JP2018193845A - 地盤改良体の造成方法およびケーシングパイプ - Google Patents

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Abstract

【課題】安全に且つ効率的に施工が可能で、確実に孔壁の安定を図ることができる地盤改良体の造成方法およびケーシングパイプを提供すること。【解決手段】外ケーシング5の先端15が内ケーシング7の先端17より長い形状の二重管構造の鋼製のケーシングパイプ3を用いる。ケーシングパイプ3は、外ケーシング5と内ケーシング7との間に改良ロッド31が設けられ、外ケーシング5の先端15と内ケーシング7の先端との間の高さにおいて、改良ロッド31にノズル33が設けられる。地盤改良体21を造成するには、まず、ケーシングパイプ3を、地盤1の所定の深度19まで回転圧入する。その後、ノズル33から、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気のジェット35を、ケーシングパイプ3の円周方向に噴射するとともに、ケーシングパイプ3を回転させつつ地盤1中から引き上げる。【選択図】図2

Description

本発明は、高圧噴射撹拌工法による地盤改良体の造成方法およびそれに用いるケーシングパイプに関するものである。
従来、地盤に削孔する際、孔壁が崩壊する可能性がある土層を含む地盤においては、孔壁の安定を図り、周辺地盤の変状を防ぐ必要がある。代表的な孔壁安定対策として、ケーシングを用いる方法がある。例えば、オールケーシング工法は、孔壁の崩落を孔全長にわたって防止する工法である。オールケーシング工法では、円筒状のケーシングチューブをケーシング圧入装置により地盤内に圧入し、ハンマーグラブでケーシング内部を掘削する。
また、TBH工法では、先端に掘削ビットが付いたドリルパイプを回転させて、ドリルパイプを継ぎ足しつつ削孔する。そして、水よりも密度が大きい安定液を孔内に充満させて、孔壁の安定を図る。
深礎工法では、ライナープレートなどによって孔壁を土留めしながら、内部の地盤を人力または機械で掘削する。
さらに、ケーシングを用いずに地盤改良体を用いて孔壁の崩落を防ぐ方法も提案されている。図13は、地盤改良体103を用いて孔壁の崩落を防ぐ方法を示す図である。図13に示す方法では、図13(a)に示すように、地盤101に中実の地盤改良体103を形成する。そして、図13(b)に示すように、中実の地盤改良体103の内部を掘削して削孔部105を形成する。そして、図13(c)に示すように、削孔部105内に杭107を構築する(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−217119号公報
しかしながら、掘削孔の孔壁が崩壊する可能性がある土層を含む地盤において、ケーシングを用いて孔壁の安定を図りつつ孔内に杭を構築する場合、杭の施工本数に合わせた数のケーシングが必要となる。また、ケーシングの設置やケーシング内の掘削、ケーシングの撤去等の作業工程が必要であるため、施工が煩雑である。
TBH工法では、孔壁の維持を安定液に頼っているため、安定液の管理が重要であり、孔壁崩壊の危険性がないとは言い切れない。また、地盤中に既設杭などの地中障害物が存在する場合には、それを事前に撤去する必要がある。
深礎工法は、地下水位が高い場所や、地盤から有毒ガスが発生する場所では、施工が困難である。また、狭隘な空間では、人力で掘削作業を行う必要があり、作業に危険が伴う。
中実の地盤改良体を用いて孔壁の安定を図る方法では、地盤改良体を形成した後にその内部を削孔する必要がある。また、一般に地盤改良体の削孔に伴って発生する土砂はセメント分を含有するのでpHが高く、建設汚泥に分類されるため、処分に要する費用が嵩む。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、安全に且つ効率的に施工が可能で、確実に孔壁の安定を図ることができる地盤改良体の造成方法およびケーシングパイプを提供することである。
前述した目的を達成するために第1の発明は、高圧噴射撹拌工法による地盤改良体の造成方法であって、地盤中に、外ケーシングと内ケーシングとを有する二重管構造の鋼製ケーシングパイプを、所定深度まで回転圧入または回転削孔圧入する工程aと、前記鋼製ケーシングパイプの先端付近に設けたノズルから、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を噴射するとともに、前記鋼製ケーシングパイプを回転させつつ前記地盤中から引き上げる工程bと、を具備することを特徴とする地盤改良体の造成方法である。
第1の発明では、外ケーシングと内ケーシングとを有する二重管構造の鋼製ケーシングパイプを、地盤に圧入した後、先端付近に設けたノズルから高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を噴射しつつ、地盤中から引き上げる。これにより、確実に孔壁の安定を図ることができる筒状の地盤改良体を、セメントを含む掘削土を発生させることなく、安全に且つ効率的に施工することができる。
前記工程bでは、例えば、前記高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を、前記鋼製ケーシングパイプの円周方向に噴射する。
これにより、鋼製ケーシングパイプの圧入によって形成された掘削範囲に、筒状の地盤改良体を形成することができる。
前記工程bでは、前記高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を、鉛直下向きに噴射してもよい。
これにより、鋼製ケーシングパイプの圧入によって形成された掘削範囲に、筒状の地盤改良体を形成することができる。
前記工程bでは、前記高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を、2本の噴流が交差するように前記鋼製ケーシングパイプの径方向に噴射してもよい。
高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を2本の噴流が交差するように鋼製ケーシングパイプの径方向に噴射することにより、鋼製ケーシングパイプの圧入によって形成された掘削範囲が拡幅され、拡幅された掘削範囲に筒状の地盤改良体を形成することができる。
前記工程bでは、前記高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を、平面視で前記鋼製ケーシングパイプの円周方向と所定の角度を成す方向に噴射してもよい。
高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を円周方向と所定の角度を成す方向に噴射することにより、鋼製ケーシングパイプの圧入によって形成された掘削範囲が拡幅され、拡幅された掘削範囲に筒状の地盤改良体を形成することができる。
前記外ケーシングの先端が、前記内ケーシングの先端よりも下方に位置することが望ましい。
