JP2018206609A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
一般に、リチウム遷移金属複合酸化物の合成工程において、焼結反応が十分進行すると、粒子の空隙率が小さくなる傾向があることが知られている。焼結反応を十分進行させるための方法としては、焼成温度を高くする方法や、焼結助剤としてLiFを混合する方法が知られている(例えば、非特許文献1〜3参照)。
0.5≦I(101)/I(100)≦0.7
を満たし、前記易黒鉛化性炭素材料のc軸方向の結晶子の厚みLc(004)が20nm以上60nm以下であり、前記非水電解質は、非水溶媒と前記非水溶媒に溶解された溶質とを含み、前記非水溶媒は、プロピレンカーボネートと、エチレンカーボネートと、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートから選ばれる少なくとも1種の鎖状カーボネートと、を含み、前記プロピレンカーボネートと前記エチレンカーボネートとが、前記非水溶媒の40体積%以上80体積%以下を占め、前記鎖状カーボネートが、前記非水溶媒の20体積%以上60体積%以下を占め、前記プロピレンカーボネートと前記エチレンカーボネートとの合計に占める前記プロピレンカーボネートの割合が、60体積%以上90体積%以下である非水電解質二次電池。」(請求項1)が記載されている。
LiAM1-XMexO2(1)
LiAM2-xMexO4(2)
式(1)において、Mは例えばCo、Ni、Mn、V、Geなどの遷移金属を示す。式(2)において、Mは例えばMn、Fe、Niなどの遷移金属を示す。式(1)及び(2)において、Meは、周期率表の3〜10族元素、例えばZr、V、Cr、Mo、Fe、Co、Mn、Niなど、または13〜15族元素、例えばB、Al、Ge、Pb、Sn、Sbなどを示す。但し、Meとしては、Mとして選択された元素と異なる元素を選択する。‥これらのうち、本発明においてはLiCoO2が特に好ましいものとして挙げられる。」(段落[0029]〜[0031])、「低温下において粘度が高くならない電解液を使用すれば、活物質密度を低下させることなく、低温下において電極内部に電解液を浸透させることができるため、低温特性の改善を図ることができると考えられる。しかしながら、従来の電解液においては、粘度を低くしようとすると、却って凝固点を上昇させてしまうという問題がある。例えば、従来より電解液に配合される成分のうちジメチルカーボネートは、配合比を高めることで電解液の粘度を低くする作用があるが、逆に電解液の凝固点を上昇させてしまう。」(段落[0007])と記載されている。
正極と、負極と、非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、前記正極は、α−NaFeO2構造を有し、CuKα線を使用した粉末エックス線回折図の2θ:44±1°における回折ピークの半値幅が0.125〜0.145°であり、空隙率が1.5〜3.5%であるリチウム遷移金属複合酸化物を活物質として含有し、前記非水電解質は、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含有する非水溶媒を含み、前記非水溶媒に占める前記鎖状カーボネートの体積比率が60%以上であり、前記鎖状カーボネート中に占めるジメチルカーボネートの体積比率が10%以上である非水電解質二次電池。
本発明の一実施形態(以下、「本実施形態」という。)に係る非水電解質二次電池の正極活物質が含有するリチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属元素(Me)としてNi、Co及びMnを含むことが好ましい。典型的には、組成式Li1+xMe1−xO2(Me:Ni、Co及びMnを含む遷移金属)で表される。エネルギー密度が高い非水電解質二次電池を得るために、−0.1<x<0.1であることが好ましい。−0.05≦x≦0.09であることがより好ましい。
本実施形態においては、非水電解質二次電池の充放電サイクル性能を向上させるために、a、すなわち遷移金属元素Meに対するNiのモル比Ni/Meは、0.3〜0.6とすることが好ましい。本実施形態に係るリチウム遷移金属複合酸化物は、上記したように、CuKα線を使用した粉末エックス線回折図の2θ:44±1°における回折ピークの半値幅が0.125〜0.145°であり、空隙率が1.5〜3.5%である。リチウム遷移金属複合酸化物がこのような特徴を備えることで、充放電サイクル性能に優れた非水電解質二次電池を提供できるという作用効果を奏する。上記作用は、遷移金属元素Meに対するNiのモル比Ni/Meが比較的大きいリチウム遷移金属複合酸化物に適用することで、より効果的に奏される。従って、Ni/Meは、0.4〜0.6とすることがより好ましい。
また、活物質粒子の導電性を十分なものとするために、b、すなわち遷移金属元素Meに対するCoのモル比Co/Meは、0〜0.4とすることが好ましい。
また、材料コストを低減するために、c、すなわち遷移金属元素Meに対するMnのモル比Mn/Meは、0.2〜0.6とすることが好ましく、0.2〜0.5とすることがより好ましい。
