以下では、本開示で提案するコネクタ及びコネクタ組立体の実施形態について説明する。ただし、本開示は下記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本開示に基づく特許請求の範囲から排除するものではない。
以下の説明において、各図のY1及びY2で示す方向をそれぞれ前方及び後方とし、この方向がコネクタの挿抜方向となる。また、各図のZ1及びZ2で示す方向を上方及び下方とする。また、各図のX1及びX2で示す方向を右方向及び左方向(幅方向ということもある)とする。ただし各種の方向は、あくまでもコネクタ組立体を構成する部位の相対的な位置関係を説明するためのものであり、絶対的な方向を示すものではない。
図1に示すように、コネクタ組立体1は、第1コネクタ10と、第2コネクタ20(相手コネクタ)とを有している。例えば、第1コネクタ10をレセプタクルコネクタとし、第2コネクタ20をプラグコネクタとしてよいが、必ずしもこれに限定されない。図2に示すように、第1コネクタ10は第1ハウジング11を有しており、第2コネクタ20は第2ハウジング21を有している。そして、第1ハウジング11は、第2ハウジング21に対して前後方向に挿抜可能に形成されている。
図2に示すように、第1コネクタ10と第2コネクタ20には、第1コネクタ10と第2コネクタ20との嵌合状態が意図せず外れてしまうことがないよう確実に嵌合させておくため、すなわち挿抜方向に離れるのを規制するために、コネクタロック機構Rが設けられている。コネクタロック機構Rは、第1コネクタ10の第1ハウジング11に設けられたロックアーム12と、第2コネクタ20の第2ハウジング21に設けられたロック突起22により構成されてよい。
図1及び図2に示すように、第1コネクタ10の第1ハウジング11は、樹脂等の絶縁材料により全体として略筒状に形成されてよい。第1ハウジング11の前側には、第2ハウジング21と嵌合する嵌合部43と、この嵌合部43の外側を覆っている略筒状の外殻部44とが形成されてもよい。この嵌合部43と外殻部44との間には、前方に開口して第2ハウジング21が嵌合される収容スペースS1が形成され嵌合することとしてよい。
第1ハウジング11の嵌合部43には、前後方向に貫通する孔部(不図示)が形成され、その孔部にワイヤーが接続された第1端子(例えばレセプタクル端子、不図示)が収容されてよい。嵌合部43には、嵌合シール部材40が取り付けられてもよい。嵌合シール部材40は、嵌合部43の周囲を囲む筒状に形成され、嵌合部43と、第2ハウジング21との間に水等の侵入するのを防止する。
第1ハウジング11の後側も略筒状に形成され、後方に開口する収容スペースS2が形成されてよい。この収容スペースS2の内側には、ケーブルと第1ハウジング11との間で水等の侵入を防ぐシール部材41が収容され、さらにその後方には、シール部材41の抜けを防止する抜け止め部材42が装着されてもよい。そして、第1ハウジング11の上面11aには、ロックアーム12が形成されてよい。ロックアーム12の構成は後ほど詳述する。
端子部41、端子シール部材42、嵌合部43等のハウジング内部の構成は本願の開示に直接影響はなく、一般的な構成を用いることができるので図示および説明を省略する。
図1及び図2に示すように、第2コネクタ20の第2ハウジング21は、第1ハウジング11と同様に、樹脂等の絶縁材料により全体として略筒状に形成されてよい。図2に示すように、第2ハウジング21の後側は後方に開口し、内側に収容スペースS3が形成され、この収容スペースS3に第1ハウジング11の嵌合部43が収容されてよい。筒状の後側は前述した嵌合シール部材40により防水されるように第1ハウジング11と嵌合することとしてよい。また、収容スペースS3の内側には、ワイヤーが接続されたプラグ端子としての第2端子(不図示)が前後方向に沿って収容され、第1ハウジング11の嵌合部43の内側で第1端子と嵌合接続されることとしてよい。
第2コネクタのこれら内部の構成も本願の開示に直接影響はなく、一般的な構成を用いることができるので図示および説明を省略する。
第2ハウジング21の上面21aには、上方に突出しているロック突起22が形成されてよい。ロック突起22はロックアーム12と係合することにより、第1コネクタと第2コネクタをロックするとしてよい。ロック突起22はその後ろ側が傾斜面となっており、前側が上面21aより垂直に立ち上がった面を有してよい。
以上、第1ハウジング11および第2ハウジング21について説明したが、その形状、構成要素、並びに各構成要素の配置位置は、必ずしもこれに限定されない。例えば本実施形態では左右対称の形状を有しているが左右非対称に形成されてもよい。また、ロックアーム12あるいはロック突起22は、ハウジングの上面11aあるいは上面21aに形成されるのみならず、その下面や左右の側面等の外面に形成されてもよい。また、第1ハウジング11に複数のロックアーム12が形成されている場合、第2ハウジング21にはその係合位置に複数のロック突起22が形成されていてもよい。
