JP2018191654A - 多層食品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器に充填されたゲル化性食品または流動食品で構成される下層部の食品の上に、ゲル化性食品または流動食品で構成される上層部の食品を脈流充填することにより多層食品を製造する方法を提供する。【解決手段】一脈の充填量から算出される上層部の食品の液の直径、充填時に上層部の食品が下層部に衝突するときの速度、上層部および下層部の食品の密度、上層部および下層部の食品のおよび粘度を所定の式を満たす条件に制御する。【選択図】図1

Description

本発明は多層食品の製造方法に関する。
従来、複数の層からなる食品の製造方法については様々な方法が提案されており、これらの製造技術を用いてゲル化性溶液や流動食品を複数層充填した多層デザートが上市されている。このような多層デザートは、1つのデザートで数種類の色彩、風味または食感を楽しむことができ、近年人気が高まっている。
例えば、少なくとも三層からなる容器入り多層食品の製造方法として、第一層及び/又は第三層の原料として、カルシウムを含む原料を用い、第二層の原料として、ペクチンを含み、かつ酸性である原料を用い、第一層の上に第二層の原料を積層した後、直ちに、第三層の原料を、第二層の上に積層する製造方法が知られている(特許文献1)。
また、下層を充填後、上層部分を脈流させながら充填することで、冷却工程等の大規模な設備を用いることなく、配合上の制約を極力抑えたうえで、工業的かつ効率的に多層化できる製造方法が知られている(特許文献2)。
特開2012-5466号公報 特開2007-135430号公報
特許文献1の製造方法では、カルシウムを含むゲル化物又は流動食品の層に対し、他の層を成すゲル化物又は流動食品が積層構造をとる形状であり、このような形状を構成するために、前者の層に含まれるカルシウムなどの金属塩およびそれと反応するためのゲル化剤が後者の層に必要となる。すなわち、特殊な原材料を配合することになるため、風味が損なわれるおそれがある。
また、特許文献2の製造方法は、充填物を脈状にして充填することで、工業的かつ効率的に多層食品を調製できる技術であるが、上層部や下層部を充填する際の原料の配合条件および充填条件によって層間での混ざり込みの程度が異なり、目的とする製品の外観や積層状態を得るための条件が不明確であるという課題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、複数層からなることを特徴とする多層食品において、隣接する層が積層した状態で、層間の混ざり込みを少なくするための製造方法を提供する。本発明は、η<ηである場合においても、二層間を明瞭に分離することできる製造方法を提供する。
本発明者らは、複数層からなることを特徴とする多層食品において、隣接する層が積層した状態で、層間の混ざり込みを少なくするための製造方法について鋭意研究を行い、その結果、上層部を下層部に充填する際の各層の粘度および密度、および上層部を脈流で充填する条件を制御することで積層状態を改善できることを確認した。
本発明は以下の内容に関する。
〈1〉下層部となるゲル化性食品または流動食品で構成される食品を容器に充填する工程
と、下層部の上に、上層部となるゲル化性食品または流動食品からなる食品を、下記式(1)を充足する条件で脈流させながら充填する工程と、を有することを特徴とする多層食品の製造方法。
{(D×v×ρ 2×η)/(ρ×η 2)}<300 ・・・(1)
(式(1)中、各符号の意味は以下の通りである。
D:一脈の充填量から算出される上層部の食品の液の直径(m)
v:充填時に上層部の食品の液が下層部に衝突する時の速度(m/s)
ρ:上層部の食品の密度(kg/m3
ρ:下層部の食品の密度(kg/m3
η:上層部の食品の粘度(Pa・s)
η:下層部の食品の粘度(Pa・s)
0.0053≦D≦0.0084
1≦v≦1.7
0.025≦ρ−ρ≦0.075
η>η、かつη≦1000、η≧100)
〈2〉液の直径Dが下記式(2)
0.0053≦D<0.0084 ・・・(2)