外ケーシングの先端が内ケーシングの先端よりも下方に位置する鋼製ケーシングパイプを用い、外ケーシングの先端と内ケーシングの先端との間にノズルを配置すれば、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気の噴射範囲を外ケーシングの内側に限定できる。
前記工程aで、前記鋼製ケーシングパイプの先端付近において、高圧水を、前記鋼製ケーシングパイプの円周方向または/および下向きに噴射してもよい。
これにより、高圧水で地盤が掘削されて、鋼製ケーシングパイプの圧入が容易になる。
第2の発明は、高圧噴射撹拌工法による地盤改良体の造成に用いるケーシングパイプであって、外ケーシングと内ケーシングとを有する二重管と、前記外ケーシングの先端付近において、平面視で前記二重管から突出しないように配置されたノズルと、を具備し、前記ノズルから、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気が噴射されることを特徴とするケーシングパイプである。
第2の発明では、二重管の外ケーシングの先端付近において、平面視で二重管から突出しないように配置されたノズルから、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気が噴射される。第2の発明のケーシングパイプを用いれば、確実に孔壁の安定を図ることができる筒状の地盤改良体を、セメントを含む掘削土を発生させることなく、安全に且つ効率的に施工することができる。
第2の発明では、前記外ケーシングの先端が内ケーシングの先端より長い形状であり、前記ノズルが、平面視で前記外ケーシングと前記内ケーシングとの間に配置されてもよい。
これにより、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気の噴射範囲を外ケーシングの内側に限定できる。
本発明によれば、安全に且つ効率的に施工が可能で、確実に孔壁の安定を図ることができる地盤改良体の造成方法およびケーシングパイプを提供することできる。
筒状の地盤改良体21を施工するための各工程を示す図 ケーシングパイプ3の構成および動作を示す図 他のケーシングパイプを用いて筒状の地盤改良体を形成する例を示す図 ケーシングパイプ3dの構成および動作を示す図 筒状の地盤改良体45を施工するための各工程を示す図 ケーシングパイプ3eの構成および動作を示す図 ケーシングパイプ3fの構成および動作を示す図 ケーシングパイプ3gの構成および動作を示す図 回転削孔圧入に用いるケーシングパイプの例を示す図 自走式造成機80およびケーシングパイプ87を用いて地盤改良体82を施工するための各工程を示す図 ケーシングパイプ87の構成および動作等を示す図 液状化対策のために地盤改良体21を造成した例を示す図 地盤改良体103を用いて孔壁の崩落を防ぐ方法を示す図
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。図1は、筒状の地盤改良体21を施工するための各工程を示す図である。図1(a)は、ケーシングパイプ3を圧入している状態を示す図、図1(b)は、ケーシングパイプ3の圧入が完了した状態を示す図、図1(c)は、ケーシングパイプ3を引き上げている状態を示す図、図1(d)は、ケーシングパイプ3の引き上げが完了した状態を示す図である。
図2は、ケーシングパイプ3の構成および動作を示す図である。図2(a)は、ケーシングパイプ3の先端13付近を示す断面斜視図である。図2(b)は、改良ロッド31の位置でのケーシングパイプ3の垂直断面図であり、図2(a)の矢印E−Eによる断面を示す図である。図2(c)は、ケーシングパイプ3を地盤1に圧入している状態での水平断面図であり、図1(a)の矢印C1−C1による断面を示す図である。図2(d)は、ケーシングパイプ3を地盤1から引き上げている状態での水平断面図であり、図1(c)の矢印C2−C2による断面を示す図である。
図1(a)に示すように、ケーシングパイプ3は、外ケーシング5と内ケーシング7とを有する二重管構造である。ケーシングパイプ3は、外ケーシング5の先端15が内ケーシング7の先端17より下方に位置する形状であり、内ケーシング7の先端17の位置に、底板9が設けられる。ケーシングパイプ3は、鋼製である。
また、図2(a)、図2(b)に示すように、外ケーシング5と内ケーシング7との間には、改良ロッド31が設けられる。改良ロッド31の先端にはノズル33が設けられる。改良ロッド31の先端は底板9を貫通し、ノズル33は、ケーシングパイプ3の先端13付近において、外ケーシング5の先端15と内ケーシング7の先端17との間の高さに配置される。図2(c)に示すように、ノズル33は、平面視で、外ケーシング5と内ケーシング7との間の2か所に配置される。
図1、図2に示す矢印Aの方向は、ケーシングパイプ3の回転方向である。ノズル33は、改良ロッド31の、ケーシングパイプ3の回転方向後方側に設けられる。ノズル33からは、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気からなるジェット35が、ケーシングパイプ3の円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3の回転方向後方に噴射される。
ケーシングパイプ3を用いて地盤改良体21を形成するには、まず、図1(a)に示すように、全旋回施工機11を用いて、ケーシングパイプ3を矢印Aに示す方向に回転させつつ矢印Bに示す方向に下降させて、地盤1に圧入する。このとき、図2(c)に示すように、ノズル33からのジェット35の噴射は行わない。
ケーシングパイプ3の圧入により、地盤1には、図2(c)に示す筒状の掘削範囲25が形成される。なお、図2(c)では余掘り部の図示を省略しており、実際の掘削範囲25は、外ケーシング5の外周面27のやや外側から内ケーシング7の内周面29のやや内側までの間に形成される。筒状のケーシングパイプ3の圧入は、図1(b)に示すように、ケーシングパイプ3の先端13が所定の深度19に到達したところで完了する。
次に、図1(c)に示すように、ケーシングパイプ3を矢印Aに示す方向に回転させつつ矢印Dに示す方向に上昇させて、地盤1から引き上げる。このとき、図2(d)に示すように、ノズル33からジェット35を、ケーシングパイプ3の円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3の回転方向後方に噴射する。
ケーシングパイプ3を引き上げつつジェット35を噴射すると、ケーシングパイプ3の圧入時に形成された筒状の掘削範囲25の内部で、ジェット35によって、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気と地盤1の土砂とが撹拌される(高圧噴射撹拌工法)。そして、図1(c)および図2(d)に示すように、厚さ23の筒状の地盤改良体21が形成される。地盤改良体21の内側の地盤は、未改良地盤37として残る。ケーシングパイプ3の引き上げは、図1(d)に示すように、地表から所定の深度19までの全長にわたって地盤改良体21が形成されたところで完了する。
