JP2018193442A - インクセット - Google Patents

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香織 北畠
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Abstract

【課題】保存安定性に優れると共に、プラスチックや金属等のインク非吸収性記録媒体またはインク低吸収性記録媒体にも印刷が可能であって、印刷塗膜が耐水性に優れたインクセットを提供する。【解決手段】水性インクと反応液とを少なくとも含むインクセットであって、水性インクは、(a1)顔料、(a2)20mgKOH/g以下の酸価を有する樹脂粒子、および、(a3)樹脂粒子(a2)の官能基を架橋し得る架橋剤を含有し、反応液は、(b1)水性インクに含まれる顔料(a1)、樹脂粒子(a2)および架橋剤(a3)からなる群から選択される少なくとも1つの成分を凝集させ得る凝集剤を含有する、インクセット。【選択図】なし

Description

本発明はインクセットに関する。
画像データ信号に基づき、紙等の記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型・溶融型の熱転写方式、インクジェット方式等が知られている。これらの中でもインクジェット方式は、安価な装置で実施可能であり、かつ、必要とされる画像部のみにインクを吐出して記録媒体上に直接画像を形成可能であるため、インクを効率よく使用でき、ランニングコストを低減でき、さらに騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
しかし、上記インクジェット方式で用いられるインク(インクジェット記録用インク)は、水性インクが中心であるため、紙のようにインク吸収性のある記録媒体への印刷には適しているが、合成樹脂や金属等のようにインク吸収性のない記録媒体またはインク吸収性の低い記録媒体(インク非吸収性記録媒体またはインク低吸収性記録媒体)への印刷には適していない。
そこで、合成樹脂や金属等のインク非吸収性記録媒体またはインク低吸収性記録媒体にも印刷可能なインクジェット記録用インクについて多くの提案がなされている。例えば、特許文献1では、耐水性の向上、耐拡散性および耐摩耗性等の染色堅牢度等の印刷画像の品質改善、および長期保存安定性の向上を図る水性顔料インク組成物が提案されている。また、特許文献2では、吐出安定性に優れた水性顔料インク組成物が提案されている。さらに、特許文献3のインク組成物、特許文献4の印刷方法も提案されている。
特開2006−213922号公報 特開2008−1787号公報 特開2006−281570号公報 特許第5344137号公報
しかし、特許文献1および2に記載された水性顔料インク組成物は、記録媒体が合成樹脂等のインク非吸収性材料またはインク低吸収性材料の場合、記録媒体に対するインクの密着性が劣るという問題がある。
特許文献3では、インクジェットインクの密着性の課題に対して、インクとの高い密着性を有する下地膜を形成して、耐擦性、耐傷性および耐水性に優れたプラスチック記録物を形成する方法が提案されてはいるが、ポリオレフィンからなる記録媒体等の一部の記録媒体に使用する場合には、密着性および耐久性の課題が十分に解決されているとはいえない。
特許文献4では、色インク、樹脂インクおよび反応インクを使用しているため、これらのインクを吐出するためのノズルが必要となる点で、プリンターのコストが高くなるという問題がある。
そこで、本発明は、保存安定性に優れると共に、プラスチックや金属等のインク非吸収性記録媒体またはインク低吸収性記録媒体にも印刷が可能であって、印刷塗膜が耐水性に優れたインクセットを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定の成分を含有する水性インクおよび反応液を含むインクセットにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
[1]水性インクと反応液とを少なくとも含むインクセットであって、
水性インクは、
(a1)顔料、
(a2)20mgKOH/g以下の酸価を有する樹脂粒子、および、
(a3)樹脂粒子(a2)の官能基を架橋し得る架橋剤
を含有し、
反応液は、
(b1)水性インクに含まれる顔料(a1)、樹脂粒子(a2)および架橋剤(a3)からなる群から選択される少なくとも1つの成分を凝集させ得る凝集剤
を含有する、
インクセット。
[2]樹脂粒子(a2)はアクリル系樹脂粒子である、前記[1]に記載のインクセット。
[3]架橋剤(a3)はオキサゾリン基含有ポリマーである、前記[1]または[2]に記載のインクセット。
[4]オキサゾリン基含有ポリマーは粒子形状を有する、前記[3]に記載のインクセット。
[5]オキサゾリン基含有ポリマーは0℃以上のTgを有する、前記[3]または[4]に記載のインクセット。
[6]凝集剤(b1)はポリアリルアミンである、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のインクセット。
[7]水性インクの総量に基づく架橋剤(a3)の含有量に対する、水性インクの総量に基づく樹脂粒子(a2)の含有量の比(a2/a3)は、2〜10である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のインクセット。
[8]反応液は、グリコール系有機溶剤(b2)をさらに含有する、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のインクセット。
