JP2018194799A - 電子写真感光体 - Google Patents

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和裕 倉持
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Abstract

【課題】本発明は、電気特性と機械的な強度との両立ができ、且つ画像ボケがなく、繊細な画像を得ることができる感光体を提供する。【解決手段】本発明は、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層、および最表面層が、この順に積層された電子写真感光体において、前記最表面層が、無機粒子が酸素欠損型の導電性酸化スズで被覆されてなる複合構造粒子を含み、前記複合構造粒子の、L値が80〜95であり、一次粒子の平均粒径が35〜200nmである、電子写真感光体により、達成できる。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する)に関する。
電子写真の作像プロセスにおける帯電方法として、ローラー等を使用した接触式の帯電方法(以下、ローラー帯電システムともいう)が用いられる。ローラー帯電システムは、ワイヤー等を使用した帯電方式(スコロトロン帯電システム)と比較して、低エネルギーでの帯電や均一帯電が可能であり、多く採用されている帯電方式である。
例えば、特許文献1および2は、ローラー帯電システムを採用しており、紫外線硬化樹脂と反応可能な電荷輸送剤とを反応硬化させて電気特性と強度の両立を試みている。
また、電気特性と機械的な強度の両立を試みる場合、表面層に導電性粒子を添加する検討が多くなされている。ローラー帯電時の放電においては、導電性フィラーは放電の接地点となり、放電による劣化箇所となり得る。放電時の劣化箇所を減少させるために、体積抵抗値が低く粒子径の大きな導電性粒子を添加することで、表面層中の導電性粒子の体積を確保しつつ、放電劣化箇所を低減することができる。粒子径の大きな導電性粒子を使用することで、耐摩耗性は得られるが、潜像のドット径が散り易く、繊細な画像を得ることが困難となる。
例えば、特許文献3においては、大粒径導電性粒子を最表面層に用いている。より具体的に、特許文献3には、数平均一次粒径が50〜500nmの複合硫酸バリウム微粒子を含む表面層を有する電子写真感光体が開示されている。
特開2014−199391号公報 特開2015−099354号公報 特開2014−186192号公報
しかしながら、特許文献3は、潜像形成時のドット径に関する確認はなく、本発明者らの研究により、特許文献3に記載の感光体において、実際の使用時に、潜像のドット径が散り易かったことが分かり、すなわち、特許文献3に記載の感光体は、繊細な画像を得ることが困難である可能性があることが分かった。
そこで本発明は、電気特性と機械的な強度(例えば、耐摩耗性、耐傷性)との両立ができ、且つ画像ボケがなく、繊細な画像を得ることができる感光体を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意研究を積み重ねた。その結果、感光体の最表面層に、特定の複合構造粒子を含有させることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層、および最表面層が、この順に積層され、前記最表面層が、無機粒子が酸素欠損型の導電性酸化スズで被覆されてなる複合構造粒子を含み、前記複合構造粒子の、L値が80〜95であり、一次粒子の平均粒径が35〜200nmである。
本発明によれば、機械的な強度と電気特性との両立ができ、且つ画像ボケがなく、繊細な画像を得ることができる感光体を提供することが可能となる。
本発明の画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。 本発明の画像形成装置を構成する電子写真感光体の層構成の一例を示す部分断面図である。 図1に示す画像形成装置における帯電ローラーの構成の一例を示す説明用断面図である。 本発明の電子写真感光体の最表面層に含有される複合構造粒子の構成およびその製造過程の粒子構造の一例を示す説明用断面図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
{画像形成装置}
本発明の一実施形態の画像形成装置は、以下に示す構成を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電させるための帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成するための露光手段と、
静電潜像が形成された前記電子写真感光体にトナーを供給してトナー像を形成するための現像手段と、
前記電子写真感光体の表面の前記トナー像を記録媒体に転写するための転写手段と、
を有する、画像形成装置であって、
前記帯電手段は、前記電子写真感光体の表面に近接(接触する形態を含む)して、帯電電圧を印加するための近接帯電方式の帯電手段(上記ローラー帯電システム)であることを特徴とするものである。
かかる構成を有することにより、放電時の感光体の放電劣化を抑制し、機械的な強度に優れ、且つ良好な画像を作像できる点で優れている。
本発明の画像形成装置においては、電子写真感光体の表面を負帯電させる近接帯電方式の帯電手段(ローラー帯電システム)が用いられる。このような近接帯電方式の帯電手段(ローラー帯電システム)を有する画像形成装置においては、当該帯電手段である帯電ローラーが感光体に接触して設けられる構成であっても、近接して設けられる構成であってもよい。
図1は、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。図1に示す画像形成装置では、静電潜像担持体であるドラム状の感光体10と、トナーと同極性のコロナ放電などによって当該感光体10の表面を一様に負帯電させる帯電ローラー11およびこれを清掃する清掃ローラー15を備える近接帯電方式の帯電手段と、一様に帯電された感光体10の表面上にポリゴンミラーなどによって画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる露光手段12と、回転する現像スリーブ13aを備え、これの上に保持されたトナーを感光体10の表面に搬送して前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する現像手段13と、当該トナー像を必要に応じて転写材Pに転写する転写手段14と、転写材P上のトナー像を定着させる定着手段17と、感光体10上の残留トナーを除去するクリーニングブレード18aを有するクリーニング手段18とを有するものである。
《電子写真感光体》
本発明の一実施形態の電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層、および最表面層が、この順に積層された電子写真感光体において、
前記最表面層が、無機粒子が酸素欠損型の導電性酸化スズで被覆されてなる複合構造粒子を含み、
前記複合構造粒子の、L値が80〜95であり、一次粒子の平均粒径が35〜200nmである。このような構成とすることにより、機械的な強度と電気特性との両立ができ、且つ画像ボケがなく、繊細な画像を得ることができる感光体を提供できる。また、本発明の感光体は、高いクリーニング性も有する。本明細書において、「クリーニング性」とは、感光体の表面からのトナー由来の付着物の除去されやすさを意味する。また、「機械的強度」は、実施例で行う「クリーニング性」評価によって判断できる。すなわち、クリーニング性が優れれば優れるほど、電子写真感光体の表面に傷が入り難くなり、トナーのすり抜け等の不具合が発生しなくなり、機械的強度が優れるといえる。
なぜ、本発明の電子写真感光体により、上記の効果が得られるのか、その発現機構や作用機構(メカニズム)については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明は、放電劣化に強く(すなわち、「電気特性」に優れる)、機械的な強度に優れ、良好な画質を作像できる感光体を提供できる。放電に対して耐性を持たせるために、光重合反応を用いた硬化膜と機械的強度を付与するための無機粒子を添加するが、無機粒子は同時に電気特性を担う必要があり、導電性を有する必要がある。本発明では、無機粒子に導電性を付与させるために、無機粒子を酸化スズで被覆している。
また、本発明者らは、無機粒子への導電性の付与として、コア−シェル構造を取ることが好ましいと考えた。電荷は導電性粒子内も含め粒子全体で保持されるために、導電性粒子内部に存在する負電荷を正電荷はキャンセルすることができない。このため、導電性粒子内でも導電性粒子表面部に負電荷が存在することが好ましい。そこで、コア部は可能な限り絶縁性が良く、シェル部に導電性が付与されると好ましい導電性粒子の構成となる。かようなコア−シェル構造を有する導電性粒子は、「複合構造粒子」とも称する。
複合構造粒子を含有する最表面層において、電気特性を維持し、ACローラー帯電特有の放電点を減少させるためには、複合構造粒子径を35〜200nmにし、複合構造粒子の添加量を低減することで、放電点箇所を減少させることができる。ただし、この場合、個数が減少するため、電気特性を維持するためには、複合構造粒子の粉体抵抗を下げて、最表面層としての抵抗を下げる必要がある。こういった性質の膜では、潜像形成時ドットが散り易く、繊細な画像を形成することができない。この課題を解決するために、本発明者らの鋭意研究により、無機粒子を被覆する酸化スズの体積抵抗(率)を調整する必要があり、手段として酸化スズを酸素欠損させるにより、一定範囲の体積抵抗を調整した複合構造粒子を添加することで解決できることが見出された。すなわち、一定範囲の体積抵抗を有する酸素欠損型の導電性酸化スズで無機粒子を被覆する複合構造粒子を添加することによって、解決できることが見出された。そこで、本発明者らは、係る一定範囲の体積抵抗を有する複合構造粒子をより定性的且つ定量的で表現するために、「L値」を採用した。すなわち、L値が80〜95である複合構造粒子を用いることで上記課題を解決できることが分かった。この「L値」は、導電性酸化スズの色の明るさを表し、本発明において、当該導電性酸化スズの酸素欠損量を表す指標として用いられる。なお、本発明において、導電性酸化スズは、複合構造粒子のシェル層を形成するため、ここでいう導電性酸化スズの物性(例えば、L値、酸素量、酸素欠損量など)は、当該導電性酸化スズを形成する複合構造粒子の物性にも相当する。
これにより。本発明では、上記の複合構造粒子を用いることで、ローラー帯電時における放電劣化を抑制し、機械的な強度と電気特性との両立ができ、且つ画像ボケがなく、繊細な画像を得ることができる感光体を提供することができる。
以下、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
本発明の層構成を有する電子写真感光体としては、例えば、図2に示されるように、導電性支持体10a上に、中間層10b、電荷発生層10c、電荷輸送層10dおよび最表面層10eがこの順に積層されて感光体10が形成されてなる。電荷発生層10cおよび電荷輸送層10dから感光体の構成に必要不可欠な感光層10fが構成されている。最表面層10e中には、無機粒子が酸素欠損型の導電性酸化スズで被覆されてなる複合構造粒子が含有されている。
<最表面層>
本発明の電子写真感光体の最表面を構成する層(すなわち、最表面層)は、無機粒子が酸素欠損型の導電性酸化スズで被覆されてなる複合構造粒子を必須に含む。また、必要に応じて、例えば後述する樹脂バインダを含み得る。以下、最表面層の各構成成分について、説明する。
〔複合構造粒子〕
本発明において、最表面層に含まれる複合構造粒子は、コア(「芯材」とも称する)が無機粒子であり、前記無機粒子が酸素欠損型の導電性酸化スズで被覆されてなるものである。
(無機粒子)