このように、第1の実施の形態の地盤改良体の造成方法によれば、外ケーシング5の先端15が内ケーシング7の先端17より長い形状の二重管構造のケーシングパイプ3を用い、ケーシングパイプ3を地盤1から引き上げつつ、ノズル33から高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を噴射する。これにより、筒状の地盤改良体21を、セメントを含む掘削土を発生させることなく、安全に且つ効率的に施工することができる。
また、外ケーシング5の先端15と内ケーシング7の先端17との間の高さにノズル33を配置することにより、ジェット35の噴射範囲を外ケーシング5の内側に限定することができる。さらに、ジェット35をケーシングパイプ3の回転方向後方に噴射することにより、全旋回施工機11の回転力を軽減することができる。
なお、第1の実施の形態では、ジェット35を、ケーシングパイプ3の回転方向後方に噴射したが、ジェットをケーシングパイプ3の回転方向前方に噴射してもよい。ジェットをケーシングパイプの回転方向前方に噴射すれば、地盤1との摩擦力を軽減することができる。また、ノズル33の設置数は2か所に限らず、1か所以上であればよい。
図3は、他のケーシングパイプを用いて筒状の地盤改良体を形成する例を示す図である。図3に示す各図は、図1(c)に示すケーシングパイプの引き上げ工程におけるものであり、矢印C2−C2による断面を示す図である。図3に示す矢印Aの方向は、ケーシングパイプ3の回転方向である。
図3(a)は、ケーシングパイプ3aを用いる例を示す図である。ケーシングパイプ3aは、ケーシングパイプ3とほぼ同様の構成であるが、改良ロッド31の代わりに改良ロッド31aが設けられる。改良ロッド31aは、ケーシングパイプ3aの回転方向前方側にノズル33aを有する。図3(a)に示す例では、ケーシングパイプ3aを回転させつつ地盤1中から引き上げる際に、ノズル33aから、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気のジェット35aを、ケーシングパイプ3aの円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3aの回転方向前方に噴射することにより、筒状の地盤改良体21aを形成する。
図3(b)は、ケーシングパイプ3bを用いる例を示す図である。ケーシングパイプ3bは、ケーシングパイプ3とほぼ同様の構成であるが、改良ロッド31の代わりに改良ロッド31bが設けられる。改良ロッド31bは、ケーシングパイプ3bの回転方向前方側および後方側の2か所にノズル33bを有する。図3(b)に示す例では、ケーシングパイプ3bを回転させつつ地盤1中から引き上げる際に、ノズル33bから、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気のジェット35bを、ケーシングパイプ3bの円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3bの回転方向前方および後方に噴射することにより、筒状の地盤改良体21bを形成する。
図3(c)は、ケーシングパイプ3cを用いる例を示す図である。ケーシングパイプ3cは、ケーシングパイプ3とほぼ同様の構成であるが、改良ロッド31が3か所に設けられる。図3(c)に示す例では、ケーシングパイプ3cを回転させつつ地盤1中から引き上げる際に、3か所のノズル33からジェット35を噴射することにより、筒状の地盤改良体21cを形成する。
このように、ケーシングパイプ3とジェットの噴射方向やノズルの設置数が異なる場合でも、筒状の地盤改良体を、セメントを含む掘削土を発生させることなく、安全に且つ効率的に施工することができる。
次に、第2の実施の形態について説明する。図4は、ケーシングパイプ3dの構成および動作を示す図である。図4(a)は、ケーシングパイプ3dの先端13付近を示す断面斜視図である。図4(b)は、ケーシングパイプ3dを地盤1に圧入している状態での水平断面図であり、図1(a)の矢印C1−C1による断面を示す図である。図4(c)は、ケーシングパイプ3dを地盤1から引き上げている状態での水平断面図であり、図1(c)の矢印C2−C2による断面を示す図である。
図4(a)に示すように、ケーシングパイプ3dは、第1の実施の形態のケーシングパイプ3に、改良ロッド39を追加した構成である。ケーシングパイプ3dでは、外ケーシング5と内ケーシング7との間に、改良ロッド31および改良ロッド39が設けられる。改良ロッド39の先端にはノズル41が設けられる。改良ロッド39の先端は底板9を貫通し、ノズル41は、ケーシングパイプ3dの先端13付近において、外ケーシング5の先端15と内ケーシング7の先端17との間の高さに配置される。ノズル41は、平面視で、外ケーシング5と内ケーシング7との間の2か所に配置される。ノズル41からは、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気からなるジェット43が、鉛直下向きに噴射される。
ケーシングパイプ3dを用いて地盤改良体21dを形成するには、まず、図1(a)に示すように、全旋回施工機11を用いて、ケーシングパイプ3dを矢印Aに示す方向に回転させつつ矢印Bに示す方向に下降させて、地盤1に圧入する。このとき、図4(b)に示すように、ノズル33からのジェット35の噴射は行わない。また、ノズル41からのジェット43の噴射も行わない。
ケーシングパイプ3dの圧入により、地盤1には、図4(b)に示す筒状の掘削範囲25が形成される。ケーシングパイプ3dの圧入は、図1(b)に示すように、ケーシングパイプ3dの先端13が所定の深度19に到達したところで完了する。
次に、図1(c)に示すように、ケーシングパイプ3dを矢印Aに示す方向に回転させつつ矢印Dに示す方向に上昇させて、地盤1から引き上げる。このとき、図4(a)、図4(c)に示すように、ノズル33からジェット35を、ケーシングパイプ3の円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3dの回転方向後方に噴射する。同時に、ノズル41からジェット43を、鉛直下向きに噴射する。
ケーシングパイプ3dを引き上げつつジェット35およびジェット43を噴射すると、ケーシングパイプ3dの圧入時に形成された筒状の掘削範囲25の内部で、ジェット35およびジェット43によって、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気と地盤1の土砂とが撹拌される。そして、図1(c)および図4(c)に示すように、厚さ23の筒状の地盤改良体21dが形成される。地盤改良体21dの内側の地盤は、未改良地盤37として残る。ケーシングパイプ3dの引き上げは、図1(d)に示すように、地表から所定の深度19までの全長にわたって地盤改良体21dが形成されたところで完了する。
