JP2018197360A - 灯油基材及び灯油組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
一方で、灯油の臭気低減に対する要求は依然として高いが、従来にない観点から臭気を低減する手段は未だ見出されていないのが現状である。
<2> 下記(1)で示される臭気パラメータAが1〜4の範囲内である、<1>に記載の灯油基材。
臭気パラメータA=9.4412653×〔n−パラフィン含有量(容量%)〕+9.430526×〔iso−パラフィン含有量(容量%)〕+9.645580×〔ナフテン含有量(容量%)〕−944.1850 ・・・(1)
<3> 上記<1>又は<2>に記載の灯油基材を含む、灯油組成物。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。 また、本開示中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、基材又は組成物中の各成分の量は、基材中又は組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本発明の灯油基材は、沸点が142℃〜202℃の範囲にあり、飽和炭化水素のみからなり、かつ、飽和炭化水素中のナフテンの含有割合が1容量%〜50容量%である。
本発明の灯油基材は、上記の構成要素を総て有することにより、臭気を効果的に低減することができる。
iso−パラフィンとしては、臭気低減の観点から、炭素数8〜12のiso−パラフィンが好ましく、炭素数9〜12のiso−パラフィンがより好ましい。
ナフテンとしては、単環ナフテン及び多環ナフテンの両方を包含する。本発明の灯油基材のある態様は、単環ナフテン、二環ナフテン及び三環ナフテンを含む。
ナフテンは、臭気低減の観点から、炭素数9〜11のナフテンが好ましく、炭素数10〜11のナフテンがより好ましい
上記の式(1)は、灯油基材において、飽和炭化水素のみからなる灯油基材の臭気の強度は、パラフィン及びナフテンの比率に関係するとの本発明者らの知見に基づき、n−パラフィン含有量、iso−パラフィン含有量及びナフテン含有量の関係に着目し、本発明の灯油基材の臭気の強度を判定するための指標の一つとして、導き出されたパラメータである。すなわち、本発明者らは、特定の沸点範囲の飽和炭化水素の中においては、ナフテンがパラフィンよりも臭気の強度により強く関係しており、また、パラフィンに着目した場合には、iso−パラフィンがn−パラフィンよりも臭気の強度により強く関係する傾向があるとの知見から、上記の式(1)を臭気の強度を判断する一指標として導き出したものである。
灯油基材を構成する炭化水素の種類は、ガスクロマトグラフ法−質量分析法(GC−MS)で分析し、ASTM D 2786に従って解析することで確認する。
具体的には、試料を高速液体クロマトグラフ法(HPLC)で飽和分と芳香族分とに分取した後、各分取物をGC−FIDで定量し、それぞれの面積比を質量%として算出する。また、各分取物をGC−MSで測定して平均マススペクトルを求めた後、飽和分はASTM D 2786で、芳香族分はASTM D 3239の計算式で解析を行い、タイプ別割合を容量%で算出する。
飽和炭化水素中のナフテンの含有割合、n−パラフィンの含有量、iso−パラフフィンの含有量、及びナフテンの含有量は、GC−PONA分析方を用いて確認する。
具体的には、ナフサからオレフィン分、芳香族分を除いた解析テーブルにて、n−パラフィンを基準ピークにして、n−パラフィン、iso−パラフフィン、及びナフテンの組成を同定する。
本発明の灯油基材(後述する灯油組成物も同様である。)は、硫黄分、15℃における密度、引火点、及び煙点が、下記の範囲であることが好ましい。
原料油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる灯油留分、それらを脱硫した脱硫灯油を用いることができる。さらに、直接脱硫装置から得られる直接脱硫灯油留分、重油又は残油の水素化分解により得られる灯油留分等を用いることができる。
本発明に規定される組成及び性状を満たすためには、蒸留工程を経ることで沸点範囲を調整し、必要に応じ、更に分留して、当該留分の組成・性状分析を行い、本発明に規定する組成及び性状を満たすように、各留分や他の基材を混合すればよい。
灯油基材を飽和炭化水素のみで構成するには、適宜原料を選択すればよく、原料に不飽和炭化水素が含まれる場合は、公知の方法により水素化処理すればよい。
本発明の灯油基材は、効果を損ねない範囲において、必要に応じて種々の添加剤を適宜添加して、灯油組成物とすることができる。
