JP2018203425A - 記録装置 - Google Patents
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Abstract
Description
コルゲーションが形成された用紙は腰付けされて剛性が高まり、プラテン11上における用紙の姿勢が安定する。以って、記録ヘッド1による良好な記録画質が得られる。
一方、用紙の浮き上がりを確実に抑制する観点では、記録ヘッドと対向する領域の全域に亘ってコルゲーションをより確実に形成する必要がある。しかし、コルゲーションを確実に形成すればする程、用紙に形成されたコルゲーションを要因とする記録品質の低下がより顕著に生じてしまう。
また、用紙に形成される波形状は、用紙を搬送する搬送ローラーや、用紙に波打ちを形成する波形状に対する用紙の係わり合い(接触状態)の変化によって変化する為、より良好な記録品質を得る為にはこの点をも合わせて考慮することが好ましい。
その上で前記液体吐出ノズルによる前記液体の吐出を制御する制御部は、前記上流側搬送部と前記下流側搬送部との間における前記媒体の形状に応じて、前記液体吐出ノズルによる前記液体の吐出を制御するので、前記上流側搬送部と前記下流側搬送部との間において前記媒体が変形していても、それに対応する様に前記液体が吐出されることで良好な記録品質を得ることができる。
尚、「前記上流側搬送部及び前記下流側搬送部に対する前記媒体の接触状態(係わり合い)」は、例えば、前記媒体が前記上流側搬送部のみにより搬送されている状態、前記媒体が前記上流側搬送部及び前記下流側搬送部の双方により搬送されている状態、前記媒体が前記下流側搬送部のみにより搬送されている状態、のこれらが挙げられる。
尚、「前記波形状形成部に対する前記媒体の接触状態(係わり合い)」は、例えば、前記媒体が前記波形状形成部に差し掛かっている状態、前記媒体が前記波液状形成部に差し掛かっていない状態、のこれらが挙げられる。
尚、記録データに基づく記録領域の前記幅方向のサイズを、前記波形状形成部によって縮小した前記媒体の幅に対応させて縮小する場合、記録領域全体を縮小する方法と、記録領域の端部を切り捨てる方法と、の少なくともいずれかを採用できる。
図1は、プリンターにおける用紙搬送経路を示す概略図である。図2は、記録部周辺の概略側面図である。図3は、記録部周辺の概略平面図である。図4は、実施例1に係る上流側搬送部のZX平面の断面図である。図5は、実施例1に係る波形状形成部のZX平面の断面図である。図6は、上流側搬送部と波形状形成部の高さ方向における位置関係について説明する図である。
また、図15〜図19は波形状形成部が二つの場合の記録部周辺の概略平面図であり、図15は第1状態を、図16は第2状態を、図17は第3状態を、図18は第4状態を、図19は第5状態を、それぞれ示している。
更に、図20は縦目用紙のカール状態の一例を示す斜視図、図21は横目用紙のカール状態の一例を示す斜視図である。
図1に示すプリンター1は、装置本体2の内部に設けられ、「媒体」の一例としての用紙に液体を吐出して記録を行う「記録部」の一例としてのラインヘッド10を備えている。本実施形態において、前記液体は水性インク等の水系インクである。
プリンター1は、用紙の第1面(おもて面とも言う)への記録後に、用紙を反転して第2面(裏面とも言う)への記録を行う両面記録が可能に構成されている。
次に、図1を参照して、プリンター1における用紙の搬送経路について説明する。以下において、第1面への記録後にそのまま用紙を排出する搬送経路について説明した後、両面記録を行う際の搬送経路について説明する。
給送経路14には、媒体搬送方向に沿って順に給送ローラー17と、複数枚の用紙を1枚に分離する分離ローラー対18が設けられている。
給送ローラー17は、図示しない駆動源により回転駆動する様に構成されている。また、分離ローラー対18はリタードローラーとも呼ばれ、後述するストレート経路12(図1において破線で示す)に向けて用紙を送る駆動ローラー18bと、駆動ローラー18bとの間で用紙をニップして分離する従動ローラー18aと、を備えて構成されている。
本実施例ではレジストローラー対19の位置で、給送経路14とストレート経路12とが接続されている。
