JP2018199126A - ガスの脱硫剤および脱硫方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温でも脱硫能力が高く、長期間脱硫性能を維持する、高性能なガスの脱硫剤および脱硫方法を提供する。【解決手段】酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび銅を含み、さらに1.0質量%から10質量%のコバルトおよび0.1質量%から1.0質量%のルテニウムを含んでなる、ガスの脱硫剤、および前記脱硫剤を、水素の共存下でガスに接触させて、前記ガス中の硫黄化合物を分解除去することを特徴とする、ガスの脱硫方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ガスの脱硫剤および脱硫方法に関する。
水蒸気改質プロセスは、炭化水素を水蒸気と反応させて、水素主成分ガスを得るプロセスであり、工業用の水素製造や燃料電池の燃料改質に用いられている。
水蒸気改質プロセスの原料として、天然ガス、液化石油ガス(LPG)やこれらを原料とする都市ガスのような軽質炭化水素を主成分とする原燃料は、炭素析出を引き起こしやすい重質炭化水素をほとんど含まず、硫黄分も少ないので、特に好適である。しかし、天然ガス、液化石油ガス(LPG)にも、通常は微量の硫黄化合物が含まれる。また、実質的に硫黄分を含まない液化天然ガス(LNG)を主原料として製造される都市ガスであっても、輸送時の安全性確保のため、微量の付臭剤が添加されている。
付臭剤として一般的に用いられているのは、ターシャリーブチルメルカプタン(TBM)、テトラヒドロチオフェン(THT)、ジメチルサルファイド(DMS)等の有機硫黄化合物である。
水蒸気改質反応では、NiやRuを耐熱性の無機酸化物に担持した触媒が用いられるが、これらは硫黄分により被毒され、その活性を急速に失うことが知られている。したがって、水蒸気改質反応に供する原料は、その硫黄分を可能な限り低減しておく脱硫処理が欠かせない。
炭化水素を水蒸気改質するに先立って行われている代表的な脱硫方法として、水素化脱硫(水添脱硫)法、吸着脱硫法、超高次脱硫法などが知られている。
水素化脱硫は、Co−Mo系あるいはNi−Mo系触媒を用いて炭化水素原料中の有機硫黄化合物を水素と反応させて水素化分解した後、生成した硫化水素を酸化亜鉛に吸着させて除去する方法である(非特許文献1、2)。水素化脱硫は、石油精製における燃料油の脱硫プロセスとしても用いられるなど、幅広く実用に供されている。しかし、硫化水素の酸化亜鉛への吸着が平衡反応となることもあり、微量の硫黄分の残存が避けられない。
また、数十ppbの硫黄分が水蒸気改質触媒にリークするとされている(非特許文献2)。
吸着脱硫法は、Ag、Cuなどの遷移金属を含むゼオライトにより硫黄化合物を常温で吸着除去するものである(特許文献1、非特許文献3)。
吸着脱硫法は、常温で脱硫が行えることが利点である。また、水素の添加が不要である点が利点である。しかし、体積当たりの脱硫能力が小さいという課題がある。また、ガス中に水分が含まれると吸着性能がさらに低下するという課題がある。さらに、比較的水分に強いAgは特に高価である、などの課題がある。
超高次脱硫法は、炭化水素原料を水素の共存下、100℃から400℃程度の温度範囲で、銅−亜鉛系の脱硫剤に接触させることにより、原料中の硫黄分を除去するものである(特許文献2、3)。
この方法では、処理後の硫黄分の濃度は1ppb以下に低減できるため、水蒸気改質触媒の被毒を長期にわたって防ぐことができる。しかし、水素化脱硫と同様に300℃以下で十分な脱硫性能を得るには、多量の脱硫剤を要する点は課題といえる。
この点に鑑み、特許文献4には、銅化合物および亜鉛化合物を含む混合水溶液とアルカリ物質水溶液とを混合して沈澱を生じさせ、得られた沈澱を焼成し、得られた焼成物のスラリーを用いて酸化銅−酸化亜鉛混合物成型体を得た後、この成型物に鉄またはニッケルの元素を含浸させ、さらに焼成し、得られた酸化物焼成体を水素還元して得られる脱硫剤が開示されている。この脱硫剤は、低温でも高い脱硫性能を示すが、燃料電池のように、搭載容量が制約され、かつ交換が制約されるような場合などでは、より高性能な脱硫剤の必要性はなお高い。
非特許文献4では、比較的難脱硫性とされるジベンゾチオフェン(DBT)の水素化脱硫反応に対する各種元素の活性を400℃において比較した結果が報告されている。第4周期(TiからNi)、第5周期(ZrからPd)、第6周期(TaからAu)遷移金属の活性が示されており、Ru(379.5)、Ir(171.8)、Rh(106.1)の活性が高いこと、白金族以外では、Mo(8.0)、Cr(4.8)、W(3.2)、Nb(1.7)、Ni(1.5)、Ti(1.4)、Co(1.4)などが活性を示すとされている(括弧内は、金属1モル、1秒あたり反応したDBTの分子数を10の16乗で除した数字で、原子あたりの相対活性を示す)。