添加剤としては、フェノール系、アミン系等の酸化防止剤、シッフ型化合物やチオアミド型化合物等の金属不活性剤、有機りん系化合物等の表面着火防止剤、琥珀酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミン等の清浄分散剤、多価アルコール及びそのエーテル等の氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステル等の助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の帯電防止剤、アルケニル琥珀酸エステル等の錆止め剤等の燃料油添加剤として公知の添加剤が挙げられる。これらは、1種添加することも複数種組み合わせて添加することもできる。また、これらの添加剤の添加量は必要に応じて適宜設定することができる。
1.調製用基材の準備
実施例及び比較例の各灯油基材の調製に用いる調製用基材(A)〜(J)を準備した。
調製用基材(A)〜(J)は、原油を常圧蒸留して得られる灯油留分について、それらを水素化脱硫装置により脱硫し、脱硫灯油留分を核水添装置により得られる灯油留分を用い、下記の蒸留条件により、5〜10℃刻みに分留して得た基材である。
装置:蒸留装置
条件:理論段数 15
還流比 10:1
IBP〜142℃ 常圧蒸留(大気圧)
142℃〜212℃ 減圧蒸留(10mmHg)
調製用基材(A)〜(J)を、表2に示す割合で配合して、実施例及び比較例の各灯油基材を調製した。なお、実施例の灯油基材の沸点は、調製用基材(D)〜(H)を用いることで142℃〜202℃に調整される。
(1)臭気レベル(1):臭気パラメータAによる臭気レベル
実施例及び比較例の各灯油基材について、式(1)に示す臭気パラメータAを算出し、臭気の評価を行なった。具体的には、既述の「確認1」により、各灯油基材の灯油基材を構成する炭化水素の種類を確認し、「確認2」により、飽和炭化水素中のナフテンの含有割合、n−パラフィンの含有量、iso−パラフフィンの含有量、及びナフテンの含有量を確認して、式(1)に得られた結果を当てはめることにより、臭気パラメータAを算出した。
結果を表2の「臭気」の欄に併記する。なお、実施例1〜6及び比較例1にて算出した臭気パラメータAの値は、表2では小数点以下第2位で四捨五入した値として示し、比較例5及び比較例6について算出した臭気パラメータAの値は「5」を超えていたため、表2では「>5」と示した。
臭気レベル1の評価を実施した実施例及び比較例の各灯油基材のうち、実施例1、実施例5及び実施例6、並びに、比較例1の各灯油基材について、以下の評価方法及び評価基準により官能試験を行ない、上記の臭気レベル(1)の結果との差異を確認した。
官能試験は、6名の評価者が、灯油基材について、下記の1)〜3)に示す評価方法に従い、臭気を採点することにより行なった。6名の評価点を平均し、小数点以下第2位を四捨五入した値を、臭気レベル2の結果とした。
1)サンプルを密閉容器に入れ、室温(25℃)で24時間放置する。
2)密閉容器内からディスポーザブルカップ(150mL)に少量のサンプルを分取する。
3)評価者はサンプルの入ったディスポーザブルカップを臭気が確認できる位置まで鼻に近づけ、臭気レベルを下記に示す評価基準により評価する。
5点:強烈に強く臭う。
4点:はっきり臭う。
3点:臭うが気にならない。
2点:かすかに臭う。
1点:全く臭わない。
〜評価結果〜
実施例1:2.2
実施例5:3.7
実施例6:3.5
比較例1:4.3
Claims (3)
- 沸点が142℃〜202℃の範囲にあり、飽和炭化水素のみからなり、かつ、前記飽和炭化水素中のナフテンの含有割合が1容量%〜50容量%である、灯油基材。
- 下記(1)で示される臭気パラメータAが1〜4の範囲内である、請求項1に記載の灯油基材。
臭気パラメータA=9.4412653×〔n−パラフィン含有量(容量%)〕+9.430526×〔iso−パラフィン含有量(容量%)〕+9.645580×〔ナフテン含有量(容量%)〕−944.1850 ・・・(1) - 請求項1又は請求項2に記載の灯油基材を含む、灯油組成物。
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JPS63150380A (ja) * | 1986-12-13 | 1988-06-23 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 改良灯油 |
JP2001279271A (ja) * | 2000-03-29 | 2001-10-10 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 燃料電池用燃料油及び燃料電池用水素の製造方法 |
JP2004182854A (ja) * | 2002-12-03 | 2004-07-02 | Showa Shell Sekiyu Kk | 灯油組成物 |
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