FWHM(104)が0.125°より小さい場合は、空隙率が1.5〜3.5%の範囲でも、充放電サイクル性能は低下する。FWHM(104)が0.145°より大きい場合は、それに伴い空隙率も3.5%を超え、充放電サイクル性能は低下する。FWHM(104)が0.125〜0.145°の範囲でも、空隙率が3.5%を超えると、充放電サイクル性能は低下する。
したがって、本実施形態に係る正極活物質においては、FWHM(104)を0.125〜0.145°とし、空隙率を1.5〜3.5%とすることが重要である。
結晶学的には、FWHM(104)は立体的な結晶性を示すパラメータであり、FWHM(104)が大きいほど結晶全体の格子歪みが大きいことを示すものである。したがって、FWHM(104)が0.125〜0.145°であることは結晶の格子歪みが一定範囲内に収まっていることを示していると考えられる。
また、空隙率が1.5〜3.5%であることは、活物質粒子内部の細孔体積が一定範囲内に収まっていることを示していると考えられる。空隙率が1.5%未満であると、電解液が活物質粒子の内部に至って浸透し難いため、良好なサイクル特性を得ることができない。また、空隙率が3.5%を超えると、活物質粒子の比表面積が高くなりすぎるため、特に充電時の電解液との副反応が促進され、良好なサイクル特性を得ることができない。
よって、結晶の格子歪みと活物質粒子内部の細孔体積を一定範囲とすることで、充放電サイクル性能が優れる効果が奏されると推測される。
リチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造、及び半値幅の測定は、エックス線回折装置を用いて粉末エックス線回折測定を行う。本願明細書において、FWHM(104)は、次の条件で測定されるものとして規定される。線源はCuKα、加速電圧及び電流はそれぞれ30kV及び15mAとする。サンプリング幅は0.01deg、走査時間は14分(スキャンスピードは5.0)、発散スリット幅は0.625deg、受光スリット幅は開放、散乱スリットは8.0mmとする。得られたエックス線回折データについて、前記エックス線回折装置の付属ソフトである「PDXL」を用いて、空間群R3−mでは(104)面に指数付けされる、エックス線回折図上2θ=44°±1°に存在する回折ピークについての半値幅FWHM(104)を決定する。
本願明細書において、リチウム遷移金属複合酸化物の空隙率は、次の条件で測定されるものとして規定される。測定は、Quantachrome社製の「autosorb iQ」及び制御・解析ソフト「ASiQwin」を用いる。リチウム遷移金属複合酸化物の粒子1.00gを測定用のサンプル管に入れ、120℃にて12h真空乾燥することで、測定試料中の水分を十分に除去する。次に、液体窒素を用いた窒素ガス吸着法により、相対圧力P/P0(P0=約770mmHg)が0から1の範囲内で吸着側及び脱離側の等温線を測定する。そして、脱離側の等温線を用いてBJH法により計算することにより細孔分布を評価し、細孔容積ΔVを求める。また、別途、Quantachrome社製の「ULTRAPYCNOMETER1000」を用い、ヘリウムガスを用いた真密度測定により、リチウム遷移金属複合酸化物の粒子の真密度dを求める。これらを用いて、空隙率は以下の式で計算される。
(空隙率)= ΔV/(1/d+ΔV)×100 「%」
次に、本実施形態に係る非水電解質二次電池用活物質を製造する方法について説明する。
本発明の非水電解質二次電池用活物質は、基本的に、活物質を構成する金属元素(Li,Ni,Co,Mn)を目的とする活物質(酸化物)の組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Ni,Co,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめNi,Co,Mnを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはNi,Coに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnxO2など)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例においては、「共沈法」を採用した。
共沈前駆体を作製するにあたって、Ni,Co,MnのうちMnは酸化されやすく、Ni,Co,Mnが2価の状態で均一に分布した共沈前駆体を作製することが容易ではないため、Ni,Co,Mnの原子レベルでの均一な混合は不十分なものとなりやすい。したがって、本実施形態においては、共沈前駆体に分布して存在するMnの酸化を抑制するために、溶存酸素を除去することが好ましい。溶存酸素を除去する方法としては、酸素を含まないガスをバブリングする方法が挙げられる。酸素を含まないガスとしては、限定されるものではないが、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素(CO2)等を用いることができる。
