JP2018201335A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スイッチング素子のオンオフを制御する制御電極として少なくとも第1電極および第2電極とを並列に駆動する半導体装置において、スイッチング速度の向上を実現することのできる半導体装置を提供する。【解決手段】この半導体装置は、制御電極に印加する制御信号を出力してスイッチング素子のオンオフを駆動する駆動部と、制御信号を生成するための基準となる指令信号を生成する指令信号生成部と、指令信号に基づいて駆動部を制御する制御部と、を備える。制御部は、第1電極に出力する制御信号としての第1制御信号を指令信号に同期させるとともに、第2電極に出力する制御信号としての第2制御信号のオンタイミングを、指令信号に対して所定時間遅延させ、さらに、第2制御信号のオフタイミングを、指令信号における過去のパルス幅に基づいて推定して決定する。【選択図】図1

Description

本発明は、同一あるいは複数のスイッチング素子のオンオフが、独立した複数の制御電極に制御信号が入力されることにより制御される半導体装置に関する。
ひとつのスイッチング素子に独立した2つのゲート電極を備えたダブルゲート型のスイッチング素子がある。特許文献1には、一部のゲート電極と残部のゲート電極とを有する半導体装置において、ターンオフの際に、残部のゲートがオフされた後に一部のゲートがオフされるようにされた半導体装置が開示されている。これによれば、残部のゲートが先にオフされることで予め一部のキャリアが引き抜かれた状態で、一部のゲートがオフされることになるので、ターンオフ時のキャリアの引き抜き時間を短縮でき、ターンオフの速度を向上させることができる。
特開2013−98415号公報
しかしながら、追ってオフされる一部のゲートのオフタイミングは、先にオフされる残部のゲートのオフタイミングを基準に所定の遅延量を定めることによって設定せざるを得ない。言い換えれば、ゲート電極への電圧の印加を制御する指令信号と、残部のゲートのオンオフは同期しており、一部のゲートのオフタイミングは、ターンオフを指示する指令信号から所定時間後にオフするようになっている必要がある。
この場合、一部のゲートのオン時間は、本来指令信号によって規定されるオン時間よりも長くなる。すなわち、スイッチング素子全体としてのデューティ比は、指令信号が規定するデューティ比に比較して長くなってしまう。
ところで、追ってオフされる一部のゲートのオンタイミングを、オフタイミングの遅延量と同じだけ遅延させれば、デューティ比が長くなるという上記の問題を解決できると考えられる。しかしながら、このような場合には、スイッチング素子のオンオフのタイミングが指令信号に対して全体的に遅延するという問題がある。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、デューティ比を指令信号に対して変更することなく、また、スイッチング素子のオンオフのタイミングを遅延することなく、スイッチング速度の向上を実現することのできる半導体装置を提供することを目的とする。
ここに開示される発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
上記目的を達成するために、本発明は、スイッチング素子(200)のオンオフを制御する制御電極(210)として、少なくとも第1電極(211)および第2電極(212)とを並列に駆動する半導体装置であって、制御電極に印加する制御信号を出力してスイッチング素子のオンオフを駆動する駆動部(10)と、制御信号を生成するための基準となる指令信号を生成する指令信号生成部(30)と、指令信号に基づいて駆動部を制御する制御部(20)と、を備え、制御部は、第1電極に出力する制御信号としての第1制御信号を指令信号に同期させるとともに、第2電極に出力する制御信号としての第2制御信号のオンタイミングを、指令信号に対して所定時間遅延させ、さらに、第2制御信号のオフタイミングを、指令信号における過去のパルス幅に基づいて推定して決定することを特徴としている。
これによれば、第2制御信号のオフタイミングを、指令信号における過去のパルス幅によって決定するので、現在における指令信号のオフタイミングに依存することなく第2電極に対してオフの制御を行うことができる。
さらに、例えば、制御部が、指令信号におけるオンタイミングを遅延させる遅延部(21)と、指令信号における過去のパルス幅を測定して指令信号におけるオフタイミングを推定するパルス幅推定部(22)と、指令信号の論理積を演算する演算部(23)と、を有し、第2制御信号が、指令信号のうちオンタイミングおよびオフタイミングを変更しない第1指令信号と、指令信号のうち遅延部およびパルス幅推定部を介してオンタイミングおよびオフタイミングが変更された第2指令信号と、の論理積として駆動部によって生成されるようになっていると好適である。
