JP6863067B2 - δ−バレロラクトン骨格含有樹脂 - Google Patents

δ−バレロラクトン骨格含有樹脂 Download PDF

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Description

本発明は、硬化物における誘電特性や耐熱性等の諸性能に優れるδ−バレロラクトン骨格含有樹脂、これを含有する硬化性組成物、その硬化物、前記組成物を用いてなる半導体封止材料及びプリント配線基板に関する。
半導体や多層プリント基板等に用いられる絶縁材料の技術分野では、各種電子部材の薄型化や小型化に伴い、これらの市場動向に合わせた新たな樹脂材料の開発が求められている。具体的な要求性能としては、硬化物における耐熱性や耐吸湿性は勿論のこと、信号の高速化及び高周波数化対策として、硬化物における誘電率及び誘電正接値が低いこと、高温条件下での信頼性としてガラス転移温度(Tg)等の物性変化がないこと、薄型化に伴う反りや歪み対策として硬化収縮率や線膨張係数が低いこと等も重要である。
電子部材用の樹脂材料としては、硬化物における耐熱性が高いことから、エポキシ樹脂を主剤とし、フェノールノボラック樹脂を硬化剤とする硬化性樹脂組成物が広く利用されている(下記特許文献1参照)。しかしながら、前述の通り、昨今の市場において樹脂材料に求められる性能は多岐に渡っており、耐熱性のみならず、その他の諸性能を兼備する樹脂材料の開発が求められている。
特開2016−65250号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は硬化物における誘電特性や耐熱性等の諸性能に優れる樹脂材料、これを用いてなる半導体封止材料及びプリント配線基板を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、δ−バレロラクトン骨格含芳香族化合物とアルデヒド又はケトン化合物とを必須の成分とする重縮合物は、硬化物における誘電特性や耐熱性等の諸性能に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、δ−バレロラクトン骨格含芳香族化合物(A)とアルデヒド又はケトン化合物(B)とを必須の成分とする重縮合物であるδ−バレロラクトン骨格含有樹脂に関する。
本発明は更に、前記δ−バレロラクトン骨格含有樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物の硬化物に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物を用いてなる半導体封止材料に関する。
本発明は更に、前記硬化性組成物を用いてなるプリント配線基板に関する。
本発明によれば、硬化物における誘電特性や耐熱性等の諸性能に優れるδ−バレロラクトン骨格含有脂、これを含有する硬化性組成物、その硬化物、前記組成物を用いてなる半導体封止材料及びプリント配線基板を提供することができる。
図1は、実施例1で得られたδ−バレロラクトン骨格含有樹脂(1)のGPCチャート図である。 図2は、実施例2で得られたδ−バレロラクトン骨格含有樹脂(2)のGPCチャート図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のδ−バレロラクトン骨格含有樹脂は、δ−バレロラクトン骨格含芳香族化合物(A)とアルデヒド又はケトン化合物(B)とを必須の成分とする重縮合物である。
前記δ−バレロラクトン骨格含芳香族化合物(A)は、δ−バレロラクトン骨格と芳香環との縮合環構造を有する化合物であ、具体的には、下記構造式(1−1)〜(1−6)
Figure 0006863067
[式中Rはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。lは0、1又は2、mは0又は1〜4の整数、nは0又は1〜3の整数である。]
の何れかで表される化合物の一種類以上である。

前記構造式(1−1)〜(1−6)中のRは脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。l、m、nが2以上の場合には、化合物中に存在する複数のRはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。前記アリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。前記アラルキル基は、ベンジル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及びこれらの芳香核上に前記アルキル基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。
前記構造式(1−1)〜(1−6)のいずれかで表される化合物の中でも、アルデヒド又はケトン化合物(B)との反応性に優れることから、前記構造式(1−1)〜(1−4)のいずれかで表される化合物が好ましい。
前記アルデヒド又はケトン化合物(B)について、アルデヒド化合物は、例えば、ホルムアルデヒドや、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシナフトアルデヒド等の芳香族アルデヒド等が挙げられる。ケトン化合物は、ジメチルケトン等のジアルキルケトン、シクロヘキサノン等のジシクロアルキルケトン、ジフェニルケトン等のジアリールケトン、アセトフェノン等のアルキルアリールケトン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、前記δ−バレロラクトン骨格含芳香族化合物(A)との反応性に優れることからアルデヒド化合物が好ましく、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒドの何れかがより好ましい。
本発明のδ−バレロラクトン骨格含有樹脂は、前記δ−バレロラクトン骨格含芳香族化合物(A)及びアルデヒド又はケトン化合物(B)に加え、その他の反応原料を一部用いてもよい。その他の反応原料としては、フェノール性水酸基含有化合物(C)が挙げられる。