[9]グリコール系有機溶剤(b2)の含有量は、反応液の総量に基づいて1〜30質量%である、前記[8]に記載のインクセット。
[10]インク非吸収性記録媒体またはインク低吸収性記録媒体に印刷するためのインクセットである、前記[1]〜[9]のいずれかに記載のインクセット。
[11]記録媒体はポリプロピレンおよび/またはポリエチレンテレフタレートである、前記[10]に記載のインクセット。
本発明のインクセットは、特に水性インクの保存安定性に優れると共に、プラスチックや金属等のインク非吸収性材料にも印刷が可能であって、印刷塗膜が耐水性に優れている。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明のインクセットは、水性インクと反応液とを少なくとも含み、
水性インクは、
(a1)顔料、
(a2)20mgKOH/g以下の酸価を有する樹脂粒子、および、
(a3)樹脂粒子(a2)の官能基を架橋し得る架橋剤
を含有し、
反応液は、
(b1)水性インクに含まれる顔料(a1)、樹脂粒子(a2)および架橋剤(a3)からなる群から選択される少なくとも1つの成分を凝集させ得る凝集剤
を含有する、インクセットである。上記特徴を有する本発明のインクセットを用いることにより、特にインク非吸収性記録媒体やインク低吸収性記録媒体に本発明のインクセットで記録した画像の密着性および耐久性を向上させ、耐水性を高めることができる。
本発明のインクセットに含まれる水性インクは、(a1)顔料、(a2)20mgKOH/g以下の酸価を有する樹脂粒子、および、(a3)樹脂粒子(a2)の官能基を架橋し得る架橋剤を少なくとも含有する。
〔水性インク〕
(a1)顔料
本発明のインクセットに含まれる水性インクは、(a1)顔料を含有する。顔料は特に限定されず、従来公知の無機顔料や有機顔料を使用してよい。本発明の水性インクは、顔料として、1種類の顔料を含有してもよいし、2種以上の顔料を組み合わせて含有してもよい。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、トリポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカ等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリン系等が挙げられる。また、酸性、中性または塩基性カーボンからなるカーボンブラックや、架橋したアクリル樹脂の中空粒子等の有機顔料を用いることもできる。
顔料の具体例としては、下記に示すような、カラーインデックス(C.I.:The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメントに分類されている化合物、即ち、カラーインデックス(C.I.)番号が付されている化合物が挙げられる。
シアン色を有する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60等が挙げられる。これらの中でも、耐候性、着色力等の点から、C.I.ピグメントブルー15:3およびC.I.ピグメントブルー15:4のうちのいずれか単独で、または両方を混合して用いることが好ましい。
マゼンタ色を有する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド48(Ca)、C.I.ピグメントレッド48(Mn)、C.I.ピグメントレッド57(Ca)、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。これらの中でも、耐候性、着色力等の点から、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド254、およびC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
イエロー色を有する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー2、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14C、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー75、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー130、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー213、C.I.ピグメントイエロー214等が挙げられる。これらの中でも、耐候性等の点から、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー213、およびC.I.ピグメントイエロー214からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
ブラック色を有する顔料としては、例えば、三菱化学社製の「HCF」、「MCF」、「RCF」、「LFF」、「SCF」;キャボット社製の「モナーク」、「リーガル」;デグサ・ヒュルス社製の「カラーブラック」、「スペシャルブラック」、「プリンテックス」;東海カーボン社製の「トーカブラック」;コロンビア社製の「ラヴェン」;等が挙げられる。これらの中でも、三菱化学社製の「HCF#2650」、「HCF#2600」、「HCF#2350」、「HCF#2300」、「MCF#1000」、「MCF#980」、「MCF#970」、「MCF#960」、「MCF88」、「LFFMA7」、「LFFMA8」、「LFFMA11」、「LFFMA77」、「LFFMA100」、およびデグサ・ヒュルス社製の「プリンテックス95」、「プリンテックス85」、「プリンテックス75」、「プリンテックス55」、「プリンテックス45」からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