ストレート経路12は略直線状に延びる経路として構成され、レジストローラー対19の下流側に、上流側搬送部20、ラインヘッド10、及び下流側搬送部21が設けられている。ストレート経路12には、ラインヘッド10による記録領域K(図2)が含まれる。
また、ラインヘッド10のヘッド面と対向する領域には、媒体支持部22が配置されている。媒体支持部22は用紙を記録面の反対側から支持する。
前記波形状が形成された用紙Pは腰付けされて剛性が高まり、媒体支持部22上における用紙Pの姿勢が安定する。したがって、ラインヘッド10による記録において、良好な記録画質が得られる。
上流側搬送部20、下流側搬送部21及び波形状形成部30の具体的な構成については、後で詳しく説明する。
手差しトレイ5から給紙された用紙は、搬送ローラー対6により送られてストレート経路12に合流し、用紙収容カセット7から給紙された用紙と同様に、ラインヘッド10による記録が行われる。
第1排出用経路13は、ラインヘッド10の下流側においてストレート経路12と接続され、用紙の記録面を下にして第1排出部8から排出されるように送る湾曲経路である。
第2排出用経路24は、ラインヘッド10の下流側においてストレート経路12からそのまま直線状に延びる経路であり、用紙の記録面を上にして第2排出部9から排出されるように送る経路である。
また、ストレート経路12から第2排出用経路24に送られた用紙は、搬送ローラー対25によって搬送され、第2排出部9から排出されて、記録面を上にして第2媒体載置部4に載置される。
プリンター1(図1)は、ラインヘッド10の下流側であって第1排出用経路13よりも上流側(本実施形態においては図1における搬送ローラー対群23の上流側)においてストレート経路12から分岐するスイッチバック経路15と、スイッチバック経路15に接続され、用紙の表裏(第1面と第2面)を反転させてストレート経路12に戻す反転経路16と、を備えている。尚、ストレート経路12とスイッチバック経路15の分岐位置S2、及びスイッチバック経路15と反転経路16の接続部には、それぞれ案内フラップ36、37が設けられており、これらの切り替えによって用紙が送られる経路が切り替えられるようになっている。尚、案内フラップ36、37の動作は制御部80によって制御される。
第2面への記録が行われた用紙は、切替部26によって振り分けられ、第1排出用経路13を経て第1排出部8から排出されるか、第2排出用経路24を経て第2排出部9から排出される。
続いて、上流側搬送部20について詳説する。上流側搬送部20(図2〜図4)は、不図示の駆動源により駆動される上流側駆動ローラー40aと上流側従動ローラー40bを備え、用紙Pをニップして搬送する「搬送ローラー対」としての上流側搬送ローラー対40を備えて構成されている。
前述したように、上流側搬送部20の上流側には、波形状形成部30が設けられており、上流側搬送部20には、媒体搬送方向に延在する山部T及び谷部Vが媒体搬送方向と交差する幅方向に沿って交互に位置する波形状が形成された用紙Pがニップされる。
ここで、上流側搬送部20として、例えば幅方向に寸胴のローラー対を用いると、用紙Pをニップした際に波形状を均す或いは潰す等の、前記波形状を打ち消してしまう方向の作用を及ぼす虞がある。
具体的には、図3及び図4に示すように、複数のローラー対が媒体搬送方向と交差する幅方向(X軸方向)に間隔を空けて配置されて構成されている。
図4においては、上流側搬送ローラー対40のニップ部33は、用紙Pの波形状の山部Tをニップしており、用紙Pの谷部Vが逃げ部34に逃げることにより、前記波形状が潰されずに維持される様子が示されている。
即ち、波形状形成部30によって形成された波形状を、上流側搬送部20が打ち消してしまう方向に作用することを抑制できる。つまり、波形状形成部30によって形成された波形状を良好に維持して用紙Pを搬送することができ、ひいてはより良好な記録品質を得ることができる。
下流側搬送部21(図2、図3)は、前述した上流側搬送部20とほぼ同様の構成を有している。すなわち、不図示の駆動源により駆動される下流側駆動ローラー41aと下流側従動ローラー41bを備え、用紙Pをニップして搬送する「排出ローラー対」としての下流側搬送ローラー対41を備え、複数のローラー対が媒体搬送方向と交差する幅方向(X軸方向)に間隔を空けて配置されて構成されている(図3)。
