JP2018192497A - 鋳片バリ取りシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】鋳片が傾斜している場合であっても、バリの取り残しが発生しない鋳片バリ取りシステムを提供すること。【解決手段】図において、(A)はバリ取り開始時を示すものである。刃物7が鋳片1の角(手前の方)に置かれている。(B)はバリ取りの途中の状態を示すものであり、刃物が前進しながら矢印方向に旋回し、端面の傾斜に沿うようにバリ取りを行う。(C)はバリ取り完了時の状態を示すものであり、最終的に旋回角度θrまで旋回したところで完了したことを示している。【選択図】図10

Description

本発明は、鋳片のバリ取りシステムに関し、特に、角柱状(搬送方向の側面が平面であるもの)の鋳片の端面(切断面)のバリ取りシステムに関する。
連続鋳造機で鋳造した鋳片をガス溶断機で所定の長さに溶断した後、搬送テーブルで搬送する過程で、鋳片の溶断断面に発生したバリを専用のバリ取り装置で削り取る処理が行われている(下記特許文献1、2参照)。
図1は従来から行われているバリ取り処理を説明するための図である。図1において鋳片1は搬送テーブル2の搬送ローラ3の上を矢印の搬送方向から送られて来る。
鋳片1は所定の位置で搬送が一旦停止され、まず搬送方向に対して下流側の端面4aのバリ取りが行われる。
鋳片1が図の位置で停止すると、バリ取り装置5が矢印方向(下方向)に前進し、アーム6を左右に揺動させながらバリ取り刃物7で端面4aに付いているバリを削り取る。なお、参照符号8で示すのはアーム7を揺動させたり上下に昇降させたりする機能を有するアーム振動昇降駆動部である。
下流側の端面4aのバリ取りが終わると、鋳片1は搬送ローラ3により図の右方向に搬送され、端面4bが図の矢印(下方向の矢印)の位置まで来ると停止し、同様に端面4bのバリ取りが行われる。鋳片1の両端面のバリ取りが終わると、新たな鋳片1が搬送されて来て、同様に上述のバリ取り処理が行われる。
なお、参照符号9で示すのはレーザー距離計であり、レーザー距離計から鋳片1の側面までの距離を計測するものである。搬送テーブル2を挟んで両側に対向して設けられている。搬送方向に対して左側(図の上側)を仮に「A側」、右側(図の下側)を「B側」と呼ぶこととする。これについては後述する。
このバリ取り処理において問題となるのが、鋳片1の搬送時における傾きである。図2は、鋳片1の搬送時の状態を表したものであり、大きく4つのケースに分類される。
すなわち、図2(A)はA側に傾斜しているものであり(これを「ケース1」という。)、図2(B)はB側に傾斜しているものである(これを「ケース2」という。)。
また、図2(C)は傾斜がないものであり(これを「ケース3」という。)、図2(D)は傾斜していないが鋳片自体が台形であるものである(これを「ケース4」という。)。なお、台形鋳片が傾斜している場合もあるが、テーパーの度合いがわずかであるため、これはケース1又はケース2に含めて考えることができる。
ここで、なぜ鋳片が傾斜すると問題となるのかを説明しておく必要がある。それは、鋳片1が傾いて搬送されると、バリ取りを行う端面4も傾くからである。
図1に示すバリ取り装置5は、バリ取り作業中は所定の場所に固定して設置され、前後に直線的にしか移動できない。バリ取り刃物7は左右に揺動(揺動のストロークは約220mm)し、かつ、鋳片1の端面の底面に押し付け(上方向の力が常に働いている。)られながらバリを削り取るため、傾斜の度合いが大きい場合は、(上方向の押付け力により)バリ取り刃物7が端面4から外れてしまうからである。
そこで、現在は、鋳片1の傾斜の度合い(以下「傾斜量」という。)を測定し、バリ取り開始位置を決定するとともに、傾斜量が所定の値を超えた場合はバリ取りを行わない運用がなされている。