を満たす〈1〉に記載の多層食品の製造方法。
〈3〉式(1)が、下記式(3)
{(D×v×ρ 2×η)/(ρ×η 2)}<50 ・・・(3)
(式(3)中、各符号の意味は、前記式(1)中の符号の意味と同じである。)
を満たす〈1〉または〈2〉に記載の多層食品の製造方法。
本発明によれば、式(1)を充足する条件で上層部の食品を下層部の食品の上に充填することにより、複数層からなる多層食品において、上層部の下層部への混ざり込みを少なくすることができる。本発明によれば、η<ηである場合においても、二層間を明瞭に分離することが可能となる。
本発明に係る脈流を説明するための図である。 多層食品の上層部と下層部との界面の状態と評価との関係を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、説明を容易にするために、多層食品を構成する複数層のうち、隣接する二層に関する実施形態を記載するが、本発明の製造方法で二層を積層した後で他の方法でさらに層を積層しても、本発明の製造方法を繰り返すことにより三層以上の積層を実施してもよい。
本発明により製造される多層食品は、ゲル化性食品及び/または流動食品で構成される複数の層を備える。
従来、特許文献2に記載されるような製造方法により、複数の層を備える多層食品は知られており、充填物を脈流させることにより充填することで二層間の混合を防止することで積層を可能としている。ここで、下層部の粘度ηと、上層部の粘度ηの関係がη≧ηのとき、さらに下層部の密度ρと、上層部の密度ρの関係が、ρ≧ρのときに積層の状態がより好ましくなるとされている。ここでいう積層とは、二層が分離しているということを意味している。
二層間の分離の程度は、各層を充填する時の粘度や密度だけでなく、脈流における一つの脈がもつ充填量や、上層部が衝突する際の速度によって変化する。そのため、それらの
充填量や速度を制御することにより、上記の条件を満たさない条件、すなわち、η<ηである場合や、ρ<ρである条件においても、二層間を明瞭に分離することが可能となる。
本発明では、充填物を脈流させながら充填する場合において、二層が分離し、さらに界面が明瞭となる条件を、上層部を下層部に充填する際の各層の食品の粘度および密度と、上層部の食品が下層部に当たる速度と、そして一脈の充填量を変えることで制御できることを見出した。
即ち、本発明は、以下の内容に関する。
下層部となるゲル化性食品または流動食品で構成される食品を容器に充填する工程と;下層部の上に、上層部となるゲル化性食品または流動食品からなる食品を、下記式(1)を充足する条件で脈流させながら充填する工程と;を有する多層食品の製造方法。
{(D×v×ρ 2×η)/(ρ×η 2)}<300 ・・・(1)
(式(1)中、各符号の意味は以下の通りである。
D:一脈の充填量から算出される上層部の食品の液の直径(m)
v:充填時に上層部の食品の液が下層部に衝突する時の速度(m/s)
ρ:上層部の食品の密度(kg/m3
ρ:下層部の食品の密度(kg/m3
η:上層部の食品の粘度(Pa・s)
η:下層部の食品の粘度(Pa・s)
0.0053≦D≦0.0084
1≦v≦1.7
0.025≦ρ−ρ≦0.075
η>η、かつη≦1000、η≧100)
ここで、上述の液の直径Dが下記式(2)
0.0053≦D<0.0084 ・・・(2)
を満たすことが好ましい。
上述の式(1)が、下記式(3)
{(D×v×ρ 2×η)/(ρ×η 2)}<50 ・・・(3)
(式(3)中、各符号の意味は、前記式(1)中の符号の意味と同じである。)
を満たすことが好ましい。
本発明における脈流とは、特許文献2に示されるように、流量が周期的に変化する状態を意味する。また、一回の充填において、一部を脈流で行い、残りを脈流させない方法で充填を行う場合も脈流と定義する。
また、一回の充填において、流量が周期的に変化するとき、図1に示すように一周期のうち瞬間の流量が低い二点間を一脈とし、一脈と一脈の間が繋がっている状態を脈流という。
本発明では、下層部の食品を容器に充填した後に、前述の式(1)を満たす条件で、上層部の食品を下層部の上に脈流充填することにより、多層食品を製造した。