前記フェノール性水酸基含有化合物(C)は、例えば、フェノール、ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン、アントラセノール、ジヒドロキシアントラセン、ビフェノール、ビスフェノール、及びこれらの芳香核上に一つ乃至複数の置換基を有する化合物等が挙げられる。芳香核上の置換基は、例えば、脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。前記脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。前記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。前記アリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。前記アラルキル基は、ベンジル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及びこれらの芳香核上に前記アルキル基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。
前記δ−バレロラクトン骨格含芳香族化合物(A)とアルデヒド又はケトン化合物(B)との反応条件は特に限定されないが、反応条件の一例としては、例えば、酸触媒の存在下、80〜120℃程度に加熱して反応させる方法等が挙げられる。両者の反応割合は、前記δ−バレロラクトン骨格含芳香族化合物(A)1モルに対し、前記アルデヒド又はケトン化合物(B)が0.3〜1.1モルの範囲となる割合が好ましい。反応は必要に応じて溶媒中で行っても良い。反応終了後は適宜中和処理を行ってもよい。また、水洗や再沈殿等により反応生成物を精製しても良い。また、前記フェノール性水酸基含有化合物(C)を用いる場合には、前記δ−バレロラクトン骨格含有芳香族化合物(A)と同時に仕込んで反応させることができる。
前記酸触媒は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これら酸触媒の使用量は、反応原料の総質量に対して0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。
前記溶媒は、水、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル溶媒、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上の混合溶媒としても良い。
前記δ−バレロラクトン骨格含有樹脂は核体数の異なる複数種の成分の混合物であるが、硬化物における誘電特性や耐熱性、取扱容易性等の諸性能に優れる効果が一層顕著となることから2核体成分を5〜70%の範囲の範囲で含有することが好ましく、10〜60%の範囲で含有することがより好ましい。また、3核体成分を5〜50%の範囲で含有することが好ましく、10〜40%の範囲で含有することがより好ましい。
なお、前記δ−バレロラクトン骨格含有樹脂中の核体数とは、1分子中に存在する前記前記δδ−バレロラクトン骨格含芳香族化合物(A)由来構造部位の数のことを言い、前記フェノール性水酸基含有化合物(C)を併用する場合には、δ−バレロラクトン骨格含有芳香族化合物(A)由来構造部位と前記フェノール性水酸基含有化合物(C)由来構造部位との総数のことを言う。
また、前記δ−バレロラクトン骨格含芳香族化合物(A)が前記構造式(1−1)で表される化合物である場合、硬化物における誘電特性や耐熱性の他、溶剤溶解性が高く、硬化物弾性率等の機械特性にも優れることから、全2核体成分中における下記構造式(2−1)又は(2−2)で表される成分の含有量が20〜60%の範囲であることが好ましい。
Figure 0006863067
[式中R及びlは前記構造式(1−1)中のものと同義である。Rは前記アルデヒド又はケトン化合物(B)由来の構造部位である]
本発明においてδ−バレロラクトン骨格含有樹脂中の各成分の含有量は、下記条件で測定されるGPCチャート図の面積比から算出される値である。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)
δ−バレロラクトン骨格含有樹脂は軟化点を有することが好ましい。具体的には、JIS K7234に基づいて測定される軟化点の値が45〜200℃の範囲であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記δ−バレロラクトン骨格含有樹脂と硬化剤とを含有する。前記硬化剤は本発明のδ−バレロラクトン骨格含有樹脂と反応し得る化合物であれば良く、特に限定なく様々な化合物が利用できる。硬化剤の一例としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。
前記エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等を原料とする各種のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;ポリアリーレンエーテル型エポキシ樹脂;フェノールやクレゾール、ナフトール、ビフェノール、ビスフェノール等がアリーレンジアルキレン基で連結された樹脂構造を有するフェノール樹脂のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物において、前記δ−バレロラクトン骨格含有樹脂と硬化剤との配合割合は特に限定なく、所望の硬化物性能等に応じて適宜調整することができる。硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合の配合の一例としては、硬化性組成物中のエポキシ基の合計1モルに対して、前記δ−バレロラクトン骨格含有樹脂中のδ−バレロラクトン骨格の合計が0.1〜1.5モルとなる割合であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、更に硬化促進剤を含有しても良い。前記硬化促進剤は、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール化合物、ピリジン化合物、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。中でも、硬化性、耐熱性、誘電特性、耐吸湿性等の諸性能に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルホスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン(DBU)、イミダゾール化合物では2−エチル−4−メチルイミダゾール、ピリジン化合物では4−ジメチルアミノピリジン、2−フェニルイミダゾールが好ましい。