バリ取りの開始位置は、傾斜がない場合は当然ながら端面の先端(角の部分)になるわけであるが、傾斜している場合は、端面の途中から開始しないと、バリ取り刃物7が端面から外れてしまうためバリ取り動作を行うことが出来ないからである。
図3は、下流側の端面4aのバリ取りの開始位置及び完了位置を決定するための方法について説明するための図である。A側及びB側に設置されているレーザー距離計(以下「距離計」という。)で計測した鋳片1の側面までの距離(x〜x、x’〜x’)に基づいて、鋳片1の傾斜角度(α)、傾きのケース(図2参照)の判定、バリ取りの開始位置・完了位置を決定する。
図3において、Tは、鋳片を検知してから実際に距離の測定を開始するまでの所定の待ち時間(1秒程度)であり、Tは測定時間(数秒)である。T及びTは固定値である。
距離計9は鋳片1を検知した時に計測を開始するが、最初に検知する場所が端面4aのA側の角なのか、又はB側の角なのかの判定ができない。鋳片1がどちら側に傾いているかによって変わってくるからである。そこでT時間待ってから測定を開始するのである。
測定する距離データはA側及びB側で、それぞれ次の2個である。すなわち、
<A側>
:A側測定開始時の距離(鋳片を検知してからT後)
:A側測定終了時の距離(鋳片を検知してからT+T後)
<B側>
’:B側測定開始時の距離(鋳片を検知してからT後)
’:B側測定終了時の距離(鋳片を検知してからT+T後)
なお、yは測定時間(T)の間に鋳片1が移動した距離(固定値)である。
鋳片1が停止したタイミング(=すべての距離データを取得したタイミング)で次の演算を行う。
(A)xとxの大小比較を行う。
(B)x’とx’の大小比較を行う。
その結果、(A)及び(B)の演算による大小関係から鋳片の搬送状態を4つのケースに分類することができる。
・ケース1 A側がx<x、B側がx’<x’(図2(A))
・ケース2 A側がx<x、B側がx’<x’(図2(B))
・ケース3 A側がx=x、B側がx’=x’(図2(C))
・ケース4 A側がx<x、B側がx’<x’(図2(D))
従来の場合、各ケースにおけるバリ取り開始位置・バリ取り完了位置を次のように決めている。すなわち、A側で測定された側面までの距離の最長の測定値をバリ取り開始位置、B側で測定された側面までの距離の最長の測定値をバリ取り完了位置としている。
・ケース1 バリ取り開始位置=x バリ取り完了位置=x
・ケース2 バリ取り開始位置=x バリ取り完了位置=x
・ケース3 バリ取り開始位置=x バリ取り完了位置=x
・ケース4 バリ取り開始位置=x バリ取り完了位置=x
すなわち、ケース3及びケース4においては、端面4aにおける傾斜がないので、バリ取りは端面の端から端まで行うことができ、バリの取り残しが生じない。
一方、ケース1の場合は、開始位置がxであるため、A側で「x−x」分のバリ取り残しが発生する。また、ケース2の場合は、完了位置がx’であるため、B側で「x’−x’」分のバリ取り残しが発生する。
また、鋳片1の傾斜角α(ラジアン)は次のようにして求められる。
すなわち、B側において、tanα=(x’−x’)/yが成り立つ。また、αは十分に小さい(αは数度であり、それをラジアンに換算すると、約0.08ラジアンになる。)から、tanα≒αとみなせる。
∴ α≒(x’−x’)/y
と求められる。
このとき、傾斜量Zは、次のようになる。
=dsinα≒dα (∵αが十分に小さいので、同様にsinα≒αとみなせる。)
このようにして求めたZが所定の値より大きい場合は、従来はバリ取りを行わない運用がなされている。
また、バリ取り距離(=バリ取り刃物が端面を前進移動する距離)Zは、次のようになる。
=dcosα≒d (αは十分に小さいので、cosα≒1としてもよい)
なお、dは鋳片の幅である。
また、バリ取り距離Z(近似値)は、次の式で求めることもできる。
≒(二つの距離計の間の距離)−(x+x’)