本発明に係る複合構造粒子のコアは、無機粒子である。コアに無機粒子を用いることにより、最表面層に機械的強度を付与し、表面硬度を高めることができ、最表面層の耐摩耗性や耐傷性が向上する。更に、最表面層の表面における残留電位の上昇や画像メモリの発生を抑制することができるものが好ましい。加えて、該無機粒子は比誘電率が小さく、静電特性の観点から、最表面層の帯電性を確保することができるという利点を有するものが好ましい。さらに、比重が小さく、塗布液中で沈降せず、最表面層の製造安定性を向上させることができるものが好ましい。前記無機粒子としては、上記したように機械的強度を付与する等の観点から、例えば、硫酸バリウム(BaSO)、二酸化ケイ素(シリカ;SiO)、酸化アルミニウム(アルミナ;Al)、酸化チタン(チタニア;TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅(CuO)、酸化セリウム(セリア;CeO)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら無機粒子は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。好ましくは、以下に説明するようなものが好ましい。すなわち、複合構造粒子は、n型導電性を示す導電性粒子である。n型の導電性粒子内部の負電荷を正電荷はキャンセルすることができない。このために、導電性粒子上の電荷は導電性粒子表面で担持する必要がある。このため、複合構造粒子に用いられるコアは導電性を有しない無機粒子が好ましく、かつ最表面層成膜後の透明性の観点から、前記無機粒子が、BaSO、SiOおよびAlからなる群より選択される一つであることが好ましい。ここでいう「導電性を有しない」とは、抵抗率が、例えば、1012Ω・cm以上であることを言う。なお、コアである無機粒子の抵抗率は、後述する複合構造粒子の体積抵抗率と同様にして測定することができる。
前記コアである無機粒子の一次粒子の平均粒径は、上記したように機械的強度を付与し、更に電気特性を維持し、放電点を減少させるために粒子径の大きな粒子をいれ、放電点箇所を減少させるという観点から、好ましくは10〜200nm、より好ましくは15〜150nm、さらに好ましくは30〜120nm、特に好ましくは50〜100nmの範囲である。10nm以上であれば、感光体の最表面層中に含有される無機粒子の量が多くなりすぎることもなく(樹脂バインダ100質量部に対して無機粒子を芯材とする複合構造粒子50〜250質量部の範囲において)、放電点箇所を減少させることができる。このため、放電に対して十分な膜強度を付与することができる点で優れている。無機粒子の一次粒子の平均粒径が200nm以下であれば、感光体の最表面層中の無機粒子の含有量が少なくなりすぎることもなく、感光体としての電気特性を十分に満足することができる点で優れている。なお、該一次粒子の平均粒径(平均一次粒子径)は、レーザー回析法による粒子の体積基準粒子径測定により測定することができる。また、他の粒子、例えば、複合構造粒子等の一次粒子の平均粒径(平均一次粒子径)も、上記と同様にして測定することができる。
本発明において、無機粒子の含有量は、複合構造粒子全量に対して、20〜90質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。この範囲であれば、本発明の効果をより効率的に得ることができる。なお、ここでいう「複合構造粒子」は、感光体の最表面層に含有されてなる形態を指すものとする。例えば、後述する表面処理および/またはフッ素樹脂被覆がなされた場合には、表面処理および/またはフッ素樹脂被覆された複合構造粒子が対象となる。また、これらの表面処理および/またはフッ素樹脂被覆がなされていない場合には、表面処理および/またはフッ素樹脂被覆がなされていない複合構造粒子が対象となる。
(導電性酸化スズ)
本発明において、無機粒子を導電性酸化スズで被覆することによって、複合構造粒子となる。係る導電性酸化スズは、酸素欠損型であり、すなわち、複合構造粒子のL値が80〜95の範囲をとる導電性酸化スズであればよい。
酸素欠損型の導電性酸化スズは、例えば、後述する複合構造粒子を製造する際に、スズ源化合物をコアの無機粒子を被覆した後に、焼成することによって製造することができる。
(複合構造粒子の製造)
本発明において、複合構造粒子の製造方法として、特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができる。例えば、以下の方法によって製造できる。
まず、コアとしての無機粒子を媒体中に分散させてスラリーを調製する。ここで、コアとしては、先に説明した無機粒子を用いることができる。また、媒体としては、コアの種類や、スズ源化合物の被覆層を形成するときの反応等に応じて適切な液体が選択される。一般的には水が用いられる。
スラリーにおける媒体とコアとの配合比率は、媒体1リットルに対してコアが40g以上250g以下、特に50g以上200g以下であることが好ましい。両者の配合比率がこの範囲内にあると、コアの表面にスズ源化合物の均一な被覆層が容易に形成されるからである。
得られたスラリーに、スズ源化合物を添加する。スズ源化合物としては、コアの表面にスズを含む沈殿物を付着させることができるものであればよく、特に限定されず、例えば、スズ酸ナトリウム、四塩化スズ、スズ酸カリウム、および四臭化スズなどの水溶液スズ化合物が好適に用いられる。
スラリーにおける媒体とスズ源化合物との配合比率は、媒体100質量部に対するスズ源化合物中のSn量が1質量部以上20質量部以下、特に3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。両者の配合比率がこの範囲内にあると、コアの表面にスズを含む沈殿物の均一な被覆層が容易に形成されるので好ましい。
次に、スズ源化合物を添加した混合スラリーのpH調整を行う。pH調整は、酸又は塩基を添加することで行う。このpH調整によってスズ源化合物の中和反応を行う。中和反応を行う方法としては、スラリーに酸性物質や塩基性物質を添加する方法が挙げられる。酸性物質としては、例えば硫酸、硝酸、酢酸等が挙げられる。硫酸を用いる場合には、希硫酸の状態で用いると、均一な酸化スズの被覆物又は被覆層が得られ易い。希硫酸の濃度は、通常10〜50容量%である。塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、アンモニア水等が挙げられる。これらのうち、水酸化ナトリウムは濃度を管理し易いので好ましい。スズ源化合物の中和反応によって、前記芯材の表面にスズを含む沈殿物が生成し、沈殿物付着粒子が得られる。調整後の混合スラリーのpHは、好ましくは0.5以上5以下であり、更に好ましくは2以上4以下であり、一層好ましくは2以上3以下である。
次に、生成した複合構造粒子の前駆体を、水で洗浄し、乾燥する。そして、乾燥した導電性粒子の前駆体を焼成する。この場合、酸素欠損型の導電性酸化スズを生成させる場合には、焼成雰囲気として非酸化性雰囲気中を用いることが有利である。非酸化性雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気、爆発限界未満の濃度の水素を含有した窒素雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気等が挙げられる。このうち、水素を含有した窒素雰囲気は安価なので工業的観点から好ましい。水素を含有した窒素雰囲気を用いる場合、水素の濃度は、爆発限界未満の濃度である好ましくは0.1体積%以上10体積%以下、更に好ましくは1体積%以上3体積%以下である。水素の濃度がこの範囲内にあると、スズを金属に還元させることなく、酸素欠損を有する導電性酸化スズの被覆層を形成し易いためである。
焼成温度は、好ましくは300℃以上800℃以下、より好ましくは400℃以上700℃以下である。焼成時間は、好ましくは20分以上120分以下、より好ましくは30分以上100分以下である。焼成温度および時間がこれらの範囲内にあると、酸化スズに酸素欠損を生じさせるのに十分であり、かつ凝集を起こし難いからである。この焼成を行うことによって、目的とする複合構造粒子が得られる。
本発明において、複合構造粒子のL値は、80〜95であり、本発明の効果をより発揮させる観点から、好ましくは85〜90である。L値の測定は、実施例で示す方法によって達成できる。また、本発明の感光体において、上記範囲のL値を有する複合構造粒子を含む最表面層を形成した後に、破壊検査によってもL値を測定することができる。
すなわち、回転治具を備えた駆動機に感光体をセットし、粗さ3μmのラッピングフィルムを押し当て、200rpmの回転速度で、感光体を1時間駆動させる。駆動後、感光体表面から得られた最表面層の摩耗粉を採取し、実施例で示す測定方法によって、係る複合構造粒子のL値を測定することができる。
なお、基本的に、複合構造粒子のL値は、材料の状態、感光体表面層の状態、再表面層から摩耗粉になった状態で変化がないものとする。
本発明において、複合構造粒子の体積抵抗率は、25℃において、10〜10[Ω・cm]であることが好ましく、10〜10[Ω・cm]であることがより好ましい。体積抵抗率を上記範囲とすることによって、感光体として必要とされる電気特性を満たすことができ、また画像ボケがなく、繊細な画像を得ることができる。
体積抵抗の測定は、例えば、圧粉抵抗測定システム(三菱化学PD−41)と抵抗率測定器(三菱化学MCP−T600)を用いて行う。試料(複合構造粒子)15gをプローブシリンダへ投入し、プローブユニットをPD−41へセットする。油圧ジャッキによって500kgf/cmの圧力を印加したときの抵抗値を、MCP−T600を用いて測定する。測定した抵抗値と試料厚みから、圧粉抵抗(体積抵抗率)を算出する。測定のタイミングとしては、感光体の最表面層に含有される複合構造粒子の形態について行えばよい。例えば、表面処理および/またはフッ素樹脂被覆を行わない場合には、これらの処理を行っていない複合構造粒子形成後に測定を行えばよい。また複合構造粒子形成後に表面処理(シランカップリング剤処理)および/またはフッ素樹脂被覆を行う場合には、表面処理(シランカップリング剤処理)および/またはフッ素樹脂被覆後に測定を行えばよい。測定方法はどちらの形態であっても変わらずに行うことができる。
本発明において、複合構造粒子の一次粒子の平均粒径は、上記したように機械的強度を付与し、更に電気特性を維持し、放電点を減少させるために粒子径の大きな粒子をいれ、放電点箇所を減少させるという観点から、35〜200nmであり、好ましくは50〜200nmであり、より好ましくは80〜150nmであり、特に好ましくは100〜120nmである。複合構造粒子の一次粒子の平均粒径が35nm未満になると、感光体の最表面層中に含有される複合構造粒子の量が多く存在し、放電点が多く存在することになる。このため、放電に対して膜(最表面層)強度が劣化することになる。複合構造粒子の一次粒子の平均粒径が200nmを超えると、最表面層中の複合構造粒子の含有量が少なくなり、感光体としての電気特性を満足することができなくなる。また、当該一次粒子の平均粒径(平均一次粒子径)の測定は、後述する表面処理および/またはフッ素樹脂被覆の有無に関わらず、これら表面処理および/またはフッ素樹脂被覆を施していない状態の複合構造粒子につき測定を行うものとする。なお、複合構造粒子は、後述する表面処理および/またはフッ素樹脂被覆を施しても、複合構造粒子に対して誤差範囲の厚さ(大体、複合構造粒子径に対して1/10000程度の厚さ)になると考えられ、このため、表面処理および/またはフッ素樹脂被覆を施すことによっては、平均一次粒子径の変化がないとする。
感光体の最表面層を分析して、無機粒子の一次粒子の平均粒径(数平均一次粒径)を算出する場合には、以下により算出することができる。感光体の最表面層の切断面を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の複合構造粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除く)を自動画像処理解析装置 LUZEX AP(株式会社ニレコ製)、およびソフトウエアバージョン Ver.1.32を使用して算出することができる。この場合にも、当該一次粒子の平均粒径(数平均一次粒径)の測定は、表面処理および/またはフッ素樹脂被覆の有無に関わらず、これら表面処理および/またはフッ素樹脂被覆による処理膜乃至被覆膜(有機物)部分を含まない複合構造粒子(無機物)につき測定を行うものとする。
