JP2018203557A - セメント硬化体の剥落防止用繊維、およびそれを含むセメント硬化体 - Google Patents

セメント硬化体の剥落防止用繊維、およびそれを含むセメント硬化体 Download PDF

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【課題】セメント硬化体の剥落を効果的に防止するセメント硬化体の剥落防止用繊維、およびそれを含むセメント硬化体を提供する。【解決手段】本発明は、セメント硬化体の剥落を防止するセメント硬化体の剥落防止用繊維であって、前記剥落防止用繊維は、単繊維繊度が0.3dtex以上50dtex以下であり、かつ繊維長が2mm以上50mm以下であり、繊維長と繊維直径の比であるアスペクト比が200以上1000以下であり、前記剥落防止用繊維の横断面の形状が3個以上16個以下の凸部を有する多葉状であり、前記剥落防止用繊維の表面には繊維処理剤が付着されており、前記繊維処理剤がポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩であることを特徴とするセメント硬化体の剥落防止用繊維に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、コンクリートやモルタルなどのセメント硬化体の剥落を防止する効果の高い、セメント硬化体の剥落防止用繊維、およびそれを含むセメント硬化体に関する。
セメント系材料は、圧縮強度、耐火性および耐久性に優れるとともに、型枠によって自由な寸法、形状に加工できるため、鉄道高架橋や道路橋における橋梁床版、トンネル内部を構成するトンネル覆工コンクリートなどの建築構造物や土木構造物に好適に用いられている。一方、コンクリートなどのセメント系材料は、応力が作用することや、温度変化および乾燥などによる体積変化が生じることに加え、十数年〜数十年という長期にわたり直射日光による加熱や風雨にさらされることで生じる劣化などの原因によってひび割れが発生する。セメント系材料では、セメント硬化体内部に鉄筋を入れて補強しているが、発生したひび割れが進展し、鉄筋まで達することがある。ひび割れが鉄筋まで達すると、ひび割れから雨水などの水分がセメント硬化体内部に浸透し、鉄筋を腐食させる。鉄筋の腐食が始まると、鉄筋が膨張し、それによりひび割れが更に拡大することで更なる水分の浸透を招くため、鉄筋の腐食およびひび割れの進展が加速される。こうしてひび割れが大きくなると、セメント硬化体の一部が剥落し、落下することがある。橋梁床板やトンネル覆工コンクリートなどの場合、セメント硬化体の剥落が発生すると、落下したセメント硬化体片によって第三者への被害が発生する危険性があり、対策が求められている。セメント硬化体の剥落を防止するため、ひび割れの発生後に充填剤を注入すること、構造物の製造時に防水工や止水工を施すことなどが行われていた。しかし、このような事後対策は、ひび割れの発生そのものを抑制できるものではなく、ひび割れの生じる個所や規模によってはコスト増加や工期の長期化などの問題があった。
セメント硬化体の剥落を発生させないようにするため、セメント硬化体におけるひび割れの発生、発生したひび割れの進展、セメント硬化体片の剥落を防止する対策が考案されてきた。例えば、特許文献1〜5には、繊維断面に凸部を有し、繊度が100dtex以上であるセメント補強用繊維をセメント硬化体のひび割れや剥落防止に用いることが提案されている。特許文献6には繊維断面が複数の凸部を有する多葉形断面である水硬性硬化体補強用繊維が提案されている。特許文献7には繊維断面が複数の凸部を有する多葉形断面であるセメント硬化体のひび割れ自己治癒用合成繊維が提案されている。
特開2004−26619号公報 特開2005−220498号公報 特開2006−348584号公報 特開2008−1338号公報 特開2009−234796号公報 国際公開公報2012/133763号 特開2014−1129号公報
しかし、市販されている剥落防止用繊維に対しては、より高い剥落防止性能が求められている。それに加え、特許文献1〜5に記載されているセメント補強用繊維は繊維の繊度が100dtexと大きいため、繊維1本あたりの体積が大きくなる。その結果、同じ体積割合で細繊度の繊維のみを添加したセメント硬化体と太繊度の繊維のみを添加したセメント硬化体を比較すると、太繊度の繊維を使用したセメント硬化体は一定の体積あたりに含まれる繊維の本数が低下するだけでなく、繊維の直径が大きくなることで微細なひび割れに対する補強効果が小さくなることでひび割れの発生や進展に対する抑制効果が劣るおそれがある。加えて、特許文献1〜5に記載されているセメント強化用繊維は、繊維の長手方向に対し平行となる繊維断面において、凹凸を有し、繊維径が一定ではない。こうすることでセメント硬化体への係止効果は高められると考えられるが、繊維側面に設けた凹凸により、局所的に繊維径の細い部分が生じ、部分的に強度の低い箇所が存在することで単繊維強度の低下、ひいてはセメント硬化体の強度低下の原因となるおそれもある。特許文献6および7では、セメント硬化体に対する剥落防止効果を検証しておらず、セメント硬化体の剥落を防止する効果が劣るおそれがあった。
本発明は、上記従来の問題を解決するため、セメント硬化体の剥落を効果的に防止するセメント硬化体の剥落防止用繊維、およびそれを含むセメント硬化体を提供する。
本発明は、セメント硬化体の剥落を防止するセメント硬化体の剥落防止用繊維であって、前記剥落防止用繊維は、単繊維繊度が0.3dtex以上50dtex以下であり、繊維長が2mm以上50mm以下であり、繊維長と繊維直径の比であるアスペクト比が200以上1000以下であり、前記剥落防止用繊維の断面形状が3個以上16個以下の凸部を有する多葉状であり、前記剥落防止用繊維の表面には繊維処理剤が付着されており、前記繊維処理剤がポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩であることを特徴とするセメント硬化体の剥落防止用繊維に関する。
本発明は、また、前記のセメント硬化体の剥落防止用繊維、粗骨材、および細骨材を含むセメント硬化体に関する。
本発明は、セメント硬化体に含ませることでセメント硬化体の剥落を効果的に防止する、セメント硬化体の剥落防止用繊維を提供することができる。また、本発明は、前記セメント硬化体の剥落防止用繊維をセメント硬化体に含ませることにより、剥落の発生しにくいセメント硬化体を提供することができる。
