JP2018195434A - 非水二次電池 - Google Patents

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昌弘 高畑
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貴之 中堤
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Nobuhiko Hojo
伸彦 北條
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Abstract

【課題】信頼性の高い非水二次電池を提供する。【解決手段】アルカリ金属イオンを吸蔵および放出可能な正極活物質を含む正極10と、アルカリ金属イオンを吸蔵および放出可能な負極活物質を含む負極と、アルカリ金属塩が非水溶媒に溶解した非水電解液と、を含む非水二次電池であって、負極活物質が、ホウ素を含有する黒鉛を含み、又はホウ素が少なくとも前記黒鉛の表面に含まれており、非水溶媒が、少なくとも1以上のFを有する鎖状カルボン酸エステルを含む非水二次電池。前記鎖状カルボン酸エステルが式Q1−C(=O)−O−Qで表され、Q1及びQ2が炭化水素であり、Q1及びQ2のHの少なくとも一つがFに置換されていることが好ましく、より好ましくはQ1とQ2の内の一方がCF3−CH2で、他方がCH3である、非水二次電池。【選択図】図1

Description

本発明は、非水二次電池に関する。
リチウム二次電池に代表される非水二次電池の負極材料として、ホウ素を含有した炭素材料が検討されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
一方、リチウム二次電池に代表される非水二次電池の非水溶媒として、フッ素基を含む鎖状カルボン酸エステルが検討されている。例えば、特許文献3には、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルCFCHCOOCH、及び、酢酸2,2,2−トリフルオロエチルCHCOOCHCFに代表されるフッ素化鎖状カルボン酸エステルを含むリチウムイオン二次電池用の非水電解液が開示されている。
特開平7−73898号公報 特開平9−63585号公報 特開2009−289414号公報
黒鉛を負極に用いるリチウムイオン二次電池は、黒鉛骨格内に多くのリチウムを吸蔵し、可逆的に放出することができるため、高い放電容量密度を実現可能である。しかしながら、黒鉛は、電解液との副反応を起こしやすいという問題があった。
一方、特許文献3のフッ素化鎖状カルボン酸エステルを含む非水電解液は、耐酸化性が向上するため、正極と電解液との反応が抑制されるものの、電解液の耐還元性が低下し、負極と電解液との反応性が増大してしまう。このため、特許文献3では、フルオロエチレンカーボネートなどの被膜形成化合物を、フッ素化鎖状カルボン酸エステルとともに非水電解質に含有させ、負極に適切な被膜を形成することで負極と電解液との反応を抑制することが提案されている。
このように、電解液との副反応を抑制でき、信頼性の高い非水二次電池が求められていた。
上記に鑑み、本発明の一側面は、アルカリ金属イオンを吸蔵および放出可能な正極活物質を含む正極と、前記アルカリ金属イオンを吸蔵および放出可能な負極活物質を含む負極と、アルカリ金属塩が非水溶媒に溶解した非水電解液と、を含む非水二次電池であって、
前記負極活物質が、ホウ素を含有する黒鉛を含み、
前記ホウ素が、少なくとも前記黒鉛の表面に含まれており、
前記非水溶媒が、少なくとも1個以上のフッ素基を有する鎖状カルボン酸エステルを含む、非水二次電池に関する。
本開示によれば、信頼性の高い非水二次電池を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る非水二次電池の構造を模式的に示す一部を切り欠いた平面図である。 図1に示す非水二次電池のX−X’線における断面図である。 性能評価用負極の作製方法を説明する図である。
以下において、本発明の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る非水二次電池は、正極と、負極と、非水電解液と、を備える。正極は、アルカリ金属イオンを吸蔵および放出可能な正極活物質を含む。負極は、アルカリ金属イオンを吸蔵および放出可能な負極活物質を含み、負極活物質は、少なくともその表面にホウ素を含有する黒鉛を含み、ホウ素は、黒鉛の少なくとも表面に含まれている。非水電解液には、アルカリ金属イオンとアニオンからなるアルカリ金属塩が、非水溶媒に溶解した状態で含まれている。非水溶媒は、少なくとも1以上のフッ素基を有する鎖状カルボン酸エステルを含む。アルカリ金属イオンは、リチウムイオンであってもよい。
この構成によれば、信頼性の高い電池を実現することができる。
本発明者らは、この構成により、電解液との副反応が抑制されるとともに、多数回の充放電の繰り返しに伴う内部抵抗上昇が抑制され、信頼性の高い電池を実現できることを見出した。
