JP2018195984A - 単層薄膜コモンモードフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】SHF帯で動作し、コモンモードの抑圧比が高い薄膜コモンモードフィルタを提供する。【解決手段】基板1および基板表面上に薄膜の導体群を有し、差動信号入力に対して差動信号を出力する単層薄膜コモンモードフィルタであって、上記導体群は少なくとも、上記差動信号の一方の伝送経路中に第1インダクタ部112と、上記差動信号の他方の伝送経路中に第2インダクタ部212と、を含む。第1インダクタ部と第2インダクタ部は、互いに同一形状の非直線形状でしかも互いに平行に設けられたストライプ導体線路よりなる。好ましくは、第1インダクタ部と第2インダクタ部はミアンダ形状を成す。【選択図】図1

Description

本開示は、高周波の差動伝送に用いられるコモンモードフィルタに関する。
次世代通信規格である5Gでは従来の通信帯域のUHF帯(0.3〜3GHz)に加えてSHF帯(3〜30GHz)あるいはそれ以上の周波数帯が検討され、しかもLTE−Advanced通信規格が適用される可能性がある。つまりキャリアアグリケーションやMIMO(Multi Input Multi Output)技術の導入が検討されている。
特にMIMO技術において、上り最大4本、下り最大8本のアンテナが使用される見込みであり、そうなれば各アンテナ毎に無線回路が必要となる。また、国際ローミング対応のためのマルチバンド化の必要もあり、携帯電話等モバイル端末の内部の回路規模は増加の傾向にある。その一方でモバイル端末の更なる小型化、低背化のニーズが依然強く、回路のさらなる小型化、集積化が急務となってきている。
一方で5G規格ではより高い周波数の信号を扱うため、回路の集積化や小型化に伴い、モバイル端末筐体内部での電磁干渉 (EMI;Electro Magnetic Interference)がより顕在化する。このEMI対策の1つとして差動信号伝送方式が有効である。この差動信号伝送方式は現在USBやHDMI(登録商標)などに用いられており、モバイル通信分野でもディジタル回路、特に液晶ディスプレイとCPU間の伝送線路で主流となっている(非特許文献1)。またディジタル伝送のみならず、アナログ回路でも素子間をつなぐ伝送線路として差動信号伝送方式が用いられることがある。
差動信号伝送方式は2本の伝送線路にそれぞれ逆位相の信号を入力して通信する方式であり、原理的に伝送線路の外部からのノイズ(同相成分)がキャンセルされる。また、伝送線路から放出される電磁界も相殺され、外部へのノイズ放射もないとされる。しかしながら、現実には信号や振幅のずれや差動信号の歪み、信号線路の僅かなばらつきなどによって不平衡成分が発生する。このため2本の伝送線路の信号は完全に逆位相の信号とはならず、いわゆるコモン(同相)モード電流が流れ、これがノイズの発生源となり、周辺の機器や回路に影響を与える。したがって、差動信号伝送方式には、このコモンモードノイズを抑制するコモンモードフィルタが必要不可欠となる。
現在、実用されているコモンモードフィルタには、コモンモードチョークコイル(以下、CMCと記述)によるチップ部品等が多く使用されている。CMCは磁心に2本の導線を同方向に巻き、磁気結合を利用した電子部品であり、巻線に差動信号の電流が流れる場合とコモンモード電流が流れる場合とで、コア内に発生する磁束の結合が逆に作用し、インピーダンスに大きな差が生じる。そのため、低インピーダンスとなる差動信号の電流はそのまま通過し、高インピーダンスとなるコモンモード電流は抑制され、ノイズの発生を防ぐことができる(非特許文献2)。しかしながら、上記CMCデバイスは薄膜コイル2つを重ねる必要があり、集積化、特に低背化が構造上難しいことが問題であった。
そこで、発明者らは薄膜形成されたインダクタとキャパシタの組み合わせにより、差動(ディファレンシャル)伝送モードおよび同相(コモン)伝送モードで等価回路特性が相違することを利用した薄膜コモンモードフィルタを提案し、1.8〜2.0GHz帯における良好な動作を実証した(特許文献1)。
特開2016−144115号公報
斎藤 悟;「差動インタフェースのEMC設計」、TDK EMC Technology、 https://product.tdk.com/info/ja/products/emc/guidebook/ index.html(accessed 2016−04−19) 藤城 義和;「Sパラメータによるコモンモードフィルタの解析」、電子情報通信学会、EMCJ2000−60、pp.25−30(Sep.2000)