言い換えると、下流側搬送部21(図3)は、用紙Pをニップする際、山部T及び谷部Vのいずれか一方をニップするニップ部38と、山部T及び谷部Vのうち、ニップ部38によってニップされていない他方を逃がす逃げ部39とが前記幅方向に沿って交互に配置されて構成されている。
このことによって、上流側搬送部20と下流側搬送部21との間の領域(特に、図2に示すラインヘッド10による記録領域K)において、一層効果的に用紙Pの波形状を維持することができる。
以下、図2〜図6を参照して波形状形成部30について説明する。
波形状形成部30は、用紙Pに、媒体搬送方向(Y軸方向)に延在する山部T(図3において一点鎖線で示す)及び谷部V(図3において破線で示す)が媒体搬送方向と交差する幅方向(X軸方向)に沿って交互に位置する波形状を形成する構成部材である。
そして、図5に示すように、用紙Pにおいてラインヘッド10と対向する第1面側に接触する複数の「第1接触部」としての押さえ部32と、用紙Pにおいて前記第1面の反対面である第2面側に接触する「第2接触部」としての支持リブ31と、を備えている。押さえ部32と支持リブ31は、前記幅方向に間隔を空けて交互に配置されて構成されており(図3も参照)、押さえ部32と支持リブ31は、用紙Pに接触するそれぞれの端部側が、用紙Pの面に対する前記法線方向(本実施形態においては装置高さ方向Z)において一部が重なる様に設けられている。本実施形態においては、図5の上図に示すように、押さえ部32の端部(下部)と支持リブ31の端部(上部)が符号Dの部分で重なっている。
押さえ部32及び支持リブ31は、摩擦係数の低い材料(例えばPOM)で形成されていることが望ましい。用紙Pの波形状は、用紙Pが、押さえ部32と支持リブ31との間に入り込む際に、押さえ部32により用紙が押し込まれることにより形成される。このとき、用紙Pは前記幅方向に少しずつ移動する。押さえ部32と支持リブ31が、低摩擦部材で形成されていることにより、用紙Pに前記波形状を形成する際の抵抗を低減することができる。
このことにより、用紙Pに形成された波形状の山部Tが、上流側搬送ローラー対40のニップ部33にニップされる。
また、図6に示すように、用紙Pの面に対する法線方向(Z軸方向)におけるニップ部33の位置と、山部Tの頂部の位置とが揃う様に、支持リブ31が配設されている。
ニップ部33の高さ位置と、山部Tの頂部の位置とが揃っていることにより、前記波形状を有する用紙Pを上流側搬送部20としての上流側搬送ローラー対40にスムースにニップさせることができる。
尚、ニップ部33の高さ位置と山部Tの頂部の位置は、完全に一致する必要はなく、例えば、ニップ部33から上流側搬送ローラー対40のローラー(例えば上流側従動ローラー40b)の半径以内程度の誤差であれば、適切に前記波形状を形成して維持しつつ用紙Pを搬送することができる。
このことにより、図5の下図に示すように、用紙Pの前記幅方向の端部が下を向く、すなわち、ラインヘッド10から離れる方向に向く波形状を形成することができる。以って、用紙Pの幅方向の端部がラインヘッド10に接触する虞を低減できる。
続いて、図7を参照しつつプリンター1の制御系統について説明する。
プリンター1は、インク吐出処理(印刷処理)を制御するための制御部80を有する。制御部80は、CPU82、RAM83、ROM84、印刷制御部86、のこれらを備えている。尚、印刷制御部86は、ソフトウェアにより構成される構成要素である。
制御部80では、CPU82が、ROM84等のメモリーに記憶されたプログラムデータをRAM83に展開し、プログラムデータに従った演算を行うことにより、各制御対象を制御するためのファームウェアが実行される。ファームウェアは、印刷制御部86等の機能をCPU82に実行させるためのプログラムである。
ROM84には、インク吐出の補正(後述)を行う為の補正データが格納されている。
或いは印刷データは、例えばプリンター1に接続された不図示の外部コンピュータが搭載するプリンタードライバーによって生成される。制御部80は、前記外部コンピュータから印刷データを受信することができる。
搬送機構90は、図1及び図2を参照しつつ説明した、用紙Pの給紙や搬送を行う各ローラーを駆動する不図示のモーター等で構成される。
プリンター1は、用紙搬送経路上のその他の位置にも用紙検出センサーを備えているが、ここではその説明は省略する。