図4は、上流側の端面4bのバリ取りの開始位置及び完了位置を決定するための方法について説明するための図である。A側及びB側に設置されている距離計で計測した鋳片1の側面までの距離(x、x、x’、x’)に基づいて、傾きのケース(図2参照)の判定、バリ取りの開始位置・完了位置を決定する。
図4において、Tは、鋳片1の上流側が距離計9の前を通過し終わった時(=距離計9が鋳片1の端面の角を検知し終わった時)から遡ること約1秒〜2秒の時間(捨て時間)であり、固定時間である。
距離計9は常に距離を測定して、そのデータ(時刻及び距離)をメモリ(不図示)に記憶している。そして、鋳片1が停止したタイミングで、距離検知終了時から遡ってT前の距離データ(x、x’)をメモリから読み出す。
その結果、測定する距離データはA側及びB側で、それぞれ次の2個である。すなわち、
<A側>
:A側(T+T)経過時の距離(図3で測定済)
:A側測定終了時から遡ってT前の距離
<B側>
’:B側(T+T)経過時の距離(図3で測定済)
’:B側測定終了時から遡ってT前の距離
鋳片1がバリ取り位置を通過したタイミングで次の演算を行う。なお、鋳片1がバリ取り位置を通過した後に、上流側端面4bがバリ取り位置に来るまで戻される。
(A)xとxの大小比較を行う。
(B)x’とx’の大小比較を行う。
その結果、(A)及び(B)の演算による大小関係から鋳片1の搬送状態を4つのケースに分類することができる。
・ケース1 A側がx<x、B側がx’<x’(図2(A))
・ケース2 A側がx<x、B側がx’<x’(図2(B))
・ケース3 A側がx=x、B側がx’=x’(図2(C))
・ケース4 A側がx<x、B側がx’<x’(図2(D))
従来の場合、各ケースにおけるバリ取り開始位置・バリ取り完了位置を次のように決めている。
・ケース1 バリ取り開始位置=x バリ取り完了位置=x
・ケース2 バリ取り開始位置=x バリ取り完了位置=x
・ケース3 バリ取り開始位置=x バリ取り完了位置=x
・ケース4 バリ取り開始位置=x バリ取り完了位置=x
すなわち、ケース3及びケース4においては、端面4bにおける傾斜がないので、バリ取りは端面の端から端まで行うことができ、バリの取り残しが生じない。
一方、ケース1の場合は、完了位置がx’であるため、B側で「x’−x’」分のバリ取り残しが発生する。また、ケース2の場合は、開始位置がxであるため、A側で「x−x」分のバリ取り残しが発生する。
なお、鋳片1の傾斜角αや斜量Z等は下流側端面の処理において求めているので、ここでは求めない。
特開2012−45601号公報 特開平11−239918号公報 西独国特許第3515111号明細書
上述のとおり、従来は鋳片の側面までの距離の最長の測定値に基づいてバリ取り開始位置及びバリ取り完了位置を決定しているため、鋳片が斜行していた場合には、決定されたバリ取り開始位置又はバリ取り完了位置の関係で、端面の端から端までバリ取りが行われず、バリの取り残しが発生する恐れがある。
また、従来では鋳片の傾斜量を計算し、バリ取り動作許容量以上の場合はバリ取り動作をパスするため、バリが除去されない鋳片が発生するという問題もあった。
本発明は、上述のような問題に鑑み為されたものであり、鋳片が傾斜している場合であっても、バリの取り残しが発生しない鋳片バリ取りシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るバリ取りシステムは、搬送ローラを備えた搬送テーブルと、該搬送テーブルを挟んで、鋳片の搬送方向の両側に設置された一対のレーザー距離計と、アームの先端にバリ取り刃物を備え、該バリ取り刃物を前記鋳片の前記端面に押し付けながら該アームを左右に揺動させてバリ取りを行うバリ取り装置と、前記バリ取り装置本体を前後に移動させるとともに、前記アームを鋳片の傾きに合わせて旋回させながら前進させる本体駆動部と、前記本体駆動部を制御する制御部とを備えた鋳片バリ取りシステムであって、前記制御部は、前記レーザー距離計で計測した距離に基づいて、前記鋳片のバリ取り開始位置及び完了位置並びに鋳片の傾斜角を算出し、前記算出した傾斜角及び予め決められた所定のバリ取り距離に基づいて前記本体駆動部を制御してバリ取りを行うことを特徴とする。