式(1)に従うように、各因子を設定することにより、上層部が下層部の上に積層された形状をもつ多層食品を製造することができる。
左辺の値は、上層部の充填する時に上層部の食品が下層部へと混ざり込む程度を示す無次元数であり、この値が大きくなるほど、上層部の充填量に伴い上層部の食品が下層部に深く入り込み、上層部と下層部との界面の状態が不良となる。一方で、左辺の値が低くなるほど、上層部の食品の下層部への混ざり込みは少なくなり、界面の状態が良好となる。
本発明においては、容器に下層部を充填した後、式(1)の各因子を調整しながら上層部の食品を下層部の上に充填し、式(1)の左辺の値と、充填された上層部と下層部との
界面の状態を評価した。その結果、界面の状態を判断する閾値として、左辺の値を300未満にすることで上下層が分離した状態の多層食品が得られることを見出した。好ましくは、左辺値を50未満にすることで、上層部と下層部が混ざり込んでいる幅を上下層全体の幅の1/4未満に抑えることができる。さらに好ましくは、左辺値を3未満にすることで、上層部と下層部の界面で混ざり込みが無い状態を確保することができる。
式(1)を満たす条件で上層部を充填して界面の状態をより良好にするには、下層部の食品の密度ρと、上層部の食品の密度ρの関係が、ρ≧ρであることが望ましい。この関係を満たす範囲においては、両者の差が大きいほど上層部の食品の下層部への混ざり込みは少なくなり、界面の状態が良好となる。ρ<ρの場合、充填後は積層状態を保つことができるが、冷却工程等で上下層部がゲル化するまでの時間がかかってしまう場合、上層部の食品が下層部へと入り込み、最終的に界面の状態が不良となってしまうことがある。すなわち、ρ<ρである場合、充填後にゲル化するまでの時間によって界面の状態が影響を受けてしまう。これに対して、ρ≧ρの場合は、冷却工程等で上下層部がゲル化するまでの時間がかかっても、上層部が下層部へと入り込むことを防ぐことができる。
式(1)の左辺中のD(m)は、一脈の充填量から算出される球の直径を示している。本発明では、図1に示すような状態で脈流充填を行うため、上層部の食品の一つの脈は下層に衝突するまでに球に近い形状をもつようになる。このとき、一脈の充填量が多いほど、すなわち球の直径が大きいほど衝突する際に下層部に与える衝撃力が大きくなり、結果、界面の状態が不良となる。
Dの値を制御するには、例えば、1回の充填における上層部の食品の充填量、脈数、または上層部の食品を充填する装置の多孔ノズルの口数の変更等による方法がある。充填量やノズルの口数を変える場合、容器に対する上層部の食品の平均充填速度の変化を伴うため、充填速度を維持しながらDの値のみを設定する際は、充填機から供給される脈数を変更する方法が有効である。脈数は多ければ多いほどDの値を下げることができるが、これは、充填機の機械的負荷を考慮した値以下にする必要がある。
式(1)の左辺中のv(m/s)は、充填時に上層部の食品が下層部に衝突する際の速度であり、上層部の食品を充填する装置のノズルの高さ(下層部との距離)、充填速度、多孔ノズル口径、口数の変更等により、制御することができる。
本発明において複数層の各層を充填するために用いる装置については特に限定されるものではなく、ピストンシリンダー型の充填機を用いて充填する場合や、送液ポンプを用いて充填することができる。また、ノズルの形状等に制限は無く、常法によれば良いが、式(1)に示すDの値を小さくためには、多孔ノズルを用いることが有効である。この理由としては、多孔ノズルを用いて装置全体の充填量を分割させることで、一脈の充填量を小さくすることができるためである。ここでいう多孔ノズルについて、特に限定はなく、一般に市販されている多孔ノズルを用いることができる。また、上層部の充填方法に関して、一度の充填における脈数を増やすことでも充填量を分割することができ、Dの値を変化させることができる。脈流充填の方法については、例えば特許文献2等の方法により行えばよい。
