JP2018195557A - 非水二次電池用負極活物質、及び、非水二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電容量密度の低下を招くことがなく、信頼性の高い非水二次電池用負極活物質を提供する。【解決手段】負極活物質は、ホウ素を含有する黒鉛と、黒鉛の表面を覆う被覆層と、を備えている。X線光電子分光法によって当該負極活物質から得られたホウ素1sスペクトルの全ピーク面積をSBとし、X線光電子分光法によって当該負極活物質から得られた炭素1sスペクトルの全ピーク面積をSCとし、SB/(SB+SC)をRとした場合、Rは0を超え0.001以下である。【選択図】図1

Description

本開示は、非水二次電池、及びこれに用いられる負極活物質に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水二次電池の負極材料として、ホウ素を含有した炭素材料が検討されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
特開平7−73898号公報 特開平9−63585号公報
本開示の一実施形態は、放電容量密度の低下を招くことがなく、信頼性の高い負極活物質を提供する。
本開示の一実施形態に係る非水二次電池用負極活物質は、ホウ素を含有する黒鉛と、前記黒鉛の表面を覆う被覆層と、を備えている。前記被覆層は炭素を含有し且つホウ素を含有しない。X線光電子分光法によって当該負極活物質から得られたホウ素1sスペクトルの全ピーク面積をSとし、X線光電子分光法によって当該負極活物質から得られた炭素1sスペクトルの全ピーク面積をSとし、S/(S+S)をRとした場合、Rは0を超え0.001以下である。
本開示の包括的または具体的な実施形態は、活物質、電池、デバイス、方法、またはこれらの任意の組み合わせによって実現されてもよい。
本開示の一実施形態に係る非水二次電池用負極活物質によれば、放電容量密度の低下を招くことがなく、信頼性の高い非水二次電池用負極活物質を提供することができる。
本開示の一実施形態に係る非水二次電池の構造を模式的に示す一部を切り欠いた平面図である。 図1に示す非水二次電池のX−X’線における断面図である。 性能評価用負極の作製方法を説明する図である。 性能評価用負極の作製方法を説明する図である。 性能評価用負極の作製方法を説明する図である。 X線光電子分光法によって、実施例1の負極活物質から得られたスペクトルを示す図である。
黒鉛を負極に用いるリチウムイオン二次電池は、黒鉛骨格内に多くのリチウムを吸蔵し、可逆的に放出することができるため、高い放電容量密度を実現可能である。しかしながら、黒鉛は、電解液との副反応を起こしやすいという問題があった。
以上のように、黒鉛を負極に用いるリチウムイオン二次電池においては、副反応の抑制と、高い放電容量密度とを両立させることが困難であった。そこで、発明者らは黒鉛と電解液との副反応を抑制し、かつ高い放電容量密度を実現すべく鋭意検討し、本開示の非水二次電池用負極活物質に想到した。
以下において、本開示の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本開示の実施形態に係る非水二次電池用負極活物質は、ホウ素を含有する黒鉛を含み、当該黒鉛の表面がホウ素を含まない被覆層で覆われている。この構成により、放電容量密度が高く、信頼性の高い非水二次電池用負極を実現できる。この非水二次電池用負極活物質によって、高い放電容量密度および副反応の抑制を両立できる理由は必ずしも明らかではないが、以下に、発明者の見解を述べる。しかしながら、本開示は下記見解により制限されるものではない。なお、以下では、負極からリチウムイオンが放出される過程を放電、負極へとリチウムイオンが吸蔵される過程を充電と定義する。
黒鉛は、電解液との副反応を起こしやすい。この理由として、黒鉛の充電電位および放電電位が低いため、還元力が強く、負極表面の非水電解液を還元分解する副反応を起こしやすいことが考えられる。
これに対し、本開示の実施形態では、黒鉛骨格中にホウ素原子を有することにより、黒鉛の充電電位および放電電位が上昇している。この結果、電解液との副反応の駆動力たる負極の還元力が低減されるため、電解液との副反応が抑制され、信頼性が向上する。
一方、ホウ素を含有しない黒鉛は、その骨格中に多数のリチウムイオンを吸蔵し、更にそれらのリチウムイオンを可逆的に放出することができるため、高い放電容量密度を有する。ホウ素を含有する黒鉛も、ホウ素を含有しない黒鉛と同様に、多数のリチウムイオンを吸蔵することができる。しかしながら、ホウ素を含有する黒鉛では、吸蔵するリチウムイオンの一部が、黒鉛表面に存在するホウ素あるいはホウ素に起因する欠陥によりトラップ(固定化)され得る。トラップされたリチウムイオンは可逆的に放出されることができず、充放電に寄与しないため、リチウムイオンをトラップするホウ素サイトあるいはホウ素に起因する欠陥サイトの数に相当する分だけ、放電容量が低下すると考えられる。
