JP2018203920A - フェノール性水酸基含有樹脂、エポキシ樹脂、及び硬化性組成物 - Google Patents

フェノール性水酸基含有樹脂、エポキシ樹脂、及び硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化物における耐熱性と誘電特性とに優れるフェノール性水酸基含有樹脂、エポキシ樹脂、これらを用いた硬化性組成物、プリント配線基板、及び半導体封止材料を提供すること。【解決手段】フェノール性水酸基含有化合物(A)とアルデヒド又はケトン化合物(B)とを必須の成分とする重縮合物であって、前記フェノール性水酸基含有化合物(A)がβ−ナフトール化合物(A1)及び脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)を必須の成分とすることを特徴とするフェノール性水酸基含有樹脂、そのポリグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化物における耐熱性と誘電特性とに優れるフェノール性水酸基含有樹脂、エポキシ樹脂、これらを用いた硬化性組成物、プリント配線基板、及び半導体封止材料に関する。
半導体や多層プリント基板等に用いられる絶縁材料の技術分野では、各種電子部材の薄型・小型化や、信号の高速・高周波数化等に伴い、これらの市場動向に合わせた新たな樹脂材料の開発が求められている。例えば、半導体パッケージ基板の薄型化に伴い顕著化する「反り」を低減するために、樹脂材料の高耐熱化や熱膨張率の低減等が検討されている。また、信号の高速化及び高周波数化に伴う発熱等のエネルギー損失を低減させるため、誘電正接の低い樹脂材料の開発が進められている。
硬化物における耐熱性が高樹脂材料の一例として、β−ナフトールとオルソクレゾールとの共縮ノボラック樹脂を用いたエポキシ樹脂が知られている(下記特許文献1参照)。特許文献1に記載されたエポキシ樹脂は一般的なフェノールノボラック型エポキシ樹脂と比較して非常に高いガラス転移温度を有するものの、昨今の市場要求では更に高ガラス転移温度の樹脂開発が求められていた。また、誘電率や誘電正接にて評価される誘電特性も十分ではないという課題を有していた。
特許第5561571号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、硬化物における耐熱性と誘電特性とに優れるフェノール性水酸基含有樹脂、エポキシ樹脂、これらを用いた硬化性組成物、プリント配線基板、及び半導体封止材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、β−ナフトール化合物及び脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物を反応原料とするノボラック型樹脂及びそのポリグリシジルエーテル化物は、硬化物における耐熱性が非常に高く、かつ、誘電正接が非常に低い特徴を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、フェノール性水酸基含有化合物(A)とアルデヒド又はケトン化合物(B)とを必須の成分とする重縮合物であって、前記フェノール性水酸基含有化合物(A)がβ−ナフトール化合物(A1)及び脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)を必須の成分とすることを特徴とするフェノール性水酸基含有樹脂に関する。
本発明は、更に、前記フェノール性水酸基含有樹脂のポリグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂に関する。
本発明は、更に、前記フェノール性水酸基含有樹脂又はエポキシ樹脂と、硬化剤とを含有する硬化性組成物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性組成物の硬化物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性組成物を用いたプリント配線基板に関する。
本発明は、更に、前記硬化性組成物を用いた半導体封止材料に関する。
本発明によれば、硬化物における耐熱性と誘電特性とに優れるフェノール性水酸基含有樹脂、エポキシ樹脂、これらを用いた硬化性組成物、プリント配線基板、及び半導体封止材料を提供することができる。
図1は、実施例1で得られたフェノール性水酸基含有樹脂(1)のGPCチャート図である。 図2は、実施例2で得られたエポキシ樹脂(1)のGPCチャート図である。 図3は、実施例2で得られたエポキシ樹脂(1)のMSチャート図である。 図4は、実施例2で得られたエポキシ樹脂(1)の13C−NMRチャート図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフェノール性水酸基含有樹脂は、フェノール性水酸基含有化合物(A)とアルデヒド又はケトン化合物(B)とを必須の成分とする重縮合物であって、前記フェノール性水酸基含有化合物(A)がβ−ナフトール化合物(A1)及び脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)を必須の成分とすることを特徴とする。