特許文献5には、気体中の微量硫黄化合物を除去するに際し、周期律表第VIII族金属(Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt)の1種若しくは2種以上を、酸化亜鉛を50重量%以上含有する無機質担体に担持した脱硫剤と該気体とを接触せしめることを特徴とする、上記微量硫黄化合物の除去法が提案されている。実施例では、酸化亜鉛担体にルテニウム(0.1または0.5重量%)、白金(0.1重量%)またはニッケル(0.5重量%)を担持した脱硫剤を用い、ペンチルメルカプタンを含むn−ヘプタンの脱硫例が示されている。
この方法では、脱硫処理する際に水素は添加されていないことから、反応機構の詳細は不明であるものの、水素化脱硫反応は生じていないものと推測され、炭素析出を引き起こすことなく長期にわたって脱硫性能が維持できるか、また、メルカプタンよりも難脱硫性の有機硫黄化合物、例えばDMSなどについてどの程度安定して除去できるかは不明である。
水素化脱硫反応では、Moを主成分とし、NiまたはCoが助触媒として添加された触媒が一般に用いられているが、これはMoが安価で性能が高いためと考えられる。
一方、NiやCoは単独での脱硫性能はそれほど高いものではない。Ruも上記文献では高活性とされるものの、高価であることもあり、実際の適用例は少ない。
RuとNiを組み合わせた脱硫剤も提案されている。
例えば、特許文献6には、ニッケルを酸化物(NiO)換算で50質量%から95質量%、モリブデンを酸化物(MoO)換算で0.5質量%から25質量%、ルテニウムを酸化物(RuO)換算で0.1質量%から12質量%、および無機酸化物を含有することを特徴とする炭化水素用脱硫剤が開示されている。この脱硫剤は、灯油、ジェット燃料、ナフサ、ガソリン、LPG、天然ガスなど炭化水素中の硫黄分を極めて効率よく除去でき、50質量ppb破過時間を著しく増加させることができるとされている。
Niを含む脱硫剤の例は多いが、脱硫剤にNiを多量に用いた場合には、炭素析出が促進される課題もある。Niは炭化水素を分解する活性が高いため、原燃料ガス中にC5以上の炭化水素やオレフィン類が含まれる場合には、運転条件によっては比較的短期間で炭素析出を引き起こし、脱硫剤としての機能を失うことがある。
特開2001−286753号公報 特開平1−123627号公報 特開平1−123628号公報 特開平11−61154号公報 特開昭61−263634号公報 特開2007−254728号公報
斯波、「触媒」、1巻1号、49ページ(1959年) 松久、「触媒」、48巻5号、326ページ(2006年) S. Satokawa, Y. Kobayashi, H. Fujiki, Applied Catalysis B: Environmental、56巻51ページ(2005年) T. A. Pecoraro, R. R. Chianelli, Journal of Catalysis、67巻430ページ(1981年)
そこで、たとえば燃料電池のように、搭載容量が制約され、かつ交換が制約されるような場合などにおいても利用可能な、低温でも脱硫能力が高く、長期間脱硫性能を維持する、高性能なガスの脱硫剤および脱硫方法の提供が望まれる。
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、低い温度でも高い脱硫性能を有し、後段にスリップする硫黄化合物濃度を極めて低いレベルに長時間保つことができ、かつ高い脱硫容量を有し、少ない脱硫剤の使用量で長期にわたってガスを処理しうる高性能な、ガスの脱硫剤、および当該脱硫剤を用いた脱硫方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るガスの脱硫剤の特徴構成は、
酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび銅を含み、さらに1.0質量%から10質量%のコバルトおよび0.1質量%から1.0質量%のルテニウムを含んでなる点にある。
上記構成によれば、脱硫剤は、酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび銅の混合物に、その成分としてコバルトおよびルテニウムを含んで成る。ここで、混合物とは、成分を混合した状態のみならず、複合酸化物のような状態を含む。
そして、上記構成によれば、脱硫剤は、比較的低い温度でもガス(原燃料ガスなどの気体)に対する高い脱硫性能を有する。そのため、脱硫器などの脱硫剤として用いた場合に、脱硫器の後段(下流側)にスリップ(リーク)する硫黄化合物濃度を極めて低いレベルに長時間保つことができる。
また、上記構成の脱硫剤は、高い脱硫容量を有する。そのため、脱硫剤の使用量を少なくすることができる。また、長期にわたってガスに含まれる硫黄化合物を分解除去しうる。
なお、上記構成の脱硫剤は、銅として、金属状態の銅(金属銅)ないし酸化銅を含み、好ましくは主たる銅として金属銅を含む。
また、上記構成の脱硫剤は、コバルトとして、金属状態のコバルトないしその酸化物を含み、好ましくは主たるコバルトとして金属状態のコバルト(金属コバルト)を含む。
また、上記構成の脱硫剤は、ルテニウムとして、金属状態のルテニウムないしその酸化物を含み、好ましくは主たるルテニウムとして金属状態のルテニウム(金属ルテニウム)を含む。
上記目的を達成するための本発明に係るガスの脱硫方法の特徴構成は、
酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび銅を含み、さらに1.0質量%から10質量%のコバルトおよび0.1質量%から1.0質量%のルテニウムを含んでなる脱硫剤を、水素の共存下でガスに接触させて、前記ガス中の硫黄化合物を分解除去する点にある。
上記構成によれば、脱硫方法は、比較的低い温度でもガス(原燃料ガスなどの気体)に対する高い脱硫性能を発揮する。そのため、後段にスリップする硫黄化合物濃度を極めて低いレベルに長時間保つことができる。
また、上記構成によれば、脱硫剤の高い脱硫容量を活かして、少ない脱硫剤の使用量で長期にわたってガスに含まれる硫黄化合物を分解除去しうる。
なお、脱硫剤は、あらかじめ水素の共存下において、その銅成分、およびルテニウム成分、コバルト成分を還元しておくとよい。当該還元後に、ガスに接触させることで、硫黄化合物に対する高い分解除去能を発揮するため好ましい。
脱硫剤を用いた脱硫方法を実現する脱硫システムのフロー図
〔実施形態〕
以下に本発明の実施形態にかかるガスの脱硫剤および脱硫方法を説明する。
本発明の脱硫剤は、酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび銅を含み、さらに1.0質量%から10質量%のコバルトおよび0.1質量%から1.0質量%のルテニウムを含んでなることを特徴とする。
下記に詳述するように本発明の脱硫剤は通常空気中で焼成することにより製造される。
そして、脱硫反応に供する前に還元処理してから使用される。
亜鉛およびアルミニウムは、製造された段階でも還元処理後の段階でも酸化状態(ZnO、Al)にあると推測される。
銅、コバルトおよびルテニウムは、空気中で焼成した段階(製造された段階)では、主に酸化物(CuO,CuO,CoO,Co,RuO)であり、還元処理後は主に金属状態にあると推測される。
すなわち、本発明の脱硫剤は、製造時は、酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび酸化銅を含む。
また、本発明の脱硫剤は、使用時は、酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび銅(金属銅)を含み、さらに酸化銅を含む場合がある。
そして、本発明の脱硫剤は、コバルトを金属状態に換算した場合の質量でみた場合に、脱硫剤全体の質量のうち、1.0質量%から10質量%のコバルトを含む。また、ルテニウムを金属状態に換算した場合の質量でみた場合に、脱硫剤全体の質量のうち、0.1質量%から1.0質量%のルテニウムを含む。
本発明の脱硫剤は、製造時は、コバルト成分としてコバルトの酸化物、およびルテニウム成分としてルテニウムの酸化物を含む。
また、本発明の脱硫剤は、使用時は、コバルト成分として金属コバルト、およびルテニウム成分として金属ルテニウムを含む。上記銅の場合と同様に、それぞれコバルトの酸化物、ルテニウムの酸化物を含む場合がある。
本発明の脱硫剤は、先に水素存在下で還元処理した後、水素の共存下でガスに接触させて使用する。そうすると、ガス中の硫黄化合物を分解除去することができる。
〔脱硫剤の製造方法の説明〕
本発明の脱硫剤の製造方法に制約はないが、好ましくは、特許文献4と同様の方法で製造される。
本発明の脱硫剤の製造方法は、まず、硝酸銅(Cu(NO)などの水溶性銅化合物と、硝酸亜鉛(Zn(NO)などの水溶性亜鉛化合物とを、アルミニウム化合物の共存下にアルカリ物質水溶液と混合させる。この際、アルミニウム化合物は、溶解していてもゲル状であってもよい。
そして、当該混合により、沈澱を生じさせる。
さらに、得られた沈澱を焼成し、酸化銅と、酸化亜鉛と、酸化アルミニウムとの混合物を得る。以下、この混合物を、酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物と称する。
次に、上記混合物を成型し、酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体とする。そして、この酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体にコバルトおよびルテニウムを含有する水溶液を含浸させ、焼成する。そうすると、酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体を担体として、当該担体にコバルトおよびルテニウムが担持され、本発明の脱硫剤を得る。
上記成型は、例えば圧縮による成型(圧縮成型)を利用でき、圧縮成型法としては、例えば打錠法を用いることができる。
なお、酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体は、市販のものを転用してもよい。たとえば、脱硫剤、メタノール合成触媒、あるいは一酸化炭素転化触媒として市販されている酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体を転用してもよい。