次いで、図8〜図10を参照しつつ、波形状(山部T及び谷部V)が形成された用紙Pへのインク吐出の補正について説明する。
図8に示す様に、波形状が形成された用紙Pと、ラインヘッド10のヘッド面10aとの間隔は用紙幅方向(X方向)で変化する。X方向の所定位置を原点(X=0)とした場合、用紙Pに形成される波形状は、図8の式(2)に示される様なsin関数で表すことができる。式(2)においてyjは、位置Xにあるインク吐出ノズル11からインクを吐出した際のインクの着弾位置の高さ成分を示す。
尚、図8においてytは山部Tの高さ成分、ybは谷部Vの深さ成分、Lは山の周期を示しており、式(2)におけるAは、ytの平均値からybの平均値を引いた値である(式1)。式(1)において上線の付いたyt、ybは、それぞれyt、ybの平均値を示している。また同様に式(2)において上線の付いたLは、Lの平均値を示している。
線R1は、波形状(山部T及び谷部V)が形成されてない状態の用紙P(記録面が平坦面である用紙P)に対してインク吐出を行った際の描画結果であり、図示する様に線R1は完全な直線となる。
これに対し線R2は、波形状(山部T及び谷部V)が形成された用紙Pに対してインク吐出を行った際の描画結果であり、図示する様に線R2はsin曲線を描く。これは、山部Tに対向するインク吐出ノズル11から吐出されたインクが、谷部Vに対向するインク吐出ノズル11から吐出されたインクよりも着弾までの時間が短く、且つ、用紙PがY方向に搬送されている状態で用紙Pに対してインク吐出を行った為である。
従って線R2のsin曲線をもとにして、yt、yb、Lのこれら平均値を求めることができる。
尚、これは一例であり、例えばレーザー距離計等の測定装置を用いて用紙Pに形成された波形状を測定することも勿論可能である。
そうすると、あるインク吐出ノズル11でインクを吐出する際、そのインク吐出ノズル11でのインク着弾時間Tと、各ノズルの中で最も大きいTmaxとの差分だけ、インク吐出タイミングを遅らせることで、各インク吐出ノズル11から吐出されたインクを同じタイミングで着弾させることができる。
具体的には、Tmaxとなるインク吐出ノズル11でのインク吐出タイミング(インク吐出時間)を基準タイミングSとすると、X方向における位置nでのインク吐出ノズル11のインク吐出タイミング(インク吐出時間)Sは、式(4)で表される。
以上の様にインク吐出タイミング(インク吐出時間)を補正することで、波形状が形成された用紙Pに対して良好な記録結果が得られる。
尚、インク吐出タイミングの補正に必要な各パラメーターは、用紙種別毎に取得し、保持していても良い。
従って波形状形成部30によって形成された波形状を、上流側搬送ローラー対40や下流側搬送ローラー対41が打ち消してしまう方向に作用することを抑制でき波形状形成部30によって形成された波形状を良好に維持して用紙Pを搬送することができ、ひいてはより良好な記録品質を得ることができる。
図10は、波形状が形成された用紙Paにインクを吐出した際のインク滴の着弾状態を模式的に示したものであり、符号d1〜d6は、ラインヘッド10により吐出されたインク滴の一部を示している。
インク滴d1〜d6は、X方向に等間隔で吐出され、波形状が形成された用紙Paに対してもX方向に等間隔で着弾し、それぞれドットD1〜D6を形成する。しかし、山部T及び谷部Vにおいて隣接するドット間隔と、山部Tと谷部Vとの間で隣接するドット間隔とでは、後者が大きくなる。
用紙Pbにおいては、例えば(用紙Paにおける)山部Tと谷部Vとの間は傾斜面となっていた為、この領域に吐出されたインク滴d3とインク滴d4とによって形成されたドットD3とドットD4との間隔は、山部Tに吐出されたインク滴d1とインク滴d2によって形成されたドットD1とドットD2との間隔や、谷部Vに吐出されたインク滴d5とインク滴d6によって形成されたドットD5とドットD6との間隔より広くなっている。
これにより、記録結果に濃度むらが生じ、記録品質が低下する。
尚、記録データに基づく記録領域の用紙幅方向のサイズを、波形状形成部30によって縮小した用紙幅に対応させて縮小する場合、記録領域全体を縮小する方法と、記録領域の端部を切り捨てる方法と、の少なくともいずれかを採用できる。