上記の非水二次電池が、電解液との副反応が抑制され、且つ、多数回の充放電後の内部抵抗の上昇が抑制される理由は必ずしも明らかではないが、以下に、発明者の見解を述べる。しかしながら、本発明は下記見解により制限されるものではない。なお、下記において、負極からリチウムイオンが放出される過程を放電、負極へとリチウムイオンが吸蔵される過程を充電と定義する。
黒鉛を含む負極は副反応を起こしやすいが、この理由として、黒鉛の充電電位および放電電位が低いため、還元力が強く、負極表面の非水電解液を還元分解する副反応を起こしやすいことが考えられる。
一方、フッ素基を有する鎖状カルボン酸エステル(以下において、「F化鎖状カルボン酸エステル」とも称する。)は、電子吸引性のフッ素が官能基として導入されていることで、カルボニル基の炭素の電子密度が低下し、還元分解されやすいという問題があった。このため、耐還元性の低いF化鎖状カルボン酸エステルを非水溶媒として用い、同時に、還元力の強い黒鉛を負極活物質として用いることは困難であり、工夫を要した。
これに対し、本発明の実施形態では、第1に、黒鉛骨格中にホウ素原子を有することにより、黒鉛の充電電位および放電電位が上昇している。この結果、電解液との副反応の駆動力たる負極の還元力が低減されるため、電解液との副反応が抑制される。
第2に、負極黒鉛表面上で、黒鉛表面に存在するホウ素と、非水溶媒のF化鎖状カルボン酸エステルに存在するフッ素とが複合し、特異的に緻密な被膜が黒鉛表面上に形成されることが考えられる。この被膜によって、負極表面が安定化され、電解液の負極活物質表面での分解反応が抑制されることが考えられる。
したがって、ホウ素を含有する黒鉛(以下において、「B含有黒鉛」とも称する。)を負極活物質に用いることにより、電解液との反応性の上昇を招くことなく、非水溶媒としてF化鎖状カルボン酸エステルを利用することができる。
さらに、F化鎖状カルボン酸エステルを非水溶媒に用いることで、多数回の充放電に伴う内部抵抗の上昇も抑制されることが分かった。これは、上述の特異的に緻密な被膜が黒鉛表面上に形成されることで、負極表面が安定化されたためと考えられる。
したがって、F化鎖状カルボン酸エステル含む非水溶媒、及び、B含有黒鉛を含む負極活物質を具備する非水二次電池は、電解液の副反応が抑制されるとともに、内部抵抗の上昇も抑制され、信頼性の高い電池となる。
F化鎖状カルボン酸エステルは、Q及びQを炭化水素基として、下記の化1で表されるものであってよい。ただし、Q及びQのうち少なくとも何れか一方において、少なくとも1つの水素原子がフッ素に置換されている。フッ素は、カルボニル炭素と結合する炭化水素基(Q)中の水素を置換していてもよく、アルコール側の炭化水素基(Q)中の水素を置換していてもよい。どちらの場合であっても、特異的かつ緻密な被膜を、黒鉛表面上に形成し得る。
[化1]
−C(=O)−O−Q
F化鎖状カルボン酸エステルの好ましい具体例としては、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル(QがCF−CHであり、QがCHの場合)、及び、酢酸2,2,2−トリフルオロエチル(QがCHであり、QがCH−CFでの場合)が挙げられる。
本発明の実施形態では、電解液と負極との副反応の抑制、及び電池の内部抵抗の上昇抑制の両面において、上述した第2の作用、即ち、黒鉛表面に存在するホウ素とF化鎖状カルボン酸エステル中のフッ素との相互作用によって緻密な被膜が形成されること、が重要と考えられる。この観点からは、ホウ素は少なくとも黒鉛の表面に存在していれば、F化鎖状カルボン酸エステルとの相互作用により緻密な被膜を形成でき、副反応の抑制効果と電池の内部抵抗の上昇抑制効果の両方を奏することが可能である。
さらに、好ましくは、B含有黒鉛は、表面に窒素を含有し、且つ、X線光電子分光法で測定されるスペクトルによって、下記の通りに特定されるものであってもよい。
すなわち、B含有黒鉛は、少なくともその表面に窒素が含まれ、且つ、X線光電子分光法によって得られたホウ素1sスペクトルの全ピーク面積Sに対する、窒素と結合したホウ素に起因するスペクトルのピーク面積SBNの割合R1(R1=SBN/S)が、0.5以上1以下であり、また、
ホウ素1sスペクトルのピーク面積S、炭素1sスペクトルのピーク面積S、及び、窒素1sスペクトルのピーク面積SNの和に対するホウ素1sスペクトルのピーク面積の割合R2(R2=S/(S+S+S))が、0.05以下であるとよい。これにより、放電容量密度に優れた非水二次電池を実現できる。
X線光電子分光法によって得られるホウ素1sスペクトルには、窒化ホウ素、酸化ホウ素、炭化ホウ素、黒鉛中に固溶したホウ素等、種々の結合状態を含めたホウ素に起因するスペクトルが含まれており、全ピーク面積Sは、黒鉛表面に存在する種々の結合状態を含むホウ素の全量に比例する。これに対し、窒素と結合したホウ素に起因するスペクトルとは、具体的に、ホウ素1sスペクトルのうち束縛エネルギー189.0eV以上192.0eV以下の範囲にピークを有するスペクトルであり、そのピーク面積SBNは、窒化ホウ素およびその他の窒素と結合した状態で黒鉛表面に存在するホウ素の量に比例する。