図1は、本発明の一以上の実施形態のセメント硬化体の剥落防止用繊維の繊維断面の模式図である。 図2は、本発明の一実施形態のセメント硬化体の剥落防止用繊維における凸部の各寸法を説明する模式図である。 図3は、打撃試験に用いる試験体の概要を説明する模式図である。 図4は、打撃試験の概要を説明する模式図である。 図5は、実施例3の打撃試験用試験体に膨張材を充填し、1週間気中養生した後に試験体内に生じたひび割れの様子を示す写真である。 図6は、ゴムハンマーによる打撃後の実施例3の打撃試験用試験体の様子を示す写真である。 図7は、実施例4の打撃試験用試験体に膨張材を充填し、1週間気中養生した後に試験体内に生じたひび割れの様子を示す写真である。 図8は、ゴムハンマーによる打撃後の実施例4の打撃試験用試験体の様子を示す写真である。 図9は、シュミットハンマーによる打撃後の実施例4の打撃試験用試験体の様子を示す写真である。 図10は、比較例3の打撃試験用試験体に膨張材を充填し、1週間気中養生した後に試験体内に生じたひび割れの様子を示す写真である。 図11は、ゴムハンマーによる打撃後の比較例3の打撃試験用試験体の様子を示す写真である。 図12は、シュミットハンマーによる打撃後の比較例3の打撃試験用試験体の様子を示す写真である。 図13は、比較例4の打撃試験用試験体に膨張材を充填し、1週間気中養生した後に試験体内に生じたひび割れの様子を示す写真である。 図14は、ゴムハンマーによる打撃後の比較例4の打撃試験用試験体の様子を示す写真である。 図15は、シュミットハンマーによる打撃後の比較例4の打撃試験用試験体の様子を示す写真である。
本発明者らは、鋭意検討した結果、セメントを含むセメント硬化体に対し、特定の繊度、繊維長、繊維長と繊維直径の比(アスペクト比)および断面形状を有する繊維であって、その繊維表面に特定の繊維処理剤が付着されている繊維を含ませることで、セメント硬化体の剥落を効果的に防止できることを見出し、本発明に至った。具体的には、単繊維繊度が0.3dtex以上50dtex以下であり、繊維長が2mm以上50mm以下であり、繊維長と繊維直径(丸断面に換算した)の比であるアスペクト比が200以上1000以下である繊維とし、繊維の繊維断面において、繊維断面の形状が3個以上16個以下の凸部を有する多葉状であり、繊維の表面に繊維処理剤としてポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩を付着させることで、該繊維をセメント硬化体に含ませた場合、繊維がセメント硬化体内部に均一に分散し、セメント、粗骨材および細骨材とのなじみが良好になるとともに、セメント硬化体の一定体積中に含まれる繊維本数が多くなることで、セメント硬化体の剥落を効果的に防止することを見出し、本発明に至った。
前記セメント硬化体の剥落防止用繊維(以下において、単に「剥落防止用繊維」とも記す。)は、単繊維繊度が0.3dtex以上50dtex以下である。前記剥落防止用繊維の単繊維繊度が上記範囲にあることでセメント、粗骨材、細骨材と混ぜ合わせる際の混和性に優れるだけでなく、セメント硬化体の一定体積中に含まれる繊維本数が多くなることで、セメント粒子、粗骨材および細骨材の間に形成される繊維の架橋によって強化された部分が多数形成されるようになり、セメント硬化体内部において、鉄筋の腐食による膨脹圧が発生、増加しても、セメント硬化体の剥落を防止できる。前記剥落防止用繊維において、単繊維繊度は0.5dtex以上40dtex以下であることが好ましく、0.8dtex以上30dtex以下であることがより好ましく、1dtex以上25dtex以下であることが特に好ましく、1.5dtex以上20dtex以下であることが最も好ましい。
前記剥落防止用繊維は、繊維長が2mm以上50mm以下であり、3mm以上30mm以下であることが好ましく、5mm以上25mm以下であることがより好ましく、7mm以上20mm以下であることが特に好ましく、8mm以上18mm以下であることが最も好ましい。単繊維繊度と繊維長が前記の範囲であれば、セメントに混和し撹拌する時の混和性が良いことに加え、剥落防止用繊維が適度な長さを有することで、セメント粒子、粗骨材および細骨材間を橋渡しして架橋する効果が得られ易くなり、鉄筋の腐食によりセメント硬化体内部に膨脹圧が生じてもひび割れの発生および進展を防止するようになる。
前記剥落防止用繊維は、繊維長と繊維直径の比であるアスペクト比(繊維長/繊維直径)が200以上1000以下である。剥落防止用繊維のアスペクト比が前記の範囲であれば、剥落防止用繊維をセメントに混和し撹拌する時の混和性がより高まることに加え、繊維の太さと繊維の長さのバランスが取れることで、剥落防止用繊維がセメント粒子、粗骨材および細骨材間を橋渡しして架橋する効果が高まる。前記剥落防止用繊維のアスペクト比は230以上800以下であることが好ましく、250以上750以下であることがより好ましく280以上700以下であることが特に好ましい。
前記剥落防止用繊維は、多葉状の断面形状であり、繊維断面において3個以上16個以下の凸部を有する。そのため、前記剥落防止用繊維においてアスペクト比を求める際は、当該繊維と同じ繊度である丸断面繊維の繊維直径を、当該繊維の繊維直径とする。すなわち、本発明において、剥落防止用繊維のアスペクト比を求める際には、まず当該繊維の繊度を測定する。次に測定した繊度と同じ繊度となる、繊維断面が丸断面の繊維の繊維直径を計算し、得られた繊維直径をアスペクト比における繊維直径とする。
なお、剥落防止用繊維の繊度と同じ繊度であって、繊維の断面が丸断面の繊維を用いて剥落防止用繊維の繊度を繊維直径に換算する際、換算に用いる丸断面の繊維は、繊度を換算したい剥落防止用繊維と同一の素材、組成とする。すなわち、剥落防止用繊維が単一繊維である場合、換算に想定する繊維は剥落防止用繊維と同一の熱可塑性樹脂であり、密度が同一の熱可塑性樹脂からなる繊維と仮定する。剥落防止用繊維が複数の熱可塑性樹脂成分で構成された複合繊維(例えば、芯鞘型複合繊維、分割型複合繊維、並列型複合繊維が挙げられる。)の場合。換算の際に仮定する丸断面繊維は剥落防止用繊維と同じ熱可塑性樹脂成分(すなわち、同じ種類、同じ密度の熱可塑性樹脂)で構成され、樹脂成分同士の比率(いわゆる複合比。芯鞘型複合繊維であれば芯鞘比。)も同一の丸断面繊維を仮想して換算する。
