JP2018193056A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライ路面での操縦安定性を維持しつつ優れた雪上性能を発揮し得るタイヤを提供する。【解決手段】トレッド部2を有するタイヤである。トレッド部2には、タイヤ軸方向の一方側の第1トレッド端Te1からタイヤ赤道C側に向かって斜めに延びる複数の第1傾斜溝10Aが設けられている。第1傾斜溝10Aは、第1トレッド端Te1から延びかつタイヤ赤道Cの手前まで延びる本体部12と、本体部12から分岐してタイヤ赤道を横切る分岐部13とを含む。分岐部13は、第1傾斜溝10A以外の他の溝に連なることなく途切れている。【選択図】図1

Description

本発明は、ドライ路面での操縦安定性を維持しつつ優れた雪上性能を発揮し得るタイヤを提供する。
例えば、下記特許文献1には、冬用のタイヤが提案されている。特許文献1のタイヤのトレッド部には、一方のトレッド端からタイヤ赤道側に向かって斜めに延びる複数の傾斜溝が設けられている。特許文献1の傾斜溝は、トレッド端から延びかつタイヤ赤道の手前まで延びる本体部と、本体部から分岐してタイヤ赤道を横切る分岐部とを含んでいる。
しかしながら、特許文献1の前記分岐部は、他方のトレッド端から延びる別の傾斜溝に連通している。このような分岐部は、タイヤ赤道付近の陸部の剛性を低下させ、ひいてはドライ路面での操縦安定性を低下させるおそれがあった。
特開2016−196288号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ドライ路面での操縦安定性を維持しつつ優れた雪上性能を発揮し得るタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部には、タイヤ軸方向の一方側の第1トレッド端からタイヤ赤道側に向かって斜めに延びる複数の第1傾斜溝が設けられ、前記第1傾斜溝は、前記第1トレッド端から延びかつタイヤ赤道の手前まで延びる本体部と、前記本体部から分岐してタイヤ赤道を横切る分岐部とを含み、前記分岐部は、前記第1傾斜溝以外の他の溝に連なることなく途切れている。
本発明のタイヤにおいて、前記トレッド部には、タイヤ軸方向の他方側の第2トレッド端からタイヤ赤道側に向かって延びる複数の第2傾斜溝が設けられ、前記分岐部は、前記第2傾斜溝の手前で途切れ、前記分岐部の端部と前記第2傾斜溝との間の離間部の幅は、前記分岐部の溝幅よりも小さいのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記離間部には、前記分岐部と前記第2傾斜溝との間を連通する幅が1.5mm未満のサイプが設けられているのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記トレッド部は、中央陸部を有し、前記中央陸部は、幅が1.5mmを超える溝に分断されることなくタイヤ周方向に連続して延びるのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記本体部は、タイヤ赤道の手前で途切れる先端部を含み、前記先端部と前記分岐部との間のコーナ部には、テーパー状の陸部が区分され、前記テーパー状の陸部は、前記コーナ部に向かってタイヤ半径方向内側に傾斜した面取り部を有するのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、回転軸を含むタイヤ横断面において、前記トレッド部は、接地面と、接地面のタイヤ軸方向外側に配されたバットレス面とを含み、前記接地面と前記バットレス面とは、曲率半径が1〜10mmの円弧面で接続されているのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記トレッド部には、前記分岐部からタイヤ周方向に延びる縦サイプが設けられているのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記縦サイプは、前記分岐部に連なる一端と、他の溝及びサイプに接続することなく途切れる他端とを有するのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記縦サイプは、前記分岐部の溝幅よりも小さいタイヤ周方向の長さを有するのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記本体部の先端は、タイヤ軸方向に対して70〜80°の角度で傾斜しているのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記トレッド部は、前記複数の第1傾斜溝の間に、最も前記第1トレッド端側に配されたショルダーブロックを含み、前記ショルダーブロックには、タイヤ周方向に延びかつ両端がブロック内で途切れる縦クローズドサイプが設けられているのが望ましい。