これによれば、第2制御信号は、指令信号に同期した第1制御信号よりもパルス幅が長くなることはなく、第1制御信号に比較してデューティ比が大きくなることがない。換言すれば、第2制御信号のオフタイミングを、第1制御信号のオフタイミングと同一か、あるいは第1制御信号よりも進相した状態とすることができる。したがって、デューティ比を指令信号に対して変更することなく、スイッチング速度の向上を実現することができる。また、第2制御信号のオフタイミングは、第1制御信号のオフタイミングと同一か、あるいは第1制御信号よりも進相した状態となるから、スイッチング素子のオンオフのタイミングが全体的に遅延する問題を回避することができる。
第1実施形態に係る半導体装置とその周辺回路の概略構成を示すブロック図である。 制御部における指令信号のタイミングチャートである。 第2実施形態に係る半導体装置とその周辺回路の概略構成を示すブロック図である。 第3実施形態に係る半導体装置とその周辺回路の概略構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各図相互において、互いに同一もしくは均等である部分に、同一符号を付与する。
(第1実施形態)
最初に、図1および図2を参照して、本実施形態に係る半導体装置の概略構成について説明する。
本実施形態における半導体装置は、スイッチング素子として2種の独立したゲート電極を備えたダブルゲート型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を駆動するための駆動装置である。なお、駆動する対象であるIGBTはあくまで一例であって、スイッチング素子はIGBTに限定されることはなく、例えばMOSFETであってもよい。
図1に示すように、この半導体装置100は、駆動部10と制御部20と指令信号生成部30とを備えている。駆動部10は、駆動対象であるIGBT200のゲート電極210に接続されている。
IGBT200は、制御電極としてのゲート電極210を有している。本実施形態におけるIGBT200は、ゲート電極210として第1電極211と第2電極212とを含んでいる。このように、単一のIGBTに2つの独立したゲート電極210を有するスイッチング素子では、例えばターンオン時において、ゲート電圧としてのターンオン電圧を入力するタイミングを、第1電極211と第2電極212とで互いにずらすことによって、ターンオン時の出力電流を抑制し、短絡に起因する過電流による素子破壊などを防止することができる。また、例えばターンオフ時において、ゲート電圧の印加を解除するタイミングを、第1電極211と第2電極212とで互いにずらすことによって、ターンオフ時のキャリアの引き抜き時間を短縮でき、ターンオフの速度を向上させることができる。
このスイッチング素子たるIGBT200を駆動する半導体装置100において、駆動部10は、第1電極211にゲート電圧を印加する第1駆動部11と、第2電極212にゲート電圧を印加する第2駆動部12とを有している。第1駆動部11と第2駆動部12は、それぞれ独立に第1電極211と第2電極212に対してゲート電圧を印加できるようになっている。駆動部10は、後述する指令信号に基づいてゲート電圧のHigh/Low、つまりIGBT200のオン/オフを制御している。なお、ここに説明したゲート電圧は、特許請求の範囲に記載の制御信号に相当し、第1電極211に印加される制御信号が第1制御信号であり、第2電極212に印加される制御信号が第2制御信号である。
制御部20は、入力される後述の指令信号に基づいて駆動部10を制御している。具体的には、制御部20は、入力される指令信号から、第1駆動部11に出力する第1指令信号と、第2駆動部12に出力する第2指令信号と、を生成している。
指令信号生成部30は、駆動部10に対して、ゲート電圧の印加タイミングを指示する指令信号を生成し、制御部20に出力している。指令信号はHighの状態とLowの状態とを有している。例えば、Highの状態の指令信号が駆動部10に入力されると、駆動部10はゲート電極210に対してゲート電圧を印加する。一方、Lowの状態の指令信号が駆動部10に入力されると、駆動部10はゲート電極210に対してゲート電圧の印加を停止する。つまり、駆動部10の出力する制御信号(ゲート電圧)は指令信号がHigh状態では印加状態を示すHigh状態となり、指令信号がLow状態ではゲート電圧の印加の停止状態を示すLow状態となる。
ここで、本実施形態における制御部20の詳しい構成について説明する。この制御部20は遅延部21とパルス幅推定部22と演算部23とを有している。図1に示すように、制御部20に入力された指令信号は2経路に分配される。分配された後、第1駆動部11に入力される指令信号を第1指令信号と称し、遅延部21に入力される指令信号を第2指令信号と称する。
