JP2018203967A - 熱硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いガラス転移温度と優れた耐熱性を有する硬化物となる低温硬化性エポキシ樹脂組成物の提供。【解決手段】 下記(A)及び(B)を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物。(A)下記一般式(1)【化1】(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示す。)で示されるエポキシ化合物(B)25℃で固体であり、融点が50〜120℃の範囲にあり、脂肪族ポリアミン化合物又は脂環式ポリアミン化合物とエポキシ樹脂との反応物である、変性ポリアミン系硬化剤【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物に関する。
半導体基板を封止するポッティング材は熱硬化性シリコーンが広く用いられてきたが、近年の半導体基板の微細化や高性能化により、より高信頼性のエポキシ樹脂が使用される傾向にある。しかしながら、通常のエポキシ樹脂では150℃以上の高温での硬化が必要となり、熱に弱い部材を封止する用途に適していなかった。従って、これらの部材に使用される熱硬化性エポキシ封止材の要求特性として、高耐熱性に加え、低温で迅速に硬化することが求められている。
特許文献1には、アミン化合物とポリグリシジル化合物とを反応させて得られる付加反応物及びフェノール樹脂を含有する潜在性硬化剤組成物を用いた一液硬化性エポキシ樹脂組成物が開示されている。該一液硬化性エポキシ樹脂組成物は、低温硬化性に優れるものの該組成物の硬化物の耐熱性に劣る。
また、特許文献2には、熱硬化性樹脂、チオール系硬化剤、潜在性硬化剤及び金属塩等の安定化剤を含有する低温硬化性樹脂組成物が開示されている。しかし、チオール系硬化剤は強い臭気を有し、使用が避けられている。また、特許文献2の樹脂組成物は、ガラス転移温度も低く、信頼性が不十分である。
特許文献3には、エチレンジアミンを吸着したモレキュラーシーブスを潜在型硬化剤として用いたエポキシ樹脂組成物が開示されている(特許文献3参照)。しかし、特許文献3の樹脂組成物ではアミン系硬化剤としてエチレンジアミンを用いており、その毒性が懸念される。また、該組成物の硬化物の耐熱性も不十分である。
上述したように、これまで得られる硬化物の耐熱性に優れ、迅速に低温硬化するエポキシ樹脂組成物の開発は十分でなかった。
国際公開第2012/020572号 特開2015−218261号公報 特開2004−256824号公報
したがって、本発明は使用が避けられている硬化剤を用いず、高いガラス転移温度と優れた耐熱性を有する硬化物となる低温硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、特定のエポキシ化合物及び常温で固体の変性ポリアミン系硬化剤を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物が、低温で迅速に硬化し、高いガラス転移温度を有し耐熱性及び接着力に優れた硬化物となることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明は次の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
<1>
下記(A)及び(B)を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
(A)下記一般式(1)
Figure 2018203967

(式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示す。)
で示されるエポキシ化合物
(B)25℃で固体であり、融点が50〜120℃の範囲にあり、脂肪族ポリアミン化合物又は脂環式ポリアミン化合物とエポキシ樹脂との反応物である、変性ポリアミン系硬化剤
<2>
さらに、(C)(A)成分とは異なる25℃で液状の液状エポキシ樹脂
を含有する<1>に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
<3>
前記(C)成分が、下記一般式(2)及び(3)で表される液状エポキシ樹脂の1種又は2種以上を含有する液状エポキシ樹脂である<2>に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
Figure 2018203967

(式(2)及び(3)中、Rはハロゲン原子、炭素数1〜6の非置換もしくは置換の1価炭化水素基、又はアルコキシ基であり、Rが2以上ある場合、それらは同じでも異なっていてもよい。x、y、zはそれぞれ0〜4の整数である。Aは単結合、エーテル基、チオエーテル基、−SO−基、又は炭素数1〜6の非置換もしくは置換の2価炭化水素基である。)
<4>
さらに、(D)無機充填材を含む<1>〜<3>のいずれか1項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、低温で迅速に硬化し、高いガラス転移温度を有し耐熱性及び接着力に優れた硬化物となる。
以下、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物について具体的に説明する。
(A)エポキシ化合物