市販の酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体を担体として用いる場合も、これにコバルトおよびルテニウムを含有する水溶液を含浸させ、焼成して、本発明の脱硫剤を得ることができる。
なお、市販の酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体には、グラファイトなどの成型助剤が添加されている場合がある。しかし、これら成型助剤は極端に多すぎない限り、脱硫剤としての機能を損なうことはない。
コバルトおよびルテニウムを含有する水溶液を調製するためのコバルトの原料としては、水溶性コバルト化合物が使用できる。水溶性コバルト化合物としては、硝酸コバルト、酢酸コバルト、塩化コバルトなどが使用できる。
上記コバルトの原料のうち、硝酸コバルト、酢酸コバルトが特に好適である。これらは、溶解度が高く、好ましいためである。また、これらは、調製された脱硫剤に塩素イオンを残留させることが無く、塩素イオンの残留により脱硫性能を損なうことが無いためである。
コバルトおよびルテニウムを含有する水溶液を調製するためのルテニウムの原料としては、硝酸ルテニウム(Ru(NO)、ニトロシル硝酸ルテニウム(Ru(NO)(NO)、塩化ルテニウムなどが使用できる。
上記ルテニウムの原料のうち、硝酸ルテニウム、ニトロシル硝酸ルテニウムが特に好適である。これらは、調製された脱硫剤に塩素イオンを残留させることが無く、塩素イオンの残留により脱硫性能を損なうことが無いためである。
脱硫剤中の銅、亜鉛、アルミニウムの含有量は、製造後かつ使用前の脱硫剤に対する質量比(脱硫剤中の含有率)で、CuOとして10質量%から50質量%、ZnOとして30質量%から70質量%、Alとして5質量%から20質量%程度である。
ZnOは硫黄をZnSとして固定するための必須成分である。ZnOの処方量は、少なすぎると脱硫容量が少なくなる。
銅は、有機硫黄化合物の分解に触媒作用を持つ。また、この触媒作用と共に、CuS,CuSなどとして硫黄の固定にも寄与する。そのため、銅の処方量が少なすぎると脱硫性能が得られない。
Alは、比表面積と強度に寄与する。そのため、Alの処方量は、少なすぎると脱硫性能が低下する。また、Alの処方量は、少なすぎると実用的な強度が得られない懸念がある。
脱硫剤中のコバルトおよびルテニウムの含有量は、脱硫剤に対する質量比で、Coとして1.0質量%から10質量%、Ruとして0.1質量%から1.0質量%である。好ましくは、脱硫剤に対する質量比で、Coとして3質量%から10質量%、Ruとして0.1質量%から1.0質量%である。また好ましくは、脱硫剤に対する質量比で、Coとして3質量%から6質量%、Ruとして0.1質量%から1.0質量%である。
脱硫剤中のコバルトおよびルテニウムの含有量は、Ru/Coの質量比で0.01から1とする。好ましくは、Ru/Coの質量比で0.02から0.4とする。
このように、酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウムから成る担体に、所定のコバルトおよびルテニウムを溶解した水溶液を含浸し、蒸発乾固して、焼成することにより、本発明の脱硫剤が得られるのである。
上記蒸発乾固の後の焼成は、空気中、250℃から350℃程度で1時間から10時間程度行えばよい。
焼成温度が低すぎると、担持に用いたコバルトあるいはルテニウム化合物の分解が不十分となって所望の性能が得られない。
焼成温度が高すぎると、脱硫剤の比表面積が小さくなって、やはり所望の性能が得られない。
なお、コバルトおよびルテニウムは、複数回に分けて担体に担持してもよい。
あるいは、コバルトおよびルテニウムは、まずコバルトを担体に担持した後に、さらにルテニウムを担体に担持する逐次担持の方法によってもよい。
〔脱硫方法の説明〕
本発明の原燃料ガスG1(ガス)の脱硫方法は、上記で得られた脱硫剤を水素の共存下で原燃料ガスG1(ガス)に接触させて、原燃料ガスG1の硫黄化合物を分解除去するものである。
本実施形態においては、脱硫方法として、上記で得られた脱硫剤(製造された脱硫剤)を水素存在下で還元処理した後、水素の共存下で原燃料ガスG1(ガス)に接触させて、原燃料ガスG1の硫黄化合物を分解除去する場合を説明する。
本発明の脱硫方法は、ガス(気体)としての原燃料ガスG1が、天然ガス、液化石油ガス、およびこれらを原料とする都市ガスなどの、軽質炭化水素(C1からC4程度)を主成分とするガスに用いると、特に優れた性能を発揮する。
また、本発明の脱硫方法は、付臭剤として一般的に用いられているターシャリーブチルメルカプタン(TBM)、テトラヒドロチオフェン(THT)、ジメチルサルファイド(DMS)等のメルカプタン(チオール)、サルファイド(チオエーテル)などの、原燃料ガスG1中に含まれる有機硫黄化合物に対して優れた脱硫性能を発揮する。
上記例示した原燃料ガスG1中には、このほか硫化水素、硫化カルボニル、ジスルフィド類が含まれることがあるが、本発明の脱硫剤はこれらに対しても除去能を有するので、少量であれば混入していても問題ない。
このほか、上記例示した原燃料ガスG1中には、製造方法によって、微量の水素、一酸化炭素、酸素、窒素、二酸化炭素や水分が含まれる場合がある。