上記構成により、バリ取り開始位置、バリ取り完了位置を鋳片の状態(斜行状況)により調整することで、バリ取り時の取り残しを減らすことが出来る。また、従来バリ取り動作を行うことが出来なかった斜行状態の鋳片に対してもバリ取り動作を行うことが出来るためバリ取り率の向上が見込める。
従来から行われているバリ取り処理を説明するための図である。 鋳片の搬送時の状態を表したものである。 下流側の端面のバリ取りの開始位置及び完了位置を決定するための方法について説明するための図である。 上流側の端面のバリ取りの開始位置及び完了位置を決定するための方法について説明するための図である。 本発明に係る鋳片バリ取りシステムの構成を示す概略図である。 搬送されて来た鋳片の搬送状態を判定する流れを示すフローチャートの例を示すものである。 ケース1の場合のバリ取りの流れを示すフローチャートの例である。 ケース2の場合のバリ取りの流れを示すフローチャートの例である。 ケース3又は4の場合のバリ取りの流れを示すフローチャートの例である。 ケース1の場合におけるバリ取り装置の動作を示した図である。 ケース1におけるバリ取り装置の前進距離とアームの旋回角度との関係を説明するための図である。 ケース2の場合におけるバリ取り装置の動作を示した図である。 ケース2におけるバリ取り装置の前進距離とアームの旋回角度との関係を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図5は本発明に係る鋳片バリ取りシステムの構成を示す概略図である。基本的な部分は図1に示したものと同じであるので、本発明に特有な部分のみを説明する。
本体駆動部10は、アーム6を含むバリ取り装置5本体を前後に移動させたり、旋回中心を軸としてアーム振動昇降駆動部8を所定の角度分だけ回転させたりする機能を備える。
また、制御部11は、距離計9(A側及びB側)から送信された距離データを受信して、それに基づいて鋳片1の傾斜角やバリ取り距離を計算し(計算方法は上述の通り)、算出したデータに基づいて本体駆動部10を制御することにより、バリ取り刃物7を鋳片1の端面に沿って端から端まで移動させてバリ取りを行うことができる。
本体駆動部10は、例えば、ラックピニオン機構のラックに旋回可能な置台を設置したものが利用可能である。その置台の上にバリ取り装置5の本体を載せ、ピニオンにモータで回転力を与えることにより前後運動をさせ、また置台の旋回は別に設けたステッピングモータ等で回転角度を制御するようにしてもよい。
また、制御部11は汎用のパソコン等が利用可能であるが、本体駆動部10の中に内蔵させてもよい。さらには、本体駆動部10及び制御部11はバリ取り装置5が備えていてもよい。
これにより、鋳片1が傾斜していた場合でも、バリ取り装置5を傾斜角度に合わせて旋回させながらバリ取り動作を行うことで、従来の許容量以上の傾斜量で搬送された鋳片に対してもバリ取り動作を行うことが可能となる。
次に、本発明に係る鋳片バリ取りシステムの動作の流れについて図6乃至図9のフローチャートに基づいて説明する。
図6は、搬送されて来た鋳片1を距離計9が検知して、その側面までの距離を計測し、鋳片1の搬送状態を判定するまでのフローを示すものである。この処理は制御部11のCPU(不図示)が所定のプログラムに基づいて行うものである。
まず、距離計9が鋳片の下流側を検知する(S101)。それぞれの距離計9は常時距離の測定を行っており、鋳片1の下流側が距離計9の前を通過した瞬間に距離計9の測定値が変化する(測定距離としては小さくなる。)ため、鋳片1が来たことを検知することができる。