(A)成分は、下記一般式(1)で示されるグリコールウリル骨格含有エポキシ化合物である。(A)成分の立体障害が少なく、架橋密度の高い構造により、本発明の組成物は、低温で迅速に硬化し、耐熱性が優れる硬化物となる。
Figure 2018203967
式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示す。R及びRとしては、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
また、(A)成分のエポキシ化合物は、公知乃至慣用の方法で製造されたものを用いることができるが、商品名「TG−G」(四国化成工業社製)などの市販品を使用することもできる。
(A)成分は、本発明の組成物中、5〜90質量%含有することが好ましく、5〜70質量%含有することがより好ましく、5〜65質量%含有することがさらに好ましい。
(B)変性ポリアミン系硬化剤
(B)成分である25℃で固体であり、50〜120℃の融点を有する変性ポリアミン系硬化剤は、(A)成分及び必要により添加される(C)成分の硬化剤として作用し、(A)成分及び(C)成分と反応して架橋構造を形成する。(B)成分は、常温(25℃)で固体であり、融点は50〜120℃、好ましくは50〜100℃であるため、良好な保存安定性を有するとともに、組成物の硬化時の加熱により溶解し、組成物の低温での硬化を可能とする。(B)成分の融点が50℃より低いと硬化剤としての潜在性が損なわれるおそれがあり、(B)成分の融点が120℃より高いと組成物の低温硬化性が損なわれるおそれがある。
なお、本明細書において、融点とはJIS K 0064:1992記載の方法で測定した値をいう。また、本明細書において、硬化剤の「潜在性」とは、硬化剤をエポキシ化合物及び/又はエポキシ樹脂に配合した組成物が室温で安定に貯蔵でき、熱によって急速に組成物を硬化する能力をいう。
(B)成分の変性ポリアミン系硬化剤は、1分子中に2個以上の1級アミンを有する脂肪族ポリアミン化合物又は脂環式ポリアミン化合物とエポキシ樹脂との反応物である。脂肪族ポリアミン化合物としては、エチレンジアミン等のアルキレンジアミン化合物及びポリアルキルポリアミン化合物等が挙げられ、エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。このような変性ポリアミン系硬化剤は、公知の方法で製造されたものを用いることができる(特許第5876414号参照)。また、該変性ポリアミン系硬化剤として、市販品(例えば、「EH−5015S」、「EH−5030S」、「EH−4357S」(以上ADEKA社製商品名)等)も使用することができる。
また、(B)成分の反応性や流動性の制御のため、シリカ等の無機物に変性ポリアミンを担持させたものを用いてもよい。
これらの変性ポリアミン系硬化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
変性ポリアミン系硬化剤の平均粒径は、20μm以下であることが好ましく、組成物の微細領域への進入性の観点から10μm以下であることがさらに好ましい。平均粒径が20μmより大きいと、組成物の微細領域への進入性が損なわれ、組成物の硬化が不十分となるおそれがある。
本願明細書に記載の平均粒径とは、レーザー光回折法により測定した累積質量平均径(d50)のことである。
(B)成分の変性ポリアミン系硬化剤の配合量は、(A)成分及び(C)成分中に含まれるエポキシ基1モルに対し、(B)成分中の反応基(アミノ基)が0.4〜2.0モルとなる量が好ましく、0.6〜1.2モルとなる量がさらに好ましい。該配合量が0.4モル未満となる量では硬化物のガラス転移温度(Tg)が低下するおそれがあり、一方、2.0モルを超える量では硬化物が硬化不良になるおそれがある。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、更に、必要により下記の成分を添加してもよい。
(C)25℃で液状である液状エポキシ樹脂
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物には25℃で液状であるエポキシ樹脂を加えてもよい。また、25℃で液状である液状エポキシ樹脂に固体状エポキシ樹脂を溶解させたものを用いてもよい。
25℃で液状である液状エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂として公知のものを使用することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。(C)成分の液状エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、耐熱性や流動性の観点からグリシジルアミン型エポキシ樹脂やビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)を用いるのが好ましく、グリシジルアミン型エポキシ樹脂を用いるのがより好ましい。中でも、下記一般式(2)及び(3)で表される液状エポキシ樹脂の1種又は2種以上を含有する液状エポキシ樹脂を用いることが特に好ましい。
Figure 2018203967
式(2)及び(3)中、Rはハロゲン原子、炭素数1〜6の非置換もしくは置換の一価炭化水素基、又はアルコキシ基であり、Rが2以上ある場合、それらは同じでも異なっていてもよい。x、y、zはそれぞれ0〜4の整数である。Aは単結合、エーテル基、チオエーテル基、−SO−基、又は炭素数1〜6の非置換もしくは置換の二価炭化水素基である。