これに対し、本開示の実施形態では、黒鉛の表面がホウ素を含まない炭素で被覆されているため、ホウ素によるリチウムイオンのトラップが抑制される。これにより放電容量の低下が抑制され、ホウ素を含有しない黒鉛に近い放電容量密度を有する。被覆層は、例えば、非晶質の炭素である。
被覆層の厚さは、30nm以上であることが望ましい。これにより、ホウ素によるリチウムイオンのトラップが抑制され、高い放電容量密度を得ることができる。一方で、被覆層の厚みを1μm以下とすることで、リチウムイオンの黒鉛内への移動及び吸蔵が被覆層により妨げられるのを抑制し、高い放電容量密度が得られる。より望ましくは、被覆層の厚さは100nm以下であるとよい。なお、被覆層の厚さについては、例えばArイオン銃等を用いて被覆層をエッチングしながらX線光電子分光を行い、ホウ素1sスペクトルが検出され始める深さを調べることにより、測定することができる。
以上の構成により、放電容量密度が高く、且つ信頼性が向上した黒鉛を含む負極活物質を実現できる。
さらに、黒鉛を覆う被覆層の厚み及び被覆率については、X線光電子分光法によって負極活物質から得られたホウ素1sスペクトルの全ピーク面積をSとし、X線光電子分光法によって負極活物質から得られた炭素1sスペクトルの全ピーク面積をSとし、S/(S+S)をRとした場合、Rは0を超え0.001以下となるような厚み及び被覆率とすることが望ましい。
上記R=S/(S+S)が0.001以下であるとは、被覆層の表面近傍の被測定領域内に存在するホウ素の炭素に対する割合が一定値(ホウ素と炭素間のスペクトル強度の違いを考慮しないとすれば、0.1%)以下であることを意味する。上述の通り、被覆層にホウ素は含まれていないので、ホウ素のスペクトルが測定されるとすれば、それは全て、被覆層よりも深い位置に存在する黒鉛内部のホウ素を原因とするものである。したがって、被覆層が厚く、また被覆率が大きいほど、被測定領域に含まれるホウ素は減少するため、Rは低下する。Rが0.001以下であれば、ホウ素を含有する黒鉛の表面が、ホウ素を含まない被覆層で覆われている、ということができる。Rが0.001以下となる程度まで、即ち、実質的にホウ素が検出されないといえる程度にまで被覆層の厚みを厚くし、また全面に被覆することで、高い放電容量密度を得ることができる。
X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)は、試料表面にX線を照射し、試料表面から放出される光電子の運動エネルギーを計測することで、試料表面を構成する元素の組成、化学結合状態を分析する手法である。ピーク面積S及びSは、以下の条件で測定し、算出することができる。エネルギー校正には黒鉛のC1sスペクトル(248.5eV)を用いることができる。
測定装置: アルバック・ファイ社製PHI5000VersaProbe
使用X線源: 単色Mg−Kα線、200nmΦ、45W、17kV
分析領域: 約200μmΦ
ホウ素1sスペクトルのピーク面積Sは、束縛エネルギーが184.0eV以上196.5eV以下の範囲に現れるスペクトルの全ピーク面積として算出することができる。同様に、炭素1sスペクトルのピーク面積Sは、束縛エネルギーが281.0eV以上293.0eV以下の範囲に現れるスペクトルの全ピーク面積として算出することができる。
図4は、X線光電子分光法によって、後述する実施例1の負極活物質から得られたスペクトルを示している。図4に示すように、負極活物質のスペクトルは、炭素1sスペクトル(図中のC1s)を主ピークとし、ホウ素1sスペクトル(図中のB1s)、窒素1sスペクトル(図中のN1s)などを含み得る。このスペクトルから、自動積分法により、ホウ素1sスペクトルの全ピーク面積Sおよび炭素1sスペクトルの全ピーク面積Sをそれぞれ算出することができる。
また、黒鉛中のホウ素の含有量は、0.01質量%以上が望ましく、また、5質量%以下が望ましい。黒鉛中に含まれるホウ素の割合を5質量%以下にとどめることで、リチウムイオンの吸蔵および放出に関与しない副生成物の生成を抑制し、高い放電容量密度を得ることができる。また、黒鉛中に含まれるホウ素の割合を0.01質量%以上とすることで、十分な副反応抑制効果が得られる。信頼性と放電容量密度を考慮して、黒鉛中のホウ素の含有量は、0.01質量%以上5質量%以下であることが推奨される。より望ましくは、ホウ素の含有量は0.1質量%以上1質量%以下、さらに望ましくは、0.1質量%以上0.5質量%以下であるとよい。
負極活物質の合成方法としては、例えば、ホウ素を含有する黒鉛を合成後、CVD(Chemical Vapor Deposition: 化学気相成長)法やスパッタリング、ALD(Atomic Layer Deposition: 原子層堆積)法等の気相成長法、ゾルゲル法、水熱反応、ボールミル等によって、ホウ素を含まない炭素で黒鉛表面を被覆することができる。