本発明のタイヤのトレッド部には、タイヤ軸方向の一方側の第1トレッド端からタイヤ赤道側に向かって斜めに延びる複数の第1傾斜溝が設けられている。第1傾斜溝は、第1トレッド端から延びかつタイヤ赤道の手前まで延びる本体部と、本体部から分岐してタイヤ赤道を横切る分岐部とを含む。第1傾斜溝は、雪上走行時、タイヤ軸方向に対して斜めに延びる長い雪柱を形成する。とりわけ、タイヤ赤道を横切る分岐部には、雪上走行時に大きな接地圧が作用するため、より固い雪柱が形成される。第1傾斜溝は、前記雪柱をせん断することにより、大きな雪上トラクションを得ることができる。
分岐部は、第1傾斜溝以外の他の溝に連なることなく途切れている。このような分岐部は、上述の雪上トラクションを得ながら、タイヤ赤道付近の陸部の剛性低下を抑制し、ひいてはドライ路面での操縦安定性を維持することができる。
以上のように、本発明のタイヤは、ドライ路面での操縦安定性を維持しつつ優れた雪上性能を発揮することができる。
本発明の一実施形態のタイヤのトレッド部の展開図である。 図1の第1傾斜溝の輪郭の拡大図である。 図1の各傾斜溝の先端部及び分岐部の拡大図である。 図1のミドルブロック列及びショルダーブロック列の拡大図である。 回転軸を含むタイヤ横断面の部分拡大図である。 比較例のタイヤのトレッド部の展開図である。 本発明の他の実施形態のタイヤのトレッド部の展開図である。 図7の第1傾斜溝の輪郭の拡大図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態のタイヤ1のトレッド部2の展開図である。図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、例えば、乗用車用の冬用の空気入りタイヤとして好適に使用される。本発明の他の態様では、タイヤ1は、例えば、重荷重用の空気入りタイヤや、タイヤの内部に加圧された空気が充填されない非空気式タイヤ等として用いることができる。
本実施形態のタイヤ1は、例えば、回転方向Rが指定された方向性パターンを具えている。回転方向Rは、例えば、サイドウォール部(図示省略)に、文字又は記号で表示される。
本実施形態のタイヤ1は、第1トレッド端Te1と第2トレッド端Te2との間のトレッド部2を有している。トレッド部2は、タイヤ赤道Cと第1トレッド端Te1との間の第1トレッド部2Aと、タイヤ赤道Cと第2トレッド端Te2との間の第2トレッド部2Bとを含んでいる。
第1トレッド端Te1及び第2トレッド端Te2は、空気入りタイヤの場合、正規状態のタイヤ1に正規荷重が負荷されキャンバー角0°で平面に接地したときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。正規状態とは、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等は、正規状態で測定された値である。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
トレッド部2には、複数の第1傾斜溝10A及び複数の第2傾斜溝10B(以下、これらを含めて単に「傾斜溝10」という場合がある。)が設けられている。第1傾斜溝10Aは、第1トレッド端Te1からタイヤ赤道C側に向かって斜めに延びている。第2傾斜溝10Bは、第2トレッド端Te2からタイヤ赤道C側に向かって斜めに延びている。第2傾斜溝10Bは、第1傾斜溝10Aと実質的に同様の構成を有している。このため、特に断りの無い限り、第1傾斜溝10Aの構成は、第2傾斜溝10Bに適用することができる。