図3、及び図4に示すように、第1ハウジング11の上面11aに形成されたロックアーム12は、複数の棒状のアームが同一平面上に配置され、それぞれのアームの片方の端部が第1ハウジング11の上面11aに脚部により接続し、第1ハウジング11と一体となるよう構成されてよい。
ロックアーム12は、押圧操作される押圧部としての操作ノブ144が形成された操作部14が後ろ側に、ロック突起22と直接係合するロック片154が形成されたロック部15が前側に構成されてよい。
操作部14は、ロックアーム12の後側に配置される操作ノブ144と、操作ノブ144の中央から前方へ延在する操作部支持アーム141及び操作ノブ144の幅方向での両端部から前方へ延在する左右一対の操作部連結アーム143a、143bを有してよい。なお、この操作部連結アーム143a、143bを統合して説明するときは操作部連結アーム143として説明する。
操作ノブ144は、幅方向で後述の操作部脚部142、一対のロック部脚部152a、152bが配置される幅より広い幅を有する平板状に形成されてよい。
図5及び図6に示すように、操作部支持アーム141は、上下方向で操作ノブ144と略同じ厚みを有し操作ノブ141の中央から前方へ延在している略四角柱状のアームで、その前端部は操作部脚部142により第1ハウジング11の上面11aと接続されている。操作部脚部142は、上面11aの近傍では根元の強度を保つために前後方向で広がり太くなるように形成され、第1ハウジング11の上面11aから上方へ向かい、さらに後方に湾曲するよう延在して操作部支持アーム141と接続してよい。上面11aと操作ノブ144の間には、操作ノブ144を下方へ押圧操作したときに、ロックアーム12が揺動してロック片154がロック突起22から外れるように、空間S4が設けられてよい。
図4に示すように、操作部支持アーム141及び操作部脚部142は、幅方向において後述するロック部15のロック部支持アーム151a、151bおよびロック部脚部152a、152bの間に位置している。操作部支持アーム141及び操作部脚部142とロック部支持アーム151及びロック部脚部152は厚みが同じだが、幅は操作部支持アーム141及び操作部脚部142がロック部支持アーム151及びロック部脚部152より広く形成され、それにより剛性を高くしている。
また、操作部連結アーム143a,143bは、上下方向で操作ノブ144と略同じ厚みを有し操作ノブ141の両端部から前方へ延在している略四角柱状のアームで、後述のロック部15のロック部支持アーム151a,151bの外側からそれぞれ回り込んで、ロック部連結アーム153a,153bと連結部16a、16bでそれぞれ連結してよい。即ち、操作部14とロック部15とは一体形成されてよい。本実施形態では、ロックアーム12は、左右対称の形状であり、操作部連結アーム143a、143bの左右方向でのそれぞれの幅及び厚みが同一に形成され、同一の太さとなってよい。
図3及び図4に示すように、ロック部15には、四角柱状に左右方向へ延在するロック片154がロックアーム12の前端部に設けられるよう形成されてよい。そして、図6に示すように、ロック片154はロック部連結アーム153の厚みより突出した凸状片154aを有している。この凸状片154aは第2ハウジング21の上面21aに接するよう形成されている。
図4に示すように、ロック部15はロック片154の左右の幅方向における両端部から後方へ延在しているロック部連結アーム153a,153bと、これらのロック部連結アーム153a,153bからさらに後方へ延在しているロック部支持アーム151a,151bとが形成されてよい。なお、ロック部連結アーム153a,153b及びロック部支持アーム151a,151bをそれぞれ統合して説明するときは、ロック部連結アーム153及びロック部支持アーム151とする。ロックアーム12は左右対称の形状としているため、ロック部支持アーム151aと151bは左右方向でそれぞれ同一の幅となっており、同様にロック部連結アーム153aと153bも左右方向でそれぞれ同一の幅となっている。
図6に示すように、ロック部連結アーム153及びロック部支持アーム151は、上下方向でロック片154と略同じ厚みを有している略四角柱状のアームとしてよい。ロック部連結アーム153a、153bとロック部支持アーム151a、151bはそれぞれ傾斜部17a、17bにより接続され、ロック部支持アーム151a、151bがロック部連結アーム153a、153bよりもその幅が小さくなるよう形成されてよい。そうすることで、ロック部支持アーム151の剛性をロック部連結アーム153の剛性より低くしている。