(表面処理剤で表面処理された複合構造粒子)
本発明において、複合構造粒子は、分散性の観点から表面処理剤で表面処理されたものであることが好ましく、さらに反応性有機基を有する表面処理剤で表面処理されたものであることがより好ましい。
導電性酸化スズ中の酸素量を制御する場合、導電性酸化スズ表面のヒドロキシ基量が変動する。導電性酸化スズ表面のヒドロキシ基は、表面処理剤の結合点となり得るため、ヒドロキシ基の変動により、十分な表面処理が施されない可能性がある。表面処理剤は光硬化反応時の反応点となり、最表面層の硬度向上の寄与に加え、溶媒への親和性を高め、粒子の分散性の確保に寄与している。
表面処理剤としては、処理前の複合構造粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応する表面処理剤を用いることが好ましく、これらの表面処理剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、本発明においては、感光体の最表面層の硬度をさらに高める目的で、反応性有機基を有する表面処理剤を用いることが好ましく、反応性有機基が重合性の反応基であるものを用いることがより好ましい。重合性の反応基を有する表面処理剤を用いることにより、樹脂バインダが下記の重合性化合物の重合硬化物(硬化樹脂)である場合に当該重合性化合物とも反応するために強固な保護膜を形成することができる。
重合性の反応基を有する表面処理剤としては、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するシランカップリング剤が好ましい。すなわち、本発明に係る複合構造粒子は、アクリロイルまたはメタクリロイル基を含有するシランカップリング剤で表面処理されてなるものが好ましい。アクリロイルまたはメタクリロイル基を含有するシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理を施すことで、樹脂バインダと表面処理剤を介して、複合構造粒子が共有結合にて結合し、強固な最表面層を形成することができる。
アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、下記に記すような化合物が例示される。
表面処理剤としては、上記化学式S1からS27以外にも、重合反応を行うことができる反応性有機基を有するシラン化合物を用いることができる。これらの表面処理剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、かような表面処理剤は、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製のシランカップリング剤KBM−502、KBM−503、KMB−5103、KBE−503等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
表面処理剤の使用量は、特に制限されないが、処理前の複合構造粒子100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜6質量部であることがより好ましい。すなわち、前記複合構造粒子は、処理前の複合構造粒子100質量部に対して0.5〜10質量部の範囲の表面処理剤で表面処理(表面処理膜形成)されているのが好ましいといえる。さらに、前記複合構造粒子は、処理前の複合構造粒子100質量部に対して1〜6質量部の範囲の重合性の反応基を有する表面処理剤で表面処理(表面処理膜形成)されているのがより好ましい。この範囲であれば、本発明の効果をより効率的に得ることができる。重合性の反応基を有する表面処理剤が処理前の複合構造粒子100質量部に対して0.5質量部以上であれば、硬化時に樹脂バインダと複合構造粒子との間に架橋構造を形成することができ好ましい。一方、重合性の反応基を有する表面処理剤が処理前の複合構造粒子100質量部に対して10質量部以下であれば、余剰な表面処理剤が表面層中に残存せず、画質に影響を与えることがなく好ましい。なお、「処理前の複合構造粒子」とは、表面処理剤やフッ素樹脂等による表面処理や被覆を行っていない状態の複合構造粒子をいう。また、シランカップリング剤(表面処理剤)やフッ素樹脂およびその使用量(シランカップリング剤やフッ素樹脂由来の表面処理膜やフッ素樹脂膜の含有量)は、感光体の最表面層を剥離し、X線光電子分光法を用いて分析することができる。
複合構造粒子の表面処理は、特に限定されず、公知の方法によって行うことができ、湿式または乾式の表面処理方法を採用することができる。乾式の表面処理方法は、被処理粒子(すなわち、表面処理前の複合構造粒子)を攪拌などによりクラウド状に分散させたものに、有機表面処理剤を溶媒に溶解させた表面処理用溶液を噴霧する、あるいは気化した表面処理用溶液を接触させて付着させる方法である。また、湿式の表面処理方法は、例えば、有機表面処理剤を有機溶媒に溶解または分散させた表面処理用溶液に、被処理粒子を添加して混合・攪拌する、または、被処理粒子を表面処理用溶液中に分散させ、その中に有機表面処理剤を滴下して付着させ、攪拌処理を行う方法である。その後、得られた分散液から溶媒を減圧留去などによって除去し、得られた粒子を加熱・乾燥することによって、表面処理された複合構造粒子を得ることができる。これらのうち、煩雑さが低いことから、湿式の表面処理を行うことが好ましい。
また、表面処理用溶液を調製するための溶媒としては、有機溶媒を用いることが好ましく、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノールなどのアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。
湿式の表面処理方法における混合・攪拌は、被処理粒子が十分に分散されるまで適宜行えばよい。また、処理の際の温度は、15〜100℃程度であることが好ましく、20〜50℃がより好ましい。処理時間は、30秒〜10時間であることが好ましく、1分〜5時間がより好ましい。また、加熱・乾燥の際の温度は、例えば80〜220℃、好ましくは100〜150℃とすることができる。加熱・乾燥の時間は特に限定されず、例えば0.5〜10時間が好ましく、より好ましくは1〜5時間である。なお、これらの条件は一例であり、処理装置によって変動する場合があるため、必ずしも上記の範囲で実施しなくともよい。
湿式の表面処理方法において、表面処理剤(例えば、シランカップリング剤)の使用量は、その種類によって異なるが、例えば、被処理粒子100質量部に対して、表面処理剤0.1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部を使用することができる。溶媒の添加量は、被処理粒子100質量部に対して100〜600質量部、より好ましくは200〜500質量部であることが好ましい。
また、混合・攪拌の手段は、特に限定されず、公知の方法を採用し得る。例えば、チャンバー付きのミキサーなどによって達成できる。
(フッ素樹脂で被覆された複合構造粒子)
本発明において、複合構造粒子は、フッ素樹脂で被覆されたものであることが好ましく、さらに前記表面処理剤で表面処理後に、フッ素樹脂で被覆されたものであることがより好ましい。界面活性剤として効果の期待できるフッ素樹脂処理を表面へ施すことで、最表面層内での均一な分散性を発現することができる。また、フッ素樹脂を施すことで粒子そのものの摩擦抵抗が低下し、フッ素樹脂系の表面処理を実施しない場合と比較して、耐久を通して、最表面層内に常に高いクリーニング性機能を発現、維持させることができる。
フッ素樹脂としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、特開2002−146271号公報に記載のフルオロ脂肪族基含有不飽和エステルモノマーおよび不飽和シランモノマーを含むモノマーを共重合させた共重合体の形態(フッ素樹脂の形態)で用いてもよいし、当該共重合体を含むコーティング組成物の形態(コーティング剤の形態)で用いてもよい。或いは、特開2013−028807号公報に記載のフルオロアルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマーの形態(フッ素樹脂の形態)で用いてもよいし、当該コポリマーと、部分的にフッ素化された溶媒とを含むコーティング組成物の形態(コーティング剤の形態)で用いてもよい。この際、前記フルオロアルキル基は6個以下の炭素原子を有するものであり、そして前記フルオロアルキル基がペルフルオロアルキル基である場合には前記コポリマーは5重量%以下の(メタ)アクリル酸を含むもの等を用いることができる。これらのフッ素樹脂或いはコーティング剤の形態に含まれるフッ素樹脂としては、フルオロアルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマーのように、フッ素化メタクリル酸ポリマーセグメントを含むものが好ましい。これは、フッ素樹脂がフッ素化メタクリル酸ポリマーセグメントを含むことで、上記した複合構造粒子のフッ素樹脂による被覆効果をより一層向上し得るためである。ただし、本発明で用いられるフッ素樹脂(コーティング剤の形態を含む)は、上記したものに何ら制限されるものではない。こうしたフッ素樹脂(コーティング剤の形態を含む)は、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、3M社製のフッ素系コーティング剤Novec(登録商標)2702、Novec1700、Novec1720等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。フッ素系コーティング剤Novec(登録商標)2702等のフッ素樹脂(コーティング剤)は、上記したようにフッ素樹脂以外に溶媒を含むものであるが、実施例で示すように複合構造粒子とフッ素樹脂(Novec(登録商標)2702等)とを混合(=乾燥、溶媒除去もなされる)することで、複合構造粒子にフッ素樹脂を被覆(フッ素樹脂膜形成)することができるものである。
フッ素樹脂(コーティング剤の形態を含む)の使用量(固形分の使用量)は、特に制限されないが、処理前の複合構造粒子100質量部に対して1〜10質量部の範囲が好ましく、3〜6質量部の範囲がより好ましい。すなわち、前記複合構造粒子は、処理前の複合構造粒子100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部の範囲、より好ましくは3〜6質量部の範囲のフッ素樹脂で被覆(フッ素樹脂膜形成)されてなるものが好ましいといえる。この範囲であれば、本発明の効果をより効率的に得ることができる。フッ素樹脂が「処理前の複合構造粒子」100質量部に対して1質量部以上であれば、複合構造粒子の表面被覆性が十分に得られ、放電時の複合構造粒子表面の親水化を抑制することができる。そのため、高温高湿環境下でも、電荷の保持が十分にでき良好な画像を形成することができる。また、10質量部以下であれば、複合構造粒子への被覆性が十分に得られ、絶縁性の高いフッ素樹脂による電荷の通過性の悪化を効果的に抑制することができる。そのため、感光体露光後に必要な電位を十分に得ることができ良好な画像を形成することができる。なお、「処理前の複合構造粒子」とは、フッ素樹脂で被覆されていない状態の複合構造粒子であり、すなわち、そのままの無機粒子が酸素欠損型の導電性酸化スズで被覆されてなる複合構造粒子であればよく、さらに当該複合構造粒子が表面処理剤で表面処理されてなるものであってもよい。
複合構造粒子のフッ素樹脂による表面処理としては、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、特開2002−146271号公報に記載のコーティング組成物(フッ素樹脂の形態やコーティング剤の形態で)の塗布方法(コーティング方法)を用いてもよいし、特開2013−028807号公報に記載のコーティング組成物(フッ素樹脂の形態やコーティング剤の形態で)のコーティング方法を用いてもよい。
(複合構造粒子の構成)