例えば、天然ガス系都市ガスであっても、バイオガスを混合している場合は、水素、一酸化炭素、酸素、窒素、二酸化炭素が、それぞれ最大で4%、0.05%、0.01%、1.0%、0.5%(いずれも体積基準)程度含まれる可能性がある。
このうち、一酸化炭素および二酸化炭素は、脱硫剤上で水素と反応してメタンを生成するメタン化反応を引き起こす可能性があるので、高濃度で存在していると、一般的には好ましくない。しかし、本発明の脱硫剤は、Ni系脱硫剤と比較すると、メタン化活性は低いので、影響は小さい。
酸素は、脱硫剤が酸化されて脱硫性能が低下する恐れがあるため、含まれない方が良いが、0.1%程度であれば脱硫剤上で水素と反応して速やかに除去され、反応による温度上昇も小さいので問題にはならない。
脱硫剤(製造された脱硫剤)は、原燃料ガスG1に接触させる前に、水素存在下での還元処理により還元する。
上記還元処理を行う場合の温度は、150℃から350℃程度である。
還元処理に用いるガスは、たとえば窒素などの不活性ガス中に1体積%から10体積%程度の水素(水素ガス)を添加したものとする。
還元時間は、還元処理に用いるガスの流量と水素含有率から、化学量論的に還元を達成するのに必要な時間が計算されるが、その1.5倍から3倍程度とするのが良い。
還元温度は、低すぎると還元が完結せず、高すぎると脱硫剤の焼結による性能低下を引き起こす。
還元処理に用いるガスの水素濃度(水素ガスの体積濃度)が低すぎると、還元を完結するまでに多量のガスを流す必要があり、経済的に不利となる。逆に、還元処理に用いるガスの水素濃度が高すぎると、水素と酸化状態の脱硫剤との反応による反応熱で、急激な温度上昇が起こるため好ましくない。たとえば、急激な温度上昇により、所定の還元温度を保つことが不可能になることもある。
本発明の脱硫方法は、脱硫剤容器に脱硫剤を充填して、外部加熱などで所定の温度に脱硫剤を保ち、これに水素を添加した原燃料ガスG1を通じることにより行なわれる。
脱硫反応は、硫黄化合物の濃度が極端に高くない限り、大きな発熱も吸熱も生じない。
そのため、原燃料ガスG1、あるいは水素ガスを添加した原燃料ガスG1をあらかじめ脱硫に好ましい温度に予熱しておき、脱硫剤容器自体は加熱も冷却もしない断熱状態で反応させることもできる。たとえば、原燃料ガスG1、あるいは水素ガスを添加した原燃料ガスG1を、上記還元処理を行う場合の温度である、150℃から350℃程度に予熱しておくこともできる。
添加する水素量は、原料中に含まれている硫黄化合物の種類と量により定めればよいが、通常硫黄含有量はppmレベルの量であるため、原燃料ガスG1に対してモル比で0.001以上、好ましくは0.01から0.5程度、より好ましくは0.01から0.2程度とする。
水蒸気改質プロセスの前処理としての脱硫を行う場合には、水蒸気改質反応によってできた水素を一部リサイクルすることもできる。
水蒸気改質反応によってできた水素には、一酸化炭素や二酸化炭素、水蒸気が含まれる場合があるが、原燃料ガスG1に対するモル比で0.01程度を超えなければ大きな問題はない。
〔脱硫システムの説明〕
水蒸気改質プロセスの前処理として脱硫を行う際の脱硫システムのフロー概略図(一例)を図1に示す。
図1に示す脱硫システム100は、脱硫剤を封入した脱硫器1と、改質触媒を封入した改質器2とを有する。脱硫システム100は、供給された原燃料ガスG1を脱硫し、およびさらに水蒸気改質して、水素を含有する改質燃料ガスG3を得る反応システムである。
脱硫システム100について具体的に説明を加える。
原燃料ガスG1が、供給路11から脱硫器1に供給されて、脱硫剤出口ガスG2になる。
脱硫剤出口ガスG2は、脱硫器1から改質器流路12を介して下流側に接続される改質器2に供給される。改質器流路12には、水蒸気供給路21が接続されて、水としての水蒸気Sが改質器流路12に供給される。したがって、改質器2には、脱硫剤出口ガスG2と、水蒸気Sとが供給される。
改質器2で改質された脱硫剤出口ガスG2は改質燃料ガスG3となる。改質燃料ガスG3は、改質器2の下流側に接続された改質ガス流路13を介して、例えば燃料電池(図示せず)などの次工程へ供される。
改質燃料ガスG3の一部は、リサイクルガスG4として、改質ガス流路13から分岐して供給路11へ接続される返送路31を介して脱硫器1へ返送される。
〔実施例の説明〕
以下、実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。
なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
担体としての市販の酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC−7、3mmタブレット、CuO:45質量%、ZnO:45質量%、Al:6質量%)30.02gに、硝酸ルテニウム(Ruとして0.064g含有)、硝酸コバルト(Coとして1.92g含有)を溶解した23gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