(C)成分を配合する場合、(C)成分の25℃で液状であるエポキシ樹脂の配合量は、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対し、10〜95質量部であることが好ましく、さらに50〜95質量部であることが好ましい。95質量部を超えると硬化物のガラス転移温度が低下するおそれがある。
(D)無機充填材
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物に配合する(D)成分である無機充填材としては、通常、エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。該無機充填材の例としては、シリカ系微粉末(溶融シリカ、結晶性シリカ等)や中空シリカ等のケイ素系充填材;アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等のアルミニウム系充填材;窒化珪素、窒化ホウ素等の金属窒化物系充填材;更にガラス繊維、ウォラステナイト等の繊維状充填材;三酸化アンチモン等が挙げられる。
これらの中でもケイ素系充填材が好ましく、溶融シリカが特に好ましい。これらの無機充填材は1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、無機充填材の平均粒径や形状は特に限定されないが、流動性の観点から、球状のものが好ましい。
上記無機充填材は、樹脂と無機充填材との結合強度を強くするため、シランカップリング剤で予め表面処理したものでもよい。シランカップリング剤としては、例えば、アルケニル基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基等の官能性基で置換された1価炭化水素基を含有するアルコキシシラン及びこれらの部分加水分解縮合物等が挙げられる。
シランカップリング剤の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン;N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン等が挙げられる。これらカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。
(D)成分の無機充填材の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、10〜1,000質量部とすることが好ましく、20〜300質量部とすることがより好ましい。
(E)硬化促進剤
更に、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、(E)成分としての硬化促進剤を配合してもよい。該硬化促進剤としては、エポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として公知のものが使用でき、特に限定されないが、例えば有機リン、イミダゾール、3級アミン等の塩基性有機化合物が挙げられる。
有機リンの例としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−トルイル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−エトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボレート誘導体、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート誘導体等が挙げられる。
イミダゾールの例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
3級アミンの例としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7等が挙げられる。
これらの中でも、イミダゾールが好ましく、組成物の硬化性の観点から2−エチル−4−メチルイミダゾールや2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールがさらに好ましい。
硬化促進剤の添加量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがさらに好ましい。硬化促進剤の添加量が前記下限値未満である場合は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化促進効果が不十分になるおそれがあり、また前記上限値より多い場合は熱硬化性エポキシ樹脂組成物の保存性が低下するおそれがある。
(F)その他の成分
本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的で種々の希釈剤、低応力剤、離型剤、ハロゲントラップ剤、シリコーンオイル、ポリシロキサン等の添加剤を配合することができる。
・樹脂組成物の製造方法
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に制限されず、成分や目的に応じて任意に選択される。通常はミキサー、ロール等を用い、上述した各成分を混合して本発明の樹脂組成物が得られる。必要に応じて各成分の混合順序、混合条件(時間、温度、気圧等)を制御することができる。なお、(A)〜(D)成分及びその他の成分を一度に混合してもよいし、(D)成分以外の成分が予め混合された混合物に(D)成分を添加して混合してもよい。後者の場合は、該混合物を予め粉砕するなどして、(D)成分と均一に混合しやすくする工程を加えてもよい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