前記フェノール性水酸基含有化合物(A)のうち前記β−ナフトール化合物(A1)は、β−ナフトールの他、β−ナフトールの芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有する化合物等が挙げられる。β−ナフトール化合物(A1)は一種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記置換基は、例えば、脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。前記脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基等のアルキル基;シクロへキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロパギル基等の不飽和結合含有基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。前記アリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。前記アラルキル基は、ベンジル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及びこれらの芳香核上に前記アルキル基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。中でも、硬化物における耐熱性や誘電特性に優れる効果が一層顕著となることから、β−ナフトール或いは芳香核上に炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ベンジル基の一種乃至複数種を一つ乃至複数有するβ−ナフトール化合物が好ましい。
前記フェノール性水酸基含有化合物(A)のうち前記脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)は、フェノールの芳香核上に一つ乃至複数の脂肪族不飽和炭化水素基を有する化合物であれば、脂肪族不飽和炭化水素基の数やその他の置換基の有無は問われず、多種多様なものを用いることができる。脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)は一種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記脂肪族不飽和炭化水素基はビニル基、アリル基、プロパギル基等が挙げられる。中でも、硬化物における耐熱性や誘電特性の他、硬化収縮率や熱膨張係数の低いフェノール性水酸基含有樹脂となることから、脂肪族不飽和炭化水素基の数は1であることが好ましく、フェノール性水酸基のオルト位に位置することがより好ましい。脂肪族不飽和炭化水素基以外のその他の置換基としては、前記β−ナフトール化合物(A1)が有する置換基として詳述した脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。中でも、硬化物における耐熱性や誘電特性に優れる効果が一層顕著となることから、脂肪族不飽和炭化水素基以外のその他の置換基を有さない、或いは、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、ベンジル基の一種乃至複数種を一つ乃至複数有するものが好ましい。
前記フェノール性水酸基含有化合物(A)は、前記β−ナフトール化合物(A1)や前記脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)の他、その他のフェノール性水酸基含有化合物(A3)を含むものであってもよい。その他のフェノール性水酸基含有化合物(A3)は、例えば、α−ナフトール又はその芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有するα−ナフトール化合物;フェノール又はその芳香核上に脂肪族不飽和炭化水素基以外の置換基を一つ乃至複数有するフェノール化合物;ジヒドロキシベンゼン又はその芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有するジヒドロキシベンゼン化合物;ジヒドロキシナフタレン又はその芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有するジヒドロキシナフタレン化合物;ビフェノール又はその芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有するビフェノール化合物;ビスフェノール又はその芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有するビスフェノール化合物等が挙げられる。その他のフェノール性水酸基含有化合物(A3)は一種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記その他のフェノール性水酸基含有化合物(A3)を用いる場合、本願発明が奏する効果が十分に発揮されることから、前記フェノール性水酸基含有化合物(A)の総質量に対する前記β−ナフトール化合物(A1)と前記脂肪族不飽和炭化水素基フェノール化合物(A2)との合計質量が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。更に、前記フェノール性水酸基含有化合物(A)における前記β−ナフトール化合物(A1)の割合は30〜85モル%の範囲であることが好ましく、前記フェノール性水酸基含有化合物(A)における前記脂肪族不飽和炭化水素基フェノール化合物(A2)の割合は15〜70モル%の範囲であることが好ましい。また、前記β−ナフトール化合物(A1)と前記脂肪族不飽和炭化水素基フェノール化合物(A2)との質量比[(A1)/(A2)]は85/15〜35/65の範囲であることが好ましい。
前記アルデヒド又はケトン化合物(B)について、アルデヒド化合物は、例えば、ホルムアルデヒドや、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシナフトアルデヒド等の芳香族アルデヒド等が挙げられる。ケトン化合物は、ジメチルケトン等のジアルキルケトン、シクロヘキサノン等のジシクロアルキルケトン、ジフェニルケトン等のジアリールケトン、アセトフェノン等のアルキルアリールケトン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、前記フェノール性水酸基含有化合物(A)との反応性に優れることからアルデヒド化合物が好ましく、ホルムアルデヒドがより好ましい。