その後、加熱器としてのホットプレート上で蒸発乾固し、110℃に設定した乾燥器で1時間乾燥した後、焼成炉としてのマッフル炉を用いて、空気中毎分10℃の昇温速度で300℃まで昇温し、焼成として、300℃に1時間保持した。そして、0.2質量%のRuと6質量%のCoを含む脱硫剤Aを得た。
耐熱ガラス製反応管(内径14mm)に、10gの脱硫剤Aを充填し、脱硫剤層を形成した。この脱硫剤層は、脱硫器1に相当する。
そして、この脱硫剤層の下端部(出口側)を250℃に保持するよう加熱しながら、窒素ガスに2%の水素ガス(体積基準)を混合した還元ガスを毎時60リットル(0℃、1気圧の標準状態における体積)で流通し、1時間還元処理を行った。つまり、脱硫剤Aを水素存在下で還元した。
上記還元処理後、脱硫剤層の下端部を250℃に保持したまま、150ppmのDMSと2%の水素(いずれも体積基準)を含む窒素ガスを毎時20リットル(0℃、1気圧の標準状態における体積)で流通した。つまり、水素の共存下で脱硫剤Aを原燃料ガスG1に接触させた。ここでは、実験を簡単にするために原燃料ガスG1の成分として、メタン等の炭化水素に代えて窒素を用いている。つまり、原燃料ガスG1として、窒素(炭化水素の代用ガス)に、硫黄化合物(付臭剤)としてのDMSを所定量添加した還元雰囲気のモデルガスを用いている。
そして、脱硫剤出口ガスG2中のDMS、硫化水素およびメタン濃度を、ガスクロマトグラフ(島津製作所製GC−14B、FPDおよびFID検出器付き)で分析した。
脱硫剤出口ガスG2のDMS濃度は、当初は検出されず、39時間後に2.0ppb、42時間後に3.1ppb、44時間後に4.7ppb、45時間後に5.5ppbとなった。
脱硫剤出口ガスG2のDMS濃度が5ppbを超えるまでの時間(5ppb破過時間)を寿命の基準とすると、この条件では44.4時間となる。
なお、45時間まで脱硫剤出口ガスG2中に硫化水素は検出されず、メタン濃度は約290ppmでほぼ一定であった。DMSは硫化水素とメタンに分解され、硫化水素は脱硫剤に吸収されたと考えられる。
〔実施例2〕
実施例1と同じ酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体30.01gに、硝酸ルテニウム(Ruとして0.062g含有)、硝酸コバルト(Coとして0.933g含有)を溶解した18gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
実施例1と同様に、蒸発乾固、乾燥焼成して、0.2質量%のRuと3質量%のCoを含む脱硫剤Bを得た。
実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、脱硫剤出口ガスG2のDMS濃度は、当初は検出されず、18時間後に2.9ppb、19時間後に3.9ppb、21時間後に6.7ppb、22時間後に8.3ppbとなった。5ppb破過時間は19.9時間となる。
なお、22時間まで脱硫剤出口ガスG2中に硫化水素は検出されず、メタン濃度は約290ppmでほぼ一定であった。
〔実施例3〕
実施例1と同じ酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体30.07gに、硝酸ルテニウム(Ruとして0.313g含有)、硝酸コバルト(Coとして0.945g含有)を溶解した24gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
実施例1と同様に、蒸発乾固、乾燥焼成して、1質量%のRuと3質量%のCoを含む脱硫剤Cを得た。
実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、脱硫剤出口ガスG2のDMS濃度は、当初は検出されず、23時間後に3.5ppb、25時間後に4.3ppb、26時間後に5.1ppb、27時間後に6.3ppbとなった。5ppb破過時間は25.9時間となる。
なお、27時間まで脱硫剤出口ガスG2中に硫化水素は検出されず、メタン濃度は約280ppmでほぼ一定であった。
〔比較例1〕
実施例1で用いた酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体をそのまま脱硫剤として用いた(脱硫剤D)。
実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、脱硫剤出口ガスG2のDMS濃度は、当初は検出されず、6時間後に3.4ppb、7時間後に18.9ppb、8時間後に64.2ppbとなった。5ppb破過時間は6.2時間となる。
〔比較例2〕
Coを用いなかった他は実施例1と同様にして0.2質量%のRuを含む脱硫剤Eを得た。
実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、5ppb破過時間は8.2時間となった。
〔比較例3〕
Ru量を変えた他は比較例2と同様にして1質量%のRuを含む脱硫剤Fを得た。
実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、5ppb破過時間は8.6時間となった。
〔比較例4〕
Ruを用いなかった他は実施例1と同様にして3質量%のCoを含む脱硫剤Gを得た。