本発明において、上層部および下層部の食品の粘度の調整を行う場合においては、一般に食品類の製造において使用されるゲル化剤や増粘剤等を用いることができ、例えば、寒天、ゼラチン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、グァーガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、サイリウムシードガム、プルラン、カードラン等を用いることができる。
本発明において、上層部および下層部の食品の密度の調整を行う場合は、必要に応じて、グラニュー糖や粉末水飴といった糖類、ヤシ油・パーム油・パーム核油といった油脂の他、溶解・分散により密度を変えることのできる食品および食品添加物を使用すればよい。
本発明において、複数層を構成する食品としては、ゼリー、プリン、ムース等のデザート類や発酵乳等のゲル化性食品や、上下層のどちらかに、ジャム、マーマレード、フルーツソース、クリーム、シロップ、カスタードクリーム、フラワーペースト、果肉ピューレ等の流動食品を用いても良い。また、ゲル化性食品及び/または流動食品中に果実やチーズ、ナッツ、その他の固形物等を含有させることも可能である。
以下、本発明の試験例および実施例を説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
[試験例1]
二層を有する食品を製造するにあたり、上層部ミックス(ゲル化性溶液)として、粉末水あめ、寒天、インスタントコーヒー、ローカストビーンガムを表1のとおり配合し、充填時の粘度および密度を調整することで、密度が同一で粘度の異なる(1)〜(4)の4種類のゲル化性溶液を用いた。
下層部ミックス(ゲル化性溶液)として、粉末水あめ、脱脂粉乳、生クリーム、寒天、インスタントコーヒー、ローカストビーンガムを表1のとおり配合し、充填時の粘度および密度を調整することで、密度が同一で粘度の異なるA〜Dの4種類のゲル化性溶液を用いた。
上層部ミックスおよび下層部ミックスを水に分散させ95℃まで加熱して溶解し、下層部のみ100kgf/cmの圧で均質をかけ、60℃まで冷却し保存した。充填方法は、最初に60gの下層部ミックスを容器に充填した。そして、下層部ミックスを充填した直後に、ピストンシリンダーと多孔ノズルを用いて上層部ミックス50gを下層部の上に充填した。このとき、多孔ノズルのそれぞれの孔から吐出される上層部ミックスの充填について、脈流で充填を行い、一脈の充填量にかかるDの値を、充填の脈数を調整することで、5.3mm、6.6mm、8.4mmの3段階に設定した。また、上層部ミックスが下層部に衝突する速度vを、充填時間および多孔ノズルの高さを調整することで、1m/s、1.4m/s、1.72m/sの3段階に設定し、下層部ミックスの上に上層部ミックスを充填した。
上層部の充填が完了した後すぐに5℃の冷蔵に入れて、そのまま一晩保存してゲル化させた後、中身である多層食品を容器から取り出し、上層部と下層部との界面に対し垂直方向に分割し、目視にて界面の状態を観察し、以下の4段階の評価を行った(図2)。
◎:上層部と下層部の界面で混ざり込みが無い状態
○:上層部と下層部が混ざり込んでいる幅が、上下層全体の幅の1/4未満
△:上層部と下層部が混ざり込んでいる幅が、上下層全体の幅の1/4以上
×:上層部が下層部の下にもぐりこむ、あるいは下層部が上層部の上に浮上し、積層不良である状態
上層部ミックスが下層部に衝突する時の速度vに応じてグループ分けした評価の結果を表2〜表4に示す。表中において、左側および右側とも、上から、D=5.3mm、D=6.6mm、D=8.4mmのときの結果を示し、左側に界面評価の結果を、右側に充填時の条件から算出される式(1)左辺の値を示す。
V=1m/sの結果を表2に、v=1.4m/sの結果を表3に、v=1.7m/sの結果を表4に、それぞれ示す。
Figure 2018191654
Figure 2018191654
Figure 2018191654
Figure 2018191654
表2、表3、表4のいずれにおいても、下層部の粘度が高くなるにつれ、界面の状態が良好となり、上層部の粘度が高いほど界面の状態が不良となることがわかる。また、充填量から計算される一脈がもつ径であるDが小さいほど、充填の速度が遅いほど界面が良好となる傾向を示した。