図2には、第1傾斜溝10Aの輪郭の拡大図が示されている。図2に示されるように、第1傾斜溝10Aは、本体部12と分岐部13とを有している。本体部12は、第1トレッド端Te1から延びかつタイヤ赤道の手前まで延びている。分岐部13は、本体部12から分岐してタイヤ赤道Cを横切っている。第1傾斜溝10Aは、雪上走行時、タイヤ軸方向に対して斜めに延びる長い雪柱を形成する。とりわけ、タイヤ赤道を横切る分岐部13には、雪上走行時に大きな接地圧が作用するため、より固い雪柱が形成される。第1傾斜溝10Aは、前記雪柱をせん断することにより、大きな雪上トラクションを得ることができる。
本体部12は、例えば、第1トレッド端Te1からタイヤ赤道Cに向かって回転方向Rの先着側に傾斜しているのが望ましい。望ましい態様では、本体部12は、タイヤ軸方向に対する角度θ1がタイヤ赤道C側に向かって漸増するように湾曲している。前記角度θ1は、例えば、5〜75°であるのが望ましい。このような傾斜溝10は、雪上走行時、タイヤ軸方向にも雪柱せん断力を発揮することができる。
本体部12は、例えば、タイヤ赤道Cの手前で途切れる先端部14を含んでいる。先端部14の端(先端部の溝中心線の端を意味する。)からタイヤ赤道までのタイヤ軸方向の距離L1は、例えば、トレッド幅TW(図1に示され、以下、同様である。)の1.0%〜3.0%であるのが望ましい。トレッド幅TWは、前記正規状態における第1トレッド端Te1から第2トレッド端Te2までのタイヤ軸方向の距離である。
本体部12は、例えば、第1トレッド端Te1側に向かって溝幅が漸増しているのが望ましい。本体部12の最大の溝幅W1は、例えば、トレッド幅TWの2.5%〜4.5%であるのが望ましい。本体部12の深さは、乗用車用の冬用タイヤの場合、例えば、7.0〜11.0mmであり、望ましくは8.0〜9.0mmである。
分岐部13は、第1傾斜溝10A以外の他の溝に連なることなく途切れている。ここで、「他の溝」とは、幅が1.5mm以上のものを意味し、幅が1.5mm未満のサイプは除かれている。このような分岐部13は、上述の雪上トラクションを得ながら、タイヤ赤道C付近の陸部の剛性低下を抑制し、ひいてはドライ路面での操縦安定性を維持することができる。
図3には、各傾斜溝10の先端部14及び分岐部13の拡大図が示されている。図3に示されるように、本実施形態では、第1傾斜溝10Aの分岐部13と第2傾斜溝10Bの分岐部13とがタイヤ周方向に交互に設けられている。第1傾斜溝10Aの分岐部13は、例えば、第2傾斜溝10Bの手前で途切れている。第2傾斜溝10Bの分岐部13は、例えば、第1傾斜溝10Aの手前で途切れている。
雪上トラクションと雪上での旋回性能をバランス良く高めるために、分岐部13は、例えば、タイヤ軸方向に対して15〜30°の角度θ2で配されているのが望ましい。より望ましい態様では、分岐部13の溝中心線と先端部14の溝中心線との間の角度θ3は、例えば、35〜45°であるのが望ましい。
本体部12の溝中心線と分岐部13の溝中心線の延長線との交点が、第1交点21とされる。第1交点21からタイヤ赤道Cまでのタイヤ軸方向の距離L2は、例えば、トレッド幅TWの3.0%〜5.0%であるのが望ましい。このような分岐部13は、ドライ路面での操縦安定性と雪上性能とをバランス良く高めるのに役立つ。
同様の観点から、分岐部13は、例えば、本体部12の最大の溝幅W1(図2に示す)の0.50〜0.60倍の溝幅W2を有しているのが望ましい。
分岐部13は、例えば、本体部12よりも小さい深さを有しているのが望ましい。具体的には、分岐部13の深さは、例えば、5.0〜10.0mmであるのが望ましい。このような分岐部13は、ドライ路面での操縦安定性を維持するのに役立つ。
分岐部13の端部とこれに隣接する第2傾斜溝10Bとの間の離間部15の幅W3は、例えば、分岐部13の溝幅W2よりも小さいのが望ましい。具体的には、離間部15の幅W3は、例えば、分岐部13の幅W2の0.70〜0.90倍であるのが望ましい。これにより、上述の効果を得ながら、離間部15が適度に変形することにより、雪上走行時、分岐部13の雪の詰まりが抑制される。
より望ましい態様では、離間部15には、分岐部13と第2傾斜溝10Bとの間を連通するサイプ16が設けられているのが望ましい。なお、本明細書において、「サイプ」は、幅が1.5mm未満の切れ込みを意味する。サイプ16は、雪上走行時、分岐部13の雪の詰まりを抑制することができる。このような態様は、分岐部13が第2傾斜溝10Bに連通する態様に比べ、雪上性能を長期に亘って維持することができる。