実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、5ppb破過時間は9.2時間となった。
〔比較例5〕
Ruを用いなかった他は実施例1と同様にして6質量%のCoを含む脱硫剤Hを得た。
実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、5ppb破過時間は20.3時間となった。
〔比較例6〕
実施例1と同じ酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体30.05gに、硝酸ニッケル(Niとして0.93g含有)を溶解した17gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
実施例1と同様に、蒸発乾固、乾燥焼成して、3質量%のNiを含む脱硫剤Iを得た。
実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、5ppb破過時間は20.7時間となった。
〔比較例7〕
Ni量を変えた他は、比較例6と同様にして6質量%のNiを含む脱硫剤Jを得た。
実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、5ppb破過時間は40.1時間となった。
実施例1から実施例3および比較例1から比較例7の結果を表1にまとめる。
0.2質量%のRuと6質量%のCoを担持した脱硫剤Aは、5ppb破過時間が44.4時間となり、特許文献2,3に開示される酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウムである脱硫剤Dの6.2時間と比較して約7倍の破過時間となった。
0.2質量%のRuと3質量%のCoを担持した脱硫剤B、1質量%のRuと3質量%のCoを担持した脱硫剤Cも20時間から26時間の破過時間となり、脱硫剤Dよりも顕著に長くなった。
RuのみあるいはCoのみを担持した場合は、脱硫剤Eから脱硫剤Hの結果が示す通り、破過時間を延ばす効果は限定的である。脱硫剤Aから脱硫剤Cの結果からも、本発明に従いRuおよびCoの両方を含む脱硫剤とすることで、脱硫性能が大幅に向上することが明らかである。
すなわち、脱硫剤A、脱硫剤B,脱硫剤Cは、250℃程度の低い温度でも、DMSおよび硫化水素などの硫黄化合物に対して高い脱硫性能を有し、後段(脱硫器1の下流側)にスリップ(リーク)する硫黄化合物濃度を極めて低いレベルに長時間保つことができ、かつ高い脱硫容量を有し、少ない脱硫剤の使用量で長期にわたって原燃料ガスG1を処理(脱硫)できた。
Figure 2018199126
〔実施例4〕
〔都市ガスの脱硫試験〕
実施例1で用いたものと同じ脱硫剤Aをステンレス製反応管(内径15.7mm)に13.7g充填した。脱硫剤Aが充填されたステンレス製反応管が、脱硫器1に相当する。
そして、250℃に保持した恒温器の中に反応管全体を入れ、窒素ガスに2%の水素(体積基準)を混合した還元ガスを毎時150リットル(0℃、1気圧の標準状態における体積)で流通し、3時間還元処理を行った。
還元処理後、恒温器の温度を250℃に保ったまま、2%の水素(体積基準)を混合した13A都市ガスを原燃料ガスG1として毎時90リットル(0℃、1気圧の標準状態における体積)で流通した。なお、この原燃料ガスG1としての13A都市ガスは、付臭剤(硫黄化合物)として、DMSを約3.1ppm、TBMを約2.4ppm含有している。
そして、脱硫剤出口ガスG2中のDMS、TBMおよび硫化水素濃度をガスクロマトグラフ(GC−14B、FPD検出器付き)で分析した。
脱硫剤出口ガスG2のDMS濃度は当初は検出されず、11時間後に14ppb、17時間後に18ppb、19時間後に21ppbとなった。
脱硫剤出口ガスG2のDMS濃度が20ppbを超えるまでの時間(20ppb破過時間)はこの条件では18.3時間となる。なお、42時間まで脱硫剤出口ガスG2中にTBMおよび硫化水素は検出されなかった。TBMは脱硫剤によって分解され、硫化水素は脱硫剤に吸収されたと考えられる。
すなわち、脱硫剤Aは、250℃程度の低い温度でも、DMS、TBMおよび硫化水素などの硫黄化合物に対して高い脱硫性能を有し、後段にスリップする硫黄化合物濃度を極めて低いレベルに長時間保つことができ、かつ高い脱硫容量を有し、少ない脱硫剤の使用量で長期にわたって原燃料ガスG1を処理(脱硫)できた。
〔実施例5〕
担体としての市販の酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体(ズードケミー触媒社製、MDC−7、3mmタブレット、CuO:41質量%、ZnO:46質量%、Al:9質量%)50.09gに、硝酸ルテニウム(Ruとして0.050g含有)、硝酸コバルト(Coとして3.193g含有)を溶解した37gの水溶液を滴下し、3時間かけて含浸させた。
その後、加熱器としてのホットプレート上で蒸発乾固し、110℃に設定した乾燥器で1時間乾燥した後、焼成炉としてのマッフル炉を用いて、空気中毎分2℃の昇温速度で300℃まで昇温し、焼成として、300℃に1時間保持した。そして、0.1質量%のRuと6質量%のCoを含む脱硫剤Kを得た。実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、5ppb破過時間は21.8時間となった。