また、前記共沈前駆体を共沈炭酸塩前駆体として作製しようとする場合には、7.5〜11とすることができる。pHを9.4以下とすることにより、タップ密度を1.25g/cm3以上とすることができ、高率放電性能を向上させることができる。さらに、pHを8.0以下とすることにより、粒子成長速度を促進できるので、原料水溶液滴下終了後の撹拌継続時間を短縮できる。
上記のようにして、共沈反応溶液中にフッ素イオンを存在させて得られた前駆体を、LiF等の焼結助剤の存在下で焼成するという従来技術と組み合わせることで、FWHM(104)が0.125〜0.145°であり、空隙率が1.5〜3.5%である正極活物質を得ることができ、充放電サイクル性能の向上という効果が奏される。作用機構としては、以下のような推察も可能であると思われる。焼成時にLiF等の焼結助剤を適用するだけでは、前駆体粒子と焼結助剤とが固相で接触するだけであるので、活物質粒子の表面にしか焼結助剤の作用が及ばない。これに対して、本実施形態では、溶液からの前駆体形成段階でフッ素を共存させることで、前駆体粒子内部にまでフッ素を存在させることができるので、結晶形態が丸みを帯びる傾向のある焼結効果がより有効に発揮され、結晶性の均一性が高く、空隙率が適度に小さい活物質が得られる。そのため、電解液との副反応が抑制され、充放電サイクル性能が向上したと推察される。
Li化合物として通常使用されている水酸化リチウム、炭酸リチウムと共に、焼結助剤としてLiF、Li2SO4、又はLi3PO4を使用することが好ましい。これらの焼結助剤の添加比率は、Li化合物の総量に対して1〜10mol%とすることが好ましい。なお、Li化合物の総量は、焼成中にLi化合物の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
焼成温度が低すぎると、結晶化が十分に進まず、電極特性が低下する傾向がある。本実施形態において、焼成温度は900℃以上とすることが好ましい。900℃以上とすることにより、活物質の回折ピークの半値幅FWHM(104)を0.145°以下とすることができ、充放電サイクル性能を向上させることができる。
また、発明者らは、活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することで750℃より低い温度で合成した試料においては格子内に歪みが残存しており、それ以上の温度で合成することでほとんど歪みを除去することができることを確認した。そして、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本実施形態に係る活物質の組成においても、系内に格子の歪みがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼす歪み量が2%以下、かつ結晶子サイズが50nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)及びLi/Me比組成を採用することが好ましいことがわかった。これらの活物質を用いた電極を成型して充放電を行うと、膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは30nm以上を保っていることが効果が得られるので好ましい。
したがって、本発明のリチウム遷移金属複合酸化物を含有する正極活物質を作製する場合、充放電サイクル性能を向上させるために、焼成温度は900〜1000℃とすることが好ましい。
負極材料としては、限定されるものではなく、リチウムイオンを放出あるいは吸蔵することのできる形態のものであればどれを選択してもよい。例えば、Li[Li1/3Ti5/3]O4に代表されるスピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム等のチタン系材料、SiやSb,Sn系などの合金系材料リチウム金属、リチウム合金(リチウム−シリコン、リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−スズ、リチウム−アルミニウム−スズ、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、酸化珪素の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。
正極及び負極の主要構成成分である正極活物質の粉体及び負極材料の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが好ましい。特に、正極活物質の粉体は、非水電解質電池の高出力特性を向上する目的で10μm以下であることが好ましい。粉体を所定の形状で得るために、粉砕機や分級機を用いてもよい。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