したがって、R1(=SBN/S)が0.5以上であるとは、黒鉛表面に存在するホウ素原子に起因する結合のうち50%以上が、窒化ホウ素またはそれに類似する結合状態で存在していることを意味する。黒鉛の表面に、ホウ素が、化学的安定性が高い窒化ホウ素またはそれに類似する結合状態で存在していることで、耐久性に優れた負極活物質が得られる。
さらに、X線光電子分光法によって得られたホウ素1sスペクトルのピーク面積S、炭素1sスペクトルのピーク面積S、及び、窒素1sスペクトルのピーク面積SNの和に対するホウ素1sスペクトルのピーク面積の割合R2(=S/(S+S+S))が0.05以下であるとは、黒鉛表面に存在するホウ素、炭素、及び窒素原子の合計に対するホウ素原子の割合が一定値以下であることを意味する。仮に、元素ごとのスペクトル強度の差異の補正を無視した場合には、黒鉛表面上のホウ素の存在比率が5%以下であることを意味する。
これら2つの関係を満たすことで、B含有黒鉛の表面に存在するホウ素のうち50%以上は化学的安定性が高い窒化ホウ素またはそれに類似する結合状態で存在しつつ、且つ、B含有黒鉛表面上のホウ素存在比率が一定値以下(元素ごとのスペクトル強度の差異の補正を無視すれば、5%以下)に制限される。これにより、B含有黒鉛を負極活物質に用いた際の化学的安定性を向上させるとともに、窒化ホウ素が黒鉛の電気化学反応を阻害するのを抑制し、高容量な負極活物質を提供することができる。
また、B含有黒鉛中のホウ素の含有量は、0.01質量%以上が好ましく、また、5質量%以下が好ましい。黒鉛中に含まれるホウ素の割合を5質量%以下にとどめることで、リチウムイオンの吸蔵および放出に関与しない副生成物の生成を抑制し、高い放電容量密度を維持することができる。また、黒鉛中に含まれるホウ素の割合を0.01質量%以上とすることで、被膜形成に十分なホウ素を黒鉛表面に導入でき、十分な副反応抑制効果が得られる。信頼性と放電容量密度を考慮して、黒鉛中のホウ素の含有量は0.01質量%以上5質量%以下であることが推奨される。
X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)は、試料表面にX線を照射し、試料表面から放出される光電子の運動エネルギーを計測することで、試料表面を構成する元素の組成、化学結合状態を分析する手法であり、ピーク面積SBN、S、S、及びSNは、以下の条件で測定し、算出することができる。エネルギー校正には黒鉛のC1sスペクトル(248.5eV)を用いることができる。
測定装置: アルバック・ファイ社製PHI5000VersaProbe
使用X線源: 単色Mg−Kα線、200nmΦ、45W、17kV
分析領域: 約200μmΦ
ホウ素1sスペクトルのピーク面積Sは、束縛エネルギーが184.0eV以上196.5eV以下の範囲に現れるスペクトルのピーク面積として算出することができる。同様に、炭素1sスペクトルのピーク面積S、及び、窒素1sスペクトルのピーク面積SNについても、夫々、281.0eV以上293.0eV以下の範囲に現れるスペクトルのピーク面積、及び、394.0eV以上402.0eV以下の範囲に現れるスペクトルのピーク面積として算出することができる。
ホウ素1sスペクトルのうち、束縛エネルギーが189.0eV以上192.0eV以下の範囲にピークの頂点を有するスペクトル成分は、窒素と結合したホウ素によるものである。ピーク面積SBNは、184.0eV以上196.5eV以下の範囲のホウ素1sスペクトルの全体から、189.0eV以上192.0eV以下の範囲にピークを有するスペクトルを分離し、分離後のスペクトルの面積を求めることで、算出することができる。
負極活物質の合成方法は、例えば、以下の手順を含む。
まず、原料である炭素前駆体材料に、ホウ素原料を添加および混合し、2100℃〜3000℃程度で、不活性ガス雰囲気で焼成することにより、黒鉛化およびホウ素の炭素骨格への固溶を進行させる。焼成雰囲気としては、窒素又はアルゴン等の不活性ガスが好適に用いられる。
なお、窒素ガス雰囲気で焼成する場合、黒鉛表面のホウ素が窒素と反応して窒化ホウ素が形成される。好ましくは、2800℃〜3000℃の窒素を含む雰囲気中で焼成することによって、黒鉛に含まれるホウ素が窒素と反応し、黒鉛表層に存在するホウ素の窒化ホウ素への変換が進行する。この場合、上記R1(=SBN/S)が0.5以上で、上記R2(=S/(S+S+S))が0.05以下の関係を満たすように、ガス雰囲気や焼成温度などの焼成条件の制御により、黒鉛表面の窒化ホウ素量を制御することができる。必要に応じて、さらに熱処理等を行い、表面の窒化ホウ素の一部を除去してもよい。この場合の熱処理条件は、窒素を含まない雰囲気(例えば、アルゴンガス雰囲気)で、熱処理温度は2000℃〜2800℃の範囲が好ましい。