このように、第2の実施の形態では、外ケーシング5の先端15が内ケーシング7の先端17より長い形状の二重管構造のケーシングパイプ3dを用い、ケーシングパイプ3dを地盤1から引き上げつつ、ノズル33およびノズル41から高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を噴射する。これにより、筒状の地盤改良体21dを、セメントを含む掘削土を発生させることなく、安全に且つ効率的に施工することができる。
また、外ケーシング5の先端15と内ケーシング7の先端17との間の高さにノズル33を配置することにより、ジェット35の噴射範囲を外ケーシング5の内側に限定することができる。さらに、ジェット35をケーシングパイプ3dの回転方向後方に噴射することにより、全旋回施工機11の回転力を軽減することができる。
なお、第2の実施の形態では、改良ロッド31と改良ロッド39とを組み合わせて用いたが、1本の改良ロッドに円周方向にジェットを噴射するノズルと下向きにジェットを噴射するノズルとを設けてもよい。また、ノズル33、ノズル41の設置数は、それぞれ2か所に限らず、1か所以上であればよい。さらに、改良ロッド31の代わりに、図3に示す他の改良ロッドを用いてもよい。
次に、第3の実施の形態について説明する。図5は、筒状の地盤改良体45を施工するための各工程を示す図である。図5(a)は、ケーシングパイプ3eを圧入している状態を示す図、図5(b)は、ケーシングパイプ3eの圧入が完了した状態を示す図、図5(c)は、ケーシングパイプ3eを引き上げている状態を示す図、図5(d)は、ケーシングパイプ3eの引き上げが完了した状態を示す図である。
図6は、ケーシングパイプ3eの構成および動作を示す図である。図6(a)は、ケーシングパイプ3eの先端13付近を示す断面斜視図である。図6(b)は、ケーシングパイプ3eを地盤1に圧入している状態での水平断面図であり、図5(a)の矢印H1−H1による断面を示す図である。図6(c)は、ケーシングパイプ3eを地盤1から引き上げている状態での水平断面図であり、図5(c)の矢印H2−H2による断面を示す図である。
図6(a)に示すように、ケーシングパイプ3eは、第1の実施の形態のケーシングパイプ3に、改良ロッド49を追加した構成である。図6に示すように、ケーシングパイプ3eでは、外ケーシング5と内ケーシング7との間に、改良ロッド31および改良ロッド49が設けられる。改良ロッド49の先端には一対のノズル51が設けられる。改良ロッド49の先端は底板9を貫通し、一対のノズル51は、ケーシングパイプ3eの先端13付近において、外ケーシング5の先端15と内ケーシング7の先端17との間の高さに配置される。図6(b)に示すように、ノズル51は、平面視で、二重管から突出しないように、外ケーシング5と内ケーシング7との間の2か所に配置される。
図6(a)に示すように、一対のノズル51は、上側のノズル51aと下側のノズル51bとからなる。ノズル51aとノズル51bとは、鉛直方向の同一線上に所定の間隔をおいて配置される。上側のノズル51aからは、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気からなるジェット53aが、ケーシングパイプ3eの径方向内側に、且つ、斜め下向きに噴射される。下側のノズル51bからは、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気からなるジェット53bが、ケーシングパイプ3eの径方向内側に、且つ、斜め上向きに噴射される。ジェット53aおよびジェット53bは、内ケーシング7の内側で交差する交差噴流である。
ケーシングパイプ3eを用いて地盤改良体45を形成するには、まず、図5(a)に示すように、全旋回施工機11を用いて、ケーシングパイプ3eを矢印Fに示す方向に回転させつつ矢印Gに示す方向に下降させて、地盤1に圧入する。このとき、図6(b)に示すように、ノズル33からのジェット35の噴射は行わない。また、ノズル51からのジェット53の噴射も行わない。
ケーシングパイプ3eの圧入により、地盤1には、図6(b)に示す筒状の掘削範囲25が形成される。ケーシングパイプ3eの圧入は、図5(b)に示すように、ケーシングパイプ3eの先端13が所定の深度19に到達したところで完了する。
次に、図5(c)に示すように、ケーシングパイプ3eを矢印Fに示す方向に回転させつつ矢印Iに示す方向に上昇させて、地盤1から引き上げる。このとき、図6(a)および図6(c)に示すように、ノズル33からジェット35を、ケーシングパイプ3eの円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3eの回転方向後方に噴射する。同時に、一対のノズル51からジェット53を、ケーシングパイプ3eの径方向内側に噴射する。
ケーシングパイプ3eを引き上げつつジェット35およびジェット53を噴射すると、交差噴流である2本のジェット53によって、図6(c)に示すように、ケーシングパイプ3eの圧入時に形成された掘削範囲25の内側が、ジェット53aとジェット53bとが交差する位置まで切削されて拡幅部55が形成される。そして、掘削範囲25と拡幅部55とで形成される新たな掘削範囲25aの内部で、ジェット35およびジェット53によって、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気と地盤1の土砂とが撹拌され、図5(c)および図6(c)に示すように、厚さ47の筒状の地盤改良体45が形成される。地盤改良体45の内側の地盤は、未改良地盤37として残る。ケーシングパイプ3eの引き上げは、図5(d)に示すように、地表から所定の深度19までの全長にわたって地盤改良体45が形成されたところで完了する。
このように、第3の実施の形態では、外ケーシング5の先端15が内ケーシング7の先端17より長い形状の二重管構造のケーシングパイプ3eを用い、ケーシングパイプ3eを地盤1から引き上げつつ、ノズル33およびノズル51から高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を噴射する。これにより、筒状の地盤改良体45を、セメントを含む掘削土を発生させることなく、安全に且つ効率的に施工することができる。
また、外ケーシング5の先端15と内ケーシング7の先端17との間の高さにノズル33およびノズル51を配置することにより、ジェット35およびジェット53の噴射範囲を外ケーシング5の内側に限定することができる。また、交差噴流である2本のジェット53をケーシングパイプ3eの径方向内側に噴射することにより、ケーシングパイプ3eの圧入時に形成された掘削範囲25の内側が切削され、拡幅された新たな掘削範囲25aに筒状の地盤改良体45を形成することができる。さらに、ジェット35をケーシングパイプ3eの回転方向後方に噴射することにより、全旋回施工機11の回転力を軽減することができる。
なお、第3の実施の形態では、改良ロッド31と改良ロッド49とを組み合わせて用いたが、改良ロッド31の代わりに、図3に示す他の改良ロッドを用いてもよい。また、改良ロッド31の設置は必須ではない。一対のノズル51を有する改良ロッド49のみを有するケーシングパイプを用い、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気のジェット53を径方向内側のみに噴射してもよい。さらに、ノズル33、一対のノズル51の設置数は、それぞれ2か所に限らず、1か所以上であればよい。