前記剥落防止用繊維は多葉状の断面を有する。具体的には、前記剥落防止用繊維の断面形状は、3個以上16個以下の凸部を有し、好ましくは3個以上8個以下の凸部を有し、特に好ましくは3個以上5個以下の凸部を有する。上記多葉状としては、例えば、3個の凸部を有する三葉、4個の凸部を有する四葉、8個の凸部を有する八葉などが挙げられる。凸部の数が上記範囲を満たす多葉状の断面を有する繊維を用いることにより、セメント粒子、粗骨材及び細骨材と接触する面積が増加し、繊維がセメント粒子、粗骨材および細骨材間を橋渡し(架橋)するため、鉄筋の腐食による膨脹圧(以下、単に膨脹圧と称す。)が発生しても、繊維による各粒子間の架橋によりセメント硬化体の剥落が防止されやすくなると考えられる。また、多葉状の断面形状は、凸部が繊維の中心付近から放射状に形成されていることが好ましい。凸部が放射状に形成されることで、セメント粒子が隣り合う凸部間に入り込み易くなり、セメント粒子間の架橋が強化され、剥落防止効果が高まると推測される。凸部が放射状に形成されている多葉状の断面形状としては、例えば、図1Aに示されている四葉状、図1Bに示されている八葉状などが挙げられる。なお、繊維断面には、繊維の長手方向に垂直な面となるように切断した繊維断面と、繊維の長手方向に平行な面になるように切断した繊維断面の二種類がある。本発明においては、特に記載がなければ繊維断面とは、当該繊維の長手方向に対し、垂直な面となるように切断した切断面を指し、断面形状とは当該繊維の長手方向に対し、垂直な面となるように切断した切断面の形状を指す。
前記剥落防止用繊維は、繊維断面に存在する少なくとも一つの凸部において、先端部分が略曲線状であり、繊維の中心に向かう根元部分の幅が先端部分の最大幅に比べて小さくなっていることが好ましい。より好ましくは、繊維断面に存在する全ての凸部において、先端部分が略曲線状であり、繊維の中心に向かう根元部分の幅が先端部分の最大幅に比べて小さくなっている。かかる形状を有することにより、根元から変形し易く、セメント硬化体に含まれるセメント粒子が隣り合う凸部間の凹部に入り込み易くなる。前記剥落防止用繊維の繊維端面において、凸部の先端部分の最大幅は、図2に示しているように、凸部の2つの根元を結ぶ線の中点uから凸部の先端(頂点t)までを結ぶ線を引き、その線から凸部の外形に向けて垂線を引いたときの最大長さDをいい、繊維断面における凸部の根元部分の幅は、図2に示しているように、凸部の2つの根元を結ぶ線の長さWをいう。前記凸部において、先端部分の最大幅Dと、根元部分の幅Wとの比(D/W)は、好ましくは1.1以上4.0以下であり、より好ましくは1.3以上3.0以下であり、特に好ましくは1.4以上2.4以下であり、最も好ましくは1.5以上2.0以下である。D/Wが上記範囲を満たすと、凸部の根元部分の幅Wに比べて凸部の先端部分の最大幅が一定の割合で大きくなることにより、セメント硬化体内部において、セメント粒子や粒子径の小さい骨材の間に食い込んだ繊維の凸部が引き抜けにくくなることで、繊維の架橋が強化され、膨脹圧が発生、増加しても剥落を防止すると推定される。前記凸部の先端部分の最大幅及び凸部の根元部分の幅は、繊維束の繊維断面を電子顕微鏡などで拡大して、任意の繊維5本の値を平均して求めることができる。
前記凸部における先端部分の最大幅Dは、3μm以上45μm以下であることが好ましい。より好ましくは5μm以上35μm以下であり、さらに好ましくは6μm以上30μm以下であり、特に好ましくは7μm以上28μm以下である。上記範囲内にあると、隣り合う凸部間に形成される凹部にセメント粒子や粒子径の小さな骨材が入り込みやく、セメント硬化体において、添加した繊維が引き抜けにくくなり、優れた係止効果(アンカー効果)を発揮すると推測される。
前記凸部における根元部分の幅Wは、1.5μm以上32μm以下であることが好ましい。より好ましくは2μm以上26μm以下であり、さらに好ましくは2.5μm以上23μm以下であり、特に好ましくは3.5μm以上18μm以下である。凸部の根元部分の幅Wが前記範囲内にあると、隣り合う凸部間に形成される凹部にセメント粒子や粒子径の小さい骨材が入り込みやすくなり、繊維が引き抜けにくくなる。また、根元部分の幅Wが前記範囲内にあると、セメント、粗骨材、細骨材および剥落防止用繊維に水を加えて混合する際、混合により発生する剪断力によって、剥落防止用繊維の凸部のうち一部の凸部が、根元付近から剥離、フィブリル化、または分離し易くなる傾向にある。
前記剥落防止用繊維において、繊維断面における凸部の長さは、図2に示されているように、凸部の2つの根元を結ぶ線の中点uから凸部の先端(頂点t)までを結ぶ線の長さLで示される。前記剥落防止用繊維において、繊維断面で見たときの最大の差し渡し長さSに対する凸部の長さLの比L/Sが0.3以上0.48以下であることが好ましく、より好ましくは、0.35以上0.45以下であり、特に好ましくは0.38以上0.42以下である。上記範囲を満たす多葉状断面の繊維を用いることにより、セメント粒子、粗骨材および細骨材と接触する面積が増加するだけでなく、隣り合う凸部間に形成される凹部が深くなるため、繊維による架橋効果、特に繊維とセメント粒子との接触面積の増加による架橋強化が促進され、膨脹圧が発生、増加してもセメント硬化体の剥落を防止すると推定される。
前記剥落防止用繊維において、前記凸部の長さLは、2μm以上70μm以下であることが好ましく、より好ましくは4μm以上60μm以下であり、さらに好ましくは6μm以上50μm以下であり、最も好ましくは8μm以上40μm以下である。凸部の長さLが2μm以上であると、凸部が根元から変形しやすくなる。凸部の長さLが70μm以下であると、隣り合う凸部間に形成される凹部が変形した凸部によって閉塞することがなく、凹部へセメント粒子等が入り込みやすく、繊維が引き抜けにくくなる。前記凸部の長さLは、繊維束の繊維断面を電子顕微鏡などで拡大して、任意の繊維5本の値を平均して求めることができる。
前記凸部の長さLと、前記凸部の根元部分の幅Wとの比(L/W)は1.0以上3.0以下であることが好ましく、より好ましくは1.2以上3.0以下であり、さらに好ましくは1.5以上2.8以下であり、特に好ましくは1.7以上2.7以下であり、最も好ましくは1.8以上2.6以下である。L/Wが前記範囲を満たすと、隣り合う凸部間に形成される凹部を閉塞することなく、凸部がその根元から変形しやすくなることで、セメント硬化体において繊維がセメント粒子などにしっかりと係止され、繊維が引き抜けにくくなることで、繊維の架橋が強化され、鉄筋の腐食による膨脹圧が発生、増加してもセメントの剥落を防止すると推定される。
前記剥落防止用繊維において、繊維断面に存在する凸部は、繊維の長さ方向(繊維側面)に対して、連続、不連続のいずれであってもよいが、製造工程性を考慮すると、凸部は繊維側面において連続して存在していることが好ましい。