あるいは、焼成後の黒鉛表面を窒化ホウ素で被覆した後、例えば窒素を含まない雰囲気での熱処理により表面の窒化ホウ素の一部を除去することによっても、上記R1及びR2を制御できる。熱処理温度は、2000℃〜2800℃の範囲が好ましい。黒鉛表面の窒化ホウ素の被覆については、CVD(Chemical Vapor Deposition: 化学気相成長)法やスパッタリング、ALD(Atomic Layer Deposition: 原子層堆積)法等の気相成長法、ゾルゲル法、水熱反応、ボールミル等により被覆してもよい。
炭素前駆体材料としては、石油コークス又は石炭コークスなどのソフトカーボンを用いることができる。ソフトカーボンの形状は、シート状、繊維状、粒子状などであってもよい。焼成後の加工を考慮すると、数μm〜数十μmの大きさの粒子状または短繊維状の合成樹脂であることが好ましい。また、合成樹脂等の有機材料を800〜1000℃程度の熱処理によって炭素以外の元素を蒸発させることによっても、原料となる炭素を得ることができる。
ホウ素原料としては、ホウ素単体、ホウ酸、酸化ホウ素、窒化ホウ素、あるいは、ホウ酸二ホウ化アルミニウムや二ホウ化マグネシウムなどの二ホウ化物、等を好適に用いることができる。上記炭素とホウ素原料との割合は、炭素に対するホウ素の質量比で0.01〜5%含まれていてもよい。なお、高温焼成時に、一部のホウ素は炭素材料中に取り込まれずに飛散することがあるので、焼成の前後で炭素材料中に含まれるホウ素量が減少することがある。また、ホウ素原料を添加するタイミングは、炭素の黒鉛化処理後であってもよい。
なお、黒鉛とは、炭素原子からなる六角網目層が規則的に積み重なった構造を有する領域を含む炭素材料の総称であり、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン粒子などが含まれる。黒鉛型結晶構造の発達の程度を示す指標として、X線回折法にて測定される(002)面の面間隔(炭素層と炭素層の面間隔)d002が利用される。一般に、d002が3.4Å以下で、結晶子サイズが100Å以上の高結晶炭素が黒鉛とされる。
以下、図1及び図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係る非水二次電池について、リチウムイオン二次電池を例にとって説明する。図1は、非水二次電池(リチウムイオン二次電池)の構造の一例を模式的に示す一部を切り欠いた平面図であり、図2は、図1のX−X’線における断面図である。
図1および図2に示されるように、リチウムイオン二次電池100は、シート型の電池であり、極板群4、及び、極板群4を収容する外装ケース5を備えている。
極板群4は、正極10、セパレータ30、及び、負極20をこの順で積層した構造であり、正極10と負極20とがセパレータ30を介して対向している。これにより、極板群4が形成されている。極板群4には、非水電解液(図示せず)が含浸されている。
正極10は、正極合剤層1a、及び、正極集電体1bを含む。正極合剤層1aは、正極集電体1b上に、形成されている。
負極20は、負極合剤層2a、及び、負極集電体2bを含む。負極合剤層2aは、負極集電体2b上に、形成されている。
正極集電体1bには正極タブリード1cが接続され、負極集電体2bには負極タブリード2cが接続されている。正極タブリード1c及び負極タブリード2cは、それぞれ、外装ケース5の外まで延伸している。
正極タブリード1cと外装ケース5との間、及び、負極タブリード2cと外装ケース5との間は、絶縁タブフィルム6によって絶縁されている。
正極合剤層1aは、アルカリ金属イオンを吸蔵及び放出できる正極活物質を含む。正極合剤層1aは、必要に応じて、導電助剤、イオン伝導体及びバインダを含んでいてもよい。正極活物質、導電助剤、イオン伝導体及びバインダには、それぞれ、公知の材料を特に限定なく使用できる。
正極活物質としては、1又は複数のアルカリ金属イオンを吸蔵及び放出する材料であれば特に制限されず、アルカリ金属を含有した遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン材料、フッ素化ポリアニオン材料、遷移金属硫化物などが挙げられる。例えば、LiMe及びLi1+xMe(0<x≦1、0.95≦y<1.05、MeはCo、Ni、Mn、Fe、Cr、Cu、Mo、Ti、及びSnからなる群より選択される少なくとも1つを含む)等のリチウム含有遷移金属酸化物や、LiMePO及びLiMe(0<x≦1、0.95≦y<1.05、MeはCo、Ni、Mn、Fe、Cu、Moからなる群より選択される少なくとも1つを含む)等のリチウム含有ポリアニオン材料、NaMe(0<x≦1、0.95≦y<1.05、MeはCo、Ni、Mn、Fe、Cr、Cu、Mo、Ti、及びSnからなる群より選択される少なくとも1つを含む)等のナトリウム含有遷移金属酸化物などを好ましく用いることができる。
正極集電体1bとしては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金、などの金属材料で作られた多孔質又は無孔のシート又はフィルムを使用できる。アルミニウム及びその合金は、安価で薄膜化しやすいので、正極集電体1bの材料として望ましい。抵抗値の低減、触媒効果の付与、正極合剤層1aと正極集電体1bとの結合強化などの目的のため、正極集電体1bの表面にカーボンなどの炭素材料を塗布してもよい。