本実施形態に係る非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含有する非水溶媒を含み、前記非水溶媒に占める鎖状カーボネートの体積比率が60%以上であり、前記鎖状カーボネート中に占めるDMCの体積比率が10%以上であれば、特に限定されるものではなく、一般に非水電解質二次電池等への使用が提案されているものが使用可能である。環状カーボネートとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等;DMC以外の鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が挙げられる。
非水溶媒は、本発明の効果を損なわない限り、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフラン又はその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソラン又はその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトン又はその誘導体等を単独又は2種以上含有していてもよい。
前記鎖状カーボネート中に占めるDMCの体積比率は、低温性能を向上させるために、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることが特に好ましい。
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
本実施形態に係る非水電解質二次電池の構成については特に限定されるものではなく、従来用いられてきた端子、絶縁版、電池容器等をそのまま用いて差し支えない。外観の形状としては、円筒型電池、角型(矩形状)電池、扁平型電池等が挙げられる。
本発明は、上記の非水電解質二次電池1を複数個集合した蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を図4に示す。図4において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質二次電池1を備えている。前記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
(参考例1)
(参考例1−1)
<前駆体作製工程>
非水電解質二次電池用正極活物質の作製にあたって、反応晶析法を用いて水酸化物前駆体を作製した。まず、硫酸ニッケル6水和物350.5g、硫酸コバルト7水和物374.8g、硫酸マンガン5水和物321.5gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が1:1:1となる1.0mol/Lの硫酸塩水溶液を作製した。次に、5Lの反応槽に、0.01mol/Lとなるようにフッ化アンモニウムをイオン交換水に溶解させた水溶液2Lを注ぎ、Arガスを30minバブリングさせることにより、イオン交換水中に含まれる酸素を除去した。反応槽の温度は50℃(±2℃)に設定し、攪拌モーターを備えたパドル翼を用いて反応槽内を1500rpmの回転速度で攪拌しながら、反応層内に対流が十分おこるように設定した。前記硫酸塩水溶液を3ml/minの速度で反応槽に滴下した。ここで、滴下の開始から終了までの間、4.0mol/Lの水酸化ナトリウム、0.5mol/Lのアンモニア水、及び0.5Mのヒドラジンからなる混合アルカリ溶液を適宜滴下することにより、反応槽中のpHが常に11.0(±0.1)を保つように制御すると共に、反応液の一部をオーバーフローにより排出することにより、反応液の総量が常に2Lを超えないように制御した。滴下終了後、反応槽内の攪拌をさらに3h継続した。攪拌の停止後、室温で12h以上静置した。
次に、吸引ろ過装置を用いて、反応槽内に生成した水酸化物前駆体粒子を分離し、さらにイオン交換水を用いて粒子に付着しているナトリウムイオンを洗浄除去し、電気炉を用いて、空気雰囲気中、常圧下、80℃にて20h乾燥させた。その後、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、水酸化物前駆体を作製した。
前記水酸化物前駆体1.898gに、水酸化リチウム1水和物0.887g、フッ化リチウム0.006gを加え、瑪瑙製自動乳鉢を用いてよく混合し、Li:(Ni,Co,Mn):Fのモル比が1:1:0.01となるように混合粉体を調製した。ペレット成型機を用いて、6MPaの圧力で成型し、直径25mmのペレットとした。ペレット成型に供した混合粉体の量は、想定する最終生成物の質量が2gとなるように換算して決定した。前記ペレット1個を全長約100mmのアルミナ製ボートに載置し、箱型電気炉(型番:AMF20)に設置し、空気雰囲気中、常圧下、常温から900℃まで10時間かけて昇温し、900℃で5h焼成した。前記箱型電気炉の内部寸法は、縦10cm、幅20cm、奥行き30cmであり、幅方向20cm間隔に電熱線が入っている。焼成後、ヒーターのスイッチを切り、アルミナ製ボートを炉内に置いたまま自然放冷した。この結果、炉の温度は5時間後には約200℃程度にまで低下するが、その後の降温速度はやや緩やかである。一昼夜経過後、炉の温度が100℃以下となっていることを確認してから、ペレットを取り出し、粒径を揃えるために、瑪瑙製自動乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、参考例1−1に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を作製した。