これら硬化促進剤の添加量は、硬化性組成物100質量部中0.01〜15質量部の範囲であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、更にその他の樹脂成分を含有しても良い。その他の樹脂成分は、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体等のアミン化合物;ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等のアミド化合物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物;フェノール性水酸基含有樹脂;活性エステル樹脂;シアン酸エステル樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾオキサジン樹脂;スチレン−無水マレイン酸樹脂;ジアリルビスフェノールやトリアリルイソシアヌレートに代表されるアリル基含有樹脂;ポリリン酸エステルやリン酸エステル−カーボネート共重合体等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
これらその他の樹脂成分の配合割合は特に限定なく、所望の硬化物性能等に応じて適宜調整することができる。配合割合の一例としては、本発明の硬化性組成物中1〜50質量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は必要に応じて硬化促進剤、難燃剤、無機質充填材、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の各種添加剤を含有しても良い。
前記硬化促進剤は、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール化合物、ピリジン化合物、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。中でも、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルホスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン(DBU)、イミダゾール化合物では2−エチル−4−メチルイミダゾール、ピリジン化合物では4−ジメチルアミノピリジンが好ましい。
前記難燃剤は、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム、リン酸アミド等の無機リン化合物;リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)―10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10―(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等の有機リン化合物;トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等の窒素系難燃剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等のシリコーン系難燃剤;金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等の無機難燃剤等が挙げられる。これら難燃剤を用いる場合は、硬化性組成物中0.1〜20質量%の範囲であることが好ましい。
前記無機質充填材は、例えば、本発明の硬化性組成物を半導体封止材料用途に用いる場合などに配合される。前記無機質充填材は、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。中でも、無機質充填材をより多く配合することが可能となることから、前記溶融シリカが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め、且つ、硬化性組成物の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いることが好ましい。更に、球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は硬化性組成物100質量部中、0.5〜95質量部の範囲で配合することが好ましい。
この他、本発明の硬化性組成物を導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
以上詳述した通り、本発明のδ−バレロラクトン骨格含有樹脂は、硬化物における耐熱性や誘電特性等の諸性能に優れる特徴を有する。具体的な性能としては、汎用有機溶剤への溶解性や、耐吸水性、耐硬化収縮性、硬化剤や他の樹脂との混合性、低溶融粘度性等が挙げられる。また、ジヒドロクマリンモノマーと比較して揮発性が抑えられるため、プリプレグやビルドアップフィルムなど溶剤乾燥工程を必要とする用途においても安定的に製品を製造できる特徴を有する。本発明のδ−バレロラクトン骨格含有樹脂を含有する硬化性組成物は、これらの性能に優れる特性を生かし、プリント配線基板や半導体封止材料、レジスト材料等の電子材料用途の他、塗料や接着剤、成型品等の用途にも広く利用することができる。
本発明の硬化性組成物をプリント配線基板用途やビルドアップ接着フィルム用途に用いる場合、一般には有機溶剤を配合して希釈して用いることが好ましい。前記有機溶剤は、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。有機溶剤の種類や配合量は硬化性組成物の使用環境に応じて適宜調整できるが、例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤であることが好ましく、不揮発分が40〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。ビルドアップ接着フィルム用途では、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル溶剤、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、不揮発分が30〜60質量%となる割合で使用することが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物を用いてプリント配線基板を製造する方法は、例えば、硬化性組成物を補強基材に含浸し硬化させてプリプレグを得、これと銅箔とを重ねて加熱圧着させる方法が挙げられる。前記補強基材は、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。硬化性組成物の含浸量は特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。