負極合剤層2aは、本実施形態のホウ素を少なくとも表面に含有する黒鉛を負極活物質として含む。必要に応じて、アルカリ金属イオンを吸蔵及び放出できる他の負極活物質を更に含んでもよい。また、負極合剤層2aは、必要に応じて、導電助剤、イオン伝導体及びバインダを含んでいてもよい。活物質、導電助剤、イオン伝導体及びバインダには、それぞれ、公知の材料を特に限定なく使用できる。
本実施形態の負極活物質と一緒に使用することのできる負極活物質の例としては、アルカリ金属イオンを吸蔵及び放出する材料、又はアルカリ金属を用いることができる。アルカリ金属イオンを吸蔵及び放出する材料としては、アルカリ金属合金、炭素、遷移金属酸化物、シリコン材料などが挙げられる。具体的には、リチウム二次電池の負極材料としては、Zn、Sn、Si等の金属とリチウムとの合金や、人造黒鉛、天然黒鉛、難黒鉛化非晶質炭素等の炭素、LiTi12、TiO、V、等の遷移金属酸化物、SiO(0<x≦2)、リチウム金属などを用いることができる。
導電助剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラックなどの炭素材料、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子等を好ましく用いることができる。イオン伝導体としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸メチルなどのゲル電解質、ポリエチレンオキシド、リン酸リチウム、リン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)などの固体電解質などを用いることができる。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミドなどを用いることができる。
負極集電体2bとしては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金などの金属材料で作られた多孔質又は無孔のシート又はフィルムを使用できる。銅及びその合金は、負極の動作電位においても安定であり、比較的安価であるので、負極集電体2bの材料として望ましい。シート又はフィルムとして、金属箔、金属メッシュなどが用いられる。抵抗値の低減、触媒効果の付与、負極合剤層2aと負極集電体2bとの結合強化などの目的のため、負極集電体2bの表面にカーボンなどの炭素材料を塗布してもよい。
セパレータ30には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ガラス、セルロース、セラミックスなどで作られた多孔質膜が用いられる。セパレータ30の細孔の内部には非水電解液が含浸される。
非水電解液としては、非水溶媒にアルカリ金属塩を溶解させたものが用いられる。非水溶媒は、少なくとも1個以上のフッ素基を有する鎖状カルボン酸エステルを含む。他の非水溶媒として、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、鎖状ニトリル、環状エーテル、鎖状エーテル等の公知の溶媒を、フッ素基を有する鎖状カルボン酸エステルと混合して、用いることができる。Li塩の溶解性や粘度の観点から、環状炭酸エステル、及び鎖状炭酸エステルを含むことが好ましい。
フッ素基を有する鎖状カルボン酸エステルとしては、好ましくは、下記の化2で表されるトリフルオロプロピオン酸エステルを用いることができる。これは、上記化1においてQをCF−CHとしたものに相当する。Qはアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられる。これらのうち、メチル基またはエチル基が好ましい。特に、Qをメチル基とした3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル(FMP)は、低粘度で高い耐酸化性を示すため、好ましい。
[化2]
CF−CH−C(=O)−O−Q
また、フッ素基を有する鎖状カルボン酸エステルとして、好ましくは、カルボン酸フルオロアルキルエステルを用いることができる。これは、上記化1においてQを少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換されたアルキル基としたものである。好ましくは、Qは炭素数が1〜3のフッ素化されたアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が挙げられる。置換後のフッ素原子の数は、アルキル基の炭素数にもよるが、1〜5個が好ましく、1〜3個がより好ましい。Qとしては、トリフルオロメチル基、及び、2,2,2−トリフルオロエチル基がさらに好ましい。フッ素基を有する鎖状カルボン酸エステルとして、酢酸2,2,2−トリフルオロエチル(FEA)を用いることが好ましい。