前記焼成工程において、前記混合粉体を調製する際に、フッ化リチウムの添加量をそれぞれ0.012g、0.018g、0.024g、又は0.030gに変更した以外は、参考例1−1と同様にして、それぞれ、参考例1−2〜1−5に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を作製した。
前記焼成工程において、前記混合粉体を調製する際に、フッ化リチウムに代えて、0.012gの硫酸リチウム又は0.008gのリン酸リチウムを加えた以外は、参考例1と同様にして、それぞれ、参考例1−6,1−7に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を作製した。
前記前駆体作製工程において、Ni:Co:Mnのモル比を、1:1:1から、それぞれ、6:0:4、5:0:5、5:1:4、5:2:3、5:3:2に変更した以外は、参考例1−1と同様にして、それぞれ、参考例1−8〜1−12に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.6Mn0.4O2、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.5Co0.1Mn0.4O2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2、LiNi0.5Co0.3Mn0.2O2を作製した。
前記前駆体作製工程において、フッ化アンモニウム水溶液を添加しない点を除いて、参考例1−1と同様にして、比較参考例1−1に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を作製した。
前記焼成工程において、前記混合粉体を調製する際にフッ化リチウムを添加しない点を除いて、参考例1−1と同様にして、比較参考例1−2に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を作製した。
前記前駆体作製工程において、フッ化アンモニウム水溶液を添加せず、前記焼成工程において、前記混合粉体を調製する際にフッ化リチウムを添加しない点を除いて、参考例1−1と同様にして、比較参考例1−3に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を作製した。
参考例1−1〜1−12及び比較参考例1−1〜1−3に係るリチウム遷移金属複合酸化物をそれぞれ非水電解質二次電池用正極活物質として用いて、以下の手順で、参考例1−1〜1−12及び比較参考例1−1〜1−3に係る非水電解質二次電池用正極を作製した。N−メチルピロリドンを分散媒とし、正極活物質、アセチレンブラック(AB)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)が質量比90:5:5の割合で混練分散されている塗布用ペーストを作製した。該塗布ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の片方の面に塗布し、正極板を作製した。なお、全ての参考例及び比較参考例に係る非水電解質二次電池同士で試験条件が同一になるように、一定面積当たりに塗布されている活物質の質量及び塗布厚みを統一した。
非水電解質二次電池の負極には、グラファイト電極を用いた。
グラファイト電極は、水を分散媒とし、グラファイト、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)が質量比96.7:2.1:1.2の割合で混練分散されている塗布用ペーストを厚さ10μmの銅箔集電体の片方の面に塗布、乾燥して作製した。該塗布ペーストの塗布量は、上記正極板と組み合わせたときに電池の容量が負極によって制限されないように調整した。
非水電解質として、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)が体積比30:35:35である混合溶媒に濃度が1mol/LとなるようにLiPF6を溶解させた溶液を用いた。
参考例1−1〜1−12及び比較参考例1−1〜1−3に係るリチウム遷移金属複合酸化物をそれぞれ用いて作製した正極、前記グラファイト電極、及びセパレータを積層して電極体を作製した。
セパレータとして、ポリアクリレートで表面改質したポリプロピレン製の微孔膜を用いた。外装体には、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用いた。正極端子及び負極端子の開放端部が外部露出するように前記外装体に前記電極体を収納し、前記金属樹脂複合フィルムの内面同士が向かい合った融着代を注液孔となる部分を除いて気密封止し、前記非水電解質を注液後、注液孔を封止して、参考例1−1〜1−12及び比較参考例1−1〜1−3に係る非水電解質二次電池を作製した。