本発明のインクセットに含まれる水性インクにおける(a1)顔料の含有量は、鮮明な印刷画像を得やすい観点から、水性インクの総量に基づいて好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。また、上記の含有量は、インク粘度が上昇しすぎることを防止し、吐出性を得やすい観点からは、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
(a2)樹脂粒子
本発明のインクセットに含まれる水性インクは、(a2)20mgKOH/g以下の酸価を有する樹脂粒子を含有する。ここで、本明細書において、樹脂粒子とは水性インク中に分散している状態で存在する樹脂を意味する。樹脂粒子は、例えば、樹脂エマルションとして販売される原料中に含まれる樹脂の粒子であり得る。インクが樹脂粒子を含有する場合、顔料、樹脂粒子および架橋剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分を、後述する凝集剤(b1)で凝集させることにより、印刷された画像の滲みを防止することができると考えられる。しかし、水性インク中に粒子形状で存在する樹脂粒子は、印刷塗膜においても粒子形状を維持していると考えられるため、隣接する樹脂粒子間や樹脂粒子と記録媒体との界面においては、接点が小さいために隙間が生じていると考えられる。そこで、本発明のインクセットにおいては、水性インク中に架橋剤(a3)をさらに含有させることにより、樹脂粒子間や樹脂粒子と記録媒体との界面における隙間を埋めると共に、印刷塗膜中の樹脂粒子同士の密着性および樹脂粒子と記録媒体との密着性を高めることが可能であると考えられる。そして、本発明は、上記効果を達成しつつ、インクの保存安定性を高めるためには、上記所定の成分を含む水性インクおよび反応液を含むインクセットを用いることが重要であることを見出してなされたものである。なお、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
樹脂粒子を形成する樹脂としては、20mgKOH/g以下の酸価を有する樹脂である限り特に限定されず、例えば熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される樹脂が挙げられる。樹脂粒子を形成する樹脂としては、具体的には、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。本発明の水性インクは、樹脂粒子として、1種類の樹脂粒子を含有してもよいし、2種以上の樹脂粒子を組み合わせて含有してもよい。また、樹脂粒子を形成する樹脂が、上記樹脂を構成する構造単位を2種以上含む共重合体であってもよいし、2種以上の樹脂の混合物であってもよい。さらに、樹脂粒子が、2種以上の樹脂が例えばコア/シェルのように積層された複合樹脂粒子であってもよい。なお、本明細書において、オキサゾリン基を含有する樹脂の粒子は、樹脂粒子(a2)には包含されず、後述する架橋剤(a3)に包含される。
樹脂粒子(a2)を形成する樹脂の酸価は、20mgKOH/g以下である。本発明のインクセットに含まれる水性インクが20mgKOH/gを超える酸価を有する樹脂粒子を含有する場合、水性インク中に含有される樹脂粒子と後述する架橋剤(a3)とが、水性インク中で経時的に反応してしまうために、水性インクの十分な貯蔵安定性が得られない。樹脂粒子(a2)の酸価は、水性インクの貯蔵安定性を高めやすい観点から、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは18mgKOH/g以下である。特に、水性インク中の樹脂粒子(a2)の含有量が多い場合には、上記の上限以下の酸価を有する樹脂粒子(a2)を用いることにより、水性インクの貯蔵安定性を高めやすくなる。樹脂粒子(a2)の酸価は、印刷後の塗膜の強度を高めると共に塗膜と記録媒体との密着性を高め、印刷物の耐水性、耐溶剤性、耐擦過性を高めやすい観点から、好ましくは8mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上である。酸価の測定は、電位差滴定により行うことができ、具体的な測定方法は実施例に記載する通りである。
樹脂粒子(a2)は、汎用性が高く樹脂設計がしやすい観点から、アクリル系樹脂粒子またはウレタン系樹脂粒子であることが好ましく、アクリル系樹脂粒子であることがより好ましい。アクリル系樹脂とは、アクリレート類および/またはメタアクリレート類に由来する構造単位を主に有する重合物であり、アクリレート類および/またはメタアクリレート類を主成分とし、スチレン類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類等を共重合成分として重合させた重合物であってもよい。本明細書において、ウレタン系樹脂とは、ジイソシアネート化合物とジオール化合物とを反応させて得られるウレタン構造単位を主に有する重合物であり、ジイソシアネート化合物とジオール化合物とを主成分として、(メタ)アクリレート類、スチレン類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類等を共重合成分として重合させた重合物であってもよい。なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタアクリレートを表す。