また、制御部80(図7)は、図11〜図14に示す様な上流側搬送ローラー対40及び下流側搬送ローラー対41に対する用紙Pの係わり合い(接触状態)の変化に応じて、更には波形状形成部30に対する用紙Pの係わり合い(接触状態)の変化に応じて、インク吐出を制御することも好適である。
また図12は、用紙Pが波形状形成部30、上流側搬送ローラー対40、下流側搬送ローラー対41、のこれらと接触している第2状態TA−2を示している。
また図13は、用紙Pの後端Peが波形状形成部30を抜けて上流側搬送ローラー対40及び下流側搬送ローラー対41と接触している第3状態TA−3を示している。
更に図14は、用紙Pの後端Peが上流側搬送ローラー対40を抜けて下流側搬送ローラー対41と接触している第4状態TA−4を示している。
尚、図11〜図14において符号E1、E2は波形状形成部30の位置における用紙エッジ位置(幅方向エッジ位置:以下「基準エッジ位置」と称する)を示している。基準エッジ位置E1、E2は、波形状が形成されていない場合の用紙Pの幅方向エッジ位置より内側に位置する。
従って制御部80(図7)は、第1状態TA−1において、所定のドット形成に際して使用するインク吐出ノズル11を、用紙搬送方向下流側に向かうに従って用紙幅方向の外側のものを用いる。換言すれば、使用するインク吐出ノズル11の範囲を、下流側に向かって拡大させる。更に換言すれば、はみ出し領域M1、M2にもインク吐出を行う様に、使用するインク吐出ノズル11を選択する。或いは、はみ出し領域M1、M2にもインク吐出を行う様に、印刷データの大きさ及び形状を調整する。
但し、図11に示した第1状態TA−1とは異なり、先端Pf側が下流側搬送ローラー対41から拘束を受ける為、第1状態TA−1よりは緩やかな末広がりとなる。即ちはみ出し領域M3、M4は、図11に示したはみ出し領域M1、M2より小さくなる。
従って図12に示す第2状態TA−2も第1状態TA−1と同様に、所定のドット形成に際して使用するインク吐出ノズル11を、用紙搬送方向下流側に向かうに従って用紙幅方向の外側のものを用いる。換言すれば、使用するインク吐出ノズル11の範囲を、下流側に向かって拡大させる。更に換言すれば、はみ出し領域M3、M4にもインク吐出を行う様に、使用するインク吐出ノズル11を選択する。或いは、はみ出し領域M3、M4にもインク吐出を行う様に、印刷データの大きさ及び形状を調整する。
従って制御部80(図7)は、所定のドット形成に際して使用するインク吐出ノズル11について、幅方向で同じ位置のものを用いる。但し、はみ出し領域M5、M6にもインク吐出を行う様に、使用するインク吐出ノズル11を選択する。或いは、はみ出し領域M5、M6にもインク吐出を行う様に、印刷データの大きさ及び形状を調整する。
従って制御部80(図7)は、第4状態TA−4において、所定のドット形成に際して使用するインク吐出ノズル11を、用紙搬送方向上流側に向かうに従って用紙幅方向の外側のものを用いる。換言すれば、使用するインク吐出ノズル11の範囲を、上流側に向かって拡大させる。更に換言すれば、はみ出し領域M7、M8にもインク吐出を行う様に、使用するインク吐出ノズル11を選択する。或いは、はみ出し領域M7、M8にもインク吐出を行う様に、印刷データの大きさ及び形状を調整する。
また更に制御部80は、波形状形成部30に対する用紙Pの接触状態に応じてインク吐出ノズル11によるインク吐出を制御するので、波形状形成部30に対する用紙Pの接触状態の変化により用紙Pの形状が変化しても、良好な記録結果が得られる。
具体的には、本実施形態では制御部80が、第1状態TA−1、第2状態TA−2、第3状態TA−3、第4状態TA−4、のこれら各状態に応じてインク吐出ノズル11によるインク吐出を制御することで、上記各状態で用紙Pの変形状態が異なっていても、それに対応する様にインクが吐出されることで良好な記録品質を得ることができる。
ところで、用紙Pに波形状を形成する波形状形成部は、上流側搬送ローラー対40の上流側のみならず、下流側搬送ローラー対41の上流側にも設けることができる。この場合においても、制御部80(図7)は、図15〜図19に示す様な上流側搬送ローラー対40及び下流側搬送ローラー対41に対する用紙Pの係わり合い(接触状態)の変化に応じて、更には上流側の波形状形成部及び下流側の波形状形成部に対する用紙Pの係わり合い(接触状態)の変化に応じて、インク吐出を制御することも好適である。