それぞれの参考例、比較参考例に係る非水電解質二次電池について、25℃にて、2サイクルの初期充放電を行った。充電は、電流0.1C、電圧4.35Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が1/6に減衰した時点とした。放電は、電流0.1C、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。ここで、充電後及び放電後にそれぞれ10分の休止過程を設けた。初期放電容量を確認した。
続いて、100サイクルの充放電サイクル試験を行った。充電は、電流1C、電圧4.35Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が1/6に減衰した時点とした。放電は、電流1C、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。ここで、充電後及び放電後にそれぞれ10分の休止過程を設けた。
上記充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の百分率を算出し、「サイクル容量維持率(%)」とした。
(参考例2−1)
前記前駆体作製工程において、硫酸ニッケル6水和物473.1g、硫酸コバルト7水和物281.1g、硫酸マンガン5水和物289.3gを秤量し、これらの全量をイオン交換水4Lに溶解させ、Ni:Co:Mnのモル比が45:25:30となる1.0Mの硫酸塩水溶液を作製した以外は、参考例1−1と同様にして、水酸化物前駆体を作製した。
焼成工程において、前記水酸化物前駆体1.897gに、水酸化リチウム1水和物0.886g、フッ化リチウム0.006gを加え、Li:(Ni,Co,Mn):Fのモル比が1:1:0.01となるように混合粉体を調製した以外は、参考例1−1と同様にして、焼成(ペレットの焼成温度は900℃)を行い、参考例2−1に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.45Co0.25Mn0.30O2を作製した。
前記焼成工程において、前記ペレットの焼成温度を、900℃から、それぞれ、920℃、940℃、960℃、980℃、1000℃に変更した以外は、参考例2−1と同様にして、それぞれ、参考例2−2〜2−6に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.45Co0.25Mn0.30O2を作製した。参考例2−4に係るリチウム遷移金属複合酸化物の粒子の写真を図1に示す。
前記前駆体作製工程において、Ni:Co:Mnのモル比を、45:25:30から、それぞれ、40:30:30、50:25:25、55:20:25に変更した以外は、参考例2−4と同様にして、それぞれ、参考例2−7〜2−9に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.40Co0.30Mn0.30O2、LiNi0.50Co0.25Mn0.25O2、LiNi0.55Co0.20Mn0.25O2を作製した。
前記前駆体作製工程において、Ni:Co:Mnのモル比を、45:25:30から、それぞれ、60:0:40、50:0:50に変更した以外は、参考例2−6と同様にして、それぞれ、参考例2−10、2−11に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.60Mn0.40O2、LiNi0.50Mn0.50O2を作製した。
前記焼成工程において、前記混合粉体を調製する際に、フッ化リチウム0.006gに代えて、硫酸リチウム0.012gを加えた以外は、参考例2−4と同様にして、参考例2−12に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.45Co0.25Mn0.30O2を作製した。
前記焼成工程において、前記混合粉体を調製する際に、フッ化リチウム0.006gに代えて、リン酸リチウム0.008gを加えた以外は、参考例2−4と同様にして、参考例2−13に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.45Co0.25Mn0.30O2を作製した。
前記前駆体作製工程において、フッ化アンモニウム水溶液を添加しないで水酸化物前駆体を作製し、前記焼成工程において、フッ化リチウム0.006gに代えて、フッ化アンモニウム0.009gを加え、Li:(Ni,Co,Mn):Fのモル比が1:1:0.01となるように混合粉体を調製した以外は、参考例2−6と同様にして、参考例2−14に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.45Co0.25Mn0.30O2を作製した。
前記焼成工程において、前記ペレットの焼成温度を、900℃から、それぞれ、880℃、1050℃に変更した以外は、参考例2−1と同様にして、それぞれ、比較参考例2−1、2−2に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.45Co0.25Mn0.30O2を作製した。