本発明のフェノール性水酸基含有樹脂の製法は特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。製造方法の一例としては、一般的なフェノールノボラック樹脂同様、前記フェノール性水酸基含有化合物(A)と前記アルデヒド又はケトン化合物(B)とを必須の成分とする反応原料を酸触媒の存在下で50〜100℃程度に加熱して重縮合物させる方法が挙げられる。反応終了後は適宜中和処理を行ってもよい。また、水洗や再沈殿等により反応生成物を精製しても良い。
前記フェノール性水酸基含有化合物(A)と前記アルデヒド又はケトン化合物(B)との反応割合は、前記フェノール性水酸基含有化合物(A)1モルに対し0.3〜0.9モルの範囲となる割合が好ましい。
前記酸触媒は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これら酸触媒の使用量は、反応原料の総質量に対して0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。
反応は必要に応じて溶媒中で行っても良い。前記溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン性溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール性溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒;テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル溶媒;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のフェノール性水酸基含有樹脂は、脂肪族不飽和炭化水素基含有量が200〜1,000g/モルの範囲であることが好ましく、300〜600g/モルの範囲であることがより好ましく、350〜550g/モルの範囲であることが特に好ましい。フェノール性水酸基含有樹脂中の脂肪族不飽和炭化水素基含有量は、前記脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)の他、前記β−ナフトール化合物(A1)やその他のフェノール性水酸基含有化合物(A3)が脂肪族不飽和炭化水素基を有する場合には、これらすべての合計である。また、その水酸基当量は120〜200g/当量の範囲であることが好ましい。JIS K7234に基づいて測定される軟化点の値は45〜150℃の範囲であることが好ましい。
本発明のフェノール性水酸基含有樹脂は、核体数の異なる複数種の成分の混合物となるが、硬化物における耐熱性や誘電特性の他、低硬化収縮性や低熱膨張性、取扱容易性等の諸性能に一層優れるフェノール性水酸基含有樹脂となることから、[β−ナフトール化合物(A1)]−[脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)]−[β−ナフトール化合物(A1)]型の3核体化合物(p3)を含有することが好ましい。その含有量は、20〜80%の範囲であることが好ましく、30〜60%の範囲であることがより好ましい。前記3核体化合物(p3)の具体例として、前記β−ナフトール化合物(A1)としてβ−ナフトールを用い、前記脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)としてオルソアリルフェノールを用い、アルデヒド又はケトン化合物(B)としてホルムアルデヒドを用いた場合の構造式を以下に示す。
Figure 2018203920
前記フェノール性水酸基含有樹脂中の前記3核体化合物(p3)の含有量は、下記条件で測定されるGPCチャート図の面積比から算出される値である。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8320 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC−WorkStation」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8320」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)
本発明のエポキシ樹脂は、前記フェノール性水酸基含有樹脂のポリグリシジルエーテル化物として得ることができる。ポリグリシジルルエーテル化反応は、一般的なエポキシ樹脂の製造方法におけるポリグリシジルエーテル化工程と同様の方法にて行うことができる。具体的には、塩基性触媒の存在下、前記フェノール性水酸基含有樹脂が有する水酸基1モルに対し、2〜10モルのエピハロヒドリンを用い、20〜120℃の温度で0.5〜10時間反応させる方法が挙げられる。
前記塩基性触媒は、具体的には、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。中でも、触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、具体的には、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が好ましい。塩基性触媒の添加量は、フェノール性水酸基1モルに対し0.9〜2.0モルの範囲であることが好ましい。反応原料とともに塩基性触媒は一括で仕込んでもよいし、反応中に分割添加してもよい。