その時点からバリ取り開始位置、バリ取り完了位置、傾斜角α、バリ取り距離Zを決定するための距離データの測定を開始する(S102)。距離の測定方法は上述の通りである。
鋳片1がバリ取り位置(図3参照)まで来ると搬送が停止する(S103)。実際にはバリ取り位置に正確に停止するわけではないので、所定の位置を若干過ぎた所で止まり、そこからバリ取り位置まで別の装置(不図示)によって戻される。
搬送が停止したタイミングで、A側及びB側の距離測定データから、鋳片の傾斜状態を3つに分類する(S104)。
すなわち、図2に示すように、鋳片1が右上がり傾斜の場合(ケース1)、右下がり傾斜の場合(ケース2)、傾斜なしの場合(ケース3、4)である。
なお、バリ取りは下流側及び上流側の2回行って一つの鋳片に対するバリ取りが完了するが、説明が煩雑になるので、ここでは下流側の端面のバリ取りについてのみ説明する。
鋳片1の傾斜状態の判定方法は、上記段落0009に記載の通りである。
図7は、ケース1の場合のバリ取りの流れを示すフローチャートの例である。ケース1とは、A側がx<x、かつ、B側がx’<x’(図2(A)参照)の場合である。
次に、バリ取り開始位置、バリ取り完了位置を求め、傾斜角α、バリ取り距離Zを算出する(S201)。ケース1の場合のバリ取り開始位置、バリ取り完了位置は、それぞれx、x’である。
また、傾斜角α≒(x’−x’)/y、バリ取り距離Z=d(鋳片の幅)である。
なお、バリ取り刃物7が前進する速度Vは、予め設定されているバリ取り時間Tとバリ取り距離Zによって決まる。そのために、予め設定されたバリ取り時間Tをメモリ(不図示)から読込む。
次に、バリ取り刃物(以下「刃物」という。)7をバリ取り開始位置まで前進させる(S202)。この速度は任意でよい。
そこで、刃物7を上昇させて端面の底部に押し付けて揺動させる(S203)。これがバリ取り作業の開始である。
次に、バリ取り装置本体5を速度V(=Z/T)で前進させながら(S204)、同時に、刃物7を旋回速度Vrで旋回させながら、旋回角度θrに到達するまでT時間旋回させる(S205)。θrの大きさは後述する。
時間Tが経過したら(S206のYES)、バリ取り作業が完了するので、刃物7の揺動を停止し、刃物7を鋳片1から離すべく、アーム6を下降させ(S207)、刃物7を元の位置(旋回角度0ラジアン)に戻すとともに(S208)、バリ取り装置を待機位置まで後退させ(S209)、処理を終了する。
なお、ステップS204及びS205におけるバリ取り装置の動きを図10に示した。これについては後で説明する。
図8は、ケース2の場合のバリ取りの流れを示すフローチャートの例である。ケース2とは、A側がx<x、B側がx’<x’(図2(B)参照)の場合である。
次に、バリ取り開始位置、バリ取り完了位置を求め、傾斜角α、バリ取り距離Zを算出する(S301)。ケース2の場合のバリ取り開始位置、バリ取り完了位置は、それぞれx、x’である。
また、傾斜角α≒(x’−x’)/y、バリ取り距離Z=d(鋳片の幅)である。
なお、バリ取り刃物7が前進する速度Vは、予め設定されているバリ取り時間Tとバリ取り距離Zによって決まる。そのために、予め設定されたバリ取り時間Tをメモリ(不図示)から読込む。
次に、バリ取り刃物(以下「刃物」という。)7をバリ取り開始位置まで前進させる(S302)。この速度は任意でよい。
そこで、刃物7がバリ取りを行う端面の角(かど)に来るように刃物を旋回角度θrまで一気に旋回させる(S303)。これは、ケース1の場合とは全く逆になる。すなわち、ケース1の場合は刃物を時間Tをかけて0からθrまで等速旋回させたが、ケース2の場合は、最初に刃物をθrだけ一気に旋回させておいて、それを時間Tをかけて0まで戻すという流れである。
次に、刃物7を上昇させて端面の底部に押し付けて揺動させる(S304)。これがバリ取り作業の開始である。
次に、バリ取り装置本体5を速度V(=Z/T)で前進させながら(S305)、同時に、刃物7を旋回速度Vrで旋回させながら、旋回角度が0に到達するまで旋回させる(S306)。