しかし従来のコモンモードフィルタがディファレンシャル(差動)モードの減衰3dB以下、コモンモード減衰15dB以上という実用上十分な性能で動作する周波数はおおむねUHF帯までであり、従来の延長線上の構成ではこれよりも1桁高いSHF帯において同等の性能を確保することは非常に困難であった。
そこで発明者らは鋭意研究を重ね、その結果、単層薄膜で構成され、SHF帯でも良好に動作し、小型でシンプルな構成のコモンモードフィルタを実現するに至った。
本開示の一態様に係る単層薄膜コモンモードフィルタは、基板および上記基板表面上に薄膜の導体群を有し、差動信号入力に対して差動信号を出力する単層薄膜コモンモードフィルタであって、上記導体群は少なくとも、上記差動信号の一方の伝送経路中に第1インダクタ部と、上記差動信号の他方の伝送経路中に第2インダクタ部と、を含み、上記第1インダクタ部と上記第2インダクタ部は互いに同一形状の非直線形状のストライプ導体線路よりなりしかも互いに平行に設けられたことを特徴とする。
上記第1インダクタ部と上記第2インダクタ部はミアンダ形状のストライプ導体線路でもよい。
上記導体群はさらに、上記第1インダクタ部の入力側と出力側にそれぞれに設けられた端部と、上記第2インダクタ部の入力側と出力側にそれぞれに設けられた端部と、上記第1インダクタ部の入力側の端部とスリットを介して隣接する第1入力端子と、上記第2インダクタ部の入力側の端部とスリットを介して隣接する第2入力端子と、上記第1インダクタ部の出力側の端部とスリットを介して隣接する第1出力端子と、上記第2インダクタ部の出力側の端部とスリットを介して隣接する第2出力端子と、含んでもよい。
上記導体群はさらに、上記第1インダクタの両側の端部にそれぞれスリットを介して隣接する第1接地端子と、上記第2インダクタの両側の端部にそれぞれスリットを介して隣接する第2接地端子と、を含んでもよい。
上記基板の表面および上記導体群は誘電体で被覆されてもよい。
上記第1および第2のインダクタ部の線路長は信号波長の10%〜40%であってもよい。
上記ミアンダ形状のストライプ導体線路の幅は5μm〜40μmであってもよい。
上記ミアンダ形状のストライプ導体線路における折り返しの間隔は50μm以上であってもよい。
本開示の一態様によれば、薄膜単層構造でコモンモードフィルタを構成でき、従来技術に対し、大幅な小型化・薄型化になるだけでなく、優れたフィルタ性能が示される。さらに単層で構成されることから、設計が容易になるだけでなく、層間のビアが不要となり、歩留の向上と製造コストの低減が図れる。
本開示の一態様の上面図 本開示の一態様の断面図 本開示の一態様の部品図 本開示の一態様の等価回路図 本開示の一態様の等価回路図(コモンモードの場合) 本開示の一実施例の特性図
以下、本開示の一態様に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に本開示の一態様に係る実施の形態(以下、本実施形態)における単層薄膜コモンモードフィルタの上面図を、図2に断面A−Aの断面図を、図3(a)、(b)、(c)に部品図を示す。
図1および図2において、1は基板であり、例えばポリイミド樹脂が用いられる。基板1の表面上には例えば銅よりなる薄膜状の導体群が設けられている。上記導体群のうち、13は第1入力端子、24は第2入力端子であり、ここに差動入力信号が供給される。14は第1出力端子、23は第2出力端子23であり、フィルタリング処理をされた信号が差動信号で出力される。
11は第1導体であり、第1インダクタ部112およびその両側に端部111、113を有する。21は第2導体であり、第2インダクタ部212およびその両側に端部211、213を有する。端部211、213はそれぞれ上記第1導体の端部111、113とスリット101、201を介して隣接している。また、第1導体の端部111、113とそれぞれスリット104、105を介して隣接する第1接地端子15が設けられている。同様に、第2導体の端部211、213にそれぞれスリット204、205を介して隣接する第2接地端子が設けられている。
また、本実施形態においては、第1導体の一方の端部111がスリット102を介して第1入力端子13と、第2導体の一方の端部211がスリット202を介して第2入力端子24と、それぞれ隣接している。また、第1導体の他方の端部112がスリット103を介して第1出力端子14と、第2導体の他方の端部213がスリット203を介して第2出力端子23と隣接している。