図4は、本発明の画像形成装置を構成する電子写真感光体の最表面を構成する層に含有される複合構造粒子の構成およびその製造過程の粒子構造の一例を示す説明用断面図である。図4(a)は、複合構造粒子の製造過程で準備されるコアである無機粒子構造の一例を示す説明用断面図である。図4(b)は、図4(a)の無機粒子が酸素欠損型の導電性酸化スズで被覆された複合構造粒子の構造の一例を示す説明用断面図である。図4(c)は、図4(b)の複合構造粒子が、表面処理剤で表面処理されてなる複合構造粒子の構造の一例を示す説明用断面図である。図4(d)は、図4(c)の表面処理剤で表面処理された複合構造粒子が、フッ素樹脂で被覆されてなる複合構造粒子の構造の一例を示す説明用断面図である。図4(a)は、コアに用いる無機粒子21の断面を示す。図4(b)に示す形態では、コア(無機粒子)21が、酸素欠損型の導電性酸化スズ23で被覆されてなる複合構造粒子25断面を示す。本発明の複合構造粒子は、図4(b)に示す形態のように、必ずしもコア(無機粒子)21表面全体が酸素欠損型の導電性酸化スズ23で被覆されていなくてもよい。本発明では、当該複合構造粒子25を感光体の最表面層に含有させてもよいし、以下の表面処理された複合構造粒子を含有させてもよい。図4(c)に示す形態では、図4(b)の複合構造粒子25表面が表面処理剤で表面処理された複合構造粒子25a断面を示す。上記複合構造粒子25表面には、無機粒子21を酸素欠損型の導電性酸化スズ23表面のほか、無機粒子21表面(酸素欠損型の導電性酸化スズ23被覆物(粒状物)同士の隙間等)も含まれる。上記の表面処理により、複合構造粒子25(無機粒子21、更には無機粒子21を被覆する酸素欠損型の導電性酸化スズ23)表面が、上記表面処理剤により被覆(表面処理膜27形成)されている。図4(d)に示す形態では、図4(c)の表面処理された複合構造粒子25a(4(c)の表面処理された無機粒子21、さらには4(c)の表面処理された酸素欠損型の導電性酸化スズ23の表面等)がフッ素樹脂で被覆された複合構造粒子25b断面を示す。フッ素樹脂被覆により、4(c)の表面処理された複合構造粒子25a表面(4(c)の表面処理された無機粒子21、さらには4(c)の表面処理された酸素欠損型の導電性酸化スズ23の表面等)が、上記フッ素樹脂により被覆(フッ素樹脂膜29形成)されている。無機粒子21と、酸素欠損型の導電性酸化スズ23被覆物(粒状物)23の大きさの比率は、実施例で用いた実際のものとほぼ同じ大きさの比率としている。
〔樹脂バインダ〕
本発明の感光体の最表面層は、複合構造粒子に加えて、さらに樹脂バインダを含有することが好ましい。樹脂バインダを含有する場合、前記複合構造粒子の含有量が、当該樹脂バインダ100質量部に対して、50〜250質量部の範囲であることが好ましく、70〜200質量部の範囲であることがより好ましい。かような範囲であれば、本発明の効果をより効率的に得ることができる。樹脂バインダに対して複合構造粒子が50質量部以上であれば、放電に対して十分な耐性が得られる。更に最表面層中の電荷の経路となる導電性部(=複合構造粒子)の存在が少なくなりすぎることもなく、電荷の通過性が悪化するのを効果的に防止することができ、露光後に必要な電位を得ることができる。一方、250質量部以下であれば、複合構造粒子が最表面層中に多く存在しすぎることもなく、放電時の放電点の個数の増大を抑制し、放電に対する耐性の低下を効果的に防止することができる。なお、ここでいう「複合構造粒子」は、感光体の最表面層に含有されてなる形態を指すものとする。例えば、上述した表面処理および/またはフッ素樹脂被覆がなされた場合には、表面処理および/またはフッ素樹脂被覆された複合構造粒子が対象となる。また、これらの表面処理および/またはフッ素樹脂被覆がなされていない場合には、表面処理および/またはフッ素樹脂被覆がなされていない複合構造粒子が対象となる。
樹脂バインダは、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、またはこれらの硬化樹脂であることが好ましく、特に、高い膜強度が得られることから、光硬化性樹脂およびそれらが重合反応することによって得られる硬化樹脂であることがより好ましい。
より具体的に、樹脂バインダとしては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂を用いる場合は、ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。また、光硬化性樹脂を用いる場合は、2個以上のラジカル重合性官能基を有する化合物(以下、「多官能ラジカル重合性化合物」または「重合性化合物」ともいう。)を、紫外線や電子線などの活性線の照射等により重合反応することによって得られる硬化樹脂(=重合性化合物の重合硬化物)であることが好ましい。樹脂バインダとして、重合性化合物の重合硬化物であることは、各樹脂バインダ(原料の各重合性化合物)同士が、硬化時に共有結合によって接続され、最表面層膜として強固な膜質を形成することができるためである。こうして得られる膜は、三次元架橋構造を有しており、二次元の熱可塑性樹脂による最表面層と違って、放電に対する耐性、および物理的な耐傷性を有することができる。樹脂バインダとして挙げた上記のものは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(多官能ラジカル重合性化合物)
多官能ラジカル重合性化合物(重合性化合物)としては、少ない光量あるいは短い時間での硬化が可能であることから、ラジカル重合性官能基としてアクリロイル基(CH=CHCO−)またはメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を2個以上有するアクリル系モノマーまたはこれらのオリゴマーであることが特に好ましい。従って、硬化樹脂(重合硬化物)としてはアクリル系モノマーまたはそのオリゴマーにより形成されるアクリル樹脂であることが好ましい。
これらの多官能ラジカル重合性化合物(重合性化合物)としては、例えば以下の化合物を例示することができる。
ただし、上記の例示化合物M1〜M15を示す化学式において、Rはアクリロイル基(CH=CHCO−)を示し、R’はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を示す。
(重合開始剤)
重合開始剤は、上記多官能ラジカル重合性化合物を重合反応することによって得られる硬化樹脂(樹脂バインダ)を製造する過程で使用されるものである。重合開始剤は、多官能ラジカル重合性化合物の重合反応を開始させるラジカル重合開始剤であって、熱重合開始剤や光重合開始剤などが挙げられる。
多官能ラジカル重合性化合物を重合反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法や、ラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法などを採用することができる。
熱重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルアゾビスバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物;過酸化ベンゾイル(BPO)、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物などが挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(「イルガキュアー369」(BASFジャパン社製))、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(「イルガキュアー819」(BASFジャパン社製))、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独で、または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。光重合促進効果を有するものとしては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エーテル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エーテル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
重合開始剤としては、光重合開始剤を用いることが好ましく、アルキルフェノン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物を用いることがより好ましく、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、あるいはアシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤を用いることがさらに好ましい。
これらの重合開始剤は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の使用割合は、多官能ラジカル重合性化合物100質量部に対して0.1〜40質量部であり、好ましくは0.5〜20質量部である。
本発明の感光体の最表面層には、上述のような複合構造粒子と樹脂バインダの他に、必要に応じて電荷輸送物質、有機微粒子、滑剤粒子などが含有されていてもよい。なお、電荷輸送物質、有機微粒子、および滑剤粒子などの添加物としては、特に限定されず、公知のものが使用されうる。
〔最表面層の形成方法〕
本発明の感光体の最表面層は、複合構造粒子、および必要に応じて重合性化合物(樹脂バインダである硬化樹脂の原料)、重合開始剤等を溶媒中で混合した塗布液(最表面層用塗布液)を作製し、該塗布液を後述する電荷輸送層の上に塗布した後、乾燥および硬化させることにより形成することができる。
上記塗布、乾燥、および硬化の過程で、重合性化合物間の反応、重合性化合物と複合構造粒子の水酸基(反応基)や表面処理剤等で表面処理された複合構造粒子の重合性の反応基との間の反応、表面処理された複合構造粒子間の反応等が進行し、最表面層が形成される。
最表面層用塗布液に用いられる溶媒としては、複合構造粒子、および必要に応じて添加される重合性化合物(樹脂バインダである硬化樹脂の原料)、重合開始剤、電荷輸送剤、有機微粒子等を溶解または分散させることができれば、いずれのものでも使用できる。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール(2−ブタノール)、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エーテル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら溶媒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
塗布液の調製方法も、特に制限はなく、複合構造粒子、および必要に応じて重合性化合物(樹脂バインダである硬化樹脂の原料)、重合開始剤などの各種添加剤を溶媒に加えて、溶解または分散するまで攪拌混合すればよい。また、溶媒の量も特に制限はなく、塗布液が塗布作業に適した粘度になるように適宜調整すればよい。
塗布方法は、特に制限されず、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法を用いることができる。
なお、上述した光硬化性樹脂バインダを添加する場合、塗布液を調製する際に遮光で行うことが好ましい。
上記塗布液を塗布した後は、自然乾燥または熱乾燥を行い、塗膜を形成した後、重合性化合物を用いる場合には、活性エネルギー線を照射して硬化し、単量体成分として重合性化合物(更には複合構造粒子の表面処理に用いた表面処理剤やフッ素樹脂)を含む樹脂成分を生成させる。活性エネルギー線としては紫外線や電子線がより好ましく、紫外線がさらに好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、紫外線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜100mJ/cmである。光源の出力は、好ましくは0.1〜5kWであり、より好ましくは、0.5〜3kWである。