本実施形態において、波形状形成部30は「上流側波形状形成部30」と称することとする。そして下流側搬送ローラー対1の上流側には、下流側波形状形成部95が設けられている。下流側波形状形成部95は、用紙Pにおいてラインヘッド10と対向する第1面側に接触する複数の押さえ部96と、用紙Pにおいて前記第1面の反対面である第2面側に接触する支持リブ97と、を備えて構成されている。
下流側波形状形成部95の構成については、上述した波形状形成部(上流側波形状形成部)30と同様であり、即ち押さえ部96は押さえ部32に対応し、支持リブ97は支持リブ31に対応する。従って以下では下流側波形状形成部95の詳細な構成についての説明は省略する。
また図16は、用紙Pが上流側波形状形成部30、上流側搬送ローラー対40、下流側波形状形成部95、のこれらと接触している第2状態TB−2を示している。
また図17は、用紙Pが上流側波形状形成部30、上流側搬送ローラー対40、下流側波形状形成部95、下流側搬送ローラー対41、のこれらと接触している第3状態TB−3を示している。
また図18は、用紙Pの後端Peが上流側波形状形成部30を抜けて上流側搬送ローラー対40、下流側波形状形成部95、下流側搬送ローラー対41、のこれらと接触している第4状態TB−4を示している。
更に図19は、用紙Pの後端Peが上流側搬送ローラー対40を抜けて下流側波形状形成部95及び下流側搬送ローラー対41と接触している第5状態TB−5を示している。
尚、図15〜図19において符号E1、E2は上流側波形状形成部30及び下流側波形状形成部95の位置における用紙エッジ位置(幅方向エッジ位置:以下「基準エッジ位置」と称する)を示している。
従って制御部80(図7)は、第1状態TB−1において、所定のドット形成に際して使用するインク吐出ノズル11を、用紙搬送方向下流側に向かうに従って用紙幅方向の外側のものを用いる。換言すれば、使用するインク吐出ノズル11の範囲を、下流側に向かって拡大させる。更に換言すれば、はみ出し領域N1、N2にもインク吐出を行う様に、使用するインク吐出ノズル11を選択する。或いは、はみ出し領域N1、N2にもインク吐出を行う様に、印刷データの大きさ及び形状を調整する。
また、図17に示す第3状態TB−3についても、上記と同様である。
従って図16に示す第2状態TB−2及び図17に示す第3状態TB−3では、制御部80(図7)は、所定のドット形成に際して使用するインク吐出ノズル11について、幅方向で同じ位置のものを用いる。
そして図19示す第5状態TB−5も、上述した図18に示す第4状態TB−4と同様に、用紙形状が上流側に向かって末広がりとなる。但し、第5状態TB−5におけるはみ出し領域N5、N6のはみ出し量(幅方向サイズ)は、第4状態TB−4におけるはみ出し領域N3、N4のはみ出し量よりも小さくなる。第5状態TB−5では、第4状態TB−4とは異なり、上流側搬送ローラー対40の拘束を受けないからである。
(1)最初に記録を行う用紙Pの第1面に対し反対側の面である第2面に記録を行う際、第1面に対するインク吐出量に応じて、用紙Pの剛性が変化する為、用紙Pに形成される波形状の振幅も変化する場合がある。例えば、第1面に対するインク吐出量が多い程、用紙Pの剛性が低下するため、波形状の振幅が大きくなる。
そこで制御部80(図7)は、最初に記録を行う第1面に対し反対側の面である第2面に記録を行う際、第1面に対するインク吐出量に応じて、インク吐出ノズル11によるインク吐出を制御することも好適である。これにより、より一層良好な記録結果が得られる。
具体的には、一例として図8を参照しつつ説明したインク吐出タイミングの補正に必要な各パラメーターを、第2面への記録の為に、第1面への記録の際のインク吐出量毎に取得し、保持しておく。その際、更に用紙種別毎に各パラメーターを取得しておくことが好ましい。
従って制御部80(図7)は、この様なカールを考慮してインク吐出タイミングを制御することで、より一層良好な記録結果が得られる。
具体的には、例えば図8を参照しつつ説明したインク吐出タイミングの補正に関し、長辺Enのエッジ領域に対して別途専用の補正値を用意しておくことができる。
従って制御部80(図7)は、この様なカールを考慮してインク吐出タイミングを制御することで、より一層良好な記録結果が得られる。
