JP2018206663A - アルミニウム合金バスバーの製造方法及びアルミニウム合金バスバー - Google Patents
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Abstract
【課題】バスバーとして求められる強度を有し、且つ、エッジワイズ曲げ加工を行うことにより高い製品歩留りを有するアルミニウム合金バスバーの製造方法を提供する。また、当該アルミニウム合金バスバーの製造方法により製造されたアルミニウム合金バスバーを提供する。
【解決手段】アルミニウム合金平角線のアルミニウム合金バスバー10に対するエッジワイズ曲げ加工時に、エッジワイズ曲げ加工部10bを100℃以上250℃以下に加熱する。加熱後、5分以内にエッジワイズ曲げ加工を行う。アルミニウム合金バスバー10は、加熱部のビッカース硬さAと非加熱部のビッカース硬さBの比A/Bが0.8以上である。さらに、必要に応じてアルミニウム合金バスバー10にフラットワイズ曲げ加工を行い、所定の形状を得る。
【選択図】図1
【解決手段】アルミニウム合金平角線のアルミニウム合金バスバー10に対するエッジワイズ曲げ加工時に、エッジワイズ曲げ加工部10bを100℃以上250℃以下に加熱する。加熱後、5分以内にエッジワイズ曲げ加工を行う。アルミニウム合金バスバー10は、加熱部のビッカース硬さAと非加熱部のビッカース硬さBの比A/Bが0.8以上である。さらに、必要に応じてアルミニウム合金バスバー10にフラットワイズ曲げ加工を行い、所定の形状を得る。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルミニウム合金バスバーの製造方法及びアルミニウム合金バスバーに関する。
従来から、新幹線、リニアモーターカー、ハイブリッド自動車、電気自動車等の輸送機械には、PCU(Power Control Unit)等の配線用導電部材として、優れた導電性及び強度を有する純銅板よりなるバスバーが用いられている。また、近年では銅に比べて安価であり、比重の小さいアルミニウム合金製のバスバーが検討されている。
しかし、複雑な形状のバスバーをプレスによる打ち抜きによって作成した場合、打ち抜き屑が多量に発生し、歩留りが悪化するという問題がある。
かかる問題の対策として、従来のプレス打ち抜き加工ではなく、エッジワイズ曲げ加工及びフラットワイズ曲げ加工を用いて所望の形状に成形されるバスバー(特許文献1)が提案されている。
アルミニウム合金をバスバーに適用する場合、アルミニウム合金は銅よりも導電率が低いため、より大きな断面積とする必要があり、バスバーを収納する空間上の制約から、幅広のバスバーを使用しなければならない場合がある。しかし、このような幅広のバスバーに対してエッジワイズ曲げ加工を適用しようとした場合、アルミニウム合金の曲げ加工性の低さによってエッジワイズ曲げ外周部に割れが発生するという問題がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、バスバーとして求められる強度を有し、且つ、エッジワイズ曲げ加工を行うことにより高い製品歩留りを有するアルミニウム合金バスバーの製造方法を提供することを目的とする。また、当該アルミニウム合金バスバーの製造方法により製造されたアルミニウム合金バスバーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るアルミニウム合金バスバーの製造方法は、
アルミニウム合金平角線に対してエッジワイズ曲げ加工及び必要に応じてフラットワイズ曲げ加工を行うことにより所定の形状を得るアルミニウム合金バスバーの製造方法であって、
前記エッジワイズ曲げ加工時に加工部を100℃以上250℃以下に加熱し、保持した後、前記エッジワイズ曲げ加工が行われる、
ことを特徴とする。
アルミニウム合金平角線に対してエッジワイズ曲げ加工及び必要に応じてフラットワイズ曲げ加工を行うことにより所定の形状を得るアルミニウム合金バスバーの製造方法であって、
前記エッジワイズ曲げ加工時に加工部を100℃以上250℃以下に加熱し、保持した後、前記エッジワイズ曲げ加工が行われる、
ことを特徴とする。