前記前駆体作製工程において、フッ化アンモニウム水溶液を添加せず、前記焼成工程において、前記混合粉体を調製する際にフッ化リチウムを添加しない点を除いて、参考例2−1と同様にして、比較参考例2−3に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.45Co0.25Mn0.30O2を作製した。この比較参考例2−3に係るリチウム遷移金属複合酸化物の粒子の写真を図2に示す。
前記前駆体作製工程において、フッ化アンモニウム水溶液を添加しない点を除いて、参考例2−1と同様にして、比較参考例2−4に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.45Co0.25Mn0.30O2を作製した。
前記焼成工程において、前記混合粉体を調製する際にフッ化リチウムを添加しない点を除いて、参考例2−1と同様にして、比較参考例2−5に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.45Co0.25Mn0.30O2を作製した。
前記前駆体作製工程において、Ni:Co:Mnのモル比を、45:25:30から、80:10:10に変更し、前記焼成工程において、前記ペレットの焼成温度を、900℃から、それぞれ、700℃、800℃に変更した以外は、参考例2−1と同様にして、それぞれ、比較参考例2−6、2−7に係るリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.80Co0.10Mn0.10O2を作製した。
参考例2−1〜2−14及び比較参考例2−1〜2−7に係るリチウム遷移金属複合酸化物をそれぞれ正極活物質として用いた以外は参考例1−1と同様にして作製した正極、前記グラファイト電極(負極)、及び前記非水電解質を用いて、参考例1−1と同様にして、参考例2−1〜2−14及び比較参考例2−1〜2−7に係る非水電解質二次電池を作製した。
作製された非水電解質二次電池は、25℃の下、初期充放電工程に供した。充電は、電流0.1C、電圧4.6Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が1/6に減衰した時点とした。放電は、電流0.1C、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。この充放電を2サイクル行った。ここで、充電後及び放電後にそれぞれ30分の休止過程を設けた。
続いて、参考例1と同様の条件で、100サイクルの充放電サイクル試験を行った。
上記充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の百分率を算出し、「サイクル容量維持率(%)」とした。
これに対して、FWHM(104)が0.125より小さくても、0.145°より大きくても、サイクル容量維持率は低くなる(比較参考例2−1、2−2、2−7参照)。また、FWHM(104)が0.125〜0.145°の範囲内にあっても、空隙率が3.5%を超えると、サイクル容量維持率は低くなる(比較参考例2−3〜2−6参照)。
したがって、本参考例から、充放電サイクル性能を向上させるためには、FWHM(104)を0.125〜0.145°、かつ空隙率を1.5〜3.5%とすることが必要であることがわかる。
焼成温度が低すぎると空隙率が3.5%より大きくなり(比較参考例2−1、2−6)、また、FWHM(104)が0.145°より大きくなる場合があり(比較参考例2−1)、焼成温度が高すぎるとFWHM(104)が0.125°より小さくなる(比較参考例2−2)ので、充放電サイクル性能を向上させるために、焼成温度は、900〜1000℃とすることが好ましい。
また、Niの含有量が多すぎるとFWHM(104)が0.125°より小さくなる場合がある(比較参考例2−7)ので、遷移金属元素Meに対するNiのモル比Ni/Meは、0.3〜0.6とすることが好ましい。
前記参考例2−1で作製したリチウム遷移金属複合酸化物LiNi0.45Co0.25Mn0.30O2を正極活物質として用い、非水電解質として、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)の体積比率が30:70である非水溶媒を用いた以外は、参考例1−1と同様にして、実施例1−1に係る非水電解質二次電池を作製した。
実施例1−1に係る非水電解質二次電池を2群に分け、それぞれ25℃、及び0℃の下、初期充放電工程に供した。充電は、電流0.1CmA、電圧4.6Vの定電流定電圧充電とし、充電終止条件は電流値が1/6に減衰した時点とした。放電は、電流0.1CmA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。この充放電を2サイクル行い、充電後及び放電後にそれぞれ30分の休止過程を設け、25℃、及び0℃における初期容量を測定し、25℃における初期容量に対する0℃における初期容量の比率を算出し、これを低温性能の評価に用いた。
