115(30.4mg、0.068ミリモル)のDMF(1mL)中溶液に、2,6−ルチジン(0.014mL、0.123ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。LCMSは生成物116への変換が略完了したことを示した。ピペリジン(0.1mL、1.010ミリモル)を添加し、反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物をISCOの150gC18カラムに注入し、水/アセトニトリル(0.05%ギ酸)で30分間にわたって溶出した。27分の34%水/アセトニトリルのフラクションを塩基性樹脂(PL−HCO3MP樹脂 1.8ミリモル/g;Agilent Part#PL3540−#603)を通して濾過し、アセトニトリル(5mL)で洗浄した。凍結乾燥に付して、二量体−リンカーIIIa−08(27.5mg、0.020ミリモル、収率33.1%)を白色固体として得た。MS(m+1)=1204.6
二量体−リンカーIIIa−05(MS(m+1)=1338.5)、IIIa−06(MS(m+1)=1514.06)およびIIIa−07(MS(m+1)=1250.2)は、対応するN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを用い、化合物114より同様にして調製された。
実施例26− 二量体の生物学的活性
本発明の二量体の、H226肺がん、786−O腎臓がん、N87胃がん、および/またはOVCAR3卵巣がんの細胞系に対する、細胞毒性活性を試験した。二量体の細胞増殖を阻害する能力は、ATP発光アッセイまたはMTS細胞増殖アッセイのいずれかで測定され得る。一般に、これらの2つの方法は同等な結果をもたらす。
これはATP発光アッセイのための一般的操作である:細胞を、各々、ATPのCellTiterGlo(登録商標)アッセイのために、96−ウェルプレートにて1x103細胞/ウェルで3時間播種する。化合物を連続希釈(1:3)にてウェルに添加する。プレートを72時間インキュベートさせる。Promegaから由来のCellTiterGlo(登録商標)細胞生存能キットを用い、取扱説明書に従って、試験化合物で処理した細胞のATP含量を測定する。ATP含量の減少は細胞生存性の低下の指標である。EC50値−薬剤が細胞生存性を最大効果の50%まで減少させる濃度は、PRISM(登録商標)ソフトウェア、バージョン5.0(GraphPad Software, La Jolla, CA, USA)を用いて算定され得る。
MTS細胞増殖アッセイを次のように行った。Promega(Madison, WI)製のCellTiter 96 Aqueous Non-Radioactive Cell proliferation Kitを用い、細胞増殖アッセイにおける生存細胞の数を測定する。腫瘍細胞を特定の播種密度で滅菌処理した384ウェルの黒色透明底部マトリックスプレートにウェル当たり40μLで置き、アッセイを行う前に5%CO2中37℃で一夜インキュベートする。翌日、一群の細胞プレート(10プレート)を用いて0時間の細胞密度を測定し、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウムを4μL/ウェルで10プレートに加え、つづいて5%CO2中37℃で3時間インキュベートした。このテトラゾリウム試薬は肝細胞により生体内還元され、水溶液に可溶性のホルマザン生成物を形成する。Envision読取り装置(Perkin Elmer, Boston, MA)で490nmの吸光度を測定する。その日のうちに、残りの細胞プレート(T72プレート)に化合物を加え、5%CO2中37℃でインキュベートする。72時間後、次に4μLのMTS試薬をその細胞プレートに加える。該プレートを5%CO2中37℃で3時間さらにインキュベートし、A490での吸光度をEnvision読取り装置で測定した。
DMS79およびH187小細胞肺がん細胞系に対して試験したさらなる結果を表IBに示す。
実施例27− コンジュゲートの生物学的活性
二量体−リンカー化合物を、上記の一般的操作に従って、数種の抗体:抗体4A6(抗グリピカン−3抗体;Terrettら、US8,680,247B2(2014));抗体1F4(抗CD70抗体;Cocciaら、US2010/0150950A1(2010));および抗体6A4(抗メソテリン抗体;Terrettら、US8,268,970B2(2012))とコンジュゲートさせた。これらの抗体のCDR配列および他の配列ならびに構造情報は上掲の参考文献に開示され、かかる情報は出典明示により本明細書に組み込まれる。
N87胃がん細胞およびHep3B肝臓がん細胞に対する試験を行った。3Hチミジンアッセイ(Congら、2014)を用いて活性を測定した。N87細胞はメソテリンを発現するが、CD70またはグリピカン−3を発現しない。Hep3B細胞はグリピカン−3を発現するが、メソテリンを発現しない。
結果を表IIAおよびIIBに示す。PBD−PBD二量体−リンカー、化合物A:
の比較データも提供される。
抗原フコシルGM1を発現する、DMS79およびH187小細胞肺がん細胞系に対して試験したさらなる結果を表IICに示す。
N87、H226、786−Oがん細胞系に対する、さらなる結果を表IIDに示す。N297A置換の抗体を上記のようにトランスグルタミナーゼを用いてコンジュゲートさせた。N297A変異はトランスグルタミナーゼのアミン受容体として利用可能なQ295を作製し、理論的に2のDARを有するコンジュゲートを製造するが、実際には1.5ないし2の範囲のDARを有するコンジュゲートが得られる。
N87は、メソテリンを発現するが、CD70またはフコシルGM1を発現しない、消化管(胃)がん細胞系である。H226は、メソテリンを発現するが、CD70またはフコシルGM1を発現しない、肺がん細胞系である。786−Oは、CD70を発現するが、メソテリンまたはフコシルGM1を発現しない、腎臓がん細胞系である。
1の実施態様において、本発明のコンジュゲート中の抗体は、抗−メソテリン、抗−CD70、抗グリピカン−3、または抗−フコシルGM1抗体である。
本発明の上記の詳細な記載は、本発明の特定の部分または態様と主にまたは独占的に関連付けられる一節を包含する。これは簡潔かつ便宜のためであり、特定の特徴はそれを開示する分節だけでなくそれ以上の分節と関連付けることができ、本明細書の開示は異なる分節に認められる情報の適切なすべての組み合わせを包含することを理解すべきである。同様に、本明細書における種々の図表および記載は本発明の特定の実施態様と関連するが、具体的な特徴は特定の図表または実施態様の文脈に開示されており、そのような特徴は他の特徴と組み合わせて、または本発明にて一般的に、他の図表または実施態様の文脈において適度に使用され得ると理解されるべきである。
さらには、本発明は、特定の好ましい実施態様の観点から詳細に記載されるが、本発明はかかる好ましい実施態様に限定されるものではない。どちらかと言えば、本発明の範囲は添付した特許請求の範囲により定められる。
参考文献
本明細書中に第1著者(または発明者)および先の日付により省略された形式にて引用される次の参考文献を完全な言及にて以下に提供する。これらの参考文献は、各々、出典を明示することによりあらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
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