上記のアルミニウム合金バスバーの製造方法において、
前記保持の時間が5分以内である、
こととしてもよい。
前記保持の時間が5分以内である、
こととしてもよい。
前記アルミニウム合金平角線の材料は、Mg:0.3〜0.9%、Si:0.2〜1.2%、Cu:0.2%以下、Fe:0.5%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有するT6調質のアルミニウム合金材である、
こととしてもよい。
こととしてもよい。
前記エッジワイズ曲げ加工における加工速度が90°/秒以下である、
こととしてもよい。
こととしてもよい。
前記加熱の際、他部品との締結部にあたる部分の温度が150℃以下である、
こととしてもよい。
こととしてもよい。
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るアルミニウム合金バスバーは、
上記のアルミニウム合金バスバーの製造方法により製造されたアルミニウム合金バスバーであって、
加熱部のビッカース硬さAと非加熱部のビッカース硬さBの比A/Bが0.8以上である、
ことを特徴とする。
上記のアルミニウム合金バスバーの製造方法により製造されたアルミニウム合金バスバーであって、
加熱部のビッカース硬さAと非加熱部のビッカース硬さBの比A/Bが0.8以上である、
ことを特徴とする。
上記バスバーの製造方法において、エッジワイズ曲げ加工を行う際に加工部を100℃以上に加熱することで、曲げ加工部のエッジワイズ曲げ加工性を向上させることができる。
また、加熱温度の上限を250℃とすることにより、強度が低下することを防ぐことができる。
以上のように、本発明によれば、エッジワイズ曲げ加工性を向上させることにより高い製品歩留まりを得ることが可能であり、また、材料の軟化を防ぐことで強度に優れるバスバーを得ることが可能となる。
本実施形態では、アルミニウム合金バスバーの製造において、エッジワイズ曲げ加工及び必要によりフラットワイズ曲げ加工が行われる。エッジワイズ曲げ加工とは、アルミニウム合金(純アルミニウムを含む)平角線の導体(以下、平角導体ともいう。)の一方の短辺側の面を内周面、他方の短辺側の面を外周面とし、外周面側から内周面側に曲げ荷重を加えて、平角導体を所定の角度だけ曲げる加工である。これに対して、フラットワイズ曲げ加工とは、アルミニウム合金平角線の導体の一方の長辺側の面を内周面、他方の長辺側の面を外周面とし、外周面側から内周面側に曲げ荷重を加えて、平角導体を所定の角度だけ曲げる加工である。
以下、本実施形態のアルミニウム合金バスバーの製造方法の好ましい形態について説明する。
図1に、エッジワイズ曲げ加工後のアルミニウム合金バスバーの模式図を示す。また、図2にエッジワイズ曲げ加工部と非加工部との境界の模式図を示す。
元板が平角導体であるアルミニウム合金バスバー10は、図1に示すように型20に従いエッジワイズ曲げ加工をされることにより、非加工部10a、エッジワイズ曲げ加工部10b及び非加工部10cを有するバスバーとして形成されている。非加工部10a及び非加工部10cは、概ね直線部である。エッジワイズ曲げ加工部10bは、図中に斜線部で示されている。エッジワイズ曲げ加工前に、エッジワイズ曲げ加工部10bに対応する範囲の加熱を行う。エッジワイズ曲げ加工部10bが、エッジワイズ曲げ加工前の元板のどの範囲に対応するかは、あらかじめ試験的にエッジワイズ曲げ加工を実施する等の方法によって決定することができる。
図2に示すように、エッジワイズ曲げ加工部10bと非加工部10aとの境界は、非加工部10aの基準面11に基づき定義される。具体的には、図示において、基準面11を直線状に延長した仮想の破線から0.1mm外れるエッジワイズ曲げ外周部の点Xの位置を一方の面の境界とする。また、点Xから外周部に略直角である板幅方向に延びる仮想の二点鎖線と曲げ内周部の面とが交差する点Yの位置を他方の境界とする。
図2では非加工部10aとエッジワイズ曲げ加工部10bとの関係における境界の定義を図示しているが、非加工部10cとエッジワイズ曲げ加工部10bとの関係においても同様の境界の定義が成り立つ。また、以下のエッジワイズ曲げ加工においては、アルミニウム合金バスバー10の内、少なくともエッジワイズ曲げ加工部10bの全体が規定の温度に加熱される。