表2〜表4のそれぞれの左側と右側の結果をみると、式(1)の左辺値が大きくなるにつれて界面の状態が不良となる傾向を示していることがわかる。評価の区分に従って、上下層の界面において混ざり込みがほとんどないものは、式1の左辺の値が3未満、混ざり込んでいる幅が上下層全体の幅の1/4未満の場合は50未満、混ざり込んでいる幅が上下層全体の幅の1/4以上の場合は300未満、上下層間での混ざり込みが大きく、積層不良であるものは300以上であった。
[試験例2]
上層部ミックスと下層部ミックスとの密度の差による界面における混ざり込みへの影響を確認するため、実施例1に比べて、上下層の密度の差が大きい多層食品を製造した。上層部ミックス(ゲル化静養液)は、表5のとおり、試験例1と同じ原材料を用いて同じ配合量とした。
下層部ミックス(ゲル化性溶液)は、表5のとおり、試験例1と同じ原材料を用いて試験例1に比べて充填時の密度が高くなるように調整した。
上層部ミックスおよび下層部ミックスを水に分散させ95℃まで加熱して溶解し、下層部のみ100kgf/cm2の圧で均質をかけ、60℃まで冷却し保存した。実施例1と同じく、下層部ミックス60gを容器に充填した直後に、ピストンシリンダーと多孔ノズルを用いて上層部ミックス50gを下層部の上に充填した。このとき、多孔ノズルのそれぞれの孔から吐出される充填について、脈流で充填を行い、一脈の充填量に依存する量Dを、充填の脈数を調整することで、D=5.3mmに設定した。また、上層部が下層部に衝突する速度vを、充填時間およびノズルの高さを調整することで、1m/sに設定した。
充填後に5℃の冷蔵で一晩保存してゲル化させた後、中身を容器から取り出し、試験例1と同様に評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 2018191654
Figure 2018191654
表6とDおよびvの値が同一である試験例1の表2に示す結果と比較すると、ほとんど差が無い結果となっている。この結果より、上層部と下層部との密度の差は、ρ≧ρである場合、上下層の粘度変化に比べて一晩保存後の界面の状態に与える影響が少ないことがわかった。
[試験例3]
上層部ミックスと下層部ミックスとの密度の大小関係による界面における混ざり込みへの影響を確認するため、上層部ミックスの密度が下層部ミックスの密度より高い多層食品を製造した。上層部ミックス(ゲル化性溶液)および下層部ミックス(ゲル化性溶液)として、それぞれ、粉末水あめ、寒天、インスタントコーヒー、ローカストビーンガムを表7のとおり配合し、充填時の粘度および密度を調整した。
各ミックスを水に分散させ95℃まで加熱して溶解し、下層部のみ100kgf/cm2の圧で均質をかけ、60℃まで冷却し保存した。下層部ミックス60gを容器に充填した直後に、ピストンシリンダーと多孔ノズルを用いて上層部ミックス50gを下層部の上に充填した。このとき、多孔ノズルのそれぞれの孔から吐出される充填について、脈流で充填を行い、一脈の充填量に依存する量Dを、充填の脈数を調整することで、5.3mmに設定した。また、上層部が下層部に衝突する速度vを、充填時間およびノズルの高さを調整することで、1m/sに設定し、試験を行った。
充填後は5℃の冷蔵で一晩保存してゲル化させた後、中身を容器から取り出し、上下層界面に対し垂直方向に割り、目視にて内部の状態を観察し、評価を行った。評価の方法は、試験例1と同じである。結果を表8に示す。
Figure 2018191654
Figure 2018191654
下層部の密度が上層部の密度より低い場合は粘度条件を変えても界面の状態が不良であ
る結果となった。しかし、充填直後においては、下層部の粘度が高く、上層部の粘度が低い条件、例えば、表8中に示した、下層C・上層(1)、下層C・上層(2)、下層D・上層(1)、下層D・上層(2)、下層D・上層(3)の組み合わせでは、充填直後は界面が良好であるが、一晩保存している間の時間経過に伴い、上層部が下層部に次第に入り込み、上下層がゲル化するまでの時間で界面が不良となってしまった。この結果から、本発明にしたがって(1)の条件を満たす条件で上層部の食品を下層部の上に充填するときは、下層部の食品の密度より上層部の食品の密度を低くする方が好ましいことがわかる。