第1指令信号は、制御部20によって変化を加えられることなく第1駆動部11に出力される。換言すれば、制御部20は、指令信号生成部30が生成する指令信号を、位相を変更することなくそのまま第1指令信号として第1駆動部11に対して出力している。つまり、第1指令信号は、図2に示すように、指令信号生成部30が生成する指令信号に同期している。これに伴って、第1制御信号は指令信号と比較して、オンタイミングおよびオフタイミングが同期した状態となっている。
一方、第2指令信号は、遅延部21とパルス幅推定部22を介して演算部23に入力されている。
遅延部21は、第2指令信号がLowからHighに遷移するタイミング、すなわちオンタイミングを、指令信号のオンタイミングに対して遅相する部位である。遅延部21を通過した第2指令信号(図1における点Aの信号)は、図2に示すように、指令信号生成部30により生成される指令信号に対してオンタイミングがTd1だけ遅相している。
オンタイミングがTd1だけ遅相された第2指令信号はパルス幅推定部22に入力される。パルス幅推定部22は、指令信号生成部30と通信可能に接続されており、指令信号のパルス幅の情報が入力されている。パルス幅推定部22は図示しない記憶装置を有しており、例えば現在の時刻を図2に示す時刻t0であると仮定するとき、パルス幅推定部22は、指令信号における過去のパルス幅T、T、およびそれ以前のパルス幅Tiの情報を保持している。
パルス幅推定部22は、時刻t0のTd1後のHigh期間、すなわちパルス幅Tを、数式3に基づいて算出し、第2指令信号の立ち下がり時刻を決定している。
Figure 2018201335
ここで、Td1は上記した遅延量であり予め規定された値である。また、Td2は予め設定された定数である。なお、定数Td2は第2指令信号における指令信号のオフタイミングに対する進相量に相当している。つまり、第2指令信号のオフタイミングは、指令信号生成部30が生成する指令信号、ひいては第1指令信号のオフタイミングに対して、概ねTd2だけ早期に位置することになる。
また、Tpreは指令信号における過去の各々のパルス幅Ti(i=1,2,3,…)の統計値として算出される、推定された過去のパルス幅である。統計値とは、例えば、過去の各パルス幅から複数あるいは単一のパルス幅を選んで平均値や中央値を計算して得られる値である。本実施形態では、例えば数式4に基づいて推定された過去のパルス幅Tpreが計算されている。数式4は、パルス幅Tpreが、時刻t0以前のN周期前までの全パルス幅の値Ti(i=1,2,3,…,N)の平均値であることを示している。特別な場合では、N=1とすれば、推定された過去のパルス幅Tpreとして、1周期前のパルス幅Tを採用することになる。すなわち、パルス幅推定部22は、時刻t0以降の指令信号のパルス幅が1周期前のパルス幅と略同一であると推定することを意味している。
Figure 2018201335
パルス幅推定部22を通過した後の第2指令信号(図1における点Bの信号)は、図2に示すように、時刻t0の後、Td1経過後にLowからHighに遷移し、数式3により計算されたHigh期間TだけHigh状態となり、ふたたびLowに遷移する信号である。すなわち、時刻t0後、Td1+Tだけ後に第2指令信号の立ち下がり時刻を迎える。
ところで、指令信号生成部30において生成される指令信号は、駆動対象であるIGBT200の状態や図示しない負荷の状態によってそのパルス幅Tiが変化し得る。このため、一般的に、Td1+T+Td2は指令信号のパルス幅Tに一致するとは限らない。特別な場合として、例えば指令信号のパルス幅Tiが常に一定値である場合にはTd1+T+Td2=Tとなる。なお、多くの場合、PWM制御において、指令信号のパルス幅はほとんど変化しない。このため、図2に示すように、パルス幅推定部22を通過した後の第2指令信号(図1における点Bの信号)は、第1指令信号に比較して、オフタイミングが概ねTd2だけ早期に位置することになる。
パルス幅推定部22を通過した第2指令信号は演算部23に入力される。演算部23は第1指令信号と第2指令信号の論理積を演算する部分である。
例えば、図2に例示するように、数式3による計算の結果、パルス幅推定部22を通過した後の第2指令信号のオフタイミングが第1指令信号のオフタイミングよりも早い場合には、第2指令信号がHighの状態において第1指令信号は常にHighである。したがって、演算部23により論理積を演算した結果(図1における点Cの信号)は、図2に示すように、点Bにおける第2指令信号と同一の信号となる。
万一、指令信号のデューティ比が比較的大きく設定され、且つ、進相量Td2が比較的小さく設定されていると、T>T+Td1となる場合がある。このような場合、図1の点Bにおける第2指令信号のオフタイミングは、第1指令信号のオフタイミングよりも遅くなる。たとえこのような場合であっても、演算部23は、第1指令信号と第2指令信号の論理積を演算しているから、点Cにおける第2指令信号のオフタイミングは第1指令信号のオフタイミングよりも遅くなることはない。