なお、これらのフッ素基を有する鎖状カルボン酸エステルは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
環状炭酸エステルとしては、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、及びこれらの誘導体等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。電解液のイオン導電率の観点から、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートからなる群の少なくとも一つを用いることが好ましい。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
環状カルボン酸エステルとしては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
鎖状カルボン酸エステルとしては、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
鎖状ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、イソブチロニトリル、ピバロニトリル等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
環状エーテルとしては1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
鎖状エーテルとしては、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、これらの溶媒は、適宜水素原子の一部がフッ素に置換されたフッ素化溶媒であっても良い。特に鎖状カルボン酸エステルをフッ素化して得られるF化鎖状カルボン酸エステルは、上述の通り、B含有黒鉛と組み合わせることで非水二次電池の内部抵抗上昇を抑制できる。
非水溶媒に溶解させるアルカリ金属塩としては、LiClO、LiBF、LiPF、LiN(SOF)、LiN(SOCF、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)等のリチウム塩、NaClO、NaBF、NaPF、NaN(SOF)、NaN(SOCF等のナトリウム塩、等を用いることができる。特に、非水電解液二次電池の総合特性の観点から、リチウム塩を用いることが好ましい。また、イオン伝導率等の観点から、LiBF、LiPF、LiN(SOF)より選ばれる少なくとも1種を用いることが特に好ましい。
本実施形態における非水電解液中のアルカリ金属塩のモル含有量については、特に制限はないが、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることが好ましい。アルカリ金属塩と溶媒のモル比が1:1〜1:4のような高塩濃度電解液も、通常の電解液と同様に充放電可能であることが報告されており、このような高濃度電解液であっても構わない。
また、二次電池の型(形状)には、図1及び図2に示したシート型の他、コイン型、ボタン型、積層型、円筒型、偏平型、角型などがあるが、本実施形態の非水二次電池は、どのような形状の非水二次電池にも適用できる。また、本実施形態の二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用電力貯蔵装置、産業用電力貯蔵装置、自動二輪車、EV、PHEVなどに使用できるが、その用途がこれらに限定されるものではない。
次に、本発明の実施形態について実施例に基づいて更に説明する。
《実施例1》
(1)負極活物質の合成
平均粒径が12μmの石油コークス粉末に、ホウ酸(CAS番号:10043−35−3)を、石油コークス粉末に対して20質量%(石油コークス粉末に対するホウ素の割合が3.4質量%)の比率で添加し、メノウ乳鉢を用いて粉砕混合した。その後、アチソン炉で2800℃焼成を行った。その後、加熱を停止し、自然冷却後に炉から炭素材料を取り出した。上記過程を経て得た炭素材料をメノウ乳鉢で粉砕し、目開き40μmのSUS製標準篩を用いて分級した。以上により、非水二次電池用負極活物質を得た。
ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法にて、得られた負極活物質中の黒鉛のホウ素含有量を定量したところ、0.5質量%であり、ホウ素が含有されていることを確認した。
また、X線光電子分光法(XPS)にて、ホウ素1sスペクトルを分析したところ、上述のR1=SBN/S=0.72、R2=S/(S+S+S)=0.014であった。
(2)試験電極の作製
上記の合成方法により得られた非水二次電池負極用負極活物質、カルボキシメチルセルロース(CAS番号:9000−11−7)、及び、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(CAS番号:9003−55−8)を、質量比が98:1:1となるよう秤量し、純水中に分散させスラリーを調製した。その後、塗工機を用いて、スラリーを、厚み10μmの銅箔で構成した負極集電体2b上に塗工し、乾燥後の塗膜を圧延機で圧延し、極板を得た。