本願実施例及び比較例で使用した原料を以下に示す。
(A)エポキシ化合物
(A−1)グリコールウリル骨格含有エポキシ化合物(四国化成工業社製TG−G)
(B)硬化剤
変性ポリアミン系硬化剤
(B−1)変性ポリアミン系硬化剤(融点85〜105℃、活性水素当量52、ADEKA社製EH−5015S)
芳香族アミン系硬化剤(比較例用)
(B−2)芳香族アミン系硬化剤1(融点155℃、活性水素当量66、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン)
(B−3)芳香族アミン系硬化剤2(融点90℃、活性水素当量50、4,4’−ジアミノジフェニルメタン)
(C)液状エポキシ樹脂
(C−1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、三菱化学社製jER−828)
(C−2)グリシジルアミン型エポキシ樹脂(エポキシ当量100、三菱化学社製、jER−630LSD)
[実施例1〜4、比較例1〜5]
表1に示す配合(質量部)で、(A)〜(C)成分を混合して、実施例1〜4及び比較例1〜5の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。得られた熱硬化性エポキシ樹脂組成物について、下記方法で諸特性を測定した。その結果を表1に示す。
また、成形温度80℃、成形時間3時間の条件で各熱硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化し、実施例1〜4及び比較例1〜5の硬化物を得た。得られた硬化物につき、下記方法で諸特性を測定した。その結果を表1に示す。
<80℃ゲル化時間>
各熱硬化性エポキシ樹脂組成物を金属板上で、80℃で加熱しゲル化するまでの時間を計測した。
<25℃増粘率>
各熱硬化性エポキシ樹脂組成物について、コーンプレートの粘度計(BROOK FIELD社製,CP51)を用いて、1.0rpmの回転数で25℃における粘度を測定した。また、各熱硬化性エポキシ樹脂組成物を25℃×168時間保管後、粘度を同様に測定し、増粘率を算出した。
<ガラス転移温度(Tg)>
5mm×5mm×15mmの硬化物の試験片を成形し、該試験片を、TMA(熱機械分析装置)により5℃/分の速度で昇温した際の値を測定した。
<室温での曲げ強さ、曲げ弾性率>
JIS K 7171:2008に記載の方法で、室温(25℃)における硬化物の曲げ強さ、曲げ弾性率を測定した。
<接着力>
ニッケルコート銅版に、2mm×2mm×150μmのSiチップを熱硬化性エポキシ樹脂組成物で付着させ、80℃、3時間の条件で硬化後、得られた試験片の剪断接着力を測定した。
<耐溶剤試験>
5mm×5mm×15mmの硬化物の試験片を成形し、該試験片をアセトンに168時間浸漬した。浸漬後の試験片にクラックや膨潤が生じた場合を×、クラックや膨潤が生じなかった場合を〇とした。
Figure 2018203967
表1に示されるように、グリコールウリル骨格含有エポキシ化合物を用いた実施例1〜4の組成物は、比較例1や2の組成物と比べて、80℃におけるゲル化時間が大幅に短く、迅速に硬化した。また、実施例1〜4の硬化物は、接着力、ガラス転移温度や曲げ弾性率も高かった。また、比較例3〜5のように芳香族アミン系硬化剤を使用した場合は、80℃で硬化反応は殆ど進行しなかった。

Claims (4)

  1. 下記(A)及び(B)を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
    (A)下記一般式(1)
    Figure 2018203967

    (式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示す。)
    で示されるエポキシ化合物
    (B)25℃で固体であり、融点が50〜120℃の範囲にあり、脂肪族ポリアミン化合物又は脂環式ポリアミン化合物とエポキシ樹脂との反応物である、変性ポリアミン系硬化剤
  2. さらに
    (C)(A)成分とは異なる25℃で液状の液状エポキシ樹脂
    を含有する請求項1に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記(C)成分が、下記一般式(2)及び(3)で表される液状エポキシ樹脂の1種又は2種以上を含有する液状エポキシ樹脂である請求項2に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
    Figure 2018203967

    (式(2)及び(3)中、Rはハロゲン原子、炭素数1〜6の非置換もしくは置換の1価炭化水素基、又はアルコキシ基であり、Rが2以上ある場合、それらは同じでも異なっていてもよい。x、y、zはそれぞれ0〜4の整数である。Aは単結合、エーテル基、チオエーテル基、−SO−基、又は炭素数1〜6の非置換もしくは置換の2価炭化水素基である。)
  4. さらに
    (D)無機充填材を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
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