前記剥落防止用繊維において、繊維の長手方向に垂直な面となるように切断した繊維断面の形状は前記の通り、3個以上16個以下の凸部を有する多葉状であり、好ましくは、少なくとも一つの凸部は、先端部分が略曲線状であり、繊維の中心に向かう根元部分の幅が先端部分の最大幅に比べて小さくなっており、前記凸部における先端部分の最大幅Dと根元部分の幅Wとの比(D/W)が、1.1以上4.0以下となっている。一方、本発明の剥落防止用繊維において、繊維の長手方向に平行な面となるように切断した繊維断面の形状は特に限定されないが、好ましくは、繊維の長手方向に平行な面となるように切断した繊維断面の形状において、長手方向の辺を形成する辺に実質的に凹部が存在しないことが好ましい。これにより本発明の剥落防止用繊維は、1本の繊維について着目したとき、太さのバラツキが少なく、局所的に細い部分が存在しにくくなるため、単繊維強度が安定し、セメント硬化体に添加した際は安定した補強効果を発揮すると考えられる。本発明において、繊維の長手方向に平行な面となるように切断した繊維断面の形状において、長手方向の辺を形成する辺に実質的に凹部が存在しない、とは当該繊維を繊維の長手方向に平行な面となるように切断した繊維断面を走査型電子顕微鏡などで観察し、長手方向の辺を形成する辺において、周辺部よりも25μm以上、好ましくは20μm以上窪み、凹部を形成している部分がないことを指す
前記剥落防止用繊維は、繊維表面に繊維処理剤であるポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩が付着されている。これにより、繊維表面に極性基を付与することができ、セメントに混和し撹拌する時の混和性が向上するだけでなく、セメント粒子とのなじみが良好になり、剥落防止用繊維による架橋効果が高められると考えられる。
前記ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩は、特に限定されないが、例えば、下記化学式(1)で示される化合物及び下記化学式(2)で示される化合物からなる群から選ばれる一種以上の化合物であることが好ましい。
但し、化学式(1)中、Rは炭素数2〜20のアルキル基、Aはアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素、nは1〜20である。
但し、化学式(2)中、R1及びR2は炭素数2〜20のアルキル基、Aはアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素、n及びmは1〜20である。
前記ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩は、前記化学式(1)で示される化合物及び前記化学式(2)で示される化合物の混合物であってもよい。この場合、前記化学式(1)で示される化合物の割合は、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩100モル%に対して20〜80モル%の範囲であることが好ましく、50〜80モル%の範囲であることがより好ましい。また、前記化学式(2)で示される化合物の割合は、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩100モル%に対して20〜80モル%の範囲であることが好ましく、20〜50モル%の範囲であることがより好ましい。上記化学式(1)で示される化合物の割合が20モル%以上であると、水に溶けやすく、繊維への付与が容易である。また、上記化学式(1)で示される化合物の割合が50モル%以上であると、−O−A+基を1モル中に2つ含む化合物を多く含むことに起因して、セメントとの親和性が特に優れた繊維を得ることができる。
前記化学式(1)又は前記化学式(2)において、Aのアルカリ金属元素としては、Li,Na,K,Rbなどが好ましい。特にカリウム(K)が好ましい。前記ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩としては、下記化学式(3)又は下記化学式(4)に示される化合物が好ましい。
但し、化学式(3)中、Rは炭素数2〜20のアルキル基、nは1〜20である。
但し、化学式(4)中、R1及びR2は炭素数2〜20のアルキル基、n及びmは1〜20である。
前記化学式(1)、化学式(2)、化学式(3)、及び化学式(4)において、オキシエチレン基のモル数を表すn及びmは1〜15がより好ましく、3〜7がさらに好ましい。オキシエチレン基のモル数n及びmは、大きくなるとセメント硬化体との親和性が向上する傾向にあるが、大き過ぎると、流動性が小さくなり、繊維に対して繊維処理剤が不均一に付着する場合がある。また、前記化学式(1)、化学式(2)、化学式(3)、及び化学式(4)において、R、R1及びR2の炭素数は8〜18がより好ましく、6〜16がさらに好ましい。R、R1及びR2のアルキル鎖長(炭素鎖長)は、大きくなると親水性が低下する傾向にあり、小さくなると繊維処理剤が繊維から脱落しやすくなる傾向にある。オキシエチレン基のモル数n及びm、並びにR、R1及びR2のアルキル鎖長が、この範囲であれば、繊維処理剤が脱落しにくく、セメント硬化体との親和性も高くなる。
前記剥落防止用繊維質量(100質量%)に対し、前記ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩の付着量は0.05質量%以上10質量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。この範囲であれば、繊維処理剤が繊維表面から脱落しにくく、セメント硬化体の剥落を防止する効果が高まる。
前記剥落防止用繊維を構成する熱可塑性樹脂は特に限定されず、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂(ビニロン繊維)、アクリル樹脂といった樹脂が本発明の剥落防止用繊維に使用できる。前記剥落防止用繊維は、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリアセタール樹脂からなる群から選ばれる一つの熱可塑性樹脂を主体とする繊維であることが好ましい。本明細書において、「主体」とは、前記剥落防止用繊維が、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリアセタール樹脂からなる群から選ばれる一つの熱可塑性樹脂を50質量%以上含むことを意味する。前記剥落防止用繊維は、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリアセタール樹脂からなる群から選ばれる一つの熱可塑性樹脂を75質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことが特に好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどが含まれる)、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体およびエチレン−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。