樹脂粒子(a2)は、後述する架橋剤(a3)との架橋反応により、耐水性、耐擦過性などの塗膜特性を高めやすい観点から、上記酸価を有し、カルボキシル基、芳香族性チオール基、フェノール基およびスルホン酸基からなる群から選択される官能基を少なくとも有する樹脂の粒子であることが好ましく、カルボキシル基を少なくとも有する樹脂の粒子であることがより好ましい。
樹脂粒子(a2)の重量平均分子量は、重合プロセスの安定性の観点から、好ましくは50,000〜500,000、より好ましくは70,000〜300,000、さらに好ましくは90,000〜200,000である。樹脂粒子の重量平均分子量は、GPC(alliance2690、waters社製)により測定される。
樹脂粒子(a2)の平均粒子径は、吐出安定性、貯蔵安定性の観点から、好ましくは30〜300nm、より好ましくは50〜200nm、さらに好ましくは80〜150nmである。樹脂粒子の平均粒子径は、粒度分布計(大塚電子社製、FPAR−1000)により測定される。樹脂粒子(a2)の平均粒子径は、インクの製造に使用した原料である樹脂粒子(a2)を含む樹脂エマルションについて、上記と同様にして測定した平均粒子径であってもよい。
樹脂粒子(a2)のガラス転移温度Tgは、ブロッキング性、乾燥温度の観点から、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。樹脂粒子のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計(DSC)により測定される。
本発明のインクセットに含まれる水性インクにおける樹脂粒子(a2)の含有量は、インク非吸収性記録媒体またはインク低吸収性記録媒体に対して印刷する際のインクの滲みを防止しやすく、塗膜の耐水性を高めやすい観点から、水性インクの総量に基づいて好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上である。また、上記の含有量は、吐出安定性、貯蔵安定性の観点からは、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
(a3)架橋剤
本発明のインクセットに含まれる水性インクは、樹脂粒子(a2)の官能基を架橋し得る架橋剤(a3)を含有する。架橋剤は、樹脂粒子(a2)の官能基を架橋し得る化合物である限り特に限定されないが、例えばオキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂等が挙げられる。本発明の水性インクは、架橋剤として、1種類の化合物を含有してもよいし、2種以上の化合物を組み合わせて含有してもよい。架橋剤(a3)が、樹脂粒子(a2)の官能基を架橋し得るとは、架橋剤(a3)が樹脂粒子(a2)の官能基と反応し共有結合を形成し得ることを表す。ある物質が樹脂粒子(a2)の官能基を架橋し得るかどうかは、具体的には、当該物質と樹脂粒子(a2)とを混合、そして熱処理などの架橋反応を起こす処理をすることにより、樹脂粒子(a2)が有する官能基に変化が生じるかどうかを、ガスクロマトグラフィー(GC)および/または赤外分光法(IR)等により観察し、樹脂粒子(a2)の官能基と架橋剤(a3)との間に共有結合が形成されたことによる変化が見られる場合には、当該物質が架橋剤であると判断することができる。
所定の酸価を有する樹脂粒子(a2)と架橋剤(a3)とを含有する本発明の水性インク中では、樹脂粒子(a2)と架橋剤(a3)との反応が生じにくく、水性インクは十分な貯蔵安定性を有する。貯蔵安定性をより向上させる観点からは、前述または後述する好ましい特性を有する樹脂粒子(a2)および/または架橋剤(a3)を使用すること、これらを前述または後述する量で用いること等が好ましい。樹脂粒子(a2)と架橋剤(a3)とは、水性インク中では互いに反応が生じにくいものの、印刷後の乾燥過程で、それぞれの濃度が高まることによって、加速度的に互いに架橋反応を生じる。その結果、架橋剤(a3)が、樹脂粒子間や樹脂粒子と記録媒体との界面における隙間を埋めると共に、印刷塗膜中の樹脂粒子同士の密着性および樹脂粒子と記録媒体との密着性を高め、塗膜強度および塗膜の密着性が向上すると考えられる。
架橋剤(a3)は、上記所定の酸価を有する樹脂粒子(a2)の官能基を架橋し、塗膜強度および耐水性を高めやすい観点から、オキサゾリン基および/またはカルボジイミド基を有するポリマーであることが好ましく、溶剤(特にエタノール等のアルコール系溶剤)に対する耐溶剤性を高めやすい観点からはオキサゾリン基を有するポリマーであることがより好ましい。架橋剤(a3)がオキサゾリン基および/またはカルボジイミド基を有するポリマーである本発明の好ましい一態様において、架橋剤(a3)の主鎖は特に限定されず、例えばアクリル系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられる。
架橋剤(a3)がポリマーである場合、架橋剤(a3)は水性インク中にポリマー鎖が広がった状態で存在してもよいし、水性インク中で粒子形状で分散した状態で存在してもよい。また、上記の両方の状態で存在する2種以上の架橋剤が水性インク中に含有されていてもよい。