次に、本実施形態のアルミニウム合金バスバーの製造方法の各条件について説明する。
・エッジワイズ曲げ加工部の温度:100℃〜250℃
エッジワイズ曲げ加工部の温度は、高温であるほど曲げ加工性を向上させる作用を有する。一方、過度に高温にした場合、Mg及びSiからなる針状粒子が粗大となり、強度が低下する傾向がある。
エッジワイズ曲げ加工部の温度は、高温であるほど曲げ加工性を向上させる作用を有する。一方、過度に高温にした場合、Mg及びSiからなる針状粒子が粗大となり、強度が低下する傾向がある。
エッジワイズ曲げ加工部の温度を100℃〜250℃とすることにより、材料の強度を維持したままエッジワイズ曲げ加工性を向上させることができる。エッジワイズ曲げ加工部の温度が100℃未満の場合、エッジワイズ曲げ加工性の向上効果が不十分となり、曲げ加工を実施する際に割れ等が発生する可能性がある。一方、エッジワイズ曲げ加工部の温度が250℃を超える場合、上記針状粒子の粗大化によりバスバーとして必要な製品強度が得られなくなる。
・加熱後5分以内にエッジワイズ曲げ加工
エッジワイズ曲げ加工部を加熱した際、Mg及びSiからなる針状粒子の粗大化により、被加熱部の強度は時間とともに徐々に低下する。高温の状態で5分以上保持された場合、上記針状粒子の粗大化により、バスバーとして必要な製品強度が得られなくなる。本実施形態では、加熱温度を上述の範囲内とし、さらに加熱後5分以内にエッジワイズ曲げ加工を完了させることにより、材料が過時効となり強度が低下することを効果的に防ぐことができる。
エッジワイズ曲げ加工部を加熱した際、Mg及びSiからなる針状粒子の粗大化により、被加熱部の強度は時間とともに徐々に低下する。高温の状態で5分以上保持された場合、上記針状粒子の粗大化により、バスバーとして必要な製品強度が得られなくなる。本実施形態では、加熱温度を上述の範囲内とし、さらに加熱後5分以内にエッジワイズ曲げ加工を完了させることにより、材料が過時効となり強度が低下することを効果的に防ぐことができる。
・Mg:0.3〜0.9%
Mg(マグネシウム)は、Siと共存することにより針状粒子を析出させ、析出強化によりアルミニウム合金板の強度を向上させる作用を有する。針状粒子は曲げ加工性を悪化させるため、針状粒子が過剰な場合、曲げ加工性が低下する傾向がある。
Mg(マグネシウム)は、Siと共存することにより針状粒子を析出させ、析出強化によりアルミニウム合金板の強度を向上させる作用を有する。針状粒子は曲げ加工性を悪化させるため、針状粒子が過剰な場合、曲げ加工性が低下する傾向がある。
Mgの含有量を0.3〜0.9%とすることにより、アルミニウム合金板の強度特性及び曲げ加工性を向上させることができる。同じ観点から、Mgの含有量を0.35〜0.85%にすることが好ましい。Mgの含有量が0.3%未満の場合には、針状粒子の数が過少となり、アルミニウム合金板の強度が低くなる。一方、Mgの含有量が0.9%を超える場合には、針状粒子の数が過多となるため、曲げ加工性が低下し、アルミニウム合金板に割れが発生しやすくなる。
・Si:0.2〜1.2%
Si(シリコン)は、Mgと共存することにより針状粒子を析出させ、アルミニウム合金板の強度を向上させる作用を有する。Siの含有量を0.2〜1.2%の範囲とすることにより、アルミニウム合金板の強度特性及び曲げ加工性を向上させることができる。同じ観点から、Siの含有量を0.25〜1.1%にすることが好ましい。
Si(シリコン)は、Mgと共存することにより針状粒子を析出させ、アルミニウム合金板の強度を向上させる作用を有する。Siの含有量を0.2〜1.2%の範囲とすることにより、アルミニウム合金板の強度特性及び曲げ加工性を向上させることができる。同じ観点から、Siの含有量を0.25〜1.1%にすることが好ましい。
Siの含有量が0.2%未満の場合には、針状粒子の数が過少となり、アルミニウム合金板の強度が低くなる。一方、Siの含有量が1.2%を超える場合には、針状粒子の数が過多となるため、曲げ加工性が低下し、アルミニウム合金板に割れが発生しやすくなる。
・Cu:0.2%以下