ホウ素を含有する黒鉛の合成方法については、例えば、原料である炭素前駆体材料に、ホウ素原料を添加および混合し、2100℃〜3000℃程度で、不活性ガス雰囲気で焼成することにより、黒鉛化およびホウ素の炭素骨格への固溶を進行させる。焼成雰囲気としては、アルゴン等の不活性ガスが望ましい。
炭素前駆体材料としては、石油コークス又は石炭コークスなどのソフトカーボンを用いることができる。ソフトカーボンの形状は、シート状、繊維状、粒子状などであってもよい。焼成後の加工を考慮すると、数μm〜数十μmの大きさの粒子状または短繊維状の合成樹脂であることが望ましい。また、合成樹脂等の有機材料を800〜1000℃程度の熱処理によって炭素以外の元素を蒸発させることによっても、原料となる炭素を得ることができる。
ホウ素原料としては、ホウ素単体、ホウ酸、酸化ホウ素、窒化ホウ素、あるいは、ホウ酸二ホウ化アルミニウムや二ホウ化マグネシウムなどの二ホウ化物等を用いることができる。上記炭素とホウ素原料との割合は、炭素に対するホウ素の質量比で0.01〜5%含まれていてもよい。なお、高温焼成時に、一部のホウ素は炭素材料中に取り込まれずに飛散することがあるので、焼成の前後で炭素材料中に含まれるホウ素量が減少することがある。また、ホウ素源を添加するタイミングは、炭素の黒鉛化処理後であってもよい。
また、ホウ素原料を添加するタイミングは、炭素前駆体材料の黒鉛化処理後であってもよい。すなわち、黒鉛化後の材料に対してホウ素原料を添加し、2100℃〜3000℃程度で再度焼成し、その後、ホウ素を含まない炭素を被覆させることによっても、本実施形態の負極活物質を得ることができる。
なお、黒鉛とは、炭素原子からなる六角網目層が規則的に積み重なった構造を有する領域を含む炭素材料の総称である。黒鉛の例には、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン粒子などが含まれる。黒鉛型結晶構造の発達の程度を示す指標として、X線回折法にて測定される(002)面の面間隔(すなわち、炭素層と炭素層の面間隔)d002が利用される。一般に、d002が3.4Å以下で、結晶子サイズが100Å以上の高結晶炭素が黒鉛とされる。結晶子サイズは、例えば、シェラー(Scherrer)法により測定することができる。
黒鉛表面への被覆層の被覆方法については、先ず、黒鉛粒子をカーボンブラック、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素などの非晶質炭素と混合し、混合物にせん断力を付与する方法が挙げられる。混合物にせん断力を付与する方法として、せん断ミキサー、ボールミル、ビーズミルなどを用いることができる。
また、黒鉛表面の被覆層としての非晶質炭素の被覆方法については、黒鉛粒子を非晶質炭素の原料と混合し、非晶質炭素の原料で黒鉛粒子表面の少なくとも一部を被覆した後、得られた混合物を焼成する方法が挙げられる。焼成により原料が炭化し、非晶質炭素が生成する。焼成温度は、黒鉛化が進行しない温度(800〜2000℃)で行われる。焼成雰囲気は、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気が望ましい。非晶質炭素の原料としてピッチ、タールなどの粘性を有する液体を用いる場合、黒鉛粒子表面の少なくとも一部を被覆する作業には流動床を用いることが望ましい。ピッチ、タールなどの粘性を有する液体とカーボンブラックとを併用してもよい。例えば、粘性を有する液体とカーボンブラックとの混合物を非晶質炭素の原料として用いてもよい。非晶質炭素の原料として有機高分子を用いてもよい。この場合、黒鉛粒子に高分子溶液を噴霧し、乾燥させることにより、黒鉛粒子表面の少なくとも一部を有機高分子で被覆してもよい。
あるいは、黒鉛粒子を炭化水素系ガス雰囲気中で加熱し、炭化水素系ガスの熱分解により生じる非晶質炭素を黒鉛表面に堆積させてもよい。炭化水素系ガスには、メタン、エタン、エチレン、プロピレン、アセチレンなどを用いることができる。
次に、上記負極活物質を用いた非水二次電池の一例について説明する。
非水二次電池は、正極と、負極と、非水電解液と、を備える。
正極は、アルカリ金属イオンを吸蔵および放出可能な正極活物質を含む。負極は、負極活物質を含む。負極活物質は、ホウ素を含有する上述の黒鉛を含む。非水電解液には、アルカリ金属イオンとアニオンからなるアルカリ金属塩が、非水溶媒に溶解した状態で含まれている。アルカリ金属イオンは、例えばリチウムイオンである。アルカリ金属イオンは、ナトリウムイオンなど、他のアルカリ金属のイオンであってもよい。
この非水二次電池の構成によれば、放電容量密度が高く、且つ、信頼性の高い電池を実現することができる。