架橋剤(a3)がオキサゾリン基および/またはカルボジイミド基を有するポリマーである本発明の好ましい一態様において、上記所定の酸価を有する樹脂粒子(a2)の官能基を架橋し、塗膜強度および塗膜と記録媒体との密着性を高めやすい観点から、架橋剤(a3)におけるオキサゾリン基および/またはカルボジイミド基の数と、樹脂粒子(a2)における酸官能基の数との比は、架橋剤(a3)に含まれるオキサゾリン基および/またはカルボジイミド基の合計数/樹脂粒子(a2)における酸官能基の数より算出して、1〜10であることが好ましい。なお、架橋剤(a3)に含まれるオキサゾリン基および/またはカルボジイミド基の合計数とは、架橋剤(a3)がオキサゾリン基を有するがカルボジイミド基を有さない場合には架橋剤(a3)に含まれるオキサゾリン基の数を表し、架橋剤(a3)がカルボジイミド基を有するがオキサゾリン基を有さない場合には架橋剤(a3)に含まれるカルボジイミド基の数を表し、架橋剤(a3)がカルボジイミド基およびオキサゾリン基の両方を有する場合には、これら両方の基の数を表す。架橋剤(a3)におけるオキサゾリン基およびカルボジイミド基の数は、GC−MSにより測定され、樹脂粒子(a2)における酸官能基の数は、酸価と官能基構造より算出される。
架橋剤(a3)がオキサゾリン基を有するポリマー(以下において「オキサゾリン基含有ポリマー」とも称します)である本発明の好ましい一態様において、インク非吸収性記録媒体またはインク低吸収性記録媒体に対して印刷しやすい観点からは、オキサゾリン基含有ポリマーは粒子形状を有することが好ましい。上記好ましい一態様において、架橋剤(a3)のガラス転移温度Tgは、塗膜強度を高めやすい観点、特に常温での塗膜強度を高めやすい観点から、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜50℃である。樹脂粒子のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計(DSC)により測定される。また、上記好ましい一態様において、架橋剤(a3)の平均粒子径は、吐出安定性、貯蔵安定性の観点から、好ましくは30〜300nm、より好ましくは50〜200nm、さらに好ましくは80〜150nmである。架橋剤(a3)の平均粒子径は、粒度分布計(例えば大塚電子社製、FPAR−1000)により測定される。架橋剤(a3)の平均粒子径は、インクの製造に使用した原料である架橋剤(a3)を含む樹脂エマルションについて、上記と同様にして測定した平均粒子径であってもよい。
本発明のインクセットに含まれる水性インクにおける架橋剤(a3)の含有量は、塗膜特性を向上しやすい観点、特に塗膜強度を高めやすい観点から、水性インクの総量に基づいて好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。また、上記の含有量は、貯蔵安定性の観点からは、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
本発明のインクセットに含まれる水性インクにおける、水性インクの総量に基づく架橋剤(a3)の含有量に対する、水性インクの総量に基づく樹脂粒子(a2)の含有量の比(a2/a3)は、架橋効果を発現しやすく、塗膜強度を高めて耐水性を向上させやすい観点から、好ましくは10以下、より好ましくは7以下である。また、上記の比(a2/a3)は、貯蔵安定性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。
〔その他の成分〕
本発明のインクセットに含まれる水性インクは、通常、さらに水を含有する。また、上記の他に、インクにおいて通常使用される追加の成分をさらに含んでいてもよい。このような追加の成分としては、有機溶剤、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、およびその他の水溶性樹脂等が挙げられる。
〔反応液〕
(b1)凝集剤
本発明のインクセットに含まれる反応液は、凝集剤(b1)を含有する。本発明のインクセットが凝集剤(b1)を含有する反応液を含むことにより、インクの滲みを防止するという効果が達成される理由は、記録媒体に反応液と水性インクとを着滴させ、記録媒体上でこれらが接触することで、反応液に含まれる凝集剤(b1)により、水性インク中の成分を凝集させることができ、インク組成物を記録媒体上に迅速に固定化させることができるためであると考えられる。上記のようなインクの滲み防止効果は、加熱等の操作がなくとも達成することが可能である。そのため、本発明のインクセットを用いる場合には、滲みを防止するために記録媒体を加熱しながらインクを吐出する必要がなく、加熱により生じ得るインクの吐出不良の問題が生じにくい。なお、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
凝集剤(b1)は、水性インクに含まれる顔料(a1)、樹脂粒子(a2)および架橋剤(a3)からなる群から選択される少なくとも1つの成分を凝集させ得る化合物である限り特に限定されないが、例えば多価金属塩、カチオン性界面活性剤およびカチオン性ポリマーからなる群から選択される成分が挙げられ、好ましくはカチオン性ポリマーであり、より好ましくは水溶性カチオン性ポリマーである。本発明のインクセットに含まれる反応液は、凝集剤として、1種類の化合物を含有してもよいし、2種以上の化合物を組み合わせて含有してもよい。凝集剤(b1)が、顔料(a1)、樹脂粒子(a2)および架橋剤(a3)からなる群から選択される少なくとも1つの成分を凝集させ得るとは、凝集剤がこれらのいずれかと対となるイオン性を有する事でイオン結合を形成し凝集形態をなす事を表し、ある物質が顔料(a1)、樹脂粒子(a2)および架橋剤(a3)からなる群から選択される少なくとも1つの成分を凝集させ得るかどうかは、具体的には、ある物質と、顔料(a1)、樹脂粒子(a2)および架橋剤(a3)からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含む組成物とを混ぜ合わせる際に凝集物ができるかどうかを目視により判断し、凝集物ができる場合には該物質が凝集剤であると判断することができる。