第3の実施の形態では、ケーシングパイプの径方向内側に交差噴流である2本のジェット53を噴射したが、ケーシングパイプの径方向外側に交差噴流を噴射してもよい。ケーシングパイプの径方向外側に交差噴流を噴射すれば、ケーシングパイプの圧入時に形成された掘削範囲25の外側が切削され、拡幅された新たな掘削範囲に筒状の地盤改良体を施工することができる。
次に、第4の実施の形態について説明する。図7は、ケーシングパイプ3fの構成および動作を示す図である。図7(a)は、ケーシングパイプ3fの先端13付近を示す断面斜視図である。図7(b)は、改良ロッド57および改良ロッド63の位置でのケーシングパイプ3fの垂直断面図であり、図7(a)の矢印J−Jによる断面を示す図である。図7(c)は、ケーシングパイプ3fを地盤1に圧入している状態での水平断面図であり、図5(a)の矢印H1−H1による断面を示す図である。図7(d)は、ケーシングパイプ3fを地盤1から引き上げている状態での水平断面図であり、図5(c)の矢印H2−H2による断面を示す図である。
図7(a)、図7(b)に示すように、ケーシングパイプ3fは、第1の実施の形態のケーシングパイプ3の改良ロッド31の代わりに、改良ロッド57および改良ロッド63を設けた構成である。ケーシングパイプ3fでは、外ケーシング5と内ケーシング7との間に、改良ロッド57および改良ロッド63が設けられる。改良ロッド57と改良ロッド63とは、ケーシングパイプ3fの径方向に並べて配置される。改良ロッド57の先端にはノズル59が設けられる。改良ロッド63の先端にはノズル65が設けられる。改良ロッド57および改良ロッド63の先端は底板9を貫通し、ノズル59およびノズル65は、ケーシングパイプ3fの先端13付近において、外ケーシング5の先端15と内ケーシング7の先端17との間の高さに配置される。ノズル59、ノズル65は、それぞれ、平面視で、外ケーシング5と内ケーシング7との間の2か所に配置される。
図5、図7に示す矢印Fの方向は、ケーシングパイプ3fの回転方向である。ノズル59は、改良ロッド57の、ケーシングパイプ3fの回転方向後方側に設けられる。ノズル59からは、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気からなるジェット61が、ケーシングパイプ3fの円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3fの回転方向後方に噴射される。ノズル65は、改良ロッド63の、ケーシングパイプ3fの回転方向後方側に設けられる。ノズル65からは、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気からなるジェット67が、ケーシングパイプ3fの円周方向と所定の角度を成す方向に、且つ、ケーシングパイプ3fの回転方向後方に噴射される。
ケーシングパイプ3fを用いて地盤改良体45fを形成するには、まず、図5(a)に示すように、全旋回施工機11を用いて、ケーシングパイプ3fを矢印Fに示す方向に回転させつつ矢印Gに示す方向に下降させて、地盤1に圧入する。このとき、図7(c)に示すように、ノズル59からのジェット61の噴射は行わない。また、ノズル65からのジェット67の噴射も行わない。
ケーシングパイプ3fの圧入により、地盤1には、図7(c)に示す筒状の掘削範囲25が形成される。ケーシングパイプ3fの圧入は、図5(b)に示すように、ケーシングパイプ3fの先端13が所定の深度19に到達したところで完了する。
次に、図5(c)に示すように、ケーシングパイプ3fを矢印Fに示す方向に回転させつつ矢印Iに示す方向に上昇させて、地盤1から引き上げる。このとき、図7(a)および図7(d)に示すように、ノズル59からジェット61を、ケーシングパイプ3fの円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3fの回転方向後方に噴射する。同時に、ノズル65からジェット67を、ケーシングパイプ3fの円周方向と所定の角度を成す方向に、且つ、ケーシングパイプ3fの回転方向後方に噴射する。
ケーシングパイプ3fを引き上げつつジェット61およびジェット67を噴射すると、ケーシングパイプ3fの円周方向と所定の角度を成す方向のジェット67によって、図7(d)に示すように、ケーシングパイプ3fの圧入時に形成された掘削範囲25の内側が切削されて拡幅部55が形成される。そして、掘削範囲25と拡幅部55とで形成される新たな掘削範囲25aの内部で、ジェット61およびジェット67によって、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気と地盤1の土砂とが撹拌され、図5(c)および図7(d)に示すように、厚さ47の筒状の地盤改良体45fが形成される。地盤改良体45fの内側の地盤は、未改良地盤37として残る。ケーシングパイプ3fの引き上げは、図5(d)に示すように、地表から所定の深度19までの全長にわたって地盤改良体45fが形成されたところで完了する。
このように、第4の実施の形態では、外ケーシング5の先端15が内ケーシング7の先端17より長い形状の二重管構造のケーシングパイプ3fを用い、ケーシングパイプ3fを地盤1から引き上げつつ、ノズル59およびノズル65から高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を噴射する。これにより、筒状の地盤改良体45fを、セメントを含む掘削土を発生させることなく、安全に且つ効率的に施工することができる。
また、外ケーシング5の先端15と内ケーシング7の先端17との間の高さにノズル59およびノズル65を配置することにより、ジェット61およびジェット67の噴射範囲を外ケーシング5の内側に限定することができる。また、ジェット67をケーシングパイプ3fの円周方向と所定の角度を成す方向に噴射することにより、ケーシングパイプ3fの圧入時に形成された掘削範囲25の内側が切削され、拡幅された新たな掘削範囲25aに筒状の地盤改良体45fを形成することができる。さらに、ジェット61をケーシングパイプ3fの回転方向後方に噴射することにより、全旋回施工機11の回転力を軽減することができる。
なお、第4の実施の形態では、ノズル59を有する改良ロッド57とノズル65を有する改良ロッド63とを組み合わせて用いたが、1本の改良ロッドに2つのノズルを設けて、二方向にジェットを噴射してもよい。また、ノズル59、ノズル65の設置数は、それぞれ2か所に限らず、1か所以上であればよい。さらに、円周方向のジェット、円周方向と所定の角度を成す方向のジェットを、ケーシングパイプの回転方向前方に噴射してもよい。