〔実施例6〕
Ru量を変えた他は、実施例5と同様にして0.5質量%のRuと6質量%のCoを含む脱硫剤Lを得た。実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、5ppb破過時間は35.8時間となった。
〔比較例8〕
Ruを用いなかった他は、実施例5と同様にして6質量%のCoを含む脱硫剤Mを得た。実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、5ppb破過時間は13.5時間となった。
〔比較例9〕
実施例5で用いた酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウム混合物成型体をそのまま脱硫剤として用いた(脱硫剤N)。実施例1と同様にして脱硫性能を評価したところ、5ppb破過時間は5.3時間となった。
実施例5、実施例6、比較例8および比較例9の結果を表2にまとめる。
0.5質量%のRuと6質量%のCoを担持した脱硫剤Lは5ppb破過時間が35.8時間となり、特許文献2,3に開示される酸化銅−酸化亜鉛−酸化アルミニウムである脱硫剤Nの5.3時間と比較して約7倍の破過時間となった。
また、比較例8、実施例5および実施例6を比較すると、6質量%のCoのみを担持した脱硫剤Mの5ppb破過時間が13.5時間であるのに対して、6質量%のCoおよび0.1質量%のRuを担持した脱硫剤Kでは21.8時間、6質量%のCoおよび0.5質量%のRuを担持した脱硫剤Lでは35.8時間となり、Ruの担持量を増加するにつれて破過時間が長くなっている。この結果から、CoおよびRuの両方を含む脱硫剤が顕著に高い脱硫性能を示すことが明らかである。
Figure 2018199126
以上のようにして、低い温度でも高い脱硫性能を有し、後段にスリップする硫黄化合物濃度を極めて低いレベルに長時間保つことができ、かつ高い脱硫容量を有し、少ない脱硫剤の使用量で長期にわたって原燃料ガスG1を処理しうる高性能な脱硫剤、および当該脱硫剤を用いた脱硫方法を提供することができる。
[別実施形態]
(1)上記実施形態では、脱硫システム100は、改質器2の上流側に脱硫器1を設ける場合(つまり、脱硫器1の下流側に改質器2がある場合)を例示した。
しかしながら、脱硫システム100は、改質器2と必ず組み合わせて用いるものでは無く、その他の反応器などのプロセス装置と組み合わせて利用することができる。
(2)上記実施形態では、ガスが、窒素を主成分とする場合、および、原燃料ガスG1である場合を例示した。しかし、本発明の脱硫剤および脱硫方法は、ガスがその他の成分を含む場合にも、ガスが水素を含み、還元雰囲気下でガスを脱硫剤に接触させることができれば、その脱硫性能を発揮する。
(3)上記実施形態では、製造された脱硫剤の銅が酸化銅であり、当該製造された脱硫剤を脱硫反応に供する前に、還元処理してから脱硫に使用する脱硫方法を例示した。しかし、当該製造された脱硫剤の銅が金属銅である場合、還元処理を含まなくてもよい。
同様に、上記実施形態では、製造された脱硫剤のコバルト成分が酸化物であり、当該製造された脱硫剤を脱硫反応に供する前に、還元処理してから脱硫に使用する脱硫方法を例示した。しかし、当該製造された脱硫剤のコバルト成分が金属コバルトである場合、還元処理を含まなくてもよい。
また、上記実施形態では、製造された脱硫剤のルテニウム成分が酸化物であり、当該製造された脱硫剤を脱硫反応に供する前に、還元処理してから脱硫に使用する脱硫方法を例示した。しかし、当該製造された脱硫剤のルテニウム成分が金属ルテニウムである場合、還元処理を含まなくてもよい。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、たとえば燃料電池の燃料ガスの改質器に供する、原燃料ガスの脱硫剤および脱硫方法に適用できる。
1 脱硫器
2 改質器
11 供給路
12 改質器流路
13 改質ガス流路
21 水蒸気供給路
31 返送路
G1 原燃料ガス
G2 脱硫剤出口ガス
G3 改質燃料ガス
G4 リサイクルガス
S 水蒸気
100 脱硫システム

Claims (2)

  1. 酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび銅を含み、さらに1.0質量%から10質量%のコバルトおよび0.1質量%から1.0質量%のルテニウムを含んでなる、ガスの脱硫剤。
  2. 酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび銅を含み、さらに1.0質量%から10質量%のコバルトおよび0.1質量%から1.0質量%のルテニウムを含んでなる脱硫剤を、水素の共存下でガスに接触させて、前記ガス中の硫黄化合物を分解除去することを特徴とする、ガスの脱硫方法。
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