その後、圧延後の極板を図3(a)の形に切り取り、性能評価用の負極20を得た。図3(a)において、60mm×40mmの領域が負極として機能させる領域であり、10mm×10mmの突起部分はタブリード2cとの接続領域である。その後さらに、図3(b)に示すように、上記接続領域上に形成された負極合剤層2aを削り取り、負極集電体(銅箔)2bを露出させた。その後、図3(c)に示すように、負極集電体(銅箔)2bの露出部分を負極タブリード2cと接続し、負極タブリード2cの外周の所定の領域を絶縁タブフィルム6で覆った。
(3)非水電解液の調合
フルオロエチレンカーボネート(CAS番号:114435−02−8)とメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオネート(CAS番号:18830−44−9)との混合溶媒(体積比1:4)に、1.4mol/LのLiPF(CAS番号:21324−40−3)を溶解し、電解液とした。電解液の調合は、露点−60度以下、酸素値1ppm以下のAr雰囲気のグローブボックス内で行った。
(4)正極の作製
正極活物質としてLi(Ni,Co,Al)Oを準備した。正極活物質100質量部に対し、導電助剤としてのアセチレンブラック1質量部と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン2質量部とを混合し、これらを脱水N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤を含む正極スラリーを調製した。正極スラリーを厚み15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の片面に塗布し、乾燥後の塗膜を圧延し、正極板を得た。
(5)評価用セルの作製
上記の性能評価用負極を用いて、Li(Ni,Co,Al)Oを対極とする評価用の非水二次電池セルを作製した。評価用セルの作製は、露点−60℃以下、酸素値1ppm以下のAr雰囲気のグローブボックス内で行った。
負極タブリード2cを取り付けた上記性能評価用負極と、アルミニウム製タブリードをとりつけたLi(Ni,Co,Al)O対極とを、ポリプロピレン製のセパレータ30(厚み30μm)を介して電極同士が丁度重なるように対向させ、極板群4を得た。
次に、120×120mmの長方形に切り取ったAlラミネートフィルム(厚み100μm)を半分に折りたたみ、120mmの長辺側の端部を230℃で熱封止し、120×60mmの筒状にした。その後、作製した極板群4を、60mmの短辺側の一方から筒の中に入れ、Alラミネートフィルムの端面とタブリード1c、2cの熱溶着樹脂の位置を合わせて230℃で熱封止した。次に、Alラミネートフィルムの熱封止されていない短辺側から非水電解液を1.0cm注液し、注液後、0.06MPaの減圧下で15分間静置し、負極合剤層2a内部に電解液を含浸させた。最後に、注液した側のAlラミネートフィルムの端面を230℃で熱封止した。
(6)電池の評価
上記に従って作製した評価用セルを、80×80cmのステンレス鋼(厚み2mm)で極板群4をラミネートの上から挟むようにして、クランプで0.2MPaで加圧固定した。なお、特に断らない限り評価はすべて25℃の恒温槽中で行った。
まず、25℃の恒温槽中で、5mAの一定電流で充電および放電を5サイクル繰り返した。充電は電池電圧4.1Vで、放電は電池電圧3.0Vで、夫々終止させ、充電と放電の間は20分間、開回路にて静置した。
次に、45℃の恒温槽中で、4.1Vまで20mAの一定電流で充電し、その後電流値が1mA未満になるまで、4.1Vの一定電圧に保持した。その後、開回路にて20分静置した後、45℃の恒温槽中で、3.0Vまで20mAの一定電流で放電した。この充電および放電サイクルを200サイクル繰り返した。
このとき、200サイクルのサイクル試験の前と後で、充電容量の50%まで充電を行った状態で、抵抗測定を行った。電流値5mAを10秒間通電した際の開回路電圧と、その後の閉回路電圧との差を電流値で除算することで、抵抗値を算出した。
200サイクル後の抵抗を200サイクル前の抵抗で除算し、抵抗上昇率を評価した。
《比較例1》
非水電解液の調合において、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピオネート(CAS番号:18830−44−9)の代わりに、エチルメチルカーボネート(CAS番号:623−53−0)を使用したことを除いて、実施例1の電池と同様の非水二次電池を作製した。
《比較例2》
負極活物質である黒鉛の合成時にホウ酸を添加しないことを除いて、実施例1と同様の非水二次電池を作製した。
《比較例3》
非水電解液の調合において、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピオネート(CAS番号:18830−44−9)の代わりに、エチルメチルカーボネート(CAS番号:623−53−0)を使用したこと、及び、負極活物質である黒鉛の合成時にホウ酸を添加しないことを除いて、実施例1と同様の非水二次電池を作製した。