Cu(銅)は、使用する原料の種類によってある程度混入する可能性がある。Cuは曲げ加工の際にせん断帯の形成を促進する作用を有する。せん断帯が存在すると、曲げ加工の際に生じる微小な割れがせん断帯を伝播して拡大し、アルミニウム合金板に割れが発生し易くなる。それ故、Cuの含有量が過度に多くなると曲げ加工性の低下を招く。そのため、Cuの含有量を0.2%以下に規制することにより、上述の問題を回避し、アルミニウム合金板の曲げ加工性を向上させることができる。同じ観点から、Cuの含有量を0.1%以下に規制することが好ましい。
Cu(銅)は、使用する原料の種類によってある程度混入する可能性がある。Cuは曲げ加工の際にせん断帯の形成を促進する作用を有する。せん断帯が存在すると、曲げ加工の際に生じる微小な割れがせん断帯を伝播して拡大し、アルミニウム合金板に割れが発生し易くなる。それ故、Cuの含有量が過度に多くなると曲げ加工性の低下を招く。そのため、Cuの含有量を0.2%以下に規制することにより、上述の問題を回避し、アルミニウム合金板の曲げ加工性を向上させることができる。同じ観点から、Cuの含有量を0.1%以下に規制することが好ましい。
・Fe:0.5%以下
Fe(鉄)は、Cuと同様に、進歩性原料の種類によってある程度混入する可能性がある。Feの含有量が多くなると、Al母相中に粗大なFe系粒子を発生させ易くなる。粗大なFe系粒子は曲げ加工の際に割れの起点となり得るため、Feの含有量が過度に多くなると曲げ加工性の低下を招き、アルミニウム合金板に割れが発生しやすくなる。そのため、Feの含有量を0.5%以下に規制することにより、上述の問題を回避し、アルミニウム合金板の曲げ加工性を向上させることができる。同じ観点から、Feの含有量を0.4%以下に規制することが好ましい。
Fe(鉄)は、Cuと同様に、進歩性原料の種類によってある程度混入する可能性がある。Feの含有量が多くなると、Al母相中に粗大なFe系粒子を発生させ易くなる。粗大なFe系粒子は曲げ加工の際に割れの起点となり得るため、Feの含有量が過度に多くなると曲げ加工性の低下を招き、アルミニウム合金板に割れが発生しやすくなる。そのため、Feの含有量を0.5%以下に規制することにより、上述の問題を回避し、アルミニウム合金板の曲げ加工性を向上させることができる。同じ観点から、Feの含有量を0.4%以下に規制することが好ましい。
・T6調質
バスバーとして用いられる6000系合金は、強度と導電性が求められることから、T6調質のアルミニウム合金材が好適に用いられる。
バスバーとして用いられる6000系合金は、強度と導電性が求められることから、T6調質のアルミニウム合金材が好適に用いられる。
・加工速度90°/秒以下
アルミニウム合金を高温にて加工する場合、その加工性は加工速度に影響を受ける。エッジワイズ曲げ加工速度が90°/秒を超える場合、曲げ加工性の向上効果が弱くなり、曲げ加工時に割れが発生しやすくなる。
アルミニウム合金を高温にて加工する場合、その加工性は加工速度に影響を受ける。エッジワイズ曲げ加工速度が90°/秒を超える場合、曲げ加工性の向上効果が弱くなり、曲げ加工時に割れが発生しやすくなる。
・他部品との締結部にあたる部分の温度が150℃以下
アルミニウム合金を高温に保持した場合、表面において酸化被膜の成長が起こる。バスバーは他部品と接続する際、ボルトにて締結される場合があり、バスバー表面の酸化被膜が厚い場合、締結部における接触抵抗が高くなり、電圧のロスや発熱の原因となる。締結部にあたる部分の温度が150℃を超えると、酸化被膜の成長が大きくなり、バスバーとして使用した際の接触抵抗が高くなりやすくなる。
アルミニウム合金を高温に保持した場合、表面において酸化被膜の成長が起こる。バスバーは他部品と接続する際、ボルトにて締結される場合があり、バスバー表面の酸化被膜が厚い場合、締結部における接触抵抗が高くなり、電圧のロスや発熱の原因となる。締結部にあたる部分の温度が150℃を超えると、酸化被膜の成長が大きくなり、バスバーとして使用した際の接触抵抗が高くなりやすくなる。
・加熱部の引張強さ:非加熱部の80%以上