続いて、参考例1と同様にして、100サイクルの充放電サイクル試験を行い、上記充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の百分率を算出し、「サイクル容量維持率(%)」とした。
なお、前記低温性能の評価、及び充放電サイクル試験は、後述するすべての実施例及び比較例に係る非水電解質二次電池についても、実施例1−1と同様にして行った。
前記参考例2−2〜2−6、及び比較参考例2−1、2−2で作製したリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質に用いた以外は、実施例1−1と同様にして、実施例1−2〜1−6、及び比較例1−1、比較例1−2に係る非水電解質二次電池を作製した。
一方、実施例1−1〜1−6、及び比較例1−1、1−2に係る非水電解質二次電池は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを体積比率30:70で含有し、鎖状カーボネートがDMCである非水溶媒を含む非水電解質を備えており、低温性能が優れていることがわかる。
非水電解質における溶媒組成を、体積比率でEC:DMC:EMC=30:35:35に変更した以外はそれぞれ実施例1−1〜1−6、及び比較例1−1、1−2と同様にして、実施例2−1〜2−6、及び比較例2−1、2−2に係る非水電解質二次電池(参考例2−1〜2−6、比較参考例2−1、2−2に係る非水電解質二次電池と同じ電池)を作製した。
非水電解質における溶媒組成を、体積比率でEC:DMC:DECの30:35:35の混合溶媒に変更した以外は実施例1−1と同様にして、実施例2−7に係る非水電解質二次電池を作製した。
これらの電池について、サイクル容量維持率及び低温性能評価の結果を表4に示す。
一方、低温性能については、実施例、比較例に係る非水電解質二次電池は、すべて80%以上を確保しているので、一定の効果を有することがわかる。
非水電解質におけるEC:DMCの体積比率を、それぞれ20:80、及び40:60に変更した以外は実施例1−1と同様にして、それぞれ実施例3−1、実施例3−2に係る非水電解質二次電池を作製した。
非水電解質における非水溶媒を、FEC:DMCの体積比率30:70、及びPC:DMCの体積比率30:70の混合溶媒に変更した以外は実施例1−1と同様にして、それぞれ実施例3−3、実施例3−4に係る非水電解質二次電池を作製した。
これらの電池について、サイクル容量維持率及び低温性能評価の結果を表5に示す。
実施例3−3、3−4から、環状カーボネートとしてEC以外にFEC又はPCを用いても、本発明の効果を奏することがわかる。
前記参考例2−8、2−9に係る電池と同じ電池を作製し、低温性能、及び充放電サイクル性能を評価した。
その結果を実施例2−4とともに表6に示す。
非水電解質に含まれる鎖状カーボネート中のDMCの体積比率を、40%、30%、20%、10%、0%とした以外は、実施例2−1と同様にして実施例5−1〜5−4、及び比較例5−1に係る非水電解質二次電池を作製し、低温性能、及び充放電サイクル性能を評価した。
結果を実施例1−1、実施例2−1とともに表7に示す。
非水電解質に含まれる鎖状カーボネート中のDMCの体積比率を、40%、30%、20%、10%、0%とした以外は、比較例1−1と同様にして比較例6−1〜6−5に係る非水電解質二次電池を作製し、低温性能、及び充放電サイクル性能を評価した。
結果を比較例1−1、比較例2−1とともに表8に示す。
したがって、低温性能と充放電サイクル性能がともに優れるという効果を得るためには、FWHM(104)が0.125〜0.145°、空隙率が1.5〜3.5%を満たすリチウム遷移金属複合酸化物を活物質とすると共に、DMCの体積比率を10%以上とすることが好ましく、30%以上とすることがより好ましいといえる。
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (2)
- 正極と、負極と、非水電解質を備えた非水電解質二次電池であって、
前記正極は、α−NaFeO2構造を有し、CuKα線を使用した粉末エックス線回折図の2θ:44±1°における回折ピークの半値幅が0.125〜0.145°であり、空隙率が1.5〜3.5%であるリチウム遷移金属複合酸化物を活物質として含有し、
前記非水電解質は、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含有する非水溶媒を含み、前記非水溶媒に占める前記鎖状カーボネートの体積比率が60%以上であり、前記鎖状カーボネート中に占めるジメチルカーボネートの体積比率が10%以上である非水電解質二次電池。 - 前記リチウム遷移金属複合酸化物は、遷移金属元素Meに対するNiのモル比Ni/Meが0.4〜0.6である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
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