以下、図1及び図2を参照しながら、本開示の一実施形態に係る非水二次電池について、リチウムイオン二次電池を例にとって説明する。図1は、非水二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)の構造の一例を模式的に示す一部を切り欠いた平面図であり、図2は、図1のX−X’線における断面図である。
図1および図2に示されるように、リチウムイオン二次電池100は、シート型の電池であり、極板群4、及び、極板群4を収容する外装ケース5を備えている。
極板群4は、正極10、セパレータ30、及び、負極20をこの順で積層した構造である。正極10と負極20とはセパレータ30を介して対向している。これにより、極板群4が形成されている。極板群4には、非水電解液(図示せず)が含浸されている。
正極10は、正極合剤層1a、及び、正極集電体1bを含む。正極合剤層1aは、正極集電体1b上のセパレータ30に近い側に、形成されている。
負極20は、負極合剤層2a、及び、負極集電体2bを含む。負極合剤層2aは、負極集電体2b上のセパレータ30に近い側に、形成されている。
正極集電体1bには正極タブリード1cが接続され、負極集電体2bには負極タブリード2cが接続されている。正極タブリード1c及び負極タブリード2cは、それぞれ、外装ケース5の外まで延伸している。
正極タブリード1cと外装ケース5との間、及び、負極タブリード2cと外装ケース5との間は、絶縁タブフィルム6によって絶縁されている。
正極合剤層1aは、アルカリ金属イオンを吸蔵及び放出できる正極活物質を含む。正極合剤層1aは、必要に応じて、導電助剤、イオン伝導体及びバインダを含んでいてもよい。正極活物質、導電助剤、イオン伝導体及びバインダには、それぞれ、公知の材料を特に限定なく使用できる。
正極活物質としては、1又は複数のアルカリ金属イオンを吸蔵及び放出する材料であれば特に制限されず、アルカリ金属を含有した遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン材料、フッ素化ポリアニオン材料、遷移金属硫化物などが挙げられる。例えば、LiMe及びLi1+xMe(0<x≦1、0.95≦y<1.05、MeはCo、Ni、Mn、Fe、Cr、Cu、Mo、Ti、及びSnからなる群より選択される少なくとも1つを含む)等のリチウム含有遷移金属酸化物や、LiMePO及びLiMe(0<x≦1、0.95≦y<1.05、MeはCo、Ni、Mn、Fe、Cu、Moからなる群より選択される少なくとも1つを含む)等のリチウム含有ポリアニオン材料、NaMe(0<x≦1、0.95≦y<1.05、MeはCo、Ni、Mn、Fe、Cr、Cu、Mo、Ti、及びSnからなる群より選択される少なくとも1つを含む)等のナトリウム含有遷移金属酸化物などを用いることができる。
正極集電体1bとしては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金、などの金属材料で作られた多孔質又は無孔のシート又はフィルムを使用できる。アルミニウム及びその合金は、安価で薄膜化しやすいので、正極集電体1bの材料として望ましい。抵抗値の低減、触媒効果の付与、正極合剤層1aと正極集電体1bとの結合強化などの目的のため、正極集電体1bの表面にカーボンなどの炭素材料を塗布してもよい。
負極合剤層2aは、本実施形態のホウ素を含有する黒鉛材料と当該黒鉛材料の表面を覆う炭素被覆層とを負極活物質として含む。負極合剤層2aは、必要に応じて、アルカリ金属イオンを吸蔵及び放出できる他の負極活物質を更に含んでもよい。また、負極合剤層2aは、必要に応じて、導電助剤、イオン伝導体及びバインダを含んでいてもよい。活物質、導電助剤、イオン伝導体及びバインダには、それぞれ、公知の材料を特に限定なく使用できる。
本実施形態の負極活物質と一緒に使用することのできる負極活物質の例としては、例えば、アルカリ金属イオンを吸蔵及び放出する材料、又はアルカリ金属であってもよい。アルカリ金属イオンを吸蔵及び放出する材料としては、アルカリ金属合金、炭素、遷移金属酸化物、シリコン材料などが挙げられる。具体的には、リチウム二次電池の負極材料としては、Zn、Sn、Si等の金属とリチウムとの合金や、人造黒鉛、天然黒鉛、難黒鉛化非晶質炭素等の炭素、LiTi12、TiO、V、等の遷移金属酸化物、SiO(0<x≦2)、リチウム金属などを用いることができる。
導電助剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラックなどの炭素材料、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子等を用いることができる。イオン伝導体としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸メチルなどのゲル電解質、ポリエチレンオキシド、リン酸リチウム、リン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)などの固体電解質などを用いることができる。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミドなどを用いることができる。