バスバーには高い強度が求められることから、エッジワイズ曲げ加工時の加熱により加熱部の強度が非加熱部の80%以下まで低下した場合、バスバーとしての使用に適さない。加熱温度及び保持時間を適切に制御することにより、加熱部の引張強さを非加熱部の80%以上とすることができ、バスバーとして要求される強度を満たすことが可能となる。
バスバーには高い強度が求められることから、エッジワイズ曲げ加工時の加熱により加熱部の強度が非加熱部の80%以下まで低下した場合、バスバーとしての使用に適さない。加熱温度及び保持時間を適切に制御することにより、加熱部の引張強さを非加熱部の80%以上とすることができ、バスバーとして要求される強度を満たすことが可能となる。
なお、本実施形態のバスバーを製造する場合、上記のエッジワイズ曲げ加工の他に必要によりフラットワイズ曲げ加工をすることとしてよい。
上記アルミニウム合金バスバーの製造方法の実施例について、以下に説明する。本例においては、表1に示す合金成分を持つアルミニウム合金板を作成し、表1に示す条件にてエッジワイズ曲げ加工を行い試験材1〜27を得た。化学成分は、表1に示す元素の他、残部はAl及び不可避的不純物からなる。各試験材について、硬さ、エッジワイズ曲げ加工性、接触抵抗について評価を行った。
試験材の作製は、以下の手順により行った。まず、DC鋳造により、表1に示す化学成分を有する厚さ500mm、幅500mmの鋳塊を作製した。得られた鋳塊を550℃で12時間加熱して均質化処理を行った後、熱間圧延を行って厚さ6.0mmの粗圧延板を作製した。なお、熱間圧延の開始時における鋳塊の温度は550℃とした。また、熱間圧延終了時の粗圧延板の温度は350℃であった。その後、粗圧延板に冷間圧延を施し、厚さ1.0〜4.0mmの板材を準備した。バスバーとして用いられるアルミニウム合金板は、1.0〜4.0mmの厚さのものが好適に用いられる。
次に、板材を加熱して溶体化処理を行った。溶体化処理における板材の到達温度は550℃とし、550℃に到達した後の保持時間は1分とした。溶体化処理の後、板材を加熱して人工時効処理を行った。人工時効処理における板材の到達温度は170℃とし、170℃に到達した後の保持時間は8時間とした。このようにして得られた板材を、板幅20〜30mm、長さ300mmに切り出した。エッジワイズ曲げ加工により製造されるバスバーは、エッジワイズ曲げ加工性の確保及び導電性の確保の観点から、20〜40mm程度の板幅が好適に用いられる。
次に、切り出した板材に対してエッジワイズ曲げ加工を行った。エッジワイズ曲げ加工の手順は下記の通りである。まず、表1に示す加熱温度まで加熱したブロックで、加工部位にあたる部分を挟み、板材を加熱した。板材が加熱温度まで加熱された後、表1に示す保持時間のあいだ高温にて保持を行った。その後、内曲げ半径を15mmとして、表1に示す加工速度で90°のエッジワイズ曲げ加工を行い、試験材1〜23を得た。エッジワイズ曲げ加工後の形状は、前述の図1に示されている。
得られた試験材1〜23を用いて、硬さ試験、エッジワイズ曲げ加工性評価及び接触抵抗測定を行った。各試験の詳細を以下に説明する。
<硬さ試験>
JIS Z 2244に規定された試験方法に準じて硬さ試験を行い、試験材の加熱部及び非加熱部のビッカース硬さを測定した。負荷荷重は10kgf(HV10)で試験を行った。非加熱部の硬さA及び加熱部の硬さBより、硬さ試験においては、非加熱部の硬さ50以上かつ加熱部の硬さAと非加熱部の硬さBの比A/Bが0.8以上を合格と判定した。
JIS Z 2244に規定された試験方法に準じて硬さ試験を行い、試験材の加熱部及び非加熱部のビッカース硬さを測定した。負荷荷重は10kgf(HV10)で試験を行った。非加熱部の硬さA及び加熱部の硬さBより、硬さ試験においては、非加熱部の硬さ50以上かつ加熱部の硬さAと非加熱部の硬さBの比A/Bが0.8以上を合格と判定した。
<エッジワイズ曲げ加工性評価>
エッジワイズ曲げ加工性評価は、エッジワイズ曲げ加工部におけるくびれ及び割れの発生の有無を目視にて評価を行った。くびれ無し(良)>くびれ有り>割れあり(悪)の3段階にて評価を行った。エッジワイズ曲げ加工性評価においては、くびれ無し及びくびれ有りの試験材を合格と判定した。