電子線源として用いられる電子線照射装置としては、特に制限はなく、一般には、電子線照射用の電子線加速機として比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式の装置が好適に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVであることが好ましい。吸収線量としては、0.5〜10Mradであることが好ましい。
必要な活性エネルギー線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜10分が好ましく、作業効率の観点から0.1秒〜5分がより好ましい。
感光体の最表面層を形成する過程においては、活性エネルギー線を照射する前後や、活性エネルギー線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などによって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは20〜180℃であり、より好ましくは80〜140℃である。乾燥時間は、好ましくは1〜200分であり、より好ましくは5〜100分である。
感光体の最表面層の膜厚は、好ましくは1〜10μmであり、より好ましくは1.5〜5μmである。
以下に、感光体の最表面層以外の電子写真感光体の構成を説明する。
本発明において、電子写真感光体は、電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能および電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物等に持たせて構成された電子写真感光体であり、公知の有機電荷発生物質または有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とを高分子錯体で構成した感光体等公知の感光体を全て包含する。
本発明の感光体は、導電性支持体上に、感光層として電荷発生層および電荷輸送層を、前記感光層の上部に最表面層を、それぞれ順次積層した層構成を有するものである。また、導電性支持体と電荷発生層との間には、中間層を有することが好ましい。
上記で示した層構成を中心に、本発明の感光体の前記表面層以外の構成を説明する。
<導電性支持体>
本発明で用いられる導電性支持体は、導電性を有するものであればいずれのものでもよい。その具体例としては、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛またはステンレスなどの金属をドラム状(円筒形)またはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウムまたは酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダ樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルムまたは紙などが挙げられる。
<中間層>
本発明においては、導電性支持体と感光層との間にバリア機能と接着機能とを有する中間層を設けることができる。種々の故障防止等を考慮すると、中間層を設けることが好ましい態様といえる。
このような中間層は、例えば、バインダ樹脂および必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子が含有されてなるものである。
上記導電性支持体および中間層に用いることのできるバインダ樹脂としては、特に制限されるものではなく従来公知の導電性支持体用や中間層用のバインダ樹脂を用いることができる。例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。これらのなかでもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。これらバインダ樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
中間層には、抵抗調整の目的で各種の導電性粒子や金属酸化物粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスなどの各種金属酸化物粒子を用いることができる。さらに、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、酸化ジルコニウムなどの各種導電性粒子(超微粒子)を用いることもできる。これら抵抗調整の目的で用いられる各種の導電性粒子や金属酸化物粒子は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合した場合には、固溶体または融着の形をとってもよい。
このような抵抗調整の目的で用いられる各種の導電性粒子や金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
上記導電性粒子および/または金属酸化物粒子の含有割合(合計量)は、抵抗調整の観点から、中間層内のバインダ樹脂100質量部に対して20〜400質量部が好ましく、より好ましくは50〜350質量部、更に好ましくは50〜200質量部である。
中間層の膜厚は、抵抗調整の観点から、0.1〜15μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。
以上のような中間層は、例えば、バインダ樹脂を公知の溶媒に溶解し、必要に応じて導電性粒子または金属酸化物粒子を分散させて中間層形成用塗布液を調製し、この中間層形成用塗布液を導電性支持体の表面に塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより形成することができる。
上記中間層形成用塗布液に使用される溶媒としては、特に限定されず、例えば、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エーテル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブなどを用いることができ、これらの中でもトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキソランなどが好ましく用いられる。これらの溶媒は1種単独であるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。なかでも、上記のような導電性粒子または金属酸化物粒子を良好に分散し、バインダ樹脂、特にポリアミド樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性能とに優れ好ましい。これら溶媒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。また、保存性および無機粒子の分散性を向上させるために、前記の溶媒と助溶媒とを併用することができる。好ましい効果が得られる助溶媒としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
上記中間層形成用塗布液中のバインダ樹脂の濃度は、中間層の膜厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
上記導電性粒子や金属酸化物粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダーおよびホモミキサーなどを用いることができる。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
塗布膜の乾燥方法は、溶媒の種類や形成する中間層の膜厚に応じて公知の乾燥方法を適宜に選択することができ、特に熱乾燥することが好ましい。
上記したように中間層を形成する方法は、特に制限されないが、上記の溶媒中にバインダ樹脂を溶解させ、必要に応じて導電性粒子または金属酸化物粒子を超音波分散機、ボールミル、サンドミル、またはホモミキサー等の装置(分散機)を用いて分散させ中間層形成用塗布液を調製した後、この中間層形成用塗布液を導電性支持体上に所望の厚さに塗布する。その後、塗布した層を乾燥させて中間層を完成させることができる。
<感光層>
本発明の感光体は、感光層を有し、当該感光層は、電荷発生層および電荷輸送層を有する。詳しくは、導電性支持体側から順に、電荷発生層、電荷輸送層が積層されてなるものである。
〔電荷発生層〕
本発明の感光体に用いられる電荷発生層は、電荷発生物質とバインダ樹脂(以下、電荷発生層用バインダ樹脂ともいう)とを含有することが好ましい。
電荷発生物質の例としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノン、アントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレンなどの多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料などのフタロシアニン顔料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら電荷発生物質は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。これらの中でも、好ましくは、多環キノン顔料およびチタニルフタロシアニン顔料である。
電荷発生層用バインダ樹脂としては、特に制限されず、公知の樹脂を用いることができる。その具体例としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ならびにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、およびポリビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらバインダ樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。好ましくは、ポリビニルブチラール樹脂である。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有割合は、感光体において電気抵抗が低く抑制されて繰り返し使用に伴う残留電位の増加を極めて抑制することができる観点から、電荷発生層用バインダ樹脂100質量部に対して1〜600質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜600質量部、さらに好ましくは50〜500質量部である。
電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、電荷発生層用バインダ樹脂の特性や含有割合などによっても異なるが、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜3μm、さらに好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.15〜1.5μmである。
以上のような電荷発生層の形成方法は、特に制限されないが、例えば、電荷発生層用バインダ樹脂を公知の溶媒で溶解した溶液中に、電荷発生物質を添加し、分散機を用いて分散させて電荷発生層形成用塗布液を調製する。この電荷発生層形成用塗布液を導電性支持体の表面に、導電性支持体上に中間層を設けた構成の場合には、この中間層の表面に(塗布機を用いて一定の膜厚に)塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより形成することができる。塗布方法および乾燥方法としては、上記の最表面層の項で例示した方法と同様の方法を採用することができる。なお、電荷発生層用塗布液は、塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。また、上記電荷発生物質は、そのまま単独で上記溶液中に添加してもよいし、上記電荷発生層用バインダ樹脂中に分散する形態で添加してもよい。また、電荷発生層は、上記電荷発生物質を真空蒸着することによっても形成することができる。この形態では、上記電荷発生層用バインダ樹脂は特に用いなくてもよい。