負極集電体2bとしては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金などの金属材料で作られた多孔質又は無孔のシート又はフィルムを使用できる。銅及びその合金は、負極の動作電位においても安定であり、比較的安価であるので、負極集電体2bの材料として望ましい。シート又はフィルムとして、金属箔、金属メッシュなどが用いられる。抵抗値の低減、触媒効果の付与、負極合剤層2aと負極集電体2bとの結合強化などの目的のため、負極集電体2bの表面にカーボンなどの炭素材料を塗布してもよい。
セパレータ30には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ガラス、セルロース、セラミックスなどで作られた多孔質膜が用いられる。セパレータ30の細孔の内部には非水電解液が含浸される。
非水電解液としては、非水溶媒にアルカリ金属塩を溶解させたものが用いられる。非水溶媒には、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、鎖状ニトリル、環状エーテル、鎖状エーテル等の公知の溶媒を用いることができる。Li塩の溶解性や粘度の観点から、環状炭酸エステル、及び鎖状炭酸エステルを含むことが望ましい。
環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、及びこれらの誘導体等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。電解液のイオン導電率の観点から、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートからなる群の少なくとも一つを用いることが望ましい。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
環状カルボン酸エステルとしては、γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
鎖状カルボン酸エステルとしては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
鎖状ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、イソブチロニトリル、ピバロニトリル等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
環状エーテルとしては1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
鎖状エーテルとしては、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、これらの溶媒は、適宜水素原子の一部がフッ素に置換されたフッ素化溶媒であっても良い。水素原子の一部がフッ素に置換されることによって、緻密な被膜が負極表面に形成され得る。この緻密な被膜を負極表面に形成することで、連続的な電解液の分解を抑制し、副反応が抑制された信頼性の高い二次電池を実現できる。
非水溶媒に溶解させるアルカリ金属塩としては、LiClO、LiBF、LiPF、LiN(SOF)、LiN(SOCF、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)等のリチウム塩、NaClO、NaBF、NaPF、NaN(SOF)、NaN(SOCF等のナトリウム塩、等を用いることができる。特に、非水二次電池の総合特性の観点から、リチウム塩を用いることが望ましい。また、イオン伝導率等の観点から、LiBF、LiPF、LiN(SOF)より選ばれる少なくとも1種を用いることが特に望ましい。
本実施形態における非水電解液中のアルカリ金属塩のモル含有量については、特に制限はないが、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることが望ましい。アルカリ金属塩と溶媒のモル比が1:1〜1:4のような高塩濃度電解液も、通常の電解液と同様に充放電可能であることが報告されており、このような高濃度電解液であっても構わない。
また、二次電池の型(すなわち、形状)には、図1及び図2に示したシート型の他、コイン型、ボタン型、積層型、円筒型、偏平型、角型などがあるが、本実施形態の非水二次電池は、どのような形状の非水二次電池にも適用できる。また、本実施形態の二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用電力貯蔵装置、産業用電力貯蔵装置、自動二輪車、EV、PHEVなどに使用できるが、その用途がこれらに限定されるものではない。