先端部14と分岐部13との間のコーナ部17には、テーパー状の陸部が区分されている。テーパー状の陸部は、コーナ部17に向かってタイヤ半径方向内側に傾斜した面取り部18を有するのが望ましい。面取り部18は、例えば、タイヤ半径方向に対して40〜50°の角度で傾斜しているのが望ましい(図示省略)。本実施形態では、分岐部13が途切れている構成と上記面取り部18とによって、分岐部13が第2傾斜溝10Bに連通する態様と比較して、タイヤ赤道C付近の陸部の偏摩耗を効果的に抑制することができる。
図2に示されるように、望ましい態様では、タイヤ周方向で隣り合う傾斜溝10の間を連通する複数の継ぎ溝25が設けられている。各継ぎ溝25は、例えば、傾斜溝10とは逆向きに傾斜しているのが望ましい。換言すれば、各継ぎ溝25は、回転方向Rの反対側に向かって、タイヤ赤道C側に傾斜しているのが望ましい。
継ぎ溝25は、例えば、第1継ぎ溝26及び第2継ぎ溝27を含んでいる。第1継ぎ溝26は、例えば、前記傾斜溝10の間に配された複数の継ぎ溝25の内、最もタイヤ赤道C側に設けられている。第2継ぎ溝27は、第1継ぎ溝26のタイヤ軸方向外側に配されている。本実施形態の第2継ぎ溝27は、例えば、前記複数の継ぎ溝25の内、最も第1トレッド端Te1側に設けられている。
傾斜溝10の溝中心線と、この傾斜溝10の回転方向Rの先着側に連なる第1継ぎ溝26の溝中心線の延長線との交点が、第2交点22とされる。タイヤ赤道Cから第2交点22までのタイヤ軸方向の距離L3は、例えば、トレッド幅TWの0.08〜0.12倍であるのが望ましい。
第1継ぎ溝26は、例えば、タイヤ周方向に対して35〜45°の角度θ4で傾斜しているのが望ましい。このような第1継ぎ溝26は、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向にバランス良く雪柱せん断力を提供することができる。
傾斜溝10の溝中心線と、この傾斜溝10の回転方向Rの先着側に連なる第2継ぎ溝27の溝中心線の延長線との交点が、第3交点23とされる。タイヤ赤道Cから第3交点23までのタイヤ軸方向の距離L4は、例えば、トレッド幅TWの0.22〜0.35倍であるのが望ましい。
第2継ぎ溝27は、例えば、タイヤ周方向に対して第1継ぎ溝26よりも小さい角度θ5で傾斜しているのが望ましい。具体的には、第2継ぎ溝27のタイヤ周方向に対する角度θ5は、例えば、20〜30°であるのが望ましい。これにより、雪上での旋回性能がさらに高められる。
図1に示されるように、上述の各溝が設けられることにより、トレッド部2は、例えば、中央陸部5と、ミドルブロック列6と、ショルダーブロック列7とを有している。中央陸部5は、トレッド部2のタイヤ軸方向の中央部に設けられている。本実施形態の中央陸部5は、例えば、複数の第1傾斜溝10A及びこれらの間を連通する第1継ぎ溝26と、複数の第2傾斜溝10B及びこれらの間を連通する第1継ぎ溝26との間に区分されている。
上述の分岐部13が配されていることにより、中央陸部5は、例えば、幅が1.5mmを超える溝に分断されることなくタイヤ周方向に連続して延びているのが望ましい。このような中央陸部5は、過度な変形が抑制され、ひいてはドライ路面での操縦安定性を高めるのに役立つ。
中央陸部5には、例えば、タイヤ軸方向にジグザグ状に延びる複数の中央サイプ31が設けられているのが望ましい。このような中央サイプ31は、そのエッジによって、例えば、雪が強く押し固められた路面(以下、「圧雪路面」という場合がある。)において、高いトラクションを提供することができる。
図4には、ミドルブロック列6及びショルダーブロック列7の拡大図が示されている。図4に示されるように、ミドルブロック列6には、複数のミドルブロック28がタイヤ周方向に並んでいる。ミドルブロック28は、タイヤ周方向で隣り合う傾斜溝10の間で第1継ぎ溝26と第2継ぎ溝27との間に区分されている。
ミドルブロック28には、例えば、ラグ溝32が設けられているのが望ましい。ラグ溝32は、例えば、一端32aがミドルブロック28の回転方向Rの後着側の傾斜溝10に連なっている。また、ラグ溝32は、他端32bがミドルブロック28内で途切れている。このようなラグ溝32は、ミドルブロック28の剛性低下を抑制してドライ路面での操縦安定性を維持しつつ、雪上性能を高めることができる。