反応終了後は反応生成物を水洗や濾過にて精製することが好ましい。更に、加熱減圧条件下で未反応のエピハロヒドリンや有機溶媒を留去することが好ましい。回収されたエピハロヒドリンは、工業的製造においては、次バッチ以降のエポキシ樹脂の製造に用いてもよい。また、加水分解性ハロゲンの一層少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を再び有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに反応を行うこともできる。この際、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合の使用量はエポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜3.0質量部となる割合であることが好ましい。反応終了後は、反応生成物を水洗や濾過にて精製し、加熱減圧下で有機溶媒を留去することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂は、脂肪族不飽和炭化水素基含有量が300〜1,400g/モルの範囲であることが好ましく、400〜800g/モルの範囲であることがより好ましく、450〜750g/モルの範囲であることが特に好ましい。また、そのエポキシ基当量は200〜300g/当量の範囲であることが好ましい。JIS K7234に基づいて測定される軟化点の値は45〜120℃の範囲であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂は、核体数の異なる複数種の成分の混合物となるが、硬化物における耐熱性や誘電特性の他、低硬化収縮性や低熱膨張性、取扱容易性等の諸性能に一層優れるエポキシ樹脂となることから、[β−ナフトール化合物(A1)]−[脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)]−[β−ナフトール化合物(A1)]型の3核体化合物(e3)を含有することが好ましい。その含有量は、10〜70%の範囲であることが好ましく、15〜55%の範囲であることがより好ましい。前記3核体化合物(e3)の具体例として、前記β−ナフトール化合物(A1)としてβ−ナフトールを用い、前記脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)としてオルソアリルフェノールを用い、アルデヒド又はケトン化合物(B)としてホルムアルデヒドを用いた場合の構造式を以下に示す。
Figure 2018203920
前記エポキシ樹脂中の前記3核体化合物(e3)の含有量は、下記条件で測定されるGPCチャート図の面積比から算出される値である。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8320 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC−WorkStation」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8320」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)
本発明の硬化性組成物は、前記フェノール性水酸基含有樹脂又はエポキシ樹脂と硬化剤とを必須の成分とする。以後、前記フェノール性水酸基含有樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物を硬化性組成物(1)とし、前記エポキシ樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物を硬化性組成物(2)として説明する。
前記硬化性組成物(1)について、用いる硬化剤は前記フェノール性水酸基含有樹脂と硬化反応を生じるものであれば特に限定なく、多種多様のものを用いることができる。硬化剤の一例としては各種のエポキシ樹脂が挙げられる。
前記エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等を原料とする各種のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;ポリアリーレンエーテル型エポキシ樹脂;フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等がアリーレンジアルキレン基で連結された樹脂構造を有するフェノール樹脂のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
前記硬化性組成物(1)において、前記フェノール性水酸基含有樹脂と硬化剤との配合割合は特に限定なく、所望の硬化物性能等に応じて適宜調整することができる。硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合、一般には、エポキシ基の合計1モルに対して、フェノール性水酸基の合計が0.1〜1.5モルとなる割合であることが好ましい。
前記硬化性組成物(1)において硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合、更に、一般的なエポキシ樹脂用硬化剤として用いられている各種の化合物を併用してもよい。その具体例としては、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂以外のフェノール樹脂、アミン化合物、アミド化合物、酸無水物、活性エステル樹脂等が挙げられる。これらを用いる場合、本発明の効果が十分に発揮されることから、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂を含むエポキシ樹脂硬化剤の総質量に対し、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂の割合が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