具体的には、例えば図8を参照しつつ説明したインク吐出タイミングの補正に関し、角部領域に対して別途専用の補正値を用意しておくことができる。
3…第1媒体載置部、4…第2媒体載置部、5…手差しトレイ、
6…搬送ローラー対、7…用紙収容カセット、8…第1排出部、9…第2排出部、
10…ラインヘッド、10a…ヘッド面、11…インク吐出ノズル、
12…ストレート経路、13…第1排出用経路、
14…給送経路、15…スイッチバック経路、16…反転経路、
17…給送ローラー、18…分離ローラー対、19…レジストローラー対、
20…上流側搬送部、21…下流側搬送部、22…媒体支持部、
23…搬送ローラー対群、24…第2排出用経路、25…搬送ローラー対、
26…切替部、28…搬送ローラー対、29…搬送ローラー対群、
30…波形状形成部、31…支持リブ(第2接触部)、
32…押さえ部(第1接触部)、33…ニップ部、34…逃げ部、
35a、35b…角部、36…案内フラップ、37…案内フラップ、
38…ニップ部、39…逃げ部、40…上流側搬送ローラー対、
40a…上流側駆動ローラー、40b…上流側従動ローラー、
41…下流側搬送ローラー対、41a…下流側駆動ローラー、
41b…下流側従動ローラー、
80…制御部、82…CPU、83…RAM、84…ROM、86…印刷制御部、
87…用紙検出センサー、90…搬送機構、91…インクタンク部、
95…下流側波形状形成部、96…押さえ部、97…支持リブ、
P…用紙(媒体)、T…山部、V…谷部
Claims (13)
- 搬送される媒体に対して液体を吐出する液体吐出ノズルを複数備えて成る液体吐出部と、
前記液体吐出部の媒体搬送方向上流側に設けられる上流側搬送部と、
前記液体吐出部の媒体搬送方向下流側に設けられる下流側搬送部と、
前記媒体に、媒体搬送方向に延在する山部及び谷部が媒体搬送方向と交差する幅方向に沿って交互に位置する波形状を形成する波形状形成部と、を備え、
前記上流側搬送部は、前記媒体をニップして搬送する搬送ローラー対であり、前記山部及び前記谷部のいずれか一方をニップするニップ部と他方を逃がす逃げ部とが前記幅方向に沿って交互に配置されて成り、
前記液体吐出ノズルによる前記液体の吐出を制御する制御部は、前記上流側搬送部と前記下流側搬送部との間における前記媒体の形状に応じて、前記液体吐出ノズルによる前記液体の吐出を制御する、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1に記載の記録装置において、前記制御部は、前記上流側搬送部及び前記下流側搬送部に対する前記媒体の接触状態に応じて前記液体吐出ノズルによる前記液体の吐出を制御する、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1または請求項2に記載の記録装置において、前記制御部は、前記波形状形成部に対する前記媒体の接触状態に応じて前記液体吐出ノズルによる前記液体の吐出を制御する、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の記録装置において、前記制御部は、前記山部と前記谷部との間の位置に対する前記液体の吐出量を、前記山部と前記谷部に対する前記液体の吐出量より多くする、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の記録装置において、前記制御部は、前記幅方向に沿って前記液体の吐出により前記媒体に複数のドットを形成する際、前記山部及び前記谷部へのドット形成に際して使用する前記液体吐出ノズルを間引く、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の記録装置において、前記制御部は、記録データに基づく記録領域の前記幅方向のサイズを、前記波形状形成部によって縮小した前記媒体の幅に対応させて縮小する、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の記録装置において、前記制御部は、最初に記録を行う前記媒体の第1面に対し反対側の面である第2面に記録を行う際、前記第1面に対する前記液体の吐出量に応じて、前記液体吐出ノズルによる前記液体の吐出を制御する、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1に記載の記録装置において、前記波形状形成部は、前記上流側搬送部の媒体搬送方向上流側に設けられ、