ここで、第1インダクタ部112と第2インダクタ部212は、非直線形状のストライプ導体線路であり、互いに同一の形状をなすものである。
特に本実施形態においては、第1インダクタ部112と第2インダクタ部212は、図1に示されるように、ミアンダ形状をなし、互いに平行に設けられている。
さらに、本実施形態においては、図2に示されるように、基板1の表面および上記導体群を誘電体2が被覆している。なお、誘電体2は導体間のスリット(105、204、等)にも入り込んでいるとする。
以上のように構成された本実施形態における単層薄膜コモンモードフィルタについて、以下その機能を説明する。
まず、第1インダクタ部112と第2インダクタ部212はそれぞれ自己誘導作用に基づくインダクタンスを生じる。第1および第2のインダクタ部は、それぞれ図3(a)に示されるようなミアンダ形状(もしくは櫛型形状)のストライプ導体線路よりなる。ミアンダ形状の導体線路のインダクタンスは折り返しの回数や折り返し区間の長さ、あるいは隣接するインダクタ部からの干渉などによっても変わるが、大まかには導体線路の全長にほぼ比例してインダクタンスは大きくなる。
後述の実施例では信号周波数を28GHz(波長10.7mm)とした場合の最適設計における、各インダクタ部の定数は0.64nHであり、これを実現するインダクタ部の導体線路長は2.12mmであった。これは上記信号波長の約20%に相当している。フィルタの仕様にもよるが、本実施形態のようなコモンモードフィルタの場合、各インダクタ部の線路長として信号波長の10%〜40%程度の長さの導線に相当するインダクタの確保が必要と考えられる。
さらに、同実施例においては9回折り返しのミアンダ形状が用いられ、線路長2.12mmのストライプ状導体を680μm×180μmの領域に収めている。これが、もし直線ストライプ形状のインダクタであれば、少なくとも縦寸は2.12mm以上必要である。横寸については、後述のように他方のインダクタ部と間隔を開けておく必要があり、縦寸を長くした分横寸を短くすることはできない。すなわちミアンダ形状を用いずに同程度のインダクタンスを確保しようとした場合、確実にフィルタ全体の面積は増えることになる。
なお、インダクタを構成するストライプ導体線路はミアンダ形状でなくても非直線形状であれば、ある程度のインダクタンス対面積比を稼ぐことができる。例えば、ミアンダ形状の代わりに鋸歯状もしくはサイン波状であってもよい。またミアンダ形状であっても、図1に示されるミアンダとは直角方向に、すなわちy軸方向に折り返すものであってもよい。さらに、ミアンダの折り返し部分は図1や図3(a)のように直角である必要は無く、円弧状に折り返すものであってもよい。
ミアンダの折り返し回数は、多ければ多いほどより長い導線を同一面積中に収納できる。すなわちインダクタンスが稼げる。しかしその反面、折り返しの間隔が狭くなり、寄生容量が無視できなくなる。後述するキャパシタ(20〜40fF)が幅5μmのスリットでできていることを考慮すると、折り返しの間隔はその10倍すなわち50μm以上あるのが望ましい。
上記ストライプ導体線路の幅d(図3(a))は抵抗成分が無視できる程度に太い方がよい。ただし、太すぎると隣接の折り返し部分との間の寄生容量が増す。後述の実施例ではd=20μmとしたが、要望仕様に応じて5μmから40μmの範囲で設計するのがよい。
第1インダクタ部112および第2インダクタ部212の間隔はできるだけ詰めたほうが全体のチップ面積は小さくなる。しかし、詰めすぎると両インダクタ部間の相互インダクタンスが無視できなくなる。ミアンダ型コイルでは相互インダクタンスはマイナス値となり、それぞれのインダクタンスを低下させるように作用する。チップ面積とインダクタンスとの兼ね合いで最適な間隔を決める必要がある。
上記相互インダクタンスの影響を極力低減するためには、同一形状の第1インダクタ部112および第2インダクタ部212を互いに平行に配置した方が良い。逆に、両者を互いに左右対称になるように設けた場合、近接した部分と離隔した部分が交互に生じ、近接した部分においては相互インダクタンスがより強く現れる。
以上のように、同一形状でしかも非直線形状の、特にミアンダ形状の2本のインダクタ部112、212を平行に設けることにより、単層構造で所望のインダクタンスをほぼ最小の面積で実現することができる。