電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生層用バインダ樹脂と電荷発生物質との混合割合は、電荷発生層用バインダ樹脂100質量部に対して電荷発生物質が1〜600質量部とされることが好ましく、より好ましくは20〜600質量部、さらに好ましくは50〜500質量部である。電荷発生層用バインダ樹脂と電荷発生物質との混合割合が上記の範囲にあることにより、電荷発生層形成用塗布液に高い分散安定性が得られ、かつ、形成された感光体において電気抵抗が低く抑制されて繰り返し使用に伴う残留電位の増加を極めて抑制することができる点で優れている。
電荷発生層形成用塗布液に用いられる溶媒としては、電荷発生層用バインダ樹脂を溶解させることができるものを用いればよく、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、ジグライムなどのエーテル系溶媒、メチルセルソルブ、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチルセルソルブ、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、その酢酸エーテル、酢酸t−ブチルなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、クロロベンゼンなどの芳香属溶媒、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、シクロヘキサン、ピリジン、ジエチルアミンなど多数を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これら溶媒は1種単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生物質の分散手段としては、中間層形成用塗布液における導電性粒子や金属酸化物粒子の分散手段と同様に、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、およびホモミキサーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、電荷発生層形成用塗布液の塗布方法および塗布膜の乾燥方法としては、中間層形成用塗布液の塗布方法および塗布膜の乾燥方法として挙げた方法と同じ方法を挙げることができる。
〔電荷輸送層〕
本発明の感光体に用いられる電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダ樹脂(以下、電荷輸送層用バインダ樹脂ともいう)とを含有することが好ましい。
電荷輸送層の電荷輸送物質としては、電荷を輸送する物質として、例えば、トリフェニルアミン誘導体(例えば、4,4’−ジメチル−4’’−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン)、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。電荷輸送物質は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。また、上記電荷輸送物質は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。電荷輸送物質の合成方法としては、例えば、特開2010−26428号公報、特開2010−91707号公報等に記載の電荷輸送物質(電荷輸送性化合物)の合成方法が挙げられる。
電荷輸送層用バインダ樹脂は、特に制限されず、公知の樹脂を用いることができる。その具体例としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。これら電荷輸送層用バインダ樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。単量体成分としてビスフェノールA(BPA)を含むポリカーボネートA、単量体成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ、BPZ)を含むポリカーボネートZ、単量体成分としてジメチルビスフェノールA(ジメチルBPA)を含むポリカーボネート樹脂、ならびに単量体成分としてBPAおよびジメチルBPAを含むポリカーボネート樹脂などが耐クラック性、耐磨耗性、帯電特性の観点からより好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有割合は、感光体において電気抵抗が低く抑制されて繰り返し使用に伴う残留電位の増加を極めて抑制することができる観点から、電荷輸送層用バインダ樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜250質量部である。
電荷輸送層中には、さらに酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイルなどが添加されていてもよい。例えば、酸化防止剤については特開2000−305291号公報等に開示されているもの、電子導電剤については特開昭50−137543号公報、同58−76483号公報などに開示されているものが好ましい。
電荷輸送層の層厚は、電荷輸送物質の特性、電荷輸送層用バインダ樹脂の特性および含有割合などによって異なるが、5〜40μmであることが好ましく、よりに好ましくは10〜30μmである。
以上のような電荷輸送層の形成方法は、特に制限されないが、例えば、電荷輸送層用バインダ樹脂を公知の溶媒で溶解した溶液中に、電荷輸送物質(CTM)を添加し、分散機を用いて分散させて電荷輸送層形成用塗布液を調製する。この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の表面に(塗布機を用いて一定の膜厚に)塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を乾燥することにより形成することができる。塗布方法としては、上記の最表面層の項で例示した方法と同様の方法を採用することができる。塗布方法および乾燥方法としては、上記の表面層の項で例示した方法と同様の方法を採用することができる。なお、電荷輸送層用塗布液は、塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。また、上記電荷輸送物質は、そのまま単独で上記溶液中に添加してもよいし、上記電荷輸送層用バインダ樹脂中に分散する形態で添加してもよい。また、電荷輸送層は、上記電荷輸送物質を真空蒸着することによっても形成することができる。この形態では、上記電荷輸送層用バインダ樹脂は特に用いなくてもよい。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶媒としては、電荷発生層用塗布液に用いられる溶媒と同じものを挙げることができる。
また、電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法および塗布膜の乾燥方法としても、電荷発生層形成用塗布液の塗布方法および塗布膜の乾燥方法として挙げた方法と同じ方法を挙げることができる。
電荷輸送層用塗布液中の電荷輸送層用バインダ樹脂に対する電荷輸送物質の混合割合は、電荷輸送層用バインダ樹脂100質量部に対して10〜500質量部が好ましく、さらに好ましくは20〜250質量部である。電荷輸送層用バインダ樹脂と電荷輸送物質との混合割合が上記の範囲にあることにより、電荷輸送層形成用塗布液に高い分散安定性が得られ、かつ、形成された感光体において電気抵抗が低く抑制されて繰り返し使用に伴う残留電位の増加を極めて抑制することができる点で優れている。
〔帯電ローラー(帯電手段:ローラー帯電システム)〕
帯電ローラー11は、電子写真感光体の表面を(負)帯電させるための帯電手段であって、電子写真感光体の表面に近接(接触する形態を含む)して、帯電電圧を印加するための近接帯電方式(接触式を含む)の帯電手段(ローラー帯電システム)である。当該帯電手段(ローラー帯電システム)を備える帯電ローラー11の代表的な実施形態としては、例えば、図3に示されるように、芯金11aの表面上に積層された、帯電音を低減させると共に弾性を付与して感光体10に対する均一な密着性を得るための弾性層11bの表面上に、必要に応じて帯電ローラー11が全体として高い均一性の電気抵抗を得るための抵抗制御層11cが積層され、当該抵抗制御層11c上に表面層11dが積層されたものが、押圧バネ11eによって感光体10の方向に付勢されて感光体10の表面に対して所定の押圧力で圧接されて帯電ニップ部が形成された状態とされる構成とされており、感光体10の回転に従動して回転される。
芯金11aは、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウムおよびニッケルなどの金属、あるいはこれらの金属の表面に、防錆性や耐付傷性を得るために導電性を損なわない範囲においてメッキ処理したものからなり、その外径は例えば3〜20mmとされる。
弾性層11bは、例えば、ゴムなどの弾性材料中にカーボンブラック、カーボングラファイトなどよりなる導電性微粒子やアルカリ金属塩、アンモニウム塩などよりなる導電性塩微粒子などが添加されたものからなる。弾性材料の具体例としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)およびクロロプレンゴム(CR)などの合成ゴムや、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂およびフッ素樹脂などの樹脂、あるいは発泡スポンジなどの発泡体などを挙げることができる。弾性の大きさは、プロセス油、可塑剤などを弾性材料中に添加することにより調整することができる。
弾性層11bは、その体積抵抗率が1×10〜1×1010Ω・cmの範囲であることが好ましい。また、弾性層11bの層厚は500〜5000μmであることが好ましく、より好ましくは500〜3000μmの範囲である。弾性層11bの体積抵抗率は、JIS K6911−2006に準拠して測定された値である。
抵抗制御層11cは、帯電ローラー11を全体として均一な電気抵抗を有するようにする目的などにより設けられるものであるが、なくてもよい。この抵抗制御層11cは、適度な導電性を有する材料を塗工すること、あるいは適度な導電性を有するチューブを被覆させることによって設けることができる。
この抵抗制御層11cを構成する具体的な材料としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂;エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴムおよびアクリロニトリル系ゴムなどのゴム類などの基礎材料中に、カーボンブラック、カーボングラファイトなどよりなる導電性微粒子;導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛、導電性酸化スズなどよりなる導電性金属酸化物微粒子;アルカリ金属塩、アンモニウム塩などよりなる導電性塩微粒子などの導電剤が添加されたものが挙げられる。
抵抗制御層11cは、その体積抵抗率が1×10−2〜1×1014Ω・cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1×10〜1×1010Ω・cmの範囲である。また、抵抗制御層11cの層厚は0.5〜100μmであることが好ましく、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは1〜20μmの範囲である。抵抗制御層11cの体積抵抗率は、JIS K6911−2006に準拠して測定された値である。
表面層11dは、弾性層11b中の可塑剤などの得られる帯電ローラー11の表面へのブリードアウトを防止する目的や帯電ローラー11の表面の滑り性や平滑性を得る目的、あるいは感光体10上にピンホールなどの欠陥があった場合にもリークの発生を防止する目的などにより設けられるものであって、適度な導電性を有する材料を塗工すること、あるいは適度な導電性を有するチューブを被覆させることによって設けられる。