以上の非水二次電池(リチウム二次電池)について、全て実施例1の電池と同様の方法で抵抗値を測定し、抵抗上昇率を算出した。結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1の非水二次電池は、比較例1〜3の非水二次電池と比べて、抵抗上昇率が抑えられており、信頼性が高い。
非水溶媒にF化鎖状カルボン酸エステルを含まない比較例1と比較例3を比べると、負極活物質としてB含有黒鉛を用いることで、抵抗上昇率が134.6%から138.8%に増加し、信頼性の悪化を招いている。しかしながら、非水溶媒にF化鎖状カルボン酸エステルを用いることで、実施例1の非水二次電池は、抵抗上昇率が123.7%に大幅に改善されている。これは、負極活物質としてホウ素を含まない黒鉛と、非水溶媒としてF化鎖状カルボン酸エステルとを採用した比較例2の抵抗上昇率と比べても顕著に優れている。
前述の通り、非水溶媒としてF化鎖状カルボン酸エステルを用いる場合は、負極活物質である黒鉛による還元分解を抑制するため、F化鎖状カルボン酸エステルと併せて被膜形成化合物を非水溶媒に添加しておく必要がある。比較例2の非水二次電池は、黒鉛にホウ素を含まないので、本来的に電解液との副反応が起き易い構成である。このため、電解液との副反応を抑制するために、被膜形成化合物(ここでは、フルオロエチレンカーボネート)を非水溶媒に添加する必要があった。
これに対し、実施例1の非水二次電池は、負極活物質としてB含有黒鉛を用いたうえで、非水溶媒としてF化鎖状カルボン酸エステルを用いているので、非水溶媒に被膜形成化合物を別途添加することなく、電解液との副反応を抑制できるとともに、抵抗上昇を抑制できる構成である。
負極活物質がB含有黒鉛である群(実施例1と比較例1)と、負極活物質がホウ素を含まない黒鉛である群(比較例2と比較例3)とを比較すると、F化鎖状カルボン酸エステルを用いたことによる抵抗上昇の抑制効果は、負極活物質がB含有黒鉛である場合に顕著に大きく、B含有黒鉛とF化鎖状カルボン酸エステルの組み合わせにより特異的に信頼性が高い結果が得られた。これは、B含有黒鉛表面に存在するホウ素と、非水溶媒のフッ素化鎖状カルボン酸エステルに存在するフッ素とが複合し、特異的に緻密な被膜が黒鉛表面上に形成されることで、負極表面が安定化されるためと考えられる。
Figure 2018195434
本発明に係る非水二次電池は、リチウムイオン二次電池に有用である。
1a:正極合剤層、1b:正極集電体、1c:正極タブリード、2a:負極合剤層、2b:負極集電体、2c:負極タブリード、4:極板群、5:外装ケース、6:絶縁タブフィルム、10:正極、20:負極、30:セパレータ、100:リチウムイオン二次電池

Claims (7)

  1. アルカリ金属イオンを吸蔵および放出可能な正極活物質を含む正極と、
    前記アルカリ金属イオンを吸蔵および放出可能な負極活物質を含む負極と、
    アルカリ金属塩が非水溶媒に溶解した非水電解液と、を含む非水二次電池であって、
    前記負極活物質が、ホウ素を含有する黒鉛を含み、
    前記ホウ素が、少なくとも前記黒鉛の表面に含まれており、
    前記非水溶媒が、1以上のフッ素基を有する鎖状カルボン酸エステルを含む、非水二次電池。
  2. 前記鎖状カルボン酸エステルが、化学式Q−C(=O)−O−Qで表されるカルボン酸エステルであって、Q及びQは炭化水素基であり、且つ、Q及びQのうち少なくとも何れか一方において、少なくとも1つの水素原子がフッ素に置換されている、請求項1に記載の非水二次電池。
  3. がCF−CHであり、QがCHである、請求項2に記載の非水二次電池。
  4. がCHであり、QがCH−CFである、請求項2に記載の非水二次電池。
  5. 前記黒鉛の少なくとも表面に窒素が含まれており、
    前記黒鉛のX線光電子分光法によって得られたホウ素1sスペクトルにおいて、前記ホウ素1sスペクトルの全ピーク面積Sに対する、窒素と結合したホウ素に起因するスペクトルのピーク面積SBNの割合R1(R1=SBN/S)が、0.5以上1以下であり、且つ、
    前記黒鉛のX線光電子分光法によって得られた前記ホウ素1sスペクトルのピーク面積S、炭素1sスペクトルのピーク面積S、及び、窒素1sスペクトルのピーク面積SNの和に対するホウ素1sスペクトルのピーク面積の割合R2(R2=S/(S+S+S))が、0.05以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載の非水二次電池。
  6. 前記黒鉛中の前記ホウ素の含有量が0.01質量%以上5質量%以下である、請求項1〜5の何れか一項に記載の非水二次電池。
  7. 前記アルカリ金属イオンが、リチウムイオンである、請求項1〜6の何れか一項に記載の非水二次電池。


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