本発明の硬化性組成物を半導体封止材料用途に用いる場合、一般には無機質充填材を配合することが好ましい。半導体封止材料は、例えば、押出機、ニーダー、ロール等を用いて配合物を混合して調製することができる。得られた半導体封止材料を用いて半導体パッケージを成型する方法は、例えば、該半導体封止材料を注型或いはトランスファー成形機、射出成型機などを用いて成形し、更に50〜200℃の温度条件下で2〜10時間加熱する方法が挙げられ、このような方法により、成形物である半導体装置を得ることが出来る。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。実施例中の「部」及び「%」の記載は、特に断わりのない限り質量基準である。
本実施例におけるGPC測定条件は以下の通りである。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)
実施例1 δ−バレロラクトン骨格含有樹脂(1)の製造
撹拌機が備わったフラスコに、ジヒドロクマリン30質量部、37%ホルムアルデヒド水溶液8.22質量部、パラトルエンスルホン酸1.65質量部を仕込み、室温条件下で窒素を吹き込みながら撹拌した。フラスコを100℃に設定したオイルバスに浸し、1.5時間撹拌を続けた。トルエン30質量部を追加し、ディーンスターク管をセットして、脱水しながら12時間撹拌を続けた。反応混合物を分液ロートへ移し、トルエン100質量部、2ナトリウム1水素リン酸1.48質量部、水31.2質量部を加えた。更に、12%1ナトリウム2水素リン酸水溶液をpHが4になるまで追加して振り混ぜた。水層を棄却した後、前記と同量の水を使用して計5回水洗した。加熱減圧条件下でトルエンを除去し、δ−バレロラクトン骨格含有樹脂(1)30質量部を得た。δ−バレロラクトン骨格含有樹脂(1)のGPCチャート図を図1に示す。δ−バレロラクトン骨格含有樹脂(1)は軟化点53℃のアモルファス状固体であった。GPCチャート図から算出した2核体含有量は43.5%、3核体含有量は25.1%であった。また、全2核体成分中、前記構造式(2−1)又は(2−2)に相当する成分の含有量は40%であった。
実施例2 δ−バレロラクトン骨格含有樹脂(2)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、ジヒドロクマリンを300質量部、蒸留水36.5質量部、シュウ酸6質量部を仕込み、室温条件下で窒素を吹き込みながら撹拌した。100℃まで加熱し、37%ホルムアルデヒド水溶液131.5質量部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃に維持して1時間撹拌を続けた。次いで、水を留去しながら2時間かけて180℃まで昇温した。減圧条件下で2時間乾燥させ、δ−バレロラクトン骨格含有樹脂脂(2)を得た。δ−バレロラクトン骨格含有樹脂(2)のGPCチャート図を図2に示す。δ−バレロラクトン骨格含有樹脂(2)は軟化点118℃のアモルファス状固体であった。GPCチャート図から算出した2核体含有量は16.5%、3核体含有量は18.6%であった。また、全2核体成分中、前記構造式(2−1)又は(2−2)に相当する成分の含有量40%であった。
この他、本願実施例及び比較例で用いた各化合物は以下の通り。
・フェノール樹脂:DIC株式会社製「PHENOLITE TD−2090」、フェノールノボラック樹脂、軟化点120℃
・エポキシ樹脂:DIC株式会社製「EPICLON 850−S」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ基当量188g/当量
実施例3、4及び比較例1、2
表1に示す割合で各成分を配合し、硬化性組成物を製造した。これについて、下記の要領で各種評価試験を行った。結果を表1に示す。
ガラス転移温度(Tg)の測定
硬化性組成物を型枠へ入れ、プレス機を用いて150℃で10分間成型した。型枠から成型物を取り出し、175℃で更に5時間硬化させた。硬化後の成形物を5mm×54mm×2.4mmのサイズに切り出し、これを試験片とした。
粘弾性測定装置(レオメトリック社製「固体粘弾性測定装置RSAII」)を用い、レクタンギュラーテンション法、周波数1Hz、昇温温度3℃/分の条件で、室温から280℃まで加熱した。弾性率変化が最大となる(tanδが最も大きい)温度をガラス転移温度として評価した。
誘電率及び誘電正接の測定
先のガラス転移温度(Tg)測定と同様の装置及び条件で試験片を作成した。加熱真空乾燥後、23℃、湿度50%の室内に24時間保管した試験片について、JIS−C−6481に準拠し、アジレント・テクノロジー株式会社製インピーダンス・マテリアル・アナライザ「HP4291B」を用い、空洞共振法にて、1GHz、10GHzでの誘電率および誘電正接を測定し、以下の基準で評価した。
[誘電率]
A:3.0以下 B:3.5以下
[誘電正接]
A:0.020以下 B:0.025以下
C:0.030以下 D:0.035以下
Figure 0006863067

Claims (6)

  1. δ−バレロラクトン骨格含有芳香族化合物(A)とアルデヒド又はケトン化合物(B)とを必須の成分とする重縮合物であって、前記δ−バレロラクトン骨格含芳香族化合物(A)が下記構造式(1−1)〜(1−6)の何れかで表される化合物の一種類以上であるδ−バレロラクトン骨格含有樹脂。
    Figure 0006863067
    [式中Rはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アラルキル基の何れかである。lは0、1又は2、mは0又は1〜4の整数、nは0又は1〜3の整数である。]
  2. 2核体含有量が5〜70%の範囲であり、3核体含有量が5〜50%の範囲である請求項1記載のδ−バレロラクトン骨格含有樹脂。
  3. 請求項1又は2に記載のδ−バレロラクトン骨格含有樹脂と、硬化剤とを含有する硬化性組成物。
  4. 請求項記載の硬化性組成物の硬化物。
  5. 請求項記載の硬化性組成物を用いてなるプリント配線基板。
  6. 請求項記載の硬化性組成物を用いてなる半導体封止材料。
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