ラグ溝32は、例えば、傾斜溝10を介して第1継ぎ溝26と滑らかに連続するように延びているのが望ましい。「滑らかに連続する」とは、第1継ぎ溝26をその長さ方向に延長したとき、ラグ溝32の傾斜溝10側の端部の少なくとも一部と交わる態様を含む。
ラグ溝32は、例えば、第1継ぎ溝26と同じ向きに傾斜しているのが望ましい。ラグ溝32は、例えば、タイヤ周方向に対して30〜50°の角度θ6で傾斜しているのが望ましい。このようなラグ溝32は、ミドルブロック28の変形を促し、ひいては傾斜溝10及び各継ぎ溝25の雪の詰まりを抑制することができる。
図2に示されるように、ラグ溝32の一端32a側において、ラグ溝32の溝中心線の延長線と傾斜溝10の溝中心線の延長線との交点が、第4交点24とされる。タイヤ赤道Cから第4交点24までのタイヤ軸方向の距離L5は、例えば、トレッド幅TWの0.15〜0.20倍であるのが望ましい。
図4に示されるように、ミドルブロック28には、例えば、継ぎ溝25に沿ってジグザグ状に延びる複数のミドルサイプ33が設けられているのが望ましい。このようなミドルサイプ33は、圧雪路面でのトラクション及び旋回性能を高めることができる。
ショルダーブロック列7には、複数のショルダーブロック29がタイヤ周方向に並んでいる。ショルダーブロック29は、タイヤ周方向で隣り合う傾斜溝10の間で第2継ぎ溝27のタイヤ軸方向外側に区分されている。
ショルダーブロック29には、例えば、ミドルサイプ33と逆向きに傾斜してジグザグ状に延びる複数のショルダーサイプ34が設けられているのが望ましい。これにより、ミドルブロック28及びショルダーブロック29が異なる向きに変形し易くなり、ひいては各溝の雪の詰まりが抑制される。
図5には、回転軸を含むタイヤ横断面の部分拡大図が示されている。図5に示されるように、トレッド部2は、接地面2sと、接地面のタイヤ軸方向外側に配されたバットレス面35とを含む。望ましい態様では、接地面2sとバットレス面35とは、曲率半径r1が1〜10mmの円弧面36で接続されている。これにより、トレッド部2の接地可能な面を大きく確保でき、例えば、ドライ路面や氷上での旋回性能を高めることができる。
図1に示されるように、本実施形態のトレッド部2のランド比Lrは、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上であり、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下である。これにより、ドライ路面での操縦安定性と雪上性能とがバランス良く高められる。本明細書において、「ランド比」とは、各溝及びサイプを全て埋めた仮想接地面の全面積Saに対する、実際の合計接地面積Sbの比Sb/Saである。
同様の観点から、トレッド部2を形成するトレッドゴムのゴム硬度Htは、好ましくは45°以上、より好ましくは55°以上であり、好ましくは70°以下、より好ましくは65°以下である。本明細書において、前記「ゴム硬度」は、JIS−K6253に準拠し、23℃の環境下におけるデュロメータータイプAによる硬さである。
図7には、本発明の他の実施形態のタイヤ1のトレッド部2の展開図が示されている。図7において、上述の実施形態と共通する要素には、同一の符号が付されており、ここでの説明は省略されている。
図7に示されるように、この実施形態のトレッド部2には、分岐部13からタイヤ周方向に延びる縦サイプ41が設けられている。このような縦サイプ41は、分岐部13を適度に変形し易くし、雪上走行時に分岐部13に雪が詰まるのを抑制できる。
本実施形態では、縦サイプ41と接続している傾斜溝と縦サイプ41と接続していない傾斜溝とがタイヤ周方向に交互に配されている。このような縦サイプ41の配置は、ドライ路面で操縦安定性と雪上性能とをバランス良く高めることができる。但し、このような態様に限定されるものではなく、各傾斜溝に縦サイプ41が接続しても良い。
縦サイプ41は、例えば、分岐部13に連なる一端と、他の溝及びサイプに接続することなく途切れる他端とを有するのが望ましい。さらに望ましい態様では、縦サイプ41は、タイヤ赤道C(図7では省略されている。)上に設けられているのが望ましい。このような縦サイプ41は、陸部の剛性を維持しつつ、そのエッジによって氷上での旋回性能を高めることができる。