時間Tが経過したら(S307のYES)、バリ取り作業が完了するので、刃物7の揺動を停止し、刃物7を鋳片1から離すべく、アーム6を下降させる(S308)。そして、バリ取り装置本体を待機位置まで後退させ(S309)、処理を終了する。
なお、ステップS303からS306までのバリ取り装置の動きを図12に示した。これについては後で説明する。
図9は、ケース3又は4の場合のバリ取りの流れを示すフローチャートの例である。ケース3とは、A側がx=x、かつ、B側がx’=x’(図2(C)参照)の場合であり、ケース4とは、A側がx<x、B側がx’<x’(図2(D)参照)の場合である。いずれも、鋳片1の端面4に傾斜がない場合である。
まず、バリ取り開始位置、バリ取り完了位置を求め、バリ取り距離Zを算出する(S401)。ケース3及び4の場合のバリ取り開始位置、バリ取り完了位置は、ともに、それぞれx、x’である。また、バリ取り距離Z=d(鋳片の幅)である。
なお、バリ取り刃物7が前進する速度Vは、予め設定されているバリ取り時間Tとバリ取り距離Zによって決まる。そのために、予め設定されたバリ取り時間Tをメモリ(不図示)から読込む。
図9のフローチャートは、図7のフローからS205とS208を削除したものであり、その他は同じであるので、その他の説明は省略する。要するに、図7のフローにおいて、傾斜角αを0(ラジアン)としたものが図9のフローであるので、基本的には両者は同じである。
図10は、ケース1の場合におけるバリ取り装置の動作を示した図であり、図7のステップS204及びS205の処理に対応するものである。
図において、(A)はバリ取り開始時を示すものである。刃物7が鋳片1の角(手前の方)に置かれている。(B)はバリ取りの途中の状態を示すものであり、刃物が前進しながら矢印方向に旋回し、端面の傾斜に沿うようにバリ取りを行っていることを示している。
(C)はバリ取り完了時の状態を示すものであり、最終的に旋回角度θrまで旋回したところで完了したことを示している。
図11はケース1におけるバリ取り装置の前進距離とアームの旋回角度との関係を説明するための図である。
図において、Bで示す●はバリ取り開始時の刃物7であり、Cで示す〇はバリ取り途中の刃物7を示している。すなわちアーム6が前進しながら反時計周りに旋回して、傾斜している鋳片の端面に沿って刃物7が移動していることを示している。
ここで変数x及びθ、定数をR、αを次のように定義する。
x:アームの前進移動距離(0≦x≦Z
θ:アームの旋回角度(ラジアン)(θ=∠CAB)
R:アーム長さ(回転半径:旋回中心から刃物中心までの距離)
α:鋳片の傾斜角度
ここに、△ABCにおいて正弦定理が成り立つから、
(R−x)/sin(α−θ)=R/sin(π−α)=R/sinα
∴(R−x)/R=sin(α−θ)/sinα≒(α−θ)/α (∵sinα≒α)
∴x/R=θ/α
∴θ=(α/R)x…(式1)
すなわち、式1から、旋回角度θはアームの前進移動距離xの関数で表されることが分かる。
また、x及びθを時間t(0≦t≦T)の関数で表すと、次のようになる。
x=(Z/T)t…(式2)
θ=(αZ/RT)t…(式3)
制御部11が、式2及び式3に基づいて本体駆動部10(図5参照)を制御することにより、本発明の目的が達成される。
なお、旋回角度θrは、式3において、t=Tの場合であるから、θr=αZ/Rとなる。
図12は、ケース2の場合におけるバリ取り装置の動作を示した図であり、図8のステップS303からS306までの処理に対応するものである。
図において、(A)はバリ取り開始時を示すものである。刃物7が鋳片1の角(手前の方)に置かれているが、これは、S303の処理によって矢印方向(反時計回り)にθrだけ旋回した結果である。図8のステップS302の段階では、刃物はバリ取り位置のラインの方向を向いているが、鋳片1の角(手前の方)からバリ取りを開始するために矢印方向(反時計回り)にθrだけ旋回させたものである。