次に、本開示の実施形態について実施例に基づいて更に説明する。
《実施例1》
(1)負極活物質の合成
平均粒径が12μmの石油コークス粉末に、ホウ酸(CAS番号:10043−35−3)を、石油コークス粉末に対して10質量%(石油コークス粉末に対するホウ素の割合が1.7質量%)の比率で添加し、メノウ乳鉢を用いて粉砕混合した。その後、Ar雰囲気下の管環状炉(Arガス流量1L/min)で、室温から毎分10℃の割合で昇温して2800℃に到達するまで加熱し、2800℃で1時間保持した。その後、加熱を停止し、自然冷却後に炉から炭素材料を取り出した。得られた黒鉛材料の平均粒子径(メジアン径)をレーザー回折法で測定したところ、20μmであった。
さらに、得られたホウ素を含む黒鉛材料に対して、回転式CVD法により炭素を被覆した。炭素源ガスとしてアセチレン、キャリアガスとしてArを用い、800℃で2時間半被覆した後、1000℃で1時間の熱処理を行った。以上により、非水二次電池用負極活物質を得た。
炭素被覆の前後の重量から、被覆層の被覆率を算出したところ、被覆層の割合は0.6質量%であった。
また、X線光電子分光法(XPS)にて、負極活物質表面の分析を行ったところ、ホウ素1sスペクトルは検出できなかった。図4に、分析の結果得られたXPSスペクトルを示す。
具体的には、X線光電子分光法によって負極活物質から得られたホウ素1sスペクトルの全ピーク面積をSとし、X線光電子分光法によって負極活物質から得られた炭素1sスペクトルの全ピーク面積をSとし、S/(S+S)をRとした場合、Rは0.001以下と評価された。
また、Arイオン銃(2kV、7mA)により負極活物質粒子の表面をエッチングしながら、XPS測定を行ったところ、ホウ素1sスペクトルは最表面からおよそ30nmの深さから増加した。このことから、被覆層の厚みはおよそ30nmと考えられる。
また、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法にて、得られた負極活物質中のホウ素含有量を定量したところ、0.34質量%であった。
(2)試験電極の作製
上記の合成方法により得られた非水二次電池用負極活物質、カルボキシメチルセルロース(CAS番号:9000−11−7)、及び、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(CAS番号:9003−55−8)を、重量比が97:2:1となるよう秤量し、純水中に分散させスラリーを調製した。その後、塗工機を用いて、スラリーを、厚み10μmの銅箔で構成した負極集電体2b上に塗工し、塗膜を圧延機で圧延し、極板を得た。
その後、圧延後の極板を図3Aの形に切り取り、性能評価用の負極20を得た。図3Aにおいて、60mm×40mmの領域が負極として機能させる領域であり、10mm×10mmの突起部分はタブリード2cとの接続領域である。その後さらに、図3Bに示すように、上記接続領域上に形成された負極合剤層2aを削り取り、負極集電体(銅箔)2bを露出させた。その後、図3Cに示すように、負極集電体(銅箔)2bの露出部分を負極タブリード2cと接続し、負極タブリード2cの外周の所定の領域を絶縁タブフィルム6で覆った。
(3)非水電解液の調合
フルオロエチレンカーボネート(CAS番号:114435−02−8)とジメチルカーボネート(CAS番号:616−38−6)との混合溶媒(体積比1:4)に1.2mol/LのLiPF(CAS番号:21324−40−3)を溶解し、電解液とした。電解液の調合は、露点−60度以下、酸素値1ppm以下のAr雰囲気のグローブボックス内で行った。
(4)評価用セルの作製
上記の性能評価用負極を用いて、リチウム金属を対極とする負極評価用のハーフセルを作製した。評価用セルの作製は、露点−60度以下、酸素値1ppm以下のAr雰囲気のグローブボックス内で行った。
負極タブリード2cを取り付けた上記性能評価用負極と、ニッケル製タブリードをとりつけたLi金属対極とを、ポリプロピレン製のセパレータ30(厚み30μm)を介して電極同士が丁度重なるように対向させ、極板群4を得た。
次に、120×120mmの長方形に切り取ったAlラミネートフィルム(厚み100μm)を半分に折りたたみ、120mmの長辺側の端部を230℃で熱封止し、120×60mmの筒状にした。その後、作製した極板群4を、60mmの短辺側の一方から筒の中に入れ、Alラミネートフィルムの端面とタブリード1c、2cの熱溶着樹脂の位置を合わせて230℃で熱封止した。次に、Alラミネートフィルムの熱封止されていない短辺側から非水電解液を0.3cc注液し、注液後、0.06MPaの減圧下で15分間静置し、負極合剤層2a内部に電解液を含浸させた。最後に、注液した側のAlラミネートフィルムの端面を230℃で熱封止した。
(5)電池の評価