スリット101、102、103、104、105、201、202、203、204、205はこれらを挟む導体とともにそれぞれキャパシタとして機能する。特にスリット102、103、202、203は容量Cのタイプのキャパシタ(図3(b))を、スリット104、105、204、205は容量Cのタイプのキャパシタ(図3(c))をそれぞれ構成する。スリット101、201は、容量がC/2になるように合わせ込まれている。
本実施形態においては上記スリットもインダクタ部のような櫛型形状を成すが、キャパシタの容量値はスリットの長さのみならず幅w(図3(b))によっても決定される。よってインダクタ部より設計の自由度は高い。例えば、後述の実施例(20〜40fF)ではw=5μmとしているが、デザインルールが幅wを狭めることを許せば、直線状であっても同一容量を得ることが可能である。
上記第1、第2のインダクタおよび周辺のキャパシタ群は、図4の等価回路で示されるコモンモードフィルタを構成する。同図中括弧内の数字は第1入力端子13、第2入力端子24、第1出力端子14、第2出力端子23、第1接地端子15、第2接地端子25に対応する回路図上のノードを表す。
さらにコモンモードの場合、図4の等価回路は図5のようにインダクタを略して書き換えることができる。
図4、5で示される等価回路の特性インピーダンスZ、ディファレンシャルモードの透過係数|S21D|、コモンモードの透過係数|S21C|は、以下式(1)〜(3)のように表すことができる。



以下、本実施形態におけるコモンモードフィルタの実施例について説明する。
本実施例では、27.9〜28.1GHz(SHF)帯用のコモンモードフィルタの設計例および電磁界解析結果について述べる。まず、設計指針として、特性インピーダンスZ、ディファレンシャルモードの透過係数|S21D|、コモンモードの透過係数|S21C|は下記仕様を満たすものとする。
=50±5Ω ・・・(4)
|S21D|>0.89( −1dB) ・・・(5)
|S21C|≦0.1 (−20dB) ・・・(6)
なお、式(5)、(6)の等価係数はそれぞれ電圧比で表されるものとする。
実用上は、ディファレンシャルモード減衰3dB以内、コモンモード減衰15dB以上を満たせばよいとされているが、配線の寄生容量や表皮効果などによる誤差が想定され、特に|S21D|は設計値よりも大きくなる傾向にあるため、敢えて厳しめの仕様を設定した。
本実施例においては、まずは適当なパラメータ(L、C、C)を代入して式(1)〜(3)を用いて特性インピーダンスZ0、透過係数|S21D|、透過係数|S21C|を計算し、式(4)〜(6)の条件をすべて満たす複数の候補を絞り込む。次に、これらの候補の中から、|S21D|が最小となるパラメータを選択する。次に選択されたパラメータを電磁界解析ソフトでモデリングし、それらを組み合わせて構造設計したフルデバイスの特性解析を行う。解析結果より透過係数が目標値を満たしているかどうかを判断し、満たしている場合はデバイスの設計を完了とし、満たしていない場合はデバイス構造やパラメータを修正し上記プロセスを繰り返す。なお、電磁界解析には高周波3次元電磁界解析ソフトウェアANSYS−HFSS(登録商標)を用いた。
その結果、上記(4)〜(6)式の条件を満足するパラメータは以下の値に収束した。
= 0.32nH(2L=0.64nH)
= 40fF
= 30fF
このときのコモンモードフィルタ上の部品の実寸は以下の通りであった。
x2L=180μm
y2L=680μm
xC= 80μm
yC=205μm
xC=145μm
yC= 65μm
なお、基板1と誘電体2の材質はポリイミドであり、導体群はすべて厚さ5μmの銅よりなる。また、各インダクタ部の線幅dは20μm、スリットの幅wは5μmとしている。
上記のように設計された本実施例のコモンモードフィルタの周波数特性を図6に示す。図6(b)はディファレンシャルモード透過係数|S21D|とコモンモードの透過係数|S21C|の周波数特性を、同図(a)はディファレンシャルモード透過係数|S21D|の周波数28GHz付近の周波数特性の拡大図を示す。
図6より明らかなように、周波数28GHz付近においては、ディファレンシャルモードの透過率は−2.1dBと目標仕様(−1dB)よりやや低い。この理由は、ひとつはストライプ導体線路などの導体(銅)の表皮効果による抵抗の増加による誤差と考えられる。しかし、−3dBを上回る結果が得られているので実用上問題ないと考えられる。ここで注目すべきは、コモンモード透過係数が−34dBと、目標(−20dB)よりもさらに14dBも下回る(コモンモードノイズが抑圧される)結果が得られたことである。