表面層11dを材料の塗工により設ける場合は、具体的な材料としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂およびシリコーン樹脂などの樹脂、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴムおよびアクリロニトリル系ゴムなどの基礎材料中に、カーボンブラック、カーボングラファイトなどよりなる導電性微粒子;導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛、導電性酸化スズなどよりなる導電性金属酸化物微粒子などの導電剤が添加されたものが挙げられる。塗工方法としては、浸漬塗工法、ロール塗工法およびスプレー塗工法などが挙げられる。
また、表面層11dをチューブの被覆により設ける場合は、具体的なチューブとしては、ナイロン12、4フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP);ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系およびポリアミド系などの熱可塑性エラストマーなどに上記の導電剤が添加されたものがチューブ状に成形されたものが挙げられる。このチューブは熱収縮性のものでもよく、非熱収縮性のものでもよい。
表面層11dは、その体積抵抗率が1×10〜1×10Ω・cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1×10〜1×10Ω・cmの範囲である。また、表面層11dの層厚は0.5〜100μmであることが好ましく、より好ましく1〜50μm、さらに好ましくは1〜20μmの範囲である。表面層11dの体積抵抗率は、JIS K6911−2006に準拠して測定された値である。
また、表面層11dは、その表面粗さRzが1〜30μmのものが好ましく、より好ましくは2〜20μm、さらに好ましくは5〜10μmの範囲である。表面層11dの表面粗さRzは、JIS B0601−2001に準拠して測定された値である。
以上のような帯電ローラー11においては、帯電ローラー11の芯金11aに電源S1より帯電バイアス電圧が印加されることにより、感光体10の表面が所定の極性の所定の電位に帯電される。ここに、帯電バイアス電圧は、例えば直流電圧のみとしてもよいが、帯電の均一性に優れることから、直流電圧に交流電圧が重畳された振動電圧とすることが好ましい。帯電バイアス電圧は、例えば−2.5〜−1.5kV程度とすることができる。
図3に示した帯電ローラー11による帯電条件の一例を示すと、帯電バイアス電圧を形成する直流電圧(Vdc)が−500V、交流電圧(Vac)が周波数1000Hz、ピーク間電圧1300Vの正弦波であり、この帯電バイアス電圧が印加されることにより、感光体10の表面が−500Vに一様に帯電される。
この帯電ローラー11は、感光体10の長手方向の長さに基づいた長さとされ、長手方向の長さは例えば320mmとすることができる。
この画像形成装置においては、感光体10が回転駆動され、当該感光体10の表面が、電源S1から帯電バイアス電圧が印加された状態の帯電ローラー11によって所定の電位に一様に帯電される。
次いで、一様に帯電された感光体10が露光手段12によって露光されて静電潜像が形成され、当該静電潜像が現像手段13によって現像されることによってトナー像が形成される。感光体10上に形成されたトナー像は、タイミングを合わせて搬送される転写材P上に転写手段14により転写され、分離手段(図示せず)によって感光体10から分離されて定着手段17において定着されることにより、可視画像が形成される。
感光体10上に残留したトナー等は、クリーニング手段18のクリーニングブレード18aによって除去され、除去されたトナー等は貯留部18bに溜められる。
本発明の画像形成装置は、上記のような構成のものに限定されず、複数の感光体に係る画像形成ユニットが中間転写体に沿って設けられた構成を有するカラー画像形成装置であってもよい。
このような複数の感光体に係る画像形成ユニットが設けられたカラー画像形成装置においては、複数の感光体のうち、全ての感光体が上記の感光体から構成されていることが好ましいが、複数の感光体のうち少なくとも1つが上記の感光体から構成されていれば、近接帯電方式の帯電手段によって(負)帯電を行った場合(ローラー帯電時)に放電劣化を抑制し、感光体に高い耐摩耗性が得られて、良好な画像を作像できる(形成される画像に高い画像安定性が得られる)効果を得ることができる。
{トナーおよび現像剤}
本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、(負)帯電性トナーである。本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、粉砕トナーであっても重合トナーであってもよいが、本発明の画像形成装置においては、高い画質の画像が得られる観点から、重合法で作製された重合トナーを用いることが好ましい。
重合トナーとは、トナーを形成するバインダ樹脂の生成とトナー粒子形状の形成が、バインダ樹脂を得るための原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理とにより並行して行われて得られるトナーを意味する。
より具体的には、懸濁重合、乳化重合などの重合反応により樹脂微粒子を得る工程と、必要によりその後に行われる樹脂微粒子同士を融着させる工程を経て形成されるトナーを意味する。
トナーの体積平均粒径、すなわち、上記50%体積粒径(Dv50)は2〜9μm、より好ましくは3〜7μmであることが望ましい。この範囲とすることにより、解像度を高くすることができる。さらに上記の範囲と組み合わせることにより、小粒径トナーでありながら、微細な粒径のトナーの存在量を少なくすることができ、長期に亘ってドット画像の再現性が改善され、鮮鋭性の良好な、安定した画像を形成することができる。
本発明に係るトナーは、それのみで一成分現像剤として用いてもよく、キャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよい。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも使用することができる。
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いる場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料を用いることができ。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
トナーやキャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子がさらに樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂などが用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔複合構造粒子1の作製〕
水3.5Lに無機粒子(コア)としての硫酸バリウム粒子(一次粒子の平均粒径80nm)200gを、当該硫酸バリウム粒子の粗粒がなくなるまで分散させてスラリーを得た。当該スラリーにスズ含有量が41質量%であるスズ酸ナトリウム(NaSnO)384gを投入し、スズ酸ナトリウムを溶解させ、混合スラリーを得た。当該混合スラリーに20%希硫酸を98分間かけて添加して混合スラリーのpHが2.5になるまで調整した。得られた反応液(反応スラリー)を温水で洗浄した。洗浄終了後は、脱水濾過を行い、濾滓(ケーキ)を回収した。次に、得られた濾滓を150℃の雰囲気中に15時間放置して、乾燥させた。その後、得られた乾燥ケーキを解砕し、水素を2体積%含有した窒素ガスを流通させながら、450℃で30分間焼成を行い、表面処理のされていない導電性酸化スズで被覆された複合構造粒子1の粉末を得た。
上記で作製した表面処理のされていない複合構造粒子1の一次粒子の平均粒径は、レーザー回析法による粒子の体積基準粒子径測定により測定し、100nmであった。なお、以下の各実施例および比較例の複合構造粒子についても同様な測定方法で測定した。
メタクリロイル基含有シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製KBM−503)2.5g(2.5質量部)とメタノールとを混合して、20mlの表面処理剤を調製した。上記で得られた導電性酸化スズで被覆された複合構造粒子1の粉末100g(100質量部)をミキサーのチャンバー内で略水平方向に高速攪拌させ、チャンバー内に表面処理剤を滴下し、1分間攪拌を続けた後、粉末をチャンバー内から取り出し、100℃に加熱して乾燥させ、メタクリロイル基を含有するシランカップリング剤で表面処理された導電性酸化スズで被覆された複合構造粒子1の粉末を得た。
さらに、得られた導電性酸化スズで被覆された複合構造粒子1 50g(50質量部)を2−ブタノール390gと混合し、超音波分散機を用いて2時間分散した。分散液にフッ素樹脂含有表面処理剤(3M社製 Novec(登録商標)2702、固形分濃度2質量%)を75g(固形分:1.5質量部)添加し、さらに30分間分散を行った。分散液を室温にて乾燥させ、溶剤を除去した。得られた粉体を80℃にて60分間加熱乾燥し、メタクリロイル基含有シランカップリング剤とフッ素樹脂にて表面処理された導電性酸化スズで被覆された複合構造粒子1を得た。
日本電色工業株式会社製の分光色差計SE600を用いて、CIE1976(L*a*b*)表色系で表した数値の「L*値」を、上記で作製した複合構造粒子1のL値とし、その結果は、81であった。なお、以下の各実施例および比較例の複合構造粒子についても同様な測定方法を用いて、L値を測定した。
〔複合構造粒子2の作製〕
複合構造粒子1の作製において、無機粒子(コア)として、硫酸バリウム粒子から二酸化ケイ素粒子(一次粒子の平均粒径80nm)に変更した以外は同様にして、複合構造粒子2を作製した。
作製した複合構造粒子2の、一次粒子の平均粒径は100nmであり、L値は88であった。
〔複合構造粒子3の作製〕
複合構造粒子1の作製において、無機粒子(コア)として、一次粒子の平均粒径が50nmの硫酸バリウム粒子に変更し、およびシランカップリング剤の処理量を表1に合わせて変更した以外は同様にして、複合構造粒子3を作製した。
作製した複合構造粒子3の、一次粒子の平均粒径は70nmであり、L値は81であった。
〔複合構造粒子4の作製〕
複合構造粒子1の作製において、無機粒子(コア)として、硫酸バリウム粒子から二酸化アルミニウム粒子(一次粒子の平均粒径80nm)に変更した以外は同様にして、複合構造粒子4を作製した。
作製した複合構造粒子4の、一次粒子の平均粒径は100nmであり、L値は85であった。
〔複合構造粒子5の作製〕
複合構造粒子1の作製において、シランカップリング剤による表面処理を実施しなかった以外は同様にして、複合構造粒子5を作製した。
作製した複合構造粒子5の、一次粒子の平均粒径は100nmであり、L値は81であった。
〔複合構造粒子6の作製〕
複合構造粒子1の作製において、無機粒子(コア)として、一次粒子の平均粒子を15nmの硫酸バリウム粒子に変更した以外は同様にして、複合構造粒子6を作製した。
作製した複合構造粒子6の、一次粒子の平均粒径は35nmであり、L値は85であった。
〔複合構造粒子7の作製〕
複合構造粒子1の作製において、フッ素樹脂含有表面処理剤による表面処理を実施しなかった以外は同様にして、複合構造粒子7を作製した。
作製した複合構造粒子7の、一次粒子の平均粒径は100nmであり、L値は81であった。
〔複合構造粒子8の作製〕
複合構造粒子1の作製において、水素の量を2体積%から0体積%(すなわち、水素を含有しない)に変更した以外は同様にして、複合構造粒子8を作製した。
作製した複合構造粒子8の、一次粒子の平均粒径は100nmであり、L値は65であった。
〔複合構造粒子9の作製〕
複合構造粒子1の作製において、水素の量を2体積%から5体積%に変更し、およびシランカップリング剤の処理量を表1に合わせて変更した以外は同様にして、複合構造粒子9を作製した。
作製した複合構造粒子9の、一次粒子の平均粒径は100nmであり、L値は96であった。
〔複合構造粒子10の作製〕