また、前記ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体を始めとするポリオレフィン樹脂に対し、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸を始めとするカルボキシル基を含有するモノマーを共重合させることで得られるカルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂などを用いてもよい。前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体およびカルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる一つ以上のポリオレフィン樹脂であることが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体およびカルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる一つ以上のポリオレフィン樹脂であることがより好ましく、ポリプロピレン及びカルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる一つ以上のポリオレフィン樹脂であることが特に好ましい。
前記ポリアミド樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ナイロン66(主にポリヘキサメチレンアジパミドからなる。ポリヘキサメチレンアジパミドとはヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とから構成される融点が250℃以上のポリマー)、ナイロン6、ナイロン6I、ナイロン610、ナイロン6Tなどのホモポリマー、前記ポリアミド樹脂同士をブレンドした混合樹脂、前記ポリアミド樹脂同士の共重合体(例えば、ナイロン66と、ナイロン6、ナイロン6I、ナイロン610、ナイロン6Tなどを共重合した共重合体が挙げられる)などが挙げられる。前記ポリアミド樹脂は、ナイロン66またはナイロン6であることが好ましい。
前記ポリアセタール樹脂とは、ポリオキシメチレン樹脂とも呼ばれ、オキシメチレン単位を主たる繰り返し単位とするポリマーである。前記ポリアセタール樹脂(以下、POMともいう。)は、POMホモポリマーであってもよく、POMコポリマーであってもよい。上記POMホモポリマーは、通常、ホルムアルデヒドまたはトリオキサンを主原料として、重合反応によって得られる。前記POMコポリマーは、通常、主としてオキシメチレン単位からなり、主鎖中に2〜8個の隣接する炭素原子を有し、置換基を有してよいオキシアルキレン単位、好ましくはCH2CH2Oをエチレンオキサイド換算値として10質量%以下、より好ましくは0.5〜8質量%含有する。前記POMコポリマーにおいて、オキシアルキレン基に結合し得る置換基は、例えば、アルキル基、フェニル基、または他の有機基である。また、前記ポリアセタール樹脂は、オキシメチレン単位以外の他の構成単位を含有するコポリマー、即ち、ブロックコポリマー、ターポリマー、および架橋ポリマーのいずれであってもよい。
前記剥落防止用繊維はポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリアセタール樹脂からなる群から選ばれる一つの熱可塑性樹脂を主体とする繊維であればよく、各種ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂およびポリアセタール樹脂を特に限定されず使用することができる。例えば、セメント硬化体中での安定性を重視するのであればポリオレフィン樹脂を主体とすることが好ましく、フレッシュコンクリート(一般的にはまだ固まらない状態のコンクリートを指す。本願明細書においてはこれに加え、まだ固まらない状態のセメントペースト、セメントモルタルなどを含む。)における分散性を重視するのであればポリアミド樹脂またはポリアセタール樹脂を主体とすることが好ましい。前記剥落防止用繊維の場合、長期間アルカリ性の環境下におかれても劣化しないことが求められるため、ポリオレフィン樹脂を主体とすることが好ましく、ポリオレフィン樹脂の中でもポリプロピレン樹脂を主体とすることがより好ましく、ポリプロピレン樹脂からなる繊維であることが特に好ましい。
前記剥落防止用繊維は、繊維表面が親水化されていてもよい。繊維表面の親水化は、極性基を付与する親水化処理によって行うことができる。剥落防止用繊維がポリオレフィン樹脂を主体とする繊維である場合、親水化処理により、水酸基やカルボニル基、カルボキシル基などの極性基が付与され、未処理の繊維と比較して、セメントに混和し撹拌する時の混和性が向上する。また、剥落防止用繊維がポリアミド樹脂を主体とする繊維である場合、親水化処理を行うことでポリアミド樹脂が元々有している極性基以外に、別の官能基が繊維表面に導入されることで繊維とセメントの親和性が高められ、セメントに混和し撹拌する時の混和性が向上するだけでなく、セメント硬化体においてセメント組織から繊維が引き抜けにくくなり、セメント硬化体の機械的強度が向上することで、鉄筋の腐食によりセメント硬化体内部に膨脹圧が生じてもひび割れの発生および進展を防止するようになる。
前記親水化処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、フッ素ガス処理(例えば、フッ素ガスと酸素ガスを含む混合ガスや、フッ素ガスと亜硫酸ガスを含む混合ガスを用いた処理が挙げられる。)、オゾン処理(例えば、オゾン水溶液による処理や、オゾンガス処理などが挙げられる。)、スルホン化処理(無水硫酸ガスを用いたスルホン化処理の他、発煙硫酸を用いたスルホン化処理、亜硫酸ガスを用いたスルホン化処理、熱濃硫酸を用いたスルホン化処理などが挙げられる)などが挙げられるが、コロナ放電処理やプラズマ処理が好ましい。剥落防止用繊維表面への極性基の導入をコロナ放電処理にて実施する場合、処理の条件は特に限定されないが、コロナ放電処理における1回当たりの放電量を10W/m2/分以上にすることが好ましく、総放電量を10W/m2/分以上5000W/m2/分以下とすることが好ましく、総放電量を12W/m2/分以上4000W/m2/分以下にすることがより好ましい。剥落防止用繊維表面への極性基の導入をプラズマ処理にて実施する場合、その処理条件は特に限定されないが、常圧プラズマ処理であることが好ましく、常圧プラズマ処理を、電圧20〜250kV、周波数500〜3000ppsで処理すればよい。常圧プラズマ処理であると、低電圧で処理できるので、繊維の劣化が少なく都合がよい。