次に、第5の実施の形態について説明する。図8は、ケーシングパイプ3gの構成および動作を示す図である。図8(a)は、ケーシングパイプ3gの先端13付近を示す断面斜視図である。図8(b)は、ケーシングパイプ3gを地盤1に圧入している状態での水平断面図であり、図1(a)の矢印C1−C1による断面を示す図である。図8(c)は、ケーシングパイプ3gを地盤1から引き上げている状態での水平断面図であり、図1(c)に示す矢印C2−C2による断面を示す図である。
ケーシングパイプ3gは、第1の実施の形態のケーシングパイプ3に、高圧水ロッド69を追加した構成である。図8に示すように、ケーシングパイプ3gでは、外ケーシング5と内ケーシング7との間に、改良ロッド31および高圧水ロッド69が設けられる。高圧水ロッド69の先端にはノズル71が設けられる。高圧水ロッド69の先端は底板9を貫通し、ノズル71は、ケーシングパイプ3gの先端13付近において、外ケーシング5の先端15と内ケーシング7の先端17との間の高さに配置される。ノズル71は、外ケーシング5と内ケーシング7との間の2か所に配置される。
高圧水ロッド69のノズル71からは、高圧水73が、ケーシングパイプ3gの円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3gの回転方向前方に噴射される。
ケーシングパイプ3gを用いて地盤改良体21gを形成するには、まず、図1(a)に示すように、全旋回施工機11を用いて、ケーシングパイプ3gを矢印Aに示す方向に回転させつつ矢印Bに示す方向に下降させて、地盤1に圧入する。このとき、図8(b)に示すように、高圧水ロッド69のノズル71から、高圧水73を、ケーシングパイプ3gの円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3gの回転方向前方に噴射する。改良ロッド31のノズル33からのジェット35の噴射は行わない。
ケーシングパイプ3gの圧入により、地盤1には、図8(b)に示す掘削範囲25が筒状に掘削される。ケーシングパイプ3gの圧入は、図1(b)に示すように、ケーシングパイプ3gの先端13が所定の深度19に到達したところで完了する。
次に、図1(c)に示すように、ケーシングパイプ3gを矢印Aに示す方向に回転させつつ矢印Dに示す方向に上昇させて、地盤1から引き上げる。このとき、図8(a)、図8(c)に示すように、ケーシングパイプ3gの先端13付近に設けたノズル33から、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気のジェット35を、ケーシングパイプ3gの円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3gの回転方向後方に噴射する。
ケーシングパイプ3gを引き上げつつジェット35を噴射すると、ケーシングパイプ3gの圧入時に形成された筒状の掘削範囲25の内部で、ジェット35によって高圧のセメントミルクおよび圧縮空気と地盤1の土砂とが撹拌される。そして、図1(c)および図8(c)に示すように、厚さ23の筒状の地盤改良体21gが形成される。地盤改良体21gの内側の地盤は、未改良地盤37として残る。ケーシングパイプ3gの引き上げは、図1(d)に示すように、地表から所定の深度19までの全長にわたって地盤改良体21gが形成されたところで完了する。
このように、第5の実施の形態では、外ケーシング5の先端15が内ケーシング7の先端17より長い形状の二重管構造のケーシングパイプ3gを用い、ケーシングパイプ3gを地盤1に圧入しつつ、ノズル71から高圧水73をケーシングパイプ3gの円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3gの回転方向前方に噴射する。そして、ケーシングパイプ3gを地盤1から引き上げつつ、ノズル33から高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を噴射する。圧入時に高圧水73を噴射することにより、ケーシングパイプ3g周辺の地盤1が切削されるので、引き上げ時に高圧のセメントミルクおよび圧縮空気の噴射による地盤1の土砂との撹拌が容易となり、セメントミルクおよび圧縮空気の噴射圧力を低減できる。また、高圧水73を回転方向前方に噴射することにより、地盤1との摩擦力を軽減し、ケーシングパイプ3gを地盤1に容易に圧入することができる。ケーシングパイプ3gを地盤1から引き上げつつ、ノズル33から高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を噴射すれば、筒状の地盤改良体21gを、セメントを含む掘削土を発生させることなく、安全に且つ効率的に施工することができる。
第5の実施の形態では、外ケーシング5の先端15と内ケーシング7の先端17との間の高さにノズル33を配置することにより、ジェット35の噴射範囲を外ケーシング5の内側に限定することができる。さらに、ジェット35をケーシングパイプ3gの回転方向後方に噴射することにより、ケーシングパイプ3gの引き上げ時に全旋回施工機11の回転力を軽減することができる。
なお、第5の実施の形態では、高圧水ロッド69から高圧水73をケーシングパイプ3gの円周方向に、且つ、ケーシングパイプ3gの回転方向前方に噴射したが、高圧水を下向きに噴射してもよい。さらに、円周方向への噴射と下向きへの噴射とを併用してもよい。高圧水を噴射するノズルの設置数は2か所に限らず、1か所以上であればよい。
第5の実施の形態と同様に、第2から第4の実施の形態においても、ケーシングパイプに高圧水ロッド69を追加して、ケーシングパイプの回転圧入時に高圧水ロッド69から高圧水73を噴射してもよい。
第5の実施の形態では、高圧水73の噴射方向と、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気のジェット35の噴射方向とが異なる場合について説明したが、高圧水の噴射方向と、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気のジェットの噴射方向が同一であれば、高圧水ロッド69を設けなくてもよい。この場合、高圧水ロッドと改良ロッドとを兼用とし、改良ロッドから、ケーシングパイプの圧入時には高圧水を噴射し、引き上げ時には高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を噴射する。
また、第1から第5の実施の形態では、ケーシングパイプを地盤に回転圧入したが、回転削孔圧入してもよい。図9は、回転削孔圧入に用いるケーシングパイプの例を示す図である。図9(a)は、ケーシングパイプ3hの先端付近の垂直断面図、図9(b)は、ケーシングパイプ3hの水平断面図である。図9(c)は、ケーシングパイプ3iの先端付近の垂直断面図、図9(d)は、ケーシングパイプ3hの水平断面図である。
図9(a)、図9(b)に示すケーシングパイプ3hは、第1の実施の形態で用いたケーシングパイプ3に、ビット75およびスタビライザ79を追加したものである。ビット75は、外ケーシング5の先端15の内周面77側に、周方向に所定の間隔をおいて設けられる。スタビライザ79は、内ケーシング7の先端17の内周面29側に、周方向に所定の間隔をおいて設けられる。