複合構造粒子1の作製において、無機粒子(コア)として、一次粒子の平均粒径が300nmの硫酸バリウム粒子に変更した以外は同様にして、複合構造粒子10を作製した。
作製した複合構造粒子10の、一次粒子の平均粒径は320nmであり、L値は82であった。
<実施例1 感光体1の作製>
(1)導電性支持体の作製
ドラム状のアルミニウム支持体(外径30mm、長さ360mm)の表面を切削加工して、表面粗さRz=1.5(μm)の導電性支持体〔1〕を作製した。
(2)中間層の形成
中間層用バインダ樹脂:ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ株式会社製)100質量部を、エタノール/n−プロピルアルコール/テトラヒドロフラン(体積比:45/20/35)の混合溶媒1700質量部に加えて、20℃で攪拌混合した。この溶液に、酸化チタン粒子「SMT500SAS」(テイカ株式会社製)120質量部および酸化チタン粒子「SMT150MK」(テイカ株式会社製)160質量部を添加し、ビーズミルにより、ミル滞留時間:5時間として分散させた。そして、この溶液を一昼夜静置した後、ろ過することにより、中間層形成用塗布液を得た。ろ過は、ろ過フィルターとして、公称濾過精度が5μmのリジメッシュフィルター(日本ポール株式会社製)を用いて、50kPaの圧力下で行った。このようにして得られた中間層形成用塗布液を、洗浄した導電性支持体〔1〕の外周面に浸漬塗布法で塗布し、120℃で30分間乾燥することにより、乾燥膜厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
(3)電荷発生層の形成
下記原料を分散機としてサンドミルを用いて10時間の分散を行い、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するもの) 20質量部
・電荷発生層用バインダ樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(デンカ株式会社製) 10質量部
・溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
・溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
上記中間層〔1〕の上に、この電荷発生層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布して塗布膜を形成し、層厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(4)電荷輸送層の形成
下記原料を混合して溶解し、電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
・電荷輸送物質:4,4’−ジメチル−4’’−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン) 225質量部
・電荷輸送層用バインダ樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学株式会社製) 300質量部
・溶媒:THF 1600質量部
・溶媒:トルエン 400質量部
・酸化防止剤(BHT) 6質量部
・シリコーンオイル「KF−96」(信越化学工業株式会社製) 1質量部
上記電荷発生層〔1〕上に、この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を浸漬塗布法により塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を120℃で70分間乾燥し、層厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
(5)最表面層の形成
上記で作製した複合構造粒子1を100質量部、多官能ラジカル重合性化合物:トリメチロールプロパントリメタクリレート(サートマー社製)100質量部、溶媒:2−ブタノール400質量部、および溶媒:THF(テトラヒドロフラン)40質量部を遮光下で混合し、分散機としてサンドミルを用いて5時間分散した後、重合開始剤:Irgacure819(BASF社製)10質量部を加え、遮光下で撹拌して溶解させ、最表面層形成用塗布液〔1〕を調製した。この最表面層形成用塗布液〔1〕を電荷輸送層〔1〕上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して塗膜を形成し、メタルハライドランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚3.0μmの最表面層〔1〕を形成した。
このように、感光体1を作製した。
<実施例2 感光体2の作製>
上記感光体1の作製において、複合構造粒子1の代わりに複合構造粒子2を用いた以外は同様にして、感光体2を作製した。
<実施例3 感光体3の作製>
上記感光体1の作製において、複合構造粒子1の代わりに複合構造粒子3を用いた以外は同様にして、感光体3を作製した。
<実施例4 感光体4の作製>
上記感光体1の作製において、複合構造粒子1の添加量を70質量部に変更した以外は同様にして、感光体4を作製した。
<実施例5 感光体5の作製>
上記感光体1の作製において、複合構造粒子1の添加量を200質量部に変更した以外は同様にして、感光体5を作製した。
<実施例6 感光体6の作製>
上記感光体1の作製において、複合構造粒子1の代わりに複合構造粒子4を用いた以外は同様にして、感光体6を作製した。
<実施例7 感光体7の作製>
上記感光体1の作製において、複合構造粒子1の代わりに複合構造粒子5を用いた以外は同様にして、感光体7を作製した。
<実施例8 感光体8の作製>
上記感光体1の作製において、複合構造粒子1の代わりに複合構造粒子6を用いた以外は同様にして、感光体8を作製した。
<実施例9 感光体9の作製>
上記感光体1の作製において、複合構造粒子1の代わりに複合構造粒子7を用いた以外は同様にして、感光体9を作製した。
<比較例1 感光体10の作製>
上記感光体1の作製において、複合構造粒子1の代わりに複合構造粒子8を用いた以外は同様にして、感光体10を作製した。
<比較例2 感光体11の作製>
上記感光体1の作製において、複合構造粒子1の代わりに複合構造粒子9を用いた以外は同様にして、感光体11を作製した。
<比較例3 感光体12の作製>
上記感光体1の作製において、複合構造粒子1の代わりに複合構造粒子10を用いた以外は同様にして、感光体12を作製した。
実施例1〜9および比較例1〜3で作製した感光体1〜12の構成を、下記表1に示す。
<評価>
(1)クリーニング性
ニカミノルタ株式会社製 bizhub(登録商標)C554を用いて、室温23℃、湿度50%RH条件下において、Bk(ブラックトナー)の位置にて印字率100%の帯状のチャートを10,000枚実写前後の感光体の表面上(2cm×10cmの範囲)の付着物の個数を目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果を下記表1に示す。
クリーニング性の評価基準:
◎:付着物がない (非常に優れている)
○:付着物が、1個以上5個未満である (優れている)
△:付着物が、5個以上10個未満である (実用上問題はない)
×:付着物が、10個以上である (実用上問題あり)。
(2)電気特性
コニカミノルタ株式会社製 bizhub(登録商標)C368を用いて、室温23℃、湿度50%RH条件下において、初期電位600±30Vに設定し、各感光体の露光後の表面電位を計測し、下記評価基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。
電気特性の評価基準:
◎:露光後の表面電位が、60V未満である (非常に優れている)
○:露光後の表面電位が、60V以上90V未満である (優れている)
△:露光後の表面電位が、90V以上120V未満である (実用上問題はない)
×:露光後の表面電位が、120V以上である (実用上問題あり)。
(3)HH(高温高湿)画像ボケ
コニカミノルタ株式会社製 bizhub(登録商標)C368を用いて、室温30℃、湿度80%RH条件下において、Bkの位置にて印字率5wt%の文字チャートを2000枚出力し、同条件下で15時間放置し、放置後、A3紙をハーフトーンにて連続20枚印字した時の光学顕微鏡を用いてドットの形成状態を、下記評価基準に従って評価した。評価結果を表1に示す。
◎:1〜4枚目にドットが形成されている (非常に優れている)
○:5〜9枚目にドットが形成されている (優れている)
△:10〜19枚目にドットが形成されている (実用上問題はない)
×:20枚目でドットが形成できていない (実用上問題あり)。
表1の結果より、実施例1〜9の感光体1〜9は、電気特性、および画像ボケにおいて良好な評価を獲得している。また、本発明の感光体1〜9は、良好なクリーニング性も示している。
一方、比較例1〜3の感光体では、クリーニング性、電気特性、および画像ボケの1つ以上で問題を有する。
10 感光体、
10a 導電性支持体、
10b 中間層、
10c 電荷発生層、
10d 電荷輸送層、
10e 最表面層、
10f 感光層、
11 帯電ローラー、
11a 芯金、
11b 弾性層、
11c 抵抗制御層、
11d 表面層、
11e 押圧バネ、
12 露光手段、
13 現像手段、
13a 現像スリーブ、
14 転写手段、
15 清掃ローラー、
17 定着手段、
18 クリーニング手段、
18a クリーニングブレード、
18b 貯留部、
21 無機粒子(コア)、
23 酸素欠損型の導電性酸化スズ、
25 複合構造粒子、
25a 表面処理された複合構造粒子、
25b 表面処理およびフッ素樹脂被覆された複合構造粒子、
27 表面処理膜、
29 フッ素樹脂膜、
P 転写材。

Claims (8)

  1. 導電性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層、および最表面層が、この順に積層された電子写真感光体において、
    前記最表面層が、無機粒子が酸素欠損型の導電性酸化スズで被覆されてなる複合構造粒子を含み、
    前記複合構造粒子の、L値が80〜95であり、一次粒子の平均粒径が35〜200nmである、電子写真感光体。
  2. 前記無機粒子が、BaSO、SiOおよびAlからなる群より選択される1つである、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記複合構造粒子の体積抵抗率が、10〜10[Ω・cm]である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記複合構造粒子が、アクリロイル基またはメタクリロイル基を含有するシランカップリング剤で表面処理されてなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記複合構造粒子が、さらにフッ素樹脂で被覆されてなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記最表面層が、さらに樹脂バインダを含有し、
    前記複合構造粒子の含有量が、前記樹脂バインダ100質量部に対して、50〜250質量部の範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記樹脂バインダは、重合性化合物の重合硬化物である、請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電させるための帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成するための露光手段と、
    静電潜像が形成された前記電子写真感光体にトナーを供給してトナー像を形成するための現像手段と、
    前記電子写真感光体の表面の前記トナー像を記録媒体に転写するための転写手段と、
    を有する、画像形成装置であって、
    前記帯電手段は、前記電子写真感光体の表面に近接して、帯電電圧を印加するための近接帯電方式の帯電手段であることを特徴とする、画像形成装置。
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