縦サイプ41は、例えば、分岐部13の溝幅W2よりも小さいタイヤ周方向の長さを有しているのが望ましい。具体的には、縦サイプ41のタイヤ周方向の長さL6は、分岐部13の溝幅W2の0.50〜0.70倍であるのが望ましい。
この実施形態では、離間部15にサイプが配されていないのが望ましい。これにより、ドライ路面での操縦安定性が維持される。
図8には、図7で示される実施形態の第1傾斜溝10Aの輪郭の拡大図が示されている。この実施形態において、第1傾斜溝10Aの溝中心線と、第1傾斜溝10Aの回転方向Rの後着側に連なる第1継ぎ溝26の溝中心線との交点が、第5交点42とされる。第1傾斜溝10Aの溝中心線と、第1傾斜溝10Aの回転方向Rの先着側に連なる第1継ぎ溝26の溝中心線との交点が、第2交点22とされる。第5交点42から第2交点22まで延びる第1直線51のタイヤ軸方向に対する角度θ7は、例えば、35〜45°であるのが望ましい。
第1傾斜溝10Aの本体部12の溝中心線と、分岐部13の溝中心線との交点が、第6交点43とされる。第2交点22から第6交点43まで延びる第2直線52のタイヤ軸方向に対する角度θ8は、前記角度θ7よりも大きいのが望ましい。より具体的には、前記角度θ8は、45〜55°であるのが望ましい。このような第1傾斜溝10Aは、雪上でのトラクションと旋回性能とをバランス良く高めることができる。
第6交点43から、第1傾斜溝10Aの本体部12の端まで延びる第3直線53のタイヤ軸方向に対する角度θ9は、前記角度θ8よりも大きいのが望ましい。具体的には、前記角度θ9は、70〜80°であるのが望ましい。換言すれば、本体部12の先端は、タイヤ軸方向に対して70〜80°の角度で傾斜している。このような本体部12は、その先端でタイヤ周方向に延びる雪柱を形成し、雪上での旋回性能を高める。また、先端が上記の角度で配されることにより、雪上走行時、本体部12内の雪が先端側から排出され易くなり、優れた雪上性能が持続して発揮される。
図7に示されるように、この実施形態のショルダーブロック29には、タイヤ周方向に延びかつ両端がブロック内で途切れる縦クローズドサイプ45が設けられている。縦クローズドサイプ45は、例えば、上述したショルダーサイプ34と第1トレッド端Te1との間に設けられるのが望ましい。さらに望ましい態様として、本実施形態の縦クローズドサイプ45は、ジグザグ状に延びている。このような縦クローズドサイプ45は、氷上での横滑りを抑制するとともに、滑り出しの挙動を緩やかにすることができる。
以上、本発明の一実施形態のタイヤが詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
図1の基本トレッドパターンを有するサイズ205/55R16の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。比較例として、図6に示されるように、分岐部が隣り合う傾斜溝に連通した冬用タイヤが試作された。各テストタイヤのドライ路面での操縦安定性、及び、雪上性能がテストされた。各テストタイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
テスト車両:排気量1800cc
テストタイヤ装着位置:全輪
リム:16×7.0
タイヤ内圧:前輪220kPa、後輪220kPa
トレッド接地幅:172mm
傾斜溝の溝深さ:8.5mm
ランド比:70%
トレッドゴムのゴム硬度:52
<ドライ路面での操縦安定性>
上記テスト車両でドライ路面の周回コースを走行したときの操縦安定性が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例を100とする評点であり、数値が大きい程、ドライ路面での操縦安定性が優れていることを示す。
<雪上性能>
上記テスト車両で雪路を走行したときの走行性能が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例を100とする評点であり、数値が大きい程、雪上性能が優れていることを示す。
テストの結果が表1に示される。
Figure 2018193056