前記制御部は、前記媒体が前記波形状形成部と前記上流側搬送部とに接触しているとともに、前記媒体の先端が前記下流側搬送部に到達していない第1状態と、
前記媒体が前記波形状形成部と前記上流側搬送部と前記下流側搬送部とに接触している第2状態と、
前記媒体の後端が前記波形状形成部を抜けているとともに、前記媒体が前記上流側搬送部と前記下流側搬送部とに接触している第3状態と、
前記媒体の後端が前記上流側搬送部を抜けているとともに、前記媒体が前記下流側搬送部と接触している第4状態と、
の各状態のいずれに該当するかに応じて前記液体吐出ノズルによる前記液体の吐出を制御する、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項8に記載の記録装置において、前記液体吐出部は、前記液体吐出ノズルが媒体搬送方向に沿って複数配置されて成るノズル列を、前記幅方向に沿って複数備え、
前記制御部は、前記第1状態及び前記第2状態では、所定のドット形成に際して使用する前記液体吐出ノズルを、媒体搬送方向下流側に向かうに従って前記幅方向の外側のものを用い、
前記第3状態では、所定のドット形成に際して使用する前記液体吐出ノズルは、前記幅方向で同じ位置のものを用い、
前記第4状態では、所定のドット形成に際して使用する前記液体吐出ノズルを、媒体搬送方向下流側に向かうに従って前記幅方向の内側のものを用いる、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1に記載の記録装置において、前記波形状形成部は、前記上流側搬送部の媒体搬送方向上流側に設けられた上流側波形状形成部と、媒体搬送方向において前記液体吐出部と前記下流側搬送部との間に設けられた下流側波形状形成部と、を備え、
前記制御部は、前記媒体が前記波形状形成部と前記上流側搬送部とに接触しているとともに、前記媒体の先端が前記下流側波形状形成部に到達していない第1状態と、
前記媒体が前記上流側波形状形成部と前記上流側搬送部と前記下流側波形状形成部とに接触している第2状態と、
前記媒体が前記上流側波形状形成部と前記上流側搬送部と前記下流側波形状形成部と前記下流側搬送部とに接触している第3状態と、
前記媒体の後端が前記上流側波形状形成部を抜けているとともに、前記媒体が前記上流側搬送部と前記下流側波形状形成部と前記下流側搬送部とに接触している第4状態と、
前記媒体の後端が前記上流側搬送部を抜けているとともに、前記媒体が前記下流側波形状形成部と前記下流側搬送部とに接触している第5状態と、
の各状態のいずれに該当するかに応じて前記液体吐出ノズルによる前記液体の吐出を制御する、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項10に記載の記録装置において、前記液体吐出部は、前記液体吐出ノズルが媒体搬送方向に沿って複数配置されて成るノズル列を、前記幅方向に沿って複数備え、
前記制御部は、前記第1状態では、所定のドット形成に際して使用する前記液体吐出ノズルを、媒体搬送方向下流側に向かうに従って前記幅方向の外側のものを用い、
前記第2状態及び前記第3状態では、所定のドット形成に際して使用する前記液体吐出ノズルは、前記幅方向で同じ位置のものを用い、
前記第4状態及び前記第5状態では、所定のドット形成に際して使用する前記液体吐出ノズルを、媒体搬送方向下流側に向かうに従って前記幅方向の内側のものを用いる、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記下流側搬送部は、前記媒体をニップして搬送する排出ローラー対であり、前記媒体をニップする際、前記山部及び前記谷部のいずれか一方をニップするニップ部と他方を逃がす逃げ部とが前記幅方向に沿って交互に配置されて成る、
ことを特徴とする記録装置。 - 請求項12に記載の記録装置において、
前記搬送ローラー対における前記ニップ部と、前記排出ローラー対における前記ニップ部は、前記幅方向において対応する位置に配置されている、
ことを特徴とする記録装置。
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