上記に従って作製した評価用セルを、80×80cmのステンレス鋼(厚み2mm)で極板群4をラミネートの上から挟むようにして、クランプで0.2MPaで加圧固定した。なお、評価はすべて25℃の恒温槽中で行った。
負極活物質1グラム当り20mAの電流密度となるように、充放電で流れる電流を制限しながら、充放電を4サイクル繰り返した。充電は負極電位0.0V(Li対極基準)で、放電は負極電位1.0V(Li対極基準)で、夫々終止させ、充電と放電の間は20分間開回路にて静置した。
次に、同様の条件で、もう1サイクル充電・放電を行い、この5サイクル目の負極活物質重量当りの放電容量と不可逆容量を測定した。
《実施例2》
ホウ素を含む黒鉛材料に炭素を被覆する際に、回転式CVD法による被覆時間を5時間としたことを除いて、実施例1と同様の方法で非水二次電池用負極活物質を合成した。
炭素被覆の前後の重量から、被覆層の被覆率を算出したところ、被覆層の割合は1.2質量%であった。
X線光電子分光法にて、負極活物質表面の分析を行ったところ、ホウ素1sスペクトルは検出できなかった。具体的には、実施例1で定義したRを求めたところ、Rは0.001以下と評価された。
また、Arイオン銃(2kV、7mA)により負極活物質粒子の表面をエッチングしながら、XPS測定を行ったところ、ホウ素1sスペクトルは最表面からおよそ55nmの深さから増加した。このことから、被覆層の厚みはおよそ55nmと考えられる。
また、ICP発光分光分析法にて、得られた負極活物質中のホウ素含有量を定量したところ、0.32質量%であった。
《実施例3》
ホウ酸の添加量を石油コークス粉末に対して5質量%の比率としたことを除いて、実施例1と同様の方法で非水二次電池用負極活物質を合成した。
得られた負極活物質の平均粒子径(メジアン径)をレーザー回折法で測定したところ、20μmであった。
炭素被覆の前後の重量から、被覆層の被覆率を算出したところ、被覆層の割合は1.2質量%であった。
X線光電子分光法にて、負極活物質表面の分析を行ったところ、ホウ素1sスペクトルは検出できなかった。具体的には、実施例1で定義したRを求めたところ、Rは0.001以下と評価された。
また、Arイオン銃(2kV、7mA)により負極活物質粒子の表面をエッチングしながら、XPS測定を行ったところ、ホウ素1sスペクトルは最表面からおよそ30nmの深さから増加した。このことから、被覆層の厚みはおよそ30nmと考えられる。
また、ICP発光分光分析法にて、得られた負極活物質中のホウ素含有量を定量したところ、0.19質量%であった。
《実施例4》
ホウ酸の添加量を石油コークス粉末に対して20質量%の比率としたことを除いて、実施例1と同様の方法で非水二次電池用負極活物質を合成した。
得られた負極活物質の平均粒子径(メジアン径)をレーザー回折法で測定したところ、20μmであった。
炭素被覆の前後の重量から、被覆層の被覆率を算出したところ、被覆層の割合は1.2質量%であった。
X線光電子分光法にて、負極活物質表面の分析を行ったところ、ホウ素1sスペクトルは検出できなかった。具体的には、実施例1で定義したRを求めたところ、Rは0.001以下と評価された。
また、Arイオン銃(2kV、7mA)により負極活物質粒子の表面をエッチングしながら、XPS測定を行ったところ、ホウ素1sスペクトルは最表面からおよそ30nmの深さから増加した。このことから、被覆層の厚みはおよそ30nmと考えられる。
また、ICP発光分光分析法にて、得られた負極活物質中のホウ素含有量を定量したところ、0.42質量%であった。
《比較例1》
CVD法による炭素被覆を行わないことを除いて、実施例1と同様の方法で非水二次電池用負極活物質を合成した。
X線光電子分光法にて、負極活物質表面の分析を行ったところ、ホウ素1sスペクトルを検出した。実施例1で定義したRを求めたところ、Rは0.052と算出された。
また、ICP発光分光分析法にて、得られた負極活物質中のホウ素含有量を定量したところ、0.35質量%であった。
《比較例2》
黒鉛の合成時にホウ酸を添加しないことを除いて、実施例1と同様の方法で非水二次電池用負極活物質を合成した。
X線光電子分光法にて、負極活物質表面の分析を行ったところ、ホウ素1sスペクトルは検出できなかった。具体的には、実施例1で定義したRを求めたところ、Rは0.001以下と評価された。
ICP発光分光分析法にて、得られた負極活物質中のホウ素含有量を定量したところ、0.01質量%以下であると評価された。
《比較例3》
CVD法による炭素被覆を行わないこと、及び、黒鉛の合成時にホウ酸を添加しないことを除いて、実施例1と同様の方法で非水二次電池用負極活物質を合成した。
X線光電子分光法にて、負極活物質表面の分析を行ったところ、ホウ素1sスペクトルは検出できなかった。具体的には、実施例1で定義したRを求めたところ、Rは0.001以下と評価された。
ICP発光分光分析法にて、得られた負極活物質中のホウ素含有量を定量したところ、0.01質量%以下であると評価された。