Figure 2018193056
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例の冬用タイヤよりも優れたドライ路面での操縦安定性を発揮しているのが確認できた。また、実施例のタイヤは、比較例の冬用タイヤと同程度の雪上性能を有しているのが確認できた。
図7の基本トレッドパターンを有するサイズ205/55R16の空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。比較例として、図6に示されるように、分岐部が隣り合う傾斜溝に連通した冬用タイヤが試作された。各テストタイヤのドライ路面での操縦安定性、及び、雪上性能がテストされた。各テストタイヤの共通仕様やテスト方法は、上述と同様である。
テストの結果が表2に示される。
Figure 2018193056
テストの結果、図7で示される態様の実施例のタイヤは、比較例の冬用タイヤよりも優れたドライ路面での操縦安定性を発揮しているのが確認できた。また、上記タイヤは、比較例の冬用タイヤと同程度の雪上性能を有しているのが確認できた。
2 トレッド部
10A 第1傾斜溝
12 本体部
13 分岐部
Te1 第1トレッド端

Claims (11)

  1. トレッド部を有するタイヤであって、
    前記トレッド部には、タイヤ軸方向の一方側の第1トレッド端からタイヤ赤道側に向かって斜めに延びる複数の第1傾斜溝が設けられ、
    前記第1傾斜溝は、前記第1トレッド端から延びかつタイヤ赤道の手前まで延びる本体部と、前記本体部から分岐してタイヤ赤道を横切る分岐部とを含み、
    前記分岐部は、前記第1傾斜溝以外の他の溝に連なることなく途切れているタイヤ。
  2. 前記トレッド部には、タイヤ軸方向の他方側の第2トレッド端からタイヤ赤道側に向かって延びる複数の第2傾斜溝が設けられ、
    前記分岐部は、前記第2傾斜溝の手前で途切れ、
    前記分岐部の端部と前記第2傾斜溝との間の離間部の幅は、前記分岐部の溝幅よりも小さい請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記離間部には、前記分岐部と前記第2傾斜溝との間を連通する幅が1.5mm未満のサイプが設けられている請求項2記載のタイヤ。
  4. 前記トレッド部は、中央陸部を有し、
    前記中央陸部は、幅が1.5mmを超える溝に分断されることなくタイヤ周方向に連続して延びる請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 前記本体部は、タイヤ赤道の手前で途切れる先端部を含み、
    前記先端部と前記分岐部との間のコーナ部には、テーパー状の陸部が区分され、
    前記テーパー状の陸部は、前記コーナ部に向かってタイヤ半径方向内側に傾斜した面取り部を有する請求項1乃至4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 回転軸を含むタイヤ横断面において、前記トレッド部は、接地面と、接地面のタイヤ軸方向外側に配されたバットレス面とを含み、
    前記接地面と前記バットレス面とは、曲率半径が1〜10mmの円弧面で接続されている請求項1乃至5のいずれかに記載のタイヤ。
  7. 前記トレッド部には、前記分岐部からタイヤ周方向に延びる縦サイプが設けられている請求項1乃至6のいずれかに記載のタイヤ。
  8. 前記縦サイプは、前記分岐部に連なる一端と、他の溝及びサイプに接続することなく途切れる他端とを有する請求項7記載のタイヤ。
  9. 前記縦サイプは、前記分岐部の溝幅よりも小さいタイヤ周方向の長さを有する請求項7又は8記載のタイヤ。
  10. 前記本体部の先端は、タイヤ軸方向に対して70〜80°の角度で傾斜している請求項1乃至9のいずれかに記載のタイヤ。
  11. 前記トレッド部は、前記複数の第1傾斜溝の間に、最も前記第1トレッド端側に配されたショルダーブロックを含み、
    前記ショルダーブロックには、タイヤ周方向に延びかつ両端がブロック内で途切れる縦クローズドサイプが設けられている請求項1乃至10のいずれかに記載のタイヤ。
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