前記剥落防止用繊維において、特に限定されないが、繊維の単繊維強度は3.3cN/dtex以上であることが好ましく、3.7cN/dtex以上であることがより好ましく、4.0cN/dtex以上であることが特に好ましく4.3cN/dtex以上であることが特に好ましい。単繊維強度が前記範囲内であると、セメント、粗骨材、細骨材と混ぜ合わせる際の混和性に優れるだけでなく、十分な強度を有するセメント硬化体が得られ易い。前記剥落防止用繊維の単繊維強度の上限は特に限定されないが、製造コストを低減する観点から、単繊維強度が10cN/dtex以下であることが好ましく、より好ましくは8cN/dtex以下であり、特に好ましくは7.8cN/dtex以下である。
前記剥落防止用繊維において、特に限定されないが、繊維の破断伸度は10%以上150%以下であることが好ましく、15%以上100%以下であることがより好ましく、18%以上70%以下であることが特に好ましく、18%以上60%以下であることが最も好ましい。剥落防止用繊維において、破断伸度が前記範囲内であれば、セメント、粗骨材、細骨材と混ぜ合わせる際の混和性に優れるだけでなく、十分な強度を有するセメント硬化体が得られ易い。また、剥落防止用繊維の製造コストも低減することができる。
本発明の一実施形態において、前記剥落防止用繊維は、以下の手順で製造することができる。まず、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂などの熱可塑性樹脂が主体となるように原料の熱可塑性樹脂を用意する。用意した熱可塑性樹脂を、所定の形状になるような単一型または複合型ノズルを用いて、樹脂が溶融する温度で溶融紡糸する。剥落防止用繊維がポリオレフィン樹脂を主体とする繊維の場合、紡糸温度は例えば200〜350℃であればよく、剥落防止用繊維がポリアミド樹脂を主体とする繊維の場合、紡糸温度は例えば260〜350℃であればよく、剥落防止用繊維がポリアセタール樹脂を主体とする繊維であれば、紡糸温度は例えば180〜250℃であればよい。溶融紡糸における引き取り速度は100〜2000m/分であればよく、最終的に得られる剥落防止用繊維の繊度に合わせて調整できる。前記範囲の引き取り速度で溶融した原料樹脂を引き取り、繊度が2〜100dtexである未延伸状体の紡糸フィラメントが得られる。
前記の手順で得られた未延伸状態の紡糸フィラメントは、必要に応じて延伸される。延伸温度は熱可塑性樹脂の種類によって適宜設定される。例えば、剥落防止用繊維がポリオレフィン樹脂を主体とする繊維であれば、延伸温度は80℃以上160℃以下、延伸倍率1.2倍以上8倍以下の条件で延伸することが好ましい。より好ましい延伸温度は、110℃以上155℃以下である。より好ましい延伸倍率は、3倍以上6倍以下である。剥落防止用繊維がポリアミド樹脂を主体とする繊維であれば、延伸温度は10℃以上230℃以下、延伸倍率1.2倍以上8倍以下の条件で延伸することが好ましい。より好ましい延伸温度は、30℃以上200℃以下である。より好ましい延伸倍率は、1.5倍以上6倍以下である。剥落防止用繊維がポリアセタール樹脂を主体とする繊維であれば、延伸温度は120℃以上165℃以下、延伸倍率1.2倍以上10倍以下の条件で延伸することが好ましい。より好ましい延伸温度は、125℃以上160℃以下である。より好ましい延伸倍率は、1.5倍以上7倍以下である。延伸方法は、特に限定されず、高温の熱水などの高温の液体で加熱しながら延伸を行う湿式延伸、高温の気体中または高温の金属ロールなどで加熱しながら延伸を行う乾式延伸、100℃以上の水蒸気を常圧若しくは加圧状態にして繊維を加熱しながら延伸を行う水蒸気延伸などの公知の方法で延伸処理を行うことができる。延伸工程は、1段階延伸、または複数の段階に分けて行う、いわゆる多段延伸処理のいずれで行ってもよい。
得られた延伸フィラメントには、繊維処理剤であるポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩を付与する。繊維処理剤の付与方法は、浸漬法、スプレー法、コーティング法のいずれでもよい。前記延伸後のフィラメントは、繊維処理剤を付与する前に、セメント硬化体との親和性をさらに高めるために、フッ素ガス処理、プラズマ放電処理及びコロナ放電処理から選ばれる少なくとも一つの親水化処理により親水化されていてもよい。前記剥落防止用繊維が、フッ素ガス処理、プラズマ放電処理及びコロナ放電処理から選ばれる少なくとも一つの親水化処理により親水化された繊維に、繊維処理剤が付着しているものであると、セメントとの親和性がさらに向上し、セメント硬化体の剥落防止効果も高まる。繊維処理剤を付与した後、必要があれば捲縮付与処理が施され、所定の繊維長に切断する。
本発明の一実施形態において、セメント硬化体は、前記剥落防止用繊維、セメント、粗骨材、および細骨材を含む。前記セメント硬化体は、セメント、粗骨材、および細骨材を含むセメント組成物に前記剥落防止用繊維を一定の割合で添加し、適量の水を加えて十分に混練した後硬化させたり、セメント組成物と水とを予め混ぜ合わせたフレッシュコンクリート中に前記剥落防止用繊維を添加し、十分に混練した後硬化させたりすることで得ることができる。前記セメント硬化体は、特に限定されないが、剥落防止用繊維を0.05体積%(vol%)以上4.8vol%以下の割合で含んでもよい。すなわち、セメント硬化体において、前記剥落防止用繊維を除いた各種セメント、細骨材、粗骨材、混和剤、水などの成分の総和を100vol%とし、これに対し本発明の剥落防止用繊維を0.05vol%以上4.8vol%以下の割合で含んでもよい。前記セメント硬化体は、前記剥落防止用繊維を好ましくは0.08vol%以上3vol%含み、さらに好ましくは0.1vol%以上2.5vol%含む。