エッジワイズ曲げ加工性評価は、エッジワイズ曲げ加工部におけるくびれ及び割れの発生の有無を目視にて評価を行った。くびれ無し(良)>くびれ有り>割れあり(悪)の3段階にて評価を行った。エッジワイズ曲げ加工性評価においては、くびれ無し及びくびれ有りの試験材を合格と判定した。
<接触抵抗評価>
接触抵抗評価は、試験材の非エッジワイズ曲げ加工部より、幅20mm、長さ40mmの板を2枚切り出し、それぞれの中央部にボール盤を用いて直径6mmの穴を開け、M6のボルトにて締結トルク5N・mで締結を行うことで作成した締結体に対して、四端子法を用いて二枚の板間の抵抗を測定した。接触抵抗評価においては、抵抗100μΩ以下の試験材を合格と判定した。
接触抵抗評価は、試験材の非エッジワイズ曲げ加工部より、幅20mm、長さ40mmの板を2枚切り出し、それぞれの中央部にボール盤を用いて直径6mmの穴を開け、M6のボルトにて締結トルク5N・mで締結を行うことで作成した締結体に対して、四端子法を用いて二枚の板間の抵抗を測定した。接触抵抗評価においては、抵抗100μΩ以下の試験材を合格と判定した。
以上の評価を実施した結果を表2に示す。
表1及び表2より知られるように、試験材1〜24は、上記特定のエッジワイズ曲げ加工法によりエッジワイズ曲げ加工を行われた。そのため、試験材1〜24は、優れた強度及びエッジワイズ曲げ加工性、接触抵抗を示した。試験材1〜24は、バスバーに要求される特性を満足しており、バスバーの素材として好適である。
試験材25は、エッジワイズ曲げ加工時における加熱温度が低いため、エッジワイズ曲げ加工性向上の効果が十分に得られず、エッジワイズ曲げ加工性評価において不合格と判定された。
試験材26は、エッジワイズ曲げ加工時における加熱温度が高いため、針状粒子の粗大化による強度低下が発生し、加熱部の硬さ試験において不合格と判定された。
試験材27は、エッジワイズ曲げ加工時における保持時間が長いため、針状粒子の粗大化による強度低下が発生し、加熱部の硬さ試験において不合格と判定された。
10 アルミニウム合金バスバー
10a、10c 非加工部
10b エッジワイズ曲げ加工部
11 基準面
20 型
10a、10c 非加工部
10b エッジワイズ曲げ加工部
11 基準面
20 型
Claims (6)
- アルミニウム合金平角線に対してエッジワイズ曲げ加工及び必要に応じてフラットワイズ曲げ加工を行うことにより所定の形状を得るアルミニウム合金バスバーの製造方法であって、
前記エッジワイズ曲げ加工時に加工部を100℃以上250℃以下に加熱し、保持した後、前記エッジワイズ曲げ加工が行われる、
ことを特徴とするアルミニウム合金バスバーの製造方法。 - 前記保持の時間が5分以内である、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金バスバーの製造方法。 - 前記アルミニウム合金平角線の材料は、Mg:0.3〜0.9%、Si:0.2〜1.2%、Cu:0.2%以下、Fe:0.5%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる化学成分を有するT6調質のアルミニウム合金材である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム合金バスバーの製造方法。 - 前記エッジワイズ曲げ加工における加工速度が90°/秒以下である、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金バスバーの製造方法。 - 前記加熱の際、他部品との締結部にあたる部分の温度が150℃以下である、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金バスバーの製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金バスバーの製造方法により製造されたアルミニウム合金バスバーであって、
加熱部のビッカース硬さAと非加熱部のビッカース硬さBの比A/Bが0.8以上である、
ことを特徴とするアルミニウム合金バスバー。
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