演算部23を通過した第2指令信号は第2駆動部12に入力される。第2駆動部12は、入力された第2指令信号に基づいて第2駆動信号を生成し、第2電極212に出力する。第2制御信号は、第2指令信号と同期しているので、第1制御信号に比較的してオンタイミングがTd1だけ遅相し、オフタイミングが概ねTd2だけ進相した信号となる。なお、オフタイミングの進相量については一定ではないものの、上記した演算部23の作用によって、少なくとも第1指令信号のオフタイミングよりも遅くなることはない。
次に、本実施形態に係る半導体装置の作用効果について説明する。
第2電極212に印加されるゲート電圧のオフタイミング、すなわち第2制御信号のオフタイミングが、指令信号における過去のパルス幅によって推定されるため、現時点における指令信号に依存することなく第2電極212に対してオフの制御を行うことができる。
とくに、制御部20が遅延部21、パルス幅推定部22および演算部23を有することにより、第2電極212に印加されるゲート電圧のオンタイミングを、第1電極211に比較してTd1だけ遅相し、かつ、オフタイミングを略Td2だけ進相させることができる。これにより、第2制御信号は、第1指令信号に同期した第1制御信号よりもパルス幅が長くなることはなく、第1制御信号に比較してデューティ比が大きくなることがない。したがって、デューティ比を指令信号に対して変更することなく、第2電極212と第1電極211をこの順で順次オフすることができるので、スイッチング速度の向上を実現することができる。また、第2制御信号のオフタイミングは、第1制御信号のオフタイミングと同一か、あるいは第1制御信号よりも進相した状態となるから、スイッチング素子のオンオフのタイミングが全体的に遅延する問題を回避することができる。
(変形例)
推定された過去のパルス幅Tpreは過去の各パルス幅Tiから複数あるいは単一のパルス幅を選んで統計値として計算される値であって、その計算方法は数式4によるものに限定されるものではない。例えば、数式5に示すように、パルス幅Tpreを算出しても良い。数式5は、1周期前のパルス幅Tを基準にして、隣り合う1周期のパルス幅の差分の平均値を摂動として加算し、補正するような計算方法である。
Figure 2018201335
また、数式4や数式5および統計による算出によらずとも、指令信号生成部30が将来の複数回分のパルス幅を事前に予定している場合には、そのパルス幅の値を、数式3におけるTpreとして採用しても良い。
(第2実施形態)
第1実施形態およびその変形例における半導体装置100では、第2制御信号のオンタイミングにおける第1制御信号からの遅相量Td1と、オフタイミングにおける進相量Td2とが一定とされる場合の例を説明した。これに対して、本実施形態では、進相量Td2を可変とする構成について説明する。
図3に示すように、本実施形態における半導体装置110は、第1実施形態およびその変形例における半導体装置100に加えて、状態検出部40を備えている。この状態検出部40はIGBT200近傍に図示しない温度計を有している。この温度計は種類を問わないが、例えばPN接合型の半導体温度計を採用することができる。
さらに、状態検出部40は、IGBT200の出力電流であるコレクタ電流を検出する電流検出器を有している。電流検出器についてもその種類を問わないが、例えばIGBT200のセンスセルに設けられたシャント抵抗器の両端電圧からコレクタ電流を計算する電流検出器を採用することができる。
状態検出部40は、図3に示すように、遅延部21およびパルス幅推定部22と通信可能に接続されている。そして、上記温度計や上記電流検出器により得られるIGBT200の素子温度あるいは出力電流、もしくはその両方の情報を進相量Td2にフィードバックしている。
具体的には、状態検出部40はパルス幅推定部22に対して、IGBT200の素子温度が低いほど進相量Td2を小さくするように指示する。
また、状態検出部40はパルス幅推定部22に対して、IGBT200のコレクタ電流が低いほど進相量Td2を小さくするように指示する。
これは、できるだけ進相量Td2を小さくすることによりオン抵抗増加による導通損失の低減を目的としてフィードバックである。進相量Td2が比較的大きいと、IGBT200のターンオフ直前において、第1電極211側のみでIGBT200をオン状態に保たねばならず、その結果オン抵抗が増加して導通損失が増大する虞がある。このため、進相量Td2はできるだけ小さいほうが良い。
IGBT200が比較的低温であれば、IGBT200を構成する例えばシリコンの格子振動が小さくなるため、キャリアの移動度が大きくなり、ターンオフに要する時間は短くなる。よって、IGBT200の素子温度が低温であるほど進相量Td2を小さくできる。
一方、IGBT200の出力電流が比較的小さければ、キャリアの総量が小さいため引き抜き時間が短くなる。よって、IGBT200の出力電流が小さいほど進相量Td2を小さくできる。
なお、駆動対象であるスイッチング素子の構成や状態によっては、素子温度および出力電流と進相量Td2の相関関係が逆転する場合がある。このような場合には、スイッチング素子の状態に応じた進相量Td2の増減を適切に設定すべきである。