凝集剤(b1)としては、例えばカチオン性ポリマーが挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、カチオン性基として、第一級〜第三級アミノ基、または第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性モノマーの単独重合体や、このカチオン性モノマーと非カチオン性モノマーとの共重合体または縮重合体が好ましい。カチオン性ポリマーの好ましい具体例としては、ポリアリルアミン、ジアルキルアミン・エピクロロヒドリン共重合体(例えばジメチルアミン・エピクロロヒドリンポリマー)、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドポリマー、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン共重合体、ジアリルアミンポリマー、またそれらの塩等が挙げられる。凝集剤(b1)は、水性インクに含まれる顔料(a1)および樹脂粒子(a2)の少なくとも一方を凝集させやすく、インク非吸収性記録媒体またはインク低吸収性記録媒体(例えばPP、PET)への密着性を高めやすい観点からは、好ましくはポリアリルアミンである。
凝集剤(b1)がポリアリルアミンである本発明の好ましい一態様において、ポリアリルアミンの重量平均分子量は、滲み止め効果と吐出安定性の観点から、好ましくは3,000〜30,000、より好ましくは3,000〜15,000である。樹脂粒子の重量平均分子量は、GPCにより測定される。
本発明のインクセットに含まれる反応液における凝集剤(b1)の含有量は、滲みを防止しやすい観点から、反応液の総量に基づいて好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上、特に好ましくは3質量%以上である。また、上記の含有量は、粘度を適正な範囲に調整し、吐出性を高めやすい点からは、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。
(b2)グリコール系有機溶剤
本発明のインクセットに含まれる反応液は、好ましくは、グリコール系有機溶剤(b2)をさらに含有する。本発明のインクセットにおける反応液がグリコール系有機溶剤(b2)をさらに含有する場合、印刷塗膜の耐擦過性を向上させやすいため好ましい。この効果が達成される理由は、記録媒体に反応液と水性インクとを着滴させ、記録媒体上でこれらが接触することで、反応液に含まれるグリコール系有機溶剤が水性インクに含まれる樹脂粒子を膨潤等させることにより、水性インク中に含まれる樹脂粒子の造膜性を向上させているためであると考えられる。なお、本発明は上記メカニズムに何ら限定されるものではない。
グリコール系有機溶剤(b2)としては、例えばアルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート等が挙げられ、具体的にはジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。反応液がグリコール系有機溶剤(b2)を含有する場合、反応液はグリコール系有機溶剤(b2)として、1種類の化合物を含有してもよいし、2種以上の化合物を組み合わせて含有してもよい。グリコール系有機溶剤(b2)は、吐出安定性および乾燥しやすさの観点からは、好ましくはジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選択される化合物であり、より好ましくはジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよび/またはジプロピレングリコールモノブチルエーテルである。
グリコール系有機溶剤(b2)の沸点は、乾燥性および塗膜の擦過性を高めやすい観点から、好ましくは270℃以下、より好ましくは250℃以下である。上記沸点の下限は特に限定されないが、吐出安定性の観点から、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは210℃以上、特に好ましくは220℃以上である。上記好ましい沸点を有するグリコール系有機溶剤としてはジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点約230℃)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点約230℃)およびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点約242℃)が挙げられる。
グリコール系有機溶剤(b2)の溶解度パラメータ(SP値、(cal/cm1/2)は、耐擦過性を高めやすい観点から、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは9以下である。溶解度パラメータの下限は特に限定されないが、通常5以上、好ましくは7以上である。ここで、溶解度パラメータは、SP値とも称されるパラメータであり、Hansenの溶解度パラメーターの計算式により導かれる数値である。例えば、1,3−ブチレングリコールのSP値は14.4であり、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルのSP値は8.2であり、ジエチレングリコールモノブチルエーテルのSP値は9.5である。