図3及び図4に示すように、ロック部支持アーム151a,151bの後端部は、ロック部脚部152a、152bにより第1ハウジング11の上面11aと接続してよい。ロック部脚部152は上面11aの近傍では根元の強度を保つために前後方向で広がり太くなるように形成され、第1ハウジング11の上面11aから上方へ向かい延在し、さらに前方に湾曲して延在してロック部支持アーム151a、151bの後端部に接続されてよい。
前述のように、操作部支持アーム141は、左右方向におけるロック部支持アーム151a,151bの間であって内側中央寄りに位置しており、操作部脚部142は、やはり左右方向におけるロック部脚部152a,152bの間であって中央寄りの位置で、第1ハウジング11の上面11aと接続している。このように、ロックアーム12は操作部脚部142と、ロック部脚部152a、152bの三か所で第1ハウジング11の上面11aと接続される。ロックアーム12が第1ハウジング11の上面に三か所で接続されることで、従来の二か所で接続している場合に比べロックアーム12の剛性を高めることができるため、ロックアーム12を初期位置に保つ力が強くなり、コネクタの保持力を高めることができる。また、操作部脚部142をロックアーム12の左右方向の間に配置することで、2つの操作部脚部をロック部脚部152a,152bの外側にそれぞれ配置されるような場合と比べて、ロック部脚部152a,152bの間のスペースを有効活用することができ、左右方向におけるロックアーム12が大きくなるのを抑制することができる。
前述のように、操作部連結アーム143a,143bは、連結部16a,16bでロック部連結アーム153a,153bとそれぞれ連結されてよい。図3に示すように、操作ノブ144、操作部連結アーム143a、ロック部連結アーム153a、ロック片154、ロック部連結アーム153b、操作部連結アーム143bが一体となった枠体Fを形成してよい。この枠体Fは、操作ノブ144が押圧操作された際に撓まず動作する剛性を確保できるように、上下方向で所定の厚みと、左右方向で所定の幅とが設定されている。ここで、左右方向における操作部連結アーム143のそれぞれの幅と、厚みは、ロック部連結アーム153のそれぞれと同一としてよい。
図4に示すように、連結部16a,16bは前後方向の接続長さL1の範囲で、少なくともロック部連結アーム153a、153bを含み、ロック部支持アーム151a、151bおよび傾斜部17a、17bをさらに含むよう形成されてよい。ロック部連結アーム153a、153bの幅は傾斜部17a、17bにより徐々に小さくなってロック部支持アーム151a、151bと接続されるが、接続長さL1が少なくともロック部連結アーム153a、153bと傾斜部17a、17bを含んだ長さであって、ロック部連結アーム153a、153bの幅より大きく(例えば2倍程度の長さ)することで、前述の枠体Fの剛性を確保することができる。また、ロック部連結アーム153の幅を小さくするには傾斜部17を設けず段差でも可能である。その場合連結部16の接続長さL1は少なくともロック部連結アーム153の幅と同じか、あるいはより長くし、ロック部支持アーム151を含まないようにするとよい。
傾斜部17a、17bはその間隔Wがロック部脚部152a、152bへ向かうにしたがって広くなるよう形成されている。すなわち、ロック部支持アーム151aと151bおよびロック部脚部152aと152bとの間隔はロック部連結アーム153aと153bの間隔より広く形成されている。こうすることで、ロック部支持アーム151の剛性をロック部連結アーム153より小さくするとともに、操作部支持アーム141および操作部脚部142を配置するスペースの幅Wを広げ、ロックアーム12の全体の幅を広げることなく操作部支持アーム141の幅を広げて太く形成することができるようになる。また、操作部支持アーム141および操作部脚部142の幅を広げて太く形成することで、ロックアーム12を三か所で第1ハウジング11に接続することに加え、剛性をさらに上げることができ、コネクタアの保持力をさらに高めることができる。