前記セメント組成物には、セメント、粗骨材、および細骨材が含まれ、必要に応じて混和剤を始めとする機能剤を添加してもよい。前記セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントなど、各種セメントを使用することができる。前記細骨材や粗骨材としては珪砂、川砂、海砂、浜砂、砕石などが挙げられるほか、高炉スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグおよび電気炉酸化スラグといった各種スラグなどを使用することができ、この中からセメント硬化体の用途に応じて骨材の粒子径を選択して細骨材、粗骨材として使用することができる。前記混和剤としては、AE剤、AE減水剤、高機能AE減水剤、流動化剤、硬化促進剤、防錆剤、凝結遅延剤、急結剤、収縮低減剤などが挙げられる。これらの混和剤から目的や用途によって適宜選択して使用することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、商品名「SA01A」)を用意した。この樹脂を四葉型のノズル孔形状を有する紡糸ノズルを用いて、紡糸温度を270℃として溶融押出し、引取速度568m/分で引き取り、繊度7.6dtexの紡糸フィラメント(未延伸糸)を作製した。得られた紡糸フィラメントを使用し、145℃で、4.0倍に乾式延伸した。得られた延伸フィラメントを、コロナ放電処理機に通して、72W/m2/分の放電量(1回当たり)でコロナ放電処理して水酸基などの官能基を付与して親水化した。次いで、繊維処理剤として、オキシエチレン基を5mol含み、炭素鎖長が12であるポリオキシエチレンラウリルリン酸カリウムを繊維質量に対して繊維処理剤の付着量が3質量%になるように付与し、繊維長10mmにカットし、単繊維繊度2.2dtexのポリプロピレン繊維を得た。
得られたポリプロピレン繊維は、繊維断面形状が4つの凸部を有する多葉状であり、その凸部は先端部分が略曲線状であり、繊維の中心に向かう根元部分の幅が先端部分の最大幅に比べて小さくなっていた。繊維断面で見たときの最大の差し渡し長さSは25.0μm、凸部の長さLは12.1μm、凸部の先端部分における最大幅Dは8.3μm、根元部分の幅Wは4.5μm、L/Sは0.48、D/Wは1.8、L/Wは2.7であった。
(実施例2)
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、商品名「SA01A」)を用意した。この樹脂を四葉型のノズル孔形状を有する紡糸ノズルを用いて、紡糸温度を270℃として溶融押出し、引取速度205m/分で引き取り、繊度26dtexの紡糸フィラメント(未延伸糸)を作製した。得られた紡糸フィラメントを使用し、155℃で、4.7倍に乾式延伸した。得られた延伸フィラメントを、コロナ放電処理機に通して、23.8W/m2/分の放電量(1回当たり)でコロナ放電処理して水酸基などの官能基を付与して親水化した。次いで、繊維処理剤として、オキシエチレン基を5mol含み、炭素鎖長が12であるポリオキシエチレンラウリルリン酸カリウムを繊維質量に対して繊維処理剤の付着量が2.15質量%になるように付与し、繊維長15mmにカットし、単繊維繊度5.4dtexのポリプロピレン繊維を得た。
得られたポリプロピレン繊維は、繊維断面形状が4つの凸部を有する多葉状であり、その凸部は先端部分が略曲線状であり、繊維の中心に向かう根元部分の幅が先端部分の最大幅に比べて小さくなっていた。繊維断面で見たときの最大の差し渡し長さSは39.3μm、凸部の長さLは19.5μm、凸部の先端部分における最大幅Dは15.8μm、根元部分の幅Wは8.2μm、L/Sは0.50、D/Wは1.9、L/Wは2.4であった。
(比較例1)
比較例1の繊維として、市販のコンクリート剥落防止用ポリプロピレン樹脂製短繊維(宇部エクシモ株式会社 製、品名「シムロック(登録商標)SX」、繊維長20mm、単繊維繊度1000dtex、X字型断面)を用いた。この繊維は、繊維断面の凸部において、幅が最大となっているのが根元部分であり、凸部は根元で最大の幅となり、先端部分に向けて徐々に幅が狭くなっている。繊維断面で見たときの最大の差し渡し長さSは555.9μm、凸部の長さLは162.4μm、凸部の最大幅D、すなわち凸部の根元部分の幅は230.6μm、L/Sは0.29、L/Wは0.70であった。
(比較例2)
比較例2の繊維として、市販のコンクリート剥落防止用ナイロン繊維(株式会社 エイオービー アンド ダヴィンチ インターナショナル より購入。品名「ニュークリート」、ナイロン66を主体とする丸断面の繊維、繊維長12mm、単繊維繊度3.2dtex、繊維質量に対して0.5質量%の繊維処理剤が付着されている)を用いた。
実施例及び比較例の繊維の単繊維強度および破断伸度を下記のように測定し、その結果を下記表1に示した。下記表1に、単繊維繊度、繊維長、密度及び繊維径も併せて示した。
<単繊維強度および破断伸度>
JIS L 1015に準じて、引張試験機を用いて、試料のつかみ間隔を20mmとしたときの繊維切断時の荷重値および伸度を測定し、それぞれ単繊維強度および破断伸度とした。
(実施例3〜4、比較例3〜5)
(試験体の作製方法)
表2に示す種類のセメント、細骨材、粗骨材、混和剤及び水を表3に記載された組成となるよう配合した。表3において、W/Cは水とセメントの質量比、s/aは細骨材と全骨材(細骨材と粗骨材の合計)の体積比を表す。セメント、細骨材、粗骨材、混和剤及び水を含むフレッシュコンクリートを十分に混和した後、フレッシュコンクリートの体積を100vol%としたときに外割りで所定の繊維混入量となるように表3に記載の所定の繊維を、前記フレッシュコンクリートに投入して十分に混和した。なお、比較例3では、繊維を投入していなかった。
[フレッシュコンクリートの流動性評価(スランプ試験)]
フレッシュコンクリートの流動性の評価は、JIS A 1101「コンクリートのスランプ試験方法」に準じて行った。測定は、上述したように作製したフレッシュコンクリートをスランプコーンに充填し、充填後3分以内にスランプコーンを抜き取り、スランプを測定した。その結果を上記表3に示した。
[圧縮強度試験]
上述したように作製したフレッシュコンクリートを、直径10cm、高さ20cmの円柱状型に充填した。打設後、気温20℃の室内にて14日間、気中養生を行い、セメント硬化体を得た。得られたセメント硬化体を用い、JIS A 1108 「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて、セメント硬化体の圧縮強度を測定した。その結果を上記表3に示した。
[剥落防止性能の評価]
セメント硬化体の剥落に対する抵抗性能を評価するため、人工的にひび割れを生じさせたセメント硬化体を準備し、そのセメント硬化体に対し打撃を加え、剥落やセメント硬化体の崩壊が発生するまでの回数を測定する試験を行った。まず、上述したように各フレッシュコンクリートを作製した。次に、このフレッシュコンクリートを600mm、150mm、150mmの大きさのセメント硬化体になるよう型枠に打設し、打設した翌日、試験体を脱型し、膨張材を注入して人工的にひび割れを生じさせるための穴を試験体に設けた。膨張材を充填する穴は、図3に示すように、試験体aの側面に、かぶり厚20mm、隣り合う穴の中心間距離60mmとなる直径20mmの貫通する穴bを、コアドリルを用いて試験体aに5箇所設けた。膨張材を充填する穴bを設けた後、試験体aを20℃の室内で14日間、気中養生した。