(第3実施形態)
第1実施形態および第2実施形態では、IGBT200という単一のスイッチング素子に2つのゲート電極210、すなわち第1電極211と第2電極212が形成される例について説明した。
一方、これら半導体装置100,110は、複数のスイッチング素子が、駆動部10に対して並列に接続された並列駆動のスイッチング素子に対しても、その駆動装置として採用することができる。例えば、図4に示すように、スイッチング素子として、MOSFET300とIGBT400とが並列接続された態様においても、半導体装置100,110をスイッチング素子のオンオフ制御に採用することができる。本実施形態では、第1駆動部11がMOSFET300のゲート電極に接続され、第2駆動部12がIGBT400のゲート電極に接続されている。すなわち、MOSFET300が特許請求の範囲に記載の第1素子に対応し、IGBT400が第2素子に対応する。
近年、スイッチング素子の構成材料にワイドバンドギャップ半導体と称される半導体の一種であるシリコンカーバイド(SiC)が採用されつつある。例えば、SiCを主成分とするスイッチング素子は、シリコンを主成分とするものに比較してオン抵抗が小さく電力損失を低減することができる。よって、ターンオフ時の通電を、SiCを主成分とするMOSFET300に担当させることによって、IGBT400のターンオフ時に生じるテール電流を抑制できるとともに、低オン抵抗による電力損失の低減が期待できる。
このような構成では、IGBT400のオフタイミングをMOSFET300のオフタイミングよりも進相させる必要がある。換言すれば、IGBT400をMOSFET300よりも先にオフする必要がある。よって、MOSFET300とIGBT400の駆動装置として半導体装置100,110を採用すれば、デューティ比を指令信号に対して変更することなく、第2電極212と第1電極211をこの順で順次オフすることができる。また、IGBT400のオン期間はMOSFET300のオン期間を超えないから、スイッチング素子全体のオンオフのタイミングが全体的に遅延する問題を回避することができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
上記した各実施形態および変形例では、第2指令信号の経路として、遅延部21の後にパルス幅推定部22を経る例を示したが、この順は逆でも良い。
また、上記した各実施形態および変形例では、スイッチング素子としてゲート駆動型の素子を例に説明したが、この例に限定するものではない。スイッチング素子として、例えばバイポーラトランジスタを採用する場合であれば、ゲート電極に対応する制御電極はベース電極に相当する。
また、上記した各実施形態および変形例では、駆動部10が接続される制御電極が2つである例を示したが、制御電極が3つ以上の場合であっても本発明を適用することができる。すなわち、指令信号生成部30が生成する指令信号に同期する制御電極と、該当する制御電極と異なる制御電極であってオフタイミングが指令信号に対して進相する必要がある制御電極とを有するスイッチング素子に対しては、本発明を適用することにより、デューティ比を指令信号に対して変更することなくオフ動作を行うことができる。また、スイッチング素子全体のオンオフのタイミングが全体的に遅延する問題を回避することができる。
また、上記した各実施形態および変形例では、遅延部21により第2指令信号のオンタイミングを遅相させる例を示したが、第2指令信号のオンタイミングは必ずしも遅相させる必要はない。すなわち、Td1=0としても良い。
また、第2実施形態では、状態検出部40が第2指令信号の進相量Td2にのみフィードバックを掛ける例について示したが、必要に応じて遅相量Td1に対してフィードバックを掛けても良い。
10…駆動部,20…制御部,21…遅延部,パルス幅推定部,23…演算部,30指令信号生成部,100…半導体装置,200…IGBT(スイッチング素子),210…ゲート電極(制御電極),211…第1電極,212…第2電極
上記目的を達成するために、本発明は、スイッチング素子(200)のオンオフを制御する制御電極(210)として、少なくとも第1電極(211)および第2電極(212)とを並列に駆動する半導体装置であって、制御電極に印加する制御信号を出力してスイッチング素子のオンオフを駆動する駆動部(10)と、制御信号を生成するための基準となる指令信号を生成する指令信号生成部(30)と、指令信号に基づいて駆動部を制御する制御部(20)と、を備え、制御部は、第1電極に出力する制御信号としての第1制御信号を指令信号に同期させるとともに、第2電極に出力する制御信号としての第2制御信号のオンタイミングを、指令信号に対して所定時間遅延させ、第2制御信号のオフタイミングを、指令信号に対して所定時間早めることを特徴としている。

Claims (11)

  1. スイッチング素子(200)のオンオフを制御する制御電極(210)として、少なくとも第1電極(211)および第2電極(212)とを並列に駆動する半導体装置であって、