前記硬化性組成物(2)について、用いる硬化剤はエポキシ樹脂と硬化反応を生じるものであれば特に限定なく、多種多様のものを用いることができる。その具体例としては、アミン化合物、アミド化合物、酸無水物、フェノ−ル樹脂、活性エステル樹脂等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。前記アミン化合物は、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。前記アミド系化合物は、例えば、ジシアンジアミド、脂肪族二塩基酸やダイマー酸、脂肪酸のカルボン酸化合物とエチレンジアミン等のアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。前記酸無水物は、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。前記フェノール樹脂は、例えば、フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等を原料とする各種のノボラック樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、ジシクロペンタジエン付加型フェノール樹脂、ポリアリーレンエーテル型フェノール樹脂、フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等がアリーレンジアルキレン基で連結された樹脂構造を有するフェノール樹脂等が挙げられる。前記活性エステル樹脂は、例えば、前記フェノール樹脂と芳香族ジカルボン酸、フェノール性水酸基含有化合物とのエステル化物、芳香族ジカルボン酸とフェノール性水酸基含有化合物とのエステル化物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記硬化性組成物(2)において、前記エポキシ樹脂と硬化剤との配合割合は特に限定なく、所望の硬化物性能等に応じて適宜調整することができる。一般的な配合例としては、エポキシ基の合計1モルに対して、硬化剤中の活性基が0.7〜1.5モルとなる割合であることが好ましい。
前記硬化性組成物(2)は本発明のエポキシ樹脂以外のその他のエポキシ樹脂を含有していてもよい。その他の前記エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等を原料とする各種のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;ポリアリーレンエーテル型エポキシ樹脂;フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等がアリーレンジアルキレン基で連結された樹脂構造を有するフェノール樹脂のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。これらを用いる場合、本発明の効果が十分に発揮されることから、硬化性組成物(2)中のエポキシ樹脂の合計に対する本発明のエポキシ樹脂の割合が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
本発明の硬化性組成物(1)、(2)は、この他、必要に応じてその他の樹脂、硬化促進剤、難燃剤、無機質充填材、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の各種添加剤を含有しても良い。
前記その他の樹脂は、例えば、シアン酸エステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ジアリルビスフェノールやトリアリルイソシアヌレートに代表されるアリル基含有樹脂、ポリフェニレンエーテル骨格含有樹脂、ポリリン酸エステルやリン酸エステル−カーボネート共重合体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記硬化促進剤は、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール化合物、ピリジン化合物、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。中でも、硬化性、耐熱性、誘電特性、耐吸湿性等の諸性能に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルホスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン(DBU)、イミダゾール化合物では2−エチル−4−メチルイミダゾール、ピリジン化合物では4−ジメチルアミノピリジンが好ましい。これら硬化促進剤の添加量は、硬化性組成物中0.01〜15質量%の範囲であることが好ましい。
前記難燃剤は、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム、リン酸アミド等の無機リン化合物;リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)―10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10―(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等の有機リン化合物;トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等の窒素系難燃剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等のシリコーン系難燃剤;金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等の無機難燃剤等が挙げられる。これら難燃剤を用いる場合は、硬化性組成物中0.1〜20質量%の範囲であることが好ましい。
前記無機質充填材は、例えば、本発明の硬化性組成物を半導体封止材料用途に用いる場合などに配合される。前記無機質充填材は、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。中でも、無機質充填材をより多く配合することが可能となることから、前記溶融シリカが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、且つ、硬化性組成物の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いることが好ましい。更に、球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は硬化性組成物100質量部中、0.5〜95質量部の範囲で配合することが好ましい。この他、本発明の硬化性組成物を導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