膨張材を注入する穴bを設けてから2週間気中養生した試験体aに対し、膨脹材を充填した。膨張材として、表2に示す普通ポルトランドセメントと水と膨張材(エトリンガイト・石灰系膨張材:密度3.0g/cm3)を、セメント:水:膨張材(質量比)=1:0.6:0.8となるように調合し、十分に混和したものを、試験体aの側面に設けた穴bから注入した。5箇所の穴bの全てに膨張材を注入した後、試験体aを20℃の室内にてさらに1週間、気中養生した。なお、膨張量が大きくなった場合に試験体が崩壊することを防ぐため、図3に示すように、かぶり厚50mmとなる位置に直径が10mmの鉄筋cを3本配置した。
膨張材によって人工的にひび割れを導入した試験体aに対し、ゴムハンマー及びシュミットハンマーを用いた打撃試験を行った。最初にゴムハンマーを用いた打撃試験を行った。質量が770gのゴムハンマーを試験体aの上方50cmの高さから、ハンマー自重分のみの力で振り下ろし(言い換えならば、ゴムハンマーに対し、外から力を加えないようにして試験体に振り下ろす)、試験体aを打撃した。ゴムハンマーによる打撃は、図4に示すように、膨張材を充填した穴bと穴bの間の部分を、試験体aの左側より順に打撃することを繰り返した。試験体aからセメント硬化体片が発生し、剥落、崩壊するまで、または打撃回数が320回に達するまで打撃を続けた。なお、ゴムハンマーで打撃する際、打撃を行う人は特定の人のみで行い、異なる作業者にて打撃しないようにした。770gのゴムハンマーにて320回打撃を加えても試験片に剥落や崩壊が生じなかった試験体に対しては、ゴムハンマーによる320回の打撃終了後、ゴムハンマー(質量770g)をシュミットハンマー(衝撃エネルギー:2.207N・m)に変更して同様に320回打撃を加えた。なお、シュミットハンマーにて打撃を加える際は、前記ゴムハンマーによる打撃と同様、図4に示すように、膨張材を充填した穴bと穴bの間の部分を、試験体aの左側より順に打撃することを繰り返した。
実施例3、4、比較例3および4の試験体について、膨張材を充填し、1週間気中養生した後に試験体内に生じたひび割れの様子を示す写真をそれぞれ図5、図7、図10、図13に示した。また、ゴムハンマーによる打撃後の実施例3、4、比較例3および4の試験体の写真を、それぞれ、図6、図8、図11、図14に示した。また、シュミットハンマーによる打撃後の実施例4、比較例3および4の試験体の写真をそれぞれ図9、図12、図15に示した。また、ゴムハンマーおよびシュミットハンマーを用いた打撃試験における打撃回数と試験体の崩壊状況を表3に記載した。打撃試験は、n=3で行っているがセメント中に繊維を加えていない比較例3のセメント硬化体において、試験体1は、充填した膨張材により剥落が既に発生していたため、ハンマーおよびシュミットハンマーによる打撃試験を行っていない。シュミットハンマーによる打撃回数の平均値を求める際は、この試験体の打撃回数を0回として計算した。
図9、図12、図15および表4から分かるように、実施例3および4では、平均打撃回数が比較例3〜5に比べて高く、効果的にセメント硬化体の剥落を防止していた。
本発明のセメント硬化体の剥落防止用繊維は、繊維断面が特定の形状を有することにより、セメント粒子、細骨材及び粗骨材とのなじみが良好であるだけでなく、凸部がセメント硬化体内部に強固に係止されるようになり、セメント粒子や水和反応で生じるセメント水和物、また細骨材粒子間を架橋し、強化することで、剥落の発生を防ぐ効果が得られる。本発明のセメント硬化体の剥落防止用繊維を含むセメント硬化体は打撃試験の結果から剥落の発生が抑制されており、本発明の剥落防止用繊維を適量添加したコンクリートは、鉄道高架橋や道路橋における橋梁床版、トンネル内部を構成するトンネル覆工コンクリートなど屋外で長期間使用する構造物であって、万一剥落が発生しコンクリート片が落下した場合、二次災害が発生する可能性がある建造物に好ましく使用することができる。
a 試験体
b 穴
c 鉄筋

Claims (8)

  1. セメント硬化体の剥落を防止するセメント硬化体の剥落防止用繊維であって、
    前記剥落防止用繊維は、単繊維繊度が0.3dtex以上50dtex以下であり、繊維長が2mm以上50mm以下であり、繊維長と繊維直径の比であるアスペクト比が200以上1000以下であり、
    前記剥落防止用繊維の断面形状が3個以上16個以下の凸部を有する多葉状であり、
    前記剥落防止用繊維の表面には繊維処理剤が付着されており、前記繊維処理剤がポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩であることを特徴とするセメント硬化体の剥落防止用繊維。
  2. 少なくとも一つの凸部は、先端部分が略曲線状であり、繊維の中心に向かう根元部分の幅が先端部分の最大幅に比べて小さくなっており、前記凸部における先端部分の最大幅Dと根元部分の幅Wとの比(D/W)が、1.1以上4.0以下である請求項1に記載のセメント硬化体の剥落防止用繊維。
  3. 前記凸部が、前記剥落防止用繊維の長さ方向に連続して存在している請求項1または2に記載のセメント硬化体の剥落防止用繊維。
  4. 前記剥落防止用繊維の断面において、凸部の変形により、隣り合う凸部間の距離がランダムになっている請求項1〜3のいずれか一項に記載のセメント硬化体の剥落防止用繊維。
  5. 前記ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩が下記化学式(1)で示される化合物及び下記化学式(2)で示される化合物からなる群から選ばれる一つ以上の化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載のセメント硬化体の剥落防止用繊維。
    但し、化学式(1)中、Rは炭素数2〜20のアルキル基、Aはアルカリ金属元素、nは1〜20である。
    但し、化学式(2)中、R1及びR2は炭素数2〜20のアルキル基、Aはアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素、n及びmは1〜20である。
  6. 前記剥落防止用繊維は、繊維表面が親水化されている請求項1〜5のいずれか一項に一項に記載のセメント硬化体の剥落防止用繊維。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のセメント硬化体の剥落防止用繊維、セメント、粗骨材、および細骨材を含むセメント硬化体。
  8. 前記セメント硬化体に含まれる前記剥落防止用繊維の割合が0.05vol%以上4.8vol%以下である請求項7に記載のセメント硬化体。
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