図9(c)、図9(d)に示すケーシングパイプ3iも、第1の実施の形態で用いたケーシングパイプ3に、ビット75およびスタビライザ79を追加したものである。ビット75は、外ケーシング5の先端15の外周面27側に、周方向に所定の間隔をおいて設けられる。スタビライザ79は、内ケーシング7の先端17の内周面29側に、周方向に所定の間隔をおいて設けられる。
ビット75およびスタビライザ79を設けたケーシングパイプ3hやケーシングパイプ3iを用いる場合、図1(a)に示す工程で、ケーシングパイプを地盤1に回転削孔圧入する。これにより、地中障害物が存在する地盤1にケーシングパイプを圧入することができる。また、内ケーシング7の内周面29側にスタビライザ79を設けたり、外ケーシング5の外周面27側にビット75を設けたりすれば、ケーシングパイプの内側や外側に余掘り部が形成されるため、第1の実施の形態で用いたケーシングパイプ3よりも、掘削範囲の幅を広げることができる。
なお、第1から第5の実施の形態で、全旋回施工機11を用いてケーシングパイプを地盤1に圧入する際、ケーシングパイプが短い場合は、所定の深度19に達するまで、ピンなどでケーシングパイプを接続しながら圧入する。圧入時に複数のケーシングパイプを接続した場合、引き上げ時には、必要に応じてジェットの噴射を一時中断してケーシングパイプを解体する。
次に、第6の実施の形態について説明する。
図10は、自走式造成機80およびケーシングパイプ87を用いて地盤改良体82を施工するための各工程を示す図である。図10(a)は、ケーシングパイプ87の運搬が完了した状態を示す図、図10(b)は、ケーシングパイプ87の圧入準備が完了した状態を示す図、図10(c)は、ケーシングパイプ87の圧入が完了した状態を示す図、図10(d)は、ケーシングパイプ87を引き上げている状態を示す図、図10(e)は、ケーシングパイプ87の引き上げが完了した状態を示す図である。
図11は、ケーシングパイプ87の構成および動作等を示す図である。図11(a)は、高圧配管90、91の位置でのケーシングパイプ87の垂直断面図であり、図10(d)に示す範囲Lの拡大図である。図11(b)は、ケーシングパイプ87を地盤1に圧入している状態での水平断面図であり、図11(a)の矢印M1−M1による断面を示す図である。図11(c)は、地盤改良体82の水平断面図であり、図11(a)の矢印M2−M2による断面を示す図である。
第1から第5の実施の形態では、図1や図5に示す全旋回施工機11および大径のケーシングパイプを用いて筒状の地盤改良体を造成したが、第6の実施の形態では、図10に示す自走式造成機80および小径のケーシングパイプ87を用いて地盤改良体82を造成する。
図10、図11に示すケーシングパイプ87は、車載可能な重量および長さとする。ケーシングパイプ87は、第1から第5の実施の形態で用いたケーシングパイプよりも小径であり、例えば、直径1.5〜2m程度である。ケーシングパイプ87の長さは、例えば、直径の5倍以上である。ケーシングパイプ87は、図11(a)に示すように、外ケーシング89と内ケーシング88とを有する二重管構造である。ケーシングパイプ87は、外ケーシング89および内ケーシング88の先端の位置に、底板96が設けられる。ケーシングパイプ87は、鋼製である。
図11(a)、図11(b)に示すように、外ケーシング89の先端の内周面側には、周方向に所定の間隔をおいて、ビット75が設けられる。内ケーシング88の先端より少し上方の内周面側には、周方向に所定の間隔をおいて、スタビライザ79が設けられる。外ケーシング89と内ケーシング88との間には、高圧配管90、高圧配管91が設けられる。
図11(a)に示すように、高圧配管91の先端にはノズル94が設けられる。ノズル94は底板96を貫通して配置される。図11(b)に示すように、ノズル94は、平面視で、外ケーシング89と内ケーシング88との間の2か所に配置される。
また、図11(a)に示すように、高圧配管90の先端には一対のノズル92が設けられる。一対のノズル92は、鉛直方向の同一線上に所定の間隔をおいて配置される。ノズル92は、ビット75の少し上方において、外ケーシング89を貫通して配置される。図11(b)に示すように、ノズル92は、平面視で、二重管から突出しないように、外ケーシング89と内ケーシング88との間の2か所に配置される。
ケーシングパイプ87を用いて地盤改良体82を形成するには、まず、図10(a)に示すように、自走式造成機80を用いてケーシングパイプ87を所定の位置まで運搬する。自走式造成機80は、例えば、ラフタークレーン81にリーダ83を設置したものである。ケーシングパイプ87は、リーダ83に設けられたガイド部85および回転駆動部86によって把持されて運搬される。
ケーシングパイプ87の運搬を完了した後、アウトリガを張り出して自走式造成機80の位置を固定する。そして、図10(b)に示すように、ラフタークレーン81によってリーダ83を鉛直方向に設置し、ケーシングパイプ87の圧入準備を行う。
次に、図10(c)に示すように、リーダ83の回転駆動部86を用いてケーシングパイプ87を矢印K1に示す方向に回転させつつ下降させて、地盤1に回転削孔圧入する。このとき、図11(a)に示すノズル92およびノズル94からのジェットの噴射は行わない。圧入は、ケーシングパイプ87の先端が所定の深さに達したところで完了する。図11(b)に示すように、ケーシングパイプ87を圧入すると、ケーシングパイプ87本体による掘削部98aと、内ケーシング88の内周側に設けられたスタビライザ79によって形成された余掘り部98bとからなる掘削範囲98が形成される。
次に、図10(d)、図11(a)に示すように、リーダ83の回転駆動部86を用いてケーシングパイプ87を矢印K2に示す方向に回転させつつ一定速度で上昇させて、地盤1から引き上げる。このとき、高圧配管90、高圧配管91に、図示しないセメントミルクプラントや高圧ポンプからの供給管を接続する。そして、図11(a)に示すように、高圧配管91に設けられたノズル94から、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気からなるジェット95を下向きに噴射する。
また、図11(a)に示すように、高圧配管90に設けられた一対のノズル92から、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気からなるジェット93を噴射する。一対のノズル92のうち、上側のノズル92からは、ケーシングパイプ87の径方向外側に、且つ、斜め下向きにジェット93を噴射する。下側のノズル92からは、ケーシングパイプ87の径方向外側に、且つ、斜め上向きにジェット93を噴射する。一対のジェット93は、外ケーシング89の外側で交差する交差噴流である。