    前記制御電極に印加する制御信号を出力して前記スイッチング素子のオンオフを駆動する駆動部(10)と、
    前記制御信号を生成するための基準となる指令信号を生成する指令信号生成部(30)と、
    前記指令信号に基づいて前記駆動部を制御する制御部(20)と、を備え、
    前記制御部は、
    前記第1電極に出力する制御信号としての第1制御信号を前記指令信号に同期させるとともに、
    前記第2電極に出力する制御信号としての第2制御信号のオンタイミングを、前記指令信号に対して所定時間遅延させ、
    さらに、前記第2制御信号のオフタイミングを、前記指令信号における過去のパルス幅に基づいて推定して決定することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記制御部は、
    前記指令信号におけるオンタイミングを遅延させる遅延部(21)と、
    前記指令信号における過去のパルス幅を測定して前記指令信号におけるオフタイミングを推定するパルス幅推定部(22)と、前記指令信号の論理積を演算する演算部(23)と、を有し、
    前記第2制御信号は、前記演算部が
    前記指令信号のうち、オンタイミングおよびオフタイミングを変更しない第1指令信号と、
    前記指令信号のうち、前記遅延部および前記パルス幅推定部を介してオンタイミングおよびオフタイミングが変更された第2指令信号と、の論理積を演算した結果が前記駆動部に入力されることにより生成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記スイッチング素子の状態を検出する状態検出部(40)をさらに備え、
    前記第2制御信号のオンタイミングおよびオフタイミングは、前記指令信号における過去のパルス幅に加えて、前記状態検出部により検出された前記スイッチング素子の状態に基づいて決定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
  4. 前記スイッチング素子の状態とは、少なくとも前記スイッチング素子の温度を含み、
    前記制御部は、前記状態検出部が検出する前記スイッチング素子の温度が低いほど、前記第2制御信号のオフタイミングの進相量を相対的に小さくすることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
  5. 前記スイッチング素子の状態とは、少なくとも前記スイッチング素子が出力する出力電流を含み、
    前記制御部は、前記状態検出部が検出する前記出力電流が小さいほど、前記第2制御信号のオフタイミングの進相量を相対的に小さくすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記第2制御信号のオンタイミングにおける、前記指令信号からの遅相量Td1と、
    前記第2制御信号のオフタイミングにおける、前記指令信号からの進相量Td2と、が予め設定され、
    前記第2制御信号のパルス幅は、前記指令信号の推定された過去のパルス幅Tpreを用いて、Tpre−(Td1+Td2)に設定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
  7. 前記制御部は、前記指令信号の推定された過去のパルス幅Tpreを、過去における個々のパルス幅の統計値として算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
  8. 前記制御部は、i周期前のパルス幅TiをN周期前まで記憶し、
    前記指令信号の推定された過去のパルス幅Tpreを数式1による算出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
    Figure 2018201335
  9. 前記制御部は、i周期前のパルス幅TiをN周期前まで記憶し、
    前記指令信号の推定された過去のパルス幅Tpreを数式2による算出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
    Figure 2018201335
  10. 前記スイッチング素子は、単一の素子に前記第1電極と前記第2電極とが形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置。
  11. 前記スイッチング素子は、前記第1電極を制御電極とする第1素子(300)と、前記第2電極を制御電極とする第2素子(400)とを含み、
    前記第1素子と前記第2素子とが前記駆動部に対して並列に接続されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置。
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