本発明のインクセットに含まれる反応液がグリコール系有機溶剤(b2)をさらに含有する場合、その含有量は、耐擦過性向上の観点から、反応液の総量に基づいて好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。また、上記の含有量はVOC低減の観点からは、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
〔その他の成分〕
本発明のインクセットに含まれる反応液は、上記の他に、通常、水を含有する。また、該反応液は、インクにおいて通常使用される追加の成分をさらに含んでいてもよい。このような追加の成分としては、水、有機溶剤、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、およびその他の水溶性樹脂等が挙げられる。
〔記録媒体〕
本発明のインクセットを用いて画像を記録するための記録媒体は特に限定されない。本発明のインクセットによれば、記録媒体がインク非吸収性記録媒体またはインク低吸収性記録媒体であっても、印刷時に滲みがなく印刷可能であり、塗膜と記録媒体との高い密着性を達成することができる。インク非吸収性記録媒体またはインク低吸収性記録媒体としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;ステンレス鋼、銅、アルミニウム等の金属;ガラス、磁器等の非吸水性セラミックス;等が挙げられる。
〔記録方法〕
水性インクおよび反応液を記録媒体に付与して印刷を行う方法について説明する。水性インクおよび反応液を記録媒体に付与する方法としては、インクジェット方が挙げられる。インクジェット法とは、インクジェット方式の記録ヘッドから、水性インクおよび反応液の各液体を吐出して、記録媒体に画像を記録する方法である。上記各液体を吐出する方式としては、各液体に力学的エネルギーを付与して吐出する方式や、各液体に熱エネルギーを付与して吐出する方式が挙げられる。
水性インクと反応液とを使用する本発明のインクセットにおいては、上記に述べたように、水性インクと反応液とが混ざり合うことにより、印刷時の滲みを防止することができる。この効果を高めやすい観点からは、まず反応液を吐出し、次いで、水性インクを反応液上に吐出するか、あるいは、反応液と水性インクとを同時に吐出することが好ましい。この際、これらの液が少なくとも一部において、好ましくは全体的に、重なるように印刷されることが好ましい。印刷時のインクの打ち込み量は、使用する各液体の組成等に応じて適宜設定してよいが、水性インク100質量部に対して、反応液が好ましくは20〜60質量部、より好ましくは30〜40質量部となるような量である。反応液の量が上記の上限以下である場合、印刷物の液垂れを防止しやすく、反応液の量が上記の下限以上である場合、滲み防止効果を十分に高めやすい。
水性インクおよび反応液の各液体を吐出後、これらの各液体に含有され得る水および/または有機溶剤を蒸発させるために、場合により印刷物を加熱する。加熱温度は、印刷装置における制約、記録媒体の種類等に応じて適宜設定してよいが、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上である。また、加熱温度は、通常は100℃以下である。この加熱等によって各液体を乾燥させ、各液体中の固形分濃度を上昇させることにより、樹脂粒子(a2)と架橋剤(a3)との架橋反応が加速度的に進行すると考えられる。なお、本発明のインクセットを用いる場合、上記に説明したように、インクの滲みを防止するために記録媒体等を加熱しながらインクを吐出する必要はない。ここで、従来技術のように、記録媒体を加熱しながらインクを吐出してインクの滲みを防止する場合には、記録媒体とノズルとの距離が近い状態で加熱が行われることにより、記録媒体の熱でノズル部も加熱され、吐出前のインク中でも反応が起こり、インクの吐出不良が生じる場合がある。本発明においては、記録媒体等を加熱しながらインクを吐出する必要がないため、上記のような吐出不良を防止することができる。インクの吐出不良を防止しやすい観点からは、インクを吐出後に、インクノズルとの間に一定の距離が空いた状態で上記加熱を行い各液体を乾燥させることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<酸価の測定>
水性インクの製造に使用した樹脂エマルションを測定試料とし、樹脂粒子の酸価を測定した。具体的には、まず、固形分濃度x%のエマルションygをTHFで100倍に希釈した。得られた希釈液を、電位差測定装置(AT-420、京都電子工業社製)を用いて、0.05mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液で滴定し、滴定終点までに必要な水酸化カリウム溶液量(amL)を測定した。次に、純水をTHFで100倍に希釈し、得られた希釈液について同様に滴定を行い、滴定終点までに必要な水酸化カリウム溶液量(bmL)を測定した。
これらの結果より、酸価を下記式に従い計算した。
樹脂粒子の酸価(mgKOH/g)
={56.11×0.05×(a−b)}/{(x/100)×y}
後述する実施例および比較例において使用した原料の略号および詳細を次の表1および表2に示す。
Figure 2018193442
Figure 2018193442
〔製造例1:水性インクの調製〕
表3に示す量および種類の顔料、樹脂粒子、架橋剤、界面活性剤、有機溶剤および水を、混合攪拌装置を用いて均一に混合して混合物を得た。得られた混合物を、グラスフィルター(桐山製作所製)を用いて吸引濾過し、水性インクを調製した。なお、表3中の界面活性剤としては、ビックケミージャパン株式会社製、BYK348(シリコン系界面活性剤)を使用した。