ジェット93およびジェット95を噴射しながらケーシングパイプ87を所定の速度で引き上げつつ回転させると、図11(a)、図11(b)に示すように、ケーシングパイプ87の圧入時に形成された掘削範囲98の外側が、交差噴流である一対のジェット93によって、ジェット93同士が交差する位置まで切削され、拡幅部97が形成される。そして、掘削範囲98と拡幅部97とで形成される新たな掘削範囲99の内部で、ジェット93およびジェット95によって、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気と地盤1の土砂とが撹拌される(高圧噴射撹拌工法)。そして、図11(a)および図11(c)に示すように、掘削範囲99に所定の厚さの筒状の地盤改良体82が造成される。
ケーシングパイプ87の引き上げは、図10(e)に示すように、地表から所定の深さまでの全長にわたって地盤改良体82が造成されたところで完了する。図10(e)および図11(c)に示すように、地盤改良体82の内側の地盤は、未改良地盤84として残る。
このように、第6の実施の形態の地盤改良体の造成方法によれば、外ケーシング89と内ケーシング88とを有する二重管構造のケーシングパイプ87を用い、ケーシングパイプ87を地盤1から引き上げつつ、ノズル92およびノズル94から高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を噴射する。これにより、筒状の地盤改良体82を、セメントを含む掘削土を発生させることなく、安全に且つ効率的に施工することができる。
また、交差噴流である2本のジェット93をケーシングパイプ87の径方向外側に噴射することにより、ケーシングパイプ87の圧入時に形成された掘削範囲98の外側が切削され、拡幅された新たな掘削範囲99に筒状の地盤改良体82を形成することができる。
なお、第6の実施の形態において、ケーシングパイプ87を引き上げる際のジェットの噴射方向は、図11に示す方向でなくてもよい。また、ノズル94、一対のノズル92の設置数は、それぞれ2か所に限らず、1か所以上であればよい。
第1から第6の実施の形態によって造成される地盤改良体は、地盤に削孔する際に孔壁の安定を図る孔壁安定対策のためだけでなく、液状化対策のためにも用いることができる。
図12は、液状化対策のために地盤改良体21を造成した例を示す図である。図12に示す例では、第1の実施の形態の地盤改良体の造成方法を用いて、地盤1に、複数の地盤改良体21を所定の間隔をおいて造成する。これにより、地盤改良体21で未改良地盤を囲んで地震時のせん断破壊を防止し、液状化による被害を抑えることができる。なお、地盤改良体の配置は図12に示すものに限らず、地盤改良体を壁状や格子状に配置してもよい。
以上、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、101………地盤
3、3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h、3i、87………ケーシングパイプ
5、89………外ケーシング
7、88………内ケーシング
9、96………底板
11………全旋回施工機
13、15、17………先端
19………深度
21、21a、21b、21c、21d、21g、45、45f、82、103………地盤改良体
23、47………厚さ
25、25a、98、99………掘削範囲
27………外周面
29、77………内周面
31、31a、31b、39、49、57、63………改良ロッド
33、33a、33b、41、51、51a、51b、59、65、71、92、94………ノズル
35、35a、35b、43、53、53a、53b、61、67、93、95………ジェット
37、84………未改良地盤
55、97………拡幅部
69………高圧水ロッド
73………高圧水
75………ビット
79………スタビライザ
80………自走式造成機
81………ラフタークレーン
83………リーダ
85………ガイド部
86………回転駆動部
90、91………高圧配管
98a………掘削部
98b………余掘り部
105………削孔部
107………杭

Claims (9)

  1. 高圧噴射撹拌工法による地盤改良体の造成方法であって、
    地盤中に、外ケーシングと内ケーシングとを有する二重管構造の鋼製ケーシングパイプを、所定深度まで回転圧入または回転削孔圧入する工程aと、
    前記鋼製ケーシングパイプの先端付近に設けたノズルから、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を噴射するとともに、前記鋼製ケーシングパイプを回転させつつ前記地盤中から引き上げる工程bと、
    を具備することを特徴とする地盤改良体の造成方法。
  2. 前記工程bで、前記高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を、前記鋼製ケーシングパイプの円周方向に噴射することを特徴とする請求項1記載の地盤改良体の造成方法。
  3. 前記工程bで、前記高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を、鉛直下向きに噴射することを特徴とする請求項1または請求項2記載の地盤改良体の造成方法。
  4. 前記工程bで、前記高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を、2本の噴流が交差するように前記鋼製ケーシングパイプの径方向に噴射することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の地盤改良体の造成方法。
  5. 前記工程bで、前記高圧のセメントミルクおよび圧縮空気を、平面視で前記鋼製ケーシングパイプの円周方向と所定の角度を成す方向に噴射することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の地盤改良体の造成方法。
  6. 前記外ケーシングの先端が、前記内ケーシングの先端よりも下方に位置することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の地盤改良体の造成方法。
  7. 前記工程aで、前記鋼製ケーシングパイプの先端付近において、高圧水を、前記鋼製ケーシングパイプの円周方向または/および下向きに噴射することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の地盤改良体の造成方法。
  8. 高圧噴射撹拌工法による地盤改良体の造成に用いるケーシングパイプであって、
    外ケーシングと内ケーシングとを有する二重管と、
    前記外ケーシングの先端付近において、平面視で前記二重管から突出しないように配置されたノズルと、
    を具備し、
    前記ノズルから、高圧のセメントミルクおよび圧縮空気が噴射されることを特徴とするケーシングパイプ。
  9. 前記外ケーシングの先端が内ケーシングの先端より長い形状であり、前記ノズルが、平面視で前記外ケーシングと前記内ケーシングとの間に配置されることを特徴とする請求項8記載のケーシングパイプ。
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