実施態様を挙げて本発明について説明してきたが、本発明の別の態様として、以下の内容が挙げられる。
本発明の多層食品の製造方法は、下層部となるゲル化性食品または流動食品で構成される食品を容器に充填する工程と、下層部の上に、ゲル化性食品または流動食品からなる食品を、下記の式(4)を充足する条件で脈流させながら充填して、上層部を形成する工程とを有する。
{(D×v×ρ 2×η)/(ρ×η 2)}<300・・・(4)
(ここで、
D:一脈の充填量から算出される上層部の食品の液の直径(m)
v:充填時に上層部の食品の液が下層部に衝突する時の速度(m/s)
ρ:上層部の食品の密度(kg/m3
ρ:下層部の食品の密度(kg/m3
η:上層部の食品の粘度(Pa・s)
η:下層部の食品の粘度(Pa・s)
とする。)
上層部の食品の密度ρと下層部の食品の密度ρとの関係は、ρ≦ρであることが好ましい。
[実施例1]
(コーヒーゼリー/コーヒーソース/プリン)
上層部ミックス(コーヒーゼリー)として、砂糖ぶどう糖液糖15%、液状水飴6.8%、ぶどう糖4.5%、コーヒーエキス2.0%、インスタントコーヒー0.8%、ローカストビーンガム0.3%、カラギーナン0.1%、ペクチン0.1%、ゼラチン0.05%、乳酸カルシウム0.02%とし、充填時の粘度が50mPa・s(目標充填温度60℃)となるように調整した。また、比重を1.080とした。
下層部ミックス(プリン)として、脱脂粉乳8.0%、マスカルポーネ3.0%、液状水飴27.0%、グラニュー糖5.0%、生クリーム2.5%、バター2.0%、加糖卵黄4.0%、ゼラチン0.4%、寒天0.15%、ローカストビーンガム0.5%とし、充填時の粘度をそれぞれ150mPa・s(目標充填温度50℃)となるように調整した。また、比重が1.14となるように調整した。
各ミックスを水に分散させ95℃まで加熱して溶解し、下層部のみ100kgf/cm2の圧で均質をかけ、60℃まで冷却し保存した。下層部ミックス60gを容器に充填した直後に、ピストンシリンダーと多孔ノズルを用いて上層部ミックス50gを下層部の上に充填した。このとき、多孔ノズルのそれぞれの孔から吐出される充填について、脈流で充填を行い、一脈の充填量に依存する量Dを、充填の脈数を調整することで、5.3mmに設定した。また、上層部が下層部に衝突する速度vを、充填時間およびノズルの高さを調整することで、1m/sに設定し、試験を行った。
充填後は5℃の冷蔵で一晩保存してゲル化させた後、中身を容器から取り出し、上下層界面に対し垂直方向に割り、目視にて内部の状態を観察し、評価を行った。評価の方法は、試験例1と同じである。
式(1)左辺値は、上記条件において12であり、界面の状態として、混ざり込んでい
る幅が上下層全体の幅の1/4未満で積層されていた。
[実施例2]
(カスタードプリン/マロンプリン)
上層部ミックス(カスタードプリン)として、脱脂粉乳6.0%、バター5.0%、グラニュー糖7.5%、粉末水飴4.0%、加糖卵黄4.0%、ローカストビーンガム1.0%、キサンタンガム0.2%とし、充填時の粘度が1000mPa・s(目標充填温度60℃)となるように調整した。また、比重を1.073とした。
下層部ミックス(マロンプリン)として、脱脂粉乳5.0%、バター2.0%、粉末水あめ14.0%、グラニュー糖6.0%、ヤシ油2.5%、マロンペースト8.0%、マロン果肉10.0%、観点0.15%、キサンタンガム0.2%、ローカストビーンガム0.2%、カラメル色素0.1%とし、充填時の粘度を400mPa・s(目標充填温度50℃)となるように調整した。また、比重が1.08となるように調整した。
各ミックスを水に分散させ95℃まで加熱して溶解し、100kgf/cm2の圧で均質をかけ、60度まで冷却し保存した。下層部ミックス60グラムを容器に充填した直後に、ピストンシリンダーと多孔ノズルを用いて上層部ミックス50gを下層部の上に充填した。このとき、多孔ノズルのそれぞれの孔から吐出される充填について、脈流で充填を行い、一脈の充填量に依存する量Dを、充填の脈数を調整することで、5.3mmに設定した。また、上層部が下層部に衝突する速度vを、充填時間およびノズルの高さを調整することで、1m/sに設定し、試験を行った。