以上詳述した通り、本発明のフェノール性水酸基含有樹脂及びエポキシ樹脂は、硬化物における耐熱性や誘電特性に特に優れる特徴を有する。本発明のフェノール性水酸基含有樹脂及びエポキシ樹脂は、更に、汎用有機溶剤への溶解性や、硬化性組成物における他の成分との混合性、硬化物における耐吸水性、低硬化収縮性、低熱膨張性等の諸性能にも優れる特徴を有する。本発明のフェノール性水酸基含有樹脂或いはエポキシ樹脂を含有する硬化性組成物は、これらの性能に優れる特性を生かし、プリント配線基板や半導体封止材料、レジスト材料等の電子材料用途の他、塗料や接着剤、成型品等の用途にも広く利用することができる。
本発明の硬化性組成物をプリント配線基板用途やビルドアップ接着フィルム用途に用いる場合、一般には有機溶剤を配合して希釈して用いることが好ましい。前記有機溶剤は、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。有機溶剤の種類や配合量は硬化性組成物の使用環境に応じて適宜調整できるが、例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤であることが好ましく、不揮発分が40〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。ビルドアップ接着フィルム用途では、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル溶剤、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、不揮発分が30〜60質量%となる割合で使用することが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物を用いてプリント配線基板を製造する方法は、例えば、硬化性組成物を補強基材に含浸し硬化させてプリプレグを得、これと銅箔とを重ねて加熱圧着させる方法が挙げられる。前記補強基材は、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。硬化性組成物の含浸量は特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。
本発明の硬化性組成物を半導体封止材料用途に用いる場合、一般には無機質充填材を配合することが好ましい。半導体封止材料は、例えば、押出機、ニーダー、ロール等を用いて配合物を混合して調製することができる。得られた半導体封止材料を用いて半導体パッケージを成型する方法は、例えば、該半導体封止材料を注型或いはトランスファー成形機、射出成型機などを用いて成形し、更に50〜200℃の温度条件下で2〜10時間加熱する方法が挙げられ、このような方法により、成形物である半導体装置を得ることが出来る。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、エポキシ当量、軟化点、GPCは以下の条件にて測定した。
◆エポキシ当量の測定
JIS K 7236に基づいて測定した。
◆軟化点の測定
JIS K7234に基づいて測定した。
◆GPCの測定条件
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8320 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC−WorkStation」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8320」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)
◆FD−MS測定条件
測定装置:日本電子株式会社製 二重収束型質量分析装置「AX505H(FD505H)」
◆13C−NMRの測定条件
測定装置:日本電子(株)製 ECA-500
測定モード:SINGLE−PULSE−DEC(NOE消去の1H完全デカップリング法)
溶媒 :重クロロホルム
パルス角度:30°パルス
試料濃度 :30wt%
積算回数 :4000回
実施例1 フェノール性水酸基含有樹脂(1)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、β−ナフトール216質量部、オルソアリルフェノール101質量部、イソプロピルアルコール250質量部、37%ホルマリン水溶液134質量部、49%水酸化ナトリウム46質量部を仕込んだ。フラスコ内を撹拌しながら75℃まで加熱して12時間攪拌を続けた。次いで、第1リン酸ソーダ67質量部を添加し、更にメチルイソブチルケトン600質量部加えた。反応生成物を水150質量部で3回洗浄した後、加熱減圧条件下で乾燥させて、フェノール性水酸基含有樹脂(1)305質量部を得た。フェノール性水酸基含有樹脂(1)の水酸基当量は149g/当量、仕込み比から算出された脂肪族不飽和炭化水素基(アリル基)含有量は447g/モル、軟化点は105℃であった。GPCチャートを図1に示す。GPCチャート図の面積比から算出した下記構造式で表される3核体成分の含有率は40.2%であった。
Figure 2018203920
実施例2 エポキシ樹脂(1)の製造
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、前記フェノール性水酸基含有樹脂(1)149質量部、エピクロルヒドリン463質量部、n−ブタノール53質量部を仕込んだ。フラスコ内を攪拌しながら内容物を溶解させ、50℃まで加熱した。20%水酸化ナトリウム水溶液220質量部を3時間かけて添加し、更に1時間撹拌を続けた。攪拌を停止して下層に溜まった水層を除去した後、攪拌を再開し、150℃まで加熱して減圧条件下で未反応のエピクロルヒドリンを留去した。メチルイソブチルケトン300質量部、n−ブタノール50質量部を加えて反応生成物を溶解させ、10質量%水酸化ナトリウム水溶液15質量部を添加して80℃で2時間撹拌した。得られた反応混合物を水100質量部で3回洗浄し、洗浄液のpHが中性になったことを確認した。反応混合物を共沸させて系内を脱水し、精密濾過を経た後に、減圧条件下で溶媒を留去して、エポキシ樹脂(1)192質量部を得た。エポキシ樹脂(1)のエポキシ基当量は236g/当量、仕込み比から算出された脂肪族不飽和炭化水素基(アリル基)含有量は615g/モル、軟化点は76℃であった。GPCチャートを図2、MSチャート図3、13C−NMRチャートを図4に示す。GPCチャート図の面積比から算出した下記構造式で表される3核体成分の含有率は33.6%であった。