(B)はバリ取りの途中の状態を示すものであり、刃物が前進しながら矢印方向(時計回り)に旋回し、端面の傾斜に沿うようにバリ取りを行っていることを示している。
(C)はバリ取り完了時の状態を示すものであり、最終的に旋回角度θr分だけ旋回して元の状態(旋回角度0)に戻ったことを示している。
図13はケース2におけるバリ取り装置の前進距離とアームの旋回角度との関係を説明するための図である。
図において、7で示す●はバリ取り開始時の刃物であり、Cで示す〇はバリ取り途中の刃物7を示している。すなわちアーム6が前進しながら時計周りに旋回して、傾斜している鋳片の端面に沿って刃物7が移動していることを示している。
ここで変数x及びθ、定数をR、αを次のように定義する。
x:アームの前進移動距離(0≦x≦Z
θ:アームの旋回角度(ラジアン) (0≦θ≦θr)
R:アーム長さ(回転半径:旋回中心から刃物中心までの距離)
α:鋳片の傾斜角度
ここに、△ABCにおいて正弦定理が成り立つから、
(Z+R−x)/sin(θr+α−θ)=R/sinα
∴(Z+R−x)/R=sin(θr+α−θ)/sinα≒(θr+α−θ)/α
(∵αは十分に小さいので、sinα≒α)
∴Rθr−Zα+αx=Rθ
Rθr=Zα=Z1だから、
∴ Rθ=αx
∴θ=(α/R)x…(式4)
すなわち、式4から、旋回角度θはアームの前進移動距離xの関数で表されることが分かる。
また、x及びθを時間t(0≦t≦T)の関数で表すと、次のようになる。
x=(Z/T)t…(式5)
θ=(αZ/RT)t…(式6)
制御部11が、式5及び式6に基づいて本体駆動部10(図5参照)を制御することにより、本発明の目的が達成される。
なお、旋回角度θrは、式6において、t=Tの場合であるから、θr=αZ/Rとなる。
結局、ケース1とケース2は旋回方向が異なるだけであり、旋回角度は同じである。
なお、本発明で使用するバリ取り装置の刃物は円形で直径は約220mmであり、アームの揺動のストロークは約130mmである。
なお、上流側の端面のバリ取りは、ケース1の場合は図8、ケース2の場合は図7のフローに従って行えばよい。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を損なわない範囲で変更することが可能である。
1 鋳片
2 搬送テーブル
3 搬送ローラ
4a、4b 端面
5 バリ取り装置(本体)
6 アーム
7 バリ取り刃物
8 アーム振動昇降駆動部
9 レーザー距離計
10 本体駆動部
11 制御部

Claims (2)

  1. 搬送ローラを備えた搬送テーブルと、該搬送テーブルを挟んで、鋳片の搬送方向の両側に設置された一対のレーザー距離計と、
    アームの先端にバリ取り刃物を備え、該バリ取り刃物を前記鋳片の前記端面に押し付けながら該アームを左右に揺動させてバリ取りを行うバリ取り装置と、
    前記バリ取り装置本体を前後に移動させるとともに、前記アームを鋳片の傾きに合わせて旋回させながら前進させる本体駆動部と、
    前記本体駆動部を制御する制御部とを備えた鋳片バリ取りシステムであって、
    前記制御部は、
    前記レーザー距離計で計測した距離に基づいて、前記鋳片のバリ取り開始位置及び完了位置並びに鋳片の傾斜角を算出し、前記算出した傾斜角及び予め決められた所定のバリ取り距離に基づいて前記本体駆動部を制御してバリ取りを行うことを特徴とする鋳片バリ取りシステム。
  2. 前記所定のバリ取り距離に代えて、前記制御部が、前記レーザー距離計で計測した距離に基づいてバリ取り距離を算出し、該算出したバリ取り距離に基づいて制御することを特徴とする請求項1に記載の鋳片バリ取りシステム。
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