図6に示すように、操作ノブ144、操作部支持アーム141、及び操作部脚部142は、上下方向では第1ハウジング11の上面11aと操作ノブ144の下面との間で、前後方向では操作部脚部142の中央位置からやや後方に揺動中心C1を持つことになる。また、図5及び図6に示すように、ロック片154、ロック部連結アーム153、ロック部支持アーム151、及びロック部脚部152は、ロック部脚部152の中央位置からやや前方に、揺動中心C2,C3を有することとなる。図5に示したように側面視において、操作部脚部142と、左右のロック部脚部152a,152bは、互いに重なる位置に配置されている。そして、揺動中心C1と、揺動中心C2及びC3との前後方向における配置位置は略一致しており、これらの揺動中心C1,C2,C3がロックアーム12全体としての一つの揺動中心Cとして機能することとなる。操作ノブ144と揺動中心Cとの距離L2が、ロック片154と揺動中心Cとの距離L3よりも小さくされ、この揺動中心Cが連結部16a,16bより後方に配置されてよい。このようにすることで、操作ノブ144の押圧操作に応じた枠体Fおよびロック片154の動きを大きくすることができ、ロック突起22に対する係合の解除を確実に行うことができるようになる。
次に、以上説明した第1コネクタ10と第2コネクタ20の挿抜動作および保持力について説明する。
第1コネクタ10に第2コネクタ20を差し込んでいくと、ロック片54に形成された突状片154aがロック突起22の傾斜面を乗り上げ、ロックアーム12が初期位置から揺動中心Cを中心として揺動する。そしてロック片154がロック突起22を乗り越えロック突起22に対して前方に配置され、ロックアーム12は再び初期位置に戻り、ロック片154とロック突起22が上下方向で重複する係合状態となる。このようにロックアーム12がロック突起22に係合することで、第1コネクタ10と第2コネクタ20とが互いに嵌合した状態でロックされる。このロック突起22とロックアーム12が係合する状態、すなわちロック状態で第1コネクタ10と第2コネクタ20の嵌合が外されるよう動かされた場合、凸状片154aを含むロック片154の後面が、ロック突起22の前面に当接し移動が規制され、第1コネクタ10と第2コネクタ20が抜けてしまうのを防止する。
このとき、操作部支持アーム141及び操作部脚部142の幅を広くし剛性を高くしていることで、ロックアーム12を初期位置に保つ力が強くなり、保持力を高めることができる。また、前述したように、ロックアーム12がロック部脚部152a,152bに加えて操作部脚部142を介して第1ハウジング11と接続される。そのため、ロック状態のときに第1コネクタ10と第2コネクタ20を無理に離そうとしてロック片154がロック突起22に引っ張られた時のロックアーム12にかかる負荷をそれぞれの脚部に分散させることで保持力を高めることができる。
第1コネクタ10と第2コネクタ20のロックを解除する場合、操作ノブ144を押圧操作する。操作ノブ144が押圧操作されたときにロックアーム12は揺動中心Cを中心にロック片154が上昇するよう揺動する。このとき、枠体Fの剛性をロック部支持アーム151の剛性より高くしているため、操作ノブ144の操作に応じて枠体Fが一体に揺動してロック片154がロック突起22より上昇して係合が解除される。仮に、この枠体Fの剛性がロック部支持アーム151a,151bの剛性よりも低いと、操作ノブ144が押圧操作された場合に操作部連結アーム143が撓んでしまい、この枠体を構成するロック片154がロック突起22より上昇できず係合を解除できない可能性がある。そこで、上記のように、枠体Fの剛性をロック部支持アーム151、ロック部脚部152より大きし、係合の解除を確実に行うことができるようにしている。
さらに、本実施形態ではロック部支持アーム151a及びロック部脚部152aとロック部支持アーム151b及びロック部脚部152bの間隔Wが広くなるようロック部支持アーム151とロック部脚部152の幅を小さくし、操作部支持アーム141と操作部脚部142の幅を広げてその剛性をロック部支持アーム151およびロック部脚部152の剛性より高くしているので、ロックアーム12の全体の幅を広くすることなく操作部支持アーム141と操作部脚部142の剛性を高くすることができる。
また、左右の操作部連結アーム143a,143bと左右のロック部連結アーム153a,153bとをそれぞれ接続している連結部16a,16bの前後方向に延在している接続長さL1がロック部連結アーム153を含み、少なくともロック部連結アーム153a,153bの幅と同じか、より大きく形成されているため、枠体Fの剛性をさらに高めることができる。
なお、本開示は一例にすぎず、例えば本実施形態で開示したロックアーム12は左右対称形状であり、操作部連結アーム143a,143b、ロック部支持アーム151a,151b、ロック部連結アーム153a,153b等は同形状で一対をなしている。ただし、一対といえどもその対となる各々は必ずしも同形状、対称形状でなくともよく、本開示の趣旨を保った状態で適宜変更可能であって当業者が容易に想到し得るものは本開示の範囲に含まれる。また、図面で示す各部の幅、厚さ、及び形状等は模式的に表されており、本開示の解釈を限定するものではない。