Figure 2018203920
比較例1 フェノール性水酸基含有樹脂(1’)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、β−ナフトール216質量部、イソプロピルアルコール250質量部、37%ホルマリン水溶液122質量部、49%水酸化ナトリウム31質量部を仕込んだ。フラスコ内を撹拌しながら75℃まで加熱して1時間攪拌を続けた。オルソクレゾール81質量部を仕込み、75℃で8時間攪拌した。第1リン酸ソーダ45質量部を添加し、更にメチルイソブチルケトン630質量部を加えた。水158質量部で3回洗浄した後、加熱減圧条件下で乾燥させてフェノール性水酸基含有樹脂(1’)290質量部を得た。フェノール性水酸基含有樹脂(1’)の水酸基当量は140g/当量であった。GPCチャート図の面積比から算出した下記構造式で表される3核体成分の含有率は51.5%であった。
Figure 2018203920
比較例2 エポキシ樹脂(1’)の製造
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、前記フェノール性水酸基含有樹脂(1’)140質量部、エピクロルヒドリン463質量部、n−ブタノール53質量部を仕込んだ。フラスコ内を攪拌しながら内容物を溶解させ、50℃まで加熱した。20%水酸化ナトリウム水溶液220質量部を3時間かけて添加し、更に1時間撹拌を続けた。攪拌を停止して下層に溜まった水層を除去した後、攪拌を再開し、150℃まで加熱して減圧条件下で未反応のエピクロルヒドリンを留去した。メチルイソブチルケトン300質量部、n−ブタノール50質量部を加えて反応生成物を溶解させ、10質量%水酸化ナトリウム水溶液15質量部を添加して80℃で2時間撹拌した。得られた反応混合物を水100質量部で3回洗浄し、洗浄液のpHが中性になったことを確認した。反応混合物を共沸させて系内を脱水し、精密濾過を経た後に、減圧条件下で溶媒を留去して、エポキシ樹脂(1’)192質量部を得た。エポキシ樹脂(1’)のエポキシ基当量は227g/当量であった。
Figure 2018203920
実施例3、4及び比較例3
下記表1、2に示す割合で各成分を配合し、硬化性組成物を得た。
表1、2中の各成分の詳細は下記の通りである。
・硬化剤(1):DIC株式会社製「850−S」、エポキシ当量188g/当量のエポキシ樹脂
・硬化剤(2):DIC株式会社製「TD−2131」、軟化点80℃、水酸基当量104g/当量のフェノールノボラック樹脂
・硬化促進剤:2−エチル−4−メチルイミダゾール
耐熱性の評価
硬化性組成物を11cm×9cm×2.4mmの型枠に流し込み、プレス機を用いて175℃の温度で10分間成型した。型枠から成型物を取り出し、175℃で5時間加熱した。更に、250℃で2時間加熱して硬化物を得た。
硬化物から5.4cm×0.5cm×2.4mmの試験片を切り出した。粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、レクタンギュラーテンション法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて弾性率変化点(tanδ変化率が大きい)の温度を測定した。複数の弾性率変化点が測定された場合は、最も高い温度をガラス転移温度(Tg)として評価した。
誘電率及び誘電正接の測定
前記硬化物を加熱真空乾燥後、23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後、アジレント・テクノロジー株式会社製ネットワークアナライザ「E8362C」を用い、1GHzでの誘電率および誘電正接を測定した。
Figure 2018203920
Figure 2018203920

Claims (10)

  1. フェノール性水酸基含有化合物(A)とアルデヒド又はケトン化合物(B)とを必須の成分とする重縮合物であって、前記フェノール性水酸基含有化合物(A)がβ−ナフトール化合物(A1)及び脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)を必須の成分とすることを特徴とするフェノール性水酸基含有樹脂。
  2. 前記フェノール性水酸基含有化合物(A)における前記β−ナフトール化合物(A1)の割合が30〜85モル%の範囲である請求項1記載のフェノール性水酸基含有樹脂。
  3. 前記フェノール性水酸基含有化合物(A)における前記脂肪族不飽和炭化水素基含有フェノール化合物(A2)の割合が15〜70モル%の範囲である請求項1記載のフェノール性水酸基含有樹脂。
  4. 樹脂中の脂肪族不飽和炭化水素基含有量が200〜1,000g/モルの範囲である請求項1記載のフェノール性水酸基含有樹脂。
  5. 請求項1〜4の何れか一つに記載のフェノール性水酸基含有樹脂のポリグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂。
  6. 請求項1〜4の何れか一つに記載のフェノール性水酸基含有樹脂と硬化剤とを必須の成分とする硬化性組成物。
  7. 請求項5記載のエポキシ樹脂と硬化剤とを必須の成分とする硬化性組成物。
  8. 請求項6又は7に記載の硬化性組成物の硬化物。
  9. 請求項6又は7に記載の硬化性組成物を用いたプリント配線基板。
  10. 請求項6又は7に記載の硬化性組成物を用いた半導体封止材料。
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