Figure 2018193442
〔水性インクの保存安定性の評価〕
(1)粘度および粒径の変化率
上記のようにして調製した水性インクを測定試料とし、粘度および粒径の測定を行った。粘度は、東機産業社製「TV−22形粘度計」を用い、25℃、10rpmにて測定した。粒径は、大塚電子社製の濃厚系粒径アナライザー「FPAR−1000」を用いて25℃で測定した。
次いで、水性インクをガラス容器に封入し、60℃の恒温槽で14日間保管した。保管後の水性インクについて、上記と同様にして粘度および粒径の測定を行った。
初期の粘度をV、粒径をDとし、保管後の粘度をV、粒径をDとして、粘度変化率=(V−V)/V、粒径変化率=(V−V)/Vの式から変化率を算出した。得られた結果を表3中に示す。
(2)外観の変化
上記と同様の保管条件にて保管前後の水性インクの外観を次の基準で評価した。得られた結果を表3中に示す。
A:外観変化が全く見られない
B:わずかなチキソトロピー性が見られた
C:ゲル化が生じ、著しい外観変化が見られた
〔製造例2:反応液の調製〕
表4に示す量および種類の凝集剤、グリコール系有機溶剤、他の有機溶剤、界面活性剤および水を、混合攪拌装置を用いて均一に混合して混合物を得た。得られた混合物を、グラスフィルター(桐山製作所製)を用いて吸引濾過し、反応液を調製した。なお、表4中の凝集剤としては、ニットーボーメディカル株式会社製、PAA−15C(分子量15000の水溶性カチオン性ポリマー(ポリアリルアミン)の15%濃度水溶液)を使用し、ポリマー純分として換算した量を表4中に示す。また、表4中の界面活性剤としては、ビックケミージャパン株式会社製、BYK348(シリコン系界面活性剤)を使用した。
Figure 2018193442
〔実施例および比較例:インクセットの製造〕
上記のようにして製造した水性インクおよび反応液を表5に示すように組み合わせて、実施例1〜16および比較例1〜5のインクセットを得た。得られたインクセットを用いて、後述する方法で塗膜を作製した。
〔塗膜の作成〕
プリンターUJF−3042HG(ミマキエンジニアリング社製)を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる記録媒体上に、水性インク100質量%、反応液30質量%の印刷濃度で、150mm×100mmサイズの画像サンプルを形成した。画像サンプルは、反応インクを印刷した後に、反応インクの上に重なるように水性インクを印刷し、その後、乾燥機FV−320(アドバンテック東洋社製)を用いて、90℃で10分間かけて追加乾燥させることにより、印刷塗膜を形成させた。乾燥時に記録媒体を置いたステージの温度は、ラバーヒーターを使用して30℃とした。
〔塗膜特性の評価1:耐水性〕
上記のようにして得た印刷塗膜上に水を染み込ませた綿棒を10往復させた後、塗膜の外観を以下の基準に従い評価して、塗膜の耐水性を評価した。得られた結果を表5に示す。
○:印刷塗膜に変化は見られない
×:印刷塗膜の滲み、または、剥がれが見られた
〔塗膜特性の評価2:耐擦過性〕
上記のようにして得た印刷塗膜上に、断面7φの消しゴムを、1.0kgfの荷重を加えて10往復させた後、塗膜の外観(往復跡の有無)を以下の基準に従い評価して、塗膜の耐擦過性を評価した。得られた結果を表5に示す
◎:ほとんど跡が残らなかった
〇:跡は残るが、塗膜は残った
△:塗膜が剥がれ下地が見えた
Figure 2018193442

Claims (11)

  1. 水性インクと反応液とを少なくとも含むインクセットであって、
    水性インクは、
    (a1)顔料、
    (a2)20mgKOH/g以下の酸価を有する樹脂粒子、および、
    (a3)樹脂粒子(a2)の官能基を架橋し得る架橋剤
    を含有し、
    反応液は、
    (b1)水性インクに含まれる顔料(a1)、樹脂粒子(a2)および架橋剤(a3)からなる群から選択される少なくとも1つの成分を凝集させ得る凝集剤
    を含有する、
    インクセット。
  2. 樹脂粒子(a2)はアクリル系樹脂粒子である、請求項1に記載のインクセット。
  3. 架橋剤(a3)はオキサゾリン基含有ポリマーである、請求項1または2に記載のインクセット。
  4. オキサゾリン基含有ポリマーは粒子形状を有する、請求項3に記載のインクセット。
  5. オキサゾリン基含有ポリマーは0℃以上のTgを有する、請求項3または4に記載のインクセット。
  6. 凝集剤(b1)はポリアリルアミンである、請求項1〜5のいずれかに記載のインクセット。
  7. 水性インクの総量に基づく架橋剤(a3)の含有量に対する、水性インクの総量に基づく樹脂粒子(a2)の含有量の比(a2/a3)は、2〜10である、請求項1〜6のいずれかに記載のインクセット。
  8. 反応液は、グリコール系有機溶剤(b2)をさらに含有する、請求項1〜7のいずれかに記載のインクセット。
  9. グリコール系有機溶剤(b2)の含有量は、反応液の総量に基づいて1〜30質量%である、請求項8に記載のインクセット。
  10. インク非吸収性記録媒体またはインク低吸収性記録媒体に印刷するためのインクセットである、請求項1〜9のいずれかに記載のインクセット。
  11. 記録媒体はポリプロピレンおよび/またはポリエチレンテレフタレートである、請求項10に記載のインクセット。
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