《比較例4》
ホウ酸の添加量を石油コークス粉末に対して20質量%の比率としたことを除いて、比較例1と同様の方法で非水二次電池用負極活物質を合成した。
得られた負極活物質の平均粒子径(メジアン径)をレーザー回折法で測定したところ、20μmであった。
X線光電子分光法にて、負極活物質表面の分析を行った。実施例1で定義したRを求めたところ、Rは0.055であった。
また、ICP発光分光分析法にて、得られた負極活物質中のホウ素含有量を定量したところ、0.45質量%であった。
《比較例5》
比較例1と同様の方法で合成した負極活物質を、再度、Ar雰囲気下の管環状炉(Arガス流量1L/min)で、室温から毎分10℃の割合で昇温して2800℃に到達するまで加熱し、2800℃で1時間保持した。その後、加熱を停止し、自然冷却後に炉から炭素材料を取り出した。得られた負極活物質の平均粒子径(メジアン径)をレーザー回折法で測定したところ、20μmであった。
X線光電子分光法にて、負極活物質表面の分析を行った。実施例1で定義したRを求めたところ、Rは0.004であった。
また、ICP発光分光分析法にて、得られた負極活物質中のホウ素含有量を定量したところ、0.30質量%であった。
以上の負極活物質について、全て実施例1の電池と同様の手順で極板および評価用セルを作製し、同様に放電容量と不可逆容量を評価した。結果を表1に示す。
表1に、実施例1〜4および比較例1〜5の負極活物質の放電容量と不可逆容量の評価結果を示す。また、表1には、ホウ素含有量、炭素被覆層厚み、および、R(=S/(S+S))の値も示されている。
比較例2と比較例3の負極活物質を比較する。黒鉛にホウ素を含有していない場合には、黒鉛の表面を炭素被覆層で覆うか否かで、放電容量および不可逆容量に差は見られなかった。
一方、比較例1、4、5の負極活物質を比較例3と比較すると、ホウ素を含有する黒鉛は、ホウ素を含有していない黒鉛と比べて、不可逆容量が低減されているが放電容量が低下している。
しかしながら、ホウ素を含有した黒鉛の表面を炭素被覆層で覆った実施例1〜4の負極活物質は、ホウ素の添加による放電容量の低下が抑えられ、かつ不可逆容量が低減されている。実施例1〜4のいずれも、S/(S+S)の値が0.001以下であった。
実施例1と比較例1とを比較すると、同程度のホウ素を含有している黒鉛では、黒鉛の表面を炭素被覆層で覆った実施例1は比較例1に比べて放電容量が高い。さらに、実施例1と実施例2を比較すると、被覆層の厚さを55nm程度に厚くすることにより、放電容量の一層の向上が見られる。実施例1〜4では、炭素被覆層の厚みは30nm以上55nm以下であった。
以上より、ホウ素を含有する黒鉛に、ホウ素を含まない炭素材料を被覆した負極活物質を用いることで、放電容量の低下を抑えながら不可逆容量を低減できる。この結果、高い放電容量を得つつ、不可逆容量を低減することで高信頼性を実現することができる。
Figure 2018195557
本開示に係る非水二次電池用負極活物質は、非水二次電池に利用可能であり、特に、リチウムイオン二次電池等の非水二次電池の負極材料として有用である。
1a:正極合剤層、1b:正極集電体、1c:正極タブリード、2a:負極合剤層、2b:負極集電体、2c:負極タブリード、4:極板群、5:外装ケース、6:絶縁タブフィルム、10:正極、20:負極、30:セパレータ、100:リチウムイオン二次電池

Claims (6)

  1. ホウ素を含有する黒鉛と、
    前記黒鉛の表面を覆う被覆層と、を備えた負極活物質であって、
    前記被覆層は炭素を含有し、
    X線光電子分光法によって当該負極活物質から得られたホウ素1sスペクトルの全ピーク面積をSとし、
    X線光電子分光法によって当該負極活物質から得られた炭素1sスペクトルの全ピーク面積をSとし、
    /(S+S)をRとした場合、Rは0を超え0.001以下である、非水二次電池用負極活物質。
  2. 前記被覆層の厚みが30nm以上である、請求項1に記載の非水二次電池用負極活物質。
  3. 前記黒鉛中のホウ素の含有量が0.01質量%以上5質量%以下である、請求項1又は2に記載の非水二次電池用負極活物質。
  4. 前記被覆層が非晶質炭素を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の非水二次電池用負極活物質。
  5. アルカリ金属イオンを吸蔵および放出可能な正極活物質を含む正極と、
    負極活物質を含む負極と、
    非水電解液と、を含む非水二次電池であって、
    前記負極活物質が、請求項1〜4の何れか一項に記載の非水二次電池用負極活物質を含む、非水二次電池。
  6. 前記アルカリ金属イオンがリチウムイオンである、請求項5に記載の非水二次電池。


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