以上、本実施形態によれば、非直線形状、特にミアンダ形状のインダクタと導体間のスリットよりなるキャパシタを用いることで、小型でシンプルな構成であり、しかもSHF周波数帯でコモンモードノイズを著しく抑圧できる単層構造のコモンモードフィルタを実現することができる。
なお、本実施形態のコモンモードフィルタにおいては、導体群の材質は銅としたが、これに限らずとも、金やアルミといった他の金属、もしくは薄膜化できる導電性の材料であってもよい。また、基板1および誘電体2をポリアミドとしたが、SHF帯で使用可能なものであれば他の絶縁材料であってもよい。また、本実施形態ではコモンモードフィルタを独立したチップ部品としたが、他の電子回路(例えば高周波発振器、アンプ)等とともにシリコンウェハ上に実装してもよい。また、実施例では中心周波数を28GH付近と想定したが、寄生容量や表皮効果が顕在化しない範囲で全体のサイズを適当に縮小・拡大することにより、対象とする周波数を多少シフトさせることができる。
本発明は、SHF帯の周波数を用いる情報機器、特に5G規格の携帯電話やスマートフォンといったモバイル端末の高周波回路に用いることができる。また通信機器に限らず、レーダーなど高周波を扱う電子機器全般に応用することも可能である。
1 基板
2 誘電体
11 第1導体
112 第1インダクタ部
111、113 導体端部
21 第2導体
212 第2インダクタ部
211、213 導体端部
13 第1入力端子
24 第2入力端子
14 第1出力端子
23 第2出力端子
15 第1接地端子
25 第2接地端子
101〜105 スリット
201〜205 スリット

Claims (8)

  1. 基板および上記基板表面上に薄膜の導体群を有し、差動信号入力に対して差動信号を出力する単層薄膜コモンモードフィルタであって、
    上記導体群は少なくとも、
    上記差動信号の一方の伝送経路中に第1インダクタ部と、
    上記差動信号の他方の伝送経路中に第2インダクタ部と、を含み、
    上記第1インダクタ部と上記第2インダクタ部は互いに同一形状の非直線形状のストライプ導体線路よりなりしかも互いに平行に設けられたことを特徴とする単層薄膜コモンモードフィルタ。
  2. 上記第1インダクタ部と上記第2インダクタ部はミアンダ形状のストライプ導体線路よりなることを特徴とする請求項1記載の単層薄膜コモンモードフィルタ。
  3. 上記導体群はさらに、
    上記第1インダクタ部の入力側と出力側にそれぞれに設けられた端部と、
    上記第2インダクタ部の入力側と出力側にそれぞれに設けられた端部と、
    上記第1インダクタ部の入力側の端部とスリットを介して隣接する第1入力端子と、
    上記第2インダクタ部の入力側の端部とスリットを介して隣接する第2入力端子と、
    上記第1インダクタ部の出力側の端部とスリットを介して隣接する第1出力端子と、
    上記第2インダクタ部の出力側の端部とスリットを介して隣接する第2出力端子と、
    を含む請求項1乃至2記載の単層薄膜コモンモードフィルタ。
  4. 上記導体群はさらに、
    上記第1導体の両側の端部にそれぞれスリットを介して隣接する第1接地端子と、
    上記第2導体の両側の端部にそれぞれスリットを介して隣接する第2接地端子と、
    を含む請求項3記載の単層薄膜コモンモードフィルタ。
  5. 上記基板の表面および上記導体群は誘電体で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至4記載の単層薄膜コモンモードフィルタ。
  6. 上記第1および第2のインダクタンス部の線路長は信号波長の10%〜40%であることを特徴とする請求項1乃至5記載の単層薄膜コモンモードフィルタ。
  7. 上記ミアンダ形状のストライプ導体線路の幅は5μm〜40μmであることを特徴とする請求項2記載の単層薄膜コモンモードフィルタ。
  8. 上記ミアンダ形状のストライプ導体線路における折り返しの間隔は50μm以上であることを特徴とする請求項2記載の単層薄膜コモンモードフィルタ。

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