充填後は5℃の冷蔵で一晩保存してゲル化させた後、中身を容器から取り出し、上下層界面に対し垂直方向に割り、目視にて内部の状態を観察し、評価を行った。評価の方法は、試験例1と同じである。
式(1)左辺値は、上記条件において35であり、界面の状態として、上下層が分離しているものの、混ざり込んでいる幅が1/4以上で積層されていた。
[実施例3]
(ゼリー/発酵乳)
上層部ミックス(ゼリー)として、粉末水あめ12.0%、ロー化すとビーンガム0.4%、起算単ガム0.3%とし、充填時の粘土が50mPa・s(目標充填温度60℃)となるように調整した。また、比重を1.045とした。
下層部ミックス(発酵乳)として、生乳60.0%、脱脂粉乳6.0%、生クリーム1.0%、粉末水あめ6.5%、スターター0.02%を用いて、43℃で5時間発酵させた発酵乳を調製し、比重が1.07となるように調整した。また、充填時の粘度は、高速ミキサーの攪拌により、充填時の粘度が3000mPa・s(充填目標温度10℃)となるように調整した。
上層部ミックスを水に分散させ95℃まで加熱して溶解し、100kgf/cm2の圧で均質をかけ、60℃まで冷却し保存した。下層部ミックスは10℃まで冷却し、60gを容器に充填した直後に、ピストンシリンダーと多孔ノズルを用いて上層部ミックス50gを下層部の上に充填した。このとき、多孔ノズルのそれぞれの孔から吐出される充填について、脈流で充填を行い、一脈の充填量に依存する量Dを、充填の脈数を調整することで、5.3mmに設定した。また、上層部が下層部に衝突する速度vを、充填時間およびノズルの高さを調整することで、1m/sに設定し、試験を行った。
充填後は5℃の冷蔵で一晩保存してゲル化させた後、中身を容器から取り出し、上下層界面に対し垂直方向に割り、目視にて内部の状態を観察し、評価を行った。評価の方法は、試験例1と同じである。
式(1)左辺値は、上記条件において0.03であり、界面の状態として、上下層が混ざり込むことなく、明瞭な界面をもって積層化されていた。
本発明は、ゲル化性食品及び/または流動食品で構成される複数の層を備える多層食品の製造方法に適用できる。

Claims (3)

  1. 下層部となるゲル化性食品または流動食品で構成される食品を容器に充填する工程と、
    前記下層部の上に、上層部となるゲル化性食品または流動食品からなる食品を、下記式(1)を充足する条件で脈流させながら充填する工程と、を有することを特徴とする多層食品の製造方法。
    {(D×v×ρ 2×η)/(ρ×η 2)}<300 ・・・(1)
    (式(1)中、各符号の意味は以下の通りである。
    D:一脈の充填量から算出される上層部の食品の液の直径(m)
    v:充填時に上層部の食品の液が下層部に衝突する時の速度(m/s)
    ρ:上層部の食品の密度(kg/m3
    ρ:下層部の食品の密度(kg/m3
    η:上層部の食品の粘度(Pa・s)
    η:下層部の食品の粘度(Pa・s)
    0.0053≦D≦0.0084
    1≦v≦1.7
    0.025≦ρ−ρ≦0.075
    η>η、かつη≦1000、η≧100)
  2. 前記液の直径Dが下記式(2)
    0.0053≦D<0.0084 ・・・(2)
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の多層食品の製造方法。
  3. 前記式(1)が、下記式(3)
    {(D×v×ρ 2×η)/(ρ×η 2)}<50 ・・・(3)
    (式(3)中、各符号の意味は、前記式(1)中の符号の意味と同じである。)
    を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の多層食品の製造方法。
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